(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造に関する収集装置、収集方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020003227
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠司
(72)【発明者】
【氏名】萩田 浩己
(72)【発明者】
【氏名】宮木 正信
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129030(JP,A)
【文献】特開2006-261253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタとなるマスタ収
集部および当該マスタ収集部に
接続される
スレーブ収集部を有し、吸収性物品の
製造ラインに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集する第1の収集部と、
マスタとなるマスタ収集部および当該マスタ収集部に接続されるスレーブ収集部を有し、前記所定のセンサ以外の他のセンサのデータを前記第1の速度よりも低速な第2の速度で収集する第2の収集部と、
前記第1の収集部および前記第2の収集部
のうちの少なくとも前記第1の収集
部が、前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によって同期してデータ
が収集されるように同期制御を
行い、
前記第1の収集部および前記第2の収集部によって収集されたデータを
、当該データを教師データとして前記製造ラインの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信する送信部と
を備えることを特徴とする吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項2】
前記第1の収集部および前記第2の収集部は、
前記吸収性物品の製造において互いに相関性を有するセンサのデータを収集する
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項3】
前記第1の収集部は、少なくとも振動センサのデータを収集する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項4】
前記第2の収集部は、圧力センサおよび温度センサのうちの少なくともいずれかのデータを収集する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項5】
前記第1の収集部および前記第2の収集部はそれぞれ、
マスタとなるマスタ収集部および当該マスタ収集部にデイジーチェーン接続される1以上のスレーブ収集部を有
する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項6】
前記第1の収集部および前記第2の収集部は、
時間軸上の同一時間において前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によってデータが収集されるように同期制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項7】
前記製造ラインは、当該製造ラインの位相角を測定する基準器を有し、
前記基準器の1回転は、前記吸収性物品の1ピース分の長さに対応しており、
前記第1の収集部および前記第2の収集部は、
前記基準器が特定の位相角を示す場合において前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によってデータが収集されるように同期制御を行う
ことを特徴とする請求項5または6に記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項8】
前記第1の収集部および前記第2の収集部は、互いに同期してデータの収集を開始する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項9】
前記製造ラインは、前記吸収性物品の加工元となる連続体である連続品を異なる位置で加工する複数の加工部を有し、
前記第1の収集部および前記第2の収集部はそれぞれ、前記加工部におけるデータを収集する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の吸収性物品の製造に関する収集装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する収集方法であって、
マスタとなるマスタ収
集部および当該マスタ収集部に
接続される
スレーブ収集部を有し、吸収性物品の
製造ラインに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集する第1の収集工程と、
マスタとなるマスタ収集部および当該マスタ収集部に接続されるスレーブ収集部を有し、前記所定のセンサ以外の他のセンサのデータを前記第1の速度よりも低速な第2の速度で収集する第2の収集工程と、
前記第1の収集工程および前記第2の収集工程
のうちの少なくとも前記第1の収集
工程が、前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によって同期してデータ
が収集されるように同期制御を
行い、
前記第1の収集工程および前記第2の収集工程において収集されたデータを
、当該データを教師データとして前記製造ラインの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信する送信工程と
を含むことを特徴とする吸収性物品の製造に関する収集方法。
【請求項11】
マスタとなるマスタ収
集部および当該マスタ収集部に
接続される
スレーブ収集部を有し、吸収性物品の
製造ラインに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集する第1の収集手順と、
マスタとなるマスタ収集部および当該マスタ収集部に接続されるスレーブ収集部を有し、前記所定のセンサ以外の他のセンサのデータを前記第1の速度よりも低速な第2の速度で収集する第2の収集手順と、
前記第1の収集手順および前記第2の収集手順
のうちの少なくとも前記第1の収集
手順が、前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によって同期してデータ
が収集されるように同期制御を
行い、
前記第1の収集手順および前記第2の収集手順において収集されたデータを
、当該データを教師データとして前記製造ラインの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信する送信手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の製造に関する収集装置、収集方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品を製造する製造装置において、製品データと設備データとを関連付け、製品に異常が発生した場合に、異常と判定された製品に関連付けられた製品データ、および設備データの少なくとも一方を特定し、さらに製品の異常の原因となった製造工程を特定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、吸収性物品を製造する製造装置で発生する異常の推定精度を向上させる点について改善の余地がある。例えば、上述した技術では、吸収性物品を製造する製造装置において、発生する可能性のある異常を予め推定することができないおそれがある。
【0005】
なお、このような異常を予め推定する方法の一例として、製造中の設備データを収集し、かかる設備データを教師データとして生成された学習モデルを用いて推定することが挙げられる。このため、吸収性物品の製造装置について、異常の推定精度の高い学習モデルを生成するにあたっては、教師データとする設備データを効果的に収集する必要がある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、吸収性物品を製造する製造装置で発生する異常を推定する学習モデルの教師データを効果的に収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る吸収性物品の製造に関する収集装置は、吸収性物品の製造ラインに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集する第1の収集部と、前記所定のセンサ以外の他のセンサのデータを前記第1の速度よりも低速な第2の速度で収集する第2の収集部と、前記第1の収集部および前記第2の収集部によって収集されたデータを、当該データを教師データとして前記製造ラインの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、吸収性物品を製造する製造装置で発生する異常を推定する学習モデルの教師データを効果的に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る製造ラインの構成の一例を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る収集システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、加工部の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る高速収集部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、高速収集部が備えるマスタ収集部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、高速収集部が備えるスレーブ収集部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、マスタ収集部、およびスレーブ収集部の接続構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、高速収集部が実行する高速収集処理のタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、基準エンコーダが示す位相角とサンプリング開始タイミングとの関係を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る低速収集部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、低速収集部が備えるマスタ収集部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、高速収集部が実行する高速収集処理、および低速収集部が実行する低速収集処理のタイミングチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る収集装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
吸収性物品の製造ラインに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集する第1の収集部と、前記所定のセンサ以外の他のセンサのデータを前記第1の速度よりも低速な第2の速度で収集する第2の収集部と、前記第1の収集部および前記第2の収集部によって収集されたデータを、当該データを教師データとして前記製造ラインの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信する送信部とを備えることを特徴とする吸収性物品の製造に関する収集装置。
【0012】
このような収集装置によれば、吸収性物品を製造する製造装置で発生する異常を推定する学習モデルの教師データを効果的に収集することができる。
【0013】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部は、前記吸収性物品の製造において互いに相関性を有するセンサのデータを収集する。
【0014】
このような収集装置によれば、例えば施される加工処理それぞれの態様は異なる場合が多いが、一方で加工処理間の相関性は高いという特性を有する吸収性物品の製造において、かかる加工処理間の相関性を考慮した効果的なデータの収集が可能となる。
【0015】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部は、少なくとも振動センサのデータを収集する。
【0016】
このような収集装置によれば、例えば短い期間でも変化の激しい振動センサのデータを、かかる激しい変化に応じて分解能高く高速サンプリングし、学習モデルの生成に有用となるデータを収集することができる。
【0017】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第2の収集部は、圧力センサおよび温度センサのうちの少なくともいずれかのデータを収集する。
【0018】
このような収集装置によれば、例えば短い期間では変化の緩やかな圧力センサや温度センサ等のデータを、かかる緩やかな変化に応じた分解能で低速サンプリングし、学習モデルの生成に有用となるデータを収集することができる。
【0019】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部はそれぞれ、マスタとなるマスタ収集部および当該マスタ収集部にデイジーチェーン接続される1以上のスレーブ収集部を有し、前記第1の収集部および前記第2の収集部のうちの少なくとも前記第1の収集部は、前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によって同期してデータが収集されるように同期制御を行う。
【0020】
このような収集装置によれば、例えば製造ラインに沿って異なる位置に配置された複数のセンサのデータを、ある特定の一時点において同期して同時に収集させることが可能となる。したがって、製造ラインにおける特定の一時点のセンサ相互の相関性を示すデータを収集することができる。また、かかるデータに基づき、生成装置に対し、異常の推定精度の高い学習モデルの生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0021】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部は、時間軸上の同一時間において前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によってデータが収集されるように同期制御を行う。
【0022】
このような収集装置によれば、時間軸上の同一時間において同期してデータが収集されるように同期制御が行われることによって、製造ラインの特定の一時点における加工処理間の相関性を示すデータを収集することができる。また、かかるデータに基づき、生成装置に対し、異常の推定精度の高い学習モデルの生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0023】
また、前記製造ラインは、当該製造ラインの位相角を測定する基準器を有し、前記基準器の1回転は、前記吸収性物品の1ピース分の長さに対応しており、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部は、前記基準器が特定の位相角を示す場合において前記マスタ収集部および前記スレーブ収集部によってデータが収集されるように同期制御を行う。
【0024】
このような収集装置によれば、製造ラインの特定の位相角に同期した、言い換えれば吸収性物品の1ピース分の上記特定の位相角に対応する任意位置に同期した、製造ラインの特定の一時点における加工処理間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。すなわち、吸収性物品の特定の位置を選択的に設定することが可能であり、かかる設定に基づいた任意の一時点におけるデータを収集することができる。また、かかるデータに基づき、生成装置に対し、異常の推定精度の高い学習モデルの生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0025】
また、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部は、互いに同期してデータの収集を開始する。
【0026】
このような収集装置によれば、高速収集系、および低速収集系の双方を含めた、製造ラインの特定の一時点における異なる加工処理間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。また、かかるデータに基づき、生成装置に対し、異常の推定精度の高い学習モデルの生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0027】
また、前記製造ラインは、前記吸収性物品の加工元となる連続体である連続品を異なる位置で加工する複数の加工部を有し、吸収性物品の製造に関する収集装置において、前記第1の収集部および前記第2の収集部はそれぞれ、前記加工部におけるデータを収集する。
【0028】
このような収集装置によれば、互いに釣り合いを保ちつつ製造ラインの異なる位置で連続品を加工する複数の加工部間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。また、かかるデータに基づき、生成装置に対し、異常の推定精度の高い学習モデルの生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0029】
以下に、吸収性物品の製造に関する収集装置、収集方法、およびプログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により吸収性物品の製造に関する収集装置、収集方法、およびプログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
[実施形態]
〔1.製造ラインの構成例〕
まず、実施形態に係る収集装置10の説明に先立って、吸収性物品を製造する製造装置の一例である製造ラインPLの構成例について
図1を参照し説明する。
図1は、実施形態に係る製造ラインPLの構成の一例を示す概略側面図である。
【0031】
実施形態に係る製造ラインPLは、吸収性物品を製造するための一連化された製造工程である。吸収性物品は、例えば、おむつや、生理用ナプキンや、尿取りパッドである。なお、以下では、吸収性物品としておむつDを製造する場合を主たる例に挙げて説明を進める。
【0032】
製造ラインPLでは、おむつDの加工元となる連続体である連続シート(「連続ウェブ」と言い換えても可)を異なる位置で加工する複数の加工処理を行う。なお、ここに言う「加工」とは、最終的におむつDの1ピースが製造されるまでに連続ウェブに加えられるすべての手段を指す。
【0033】
したがって、連続ウェブ上に吸収体を順次配置したり、連続ウェブを所定の形状へ成形したり、1ピースごとに切断したりといった、その「加工」の痕跡が最終的におむつDの1ピース上に残存するものの他、例えば連続ウェブ等の資材が途切れないように資材同士を接続する資材継ぎ処理等のように、その「加工」の痕跡が最終的におむつDの1ピース上に残存しないものも含む。
【0034】
なお、以下では、製造ラインPLの幅方向(
図1の紙面を貫通する方向)を「CD方向」と言い、かかるCD方向に直交する二方向のうち、鉛直な方向を「上下方向」と、水平な方向を「前後方向」と、それぞれ言う場合がある。
【0035】
図1に示すように、製造ラインPLには、コアラップ搬送経路R1と、吸収体搬送経路R2と、ファスニングテープ搬送経路R3と、トップシート搬送経路R4と、ターゲットテープ搬送経路R5と、バックシート搬送経路R6と、基材シート搬送経路R7とが含まれる。
【0036】
各搬送経路R1~R7には、図示略の搬送装置が設けられる。搬送装置は、ベルトコンベアや、搬送ローラなどによって構成される。ベルトコンベアは、例えば、駆動周回する無端ベルトを搬送面とした通常のベルトコンベアや、無端ベルトの外周面に吸着機能を有するサクションベルトコンベアである。
【0037】
コアラップ搬送経路R1では、コアラップシートCsがコイル状に巻き取られた資材コイル201からコアラップシートCsが繰り出される。すなわち、コアラップ搬送経路R1では、連続シートであるコアラップシートCsが搬送される。コアラップシートCsは、例えば、ティッシュペーパーや、不織布などの液透過性のシート部材である。
【0038】
吸収体搬送経路R2では、コアラップ搬送経路R1から搬送されるコアラップシートCsに吸収体Abが載置される。吸収体Abは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する積繊ドラム202によってコアラップシートCsに載置される。吸収体Abは、液体吸収体素材であり、例えば、パルプ繊維、および高吸収性ポリマー(SAP:Superabsorbent polymer)である。
【0039】
積繊ドラム202の外周面には、回転方向に沿って複数の凹部202aが形成されている。凹部202aには、散布ダクトから散布されたパルプ繊維とSAPとが積層される。凹部202aは、コアラップシートCsに載置された吸収体Abの形状が、平面視で略矩形状となるように形成される。コアラップシートCsには、前後方向に沿って複数の吸収体Abが並んで載置される。
【0040】
また、吸収体搬送経路R2には、カット装置203が設けられる。カット装置203は、吸収体Abが載置されたコアラップシートCsを切断する。カット装置203は、カッターロール203aと、アンビルロール203bとを備える。
【0041】
カッターロール203aは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。カッターロール203aには、回転軸方向に沿ってカッター刃が設けられる。アンビルロール203bは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。
【0042】
カット装置203は、吸収体Abが載置されたコアラップシートCsをカッターロール203aおよびアンビルロール203bによって挟圧して切断する。なお、カット装置203は、隣接する吸収体Abの間の位置でコアラップシートCsを切断する。
【0043】
吸収体搬送経路R2では、カット装置203によって切断されたコアラップシートCsが前方に向けて搬送される。
【0044】
ファスニングテープ搬送経路R3では、連続シートであるファスニングテープFt1が搬送される。ファスニングテープ搬送経路R3では、接着剤塗布装置204によって接着剤がファスニングテープFt1に塗布される。
【0045】
トップシート搬送経路R4では、トップシートTsがコイル状に巻き取られた資材コイル205からトップシートTsが繰り出される。すなわち、トップシート搬送経路R4では、連続シートであるトップシートTsが搬送される。トップシートTsは、液透過性を有するシート部材であり、例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布である。
【0046】
また、トップシート搬送経路R4には、スリップカット装置206が設けられる。スリップカット装置206は、ファスニングテープ搬送経路R3を搬送されたファスニングテープFt1を切断する。スリップカット装置206は、カッターロール206aと、アンビルロール206bとを備える。
【0047】
カッターロール206aは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。カッターロール206aには、連続シートのファスニングテープFt1を単票状のファスニングテープFt2に切断するカッター刃(不図示)が設けられる。カッター刃は、回転方向に複数設けられる。
【0048】
アンビルロール206bは、接着剤が塗布された連続体のファスニングテープFt1を吸着保持する。アンビルロール206bは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。アンビルロール206bには、カッターロール206aのカッター刃に対向する受け刃(不図示)が設けられる。
【0049】
スリップカット装置206は、接着剤が塗布された連続シートのファスニングテープFt1をアンビルロール206bによって吸着し、連続シートのファスニングテープFt1をカッターロール206aによって切断し、単票状のファスニングテープFt2を生成する。
【0050】
スリップカット装置206は、単票状に切断したファスニングテープFt2をアンビルロール206bによって吸着させて、トップシートTsに対向する位置まで搬送する。
【0051】
また、トップシート搬送経路R4には、アンビルロール206bの下方に仮プレスロール207が設けられる。仮プレスロール207は、トップシートTsを挟んでアンビルロール206bと対向するように設けられる。
【0052】
仮プレスロール207は、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。仮プレスロール207は、アンビルロール206bに吸着されたファスニングテープFt2がトップシートTsの上方に搬送されたタイミングでアンビルロール206bに向けて押圧する。これにより、連続体であるトップシートTsがアンビルロール206bに押し付けられ、ファスニングテープFt2に塗布された接着剤によって、ファスニングテープFt2がトップシートTsに接着する。これにより、ファスニングテープFt2は、トップシートTsに仮固定される。
【0053】
また、トップシート搬送経路R4には、本プレス装置208が設けられる。本プレス装置208は、トップシート搬送経路R4におけるトップシートTsの搬送方向において、仮プレスロール207よりも下流側に設けられる。
【0054】
本プレス装置208は、トップシートTsに仮固定されたファスニングテープFt2を本固定する。本プレス装置208は、ファスニングテープFt2が仮固定されたトップシートTsを一対のロールによって挟持し、ファスニングテープFt2をトップシートTsに本固定する。
【0055】
各ロールは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。一対のロールのうち、一方のロールは、他方のロールに向けて往復動する。すなわち、一対のロールは、一対のロールの間隔を変更可能である。
【0056】
また、トップシート搬送経路R4には、接着剤塗布装置209が設けられる。接着剤塗布装置209は、トップシートTsの搬送方向において、本プレス装置208よりも下流側に設けられる。接着剤塗布装置209は、ファスニングテープFt2が本固定されたトップシートTsに接着剤を塗布する。接着剤塗布装置209は、トップシートTsの非肌側面に接着剤を塗布する。
【0057】
ターゲットテープ搬送経路R5には、連続シートであるターゲットテープTt1が搬送される。ターゲットテープ搬送経路R5では、接着剤塗布装置210によって接着剤がターゲットテープTt1に塗布される。
【0058】
バックシート搬送経路R6では、バックシートBsがコイル状に巻き取られた資材コイル211からバックシートBsが繰り出される。すなわち、バックシート搬送経路R6では、連続シートであるバックシートBsが搬送される。バックシートBsは、液不透過性を有するシート部材であり、例えば、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂フィルムである。
【0059】
また、バックシート搬送経路R6には、スリップカット装置212が設けられる。スリップカット装置212は、ターゲットテープ搬送経路R5を搬送されたターゲットテープTt1を切断する。スリップカット装置212は、カッターロール212aと、アンビルロール212bとを備える。
【0060】
カッターロール212aは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。カッターロール212aには、連続シートのターゲットテープTt1を単票状のターゲットテープTt2に切断するカッター刃(不図示)が設けられる。カッター刃は、回転方向に複数設けられる。
【0061】
アンビルロール212bは、接着剤が塗布された連続体のターゲットテープTt1を吸着保持する。アンビルロール212bは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。アンビルロール212bには、カッターロール212aのカッター刃に対向する受け刃(不図示)が設けられる。
【0062】
スリップカット装置212は、接着剤が塗布された連続シートのターゲットテープTt1をアンビルロール212bによって吸着し、連続シートのターゲットテープTt1をカッターロール212aによって切断し、単票状のターゲットテープTt2を生成する。
【0063】
スリップカット装置212は、単票状に切断したターゲットテープTt2をアンビルロール212bによって吸着させて、バックシートBsに対向する位置まで搬送する。
【0064】
また、バックシート搬送経路R6には、アンビルロール212bの下方に仮プレスロール213が設けられる。仮プレスロール213は、バックシートBsを挟んでアンビルロール212bと対向するように設けられる。
【0065】
仮プレスロール213は、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。仮プレスロール213は、アンビルロール212bに吸着されたターゲットテープTt2がバックシートBsの上方に搬送されたタイミングでアンビルロール212bに向けて押圧する。これにより、連続体であるバックシートBsがアンビルロール212bに押し付けられ、ターゲットテープTt2に塗布された接着剤によって、ターゲットテープTt2がバックシートBsに接着する。これにより、ターゲットテープTt2は、バックシートBsに仮固定される。
【0066】
また、バックシート搬送経路R6には、本プレス装置214が設けられる。本プレス装置214は、バックシート搬送経路R6におけるバックシートBsの搬送方向において、仮プレスロール213よりも下流側に設けられる。
【0067】
本プレス装置214は、バックシートBsに仮固定されたターゲットテープTt2を本固定する。本プレス装置214は、ターゲットテープTt2が仮固定されたバックシートBsを一対のロールによって挟持し、ターゲットテープTt2をバックシートBsに本固定する。
【0068】
各ロールは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。一対のロールのうち、一方のロールは、他方のロールに向けて往復動する。すなわち、一対のロールは、一対のロールの間隔を変更可能である。
【0069】
また、バックシート搬送経路R6には、接着剤塗布装置215が設けられる。接着剤塗布装置215は、バックシートBsの搬送方向において、本プレス装置214よりも下流側に設けられる。接着剤塗布装置215は、ターゲットテープTt2が本固定されたバックシートBsに接着剤を塗布する。接着剤塗布装置215は、バックシートBsの肌側面に接着剤を塗布する。
【0070】
上記した吸収体搬送経路R2によって搬送される吸収体Ab、トップシート搬送経路R4によって搬送されるトップシートTs、およびバックシート搬送経路R6によって搬送されるバックシートBsは、合流位置Mpで合流する。
【0071】
具体的には、合流位置Mpでは、吸収体Abの非肌側から連続シートのバックシートBsが合流し、吸収体Abの肌側から連続シートのトップシートTsが合流する。トップシートTs、およびバックシートBsにはそれぞれ接着剤が塗布されているため、トップシートTs、吸収体Ab、およびバックシートBsは、接着剤によって接合されて一体化され、連続シートの基材シートBMsが生成される。基材シートBMsでは、吸収体Abが、前後方向において、おむつDの1ピース分の長さに相当する製品ピッチPで連続して並んだ状態となっている。
【0072】
なお、
図1においては、基材シートBMsの搬送方向において合流位置Mpよりも下流側の基材シートBMsを、トップシートTs、吸収体Ab、およびバックシートBsが離間した状態で示しているが、実際にはこれらは一体に接合されている。
【0073】
基材シート搬送経路R7では、基材シートBMsが搬送される。基材シート搬送経路R7には、レッグホールカット装置216が設けられる。レッグホールカット装置216は、CD方向の両側において基材シートBMsの一部を切断し、おむつDの脚回り開口部を形成する。レッグホールカット装置216は、カッターロール216aと、アンビルロール216bとを備える。
【0074】
カッターロール216aは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。カッターロール216aには、回転方向に沿ってカッター刃(不図示)が設けられる。カッター刃は、脚回り開口部の形状に合わせて湾曲形状に設けられる。アンビルロール216bは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。
【0075】
レッグホールカット装置216における各ロール216a,216bの回転は、基材シートBMsにおける所定の位置に脚回り開口部が形成されるように、基材シートBMsの搬送動作と連動する。
【0076】
レッグホールカット装置216では、カッターロール216aは、アンビルロール216bに向けて移動可能であり、カッターロール216aとアンビルロール216bとの間隔を変更可能である。
【0077】
また、基材シート搬送経路R7には、エンドカット装置217が設けられる。エンドカット装置217は、基材シート搬送経路R7における基材シートBMsの搬送方向において、レッグホールカット装置216よりも下流側に設けられる。
【0078】
エンドカット装置217は、基材シート搬送経路R7によって搬送された基材シートBMsを切断する。エンドカット装置217は、カッターロール217aと、アンビルロール217bとを備える。
【0079】
カッターロール217aは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。カッターロール217aには、回転軸方向に沿ってカッター刃(不図示)が設けられる。アンビルロール217bは、CD方向に沿った回転軸を中心に回転する。
【0080】
エンドカット装置217は、基材シートBMsにおいて予め設定された位置で基材シートBMsの下流端を切断し、おむつDを生成する。
【0081】
このように、製造ラインPLでは、資材コイル201,205,211、積繊ドラム202、カット装置203、接着剤塗布装置204,209,210,215、スリップカット装置206,212、仮プレスロール207,213、本プレス装置208,214、レッグホールカット装置216、エンドカット装置217、各搬送経路R1~R7を形成する搬送装置といった、おむつDの製造に関わる各種の加工装置(以下、「加工部300」と記載する)が、所定のテンションで連続ウェブを保ちつつ連動して動作することによって、おむつDを生成する。
【0082】
言い換えれば、おむつDは、製造ラインPLにおいて異なる位置に設けられた複数の加工部300によって、連続ウェブが、所定のテンションを保たれながら高速搬送されたり、吸収体Abが順次配置されたり、所定の形状へ成形されたり、おむつDの1ピースごとに切断されたりといった、態様は異なりつつも連動した加工処理を経ながら製造される。すなわち、製造ラインPLにおいては、加工処理それぞれの態様は異なる場合が多いが、その一方で、下流工程の加工処理が上流工程の加工処理の影響を受けやすいなど、加工処理間の相関性は高い。
【0083】
したがって、製造ラインPLにおける異常の推定に、製造ラインPLにおける製造中の設備データを収集し、かかる設備データを教師データとして生成された学習モデルを用いようとする場合、上記した加工処理間の相関性を考慮して効果的にデータを収集する必要がある。
【0084】
そこで、実施形態に係る収集方法では、吸収性物品の製造ラインPLに設けられる複数のセンサのうち、所定のセンサのデータを第1の速度で収集し、所定のセンサ以外の他のセンサのデータを第1の速度よりも低速な第2の速度で収集することとした。そして、第1の速度で収集されたデータおよび第2の速度で収集されたデータを、当該データを教師データとして製造ラインPLの異常を推定する学習モデルを生成する生成装置に対し送信することとした。
【0085】
以下、このような実施形態に係る収集方法を適用した収集システム1の構成例について、
図2以降を参照しつつ詳細に説明する。
【0086】
〔2.実施形態に係る収集システムの構成の一例〕
図2は、実施形態に係る収集システム1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図2をはじめとして、後に示す
図5~
図7、
図11、および
図12でも各種のブロック図を示すが、これらブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0087】
換言すれば、これらブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0088】
また、これらブロック図を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0089】
図2に示すように、実施形態に係る収集システム1は、収集装置10と、表示部20と、生成装置500と、製造ラインPLとを含む。
【0090】
収集装置10と、表示部20と、製造ラインPLとは、有線、または無線の通信回線であるネットワーク100を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク100は、例えば、LAN(Local Area Network)等で構成されるイントラネット等である。
【0091】
収集装置10と、生成装置500とは、有線、または無線の通信回線であるネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等の通信ネットワークである。
【0092】
〔2-1.生成装置について〕
ここで、生成装置500について説明しておく。生成装置500は、収集装置10によって収集されたデータを、当該データを教師データとして製造ラインPLの異常を推定する学習モデル501を生成する装置である。生成装置500は、例えばクラウドサーバとして実現される。また、生成装置500は、所定の機械学習のアルゴリズムを用いて学習モデル501を生成する。
【0093】
機械学習のアルゴリズムとしては、例えばディープラーニングを用いることができるが、これに限られるものではなく、SVM(Support Vector Machine)のようなパターン識別器を用いたサポートベクタ回帰等の回帰分析手法により機械学習を実行してもよい。また、パターン識別器はSVMに限らず、例えばアダブースト(Adaptive Boosting)等であってもよい。また、ランダムフォレスト等を用いてもよい。
【0094】
また、生成装置500は、生成された学習モデル501を、例えば収集装置10を介して製造ラインPLへ配信する。製造ラインPLは、例えば製造中のリアルタイムの設備データを配信された学習モデル501へ入力することによって、製造ラインPLの異常を推定する。
【0095】
なお、生成装置500が学習モデル501を配信することなく保持しておき、例えば収集装置10からネットワークNを介して随時アップロードされる製造中のリアルタイムデータに基づいて、生成装置500が製造ラインPLの異常を推定するようにしてもよい。
【0096】
〔2-2.収集装置の構成例〕
収集装置10は、記憶部11と、高速収集部12と、低速収集部13と、送信部14とを備える。記憶部11は、例えばNAS(Network Attached Storage)、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集DB(データベース)11aを記憶する。
【0097】
収集DB11aは、高速収集部12、および低速収集部13によって収集されるデータを蓄積するデータベースである。
【0098】
高速収集部12は、「第1の収集部」の一例に相当し、製造ラインPLに設けられる複数のセンサSrのうち、所定のセンサSrのデータを第1の速度で収集し、収集したデータを収集DB11aへ蓄積する。
【0099】
低速収集部13は、「第2の収集部」の一例に相当し、高速収集部12が収集対象とするセンサSr以外のセンサSrのデータを第1の速度よりも低速な第2の速度で収集し、収集したデータを収集DB11aへ蓄積する。なお、高速収集部12、および低速収集部13は、おむつDの製造において互いに相関性を有するセンサSrのデータを収集する。高速収集部12、および低速収集部13の構成例については、
図5以降を用いてより詳細に説明する。
【0100】
送信部14は、高速収集部12、および低速収集部13によって収集されたデータを収集DB11aから取得し、ネットワークNを介して生成装置500へ送信する。
【0101】
表示部20は、ディスプレイ等を備える情報表示装置であって、収集装置10の処理状況、例えば高速収集部12のデータ収集状況や、低速収集部13のデータ収集状況、収集DB11aのデータ蓄積状況、送信部14のデータ送信状況等を適宜表示可能に設けられる。
【0102】
表示部20は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話機や、タブレット端末、デスクトップ型PC(Personal Computer)、ノート型PC、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってもよい。また、表示部20は、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(Wearable Device)であってもよい。
【0103】
製造ラインPLは、複数の加工部300(300-1,300-2,300-3…)と、基準エンコーダREとを備える。複数の加工部300は、上記した資材コイル201,205,211、積繊ドラム202、カット装置203、接着剤塗布装置204,209,210,215、スリップカット装置206,212、仮プレスロール207,213、本プレス装置208,214、レッグホールカット装置216、エンドカット装置217、各搬送経路R1~R7を形成する搬送装置といった、おむつDの製造に関わる各種の加工装置に相当する。
【0104】
加工部300にはそれぞれ、各種センサSr(Sr-1,Sr-2,Sr-3…)が接続される。基準エンコーダREは、製造ラインPLの位相角を測定する基準器の一例である。
【0105】
〔2-3.各種センサおよび基準エンコーダについて〕
ここで、各種センサSr、および基準エンコーダREについて説明する。
図3は、加工部300の構成の一例を示す図である。また、
図4は、製品ピッチPの説明図である。なお、
図3には、加工部300の一例として、上記したカット装置203を示している。
【0106】
既に述べたが、
図3に示すように、カット装置203は、カッターロール203aと、アンビルロール203bとを備える。また、カット装置203は、モータ203cと、エンコーダ203dとを有する。
【0107】
モータ203cは、カッターロール203aを回転させる駆動源である。エンコーダ203dは、モータ203cの軸端に設けられ、モータ203cの回転角(すなわち、カッターロール203aの回転角)を測定する。
【0108】
ここで、カッターロール203aの周長は、
図4に示すおむつDの1ピース分の長さである製品ピッチPの長さと同値に設定されている。したがって、カッターロール203aが1回転すると、例えば吸収体Abは製品ピッチPの長さ分の搬送量(以下、適宜「単位搬送量」と言う)だけ搬送される。
【0109】
そして、エンコーダ203dは、モータ203c(すなわち、カッターロール203a)と一体に回転し、この回転動作の入力に基づいて、単位搬送量ごとに、0°~360°に対応する例えば0から所定の上限値までのデジタル値を搬送量に比例して出力する。
【0110】
かかるデジタル値は、例えばリファレンス信号として製造ラインPLの制御装置(図示略)へ送信され、製造ラインPLにおける複数の加工部300による一連の連動制御等に用いられる。かかるリファレンス信号を出力するエンコーダ203dのことを、他のエンコーダと区別すべく「基準エンコーダRE」とも言う。基準エンコーダREはこのように、その1回転がおむつDの1ピース分の長さに対応しており、製造ラインPLの位相角を、かかる1ピース分の長さに対応付けて測定する。
【0111】
なお、ここでは、カット装置203のエンコーダ203dが基準エンコーダREである場合について説明したが、他の加工部300が備えるエンコーダを基準エンコーダREとしてもよい。
【0112】
例えば、スリップカット装置206,212、仮プレスロール207,213、本プレス装置208,214、レッグホールカット装置216、エンドカット装置217が備えるいずれかのエンコーダを基準エンコーダREとしてもよい。また、各搬送経路R2,R4,R6,R7等を形成する搬送装置が備えるいずれかのエンコーダを基準エンコーダREとしてもよい。また、基準エンコーダREは必ずしも製造ラインPLが物理的に備えるエンコーダである必要はなく、仮想的なエンコーダであってもよい。
【0113】
また、
図3に示すように、カット装置203には、各種センサSrとして、例えば少なくとも振動センサSr_Aと、圧力センサSr_Pと、温度センサSr_Tとが接続される。
【0114】
振動センサSr_Aは、例えば加速度センサであって、おむつDの製造中におけるカット装置203の振動を測定する。圧力センサSr_Pは、おむつDの製造中におけるカット装置203の圧力、例えば、吸収体Abの載置されたコアラップシートCsを挟圧して切断する際の圧力を測定する。温度センサSr_Tは、おむつDの製造中におけるカット装置203の温度を測定する。
【0115】
〔3.高速収集部の構成例〕
次に、実施形態に係る高速収集部12の構成例について、
図5~
図10を参照しつつ説明する。まず、
図5は、実施形態に係る高速収集部12の構成の一例を示すブロック図である。
【0116】
図5に示すように、高速収集部12は、マスタ収集部121と、1以上のスレーブ収集部122(122-1,122-2,122-3…)とを備える。
【0117】
マスタ収集部121、およびスレーブ収集部122はそれぞれ、例えばPLC(Programmable Logic Controller)によって実現される。マスタ収集部121は、高速収集部12が実行する高速収集処理を統括的に制御する。
【0118】
スレーブ収集部122は、複数の加工部300にそれぞれ接続された各種センサSrのうち、例えば振動センサSr_Aのデータをサンプリングする。なお、
図5では、スレーブ収集部122と振動センサSr_Aとが1対1に対応付けられている例を示しているが、スレーブ収集部122と振動センサSr_Aとが1対多に対応付けられていてもよい。
【0119】
マスタ収集部121は、所定の収集タイミングにおいて、スレーブ収集部122のそれぞれにデータサンプリングのトリガを通知し、すべてのスレーブ収集部122に、時間軸上における同一時間において同期して振動センサSr_Aのデータを高速サンプリングさせる。
【0120】
なお、ここに言う高速サンプリングは、おむつDの製造中で製造ラインPLの所定のモータの回転数が所定値以上である場合に、例えば30分ごとに2秒間、サンプリング周期が80マイクロ秒、サンプリング点数が22500点の条件等で行われる。
【0121】
また、マスタ収集部121は、スレーブ収集部122のそれぞれに、高速サンプリングした振動センサSr_Aのデータを収集DB11aへ蓄積させる。
【0122】
これにより、例えば短い期間でも変化の激しい振動センサSr_Aそれぞれのデータを、かかる激しい変化に応じて分解能高く高速サンプリングし、学習モデル501の生成に有用となるデータを収集することができる。
【0123】
なお、
図5では、スレーブ収集部122のみが振動センサSr_Aのデータを収集しているが、マスタ収集部121がスレーブ収集部122とともに、マスタ収集部121に対応付けられた振動センサSr_Aのデータをサンプリングすることとしてもよい。
【0124】
マスタ収集部121、およびスレーブ収集部122の構成例についてより詳細に説明する。
図6は、高速収集部12が備えるマスタ収集部121の構成の一例を示すブロック図である。また、
図7は、高速収集部12が備えるスレーブ収集部122の構成の一例を示すブロック図である。
【0125】
図6に示すように、マスタ収集部121は、制御部121aを備える。制御部121aは、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、マスタ収集部121内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部121aは、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0126】
制御部121aは、取得部121aaと、生成部121abと、通知部121acとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0127】
取得部121aaは、所定の収集タイミングを取得する。取得部121aaは、例えば収集装置10が備える図示略のクロック生成回路から出力されるクロック信号に基づいて所定の収集タイミングを取得する。
【0128】
なお、ここに言う収集タイミングは、マスタ収集部121にとっては、厳密にはトリガの生成タイミングとなる。また、取得部121aaは、製造ラインPLの位相角を示すリファレンス信号を基準エンコーダREから取得する。
【0129】
生成部121abは、取得部121aaによって前述の収集タイミングが取得された場合に、スレーブ収集部122のそれぞれに対するデータサンプリングのトリガを生成する。トリガには、例えば上記したサンプリングの条件等が含まれる。通知部121acは、生成部121abによって生成されたトリガをスレーブ収集部122のそれぞれへ通知する。
【0130】
次に、
図7に示すように、スレーブ収集部122は、制御部122aを備える。制御部122aは、制御部121aと同様にコントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、スレーブ収集部122内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部122aは、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0131】
制御部122aは、取得部122aaと、採取部122abとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0132】
取得部122aaは、マスタ収集部121から通知されるトリガを取得する。採取部122abは、取得部122aaによって取得されたトリガに基づいて、振動センサSr_Aのデータを高速サンプリングする。
【0133】
ここで、これまでの説明を前提に、高速収集部12が実行する高速収集処理についてより詳細に説明する。
図8は、マスタ収集部121、およびスレーブ収集部122の接続構成の一例を示す図である。また、
図9は、高速収集部12が実行する高速収集処理のタイミングチャートである。
【0134】
図8に示すように、1以上のスレーブ収集部122は、マスタ収集部121に対し、例えばじか線等でデイジーチェーン接続される。マスタ収集部121は、かかるじか線を用いた通信速度、およびじか線ごとの距離d1,d2,d3…を把握しており、スレーブ収集部122のそれぞれへトリガを任意のタイミングで到達させることができる。
【0135】
例えば、
図9に示すように、3つのスレーブ収集部122-1,122-2,122-3がマスタ収集部121に対し接続されており、マスタ収集部121が時間t
n-4においてトリガ生成、および通知を行ったものとする。すると、例えばスレーブ収集部122-1は、時間t
n-3において、トリガを取得する。ただし、マスタ収集部121は、かかる時間t
n-3においては、スレーブ収集部122-1にデータのサンプリングを開始させない。
【0136】
同様に、例えばスレーブ収集部122-2は、時間tn-2において、トリガを取得する。ただし、マスタ収集部121は、かかる時間tn-2においては、スレーブ収集部122-2にデータのサンプリングを開始させない。
【0137】
そして、例えばスレーブ収集部122-3は、時間tn-1において、トリガを取得する。すると、マスタ収集部121は、トリガに基づき、かかる時間tn-1とほぼ同一時間の時間tnにおいて、スレーブ収集部122に一斉にデータのサンプリングを開始させる。
【0138】
このように、時間軸上の同一時間において同期してデータが収集されるように同期制御が行われることによって、製造ラインPLの特定の一時点における加工部300間の相関性を示すデータを収集することができる。また、これに基づき、生成装置500に対し、異常の推定精度の高い学習モデル501の生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0139】
なお、ここでは、時間軸上の同一時間において同期してデータが収集されるように同期制御を行うこととしたが、さらに基準エンコーダREの位相角を加味した同期制御を行ってもよい。
【0140】
図10は、基準エンコーダREが示す位相角とサンプリング開始タイミングとの関係を示す図である。例えば
図9を参照して説明した、時間t
nが当初のサンプリング開始タイミングであるものとする。
【0141】
すると、例えばマスタ収集部121は、かかる時間tn、および基準エンコーダREから取得したリファレンス信号に基づき、製造ラインPLが特定の位相角を示す場合においてデータが収集されるように同期制御を行うことができる。
【0142】
例えばマスタ収集部121は、
図10に示すように、時間t
nの後で、最初に製造ラインPLの位相角が360°から0°の原点位置に復帰する時間t
n+1において、スレーブ収集部122に一斉にデータのサンプリングを開始させる。
【0143】
これにより、おむつDの1ピース分の所定位置に同期した、製造ラインPLの特定の一時点における加工部300間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。また、これに基づき、生成装置500に対し、異常の推定精度の高い学習モデル501の生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0144】
なお、
図10では、製造ラインPLの位相角が原点位置を示す場合にサンプリングを開始させる例を挙げたが、原点位置に限られるものではなく、任意の位相角位置であってよい。
【0145】
〔4.低速収集部の構成例〕
次に、実施形態に係る低速収集部13の構成例について、
図11、および
図12を参照しつつ説明する。まず、
図11は、実施形態に係る低速収集部13の構成の一例を示すブロック図である。
【0146】
図11に示すように、低速収集部13は、マスタ収集部131と、1以上のスレーブ収集部132(132-1,132-2,132-3…)とを備える。
【0147】
マスタ収集部131、およびスレーブ収集部132はそれぞれ、上記した高速収集部12のマスタ収集部121、およびスレーブ収集部122と同様に、例えばPLCによって実現することができる。ただし、ここでは別の例として、マスタ収集部131がPLCによって実現され、スレーブ収集部132はデータのサンプリングに特化した専用装置によって実現されることとする。
【0148】
マスタ収集部131は、低速収集部13が実行する低速収集処理を統括的に制御する。スレーブ収集部132は、複数の加工部300にそれぞれ接続された各種センサSrのうち、例えば圧力センサSr_Pのデータをサンプリングする。なお、
図11では、スレーブ収集部132と圧力センサSr_Pとが1:1に対応付けられているが、スレーブ収集部132と圧力センサSr_Pとが1:n(nは自然数)に対応付けられていてもよい。
【0149】
マスタ収集部131は、所定の収集タイミングにおいて、スレーブ収集部132のそれぞれをリモート制御することによって、時間軸上における同一時間においてスレーブ収集部132に同期して圧力センサSr_Pのデータを低速サンプリングさせる。
【0150】
なお、ここに言う低速サンプリングは、おむつDの製造中で製造ラインPLの所定のモータの回転数が所定値以上である場合に、例えば30分ごとに2秒間、サンプリング周期が5ミリ秒、サンプリング点数が400点の条件で行われる。
【0151】
また、マスタ収集部131は、スレーブ収集部132のそれぞれに、低速サンプリングした圧力センサSr_Pのデータを収集DB11aへ蓄積させる。
【0152】
これにより、例えば短い期間では変化の緩やかな圧力センサSr_Pそれぞれのデータを、かかる緩やかな変化に応じた分解能で低速サンプリングし、学習モデル501の生成に有用となるデータを収集することができる。
【0153】
なお、
図11では、スレーブ収集部132のみが圧力センサSr_Pのデータを収集しているが、マスタ収集部131がスレーブ収集部132とともに、マスタ収集部131に対応付けられた圧力センサSr_Pのデータをサンプリングすることとしてもよい。
【0154】
また、
図11では、圧力センサSr_Pを例に挙げているが、低速収集の対象となるのは所定期間において比較的変化の緩やかなデータを測定するセンサSrであればよく、したがって、温度センサSr_Tであってもよい。
【0155】
マスタ収集部131の構成例についてより詳細に説明する。
図12は、低速収集部13が備えるマスタ収集部131の構成の一例を示すブロック図である。
【0156】
図12に示すように、マスタ収集部131は、制御部131aを備える。制御部131aは、上述した制御部121a,122aと同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、マスタ収集部131内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部131aは、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0157】
制御部131aは、取得部131aaと、リモート制御部131abとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0158】
取得部131aaは、所定の収集タイミングを取得する。取得部131aaは、例えば収集装置10が備える図示略のクロック生成回路から出力されるクロック信号に基づいて所定の収集タイミングを取得する。また、取得部131aaは、製造ラインPLの位相角を示すリファレンス信号を基準エンコーダREから取得する。
【0159】
リモート制御部131abは、取得部131aaによって前述の収集タイミングが取得された場合に、データのサンプリングに特化した専用装置であるスレーブ収集部132のそれぞれをリモート制御して、スレーブ収集部132に一斉にデータのサンプリングを開始させる。
【0160】
また、このとき、リモート制御部131abは、
図10を参照して説明したのと同様に、取得部131aaによって取得されたリファレンス信号に基づき、製造ラインPLが特定の位相角を示す場合においてスレーブ収集部132に一斉にデータのサンプリングを開始させることができる。
【0161】
これにより、おむつDの1ピース分の所定位置に同期した、製造ラインPLの特定の一時点における加工部300間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。また、これに基づき、生成装置500に対し、異常の推定精度の高い学習モデル501の生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0162】
なお、
図11、および
図12を参照した説明では、低速収集部13が、高速収集部12と同様に、データ収集の同期制御を行うこととしたが、低速収集部13は必ずしもかかる同期制御を行わなくともよい。
【0163】
また、
図11、および
図12を参照した説明では、低速収集部13のマスタ収集部131がPLCで実現され、スレーブ収集部132がデータのサンプリングに特化した専用装置で実現されることとしたが、この限りではない。例えば、マスタ収集部131、およびスレーブ収集部132ともにPLCで実現されることとしたうえで、低速収集部13が、
図5~
図10に示した高速収集部12と同様の構成であることとしてもよい。
【0164】
また、これまでは、高速収集部12、および低速収集部13それぞれの内部でのデータ収集の同期制御について説明したが、高速収集部12、および低速収集部13が互いに同期してデータの収集を開始することが好ましい。次に、かかる点について説明する。
図13は、高速収集部12が実行する高速収集処理、および低速収集部13が実行する低速収集処理のタイミングチャートである。
【0165】
図13に示すように、高速収集部12、および低速収集部13はそれぞれ、互いに同期してデータの収集を開始する。
【0166】
高速収集部12、および低速収集部13は、例えば収集装置10が備える図示略のクロック生成回路から出力されるクロック信号に基づいて所定の収集タイミングを取得する。そして、かかる収集タイミングに基づき、同一のタイミング(
図13の例では、時間t
n,t
n+m…)においてデータの収集が開始されるように、互いに同期する制御を行う。
【0167】
なお、例えば処理負荷による遅延等を考慮し、実際にデータを収集し始める前に、高速収集部12、および低速収集部13の間でACK(Acknowledgement)/NAK(Negative-Acknowledgement)等に相当する簡易なパケットのやり取りによってタイミングの同期をとってもよい。また、高速収集部12、および低速収集部13のうちのいずれか一方を基準として、他方のタイミングを補正することでタイミングの同期をとってもよい。
【0168】
このように、高速収集部12、および低速収集部13が互いに同期してデータの収集を開始することにより、高速収集系、低速収集系の双方を含めた、製造ラインPLの特定の一時点における加工部300間の相関性を示すデータを収集することが可能となる。また、これに基づき、生成装置500に対し、異常の推定精度の高い学習モデル501の生成に有用となる教師データを提供することができる。
【0169】
〔5.処理手順〕
次に、
図14を参照して、実施形態に係る収集装置10が実行する処理手順について説明する。
図14は、実施形態に係る収集装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0170】
まず、高速収集部12、および低速収集部13が、収集タイミングであるか否かを判定する(ステップS101)。ここで、収集タイミングでなければ(ステップS101,No)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0171】
また、収集タイミングであれば(ステップS101,Yes)、高速収集部12が、振動センサSr_Aのデータを第1の速度で高速収集する(ステップS102)。また、これと同時に、低速収集部13が、振動センサSr_A以外のデータを第1の速度よりも低速な第2の速度で低速収集する(ステップS103)。
【0172】
そして、高速収集部12、および低速収集部13は、それぞれ収集したデータを収集DB11aへ蓄積する(ステップS104)。
【0173】
そして、送信部14が、高速収集部12、および低速収集部13によって収集され、収集DB11aへ蓄積されたデータを、製造ラインPLの異常を推定する学習モデル501の生成装置500へ送信する(ステップS105)。そして、収集装置10は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0174】
なお、これまでは、各種センサSrとして、振動センサSr_A、圧力センサSr_P、および温度センサSr_Tを例に挙げてきたが、センサの種別を限定するものではない。したがって、吸収性物品の製造ラインPLに設けられるものであれば如何なるセンサでもよく、例えば連続ウェブのテンションを測定するテンションセンサ等であってもよい。テンションセンサの場合、測定値の変化が緩やかであると考えられるので、低速収集系として取り扱えばよい。
【0175】
〔6.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0176】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0177】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る収集装置10は、例えば
図15に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図15は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置であるキャッシュ1040、二次記憶装置であるメモリ1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続される。
【0178】
演算装置1030は、キャッシュ1040やメモリ1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。キャッシュ1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するキャッシュである。また、メモリ1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現されるメモリである。
【0179】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現されてよい。一方、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0180】
例えば、入力装置1020は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置により実現されてもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体により実現されてもよい。
【0181】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する機能を有する。
【0182】
ここで、演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行うこととなる。例えば、演算装置1030は、入力装置1020やメモリ1050からプログラムをキャッシュ1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。例えば、コンピュータ1000が収集装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、キャッシュ1040上にロードされたプログラムを実行することにより、高速収集部12、低速収集部13、および送信部14の機能を実現することとなる。
【0183】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明した。しかしながら、これらは例示であり、本願の実施形態は、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、所謂当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することが可能である。また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0184】
1 収集システム
10 収集装置
12 高速収集部
13 低速収集部
14 送信部
121 マスタ収集部
122 スレーブ収集部
131 マスタ収集部
132 スレーブ収集部
300 加工部
500 生成装置
501 学習モデル
D おむつ
PL 製造ライン
RE 基準エンコーダ
Sr 各種センサ
Sr_A 振動センサ
Sr_P 圧力センサ
Sr_T 温度センサ