(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】貴金属の溶解剥離方法および溶解剥離装置
(51)【国際特許分類】
C23G 1/08 20060101AFI20240425BHJP
C22B 3/06 20060101ALI20240425BHJP
C22B 3/08 20060101ALI20240425BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20240425BHJP
C22B 11/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C23G1/08
C22B3/06
C22B3/08
C22B7/00 G
C22B11/00 101
(21)【出願番号】P 2021193667
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2023-10-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509352945
【氏名又は名称】田中貴金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】城戸 里緒菜
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆典
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0362804(US,A1)
【文献】特開2011-021259(JP,A)
【文献】特開2004-218012(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147709(WO,A1)
【文献】特開2015-098619(JP,A)
【文献】特開平08-034619(JP,A)
【文献】特表2018-524480(JP,A)
【文献】特開2019-127627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00~61/00
C23G 1/00~5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物と、処理液とを接触させ、前記貴金属を溶解剥離する工程を含み、
前記処理液が、濃度2.5mol/L以上5.0mol/L以下の硝酸と、塩化水素および塩化物イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の塩酸源と、硫酸および硫酸イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の硫酸源とを含む酸性水溶液であ
り、
前記酸性水溶液に含まれる前記硫酸源の濃度が硫酸イオン濃度換算で1.4mol/L以上2.5mol/L以下である、貴金属の溶解剥離方法。
【請求項2】
前記酸性水溶液に含まれる前記硝酸の濃度に対する前記硫酸源の濃度の硫酸イオン濃度換算値の比(硫酸源濃度の硫酸イオン濃度換算値/硝酸濃度)が0.27以上0.9以下である、請求項1に記載の貴金属の溶解剥離方法。
【請求項3】
前記硫酸源が硫酸である、請求項1または2に記載の貴金属の溶解剥離方法。
【請求項4】
前記酸性水溶液に含まれる前記塩酸源の濃度が塩化物イオン濃度換算で0.60mol/L以下である、請求項1~3の何れかに記載の貴金属の溶解剥離方法。
【請求項5】
前記塩酸源が、塩化水素、アルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物である、請求項1~4の何れかに記載の貴金属の溶解剥離方法。
【請求項6】
前記本体部が、オーステナイト系ステンレス鋼製、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼製またはフェライト系ステンレス鋼製である、請求項1~5の何れかに記載の貴金属の溶解剥離方法。
【請求項7】
前記硝酸と、前記硫酸源とを混合して混合液を調製した後、前記混合液に前記塩酸源を添加して前記処理液を調製する工程を更に含む、請求項1~6の何れかに記載の貴金属の溶解剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属の溶解剥離方法および貴金属の溶解剥離装置に関し、特にはステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から貴金属を溶解させて剥離する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステンレス鋼製の金属担体に貴金属を担持してなる触媒や、スパッタリングにより貴金属を含む薄膜を形成する際に用いられたステンレス鋼製の治具などについて、表面に付着している貴金属を溶解させて剥離し、貴金属を回収すると共に、貴金属が溶解剥離された金属担体や治具を再利用する技術が提案されている。
【0003】
具体的には、例えば特許文献1では、高濃度(例えば、濃度5.56mol/L以上)の硝酸と、塩素の陰イオンを含む無機塩と、溶媒としての水とを含み、任意に銅イオンまたは鉄イオンを更に含有する白金分離用溶液に白金付きステンレス鋼部材を浸漬することにより、ステンレス鋼部材の腐食を抑制しつつ白金を分離回収している。このように、母材であるステンレス鋼材部分の腐食を抑制しつつ白金を溶解させれば、得られる白金溶解液中に母材の溶解に起因する不純物が混入するのを抑制することができる。また、母材を再利用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、貴金属の溶解剥離に硝酸を含む溶液を用いた場合には、窒素含有排水が生じる。そして、発生した窒素含有排水については、各種法令を遵守すると共に環境への負荷を低減する観点から、窒素除去処理を行う必要がある。
【0006】
そのため、上記従来の技術には、ステンレス鋼の腐食抑制および貴金属の溶解剥離という目的を達成しつつ、貴金属の溶解剥離に用いる溶液中の硝酸濃度を低減し、排水処理プロセスの窒素負荷を低減するという点において改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、硝酸を含有する処理液を使用し、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から貴金属を溶解剥離する技術において、硝酸の使用量を低減しつつ本体部の腐食の抑制および貴金属の良好な溶解剥離を可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、貴金属の溶解剥離用の処理液中の硝酸濃度を単に低下させた場合にはステンレス鋼製の本体部の腐食が起こり得ること、および、処理液に硫酸源を添加すれば硝酸濃度を低下させた場合であってもステンレス鋼製の本体部の腐食を抑制しつつ貴金属を溶解剥離させ得ることを新たに見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物と、処理液とを接触させ、前記貴金属を溶解剥離する工程を含み、前記処理液が、濃度2.5mol/L以上5.0mol/L以下の硝酸と、塩化水素および塩化物イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の塩酸源と、硫酸および硫酸イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の硫酸源とを含む酸性水溶液であることを特徴とする。このように、処理液中の硝酸の濃度を5.0mol/L以下とすれば、硝酸の使用量を低減することができる。また、濃度2.5mol/L以上の硝酸と、塩酸源とを含有させれば、貴金属を良好に溶解剥離することができる。更に、濃度2.5mol/L以上の硝酸と、硫酸源とを含有させれば、本体部の腐食を抑制することができる。
なお、本発明において、処理液中の各化合物の濃度は、通常、イオンクロマトグラフ法により測定する。なお、処理液中の各化合物の濃度は、吸光光度法またはICP発光分光分析法により測定することもできる。
【0010】
ここで、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記酸性水溶液に含まれる前記硫酸源の濃度が硫酸イオン濃度換算で0.50mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。処理液として用いられる酸性水溶液中の硫酸源の濃度が硫酸イオン濃度換算で上記下限値以上であれば、貴金属を良好に溶解剥離させつつ、本体部の腐食を更に良好に抑制することができる。また、処理液として用いられる酸性水溶液中の硫酸源の濃度が硫酸イオン濃度換算で上記上限値以下であれば、使用後の処理液中の硫酸イオン濃度が高くなるのを抑制して、処理液の再利用を容易なものとすることができる。
なお、本発明において、「硫酸源の濃度の硫酸イオン濃度換算値」とは、硫酸源が全て電離した場合に生じる硫酸イオンの濃度を指す。具体的には、例えば、濃度1.0mol/Lの硫酸の硫酸イオン濃度換算値は1.0mol/Lであり、濃度1.0mol/Lの硫酸ナトリウムの硫酸イオン濃度換算値は1.0mol/Lであり、濃度1.0mol/Lの硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)の硫酸イオン濃度換算値は3.0mol/Lである。
【0011】
また、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記硫酸源が硫酸であることが好ましい。硫酸源として硫酸を使用すれば、貴金属を良好に溶解剥離させつつ、本体部の腐食を更に良好に抑制することができる。
【0012】
更に、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記酸性水溶液に含まれる前記塩酸源の濃度が塩化物イオン濃度換算で0.60mol/L以下であることが好ましい。処理液として用いられる酸性水溶液中の塩酸源の濃度が塩化物イオン濃度換算で上記上限値以下であれば、貴金属を良好に溶解剥離させつつ、本体部の腐食を更に良好に抑制することができる。
なお、本発明において、「塩酸源の濃度の塩化物イオン濃度換算値」とは、塩酸源が全て電離した場合に生じる塩化物イオンの濃度を指す。具体的には、例えば、濃度1.0mol/Lの塩化ナトリウムの塩化物イオン濃度換算値は1.0mol/Lであり、濃度1.0mol/Lの塩化マグネシウム(MgCl2)の塩化物イオン濃度換算値は2.0mol/Lである。
【0013】
また、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記塩酸源が、塩化水素、アルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物であることが好ましい。上述した化合物は、入手が容易であるからである。また、上述した化合物を用いれば、使用後の処理液を容易に再利用し得るからである。
【0014】
また、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記本体部が、オーステナイト系ステンレス鋼製、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼製またはフェライト系ステンレス鋼製であることが好ましい。上述したステンレス鋼よりなる本体部は、上記酸性水溶液からなる処理液を用いた際に腐食が更に起こり難いからである。
【0015】
そして、本発明の貴金属の溶解剥離方法は、前記硝酸と、前記硫酸源とを混合して混合液を調製した後、前記混合液に前記塩酸源を添加して前記処理液を調製する工程を更に含むことが好ましい。硝酸と硫酸源とを混合して混合液を調製した後で混合液に塩酸源を添加すれば、処理液を容易に調製することができる。
【0016】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の貴金属の溶解剥離装置は、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から前記貴金属を溶解剥離する貴金属の溶解剥離装置であって、硝酸と、塩化水素および塩化物イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の塩酸源と、硫酸および硫酸イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の硫酸源とを含む酸性水溶液からなる処理液に前記被処理物を接触させる接触槽と、前記処理液を調製する処理液調製機構とを備え、前記処理液調製機構が、硝酸供給部と、塩酸源供給部と、硫酸源供給部とを有することを特徴とする。このように、硝酸供給部と、塩酸源供給部と、硫酸源供給部とを有する処理液調製機構を設ければ、硝酸、塩酸源および硫酸源を所望の濃度で含有する処理液を調製して被処理物と接触させることができるので、硝酸の使用量の低減および本体部の腐食の抑制を達成しつつ、被処理物から貴金属を良好に溶解剥離することができる。
【0017】
そして、本発明の貴金属の溶解剥離装置は、前記処理液調製機構が、前記硝酸供給部から供給された硝酸と、前記硫酸源供給部から供給された硫酸源とを混合して混合液を調製する予混合部と、前記混合液と、塩酸源供給部から供給された塩酸源とを混合して前記処理液を調製する処理液調製部とを有することが好ましい。予混合部および処理液調製部を設ければ、硝酸と硫酸源とを混合して混合液を調製した後で混合液に塩酸源を添加することにより、処理液を容易に調製することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、硝酸を含有する処理液を使用し、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から貴金属を溶解剥離する技術において、硝酸の使用量の低減、本体部の腐食の抑制および貴金属の良好な溶解剥離を並立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の貴金属の溶解剥離装置の一例の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
ここで、本発明の貴金属の溶解剥離方法および溶解剥離装置は、特に限定されることなく、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から貴金属を溶解させて剥離することにより、貴金属の回収および本体部の再利用の少なくとも一方、好ましくは両方を実現する際に用いることができる。そして、本発明の貴金属の溶解剥離装置は、特に限定されることなく、本発明の溶解剥離方法を用いて被処理物から貴金属を溶解させて剥離する際に用いることができる。
【0021】
なお、被処理物から溶解剥離した貴金属を回収する方法としては、特に限定されることなく、貴金属の種類に応じた既知の手法を用いることができる。また、貴金属を回収した後に生じる排水は、特に限定されることなく、既知の手法を用いて処理・再利用することができる。
【0022】
(貴金属の溶解剥離方法)
本発明の貴金属の溶解剥離方法は、処理液を用いて被処理物から貴金属を溶解剥離する工程(溶解剥離工程)を含み、任意に、溶解剥離工程で用いる処理液を調製する工程(処理液調製工程)を更に含む。
【0023】
<被処理物>
被処理物は、ステンレス鋼製の本体部と、本体部上に付着した貴金属とを有する。具体的には、被処理物としては、特に限定されることなく、例えば、ステンレス鋼製の金属担体に貴金属を担持してなる触媒、スパッタリングにより貴金属を含む薄膜を形成する際に用いられたステンレス鋼製の治具などが挙げられる。なお、本体部上には、貴金属に加え、貴金属以外の金属が付着していてもよい。また、貴金属は、本体部の表面に直接付着していてもよいし、アルミニウム溶射膜等の任意の層を介して付着していてもよい。
【0024】
ここで、貴金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられ、中でも金、銀、白金およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
なお、本体部上に付着している貴金属の量および厚みは、特に限定されない。
【0025】
本体部は、ステンレス鋼製であれば特に限定されないが、後述する処理液を用いて処理した際により腐食し難いという観点から、オーステナイト系ステンレス鋼製、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼製またはフェライト系ステンレス鋼製であることが好ましく、オーステナイト系ステンレス鋼製またはフェライト系ステンレス鋼製であることがより好ましく、オーステナイト系ステンレス鋼製であることが更に好ましい。
なお、本体部の形状は、特に限定されず、任意の形状であり得る。また、本体部の寸法も、特に限定されず、任意の寸法であり得る。
【0026】
<処理液>
処理液としては、所定濃度の硝酸と、塩酸源と、硫酸源とを含み、任意にその他の成分を更に含有し得る酸性水溶液を用いる。このような酸性水溶液を用いれば、本体部の腐食を抑制しつつ、貴金属を本体部から溶解剥離させることができる。
【0027】
ここで、塩酸源とは、酸性水溶液中において塩酸を形成し得る化合物であり、硫酸源とは、酸性水溶液中において硫酸を形成し得る化合物である。また、酸性水溶液は、その他の成分を含まない(即ち、硝酸、塩酸源、硫酸源および水のみを含む)ことが好ましい。
【0028】
そして、上述した酸性水溶液を用いることで本体部の腐食を抑制しつつ貴金属を溶解剥離させることができる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察されている。
即ち、酸性水溶液は、硝酸および塩酸源を含有しているので、硝酸と塩酸との反応によって塩化ニトロシル(NOCl)および塩素(Cl2)が生成し、強い酸化力を発揮することができるので、貴金属を溶解剥離することができる。また、酸性水溶液は、硝酸および硫酸源を有しているので、下記反応式:
HNO3+2H2SO4 → NO2
++2HSO4
-+H3O+
で示す反応によりニトロニウムイオン(NO2
+)が生成し、ステンレス鋼製の本体部の表面を酸化して緻密な不働態被膜を形成させることができるので、本体部の腐食を抑制することができる。
【0029】
[硝酸]
処理液として用いられる酸性水溶液中の硝酸の濃度は、2.5mol/L以上5.0mol/L以下であることが必要であり、2.8mol/L以上であることが好ましく、3.0mol/L以上であることがより好ましく、4.3mol/L以下であることが好ましく、4.0mol/L以下であることがより好ましく、3.8mol/L以下であることが更に好ましい。硝酸の濃度が上記上限値以下であれば、硝酸の使用量を低減することができる。また、硝酸の濃度が上記下限値以上であれば、本体部の腐食を抑制しつつ貴金属を良好に溶解剥離することができる。
【0030】
[塩酸源]
塩酸源は、塩化水素および塩化物イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0031】
ここで、塩化物イオンを含む塩としては、特に限定されることなく、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物;並びに、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび塩化バリウム等のアルカリ土類金属の塩化物;などが挙げられる。
【0032】
上述した中でも、入手容易性の観点からは、塩化水素、アルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物を塩酸源として用いることが好ましく、それらの中でもハンドリング性に優れるという観点からは、アルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物を塩酸源として用いることがより好ましく、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムを塩酸源として用いることが更に好ましい。
【0033】
そして、処理液として用いられる酸性水溶液に含まれる塩酸源の濃度(塩化物イオン濃度換算値)は、貴金属を良好に溶解剥離させつつ本体部の腐食を更に良好に抑制する観点からは、0.60mol/L以下であることが好ましく、0.52mol/L以下であることがより好ましく、0.35mol/L以下であることが更に好ましく、0.18mol/L以下であることが特に好ましい。また、塩酸源の濃度(塩化物イオン濃度換算値)の下限は、0mol/L超であれば特に限定されないが、貴金属を更に良好に溶解剥離させる観点からは、0.08mol/L以上であることが好ましい。
【0034】
[硫酸源]
硫酸源は、硫酸および硫酸イオンを含む塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0035】
ここで、硫酸イオンを含む塩としては、特に限定されることなく、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウム等のアルカリ金属の硫酸塩;並びに、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムおよび硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩;などが挙げられる。
【0036】
上述した中でも、貴金属を良好に溶解剥離させつつ、本体部の腐食を更に良好に抑制するという観点からは、硫酸を硫酸源として用いることが好ましい。
【0037】
そして、処理液として用いられる酸性水溶液に含まれる硫酸源の濃度は、硫酸イオン濃度換算で、0.50mol/L以上であることが好ましく、1.0mol/L以上であることがより好ましく、1.3mol/L以上であることが更に好ましく、1.4mol/L以上であることが一層好ましく、1.5mol/L以上であることが特に好ましく、2.5mol/L以下であることが好ましく、2.2mol/L以下であることがより好ましく、2.0mol/L以下であることが更に好ましく、1.9mol/L以下であることが特に好ましい。硫酸源の濃度の硫酸イオン濃度換算値が上記下限値以上であれば、貴金属を良好に溶解剥離させつつ、本体部の腐食を更に良好に抑制することができる。また、硫酸源の濃度の硫酸イオン濃度換算値が上記上限値以下であれば、使用後の処理液中の硫酸イオン濃度が高くなるのを抑制して、処理液の再利用を容易なものとすることができる。
【0038】
更に、処理液として用いられる酸性水溶液に含まれる硝酸の濃度に対する硫酸源の濃度の硫酸イオン濃度換算値の比(硫酸源濃度の硫酸イオン濃度換算値/硝酸濃度)は、貴金属を良好に溶解剥離させつつ本体部の腐食を更に良好に抑制する観点から、0.27以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.32以上であることが更に好ましく、0.42以上であることが特に好ましく、0.9以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましく、0.75以下であることが更に好ましい。
【0039】
また、処理液として用いられる酸性水溶液に含まれる硝酸の濃度に対する塩酸源の濃度(塩化物イオン濃度換算値)の比(塩酸源の濃度の塩化物イオン濃度換算値/硝酸濃度)は、本体部の腐食を抑制しつつ貴金属を更に良好に溶解剥離させる観点から、0.020以上であることが好ましく、また、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましく、0.080以下であることが更に好ましく、0.060以下であることが特に好ましい。
【0040】
そして、処理液として用いられる酸性水溶液に含まれる酸(硝酸、硫酸、塩酸)の合計酸濃度は、貴金属を更に良好に溶解剥離させる観点から、3.4mol/L以上であることが好ましく、5.4mol/L以上であることがより好ましく、6.0mol/L以上であることが更に好ましい。
【0041】
なお、「酸濃度」とは、酸の濃度に酸の価数を乗じた値であり、合計酸濃度は、下記の式より求められる。
合計酸濃度=硝酸濃度×1+硫酸濃度×2+塩酸濃度×1
【0042】
なお、上述した処理液は、ガラス、チタン、強化ニッケル合金(例えば、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)等)などのステンレス鋼以外の材料からなる本体部上に付着した貴金属を溶解剥離する際にも用いることができる。
【0043】
<処理液調製工程>
任意に実施し得る処理液調製工程では、処理液に含まれる上述した成分と、水とを混合することにより、処理液として用いられる酸性水溶液を調製する。なお、安全性および処理効率を向上させる観点からは、酸性水溶液の調製は、自動制御により行うことが好ましい。
【0044】
ここで、混合操作は、特に限定されることなく、撹拌翼や曝気混合装置などを用いて行うことができる。また、各成分を混合する手順は、特に限定されず、全成分を一括で混合してもよいし、段階的に混合してもよい。
【0045】
中でも、処理液を容易に調製する観点からは、硝酸と、硫酸源と、必要に応じて用いられる水とを混合して混合液を調製した後、得られた混合液に塩酸源を添加して酸性水溶液を得ることが好ましい。ここで、混合液の調製は、撹拌翼を用いて行うことが好ましく、混合液と塩酸源との混合は曝気混合装置を用いて行うことが好ましい。
なお、硫酸源および/または塩酸源は、水溶液の状態で混合してもよい。
【0046】
<溶解剥離工程>
溶解剥離工程では、被処理物と、処理液とを接触させて被処理物から貴金属を溶解剥離する。なお、被処理物に貴金属以外の金属(例えば、ニッケル等)が付着している場合、溶解剥離工程では、貴金属以外の金属も溶解剥離され得る。また、貴金属は、処理液に完全に溶解させる必要はなく、被処理物から剥離できればよい。
【0047】
ここで、被処理物と処理液との接触は、処理液中への被処理物の浸漬、被処理物への処理液の塗布、被処理物への処理液の噴霧などの任意の手法を用いて行うことができる。また、処理液と接触させる被処理物の範囲は、一部であっても、全部であってもよい。中でも、本体部の腐食を抑制しつつ貴金属を良好に溶解剥離する観点からは、処理液中に被処理物全体を浸漬させることにより行うことが好ましい。
【0048】
また、被処理物と処理液とを接触させる際の温度は、特に限定されるものではないが、貴金属の溶解剥離を促進する観点から、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、コストおよび安全性の観点からは、被処理物と処理液とを接触させる際の温度は、70℃以下であることが好ましい。
【0049】
更に、被処理物と処理液とを接触させる時間は、特に限定されるものではなく、例えば30分間程度の短時間であってもよいし、1週間や1カ月などの長時間であってもよい。但し、貴金属を良好かつ効率的に溶解剥離させる観点から、被処理物と処理液とを接触させる時間は、12時間以上であることが好ましく、20時間以上であることがより好ましく、48時間以下であることが好ましく、36時間以下であることがより好ましい。
【0050】
なお、溶解剥離工程において被処理物から貴金属を溶解剥離する際に許容可能な本体部の腐食量は、被処理物から貴金属を溶解させて剥離する目的に応じて適宜設定され得る。具体的には、例えば、貴金属の回収を目的とするのであれば、本体部の腐食に起因して混入する不純物が貴金属を回収する際に問題とならない程度とすることができる。また、本体部の再利用を目的とするのであれば、本体部の用途に応じ、本体部が再使用に耐え得る程度とすることができる。
【0051】
(貴金属の溶解剥離装置)
本発明の貴金属の溶解剥離装置は、処理液を調製する処理液調製機構と、処理液調製機構を用いて調製した処理液に被処理物を接触させる接触槽とを備える。
なお、本発明の貴金属の溶解剥離装置において用いられる処理液および被処理物は、本発明の貴金属の溶解剥離方法に関して上述したものと同様であるので、以下では説明を省略する。
【0052】
<処理液調製機構>
処理液調製機構は、硝酸を供給する硝酸供給部と、塩酸源を供給する塩酸源供給部と、硫酸源を供給する硫酸源供給部とを備え、任意に、水を供給する水供給部や、各成分を混合するための混合設備を更に備える。
【0053】
ここで、硝酸供給部、塩酸源供給部、硫酸源供給部および水供給部としては、特に限定されることなく、ポンプやホッパー等の供給する成分の性状に応じた設備を用いることができる。
【0054】
また、混合設備としては、撹拌翼や曝気混合装置などの混合手段を備える水槽を用いることができる。なお、混合設備として処理液の調製に用いた水槽は、そのまま接触槽として利用してもよい。
【0055】
具体的には、全成分を一括で混合して処理液を調製する場合には、混合設備としては、例えば、水槽としての接触槽と、接触槽に設けられた曝気混合装置などの混合手段とを用いることができる。
また、各成分を段階的に混合して処理液を調製する場合には、混合設備としては、例えば、硝酸供給部から供給された硝酸と、硫酸源供給部から供給された硫酸源とを混合して混合液を調製する予混合部としての建浴槽と、建浴槽に設けられた撹拌翼などの混合手段と、塩酸源供給部から供給された塩酸源を混合液と混合して処理液を調製する処理液調製部としての接触槽と、接触槽に設けられた曝気混合装置などの混合手段とを用いることができる。そして、建浴槽としては、特に限定されることなく、例えばステンレス鋼製の水槽を用いることができる。ステンレス鋼製の水槽を用いれば、混合液を貯留した場合であっても不働態被膜の形成により水槽が腐食するのを抑制することができる。
【0056】
なお、混合設備は、例えば水槽内の液位を測定するレベル計およびレベル計の測定結果を用いて水槽への各成分の投入量を制御する制御装置などの、自動制御により処理液を調製するための機構を備えていてもよい。自動制御により処理液を調製するための機構を設ければ、安全性および処理効率を向上させることができる。また、混合設備は、混合時に発生したガスを排気するための排気口を備えていてもよい。
【0057】
<接触槽>
接触槽としては、被処理物を収容可能な大きさであり、且つ、処理液に対して化学的に安定な水槽を用いることができる。具体的には、接触槽としては、チタン製の水槽などを用いることができる。
【0058】
ここで、接触槽は、処理液を加熱するためのヒーターや、曝気混合装置等の混合手段を備えていてもよい。また、接触槽は、被処理物を処理した際に発生するガスを排気するための排気口を備えていてもよい。
【0059】
<溶解剥離装置の一実施形態>
そして、上述した本発明の溶解剥離装置の一例としては、特に限定されることなく、例えば
図1に示す溶解剥離装置100を挙げることができる。
【0060】
ここで、溶解剥離装置100は、硝酸供給部12から供給された硝酸および硫酸源供給部13から供給された硫酸源を混合して混合液を調製する予混合部としての建浴槽10と、被処理物40を処理液と接触させる接触槽20と、ポンプ31を用いて建浴槽10から接触槽20へと混合液を移送する移送ライン30とを備えている。
【0061】
建浴槽10は、ステンレス鋼製の水槽であり、混合手段としての撹拌翼11と、槽内で発生したガスを排気するための排気口14とを備えている。また、建浴槽10は、水供給部(図示せず)、レベル計(図示せず)およびレベル計の測定結果を用いて建浴槽10への各成分の投入量を制御する制御装置(図示せず)を更に備え得る。
なお、建浴槽10は、密閉系であってもよいし、開放系であってもよい。また、建浴槽10には槽内の液体を加熱するためのヒーターが設けられていてもよい。
【0062】
接触槽20は、チタン製の水槽であり、建浴槽10から移送されてきた混合液と、塩酸源供給部22から供給された塩酸源とを混合して処理液を調製する水槽としても機能し得る。また、接触槽20は、混合手段としての曝気混合装置21と、槽内で発生したガスを排気するための排気口23と、処理液を加熱するためのヒーター(図示せず)とを備えている。
なお、接触槽20は、密閉系であってもよいし、開放系であってもよい。また、混合手段は、曝気混合装置に限られず、ポンプ等であってもよい。
【0063】
そして、溶解剥離装置100では、例えば以下のようにして被処理物40を処理液で処理し、貴金属を溶解剥離させることができる。
まず、レベル計および制御装置を用いて硝酸、硫酸源および水を所望の濃度となるように建浴槽10に投入し、撹拌翼11で混合することにより混合液を自動制御で調製する。次に、接触槽20内に被処理物40を収容した状態で混合液を建浴槽10から接触槽20へと移送し、混合液中に被処理物40全体を浸漬させる。その後、ヒーターを用いた加熱および曝気混合装置21を用いた混合を行った状態で塩酸源供給部22から塩酸源を接触槽20内に供給し、接触槽20内で処理液を調製して被処理物40の処理を開始する。
【0064】
なお、上述した例では建浴槽において硝酸と、硫酸源と、水とを混合し、処理槽において混合液と、塩酸源とを混合する場合について説明したが、硝酸と、硫酸源と、塩酸源と、任意の水とを混合する場所および順番はこれに限定されない。例えば、建浴槽を用いることなく、処理槽に硝酸供給部、硫酸源供給部および塩酸源供給部を設けて単一の水槽で処理液の調製および処理を行っても良い。また、硝酸、硫酸源および塩酸源は、水で希釈してから槽内に投入してもよい。
【実施例】
【0065】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
まず、撹拌翼を有するステンレス鋼製の建浴槽内で、硝酸と、硫酸源としての硫酸と、水とを自動計量して混合し、後述する処理液中の硝酸濃度が3.4mol/Lとなり、硫酸濃度が1.7mol/L(硫酸イオン濃度:1.7mol/L)となるような混合液を調製した。
次に、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)製の母材(本体部)の表面に金(Au)が付着した被処理物をチタン製の接触槽に収容し、建浴槽から接触槽へと混合液を供給して被処理物を混合液に完全に浸漬させた。その後、ヒーターにより接触槽内を60℃に加熱すると共に、曝気混合装置により接触槽内の撹拌混合を開始した。そして、塩酸源としての塩化ナトリウムを温水に溶解させてなる水溶液を接触槽内に濃度が10g/L(塩化物イオン濃度換算値:0.17mol/L)となるように投入して処理液を調製し、被処理物の処理を開始した。
そして、12時間後および24時間後に、接触槽から被処理物を引き上げて洗浄すると共に、処理液をICP 発光分光分析法により分析し、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率(=(処理液中のステンレス鋼の量/母材の質量)×100%)を求めた。また、比較例1の硝酸使用量を基準(100%)として硝酸の使用量を評価した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例2~8)
処理液中の硝酸濃度および硫酸濃度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例9~10)
処理液中の塩酸源としての塩化ナトリウムの濃度(塩化物イオン濃度換算値)を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
(実施例11)
硫酸源として硫酸に替えて硫酸ナトリウムを処理液中の硫酸ナトリウム濃度が1.7mol/L(硫酸イオン濃度:1.7mol/L)となるように使用し、塩酸源として塩化ナトリウムに替えて塩酸を処理液中の塩化物イオン濃度が6.2g/L(=0.17mol/L)となるように使用した以外は実施例1と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例1~2)
硫酸を使用せず、処理液中の硝酸または塩化ナトリウムの濃度を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例12~18)
被処理物をフェライト系ステンレス鋼(SUS430)製の母材の表面に金(Au)が付着した被処理物に変更した以外は実施例1~7と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表2に示す。
【0072】
(比較例3)
硫酸を使用しなかった以外は実施例12と同様にして被処理物の処理を行い、金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
(実施例19)
被処理物をオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)製の母材の表面に白金(Pt)が付着した被処理物に変更した以外は実施例1と同様にして被処理物の処理を行い、白金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表3に示す。
【0074】
(比較例4)
被処理物をオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)製の母材の表面に白金(Pt)が付着した被処理物に変更した以外は比較例1と同様にして被処理物の処理を行い、白金の溶解量(貴金属溶解量)および母材からのステンレス鋼の溶解率を求めた。また、硝酸使用量を評価した。結果を表3に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
表1の実施例1~11および比較例1~2、表2の実施例12~18および比較例3、並びに、表3の実施例19および比較例4より、本発明によれば、硝酸の使用量を低減しつつ、本体部の腐食の抑制および貴金属の良好な溶解剥離を実現できることが分かる。特に、表1の実施例1~11および比較例2、並びに、表2の実施例12~18および比較例3より、比較例2,3のように処理液中の硝酸濃度を低下させた場合には本体部の腐食が起こり得るが、実施例1~18のように硫酸源を添加した処理液を用いれば、硝酸濃度を低下させた場合であっても本体部の腐食を抑制し得ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、硝酸を含有する処理液を使用し、ステンレス鋼製の本体部上に貴金属が付着してなる被処理物から貴金属を溶解剥離する技術において、硝酸の使用量の低減、本体部の腐食の抑制および貴金属の良好な溶解剥離を並立させることができる。
【符号の説明】
【0080】
10 建浴槽
11 撹拌翼
12 硝酸供給部
13 硫酸源供給部
14 排気口
20 接触槽
21 曝気混合装置
22 塩酸源供給部
23 排気口
30 移送ライン
31 ポンプ
40 被処理物
100 溶解剥離装置