(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】撮像素子、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/10 20230101AFI20240424BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240424BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240424BHJP
【FI】
H04N25/10
H01L27/146 A
H01L27/146 F
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2021120993
(22)【出願日】2021-07-21
(62)【分割の表示】P 2019545189の分割
【原出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017192212
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 崇志
(72)【発明者】
【氏名】高木 徹
(72)【発明者】
【氏名】中山 智史
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良次
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 佳之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 周太郎
【合議体】
【審判長】五十嵐 努
【審判官】板垣 有紀
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-082768(JP,A)
【文献】特開2017-108286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00 - 25/79
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とに配置され、第1波長域の光を透過する第1
フィルタからの光を
電荷に変換
する光電変換部
をそれぞれが含む複数の画素により構成される第1ブロックと、
前記第1ブロックと空間的に重なり合うブロックであって、前記第1方向と前記第2方向とに配置され、第2波長域の光を透過する第2
フィルタからの光を
電荷に変換
する光電変換部
をそれぞれが含む複数の画素により構成される第2ブロックと、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素に電気的に接続される信号線であって、前記第1ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素から出力された信号を用いるビニング処理が行われる第1信号
線と、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素に電気的に接続される信号線であって、前記第1信号線とは異なる層に形成され、前記第2ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素から出力された信号を用いるビニング処理が行われる第2信号
線と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第1方向に沿って配置される第1画素と第2画素とを有し、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第1方向において前記第1画素と前記第2画素との間に配置される第3画素を有する、
撮像素子。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第2方向に沿って配置される第1画素と第2画素とを有し、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第2方向において前記第1画素と前記第2画素との間に配置される第3画素を有する、
撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素と、前記第2ブロックを構成する前記複数の画素とは、前記第1フィルタからの光と、前記第2フィルタからの光とが入射する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する光電変換層に配置され、
前記第1信号線は、前記光電変換層の前記第2面側に配置される第1配線層に形成され、
前記第2信号線は、前記光電変換層の前記第2面側に配置される第2配線層に形成される、
撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第1配線層は、前記第1面から前記第2面に向かう方向において前記光電変換層と前記第2配線層との間に配置される、
撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記第1信号線は、前記第1面から前記第2面に向かう方向において前記光電変換層と前記第2信号線との間に配置される、
撮像素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第1信号線に電気的に接続される選択トランジスタをそれぞれが含み、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素は、前記第2信号線に電気的に接続される選択トランジスタをそれぞれが含み、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素に含まれる前記選択トランジスタは、それぞれ独立した制御信号が供給され、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素に含まれる前記選択トランジスタは、それぞれ独立した制御信号が供給される、
撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素に含まれる前記選択トランジスタは、前記制御信号が一斉に供給され、
前記第2ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素に含まれる前記選択トランジスタは、前記制御信号が一斉に供給される、
撮像素子。
【請求項9】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1信号線と前記第2信号線とに電気的に接続される出力部を備え、
前記光電変換層は、第1半導体基板に配置され、
前記出力部は、前記第1半導体基板とともに積層される第2半導体基板に配置される、
撮像素子。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とを電気的に接続する第1接続部と、
前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とを電気的に接続する第2接続部と
を備え、
前記第1信号線は、前記第1接続部を介して前記出力部に電気的に接続され、
前記第2信号線は、前記第2接続部を介して前記出力部に電気的に接続される、
撮像素子。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像素子において、
前記第1接続部は、
前記第1半導体基板に配置される第1接合パッドと、
前記第2半導体基板に配置される第2接合パッドと
を有し、
前記第2接続部は、
前記第1半導体基板に配置される第3接合パッドと、
前記第2半導体基板に配置される第4接合パッドと
を有し、
前記第1信号線は、前記第1接合パッドおよび前記第2接合パッドを介して前記出力部に電気的に接続され、
前記第2信号線は、前記第3接合パッドおよび前記第4接合パッドを介して前記出力部に電気的に接続される、
撮像素子。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記出力部は、前記第1ブロックを構成する前記画素から読み出された信号と、前記第2ブロックを構成する前記画素から読み出された信号とに相関二重サンプリング処理を行う、
撮像素子。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記出力部は、前記第1ブロックを構成する前記画素から読み出された信号と、前記第2ブロックを構成する前記画素から読み出された信号とにゲインをかける、
撮像素子。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記出力部は、前記第1ブロックを構成する前記画素から読み出された信号と、前記第2ブロックを構成する前記画素から読み出された信号とをデジタル信号に変換する、
撮像素子。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の撮像素子を備える電子機器。
【請求項16】
請求項15に記載の電子機器において、
前記撮像素子の駆動を制御する駆動制御部を備える電子機器。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の電子機器において、
交換レンズを取り付けるためのレンズ取付部を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素をブロックにまとめて、ブロック単位で信号を並列に読出す撮像素子が知られている(特許文献1参照)。このような撮像素子では、同色信号間のビニング処理が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様によると、撮像素子は、第1方向と前記第1方向と交差する第2方向とに配置され、第1波長域の光を透過する第1フィルタからの光を電荷に変換する光電変換部をそれぞれが含む複数の画素により構成される第1ブロックと、前記第1ブロックと空間的に重なり合うブロックであって、前記第1方向と前記第2方向とに配置され、第2波長域の光を透過する第2フィルタからの光を電荷に変換する光電変換部をそれぞれが含む複数の画素により構成される第2ブロックと、前記第1ブロックを構成する前記複数の画素に電気的に接続される信号線であって、前記第1ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素から出力された信号を用いるビニング処理が行われる第1信号線と、前記第2ブロックを構成する前記複数の画素に電気的に接続される信号線であって、前記第1信号線とは異なる層に形成され、前記第2ブロックを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも2つの画素から出力された信号を用いるビニング処理が行われる第2信号線と、を備える。
また、発明の第2の態様によると、電子機器は、上記に記載の撮像素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図5】撮像素子のブロックの構成を説明する回路図である。
【
図7】
図7(a)は、R画素の配線を説明する図、
図7(b)は、B画素の配線を説明する図、
図7(c)は、G画素の配線を説明する図、
図7(d)は、G画素の配線を説明する図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)は、変形例1による配線を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本実施の形態による撮像素子は、複数の画素をブロックにまとめて、画素で生成された信号をブロック単位で並列に読出すことが可能に構成される。以下、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、一実施の形態による撮像素子101を備えるデジタルカメラの構成例を模式的に示す図である。デジタルカメラは、交換レンズ110とカメラボディ100とから構成され、交換レンズ110がレンズ取り付け部105を介してカメラボディ100に装着される。
なお、デジタルカメラをレンズ交換式ではなく、レンズ一体式のカメラとして構成してもよい。
【0007】
図1において、互いに直交する座標系を構成するxyz軸を規定する。被写体からの光は、
図1のz軸プラス方向に向かって入射するものとする。また、座標軸に示すように、z軸に直交する紙面手前方向をx軸プラス方向、z軸およびx軸に直交する上方向をy軸プラス方向とする。以降のいくつかの図においては、
図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
【0008】
交換レンズ110は、例えば、レンズ制御部111、ズームレンズ112、フォーカスレンズ113、防振レンズ114、絞り115、レンズ操作部116などを備えている。レンズ制御部111は、CPUとメモリなどの周辺部品とを含む。レンズ制御部111は、フォーカスレンズ113および絞り115の駆動制御、ズームレンズ112やフォーカスレンズ113の位置検出、カメラボディ100へのレンズ情報の送信およびカメラボディ100からのカメラ情報の受信などを行う。
【0009】
カメラボディ100は、例えば、撮像素子101、ボディ制御部102、ボディ操作部103、および表示部104などを備えている。撮像素子101は、交換レンズ110の予定結像面(予定焦点面)に配置され、交換レンズ110により結像された被写体像を光電変換する。ボディ操作部103は、シャッターボタンや、各種設定のための操作部材などを含む。表示部104は、例えばカメラボディ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタとも称される)によって構成される。
【0010】
ボディ制御部102は、CPUとメモリなどの周辺部品とを含む。ボディ制御部102は、撮像素子101の駆動制御、撮像素子101からの画像信号の読み出し、焦点検出演算および交換レンズ110の焦点調節、画像信号の処理および記録などデジタルカメラの動作制御を行う。また、ボディ制御部102は、レンズ取り付け部105に設けられた電気接点106を介してレンズ制御部111と通信を行い、レンズ情報の受信およびカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
【0011】
交換レンズ110を通過した光束により、撮像素子101の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子101によって光電変換され、光電変換後の信号がボディ制御部102へ送られる。
【0012】
ボディ制御部102は、撮像素子101からの信号に基づいて公知の焦点検出演算を行うことにより、交換レンズ110の焦点調節状態(デフォーカス量)を検出する。ボディ制御部102によって検出されたデフォーカス量は、レンズ制御部111へ送出される。レンズ制御部111は、受信したデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ113の駆動量を算出する。そして、算出した駆動量に基づいて不図示のモーター等を駆動することにより、フォーカスレンズ113を合焦位置へ移動させる。
【0013】
また、ボディ制御部102は、撮像素子101からの信号を処理して画像データを生成し、不図示のメモリカードに格納する。ボディ制御部102はさらに、撮像素子101からの信号に基づくモニタ用画像(スルー画像とも称される)を表示部104に表示させる。
【0014】
<撮像素子の構成>
図2は、撮像素子101の概要を説明する模式図である。撮像素子101は、CMOSイメージセンサによって構成される。撮像素子101は、画素エリア201と、垂直制御部202と、水平制御部203と、出力部204と、制御部205とを有する。なお、
図2では、電源部や詳細回路は省略している。
【0015】
画素エリア201には、例えばx軸と平行な水平方向(行方向)、および、y軸と平行な垂直方向(列方向)に二次元状に配置された複数の画素を有する。各画素は、入射光量に応じた電荷を生成するフォトダイオード(光電変換部)を有する。複数の画素は、それぞれが垂直制御部202および水平制御部203によって駆動され、各画素のフォトダイオードで生成された電荷に基づく信号が、信号線210を介して読出される。
【0016】
出力部204は、各画素から読出された信号に対して相関二重サンプリング(CDS)を行ったり、必要に応じてゲインをかけたりする。出力部204で処理された信号は、後段の信号処理部(不図示)へ出力される。
【0017】
なお、以上の説明では、出力部204が後段の信号処理部へアナログ信号として出力する例を説明したが、出力部204にA/Dコンバータを備え、A/D変換後の信号をデジタル出力する構成にしてもよい。
【0018】
本実施の形態では、上述したように、複数の画素をまとめてブロックを構成し、ブロック内の画素で生成された信号を、同じ信号線210を介して読出す。このため、信号線210の数はブロックの数と等しい。このように構成したので、出力部204は、複数のブロックからの信号を並列に入力し、入力した複数のブロックからの信号に対して並列に処理を行い、後段の信号処理部(不図示)へ並列に出力することができる。
【0019】
制御部205は、上述した撮像素子101の各部を制御する。すなわち、以降に説明する撮像素子101の動作は、ボディ制御部102の指令を受けた制御部205の制御に基づいて行われる。
なお、本実施の形態では、フォトダイオードと、フォトダイオードで生成された電荷に基づく信号を読出す読出し部とを含めて「画素」と呼ぶ。読出し部は、後述する各転送トランジスタ、フローティングディフュージョン(FD)領域、増幅トランジスタ、および選択トランジスタを含む例を説明するが、読出し部の範囲は、必ずしも本例の通りでなくてもよい。
【0020】
図3は、撮像素子101の断面を説明する図である。なお
図3では、撮像素子101の全体のうち、一部の断面のみを示している。撮像素子101は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子101は、z軸プラス方向に向かう入射光を光電変換する。撮像素子101は、例えば、第1半導体基板70と、第2半導体基板80とが積層して構成されている。
【0021】
第1半導体基板70は、少なくともPD層71と、配線層72とを備える。PD層71は、配線層72の裏面側(z軸マイナス側)に配置される。PD層71には、複数のフォトダイオードPDが二次元状に配置される。配線層72には、配線61、配線62、配線63、配線64によって信号線210等が形成される。配線61から配線64は、それぞれ配線層72の異なる層に形成される。
図3には4層の配線を例示したが、層数は適宜変更して構わない。配線層72の層間は、例えば不図示のビア(via)によって接続することができる。第2半導体基板80には、例えば、上記出力部204等の各種回路が配置される。第2半導体基板80も多層に構成されて構わない。
【0022】
PD層71における入射光の入射側(z軸マイナス側)には、複数のフォトダイオードPDの各々に対応する複数のカラーフィルタ73が設けられる。カラーフィルタ73には、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ対応する波長領域の光を透過する複数の種類が存在する。カラーフィルタ73は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3種類が、
図4に例示するベイヤー配列を為すように配列される。
なお、本実施の形態ではベイヤー配列を例に説明するが、カラーフィルタ73をベイヤー配列以外の配列にしてもよい。ベイヤー配列では、異なる波長領域の光を透過するカラ-フィルタ73が設けられたフォトダイオードPDが隣接しているのに対し、ベイヤー配列以外の配列では、同じ波長領域の光を透過するカラ-フィルタ73が設けられたフォトダイオードPDが隣接する場合がある。
【0023】
カラーフィルタ73における入射光の入射側(z軸マイナス側)には、複数のカラーフィルタ73の各々に対応する複数のマイクロレンズ74が設けられる。マイクロレンズ74は、対応するフォトダイオードPDに向けて入射光を集光する。マイクロレンズ74を通過した入射光は、カラーフィルタ73により一部の波長領域のみが透過され、フォトダイオードPDに入射する。フォトダイオードPDは、入射光を光電変換して電荷を生成する。
【0024】
配線層72の表面(z軸プラス側)には複数の接合パッド75が配置される。第2半導体基板80の、配線層72に対向する面(z軸マイナス側)には、複数の接合パッド75に対向する複数の接合パッド76が配置される。複数の接合パッド75と複数の接合パッド76とは互いに接合されている。複数の接合パッド75と複数の接合パッド76とを介して、第1半導体基板70と第2半導体基板80とが電気的に接続される。
接合パッド75および複数の接合パッド76の数は、それぞれ上述したブロックの数と等しくすることができる。すなわち、一つのブロックに対応して一組の接合パッド75、接合パッド76が設けられる。以上のように構成することにより、ブロックごとの信号線の長さを略等しく構成できるので、配線のインピーダンスがブロック間でばらつくことを抑えるというメリットがある。
【0025】
本実施の形態では、撮像素子101の1つの画素部30が、第1半導体基板70に設けられた第1画素部30xと、第2半導体基板80に設けられた第2画素部30yとによって構成される。第1画素部30xには、マイクロレンズ74、カラーフィルタ73、フォトダイオードPDの他に、後に詳述するトランジスタや、画素部30間を接続する配線61から配線64等が含まれる。第2画素部30yには、上記出力部204等の回路が含まれる。
【0026】
<ブロックの説明>
図5は、撮像素子101のブロックの構成を説明する回路図である。一つのブロックは、複数(例えばN個)の第1画素部30x-1~30x-Nを含む。一つの第1画素部30xは、フォトダイオードPDと、4つのトランジスタ(転送トランジスタTx、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタSF、選択トランジスタSEL)と、FD領域とを有する。第1画素部30xの各部は、
図5に示すように接続されている。
図5において符号VDDは、電源電圧を示す。
【0027】
転送トランジスタTxは、フォトダイオードPDで生成された電荷をFD領域へ転送する。転送トランジスタTxは、制御信号φTxがHighレベルになるとオンして電荷を転送し、制御信号φTxがLowレベルになるとオフする。
【0028】
FD領域は、転送された電荷を電圧に変換する。増幅トランジスタSFは、ソースフォロワ回路を形成し、FD領域の電位に応じた信号を増幅する。リセットトランジスタRSTは、FD領域やフォトダイオードPDの電荷をリセットする。リセットトランジスタRSTは、制御信号φRSTがHighレベルになるとオンし、制御信号φRSTがLowレベルになるとオフする。
【0029】
選択トランジスタSELは、増幅トランジスタSFで増幅された信号を、ブロック信号線60へ出力する。ブロック信号線60は、ブロック内の第1画素部30x-1~30x-Nを相互に接続する。ブロック信号線60は、そのブロックに対応する信号線210と接続されている。選択トランジスタSELは、制御信号φSELがHighレベルになるとオンして信号を出力し、制御信号φSELがLowレベルになるとオフする。
【0030】
ブロック内の第1画素部30x-1~30x-Nの選択トランジスタSELには、それぞれ独立した制御信号φSEL-1~φSEL-Nが供給される。このため、例えば、制御部205によってHighレベルの制御信号φSEL-1~φSEL-Nが順番に供給される場合には、選択トランジスタSEL-1~SEL-Nが、順番にオンしてブロック信号線60を介して信号線210へ信号を出力する。
【0031】
また、制御部205によってHighレベルの制御信号φSEL-1~φSEL-Nが一斉に供給される場合には、選択トランジスタSEL-1~SEL-Nが、一斉にオンしてブロック信号線60を介して信号線210へ信号を出力する。選択トランジスタSEL-1~SEL-Nが一斉に信号を出力する場合、信号線210において第1画素部30x-1~30x-Nから出力された信号が加算されるので、ブロック内の第1画素部30x-1~30x-Nによるビニングを行うことができる。
なお、選択トランジスタSEL-1~SEL-Nのうち任意の組み合わせによりブロック信号線60を介して信号線210へ信号を出力させてもよい。この場合は、信号線210において第1画素部30x-1~30x-Nのうちの一部から出力された信号が加算されるので、ブロック内の第1画素部30x-1~30x-Nの任意の組み合わせによるビニングを行うことができる。
【0032】
以上の構成により、ブロック内の第1画素部30x-1~30x-Nのいずれからも、個別に信号を読出したり、第1画素部30x-1~30x-Nのうち少なくとも2つの間でビニングを行ったりすることができる。
【0033】
本実施の形態では、同色の複数の画素によって一つのブロックを構成する。すなわち、上述したカラーフィルタ73を透過する光の波長域が同じ画素部30を組み合わせて一つのブロックとする。
図6は、ブロックを説明する模式図である。赤(R)に対応する波長領域の光を透過するカラーフィルタ73を有する画素部30(R画素と称する)を中心に実線で囲む範囲において、そのR画素およびそのR画素を囲む8つのR画素からなる9つのR画素によってR色ブロック301を構成する。また、青(B)に対応する波長領域の光を透過するカラーフィルタ73を有する画素部30(B画素と称する)を中心に破線で囲む範囲において、そのB画素およびそのB画素を囲む8つのB画素からなる9つのB画素によってB色ブロック302を構成する。
【0034】
さらに、GR列上に位置して緑(G)に対応する波長領域の光を透過するカラーフィルタ73を有する画素部30(G画素と称する)を中心に一点鎖線で囲む範囲において、そのG画素およびそのG画素を囲む8つのG画素からなる9つのG画素によって第1のG色ブロック303を構成する。さらにまた、GB列上に位置して緑(G)に対応する波長領域の光を透過するカラーフィルタ73を有する画素部30(G画素と称する)を中心に二点鎖線で囲む範囲において、そのG画素およびそのG画素を中心に囲む8つのG画素からなる9つのG画素によって第2のG色ブロック304を構成する。
【0035】
図6によると、R色ブロック301と、第1のG色ブロック303とは、互いにブロックの上下部分が重なり合う。また、B色ブロック302と、第1のG色ブロック303とは、互いにブロックの左右部分が重なり合う。
【0036】
さらに、B色ブロック302と、第2のG色ブロック304とは、互いにブロックの上下部分が重なり合う。さらにまた、R色ブロック301と、第2のG色ブロック304とは、互いにブロックの左右部分が重なり合う。
【0037】
一方、
図5の回路図を参照して説明すると、同色のブロック内のN個の画素部30は、それぞれが配線層72(
図3)においてそのブロックに対応するブロック信号線60と接続される。このため、同色のブロック内のN個の画素部30の選択トランジスタSELの出力端子同士が接続されることになる。当然ながら、他色のブロックのブロック信号線60とは接続されない。上述したように、同色のブロック内でブロック信号線60と接続する配線は、配線層72における配線61から配線64によって形成される。
本実施の形態では、画素エリア201(
図2)において空間的に重なり合う他色のブロックとの間で、ブロック内の配線が接触しないように、ブロックの色によって配線層72の異なる層で配線する。
なお、第1のG色ブロック303と第2のG色ブロック304とは、便宜上異なる色として扱うものとする。また、「空間的に重なり合う」とは、
図6において異なる色のブロックとの間で上下部分または左右部分が重なり合う関係をいう。
【0038】
図7(a)~
図7(d)は、各色の配線を説明する模式図である。
図7(a)は、R色ブロック301のR画素の選択トランジスタSELの出力同士を接続するブロック信号線60の配線61を例示する図である。配線61は、網掛けで示される。
図7(b)は、B色ブロック302のB画素の選択トランジスタSELの出力同士を接続するブロック信号線60の配線62を例示する図である。配線62は、縦縞で示される。
【0039】
図7(c)は、第1のG色ブロック303のG画素の選択トランジスタSELの出力同士を接続するブロック信号線60の配線63を例示する図である。配線63は、ドットで示される。
図7(d)は、第2のG色ブロック304のG画素の選択トランジスタSELの出力同士を接続するブロック信号線60の配線64を例示する図である。配線64は、横縞で示される。
【0040】
配線61~配線64は、配線層72において異なる層に形成される。このように、配線層72において色別に異なる配線61~64を形成し、各配線61~64によって各色のブロック内の画素部30を配線接続したので、画素エリア201においてブロックが他色のブロックと空間的に重なり合う場合に、各ブロックにおいて同色のブロック内の画素部30のみを適切に接続することができる。なお、
図7の配線は、「日」字状である。
図7(a)~
図7(d)に示されるように、配線61~64は、各色のブロック301~304の中心に位置する画素部30に対して点対称である。また、配線61~64は、各色のブロック301~304の中心に位置する画素部30を通る水平方向(行方向)または垂直方向(列方向)の直線に対して線対称である。
【0041】
以上説明したブロック301~304において、各色のブロック301~304におけるN個の画素部30の重心を色重心と呼ぶ。本実施の形態では、各色のブロック301~304を構成する9つの画素部30の中心に位置する画素部30の位置が、そのブロック301~304の色重心となる。
図6および
図7において、本例の色重心に相当する画素部30をそれぞれ異なる態様で表示した。すなわち、R色ブロック301の色重心を網掛けで示し、B色ブロック302の色重心を縦縞で示し、第1のG色ブロック303の色重心をドットで示し、第2のG色ブロック304の色重心を横縞で示した。
図6において各ブロック301~304の色重心に注目すると、ベイヤー配列であることがわかる。このことは、各色のブロック301~304内の第1画素部30x-1~30x-Nによるビニングを行った場合に、ビニング後の信号がベイヤー配列を保つことを意味する。本実施の形態によれば、各色のブロック301~304の色重心は等間隔に配置され、色重心に偏りが生じていない。
【0042】
各色のブロック301~304において接合パッド75が設けられる位置は、N個の画素部30の近傍に設けることが好ましいが、必ずしも色重心の位置に設ける必要はない。
【0043】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子101は、光を光電変換する複数の画素30が行方向(x軸方向)および列方向(y軸)に配置された画素エリア201と、画素エリア201が共通の波長域の光を光電変換する複数の画素30に小分けされた複数のブロック301~304と、複数のブロック301~304にそれぞれ設けられた複数の信号線210と、複数のブロック301~304にそれぞれ設けられ、ブロック301~304毎の複数の画素30を相互に接続するブロック信号線60とを備える。
各ブロック301~304が共通の波長域の光を光電変換する複数の画素30で構成されるので、各ブロック301~304内の信号を加算するだけで同色の信号ビニングを簡単に行うことができる。例えば、ブロック内に異なる波長域の光を光電変換する画素が混在する従来技術に比べて、同色の信号ビニング処理が圧倒的に簡単になる。
また、信号線210をブロック301~304毎に設けたので、色毎の信号を並行して出力させることができる。例えば、ブロック内に異なる波長域の光を光電変換する画素が混在する場合において色毎の信号を時分割で出力させる場合と比較して、短時間で出力させることができる。
【0044】
(2)撮像素子101において、ブロック信号線60は、ブロック301~304に対応する信号線210と接続され、ブロック301~304内の複数の画素30はそれぞれ、画素30の増幅トランジスタSFの出力端子とブロック信号線60との間を接続または切断する選択トランジスタSELを備える。このように構成したので、ブロック301~304内の全画素30の信号を信号線210へ出力したり、各ブロックにおいて任意の画素30の信号のみを信号線210へ出力したりすることができる。
【0045】
(3)撮像素子101において、画素エリア201は異なる波長域の光を光電変換する複数の画素30が行方向および列方向に繰り返し配置される。そして、ブロック301~304は、画素エリア201において例えば、
図6の赤(R)に対応する波長領域の光を光電変換する画素部30(注目画素とする)から2ピクセルの範囲内(5ピクセル×5ピクセル)で注目画素と同じ波長域の光を光電変換する画素30により構成されるようにした。このように構成したので、例えば、
図6の赤(R)に対応する波長領域の光を光電変換する画素部30(注目画素とする)を中心に、そのR画素およびそのR画素の近傍に位置するR画素を用いてR色ブロック301を構成することができる。B色ブロック302、第1のG色ブロック303および第2のG色ブロック304についても同様である。
【0046】
(4)撮像素子101において、ブロック301~304は画素エリア201において、例えば、
図6の赤(R)に対応する波長領域の光を光電変換する画素部30(注目画素とする)を中心に、そのR画素およびそのR画素を囲む8つのR画素からなる9つのR画素によってR色ブロック301を構成する。B色ブロック302、第1のG色ブロック303および第2のG色ブロック304についても同様である。
このように構成したので、R画素、G画素、B画素がベイヤー配列されている場合はブロック301~304の色重心もベイヤー配列を保つこととなるので、ビニングの有無にかかわらず、ベイヤー配列を前提とした画像処理エンジンをそのまま用いることができる。
【0047】
(5)撮像素子101において、複数のブロック301~304は、画素エリア201において空間的に重なり合うようにした。ブロックが空間的に重ならない場合に比べて、ブロックの重心の密度を高くすることができる。
【0048】
(6)撮像素子101は、ブロック信号線60を接続する配線層72を備える。そして、複数のブロック301~304のうち、例えば赤(R)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有するR色ブロック301のブロック信号線60は、配線層72の第1の層の配線61(
図7(a))により接続され、青(B)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有するB色ブロック302のブロック信号線60は、配線層72の第2の層の配線62(
図7(b))により接続される。また、緑(G)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有する第1のG色ブロック303のブロック信号線60は、配線層72の第3の層の配線63(
図7(c))により接続され、緑(G)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有する第2のG色ブロック304のブロック信号線60は、配線層72の第4の層の配線64(
図7(d))により接続される。
このように構成したので、各ブロック301~304におけるブロック信号線60が、空間的に重なり合う他色のブロックのブロック信号線60と接触しないように適切に接続することができる。
【0049】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
変形例1では、画素エリア201においてブロック内の配線が、空間的に重なり合う他色のブロック内の配線と接触しないように配線を分け、配線層の1層に2色分の配線を行う。なお、上記実施の形態と同様に、G色の第1ブロックとG色の第2ブロックとは、便宜上異なる色として扱うものとする。
【0050】
図8(a)、
図8(b)は、変形例1による各色の配線を説明する模式図である。変形例1では、例えば
図8(a)に例示するように、R色ブロックのR画素を接続する配線61-1と、B色ブロックのB画素を接続する配線61-2とを同じ層に形成する。配線61-1は、網掛けで示される。配線61-2は、縦縞で示される。
さらに、
図8(b)に例示するように、G色の第1ブロックのG画素を接続する配線62-1と、G色の第2ブロックのG画素を接続する配線62-2とを同じ層に形成する。配線62-1は、ドットで示される。配線62-2は、横縞で示される。
配線61-1および61-2と、配線62-1および62-2とは、配線層72において異なる層に形成される。
【0051】
このように配線することにより、上記実施の形態の配線(
図7)に比べて、ブロック内の画素部30を配線接続するために配線層72に形成する層数を4から2へ減らし、コストを抑えることができる。
また、このように配線層72に形成する層数を減らしても、画素エリア201においてブロックが他色のブロックと空間的に重なり合う場合に、各ブロックにおいて同色のブロック内の画素部30のみを適切に接続することができる。
図8(a)、
図8(b)に示されるように、配線61-1、2~62-1、2は、各色のブロック301~304の中心に位置する画素部30に対して点対称である。また、配線61-1、2~62-1、2は、各色のブロック301~304の中心に位置する画素部30を通る水平方向(行方向)または垂直方向(列方向)の直線に対して線対称である。
【0052】
上述した変形例1によれば、以下の作用効果が得られる。すなわち、撮像素子101は、ブロック信号線60を接続する配線層72を備える。そして、複数のブロック301~304のうち、例えば赤(R)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有するR色ブロック301のブロック信号線60と、青(B)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有するB色ブロック302のブロック信号線60とを、それぞれ、配線層72の同じ層の配線61-1、配線61-2により接続する(
図8(a))。このように配線することにより、ブロック301、302においてブロック信号線60を配線接続するために配線層72を2層分使用する場合に比べて、使用層数を2から1へ減らし、コストを抑えることができる。
【0053】
また、緑(G)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有する第1のG色ブロック303のブロック信号線60と、緑(G)の波長域の光を光電変換する複数の画素30を有する第2のG色ブロック304のブロック信号線60とを、それぞれ、配線層72の同じ層の配線62-1、配線62-2により接続する(
図8(b))。このように配線することにより、ブロック303、304においてブロック信号線60を配線接続するために配線層72を2層分使用する場合に比べて、使用層数を2から1へ減らし、コストを抑えることができる。
【0054】
さらに、配線層72を使用する層数を減らすことは、層間を接続するためのviaの数を減らすことにもつながるので、配線のインピーダンスのばらつきを抑えるというメリットを得ることもできる。なお、
図8の配線は、「王」字状である。
【0055】
(変形例2)
変形例2では、画素エリア201においてブロック内の配線が、空間的に重なり合う他色のブロック間の配線と接触しないように配線を分け、配線層の1層に4色分の配線を行う。なお、上記実施の形態や変形例1と同様に、G色の第1ブロックとG色の第2ブロックとは、便宜上異なる色として扱うものとする。
【0056】
図9は、変形例2による各色の配線を説明する模式図である。変形例2では、ブロックの中心に位置する画素部30を起点に、渦巻き状に画素部30間をつないで配線する。例えば、R色ブロック301の中心に位置するR画素から、上方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぎ、さらに右方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1つなぐ。続いて、上記R色ブロック301の中心に位置するR画素から、右方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぎ、さらに下方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぐ。
【0057】
同様に、上記R色ブロック301の中心に位置するR画素から、下方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぎ、さらに左方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぐ。さらに続けて、上記R色ブロック301の中心に位置するR画素から、左方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぎ、さらに上方向に2画素ピッチ離れたR画素まで配線61-1でつなぐ。R色ブロック内の配線61-1は、網掛けで示される。
【0058】
第1のG色ブロック303、第2のG色ブロック304、およびB色ブロック302についても、同様に、各ブロックの中心に位置する画素部30を起点に、同色の画素部30間をつないで配線する。
図9において、B色ブロック内の配線61-2は、縦縞で示される。また、第1のG色ブロック内の配線61-3は、ドットで示される。さらに、第2のG色ブロック内の配線61-4は、横縞で示される。各色の配線61-1~61-4は、配線層72の同一層に形成される。
図9に示されるように、配線61-1~61-4は、各色のブロックの中心に位置する画素部30に対して点対称である。
【0059】
このように配線することにより、上記変形例1に比べて、ブロック内の画素部30を配線接続するために配線層72に形成する層数を2から1へ減らし、コストを抑えることができる。
また、このように配線層72に形成する層数を減らしても、画素エリア201においてブロックが他色のブロックと空間的に重なり合う場合に、各ブロックにおいて同色のブロック内の画素部30のみを適切に接続することができる。
【0060】
上述した変形例2によれば、以下の作用効果が得られる。すなわち、撮像素子101のブロック信号線60は、画素エリア201において、配線61-1により、R色ブロック301の注目画素(例えばR画素)と、注目画素から行方向へ2画素ピッチ離れた第1画素(R画素)と、第1画素(R画素)から列方向へ2画素ピッチ離れた第2画素(R画素)とを相互に接続するとともに、注目画素(R画素)と、注目画素(R画素)から列方向へ2画素ピッチ離れた第3画素(R画素)と、第3画素(R画素)から行方向へ2画素ピッチ離れた第4画素(R画素)とを相互に接続する。このような接続を行って、R色ブロック301において注目画素および注目画素を囲むR画素を相互に接続する。
【0061】
B色ブロック302、第1のG色ブロック303、および第2のG色ブロック304についても同様に接続する。すなわち、B色ブロック302は配線61-2により接続し、第1のG色ブロック303は配線61-3により接続し、第2のG色ブロック304は配線61-4により接続する。このように構成したので、ブロック信号線60を配線接続するために配線層72を1層分使用するだけでよくなり、変形例1の場合に比べて、さらにコストを抑えることができる。
また、層間を接続するためのviaの数を減らすことにもつながるので、配線のインピーダンスのばらつきを抑えるというメリットを得ることもできる。
【0062】
(変形例3)
変形例1および変形例2では、ブロック301~304は、画素エリア201において注目画素から2ピクセルの範囲内(ブロックのサイズは行方向5ピクセル×列方向5ピクセル)で、注目画素と同じ波長域の光を光電変換する画素30により構成したが、ブロックのサイズをさらに拡げてもよい。
【0063】
図10は、変形例3による各色の配線を説明する模式図である。
図10において、例えば、赤(R)に対応する波長領域の光を光電変換する画素部30(注目画素とする)を中心に、そのR画素およびそのR画素を囲む24個のR画素からなる25個のR画素によってR色ブロック301を構成する。すなわち、画素エリア201において注目画素から4ピクセルの範囲内(ブロックのサイズは行方向9ピクセル×列方向9ピクセル)で、注目画素と同じ波長域の光を光電変換する画素30により構成する。このように、ブロックサイズを大きくする場合でも、ブロックの中心に位置する画素部30を起点に、渦巻き状に画素部30間をつないで配線することができる。
図10に示されるように、配線61-1~61-4は、各色のブロックの中心に位置する画素部30に対して点対称である。
【0064】
(変形例4)
ブロックのサイズをさらに大型にする場合は、配線層72を1層分使用するだけではブロック内の画素部30を相互に接続することが困難になる。このような場合には、配線層72を2層分使用してもよい。例えば、
図10に例示したような行方向9ピクセル×列方向9ピクセルの小ブロックを、行方向に3個、列方向に3個の計9個を組み合わせて大ブロックを構成するものとする。この場合は、各小ブロックにおける画素部30を接続する配線(ローカル配線と称する)のために配線層72を1層分使用する。そして、9個の小ブロックの中心に位置する9個の画素部30を接続する配線(グローバル配線と称する)のために配線層72の他の層を使用する。グローバル配線は、ローカル配線と同様に、大ブロックの中心に位置する画素部30を起点に、渦巻き状に小ブロックの中心に位置する画素部30間をつないで配線する。
【0065】
変形例4によれば、ブロックのサイズの大型化にともなって、ブロック信号線60の配線のレイアウトが複雑化してしまう場合でも、ローカル配線とグローバル配線とで配線層72の異なる層を使用することで、配線層72における使用層数を抑えつつ、適切にブロック内の画素部30を接続することができる。
【0066】
以上の説明では、撮像素子101をデジタルカメラに搭載する例を説明したが、撮像素子101は、デジタルカメラ以外にもスマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末等の電子機器に搭載してもよい。
【0067】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
例えば、各色のブロックの中心に位置する画素部30に対して点対称な配線の形状として、上記「日」字状や「王」字状、渦巻き状の配線を例示したが、「N」字状や「Z」字状や「H」字状に配線してもよい。また、各色のブロックの中心に位置する画素部30に対して線対称な配線の形状として、上記「日」字状や「王」字状の配線を例示したが、「H」字状に配線してもよい。
【0068】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2017年第192212号(2017年9月29日出願)
【符号の説明】
【0069】
30…画素部
30x-1~30x-N…第1画素部
60…ブロック信号線
61~64…配線
71…PD層
72…配線層
73…カラーフィルタ
100…カメラボディ
101…撮像素子
102…ボディ制御部
201…画素エリア
204…出力部
205…制御部
210…信号線
301~304…ブロック
PD…フォトダイオード
SEL…選択トランジスタ
SF…増幅トランジスタ
Tx…転送トランジスタ