(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム、およびパイプライン施設
(51)【国際特許分類】
B01D 35/16 20060101AFI20240424BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20240424BHJP
G05D 16/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
B01D35/16
B01D35/02 A
G05D16/00 N
(21)【出願番号】P 2020146152
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
(72)【発明者】
【氏名】山内 康二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大久
(72)【発明者】
【氏名】古川 重信
(72)【発明者】
【氏名】山下 清二
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-078596(JP,A)
【文献】特表2005-514544(JP,A)
【文献】特開平03-223909(JP,A)
【文献】国際公開第2019/156012(WO,A1)
【文献】特開2002-011307(JP,A)
【文献】特開2003-228425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0126601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
G05D16/00-16/20
E03B1/00-11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水用管路に接続された減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタに接続された洗浄用管路であって、当該パイロット弁およびフィルタを洗浄する洗浄液が通液する洗浄用管路と、
前記送水用管路と前記洗浄用管路との間で前記パイロット弁およびフィルタに通液する管路を切り替える電磁弁と、を備え、
前記洗浄用管路は、前記送水用管路における前記減圧弁の設置位置よりも上流の位置に接続されており、当該位置から前記送水用管路の水を流入させて、当該水を含む前記洗浄液を通す、
減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項2】
前記送水用管路は、メイン管路と、当該メイン管路を迂回するように設けられた当該メイン管路よりも管径が小さいサブ管路とを有しており、
前記減圧弁は、前記サブ管路に接続されており、
前記パイロット弁およびフィルタは、1つの前記パイロット弁と1つの前記フィルタを有するユニットが、前記減圧弁に対して並列に複数接続されている、
請求項1に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項3】
前記電磁弁は、少なくとも1つの前記ユニットに設けられた前記パイロット弁およびフィルタによって前記減圧弁が制御されるよう、且つ任意の時期において、1つの前記ユニットに設けられたパイロット弁およびフィルタに前記洗浄液を通液させるとともに当該1つのユニットとは異なる前記ユニットによって前記減圧弁が制御されるように、各前記ユニットと前記洗浄用管路との連通の有無を切り替える、
請求項2に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項4】
前記送水用管路には、水中に含まれる異物を除去するストレーナが配設されており、
前記ストレーナに溜った異物は、廃液バルブを介して当該ストレーナと接続された廃液管に排出され、
前記洗浄用管路は、前記ストレーナの配設位置よりも上流の位置に接続されており、当該位置から前記送水用管路内の水を引き込み、
前記パイロット弁およびフィルタから排出された洗浄液の廃液は、
前記廃液管に通液される、
請求項1から3の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項5】
前記洗浄用管路には、前記送水用管路から引き込んだ水に洗浄成分を注入する注入装置が配設されている、
請求項1から4の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項6】
前記電磁弁を駆動するための電力を生成する太陽光パネルを更に備えた、
請求項1から5の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項7】
前記洗浄用管路には、前記送水用管路から引き込んだ水をろ過するフィルタを有し、且つ当該フィルタの目詰まりを逆流洗浄して除去する逆流洗浄装置が配設されている、
請求項1から6の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項8】
前記洗浄液は、弱酸性を有する、
請求項1から7の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システムと、
前記減圧弁が接続された前記送水用管路と、
を備えた、パイプライン施設。
【請求項10】
前記洗浄システムと、当該洗浄システム周辺の前記送水用管路と、前記減圧弁とは、地下に埋設されている、
請求項9に記載のパイプライン施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム、およびパイプライン施設に関する。
【背景技術】
【0002】
基幹的な農業用パイプラインは、総延長が12000kmを超え、その支線水路の総延長は膨大な長さに達するものがある。農業用パイプラインは、一般に、送水管の上流から高圧の水を送り、管の途中に設けた減圧弁によって適切な水圧に調整される。
【0003】
ところで、農業用パイプラインによって送配される水には、塵や藻などを含むことがあり、それらが減圧弁の内部で目詰まりを生じさせることがある。そのため、減圧弁は定期的なメンテナンスとして、分解して洗浄する方法が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-49012号公報(1993年6月29日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
畑地に灌漑用水を送配するための農業用パイプラインは、減圧弁等とともに地下に埋設されることが多い。
【0006】
そのため、上述した分解して洗浄する方法では、地下の制限された領域において減圧弁を送水管から外し、分解し、洗浄し、再び設置するという作業をおこなわなければならず、手間がかかる。
【0007】
ここで、特許文献1には、金属表面処理に用いられる送液配管に設置されたストレーナ(受塵機能を有する)のメンテナンス方法が開示されている。特許文献1は、運転中のストレーナの入側、出側の圧力を圧力センサーで検知し、その差(すなわち圧力損失)が所定値を超えた場合に自動で予備のストレーナへの切り換えを行うとともに、それまで運転していたストレーナを自動的に逆流洗浄する。このように特許文献1の技術は、自動的に逆流洗浄するため、分解洗浄が不要である。しかしながら、逆流洗浄するための洗浄液供給装置と洗浄用配管の設置が必要となる。また、圧力センサーの設置と電力供給も必要である。そのため、全体として、装置の大型化が避けられない。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、上述の問題を鑑みなされたものであって、その目的は、地下埋設型の減圧弁を格納したパイプライン附帯施設に好適な、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム、およびパイプライン施設を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システムは、送水用管路に接続された減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタに接続された洗浄用管路であって、当該パイロット弁およびフィルタを洗浄する洗浄液が通液する洗浄用管路と、前記送水用管路と前記洗浄用管路との間で前記パイロット弁およびフィルタに通液する管路を切り替える電磁弁と、を備え、前記洗浄用管路は、前記送水用管路における前記減圧弁の設置位置よりも上流の位置に接続されており、当該位置から前記送水用管路の水を流入させて、当該水を含む前記洗浄液を通す。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るパイプライン施設は、上述の減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システムと、前記減圧弁が接続された前記送水用管路と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、地下埋設型の減圧弁を格納したパイプライン附帯施設に好適な、減圧弁を制御するパイロット弁とフィルタの洗浄システム、およびパイプライン施設を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システムを具備したパイプラインの構成を模式的に示す上面図である。
【
図2】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁周辺の詳細な構成を示す図であり、第1のユニットによって当該減圧弁を制御し、第2のユニットのパイロット弁およびフィルタを洗浄している状態を示す図である。
【
図3】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁周辺の詳細な構成を示す図であり、第2のユニットによって当該減圧弁を制御し、第1のユニットのパイロット弁およびフィルタを洗浄している状態を示す図である。
【
図4】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁周辺の詳細な構成を示す図であり、第1のユニットおよび第2のユニットによって当該減圧弁を制御している状態を示す図である。
【
図5】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁の第1のユニットに設けられたパイロット弁の、洗浄前の様子を示す写真である。
【
図6】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁の第1のユニットに設けられたフィルタの、洗浄前の様子を示す写真である。
【
図7】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁の第1のユニットに設けられたパイロット弁の、洗浄システム10による洗浄後の様子を示す写真である。
【
図8】
図1に示すサブ管路に接続された減圧弁の第1のユニットに設けられたフィルタの、洗浄システム10による洗浄後の様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム、および当該洗浄システムを具備するパイプライン施設の一実施形態について、
図1から
図4を用いて説明する。
【0014】
本発明に係るパイプライン施設は、主に、農業用パイプラインに適用することが可能であり、特に地下埋設型の減圧弁を格納したパイプライン附帯施設に好適である。
【0015】
本発明者らは、長年に渡り、農業農村整備事業で敷設されるパイプラインの発展に努めている。そのようなパイプラインに配される樹脂管は、管体の亀裂、管の接手の抜け、チーズ管やエルボ管といった管の亀裂といった原因で、漏水する場合がある。地下埋設型の農業用パイプラインの場合で漏水が発生すると、道路の陥没や周辺地域への土壌流出などを招く危険がある。
【0016】
漏水の主な原因について検証したところ、減圧弁を制御するパイロット弁の軸の固結やフィルタの目詰まりにあることが判った。固結や目詰まりが生じると、パイロット弁が減圧弁の2次圧の大きさを検知して減圧弁の弁体の開度を制御する際の応答速度の遅れを招く。これにより、減圧弁の1次圧を2次圧が引き継いでしまい、2次圧が上昇し、頻繁に樹脂管の管内水圧に振動が生じ、樹脂管が疲労破壊する。
【0017】
そこで、本発明の一実施形態であるパイプライン施設は、樹脂管の疲労破壊を抑制するべく、送水用管路に接続された減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタを洗浄する洗浄システムを搭載する。
【0018】
<パイプライン施設>
図1は、本発明の一実施形態であるパイプライン施設の構成を模式的に示す上面図である。パイプライン施設1は、減圧弁が接続された送水用管路2と、洗浄システム10(減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム)とを備える。本実施形態のパイプライン施設1は、
図1に破線で示す部分が地下に埋設された、いわゆる地下埋設型の減圧弁を格納したパイプライン附帯施設である。
【0019】
送水用管路2は、畑地に灌漑用水を送配する管路を基本構成として備え、
図1に示す例では、
図1の紙面右側を上流側として、紙面左側の下流側に向かって送水する。なお、本明細書で「水」と称しているものは、純水のことではなく、いわゆる農業用水と称されるものを指す。すなわち、水道水等に含まれるような成分が溶解していてもよく、後述するストレーナ等で除去される砂や藻などを含み得る。
【0020】
送水用管路2は、メイン管路3と、メイン管路3を迂回するように配管され、且つメイン管路3よりも管径が小さいサブ管路4とを有する。一例としては、メイン管路3の径は200mm~500mmで、サブ管路4の径は、メイン管路3の径より小さく、50mm~100mmである。
【0021】
また、送水用管路2には、メイン管路3に接続されたメイン管路用の減圧弁5と、サブ管路4に接続されたサブ管路用の減圧弁6とが接続されている。
【0022】
メイン管路用の減圧弁5は、弁の開度を制御するためのパイロット弁51およびフィルタ52を備える。この制御により、メイン管路用の減圧弁5の2次圧が調整される。
【0023】
サブ管路用の減圧弁6には、
図1に示すように、弁の開度を制御するための1つのパイロット弁61と1つのフィルタ62とを有する第1のユニット65と、1つのパイロット弁63と1つのフィルタ64とを有する第2のユニット66とが並列に接続されている。詳細は後述するが、第1のユニット65および第2のユニット66の双方によってサブ管路用の減圧弁6の2次圧を調整することができるが、第1のユニット65および第2のユニット66の何れかだけでもサブ管路用の減圧弁6の2次圧を調整することができる。
【0024】
更に送水用管路2には、
図1に示すように、ストレーナ7が接続されている。
【0025】
ストレーナ7は、送水用管路2によって送水される水を通液させて、水中に含まれる異物を除去する。ストレーナ7は、送水用管路2におけるサブ管路4が配されてなる分岐領域よりも上流の位置に接続されている。これにより、ストレーナ7によって異物が除去された水が、分岐領域に流下してメイン管路3とサブ管路4とに流入する構成である。ここで言う「異物」とは、上流側水槽から流入した底泥、小石、水中生物の死骸である。
【0026】
ストレーナ7は、
図1に示すように3つ設けられている。各々のストレーナ7の送水用管路2との接続位置は、それぞれ近隣にある。このように複数のストレーナ7を接続することにより、処理量を増やすことができる。なお、ストレーナ7の設置数は、この限りでない。各ストレーナ7は、廃液バルブ8を介して、廃液管9に接続しており、ストレーナ7に溜った異物を排出できる構成となっている。
【0027】
本実施形態のパイプライン施設1は、以上のような送水用管路2を具備することによって、送水用管路2の上流から流下させた高圧水を、メイン管路用の減圧弁5と、サブ管路用の減圧弁6とによって減圧させて、下流域において適切な水圧で放水することができる。送水用管路2は、送配時には比較的高圧(0.4~0.6MPa程度)になる。メイン管路用の減圧弁5は、サブ管路用の減圧弁6よりも、送水する水の水圧を大きく減圧させることができる。一方で、サブ管路用の減圧弁6は、送水する水の水圧を細かく調整することができる。
【0028】
更に、サブ管路用の減圧弁6では、送水用管路2の下流側に設けられた複数の放水用バルブのうちの最後の一つのバルブが閉まる際に1次圧が過度に上昇せず、なおかつ、2次圧が1次圧を引き継がないように、弁の閉鎖速度を制御する。この制御は、サブ管路用の減圧弁6に具備される第1のユニット65および第2のユニット66のパイロット弁61,63およびフィルタ62,64によっておこなわれる。
【0029】
このようにサブ管路用の減圧弁6は、2次圧の変化に対して適切な応答速度で開閉することが求められるため、先述したようなパイロット弁の軸の固結、およびフィルタの目詰まりを起こさないようメンテナンスすることが重要である。
【0030】
そこで、本実施形態のパイプライン施設1は、
図1に示す洗浄システム10によって、第1のユニット65および第2のユニット66のパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64を洗浄する。以下、洗浄システム10について説明する。
【0031】
<洗浄システム10>
洗浄システム10は、
図1に示すように、洗浄用管路11と、逆流洗浄装置12と、注入装置13と、電磁弁14と、電磁弁コントローラ15と、太陽光パネル17を含む電力供給機構16とを備える。
【0032】
洗浄用管路11は、洗浄液が通液する管路である。洗浄用管路11は、洗浄対象である第1のユニット65および第2のユニット66のパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に接続されている。洗浄用管路11の上流端部11aは、送水用管路2における減圧弁の設置位置よりも上流の位置に接続されている。当該上流の位置は、送水用管路2の水圧が高い区域である。具体的には、送水用管路2におけるストレーナ7よりも上流の区域である。この区域は、これより下流にストレーナ7や先述の減圧弁5、6が接続されていることによってこれらが抵抗となり、水圧が高い区域である。この区域に、洗浄用管路11の上流端部11aが接続していることにより、送水用管路2の高圧水が自然に流れ込む構成となっている。すなわち、送水用管路2から別途装置を用いて洗浄用管路11に水を引き込む必要はない。
【0033】
なお、洗浄用管路11の上流端部11aは、先述の減圧弁5、6の設置位置と、ストレーナ7との間の位置に接続された場合であっても、送水用管路2の高圧水が自然に流れ込む構成を実現することができる。しかしながら、洗浄用管路11の上流端部11aは、水圧が当該位置よりも更に高い
図1に示す位置に接続されていることが好ましい。
【0034】
洗浄用管路11の上流端部11aから流入した水は、フィルタを備えた逆流洗浄装置12に通される。
【0035】
逆流洗浄装置12では、フィルタによって水中に含まれる異物を除去する。また、逆流洗浄装置12は、フィルタの目詰まりを防ぐべく、フィルタの逆流洗浄を実施することができる。逆流洗浄によって生じた廃液は、先述の廃液管9によって外部に排出される。逆流洗浄装置12によって異物が除去された水は、洗浄用管路11を更に流下する。
【0036】
注入装置13は、洗浄成分を貯留する貯留部(不図示)と、貯留部に貯留された洗浄成分を洗浄用管路11に注入するための注入部(不図示)とを備える。注入部は、洗浄用管路11における、逆流洗浄装置12からサブ管路用の減圧弁6に到達するまでの間の区域において注入装置13から洗浄成分が注入される。先述のように洗浄用管路11の上流端部11aから流入する水は高圧であるため、洗浄用管路11内の水は、上流端部11aからサブ管路用の減圧弁6に向かって流れを有している。そのため、洗浄成分は、注入部から洗浄用管路11内へと注入される構成となっている。すなわち、注入装置13には洗浄成分を積極的に洗浄用管路11内に注入する装置を別途設ける必要はない。
【0037】
注入装置13から注入される洗浄成分としては、洗浄液に弱酸性の性質を与える成分(物質)を用いる。
【0038】
ここで、パイロット弁の軸の固結、およびフィルタの目詰まりは、水中の炭酸カルシウムスケールのほか、パイロット弁の軸やフィルタへの藻の付着が原因となることが本発明者らの検証によってわかっている。そこで、弱酸性の洗浄液を用いることにより、これらを少なくとも一部でも溶解させることができ、固結や目詰まりを解消させることができる。また、本実施形態のパイプライン施設1が、農業用水、灌漑用水のパイプラインであり、放水される水が人畜および農地の作物に悪影響を与えてはならないという観点からも、洗浄液についてもそれを考慮することが望ましい。
【0039】
具体的な洗浄成分としては、酢酸、クエン酸などが好ましい。洗浄液は、例えば、0.8~1.2%酢酸、あるいはクエン酸であることが好ましい。
【0040】
注入装置13は、注入装置13よりも下流の区域において、そのような濃度の洗浄液となるよう、洗浄成分を注入する。換言すれば、注入装置13の貯留部には、洗浄液よりも高い濃度で洗浄成分が濃縮した液が貯留されている。酢酸の例であれば、貯留部には、90%酢酸の液体を貯留する。そのような濃縮液が上流から流れてきた水に注入されることによって希釈されて濃度が0.8~1.2%になる構成である。なお、洗浄成分の濃度としては、注入装置13から、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64までの間の全区域が均一の濃度になっている必要はない。例えば、0.8~1.2%よりも高濃度の洗浄成分を含む洗浄液が或る時期に集中してパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に到達してもよい。
【0041】
注入装置13からパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に向かって流れた洗浄液は、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64と、洗浄用管路11との間に設けられた電磁弁14が開放されている場合にパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に到達する。これにより、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64が洗浄され、先述した炭酸カルシウムスケールや藻による固結や目詰まりを防ぐことができる。
【0042】
この電磁弁14について更に説明する。電磁弁14は、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に通液する管路を送水用管路2と洗浄用管路11との間で切り替えることができる。すなわち、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64に洗浄液を通すか、送水用管路2(サブ管路4)の水を通すかを、電磁弁14によって切り替えることができる。前者であればパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64の洗浄をおこない、後者であれば、パイロット弁61,63、およびフィルタ62,64によるサブ管路用の減圧弁6の制御がおこなわれる。以下、詳細を、
図2を用いて説明する。
【0043】
図2は、サブ管路用の減圧弁6と、それを制御するパイロット弁61,63、およびフィルタ62,64並びに電磁弁14について、模式的に示す拡大図である。
【0044】
図2に示すように、サブ管路用の減圧弁6には、パイロット弁61およびフィルタ62を有する第1のユニット65と、パイロット弁63およびフィルタ64を有する第2のユニット66とが並列に接続されている。
【0045】
第1のユニット65に具備されるパイロット弁61およびフィルタ62には、送水用管路2のサブ管路4の水が通液する管路と、洗浄用管路11とが繋がっており、どちらの管路からの液体をパイロット弁61およびフィルタ62に通液させるかを、電磁弁14によって切り替えることができる。同じく、第2のユニット66に具備されるパイロット弁63およびフィルタ64には、送水用管路2のサブ管路4と洗浄用管路11とが繋がっており、どちらの管路からの液体をパイロット弁63およびフィルタ64に通液させるかを、電磁弁14によって切り替えることができる。なお、各ユニット65,66のパイロット弁61,63の近傍には、図示しないブルドン管圧力計が設置されている。ブルドン管圧力計は、その水圧を表示することによって、現地にて、サブ管路4の水が通液しているか、洗浄液が通液しているか、が確認できる。サブ管路4の水が通液している場合には、表示された水圧に基づいて、パイロット弁61,63がサブ管路用の減圧弁6の弁の開度を制御する。
【0046】
電磁弁14は、具体的には、
図2~
図4に示すように、第1のユニット65側に7個、第2のユニット66側に7個設けられており、これらを切り替えることで、次の3つのパターンの何れかを実現できる。
【0047】
パターン(1);
第1のユニット65のパイロット弁61およびフィルタ62が洗浄中であると同時に、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64がサブ管路用の減圧弁6を制御している状態である(後述の
図2)。
【0048】
パターン(2);
第1のユニット65のパイロット弁61およびフィルタ62がサブ管路用の減圧弁6を制御しており、これと同時に、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64は洗浄中である状態である(後述の
図3)。
【0049】
パターン(3);
第1のユニット65のパイロット弁61およびフィルタ62も、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64も、サブ管路用の減圧弁6を制御している状態である(後述の
図4)。
【0050】
上述のパターン(1)について
図2を用いて説明する。
図2は、第1のユニット65のパイロット弁61およびフィルタ62が、送水用管路2のサブ管路4に接続されているサブ管路用の減圧弁6を制御しており、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64が洗浄用管路11に接続されていて洗浄液の通液を受けている様子を示している。
【0051】
図2では、第1のユニット65側のパイロット弁61およびフィルタ62と洗浄用管路11との間の流路に設けられた第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cが閉塞状態となっている。そのため、これら第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cの前後の流路は遮断された状態となる。すなわち、洗浄用管路11と、パイロット弁61およびフィルタ62とは非接続状態であり、洗浄液はパイロット弁61およびフィルタ62に通液されない。一方、残りの4つの第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gが開放状態となっている。すなわち、これら第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gの前後の流路は開放された状態となっており、送水用管路2(サブ管路4)と、パイロット弁61およびフィルタ62とが接続状態となっていて、パイロット弁61およびフィルタ62がサブ管路用の減圧弁6を制御する。
【0052】
一方、
図2に示す第2のユニット66では、パイロット弁63およびフィルタ64と洗浄用管路11との間の流路に設けられた第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cが開放状態となっている。これにより、洗浄液がパイロット弁63およびフィルタ64に通液されて、パイロット弁63およびフィルタ64が洗浄される。このとき、パイロット弁63およびフィルタ64と送水用管路2(サブ管路4)との間の流路に設けられた第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gは閉塞状態となっており、遮断されている。すなわち、
図2に示す状態は、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64は、サブ管路用の減圧弁6を制御しない。なお、パイロット弁63およびフィルタ64を通過した洗浄液は
、廃液管9を通じて排出される。
【0053】
上述のパターン(2)について
図3を用いて説明する。
図3に示す状態は、第1のユニット65側においては、パイロット弁61よびフィルタ62と洗浄用管路11との間の流路に設けられた第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cが開放状態となっている。これにより、洗浄液がパイロット弁61およびフィルタ62に通液されて、パイロット弁61およびフィルタ62が洗浄される。このとき、パイロット弁61およびフィルタ62と送水用管路2(サブ管路4)との間の流路に設けられた第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gは閉塞状態となっており、遮断されている。なお、パイロット弁61およびフィルタ62を通過した洗浄液は
、廃液管9を通じて排出される。
【0054】
一方、
図3に示す第2のユニット66では、第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cが閉塞状態となっている。そのため、これら第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cの前後の流路は遮断された状態となる。すなわち、洗浄用管路11と、パイロット弁63およびフィルタ64とは非接続状態であり、洗浄液はパイロット弁63およびフィルタ64に通液されない。一方、残りの4つの第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gが開放状態となっている。すなわち、これら第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gの前後の流路は開放された状態となっており、送水用管路2(サブ管路4)と、パイロット弁63およびフィルタ64とが接続状態となっていて、パイロット弁63およびフィルタ64がサブ管路用の減圧弁6を制御する。
【0055】
上述のパターン(3)について
図4を用いて説明する。
図4に示す状態は、第1のユニット65のパイロット弁61およびフィルタ62も、第2のユニット66のパイロット弁63およびフィルタ64も、サブ管路用の減圧弁6を制御する状態となっている。すなわち、第1のユニット65側も第2のユニット66も、第1、第2、第3の電磁弁14a,14b,14cが閉塞状態となっている一方で、残りの第4、第5、第6、第7の電磁弁14d,14e,14f,14gが開放状態となっている。
【0056】
上述の14個の電磁弁14は、ノーマルオープンタイプ、つまり非通電状態で開放状態となっている電磁弁、とすることができる。しかしこれに限らず、全ての電磁弁14がノーマルクローズタイプ、つまり非通電状態で閉鎖状態となっている電磁弁、としてもよい。このように何れかのタイプとすることで、14個のうちの一部のみに電力を供給すればよく、消費電力を抑えることができる。換言すれば、供給電力量を抑えることができる。
【0057】
本実施形態では、以上の14個の電磁弁14を、
図1に示す電磁弁コントローラ15が制御する。
【0058】
電磁弁コントローラ15は、上述の3つのパターンの何れかになるよう、電磁弁14を制御する。そして、上述のパターン(3)を通常状態として、定期的に各ユニット65,66がそれぞれ洗浄されるように設定すればよい。一例としては、上述のパターン(3)で両ユニット65,66がサブ管路用の減圧弁6を制御し、その72時間毎に、各ユニット65,66がそれぞれ2.5分間洗浄されるように設定するようにしてもよい。このとき、第1のユニット65の洗浄期間と、第2のユニット66の洗浄期間との間には、0.5分間程度のラグを設けると少なくとも一方のユニット65,66によって良好にサブ管路用の減圧弁6を制御できる。
【0059】
電力供給機構16は、太陽光パネル17と、電源コントローラ18と、バッテリー19とを有する。
【0060】
太陽光パネル17は、本実施形態のパイプライン施設1で唯一地上に配設されており、周知の太陽光パネルを採用して構成される。
【0061】
太陽光パネル17は、地下に埋設されている電源コントローラ18の制御を受け、発電し、発電した電力は、バッテリー19にて蓄電する。先述の電磁弁コントローラ15は、バッテリー19から電力の供給を受ける。
【0062】
以上の構成を具備する本実施形態のパイプライン施設1によれば、サブ管路用の減圧弁6を制御するパイロット弁61,63およびフィルタ62,64を洗浄液にて洗浄することができる。これにより、サブ管路用の減圧弁6を分解洗浄する手間がない。また、洗浄システム10は、サブ管路4が設けられた送水用管路2の水を用いることから、外部から洗浄液を供給する配管を設置する必要がなく、洗浄システム10を具備したパイプライン施設1をコンパクトに実現することができる。以上のことから、
図1に示すように地下埋設に最適なパイプライン施設1を実現できる。
【0063】
なお、メイン管路3に接続しているメイン管路用の減圧弁5については、本実施形態では、分解洗浄をおこなうこと想定している。しかしながら、上述のサブ管路用の減圧弁6の2つのユニット65,66のように、パイロット弁とフィルタを有するユニットを並列で接続して、洗浄液を用いて上述の同様に洗浄することも可能である。この場合には、
図1に示す洗浄システム10を共用してもよい。
【0064】
なお、パイロット弁61,63およびフィルタ62,64を通ってこれらを洗浄した洗浄液の廃液は、ストレーナ7に流入する。そのため、炭酸カルシウムスケールや藻によるストレーナ7の目詰まりをも、本実施形態の洗浄システム10は解消できると言える。
【実施例】
【0065】
本発明の一実施例について以下に説明する。
【0066】
図1と同じパイプライン施設1を構築した。ここで、実証実験を開始する前のサブ管路用の減圧弁6を制御するパイロット弁61の写真を
図5に示し、フィルタ62の写真を
図6に示す。
【0067】
実証実験開始前のパイロット弁61には、
図5に示すように、軸に付着物があった(パイロット弁63も同様であった)。この付着物は、白色の固い固形物質であることからカルサイトと呼ばれる炭酸カルシウムスケールを含んでいることがわかった(データ不図示)。また、実証実験開始前のフィルタ62には、
図6に示すように、藻が厚さ5mmの層で付着していた(フィルタ64も同様であった)。
【0068】
洗浄システム10は、注入装置13が目詰まりしないように毎日深夜に一度の逆流洗浄装置12によって逆流洗浄をおこなった。洗浄条件は、酢酸を0.9%重量濃度となるように設定して洗浄液が流れるように構成した。洗浄時間は各ユニットで2.5~10分間とし、それぞれ1週間に1~3度とした。
【0069】
図7は、実証実験開始から約1か月後のパイロット弁61の写真である。また、
図8は、実証実験開始から約1か月後のフィルタ62の写真である。パイロット弁61のほうは、僅かながら付着物が少なくなっていることがわかった。一方で、
図8のフィルタ62は、実証実験開始時点よりも藻が疎らになっていて、大きな削減効果が見られた。
【0070】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、送水用管路2(サブ管路4)に接続された減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)を制御するパイロット弁61,63およびフィルタ62,64に接続された洗浄用管路11であって、当該パイロット弁61,63およびフィルタ62,64を洗浄する洗浄液が通液する洗浄用管路11と、前記送水用管路2(サブ管路4)と前記洗浄用管路11との間で前記パイロット弁61,63およびフィルタ62,64に通液する管路を切り替える電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)と、を備え、前記洗浄用管路11は、前記送水用管路2(サブ管路4)における前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)の設置位置よりも上流の位置に接続されており、当該位置から前記送水用管路2の水を流入させて、当該水を含む前記洗浄液を通す。
【0071】
前記の構成によれば、地下埋設型の減圧弁を格納した農業パイプライン付帯施設に好適な、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システムを実現できる。
【0072】
具体的には、前記の構成によれば、洗浄液によって減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)のパイロット弁61,63およびフィルタ62,64を洗浄するため、減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)を分解洗浄する必要がない。
【0073】
また、前記の構成によれば、洗浄用管路11は送水用管路2における減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)の設置位置よりも上流に接続されており、送水用管路2から流入した水が洗浄液に用いられる構成となっている。そのため、洗浄用配管を別途取付けて外部から水を送る必要がない。これにより、洗浄液専用に別途配管を設置する場合に比べて、シンプルな構成によって洗浄システム10を成立させることができる。
【0074】
また、前記の構成によれば、前記電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)は管路を切り替えるだけの構成であるため、当該電磁弁が必要とする電力は比較的小さい。したがって、大型の電源を設置する必要がなく、コンパクトな洗浄システム10を構築できる。
【0075】
以上のことから、前記の構成によれば、設置空間が限られる地下埋設型の農業パイプラインに好適な、減圧弁の洗浄システムを実現できる。
【0076】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記送水用管路2は、メイン管路3と、当該メイン管路3を迂回するように設けられた当該メイン管路3よりも管径が小さいサブ管路4とを有しており、前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)は、前記サブ管路4に接続されており、前記パイロット弁61,63およびフィルタ62,64は、1つの前記パイロット弁(パイロット弁61,パイロット弁63)と1つの前記フィルタ(フィルタ62,フィルタ64)を有するユニット(第1のユニット65,第2のユニット66)が、前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)に対して並列に複数接続されている。
【0077】
前記の構成によれば、サブ管路の減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)を自動的に洗浄するシステムを構築することができる。
【0078】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)は、少なくとも1つの前記ユニット(第1のユニット65,第2のユニット66)に設けられた前記パイロット弁(パイロット弁61,パイロット弁63)およびフィルタ(フィルタ62,フィルタ64)によって前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)が制御されるよう、且つ任意の時期において、1つの前記ユニット(第1のユニット65,第2のユニット66)に設けられたパイロット弁およびフィルタに前記洗浄液を通液させるとともに当該1つのユニットとは異なる前記ユニット(第1のユニット65,第2のユニット66)によって前記減圧弁が制御されるように、各前記ユニット(第1のユニット65,第2のユニット66)と前記洗浄用管路11との連通の有無を切り替える。
【0079】
前記の構成によれば、前記電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)を具備することにより、前記ユニットのうちの1つのユニット(例えば第1のユニット65)において洗浄をおこなっている間にも、他のユニット(例えば第2のユニット66)が減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)を制御することが可能であり、連続して減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)を良好に制御することが可能である。また、通液の時間や頻度を現場の制御機器で容易に変更可能である。
【0080】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記送水用管路2には、水中に含まれる異物を除去するストレーナ7が配設されており、前記洗浄用管路11は、前記ストレーナ7の配設位置よりも上流の位置に接続されており、当該位置から前記送水用管路2内の水を引き込み、前記パイロット弁61,63およびフィルタ62,64から排出された洗浄液の廃液は、前記ストレーナ7下流の廃液管9に通液される。
【0081】
前記の構成によれば、送水用管路2にストレーナ7が設けられている。これにより、ストレーナ7よりも下流側の管圧はストレーナによる抵抗によって低圧になっている。前記の構成によれば、洗浄用管路11が、減圧弁6の弁体上部の水圧よりも高圧になっている部分に接続されている(洗浄用管路11の上流端部11a)。そのため、洗浄用管路11に水を送り込む装置を用いることなく、送水用管路2から洗浄用管路11に水が自然に流入する構成を実現できる。
【0082】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記洗浄用管路11には、前記送水用管路2から引き込んだ水に、洗浄成分を注入する注入装置13が配設されている。
【0083】
前記の構成によれば、送水用管路2から引き込んだ水を用いて洗浄液を形成することができる。そのため、洗浄液を別の配管を通じて送液する必要がなく、洗浄システム10をシンプルに実現することができる。
【0084】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)を駆動するための電力を生成する太陽光パネル17を更に備える。
【0085】
前記の構成によれば、電源を別途設置する必要がなく、電磁弁14(第1~第7の電磁弁14a~14g)への電力供給が可能となる。
【0086】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記洗浄用管路11には、前記送水用管路2から引き込んだ水をろ過するフィルタを有し、且つ当該フィルタの目詰まりを逆流洗浄して除去する逆流洗浄装置12が配設されている。
【0087】
前記の構成によれば、前記フィルタによって、前記洗浄用管路11を流れる水からゴミを除去することができ、且つ、前記フィルタを逆流洗浄することで、当該フィルタの目詰まりを解消して、長期的にろ過性能を維持することができる。
【0088】
本発明の一態様に係る、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10は、前記の構成に加えて、前記洗浄液が弱酸性を有する。
【0089】
前記の構成によれば、弱酸性を有する洗浄液によって、パイロット弁61,63に固結した炭酸カルシウムスケールや、フィルタ62,64に目詰まりした藻を溶解除去することができる。
【0090】
本発明の一態様に係るパイプライン施設1は、前記の構成の、減圧弁を制御するパイロット弁およびフィルタの洗浄システム10と、前記送水用管路2と、前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)と、を備える。
【0091】
前記の構成によれば、地下埋設型の減圧弁を格納した農業パイプライン付帯施設に好適な、前記洗浄システム10を具備するパイプライン施設1を実現できる。
【0092】
本発明の一態様に係るパイプライン施設1は、前記の構成に加えて、前記洗浄システム10と、当該洗浄システム10周辺の前記送水用管路2と、前記減圧弁(サブ管路用の減圧弁6)とは、地下に埋設されている。
【0093】
前記のようにいわゆる地下埋設型のパイプライン施設を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の一態様としては、地下埋設型の減圧弁を格納した農業用パイプライン附帯施設に利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 パイプライン施設
2 送水用管路
3 メイン管路
4 サブ管路
5 メイン管路用の減圧弁
6 サブ管路用の減圧弁
7 ストレーナ
8 廃液バルブ
9 廃液管
10 洗浄システム
11 洗浄用管路
11a 上流端部
12 逆流洗浄装置
13 注入装置
14 電磁弁
14a~14g 第1~第7の電磁弁
15 電磁弁コントローラ
17 太陽光パネル
61 (第1のユニット65の)パイロット弁
62 (第1のユニット65の)フィルタ
63 (第2のユニット66の)パイロット弁
64 (第2のユニット66の)フィルタ
65 第1のユニット
66 第2のユニット