(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】光変調素子及び位相計測装置
(51)【国際特許分類】
G03H 1/12 20060101AFI20240424BHJP
G01J 9/02 20060101ALI20240424BHJP
G03H 1/20 20060101ALI20240424BHJP
G03H 1/04 20060101ALI20240424BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
G03H1/12
G01J9/02
G03H1/20
G03H1/04
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020089197
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100185225
【氏名又は名称】齋藤 恭一
(72)【発明者】
【氏名】信川 輝吉
(72)【発明者】
【氏名】片野 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】室井 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 延博
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀彦
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/147473(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/054446(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/066771(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/031100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/12
G01J 9/02
G03H 1/20
G03H 1/04
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4×4の16の領域を繰り返し単位とし、各領域に45度ずつ回転角度が異なる4種類の移相子を4個ずつ割り当て、前記繰り返し単位を面内方向に周期的に配置
し、
入射する2つの偏光をそれぞれ4方向に分割し、方向ごとに異なる位相差を有する光波の組を生成することを特徴とする、光変調素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調素子において、4種類の移相子をA,B,C,Dとした時に、4×4の領域の1列目がA,B,C,D、2列目がB,A,D,C、3列目がC,D,A,B、4列目がD,C,B,Aとなるように移相子を割り当てることを特徴とする、光変調素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光変調素子において、4×4の面内方向の一方向の領域の長さの比が1:1:1:1であり、前記方向と直交する方向の領域の長さの比が1:3:1:3であることを特徴とする、光変調素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光変調素子において、前記移相子は、プラズモニック金属又は誘電体を材料とする異方的な形状の構造体を、周期的に配置して構成されることを特徴とする、光変調素子。
【請求項5】
請求項4に記載の光変調素子において、前記プラズモニック金属は、金、銀、アルミニウムのいずれか一つであり、前記誘電体は、シリコン、SiO
2、TiO
2、アモルファスシリコンのいずれか一つであることを特徴とする、光変調素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光変調素子と、前記光変調素子で変調された光が透過する直線偏光子と、前記直線偏光子を透過した光の画像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする、位相計測装置。
【請求項7】
請求項6に記載の位相計測装置において、コヒーレントな光による物体光と参照光を前記光変調素子に入射させることを特徴とする、位相計測装置。
【請求項8】
請求項6に記載の位相計測装置において、インコヒーレントな光を第1分割光と第2分割光に分割し、前記第1分割光と前記第2分割光に互いに異なる位相分布を付与し、前記第1分割光と前記第2分割光を前記光変調素子に入射させることを特徴とする、位相計測装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の位相計測装置において、前記撮像素子により撮像された画像データから4枚の干渉縞を抽出し、前記4枚の干渉縞から位相シフト法により複素振幅分布を求めることを特徴とする、位相計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光変調素子及び位相計測装置に関し、特に、コヒーレント或いはインコヒーレントな電磁波(特に、光)を空間的に変調する光学素子、及び、干渉計等の位相計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体で反射、回折、或いは透過し、伝搬してきた電磁波、特に光の位相分布を検出することができれば、その物体の3次元形状、3次元位置、屈折率分布等を計測することが可能となる。このことから、工業、医療、映像分野それぞれで、実用的な位相計測技術の開発が求められている。さまざまな位相計測技術が提案されている中で、波の性質である干渉・回折の現象を利用した干渉計測の技術或いはデジタルホログラフィの技術は、高精度な位相計測が可能であるため着実に実用化が進められ、さまざまな分野で導入が進んでいる。
【0003】
干渉計測或いはデジタルホログラフィでは、物体から伝搬してきた電磁波(光)である物体光と、参照光との干渉縞を撮像素子により撮影し、その干渉縞に対してコンピュータを用いて演算を適用することにより位相分布を計測することができる。さらに、この位相分布に対して、伝搬に基づく演算を適用することにより、物体の3次元情報や屈折率分布を再構成することができる。一般的に、位相分布を高精度に計測するためには、物体光又は参照光の位相をシフトさせて、3枚もしくは4枚の縞の明暗の位置が異なる干渉縞を撮影し、これら複数枚の干渉縞に対して、位相シフト法のアルゴリズムに基づく演算を行う必要がある。これまでに逐次的に位相をシフトさせて干渉縞を撮影する干渉系が多く提案されているが、この方法では動的な現象・物体の撮影が困難である。
【0004】
この問題を解決するために、位相計測に必要な複数の干渉縞を同時に撮影可能なシングルショットの位相シフト法が提案されている。特許文献1,2及び非特許文献1では、偏光子アレイを用いたシングルショット位相シフト法が提案されている。例えば、特許文献3,4に記載されているように、偏光子アレイは、撮像素子の画素サイズと対応するように画素構造を有しており、隣接する画素毎に、透過軸が0度、45度、90度、135度、の異なる4種類の偏光子が配置されている。この偏光子アレイは、主に偏光状態の計測に用いられるが、以下に述べるように位相計測にも応用できる。物体光と参照光の偏光状態を互いに直交する円偏光とし、これらを偏光子アレイに入射させることにより、偏光子の透過軸に対応した位相シフト量が異なる4種類の干渉縞が得られる。この干渉縞に対して、デモザイク処理を適用することで、位相シフト量が異なる4枚の干渉縞が得られる。特許文献1及び非特許文献1では、コヒーレント光を撮影対象とした場合の干渉系が記載されており、特許文献2では、インコヒーレント光を光源として用いた場合の干渉系が記載されている。
【0005】
例えば、非特許文献1では、1枚の市松状回折格子と4領域分割移相子と直線偏光子を用いたシングルショット位相シフト法が提案されている。特別に設計された3つの光学素子を組み合わせることで、コヒーレント光を光源とした光を4方向に分割し、位相シフト量が異なる4枚の干渉縞の形成を可能としている。
【0006】
また、特許文献5では、2枚の市松状回折格子を用いたシングルショット位相シフト法が提案されている。この技術では、2枚の市松状回折格子を面内方向に適切にずらして配置させることにより、4種類の異なる位相シフト量が与えられた4枚の干渉縞を得ることができる。したがって、特許文献1,2と同様に、1回の撮影で複数の干渉縞を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4294526号公報
【文献】特許第6245551号公報
【文献】国際公開2004/008196号
【文献】特開2009-156712号公報
【文献】特開2019-144520号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】N. Brock, J. Hayes, B. Kimbrough, J. Millerd, M. North-Morris, M. Novak, J. C. Wyant, “Dynamic interferometry,” Novel Optical System Design and Optimization VIII, vol. 5875, pp. 101-110, (2005)
【文献】B. Wang, F. Dong, Q. Li, D. Yang, C. Sun, J. Chen, Z. Song, L. Xu, W. Chu, Y. Xiao, Q. Gong, and Y. Li, “Visible-frequency dielectric metasurfaces for multiwavelength achromatic and highly dispersive holograms,” Nano. Lett., vol. 16, pp. 5235-5240, (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1,2の偏光子アレイを用いる従来技術では、隣接画素間で、測定対象の物体からの光の波面の変化量は十分に小さいとみなすことで、位相シフト法を適用することができ、1回の撮影で立体情報を再構成するために必要な位相情報を得ることができる。しかし、この手法では、隣接画素間で光の波面の変化量が微小である必要があるため、撮影される干渉縞の分解能が撮像素子の分解能よりも低くなり、結果的に再構成像の分解能が低下する。例えば、4種類の位相シフト量0,π/2,π,3/2π [rad]を与える場合には、干渉縞の分解能が撮像素子の分解能の1/4倍程度(縦方向に1/2×横方向に1/2)となってしまう。また、撮像素子の各画素に直線偏光子の役割をもたせる必要があるため、画素ピッチの微細化と光利用効率の改善を両立することが困難であるだけでなく、適用可能な撮像素子の仕様に制限がある。
【0010】
また、非特許文献1の技術では、市松状回折格子、4領域分割移相子、及び直線偏光子の3つの素子を用いる方法が提案されているが、4枚の干渉縞を取得するために少なくとも3つの素子が必要であり、光学系が大型になる原因となる。また、素子の数が増えることで、各素子に光が入射する際に、必ずフレネル反射による光の損失、及び吸収が生じ、光利用効率が低下する。さらに、各素子で光の入射角に応じた複雑な収差が発生し、これが、位相計測精度を低下させてしまう。
【0011】
また、特許文献5の2枚の市松状回折格子を用いた従来技術では、2枚の素子を配置するために、高精度な位置合わせ技術が必要であり、光学系の構築の難易度が非常に高い。さらに、2枚の回折光学素子を用いる必要があるため、基本的に2光路の干渉計を用いる必要があり、干渉縞撮影時に空気の揺らぎや振動の影響を受けやすく、位相情報の検出精度が低下する課題がある。また、特許文献5の技術はインコヒーレントな光を用いた場合にしか用いることができない。
【0012】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、従来、複数の光学素子の組み合わせで実現していた機能を単一素子で実現することのできる光変調素子を提供することにある。また、光学素子の数を減らすことで光の反射・吸収・収差等の発生を抑制でき、高精度でかつ小型な位相計測装置を提供することにある。なお、ここで位相計測装置とは、干渉計及びホログラム(干渉縞)撮影装置を含む、位相を検出・計測する任意の装置である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係る光変調素子は、4×4の16の領域を繰り返し単位とし、各領域に45度ずつ回転角度が異なる4種類の移相子を4個ずつ割り当て、前記繰り返し単位を面内方向に周期的に配置し、入射する2つの偏光をそれぞれ4方向に分割し、方向ごとに異なる位相差を有する光波の組を生成することを特徴とする。
【0014】
また、前記光変調素子は、4種類の移相子をA,B,C,Dとした時に、4×4の領域の1列目がA,B,C,D、2列目がB,A,D,C、3列目がC,D,A,B、4列目がD,C,B,Aとなるように移相子を割り当てることが望ましい。
【0015】
また、前記光変調素子は、4×4の面内方向の一方向の領域の長さの比が1:1:1:1であり、前記方向と直交する方向の領域の長さの比が1:3:1:3であることが望ましい。
【0016】
また、前記光変調素子は、前記移相子が、プラズモニック金属又は誘電体を材料とする異方的な形状の構造体を、周期的に配置して構成されることが望ましい。
【0017】
また、前記光変調素子は、前記プラズモニック金属が、金、銀、アルミニウムのいずれか一つであり、前記誘電体が、シリコン、SiO2、TiO2、アモルファスシリコンのいずれか一つであることが望ましい。
【0018】
上記課題を解決するために本発明に係る位相計測装置は、前記光変調素子と、前記光変調素子で変調された光が透過する直線偏光子と、前記直線偏光子を透過した光の画像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記位相計測装置は、コヒーレントな光による物体光と参照光を前記光変調素子に入射させることが望ましい。
【0020】
また、前記位相計測装置は、インコヒーレントな光を第1分割光と第2分割光に分割し、前記第1分割光と前記第2分割光に互いに異なる位相分布を付与し、前記第1分割光と前記第2分割光を前記光変調素子に入射させることが望ましい。
【0021】
また、前記位相計測装置は、前記撮像素子により撮像された画像データから4枚の干渉縞を抽出し、前記4枚の干渉縞から位相シフト法により複素振幅分布を求めることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の光変調素子によれば、従来、複数の光学素子の組み合わせで実現していた機能を単一素子で実現することができる。また、本発明の位相計測装置によれば、光の反射・吸収・収差等の発生を抑制でき、高精度の位相検出と小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】光変調素子の移相子を実現するための構造体の例を示す図である。
【
図4】
図3(a)の構造体を用いる場合における、各領域の移相子の例である。
【
図6】
図3(b)の構造体を用いる場合における、各領域の移相子の例である。
【
図7】
図3(b)の構造体を用いる場合における、各領域の移相子の別の例である。
【
図8】コヒーレント光及び透過型の光変調素子を用いた位相計測装置の光学系の例である。
【
図9】コヒーレント光及び透過型の光変調素子を用いた位相計測装置の光学系の別の例である。
【
図10】コヒーレント光及び反射型の光変調素子を用いた位相計測装置の光学系の例である。
【
図11】インコヒーレント光及び透過型の光変調素子を用いた位相計測装置の光学系の例である。
【
図12】直方体の構造体のパラメータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の光変調素子の一例を示す図である。光変調素子1は、移相子を周期的に配置した移相子アレイの構造を有している。
図1の右側が光変調素子の全体図であり、左側がその一部の拡大図であって、繰り返し単位である4×4の16の移相子の領域を示している。
【0026】
光変調素子1は互いに異なる偏光変換特性を有する4種類の移相子から構成されており、4種類の移相子をA,B,C,Dとした時に、4×4の領域の1列目がA,B,C,D、2列目がB,A,D,C、3列目がC,D,A,B、4列目がD,C,B,Aとなるように移相子を割り当てる。各移相子の領域の1辺の大きさは、使用する電磁波の波長にも依存するが、数百nm~数十μm程度である。
【0027】
各移相子の偏光変換特性は、ジョーンズ行列が次式(1)で表される移相子を基準として、45度ずつ回転角度をずらした式(2)~(4)のジョーンズ行列の4種類の特性となるように構成するのが望ましい。なお、式(1)は、位相Δの移相板に対し、前後にφの回転行列を掛けたものである。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
ここで、αは素子の厚さ・屈折率・吸収係数等で定まる複素数の定数、iは虚数、φは基準となる任意の回転角度、Δは波長λにおける位相のずれ量である。例えば、
図1中のA,B,C,Dの特性はそれぞれ、J
φ+0,J
φ+45,J
φ+90,J
φ+135に対応している。なお、A→B→C→Dの順番で、45度ずつ回転角度がずれた移相子が割り当てられればよいため、A,B,C,Dをそれぞれ、J
φ+135,J
φ+90,J
φ+45,J
φ+0や、J
φ+90,J
φ+135,J
φ+180(=J
φ+0),J
φ+135(=J
φ+45)と割り当ててもよい。
【0033】
図1の各領域のx方向、y方向の大きさは、任意に設定可能であるが、本実施形態においては、x方向の大きさをLxで一定とし、y方向の大きさに関してはLy,3Lyの繰り返しとする。なお、x方向とy方向が転置してもよい。すなわち、4×4の面内方向の一方向の領域の長さの比が1:1:1:1であり、これと直交する方向の領域の長さの比が1:3:1:3である。この設定は、2種類の市松状移相板(位相変化を与える領域が市松状に配置された光学素子)を、x方向に1マスの1/2、y方向に1マスの1/4ずらして重ねた構造と等価である。
【0034】
以上の設定にすることで、光変調素子1は、入射した直交する2つの偏光をそれぞれ均等に4方向に分割し、さらに、2つの偏光に互いに反対の位相シフト(例えば、+45°と-45°)を与えることにより、4方向の分割光にπ/2ずつずれた4種類の位相シフト量を与えることができる。なお、本実施形態の設定からずれた場合であっても4種類の位相シフト量に分割することは可能であるが、位相シフト量のずれがπ/2と異なる値となったり、分割方向が均等でなくなったりするため、後の解析を効率的に行うためには、本実施形態の設定値が望ましい。
【0035】
移相子を実現する材料物質としては、金、銀、アルミニウムなどのプラズモニクスの分野でよく用いられる金属(プラズモニック金属という。)、或いはシリコン、SiO2、TiO2、アモルファスシリコンなどの誘電体、もしくは液晶分子などの有機材料を用いる。金属材料を用いた場合は、反射型の光変調素子1を作製することができる。また、誘電体又は有機材料を用いた場合は、透過型の光変調素子1を作製することができる。
【0036】
具体的には、それぞれの物質から、楕円、長方形、V字など、x方向とy方向との間に対称性がない、つまり(円形や正方形、八角形ではない)異方的な形状を有する構造体を、ナノインプリント、電子線描画装置等、リソグラフィの技術により形成し、構造複屈折或いは、メタサーフェスとして移相子を作製する。液晶などの有機高分子材料の場合には、配向方向をそろえて膜圧を適切に調整し、偏光回折光学素子として作製する。なお、構造体と移相子の偏光変換特性の関係は、例えば、非特許文献2等に記載されるように公知である。
【0037】
以上によりJφ+0,Jφ+45,Jφ+90,Jφ+135の各移相子を実現できる。なお、光利用効率の観点からΔ=π+2nπ(nは整数)となるように材料の選定及び構造を設計することが望ましい。
【0038】
上述の4種類の移相子を周期的に配列した光変調素子1により、従来は複数の光学素子を用いていた、2つの偏光を4種類の位相シフト量で4方向に分割する機能を、1つの素子で実現することができる。
【0039】
図2は、
図1の光変調素子1を用いた、本発明の位相計測装置の概念図である。移相子を周期的に配置した光変調素子1の背後(光の進行方向を基準に後側)に、直線偏光子2を配置する。これらの素子は、密着して設置してもよいし、密着していなくてもよい。光変調素子1と直線偏光子2を接着し、一体化した素子として取り扱うこともできる。光高効率の観点からは接着させて、密着させた素子を用いる方が望ましい。直線偏光子2は、光変調素子1で変調された光が透過する。位相計測装置は、さらに、直線偏光子2を透過した光の画像(位相差画像)を撮像する撮像素子3を備える。なお、受光した画像データを解析する演算装置4をさらに備えてもよい。
【0040】
コヒーレントな光源を用いる場合、測定対象である物体光5、それに加えて参照光6を光変調素子1に入射させる。物体光5と参照光6の偏光状態は直交しているのが望ましい。上述の光学素子1,2を通過した後、物体光5と参照光6がそれぞれ4方向に分割されて伝搬し、撮像素子3の撮像面上で位相シフト量が0,π/2,π,3π/2 [rad]の4枚の干渉縞が形成される(なお、
図2では、光が上下方向の2方向に分割されているが、実際には、左右方向にも分割され、4つの像が生じる。
図14参照。)。これを1枚の画像として撮像素子3により撮影し、この干渉縞を演算装置4に入力する。1枚の撮影画像から、4枚の干渉縞を抽出し、4ステップ位相シフト法のアルゴリズムに基づく演算を適用することで、位相分布を計測することができる。撮影対象物体の3次元情報を再構成したい場合には、伝搬計算を適用すればよい。
【0041】
インコヒーレントな光源を用いる場合には、上述の物体光5と参照光6をそれぞれ、自己干渉に用いる第1分割光、第2分割光に置き換えて考えれば、物体の3次元情報を再構成するために必要な位相分布が、上述と同様の手順で検出できる。
【0042】
本発明の位相計測装置は、特許文献1,2の従来技術と異なり、撮像素子の分解能で干渉縞を取得でき、比較的に高い分解能で立体像を再構成することができる。また、偏光子アレイが必要ではないため、空間解像度の優先、フレームレートの優先、階調数の優先というように、目的、撮影対象に応じて、所望の仕様を満たす撮像素子を自由に、かつ容易に選定・変更することができる。
【0043】
また、本発明の位相計測装置は、特許文献5や非特許文献1の従来技術と異なり、移相子を周期的に配置した1枚の光変調素子1と1枚の偏光子2で光学系を構築でき、小型化に有効であることはもちろん、収差の発生を抑制でき、光学素子での反射・吸収の抑制により、光利用効率を改善することができる。
【0044】
以上から、本発明は、移相子を周期的に配置した光変調素子1により、実用的な位相計測装置を提供することができる。
【0045】
次に、本発明の移相子を周期的に配置した光変調素子1を実施するための素子構造について説明する。
【0046】
図3は、光変調素子1の移相子を実現するための構造体の例である。各構造体は、光の波長より小さいサイズで形成される微細構造体である。(1)式のジョーンズ行列を実現する構造体としては種々のものがあり、
図3(a)のように周期的な溝を有しているものや、
図3(b)のような長方形のもの、
図3(c)のような楕円形のもの、
図3(d)のようなL字もしくはV字のもの、または
図3(e)のように2つの長方形で構成されるものがある。使用波長や、材料、加工プロセスにより、構造体の具体的な大きさは様々に変化する。材料としては、金、銀、アルミニウムなどのプラズモニック金属、或いはシリコン、SiO
2、TiO
2、アモルファスシリコンなどの誘電体、もしくは液晶分子などの有機高分子材料を用いる。
【0047】
なお、各構造体を設計通りに加工できることが光利用効率の観点から望ましいが、加工精度上の課題で、構造物の角の再現性等が悪く、アスペクト比が設計値からずれることが起こり得る。しかし、構造体の形状の誤差は本発明の移相子を周期的に配置した光変調素子の機能を損なうものではなく、面内方向で異方的な形状が加工できていれば、位相検出技術に応用可能である。
【0048】
図4に、
図3(a)の構造体を用いる場合における、
図1のA,B,C,Dの各領域の移相子の例を示す。各領域で45度間隔で構造物が回転していることがわかる。この構造により、A→B→C→Dの順番で、45度ずつ回転角度がずれた移相子が実現される。
【0049】
また、
図5は、
図4のA,B,C,Dの移相子を用いて、
図1の光変調素子1を構成したときの、4×4の領域(繰り返し単位)の概念図である。
【0050】
図6に、
図3(b)の構造体を用いる場合における、
図1のA,B,C,Dの各領域の移相子の例を示す。構造体を
図6のように正方格子状に配置させ、各領域間で45度ずつ構造物を回転させることでA,B,C,Dの移相子を構成する。
【0051】
また、
図7に、
図3(b)の構造体を用いる場合における、A,B,C,Dの各領域の移相子の別の例を示す。構造体を
図7のように六方格子状に配置させ、各領域間で45度ずつ構造物を回転させることでA,B,C,Dの移相子を構成してもよい。
【0052】
図3(c)、
図3(d)、
図3(e)の各構造体を用いた場合でも、
図6又は
図7のように配置することで、4種類の移相子として用いることができる。
【0053】
光変調素子1を用いた、本発明の位相計測装置の光学系の構成例について説明する。
図8、
図9に、コヒーレント光を用い、透過型の光変調素子を用いた位相計測装置の光学系の例を示す。光学系は、光変調素子1、直線偏光子(以下、単に「偏光子」という。)2、撮像素子3に加えて、レーザ光源7、スペイシャルフィルタ8、レンズ9、偏光ビームスプリッタ10、4分の1波長板11、ミラー13を備えている。
【0054】
図8の光学系では、レーザ光源7から出力されたレーザ光の偏光状態を、偏光子2により、45°の直線変調とし、これをスペイシャルフィルタ8とレンズ9により平面波とする。平面波を偏光ビームスプリッタ10により2つに分割する。これにより物体光と参照光の偏光状態が直交した直線偏光となる。物体光は偏光ビームスプリッタ10で反射し、4分の1波長板11を通過して、撮影対象物体12に向かって進む。
図8では、物体光は撮影対象物体12で反射し、物体の位相情報を得て、再び4分の1波長板11を通過して、偏光ビームスプリッタ10に入射する。一方、参照光は偏光ビームスプリッタ10を透過し、4分の1波長板11を通過して、ミラー13で反射し、再び4分の1波長板11を通過して、偏光ビームスプリッタ10に入射する。物体12からの物体光は偏光ビームスプリッタ10を透過し、ミラー13からの参照光は偏光ビームスプリッタ10で反射し、両者は合波されて光変調素子(移相子を周期的に配置した素子)1に進む。物体光と参照光は、光変調素子1によりそれぞれ4方向に分割されると共に、方向ごとに異なる位相差を有する光波の組となり、さらに偏光子2で偏光方向が揃えられて、撮像素子3の撮像面に、4つの干渉縞を生じる。
【0055】
図8の例では、4分の1波長板11に2回光波が通過するようにしており、結果的に2分の1波長板として機能し、物体光と参照光のそれぞれの直線偏光を90°回転させる。このことにより偏光ビームスプリッタ10で合波する際に、光の不要な透過や反射を低減し、光のエネルギーの損失を少なくしている。
【0056】
図9の光学系では、レーザ光源7から出力されたレーザ光の偏光状態を、偏光子2により、45°の直線変調とし、これをスペイシャルフィルタ8とレンズ9により平面波とする。平面波を第1の偏光ビームスプリッタ10により2つに分割する。これにより物体光と参照光の偏光状態が直交した直線偏光となる。物体光は第1の偏光ビームスプリッタ10で反射し、ミラー13で反射し、撮影対象物体12を透過し、物体の位相情報を得て、第2の偏光ビームスプリッタ10に入射する。一方、参照光は第1の偏光ビームスプリッタ10を透過し、ミラー13で反射し、第2の偏光ビームスプリッタ10に入射する。物体12からの物体光は第2の偏光ビームスプリッタ10で反射し、ミラー13からの参照光は第2の偏光ビームスプリッタ10を透過し、両者は合波されて光変調素子1に進む。最後に、光変調素子(移相子を周期的に配置した素子)1と偏光子2により物体光と参照光をそれぞれ変調することで、それぞれ異なる位相差を有する4方向の物体光と参照光の組を生成し、撮像素子3の撮像面上で4つの干渉縞を形成する。これらの干渉縞を解析することにより、位相分布を計測することができる。
【0057】
図10に、コヒーレント光を用い、反射型の光変調素子1を用いた位相計測装置の光学系の例を示す。
図9の光学系と比較すると、さらにビームスプリッタ15(偏光ビームスプリッタ10ではない偏光に無依存のもの)を配置し、光変調素子1を反射型として構成した点が異なっている。
【0058】
レーザ光源7から出力されたレーザ光が、偏光子2、スペイシャルフィルタ8、レンズ9を通過し、第1の偏光ビームスプリッタ10で分割され、ミラー13を経由し、撮影対象物体12を透過した物体光と、参照光が第2の偏光ビームスプリッタ10に入射するまでは
図9と同じである。第2の偏光ビームスプリッタ10で合波された物体光と参照光は、偏光に無依存のビームスプリッタ15を透過し、移相子を周期的に配置した反射型の光変調素子1に入射し、反射する。このとき、物体光及び参照光は、光変調素子1によりそれぞれ4方向に分割されると共に、方向ごとに異なる位相差を有する光波の組となって反射し、ビームスプリッタ15により撮像素子3の方向に反射され、さらに偏光子2で偏光方向が揃えられて、撮像素子3の撮像面に、4つの干渉縞を生じる。このように、反射型の光変調素子1で変調された場合も、反射された光波により撮像素子3で干渉縞の検出が可能である。
【0059】
図11は、インコヒーレント光を用い、透過型の光変調素子1を用いた位相計測装置の光学系の例である。本光学系では、
図8、
図9の例とは異なり、物体光と参照光の区別は存在しない。光学系は、レンズ9、バンドパスフィルタ16、偏光子2、偏光回折光学素子17、光変調素子1、偏光子2、及び撮像素子3を備える。撮影対象物体12からの反射光、透過光、或いは回折光等、インコヒーレントな光は、レンズ9とバンドパスフィルタ16を透過する。バンドパスフィルタ16は、インコヒーレントな光波の特定の帯域の光のみを透過させ、時間的コヒーレンスを向上させる。透過する光の波長幅は、例えば、1nm~100nmであり、透過波長幅が狭い方が望ましい。バンドパスフィルタ16を透過した光は偏光子2により直線偏光となって、偏光回折光学素子17に入射する。
【0060】
偏光回折光学素子17は、入射された直線偏光を第1分割光と第2分割光に分割する光学素子であり、本実施形態では、「偏光ディレクトフラットレンズ」又は「偏光回折レンズ」と呼ばれるものを使用する。偏光回折光学素子17は、入射光の偏光状態に応じて焦点距離が変化するレンズであって、直線偏光を入射させることによって、偏光状態が円偏光で焦点距離がfdの収束球面波と、この光波と逆回りの円偏光で焦点距離が-fdの発散球面波を同時に生成することができる。偏光状態が右回り円偏光のものを第1分割光L1、左回り円偏光のものを第2分割光L2とする。偏光回折光学素子17は、第1分割光L1と第2分割光L2にそれぞれ符号が逆の曲率を有する球面位相を付与する。したがって、第1分割光L1と第2分割光L2は互いに異なる位相分布となる。これらの光波(L1,L2)を、光変調素子1に入射させる。
【0061】
光変調素子(移相子を周期的に配置した素子)1により、第1分割光L1と第2分割光L2はそれぞれ4方向に分割されると共に、方向ごとに異なる位相差を有する光波の組となり、さらに偏光子2で変調することで、撮像素子3の撮像面に、4つの干渉縞を生じる。これらの干渉縞を解析することにより、位相分布を計測することができる。
【0062】
なお、インコヒーレント光源を用い、反射型の光変調素子1を用いた場合の光学系については、
図10と同様に、ビームスプリッタ15を用いることで光学系を構築できる。
【0063】
以上のように、使用する光源や光学系が異なっていても、移相子を周期的に配置した光変調素子1、偏光子2、撮像素子3の配置は固定であり、本発明の適用可能な光学系は上述のものに限定されない。干渉系の位相測定装置であれば、本発明を適用可能である。
【0064】
(像再構成処理及びその検証)
図11に示すインコヒーレント光の光学系に基づき、本発明の位相計測装置によって干渉縞を撮影し、像を再構成した結果を以下に示す。
図2の演算装置4が、撮像素子3で得られた干渉縞の画像データに基づいて、像再構成処理を行う。
【0065】
光源の中心波長は633nmとし、移相子を実現する構造としては非特許文献2に記載の直方体構造とした。
図12に直方体の構造体のパラメータ(設計値)の例を示す。SiO
2の材料の370nm×370nmの領域に、105nm×145nm×320nmのSiの直方体を形成させた。本構造は、電子線描画装置等により作製可能である。この構造を
図6のように正方格子状に配置することで、
図1の移相子を周期的に配置した光変調素子1を作製した。なお、Lx=12μm、Ly=3μmとした。
【0066】
図13に、測定対象物体とした“1”,“2”,“3”の物体とそれらの位置関係を示す。“1”,“2”,“3”の物体の大きさはそれぞれ、90μm×150μm、108μm×150μm、108μm×150μmである。“1”の物体を基準(原点)とすると、“2”,“3”の物体の面内方向の中心位置は、それぞれ(x=-336μm,y=306μm)、(x=66μm,y=336μm)である。また、物体“1”と“2”の間、物体“2”と“3”の間の奥行(z)方向の距離は、それぞれ30mmである。なお、
図13の各画面は概念的なものであり、物体“1”,“2”,“3”が上記の位置で光を反射又は発光し、他の領域(黒で示されている。)は透光性であればよい。これらを3次元物体として、本発明の位相計測装置で撮影・計測した。以下、各図の画像は、シミュレーションで作成した。
【0067】
撮像素子3で撮影した画像データ(強度画像)を
図14に示す。
図14より、縞の明暗の位置が異なる4つの干渉縞(ホログラム)が形成されていることがわかる。演算装置4より、
図14の強度画像から4枚の干渉縞を抽出する。この際に、4枚の干渉縞に面内ずれが生じないように、正確に抽出する必要がある。このため、干渉縞の位置関係を正確に把握するために、位相限定相関の演算を用いる。
図14の4つの干渉縞の内、任意の1つの干渉縞を、ケラレが生じないように切り出し、これをテンプレート画像t(x,y)とする。
図14の強度画像をi(x,y)とすると、位相限定相関の演算は、次の(5)式で与えられる。
【0068】
【0069】
ここで、I(u,v)、T(u,v)はそれぞれi(x,y)、t(x,y)のフーリエスペクトルであり、*は複素共役を示す。FT[…]はフーリエ変換演算子である。なお、(5)式においては、逆フーリエ変換を行っても、実質的に同等である。演算の結果、p(x,y)には、4つ各干渉縞の中心位置に明確なピークが生じる。p(x,y)のピーク位置から、4つの干渉縞の相対的な位置情報を取得する。この位置情報を参照することにより、面内ずれを十分に抑制でき、4枚の個別の干渉縞を正確に抽出することができる。
【0070】
得られた4枚の干渉縞は、それぞれ、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2 [rad]の干渉縞(ホログラム)の画像である。以降の画像処理においては、例えば、各画像の中心を原点として、位置合わせされた各画像の(x,y)座標に基づいて処理を行う。
【0071】
これらの干渉縞の干渉パターン強度Iに対して、4ステップの位相シフト法のアルゴリズムである、次式(6)を適用することにより、複素振幅分布U(x,y)を求める。
【0072】
【0073】
ここで、I0、Iπ/2、Iπ、I3π/2はそれぞれ、位相シフト量が0、π/2、π、3π/2 [rad]の干渉縞である。U(x,y)には、撮影対象物体12の3次元情報を再構成するために必要な位相分布が含まれている。
【0074】
図15に、求められたU(x,y)の(a)振幅分布と(b)位相分布をそれぞれ示す。このU(x,y)に対して、伝搬計算を適用することにより任意のz面における光分布を再構成することができる。伝搬計算は次式(7)により与えられる。
【0075】
【0076】
ここでFT-1[…]は逆フーリエ変換演算子である。λは光源の波長である。撮影対象物体の奥行方向の配置位置zsが既知の場合に、撮影対象物体にフォーカスが合った像を得るためには、(7)式のzrを以下の(8)式に従うように設定すればよい。
【0077】
【0078】
ここで、fdは偏光回折光学素子(偏光回折レンズ)の焦点距離、zhは偏光回折光学素子と撮像素子の間の距離であり、zdは、次の(9)式により与えられる。
【0079】
【0080】
f
0はレンズ9の焦点距離であり、dはレンズ9と偏光回折光学素子17の間の距離である。
図11の光学系を用いた本実施例では、f
0=200[mm]、d=0[mm]、f
d=200[mm]、z
h=300[mm]としている。“1”,“2”,“3”の配置位置z
s=270,300,330[mm]の情報を参照し、(7)式を適用して対象物体を再構成した結果を
図16に示す。
【0081】
図16を参照すると、“1”,“2”,“3”の物体のそれぞれにフォーカス位置を合わせることに成功していることがわかる。物体“1”にフォーカス位置を合わせた場合には、物体“2”と物体“3”の像がぼやける。同様に、物体“2”、物体“3”のそれぞれにフォーカス位置を合わせた場合には、フォーカス位置と異なる面に配置された物体の像がぼやける。以上のように、本発明により従来より少ない光学素子により光学系を実現でき、一度の撮影で3次元情報を撮影・再構成することが可能である。
【0082】
上記の実施形態では、位相計測装置の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、位相計測方法及び像再構成方法として構成されてもよい。
【0083】
なお、上述した位相計測装置の演算装置4として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、演算装置4の各演算手順を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0084】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成要素を1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成要素を分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、立体映像のカメラとして用いることができ、蛍光3次元顕微鏡など、干渉計測・分析装置等に応用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 光変調素子
2 直線偏光子
3 撮像素子
4 演算装置
5 物体光
6 参照光
7 レーザ光源
8 スペイシャルフィルタ
9 レンズ
10 偏光ビームスプリッタ
11 4分の1波長板
12 撮影対象物体
13 ミラー
15 ビームスプリッタ
16 バンドパスフィルタ
17 偏光回折光学素子