IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7477458フィルターシステム用の濾過ヘッドおよび濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】フィルターシステム用の濾過ヘッドおよび濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/00 20060101AFI20240423BHJP
   B01D 63/08 20060101ALI20240423BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D35/00
B01D63/08
G01N1/04 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020554155
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019058397
(87)【国際公開番号】W WO2019193046
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】18290028.2
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メス,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ホーンアデル,マリサ
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204768290(CN,U)
【文献】米国特許第05124041(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0038303(US,A1)
【文献】実開昭62-013505(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106267949(CN,A)
【文献】特表平08-500527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04,35/10-37/04
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターシステム用の濾過ヘッド(1)であって、
ベース(2)であって、取り外し可能なフィルター要素(4)用のフィルター支持体(3)、およびフィルター支持体(3)上に配置されるフィルター要素(4)の片側から、フィルター要素(4)を通過して、ベース(2)の排水口(5)に至る流路を含む、前記ベース(2)と、
漏斗(7)をベース(2)に取り外し可能に取り付けて、フィルター要素(4)の片側にサンプル流体リザーバを形成するためのホルダーデバイス(6)とを含み、
ホルダーデバイス(6)は、漏斗(7)の下端を取り囲む下部周辺フランジ(7a)の周りに延伸し、漏斗(7)の下部周辺フランジ(7a)の半径方向外向きに突出する部分(7b)に選択的にバイアス力を加えて、漏斗(7)をベース(2)に押し付けるように移動するように構成された漏斗(7)と別体のリング形状要素(8)と、を含み
ここでベース(2)が、フィルター支持体(3)の外周に、接触面(2a)であってフィルター支持体(3)を取り囲んでなる前記接触面(2a)を有し、漏斗(7)の下部周辺フランジ(7a)はベース(2)の接触面(2a)との流体密接触のために接触面(2a)に接触するように前記リング形状要素(8)によって押し付けられる、
前記フィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項2】
ホルダーデバイス(6)のリング形状要素(8)が、漏斗(7)の下部周辺フランジ(7a)の半径方向外向きに突出する部分(7b)と、またはそれに加えて漏斗(7)の外周壁(7c)の下部周辺フランジ(7a)と隣接する部分と、係合するように構成される、請求項1に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項3】
リング形状要素(8)が、漏斗(7)の外周壁(7c)の周りに配置されるように構成されたリング形である、請求項2に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項4】
リング形状要素(8)が、閉リングである、請求項3に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項5】
リング形状要素(8)が、漏斗(7)の外周壁(7c)の周りに配置され、互いに機械的に連結されるように構成された複数のリングセグメント(8a)を含む、請求項3に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項6】
少なくとも2つのリングセグメント(8a)が、ベース(2)上の離間した位置の間でリングセグメント(8a)を動かすように構成された平行四辺形リンク機構(9)によって、ベース(2)に機械的に連結されており、リングセグメント(8a)と、リングセグメント(8a)が下部周辺フランジ(7a)の周りに延伸する閉鎖位置との間に漏斗(7)を配置することを可能にし、周辺フランジ(7a)にバイアス力を加えて、フランジ(7a)をベース(2)に押し付ける、請求項5に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項7】
少なくとも2つのリングセグメント(8a)は互いに機械的に連結されており、ベース(2)上の離間した位置と閉鎖位置との間の1回の操作移動によって移動するように構成され、周辺フランジ(7a)にバイアス力を加えて、フランジ(7a)をベース(2)に押し付ける、請求項6に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項8】
ホルダーデバイス(6)が、リング形状要素(8)とベース(2)との間に係合機構(10)を備え、漏斗(7)の下部周辺フランジ(7a)の半径方向外向きに突出する部分(7b)上にバイアス力を選択的に加えるための、くさび効果を利用する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項9】
係合機構(10)が、リング形状要素(8)およびベース(2)のいずれか1つに少なくとも1つの突起(12)を含み、リング形状要素(8)およびベース(2)の他の1つに少なくとも1つの突起(12)のための少なくとも1つの嵌合レセプタクル(13)を含み、少なくとも1つの突起(12)およびレセプタクル(13)の相対的な回転の際に段階的に係合するように配置されている、請求項8に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項10】
突起(12)またはレセプタクル(13)が、レバー(18)によってベース(2)上で枢動可能に支持されている、請求項9に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルターシステム用の濾過ヘッド(1)と組み合わせて使用するための漏斗(7)であって、漏斗(7)は、開いた上部および開いた下部を備えたカップまたはシリンダーの形状であり、漏斗(7)は、主に段ボールまたは紙から形成され、漏斗(7)の下端を取り囲み、半径方向外向きに突出する部分(7b)を有する下部周辺フランジ(7a)を有する、前記漏斗(7)。
【請求項12】
漏斗(7)が、複合構造において他の使い捨て材料および/またはコーティングと組み合わせて形成される、請求項11に記載の漏斗(7)。
【請求項13】
漏斗(7)の下端を取り囲む下部周辺フランジ(7a)が、弾性を有する膨らみを含む、請求項11または12に記載の漏斗(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターシステム、特にマニホールド膜フィルターシステム用の濾過ヘッド、および濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗に関する。
本発明は、特に食品および飲料、生物医薬品、化粧品、病院の分野に適用可能であるが、診断、ヘルスケアおよび研究、特にバイオバーデンおよび無菌試験にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
水、清涼飲料、ワインなどの濾過可能なサンプルを濾過するための上記の分野でのバイオバーデンおよび無菌試験の現在の解決策は、通常、10mlから1リットルの容量で、マニホールドヘッドに膜と漏斗を配置すること、試験するサンプル量を漏斗に注ぎ、ポンプを使用してマニホールドヘッドの出口から下流の圧力を下げて濾過を実行すること、フィルターをマニホールドヘッドから取り外し、膜を取り外して寒天プレートに置き、インキュベーションとさらなるテストを行うことを含む。
【0003】
上記の濾過方法による現在のバイオバーデン試験は、プラスチック製の一回使用の漏斗、またはステンレス鋼、プラスチック、ガラス製の再利用可能な漏斗に基づいている。濾過プロセス後の再利用可能な漏斗は除染して洗浄する必要があるが、使い捨て漏斗はゴミ箱に廃棄される。使い捨てのプラスチック漏斗では、多くの廃棄物が発生し、プラスチックの生態学的影響が大きくなる。再利用可能な漏斗の場合、各テスト後に漏斗を洗浄および除染する必要があるため、大量の水とエネルギーが消費され、洗浄残留物が処理および取り扱いに問題となる可能性がある。
【0004】
WO2011/028704A2は、取り外し可能なフィルター要素を支持するように設計された濾過ヘッドを備えた濾過アセンブリを開示している。濾過アセンブリは、濾過される流体を受け入れるためのサンプルリザーバと、サンプルリザーバを支持するためのベースとを含む。ベースは、フィルター要素を支持するフィルタープラットフォームとして機能する環状表面を含み、流路を介してサンプルリザーバと連絡する流体ポートを含む。フィルター要素は、流体サンプル中の目的の微生物を捕捉することができ、ベースの環状表面に隣接して配置することができる。
【0005】
したがって、フィルター要素は、サンプルリザーバと流体ポートとの間の流路に配置される。所望のサンプル量の濾過に続いて、リザーバをベースから取り外して、環状フィルター支持面に支持された膜フィルター要素を露出させることができる。サンプルリザーバは一般に円筒形で、上端と下端が開いている。WO2011/028704A2によれば、サンプルリザーバとベースとの間の係合は、サンプルリザーバの下端がベースの上端の内側に受け入れられるスナップフィットによって行われる。
【0006】
ベースの下端は、その外周全体の周りに連続的に延伸する溝および半径方向外向きの突起を有する。サンプルリザーバは、その下端でその内周全体の周りに連続的に延伸する溝および半径方向内側の突起を有する。それぞれの突起は、締まりばめで、それぞれ嵌合溝にスナップフィットする。この文献においては、サンプルリザーバとベース間のスナップフィット接続の代替として、バヨネットフィット(bayonet fit)またはねじ係合についても説明している。説明されているさらなるオプションは、サンプルリザーバとベースとの間の接合部の周りのシュリンクラップスリーブ(shrink wrap sleeve)、または部材の相互の軽い溶接または結合である。
【0007】
この濾過ヘッドは、プラスチックまたはステンレス鋼の漏斗用に開発されており、材料の物理的特性と濾過中の液体漏れのリスクがあるため、段ボール製の漏斗には適していない。
【0008】
EP1127607A1は、別の使い捨て膜フィルターシステムと濾過ヘッドを開示している。このシステムは、膜フィルターを取り付けることができる樹脂材料から一体的に形成された実質的に皿型のフィルターホルダーと、ホルダーに固定されて不可分に固定されたカップ形状の紙漏斗を含む。ホルダーには、膜フィルターを受け入れるためのフィルター受容セクションがある。排水口または排水管はまた、膜フィルターを支持する多孔質材料を受け入れる受容セクションに形成された窪みと連通するホルダーの一体部分である。
【0009】
動作中、排水管は真空ポンプに接続され、真空ポンプは多孔質材料を介して膜フィルターに吸引力を適用する。ホルダーの周辺部分は、シリコーンなどの樹脂シーラー材料で充填されたリング溝を規定する内壁および外壁を有する二重壁構造を有する。紙漏斗は、下に延伸して下部周辺フランジを提供する紙カップである。下部周辺フランジは、ホルダーの二重壁構造の溝に挿入され、溝に充填された硬化シリコーンシーラーによってそこに固定される。したがって、紙漏斗は一体型の使い捨てフィルターユニットでホルダーに固定される。
【0010】
EP1127607A1に開示されている別の代替案では、ホルダーには、ホルダーの漏斗用マウントに配置するように適合された下部を有し、内壁と外壁は、それぞれ下から上向きの溝を挟んで立っている、シリコーンゴムの一体製品として形成されたシールリングが取り付けられている。溝は、紙漏斗の下部周辺フランジの直径に実質的に等しい直径を提供し、紙漏斗の外周フランジを溝に入れたシールリングをホルダーの漏斗マウントに取り付けると、外壁がホルダーの外周壁と弾性的に係合する。この実施形態においても、ホルダーおよび漏斗は、濾過後に廃棄される。したがって、どちらの方法でもかなりの量の廃棄物が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、バイオバーデンおよび無菌試験中に発生する生態学的影響および廃棄物の量を低減することができる、フィルターシステム用の濾過ヘッドおよびかかる濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
問題を解決するために、本発明は、請求項1によって定義されるようなフィルターシステム用の濾過ヘッド、および請求項11によって定義されるような濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗を提供する。好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項に定義される。
【0013】
したがって、本発明は、フィルターシステム用の濾過ヘッドであって、ベースであって、取り外し可能なフィルター要素用のフィルター支持体、および膜支持体上に配置されるフィルター要素の片側から、フィルター要素を通過して、ベースの排水口に至る流路を含む、前記ベースと、漏斗をベースに取り外し可能に取り付けて、フィルター要素の片側にサンプル流体リザーバを形成するためのホルダーデバイスとを含み、ホルダーデバイスは、漏斗の下端を取り囲む下部周辺フランジの周りに延伸するように構成されたリング形状要素を含み、漏斗の下部周辺フランジの半径方向外向きに突出する部分に選択的にバイアス力を加えて、漏斗をベースに押し付ける、前記フィルターシステム用の濾過ヘッドを提供する。
【0014】
本発明の濾過ヘッドは、漏斗の下端を取り囲む下部周辺フランジと係合するリング形状要素を含むホルダーデバイスを備えたその構造により、漏斗とベースの間の液体漏れのリスクなしに段ボール製の漏斗の使用を可能にする。段ボール製の漏斗を使用する可能性により、段ボール製の漏斗は少量のエネルギーで製造でき、紙の種類によってはつぶせたり、燃やせたり、分解したりする可能性があるので、バイオバーデンおよび無菌試験のための廃棄物の量が大幅に削減され、従って、環境への影響を軽減する。
【0015】
本発明によるフィルターシステム用の濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗であって、漏斗は、開いた上部および開いた下部を備えたカップまたはシリンダーの形状であり、漏斗は、漏斗の下端を取り囲み、半径方向外向きに突出する部分を有する下部周辺フランジを有する、前記漏斗を提供する。
【0016】
好ましくは、ベースは、膜支持体の外周を取り囲む接触面を有し、漏斗の下部周辺フランジとの流体密接触のためにベースの接触面に押し付けられる。
【0017】
好ましくは、ホルダーデバイスのリング形状要素は、漏斗の下部周辺フランジの半径方向外向きに突出する部分と、任意選択で、漏斗の外周壁の隣接部分と、選択的に係合するように構成される。
【0018】
好ましくは、リング形状要素は、漏斗の外周壁の周りに配置されるように構成されたリング、好ましくは閉リングである。
【0019】
好ましくは、リング形状要素は、漏斗の外周壁の周りに配置され、互いに機械的に連結されるように構成された複数のリングセグメントを含む。
【0020】
好ましくは、少なくとも2つのリングセグメントが、ベース上の離間した位置からリングセグメントを動かすように構成された平行四辺形リンク機構(parallelogram mechanism)によって、ベースに機械的に連結されており、リングセグメントと、リングセグメントが下部周辺フランジの周りに延伸する閉鎖位置との間に漏斗を配置することを可能にし、周辺フランジにバイアス力を加えて、フランジをベースに押し付ける。
【0021】
好ましくは、少なくとも2つのリングセグメントは互いに機械的に連結されており、ベース上の離間した位置と閉鎖位置との間の1回の操作移動によって移動するように構成され、周辺フランジにバイアス力を加えて、フランジをベースに押し付ける。
【0022】
好ましくは、ホルダーデバイスは、リング形状要素とベースとの間に係合機構を備え、漏斗の下部周辺フランジの半径方向外向きに突出する部分上にバイアス力を選択的に加えるためのウェッジ(wedge)を利用する。
【0023】
好ましくは、係合機構が、リング形状要素およびベースのいずれか1つに少なくとも1つの突起を含み、リング形状要素およびベースの他の1つに突起のための少なくとも1つの嵌合レセプタクル(receptacle)を含み、2つの相対的な回転の際に段階的に係合するように配置されている。
【0024】
好ましくは、突起またはレセプタクルは、レバーによってベース上で枢動可能に支持されている。
【0025】
好ましくは、漏斗は、主に段ボールまたは紙から形成され、任意選択で、複合構造において他の使い捨て材料および/またはコーティングと組み合わせて形成される。
【0026】
好ましくは、漏斗の下端を取り囲む下部周辺フランジが、好ましくは弾性を有する膨らみ(bulge)を含む。
【0027】
本発明は、添付の図面を参照することにより、様々な実施形態の形態で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A-D】図1A~Dは、濾過ヘッドの第1の実施形態と、膜および漏斗をベースに取り付けるための一連のステップを示す。
図2A-D】図2A~Dは、濾過ヘッドの第2の実施形態と、膜および漏斗をベースに取り付けるための一連のステップを示す。
図3A-D】図3A~Dは、濾過ヘッドの第3の実施形態と、膜および漏斗をベースに取り付けるための一連のステップを示す。
図4A-C】図4A~Cは、濾過ヘッドの第4の実施形態と、膜および漏斗をベースに取り付けるための一連のステップを示す。
図4D-E】図4D、4Eは、濾過ヘッドの第4の実施形態と、膜および漏斗をベースに取り付けるための一連のステップを示す。
【0029】
本発明によるフィルターシステム用の濾過ヘッドは、取り外し可能なフィルター要素をサポートし、濾過される所望の量のサンプル流体を保持するためのリザーバを規定する漏斗を提供し、流路の下流側に減圧(真空)を加えると、漏斗からフィルター要素を通って下流の排水ポートまで流路を通ってサンプル流体を導くことが考慮されている基本的な機能に関しては、WO2011/028704A2およびEP1227607A1に開示されている濾過ヘッドと同様である。
【0030】
図1A~Dに示される例示的な第1の実施形態の形態の濾過ヘッド1は、ベース2であって、取り外し可能なフィルター要素4用のフィルター支持体3、およびフィルター支持体3上に配置されるフィルター要素4の片側から、フィルター要素4を通過して、ベース2の排水口5に至る流路を含む、前記ベースを含む。濾過ヘッド1は、漏斗7をベース2に取り外し可能に取り付けて、フィルター要素4の片側にサンプル流体リザーバを形成するためのホルダーデバイス6をさらに含む。
【0031】
ホルダーデバイス6は、漏斗7の下端を取り囲む下部周辺フランジ7aの周りに延伸するように構成されたリング形状要素8を含み、漏斗7の下部周辺フランジ7aの半径方向外向きに突出する部分7bに選択的にバイアス力を加えて、漏斗7、またはより正確にはそのフランジ7aをベース2に押し付けるように構成されている。
【0032】
ベース2は、フィルター支持体3の外周を取り囲む平坦な接触面2aを有し、これがベースの接触面2aに押し付けられたときに、漏斗7の下部周辺フランジ7aと流体密接触する。接触面2aは、(示されているように)平坦であり得るか、または例えば丸みを帯び、漏斗7のフランジ7aの輪郭に適合されたプロファイルを有し得る。
【0033】
フィルター支持体3のフィルター支持面は、平面であり得るか、または溝3aおよび/またはフィルター要素を支持し、フィルター要素を通過した流体を排水口5に向けるように配置された多孔質材料を備え得る。環状膜支持面は、支持面の表面から上方に延伸し、フィルター要素を取り囲み配置するのに役立つ複数の半径方向突起によってさらに取り囲まれ得る。
【0034】
フィルター要素は、濾過される流体と適合性があり、流体から目的の微生物を除去することができる少なくとも1つの濾材を含み得る。濾材は、微孔性膜のような膜または様々な材料のハイブリッドフィルター要素、または濾紙などの任意の所望のタイプのものであり得る。
【0035】
微生物学的研究のための様々な濾材が市販されており、そのような濾材はいずれも、本発明をフィルター要素として使用することができる。濾材は、サイズに応じて、吸収、および/または親和性結合によってといった、任意の所望の方法で微生物を捕捉することができる。通常、上記の濾過ヘッドを使用したバイオバーデンや無菌試験などの微生物学的研究で使用する濾材は、平坦な膜ディスクである。
【0036】
本発明の濾過ヘッドと組み合わせて使用するための漏斗7は、上部が開いて下部が開いたカップまたはシリンダーの形状であり、漏斗7は、漏斗の下端を取り囲み、半径方向外向きに突出する部分7bを有する下部周辺フランジ7aを有する。かかる漏斗は、例えば、逆さまにされ、下部が省略された、一般的に知られている単純な紙カップに類似することができる。
【0037】
漏斗7は、主に段ボールまたは紙から形成され、任意選択で、複合構造における他の使い捨て材料および/または適切なコーティングと組み合わせて形成される。シリンダーの形状は、直線、または必要に応じて、下部または上部で外側に向かって先細になる円錐形にすることができる。漏斗7の下端を取り囲む下部周辺フランジ7aは、好ましくは、接触面2aに対する流体密性を改善することができる特定の弾性を有することができる丸い膨らみを含み、バイアス力(後述)のわずかに不均一な適用を補償して、流体密性を実現する。
【0038】
作動中の漏斗7の下部周辺フランジ7aの周りに延伸するホルダーデバイス6のリング形状要素8は、漏斗を下部の変形およびつぶれに対して支持し、フランジ7aの周辺にバイアス力を均等に分散させるために、漏斗7の下部周辺フランジ7aの半径方向外向きに突出する部分7b、および好ましくは漏斗7の外周壁7cの隣接部分と選択的に係合するように構成される。
【0039】
図1A~Dおよび2A~Dの実施形態では、リング形状要素8は、漏斗の外周壁7cの周りに配置されるように構成されたリング、好ましくは閉リングである。リングの内径は、少なくとも下部周辺フランジ7aに隣接する部分において、漏斗の壁とのタイトフィットを提供するための寸法である。
【0040】
しかしながら、リングは、特定の弾性を提供するためにスロットに入れることができ、または、例えばスナップフィット接続によって、分離し、また、一緒に接続することができる2以上のリングセグメントから形成することができ、漏斗の周りに完全な剛性リングを形成し、漏斗の周辺周りの配置を容易にする。
【0041】
濾過ヘッド1のホルダーデバイス6はさらに、リング形状要素8とベース2との間に、漏斗7の下部周辺フランジ7aの半径方向外向きに突出する部分7bにバイアス力を選択的に適用するためのウェッジ効果(くさび効果)を利用する係合機構を有する。
【0042】
図1A~Dの実施形態では、係合機構は、外周の対向位置にあるリング形状要素8上の一対の半径方向突起12(ただし、少なくとも1つで十分であり、3つ以上を提供することもできる)、および2つの相対的な回転時に段階的に係合するように配置される、ベース2上の突起12のための一対の嵌合レセプタクル13を含み、図1A~Dでは、リング形状要素8は、ベース2に対して回転される。ベースに向かって圧力移動を引き起こす段階的な係合は、レセプタクル13および/または突起12がそれぞれ、段階的な係合時にウェッジ効果を生み出す、面取りまたは傾斜した相互接触面10、11を有することで達成される。
【0043】
図2A~Dの実施形態では、突起12は、リング形状要素8の外周上の対向位置に突出する一対の半径方向ピンの形態であり、レセプタクル13は、一対のヒンジ14でベース2上で枢動可能に支持されているレバー18上に形成されている。ピン12は、リング形状要素8の回転を防止し、リング形状要素8の動きをベースに向けてガイドするために、ベース上の一対の窪み19に受け入れられる。
【0044】
増加するバイアス力を生み出すためのウェッジ効果は、ピン12と係合するレセプタクル13の上側の面取りまたは傾斜面10によって達成される。傾斜面10の後端には、突起またはピン12と係合して、レバーの望ましくない不注意な開放のリスクを低減する特定のスナップフィット接続を作成することができるロッキング窪み20が形成される。別の方法では、ヒンジを配置して、レバー18の枢動運動の特定の偏心を作り出し、ピン12に増加したバイアスを生じさせて、ピン12をベース2に向かって下向きに押すことができる。
【0045】
図1A~Dおよび2A~Dの実施形態では、突起およびレセプタクルの配置は、ベース要素とリング形状要素との間で交換することができる。
図3A~Dおよび4A~Eの実施形態では、リング形状要素8は、漏斗7の外周壁7cの周りに配置されるように構成された複数のリングセグメント8aを備える。
【0046】
両方の実施形態において、リングセグメント8aは、リングセグメント8aを、リングセグメント8aの間に漏斗7を配置できるベース2上の離間した位置から、閉鎖位置へと移動させるように構成された平行四辺形リンク機構9によってベース2に機械的に連結され、該閉鎖位置においては、リングセグメント8aは互いに接近し、漏斗7の下部周辺フランジ7aの周りに延伸し、同時に、平行四辺形リンク機構9によって生じるわずかな下向きの動きのために、周辺フランジ7aにバイアス力を加えて、フランジをベース2の接触面2aに押し付ける。
【0047】
図3A~Dの実施形態では、リングセグメント8aは、レバー機構15によって互いに機械的に連結されており、したがって、ベース上の離間した位置との間の一回の操作移動によって同時にかつ同期的に移動し、閉鎖位置に置き、周辺フランジにバイアス力を加えてフランジをベースに押し付けるように構成される。
この実施形態は、レバー機構15がモーター、例えば可逆モーター、または油圧または空気圧シリンダーのような別の外部遠隔作動可能駆動機構と直接または間接的に協働してセグメントを移動およびロックするように変更することができる。
【0048】
図4A~Eの実施形態では、リングセグメント8aは、少なくとも漏斗の周壁に向かう動きの最初の部分では、互いに機械的に連結されておらず、したがって、独立して動かされる。リングセグメント8aが互いに十分に接近すると、ベース2に枢動可能に取り付けられたレバー18が、レバー18上のレセプタクル13がリングセグメント8a上の一対の突起12と係合するまで回転される。
【0049】
レセプタクル13は、図1および2の実施形態に関連して上で説明したように、面取りされた、湾曲した、または傾斜した表面10を備えており、突起12とのウェッジ効果を生み出し、リングセグメントを段階的かつ同期的に移動させて、残りの接近運動を互いに向かって、およびベース上の接触面2aに向かって移動させる。図3A~Dの実施形態におけるレバー機構15と同様に、レバー18はまた、濾過プロセス中にリングセグメント8aを所定の位置に固定および安全に保持して、リングセグメントの不注意な開放を回避するのに役立つ。
【0050】
バイオバーデンまたは無菌試験のための本発明の濾過ヘッドの使用は、以下の典型的なステップを含む:
-濾過システムのマニホールドに濾過ヘッドを取り付ける。
-フィルター要素を濾過ヘッドに配置する。
-濾過ヘッドに(段ボール)漏斗を置く。
-ホルダーデバイスを使用して、(段ボール)漏斗を濾過ヘッドに固定する。
-サンプル液を(段ボール)漏斗に注ぎ、濾過プロセスを開始する。
-濾過後、ホルダーデバイスを開き、漏斗を取り外す。
-膜フィルター要素を寒天プレートに置き、インキュベートする。
-段ボールの漏斗を圧縮し、ごみ箱に入れる。
図1A-D】
図2A-D】
図3A-D】
図4A-C】
図4D-E】