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特許7478073誤差特定装置、誤差特定方法及びプログラム
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  • 特許-誤差特定装置、誤差特定方法及びプログラム 図1
  • 特許-誤差特定装置、誤差特定方法及びプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】誤差特定装置、誤差特定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
G01B21/00 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020167729
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059861
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】井上 友人
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-66693(JP,A)
【文献】特開2015-152576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/00-21/32
G01B 5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差を特定する誤差特定装置であって、
前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得する情報取得部と、
前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定する測定位置特定部と、
前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定する誤差特定部と、
前記誤差特定部が特定した前記測定誤差を出力する出力部と、
を有する誤差特定装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記三次元測定機で前記ワークを測定する際の複数の測定条件を示す測定条件情報をさらに取得し、
前記誤差特定部は、前記測定条件情報が示す複数の測定条件のうち、前記測定位置における測定に影響する一以上の測定条件にさらに基づいて前記測定誤差を特定する、
請求項1に記載の誤差特定装置。
【請求項3】
前記測定条件情報は、前記ワークに接触するプローブの特性を示す特性情報を含み、
前記誤差特定部は、前記プローブの特性に基づいて前記測定位置に前記プローブが接触する際に生じる前記測定誤差を特定する、
請求項2に記載の誤差特定装置。
【請求項4】
前記測定条件情報は、前記三次元測定機における前記ワークの設置位置を示す位置情報を含み、
前記誤差特定部は、前記位置情報が示す前記設置位置に対応する前記運動誤差に基づいて前記測定誤差を特定する、
請求項2又は3に記載の誤差特定装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記ワークにおける複数の位置それぞれに関連付けて前記測定誤差を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の誤差特定装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記ワークの公差を示す公差情報をさらに取得し、
前記出力部は、前記公差情報が示す前記公差と前記測定誤差とを比較した結果を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の誤差特定装置。
【請求項7】
コンピュータが、三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差を特定する方法であって、
前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得するステップと、
前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定するステップと、
前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定するステップと、
特定した前記測定誤差を出力するステップと、
を有する誤差特定方法。
【請求項8】
三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差をコンピュータに特定させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得するステップと、
前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定するステップと、
前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定するステップと、
特定した前記測定誤差を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤差特定装置、誤差特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元測定機が発生する運動誤差を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-152576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三次元測定機のユーザは、三次元測定機の運動誤差を推定し、推定した運動誤差を指標として用いて三次元測定機を点検する場合がある。しかしながら、運動誤差は、ワークを測定する際に生じる測定誤差と異なる。したがって、運動誤差に基づいて三次元測定機の良否を判定すると、適切な判定が行われない場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、三次元測定機の信頼性の判定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る誤差特定装置は、三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差を特定する誤差特定装置であって、前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得する情報取得部と、前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定する測定位置特定部と、前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定する誤差特定部と、前記誤差特定部が特定した前記測定誤差を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記情報取得部は、前記三次元測定機で前記ワークを測定する際の複数の測定条件を示す測定条件情報をさらに取得し、前記誤差特定部は、前記測定条件情報が示す複数の測定条件のうち、前記測定位置における測定に影響する一以上の測定条件にさらに基づいて前記測定誤差を特定してもよい。
【0008】
前記測定条件情報は、前記ワークに接触するプローブの特性を示す特性情報を含み、前記誤差特定部は、前記プローブの特性に基づいて前記測定位置に前記プローブが接触する際に生じる前記測定誤差を特定してもよい。
【0009】
前記測定条件情報は、前記三次元測定機における前記ワークの設置位置を示す位置情報を含み、前記誤差特定部は、前記位置情報が示す前記設置位置に対応する前記運動誤差に基づいて前記測定誤差を特定してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記ワークにおける複数の位置それぞれに関連付けて前記測定誤差を出力してもよい。
【0011】
前記情報取得部は、前記ワークの公差を示す公差情報をさらに取得し、前記出力部は、前記公差情報が示す前記公差と前記測定誤差とを比較した結果を出力してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る誤差特定方法は、コンピュータが、三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差を特定する方法であって、前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得するステップと、前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定するステップと、前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定するステップと、特定した前記測定誤差を出力するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差をコンピュータに特定させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報と、前記ワークの設計情報と、を取得するステップと、前記設計情報に基づいて前記ワークにおける測定位置を特定するステップと、前記運動誤差情報に基づいて、前記運動誤差に起因して前記測定位置における測定において生じる測定誤差を特定するステップと、特定した前記測定誤差を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、三次元測定機の信頼性の判定精度を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る誤差特定方法の概要を説明するための図である。
図2】誤差特定装置10が特定する測定誤差C1の一例を説明するための図である。
図3】誤差特定装置10の構成を説明するための図である。
図4】誤差特定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施形態に係る誤差特定方法の概要>
図1は、本実施形態に係る誤差特定方法の概要を説明するための図である。図1を参照しながら、誤差特定装置10を用いて、三次元測定機によりワークを測定する際に生じる測定誤差を特定する方法と、特定した測定誤差に基づいて三次元測定機の異常の有無を判定する方法の概要を説明する。
【0017】
CMMモデルA1は、ワークを三次元測定機で測定する際の各種の条件が入力されることにより、三次元測定機の測定誤差を出力するモデルである。コンピュータがプログラムを実行することにより、入力された情報に基づいて測定誤差を出力するCMMモデルA1として機能する。CMMモデルA1は、入力された運動誤差情報B1、設計情報B2及び測定条件情報B3に基づいて、これらの情報に対応する測定を三次元測定機が行う場合に生じる測定誤差を出力する。
【0018】
運動誤差情報B1は、CMMモデルA1に対応する三次元測定機(すなわち、測定誤差を特定する対象となる三次元測定機)の運動誤差の測定結果を示す情報である。運動誤差は、例えば、スケール誤差及び直角度などの並進誤差と回転誤差である。運動誤差情報B1は、例えば三次元測定機の日常点検の結果に基づいて特定された運動誤差の値を含む。
【0019】
設計情報B2は、ワークの設計情報である。設計情報は、ワークの形状、長さ又は厚み等を特定するためのデータであり、例えば、ワークのCAD(Computer Aided Design)データである。
【0020】
測定条件情報B3は、CMMモデルA1に対応する三次元測定機がワークを測定する際の測定条件を示す情報である。測定条件は、例えば、三次元測定機の構造、三次元測定機が備えるプローブの特性、ワークの設置位置、測定時のワークの向き、及びワークにおける測定点である。
【0021】
測定誤差C1は、運動誤差及び測定条件に起因して、CMMモデルA1に対応する三次元測定機がワークを測定する際に生じる測定誤差である。測定誤差C1は、測定条件情報B3が示す条件でワークを測定した際に生じる測定誤差である。
【0022】
図1に示す誤差特定方法においては、測定誤差C1を特定した後に、判定処理部A2において、測定誤差C1をワークの公差情報B4が示す公差と比較して、三次元測定機が正常であるか否かの判定処理を実行する。例えば誤差特定装置10は、測定誤差C1が公差よりも大きい場合に、三次元測定機に異常が生じているという判定結果C2を出力する。このような誤差特定装置10を用いて三次元測定機の信頼性の判定精度を向上させることで、測定する必要があるワークの形状を当該三次元測定機で測定した場合に信頼できる測定結果を測定できるかを測定前に把握することができる。
【0023】
図2は、誤差特定装置10が特定する測定誤差C1の一例を説明するための図である。図2(a)は、運動誤差が生じない場合のワークの測定を示す。図2(b)は、Y方向のヨーイングにより運動誤差が生じた場合のワークの測定を示す。なお、図2では、説明を簡単にするために、XステージXSとYステージYSとプローブPとで構成された座標測定機を用いて、正方形のワークWを測定する例を示す。
【0024】
図2(a)に示すように、運動誤差が生じない場合のワークWの測定においては、ワークWの測定誤差を推定する際に運動誤差を考慮する必要がない。しかし、図2(b)に示すように、例えばY方向のヨーイングによりXY直角度が変化した場合、ワークWの測定値には長さLと回転誤差θとの積算で特定できる運動誤差が生じる。CMMモデルA1は、プローブPとワークWが接触する位置における運動誤差である長さLと回転誤差θとの積算値を測定誤差C1として特定する。
【0025】
<誤差特定装置10の構成>
図3は、誤差特定装置10の構成を説明するための図である。誤差特定装置10は、記憶部11と制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。
【0026】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、情報取得部121、測定位置特定部122、誤差特定部123、判定部124、及び出力部125として機能する。情報取得部121、測定位置特定部122、及び誤差特定部123が連携することにより、図1に示したCMMモデルA1として機能する。判定部124及び出力部125は、図1に示した判定処理部A2として機能する。
【0027】
情報取得部121は、測定誤差C1の特定と判定結果C2の出力に必要な情報を取得する。情報取得部121は、例えば、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介して情報を取得する。
【0028】
情報取得部121は、例えば三次元測定機の日常点検の結果を記憶しているコンピュータから、三次元測定機の運動誤差の測定結果を示す運動誤差情報B1を取得する。また、情報取得部121は、例えばワークのCADデータを記憶しているコンピュータからワークの設計情報B2を取得する。情報取得部121は、運動誤差情報B1を誤差特定部123に出力し、設計情報B2を測定位置特定部122に出力する。
【0029】
情報取得部121は、例えばワークの測定者のコンピュータから、三次元測定機でワークを測定する際の複数の測定条件を示す測定条件情報B3をさらに取得する。測定条件情報B3は、ワークに接触するプローブの特性を示す特性情報と三次元測定機におけるワークの設置位置を示す位置情報とを含む。プローブの特性は、例えば、プローブが備えるスタイラスの大きさ、長さ、向き及び形状である。情報取得部121は、測定条件情報B3を誤差特定部123に出力する。
【0030】
情報取得部121は、例えばワークのCADデータを記憶しているコンピュータから、ワークの公差を示す公差情報B4をさらに取得する。公差情報B4が示す公差は、例えば、ワークの真直度、平面度、平行度、及び直角度などの幾何公差である。情報取得部121は、公差情報B4を判定部124に出力する。
【0031】
測定位置特定部122は、情報取得部121が取得した設計情報B2に基づいてワークにおける測定位置を特定する。測定位置は、例えばワークの頂点等の特徴点の位置である。ワークにおける測定位置は、例えば、ワークにおける基準位置に対する方向及び距離によってあらわされる。測定位置特定部122は、設計情報B2とともに、測定条件情報B3が示す測定点に基づいて測定位置を特定してもよい。測定位置特定部122は、特定したワークにおける測定位置を誤差特定部123に通知する。
【0032】
誤差特定部123は、運動誤差情報B1に基づいて、運動誤差に起因して測定位置における測定において生じる測定誤差C1を特定する。誤差特定部123は、情報取得部121が取得した運動誤差情報B1に基づいて、測定位置特定部122が特定した複数の測定位置それぞれにおいて生じる、並進誤差又は回転誤差などの測定誤差C1を特定する。
【0033】
三次元測定機においては、例えば、測定位置によりプローブが移動する方向及び距離が異なるため、測定位置により運動誤差が異なる。誤差特定部123は、測定位置に基づいてプローブが移動する方向及び距離を特定し、特定した方向及び距離に対応する運動誤差を特定することで、算出精度が高い測定誤差C1を特定する。
【0034】
誤差特定部123は、測定条件情報B3が示す複数の測定条件のうち、測定位置における測定に影響する一以上の測定条件にさらに基づいて測定誤差C1を特定する。誤差特定部123は、例えば、測定条件情報B3がワークに接触するプローブの特性を示す特性情報を含む場合、プローブの特性に基づいて測定位置にプローブが接触する際に生じる測定誤差C1を特定する。
【0035】
三次元測定機においては、例えば、ワークに接触するスタイラスの位置により測定誤差が異なる。誤差特定部123は、プローブの特性情報に基づいて測定位置におけるワークに接触するスタイラスの位置を特定することで、ワークに接触するスタイラスの位置を考慮した測定位置における測定誤差C1を特定する。
【0036】
測定条件情報B3が三次元測定機におけるワークの設置位置を示す位置情報を含む場合、誤差特定部123は、位置情報が示す設置位置に対応する運動誤差に基づいて測定誤差を特定してもよい。設置位置は、三次元測定機が測定可能な空間内の直交座標系における座標である。誤差特定部123は、測定位置特定部122が特定した測定位置と位置情報が示す設置位置とに基づいて、三次元測定機が測定可能な空間内の直交座標系における測定位置を特定する。
【0037】
続いて、誤差特定部123は、特定した測定位置に基づいて、プローブが移動する方向及び距離を特定する。誤差特定部123は、プローブが移動する方向及び距離に基づいて特定する複数の測定位置それぞれにおけるプローブの長さなどにより、複数の測定位置それぞれの測定誤差C1を特定する。このようにワークの設置位置に対応する運動誤差に基づいて測定誤差を測定することで、誤差特定部123は、測定位置における測定誤差C1を特定することができる。
【0038】
判定部124は、誤差特定部123が特定した測定誤差C1と情報取得部121が取得した公差情報B4が示すワークの公差とを比較し、比較した結果に基づいて測定誤差C1が許容できる範囲にあるか否かを判定する。判定部124は、測定誤差C1に含まれる複数の運動誤差それぞれと運動誤差それぞれに対応するワークの公差とを比較する。
【0039】
判定部124は、測定誤差C1に含まれる複数の運動誤差のうち1つ以上の運動誤差が、当該1つ以上の運動誤差それぞれに対応するワークの公差を超える場合、測定誤差C1が許容範囲ではないと判定する。一方、判定部124は、測定誤差C1に含まれる複数の運動誤差それぞれが、当該複数の運動誤差それぞれに対応するワークの公差以下である場合、測定誤差C1が許容範囲であると判定する。判定部124は、判定した結果を出力部125に通知する。
【0040】
出力部125は、誤差特定部123が特定した測定誤差C1を出力する。その場合、出力部125は、ワークにおける複数の測定位置それぞれに関連付けて測定誤差C1を出力する。出力部125は、公差情報B4が示す公差と測定誤差C1とを比較した結果を出力する。比較した結果は、判定部124が、測定誤差C1が許容範囲であるか否かを判定した結果であり、判定結果C2に相当する。
【0041】
出力部125は、例えば、コンピュータ又はスマートフォンなどの情報機器、又は三次元測定機に、通信ネットワークを介して出力する。出力部125は、例えば、誤差特定装置10がコンピュータ又はスマートフォンなどの情報機器により構成される場合、情報機器が備えるディスプレイに測定誤差C1と判定結果C2とを表示する。
【0042】
このように測定誤差C1と判定結果C2とを出力又は表示することで、例えば、三次元測定機のユーザは、当該三次元測定機を用いてワークを測定した際に生じる測定誤差を知ることができるとともに、当該三次元測定機の信頼性を判定することができる。具体的には、三次元測定機のユーザは、ワークを測定した際に生じる測定誤差を判定した結果に基づいて三次元測定機を修理するか否かを決定することができる。
【0043】
<誤差特定装置10のフローチャート>
図4は、誤差特定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。情報取得部121は、運動誤差情報B1を取得する(S11)。情報取得部121は、設計情報B2を取得する(S12)。情報取得部121は、測定条件情報B3を取得する(S13)。測定位置特定部122は、設計情報B2に基づいて測定位置を特定する(S14)。誤差特定部123は、測定位置特定部122が特定した測定位置に基づく測定誤差C1を特定する(S15)。
【0044】
情報取得部121は、公差情報B4を取得する(S16)。誤差特定部123が測定誤差C1を特定すると、判定部124は、測定誤差C1と公差情報B4が示す公差とを比較する。判定部124は、測定誤差C1が示す複数の運動誤差それぞれが、運動誤差それぞれに対応する公差以下である場合(S17のYES)、測定誤差C1は許容できる範囲であると判定し、判定結果である「OK」を出力する(S18)。判定部124は、測定誤差C1が示す複数の運動誤差のうち1つ以上の運動誤差が、当該運動誤差に対応する公差を超える場合(S17のNO)、測定誤差C1は許容できる範囲ではないと判定し、判定結果である「NG」を出力する(S19)。
【0045】
<誤差特定装置10の効果>
以上のとおり、誤差特定装置10は、設計情報に基づいてワークにおける測定位置を特定する測定位置特定部122を有する。そして、誤差特定部123が、運動誤差情報に基づいて、測定位置特定部122が特定した測定位置における測定において生じる測定誤差を特定する。誤差特定装置10がこのように動作することで、誤差特定装置10は、ワークの測定位置により異なる運動誤差が考慮された三次元測定機の測定誤差を特定することができる。そして、誤差特定装置10が特定した測定誤差に基づいて、三次元測定機のユーザは当該三次元測定機の信頼性を判定できる。その結果、三次元測定機を用いてワークを測定するユーザが、当該三次元測定機により適切にワークの形状を測定できるかどうかを測定前に確認したり、三次元測定機の修理が必要か否かを適切に判断したりすることができる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0047】
10 誤差特定装置
11 記憶部
12 制御部
121 情報取得部
122 測定位置特定部
123 誤差特定部
124 判定部
125 出力部
図1
図2
図3
図4