(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-23
(45)【発行日】2024-05-02
(54)【発明の名称】ハロゲン系化合物を用いて選択的にエッチングするための原子層エッチングシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20240424BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240424BHJP
H01L 21/26 20060101ALI20240424BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
H01L21/302 101C
H01L21/26 E
H05H1/46 L
(21)【出願番号】P 2021525038
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2019060220
(87)【国際公開番号】W WO2020101997
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペン・ドンウー
(72)【発明者】
【氏名】キム・ユンサン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヒー
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0132961(US,A1)
【文献】特開2005-252186(JP,A)
【文献】特表2011-515021(JP,A)
【文献】特開2012-169632(JP,A)
【文献】特開2010-161107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0323739(US,A1)
【文献】特開2016-036020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/26
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に配置され、基板を支持するように構成された基板支持部と、
基板を加熱するように構成された熱源と、
処理チャンバに第1の処理ガスを供給するように構成されたガス配送システムと、
前記ガス配送システムおよび前記熱源を制御して、等方的原子層エッチング処理を反復して遂行するように構成されたコントローラと
を備え、前記等方的原子層エッチング処理は、
前記等方的原子層エッチング処理の反復中に、前処理、原子レベルの吸着、およびパルス化熱アニーリングを遂行するステップと、
前記原子レベルの吸着中に、改質された材料を形成するように前記基板の曝露された材料の上に選択的に吸着されるハロゲン種を含む
前記第1の処理ガスに前記基板の表面を曝露するステップと、
前記パルス化熱アニーリング中に、前記熱源を所定の期間内に複数回パルス化してオンおよびオフして、前記改質された材料を曝露し、除去するステップと
を含む基板処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリングの反復中に、前記熱源の熱エネルギーパルスの連続するパルス間に、前記改質された材料が冷却することができるように構成される基板処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記熱源は複数のフラッシュランプを含む基板処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理システムであって、前記熱源の複数の熱エネルギーパルスごとに前記複数のフラッシュランプに放電するように構成された容量性放電回路をさらに備える基板処理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の基板処理システムであって、前記熱源は、前記複数のフラッシュランプ用にそれぞれ放射線状反射部分を有する反射面を含む基板処理システム。
【請求項6】
請求項3に記載の基板処理システムであって、前記複数のフラッシュランプは、それぞれに対応する冷却ジャケットを含む基板処理システム。
【請求項7】
請求項3に記載の基板処理システムであって、前記複数のフラッシュランプから前記基板に熱エネルギーを向ける円錐形状の反射面をさらに備える基板処理システム。
【請求項8】
請求項3に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリングの少なくとも1回の反復中に、4ミリ秒未満のパルス継続期間の間にオンとなるように前記複数のフラッシュランプをパルス化するように構成される基板処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源の電源をオフにした後、0.5秒未満で25℃未満の温度まで前記基板の前記改質された材料が冷却するように、前記パルス化熱アニーリングの反復の少なくともいくつかの間に前記熱源を介して前記基板の前記改質された材料を加熱するように構成される基板処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記熱源はレーザを含み、
前記レーザは、前記基板に向けられるレーザビームを発生させるように構成される基板処理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理システムであって、
複数の鏡と、
複数のモータと
をさらに備え、
前記コントローラは、前記複数のモータを介して、前記基板の全体にわたって広がるように前記鏡を動かすことによりレーザビームを向けるように構成される基板処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理システムであって、
前記基板の直径は300mmであり、
前記基板は複数のダイを含み、
前記コントローラは、前記所定の期間内に、前記複数のダイの各々の全体にわたって広がり、前記複数のダイの各々を加熱するように構成される基板処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理システムであって、
前記所定の期間は1秒であり、
前記コントローラは、前記複数のダイの各々を個々に第2の所定の回数加熱するように構成される基板処理システム。
【請求項14】
請求項10に記載の基板処理システムであって、レーザビームを形作り、方向づけるように構成されたレンズ回路をさらに備える基板処理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の基板処理システムであって、前記レンズ回路は、前記レーザビームを丸い形状のレーザビームから正方形の形状のレーザビームに変換するためのビーム整形光学部品を含む基板処理システム。
【請求項16】
請求項14に記載の基板処理システムであって、前記レンズ回路は、
前記レーザビーム
を丸い形状のレーザビームから平頂形状のレーザビームに変換する平頂光学部品と、
前記平頂形状のレーザビーム
を正方形の形状のレーザビームに変換する回折光学部品と
を備える基板処理システム。
【請求項17】
請求項10に記載の基板処理システムであって、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに備え、
前記コントローラは、前記第1のモータおよび前記第2のモータを介して前記第1の鏡および前記第2の鏡を動かして、前記基板上で前記レーザビームの位置を調節するように構成される基板処理システム。
【請求項18】
請求項10に記載の基板処理システムであって、前記基板の前記表面に対して垂直な方向に前記レーザビームを向けるように構成された、複数のレンズを備えるテレセントリックレンズ組立体をさらに備える基板処理システム。
【請求項19】
請求項18に記載の基板処理システムであって、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに備え、
前記レーザビームは、前記第1の鏡に向けられ、
前記レーザビームは、前記第1の鏡から前記第2の鏡に向けられ、
前記レーザビームは、前記第2の鏡から前記テレセントリックレンズ組立体を通って前記基板に向けられ、
前記コントローラは、前記第1のモータおよび前記第2のモータを介して前記第1の鏡および前記第2の鏡を動かして、前記基板上で前記レーザビームの位置を調節するように構成される基板処理システム。
【請求項20】
請求項19に記載の基板処理システムであって、
前記処理チャンバは、誘導結合プラズマチャンバまたは遠隔プラズマ供給源接続チャンバであり、
前記テレセントリックレンズ組立体は、前記処理チャンバの誘電体窓の上方に配置される基板処理システム。
【請求項21】
請求項10に記載の基板処理システムであって、前記基板が受け取る前に前記レーザビームのサイズを調節するように構成されたビームサイズ調節モジュールをさらに備える基板処理システム。
【請求項22】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記パルス化熱アニーリング中、前記処理チャンバにはプラズマがない基板処理システム。
【請求項23】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記原子レベルの吸着の1つまたは複数の反復中に、前記処理チャンバの内部の温度を20℃以下に、または周囲温度に等しく設定するように構成される基板処理システム。
【請求項24】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源を制御して、前記基板の基部部分またはバルク部分の少なくとも一方を加熱することなく、前記基板の前記改質された材料を加熱する複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される基板処理システム。
【請求項25】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記処理チャンバに前記第1の処理ガスを供給して、前記熱源の熱エネルギーパルスの連続する各対の間に、前記基板の前記曝露された材料上で前記原子レベルの吸着を遂行するように構成される基板処理システム。
【請求項26】
請求項25に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記前処理中に前記基板を第2の処理ガスにさらすことにより前記基板を改質するように構成される基板処理システム。
【請求項27】
請求項1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源をパルス化して、1秒以内に複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される基板処理システム。
【請求項28】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、第2の処理ガス導入を含み、
前記第2の処理ガスは水素とアンモニアとのうちの1つ以上を含み、
前記ハロゲン種は酸素と、塩素と、ヨウ素と、フッ素と、のうちの1つ以上を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去と、ゲルマニウムを除去することなく行われるケイ素の選択的除去と、のうちの少なくとも一方を含み、
前記単層はゲルマニウムと、ケイ素と、チタンと、二酸化ケイ素と、のうちの1つ以上を含む基板処理システム。
【請求項29】
基板処理システムを動作させる方法であって、
処理チャンバ内で基板支持部上に基板を配置するステップと、
第1の原子層堆積(ALE)処理を反復して遂行するステップであって、前記第1のALE処理は、順次の等方的処理であり、
前記処理チャンバに第1の処理ガスを供給して、前記基板の第1の曝露部分を改質するステップを含む前処理、
前記第1の曝露部分の上に選択的に吸収させて前記第1の曝露部分を改質するハロゲン種を含む第2の処理ガスに前記第1の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着、および
熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、前記改質された第1の曝露部分を曝露し、除去するステップを含むパルス化熱アニーリング
を遂行するステップを含むステップと、
所定のサイクル数の前記第1のALE処理を遂行したかどうかを判断するステップと、
前記所定のサイクル数を遂行した場合、前記第1のALE処理を遂行しなくなるステップと
を備える方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記原子レベルの吸着を遂行した後に、かつ前記パルス化熱アニーリングを遂行する前に、前記処理チャンバをパージするステップをさらに備える方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記パルス
化熱アニーリングの各反復を遂行した後に、前記処理チャンバをパージするステップをさらに備える方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、前記第1のALE処理を1秒以内に複数回遂行するステップをさらに備える方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、
第2のALE処理を遂行すべきかどうかを判断するステップと、
前記第1のALE処理用に設定したパラメータを、前記第2のALE処理用に更新したパラメータに変更するステップと、
前記処理チャンバの内部で、
前記処理チャンバに前記第1の処理ガスまたは第3の処理ガスを供給して、前記基板の前記第1の曝露部分または第2の曝露部分を改質するステップを含む前処理を遂行するステップ、
前記第2の処理ガス、またはハロゲン種を含む第4の処理ガスに前記第1の曝露部分または前記第2の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着を遂行するステップ、および
前記熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、前記第1の曝露部分または前記第2の曝露部分を加熱するステップを含むパルス化急速熱アニーリングを遂行するステップ
を含む前記第2のALE処理を反復して遂行するステップと
をさらに備える方法。
【請求項34】
請求項29に記載の方法であって、
第2のALE処理を遂行すべきかどうかを判断するステップであって、前記第1のALE処理を前記基板の第1のダイ上で遂行するステップと、
前記基板の第2のダイ上で前記第2のALE処理を遂行するステップと
をさらに備える方法。
【請求項35】
請求項29に記載の方法であって、前記
パルス化熱アニーリング用に、
複数のキャパシタを充電するステップと、
前記複数のキャパシタを放電して、複数のフラッシュランプに電力を提供するステップと
をさらに備える方法。
【請求項36】
請求項29に記載の方法であって、前記
パルス化熱アニーリング用に、
レーザビームを発生させるステップと、
前記レーザビームを平頂ビームに変換するステップと、
前記平頂ビームを正方形ビームに変換するステップと、
前記正方形ビームを複数の鏡から離してテレセントリックレンズ組立体まで反射させるステップと、
前記基板に直交する方向に前記テレセントリックレンズ組立体を通って前記基板まで前記正方形ビームを通すステップと
をさらに備える方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記
パルス化熱アニーリング用に、前記基板のダイのサイズ以上になるように前記正方形ビームのサイズを調節するステップをさらに備える方法。
【請求項38】
請求項
36に記載の方法であって、前記
パルス化熱アニーリング用に、
直径が300mmの、複数のダイを含む前記基板全体にわたって広がるように、
かつ所定の期間内に前記複数のダイの各々の全体にわたって広がり、前記複数のダイの各々を加熱するように、
鏡を動かすことにより前記レーザビームを向けるステップ
をさらに備える方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、
前記所定の期間は1秒であり、
前記複数のダイの各々を個々に、所定の回数加熱する方法。
【請求項40】
請求項29に記載の方法であって、
前記第1の処理ガスは水素とアンモニアとのうちの1つ以上を含み、
前記ハロゲン種は酸素と、塩素と、ヨウ素と、フッ素と、のうちの1つ以上を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去と、ゲルマニウムを除去することなく行われるケイ素の選択的除去と、のうちの少なくとも一方を含み、
前記単層はゲルマニウムと、ケイ素と、チタンと、二酸化ケイ素と、のうちの1つ以上を含む方法。
【請求項41】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリング中に、前記熱源を複数回パルス化し、複数の低温パルスと複数の高温パルスとが生成されるように低温パルスと高温パルスの供給を反復的に行うことを含む冷熱パルスの繰り返しを提供するように構成されている、基板処理システム。
【請求項42】
請求項41に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリング中に、前記低温パルスと前記高温パルスとを10秒未満で供給するように構成され、
前記冷熱パルスのうちの前記低温パルスは、前記基板を20~80℃に加熱し、前記冷熱パルスのうちの前記高温パルスは、前記基板を100~600℃に加熱する、基板処理システム。
【請求項43】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリングを実行する前に、前記処理チャンバからハロゲン種をパージするように構成されている、基板処理システム。
【請求項44】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記基板は、原子吸着のために、20℃未満の温度まで加熱され、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板を500~1000℃に加熱するために実行される、基板処理システム。
【請求項45】
請求項1に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリング中に、前記熱源をパルス化し、20ミリ秒周期内に複数のパルスを供給するように構成されている、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2018年11月15日に提出された米国仮特許出願第62/767,564号明細書の利益を主張する。上記で識別した出願の開示は、全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、基板のエッチングおよび堆積の処理に関し、より詳細には原子層エッチングおよび堆積に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供する背景の記述は、本開示の関連を一般に提示するためのものである。この背景技術の節で記述する範囲で、ここで名前を挙げる発明者の著作物だけではなく、提出時点で他の点では従来技術とみなされなくてよい記述の様態も、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術と認められない。
【0004】
半導体ウエハなどの基板の原子層エッチング(atomic layer etching、ALE)中、処理チャンバの中に反応物(たとえば、塩素(Cl2)ガス)を導入して、基板の表面を改質する。多くの場合、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、および金属酸化物(MOx)のALE中に塩素系ガスを使用して、塩素注入最上層を提供する。一例として、塩素ガスを導入して、ケイ素基板の最上部部分を、Siから形成されたケイ素基板の最上部部分から塩化ケイ素(SiClx)の層のケイ素基板の最上部部分に変換してよく、ここで、xは1、2、3、または4である。表面改質後、チャンバから塩素ガスをパージする。アルゴン(Ar)プラズマを提供して、イオン衝撃を遂行し、塩化ケイ素反応層を能動的に除去し、続いて副産物をバージする。
【発明の概要】
【0005】
基板処理システムを提供し、基板処理システムは、処理チャンバ、基板支持部、熱源、ガス配送システム、およびコントローラを含む。基板支持部は、処理チャンバ内に配置され、基板を支持するように構成される。熱源は、基板を加熱するように構成される。ガス配送システムは、処理チャンバに第1の処理ガスを供給するように構成される。コントローラは、ガス配送システムおよび熱源を制御して、等方的原子層エッチング処理を反復して遂行するように構成され、等方的原子層エッチング処理は、その反復中に、前処理、原子レベルの吸着、およびパルス化熱アニーリングを遂行するステップと、原子レベルの吸着中に、基板の曝露された材料の上に選択的に吸着されるハロゲン種を含む第1の処理ガスに基板の表面を曝露して、改質された材料を形成するステップと、パルス化熱アニーリング中に、所定の期間内に熱源をパルス化して複数回オンおよびオフし、改質された材料を曝露および除去するステップとを含む。
【0006】
他の特徴では、コントローラは、パルス化熱アニーリングの反復中に、熱源の熱エネルギーパルスの連続するパルス間で、改質された材料が冷却することができるように構成される。他の特徴では、熱源はフラッシュランプを含む。他の特徴では、基板処理システムは、熱源の複数の熱エネルギーパルスごとにフラッシュランプに放電するように構成された容量性放電回路をさらに含む。他の特徴では、熱源は、複数のフラッシュランプ用にそれぞれ放射線状反射部分を有する反射面を含む。他の特徴では、フラッシュランプは、対応する冷却ジャケットを含む。
【0007】
他の特徴では、基板処理システムは、複数のフラッシュランプから基板に熱エネルギーを向ける円錐形状反射面をさらに含む。他の特徴では、コントローラは、パルス化熱アニーリングの少なくとも1回の反復中に、4ミリ秒未満のパルス継続期間の間にオンであるように複数のフラッシュランプをパルス化するように構成される。
【0008】
他の特徴では、コントローラは、熱源の電源をオフにした後、改質された基板材料が0.5秒未満の間25℃未満の温度まで冷却するように、改質された基板材料をパルス化熱アニーリングの反復の少なくともいくつかの間に熱源を介して加熱するように構成される。
【0009】
他の特徴では、熱源はレーザを含む。レーザは、基板に向けるレーザビームを発生させるように構成される。他の特徴では、基板処理システムは、鏡およびモータをさらに含む。コントローラは、モータにより鏡を動かすことにより基板の全体にわたって広がるようにレーザビームを向けるように構成される。他の特徴では、基板の直径は300mmである。基板はダイを含む。コントローラは、所定の期間内に、ダイ全体にわたって広がり、ダイの各々を加熱するように構成される。
【0010】
他の特徴では、所定の期間は1秒である。コントローラは、複数のダイの各々を個々に第2の所定の回数、加熱するように構成される。他の特徴では、基板処理システムは、レーザビームを形作り、方向づけるように構成されたレンズ回路をさらに含む。他の特徴では、レンズ回路は、レーザビームを丸い形状のレーザビームから正方形の形状のレーザビームに変換するためのビーム整形光学部品を含む。
【0011】
他の特徴では、レンズ回路は、レーザビームを丸い形のレーザビームから平頂形状のレーザビームに変換する平頂光学部品、および平頂形状のレーザビームを正方形の形状のレーザビームに変換するための回折光学部品を含む。
【0012】
他の特徴では、基板処理システムは、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに含む。コントローラは、第1のモータおよび第2のモータを介して第1の鏡および第2の鏡を動かして、基板上でレーザビームの位置を調節するように構成される。
【0013】
他の特徴では、基板処理システムは、基板の表面に対して垂直な方向にレーザビームを向けるように構成された、複数のレンズを備えるテレセントリックレンズ組立体をさらに含む。
【0014】
他の特徴では、基板処理システムは、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに含む。レーザビームは、第1の鏡に向けられる。レーザビームは、第1の鏡から第2の鏡に向けられる。レーザビームは、第2の鏡からテレセントリックレンズ組立体を通って基板に向けられる。コントローラは、第1のモータおよび第2のモータを介して第1の鏡および第2の鏡を動かして、基板上でレーザビームの位置を調節するように構成される。
【0015】
他の特徴では、処理チャンバは、誘導結合プラズマチャンバまたは遠隔プラズマ供給源接続チャンバである。テレセントリックレンズ組立体は、処理チャンバの誘電体窓の上方に配置される。
【0016】
他の特徴では、基板処理システムは、基板が受け取る前にレーザビームのサイズを調節するように構成されたビームサイズ調節モジュールをさらに含む。他の特徴では、処理チャンバには、パルス化熱アニーリング中にプラズマがない。
【0017】
他の特徴では、コントローラは、原子レベルの吸着の1つまたは複数の反復中に、処理チャンバの内部の温度を20℃以下に、または周囲温度に等しく設定するように構成される。他の特徴では、コントローラは、熱源を制御して、基板の基部部分またはバルク部分の少なくとも一方を加熱することなく、基板の改質された材料を加熱する複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される。
【0018】
他の特徴では、コントローラは、処理チャンバに第1の処理ガスを供給して、熱源の熱エネルギーパルスの連続する各対の間に、基板の曝露された材料上に原子レベルの吸着を遂行するように構成される。他の特徴では、コントローラは、前処理中に基板を第2の処理ガスにさらすことにより、基板を改質するように構成される。他の特徴では、コントローラは、熱源をパルス化して、1秒以内に複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される。
【0019】
他の特徴では、前処理は、第2の処理ガス導入を含む。第2の処理ガスは水素を含む。ハロゲン種は酸素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はゲルマニウムを含む。
【0020】
他の特徴では、前処理は、第2の処理ガス導入を含む。第2の処理ガスは水素を含む。ハロゲン種は塩素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はゲルマニウムを含む。
【0021】
他の特徴では、前処理は、第2の処理ガス導入を含む。第2の処理ガスは水素を含む。ハロゲン種はヨウ素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はケイ素を含む。他の特徴では、パルス化熱アニーリングは、ゲルマニウムを除去することなくケイ素を選択的に除去することを含む。
【0022】
他の特徴では、前処理は、水素または酸素を含む第2の処理ガス導入を含む。ハロゲン種は塩素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はチタンを含む。
【0023】
他の特徴では、前処理は、第2の処理ガス導入を含む。第2の処理ガスは水素またはアンモニアを含む。ハロゲン種はフッ素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層は二酸化ケイ素を含む。
【0024】
他の特徴では、基板処理システムを動作させる方法を提供する。方法は、処理チャンバ内で基板支持部上に基板を堆積させるステップ、および第1の原子層エッチング(ALE)処理を反復して遂行するステップを含む。第1のALE処理は、順次の等方的処理であり、処理チャンバに第1の処理ガスを供給して、基板の第1の曝露部分を改質するステップを含む前処理と、第1の曝露部分の上に選択的に吸収され第1の曝露部分を改質するハロゲン種を含む第2の処理ガスに第1の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着と、熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、改質された第1の曝露分を曝露し、除去するステップを含むパルス化熱アニーリングとを遂行するステップを含む。本方法は、所定のサイクル数の第1のALE処理を遂行したかどうかを判断するステップと、所定のサイクル数を遂行した場合、第1のALE処理を遂行するのをやめるステップとをさらに含む。
【0025】
他の特徴では、本方法は、原子レベルの吸着を遂行した後に、かつパルス化熱アニーリングを遂行する前に、処理チャンバをパージするステップをさらに含む。他の特徴では、本方法は、パルス化急速熱アニーリングの各反復を遂行した後に処理チャンバをパージするステップをさらに含む。他の特徴では、本方法は、第1のALE処理を1秒以内に複数回遂行するステップをさらに含む。
【0026】
他の特徴では、本方法は、第2のALE処理を遂行すべきかどうかを判断するステップと、第1のALE処理用に設定したパラメータを第2のALE処理用に更新したパラメータに変更するステップと、処理チャンバ内部で第2のALE処理を反復して遂行するステップとをさらに含む。第2のALE処理は、処理チャンバに第1の処理ガスまたは第3の処理ガスを供給して、基板の第1の曝露部分または第2の曝露部分を改質するステップを含む前処理を遂行するステップと、ハロゲン種を含む第2のガスまたは第4のガスに第1の曝露部分または第2の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着を遂行するステップと、熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、第1の曝露部分または第2の曝露部分を加熱するステップを含むパルス化急速熱アニーリングを遂行するステップとを含む。
【0027】
他の特徴では、本方法は、基板の第1のダイ上で第1のALE処理を遂行する場合に第2のALE処理を遂行するかどうかを判断するステップと、基板の第2のダイ上で第2のALE処理を遂行するステップとをさらに含む。他の特徴では、本方法は、急速熱アニーリングに関して、キャパシタを充電するステップと、キャパシタを放電して、複数のフラッシュランプに電力を提供するステップとをさらに含む。
【0028】
他の特徴では、本方法は、急速熱アニーリングに関して、レーザビームを発生させるステップと、レーザビームを平頂ビームに変換するステップと、平頂ビームを正方形ビームに変換するステップと、正方形ビームを鏡から離してテレセントリックレンズ組立体まで反射させるステップと、基板に直交する方向にテレセントリックレンズ組立体を通って基板まで正方形ビームを通過させるステップとをさらに備える。
【0029】
他の特徴では、本方法は、急速熱アニーリングに関して、基板のダイのサイズ以上になるように正方形ビームのサイズを調節するステップをさらに含む。他の特徴では、本方法は、急速熱アニーリングに関して、鏡を動かすことにより、基板の直径が300mmの、ダイを含む基板の全面にわたって広がり、所定の期間内にダイの各々の全面にわたって広がるようにレーザビームを向けて、ダイの各々を加熱するステップをさらに含む。
【0030】
他の特徴では、所定の期間は1秒であり、ダイの各々は、個々に所定の回数、加熱される。他の特徴では、第1のガスは水素を含む。ハロゲン種は酸素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はゲルマニウムを含む。
【0031】
他の特徴では、第1のガスは水素を含む。ハロゲン種は塩素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はゲルマニウムを含む。
【0032】
他の特徴では、第1のガスは水素を含む。ハロゲン種はヨウ素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はケイ素を含む。他の特徴では、パルス化熱アニーリングは、ケイ素の選択的除去を含み、ゲルマニウムの除去を含まない。
【0033】
他の特徴では、第1のガスは水素または酸素を含む。ハロゲン種は塩素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層はチタンを含む。
【0034】
他の特徴では、第1のガスは水素またはアンモニアを含む。ハロゲン種はフッ素を含む。パルス化熱アニーリングは、基板からの単層除去を含む。単層は二酸化ケイ素を含む。
【0035】
本開示を適用できる領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面からさらに明らかになるであろう。詳細な説明および特有の例は、例示だけを目的とすることが意図され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0036】
本開示は、詳細な記述および添付図面からより完全に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本開示による、フラッシュランプと、ALEおよび原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)中に急速熱パルス動作を遂行するための急速熱パルスコントローラとを組み入れる基板処理システムの例の機能構成図である。
【0038】
【
図2】本開示による、レーザと、レンズ回路と、ALEおよびALD中に急速熱パルス動作を遂行するための急速熱パルスコントローラとを組み入れる基板処理システムの例の機能構成図である。
【0039】
【
図3】
図2のレンズ回路に組み入れられた鏡およびテレセントリックレンズ組立体の側面断面図である。
【0040】
【
図4】従来の連続波動作モードに関連する加熱増強期間および冷却期間の例を示す経時的温度プロファイルである。
【0041】
【
図5】本開示による急速熱パルスの例を示す経時的温度プロファイルの例である。
【0042】
【0043】
【
図7】本開示に従って提供される単一急速熱パルスに関する経時的温度変化を例示する信号図の例である。
【0044】
【
図8】本開示に従って遂行されたALEに関する、レーザフルエンスに対するエッチング速度のプロットの例である。
【0045】
【
図9】本開示に従って遂行されたALEに関する、処理サイクル数に対する除去されたゲルマニウム量のプロットの例である。
【0046】
【
図10】基準としての異なる材料除去量、塩素吸着なしのパルス化レーザ加熱、パルス化レーザ加熱なしの塩素吸着、および塩素吸着とパルス化レーザ加熱の組合せの実装を例示する膜厚さのプロットの例である。
【0047】
【
図11】ある種の処理に関する推定温度範囲およびランプ電力範囲のプロットの例である。
【0048】
【
図12】本開示に従って遂行されたフラッシュ・ランプ・サイクル中の表面温度変化速度を例示するプロットの例、およびフラッシュ・ランプ・サイクル後の対応する冷却期間中の表面温度変化速度の対応するプロットの例である。
【0049】
【
図13】本開示による、フラッシュ・ランプ・サイクルに関する、パルス継続期間に対するフラッシュランプ電力レベルおよび反復率のプロットの例である。
【0050】
【
図14】本開示による、誘電体層の一部分を除去するために反復して遂行した急速熱パルスサイクルを例示する図である。
【0051】
【0052】
【
図16】本開示に従って遂行されたALE処理中の、基板表面温度に対するエッチング速度のプロットの例である。
【0053】
【
図17】異なる熱源に関する、加熱速度に対する冷却速度の例を示すプロットである。
【0054】
【
図18】本開示による、窒化チタンの層を除去するALE法の2つの例を示す構成図である。
【0055】
【
図19】異なるエネルギーレベルに関する、窒化チタン膜厚さのプロットの例である。
【0056】
【
図20】本開示に従って遂行された異なるALEサイクル数に対する窒化チタン膜厚さのプロットの例である。
【0057】
【
図21】遂行された異なる動作に関する、異なる材料除去量を例示する窒化チタン膜厚さのプロットの例である。
【0058】
【
図22】本開示の実施形態による、ヨウ素ガス導入、およびゲルマニウム除去なしのケイ素除去を例示するALE処理図の例である。
【0059】
【
図23】異なる基板支持部温度に関する、エッチング速度に対するケイ素層厚さのプロットの例である。
【0060】
【
図24】加熱前、異なるエネルギーレベルに関するフラッシュランプ加熱後、および基板支持部加熱後に得たサンプルの測定に関連するエッチング深さ範囲および表面粗さのグラフの例である。
【0061】
【
図25】ヨウ素ガス導入および加熱された基板支持部に起因する、ケイ素のエッチング速度およびゲルマニウムの堆積速度のプロットの例である。
【0062】
【
図26】ヨウ素ガスを使用する、ケイ素およびゲルマニウムに関する、熱パルスエネルギーに対するエッチング速度のプロットの例である。
【0063】
【
図27】加熱された基板支持部実装およびレーザ実装に関する、エッチング深さおよび表面粗さのプロットの例である。
【0064】
【
図28】本開示の実施形態による、レーザを介した基板加熱に関する、パルス数に対するエッチング速度および表面粗さのプロットの例である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図面では、類似要素および/または同一要素を識別するために参照番号を再利用することがある。
【0066】
7ナノメートル(nm)未満の機器を製作するためには、ナノスケールの制御を用いて基板から材料を等方的に除去する必要がある。ナノスケールのレベルでは、従来のドライエッチングおよびウエットエッチングは、基板表面の粗さおよび/または損傷の原因となる可能性がある。それに加えて、ALEは、イオンの方向性に起因して等方的除去に限界がある。たとえば基板の上側部分を除去するために、上側部分を改質して、上側揮発性層を提供することがある。次いで、ランプを介して上側揮発性層を加熱することにより上側揮発性層を除去することがある。従来のランプ(たとえば、赤外ランプ)は、たとえば40℃/秒~250℃/秒で基板の一部分を加熱することがある。ランプが上側揮発性層を加熱する時間および上側揮発性層が冷却する時間は、数分かかる可能性がある。基板を加熱および冷却するために必要な時間は、静電チャックなどの基板支持部の加熱速度および冷却速度に基づく可能性がある。基板および基板支持部が加熱および冷却する時間は、何10分もかかる可能性がある。
【0067】
基板を加熱する期間が非常に長いことに起因して、典型的には基板の基部部分またはバルク部分を含む基板全体を加熱する。その結果、長時間の間加熱ランプをオンにすることによる従来の加熱には、基板の上側部分および/または表面だけではなく基板のバルク部分も加熱することに起因する熱収支問題がある。このタイプの加熱は、ある種のエッチング処理に用途が限定される。熱収支は、基板の材料および/もしくは構造を劣化させることなく、基板上のダイ構成要素の性能および/もしくは動作に悪い影響を及ぼすことなく、ならびに/または一方の種層の分子および/もしくは原子が別の種層の中に拡散する相互拡散問題を引き起こすことなく、特定の温度に基板を曝露することができる時間を指す。温度が高く、かつ曝露が長くなるほど、それだけ熱収支問題の可能性が高くなり、優勢になる。従来の加熱ランプを使用するある例では、200℃よりも大きな温度上昇を提供する熱サイクルは、Geの中にSiが拡散する結果となる可能性があり、一方では、40℃の温度上昇を有する熱サイクルは、Geの中にSiが拡散する結果とならないことがある。熱収支問題は、特に単一処理チャンバ内部で基板に対して遂行することができる処理を制限する。基板支持部が冷却するのを待つことを回避して、異なる処理を迅速に遂行するために、処理チャンバ間で基板を取り除く必要があることがある。
【0068】
本明細書で示す例は、熱源を介して急速熱パルス化(rapid thermal pulsing、RTP)サイクルを遂行して、基板の上側部分の温度を急速に高めるためのRTPシステムを含む。基板の上側部分を急速に加熱し、基板の基部部分またはバルク部分を加熱しないことにより、基板の上側部分は、熱源を非活動化した後に温度が急速に低下する可能性がある。以下で記述するように、多数の加熱および冷却のサイクルを数秒で遂行してよい。RTPを提供し、RTPは、熱収支問題を回避する。換言すれば、基板の下側バルク部分を加熱することなく、および/または基板の下側バルク部分の加熱量を最小にすることなく、加熱を提供する。これにより基板の表面および/または上側部分を急速に加熱および冷却して、単一処理チャンバ内部で多数の処理サイクルを、および/または多数の異なる処理を迅速に遂行できるようになる。ある例として、上側部分は、加熱された基板表面から測定した数100ナノメートルの厚さであってよい(または加熱の深さが、基板の中へ数100ナノメートル入る)。
【0069】
RTP動作はまた、熱収支問題に対して感度が高いことに起因してこれまで遂行されなかった処理の遂行を可能にする。ある例として、基板からある種の膜材料を等方的かつ選択的に除去することを遂行してよい。除去されてよい膜材料は、ケイ素と、ゲルマニウムと、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物と、窒化チタンなどのような他の材料とを含む。
【0070】
次に
図1を参照すると、使用することができる基板処理システム100の例が示されている。基板処理システム100は誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma、ICP)供給源を含むが、他のタイプの処理チャンバおよび/または(遠隔プラズマ供給源などの)プラズマ供給源を使用してよい。任意選択で遠隔プラズマ供給源を提供して、ラジカルを利用してよい。別の処理チャンバの例は、別の処理チャンバ(または第2のチャンバ)に接続された遠隔プラズマ供給源接続チャンバ(または第1のチャンバ)である。基板処理システム100は、RTPシステム106および処理チャンバ108を含む。処理チャンバ108は、基板112を支持するための基板支持部110を含む。RTPシステム106は、基板112の表面および/または一部分を急速に、かつ反復して加熱する。いくつかの例では、基板支持部110は、静電チャックまたは真空チャックを含む。いくつかの例では、基板支持部110を温度制御する。たとえば、基板支持部110は、1つまたは複数のゾーン内に配列されてよい流体チャネル114および/またはヒータ116を含んでよい。基板支持部110は、電極118をさらに含んでよい。
【0071】
温度および/または圧力のセンサなどの1つまたは複数のセンサ119を処理チャンバ108内に配列して、それぞれ温度および/または圧力を検知してよい。弁122およびポンプ124を使用して、処理チャンバ108内部の圧力を制御してよい、および/または処理チャンバ108から反応物を排出してよい。
【0072】
RTPシステム106は、基板112の急速熱アニーリングを遂行する熱源126を含む。これは、フラッシュランプ128を介したRTPを含む。レーザに基づく別のRTPシステムの例を
図2に示す。熱源126と処理チャンバ108の間に窓組立体130を配置してよい。窓組立体130は、第1の(または誘電体)窓132、反射面134、結合部材136,および第2の窓138を含む。第1の窓132は、石英窓であってよい。反射面134は、ステンレス鋼から形成されてよく、フラッシュランプ128が発生させた熱エネルギーを基板112に向けて誘導するような円錐形状であってよい。第2の窓138は、サファイア窓であってよい。結合部材136は、反射面134を処理チャンバ108に接続する。一実施形態では、反射面134を含まず、結合部材136に第1の窓132を付着させる。フラッシュランプ128は、円筒形状であってよく、フラッシュランプ128を冷却するために水および/または他の冷却液を循環させてよい、対応する冷却ジャケット140を含んでよい。放射線状反射部分144を有する反射面142を第1の窓132上に配置してよい。反射面142は、アルミニウムから形成されてよい。反射面142と第1の窓132の間の放射線状反射部分144内にそれぞれフラッシュランプ128を配置する。
【0073】
温度制御システム150を使用して、基板支持部110および基板112の温度を制御してよい。温度制御システム150は、流体チャネル114に接続されたポンプ154を介して流体供給源152からの流体の供給を制御してよい。温度制御システム150はまた、ヒータ116の動作を制御してよい。温度制御システム150は、基板支持部110の1つまたは複数の場所またはゾーンの温度を検知する1つまたは複数の温度センサ156を含んでよい。
【0074】
ガス配送システム160は、1つまたは複数のガス供給源164、1つまたは複数の弁105、1つまたは複数の質量流コントローラ168、および混合多岐管170を含む。ガス配送システム160は、前処理、ドーピング、不動態化、アニーリング、および/またはパージング中に、プラズマガス混合物、キャリア、および/もしくは不活性ガス、ならびに/またはパージガス混合物を処理チャンバ108に選択的に供給する。
【0075】
RF発生器120-1は、RF供給源123と、処理チャンバ108の外壁を取り囲むコイル127にRF電力を出力する整合回路125とを含む。RF発生器120-1は、プラズマに打ち当たる磁界を処理チャンバ108内に生み出す。別のRF発生器120-2を使用して、基板支持部110内の電極118にRFバイアスを供給してよい。コントローラ180は、1つまたは複数のセンサ119、弁122およびポンプ124、温度制御システム150、熱源126、RF発生器120-1および/または120-2、ならびにガス配送システム160と通信して、遂行されている処理を制御する。
【0076】
コントローラ180は、容量性放電回路184を制御して、フラッシュランプ128をパルス化するRTPコントローラ182を含んでよい。容量性放電回路184は、電源186から電力を、RTPコントローラ182から制御信号を受け取ってよい。容量性放電回路184は、アイドルモードのとき、キャパシタ(ボックス187で表す)を充電してよく、RTPコントローラ182から放電信号を受け取ると、キャパシタを放電してよい。RTPコントローラ182は、ALEおよび/またはALDの処理中にRTP動作を遂行してよい。
【0077】
図2は、レーザ204と、レンズ回路206と、RTPコントローラ210を伴うコントローラ208とを含むRTPシステム202を組み入れる基板処理システム200の例を示す。基板処理システム200は、
図1の基板処理システム100に類似して動作し、
図2に示さない、基板処理システム100の一部分を含む。基板処理システム200は、熱源126、コントローラ180、および容量性放電回路184の代わりに、レーザ204と、レンズ回路206と、コントローラ208とを含む。レーザ204は、RTPコントローラ210から受け取った制御信号に基づきRTP動作中にRTPコントローラ210によりパルス化(または変調)されてよい熱源である。これは、ALEおよびALDの処理中に行われてよい。
【0078】
レンズ回路206は、ビーム整形光学部品212,第1の鏡214および第2の鏡216を含むガルバノ(Galvano)ミラー回路213、ならびにテレセントリックレンズ組立体218を含む。ビーム整形光学部品212は、平頂(または第1のビーム整形)光学部品220および回折(または第2のビーム整形)光学部品222を含んでよい。平頂光学部品220を使用して、ガウス分布を有する、レーザ204から受け取ったレーザビームを、平頂ビーム(たとえば、2センチメートル(cm)×2cmの平頂ビーム)に変換する。レーザビームの温度プロファイルもまたガウス分布である。平頂光学部品の例は、「フライホイール」光学部品である。
【0079】
回折光学部品222は、平頂光学部品220から得られた平頂円形ビームを正方形ビームに変換する。正方形ビームは、対応する一様な温度分布を基板上で有する。これは、正方形ビームに曝露された基板(たとえば、基板112)の一部分全体にわたって一様な熱反応および/またはエッチング速度を可能にする。正方形ビームを提供することによりさらにまた、加熱されているダイの形状に適合する形状を有するビームが提供される。正方形ビームは、選択されたダイの表面または上側部分を一様に加熱してよい。処理チャンバ108内で基板支持部の上に基板112を配置してよい。
【0080】
ビーム整形光学部品212と第1の鏡214の間にビームサイズ調節機器226を配置してよい。ビームサイズ調節機器226は、基板112上のダイのサイズ以上になるように正方形ビームのサイズを調節してよい。ビームサイズ調節機器226は、電動式であってよく、ビームエキスパンダ227を含んでよい。ビームエキスパンダ227は、拡大を遂行して、レーザビームのサイズを増大させてよい。
【0081】
RTPコントローラ210およびガルバノミラー回路213は、X-Y検流計走査システムとして動作してよい。第1の鏡214を使用して、第1の(またはX)方向に基板112の表面全体にわたってレーザビームを動かしてよい。第2の鏡216を使用して、第2の(またはY)方向に基板の表面全体にわたってレーザビームを動かしてよい。コントローラ208および/またはRTPコントローラ210は、モータ230、232を介して鏡214、216を動かしてよい。
【0082】
テレセントリックレンズ組立体218は、コリメーティング組立体と呼ばれることがあり、一連の平凸レンズ240、242、244、246を含む。特定の数の平凸レンズを示すが、異なる数の平凸レンズを含んでよい。平凸レンズ240、242、244、246の直径は、平凸レンズが窓組立体130に近いほど増大し、その結果、レンズ242の直径は、レンズ240の直径よりも大きく、レンズ244の直径は、レンズ242の直径よりも大きく、レンズ246の直径は、レンズ244の直径よりも大きい。平凸レンズ240、242、244、246は、共通中心線248を有するように垂直に整列する。平凸レンズ240、242、244、246は、固定された関係で型250内部に保持される。平凸レンズ240、242、244、246は、第2の鏡216から受け取ったレーザビームを、基板112の表面に直交するように誘導する。基板112の表面全体にわたってレーザビームを動かすとき、テレセントリックレンズ組立体218は、基板112の表面と直交関係でレーザビームを維持する。
【0083】
ある例として、レーザ204が発生させたレーザビームは、直径が355nmであってよく、80ピコ秒(ps)ごとにパルス化されてよい。RTPコントローラ210は、鏡214、216を動かして、基板112の表面全体にわたって150ヘルツ(Hz)走査を遂行してよい。
【0084】
基板処理システム200は、基板支持部110および基板112の温度を制御するために使用してよい温度制御システム150を含んでよい。温度制御システム150は、基板支持部110の1つまたは複数の場所またはゾーンの温度を検知する1つまたは複数の温度センサ156を含んでよい。
【0085】
図3は、鏡214、216、および
図2のテレセントリックレンズ組立体218の側面断面図を示す。鏡214、216は、テレセントリックレンズ組立体218を通してレーザビーム300を誘導するように示されている。レーザビーム300は、レンズ240、242、244、246を通って、最小レンズ240から最大レンズ246まで進む。レーザビーム300は、円形であり、かつ
図2のビーム整形光学部品212を通過しないとき、像平面304または基板112の表面上で、曲線302により表されるガウス分布を有する。レーザビーム300は、ビーム整形光学部品212を通過するとき、正方形形状であり、辺Sのスポットを有する。
【0086】
図2のガルバノミラー回路213は、全視野(field-of-view、FOV)を走査するための2つの鏡を含むシステムを提供する。ある例として、FOVは、300mm×300mmよりも広くてよい。一実施形態では、レンズ240、242、244、246は集合的に、低開口数(所定の開口数よりも小さい)、および像平面304に対して垂直な所定の範囲内の焦点カラム(focal column)パラメータ(またはビーム直角度パラメータ)を有する。ビームの一様性および強度を維持しながら、像平面でビームが歪むことなく、像平面に対して垂直にレーザビームを提供する。レーザビームの焦点を像平面304に合わせてよい。一実施形態では、瞳開口、またはビームスポットの辺Sのサイズを10mm~12mmに制限する。
図2のビームサイズ調節機器226は、ビームスポットのサイズを増大させてよく、その結果、Sは20mm~22mmになる。
【0087】
フランジバック(flange focal length、FFL)および後部焦点距離(back focal length、BFL)が示されている。FFLは、(i)フランジ305の端部、および/またはレンズ246が曲がって、像平面304に向かって外側に突出し始める地点307と(ii)像平面304からの距離であってよい。BFLは、(i)像平面304に最も近い、レンズ246上の地点309と(ii)像平面304からの距離を指すことがある。
【0088】
上述の、
図1~
図3の例は、フラッシュランプの例およびレーザビームの例を提供する。所定のマイクロ秒数ごとに(たとえば、300μsごとに)フラッシュランプを変調(パルス化)してよく、所定のピコ秒数ごとに(たとえば、80psごとに)レーザビームを変調(パルス化)してよい。これらの例は、連続した熱ALEまたは熱ALDの処理を遂行できるようにする。ある例として、100μsのパルス化光源を使用してよく、1Hzサイクルで平方センチメートル(cm
2)あたり8ジュール(J)のランプ電力を提供する。単一処理チャンバ内部で単一レシピ用に50サイクルよりも多く遂行してよい。原子レベルの材料除去および等方的材料除去を含むALE処理を遂行してよい。これらの処理は、温度収支問題なしに基板温度を制御しながら効率的に遂行される。
【0089】
図4は、従来の連続波動作モードに関連する加熱増強期間および冷却期間の例を示す経時的温度プロファイルを示す。図示するように、従来の連続波モードでの加熱ランプ操作は、x秒で基板を20℃から100℃~600℃まで加熱してよい。加熱ランプは、t分間オンであってよい。基板は、y秒で冷却されてよい。
【0090】
図5は、急速熱パルスの例を示す経時的温度プロファイルの例を示す。
図5では、例示するために低温パルスおよび高温パルスを示す。ある例として、低温パルスを提供して、サイクルあたり80℃まで基板の一部分の温度を高めてよい。高温パルスは、サイクルあたり600℃まで基板の一部分の温度を高めてよい。一実施形態では、低温パルスは、20℃~80℃まで基板の一部分の温度を高める。一実施形態では、高温パルスは、100℃~600℃まで基板の一部分の温度を高める。別の実施形態では、低温パルスを提供しない。低温パルスおよび/または高温パルスの連続する各対の間に、加熱されている基板の一部分を、たとえば基準温度(たとえば、20℃)まで冷却する。多数の低温パルスおよび/または高温パルスを提供してよく、所定の秒数(x秒で示す)にわたるパルスのうち連続するパルスの間に、加熱されている基板の一部分を冷却してよい。ある例では、3秒~10秒の長い期間にわたり、多数の低温パルスおよび高温パルスを提供してよい。
【0091】
本明細書で記述するRTPは、基板表面温度を上げて、基板表面温度を制御できるようにする。原子レベルの反応制御を提供しながら、制御された調整可能な手法で基板の所定の深さまで加熱を提供する。これは、発生させている光(たとえば、フラッシュランプまたはレーザ)のパルスの数、長さ、強度、および周波数を制御することにより達成されてよい。一実施形態では、一連の高温パルスを提供する。他の実施形態では、一連の低温パルスを提供する。別の実施形態では、低温パルスおよび高温パルスの組合せを提供し、パルスの継続期間、強度(または電力レベル)、および周波数を制御して、基板の表面の少なくとも一部分全体にわたって温度深さプロファイルを提供する。
図1の実施形態のように多数のフラッシュランプを有することにより、フラッシュランプを別様に動作させることにより、異なる温度ゾーンを生み出してよい。たとえば、フラッシュランプのうち第1の1つまたは複数を動作させて、第1の組の1つまたは複数の継続期間、1つまたは複数の強度レベル(または電力レベル)、および1つまたは複数の周波数を有する第1の一連のパルスを提供してよく、フラッシュランプのうち第2の1つまたは複数を動作させて、第2の組の1つまたは複数の継続期間、1つまたは複数の強度レベル(または電力レベル)、および1つまたは複数の周波数を有する第2の一連のパルスを提供してよい。
【0092】
図6は、本開示に従って遂行される熱ALE処理を例示するALE処理図を示す。熱ALE処理は、前処理、原子レベルの吸着(または凝縮)、RTP(または熱除去)、および基板リフレッシュ(またはパージ)の動作を反復して遂行するステップを含んでよい。RTPを使用して、従来の連続波(continuous wave、CW)加熱の取り組み方法と比較して、熱収支問題なしに原子レベルで等方的に膜を除去してよい。一実施形態では、熱パルス継続期間は、3ms未満の継続期間であり、おおよそ500℃まで表面基板温度を高めて、熱収支問題を回避する。たとえば、ケイ素(Si)をエッチングして、Siがゲルマニウム(Ge)の中へ拡散するのを回避するときにこのタイプのRTPを遂行してよい。
【0093】
前処理(または第1の表面改質動作)中、プラズマを提供して、基板の表面および/または一部分を改質しながら、基板の表面および/または一部分に水素H2、アンモニアNH3、および/または他のガスを供給してよい。原子レベルの吸着(または第2の表面改質動作)中、酸素、ハロゲンガス(たとえば、塩素Cl2、ヨウ素I2、フッ素F3、または他のハロゲンガス)、三フッ化窒素NF3、および/または他の反応物を提供し、基板の表面および/または一部分の中に吸着させる。原子レベルの吸着を受ける基板の一部分は、たとえば、酸化アルミニウム(Al)Al2O3、酸化チタン(Ti)TiO2、もしくは酸化ジルコニウム(Zr)などの金属酸化物MOxから、または窒化ケイ素SiNx、Si、Ge、SiO2、窒化チタンTiN、または酸化ハフニウムHfO2などの他の材料から形成されてよい。原子レベルの吸着後、除去されている部分は、たとえば、リガンドありもしくはなしの酸化物もしくはハロゲン化物、MClx(Fx)、フッ化アルミニウムAlF3、酸化チタンTiO2、ケイフッ化アンモニウム(NH4)2SiF6、または他の改質された材料であってよい。
【0094】
ある実施形態では、所定のサイクル数を遂行して、基板の1つまたは複数の層の所定の量を除去する。ある例として、熱ALE処理のサイクルあたり基板の最上部分の厚さ1nmの層を除去してよい。急速熱動作中に、
図1および
図2に示すようにフラッシュランプ組立体またはレーザを使用してよい。表1は、異なるタイプの基板上で遂行されている熱ALE処理の5つの(行あたり1つの)例を提供する。列は、a)除去されている基板材料、b)前処理(pretreatment、PT)中に提供されているプラズマのタイプ、c)原子レベルの吸着(atomistic adsorption、AA)動作中に供給されているガス、d)急速熱(rapid thermal、RT)加熱動作のために作動させられてよいフラッシュランプまたはレーザ、および表面リフレッシュ(surface refresh、SR)動作中に提供されているパージガスを示す。
【表1】
【0095】
本明細書で開示する熱ALE処理を他のタイプの基板上で遂行してよい。熱ALE処理を遂行して、たとえばゲルマニウムGe、金属窒化物(たとえば、TiN)、Si-SiGeを含む化合物、および/または金属酸化物(たとえば、Al2O3またはHfO2)を含む、対象となる膜を除去してよい。除去されてよい、対象となる副産物は、酸化ゲルマニウムGeO、オキシ塩化チタンTiOCl、オキシフッ化チタンTiOF、ケイ素塩素Si-Cl、ケイ素フッ素Si-F、ゲルマニウム塩素Ge-Cl、ゲルマニウムフッ素Ge-F、アルミニウムアセチルアセトナートAl(acac)4、およびハフニウムアセチルアセトナートHf(acac)4を含む。
【0096】
表面リフレッシュ動作中に基板を冷却してよい。一実施形態では、能動冷却を提供して、基板を極低温で冷却する。これにより、基板を冷却する時間は短縮され、短縮された期間でより多くのサイクルを遂行できるようになる。能動冷却は、基板の基部(またはバルク)部分に悪い影響を与えることなく急速な回復を提供する。
【0097】
図7は、提供する単一急速熱パルス700に関する経時的温度変化パターンを例示する信号図の例を示す。パルス化熱源を使用して、ALEまたはALDの処理中に所定のミリ秒数にわたり基板の表面反応を制御してよい。一実装形態では、供給源電力をオンにして(曲線702のパルス701により表す)、処理チャンバにガスを供給する(曲線704のパルス703により表す)ことによりプラズマを発生させてよい。ポンプ(たとえば、
図1のポンプ124)をオンにして、パージ動作を遂行する(曲線708のパルス707により表す)ことにより基板の回路を洗浄してよい。次いで、パルス706により表す表面改質および原子レベルの吸着(または凝縮)の動作を遂行し、その後、パルス700により表す加熱を遂行してよい。次いで、曲線712のパルス710および曲線708のパルス713により表すように、処理チャンバをパージしてよい。任意選択で、曲線716のパルス714により表すように、バイアス電力を提供してよい。次いで、ポンプを活動化して、パルス718により表すようにパージを遂行してよい。
【0098】
図8は、遂行するALEに関する、レーザフルエンスに対するエッチング速度のプロットの例を示し、H
2プラズマなしのGeプラズマ表面改質、H
2プラズマありのGeプラズマ表面改質、H
2プラズマありのp型Siプラズマ表面改質、およびH
2プラズマなしのp型Siプラズマ表面改質に関する差を例示する。
【0099】
Si層とGe層の両方を有する基板のSi層またはGe層の一部分の選択的除去は、プラズマ処理中にSi層およびGe層のエッチングから形成される副産物が類似することに起因して、ナノワイヤ製作処理にとって困難になる可能性がある。本明細書で開示する実装形態の例は、Si層とGe層の両方を有する基板のSi層またはGe層の選択的除去を可能にする。この実装形態の例は、ある種の処理の時間窓中に基板の表面温度を上げるためのRTPを含む。表面改質のためのH2プラズマ処置を遂行し、Si層またはGe層を選択的にエッチングするように反応時間を制御する。この処理により、相互拡散という熱収支問題を体験する可能性がある従来の加熱された基板支持部と異なり、熱収支問題は回避される。
【0100】
次の
図9および
図10は、GeおよびTiNの熱ALE中に原子レベルの吸着のためにO
2を使用することとCl
2を使用することの間の差を例示する。GeおよびTiNの除去速度は、処理サイクル数が増えるにつれて、線形に増大する。提供する前処理の化学物質および熱エネルギーにより選択性を制御する。
図9は、遂行するALEに関する、処理サイクル数に対する除去されたGeの量のプロットを示す。Geは、周囲温度(または室温)で除去される。
図10は、基準、前処理および塩素吸着なしのレーザRTP(レーザパルス化加熱)、レーザRTPなしの前処理および塩素吸着、ならびに前処理、塩素吸着、およびレーザRTPの組合せに関する、異なる量のTiN材料除去を例示する膜厚さを示す。基準実装形態は、レーザパルス化加熱および塩素吸着を遂行しないときを指す。基準実装形態、前処理および塩素吸着なしのレーザ加熱実装形態、レーザRTPなしの前処理および塩素吸着実装形態、ならびに前処理、塩素吸着、およびレーザRTPの組合せ実装形態の厚さに関する範囲の例を提供する膜厚さ範囲1002、1004、1006、1008を示す。レーザRTPありの塩素吸着は、たとえば塩素吸着およびレーザRTPなしよりも10倍速い速度で材料を除去する。
【0101】
図11は、ある種の処理に関する推定された温度範囲およびランプ電力範囲を示す。この処理は、範囲1102により表すような、SiまたはSiO
2の除去に関するALE処理、1104により表すようなGe除去処理、および1106により表すような、RTPを含むアニーリング処理を含む。約500℃で、27J/cm
2の単位面積あたりのランプ電力を用いて遂行されるようなGe除去を示す。
【0102】
図12は、本開示に従って遂行されたフラッシュ・ランプ・サイクル中の表面温度変化速度、およびフラッシュ・ランプ・サイクル後の対応する冷却期間中の表面温度変化速度の対応するプロットの例を示す。600℃の表面温度を得るための加熱に0.3ms未満の急速熱パルス継続期間を提供してよい。曲線1202、1204、1206、1208、1210、1212、1214は、それぞれ表面(すなわち、1μm未満)、5μm、50μm、100μm、200μm、400μm、および800μmの深さに関する温度変化を例示する。4msの期間に関して曲線1202、1204、1206、1208、1210、1212、1214を示す。曲線1220は、4msの期間後に能動冷却なしに周囲温度(または室温)まで基板の表面を冷却する時間を例示するように示されている。図示するように、冷却時間は0.5sであってよい。言及した曲線が例示するように、基板の基部(またはバルク)部分の温度を高めることなく多数のサイクルを遂行してよい。より短いパルス時間および/または能動冷却は、回復時間をさらに低減することができ、さらにまた熱収支問題が発生するのを回避することができる。
【0103】
図13は、フラッシュ・ランプ・サイクルに関する、パルス継続期間に対するフラッシュランプ電力レベルおよび反復率を示す。ある種の急速熱パルス継続期間に関して、フラッシュランプ電力レベルおよび反復率を提供する。反復率は、1秒あたりのパルス数を指す(たとえば、1秒あたり2パルスは2ヘルツである)。最大フラッシュランプ電力は80J/cm
2であってよく、最大パルス継続期間は6000μsであってよい。ある例として、急速熱処理は、3ms未満の継続期間で30J/cm
2未満を含んでよい。別の例として、20J/cm
2を提供して、基板の表面温度を400℃~500℃高めてよい。
【0104】
図14は、基板の一部分から誘電体層の一部分を除去するために反復して遂行した急速熱パルスサイクルを例示する図を示す。各サイクル中に誘電体層1404の一部分が除去される、層のスタック1400を示す。層のスタック1400を2つのトレンチ(矢印1405により表す)の間に配置し、これにより、誘電体層1404の側面にエッチングでアクセスできるようになる。基板を前もってエッチングまたは切断して、トレンチを提供してよい。層のスタック1400は、マスク層1402、誘電体層1404(たとえば、Siから形成された層)、および導電性層1406(たとえば、SiGeから形成された導電性要素または配線)を含む。対応するRTP処理の各サイクル中に誘電体層1404の一部分を除去する。たとえば、第1のサイクル中に一部分1408を除去する。一部分1408は、対応する、誘電体層1404の単層であってよい。
【0105】
従来は、(i)非等方的プラズマエッチング処理、または(ii)酸化(またはウエット)動作および除去(またはウエットもしくはドライ)動作を含む等方的デジタルエッチング処理により、Si層またはGe層の一部分の除去を行った。非等方的プラズマエッチング処理は、層の損傷の原因となる可能性があり、等方的デジタルエッチング処理(またはウエット処理)は、湿った化学物質を使用することによる張力に起因して、たとえば多数の層の中心領域で層パターン崩壊をもたらす可能性がある。ウエット処理の代わりにドライ処理を遂行してよいが、しかしながら、ドライ処理には、それに対応して層を損傷するという危険性がある。これらの懸念は、ナノスケール(またはナノワイヤ)の用途で広く認められている。たとえば、所定の距離を越えて伸展するSiナノワイヤのスタックは、60nmの厚さになることがあり、20nm離して間隔を置いて配置されることがある。ウエットエッチングを遂行するとき、Siナノワイヤの両端部間の中心領域は、崩壊することがあり、その結果、Siナノワイヤ間のギャップは、Siナノワイヤが互いに接触する限度まで低減する。
【0106】
開示する例は、層の損傷および/またはパターン崩壊なしに層の一部分を除去するRTPを伴う等方的ALEを提供する。一実施形態では、たとえばRTPを使用して、Si層の一部分の酸化および除去からなる多数のサイクルを遂行して、層の最初のスタックから形成されるゲート・オール・アラウンド(gate-all-around、GAA)電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)を提供する。この処理は、ドライ処理であり、損傷のない高アスペクト比(high aspect ratio、HAR)の原子レベルエッチング速度制御を可能にする。
【0107】
本明細書で開示するシステムを多数の方法を使用して動作させてよく、方法の例を
図15に例示する。
図15は、本明細書で記述するようにRTPを実装するALE法を示す。主として
図1および
図2の実装形態に関して以下の動作について記述するが、動作を容易に修正して、本開示の他の実装形態に適用してよい。動作を反復して遂行してよい。
【0108】
方法は1500から始まる。1502で、処理チャンバ内に基板(たとえば、
図1および
図2の基板112および/または直径300mmの基板)を配列する。1504で、基板支持部温度、チャンバ圧力、RF電力およびバイアス電力のレベル、ならびにガス流量などのチャンバ動作パラメータを設定する。
【0109】
1506で、基板の表面を洗浄する。ある例として、基板は、Si層の上に配置されたGe層を含んでよい。Ge層の最上部表面は、洗浄されてよい。
【0110】
1508で、脱塩素および表面活性化のために、たとえばH2プラズマまたはNH3プラズマを用いて基板の表面を曝露するステップを含む前処理を遂行してよい。ある例として、水素H2ガスまたはアンモニアNH3ガス種を含むプラズマガス混合物を処理チャンバに供給する。一実施形態では、プラズマなしであるが、事前選択した化学物質を有するガスを使用することにより、表面改質を遂行する。
【0111】
1510で、原子レベルの吸着を遂行する。これは、低温(たとえば、20℃以下)で行われてよく、O2、Cl2、I2、NF3、または他の反応物に基板の表面を曝露するステップを含んでよい。一実施形態では、室温(または周囲温度)未満で原子レベルの吸着を遂行する。ある例として、非プラズマ流のCl2を提供してよい。1512で、対応する処理チャンバからガスをパージする。
【0112】
1514で、たとえばフラッシュランプ、レーザ、または本明細書で記述するように急速にパルス化できる他の適切なランプ(たとえば、赤外ランプ)を使用して、パルス化急速熱アニーリングを遂行する。基板の表面(または上側部分)温度を調整するステップを含む、少なくとも動作1508~1515を反復して遂行してよい。たった1秒で表面(または上側部分)の温度を多数回調整してよい。1514で、脱着/除去の目的のためにパルス化急速熱アニーリングを遂行する。これは、基板の改質された部分を加熱する1つまたは複数の熱エネルギーパルスを発生させるステップを含んでよい。温度を高めて、ある種の分子を蒸発させてよい。
【0113】
動作1514中に基板の基部および/またはバルクを所定の温度(たとえば、20℃以下)に維持する。GeCl
2は、260℃以上で昇華し始める。SiCl
2は、650℃以上で昇華し始める。適したエネルギーのレーザパルスまたはフラッシュ・ランプ・パルスを適用することにより、Siの層の上にGeの層を配置する用途ではSiをエッチングすることなく無限の選択性でGeを選択的にエッチングすることができる。RTPは、1つの処理チャンバ構成を高スループットで使用可能にする。単一処理チャンバで多数の処理動作を遂行してよい。
図16は、記述するように遂行されるALE処理中の基板表面温度に対するGeおよびSiに関するエッチング速度のプロットを示す。別の例として、パルスは、長さが0.1msであってよく、基板の表面および/または一部分を最大1000℃まで高めてよい。
【0114】
いくつかの例では、フラッシュ・ランプ・パルスの各々は、10J/cm2(すなわち、基板の単位面積あたりのエネルギー)~80J/cm2を提供する。いくつかの例では、レーザパルスの各々は、10mJ/cm2~80mJ/cm2を提供する。いくつかの例では、0.1ms~20msの範囲の所定の期間の間にアニーリングを遂行する。一実施形態では、1msのパルス継続期間でフラッシュランプを使用して、または1psのパルス継続期間でレーザを使用して、基板の表面または上側部分を初期温度から500℃よりも高く加熱し、次いで1s未満で冷却して初期温度に戻す。
【0115】
動作1508、1510、1514は、動作1508および1510中に改質された基板の上層の原子除去による制御可能な原子を可能にする。1514で遂行する急速加熱は、プラズマを使用することなく等方的反応を提供する。それに加えて、特許請求の加熱は、急速冷却を可能にし、それにより、さらにまた熱収支問題を回避する。
図17は、異なる熱源および対応する方法に関する、加熱速度に対する冷却速度の例を示す。
図17は、開示するフラッシュランプおよびレーザの加熱方法が、他の炉、IRランプ、電子(Electron、E)ビーム、およびスパイク法と比較して、より急速な加熱速度および冷却速度を提供することを示す。
【0116】
1515で、パージガス(たとえば、アルゴンArガス)を用いて処理チャンバをパージすることにより基板の表面をリフレッシュして、イオン衝撃を遂行し、基板の1つまたは複数の改質された部分を除去してよい。一実施形態では、提供される急速熱パルスの1つまたは複数の連続する対の間に処理チャンバをパージする。ある実施形態では、連続する各パルス対の間に処理チャンバからガスをパージする。これは、処理チャンバ内部で多数のプラズマおよび/またはガス相の処理の遂行を可能にする。ある実施形態では、パルス化急速熱アニーリング中に基板の基部および/またはバルクの温度維持を手助けするために、かつパルス化急速熱アニーリング遂行後に基板の急速冷却を手助けするために、パルス化急速熱アニーリング中および/またはその後に、基板支持部冷却を提供する。
【0117】
1516で、コントローラ180もしくは208および/または急速熱パルスコントローラ182もしくは210は、Nサイクルが完了したかどうかを判断する。Nサイクルを完了した場合、動作1518を遂行し、そうではない場合、動作1508を遂行する。1518で、コントローラ180または210は、任意選択で第2の(または次の)アニーリング動作を遂行してよい。1519で、コントローラ180または210は、現在のダイに関して、別の処理を遂行すべきかどうか、ならびに/または現在の処理を変更すべきか、および/もしくは何回も繰り返すかどうかを判断してよい。別の処理を遂行すべき場合、動作1504を遂行してよく、そうではない場合、
図2の実施形態のようにレーザおよびレンズ回路を利用する場合に動作1520を遂行してよい。
図1の実施形態のようにフラッシュランプを使用する場合、別の処理、または現在の処理の変更を遂行しない場合、方法は1522で終了してよい。別のダイに対して処理を遂行すべき場合、動作1524を遂行し、そうではない場合、方法は1522で終了してよい。
【0118】
1524で、コントローラ208は、鏡214、216を動かして、基板112の異なるダイの上になるようにレーザビームの像平面位置を変更する。ある例として、2cm×2cmのレーザビームを第1のダイの上から、第2のダイの上になるまで動かしてよい。記述する方法を反復して遂行して、基板上の何10から何100ものダイの上でレーザビームを走査してよい。鏡214、216の動きをレーザ204のパルス化反復率と同期させて、ダイあたり1つまたは複数のショットを提供してよい。
【0119】
上述の動作は例証する例であることを意味する。用途に応じて動作は、重なる期間の間に順次に、同期して、同時に、連続して、または異なる順序で遂行されてよい。また、動作のいずれも、実装形態および/または発生順に応じて遂行されなくても、省略されなくてもよい。
【0120】
図1および
図2のシステムを使用してALEを遂行することに関して
図15の方法について記述したが、
図1および
図2のシステムを使用して、ALDを遂行してよい。フラッシュランプおよびレーザなどの熱源を使用して、基板上に単層を成長させてよい。たとえば、堆積動作の前および/または堆積動作中にRTPを提供してよく、材料を除去するのではなく堆積させて(成長させて)よい。ALD中に、対応する処理チャンバ内に異なるガスを提供し、維持して、単層が成長できるようにしてよい。
【0121】
図18は、TiNの単層を除去するALE法の2つの例を示す構成図である。
図1および
図2のシステムを使用して
図18の方法を遂行してよい。第1の方法は、前処理動作としてH
2プラズマを提供して、TiN層または基板の、上側部分を改変し、TiN層または基板の、残りの部分1802の上に弱く結合したTiN層1800を提供するステップを含む。次いで、Cl
2プラズマを提供して、原子レベルの吸着を遂行して、弱く結合したTiN層1800をTiCl
xN
y層1804に変換する。TiCl
xN
yは揮発性錯化合物である。次いで、RTPを遂行して、TiCl
xN
y層1804を除去する。
【0122】
ある例として、サイクルは、それぞれ90sccm(standard cubic centimeter)の流量および180ミリトール(milli-Torr、mT)の圧力でH
2ガスおよびArガスを提供するステップを含む、13秒間H
2プラズマを提供するステップと、100sccmの流量および400mTの圧力でCl
2を提供するステップを含む、25秒間Cl
2プラズマを提供するステップと、原子レベルの吸着動作後かつRTP動作前に30秒間パージ動作を遂行するステップと、それぞれxmJ/cm
2で5パルスを提供するステップを含むRTP動作を遂行するステップとを含んでよい。ある実施形態では、xは21である。一実施形態では、このサイクルを所定の回数(たとえば、30回)遂行する。以下の表2は、この方法に関して、Cl
2を用いて原子レベルの吸着を遂行する前および/またはRTPを遂行する前の膜厚さの例を、ならびにCl
2を用いた原子レベルの吸着および/またはRTPを遂行した結果得られる膜厚さの例を示す。
【表2】
【0123】
図19は、異なるエネルギーレベルに関するTiN膜厚さのプロットの例を示す。エッチングは、20mJ/cm
2以上のレーザエネルギーで行われる。したがって、エッチングは、21mJ/cm
2の電力レベルで行われ、範囲1906は、範囲1900、1902、1904の下方にある。
【0124】
図18を再度参照すると、第2の方法は、前処理動作としてO
2プラズマを提供して、酸化窒素(NO
x)として窒素を除去することによりTiN層または基板の上側部分を改変し、TiN層または基板の残りの部分1812の上にTiO
x層1810を提供するステップを含む。次いで、Cl
2プラズマを提供して、原子レベルの吸着を遂行して、TiO
x層1810をチタンサブオキシクロライド(titanium sub-oxychloride、TiOCl
x)層1814に変換する。TiOCl
xは揮発性錯化合物である。次いで、RTPを遂行して、TiOCl
x層1814を除去する。ある例として、サイクルは、それぞれ90sccmの流量および180ミリトール(mT)の圧力でO
2ガスおよびArガスを提供するステップを含む、5秒間O
2プラズマを提供するステップと、100sccmの流量および400mTの圧力でCl
2を提供するステップを含む、25秒間Cl
2プラズマを提供するステップと、原子レベルの吸着動作後およびRTP動作前に30秒間パージ動作を遂行するステップと、それぞれxmJ/cm
2で5パルスを提供するステップを含む、RTP動作を遂行するステップとを含んでよい。ある例として、第2の方法については、膜厚さの例は、第2の方法を遂行する前には93nmであり、第2の方法の100サイクル遂行後には79.6nmである。対応するエッチング速度は、サイクルあたり1.32Åになることがある。
図20は、遂行される異なるALEサイクル数に対するTiN膜厚さのプロットの例を示す。例として、遂行する0、50、および100サイクルに関して、範囲2000、2002、2004を示す。
【0125】
言及した2つの方法は、等方的ALE処理である。一実施形態では、これらの方法は、サイクルあたり1.5Å~2.0Åのエッチング速度を提供する。サイクルあたり2.0Åのエッチング速度は、TiNの酸化-フッ素化エッチング処理よりも10倍速い。遂行される、言及した方法のサイクル数および/またはプラズマ電力レベルを制御することにより、エッチング深さを制御してよい。上述のような2つの方法は、ALE処理中に等方的除去を可能にする光放射/パルス化熱源を含む。2つの方法を修正して、RTP中にプラズマを適用し、かつ基板支持部内の1つまたは複数の電極を介してバイアス電圧を導入することにより、2つの非等方的ALE処理を遂行してよい。たとえば、
図1の基板支持部110の電極118を介してバイアス電圧を提供してよい。それに加えて、基板支持部内の1つまたは複数の電極に加えるバイアス電力を制御して、イオンの方向性を制御して、等方性の制御を可能にしてよい。
【0126】
図21は、遂行された異なる動作に関する、異なる材料除去量を例示するTiN膜厚さ範囲のプロットの例である。それぞれ基準、前処理および原子レベルの吸着なしのレーザRTP(または「レーザだけ」)、Cl
2あり前処理およびレーザRTPなしの原子レベルの吸着、H
2プラズマ前処理およびレーザRTP、O
2プラズマ前処理およびレーザRTP、フラッシュランプRTPありのH
2プラズマ前処理、およびフラッシュランプRTPありのO
2プラズマ前処理に関するTiN膜厚範囲2100、2102、2104、2106、2108、2110、2112を示す。ある例として、30サイクルでは、H
2プラズマ前処理およびレーザRTP、O
2プラズマ前処理およびレーザRTP、フラッシュランプRTPありのH
2プラズマ前処理、およびフラッシュランプRTPありのO
2プラズマ前処理に関するTiNのエッチング速度は、それぞれサイクルあたり3.9Å、サイクルあたり1.4Å、サイクルあたり2.0Å、およびサイクルあたり2.4Åであってよい。
【0127】
図22は、ヨウ素ガス導入、およびゲルマニウム除去なしのケイ素除去を例示するALE処理
図2500を示す。図示するALE処理は、
図6に関して上記で記述したALE処理に類似する。図
22に示すALE処理は、積み重ねてよい、または図示するように並べて配列してよい、水酸化物OHとの結合を形成したケイ素およびゲルマニウムの層で開始するステップを含む。次いで、前処理中に水素H2プラズマを導入して、図示するように酸素元素を除去する。前処理後、ハロゲン(たとえば、ヨウ素ガス)を導入する。次いで、ケイ素およびゲルマニウムの層を用いてハロゲン種(またはヨウ素)結合(たとえば、Si-IおよびGe-I分子)を形成する。代替形態として、ヨウ素の代わりに炭化水素(たとえば、CH
3)を導入してよい。
【0128】
Si-ハロゲンまたはSi-炭化水素の分子を形成後、ケイ素およびゲルマニウムの層の温度を高めて、Si-ハロゲンまたはSi-炭化水素の分子を除去する。これは、(i)対応する基板支持部を加熱して、ケイ素およびゲルマニウムの層を含む基板を加熱することにより、および/または(ii)本明細書で記述するようにレーザまたは加熱ランプを使用して基板を加熱することにより行われてよい。SiIxの昇華は、おおよそ110℃で発生する。GeIxの昇華は、おおよそ350℃で開始する。したがって、ケイ素およびゲルマニウムの層をおおよそ100℃~130℃まで加熱して、選択的にSiIx分子を除去し、GeIx分子を除去しなくてよい。加熱は、本明細書で記述するようにRTP加熱を含んでよい。Si-ハロゲンまたはSi-炭化水素の分子を除去後、水素プラズマを再度導入してよく、サイクルを繰り返してよい。
【0129】
図23は、異なる基板支持部温度に関する、エッチング速度に対するケイ素層厚さのプロットを示す。SiIx分子のエッチングに関するプロットを示す。プロットから理解することができるように、ピークエッチング速度は、基板支持部の温度、したがってSiIx分子を含む層を有する基板の温度が、おおよそ110℃であるときに発生する。除去される材料の量は、この温度で最大になる。ある例として、水素の導入に続きヨウ素ガス(またはヨウ素プラズマ)の導入を含み、その後たとえばアルゴンガスを使用するパージを遂行するALE処理サイクルに関して、
図23のプロットを提供する。図
23のプロットはまた、たとえば
図1のヒータ116を使用して基板支持部を加熱することにより基板を加熱するステップに基づく。基板を加熱するために、レーザおよび/またはフラッシュランプを使用しなかった。
【0130】
図24は、加熱前(Si前を指す)、異なるエネルギーレベルに関するフラッシュランプ加熱後(SiCl
2を指す)、および基板支持部加熱後に得たサンプルの測定に関連するエッチング深さ範囲および表面粗さのグラフを示す。図示するように、Z範囲(またはSi層の物理的に最も高い地点と最も低い地点の間の距離)および表面粗さRqは、エッチング前が最低である。しかしながら、たとえば
図1の加熱要素116を介して基板支持部を加熱し、かつヨウ素を導入するとき、Z範囲および表面粗さRqは、基板を加熱するためにフラッシュランプを使用して塩素エッチングを遂行する場合よりも著しく高い。フラッシュランプを使用する塩素エッチングの2つの試験に関して2組の棒グラフを示し、3msの間、より少ない熱エネルギーで遂行した第2の試験よりも大きな熱エネルギーで0.3msの間、第1の試験を遂行した。これら2組の棒グラフの間の差は無視できる。ある例として、水素の導入に続きヨウ素ガス(またはヨウ素プラズマ)の導入を含み、その後たとえばアルゴンガスを使用してパージを遂行するALE処理サイクルに関して、Si-I
2に関する棒グラフを提供する。
【0131】
図25は、加熱された基板支持部を伴うヨウ素プラズマ導入に起因する、ケイ素のエッチング速度およびゲルマニウムの堆積速度のプロットを示す。プロットから理解することができるように、ケイ素のエッチング速度は、基板支持部および/または基板がほぼ110℃であるときに最大になる。プロットに示さないが、ゲルマニウムのエッチング速度は、基板支持部の温度がおおよそ300℃以上に高まるときに増大する可能性がある。基板の温度に応じて、ケイ素のエッチング速度対ゲルマニウムのエッチング速度の10対1の選択性比が存在することがある。プロットでは、ゲルマニウムのエッチング速度は、基板支持部が室温にあるときに関して示され、おおよそ0である。ゲルマニウムの堆積は、おおよそ70℃以上で始まる。
【0132】
フラッシュランプまたはレーザの加熱、およびハロゲンとしてヨウ素導入を使用する上述のALE処理は、ケイ素を高スループットで除去し、ゲルマニウムを除去しない、高選択性ALEを提供する。このALE処理は、プラズマエッチングと比較して厚さ制御を改善しており、高アスペクト比(HAR)エッチングと互換性がある。一実施形態では、パルス化熱フラッシュランプまたはレーザの加熱を提供して、基板温度を100℃~290℃以上に高めて、Ge-I結合を残しながらSi-I結合を脱着する。基板の温度が300℃~440℃以上になるまで、Ge-I結合の脱着は発生しない。ヨウ素の代わりに導入してよい種の数少ない例は、CH3I、CH3I3、C2H5I、CH2I2、および他のCxHyIz分子である。
【0133】
図26は、ヨウ素プラズマを使用する、ケイ素およびゲルマニウムに関する、熱パルスエネルギーに対するエッチング速度のプロットを示す。図示するように、ケイ素に関するエッチング速度は、15ミリジュール(mJ)から始まり増大し、その結果、活性化はおおよそ18mJで発生する。図示するように、ゲルマニウムのエッチング速度は、45mJ以下のエネルギーレベルについては0である。このエッチング法は、一定数の急速熱パルス後、吸着中に改質された表面のすべてまたは大部分が脱着中に除去されているという点で自己制御的処理である。
【0134】
図27は、加熱した基板支持部実装およびレーザ実装に関する、エッチング深さおよび表面粗さのプロットを示す。たとえば
図1の加熱要素116を介した基板支持部の加熱に関する第1の表面粗さ曲線3000を示す。本明細書に記述するような、基板支持部のレーザ加熱に関する第2の表面粗さ曲線3002を示す。曲線3000、3002の両方に、したがって、基板支持部の内部加熱要素を介した加熱またはレーザを介した基板の加熱に適用されるエッチング速度曲線3004を示す。図示するように、粗さは、レーザを使用して基板を加熱するときよりも、基板支持部の内部加熱チャネルを通して循環する流体を加熱するなど、内部加熱要素もしくは他の内部加熱法を使用するほうがかなり大きい。それに加えて、レーザ加熱は、11mJのエネルギーおよび5パルスを各サイクルが含むおおよそ10サイクル後、改質された層(たとえば、Si-I
2結合)を高い割合で除去する。
【0135】
図28は、レーザを介した基板加熱に関する、パルス数に対するエッチング速度および表面粗さのプロットを示す。図示するように、エッチング速度は、パルス数が増えるにつれ、おおよそ5パルスに到達するまで低減する。図示するように、表面粗さは、パルス数が増えると共に低減し、一定数のパルス(たとえば、10パルス)後に微小変化を有する。これは、所定のパルス数が発生した後、改質された材料のうち高い割合が除去されるからである。パルス化レーザを使用して、改質された材料を除去することは、自己制御的処理であり、その結果、一定数のパルス後、改質された材料はすべて除去される。図示する例については、基板支持部の温度は室温であり、したがって、加熱されなかった。レーザ・パルス・エネルギーを11mJに設定した。
【0136】
上述の例は、ゲルマニウムではなくケイ素の選択的エッチングを含む。例は、層厚さ制御が改善された、高スループットの高選択性ALEを提供する。パルス化レーザ動作は、プラズマまたはガス相の処理を本来の場所で可能にする。短い処理時間を伴うナノスケールの選択性を用いて表面改質および等方的除去からなる多数のサイクルを遂行する。熱収支問題なしに単一処理チャンバ内で高速パルス化熱ALEを遂行する。
【0137】
前記の記述は事実上、単に例示的であり、本開示、本開示の適用分野、または本開示の用途を限定することを意図するものでは決してない。本開示の広範な教示をさまざまな形態で実装することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を研究すると他の修正形態が明らかになるので、本開示の真の範囲を特定の例に限定すべきではない。本開示の原理を変えることなく方法の中の1つまたは複数のステップを異なる順序で(または同時に)実行してよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々についてある種の特徴を有するとして上記で記述しているが、本開示の任意の実施形態に関して記述するそれらの特徴の任意の1つまたは複数は、その組合せについて明示的に記述していない場合でさえ、その他の実施形態のいずれかの特徴の中に実装することができる、および/またはその他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すれば、記述する実施形態は、相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態と別の1つの実施形態との置換は、相変わらず本開示の範囲に入る。
【0138】
要素間の(たとえば、モジュール、回路素子、半導体層などの間の)空間的関係および機能的関係について、「接続した」、「係合した」、「結合した」、「近接する」、「の隣に」、「の最上部に」、「上方に」、「下方に」、および「配置された」を含むさまざまな用語を使用して記述する。「直接」として明示的に記述しない限り、上記の開示で第1の要素と第2の要素の間の関係について記述するとき、その関係は、第1の要素と第2の要素の間に他の介在する要素がまったく存在しない直接的関係である可能性があるが、さらにまた第1の要素と第2の要素の間に1つまたは複数の介在する要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係である可能性がある。本明細書で使用するとき、A、B、およびCのうち少なくとも1つという語句は、非排他的論理ORを使用する論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0139】
いくつかの実装形態では、コントローラは、上述の例の一部であってよいシステムの一部である。そのようなシステムは、1つもしくは複数の処理ツール、1つもしくは複数のチャンバ、処理するための1つもしくは複数のプラットフォーム、および/または特有の処理構成要素(ウエハペダル、ガス流システムなど)を含む半導体処理設備を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板を処理する前、処理する間、および処理後に自身の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、1つまたは複数のシステムのさまざまな構成要素または下位区分を制御してよい「コントローラ」と呼ばれることがある。処理要件および/またはシステムのタイプに応じてコントローラをプログラムして、処理ガスの配送、温度設定(たとえば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、出力設定、無線周波数(radio frequency、RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体配送設定、位置および動作の設定、ツールおよび他の移送ツールの中へ、およびそれらから外へのウエハ移送、ならびに/または特有のシステムに接続された、もしくはそれとインタフェースをとるロードロックを含む、本明細書で開示する処理のいずれも制御してよい。
【0140】
大まかに言って、コントローラは、さまざまな集積回路、論理回路、メモリ、および/または命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、クリーニング動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどを行うソフトウェアを有する電子回路として規定されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形をとるチップ、デジタル・シグナル・プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)として規定されるチップ、および/またはプログラム命令(たとえば、ソフトウェア)を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、半導体ウエハ上での、もしくは半導体ウエハのための、またはシステムに対する特定の処理を行うための動作パラメータを規定するさまざまな個々の設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つもしくは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハのダイを製作する間、1つまたは複数の処理ステップを達成するために処理技術者が規定するレシピの一部であってよい。
【0141】
コントローラは、いくつかの実装形態では、システムと一体化された、システムに結合した、システムに他の方法でネットワーク化された、またはそれらを組み合わせたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合してよい。たとえば、コントローラは、「クラウド」の中にあってよい、または半導体工場のホスト・コンピュータ・システムのすべて、もしくは一部であってよく、これにより、ウエハ処理の遠隔アクセスを可能にすることができる。コンピュータは、製作動作の現在の進展を監視し、過去の製作動作の履歴を調べ、複数の製作動作から傾向または性能指標を調べるためにシステムへの遠隔アクセスを可能にして、現在の処理のパラメータを変更して、現在の処理に続く処理ステップを設定してよい、または新しい処理を開始してよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(たとえば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでよいネットワークを介してシステムに処理レシピを提供することができる。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよく、パラメータおよび/または設定は、次いで遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つまたは複数の動作の間に遂行すべき処理ステップごとにパラメータを指定する、データの形をとる命令を受け取る。パラメータは、遂行すべき処理のタイプ、およびコントローラがインタフェースをとる、または制御するように構成されたツールのタイプに特有であってよいことを理解されたい。したがって、上記で記述したように、コントローラは、本明細書で記述する処理および制御などの共通の目的に向かって作動する、一緒にネットワーク化された1つまたは複数の別個のコントローラを備えることによるなど、分散させられてよい。そのような目的のための分散コントローラのある例は、チャンバ上の処理を制御するために組み合わせる、(プラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部としてなど)遠隔に位置する1つまたは複数の集積回路と通信状態にある、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路である。
【0142】
限定することなく、例示のシステムは、プラズマ・エッチング・チャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピン・リンス・チャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベル縁部エッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着法(physical vapor deposition、PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連づけられてよい、またはそれで使用されてよい、任意の他の半導体処理システムを含んでよい。
【0143】
上記で指摘したように、ツールが遂行すべき1つまたは複数の処理ステップに応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインタフェース、近接するツール、隣接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツールの場所および/またはロードポートとの間でウエハの容器を運ぶ材料搬送で使用するツールのうち1つまたは複数と通信してよい。本開示は、以下の形態として実現されてもよい。
[形態1]
基板を加熱するように構成された熱源であって、
処理チャンバに第1の処理ガスを供給するように構成されたガス配送システムと、
前記ガス配送システムおよび前記熱源を制御して、等方的原子層エッチング処理を反復して遂行するように構成されたコントローラと
を備え、前記等方的原子層エッチング処理は、
前記等方的原子層エッチング処理の反復中に、前処理、原子レベルの吸着、およびパルス化熱アニーリングを遂行するステップと、
前記原子レベルの吸着中に、改質された材料を形成するように前記基板の曝露された材料の上に選択的に吸着されるハロゲン種を含む第1の処理ガスに前記基板の表面を曝露するステップと、
前記パルス化熱アニーリング中に、前記熱源を所定の期間内に複数回パルス化してオンおよびオフして、前記改質された材料を曝露し、除去するステップと
を含む熱源。
[形態2]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリングの反復中に、前記熱源の熱エネルギーパルスの連続するパルス間に、前記改質された材料が冷却することができるように構成される基板処理システム。
[形態3]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記熱源は複数のフラッシュランプを含む基板処理システム。
[形態4]
形態3に記載の基板処理システムであって、前記熱源の複数の熱エネルギーパルスごとに前記複数のフラッシュランプに放電するように構成された容量性放電回路をさらに備える基板処理システム。
[形態5]
形態3に記載の基板処理システムであって、前記熱源は、前記複数のフラッシュランプ用にそれぞれ放射線状反射部分を有する反射面を含む基板処理システム。
[形態6]
形態3に記載の基板処理システムであって、前記複数のフラッシュランプは、それぞれに対応する冷却ジャケットを含む基板処理システム。
[形態7]
形態3に記載の基板処理システムであって、前記複数のフラッシュランプから前記基板に熱エネルギーを向ける円錐形状の反射面をさらに備える基板処理システム。
[形態8]
形態3に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パルス化熱アニーリングの少なくとも1回の反復中に、4ミリ秒未満のパルス継続期間の間にオンとなるように前記複数のフラッシュランプをパルス化するように構成される基板処理システム。
[形態9]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源の電源をオフにした後、0.5秒未満で25℃未満の温度まで前記基板の前記改質された材料が冷却するように、前記パルス化熱アニーリングの反復の少なくともいくつかの間に前記熱源を介して前記基板の前記改質された材料を加熱するように構成される基板処理システム。
[形態10]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記熱源はレーザを含み、
前記レーザは、前記基板に向けられるレーザビームを発生させるように構成される基板処理システム。
[形態11]
形態10に記載の基板処理システムであって、
複数の鏡と、
複数のモータと
をさらに備え、
前記コントローラは、前記複数のモータを介して、前記基板の全体にわたって広がるように前記鏡を動かすことによりレーザビームを向けるように構成される基板処理システム。
[形態12]
形態11に記載の基板処理システムであって、
前記基板の直径は300mmであり、
前記基板は複数のダイを含み、
前記コントローラは、前記所定の期間内に、前記複数のダイの各々の全体にわたって広がり、前記複数のダイの各々を加熱するように構成される基板処理システム。
[形態13]
形態12に記載の基板処理システムであって、
前記所定の期間は1秒であり、
前記コントローラは、前記複数のダイの各々を個々に第2の所定の回数加熱するように構成される基板処理システム。
[形態14]
形態10に記載の基板処理システムであって、レーザビームを形作り、方向づけるように構成されたレンズ回路をさらに備える基板処理システム。
[形態15]
形態14に記載の基板処理システムであって、前記レンズ回路は、前記レーザビームを丸い形状のレーザビームから正方形の形状のレーザビームに変換するためのビーム整形光学部品を含む基板処理システム。
[形態16]
形態14に記載の基板処理システムであって、前記レンズ回路は、
前記レーザビームを前記丸い形状のレーザビームから平頂形状のレーザビームに変換する平頂光学部品と、
前記平頂形状のレーザビームを前記正方形の形状のレーザビームに変換する回折光学部品と
を備える基板処理システム。
[形態17]
形態10に記載の基板処理システムであって、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに備え、
前記コントローラは、前記第1のモータおよび前記第2のモータを介して前記第1の鏡および前記第2の鏡を動かして、前記基板上で前記レーザビームの位置を調節するように構成される基板処理システム。
[形態18]
形態10に記載の基板処理システムであって、前記基板の前記表面に対して垂直な方向に前記レーザビームを向けるように構成された、複数のレンズを備えるテレセントリックレンズ組立体をさらに備える基板処理システム。
[形態19]
形態18に記載の基板処理システムであって、第1の鏡、第2の鏡、第1のモータ、および第2のモータを備える鏡モジュールをさらに備え、
前記レーザビームは、前記第1の鏡に向けられ、
前記レーザビームは、前記第1の鏡から前記第2の鏡に向けられ、
前記レーザビームは、前記第2の鏡から前記テレセントリックレンズ組立体を通って前記基板に向けられ、
前記コントローラは、前記第1のモータおよび前記第2のモータを介して前記第1の鏡および前記第2の鏡を動かして、前記基板上で前記レーザビームの位置を調節するように構成される基板処理システム。
[形態20]
形態19に記載の基板処理システムであって、
前記処理チャンバは、誘導結合プラズマチャンバまたは遠隔プラズマ供給源接続チャンバであり、
前記テレセントリックレンズ組立体は、前記処理チャンバの誘電体窓の上方に配置される基板処理システム。
[形態21]
形態10に記載の基板処理システムであって、前記基板が受け取る前に前記レーザビームのサイズを調節するように構成されたビームサイズ調節モジュールをさらに備える基板処理システム。
[形態22]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記パルス化熱アニーリング中、前記処理チャンバにはプラズマがない基板処理システム。
[形態23]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記原子レベルの吸着の1つまたは複数の反復中に、前記処理チャンバの内部の温度を20℃以下に、または周囲温度に等しく設定するように構成される基板処理システム。
[形態24]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源を制御して、前記基板の基部部分またはバルク部分の少なくとも一方を加熱することなく、前記基板の前記改質された材料を加熱する複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される基板処理システム。
[形態25]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記処理チャンバに前記第1の処理ガスを供給して、前記熱源の熱エネルギーパルスの連続する各対の間に、前記基板の前記曝露された材料上で前記原子レベルの吸着を遂行するように構成される基板処理システム。
[形態26]
形態25に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記前処理中に前記基板を第2の処理ガスにさらすことにより前記基板を改質するように構成される基板処理システム。
[形態27]
形態1に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記熱源をパルス化して、1秒以内に複数の熱エネルギーパルスを発生させるように構成される基板処理システム。
[形態28]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、第2の処理ガス導入を含み、
前記第2の処理ガスは水素を含み、
前記ハロゲン種は酸素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はゲルマニウムを含む基板処理システム。
[形態29]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、第2の処理ガス導入を含み、
前記第2の処理ガスは水素を含み、
前記ハロゲン種は塩素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はゲルマニウムを含む基板処理システム。
[形態30]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、第2の処理ガス導入を含み、
前記第2の処理ガスは水素を含み、
前記ハロゲン種はヨウ素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はケイ素を含む基板処理システム。
[形態31]
形態30に記載の基板処理システムであって、前記パルス化熱アニーリングは、ゲルマニウムを除去することなくケイ素を選択的に除去するステップを含む基板処理システム。
[形態32]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、水素または酸素を含む第2の処理ガス導入を含み、
前記ハロゲン種は塩素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はチタンを含む基板処理システム。
[形態33]
形態1に記載の基板処理システムであって、
前記前処理は、第2の処理ガス導入を含み、
前記第2の処理ガスは水素またはアンモニアを含み、
前記ハロゲン種はフッ素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層除去を含み、
前記単層は二酸化ケイ素を含む基板処理システム。
[形態34]
基板処理システムを動作させる方法であって、
処理チャンバ内で基板支持部上に基板を配置するステップと、
第1の原子層堆積(ALE)処理を反復して遂行するステップであって、前記第1のALE処理は、順次の等方的処理であり、
前記処理チャンバに第1の処理ガスを供給して、前記基板の第1の曝露部分を改質するステップを含む前処理、
前記第1の曝露部分の上に選択的に吸収させて前記第1の曝露部分を改質するハロゲン種を含む第2の処理ガスに前記第1の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着、および
熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、前記改質された第1の曝露部分を曝露し、除去するステップを含むパルス化熱アニーリング
を遂行するステップを含むステップと、
所定のサイクル数の前記第1のALE処理を遂行したかどうかを判断するステップと、
前記所定のサイクル数を遂行した場合、前記第1のALE処理を遂行しなくなるステップと
を備える方法。
[形態35]
形態34に記載の方法であって、前記原子レベルの吸着を遂行した後に、かつ前記パルス化熱アニーリングを遂行する前に、前記処理チャンバをパージするステップをさらに備える方法。
[形態36]
形態34に記載の方法であって、前記パルス化急速熱アニーリングの各反復を遂行した後に、前記処理チャンバをパージするステップをさらに備える方法。
[形態37]
形態34に記載の方法であって、前記第1のALE処理を1秒以内に複数回遂行するステップをさらに備える方法。
[形態38]
形態34に記載の方法であって、
第2のALE処理を遂行すべきかどうかを判断するステップと、
前記第1のALE処理用に設定したパラメータを、前記第2のALE処理用に更新したパラメータに変更するステップと、
前記処理チャンバの内部で、
前記処理チャンバに前記第1の処理ガスまたは第3の処理ガスを供給して、前記基板の前記第1の曝露部分または第2の曝露部分を改質するステップを含む前処理を遂行するステップ、
前記第2のガス、またはハロゲン種を含む第4のガスに前記第1の曝露部分または前記第2の曝露部分をさらすステップを含む原子レベルの吸着を遂行するステップ、および
前記熱源を制御して、熱エネルギーパルスを発生させて、前記第1の曝露部分または前記第2の曝露部分を加熱するステップを含むパルス化急速熱アニーリングを遂行するステップ
を含む前記第2のALEを反復して遂行するステップと
をさらに備える方法。
[形態39]
形態34に記載の方法であって、
第2のALE処理を遂行すべきかどうかを判断するステップであって、前記第1のALE処理を前記基板の第1のダイ上で遂行するステップと、
前記基板の第2のダイ上で前記第2のALE処理を遂行するステップと
をさらに備える方法。
[形態40]
形態34に記載の方法であって、前記急速熱アニーリング用に、
複数のキャパシタを充電するステップと、
前記複数のキャパシタを放電して、複数のフラッシュランプに電力を提供するステップと
をさらに備える方法。
[形態41]
形態34に記載の方法であって、前記急速熱アニーリング用に、
レーザビームを発生させるステップと、
前記レーザビームを平頂ビームに変換するステップと、
前記平頂ビームを正方形ビームに変換するステップと、
前記正方形ビームを複数の鏡から離してテレセントリックレンズ組立体まで反射させるステップと、
前記基板に直交する方向に前記テレセントリックレンズ組立体を通って前記基板まで前記正方形ビームを通すステップと
をさらに備える方法。
[形態42]
形態41記載の方法であって、前記急速熱アニーリング用に、前記基板のダイのサイズ以上になるように前記正方形ビームのサイズを調節するステップをさらに備える方法。
[形態43]
形態34に記載の方法であって、前記急速熱アニーリング用に、
直径が300mmの、複数のダイを含む前記基板全体にわたって広がるように、
かつ所定の期間内に前記複数のダイの各々の全体にわたって広がり、前記複数のダイの各々を加熱するように、
鏡を動かすことにより前記レーザビームを向けるステップ
をさらに備える方法。
[形態44]
形態43に記載の方法であって、
前記所定の期間は1秒であり、
前記複数のダイの各々を個々に、所定の回数加熱する方法。
[形態45]
形態34に記載の方法であって、
前記第1のガスは水素を含み、
前記ハロゲン種は酸素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はゲルマニウムを含む方法。
[形態46]
形態34に記載の方法であって、
前記第1のガスは水素を含み、
前記ハロゲン種は塩素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はゲルマニウムを含む方法。
[形態47]
形態34に記載の方法であって、
前記第1のガスは水素を含み、
前記ハロゲン種はヨウ素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はケイ素を含む方法。
[形態48]
形態47に記載の方法であって、前記パルス化熱アニーリングは、ケイ素の選択的除去を含み、ゲルマニウムの除去を含まない方法。
[形態49]
形態34に記載の方法であって、
前記第1のガスは水素または酸素を含み、
前記ハロゲン種は塩素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層はチタンを含む方法。
[形態50]
形態34に記載の方法であって、
前記第1のガスは水素またはアンモニアを含み、
前記ハロゲン種はフッ素を含み、
前記パルス化熱アニーリングは、前記基板からの単層の除去を含み、
前記単層は二酸化ケイ素を含む方法。