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特許7477823疾患状態判定装置、疾患状態判定方法、疾患状態判定装置用プログラム、および、疾患状態判定システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】疾患状態判定装置、疾患状態判定方法、疾患状態判定装置用プログラム、および、疾患状態判定システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240424BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240424BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240424BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240424BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20240424BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240424BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61B10/00 H
A61B5/00 102C
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021518306
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008211
(87)【国際公開番号】W WO2020225970
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2019089025
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博正
(74)【代理人】
【識別番号】100158654
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 虎之助
(72)【発明者】
【氏名】小峰 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】北崎 智之
(72)【発明者】
【氏名】赤松 幹之
(72)【発明者】
【氏名】石井 圭
(72)【発明者】
【氏名】鶴嶋 英夫
(72)【発明者】
【氏名】小竹 元基
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0080816(US,A1)
【文献】特開2018-198842(JP,A)
【文献】特開2012-234398(JP,A)
【文献】特開2018-067123(JP,A)
【文献】特開2015-185088(JP,A)
【文献】特表2007-500230(JP,A)
【文献】特開2019-123434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
A61B 10/00
A61B 5/00
G16Y 10/40
G16Y 20/40
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得手段と、
前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段と、
ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段と、
前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段と、
前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段と、
前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段と、
を備え
前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の疾患状態判定装置において、
前記ふらつき度が、前記車両の左右方向の標準偏差であることを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の疾患状態判定装置において、
前記挙動量データが、前記車両の横加速度データまたは前記車両の速度データであることを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の疾患状態判定装置において、
前記挙動値算出手段が、前記横加速度データから、前記挙動値として前記車両の横加速度値、または、前記速度データから、前記挙動値として前記車両の速度値を算出し、
前記疾患状態判定手段が、前記横加速度値または前記速度値から、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記操作量データが、前記車両が走行する道路の曲線の度合いに応じて分別されることを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の疾患状態判定装置において、
前記疾患状態判定手段が、前記道路の曲線の度合いが所定値以上の道路を前記車両が走行しているときの前記操作量データによる前記操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の疾患状態判定装置において、
前記疾患状態判定手段が、前記道路の曲線の度合いが所定値より低い道路を前記車両が走行しているときの前記操作量データによる前記操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記操作関連データ算出手段が、複数の操作関連データを算出し、
操作値算出手段が、前記複数の操作関連データから算出される複数の操作値を算出し、
前記疾患状態判定手段が、前記複数の操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記操作関連データが、前記操作量データの時間に関する微分データであることを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記操作関連データが、前記操作量データの時間に関する積分データであることを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記疾患状態判定手段が、前記操作量データに対する機械学習により、前記対象者の疾患状態を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の疾患状態判定装置において、
前記疾患状態判定手段が、前記車両の挙動の前記挙動量データに対する機械学習により、前記対象者の疾患状態を判定することを特徴とする疾患状態判定装置。
【請求項13】
操作量データ取得手段が、対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得ステップと、
操作関連データ算出手段が、前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出ステップと、
操作値算出手段が、ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出ステップと、
挙動量データ取得手段が、前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得ステップと、
挙動値算出手段が、前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出ステップと、
疾患状態判定手段が、前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定ステップと、
を含み、
前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする疾患状態判定方法。
【請求項14】
コンピュータを、
対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得手段、
前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段、
ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段、
前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段、
前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段、および、
前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段として機能させ
前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする疾患状態判定装置用のプログラム。
【請求項15】
対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを収集する端末装置と、前記操作量データに基づき前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定装置と、を備えた疾患状態判定システム
において、
前記疾患状態判定装置が、
前記端末装置から前記操作量データを取得する操作量データ取得手段と、
前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段と、
ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段と、
前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段と、
前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段と、
前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段と、
を有し、
前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする疾患状態判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定装置、疾患状態判定方法、疾患状態判定装置用プログラム、および、疾患状態判定システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の状態を検出する様々な判定システムが開発されている。例えば、特許文献1には、車両運転者の運転能力と健康情報を測定し、運転能力チェック結果と健康情報チェック結果を、サーバに送信する装置が、車両移動経路に沿った複数の地点に設けられ、サーバは、運転能力チェック結果、健康情報チェック結果及び評価基準に基づいて車両運転者の運転危険度を評価し、運転能力チェック及び健康情報チェックの結果を経時的に比較して車両運転者の運転危険度の高まりを診断する安全走行支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-141536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来技術においては、健康状態を測定するためには、呼気ガス成分計測器等の特殊な機器が必要であり、運動能力と組み合わせて、特定の疾患に直接関係なく、単に運転危険度の判定しているだけであった。そのため、ある疾患の状態を簡易に判定することが難しかった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一例は、ある疾患の状態を判定する疾患状態判定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得手段と、前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段と、ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段と、前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段と、前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段と、前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段と、を備え、前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする。
【0007】
請求項13に記載の発明は、操作量データ取得手段が、対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得ステップと、操作関連データ算出手段が、前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出ステップと、操作値算出手段が、ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出ステップと、挙動量データ取得手段が、前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得ステップと、挙動値算出手段が、前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出ステップと、疾患状態判定手段が、前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定ステップと、を含み、前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする。
【0008】
請求項14に記載の発明は、コンピュータを、対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを取得する操作量データ取得手段、前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段、ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段、前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段、前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段、および、前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段として機能させ、前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする。
【0009】
請求項15に記載の発明は、対象者が車両を操作するステアリングホイールの操舵角データである操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである操作量データを収集する端末装置と、前記操作量データに基づき前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定装置と、を備えた疾患状態判定システムにおいて、前記疾患状態判定装置が、前記端末装置から前記操作量データを取得する操作量データ取得手段と、前記操作量データから、複数の所定の周波数範囲の成分のそれぞれにおける操作関連データをそれぞれ算出する操作関連データ算出手段と、ステアリングホイールの操舵角データである前記操作量データ及びアクセルのアクセルストロークデータである前記操作量データ毎に、前記操作関連データを数値化したそれぞれの操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段と、前記車両のふらつきデータである挙動量データを取得する挙動量データ取得手段と、前記挙動量データを数値化した挙動値を、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段と、前記操作値及び前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段と、を有し、前記疾患状態判定手段が、前記ふらつき度から、前記対象者の疾患状態として、脳卒中の麻痺を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象者が車両を操作する操作量データを取得し、操作量データから、所定の周波数範囲の成分における操作関連データを算出し、操作関連データを数値化した操作値を、操作関連データから算出し、操作値に応じて対象者の疾患状態を判定することにより、特殊な機器で無くても、対象者が車両を操作する操作量のような測定しやすいデータから、所定の疾患の状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る疾患状態判定システムの概要構成例を示す模式図である。
図2】車両を操縦する対象者の様子の一例を示す模式図である。
図3図1の情報処理サーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図4図3の対象者情報データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。
図5図3の操作量データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。
図6図3の挙動量データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。
図7図3の対象者センシングデータベースに記憶されているデータの一例を示す図である。
図8図3の疾患判定データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。
図9】操作量関連データの一例を示す模式図である。
図10】操作量関連データの一例を示す模式図である。
図11】操作量関連データの一例を示す模式図である。
図12】操作量関連データの一例を示す模式図である。
図13】挙動値の一例を示す模式図である。
図14】挙動値の一例を示す模式図である。
図15】挙動値の一例を示す模式図である。
図16】挙動値の一例を示す模式図である。
図17】対象者センシング関連データの一例を示す模式図である。
図18】座圧分布のデータの一例を示す模式図である。
図19図1の携帯端末装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図20図1の車載端末装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図21】データ収集の動作例を示すフローチャートである。
図22】車両が走行した道路の一例を示す模式図である。
図23】疾患状態を判定する動作例を示すフローチャートである。
図24】車両が走行した道路の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、疾患状態判定システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0013】
[1.疾患状態判定システムの構成及び機能概要]
まず、本実施形態に係る疾患状態判定システムSの構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る疾患状態判定システムSの概要構成の一例を示す図である。図2は、車両Vを操縦する対象者Tの様子の一例を示す模式図である。
【0014】
図1に示すように、疾患状態判定システムSは、車両Vを運転する対象者T毎の各種データから対象者Tの疾患状態を判定する情報処理サーバ装置10(疾患状態判定装置の一例)と、対象者Tが携帯し、対象者Tの生理データを情報処理サーバ装置10に送信する携帯端末装置20と、対象者Tが運転する車両Vの操作および挙動のデータを複数のセンサから収集する車載端末装置30と、対象者Tが家庭Hにいるときの生理データ等を収集する家庭端末装置40と、対象者Tが利用する医療機関の医療機関サーバ装置50と、を備える。
【0015】
ここで、車両Vとして、乗用車、タクシー、ハイヤー、トラック、トレーラー(トラクタ単独も含む)、バス等の自動車、自動二輪車(側車付き自動二輪車、トライク、逆トライク)、自転車、電動カート、鉄道車両のような電車等が挙げられる。
【0016】
対象者Tとして、上記車両を運転する人間が挙げられる。
【0017】
情報処理サーバ装置10、携帯端末装置20、車載端末装置30、家庭端末装置40および、医療機関サーバ装置50は、ネットワークNを介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。ネットワークNは、例えば、インターネットにより構築されている。
【0018】
ネットワークNには、交通渋滞や工事中等の道路状態の道路情報を提供する道路情報提供サーバ装置(図示せず)と、情報処理サーバ装置10に気象データを提供する気象サーバ装置(図示せず)と、が接続している。
【0019】
なお、ネットワークNは、専用通信回線、移動体通信網、および、ゲートウェイ等により構築されていてもよい。また、ネットワークNは、アクセスポイントApを有してもよい。携帯端末装置20および車載端末装置30等は、アクセスポイントApを介して、ネットワークNに接続できるようにしてもよい。
【0020】
情報処理サーバ装置10は、コンピュータの機能を有する。情報処理サーバ装置10は、各対象者Tが車両Vを操作する操作量データ、および、各車両Vの挙動の挙動量データを取得する。情報処理サーバ装置10は、例えば、車載端末装置30から操作量データおよび挙動量データを取得する。
【0021】
また、情報処理サーバ装置10は、各車両Vを操作する対象者Tに対するセンシングで得られるデータを、携帯端末装置20または車載端末装置30から取得する。例えば、このデータは、各車両Vを操作する対象者Tが座る座面の座圧分布のデータ、車両Vを操作している対象者Tの腕の回旋の回旋データである。
【0022】
情報処理サーバ装置10は、気象サーバ装置から気象データを取得する。情報処理サーバ装置10は、道路情報提供サーバ装置から道路情報を取得する。
【0023】
携帯端末装置20は、コンピュータの機能を有する。携帯端末装置20は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末である。携帯端末装置20は、対象者Tをセンシングする各センサからのデータを収集する。図2に示すように、車両V内において、対象者Tは、携帯端末装置20をポケットに入れていたり、鞄に入れていたり等、車両V内のどこかに、携帯端末装置20が存在している。
【0024】
車載端末装置30は、コンピュータの機能を有する。車載端末装置30は、例えば、車両Vのナビゲーション装置である。図2に示すように、車載端末装置30は、対象者Tが運転する車両Vに設置されている。車両Vは、例えば、対象者T自身、家族、知人、または、会社が所有する、または、レンタルされた車両である。
【0025】
図2に示すように、車両Vのステアリングホイールsw、アクセルペダル(アクセラレータまたはガスペダルとも称される)(図示せず)、および、ブレーキペダル(図示せず)によって、対象者Tは、車両Vを操作する。
【0026】
図2に示すように、対象者Tの両腕の回旋を測定する場合、対象者Tは、両腕に各ウェアラブル端末装置wを装着している。
【0027】
図2に示すように、車両Vを操作する対象者Tが座る座面の座圧分布を、シートセンサssが測定する。シートセンサssは、体圧分布を測定するために、圧力センサ素子が2次元に分布したシート状のセンサである。シートセンサssは、シートの表面に接触したところの位置、圧力を測定する。なお、シートセンサssは、座席の背もたれに設置されてもよい。
【0028】
携帯端末装置20と車載端末装置30とは、無線通信により通信が可能である。ウェアラブル端末装置wは、携帯端末装置20および車載端末装置30と、無線通信により通信が可能である。シートセンサssは、外部との通信を可能にするインターフェースを有する。シートセンサssは、携帯端末装置20および車載端末装置30と、無線通信により通信が可能である。シートセンサssは、車載端末装置30と有線で通信が可能であってもよい。
【0029】
家庭端末装置40は、コンピュータの機能を有する。家庭端末装置40は、対象者T等の家庭Hや職場等に設置されている。家庭端末装置40は、例えば、パーソナルコンピュータである。携帯端末装置20と家庭端末装置40とは、無線通信により通信が可能である。
【0030】
医療機関サーバ装置50は、コンピュータの機能を有する。医療機関サーバ装置50は、例えば、病院等の医療機関、地域医療の中核のセンター等に設定されている。医療機関サーバ装置50は、対象者Tに対する診察結果、検査オーダー、検査の結果、健康診断等の情報を記録した電子カルテ情報を有する。
【0031】
ここで、操作量は、対象者Tが、車両Vを運転する際に、何かしら操作する量である。車両の操作量として、車両Vのステアリングホイールの操舵角、車両Vのアクセルのアクセルストローク、ブレーキペダルの操作量等が挙げられる。操作量は、対象者Tの操作性能が測定できるデータならばよい。
【0032】
また、挙動量は、車両Vの動きに関する量である。車両の挙動量として、車両Vのふらつき、前方の車両との車間距離、車両の速度、車両の加速度、車線内位置等が挙げられる。加速度には、車両Vの進行方向の加速度、進行方向に対して横方向の横加速度等が含まれる。挙動量は、対象者Tの運転による車両Vの挙動状態が測定できるデータならばよい。
【0033】
操作量および挙動量は、対象者Tの車両Vに対する運転特性を示す量である。
【0034】
また、車両Vを操作する対象者Tに対するセンシングで得られるデータの一例として、車両Vを操作する対象者Tが座る座面の座圧分布のデータ、車両Vを操作している対象者Tの腕の回旋の回旋データ等が挙げられる。
【0035】
次に、疾患状態の一例として、所定の疾患に対して、その疾患の状態が運転ができる軽度なのか、運転ができないほどの重度なのか等の疾患の程度が挙げられる。疾患状態の一例として、脳卒中、てんかん発作のような疾患の種別が挙げられる。また、疾患の程度として、脳卒中の場合、片側麻痺か両側麻痺か、右側麻痺か左側麻痺かでもよい。
【0036】
疾患の種別として、脳卒中、てんかん発作、心筋梗塞、高血圧、不整脈等の循環器疾患、睡眠時無呼吸症候群、認知症、糖尿病による意識レベル低下等が挙げられる。
【0037】
また、疾患の種別に、症状の種別を含めてもよい。症状として、麻痺の程度、動悸、息切れ、便秘、発熱、悪寒、下痢、しびれ、痛み等が挙げられる。疾患の種別に、疾患の程度を含めてもよい。例えば、疾患が脳卒中である場合、脳卒中であるが麻痺が無い、麻痺が軽度、麻痺があるというレベルが挙げられる。また、疾患の程度は、疾患IDとは別のレベルIDでもよい。
【0038】
また、疾患状態の一例として、所定の疾患に対して、病気の予兆、疾患の発症リスク、症状の発症リスクが挙げられる。疾患状態の一例として、病気の予兆の程度、発症リスクの値でもよい。
【0039】
症状の前兆の判定に関して、単独指標、または、複数指標の組み合せで判定してもよい。例えば、動悸は心拍数のみで判定し、息切れは一義的には呼吸数(胸郭の動きなどで計測)で判定し、さらに血圧を加えて”息切れによる影響”まで判定してもよい。
【0040】
また、疾患の種別に、臓器または器官の種別、生体機能の種別を含めてもよい。疾患状態の一例として、各臓器または器官の状態のレベル、各生体機能(例えば、消化機能、循環機能、神経系の機能、代謝機能、認知機能等)の状態のレベルでもよい。これらのレベルは、対象者Tの年齢、体重等を考慮して、血液検査等の特定の数値の値に対応したレベルでもよい。
【0041】
疾患状態の一例として、所定の疾患の発生確率(発症リスク)でもよい。確率の値の代わりに、所定の疾患が、”病気Aが発症しにくい”、”病気Aがやや発症しやすい”、” 病気Aが発症しやすい”、”病気Aが顕在化した”等でもよい。
【0042】
疾患状態の一例として、複数の疾患でもよく、例えば、”病気Aおよび病気Bが発症しやすい”等でもよい。疾患の種別は、複数の疾患の組み合わせでもよい。
【0043】
疾患状態の一例として、”病気Aの発症リスクが第1閾値を超えた”、”病気Bの発症リスクが第1閾値を超えた”、・・・、”病気Aの発症リスクが第n閾値を超えた”、”病気Bの発症リスクが第n閾値を超えた”でもよい。
【0044】
疾患状態の一例として、体調のレベルでもよい。例えば、体調に関して、”健康”、”体調不良”、また、体調に関して、”良好、やや良好、やや異常、異常”等のレベル分けでもよい。体調のレベルを示す場合、病名等は特定していなくてもよい。リスクおよびレベルは、定量的に評価の一例である。これらの場合、疾患の種別の特定は難しいが、予備状態ということでもよい。
【0045】
生理状態のレベルとして、各病気に対して、閾値を超えた数や、閾値を超えた病気の組み合せに基づいてもよい。
【0046】
また、生理状態のレベルとして、所定の生理データ(または、各対象者Tが車両Vを運転中の対象者Tの運転特性データ)の値が、”第1閾値を超えた”、・・・”第n閾値を超えた”でもよい。生理状態のレベルは、複数のデータの組み合せに基づいてもよい。
【0047】
また、個別の生理状態毎に捉えるだけでなく、ベクトル空間(特徴ベクトルの特徴空間)において各生理状態を同時並行的に扱ってもよい。各生理状態の指標をn次元ベクトル空間で捉え、ベクトル空間における位置関係で、生理状態のレベルのように扱ってもよい。
【0048】
[2.情報処理サーバ装置および各端末装置の構成および機能]
(2.1 情報処理サーバ装置10の構成および機能)
次に、情報処理サーバ装置10の構成および機能について、図3から図18を用いて説明する。
【0049】
図3は、情報処理サーバ装置10の概要構成の一例を示すブロック図である。図4は、対象者情報データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。図5は、操作量データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。図6は、挙動量データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。図7は、対象者センシングデータベースに記憶されているデータの一例を示す図である。図8は、疾患判定データベースに記憶されているデータの一例を示す図である。図9から図12は、操作量関連データの一例を示す模式図である。図13から図16は、挙動値の一例を示す模式図である。
図17は、対象者センシング関連データの一例を示す模式図である。図18は、座圧分布のデータの一例を示す模式図である。
【0050】
図3に示すように、情報処理サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、出力部13と、入力部14と、入出力インターフェース部15と、制御部16と、を備えている。そして、制御部16と入出力インターフェース部15とは、システムバス17を介して電気的に接続されている。また、情報処理サーバ装置10は、時計機能を有する。
【0051】
通信部11は、ネットワークNに電気的または電磁気的に接続して、携帯端末装置20等との通信状態を制御するようになっている。
【0052】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等により構成されている。記憶部12は、各車両Vに関するデータや各対象者Tをセンシングしたデータ等を記憶する。また、記憶部12は、オペレーティングシステムおよびサーバプログラム等の各種プログラムや各種ファイル等を記憶する。なお、各種プログラム等は、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0053】
また、記憶部12には、対象者情報データベース12a(以下「対象者情報DB12a」とする。)、操作量データベース12b(以下「操作量DB12b」とする。)、挙動量データベース12c(以下「挙動量DB12c」とする。)、運転環境情報データベース12d(以下「運転環境情報DB12d」とする。)、対象者センシングデータベース12e(以下「対象者センシングDB12e」とする。)、疾患判定データベース12f(以下「疾患判定DB12f」とする。)等が構築されている。
【0054】
対象者情報DB12aは、各対象者Tに関する情報等を記憶する。例えば、図4に示すように、対象者情報DB12aは、各対象者Tを特定するための対象者IDに関連付けて、対象者Tの氏名、性別、生年月日、対象者Tが利用する車両ID等を記憶する。
【0055】
操作量DB12bは、各車両Vの対象者Tが車両Vを操作した様々な操作量データを記憶している。例えば、図5に示すように、操作量DB12bは、対象者IDと各操作量を特定するための操作量IDとに関連付けて、対象者Tが車両Vを運転している時の各種の操作量を測定した測定時刻、車両Vの位置情報、操作量データ等を記憶する。操作量IDは、車両Vのステアリングホイールswの操舵角、車両Vのアクセルのアクセルストローク、ブレーキストロークの操作量等の各操作量に対応して、IDが割り当てられる。対象者IDの代わりに、各車両Vを特定する車両IDでもよい。車両Vの位置情報は、緯度経度情報、または、リンク情報である。
【0056】
ここで、アクセルストロークは、アクセルペダルの移動量である。アクセルペダルの操作量として、急アクセルの回数および頻度(所定値以上の加速度の回数および頻度)でもよい。
【0057】
ブレーキストロークは、ブレーキペダルの移動量である。ブレーキペダルの操作量として、急ブレーキの回数および頻度(所定値以上の減速度の回数および頻度)、ブレーキが必要になった場合から、ブレーキが踏み込まれるまでの時間、アクセルペダルからブレーキペダルが踏み込まれるまでの時間等でもよい。
【0058】
挙動量DB12cは、対象者Tが運転する各車両Vの挙動を示す挙動量データを記憶している。例えば、図6に示すように、挙動量DB12cは、対象者IDと各挙動量を特定するための挙動量IDに関連付けて、対象者Tが運転している車両Vの挙動量データを測定した測定時刻、車両Vの位置情報、挙動量データ等を記憶する。車両Vのふらつき、前方の車両との車間距離、車両Vの横加速度、車両の速度、車両の進行方向の加速度等の各挙動量に対応して、IDが割り当てられる。対象者IDの代わりに、各車両Vを特定する車両IDでもよい。
【0059】
運転環境情報DB12dには、地図情報と、高速道路か一般道路か、道路の曲線の度合い等の道路の属性または種類と、交通渋滞や工事中等の道路状態の道路情報とのような運転環境情報が記憶されている。
【0060】
地図情報には、リンク情報を含めてもよい。ここで、リンクとは、道路の交差点、道路の構造変化点等のノード同士を結んだ道路の線分である。
【0061】
また、道路の曲線の度合いの一例として、道路のカーブの曲率、道路のある区間における平均的な曲率、所定値以上の曲率の道路の割合や数等が挙げられる。また、道路の曲線の度合いの一例として、単にカーブが多い道路かカーブが少ない道路でもよい。道路の曲線の度合いの一例として、道路の曲がり具合のパターンでもよい。また、道路の曲線の度合いの一例として、東京の首都高速道路のように道路の曲線の度合い高い道路と、直線の区間が比較的多い道路とのような道路の区別でもよい。道路の曲線の度合いの一例として、一般道、高速道路、東京の首都高速道路、山岳道路のような道路の種類の区分でもよい。また、カーブが比較的少ない標準的な高速道路と、東京の首都高速道路のようにカーブが比較的多い高速道路のような区別でもよい。また、東京の首都高速道路のように分岐が頻繁な高速道路と、そうでない高速道路という道路の区別でもよい。また、曲率が所定の範囲内の道路部分を集めたものを、道路の区分としてもよい。
【0062】
運転環境情報DB12dには、道路の区分を示す道路区分IDに関連付けて、道路の曲線の度合い、道路の種類等が記憶されている。
【0063】
運転環境情報の一例として、上記の他に、一時停止の場所、一方通行の道路、2車線の道路、中央分離帯がある道路等の道路情報が挙げられる。また、運転環境情報の一例として、道路幅の狭いか広いか、いつも利用する道路か初めて利用する道路か、歩行者が多いか少ないか、(渋滞とまでは言えなくとも)車両交通量の多いか少ないか等が挙げられる。また、運転環境情報の一例として、時間帯によって太陽光がまぶしい道路という情報、ドライバーが緊張しやすい道路、心拍数が上がりやすい道路、運転時間の長さ、場所毎の事故の発生確率等が挙げられる。渋滞情報は、渋滞していたか否か、ラッシュアワーなどの時間帯、道路工事や事故などのインフラ情報でもよい。なお、情報処理サーバ装置10は、最新の道路情報を、道路情報提供サーバ装置から取得する。また、情報処理サーバ装置10は、過去の渋滞情報を記憶しておいてもよい。
【0064】
次に、対象者センシングDB12eには、各車両Vを運転している各対象者Tを、様々なセンサによりセンシングしたデータを記憶している。例えば、図7に示すように、対象者センシングDB12eは、対象者IDと各センサを特定するためのセンサIDとに関連付けて、各センサにより対象者Tを測定した測定時刻、車両Vの位置情報、センシングデータ等を記憶する。
【0065】
車両Vを操作する対象者Tに対するセンシングで得られるデータの一例として、車両Vを操作する対象者Tが座る座面の座圧分布のデータ、車両Vを操作している対象者Tの腕の回旋の回旋データ等が挙げられる。
【0066】
ここで、対象者センシングデータは、センサ等により測定できる対象者Tの生物学的、化学的、物理的なデータならばよい。
【0067】
例えば、対象者センシングデータの一例として、対象者Tの体温、体温分布が挙げられる。対象者センシングデータの一例として、血圧値、心拍数、脈波、脈波伝搬速度、心電図、不整脈の状態、血流量、血糖値等の血液の成分のような、血液および循環器関係のデータが挙げられる。血液の成分として、赤血球数、白血球数、血小板数、pH値、電解質の種類、電解質の量、ホルモンの種類、ホルモンの量、尿酸値、各種マーカー等が挙げられる。
【0068】
また、対象者センシングデータの一例として、発汗量、発汗の分布、皮膚の抵抗値、体臭の成分、唾液量のような消化液の量、唾液の成分のような消化液の成分が挙げられる。対象者センシングデータの一例として、脳波、脳の血流量分布等の脳に関するデータが挙げられる。対象者センシングデータの一例として、呼吸数、呼吸量、呼気の成分等の呼吸に関するデータが挙げられる。
【0069】
対象者センシングデータの一例として、瞬き数、涙の量、眼球運動(眼球の位置、瞳孔の直径等)等の目に関するデータが挙げられる。対象者センシングデータの一例として、体の各部位の筋電のデータが挙げられる。対象者センシングデータの一例として、顔色、顔の表情等のデータが挙げられる。
【0070】
対象者センシングデータの一例として、就寝時間、起床時間、睡眠時間、睡眠パターン、鼾の有無、鼾の強弱、鼾の回数、鼾の時間、呼吸の状態、寝返り数、睡眠時の姿勢、眠り深さ等睡眠の質等の睡眠に関するデータが挙げられる。睡眠の質は、例えば、脳波、眼球運動、呼吸、睡眠時の姿勢等から判定してもよい。
【0071】
対象者センシングデータの一例として、体重、身長等が挙げられる。また、対象者センシングデータの一例として、痛み、しびれ等の症状を数値化したデータでもよい。
【0072】
また、測定時刻の一例として、対象者センシングデータの一値を得るために、測定を開始した時刻、測定を終えた時刻、または、これらの中間の時刻が挙げられる。測定時刻は、ある値の測定と対応付けられる時刻ならばよい。例えば、1分間毎に、心拍数を算出する場合、この1分間のいずれの時刻でもよい。また、心電図のR波間の時間の長さから心拍数を算出する場合、R波のピークの時刻、Q波またはS波の時刻、P波のピーク時刻等が挙げられる。R波間の時間の代わりに、P波間、Q波間、S波間、T波間等でもよい。また、心電図に限らず、脈波のグラフでも同様に、共通の特徴点が現れる時刻や中間の値でもよい。また、コロトコフ音で血圧を測定する場合、測定時刻は、最高血圧と最低血圧を算出する際の測定期間内のいずれの時刻でもよい。
【0073】
上記これらの対象者センシングデータは、対象者Tの生理データとも言える。なお、座圧分布のデータは、生理データに含めてもよいし、含めなくてもよい。
【0074】
次に、疾患判定DB12fには、所定の疾患の判定に必要なデータを記憶している。例えば、図8に示すように、疾患判定DB12fは、疾患の種別を示す疾患IDと、その疾患のレベルとに関連付けて、所定の疾患の判定に必要なデータを記憶している。
【0075】
所定の疾患の判定に必要なデータは、例えば、同じ疾患IDおよび疾患のレベルである複数の対象者のデータから、統計的に計算された操作値、挙動値、座圧分布における偏り度等である。操作量データ、挙動量データ、または、対象者センシングデータに基づき、スペクトル分析、時系列分析等の処理が行われ、複数のデータに対して、統計量が算出される。統計量として、平均値(算術平均、幾何平均、調和平均、中央値、最頻値、最大値、最小値等)、分散、標準偏差、スキューネス、フラットネス等の代表値が挙げられる。なお、対象者個人に対して、複数の測定を行って、統計量が算出されてもよい。道路の区分により分別された操作量データ、挙動量データ、または、対象者センシングデータ対して、操作値、挙動値、および偏り度が道路の区分毎に算出されてよい。
【0076】
ここで、操作値は、操作量データから算出される、所定の周波数範囲の成分における操作関連データであって、操作関連データから算出される値である。挙動値は挙動データから算出される値である。
【0077】
また、所定の疾患の判定に必要なデータは、例えば、操作値、挙動値、偏り度等の対象者センシングデータから計算される値、これらの値に対する閾値も含む。所定の疾患の判定に必要なデータは、例えば、周波数分析した際の周波数の範囲、所定の周波数を含む。所定の疾患の判定に必要なデータは、例えば、これらの値の統計値でもよい。
【0078】
疾患判定DB12fのデータは、対象者Tがドライビングシミュレータで運転した場合のデータや、実際の道路を走行した場合のデータでもよい。なお、例えば、標準的な高速道路のドライビングシミュレータのコースは、コース全長が15.2km、曲率半径の平均が1640m、高低差が0.0mのコースである。東京の首都高速道のドライビングシミュレータのコースは、コース全長が13.2km、曲率半径の平均が257m、高低差が17.5mのコースである。
【0079】
ここで、疾患種別が脳卒中で、疾患のレベル毎、すなわち、健常者p0、麻痺の程度が麻痺が無しの状態または軽度である脳卒中患者p1、および、麻痺の程度が麻痺がある状態である脳卒中患者p2に対して、操作量データ、挙動量データ、および、対象者センシングを、測定した場合である図9から図18を用いて、疾患判定DB12fのデータを説明する。なお、図9から図18は、実施のデータのグラフそのものではないが、実施のデータを考慮してグラフを模式的に描いた模式図である。
【0080】
図9は、道路の区分が標準的な高速道路である所定コースを、ドライブシミュレータで走行した場合の操舵角データに対するパワースペクトル密度である。横軸が周波数、縦軸がパワースペクトル密度(PSD)である。パワースペクトル密度(p0)、パワースペクトル密度(p1)およびパワースペクトル密度(p2)は、それぞれ、複数の人に対する平均のパワースペクトル密度である。すなわち、パワースペクトル密度(p0)、パワースペクトル密度(p1)およびパワースペクトル密度(p2)は、それぞれ、所定のサンプル数の健常者p0の平均のパワースペクトル密度、所定のサンプル数の患者p1の平均のパワースペクトル密度、所定のサンプル数の患者p2の平均のパワースペクトル密度である。
【0081】
図9に示すように、予め周波数範囲fd1、fd2,fd3、fd4等が設定される。例えば、周波数範囲fd1、fd2,fd3、fd4は、パワースペクトル密度(p0)と、パワースペクトル密度(p1)と、パワースペクトル密度(p2)との差異が明確に出現している周波数範囲で決定される。この場合、操作関連データは、例えば、各周波数範囲fd1、fd2,fd3、fd4のパワースペクトル密度である。操作値は、例えば、各周波数範囲fd1、fd2,fd3、fd4におけるパワースペクトル密度の積分値の平方根である。操作値は、パワースペクトル密度(p0、p1、p2)同士の差分から計算してもよい。例えば、健常者p0の場合を基準にして、各周波数範囲fd1、fd2,fd3、fd4におけるパワースペクトル密度の差分(p1-p0、p2-p0)の積分値の平方根でもよい。操作値は、各周波数範囲のパワースペクトル密度(p0、p1、p2)の平方根でもよい。なお、疾患状態を峻別できればよいので、平方根を計算せず、パワースペクトル密度の積分値または合計でもよし、単独の周波数の場合、パワースペクトル密度の値でもよい。
【0082】
これらの操作値、周波数範囲、周波数値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の操作値として、操舵角の操作量IDと、道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0083】
なお、図9に示すように、所定の周波数f1における各パワースペクトル密度の値を、基準の操作値としてもよい。
【0084】
図10に示すように、所定の周波数f2、f3により、低周波領域、中周波領域、高周波領域と、周波数範囲を分けてもよい。所定の周波数f2、f3は、他のデータで共通化してもよいし、疾患のレベル毎のパワースペクトル密度(p0、p1、p2)に基づいて、個別に設定されてもよい。
【0085】
図11は、道路の区分が東京の首都高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合の操舵角データに対するパワースペクトルである。図11に示すように、標準的な高速道路の所定コースを走行した図10のと異なるパワースペクトル密度(p0)と、パワースペクトル密度(p1)と、パワースペクトル密度(p2)である。
【0086】
図11に示すように、予め周波数範囲fd5、fd6等が設定される。例えば、周波数範囲fd5、fd6は、パワースペクトル密度(p0)と、パワースペクトル密度(p1)と、パワースペクトル密度(p2)との差異が明確に出現している周波数範囲で決定される。各周波数範囲fd5、fd6における操作値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の操作値として、東京の首都高速道路の区分を示す道路区分IDと、操舵角の操作量IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0087】
なお、脳卒中麻痺者あるいは軽度麻痺者は、健常者と比較して、特に緩やかなカーブの標準的な高速道路コースにおいて、ステアリング操作の周波数パワースペクトル密度が大きく、修正操舵が多い傾向であった。
【0088】
図12は、道路の区分が東京の首都高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合のアクセルストロークの操作量データに対するパワースペクトルである。例えば、図12に示すように、周波数f5、f6、f7等が決定される。アクセルストロークの操作値、周波数f5、f6、f7等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の操作値として、アクセルストロークの操作量IDと、東京の首都高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0089】
なお、脳卒中麻痺者が、緩やかなカーブの標準高速道路、あるいはきついカーブが多い首都高速道路コースを走行した場合、健常者あるいは軽度麻痺者と比較してアクセルストロークの周波数パワースペクトルは小さく、アクセルの微調整が少ない傾向であった。
【0090】
図13は、道路の区分が標準的な高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合のSDLP(Standard Deviation of Lane Position)のグラフである。ここで、挙動値のSDLPは、車両Vのふらつきデータから算出される、車両Vのふらつき度の一例である。SDLPは、車両のふらつきデータである車両Vの横方向位置のデータの標準偏差(車両の左右方向の標準偏差)である。標準偏差を算出する際のサンプル数は、例えば、コースを走行した際に測定したデータの数である。
【0091】
図13に示すように、複数の対象者に対するSDLPの平均値が、健常者p0、脳卒中患者p1、および、脳卒中患者p2に対して示されている。例えば、健常者p0と、脳卒中患者p1、p2とを峻別する基準の挙動値θ1、θ2等が設定される。挙動値θ1、θ2、疾患のレベル毎のSDLPの平均値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の挙動値として、SDLPの挙動量IDと、標準的な高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0092】
図14は、道路の区分が東京の首都高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合のSDLPのグラフである。
【0093】
図14に示すように、複数の対象者に対するSDLPの平均値が、健常者p0、脳卒中患者p1、および、脳卒中患者p2に対して示されている。例えば、健常者p0と、脳卒中患者p1、p2とを峻別する基準の挙動値θ3等が設定される。挙動値θ3、疾患のレベル毎のSDLPの平均値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の挙動値として、SDLPの挙動量IDと、東京の首都高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて、疾患判定DB12fに記憶される。
【0094】
なお、脳卒中麻痺者が、緩やかなカーブの標準的な高速道路コースを走行した場合、SDLPは健常者と比較して大きい。きついカーブが多い首都高速道路を走行した場合、脳卒中麻痺者または脳卒中軽度麻痺者のSDLPは健常者と比較して大きい傾向であった。
【0095】
図15は、道路の区分が標準的な高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合の車両Vの横加速度のグラフである。挙動値の横加速度値は、車両Vの横加速度データからコースを走行した際に測定した横加速度データ平均して算出される。
【0096】
図15に示すように、複数の対象者に対する横加速度の平均値が、健常者p0、脳卒中患者p1、および、脳卒中患者p2に対して示されている。例えば、健常者p0と脳卒中患者p1、p2とを峻別する基準の挙動値θ4等が設定される。挙動値θ4、疾患のレベル毎の横加速度の平均値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の挙動値として、横加速度の挙動量IDと、標準的な高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0097】
なお、標準的な高速道路コースを走行した場合、脳卒中麻痺者、軽度麻痺者と健常者との間で車両横加速度の差はみとめられないが、首都高速道路コースを走行した場合、脳卒中麻痺者および軽度麻痺者の車両横加速度は、健常者と比較して小さい傾向であった。
【0098】
これらのように、疾患判定DB12fは、所定の疾患の前記疾患状態と予め測定した前記操作量データとの関係の情報を記憶した記憶手段の一例である。所定の周波数範囲の成分は、所定の疾患に応じて決定される。
【0099】
図16は、道路の区分が東京の首都高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合の車両Vの車速のグラフである。
【0100】
図16に示すように、例えば、健常者p0と脳卒中患者p1、p2とを峻別する基準の挙動値θ5等が設定される。挙動値θ5、疾患のレベル毎の車速の平均値等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の挙動値として、車速の挙動量IDと、標準的な高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0101】
なお、脳卒中麻痺者または軽度麻痺者が、首都高速道路コースを走行した場合、健常者と比較して車両速度は小さい傾向であった。
【0102】
他の操作量データおよび挙動量データに対しても、同様に操作値、挙動値、閾値等が設定されて、疾患判定DB12fに記憶される。
【0103】
図17は、道路の区分が東京の首都高速道路である所定コースをドライブシミュレータで走行した場合の腕(脳卒中による麻痺がない腕)の回旋の回旋データに対するパワースペクトル(対象者センシング関連データの一例)である。例えば、図17に示すように、周波数範囲fd7、fd8、周波数値f8、f9が予め決定される。回旋データを数値化した対象者センシング値、周波数範囲fd7等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の対象者センシング値として、腕の回旋データに対応するセンサIDと、東京の首都高速道路の区分を示す道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。図17に示すように、回旋データのセンサが取り付けられた対象者Tの腕と逆側の片麻痺によって、周波数範囲fd7において、パワースペクトルの差異が生じている。周波数範囲fd7において、例えば、パワースペクトル密度(p0)の合計が最も小さく、パワースペクトル密度(p1)の合計が、パワースペクトル密度(p2)の合計より大きくなる。また、周波数範囲fd8において、例えば、パワースペクトル密度(p0)の合計が最も小さく、パワースペクトル密度(p2)の合計が、パワースペクトル密度(p1)の合計より大きくなる。周波数値f8においては、パワースペクトル密度(p0)の値が最も小さく、パワースペクトル密度(p1)の値が、パワースペクトル密度(p2)の値より大きくなる。周波数値f9においては、パワースペクトル密度(p0)の値が最も小さく、パワースペクトル密度(p2)の値が、パワースペクトル密度(p1)の値より大きくなる。
【0104】
図18は、シートセンサssにより測定した座圧分布のデータの一例である。図18に示すような座圧分布のデータから計算される偏り度(対象者センシング値の一例)を、複数の人に対する平均する。平均の偏り度等の所定の疾患の判定に必要なデータが、基準の対象者センシング値として、シートセンサssに対応するセンサIDと、道路区分IDと、疾患IDとに関連付けて疾患判定DB12fに記憶される。
【0105】
対象者情報DB12a、操作量DB12b、挙動量DB12c、運転環境情報DB12d、対象者センシングDB12e、および疾患判定DB12fは、情報処理サーバ装置10内でも、情報処理サーバ装置10とネットワークで繋がった別のサーバでもよいし、ネットワークNに、分散して存在してもよい。これらの別々のデータベースであってもよいし、同じデータベース内にあってもよい。
【0106】
出力部13は、映像を出力の場合、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等を有する。出力部13は、音を出力する場合、スピーカを有する。
【0107】
入力部14は、例えば、キーボードおよびマウス等を有する。
【0108】
入出力インターフェース部15は、通信部11および記憶部12等と制御部16との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0109】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)16a、ROM(Read Only Memory)16b、RAM(Random Access Memory)16c等を有する。そして、制御部16は、CPU16aが、ROM16bや記憶部12に記憶された各種プログラムのコードを読み出し実行することにより、各対象者Tの疾患状態を判定する。
【0110】
(2.2 携帯端末装置20の構成および機能)
次に、携帯端末装置20の構成および機能について、図19を用いて説明する。
【0111】
図19は、携帯端末装置20の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0112】
図19に示すように、携帯端末装置20は、出力部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、センサ部25と、入出力インターフェース部26と、制御部27と、を有する。そして、制御部27と入出力インターフェース部26とは、システムバス28を介して電気的に接続されている。また、各携帯端末装置20には、携帯端末IDが割り振られていてる。携帯端末装置20は、時計機能を有する。携帯端末装置20は、携帯端末装置20を振動させるバイブレーション機能を有してもよい。
【0113】
出力部21は、例えば、表示機能として液晶表示素子またはEL素子等を有する。出力部32は、音を出力するスピーカを有する。
【0114】
記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等により構成されている。記憶部22は、オペレーティングシステムおよび携帯端末装置20用のアプリ等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。また、記憶部22が、情報処理サーバ装置10の記憶部12のようなデータベースの情報を有してもよい。
【0115】
通信部23は、ネットワークNに電気的または電磁気的に接続して、情報処理サーバ装置10等との通信状態を制御するようになっている。また、通信部23は、情報処理サーバ装置10と電気的または電磁気的に接続して、情報処理サーバ装置10との通信状態を制御するようになっている。
【0116】
通信部23は、電波や赤外線による端末装置との通信を行う無線通信の機能を有する。携帯端末装置20は、通信部23を介して、車載端末装置30と、家庭端末装置40との通信を行う。また、図2に示すように、対象者Tが携帯している携帯端末装置20は、対象者Tが座っている座席に設置されたシートセンサssと、対象者Tが身につけているウェアラブル端末装置wと、通信部23を介して通信を行う。なお、携帯端末装置20は、車載端末装置30、家庭端末装置40、シートセンサss、および、ウェアラブル端末装置wと、有線による通信を行ってもよい。
【0117】
通信部23は、ICタグのリーダーとして、ICタグとの通信を行ってもよい。
【0118】
入力部24は、例えば、タッチパネルのようなタッチスイッチ方式の表示パネルを有する。入力部24は、利用者の指が接触または近接した出力部21の位置情報を取得する。入力部24は、音声を入力するマイクを有する。
【0119】
センサ部25は、GPS(Global Positioning System)センサ、方位センサ加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、温度センサ、湿度センサ等の各種センサを有する。センサ部25は、デジタルカメラのCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮影素子を有する。携帯端末装置20は、GPSセンサにより、携帯端末装置20の現在の位置情報を取得する。なお、各センサには、固有のセンサIDが割り振られている。
【0120】
入出力インターフェース部26は、出力部21、記憶部22等と、制御部27との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0121】
制御部27は、CPU27a、ROM27b、RAM27c等により構成されている。そして、制御部27は、CPU27aが、ROM27bや記憶部22に記憶された各種プログラムを読み出し実行する。
【0122】
ここで、ウェアラブル端末装置wは、ウェアラブルコンピュータである。ウェアラブル端末装置wは、出力部と、記憶部と、通信部と、入力部と、センサ部と、入出力インターフェース部と、制御部と、タイマー部と、を有する(図示せず)。
【0123】
ウェアラブル端末装置wのセンサ部が、対象者Tの各種生理データを測定する。
【0124】
センサ部は、加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサ、圧力センサ、超音波センサ、光センサ、電気センサ、磁気センサ、イメージセンサ等を有する。なお、各センサには、固有のセンサIDが割り振られている。
【0125】
加速度センサは、ウェアラブル端末装置wの加速度を測定する。加速度センサの測定データから、対象者Tの腕の動きが測定される。ジャイロセンサは、ウェアラブル端末装置wの角加速度を測定する。ジャイロセンサの測定データから、対象者Tの腕の回旋が測定される。ウェアラブル端末装置wが、加速度センサやジャイロセンサにより、睡眠中の姿勢、寝返りの回数、歩数等を測定してもよい。
【0126】
温度センサは、接触した部位またはサーモグラフィーによって撮像された部位の温度を測定する。圧力センサは、例えば、脈波を測定する。光センサは、電磁波を皮膚等に照射した応答、すなわち、反射波および透過波の少なくとも一方を検出する。光センサにより、血流の速度、血液の成分等が測定される。
【0127】
超音波センサは、超音波を照射した応答、すなわち、反射波および透過波の少なくとも一方を検出する。
【0128】
電気センサは、電圧、電流、インピーダンス等を測定する。電気センサは、筋肉の働き、血流、神経の興奮等により発生した電場を測定する。電気センサは、また、電極と組み合せて、汗の成分等を検出し、化学センサ、pHセンサ等として機能する。
【0129】
磁気センサは、筋肉の働き、血流、神経の興奮等により発生した磁場を測定する。
【0130】
イメージセンサは、皮膚の色、表面温度、表面の動き、血流の流れ、汗の様子等を検出する。
【0131】
また、センサ部は、GPSセンサ、方位センサ気圧センサ等を有する。ウェアラブル端末装置wが、これらのセンサにより、移動距離、運動量等を測定してもよい。
【0132】
また、入力部のマイクが、対象者Tの睡眠中の鼾や呼吸音を捉えてもよい。
【0133】
ウェアラブル端末装置wのセンサ部またはステアリングホイールなどの対象者との接触部分に埋め込まれたセンサにより測定された対象者センシングデータは、通信部を介して、携帯端末装置20に送信される。なお、ウェアラブル端末装置wが、車載端末装置30に測定した対象者センシングデータを送信してもよい。
【0134】
なお、ウェアラブル端末装置wのタイプとして、図2のリストバンド型の他に、眼鏡型、指輪型、靴型、懐中型、首飾り型、衣服型等でもよい。
【0135】
(2.3 車載端末装置30の構成および機能)
次に、車載端末装置30の構成および機能について図20を用いて説明する。
【0136】
図20は、車載端末装置30の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0137】
図20に示すように、車載端末装置30は、出力部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、センサ部35と、入出力インターフェース部36と、制御部37と、を有する。そして、制御部37と入出力インターフェース部36とは、システムバス38を介して電気的に接続されている。また、各車載端末装置30には、車両IDが割り振られていてる。車載端末装置30は、時計機能を有する。
【0138】
図2に示すように、車載端末装置30は、車両Vに搭載されている、例えば、ナビゲーション装置である。
【0139】
出力部31は、例えば、表示機能として液晶表示素子またはEL素子等、音楽等の音を出力するスピーカ等を有する。
【0140】
記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等により構成されている。記憶部32は、オペレーティングシステムおよび車載端末装置30用のアプリ等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。また、記憶部32が、情報処理サーバ装置10の記憶部12のようなデータベースの情報を有してもよい。
【0141】
記憶部32は、車両Vをナビゲートするための地図情報を有する。
【0142】
なお、記憶部32には、車載端末装置30が搭載された車両Vを運転する対象者T(複数でもよい)に関して、記憶部12のように、対象者情報DB、操作量DB、挙動量DB、運転環境情報DB、および対象者センシングDBが構築されていてもよい。
【0143】
通信部33は、ネットワークNに電気的または電磁気的に接続して、情報処理サーバ装置10等との通信状態を制御するようになっている。また、通信部33は、情報処理サーバ装置10と電気的または電磁気的に接続して、情報処理サーバ装置10との通信状態を制御するようになっている。通信部33は、無線通信により、携帯端末装置20との通信を制御するようになっている。通信部33は、シートセンサssと、ウェアラブル端末装置wと、通信を行ってもよい。
【0144】
通信部33は、車両Vの駆動機構と通信を行う。例えば、車載端末装置30の通信部33を介して、制御信号を車両Vの駆動機構に送信し、車両Vを止めたり、所定の場所に止めたり、病院等の所定の場所にナビゲートしたりする。
【0145】
入力部34は、例えば、タッチパネルのようなタッチスイッチ方式の表示パネルを有する。入力部34は、利用者の指が接触または近接した出力部31の位置情報を取得する。入力部34は、音声を入力するマイクを有する。
【0146】
センサ部35は、ステアリングホイールswの操舵角を測定する角度センサ、アクセルの操作を測定するアクセルストロークセンサ、ブレーキペダルの操作を測定するブレーストロークセンサ等の操作量を測定する各種センサを有する。
【0147】
センサ部35は、GPSセンサ、方位センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、ミリ波レーダー用のセンサ等の車両Vの挙動量を測定する各種センサを有する。GPSセンサは、車両Vの現在の位置情報を取得する。
【0148】
センサ部35は、気圧センサ、温度センサ、晴雨センサ等の各種センサを有する。
【0149】
センサ部35は、デジタルカメラのCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮影素子を有する。例えば、図2に示すように、センサ部35は、カメラ35aおよびカメラ35bを有する。
【0150】
カメラ35aは、車両Vの外の様子を撮像する。車載端末装置30は、カメラ35aの画像により、車両Vの挙動量が測定される。例えば、車両Vの前方、側方、または、後方を撮影するカメラの画像データに基づき、車線の画像や風景から、車両Vの挙動量データの一例であるふらつきデータが測定されてもよい。センサ部35のカメラにより、車間距離を測定したり、停止位置を測定したり、車線逸脱を測定したりしてもよい。センサ部35のカメラにより、路面の状態(雨の有無、雪の有無、舗装の有無等)を測定したり、人間の有無を測定したりしてもよい。
【0151】
カメラ35bは、対象者Tを撮像する。車載端末装置30は、カメラ35bの画像により、顔認識で対象者Tを認証したり、対象者Tの顔色を測定したり、対象者Tが居眠りしていないか判定したりする。また、車両Vの内部を撮影するカメラの画像データに基づき、対象者Tの動きから操作量が測定されてもよい。
【0152】
入出力インターフェース部36は、出力部31、記憶部32等と、制御部37との間のインターフェース処理を行うようになっている。
【0153】
制御部37は、CPU37a、ROM37b、RAM37c等により構成されている。そして、制御部37は、CPU37aが、ROM37bや記憶部32に記憶された各種プログラムを読み出し実行する。
【0154】
[3. 疾患状態判定システムSの動作例]
疾患状態判定システムSの動作例について、図を用いて説明する。
【0155】
(3.1 データの収集)
先ず、操作量データおよび挙動量データ、対象者Tのセンシングデータ等のデータ収集の動作例について、図を用いて説明する。図21は、データ収集の動作例を示すフローチャートである。図22は、車両Vが走行した道路の一例を示す模式図である。
【0156】
図2に示すように、対象者Tが車両Vに乗車して、車載端末装置30の電源がONになる。車載端末装置30が車両Vの運転者を特定する。例えば、車載端末装置30のカメラ35bにより対象者Tを撮像して、顔認識を行ってよい。車載端末装置30が、対象者Tの携帯端末装置20またはウェアラブル端末装置wと通信を行い、対象者Tを特定してもよい。車載端末装置30が、車両Vのステアリングホイールswになる指紋認識のセンサにより、対象者Tを特定してもよい。車載端末装置30が、これらの対象者Tの特定方法を組み合せて運転者を特定してもよい。対象者Tが携帯する携帯端末装置20の携帯端末IDにより対象者Tを特定してもよい。
【0157】
なお、対象者T、実際の車両でもよいし、ドライブシミュレータで運転を行ってもよい。
【0158】
対象者Tが車両Vを運転すると、車載端末装置30が、操作量データおよび挙動量データの測定を開始する。携帯端末装置20は、センシングデータの測定をする。
【0159】
次に、図21に示すように、疾患状態判定システムSは、車両Vの各センサからのデータを収集する(ステップS1)。具体的には、車載端末装置30の制御部37が、センサ部35の各センサが測定したデータを、時計機能の測定時刻と共に、各センサから取得する。例えば、制御部37が、車両Vの操作量として、センサ部35の各センサから、ステアリングホイールswの操舵角の操舵角データ、アクセルストロークデータ、ブレーキストロークデータ等の操作量データを取得する。また、制御部37が、車両Vの挙動量として、センサ部35の各センサから、ふらつきデータ、車両Vの現在の位置情報、車両Vの進行方向、速度、加速度、車間距離等を取得する。
【0160】
また、制御部37が、センサ部35のカメラ35aにより、ふらつきデータとして、
車両Vの外の画像を取得してもよい。制御部37がカメラ35bにより、対象者Tの画像を取得する。なお、センサ部35の各センサが測定した測定時刻は、車載端末装置30の時計機能により測定されてもよい。
【0161】
次に、疾患状態判定システムSは、ウェアラブル端末装置wのセンサおよびシートセンサssから、対象者Tのセンシングデータを収集する(ステップS2)。具体的には、車両Vを運転している対象者Tの携帯端末装置20の制御部27が、ウェアラブル端末装置wのセンサ部の各センサおよびシートセンサssが測定したセンシングデータを、ウェアラブル端末装置wから取得する。制御部27が、車両Vを操作している対象者Tの腕の回旋の回旋データを、両腕のウェアラブル端末装置wから取得する。制御部27が、車両Vを操作する対象者Tが座る座面の座圧分布のデータを、シートセンサssから取得する。
【0162】
測定時刻は、携帯端末装置20の時計機能によって測定されたり、ウェアラブル端末装置wの時計機能によって測定されてもよい。
【0163】
次に、車載端末装置30が、携帯端末装置20を介してセンシングデータを取得する。なお、携帯端末装置20が、操作量データおよび挙動量データを、車載端末装置30を介して取得してもよい。
【0164】
測定されたデータは、各端末装置に記憶されてもよい。記憶部32に測定したデータを記憶する場合、車載端末装置30が、対象者ID、操作量ID,挙動量ID、センサIDに関連付けて、測定したデータを記憶部32に記憶してもよい。または、携帯端末装置20が、対象者ID、操作量ID,挙動量ID、センサIDに関連付けて、測定したデータを記憶部22に記憶してもよい。
【0165】
次に、疾患状態判定システムSは、収集したデータを、情報処理サーバ装置10に送信する(ステップS3)。具体的には、車載端末装置30は、取得したデータを、情報処理サーバ装置10に送信する。さらに、具体的には、制御部37が、車両Vの操作量データと、測定時刻と、測定位置と、対象者IDと、操作量IDと,を情報処理サーバ装置10に送信する。制御部37が、車両Vの挙動量データと、測定時刻と、測定位置と、対象者IDと、挙動量IDと、を情報処理サーバ装置10に送信する。制御部37が、対象者Tの座圧分布のデータと、測定時刻と、測定位置と、対象者ID、座圧分布のデータのセンサIDと、を情報処理サーバ装置10に送信する。制御部37が、対象者Tの各腕の回旋データと、測定時刻と、測定位置と、対象者ID、各回旋データのセンサIDと、を情報処理サーバ装置10に送信する。制御部37が、対象者Tの他のセンシングデータと、測定時刻と、測定位置と、対象者ID、センサIDと、を情報処理サーバ装置10に送信する。
【0166】
制御部37が、対象者IDの代わりに、車両IDを送信してもよい。携帯端末装置20が、センシングデータを情報処理サーバ装置10に送信してもよい。携帯端末装置20が、操作量データおよび挙動量データを送信してもよい。
【0167】
測定されたデータは、情報処理サーバ装置10に逐次送信されてもよいし、まとめて送信されてもよい。逐次送信する場合、車載端末装置30が、パケットで所定のデータを送信してよいし、トンネル内等で通信状態が悪く通信が途絶えたとき、データをまとめて送信してもよい。
【0168】
また、まとめて送信する場合、所定の運転区間における測定されたデータ、所定の運転期間における測定されたデータ等の所定のデータを車載端末装置30が送信してもよい。または、車載端末装置30が、運転が終了後にまとめて測定したデータを情報処理サーバ装置10に送信してもよい。
【0169】
次に、疾患状態判定システムSは、収集したデータを車載端末装置30から受信する(ステップS4)。具体的には、情報処理サーバ装置10は、車両Vの操作量データと、車両Vの挙動量データと、を車載端末装置30から受信する。情報処理サーバ装置10は、座圧分布のデータおよび腕の回旋データのようなセンシングデータを車載端末装置30から受信する。
【0170】
情報処理サーバ装置10は、前記端末装置から前記操作量データを取得する操作量データ取得手段の一例として機能する。
【0171】
次に、情報処理サーバ装置10は、受信したデータを記憶部12に記憶する(ステップS5)。具体的には、情報処理サーバ装置10の制御部16が、受信した操作量データ、測定時刻、位置情報等を、対象者IDと操作量IDとに関連付けて、操作量DB12bに記憶する。制御部16が、受信した挙動量データ、測定時刻、位置情報等を、対象者IDと挙動量IDとに関連付けて、挙動量DB12cに記憶する。制御部16が、受信したセンシングデータ、測定時刻、位置情報等を、対象者IDとセンサIDとに関連付けて、対象者センシングDB12eに記憶する。
【0172】
図22に示すように、車両Vが走行した道路が、受信した車両Vの位置情報から特定される。なお、車載端末装置30のナビゲーション機能により、走行する道路を予め設定してもよい。
【0173】
また、情報処理サーバ装置10が、道路情報提供サーバ装置から運転環境情報を取得して、運転環境情報DB12dのデータが更新される。
【0174】
(3.2 疾患状態を判定する動作例)
次に、ある特定の対象者Tに対して、疾患状態を判定する動作例について図を用いてい説明する。
【0175】
図23は、疾患状態を判定する動作例を示すフローチャートである。図24は、車両Vが走行した道路の一例を示す模式図である。
【0176】
図23に示すように、情報処理サーバ装置10は、対象者Tが車両Vを操作する操作量データを取得する(ステップS10)。具体的には、情報処理サーバ装置10の制御部16が、操作量DB12b参照して、対象者Tの対象者IDと各操作量IDとに基づき、操舵角データ、アクセルストロークデータ等の各操作量データ、測定時刻、車両Vの位置情報を取得する。例えば、制御部16は、図22に示すような道路を走行したときの各操作量データを取得する。
【0177】
このように、情報処理サーバ装置10は、対象者が車両を操作する操作量データを取得する操作量データ取得手段の一例として機能する。
【0178】
次に、情報処理サーバ装置10は、車両の挙動の挙動量データを取得する(ステップS11)。具体的には、制御部16が、挙動量DB12c参照して、対象者Tの対象者IDと各挙動量IDとに基づき、ふらつきデータ、車速データ、横加速度データ等の各挙動量データ、測定時刻、車両Vの位置情報を取得する。例えば、制御部16は、図22に示すような道路を走行したときの各挙動量データを取得する。
【0179】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記車両の挙動の挙動量データを取得する挙動量データ取得手段の一例として機能する。
【0180】
次に、情報処理サーバ装置10は、対象者センシングデータを取得する。具体的には、制御部16が、対象者センシングDB12eして、対象者Tの対象者IDと各センサIDとに基づき、座圧分布のデータ、回旋データ等の各対象者センシングデータ、測定時刻、車両Vの位置情報を取得する。例えば、制御部16は、図22に示すような道路を走行したときの各対象者センシングデータを取得する。
【0181】
このように、情報処理サーバ装置10は、車両を操作する対象者が座る座面の座圧分布のデータを取得する座圧分布取得手段の一例として機能する。
【0182】
次に、情報処理サーバ装置10は、道路環境情報を取得する(ステップS12)。具体的には、制御部16が、運転環境情報DB12dを参照して、図22に示すような走行した道路の道路の道路環境情報を取得する。
【0183】
次に、情報処理サーバ装置10は、道路に応じてデータを分別する(ステップS13)。具体的には、制御部16が、各操作量データおよび各挙動量データに対して、これらのデータが測定された時の車両Vの位置情報と、取得した道路環境情報とに基づき、各操作量データおよび各挙動量データを区分けする。さらに具体的には、制御部16が、標準的な高速道路を走行している位置の各操作量データおよび各挙動量データと、東京の首都高速道路のようにカーブが比較的多い高速道路を走行している位置の各操作量データおよび各挙動量データとに分ける。これらのように、制御部16が、車両Vが走行している道路の種別により、データを分別する。
【0184】
また、制御部16が、各位置情報から道路の曲率を計算して、曲率に応じてカーブを分類して、各操作量データおよび各挙動量データがどの区間に属するか分別してもよい。制御部16が、所定の曲率以下の道路を直線と見なし、その他はカーブ区間として、直線区間およびカー区間に応じて、各操作量データおよび各挙動量データを分別してもよい。図24に示すように、左カーブと右カーブとにカーブが分別されてもよい。図24に示すように、所定の曲率以上のカーブ毎に、カーブが分別されてもよい。
【0185】
このように、情報処理サーバ装置10が、操作量データを、前記車両が走行する道路の曲線の度合いに応じて分別する。
【0186】
次に、制御部16が、運転環境情報DB12dを参照して、分別された各データの道路区分IDを位置情報から特定する。なお、制御部16が、曲率または位置情報から、類似した道路の曲がり具合のパターンを有する道路の道路区分IDを特定してもよい。
【0187】
各対象者センシングデータに関しても、各操作量データおよび各挙動量データと同様に道路に応じて分別され、道路区分IDが特定される。
【0188】
次に、情報処理サーバ装置10は、操作関連データを算出する(ステップS14)。具体的には、制御部16が、操作量データから、所定の周波数範囲の成分における操作関連データを算出する。例えば、制御部16が、操作量データを離散フーリエ変換して、各周波数のパワースペクトル密度を算出する。
【0189】
次に、制御部16が、疾患判定DB12fを参照して、道路区分ID、疾患ID、操作量IDに基づき、所定の周波数範囲を特定する。制御部16が、パワースペクトル密度から所定の周波数範囲の成分の部分に相当するパワースペクトルの成分を、操作関連データとして抽出する。例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが標準的な高速道路を示し、操作量IDが操舵角を示す場合、図9に示すような周波数範囲fd1、fd2、fd3、fd4のいずれか、または、これらの組み合わせの周波数範囲におけるパワースペクトル密度を算出する。疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、操作量IDがアクセルストロークの場合、例えば、図12に示すような周波数値f5、f6、f7に基づいたパワースペクトル密度を算出する。
【0190】
ここで、操作関連データは、操作量データから算出される操作量データに関連するデータである。例えば、操作関連データの一例として、操作量データを離散フーリエ変換したデータ、パワースペクトル密度、操作量データを時間微分した時間微分データ、操作量データを時間積分した時間積分データ等が挙げられる。所定の周波数範囲の成分における操作関連データの一例として、スペクトル、または、パワースペクトルから、所定の周波数範囲の周波数成分を抽出したデータ等が挙げられる。所定の周波数範囲は、1つの周波数でもよいし、データのサンプリングにより定まる範囲内の全周波数でもよい。所定の周波数範囲の成分における操作関連データは、生の操作量データに、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドバスフィルタ等のフィルタを掛けたデータでもよい。例えば、生の操作量データに対して、ノイズをカットしたデータ、所定の周波数成分を強調したデータ等が挙げられる。所定の周波数範囲の成分における操作関連データは、操作量データをフーリエ変換したデータでも、パワースペクトル自体でもよい。なお、挙動関連データは、挙動量データから算出される挙動量データに関連するデータである。また、対象者センシング関連データは、対象者センシングデータから算出される対象者センシングデータに関連するデータである。上記の操作関連データに関することは、挙動関連データおよび対象者センシング関連データに対しても同様である。
【0191】
操作量データが操舵角データの場合、操作関連データは、操舵角データの時間微分より算出される操舵角速度でもよい。
【0192】
なお、制御部16が、挙動量データから、所定の周波数範囲の成分における挙動関連データを算出してもよい。例えば、制御部16が、挙動量データを離散フーリエ変換して、各周波数のパワースペクトル密度を挙動関連データとして算出してもよい。
【0193】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記操作量データから、所定の周波数範囲の成分における操作関連データを算出する操作関連データ算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、複数の操作関連データを算出する操作関連データ算出手段の一例として機能する。
【0194】
次に、情報処理サーバ装置10は、操作値および挙動値を算出する(ステップS15)。具体的には、制御部16が、道路区分ID、疾患ID、操作量IDに基づき、疾患判定DB12fを参照して、時系列の操作関連データや、周波数の関数である操作関連データのスペクトルを数値化した周波数分析値を算出する。制御部16が、道路区分ID、疾患ID、操作量IDに基づき、疾患判定DB12fを参照して、時系列の挙動量データや、周波数の関数である挙動量データのスペクトルを数値化した周波数分析値を算出する。
【0195】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが標準的な高速道路を示し、操作量IDが操舵角を示す場合、制御部16が、図9に示すような周波数範囲fd2におけるパワースペクトル密度を合計した合計値を、周波数分析値として算出する。疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、操作量IDが操舵角を示す場合、制御部16が、図11に示すような周波数範囲fd5、fd6におけるパワースペクトル密度を合計した合計値を、周波数分析値として算出する。
【0196】
疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、操作量IDがアクセルストロークを示す場合、制御部16が、図12に示すような周波数範囲f5、f6におけるパワースペクトル密度を合計した合計値を、周波数分析値として算出する。
【0197】
なお、操作値は、操舵角速度の絶対値の積分より算出する総操舵量でもよい。操作値は、操舵角データを離散フーリエ変換し、所定の周波数帯のパワースペクトル密度の和である修正操舵量でもよい。操作値は、操舵角速度の標準偏差、ステアリングの滑らかさ、操舵角速度の最大値、操舵角データのエントロピーを計算したステアリングエントロピーでもよい。
【0198】
また、制御部16が、挙動値として、道路区分IDの示す道路を走行した際のふらつき度(例えば、SDLP)を、ふらつきデータから算出する。なお、車両Vのふらつき度は、道路からの逸脱回数または頻度(車線逸脱警告の発信頻度)でもよい。車間距離としての挙動量データは、車間距離(または車間時間)の値や変動度、前方を走行する車両に対する接近(例えば、車間時間が3秒以内、1秒以内等)の回数および頻度(前方衝突警報の発信頻度)でもよい。停車した場合の一時停止の場所からの距離を、挙動量データとしてもよい。これらの挙動量データから、挙動値であるふらつき度が算出されてもよい。
【0199】
制御部16が、挙動値として、道路区分IDの示す道路を走行した際の平均の車速を、車速データから算出する。制御部16が、挙動値として、道路区分IDの示す道路を走行した際の平均の横加速度値を、横加速度データから算出する。
【0200】
なお、制御部16が、挙動関連データから挙動値を算出してもよい。例えば、制御部16が、所定の周波数範囲におけるパワースペクトル密度を合計した合計値を、挙動値として算出する。
【0201】
なお、座圧分布のデータの場合、制御部16が、対象者センシング値として、偏り度を算出してもよい。回旋データの場合、制御部16が、例えば、図17に示すような周波数範囲fd7等におけるパワースペクトル密度を合計した合計値を対象者センシング値として算出してもよい。
【0202】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記操作関連データを数値化した操作値を、前記操作関連データから算出する操作値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記挙動データを数値化した挙動値を、前記挙動データから算出する挙動値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記ふらつきデータから、前記挙動値として前記車両のふらつき度を算出する挙動値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記横加速度データから、前記挙動値として前記車両の横加速度値を算出する挙動値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記操舵角データから、前記操作値として、前記操舵角データの周波数分析値を算出する挙動値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記操舵角データから、前記操作値として、前記操舵角データの周波数分析値を算出する操作値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記アクセルストロークデータから、前記操作値として、前記アクセルストロークデータの周波数分析値を算出する操作値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記複数の各操作関連データから算出される複数の操作値を算出する操作値算出手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記中心位置に基づき前記座圧分布における偏り度を算出する偏り度算出手段の一例として機能する。
【0203】
次に、情報処理サーバ装置10は、疾患状態を判定する(ステップS16)。具体的には、制御部16が、道路区分ID、疾患ID、操作量IDに基づき、疾患判定DB12fを参照して、基準の操作値と、対象者Tの算出した操作値とを比較して、対象者Tが、疾患IDの疾患である否か、疾患IDの疾患の程度等の疾患状態を判定する。
【0204】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが標準的な高速道路を示し、操作量IDが操舵角を示す場合、図9に示すような周波数範囲fd2における対象者Tの操作値から、パワースペクトル密度(p0)の合計値を引いた値と、パワースペクトル密度の差分(p1-p0)の合計値、または、パワースペクトル密度の差分(p2-p0)の合計値と比較して、制御部16が、健常者p0、脳卒中患者p1、脳卒中患者p2のいずれかの疾患状態を判定する。
【0205】
なお、周波数範囲fd2におけるパワースペクトル密度のグラフが、パワースペクトル密度(p0)と、パワースペクトル密度(p1)と、パワースペクトル密度(p2)のうち、どれに近いかを、制御部16が判定することにより、制御部16が、疾患状態を判定してもよい。周波数範囲fd3では、健常者p0と、脳卒中患者p1、p2との峻別が行われてもよい。また、制御部16が周波数範囲fd1を、脳卒中患者p1と、脳卒中患者p2とを峻別するパリティチェックとして利用してもよい。制御部16が、周波数f1におけるパワースペクトル密度の値で、脳卒中の疾患状態を判定してもよい。
【0206】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、操作量IDが操舵角を示す場合、制御部16が、対象者Tの操作値と、図11に示すような基準の操作値とを比較して、脳卒中の疾患状態を判定する。
【0207】
疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、操作量IDがアクセルストロークを示す場合、制御部16が、対象者Tのアクセルストロークの操作値と、図12に示すような基準の操作値とを比較して、脳卒中の疾患状態を判定する。
【0208】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、所定の疾患の前記疾患状態と予め測定した前記操作量データとの関係の情報を記憶した記憶手段を参照して、前記操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記対象者の疾患状態として、前記疾患の程度を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記操舵角データの周波数分析値から、脳卒中の麻痺を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記アクセルストロークデータの周波数分析値から、脳卒中の麻痺を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。
【0209】
次に、挙動量データの場合について説明する。
【0210】
制御部16が、道路区分ID、疾患ID、挙動量IDに基づき、疾患判定DB12fを参照して、基準の挙動値と、対象者Tの算出した挙動値とを比較して、対象者Tが、疾患IDの疾患である否か、疾患IDの疾患の程度等の疾患状態を制御部16が判定する。
【0211】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが標準的な高速道路を示し、挙動量IDがSDLPを示す場合、図13に示すように、対象者TのSDLPと閾値θ1、θ2と比較して、健常者p0、脳卒中患者(p1、p2)のどちらかの疾患状態を制御部16が判定する。疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、挙動量IDがSDLPを示す場合、図14に示すように、対象者TのSDLPと閾値θ3と比較して、健常者p0、脳卒中患者(p1、p2)のどちらの疾患状態であるかの疾患状態を制御部16が判定する。
【0212】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、挙動量IDが横加速度を示す場合、図15に示すように、対象者Tの横加速度値と閾値θ4と比較して、健常者p0、脳卒中患者(p1、p2)のどちらの疾患状態であるかの疾患状態を制御部16が判定する。疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、挙動量IDが車速を示す場合、図16に示すように、対象者Tの車速と閾値θ5と比較して、健常者p0、脳卒中患者(p1、p2)のどちらの疾患状態であるかの疾患状態を制御部16が判定する。
【0213】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記挙動値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記ふらつき度から、脳卒中の麻痺を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。情報処理サーバ装置10は、前記横加速度値から、脳卒中の麻痺を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。
【0214】
なお、情報処理サーバ装置10は、1つの操作値に基づき疾患状態を判定してもよいし、複数の操作値に基づき疾患状態を判定してもよい。
【0215】
例えば、複数の操作値に基づき判定する場合、各操作値の判定において、所定の疾患状態(例えば、脳卒中患者p1)と判定された判定数が所定の閾値を超えた場合、所定の疾患状態であると情報処理サーバ装置10は判定してもよい。所定の疾患状態であるとき判定結果を1として、所定の疾患状態でないとき判定結果を0として、情報処理サーバ装置10は、各操作値の判定結果の和(判定数)を計算する。また、情報処理サーバ装置10は、各操作値に重みを設けて、判定結果の和を計算してもよい。
【0216】
また、複数の操作値に基づき疾患状態を判定する例として、図11に示すように、情報処理サーバ装置10は、周波数範囲fd5では、脳卒中患者p2の判定を行い、周波数範囲fd6では、脳卒中患者p1の判定を行ってもよい。
【0217】
情報処理サーバ装置10は、異なる道路区分での複数の操作値に基づき、疾患状態を判定してもよい。例えば、図9に示すような標準的な高速道路でのデータでは、情報処理サーバ装置10は、周波数範囲fd3における操作値により、健常者p0と脳卒中患者(p1、p2)とを峻別する。次に、図11に示すような首都高速道路でのデータでは、情報処理サーバ装置10は、周波数範囲fd6における操作値により、脳卒中患者p1と脳卒中患者p2とを峻別する。
【0218】
情報処理サーバ装置10は、1つの挙動値に基づき疾患状態を判定してもよいし、複数の挙動値に基づき疾患状態を判定してもよい。情報処理サーバ装置10は、操作値と挙動値とを組み合わせて、疾患状態を判定してもよい。
【0219】
例えば、複数の挙動値で判定する場合、各挙動値の判定において、所定の疾患状態(例えば、脳卒中患者p1)と判定された判定数が所定の閾値を超えた場合、所定の疾患状態であると情報処理サーバ装置10は判定してもよい。また、情報処理サーバ装置10は、各挙動値に重みを設けて、判定結果の和を計算してもよい。
【0220】
操作値と挙動値とを組み合わせて判定する場合、各操作値および各挙動値の判定において、所定の疾患状態(例えば、脳卒中患者p1)と判定された判定数が所定の閾値を超えた場合、所定の疾患状態であると情報処理サーバ装置10は判定してもよい。また、情報処理サーバ装置10は、各操作値および各挙動値に重みを設けて、判定結果の和を計算してもよい。
【0221】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記複数の操作値に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。
【0222】
次に、対象者センシングデータの場合について説明する。
【0223】
制御部16が、道路区分ID、疾患ID、センサIDに基づき、疾患判定DB12fを参照して、基準の対象者センシング値と、対象者Tの算出した対象者センシング値とを比較して、対象者Tが、疾患IDの疾患である否か、疾患IDの疾患の程度等の疾患状態を制御部16が判定する。
【0224】
例えば、疾患IDが脳卒中を示し、道路区分IDが東京の首都高速道路を示し、センサIDが、麻痺が無い側の腕の回旋を測定するジャイロセンサを示す場合、図17に示すような周波数範囲fd7等における対象者Tの対象者センシング値から、パワースペクトル密度(p0)の合計値を引いた値と、パワースペクトル密度の差分(p1-p0)の合計値と比較して、制御部16が、脳卒中患者p1であるか否かを判定する。図17に示すような周波数範囲fd7、fd8における対象者Tの対象者センシング値から、パワースペクトル密度(p1)の合計値およびパワースペクトル密度(p2)の合計値のどちらの値に近いかを比較して、制御部16が、脳卒中患者p1であるか、脳卒中患者p2であるか否か等の疾患の程度を判定してもよい。
【0225】
左右の腕のジャイロセンサで測定した回旋データの対象者センシング値から、左側麻痺か右側麻痺か、片側麻痺か両側麻痺かのような疾患の程度を制御部16が判定してもよい。
【0226】
座圧分布のデータから算出された偏り度に基づき、左側麻痺か右側麻痺かを、制御部16が判定してもよい。
【0227】
このように、情報処理サーバ装置10は、前記偏り度に応じて、前記対象者の疾患状態を判定する疾患状態判定手段の一例として機能する。
【0228】
情報処理サーバ装置10は、操作値と挙動値と対象者センシング値を組み合わせて、疾患状態を判定してもよい。操作量データ、操作関連データ、操作値、挙動量データ、挙動関連データ、挙動値、対象者センシングデータ、対象者センシング関連データ、対象者センシング値等の中から、所定の疾患に対して最適な特徴量の組み合わせで、情報処理サーバ装置10は、疾患状態を判定してもよい。
【0229】
なお、情報処理サーバ装置10は、車載端末装置30等からデータを逐次取得して、疾患状態を判定してもよい。携帯端末装置20または車載端末装置30が、疾患状態判定装置の一例として、情報処理サーバ装置10の代わりに、測定したデータから疾患状態を判定してもよい。この場合、携帯端末装置20の制御部27、または、車載端末装置30の制御部37が、測定したデータから疾患状態を判定する。
【0230】
また、情報処理サーバ装置10は、家庭端末装置40からの生理データと、医療機関サーバ装置50の電子カルテ情報とにも基づき、疾患状態を判定してもよい。特に、家庭端末装置40からの生理データと、医療機関サーバ装置50の電子カルテ情報とを基準にして、情報処理サーバ装置10は、疾患状態を判定してもよい。
【0231】
以上、本実施形態によれば、対象者Tが車両Vを操作する操作量データを取得し、操作量データから、所定の周波数範囲の成分における操作関連データを算出し、操作関連データを数値化した操作値を、操作関連データから算出し、操作値に応じて対象者Tの疾患状態を判定することにより、特殊な機器で無くても、対象者Tが車両Vを操作する操作量のような測定しやすいデータから、所定の疾患の状態を判定することができる。
【0232】
また、所定の周波数範囲の成分とすることにより、疾患の状態の判定精度を向上させることができる。また、操作値に集約することにより、疾患の状態の判定精度を向上させることができる。
【0233】
所定の疾患の疾患状態と予め測定した操作量データとの関係の情報を記憶した記憶手段を参照して、操作値に応じて、対象者の疾患状態を判定する場合、取得した操作量データを記憶手段に適用して所定の疾患の状態を判定することができる。
【0234】
所定の周波数範囲の成分を、所定の疾患に応じて決定される場合、所定の周波数範囲を、所定の疾患に対応させることにより、疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0235】
対象者Tの疾患状態として、疾患の程度を判定する場合、対象者Tが車両Vを操作する操作量から計算された操作値から、所定の疾患の程度を判定することができる。
【0236】
車両Vの挙動の挙動量データを取得し、挙動データを数値化した挙動値を、挙動データから算出し、挙動値に応じて、対象者Tの疾患状態を判定する場合、対象者Tが操作する車両Vの挙動データのような測定しやすいデータから、所定の疾患状態を判定することができる。
【0237】
挙動量データが、車両Vのふらつきデータである場合、車両Vのふらつきデータという測定しやすいデータから、所定の疾患状態を判定することができる。
【0238】
ふらつきデータから、挙動値として車両Vのふらつき度を算出し、ふらつき度から、脳卒中の麻痺を判定する場合、車両Vのふらつきを数値化したふらつき度から、脳卒中の麻痺の状態を判定することができる。
【0239】
ふらつき度が、車両Vの左右方向の標準偏差である場合、車両Vの左右方向の標準偏差から、脳卒中の麻痺の状態を判定することができる。
【0240】
挙動量データが、車両の横加速度データまたは車両の速度データである場合、車両Vの横加速度データまたは速度データという測定しやすいデータから、所定の疾患状態を判定することができる。
【0241】
横加速度データから、挙動値として車両Vの横加速度値または速度値を算出し、横加速度値または速度値から、脳卒中の麻痺を判定する場合、車両Vの横加速度データを数値化した車両Vの横加速度値または速度データを数値化した車両Vの速度値から、脳卒中の麻痺の状態を判定することができる。
【0242】
操作量データが、車両Vのステアリングホイールの操舵角データである場合、操舵角データという測定しやすいデータから、所定の疾患状態を判定することができる。
【0243】
操舵角データから、操作値として、操舵角データの周波数分析値を算出し、操舵角データの周波数分析値から、脳卒中の麻痺を判定する場合、車両Vの操舵角データを数値化した操舵角データの周波数分析値から、脳卒中の麻痺の状態を判定することができる。
【0244】
操作量データが、車両のアクセルのアクセルストロークデータである場合、アクセルストロークデータという測定しやすいデータから、所定の疾患状態を判定することができる。
【0245】
アクセルストロークデータから、操作値として、アクセルストロークデータの周波数分析値を算出し、アクセルストロークデータの周波数分析値から、脳卒中の麻痺を判定する場合、車両のアクセルストロークデータを数値化したアクセルストロークデータの周波数分析値から、脳卒中の麻痺の状態を判定することができる。
【0246】
操作量データが、車両Vが走行する道路の曲線の度合いに応じて分別される場合、疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0247】
山岳路や東京の首都高速道路のような、道路の曲線の度合いが所定値以上の道路を車両Vが走行しているときの操作量データによる操作値に応じて、対象者Tの疾患状態を判定する場合、疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0248】
カーブが比較的少ない標準的な高速道路のような、道路の曲線の度合いが所定値より低い道路を車両Vが走行しているときの操作量データによる操作値に応じて、対象者Tの疾患状態を判定する場合、疾患状態の判定精度を向上させることができる。例えば、図11に示すような東京の首都高速道路に対して、図9に示すように、標準的な高速道路においても、健常者p0と、脳卒中患者p1と、脳卒中患者p2との差異の異なったパターンが表れる特徴的な周波数範囲において、疾患状態が判定される。
【0249】
複数の操作関連データを算出し、複数の各操作関連データから算出される複数の操作値を算出し、複数の操作値に応じて、対象者Tの疾患状態を判定する場合、複数の操作値により判定するので、疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0250】
操作関連データが、操作量データの時間に関する微分データである場合、操作量データの時間に関する微分データを数値化した操作値から、所定の疾患状態を特定することができる。特に、高周波成分が強調されて、高周波成分で特徴が出やすい疾患の場合の疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0251】
操作関連データが、操作量データの時間に関する積分データである場合、操作量データの時間に関する積分データを数値化した操作値から、所定の疾患状態を判定することができる。特に、低周波成分が強調されて、低周波成分で特徴が出やすい疾患の場合の疾患状態の判定精度を向上させることができる。
【0252】
(変形例)
次に、疾患状態の判定の変形例について説明する。
【0253】
情報処理サーバ装置10が、測定されたデータに対して、識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。識別器は、線形識別器または非線形識別器でもよい。識別器のパラメータを機械学習する機械学習の識別器でもよい。機械学習は、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、決定木学習、ロジスティクス回帰等が挙げられる。
【0254】
例えば、情報処理サーバ装置10が、操作量データ、操作関連データ、操作値等で、予め機械学習しておいて、機械学習のモデルのパラメータを、疾患判定DB12fに記憶しておく。なお、機械学習に利用するデータは、道路区分により分別されたデータでもよい。
【0255】
情報処理サーバ装置10が、ステップS15において算出された操作値および挙動値に対して、ステップS16において、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。情報処理サーバ装置10が、ステップS14において算出された操作関連データ、挙動量関連データに対して、ステップS16において、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。情報処理サーバ装置10が、ステップS13において道路に応じて分別したデータにデータに対して、ステップS16において、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。なお、対象者センシングデータ、対象者センシング関連データ、対象者センシング値に対しても、情報処理サーバ装置10が、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。操作量データ、挙動量データ、対象者センシングデータ等の各特徴量から、識別器により、疾患状態が判定される。
【0256】
操作量データ、挙動量データ、対象者センシングデータ等の複数のデータに対して、情報処理サーバ装置10が、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。具体的には、情報処理サーバ装置10が、図9から図18に示すように、所定の疾患に対して疾患状態に差異があったデータに対して、疾患判定DB12fを参照して識別器を適用して、疾患状態を判定してもよい。
【0257】
操作量データに対する機械学習により、対象者の疾患状態を判定する場合、操作量データの波形、操作値のパターン等により、疾患状態を判定することができる。車両Vの挙動の挙動量データに対する機械学習により、対象者Tの疾患状態を判定する場合、挙動量データの波形、挙動値のパターン等により、疾患状態を判定することができる。
【0258】
携帯端末装置20または車載端末装置30が、上記識別器を備えてもよい。
【0259】
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0260】
10:情報処理サーバ装置(疾患状態判定装置)
12:記憶部(記憶手段)
12f:疾患判定データベース(記憶手段)
20:携帯端末装置(疾患状態判定装置、端末装置)
30:車載端末装置(疾患状態判定装置、端末装置)
S:疾患状態判定システム
T:対象者
V:車両
図1
図2
図3
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図5
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図8
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