(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】3次元測定装置及び受光装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2020083794
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】池田 佳奈美
(72)【発明者】
【氏名】山田 誠
(72)【発明者】
【氏名】亀山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】小山 長規
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-196930(JP,A)
【文献】特開2002-296018(JP,A)
【文献】特開2005-172622(JP,A)
【文献】Yohei Kameyama et al.,Single-pixel Imaging using a Multi-core Fiber,Technical Digest of OECC/PSC 2019,2019年,WP4-C2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物体の照射領域に対して前記照射領域内で所定の変調パターンで
複数回の空間変調
がされた照射光を照射
する照射装置と、
前記照射光が照射された前記被測定物体から
複数回出射されるとともに前記照射領域における前記被測定物体の情報を含む
複数回の出射光を受光
する2つ以上のコアを有する第1マルチコアフイバと、前記
2つ以上のコアの各々が受光した前記
複数回の出射光の光学情報及び前記
複数回の照射光の光学情報に基づいて前記被測定物体の3次元情報を算出
する光学情報算出部と、を有する受光装置と、
を備え、
前記第1マルチコアファイバは、前
記2つ以上のコアの各々で受光可能な前記出射光の受光角度範囲が互いに重なる重なり領域内に前記照射領域が含まれるように、前記
2つ以上のコアの各々において前記出射光の最大受光角と前記被測定物体と前記第1マルチコアファイバとの間の領域の屈折率とによって求まる開口数を有する、
3次元測定装置。
【請求項2】
前記所定の変調パターンで複数回の空間変調がされた前記照射光は複素振幅分布を有する、
請求項1に記載の3次元測定装置。
【請求項3】
前記第1マルチコアファイバの受光端面は前記照射領域と対向するように配置されている、
請求項1又は2に記載の3次元測定装置。
【請求項4】
前記照射領域の全域が前記重なり領域内に配置されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の3次元測定装置。
【請求項5】
前記出射光の進行方向において前記照射領域の少なくとも一部と重なる照射面と前記第1マルチコアファイバの受光端面との距離は、前記開口数と前記照射面に沿う方向での前記照射領域の大きさとに応じて設定されている、
請求項1
から4の何れか一項に記載の3次元測定装置。
【請求項6】
前記照射装置は、
前記第1マルチコアファイバを共有し、
光源と、
前記光源から出射された光を互いに異なる空間分布を有する複数の光に変調するとともに、変調された前記複数の光を前記第1マルチコアファイバの複数のコアに入射させる変調器と、
を備える、
請求項1
から5の何れか一項に記載の3次元測定装置。
【請求項7】
前記照射装置は、
光源と、
前記光源から出射された光を互いに異なる空間分布を有する複数の光に変調する変調器と、
前記変調器で変調された前記複数の光が入射可能、且つ出射端から離れた前記被測定物体の照射領域で前記照射光を形成するように前記複数の光を前記出射端から出射する複数のコアを有するとともに、前記第1マルチコアファイバとは異なる位置に配置されている第2マルチコアファイバと、
を備える、
請求項1
から5の何れか一項に記載の3次元測定装置。
【請求項8】
前記照射装置は、
光源と、
前記光源から出射された光を前記光の光軸に交差する断面で前記照射領域以上の大きさを有する平行光にコリメートする第1レンズと、
前記第1レンズによってコリメートされた前記光を空間変調することによって前記照射光を形成するとともに、前記照射光を前記照射領域に照射
する空間変調器と、
を備える、
請求項1
から5の何れか一項に記載の3次元測定装置。
【請求項9】
前記光学情報算出部は、
前記変調パターンから算出可能な前記照射光の光強度と前記2つ以上のコアの各々で検出された前記出射光の光強度から以下の(1)式を用いて、前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を算出し、
算出した前記照射領域における前記複数の測定位置での前記出射光の強度から、前記照射領域の少なくとも一部と重なる照射面を基準面とした前記被測定物体の厚みに関する光学情報が含まれる視差画像を再構成し、
前記2つ以上のコアのうちの2つのコアの各々の受光端面の中心と前記複数の測定位置のうち1つの測定位置とを結ぶ線同士のなす角度、前記受光端面での前記2つのコアの中心間の距離、及び、前記照射光の進行方向において前記照射光が出射された位置と前記照射面との距離に対する前記照射光が出射された位置と1つの前記測定位置との距離の相対値を算出することによって、前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を前記被測定物体の光学情報として取得し、
前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度、及び、前記光学情報としての前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度によって前記被測定物体の3次元情報を算出する、
請求項1に記載の3次元測定装置。
【数1】
なお、上述の(1)式において、
B
j
;前記2つ以上のコアのうちのj番目の前記コアで検出された前記出射光の光強度、
I
c-x
;c番目の変調回数の前記変調パターンから算出可能な前記照射光の前記照射領域におけるx番目の測定位置の光強度、
O
x
;前記照射領域におけるx番目の測定位置での強度、
C;前記空間変調を行う回数、
X;前記測定位置の総数、
である。
【請求項10】
被測定物体の照射領域に対して前記照射領域内で所定の変調パターンで
複数回の空間変調
がされた照射光が照射された被測定物体の3次元情報を取得するために用いられる受光装置であり、
前記
複数回の照射光が照射された前記被測定物体から出射されるとともに前記照射領域における前記被測定物体の情報を含む
複数回の出射光を受光可能な
2つ以上のコアを有する第1マルチコアファイバと、
前記
2つ以上のコアの各々が受光した前記
複数回の出射光の光学情報及び前記
複数回の照射光の光学情報に基づいて前記被測定物体の3次元情報を算出
する光学情報算出部と、
を備え、
前記第1マルチコアファイバは、前
記2つ以上のコアの各々で受光可能な前記
複数回の出射光の受光角度範囲が互いに重なる重なり領域内に前記照射領域が含まれるように、前記
2つ以上のコアの各々において前記受光角度範囲から決まる前記出射光の最大受光角と前記被測定物体と前記第1マルチコアファイバとの間の領域の屈折率とによって求まる開口数を有する、
受光装置。
【請求項11】
前記光学情報算出部は、
前記変調パターンから算出可能な前記照射光の光強度と前記2つ以上のコアの各々で検出された前記出射光の光強度から以下の(1)式を用いて、前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を算出し、
算出した前記照射領域における前記複数の測定位置での前記出射光の強度から、前記照射領域の少なくとも一部と重なる照射面を基準面とした前記被測定物体の厚みに関する光学情報が含まれる視差画像を再構成し、
前記2つ以上のコアのうちの2つのコアの各々の受光端面の中心と前記複数の測定位置のうち1つの測定位置とを結ぶ線同士のなす角度、前記受光端面での前記2つのコアの中心間の距離、及び、前記照射光の進行方向において前記照射光が出射された位置と前記照射面との距離に対する前記照射光が出射された位置と1つの前記測定位置との距離の相対値を算出することによって、前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を前記被測定物体の光学情報として取得し、
前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度、及び、前記光学情報としての前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度によって前記被測定物体の3次元情報を算出する、
請求項10に記載の受光装置。
【数2】
なお、上述の(1)式において、
B
j
;前記2つ以上のコアのうちのj番目の前記コアで検出された前記出射光の光強度、
I
c-x
;c番目の変調回数の前記変調パターンから算出可能な前記照射光の前記照射領域におけるx番目の測定位置の光強度、
O
x
;前記照射領域におけるx番目の測定位置での強度、
C;前記空間変調を行う回数、
X;前記測定位置の総数、
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元測定装置及び受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の変調パターンで空間変調した変調光を被測定物体に照射し、被測定物体から出射されるとともに被測定物体の情報を含む出射光を、空間分解能を持たない点型検出器等によって検出し、処理することによって、被測定物体の情報を取得できる。前述のように被測定物体の情報を取得する技術は、シングルピクセルイメージング(Single-pixel imaging:SPI)として知られており、点型検出器としては例えばフォトダイオードが用いられる。
【0003】
例えば、非特許文献1に開示されているSPIでは、プロジェクタからスペックルパターンを有する変調光を被測定物体に照射し、被測定物体からプロジェクタに向かって反射される出射光を、4つのシングルピクセルフォトディテクタで受光し、取得した情報に基づいて被測定物体の情報が再生される。4つのシングルピクセルフォトディテクタは、プロジェクタの投影用のレンズと同じ面内に配置され、光軸に沿って見たときにレンズの上方、下方、及び両側方に互いに離れて配置されている。4つのシングルピクセルフォトディテクタで出射光を並列に取得することによって、非特許文献1に開示されているSPIでは、被測定物体の3次元イメージングを実現する。
【0004】
SPIで構造化照明を形成する方法は、種々提案されている。例えば、上述の非特許文献1に開示されているSPIでは、プロジェクタは、3原色の発光ダイオード(Light-emitted source:LED)と、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital micromirror device:DMD)と、を備える。LEDから出射された光は、DMDの互いに異なる方向に姿勢を変更可能な複数のマイクロミラーによって空間変調され、構造化照明を形成する。
【0005】
上述のようにDMDや液晶空間光変調器等の変調器を用いて構造化照明を形成する方法では、被測定物体の情報を得るために、複数の変調パターンの構造化照明を形成する必要がある。被測定物体の情報の取得速度は、光源の発光パターンの切替時間及び変調器の動作時間に制約される。また、変調器及び変調器を動作させるためのドライバ等は、設置スペースを必要とする。例えば、非特許文献2には、マルチコアファイバ(Multu-core fiber:MCF)を用いて構造化照明を形成し、被測定物体の3次元情報を取得するSPIが開示されている。非特許文献2に開示されているSPIでは、MCFの各コアに入力する光学情報を切り替えることによって、MCFの出射端面から離れて配置された被測定物体に照射されるフラウンホーファー回折光の強度を変調し、複数の変調パターンの構造化照明を形成できる。MCFは受動デバイスであるため、非特許文献2に開示されているSPIでは、従来のSPIにおける変調器の動作時間に相当する時間をなくし、被測定物体の情報取得の高速化及び変調光を被測定物体に照射する照射装置の小型化が図られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】B. Sun, M. P. Edgar, R. Bowman, L. E. Vittert, S. Welsh, A. Bowman, M. J. Padgett: “3D Computational Imaging with Single-Pixel Detectors”, Science, Vol. 340, Issue 6134, pp.844-847, 2013.
【文献】Y. Kameyama, K. Ikeda, O. Koyama, M. Yamada: “Single-pixel Imaging using a Multi-core Fiber”, Technical Digest of OECC/PSC 2019, WP4-C2, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に開示されているSPIでは、各々のフォトディテクタの単一画素からなる受光部で出射光全体を受光するために、光波の伝搬方向において4つのフォトディテクタを被測定物体から離し、且つ投影用のレンズと同じ面内でフォトディテクタの受光角度を考慮した間隔で互いに離して配置する必要がある。したがって、非特許文献1に開示されているSPIでは、複数の受光部を配置する全体スペースが拡がるという課題があった。非特許文献2に開示されているSPIでは、照射装置の高速化及び小型化が図られる一方で、2次元イメージングに限られるという課題があった。そのため、所定のパターンで空間変調されるとともに被測定物体の情報を含む光波を受光して被測定物体の3次元イメージングを実現する省スペース型の受光装置及び当該受光装置を備えた3次元測定装置が求められていた。
【0008】
本発明は、被測定物体からの出射波を受光して被測定物体の3次元イメージングを実現し、且つ省スペース型の3次元測定装置及び受光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る3次元測定装置は、被測定物体の照射領域に対して前記照射領域内で所定の変調パターンで空間変調された照射光を照射する照射装置と、前記照射光が照射された前記被測定物体から出射されるとともに前記照射領域における前記被測定物体の情報を含む出射光を受光可能な複数のコアを有する第1マルチコアファイバと、前記2つ以上のコアの各々が受光した前記複数回の出射光の光学情報及び前記複数回の照射光の光学情報に基づいて前記被測定物体の3次元情報を算出する光学情報算出部と、を有する受光装置と、を備える。前記第1マルチコアファイバは、前記2つ以上のコアの各々で受光可能な前記複数回の出射光の受光角度範囲が互いに重なる重なり領域内に前記照射領域が含まれるように、前記2つ以上のコアの各々において前記出射光の最大受光角と前記被測定物体と前記第1マルチコアファイバとの間の領域の屈折率とによって求まる開口数を有する。
上述の3次元測定装置では、前記第1マルチコアファイバの受光端面は前記照射領域と対向するように配置されていてもよい。
上述の3次元測定装置では、前記照射領域の全域が前記重なり領域内に配置されていてもよい。
【0010】
上述の3次元測定装置では、前記出射光の進行方向において前記照射領域の少なくとも一部と重なる照射面と前記第1マルチコアファイバの受光端面との距離は、前記開口数と前記照射面に沿う方向での前記照射領域の大きさとに応じて設定されてもよい。
【0011】
上述の3次元測定装置では、前記照射装置は、前記第1マルチコアファイバを共有し、光源と、前記光源から出射された光を互いに異なる空間分布を有する複数の光に変調するとともに、変調された前記複数の光を前記第1マルチコアファイバの複数のコアに入射させる変調器と、を備えてもよい。
【0012】
上述の3次元測定装置では、前記照射装置は、光源と、前記光源から出射された光を互いに異なる空間分布を有する複数の光に変調する変調器と、前記変調器で変調された前記複数の光が入射可能、且つ出射端から離れた前記被測定物体の照射領域で前記照射光を形成するように前記複数の光を前記出射端から出射する複数のコアを有するとともに、前記第1マルチコアファイバとは異なる位置に配置されている第2マルチコアファイバと、を備えてもよい。
【0013】
上述の3次元測定装置では、前記照射装置は、光源と、前記光源から出射された光を前記光の光軸に交差する断面で前記照射領域以上の大きさを有する平行光にコリメートする第1レンズと、前記第1レンズによってコリメートされた前記光を空間変調することによって前記照射光を形成するとともに、前記照射光を前記照射領域に照射可能に構成されている空間変調器と、を備えてもよい。
【0014】
本発明に係る受光装置は、被測定物体の照射領域に対して前記照射領域内で所定の変調パターンで複数回の空間変調がされた照射光が照射された被測定物体の3次元情報を取得するために用いられる受光装置であり、前記複数回の照射光が照射された前記被測定物体から出射されるとともに前記照射領域における前記被測定物体の情報を含む複数回の出射光を受光可能な2つ以上のコアを有する第1マルチコアファイバと、前記2つ以上のコアの各々が受光した前記複数回の出射光の光学情報及び前記複数回の照射光の光学情報に基づいて前記被測定物体の3次元情報を算出する光学情報算出部と、を備える。前記第1マルチコアファイバは、前記2つ以上のコアの各々で受光可能な前記複数回の出射光の受光角度範囲が互いに重なる重なり領域内に前記照射領域が含まれるように、前記2つ以上のコアの各々において前記受光角度範囲から決まる前記出射光の最大受光角と前記被測定物体と前記第1マルチコアファイバとの間の領域の屈折率とによって求まる開口数を有する。
本発明に係る3次元測定装置及び受光装置では、前記光学情報算出部は、前記変調パターンから算出可能な前記照射光の光強度と前記2つ以上の各々で検出された前記出射光の光強度から後述する(7)式を用いて、前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を算出し、算出した前記照射領域における前記複数の測定位置での前記出射光の強度から、前記照射領域の少なくとも一部と重なる照射面を基準面とした前記被測定物体の厚みに関する光学情報が含まれる視差画像を再構成し、前記2つ以上のコアのうちの2つのコアの各々の受光端面の中心と前記複数の測定位置のうち1つの測定位置とを結ぶ線同士のなす角度、前記受光端面での前記2つのコアの中心間の距離、及び、前記照射光の進行方向において前記照射光が出射された位置と前記照射面との距離に対する前記照射光が出射された位置と1つの前記測定位置との距離の相対値を算出することによって、前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度を前記被測定物体の光学情報として取得し、前記2つ以上のコアの各々で受光した前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度、及び、前記光学情報としての前記照射領域における複数の測定位置での前記出射光の強度によって前記被測定物体の3次元情報を算出してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被測定物体からの出射波を受光して被測定物体の3次元イメージングを実現し、且つ省スペース型の3次元測定装置及び受光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の3次元測定装置の模式図である。
【
図2】
図1に示す3次元測定装置のMCFの入射端面を見たときの側面図である。
【
図3】
図1に示す3次元測定装置のMCFの出射端面を見たときの側面図である。
【
図4】
図1に示す3次元測定装置のMCFの各コアの位相を示す模式図である。
【
図5】
図1に示す3次元測定装置における受光の様子を説明するための模式図である。
【
図6】
図1に示す3次元測定装置における受光の様子を説明するための模式図である。
【
図7】本発明に係る第2実施形態の3次元測定装置の模式図である。
【
図8】
図7に示す3次元測定装置における受光の様子を説明するための模式図である。
【
図9】本発明に係る第3実施形態の3次元測定装置の模式図である。
【
図10】
図9に示す3次元測定装置の空間変調器の変調面を正面視したときの模式図である。
【
図11】
図9に示す3次元測定装置おける受光の様子を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る3次元測定装置及び受光装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の3次元測定装置201は、照射装置211と、受光装置221と、を備える。照射装置211は、光源10と、分波器12と、複数の変調器14-1、・・・、14-mと、光サーキュレータ16-1・・・、16-mと、MCF(第1マルチコアファイバ)21と、を備える。mは、2以上の自然数であり、後述するMCF21のコア26-1・・・、26-mの総数である。
【0019】
光源10は、所定の中心波長(又はピーク波長)を有する光波LW1を出射する。光源10の出射端には、接続用ファイバ11-1の入射端が接続されている。分波器12の入射端には、接続用ファイバ11-1の出射端が接続されている。分波器12の出射端には、m本の接続用ファイバ11-2の各々の入射端が接続されている。分波器12は、接続用ファイバ11-1から入射した光波LW1を略m分割し、m本の接続用ファイバ11-2に入射させる。分波器12には、例えば接続用ファイバ11-1、11-2を備える公知の光カプラが用いられる。m本の接続用ファイバ11-2の各々の出射端には、変調器14-1・・・、14-mの各々の入射端が接続されている。
【0020】
変調器14-1・・・、14-mの各々には、例えば位相シフタが用いられる。p番目の変調器14-pは、入射した光波LW1の位相を所定の位相量φpシフトさせる。pは、1以上m以下の自然数を表す。変調器14-1・・・、14-mの出射端の各々には、接続用ファイバ11-3の入射端が接続されている。m本の接続用ファイバ11-3の各々の出射端は、光サーキュレータ16-1・・・、16-mの各々の第1入出射端(図示略)に接続されている。光サーキュレータ16-1・・・、16-mの各々の第2入出射端(図示略)には、接続用ファイバ11-4の入射端が接続されている。変調器14-1・・・、14-mの各々で変調された変調光LW2は、光サーキュレータ16-1・・・、16-mの第1入出射端から出射され、光サーキュレータ16-1・・・、16-mの第2入出射端からm本の接続用ファイバ11-4に入射する。
【0021】
照射装置211は、MCF21を受光装置221と共有している。MDF21は、後述するように被測定物体100から出射される出射光LW4を受光する受光部材であるが、3次元測定装置201では被測定物体100に対して照射光LW3を照射する照射部材も兼ねている。
【0022】
図1から
図3に示すように、MCF21は、複数のコア26-1・・・、26-mと、クラッド28と、を有する。
図2等には、一例としてm=7の場合を示している。コア26-1は、z方向から見たときに、入射端面31及び出射端面32の中心に設けられている。6つのコア26-2、・・・、26-7は、入射端面31及び出射端面32においてコア26-1を中心とする同心円上の周方向で等間隔に設けられている。
【0023】
クラッド28は、MCF21の軸線方向に沿うz方向(即ち、光波LW1の進行方向)から見たときに、複数のコア26-1・・・、26-mの外周部に設けられている。クラッド28は、
図2に示すように複数のコア26-1・・・、26-mの外周部でつながってMCF21で一体に設けられいていてもよく、複数のコア26-1・・・、26-mの各々の外周部に個別に設けられていてもよい。MCF21の入射端面31における複数のコア26-1・・・、26-mの入射端には、m本の接続用ファイバ11-4の各々の出射端が接続されている。
【0024】
図1に示すように、MCF21の出射端面32に対して出射端面32における複数のコア26-1・・・、26-mの出射端から出射される変調波LW2の進行方向、即ちz方向において、出射端面32から所定の距離Z1離れた位置に、被測定物体100が配置されている。言い換えれば、出射端面32は、z方向において被測定物体100から距離Z1離れて配置されている。被測定物体100は、照射される光波に対して光学情報を付与可能な物体であればよく、特定の物体に限定されない。被測定物体100の形状は、特定の形状に限定されない。第1実施形態で例示する被測定物体100は、照射された光の少なくとも一部を反射可能な物体である。
【0025】
受光装置221は、MCF21と、計算機(光学情報算出部)50と、を備える。MCF21は、変調波LW2を出射して後述する照射光LW3を形成する照射部材であるが、そもそも照射光LW3が被測定物体100によって反射されることによって被測定物体100から出射される出射光LW4の受光部材である。光サーキュレータ16-1・・・、16-mの各々の第3入出射端(図示略)には、接続用ファイバ11-5の入射端が接続されている。m本の接続用ファイバ11-5の出射端は、光電変換器52に接続されている。光電変換器52は、接続ケーブル18等を介して、パーソナルコンピュータ等の計算機50に接続されている。光電変換器52は、m本の接続用ファイバ11-5の各々を介して受信した光強度等の出射光LW4の光学情報を電流値又は電圧値等に変換し、計算機50に出力する。計算機50には、不図示のケーブル或いは接続線を介して、被測定物体100の光学情報が反映されていない変調光LW3に関する光学情報が入力されている。計算機50は、複数のコア26-1・・・、26-mの各々が受光した出射光LW4の光学情報及び照射光LW3の光学情報に基づいて被測定物体100の3次元情報を算出可能に構成されている。
【0026】
接続用ファイバ11-1、11-2、11-3、11-4、11-5は、光LW1の中心波長に合わせて設計され、光LW1、変調波LW2、出射光LW4を伝搬可能に形成されている。なお、MCP21の複数のコア26-#に接続される変調器14-#、光サーキュレータ16-#の番号#は、互いに1対1で接続関係が明確であれば、必ずしも互いに一致しなくてもよい。
【0027】
3次元測定装置201において、光源10から出射された光LW1は、複数の変調器14-1・・・、14-mの各々によって位相シフトされ、変調光LW2としてMCF21のコア26-1・・・、26-mに入射する。MCF21のコア26-1・・・、26-mをz方向に伝搬した変調光LW2は、出射端から被測定物体100に向かって自由空間内に出射される。
図4に示すように、MCF21の出射端面32では、相対的な位相量φ
pの違いを持った変調光LW2がコア26-1・・・、26-mに供給されることによって変調元の変調波LW2の電場E
i(ζ,η)が発生する。iは、複数の変調器14-1・・・、14-mを用いて変調を行う回数の番号を表す。ζ,ηは、照射面105における照射光LW3の複素振幅分布F
i(x,y)に基づく変調光LW2の複素振幅分布における変数(即ち、フーリエ領域における空間周波数)を表す。照射面105は、z方向に直交するとともに互いに直交するx方向及びy方向で被測定物体100の測定対象領域である照射領域102と重なり、且つz方向に交差する平面である。照射面105と照射領域102とのz方向の距離差は、光学的に無視できる程度である。つまり、MCF21の出射端面32で複素振幅分布E
i(ζ,η)を有する変調光LW2は、出射端面32からz方向を中心にして自由空間を伝搬し、フラウンホーファー回折し、照射面105近傍で複素振幅分布F
i(x,y)を有する照射光LW3を形成する。複素振幅分布F
i(x,y)は、次に示す(1)式のように表される。
【0028】
【0029】
(1)式において、jは虚数単位を表し、λは光波LW1、LW2の中心波長を表し、kは光波LW1、LW2の波数を表す。z方向でのMCF21の出射端面32と照射面105との所定の距離Z1は、フラウンホーファー近似が成り立つ範囲内で確保されている。したがって、複素振幅分布Fi(x,y)は、複素振幅分布Ei(ζ,η)をフーリエ変換することによって、次に示す(2)式のように表される。
【0030】
【0031】
照射面105における変調光LW3の光強度Ii(x,y)は、次に示す(3)式のように表される。
【0032】
【0033】
被測定物体100の照射領域102に照射された照射光LW3は、被測定物体100によって、z方向と平行且つ逆向きの-z方向を中心にして反射される。被測定物体100から反射(出射)された出射光LW4は、照射光LW3の光学情報に照射領域102の被測定物体100の光学情報を加えた光学情報を含んでいる。MCF21の複数のコア26-1・・・、26-mは、出射光LW4を受光可能に形成されている。具体的には、
図5に示すように、MCF21のp番目のコア26-pには、最大受光角θ
max-pよりも小さい受光角度範囲θ
p(<2θ
max-p)内の受光角の出射光LW4が入射する。2θ
max-pは、p番目のコア26-pの視野角を意味する。コア26-1・・・、26-mの各々に入射した出射光LW4は、コア26-1・・・、26-mとクラッド28との境界面で全反射を繰り返しつつ、コア26-1・・・、26-mの各々の内部を-z方向に進行する。
【0034】
第1実施形態では、m個のコア26-1、・・・、26-mの屈折率ncoreは、互いに同一であると想定する。m個のコア26-1・・・、26-mは、受光部材としてのMCF21の受光端面33で互いに異なる位置に配置されている。3次元測定装置201では、受光端面33は、照射部材としてのMCF21の出射端面32と同一である。m個のコア26-1・・・、26-mのうちp番目のコア26-pの受光角度範囲θpとq番目のコア26-qの受光角度範囲θqとは、同じ大きさであるが、z方向に交差する交差方向(以下、単に交差方向という場合がある)で完全に重ならない。qは、pとは異なり、且つ1以上m以下の自然数を表す。
【0035】
被測定物体100とMCF21との間の自由空間(領域)の屈折率をnsとすると、MCF21の開口数NA(Numerical aperture)は、次に示す(4)式のように表される。
【0036】
【0037】
(4)式において、最大受光角θMAXは、m個のコア26-1、・・・、26-mの互いに等しい最大受光角θmax-1、・・・、θmax-mと等しく、これらの最大受光角をまとめて記載したパラメータである。自由空間が空気で満ちており、ns=1とすると、開口数NAは、次に示す(5)式のように表される。
【0038】
【0039】
(5)式において、Δは、MCF21の比屈折率差であり、次に示す(6)式のように表される。
【0040】
【0041】
MCF21の開口数NAは、複数のコア26-1、・・・、26-mのうちコア26-p、26-qの各々で受光可能な受光角度範囲θ
p、θ
qが互いに重なり、且つ受光角度範囲θ
p、θ
q同士の重なり領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれるように、設定されている。MCF21は、受光端面33と被測定物体100の照射領域102とが互いに向き合い、重なり領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれるという条件を満たす開口数NAを有する。
図5では、重なり領域OVL26を形成する受光角度範囲θ
p、θ
qをそれぞれ有するコア26-p、26-qがy方向で互いに隣り合っている。但し、重なり領域OVL26を形成するコア26-p、26-qは、y方向を含む交差方向で互いに隣り合っていなくてもよい。また、
図5では照射領域102が含まれる重なり領域OVL26を形成するコアの数は2つであるが、3以上であってもよく、最大mである。照射領域102が含まれる重なり領域OVL26を形成するコアの数は、例えば3以上m以下であることが好ましい。
【0042】
MCF21の開口数NAは、(4)式で表されるように、最大受光角θMAX及び屈折率nsによって求まる。最大受光角θMAXは、主に屈折率ncore、ncladによって求められる。したがって、前述の条件;「重なる領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれる」を満たすように決められる開口数NAに応じて、MCF21の屈折率ncore、nclad及びこれら以外の設計パラメータが設定されている。
【0043】
MCF21の屈折率ncore、ncladは、MCF21の複数のコア26-1、・・・、26-m及びクラッド28の材質によって、ある程度の数値範囲内、或いは特定の値で決まる場合がある。クラッド28は、例えば高純度の石英ガラスによって形成されている。複数のコア26-1、・・・、26-mは、クラッド28の石英ガラスに、ゲルマニウム(Ge)、リン(P)等の不純物がドープされ、クラッド28の石英ガラスよりも0.2~0.3%程度高い屈折率を有する石英ガラスで形成されている。屈折率ncoreは1.5に近い所定値に設定され、屈折率ncladは1.5から数%増の範囲内の所定値に設定されている。
【0044】
MCF21の屈折率ncore、ncladが特定値に制約されると、最大受光角θMAXが制約されるので、結果として開口数NAが制約される。開口数NAが所定の範囲内に制約され、被測定物体100の照射領域102の大きさが決まっている場合、z方向(出射光LW4の進行方向)において照射面105とMCF21の受光端面33との距離Z1は、前述の条件を満たすように、開口数NAとz方向から見たときの照射面105の大きさとによって設定されている。
【0045】
MCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mの各々で受光された出射光LW4の光強度(光学情報)は、光電変換器52に取り込まれる。光電変換器52は、取り込まれた光強度を、計算機50で取り扱い可能な電流値又は電圧値等に変換する。変換された電流値又は電圧値等の電気情報は、計算機50に出力される。計算機50は、入力された電気情報及び照射光LW3の光学情報から変換された電気情報に基づいて、被測定物体100の照射面105における2次元の光学情報を算出する。被測定物体100の2次元の光学情報の算出方法は、例えば反復法等が挙げられるが、特に限定されない。計算機50には、出射光LW4及び照射光LW3の各々の光学情報に基づいて被測定物体100の光学情報を算出するプログラムが内蔵されている。
【0046】
例えば、m個の変調器14-1、・・・、14-mを用いて照射光LW3の空間変調を行う回数、即ち測定回数をCとし、照射領域102における測定位置(即ち、画素)の総数をXとする。変調回数c番目の照射光LW3のx番目の測定位置の光強度Ic(x,y) をIc-xと記載する。変調回数c番目の出射光LW4を複数のコア26-1、・・・、26-mの各々で検出したときの光強度をBcとし、x番目の測定位置での被測定物体100での出射光LW4の強度をOxとすると、次に示す(7)式が成立する。
【0047】
【0048】
(7)式に、m個の変調器14-1、・・・、14-mの変調パターンから算出可能な光強度I1-1、・・・、IC-X、及びMCF21のコア26-1、・・・、26-mの各々で検出した出射光LW4の光強度Bcを代入すると、算出するべき被測定物体100での出射光LW4の強度Oxが得られる。
【0049】
前述のようにMCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mは、MCF21の開口数NAで決まる視野角を有する。複数のコア26-1、・・・、26-mのうち、少なくとも重なり領域OVL26を形成するコア26-p、26-qの各々で受光した出射光LW4の強度OXから再構成される画像は、視差画像であり、照射領域102における被測定物体100のz方向の出射光LW4の強度TXを含んでいる。
【0050】
図6に示すように、例えば複数のコア26-1、・・・、26-mのうち、2つのコア26-p、26-qの各々の交差方向(
図6ではy方向)の中心と被測定物体100の照射領域102内のv番目の測定位置H
vとを結ぶ線をS1、S2とする。測定位置H
vを中心として、線S1と線S2とがなす角度をθ
bとする。y方向での2つのコア26-p、26-qの中心間の距離をD
Cとする。z方向におけるMCF21の受光端面33と測定位置H
vとの距離をZ
Xとすると、次に示す(8)式及び(9)式が成り立つ。
【0051】
【0052】
【0053】
例えば、MCF21の設計パラメータとして距離DCは既知であると考えると、2つのコア26-p、26-qの各々で受光した出射光LW4の強度OX等の光学情報に基づいて角度θbがわかれば、(8)式及び(9)式によって距離ZXが算出される。距離Z1に対する距離ZXの相対値を算出することによって、照射面105を基準面とした被測定物体100の厚みに関する光学情報を強度TXとして取得できる。また、強度OX、TXを得ることによって、被測定物体100の3次元イメージングが実現される。
【0054】
以上説明した第1実施形態の3次元測定装置201は、照射装置211と、受光装置221と、を備える。照射装置211は、被測定物体100の照射領域102内の交差方向で所定の変調パターンで空間変調された照射光LW3を照射領域102に対して照射可能に構成されている。受光装置221は、MCF21と、計算機50と、を有する。MCF21は、複数のコア26-1、・・・、26-mを有する。複数のコア26-1、・・・、26-mは、照射光LW3が照射された被測定物体100から出射されるとともに、照射領域102における被測定物体100の情報を含む出射光LW4を受光可能に形成されている。計算機50は、複数のコア26-1、・・・、26-mの各々が受光した出射光LW4の光学情報及び照射光LW3の光学情報に基づいて被測定物体100の3次元情報を算出可能に構成されている。MCF21は、複数のコア26-1、・・・、26-mのうち2つ以上のコア(例えば、26-p、26-q)の各々で受光可能な出射光LW4の受光角度範囲θp、θqが互いに重なる重なり領域OVL26内に照射領域102が含まれるように、所定の開口数NAを有する。所定の開口数NAは、複数のコア26-1、・・・、26-mの各々において受光角度範囲から決まる出射光の最大受光角θMAXと被測定物体100とMCF21との間の領域の屈折率とによって求まる。
【0055】
上述の3次元測定装置201では、MCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mのうち少なくとも1つのコアで受光した出射光LW4の光強度Bc等の光学情報と被測定物体100に照射する前の照射光LW3のIc-x等の光学情報とに基づいて、照射領域102を含む総数Xの測定位置の被測定物体100の強度Ox等の光学情報を2次元情報として取得できる。また、上述の3次元測定装置201では、被測定物体100の照射領域102が少なくとも2つのコア26-p、26-qの受光角度範囲θp、θqの重なり領域OVL26に含まれるため、コア26-p、26-qによって照射面105を基準面として互いに視差を含む出射光LW4の光学情報を取得し、前述の視差の効果に基づいて被測定物体100のz方向(即ち、厚み方向)の距離Zx等の光学情報を取得できる。上述の3次元測定装置201によれば、交差方向における被測定物体100の強度Ox等の光学情報に加えてz方向の距離Zx等の光学情報を取得し、被測定物体100の3次元イメージングを実現できる。
【0056】
上述の3次元測定装置201では、被測定物体100から出射される出射光LW4を受光する複数のコア26-1、・・・、26-mが交差方向で例えば1mm以下の直径のMCF21に配置されている。そのため、互いに独立した複数の受光素子を空間内に分散させて配置する従来の装置に比べて、受光素子に相当する複数のコア26-1、・・・、26-m同士の交差方向での間隔を縮小し、受光部材の省スペース化を図ることができる。
【0057】
第1実施形態の3次元測定装置201では、Z方向において照射領域102と少なくとも一部で重なり且つz方向に略直交する照射面105とMCF21において照射面105に平行且つz方向に略直交する受光端面33との距離Z1は、MCF21の開口数NAと照射面105に沿う方向での照射領域102の大きさD102とに応じて設定されている。
【0058】
上述の3次元測定装置201では、例えばMCF21のコア26-1、・・・、26-m及びクラッド28の材質の屈折率が特定値に制約される場合に、特定の屈折率に基づいて予め定まる開口数NAと、照射領域102の大きさD102とに応じて、開口数NAによって決まる重なり領域OVL26に照射領域102が含まれるように、距離Z1を設定できる。3次元測定装置201によれば、交差方向における被測定物体100の強度Ox等の光学情報に加えてz方向の距離Zx等の光学情報を取得し、被測定物体100の3次元イメージングを実現できる。
【0059】
第1実施形態の3次元測定装置201において、照射装置211は、受光装置221とMCF21を共有し、光源10と、複数の変調器14-1、・・・、14-mと、を備える。複数の変調器14-1、・・・、14-mは、光源10から出射された光LW1を互いに異なる位相(空間分布)を有する複数の光に変調するとともに、変調された複数の光をMCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mに入射させる。
【0060】
上述の3次元測定装置201では、MCF21は、受光装置221の受光部材であるが、照射装置211の投光部材を兼ねている。従来では投光部材と受光部材とを別々に配置するためのスペースを確保しなければならなかったが、上述の3次元測定装置201によれば、これらのスペースを1つにまとめ、全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0061】
上述の3次元測定装置201では、MCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mの各々に、複数の変調器14-1、・・・、14-mの各々で所定の位相量に位相シフトされた変調光LW2が入射する。コア26-1、・・・、26-mごとにz方向に伝搬した変調光LW2は、MCF21の出射端面32から自由空間内に出射するとともに拡散し、フラウンホーファー回折によって合成され、照射領域102において所定の空間分布を有する変調光LW2を形成する。複数の変調器14-1、・・・、14-mの各々での位相シフト量と照射領域102での空間分布とは互いに対応するため、複数の変調器14-1、・・・、14-mの各々での位相シフト量を適宜設定及び変更すれば、所望の空間分布を有する変調光LW2を容易に形成できる。
【0062】
以上説明した第1実施形態の受光装置221は、被測定物体100の照射領域102に対して照射領域102内で所定の変調パターンで空間変調された変調光LW2が照射されたときの被測定物体100の3次元情報を取得するために用いられる装置である。受光装置221は、上述のMCF21と、計算機50と、を備える。MCF21は、複数のコア26-1、・・・、26-mのうち2つ以上のコア(例えば、26-p、26-q)の各々で受光可能な出射光LW4の受光角度範囲θp、θqが互いに重なる重なり領域OVL26内に照射領域102が含まれるように、所定の開口数NAを有する。
【0063】
上述の受光装置221によれば、少なくとも照射領域102に変調光LW2が照射された被測定物体100について、交差方向における複数の検出点(即ち、照射領域102内の測定位置)の強度Ox等の光学情報に加えてz方向の距離Zx等の光学情報を取得し、被測定物体100の3次元イメージングを実現できる。また、受光装置221において、高い開口数NAを有する複数のコア26-1、・・・、26-mが交差方向でミクロンオーダーの短い間隔をあけて配置されている。したがって、互いに独立した複数の受光素子を空間内に分散させて配置する従来の受光装置に比べて、小型な受光装置221を実現できる。
【0064】
(第2実施形態)
次いで、本発明に係る第2実施形態の3次元測定装置202について説明する。以下、3次元測定装置202の構成のうち、第1実施形態の3次元測定装置201の構成と共通するものには、当該構成と同一の符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0065】
第2実施形態では、
図7に示すように、3次元測定装置202の照射装置212は、光源10と、分波器12と、複数の変調器14-1、・・・、14-gと、受光装置221のMCF21とは別体のMCF(第2マルチコアファイバ)22と、を備える。gは、2以上の自然数であり、MCF22のコア26-1・・・、26-gの総数である。gは、mと等しくてもよく、mとは異なってもよい。
【0066】
MCF22は、複数のコア26-1・・・、26-gを有する。複数のコア26-1・・・、26-gの入射端には、g本の接続用ファイバ11-3の各々の出射端が接続されている。複数のコア26-1・・・、26-gには、g本の接続用ファイバ11-3を介して変調器14-1、・・・、14-gで変調された複数の光が入射可能である。複数のコア26-1・・・、26-gの出射端から、変調光LW2が自由空間内に出射される。
【0067】
MCF21とMCF22とは、互いに異なる位置に配置され、被測定物体100の照射領域102の中央Qを中心とする周方向で互いに間隔をあけて配置されている。MCF22の出射端面38は、z方向で被測定物体100の照射領域102と向き合っている。MCF21の受光端面33は、略中央Cを中心としてMCF22の出射端面38とは異なる角度方向から被測定物体100の照射領域102と向き合っている。MCF22は、MCF21とは別体であるが、第1実施形態で説明した照射部材としてのMCF21と同様の原理に基づいて複数のコア26-1・・・、26-gの配置及び各コアを伝搬する光の位相シフト量に応じて、出射端面38で変調光LW2を形成する。MCF22の出射端面38で複素振幅分布E
i(ζ,η)を有する変調光LW2は、出射端面38からz方向を中心にして自由空間を伝搬し、フラウンホーファー回折し、照射面105近傍で複素振幅分布F
i(x,y)を有する照射光LW3を形成する。なお、
図7及び
図8に示す照射面105について、中央Qを中心とする照射面105の角度は適宜設定される。
【0068】
図8では、受光装置221と被測定物体100との配置をわかりやすく示すために、照射装置212は省略されている。
図8に示すように、MCF21の開口数NAは、複数のコア26-1、・・・、26-mのうちコア26-p、26-qの各々で受光可能な受光角度範囲θ
p、θ
qが互いに重なり、且つ重なり領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれる、という条件を満たすように設定されている。
【0069】
第2実施形態では、照射面105は、照射領域102の中央Qを通り、w方向に直交する面とする。第1実施形態と同様にコア26-1、・・・、26-m及びクラッド28の材質特有の屈折率によってMCF21の開口数NAが所定の範囲内に制約され、被測定物体100の照射領域102の大きさが決まっている場合、w方向(出射光LW4の進行方向)において照射面105とMCF21の受光端面33との距離Z1は、前述の条件を満たすように、開口数NAとw方向から見たときの照射面105の大きさとによって設定されている。
【0070】
照射光LW3が照射された被測定物体100の照射領域102から、z方向及び-z方向に対して傾斜したw方向に向かって出射光LW4が反射される。出射光LW4は、MCF21の複数のコア26-1・・・、26-mで受光される。その後の受光装置221での動作等は、第1実施形態で説明した受光装置221での動作等と同様である。但し、第2実施形態の受光装置221は、第1実施形態の受光装置221とは異なり、照射装置212と共有する部分を有していない。MCF21の複数のコア26-1・・・、26-mの出射端の各々には、接続用ファイバ11-5の入射端が接続されている。
【0071】
以上説明した第2実施形態の3次元測定装置202は、照射装置212と、受光装置221と、を備える。第2実施形態の受光装置221は、MCF21及び計算機50を備える。3次元測定装置202及び受光装置221において、MCF21は、複数のコア26-1、・・・、26-mのうち2つ以上のコア(例えば、26-p、26-q)の各々で受光可能な出射光LW4の受光角度範囲θp、θqが互いに重なる重なり領域OVL26内に照射領域102が含まれるように、所定の開口数NAを有する。
【0072】
第2実施形態の3次元測定装置202及び受光装置221によれば、第1実施形態の3次元測定装置201と同様に、交差方向における被測定物体100の強度Ox等の光学情報に加えてz方向の距離Zx等の光学情報を取得し、被測定物体100の3次元イメージングを実現できる。また、第2実施形態の3次元測定装置202及び受光装置221によれば、互いに独立した複数の受光素子を空間内に分散させて配置する従来の装置に比べて、受光素子に相当する複数のコア26-1、・・・、26-m同士の交差方向での間隔を縮小し、受光部材の省スペース化を図ることができる。
【0073】
第2実施形態の3次元測定装置202では、照射装置212は、光源10と、複数の変調器14-1、・・・、14-gと、MCF22と、を備える。複数の変調器14-1、・・・、14-gは、光源10から出射された光LW1を互いに異なる空間分布を有する複数の変調光LW2に変調する。MCF22は、複数のコア26-1・・・、26-gを有し、MCF21とは別体で形成され、MCF21とは異なる位置に配置されている。複数のコア26-1・・・、26-gは、変調器14-1、・・・、14-gで変調された複数の変調光LW2が入射可能、且つ出射端から離れた位置にある被測定物体100の照射領域102の近傍で照射光LW3を形成するように、複数の変調光LW2を出射端から出射する。
【0074】
上述の3次元測定装置202によれば、投光部材としてのMCF22と、受光部材としてのMCF21とを別体とすることによって、MCF22は投光部材として求められる条件を満たすように設計され、MCF21は受光部材として求められる条件を満たすように設計可能である。MCF22に求められる条件は、複数の変調器14-1、・・・、14-gで変調された変調光LW2をコア26-1・・・、26-gの出射端から自由空間内に出射させるとともにフラウンホーファー回折させた際に、照射領域102近傍で照射光LW3を形成することである。MCF22のコア26-1・・・、26-gの数g、配置及び開口数NA等の設計パラメータは、MCF21とは独立に、前述の条件を満たすように適宜設定されている。一方、MCF21に求められる条件は、複数のコア26-1、・・・、26-mのうち2つ以上のコア(例えば、26-p、26-q)の各々で受光可能な出射光LW4の受光角度範囲θp、θqが互いに重なる重なり領域OVL26内に照射領域102が含まれることである。MCF21のコア26-1・・・、26-mの数m、配置及び開口数NA等の設計パラメータは、前述の条件を満たすように適宜設定されている。第1実施形態では、MCF21は、受光部材と投光部材とを兼ねているため、上述のMCF21に求められる条件とMCF22に求められる条件の両方を同時に満たす設計パラメータを有する必要がある。第2実施形態の3次元測定装置202によれば、照射装置212、受光装置221及び3次元測定装置202の設計の自由度を高めることができる。
【0075】
(第3実施形態)
次いで、本発明に係る第3実施形態の3次元測定装置203について説明する。以下、3次元測定装置203の構成のうち、第1実施形態の3次元測定装置201の構成及び第2実施形態の3次元測定装置202と共通するものには、当該構成と同一の符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0076】
図9に示すように、3次元測定装置203の照射装置213は、光源10と、第1レンズ71と、空間変調器80と、を備える。第1レンズ71は、光源10から出射された光LW1を光軸に交差する断面で照射領域102以上の大きさを有する平行光にコリメートする。第1レンズ71は、光源10の出射端から光LW1の光軸上で第1レンズ71の焦点距離f1だけ離れた位置に配置されている。第1レンズ71の開口サイズ及び開口数は、焦点距離f1及び空間変調器80の変調面81の大きさをふまえて適宜設定されている。
【0077】
図10に示すように、空間変調器80において光LW1が照射される面は、変調面81を構成している。空間変調器80は、変調面81に光LW1の光軸方向に交差する面内の画素に対応して配列された複数の変調素子82を有する。複数の変調素子82は、不図示の制御装置に接続され、制御装置から受信する電気信号に応じて第1レンズ71でコリメートされた平行光LW1-2の反射方向、位相等の空間分布を互いに独立に変更する。空間変調器80としては、例えば空間光位相変調器(Liquid Crystal On Silicon - Spatial Light Modulator:LCOS-SLM)、Digital Micromirror Device(DMD)等を適用できる。空間変調器80が例えばLCOS-SLMであれば、変調素子82として、液晶とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)との積層体が用いられる。空間変調器80が例えばDMDであれば、変調素子82として、画素と略同じ大きさの微小平板鏡と、微小平板鏡の傾斜を変更するためのCMOSと、微小平板鏡及びCMOSとを連結するヒンジ等を備えた機構が用いられる。
【0078】
図9に示すように、3次元測定装置203の受光装置222は、第2実施形態の3次元測定装置202の受光装置222と同じ構成を備え、MCF21の受光端面33よりもw方向の後方に配置された第2レンズ72をさらに備える。第2レンズ72は、MCF21の受光端面33から光LW4の光軸上(即ち、w方向)で第2レンズ72の焦点距離f2だけ離れた位置に配置されている。第2レンズ72の開口サイズ及び開口数は、焦点距離f2及び被測定物体100の照射領域102の大きさをふまえて適宜設定されている。
【0079】
3次元測定装置203では、光源10から出射されると共に第1レンズ71でコリメートされた平行光LW1-2は、空間変調器80によって変調面81で空間変調され、照射光LW3を形成する。照射光LW3は、変調された空間分布を略保った状態で被測定物体100の照射領域102に照射される。被測定物体100から反射された出射光LW4は、コリメートされている状態を略保持しつつ、w方向に進行し、第2レンズ72に入射する。
【0080】
図11に示すように、MCF21の開口数NAは、複数のコア26-1、・・・、26-mのうちコア26-p、26-qの各々で受光可能な受光角度範囲θ
p、θ
qが互いに重なり、且つ重なり領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれるという条件を満たすように設定されている。第2レンズ72は、被測定物体100からコリメートされた状態で反射された出射光LW3をw方向を中心に収束させて高い結合効率でMCF21の複数のコア26-1、・・・、26-mの少なくとも2つのコア26-p、26-qに入射させるために設けられている。第3実施形態において、重なり領域OVL26内に被測定物体100の少なくとも照射領域102が含まれるということは、第2レンズ72に入射する照射領域102からの出射光LW4が重なり領域OVL26内に含まれることを意味する。
【0081】
第3実施形態では、照射面105は、照射領域102をw方向の前方へ第2レンズ72の中心面(又は主面)に移動させた照射領域102´の少なくとも一部と重なる面とする。第1実施形態と同様にコア26-1、・・・、26-m及びクラッド28の材質特有の屈折率によってMCF21の開口数NAが所定の範囲内に制約され、被測定物体100の照射領域102及び照射領域102´の大きさが決まっている場合、w方向(出射光LW4の進行方向)において照射面105とMCF21の受光端面33との距離Z1は、前述の条件を満たすように、開口数NAとw方向から見たときの照射面105の大きさとによって設定されている。
【0082】
第2レンズ72に入射した出射光LW4は、w方向に進行しつつ、w方向に交差する方向で収束し、MCF21の複数のコア26-1・・・、26-mで受光される。その後の受光装置222での動作等は、第1実施形態で説明した受光装置221での動作等と同様である。但し、第3実施形態の受光装置222は、第2実施形態の受光装置221と同様に、照射装置213と共有する部分を有していない。MCF21の複数のコア26-1・・・、26-mの出射端の各々には、接続用ファイバ11-5の入射端が接続されている。
【0083】
以上説明した第3実施形態の3次元測定装置203は、照射装置213と、受光装置222と、を備える。第3実施形態の受光装置222は、MCF21及び計算機50を備える。3次元測定装置203及び受光装置222において、MCF21は、複数のコア26-1、・・・、26-mのうち2つ以上のコア(例えば、26-p、26-q)の各々で受光可能な出射光LW4の受光角度範囲θp、θqが互いに重なる重なり領域OVL26内に照射領域102´が含まれるように、所定の開口数NAを有する。
【0084】
第3実施形態の3次元測定装置203及び受光装置222によれば、第1実施形態の3次元測定装置201と同様に、交差方向における被測定物体100の強度Ox等の光学情報に加えてz方向の距離Zx等の光学情報を取得し、被測定物体100の3次元イメージングを実現できる。また、第3実施形態の3次元測定装置203及び受光装置222によれば、互いに独立した複数の受光素子を空間内に分散させて配置する従来の装置に比べて、受光素子に相当する複数のコア26-1、・・・、26-m同士の交差方向での間隔を縮小し、受光部材の省スペース化を図ることができる。
【0085】
第3実施形態の3次元測定装置203では、照射装置213は、光源10と、第1レンズ71と、空間変調器80と、を備える。第1レンズ71は、光源10から出射された光LW1を光LW1の光軸に交差する断面及び空間変調器80の変調面81で照射領域102以上の大きさを有する平行光LW1-2にコリメートする。空間変調器80は、第1レンズ71によってコリメートされた平行光LW1-2を空間変調することによって照射光LW3を形成するとともに、照射光LW3を被測定物体100の照射領域102に照射可能に構成されている。
【0086】
上述の3次元測定装置203では、第1実施形態の3次元測定装置201及び第2実施形態の3次元測定装置202とは異なり、MCFではなく空間変調器80を用いて、光源10から出射され且つ第1レンズ71でコリメートされた平行光LW1-2を空間変調し、直接的に照射光LW3を形成できる。
【0087】
第3実施形態の3次元測定装置203では、受光装置222は、第2レンズ72と、MCF21と、計算機50と、を備える。第2レンズ72は、概ねコリメートされた状態で被測定物体100から出射された出射光LW4をw方向を中心にw方向に交差する方向で集光させてMCF21のコア26-1、・・・、26-mに入射させることができる。受光装置222によれば、第2レンズ72を配置するスペースを必要とするものの、受光素子として、高い開口数NAを有する複数のコア26-1、・・・、26-mをMCF21においてw方向に交差する面内でミクロンオーダーの短い間隔をあけて配置し、小型化を図ることができる。
【0088】
なお、第3実施形態の3次元測定装置203において、第2レンズ72を配置しなくても被測定物体100の照射領域102から出射される出射光LW4が被測定物体100の光学情報を取得可能な程度に高い効率でMCF21のコア26-1、・・・、26-mで受光可能な場合は、第2レンズ72を省略可能である。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は特定の態様に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々変形及び変更可能である。
【0090】
例えば、第1実施形態のMCF21では、上述したようにMCF21が投光部材と受光部材とを兼ねている。所定の空間分布を有する照射光LW3をフラウンホーファー回折によって形成するために求められるコアの数及びコア同士の間隔と、重なり領域OVL26に照射領域102が含まれる条件を満たすために求められるコアの数及びコア同士の間隔とは、異なる場合がある。その場合は、MCF21のコアの数mは、前述の求められるコアの数のうち大きい方の数と同一であってもよい。MCF21のコア同士の最小間隔は、前述の求められるコア同士の間隔のうち小さい方の間隔と同一であってもよい。前述の求められるコアの数のうち小さい方については、MCF21のm個のコア26-1、・・・、26-mのうちの前述の求められるコアの数のうち小さい方の数のコアのみを用いることができる。例えば、所定の空間分布を有する照射光LW3をフラウンホーファー回折によって形成するために求められるコアの数が8であり、重なり領域OVL26に照射領域102が含まれる条件を満たすために求められるコアの数が2であれば、MCF21のコアの数mを8とし、被測定物体100から出射される出射波LW4を8個のコアのうち重なり領域OVL26に照射領域102が含まれる条件を満たす間隔を有する2つのコアで受光すればよい。
【0091】
上述の各実施形態では、例えば光源10から出射された光LW1を光軸に交差する面内で位相変調することによって照射波LW3を形成することを説明したが、照射波LW3は光LW1の位相以外に強度、偏光等を変調することによって形成されてもよい。本発明において、照射波LW3は、MCF21の複数のコアで出射波LW4を受光することによって被測定物体100の3次元イメージングが可能となるように空間変調されればよい。
【0092】
本発明に係る受光装置は、既設され且つ被測定物体に照射波を照射する別の装置と併用されてもよい。
【0093】
本発明に係る3次元測定装置及び受光装置は、上述の各実施形態で説明したように被測定物体から反射される出射波に限らず、被測定物体から透過した出射波を受光してもよい。また、本発明に係る3次元測定装置及び受光装置では、計算機で被測定物体の光学情報を抽出可能であれば、出射波に対して所定の光学処理が施されても構わない。
【符号の説明】
【0094】
201、202、203 3次元測定装置
211、212、213 照射装置
221、222 受光装置