(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】シリコンのドライエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240424BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H05H1/46 L
(21)【出願番号】P 2020133374
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】土居 謙太
(72)【発明者】
【氏名】作石 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】森川 泰宏
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-063866(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102140(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/217132(WO,A1)
【文献】特開2019-004057(JP,A)
【文献】特開2018-166223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0068852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板表面
にアスペクト比の
異なる凹部パターンを
エッチングレートの差なく形成するドライエッチング方法であって、
前記シリコン基板上に開口
パターンを有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに応じて、第1ガスを導入して前記シリコン基板にデポ層を形成するデポ工程と、
前記マスクパターンに応じて、第2ガスを導入して前記シリコン基板にドライエッチング処理をおこなうドライエッチング工程と、
第3ガスを導入してアッシング処理するアッシング工程と、
を有し
、
前記アッシング工程において、前記マスクパターンにおける前記開口パターンの内縁に付着した前記デポ層を除去し、
前記アッシング工程を、前記ドライエッチング工程の後におこない、
前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを繰り返しておこない、
前記アッシング工程を、前記デポ工程の前におこなう、
ことを特徴とするシリコンのドライエッチング方法。
【請求項2】
前記アッシング工程と前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを、同一のチャンバ内でおこなう、
ことを特徴とする請求項1記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項3】
前記アッシング工程において、前記第3ガスが酸素ガスを含む
ことを特徴とする請求項1記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項4】
前記アッシング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される
ことを特徴とする請求項
3記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項5】
前記マスクパターン形成工程で形成される前記マスクパターンが、前記アッシング工程による処理で除去されないハードマスクである
ことを特徴とする請求項
3記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項6】
前記デポ工程において、前記第1ガスがフルオロカーボンを含む
ことを特徴とする請求項1記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項7】
前記デポ工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される
ことを特徴とする請求項
6記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項8】
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化硫黄を含む
ことを特徴とする請求項1記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項9】
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスが酸素を含む
ことを特徴とする請求項
8記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項10】
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化シリコンを含む
ことを特徴とする請求項
9記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項11】
前記ドライエッチング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される
ことを特徴とする請求項
8記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項12】
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板に対向配置される電極に対して前記シリコン基板表面の中央部と周縁部とで周波数の異なる交流電圧を印加して誘導結合プラズマを発生させて処理する
ことを特徴とする請求項
4,
7,
11のいずれか1項に記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項13】
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板表面の中央部に印加する交流電圧の周波数よりも、前記シリコン基板表面の周縁部に印加する周波数を低く設定する
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項14】
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、
前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項15】
前記デポ工程、前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、前記シリコン基板表面の周縁部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項16】
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板にバイアス電力を印加するとともに、
前記ドライエッチング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力が、
前記アッシング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力よりも低いか同じに設定される、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項17】
前記アッシング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項18】
前記ドライエッチング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項19】
その内部の減圧が可能で、前記内部で被処理体に対してプラズマ処理されるように構成されるチャンバと、
前記チャンバ内に配され、前記被処理体を載置する平板状の第一電極と、
前記第一電極に対して、第一の周波数λ1のバイアス電圧が印加されるように構成された第一の電源と、
前記チャンバ外に配置され、前記チャンバの上蓋を挟んで、前記第一電極と対向し、かつ、中央部に配置された螺旋状の第二電極、及び、前記第二電極より外周部に配置された螺旋状の第三電極と、
前記第二電極に対して、第二の周波数λ2の交流電圧を印加する第二の高周波電源と、 前記第三電極に対して、第三の周波数λ3の交流電圧を印加する第三の高周波電源と、 前記チャンバ内にフッ素を含有するプロセスガスを導入するガス導入手段と、
を備え、
前記チャンバ内において、前記チャンバの上蓋側、かつ、前記第一電極と対向する位置に、スパッタリング用の固体ソースを有するプラズマ処理装置によって、
前記異方性プラズマ処理をおこなう際に、
前記第二の周波数λ2と前記第三の周波数λ3が、λ2>λ3の関係にある場合は、 前記ガス導入手段が前記上蓋の中央部に配置されている、
ことを特徴とする請求項
12記載のシリコンのドライエッチング方法。
【請求項20】
シリコン基板表面
にアスペクト比の
異なる凹部パターンを
エッチングレートの差なく形成するドライエッチング方法であって、
前記シリコン基板上に開口
パターンを有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに応じて、第1ガスを導入して前記シリコン基板にデポ層を形成するデポ工程と、
前記マスクパターンに応じて、第2ガスを導入して前記シリコン基板にドライエッチング処理をおこなうドライエッチング工程と、
第3ガスを導入してアッシング処理するアッシング工程と、
を有し
、
前記アッシング工程において、前記第3ガスが酸素ガスを含み、
前記アッシング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理され、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板に対向配置される電極に対して前記シリコン基板表面の中央部と周縁部とで周波数の異なる交流電圧を印加して誘導結合プラズマを発生させて処理し、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、
前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、
ことを特徴とするシリコンのドライエッチング方法。
【請求項21】
前記デポ工程において形成される前記デポ層の厚さは、前記開口パターンにおけるエッチング深さおよびアスペクト比に応じて、径寸法の小さい前記開口パターンに対応する底部に比べて、径寸法の大きい前記開口パターンに対応する底部における膜厚が大きい、
ことを特徴とする請求項1または20記載のシリコンのドライエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコンのドライエッチング方法に関し、特に、ドライエッチングでシリコン基板等の表面を加工処理して高アスペクト比となるトレンチ等の凹部を形成する際に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板から部品、たとえば、電子装置用の半導体部品または微小機械部品用のパーツなどを製造する際に、いわゆるボッシュ法など、プラズマによる異方性の(anisotropic)化学侵食(attack)によって作ることが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、そのような高アスペクト比の加工をおこなう際に、RIE-lagの問題を最小に抑えまたは解消するという目的が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5501893号明細書
【文献】特開2002-033313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコンウェーハに高アスペクト比となるビアやトレンチをドライエッチングによって形成する場合で、同ウェーハ上にアスペクト比の異なるパターンが混在する場合には、高アスペクト比のパターンに比べて、低アスペクト比のパターンにてエッチングレートが高くなる。このため、RIE-lag(Reactive Ion Etch-lag)と称する深さの差が発生するという問題があった。
【0006】
RIE-lagとは、プラズマエッチングにおいてマスク開口の大きさによりエッチング速度に差が出る現象のことである。このエッチング速度の差はビアやトレンチ等の溝(凹部)のアスペクト比(溝の幅に対する深さの比)に依存する。
【0007】
特許文献1に記載された技術では、この問題を解決できていない。
また、特許文献2では、RIE-lagに対して言及しているが、異なるアスペクト比のパターンを同時に形成することは意図しておらず、特許文献1の技術と同様に、この特許文献2に記載された技術では、上記の問題を解決できていない。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.RIE-lagの発生を解消すること。
2.高アスペクト比のパターンを形成可能とすること。
3.開口径の異なる同じ深さのパターン形成を可能とすること。
4.高アスペクト比で、かつ、より深い、深さ方向で同一径のパターンを異なる開口径として形成可能とすること。
5.より正確な形状制御を可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
シリコン基板表面にアスペクト比の異なる凹部パターンをエッチングレートの差なく形成するドライエッチング方法であって、
前記シリコン基板上に開口パターンを有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに応じて、第1ガスを導入して前記シリコン基板にデポ層を形成するデポ工程と、
前記マスクパターンに応じて、第2ガスを導入して前記シリコン基板にドライエッチング処理をおこなうドライエッチング工程と、
第3ガスを導入してアッシング処理するアッシング工程と、
を有し、
前記アッシング工程において、前記マスクパターンにおける前記開口パターンの内縁に付着した前記デポ層を除去し、
前記アッシング工程を、前記ドライエッチング工程の後におこない、
前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを繰り返しておこない、
前記アッシング工程を、前記デポ工程の前におこなう、ことにより上記課題を解決した。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程と前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを、同一のチャンバ内でおこなう、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程において、前記第3ガスが酸素ガスを含む、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部を形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記マスクパターン形成工程で形成される前記マスクパターンが、前記アッシング工程による処理で除去されないハードマスクである、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程において、前記第1ガスがフルオロカーボンを含む、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部を形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化硫黄を含む、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスが酸素を含む、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化シリコンを含む、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部を形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板に対向配置される電極に対して前記シリコン基板表面の中央部と周縁部とで周波数の異なる交流電圧を印加して誘導結合プラズマを発生させて処理する、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板表面の中央部に印加する交流電圧の周波数よりも、前記シリコン基板表面の周縁部に印加する周波数を低く設定する、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、
前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程、前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、前記シリコン基板表面の周縁部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板にバイアス電力を印加するとともに、
前記ドライエッチング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力が、
前記アッシング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力よりも低いか同じに設定される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
その内部の減圧が可能で、前記内部で被処理体に対してプラズマ処理されるように構成されるチャンバと、
前記チャンバ内に配され、前記被処理体を載置する平板状の第一電極と、
前記第一電極に対して、第一の周波数λ1のバイアス電圧が印加されるように構成された第一の電源と、
前記チャンバ外に配置され、前記チャンバの上蓋を挟んで、前記第一電極と対向し、かつ、中央部に配置された螺旋状の第二電極、及び、前記第二電極より外周部に配置された螺旋状の第三電極と、
前記第二電極に対して、第二の周波数λ2の交流電圧を印加する第二の高周波電源と、 前記第三電極に対して、第三の周波数λ3の交流電圧を印加する第三の高周波電源と、 前記チャンバ内にフッ素を含有するプロセスガスを導入するガス導入手段と、
を備え、
前記チャンバ内において、前記チャンバの上蓋側、かつ、前記第一電極と対向する位置に、スパッタリング用の固体ソースを有するプラズマ処理装置によって、
前記異方性プラズマ処理をおこなう際に、
前記第二の周波数λ2と前記第三の周波数λ3が、λ2>λ3の関係にある場合は、 前記ガス導入手段が前記上蓋の中央部に配置されている、ことができる。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
シリコン基板表面にアスペクト比の異なる凹部パターンをエッチングレートの差なく形成するドライエッチング方法であって、
前記シリコン基板上に開口パターンを有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに応じて、第1ガスを導入して前記シリコン基板にデポ層を形成するデポ工程と、
前記マスクパターンに応じて、第2ガスを導入して前記シリコン基板にドライエッチング処理をおこなうドライエッチング工程と、
第3ガスを導入してアッシング処理するアッシング工程と、
を有し、
前記アッシング工程において、前記第3ガスが酸素ガスを含み、
前記アッシング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理され、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板に対向配置される電極に対して前記シリコン基板表面の中央部と周縁部とで周波数の異なる交流電圧を印加して誘導結合プラズマを発生させて処理し、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、
前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される、
を有する、ことにより上記課題を解決した。
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程において形成される前記デポ層の厚さは、前記開口パターンにおけるエッチング深さおよびアスペクト比に応じて、径寸法の小さい前記開口パターンに対応する底部に比べて、径寸法の大きい前記開口パターンに対応する底部における膜厚が大きい、ことができる。
【0010】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
シリコン基板表面に高アスペクト比の凹部パターンを形成するドライエッチング方法であって、
前記シリコン基板上に開口を有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに応じて、第1ガスを導入して前記シリコン基板にデポ層を形成するデポ工程と、
前記マスクパターンに応じて、第2ガスを導入して前記シリコン基板にドライエッチング処理をおこなうドライエッチング工程と、
第3ガスを導入してアッシング処理するアッシング工程と、
を有する。
これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層を、アッシング工程によって除去した状態で、ドライエッチング工程によって、凹部パターン形成することができる。したがって、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層によって、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。
また、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
つまり、本発明のシリコンドライエッチング手法は、デポジション堆積によるエッチングストップ効果を利用することで、シリコン基板に形成した異なる寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)の処理後の深さの差を抑制することができる。
【0011】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程において、前記マスクパターンにおける前記開口パターンの内縁に付着した前記デポ層を除去する。
これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去されたことによって、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、デポ工程におけるデポジション(デポ層)の堆積とドライエッチング工程との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程を追加することでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
これにより、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0012】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程を、前記ドライエッチング工程の後におこなう。
これにより、マスクパターンの開口内周付近に残存した不要なデポ層が除去された状態で新たに必要なデポ層を凹部パターンの底部等に形成することができるため、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、デポ工程におけるデポジション(デポ層)の堆積とドライエッチング工程との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程を追加することでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
これにより、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0013】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを繰り返しておこなう、
これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態でドライエッチングをおこなうことによって、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、デポ工程におけるデポジション(デポ層)の堆積とドライエッチング工程との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程をおこなうことでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
これにより、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0014】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程を、前記デポ工程の前におこなう。
これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態で新たに必要なデポ層を凹部パターンの底部等に形成することができ、この状態でドライエッチング工程をおこなうことによって、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、デポ工程におけるデポジション(デポ層)の堆積とドライエッチング工程との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程をおこなうことでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
これにより、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0015】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程と前記デポ工程と前記ドライエッチング工程とを、同一のチャンバ内でおこなう。
これにより、in situとして、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態でドライエッチングをおこなうことができる。したがって、余計な工程を必要とせず、外乱の影響を最小減にまで抑制して、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、デポ工程におけるデポジション(デポ層)の堆積とドライエッチング工程との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程をおこなうことでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
これにより、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0016】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程において、前記第3ガスが酸素ガスを含む
ことができる。
これにより、ドライエッチング工程における凹部パターンの側壁に対する酸化膜形成による側壁保護を維持したまま、アッシングをおこなうことができる。これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態でドライエッチングをおこなうことによって、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。同時に、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて太くなる、あるいは、基板表面と垂直でない形状となることを防止できる。
また、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0017】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される。
これにより、ドライエッチング工程における凹部パターンの側壁に対するエッチングを低減した状態で、アッシングをおこなうことができる。これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態でドライエッチングをおこなうことによって、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。同時に、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。
また、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0018】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記マスクパターン形成工程で形成される前記マスクパターンが、前記アッシング工程による処理で除去されないハードマスクである。
これにより、アッシング工程における凹部パターン形状への影響を低減して、その後の工程におけるデポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを所定の値とし、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
また、ドライエッチング工程における凹部パターンの形成範囲が変化しない状態を維持して、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。これにより、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなって、同時に、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0019】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程において、前記第1ガスがフルオロカーボンを含む。
これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層をアッシング工程によって除去された状態でドライエッチング工程をおこなうことができる。したがって、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0020】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記デポ工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される。
これにより、デポ工程における凹部パターンの側壁に対するデポ層の形成を低減した状態で、凹部パターンの底部に対するデポ層の形成をおこなうことができる。これにより、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
同時に、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを大きくし、同時に、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、デポ工程において底部に付着するデポ層の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止して、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0021】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化硫黄を含む。
これにより、ドライエッチング工程では、フッ素化合物からプラズマ中にフッ素ラジカルを生じる。フッ素ラジカルは、プラズマ中に同時に産生される化学的に活性の中性ラジカルおよびエネルギーを有するイオンを含む。これらのフッ素ラジカルが著しく指向性の垂直方向への入射することによって異方性プラズマエッチングをおこなう。その際、凹部パターンの底部では著しくイオンにより衝撃され、凹部パターンの側壁はそれに対して比較的弱くイオンにより衝撃される。これにより、側壁をエッチングに対して選択的に保護し、エッチングを構造の底部、つまり凹部パターンの底に限定して、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
【0022】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスが酸素を含む。
これにより、ドライエッチング工程では、プラズマ中にエッチングするフルオロラジカルの他に酸素ラジカルを使用して、このラジカルが側壁のシリコンを表面的に酸化ケイ素もしくは窒化ケイ素に変換させることにより、凹部パターンの側壁に保護層となる酸化膜を形成して、側壁をパッシベーションすることができる。このエッチングはエッチング底部で主に進行し、側壁は比較的保護されたままであることができる。
【0023】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程において、前記第2ガスがフッ化シリコンを含む。
これにより、エッチングガスの分解の際に、フッ化シリコンが、副次的反応体として保護層のケイ素成分を供給する化合物となり、凹部パターンの側壁上にシリコンの反応生成物の混合物が析出して、側壁に保護層として作用する耐エッチング性のケイ素化合物を析出させて、側壁を保護することができる。
【0024】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程が、前記シリコン基板表面に対して前記凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理される。
これにより、凹部パターンの側壁に対するデポ層の形成を低減した状態で、ドライエッチング工程において異方性プラズマエッチングにより、凹部パターンの側壁に対するエッチングを抑制したまま、凹部パターンの底部に形成されたデポ層および凹部パターンの底部の除去をおこなうことができる。これにより、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
同時に、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、開口パターンの大きな凹部パターンにおいて、底部におけるシリコンに対するエッチング量と、開口パターンの小さな凹部パターンにおいて、底部におけるシリコンに対するエッチング量とを同じ深さに設定して、異なる径寸法の開口パターンを同時に形成する場合にも、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止して、凹部パターンの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0025】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板に対向配置される電極に対して前記シリコン基板表面の中央部と周縁部とで周波数の異なる交流電圧を印加して誘導結合プラズマを発生させて処理する。
これにより、シリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
したがって、デポ工程における凹部パターンの側壁に対するデポ層の形成を低減した状態で、凹部パターンの底部に対するデポ層の形成をおこなうことができる。これにより、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、ドライエッチング工程において極めて異方性の高い異方性プラズマエッチングをおこなうことができ、シリコン基板に加工される凹部パターンの側壁形状が、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保たれる。ゆえに、シリコン基板の表面に沿った方向において、それぞれシリコン基板の径方向の位置に依存せずに、エッチング形状が垂直(ストレート型)な凹部パターン(ホールやトレンチ等)を安定して作製することが可能となる。すなわち、シリコン基板の中央部と同様に外周部においても、エッチング形状が垂直(ストレート型)な凹部パターン(ホールやトレンチ等)を安定して作製することが可能となる。
さらに、アッシング工程において、ドライエッチング工程における凹部パターンの側壁に対するエッチングを低減した状態で、アッシングをおこなうことができる。これにより、マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層が除去された状態でドライエッチングをおこなうことによって、凹部パターンの側壁に対する影響を低減したまま凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。同時に、凹部パターンのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができ、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。
したがって、これら、デポ工程、ドライエッチング工程、アッシング工程を繰り返すことにより、基板サイズや基板形状に依存することなく、エッチング形状が垂直な凹部パターンを基板処理面の全域に亘って作製できる。
同時に、凹部パターンの側壁に保護層となる酸化膜を形成して、側壁をパッシベーションした状態で、ドライエッチング工程において極めて異方性の高い異方性プラズマエッチングをおこなうことができ、シリコン基板に加工される凹部パターンの側壁形状を、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保つことができる。
【0026】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記異方性プラズマ処理が、前記シリコン基板表面の中央部に印加する交流電圧の周波数よりも、前記シリコン基板表面の周縁部に印加する周波数を低く設定する。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
【0027】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、
前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
さらに、前記デポ工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力と前記シリコン基板表面の周縁部に印加するプラズマ発生電力の調整により、前記第1ガスの解離度を変更しデポジションのカバレージを変更することが可能となる。
【0028】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、前記シリコン基板表面の周縁部に印加するプラズマ発生電力よりも低いか同じに設定される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
さらに、前記アッシング工程において、前記シリコン基板表面の中央部に印加するプラズマ発生電力が、前記シリコン基板表面の周縁部に印加するプラズマ発生電力と同じに設定されることにより、アッシングレートを増大させ、前記マスクパターンの開口内周付近に付着したデポ層の除去時間を短縮することが可能となる。
【0029】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程および前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板にバイアス電力を印加するとともに、
前記ドライエッチング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力が、
前記アッシング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力よりも低いか同じに設定される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
さらに、前記ドライエッチング工程において、前記シリコン基板に印加するバイアス電力を、前記アッシング工程において前記シリコン基板に印加するバイアス電力よりも低く設定することにより、RIE-lagの発生を防止することが可能となる。
本発明のプロセスにおいては、RIE-lagがエッチング工程におけるバイアス電力増大に応じて大きくなる傾向がある。このため、エッチングができる限界程度に低いバイアス電力値として設定すると、よりRIE-lagを小さくできる。一方、アッシング工程においては、バイアス電力を大きくしてアッシングレートを増大させることができる。
【0030】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記アッシング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
さらに、前記アッシング工程における雰囲気圧力を前記デポ工程における雰囲気圧力より高く設定することにより、前記アッシング工程におけるアッシングレートを増大させることが可能となる。
ここで、デポ工程ではカバレージの調整や最適化のために加工形状に応じて圧力を調整することができる。一方、アッシング工程ではアッシングレートを増大させるために比較的高圧領域として設定することができる。
【0031】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
前記ドライエッチング工程における雰囲気圧力が、
前記デポ工程における雰囲気圧力と同じか高く設定される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができる。
ここで、ドライエッチング工程においては、エッチングレートを増大させるために比較的高圧領域として設定することができる。
【0032】
本発明のシリコンのドライエッチング方法は、
その内部の減圧が可能で、前記内部で被処理体に対してプラズマ処理されるように構成されるチャンバと、
前記チャンバ内に配され、前記被処理体を載置する平板状の第一電極と、
前記第一電極に対して、第一の周波数λ1のバイアス電圧が印加されるように構成された第一の電源と、
前記チャンバ外に配置され、前記チャンバの上蓋を挟んで、前記第一電極と対向し、かつ、中央部に配置された螺旋状の第二電極、及び、前記第二電極より外周部に配置された螺旋状の第三電極と、
前記第二電極に対して、第二の周波数λ2の交流電圧を印加する第二の高周波電源と、
前記第三電極に対して、第三の周波数λ3の交流電圧を印加する第三の高周波電源と、
前記チャンバ内にフッ素を含有するプロセスガスを導入するガス導入手段と、
を備え、
前記チャンバ内において、前記チャンバの上蓋側、かつ、前記第一電極と対向する位置に、スパッタリング用の固体ソースを有するプラズマ処理装置によって、
前記異方性プラズマ処理をおこなう際に、
前記第二の周波数λ2と前記第三の周波数λ3が、λ2>λ3の関係にある場合は、
前記ガス導入手段が前記上蓋の中央部に配置されている。
これにより、チャンバ内において、前記チャンバの上蓋側、かつ、前記第一電極と対向する位置に、スパッタリング用の固体ソースを有することにより、固体ソースからプラズマ中に、不足するたとえば酸素元素が逐次導入される。これにより、被処理体であるシリコン基板に対して、基板の半径方向において酸素元素が均一に供給される。
これにより、上述したようにシリコン基板表面に対して凹部パターンを形成する方向への異方性の高い誘導結合プラズマを発生させて異方性プラズマ処理をおこなうことができるので、シリコン基板に加工される凹部パターンの側壁形状が、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保たれる。ゆえに、シリコン基板の表面に沿った方向において、シリコン基板の半径方向の位置に依存せず、すなわち、シリコン基板の中央部と同様に外周部においても、エッチング形状が垂直(ストレート型)な凹部パターン(ホールやトレンチ等)を安定して作製することが可能となる。
したがって、基板サイズや基板形状に依存することなく、エッチング形状が垂直な凹部パターンをシリコン基板における処理面の全域に亘って作製できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、RIE-lagの発生を抑制して、高アスペクト比で高精細なパターン形成をおこなうことを可能として、シリコンエッチング形状の先細を防ぎつつ垂直性を維持したまま、異なる寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなどの凹形状)をエッチング処理後の深さの差を抑制して作成することができる。したがって、本発明は、異なる寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)をエッチング処理後の深さの差を抑制して形成することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態によって製造されたシリコン基板を示す模式断面図である。
【
図2】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【
図3】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図4】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図5】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図6】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図7】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図8】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図9】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図10】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図11】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図12】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図13】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を示す工程断面図である。
【
図14】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態で用いられる装置を示す模式断面図である。
【
図15】
図14の装置において、内周側と外周側に2つのスパイラル状電極を配置し、各電極にそれぞれ異なる周波数の電源を接続する位置を示す平面図である。
【
図16】
図14の装置において、第一電極(外径D)と第二電極(外径d)との関係を示す断面図である。
【
図17】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第2実施形態で用いられる製造装置を示す模式断面図である。
【
図18】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第3実施形態で用いられる製造装置を示す模式断面図である。
【
図19】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第4実施形態で用いられる製造装置を示す模式断面図である。
【
図20】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第5実施形態で用いられる製造装置を示す模式断面図である。
【
図21】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第6実施形態で用いられる製造装置を示す模式断面図である。
【
図22】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【
図23】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【
図24】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【
図25】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【
図26】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【
図27】本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法によって製造されたシリコン基板を示す模式断面図である。
図2は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示すフローチャートである。図において、符号Sは、シリコン基板である。
【0036】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図1に示すように、シリコン基板Sの表面に凹部パターンVSおよび凹部パターンVLを形成する。
凹部パターンVSは、径寸法ΦSを有する。凹部パターンVLは、径寸法ΦLを有する。径寸法ΦLは、径寸法ΦSよりも大きく設定される。
【0037】
凹部パターンVSと凹部パターンVLとの深さは等しく設定される。
凹部パターンVSと凹部パターンVLとは、例えば4~8程度、より好ましくは、8~14程度の高アスペクト比である形状に形成される。
なお、凹部パターンVSと凹部パターンVLとは、シリコン基板Sを貫通していることもできる。
【0038】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図2に示すように、前工程S01と、マスクパターン形成工程S02と、デポ工程S05と、ドライエッチング工程S06と、アッシング工程S07と、後工程S018と、を有する。
【0039】
図2に示す前工程S01では、公知のランプヒータ等を用いた200℃以上の熱処理として、シリコン基板Sの前処理をおこなう。
【0040】
図3は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示すマスクパターン形成工程S02では、
図3に示すように、シリコン基板Sの表面にマスク層Mを形成する。
マスク層Mは、例えば、O
2プラズマにより除去されないSiO
2膜やSiN膜、あるいは、メタル(金属)などから形成することができる。
さらに、マスク層Mは、プラズマCVDやメタルスパッタなどから形成することができる。
【0041】
さらに、マスクパターン形成工程S02では、
図3に示すように、マスク層Mにシリコン基板Sにおける凹部パターンVSの形状に対応するように処理領域を設定する開口パターン(マスクパターン)MSと、凹部パターンVLの形状に対応するように処理領域を設定する開口パターン(マスクパターン)MLとを形成する。
具体的には、マスクパターン形成工程S02では、図示しないフォトレジスト層を積層して、露光現像等の処理をおこない、さらに、ドライエッチング処理等公知の処理をおこなうことで、開口パターンMSと開口パターンMLとを有するマスク層Mを形成する。
【0042】
図4は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示すデポ工程S05は、ドライエッチング工程S06において、凹部パターンVSと凹部パターンVLとの側壁をエッチングから保護することができるように、
図4に示すように、シリコン基板S全面にフルオロカーボン等のポリマーからなるデポ層D1を異方性プラズマ処理により形成する。
【0043】
デポ層D1は、フッ素化合物を使用したエッチングであるドライエッチング工程S06において、垂直な側壁VSq、VLqを達成するために、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqをエッチングから保護するとともに、エッチングを凹部パターンVS,VLの底部VSb,VLbに限定する。
【0044】
デポ層D1は、マスク層Mの表面および凹部パターンVS,VLの底部VSb,VLbに積層する。また、
図4においては、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqにおいてはデポ層D1を示しているが、実際にはあまり積層されない。
【0045】
デポ工程S05は、CHF3、C2F6、C2F4、またはC4F8などの過フッ化炭化水素ガスを用いて、プラズマ処理をおこなう。ここで、デポ堆積時間を短縮するために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0046】
このとき、プラズマ処理装置10においては、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。デポ工程S05においては、内外の電力のいずれも電源が出力可能な最大値とし、アッシングレートを向上させることができる。
【0047】
また、プラズマ処理装置10においては、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2である電力が、後述するドライエッチング工程S06およびアッシング工程S07における値よりも小さく設定することができる。また、プラズマ処理装置10においては、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加しないことができる。
デポ工程S05においては、所定の雰囲気圧力として処理をおこなう。さらに、デポ工程S05においては、Arなどの希ガスを所定量添加することができる。
【0048】
デポ工程S05で形成されるデポ層D1は、径寸法の小さい開口パターンMSに対応する底部VSbに比べて、径寸法の大きい開口パターンMLに対応する底部VLbにおける膜厚が大きくなる。なお、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D1の膜厚に比べて、開口パターンMLの底部VLbにおけるデポ層D1の膜厚は同等かあるいは小さくなる。
【0049】
つまり、デポ層D3の膜厚は、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D1の膜厚TD1、開口パターンMLの底部VLbにおけるデポ層D1の膜厚TLD1、開口パターンMSの底部VSbにおけるデポ層D1の膜厚TSD1、の順に小さくなる。
【0050】
デポ工程S05において、上記のように条件設定をおこなうことにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb,VLbにおけるデポ層D1のデポジションカバレージをそれぞれ最適化するように制御することが可能となる。ここで、デポジションカバレージとして望ましい条件の方向は、必要な膜厚となるデポ層D1を底部VSb,VLbに積層する処理時間を短くすることである。つまり、デポ層D1を底部VSb,VLbに積層する成膜速度を増大することである。
【0051】
また、デポジションカバレージとして望ましい条件としては、エッチング深さおよびアスペクト比に応じてデポジションカバレージを調整することである。つまり、後述するように、底部VSb,VLbの深さ変化に対応してアスペクト比が変化した場合でも、所望の厚さのデポ層D1を所定の積層成膜速度で成膜することを可能にできる。
さらに、底部VSbに積層するデポ層D1に対する均一性および確実性と、底部VLbに積層するデポ層D1に対する均一性および確実性とを、それぞれ向上することである。
【0052】
図5は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示すドライエッチング工程S06は、
図5に示すように、異方性プラズマエッチングにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb,VLbを掘り下げて、底部VSb1,VLb1を形成する。
【0053】
このとき、ドライエッチング工程S06における処理条件、プラズマの異方性、および、デポ工程S05によって積層したデポ層D1の膜厚差等によって、ドライエッチング工程S06において形成する開口パターンMSに対応する底部VSb1および開口パターンMLに対応する底部VLb1の深さを均一になるように設定する。
【0054】
具体的には、開口パターンMSに対応する底部VSbに積層したデポ層D1の膜厚TSD1が、開口パターンMLに対応する底部VLbに積層したデポ層D1の膜厚TLD1に比べて小さく、かつ、開口パターンMSに対応する底部VSbに対するエッチング量が、開口パターンMLに対応する底部VLbに対するエッチング量に比べて小さいために、これらが相殺されて、開口パターンMSに対応する底部VSb1の深さと開口パターンMLに対応する底部VLb1の深さとが均一になる。
【0055】
また、ドライエッチング工程S06において処理条件、プラズマの異方性、および、デポ層D1によって、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに及ぼすエッチングの影響を極めて低減させる。これにより、側壁VSq,VLqがシリコン基板Sの表面と垂直で、かつ、略面一となり凹凸のない側壁VSq,VLqを深さ方向に延長して形成する。
つまり、凹部パターンVS,VLとして均一径寸法となるように底部VSb1,VLb1を形成する。
【0056】
この形状を実現するように、ドライエッチング工程S06においては、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
このとき、プラズマ処理装置10においては、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0057】
また、プラズマ処理装置10においては、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、デポ工程S05における値よも大きく、また、アッシング工程S07における値と同じ値に設定することができる。
【0058】
また、プラズマ処理装置10においては、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0059】
また、プラズマ処理装置10においては、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0060】
また、ドライエッチング工程S06における異方性プラズマエッチングでは、SF6とO2の混合ガスをプラズマ分解して、Siの異方性エッチングをおこなうものである。これにより、SF6が分解して生成するFラジカルが、Siをエッチングする(F+Si→SiF4)。このエッチング反応は、等方性エッチングのため、異方性エッチングを行うために、側壁VSq,VLqに絶縁層(保護膜)を付着させて、側壁VSq,VLqのエッチング反応を抑制してもよい。
【0061】
ドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D1が除去されて側壁VSq,VLqが露出する。
【0062】
ここで、ドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、絶縁層を形成して、側壁VSq,VLqが保護されてもよい。同時に、Oによる側壁VSq,VLqの酸化と、エッチング生成物であるSiF4が再分解されたSiとOの反応によるSiOxのデポ膜の形成とによって側壁VSq,VLqが保護される。
【0063】
また、ドライエッチング工程S06では、エッチング生成物であるSiF4が不足することを防止するために、SiF4をガスとして供給することもできる。
【0064】
さらに、ドライエッチング工程S06においては、エッチングガスとしてSF6又はNF3を使用し、エッチングガスにケイ素化合物としてSiF4を、反応体としてO2、N2、N2O、NO、NOxまたはCO2を添加して、底部を集中的にエッチングすることができる。
さらに、ドライエッチング工程S06においては、冷媒経路を内部に有した静電チャックを第一電極12に用いて処理中の基板温度を低温にすることで異方性を高めることができる。例えば、冷媒温度は10℃以下に設定される。
【0065】
図6は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示すアッシング工程S07は、
図6に示すように、ドライエッチング工程S06の終了後において、残存したデポ層D1を除去する。
特に、アッシング工程S07においては、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D1を確実に除去するように、その条件が設定される。
【0066】
アッシング工程S07においては、ドライエッチング工程S06の終了した後に、マスク層Mの表面に付着しているデポ層D1と、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D1と、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに残存したデポ層D1と、を除去する。また、開口パターンMSに対応する底部VSb1に残存したデポ層D1と、開口パターンMLに対応する底部VLb1に残存したデポ層D1とがあった場合には、これを除去する。
【0067】
ここで、最も重要なのは、開口パターンMSの内周位置に残存したデポ層D1と、開口パターンMLの内周位置に残存したデポ層D1と、を除去することである。もしも、このデポ層D1が除去しきれずに残存していた場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルとして後工程である、次のデポ工程05において、残存したデポ層D1にさらにデポ層D2が堆積してしまい、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が減少してしまう。
【0068】
すると、繰り返しサイクルの1サイクル目のアッシング工程S07に対する後工程である2サイクル目のドライエッチング工程S06において、異方性を強めたエッチングをおこなっても、デポ層D1およびデポ層D2によって底部VSb1および底部VLb1までエッチングプラズマが到達することが阻害される。したがって、底部VSb1および底部VLb1におけるエッチングが好適におこなわれず、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直ではなくなり、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまう可能性を排除できなくなる。
【0069】
これに対して、開口パターンMSの内周位置にデポ層D1が残存せず、また、開口パターンMLの内周位置にデポ層D1が残存しない状態にした場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルとして後工程である、次の2サイクル目となるデポ工程05において、残存したデポ層D1にさらにデポ層D2が堆積することがなく、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が所定の大きさを維持している状態に維持することができる。
【0070】
すると、繰り返しサイクルの次のサイクルである2サイクル目のドライエッチング工程S06において、後工程として異方性を強めたエッチングをおこなうことで、デポ層D1およびデポ層D2によって底部VSb1および底部VLb1までエッチングプラズマが到達することが阻害されない。したがって、底部VSb1および底部VLb1におけるエッチングが好適におこなわれて、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直な状態で伸長され、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまうことを防止して、同径の凹部パターンVS,VLを高アスペクト比で形成することが可能となる。
【0071】
1サイクル目のアッシング工程S07において、上記のように、開口パターンMSとMLとの内周位置に残存したデポ層D1を確実に除去するために、使用ガスO2の解離度の高いプラズマ処理をおこなう必要がある。このために、1サイクル目のアッシング工程S07においても、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0072】
このとき、1サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0073】
また、1サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、デポ工程S05における値よも大きく、また、ドライエッチング工程S06における値と同じか高い値に設定することができる。
【0074】
また、1サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0075】
また、1サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0076】
また、1サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加することが好ましい。1サイクル目のアッシング工程S07におけるバイアス電圧の電力は、1サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力と等しいか、1サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力よりも高く設定することができる。
【0077】
1サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングすることができる。O2ガス系異方性プラズマ処理では、開口パターンMS,MLの内周付近、および開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D1が確実に除去されて側壁VSq,VLqが露出する。同時に、1サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングするが、マスク層Mが、SiO2膜やSiN膜、あるいは、メタル(金属)などから形成されていることで、O2プラズマにより除去されない。
【0078】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図2に示すように、デポ工程S05と、ドライエッチング工程S06と、アッシング工程S07と、を1サイクルとして繰り返す。これにより、凹部パターンVS,VLの深さを長くする。
次に、2サイクル目について説明する。
【0079】
図7は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す2サイクル目のデポ工程S05は、2サイクル目における後工程のドライエッチング工程S06において、凹部パターンVSと凹部パターンVLとの側壁をエッチングから保護することができるように、
図7に示すように、シリコン基板S全面にフルオロカーボン等のポリマーからなるデポ層D2を異方性プラズマ処理により形成する。
【0080】
デポ層D2は、2サイクル目における後工程として、フッ素化合物を使用したエッチングであるドライエッチング工程S06において、垂直な側壁MSq、MLqを達成するために、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqをエッチングから保護するとともに、エッチングを凹部パターンVS,VLの底部VSb1,VLb1に限定する。
【0081】
デポ層D2は、マスク層Mの表面および凹部パターンVS,VLの底部VSb1,VLb1に積層する。また、
図7においては、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqにおいてはデポ層D2を示しているが、実際にはあまり積層されない。
【0082】
2サイクル目のデポ工程S05は、同様に、CHF3、C2F6、C2F4、またはC4F8などの過フッ化炭化水素ガスを用いて、異方性プラズマ処理をおこなう。デポ工程S05においては、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0083】
2サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
ここで、2サイクル目以降のデポ工程S05において、1サイクル目のデポ工程S05と同等の設定とすることもできる。
【0084】
また、2サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2である電力が、後述するドライエッチング工程S06およびアッシング工程S07における値よりも小さく設定することができる。また、プラズマ処理装置10においては、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加しないことができる。
2サイクル目のデポ工程S05においては、所定の雰囲気圧力として処理をおこなう。さらに、2サイクル目のデポ工程S05においては、1サイクル目のデポ工程S05と同等の設定とすることもできるが、凹部パターンVS,VLの底部VSb1,VLb1へのデポジションレートの低下に対応するため、内周側の第二電極E2に印加する高周波または外周側の第三電極E3に印加する高周波の電力、もしくはその両方を増大させてもよく、デポジション粒子を引き込むためにバイアス電圧を印加する条件とすることができる。
【0085】
2サイクル目のデポ工程S05で形成されるデポ層D2は、1サイクル目のデポ工程S05と同様に、径寸法の小さい開口パターンMSに対応する底部VSbに比べて、径寸法の大きい開口パターンMLに対応する底部VLbにおける膜厚が大きくなる。なお、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D2の膜厚に比べて、開口パターンMLの底部VLbにおけるデポ層D2の膜厚は同等かあるいは小さくなる。
【0086】
つまり、デポ層D3の膜厚は、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D2の膜厚TD2、開口パターンMLの底部VLb1におけるデポ層D2の膜厚TLD2、開口パターンMSの底部VSb1におけるデポ層D2の膜厚TSD2、の順に小さくなる。
【0087】
2サイクル目のデポ工程S05において、上記のように条件設定をおこなうことにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb1,VLb1におけるデポ層D2のデポジションカバレージをそれぞれ最適化するように制御することが可能となる。ここで、デポジションカバレージとして望ましい条件の方向は、必要な膜厚となるデポ層D2を底部VSb1,VLb1に積層する処理時間を短くすることである。つまり、デポ層D2を底部VSb1,VLb1に積層する成膜速度を増大することである。
【0088】
また、2サイクル目のデポ工程S05において、デポジションカバレージとして望ましい条件としては、エッチング深さおよびアスペクト比に対応してデポジションカバレージを調整することである。つまり、後述するように、底部VSb,VLbからの底部VSb1,VLb1の深さ変化に対応してアスペクト比が変化した場合でも、所望の厚さのデポ層D2を所定の積層成膜速度で成膜することを可能にできる。
さらに、底部VSb1に積層するデポ層D2に対する均一性および確実性と、底部VLb1に積層するデポ層D2に対する均一性および確実性とを、それぞれ向上することである。
さらに、2サイクル目のデポ工程S05において、1サイクル目のデポ工程S05に対して、長い時間とすることができる。なお、3サイクル目以降のデポ工程S05においても同様である。
【0089】
図8は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す2サイクル目のドライエッチング工程S06は、
図8に示すように、異方性プラズマエッチングにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb1,VLb1を掘り下げて、底部VSb2,VLb2を形成する。
【0090】
このとき、2サイクル目のドライエッチング工程S06における処理条件、プラズマの異方性、および、2サイクル目のデポ工程S05によって積層したデポ層D2の膜厚差等によって、ドライエッチング工程S06において形成する開口パターンMSに対応する底部VSb2および開口パターンMLに対応する底部VLb2の深さを均一になるように設定する。
【0091】
具体的には、開口パターンMSに対応する底部VSb1に積層したデポ層D2の膜厚TSD2が、開口パターンMLに対応する底部VLb1に積層したデポ層D2の膜厚TLD2に比べて小さく、かつ、開口パターンMSに対応する底部VSb1に対するエッチング量が、開口パターンMLに対応する底部VLb1に対するエッチング量に比べて小さいために、これらが相殺されて、開口パターンMSに対応する底部VSb2の深さと開口パターンMLに対応する底部VLb2の深さとが均一になる。
【0092】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06において処理条件、プラズマの異方性、および、デポ層D2によって、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに及ぼすエッチングの影響を極めて低減させる。これにより、側壁VSq,VLqがシリコン基板Sの表面と垂直で、かつ、略面一となり凹凸のない側壁VSq,VLqを深さ方向に延長して形成する。
つまり、凹部パターンVS,VLとして均一径寸法となるように底部VSb2,VLb2を形成する。
【0093】
この形状を実現するように、2サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
このとき、2サイクル目のドライエッチング工程S06におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0094】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、2サイクル目のデポ工程S05における値よも大きく、また、2サイクル目のアッシング工程S07における値と同じ値に設定することができる。
【0095】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0096】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0097】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06における異方性プラズマエッチングでは、1サイクル目と同様に、SF6とO2の混合ガスをプラズマ分解して、Siの異方性エッチングをおこなうものである。これにより、SF6が分解して生成するFラジカルが、Siをエッチングする(F+Si→SiF4)。このエッチング反応は、等方性エッチングのため、異方性エッチングを行うために、側壁VSq,VLqに保護膜を付着させており、側壁VSq,VLqのエッチング反応を抑制してもよい。
【0098】
2サイクル目のドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、1サイクル目と同様に、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D2が除去されて側壁VSq,VLqが露出する。
【0099】
ここで、2サイクル目のドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、1サイクル目と同様に、絶縁層を形成して、側壁VSq,VLqが保護されてもよい。同時に、Oによる側壁VSq,VLqの酸化と、エッチング生成物であるSiF4が再分解されたSiとOの反応によるSiOxのデポ膜の形成とによって側壁VSq,VLqが保護される。
【0100】
また、2サイクル目のドライエッチング工程S06では、1サイクル目と同様に、エッチング生成物であるSiF4が不足することを防止するために、SiF4をガスとして供給することもできる。
【0101】
さらに、2サイクル目のドライエッチング工程S06においては、1サイクル目と同様に、エッチングガスとしてSF6又はNF3を使用し、エッチングガスにケイ素化合物としてSiF4を、反応体としてO2、N2、N2O、NO、NOxまたはCO2を添加して、底部を集中的にエッチングすることができる。
さらに、2サイクル目のドライエッチング工程S06においては、1サイクル目のドライエッチング工程S06に対して、長い時間とすることもできる。なお、3サイクル目以降のドライエッチング工程S06においても同様である。
【0102】
図9は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す2サイクル目のアッシング工程S07は、
図9に示すように、2サイクル目のドライエッチング工程S06の終了後において、残存したデポ層D2を除去する。
特に、2サイクル目のアッシング工程S07においては、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D2を確実に除去するように、その条件が設定される。
【0103】
2サイクル目のアッシング工程S07においては、1サイクル目と同様に、2サイクル目のドライエッチング工程S06の終了した後に、マスク層Mの表面に付着しているデポ層D2と、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D2と、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに残存したデポ層D2と、を除去する。
さらに、開口パターンMSに対応する底部VSb2に残存したデポ層D2と、開口パターンMLに対応する底部VLb2に残存したデポ層D2と、があればこれを除去する。
【0104】
ここで、最も重要なのは、開口パターンMSの内周位置に残存したデポ層D2と、開口パターンMLの内周位置に残存したデポ層D2と、を除去することである。もしも、このデポ層D2が除去しきれずに残存していた場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルとして後工程である、次のデポ工程05において、残存したデポ層D2にさらにデポ層D3が堆積してしまい、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が減少してしまう。
【0105】
すると、2サイクル目の次サイクルである後工程として、3サイクル目となるドライエッチング工程S06において、異方性を強めたエッチングをおこなっても、デポ層D2およびデポ層D3によって底部VSb1および底部VLb1までエッチングプラズマが到達することが阻害される。したがって、底部VSb1および底部VLb1におけるエッチングが好適におこなわれず、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直ではなくなり、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまう可能性を排除できなくなる。
【0106】
これに対して、開口パターンMSの内周位置にデポ層D2が残存せず、また、開口パターンMLの内周位置にデポ層D2が残存しない状態にした場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルとして後工程である、次の3サイクル目となるデポ工程05において、残存したデポ層D2にさらにデポ層D3が堆積することがなく、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が所定の大きさを維持している状態に維持することができる。
【0107】
すると、繰り返しサイクルの次のサイクルである3サイクル目のドライエッチング工程S06において、後工程として異方性を強めたエッチングをおこなうことで、デポ層D2およびデポ層D3によって底部VSb2および底部VLb2までエッチングプラズマが到達することが阻害されない。したがって、底部VSb2および底部VLb2におけるエッチングが好適におこなわれて、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直な状態で伸長され、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまうことを防止して、同径の凹部パターンVS,VLを高アスペクト比で形成することが可能となる。
【0108】
2サイクル目のアッシング工程S07において、上記のように、開口パターンMSとMLとの内周位置に残存したデポ層D2を確実に除去するために、1サイクル目と同様に、プラズマ処理に強い異方性を持たせる必要がある。このために、2サイクル目のアッシング工程S07においても、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0109】
このとき、2サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0110】
また、2サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、デポ工程S05における値よも大きく、また、2サイクル目のドライエッチング工程S06における値と同じ値に設定することができる。
【0111】
また、2サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0112】
また、2サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0113】
また、2サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目と同様に、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加することが好ましい。2サイクル目のアッシング工程S07におけるバイアス電圧の電力は、2サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力と等しいか、2サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力よりも高く設定することができる。
【0114】
2サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングすることができる。O2ガス系異方性プラズマ処理では、開口パターンMS,MLの内周付近、および開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D2が確実に除去されて側壁VSq,VLqが露出する。同時に、2サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングするが、マスク層Mが、SiO2膜やSiN膜、あるいは、メタル(金属)などから形成されていることで、O2プラズマにより除去されない。
【0115】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図2に示すように、デポ工程S05と、ドライエッチング工程S06と、アッシング工程S07と、を1サイクルとして繰り返す。これにより、凹部パターンVS,VLの深さをさらに長くする。
次に、3サイクル目について説明する。
【0116】
図10は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す3サイクル目のデポ工程S05は、3サイクル目における後工程のドライエッチング工程S06において、凹部パターンVSと凹部パターンVLとの側壁をエッチングから保護することができるように、
図10に示すように、シリコン基板S全面にフルオロカーボン等のポリマーからなるデポ層D3を異方性プラズマ処理により形成する。
【0117】
デポ層D2は、3サイクル目における後工程として、フッ素化合物を使用したエッチングであるドライエッチング工程S06において、垂直な側壁MSq、MLqを達成するために、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqをエッチングから保護するとともに、エッチングを凹部パターンVS,VLの底部VSb2,VLb2に限定する。
【0118】
デポ層D3は、マスク層Mの表面および凹部パターンVS,VLの底部VSb2,VLb2に積層する。また、
図10においては、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqにおいてはデポ層D3を示しているが、実際にはあまり積層されない。
【0119】
3サイクル目のデポ工程S05は、2サイクル目と同様に、CHF3、C2F6、C2F4、またはC4F8などの過フッ化炭化水素ガスを用いて、異方性プラズマ処理をおこなう。デポ工程S05においては、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0120】
3サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
このとき、1サイクル目のデポ工程S05、および/または、2サイクル目のデポ工程S05と同等の設定とすることもできる。
【0121】
また、3サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2である電力が、後述するドライエッチング工程S06およびアッシング工程S07における値よりも小さく設定することができる。また、プラズマ処理装置10においては、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加しないことができる。
3サイクル目のデポ工程S05においては、所定の雰囲気圧力として処理をおこなう。さらに、3サイクル目のデポ工程S05においては、1サイクル目のデポ工程S05、および/または、2サイクル目のデポ工程S05と同等の設定とすることもできる。
【0122】
3サイクル目のデポ工程S05で形成されるデポ層D3は、2サイクル目のデポ工程S05と同様に、径寸法の小さい開口パターンMSに対応する底部VSb2に比べて、径寸法の大きい開口パターンMLに対応する底部VLb2における膜厚が大きくなる。なお、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D3の膜厚に比べて、開口パターンMLの底部VLb2におけるデポ層D3の膜厚は同等かあるいは小さくなる。
【0123】
つまり、デポ層D3の膜厚は、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D3の膜厚TD3、開口パターンMLの底部VLb2におけるデポ層D3の膜厚TLD3、開口パターンMSの底部VSb2におけるデポ層D3の膜厚TSD3、の順に小さくなる。
【0124】
3サイクル目のデポ工程S05において、上記のように条件設定をおこなうことにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb2,VLb2におけるデポ層D3のデポジションカバレージをそれぞれ最適化するように制御することが可能となる。ここで、デポジションカバレージとして望ましい条件の方向は、必要な膜厚となるデポ層D3を底部VSb2,VLb2に積層する処理時間を短くすることである。つまり、デポ層D3を底部VSb2,VLb2に積層する成膜速度を増大することである。
【0125】
また、3サイクル目のデポ工程S05において、デポジションカバレージとして望ましい条件としては、エッチング深さおよびアスペクト比に対応してデポジションカバレージを調整することである。つまり、後述するように、底部VSb1,VLb1からの底部VSb2,VLb2の深さ変化に対応してアスペクト比が変化した場合でも、所望の厚さのデポ層D3を所定の積層成膜速度で成膜することを可能にできる。
【0126】
さらに、底部VSb2に積層するデポ層D3に対する均一性および確実性と、底部VLb1に積層するデポ層D3に対する均一性および確実性とを、それぞれ向上することである。
さらに、3サイクル目のデポ工程S05において、1サイクル目のデポ工程S05、および/または、2サイクル目のデポ工程S05に対して、同様におこなうことができる。
【0127】
図11は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す3サイクル目のドライエッチング工程S06は、
図11に示すように、異方性プラズマエッチングにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb2,VLb2を掘り下げて、底部VSb3,VLb3を形成する。
【0128】
このとき、3サイクル目のドライエッチング工程S06における処理条件、プラズマの異方性、および、3サイクル目のデポ工程S05によって積層したデポ層D3の膜厚差等によって、このドライエッチング工程S06において形成する開口パターンMSに対応する底部VSb3および開口パターンMLに対応する底部VLb3の深さを均一になるように設定する。
【0129】
具体的には、開口パターンMSに対応する底部VSb2に積層したデポ層D3の膜厚TSD3が、開口パターンMLに対応する底部VLb2に積層したデポ層D3の膜厚TLD3に比べて小さく、かつ、開口パターンMSに対応する底部VSb2に対するエッチング量が、開口パターンMLに対応する底部VLb2に対するエッチング量に比べて小さいために、これらが相殺されて、開口パターンMSに対応する底部VSb3の深さと開口パターンMLに対応する底部VLb3の深さとが均一になる。
【0130】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06において処理条件、プラズマの異方性、および、デポ層D3によって、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに及ぼすエッチングの影響を極めて低減させてもよい。これにより、側壁VSq,VLqがシリコン基板Sの表面と垂直で、かつ、略面一となり凹凸のない側壁VSq,VLqを深さ方向に延長して形成する。
つまり、凹部パターンVS,VLとして均一径寸法となるように底部VSb3,VLb3を形成する。
【0131】
この形状を実現するように、3サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
このとき、3サイクル目のドライエッチング工程S06におけるプラズマ処理装置10では、2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0132】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、3サイクル目のデポ工程S05における値よも大きく、また、3サイクル目のアッシング工程S07における値と同じ値に設定することができる。
【0133】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0134】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06においても、プラズマ処理装置10では、2サイクル目と同様に、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0135】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06における異方性プラズマエッチングでは、2サイクル目と同様に、SF6とO2の混合ガスをプラズマ分解して、Siの異方性エッチングをおこなうものである。これにより、SF6が分解して生成するFラジカルが、Siをエッチングする(F+Si→SiF4)。このエッチング反応は、等方性エッチングのため、異方性エッチングを行うために、側壁VSq,VLqに保護膜を付着させて、側壁VSq,VLqのエッチング反応を抑制してもよい。
【0136】
3サイクル目のドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、2サイクル目と同様に、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D2が除去されて側壁VSq,VLqが露出する。
【0137】
ここで、3サイクル目のドライエッチング工程S06におけるSF6/O2の混合ガス系異方性プラズマエッチングでは、2サイクル目と同様に、絶縁層を形成して、側壁VSq,VLqが保護されてもよい。同時に、Oによる側壁VSq,VLqの酸化と、エッチング生成物であるSiF4が再分解されたSiとOの反応によるSiOxのデポ膜の形成とによって側壁VSq,VLqが保護される。
【0138】
また、3サイクル目のドライエッチング工程S06では、2サイクル目と同様に、エッチング生成物であるSiF4が不足することを防止するために、SiF4をガスとして供給することもできる。
【0139】
さらに、3サイクル目のドライエッチング工程S06においては、2サイクル目と同様に、エッチングガスとしてSF6又はNF3を使用し、エッチングガスにケイ素化合物としてSiF4を、反応体としてO2、N2、N2O、NO、NOxまたはCO2を添加して、底部を集中的にエッチングすることができる。
さらに、3サイクル目のドライエッチング工程S06においては、1サイクル目のドライエッチング工程S06、および/または、2サイクル目のドライエッチング工程S06に対して、とすることができる。
【0140】
図12は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す3サイクル目のアッシング工程S07は、
図12に示すように、3サイクル目のドライエッチング工程S06の終了後において、残存したデポ層D3を除去する。
特に、3サイクル目のアッシング工程S07においては、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D3を確実に除去するように、その条件が設定される。
【0141】
3サイクル目のアッシング工程S07においては、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、3サイクル目のドライエッチング工程S06の終了した後に、マスク層Mの表面に付着しているデポ層D3と、マスク層Mの開口パターンMSおよび開口パターンMLの内周付近に残存したデポ層D3と、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqに残存したデポ層D3と、を除去する。
さらに、開口パターンMSに対応する底部VSb3に残存したデポ層D3と、開口パターンMLに対応する底部VLb3に残存したデポ層D3と、があればこれを除去する。
【0142】
ここで、最も重要なのは、開口パターンMSの内周位置に残存したデポ層D3と、開口パターンMLの内周位置に残存したデポ層D3と、を除去することである。もしも、このデポ層D3が除去しきれずに残存していた場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルにおける後工程である、4サイクル目のデポ工程05において、残存したデポ層D3にさらに次のデポ層D4が堆積してしまい、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が減少してしまう。
【0143】
すると、3サイクル目の次サイクルである後工程として、4サイクル目となるドライエッチング工程S06において、異方性を強めたエッチングをおこなっても、デポ層D2およびデポ層D3によって底部VSb2および底部VLb2までエッチングプラズマが到達することが阻害される。したがって、底部VSb2および底部VLb2におけるエッチングが好適におこなわれず、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直ではなくなり、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまう可能性を排除できなくなる。
【0144】
これに対して、開口パターンMSの内周位置にデポ層D3が残存せず、また、開口パターンMLの内周位置にデポ層D3が残存しない状態にした場合には、繰り返しサイクルの次のサイクルとして後工程である、次のサイクルにおけるデポ工程05において、残存したデポ層D3にさらにデポ層D4が堆積することがなく、マスク層Mにおける開口パターンMSおよび開口パターンMLの開口径(開口面積)が所定の大きさを維持している状態に維持することができる。
【0145】
すると、繰り返しサイクルの次のサイクルにおけるドライエッチング工程S06において、後工程として異方性を強めたエッチングをおこなうことで、デポ層D3およびデポ層D4によって底部VSb2および底部VLb2までエッチングプラズマが到達することが阻害されない。したがって、底部VSb2および底部VLb2におけるエッチングが好適におこなわれて、開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqが垂直な状態で伸長され、凹部パターンVS,VLの形状が先細りとなってしまうことを防止して、同径の凹部パターンVS,VLを高アスペクト比で形成することが可能となる。
【0146】
3サイクル目のアッシング工程S07において、上記のように、開口パターンMSとMLとの内周位置に残存したデポ層D3を確実に除去するために、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、プラズマ処理に強い異方性を持たせる必要がある。このために、3サイクル目のアッシング工程S07においても、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0147】
このとき、3サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
【0148】
また、3サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、デポ工程S05における値よも大きく、また、3サイクル目のドライエッチング工程S06における値と同じ値に設定することができる。
【0149】
また、3サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2の供給電力が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3の供給電力と同じ値に設定することができる。
【0150】
また、3サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、第一電極12に対して、周波数λ1であるバイアス電圧を印加することが好ましい。周波数λ1は、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3よりも低い値に設定することができる。周波数λ1は、たとえば、400kHzとすることができる。
【0151】
また、3サイクル目のアッシング工程S07におけるプラズマ処理装置10では、1サイクル目および/または2サイクル目と同様に、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加することが好ましい。3サイクル目のアッシング工程S07におけるバイアス電圧の電力は、3サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力と等しいか、3サイクル目のドライエッチング工程S06におけるバイアス電圧の電力よりも高く設定することができる。
【0152】
3サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングすることができる。O2ガス系異方性プラズマ処理では、開口パターンMS,MLの内周付近、および開口パターンMS,MLに対応する側壁VSq,VLqにおいてデポ層D3が確実に除去されて側壁VSq,VLqが露出する。同時に、3サイクル目のアッシング工程S07において、O2ガスを供給してアッシングするが、マスク層Mが、SiO2膜やSiN膜、あるいは、メタル(金属)などから形成されていることで、O2プラズマにより除去されない。
【0153】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図2に示すように、デポ工程S05と、ドライエッチング工程S06と、アッシング工程S07と、を1サイクルとして繰り返す。これにより、凹部パターンVS,VLの深さをさらに長くする。
次に、4サイクル目について説明する。
【0154】
図13は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法を示す工程断面図である。
図2に示す4サイクル目のデポ工程S05は、4サイクル目における後工程のドライエッチング工程S06において、凹部パターンVSと凹部パターンVLとの側壁をエッチングから保護することができるように、
図13に示すように、シリコン基板S全面にフルオロカーボン等のポリマーからなるデポ層D4を異方性プラズマ処理により形成する。
【0155】
デポ層D4は、4サイクル目における後工程として、フッ素化合物を使用したエッチングであるドライエッチング工程S06において、垂直な側壁MSq、MLqを達成するために、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqをエッチングから保護するとともに、エッチングを凹部パターンVS,VLの底部VSb3,VLb3に限定する。
【0156】
デポ層D4は、マスク層Mの表面および凹部パターンVS,VLの底部VSb3,VLb3に積層する。また、
図13においては、凹部パターンVS,VLの側壁VSq、VLqにおいてはデポ層D4を示しているが、実際にはあまり積層されない。
【0157】
4サイクル目のデポ工程S05は、3サイクル目と同様に、CHF3、C2F6、C2F4、またはC4F8などの過フッ化炭化水素ガスを用いて、異方性プラズマ処理をおこなう。デポ工程S05においては、プラズマ処理に強い異方性を持たせるために、後述するプラズマ処理装置10を用いる。
【0158】
4サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2が、外周側の第三電極E3に印加する高周波の周波数λ3に比べて大きく設定することができる。具体的には、周波数λ2が13.65MHzとされ、周波数λ3が2MHzとされることができる。
このとき、1サイクル目~3サイクル目におけるいずれかのデポ工程S05と同等の設定とすることもできる。
【0159】
また、4サイクル目のデポ工程S05において、プラズマ処理装置10では、後述するように内周側の第二電極E2に印加する高周波の周波数λ2である電力が、後述するドライエッチング工程S06およびアッシング工程S07における値よりも小さく設定することができる。また、プラズマ処理装置10においては、第一電極12に対して、バイアス電圧を印加しないことができる。
4サイクル目のデポ工程S05においては、所定の雰囲気圧力として処理をおこなう。さらに、4サイクル目のデポ工程S05においては、1サイクル目~3サイクル目におけるいずれかのデポ工程S05と同等の設定とすることもできる。
【0160】
4サイクル目のデポ工程S05で形成されるデポ層D4は、1サイクル目~3サイクル目におけるいずれかのデポ工程S05と同様に、径寸法の小さい開口パターンMSに対応する底部VSb3に比べて、径寸法の大きい開口パターンMLに対応する底部VLb3における膜厚が大きくなる。なお、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D4の膜厚に比べて、開口パターンMLの底部VLb3におけるデポ層D4の膜厚は同等かあるいは小さくなる。
【0161】
つまり、デポ層D4の膜厚は、開口パターンMS,MLの外方となるマスク層Mの表面におけるデポ層D4の膜厚TD4、開口パターンMLの底部VLb3におけるデポ層D4の膜厚TLD4、開口パターンMSの底部VSb3におけるデポ層D4の膜厚TSD4、の順に小さくなる。
【0162】
4サイクル目のデポ工程S05において、上記のように条件設定をおこなうことにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb3,VLb3におけるデポ層D4のデポジションカバレージをそれぞれ最適化するように制御することが可能となる。ここで、デポジションカバレージとして望ましい条件の方向は、必要な膜厚となるデポ層D4を底部VSb3,VLb3に積層する処理時間を短くすることである。つまり、デポ層D4を底部VSb3,VLb3に積層する成膜速度を増大することである。
【0163】
また、4サイクル目のデポ工程S05において、デポジションカバレージとして望ましい条件としては、エッチング深さおよびアスペクト比に対応してデポジションカバレージを調整することである。つまり、後述するように、底部VSb2,VLb2からの底部VSb3,VLb3の深さ変化に対応してアスペクト比が変化した場合でも、所望の厚さのデポ層D3を所定の積層成膜速度で成膜することを可能にできる。
【0164】
さらに、底部VSb3に積層するデポ層D4に対する均一性および確実性と、底部VLb3に積層するデポ層D4に対する均一性および確実性とを、それぞれ向上することである。
【0165】
次に、
図2に示す4サイクル目のドライエッチング工程S06として、異方性プラズマエッチングにより、開口パターンMS,MLに対応する底部VSb2,VLb2を掘り下げて、底部VSb3,VLb3を形成する。
次に、
図2に示す4サイクル目のアッシング工程S07として、残存したデポ層D4を除去する。
【0166】
これにより、シリコン基板Sの表面に、径寸法ΦSを有する凹部パターンVSと、径寸法ΦLを有する凹部パターンVLを、同じ深さとして形成する。
さらに、
図1に示すように、必要であればマスク層Mを除去することで、本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法を終了する。
【0167】
本実施形態に係るシリコンのドライエッチング方法は、
図2に示すように、デポ工程S05と、ドライエッチング工程S06と、アッシング工程S07と、を1サイクルとして繰り返すことにより、異なる径寸法の凹部パターンVS,VLを同じ深さとして高アスペクト比に形成することが可能となる。
【0168】
なお、サイクル数は1以上の任意の回数とすることができる。また、アッシング工程S07は、各サイクル毎におこなわなくてもよい。当該サイクルにおける開口パターンMS,MLの内周でのデポ層の残存度合いによって、アッシング工程S07の実施の有無を判断することができる。
【0169】
次に、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法において用いるプラズマ処理装置について、図面に基づいて説明する。
図14は、本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法において用いるプラズマ処理装置を示す模式断面図である。
図15は、
図14の装置において、内周側と外周側に2つのスパイラル状電極を配置し、各電極にそれぞれ異なる周波数の電源を接続する位置を示す平面図である。
図16は、
図14の装置において、第一電極(外径D)と第二電極(外径d)との関係を示す断面図である。図において、符号10は、プラズマ処理装置である。
【0170】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、Dual frequency ICPとされる。プラズマ処理装置10は、
図14に示すように、たとえば排気手段TMPにより減圧可能なチャンバ11内において被処理体(シリコン基板)Sに対してプラズマ処理する装置である。
このプラズマ処理装置10においては、ガス導入手段が上蓋13の中央部15a(15)に配置され、固体ソース20a(20)の配置される領域が外周側に配された電極[第三電極E3(アンテナAT3)]と重なる位置に設けられている。
【0171】
プラズマ処理装置10では、チャンバ11内において、固体ソース20aの配置される領域が、第三電極E3と重なる位置にあり、かつ、印加する周波数が低い方の電極(第三電極E3)を少なくとも覆うように配置されており、固体ソース20aがチャンバ11の上蓋13と別体として設けられている。
プラズマ処理装置10において、第二電極E2は印加する周波数が高い方の電極であり、第三電極E3は印加する周波数が低い方である。すなわち、プラズマ処理装置10では、第二の周波数λ2と第三の周波数λ3が、λ2>λ3の関係にあり、ガス導入手段が上蓋13の中央部に配置されている。
【0172】
プラズマ処理装置10は、チャンバ11と、平板状の第一電極(基板の支持手段)12と、高周波電源Aと、上蓋13と、螺旋状の第二電極E2(アンテナAT2)と、螺旋状の第三電極E3(アンテナAT3)と、ガス導入口15と、ガス導入手段(不図示)と、を備えている。
第一電極(支持手段)12は、チャンバ11内に配され、被処理体Sを載置する。高周波電源(第一の高周波電源)Aは、第一電極12に対して、周波数(第一の周波数)λ1のバイアス電圧を印加可能である。
【0173】
螺旋状の第二電極E2と螺旋状の第三電極E3とは、いずれもチャンバ11外に配され、チャンバ11の上蓋13を形成する石英板を挟んで、第一電極12と対向するように配置される。螺旋状の第二電極E2は上蓋13に沿って中央部に配置され、螺旋状の第三電極E3は上蓋13に沿って第二電極E2より外周部に配置される。
【0174】
高周波電源(第二の高周波電源)Bは、第二電極E2に対して、周波数(第二の周波数)λ2の交流電圧を印加可能である(
図14)。第二電極E2は、螺旋状の内周端に配置され、第二の高周波電源Bから高周波を印加する第一の部位と、螺旋状の外周端に配置され、アースに接地される第二の部位とを有する(
図15)。
【0175】
高周波電源(第三の高周波電源)Cは、第三電極E3に対して、周波数(第三の周波数)λ3の交流電圧を印加可能である(
図14)。第三電極E3は、螺旋状の内周端に配置され、第三の高周波電源Cから高周波を印加する第三の部位と、螺旋状の外周端に配置され、アースに接地される第四の部位とを有する(
図15)。
【0176】
第二の高周波電源Bは、第二電極E2に対して、第二の周波数λ2の交流電圧を印加する。第三の高周波電源Cは、第三電極E3に対して、第三の周波数λ3の交流電圧を印加する。
【0177】
プラズマ処理装置10におけるガス導入手段(不図示)は、上蓋13に配されたガス導入口15(15a)から、チャンバ11内にフッ素(F)を含有するプロセスガスGを導入する。
プラズマ処理装置10は、チャンバ11内において、チャンバ11の上蓋13側、かつ、第一電極12と対向する位置に、スパッタリング用の固体ソース20を有する。特に、プラズマ処理装置10では、固体ソース20の配置される領域が外周側に配された第三電極E3と重なる位置に設けられている。
【0178】
上記構成により、プラズマ処理装置10においては、チャンバ11内の上蓋13側に、第二電極E2によるプラズマP2と第三電極E3によるプラズマP3が生じる。そして、プラズマ処理装置10では、固体ソース20の配置される領域が外周側に配された第三電極E3と重なる位置に設けられているので、固体ソース20は主にプラズマP3によってスパッタリングされる。固体ソース20として酸化シリコンを設けることにより、固体ソース20からプラズマ(特にプラズマP3)の中に、不足するたとえば酸素元素が逐次導入される。
【0179】
ここで、酸素元素(O)及びフッ素元素(F)の発光分光強度、並びにこれらの比率O/Fとの関係を所定の状態とするために、高周波(13.56MHz)の電源パワーを2kWに固定し、低周波(2MHz)の電源パワーを0W~3kWの範囲で変更することができる。
【0180】
プラズマ処理装置10において、
図16に示すように、シリコン基板Sを載置する第一電極12(外径D)と、固体ソース20と重ならない内周側の第二電極E2(外径d)との関係を設定する。
【0181】
・第二電極(アンテナ2)の直径dが、基板の支持手段(基板ステージ)である第一電極12の直径Dに対して1/2以下の場合は、外周部のプラズマ密度が低下し、Fラジカルの生成量が著しく低下する。このため、基板の外周部が、基板の中央部と同様にエッチングを行うことができない。
・第二電極(アンテナ2)の直径dが、基板の支持手段(基板ステージ)である第一電極12の直径Dの1.3倍以上の場合は、第三電極E3(アンテナ3)に低周波を印加し、固体ソース20から酸素元素を供給しても、基板から遠いため、基板外周部に効果が及ばない。
【0182】
したがって、本実施形態のプラズマ処理装置10においては、固体ソース20から酸素元素を供給する際には、関係式D/2≦d≦Dを満たすことが好ましい。
【0183】
本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法によれば、デポ層D1~D4~を堆積させることによるエッチストップ効果を利用することで、シリコン基板Sに形成する際のドライエッチング処理後における、異なる径寸法(ΦA,ΦBなど)を有するホールやトレンチなどの凹部パターンVS,VLの深さの差を抑制することができる。
【0184】
また、デポ工程S05におけるデポジション堆積と、ドライエッチング工程S06におけるエッチングとの反復の後に、デポ層D1~D4~を除去するアッシング工程S07を追加することで、サイクル毎にデポジションを除去する。これにより、エッチング途中の開口パターンMS,MLの領域に対応する側壁VSq,VLqに付着したCxFy系ポリマーからなるデポ層D1~D4~も除去される。さらに、ドライエッチング工程S06では、プラズマ処理装置10におけるDual frequency ICP(例えば、13.56MHzと2MHzとからなる)により、添加ガスO2を積極解離させることで側壁VSq,VLqにSiOx保護膜を常時形成させることができる。
【0185】
これにより、デポジションのオーバーハング、つまり、開口パターンMS,MLの開口内周に付着したデポ層D1~D4~が、開口パターンMS,MLの開口中心に向けて突出してしまうことを防止することができる。これにより、開口パターンMS,MLの開口領域が狭くなって、側壁VSq,VLq付近の底部VSb,VLbに対するエッチングが阻害され、底部VSb,VLbの面積が狭くなり、これに伴ってシリコンエッチング形状の先細りを防止することができる。
【0186】
これにより、側壁VSq,VLqの垂直性を維持したまま、異なる径寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)VS,VLを、エッチング処理後の深さの差が発生してしまうことを抑制した状態で形成することができる。したがって、本実施形態は、異なる径寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)をエッチング処理後に深さの差が発生することを抑制して形成可能なドライエッチング処理方法を提供することができる。
【0187】
本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法によれば、マスク層Mの開口パターンMS,MLの内周付近に付着したデポ層D1~D4~を、アッシング工程S07によって除去した状態で、ドライエッチング工程S06によって、凹部パターンVS,VLを形成することができる。したがって、マスク層Mの開口パターンMS,MLの内周付近に付着したデポ層D1~D4~によって、凹部パターンVS,VLのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。
【0188】
また、開口パターンMLの大きな凹部パターンVLにおいて、デポ工程S05において底部VLb~VLb1~に付着するデポ層D1~D4~の厚さを大きくし、同時に、開口パターンMSの小さな凹部パターンVSにおいて、デポ工程S05において底部VSb~VSb1~に付着するデポ層D1~D4~の厚さを小さくして、異なる径寸法の開口パターンMS,MLを同時に形成する場合にも、凹部パターンVS,VLの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0189】
つまり、本発明のシリコンドライエッチング手法は、デポジション堆積によるエッチングストップ効果を利用することで、シリコン基板Sに形成した異なる寸法の凹部パターンVS,VL(ホールやトレンチなど)の処理後の深さの差を抑制することができる。
【0190】
本実施形態におけるシリコンのドライエッチング方法によれば、マスク層Mの開口パターンMS,MLの内周付近に付着したデポ層D1~D4~が除去されたことによって、凹部パターンVS,VLのエッチングを深さに因らず同じ径寸法の底部VSb,VSb1~,VLb,VLb1~とすることができる。
【0191】
また、デポ工程S05におけるデポ層(デポジション)D1~の堆積とドライエッチング工程S06との反復するサイクルにおいて、このサイクルの後に、アッシング工程S07を追加することでサイクル毎に不要なデポジション(デポ層)を除去することができる。
【0192】
マスク層Mの開口パターン内周付近に残存した不要なデポ層D1~D4~が除去された状態で新たに必要なデポ層D2~を凹部パターンVS,VLの底部VSb~,VLb~等に形成することができる。
【0193】
マスク層Mの開口パターンMS,MLの内周付近に付着したデポ層D1~D4~が除去された状態で新たに必要なデポ層D2~を凹部パターンVS,VLの底部VSb1~,VLb1~等に形成することができ、この状態でドライエッチング工程S06をおこなうことによって、凹部パターンVS,VLのエッチング処理において、深さに因らず同じ径寸法の底部とすることができる。
【0194】
アッシング工程S07とデポ工程S05とドライエッチング工程S06とを、同一のチャンバ11内でおこなうことにより、in-situとして、マスク層Mの開口パターンMS,ML内周付近に付着したデポ層D1~D4~が除去された状態でドライエッチングをおこなうことができる。
したがって、余計な工程を必要とせず、外乱の影響を極めて抑制して、凹部パターンVSのエッチングによって深さに因らずに同じ径寸法ΦAを維持した底部VSb1~とし、また、凹部パターンVLのエッチングによって深さに因らずに同じ径寸法ΦBを維持した底部VLb1~とすることができる。
これにより、凹部パターンのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなることを防止できる。同時に、凹部パターンの側壁がシリコン基板の表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
【0195】
アッシング工程S07において、保護膜をいわば再形成することができ、これによりドライエッチング工程S06での凹部パターンVS,VLの側壁VSq,VLqに対する酸化膜形成による保護を維持したまま、アッシングをおこなうことができる。
これにより、ドライエッチングによる凹部パターンVS,VLの側壁VSq,VLqに対する影響を低減したまま、凹部パターンVS,VLの側壁VSq,VLqがシリコン基板Sの表面に対して鉛直等、所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
また、Dual frequency ICPにより導入ガスであるO2の解離を促進し、高いアッシングレートを実現することができる。
【0196】
アッシング工程S07とデポ工程S05とドライエッチング工程S06とを、プラズマ処理装置10によっておこなうことで、凹部パターンVS,VLを形成する方向への異方性を有する異方性プラズマ処理により処理することができる。
これにより、ドライエッチングによる凹部パターンVS,VLの側壁VSq,VLqに対する影響を低減したまま、凹部パターンVS,VLの径寸法が一定である所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
【0197】
これにより、凹部パターンVS,VLのエッチングが深くなるにつれて細くなる先細りとなってしまうことを防止できる。同時に、凹部パターンVS,VLの側壁VSq,VLqがシリコン基板Sの表面に対して鉛直で、凹部パターンVS,VLの径寸法が一定である所定の形状となるように処理をおこなうことができる。
【0198】
これにより、異なる径寸法ΦAと径寸法ΦBとを有する開口パターンMSと開口パターンMLとを同時に処理して凹部パターンVS,VLを同時に形成する場合にも、凹部パターンVS,VLの深さ寸法を等しくして、RIE-lagの発生を防止することができる。
【0199】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図17は、本実施形態において処理をおこなうプラズマ装置を示す模式断面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、プラズマ装置に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0200】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、
図17に示すように、ガス導入手段が上蓋13の中央部に配置され、固体ソース20b(20)の配置される領域が2つの電極[第二電極E2(アンテナAT2)、第三電極E3(アンテナAT3)]と重なる位置にある。
【0201】
つまり、
図17の構成からなるプラズマ処理装置10においては、チャンバ11内において、固体ソース20bの配置される領域が、第二電極E2および第三電極E3と重なる位置にあり、かつ、両電極を覆うように配置されており、固体ソース20bがチャンバ11の上蓋13と別体として設けられている。
【0202】
この構成により、
図17のプラズマ処理装置における固体ソース20b(20)は、低周波プラズマP3において、優先的に、スパッタリングされる。ゆえに、被処理体であるシリコン基板Sに対して、シリコン基板Sの半径方向において酸素元素が増加するように供給される。
【0203】
したがって、
図17のプラズマ処理装置においても、
図14のプラズマ処理装置と同様に、基板の中央部から外周部に亘る全域において、プラズマ処理における異方性を強化し、シリコン基板に加工される凹部パターンの側面形状が、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保たれる。
【0204】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図18は、本実施形態において処理をおこなうプラズマ装置を示す模式断面図であり、本実施形態において、上述した第2実施形態と異なるのは、チャンバ内において、チャンバの上蓋が固体ソース20c(20)から構成されている点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0205】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10では、
図18に示すように、
図17のプラズマ処理装置と同様の作用・効果が得られる。これに加えて、
図18のプラズマ処理装置においては、チャンバの上蓋それ自体が固体ソースであることから、チャンバ内に固体ソースを保持する手段が不要となる。また、チャンバの上蓋が固体ソースから構成されているので、チャンバ内におけるプラズマP2、P3の放電状態を一段と安定したものとすることができる。
【0206】
したがって、
図18のプラズマ処理装置においても、
図14のプラズマ処理装置と同様に、シリコン基板の中央部から外周部に亘る全域において、シリコン基板に加工される凹部パターンの側面形状が、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保たれる。
【0207】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図19は、本実施形態において処理をおこなうプラズマ装置を示す模式断面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、ガス導入手段と固体ソース20e(20)の配置とに関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0208】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10では、
図19に示すように、ガス導入手段がチャンバ11の側壁部15b(15)に配置され、固体ソース20d(20)の配置される領域が内周側の電極[第二電極E2(アンテナAT2)]と重なる位置にある。
【0209】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10は、第二電極E2は印加する周波数が低い方の電極であり、第三電極E3は印加する周波数が高い方である。すなわち、
図19のプラズマ処理装置10では、第二の周波数λ2と第三の周波数λ3が、λ2<λ3の関係にあり、前記ガス導入手段がチャンバ11の側壁部15b(15)に配置されている。
【0210】
図14のプラズマ処理装置10では、ガス導入手段がチャンバ11の側壁部15b(15)に配置される場合は、基板中心において不具合な状況が発生する傾向にある。そこで、本実施形態におけるプラズマ処理装置10においては、
図19に示すように、固体ソース20d(20)を内周側の電極[第二電極E2(アンテナAT2)]と重なる位置に配置した。
【0211】
これにより、
図14のプラズマ処理装置において基板外周部に対する作用・効果が、
図19のプラズマ処理装置では、基板中心部に対して得られる。
したがって、
図19のプラズマ処理装置においても、
図14のプラズマ処理装置と同様に、基板の中央部から外周部に亘る全域において、シリコン基板に加工される凹部パターンの側面形状が、凹部パターンの深さ方向において略直線状に保たれる。
【0212】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
図20は、本実施形態において処理をおこなうプラズマ装置を示す模式断面図であり、本実施形態において、上述した第4実施形態と異なるのは、ガス導入手段と固体ソース20e(20)の配置とに関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0213】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10では、
図20に示すように、ガス導入手段がチャンバ11の側壁部15b(15)に配置され、固体ソース20e(20)の配置される領域が2つの電極[第二電極E2(アンテナAT2)、第三電極E3(アンテナAT3)]と重なる位置にある。
【0214】
すなわち、
図20に示す構成からなるプラズマ処理装置においては、チャンバ11内において、固体ソース20eの配置される領域が、第二電極E2および第三電極E3と重なる位置にあり、かつ、両電極を覆うように配置されており、固体ソース20eがチャンバ11の上蓋13と別体として設けられている。
【0215】
この構成により、
図20のプラズマ処理装置における固体ソース20e(20)は、低周波プラズマP2において、優先的に、スパッタリングされる。ゆえに、被処理体であるシリコン基板Sに対して、シリコン基板Sの半径方向において酸素元素が増加するように供給される。
【0216】
したがって、
図20のプラズマ処理装置においても、
図19のプラズマ処理装置と同様に、基板の中央部から外周部に亘る全域において、基板に加工される凹部の側面形状が、凹部の深さ方向において略直線状に保たれる。
【0217】
以下、本発明に係るシリコンのドライエッチング方法の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
図21は、本実施形態において処理をおこなうプラズマ装置を示す模式断面図であり、本実施形態において、上述した第5実施形態と異なるのは、チャンバの上蓋に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0218】
本実施形態におけるプラズマ処理装置10では、
図21に示すように、チャンバ内において、チャンバの上蓋が固体ソース20f(20)から構成されている。
これにより、
図21に示すプラズマ処理装置10は、
図20に示すプラズマ処理装置10と同様の作用・効果が得られる。
【0219】
これに加えて、
図21に示すプラズマ処理装置10においては、チャンバの上蓋それ自体が固体ソースであることから、チャンバ内に固体ソースを保持する手段が不要となる。また、チャンバの上蓋が固体ソースから構成されているので、チャンバ内におけるプラズマP2、P3の放電状態を一段と安定したものとすることができる。
【0220】
したがって、
図21に示すプラズマ処理装置においても、
図20に示すプラズマ処理装置と同様に、基板の中央部から外周部に亘る全域において、基板に加工される凹部の側面形状が、凹部の深さ方向において略直線状に保たれる。
【実施例】
【0221】
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
【0222】
ここで、本発明におけるシリコンのエッチング方法の具体例として、確認試験について説明する。
【0223】
<実験例1>
上述したように、
図17に示すプラズマ処理装置10を用いて、シリコン基板Sに凹部パターンVS,VLを形成した。
ここでは、凹部パターンVSをΦAが3μm、深さ26μmのVia、凹部パターンVLをΦBが5μm、深さ26μmのViaとして形成した。この際、デポ工程S05、ドライエッチング工程S06、アッシング工程S07を1サイクルとして、30サイクル繰り返した。
【0224】
・第1工程: 炭素含有薄膜デポジションS05
・第2工程: 炭素含有膜をマスクとしたTSV底部絶縁層エッチS06
・第3工程: 炭素含有膜アッシングS07
・第4工程: 貫通電極形成
【0225】
以下に、Via形成における諸元を示す。
図17に示すプラズマ処理装置10において、基板の支持手段(基板ステージ)である第一電極12の直径D[mm]は400に固定し、第二電極(アンテナ2)の直径d[mm]を400に固定した。
【0226】
デポ工程S05における条件
供給ガス; C4F8
ガス流量; C4F8;200sccm
処理雰囲気圧力; 9Pa
内側電極供給電力; 1500W
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給電力; 2000W
外側電極供給周波数λ3;2MHz
バイアス電力;0W
【0227】
ドライエッチング工程S06における条件
供給ガス; SF8, O2, SiF4
ガス流量; SF8;275sccm,
O2;60sccm,
SiF4;30sccm,
処理雰囲気圧力; 9Pa
内側電極供給電力; 2000W
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給電力; 2000W
外側電極供給周波数λ3;2MHz
バイアス電力;100~200W
バイアス電力周波数λ1;400kHz
【0228】
アッシング工程S07における条件
供給ガス; O2
ガス流量; O2;450sccm,
処理雰囲気圧力; 9Pa
内側電極供給電力; 2000W
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給電力; 2000W
外側電極供給周波数λ3;2MHz
バイアス電力;200W
バイアス電力周波数λ1;400kHz
【0229】
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図22に示す。
【0230】
<実験例2>
実験例1と同様にして、デポ工程S05、ドライエッチング工程S06を繰り返して、凹部パターンVSをΦAが3μm、深さ24μmのVia、凹部パターンVSをΦLが5μm、深さ30μmのViaとして形成した。この際、アッシング工程S07をおこなわなかった。
【0231】
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図23に示す。
図22,
図23に示す実験例1,2の結果から、アッシング工程S07をサイクル毎におこなうことにより、先細りのない形状として形成できることがわかる。
【0232】
次に、ドライエッチング工程S06における異方性の変化について検証した。
<実験例3>
実験例1と同様にして、1サイクルとしてデポ工程S05、ドライエッチング工程S06を繰り返さずに、凹部パターンVSをΦAが5μm、深さ25μmのViaとして形成した。
このとき、
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給周波数λ3;2MHz
として、Dual frequency ICPによる処理をおこなった。
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図24に示す。
【0233】
<実験例4>
実験例1と同様にして、1サイクルとしてデポ工程S05、ドライエッチング工程S06を繰り返さずに、凹部パターンVSをΦAが5μm、深さ15μmのViaとして形成した。
このとき、
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給周波数λ3;OFF
として、Single frequency ICPによる処理をおこなった。
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図25に示す。
【0234】
これらの結果により、Dual frequency ICPによる処理によれば、マスク開口部の塞がりやそれによる形状崩れ(先細り)の他、異方性の確保が可能となることがわかる。
【0235】
次に、デポ工程S05におけるデポジションカバレージ(デポジションの付き方)を比較した。
<実験例5>
実験例3と同様にして、1サイクルとしてデポ工程S05、ドライエッチング工程S06を繰り返さずに、凹部パターンVSをΦAが5μm、深さ10μmのViaとして形成した。
このとき、
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給周波数λ3;2MHz
として、Dual frequency ICPによる処理をおこなった。
同時に、デポジションカバレージを調整するために、
内側供給電力;1500W(13.56MHz)
外側供給電力;OFF (2MHz)
として、デポジション堆積の実験処理をおこなった。
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図26に示す。
【0236】
<実験例6>
実験例1と同様にして、1サイクルとしてデポ工程S05、ドライエッチング工程S06を繰り返さずに、凹部パターンVSをΦAが5μm、深さ10μmのViaとして形成した。
このとき、
内側電極供給周波数λ2;13.56MHz
外側電極供給周波数λ3;2MHz
として、Dual frequency ICPによる処理をおこなった。
同時に、デポジションカバレージを調整するために、
内側供給電力;1500W(13.56MHz)
外側供給電力;2000W(2MHz)
として、デポジション堆積の実験処理をおこなった。
このように形成した凹部パターンVS,VLの断面SEM画像を
図27に示す。
【0237】
これらの結果により、Dual frequency ICPにより、Via底部でのデポジション堆積が増えるようカバレージを調整できることがわかる。
また、RIE-lag低減のためにデポジションを堆積させたいのはVia底部であり、処理時間の短縮に繋がることがわかる。
また,Dual frequency ICPパワー調整によりエッチング深さおよびアスペクト比に応じてデポジションカバレージを調整することが可能であることがわかる。
【0238】
上記の結果から、本発明としては、以下のように設定することが重要である。
・CxFy deposition-step→Etch-step→Deposition-ash stepの計3ステップの反復によりRIE-lagを無くすシリコンドライエッチングプロセス手法。
・CxFy deposition-step→Etch-step→Deposition-ash stepの計3ステップの反復プロセスを同一のプロセスチャンバー内で実行する。
【0239】
・マスク層は、O2プラズマにより除去されないハードマスク(SiO2やSiN、メタルなど)で構成される。
・Deposition step: C4F8放電によるデポジションの堆積。
・13.56&2MHz dual frequency ICPによりデポジションカバレージを最適化し、より短時間でVia底部に確実にデポジションを堆積させる。
【0240】
・また、13.56&2MHz dual frequency ICPパワー調整によりエッチング深さおよびアスペクト比に応じてデポジションカバレージを調整することも考えられる。
・Etch step: SF6ベースの放電によるエッチング。
【0241】
・Etch stepでは、O2ガス添加により側壁表面にSiOx膜が付着し、側壁保護性(異方性)が維持される。
・Etch stepではSiF4を追加で添加することも考えられる。
【0242】
・SiOx保護膜形成は13.56&2MHz dual frequency ICPにより実現する。
・Deposition-ash stepがマスク開口部がデポジションで塞がることを防ぐためのステップ。O2放電によるデポジションの除去。
【0243】
本発明のシリコンドライエッチング方法は、デポジション堆積によるEtch stop効果を利用することで、異なる寸法のシリコン凹部パターン(ホールやトレンチなど)における形成処理後の深さの差を抑制する。デポジション堆積とエッチングの反復の後にDeposition-ash stepを追加することで、サイクル毎にデポジションを除去する。
【0244】
エッチング途中のシリコン基板の凹部パターンの側壁のCxFy系ポリマーも除去されるが、Etch stepではDual frequency ICP(例えば、13.56MHzと2MHz)により添加ガスO2を積極解離させることでSiOx保護膜を常時形成させる。
【0245】
これにより、デポジションのオーバーハングおよびそれに伴うシリコンエッチング形状の先細を防ぎつつ垂直性を維持したまま、異なる径寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)をエッチング処理後の深さの差を抑制して作成することができる。したがって、本発明は、異なる寸法の凹部パターン(ホールやトレンチなど)をエッチング処理後の深さの差を抑制して作成することができる。
【符号の説明】
【0246】
D1,D2,D3,D4…デポ層
M…マスク層
MS,ML…開口パターン(マスクパターン)
VS,VL…凹部パターン
VSq、VLq…側壁
VSb,VLb,VSb1,VLb1,VSb2,VLb2,VSb3,VLb3…底部
A…高周波電源(第一の高周波電源)
B…高周波電源(第二の高周波電源)
C…高周波電源(第三の高周波電源)
E2…第二電極(アンテナAT2)
E3…第三電極(アンテナAT3)
G…プロセスガス…
M/B…マッチングボックス
S…被処理体(シリコン基板)
TMP…排気手段
λ1…周波数(第一の周波数)
λ2…周波数(第二の周波数)
λ3…周波数(第三の周波数)
10…プラズマ処理装置
11…チャンバ
12…第一電極(支持手段)
13…上蓋
20,20a,20b,20c,20d,20e,20f…固体ソース