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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】計測システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021535605
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2019067705
(87)【国際公開番号】W WO2020132377
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】62/782,594
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/678,840
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レシンスキー-アルトシュラー エナ
(72)【発明者】
【氏名】タルシシュ-シャピル イナ
(72)【発明者】
【氏名】ギノブカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】シャフィロフ ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】ベン ドフ ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルコヴィチ ロイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーリー クリス
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055306(JP,A)
【文献】国際公開第2018/166717(WO,A1)
【文献】特開平07-297102(JP,A)
【文献】特開2002-062635(JP,A)
【文献】特開平06-342745(JP,A)
【文献】特開平10-213896(JP,A)
【文献】特表2009-532862(JP,A)
【文献】特表2018-517932(JP,A)
【文献】米国特許第05870201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/42
1/44
7/20
9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測ツールに通信可能に連結された制御装置を含む計測システムであって、
前記制御装置が、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、前記プログラム命令は、前記1つ以上のプロセッサに対して、
計測ターゲットデザインを受け取ることであって、リソグラフィツールを用いてサンプル上の第1露光フィールドを露光することによって形成される少なくとも第1特徴物を含み、前記リソグラフィツールを用いて前記サンプル上の第2露光フィールドを露光することによって形成される少なくとも第2特徴物を更に含み、前記第1特徴物及び前記第2特徴物が前記サンプルの異なる層に存在し、前記第2露光フィールドが前記第1露光フィールドと部分的に重なり、前記第2露光フィールドは、前記サンプル上の計測ターゲットの位置において前記第1露光フィールドと重なる、計測ターゲットデザインを受け取ることと、
前記計測ターゲットデザインに従って作製された計測ターゲットに関連する計測データを受け取ることと、
前記計測ターゲットの作製中の1つ以上の製造誤差を、前記計測データに基づいて特定することと、
1つ以上の後のリソグラフィステップにおいて前記リソグラフィツールの1つ以上の製造パラメータを調整する1つ以上の補正可能値を、前記1つ以上の製造誤差に基づいて生成することと、を実行させるプログラム命令である、計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計測システムであって、前記1つ以上の製造誤差が前記リソグラフィツールに関連する誤差を含む、計測システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計測システムであって、前記1つ以上の製造誤差が、フィールドスケーリング誤差、フィールド間アライメント誤差、サンプル/マスクアラインメント誤差、又はオーバーレイ誤差の少なくとも1つを含む、計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計測システムであって、前記1つ以上の製造誤差が前記サンプルに関連する誤差を含む、計測システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計測システムであって、前記1つ以上の製造誤差がフィールドサンプルの応力又はサンプルの疵の少なくとも1つを含む、計測システム。
【請求項6】
請求項1に記載の計測システムであって、前記計測ツールが像ベースの計測ツールを含む、計測システム。
【請求項7】
請求項6に記載の計測システムであって、前記計測ターゲットデザインが、高度イメージング計測(AIM)ターゲット、AIMチップ内ターゲット、多層Aimチップ内ターゲット、入れ子箱ターゲット、又は「ルーラ」ターゲットの少なくとも1つのデザインを含む、計測システム。
【請求項8】
請求項1に記載の計測システムであって、前記計測ツールがスキャトロメトリベースの計測ツールを含む、計測システム。
【請求項9】
請求項8に記載の計測システムであって、前記計測ターゲットがスキャトロメトリ計測ターゲットを含む、計測システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計測システムであって、前記計測ターゲットが、90度又は180度の少なくとも一方の角度で対称となる回転対称形である、計測システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計測システムであって、前記計測ターゲットが少なくとも1つの軸についての鏡映対称形である、計測システム。
【請求項12】
リソグラフィツールを用いてサンプル上の第1露光フィールドを露光して、計測ターゲットの少なくとも第1特徴物を形成し、
前記リソグラフィツールを用いて前記サンプル上の第2露光フィールドを露光して、前記計測ターゲットの少なくとも第2特徴物を形成することにおいて、前記第2露光フィールドが前記第1露光フィールドと部分的に重なり、前記第2露光フィールドは、前記サンプル上の前記計測ターゲットの位置において前記第1露光フィールドと重なる状態で、前記計測ターゲットの少なくとも第2特徴物を形成し、前記第1特徴物及び前記第2特徴物が前記サンプルの異なる層に存在し、
計測ツールを用いて、前記計測ターゲットに関連する計測データを生成し、
前記計測ターゲットの作製中の1つ以上の製造誤差を、前記計測データに基づいて特定し、
1つ以上の後のリソグラフィステップにおける前記リソグラフィツールの1つ以上の製造パラメータを調整する1つ以上の補正可能値を、前記1つ以上の製造誤差に基づいて生成すること、を含む計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、オーバーレイ計測(metrology)測定に関し、特に、フィールド間補正可能値を提供するオーバーレイ計測測定に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願)
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2018年12月20日にエナ・レシンスキー・アルトシュラー(Enna Leshinsky-Altshuller)、インナ・ターシシュ・シャピア(Inna Tarshish-Shapir)、マーク・ジノヴカー(Mark Ghinovker)、ダイアナ・シャフィロフ(Diana Shaphirov)、ガイ・ベン・ドフ(Guy Ben Dov)、ロイエ・ヴォルコヴィッチ(Roie Volkovich)、及びクリス・スティーリ(Chris Steely)を発明者として「OVERLAY MARK DESIGN AND ALGORITHMIC APPROACHES FOR IMPROVING OVL MODELED FIELD TERMS AND CORRECTING SCANNER ERRORS(OVLモデルのフィールド条件を改善してスキャナ誤差を補正するオーバーレイマークデザイン及びアルゴリズム手法)」という名称で出願された米国仮出願第62/782,594号からの優先権を主張するものであり、前記仮出願の開示内容全体を本願明細書の一部として援用する。
【0003】
半導体製造ラインには、通常、製造工程の中の1つ以上のポイントに、特定のサンプル上の特徴物の作製及び/又は複数のサンプルに跨る特徴物の作製を監視及び制御するための計測測定処理が組み込まれている。例えば、一般的な製造工程は、サンプル(例えば、半導体ウェハ等)の表面全体に分散された複数のチップを作製することを含み、この場合、各チップは素子構成要素を形成する材料の複数のパターン化層を含む。各パターン化層は、材料の蒸着、リソグラフィ、及び目的のパターンを形成するエッチングを含む一連のステップで形成され得る。また、露光ステップで用いられるリソグラフィツール(例えば、スキャナ、ステッパ等)が有する視野はサンプルの寸法よりも実質的に小さく、各サンプル層は、サンプル全体に分散された多数の露光フィールドを用いて露光される。したがって、各層を露光するためのサンプルの複数の露光フィールドの寸法及び配置に関連するフィールド間誤差や、各露光フィールド内の異なるサンプル層上の特徴物に関連するオーバーレイ誤差を監視及び制御すると望ましいが、このことは、サンプル上の計測ターゲットの数を増やし、製造のスループットを低下させる。ただし、一般的な計測システムには、オーバーレイ計測及びフィールド間計測のための個別のターゲット及び/又は測定技法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2007/0058169号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高スループットのオーバーレイ計測およびフィールド間計測に対応したシステム及び方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つ以上の例示的実施形態に従って計測システムを開示する。一例示的実施形態において、本システムは、計測ツールに通信可能に連結された制御装置を含む。他の例示的実施形態において、制御装置は、リソグラフィツールを用いてサンプルの第1露光フィールドを露光することによって形成される少なくとも第1特徴物と、リソグラフィツールを用いてサンプルの第2露光フィールドを露光することによって形成される少なくとも第2特徴物とを含む計測ターゲットデザインを受け取る。他の例示的実施形態において、第2露光フィールドは、第1露光フィールドと部分的に重なり、更に、サンプル上の計測ターゲットの位置において第1露光フィールドと重なっている。他の例示的実施形態において、制御装置は、計測ターゲットデザインに従って作製された計測ターゲットに関する計測データを受け取る。他の例示的実施形態において、制御装置は、計測データに基づいて、計測ターゲットの作製中の1つ以上の製造誤差を特定する。他の例示的実施形態において、制御装置は、1つ以上の製造誤差に基づいて、1つ以上の後のリソグラフィステップにおいてリソグラフィツールの1つ以上の製造パラメータを調整するための1つ以上の補正可能値を生成する。
【0007】
パターンマスクが、本開示の1つ以上の例示的実施形態に従って開示される。一例示的実施形態において、パターンマスクは、パターンマスクの素子領域内に1つ以上の素子パターン要素を含む。他の例示的実施形態において、パターンマスクは、第1ターゲット領域に計測パターン要素の第1セットを含む。他の例示的実施形態において、パターンマスクは、第2ターゲット領域に計測パターン要素の第2セットを含む。他の例示的実施形態において、第1ターゲット領域と第2ターゲット領域は、第1方向において素子領域を挟んで反対側に配置される。他の例示的実施形態において、計測パターン要素の第1セット及び第2セットは、パターンマスクが第1露光フィールド及び第2露光フィールドによりサンプル上で露光されたときにサンプル上の計測ターゲットの少なくとも一部を形成するように構成され、第2露光フィールドは、第1露光フィールドの第1ターゲット領域と第2露光フィールドの第2ターゲット領域がサンプルにおいて計測ターゲットの位置で重なるように設けられる。
【0008】
本開示の1つ以上の実施形態に従って計測方法が開示される。一例示的実施形態において、本方法は、リソグラフィツールを用いてサンプル上の第1露光フィールドを露光して、少なくとも計測ターゲットの第1特徴物を形成することを含む。他の例示的実施形態において、本方向は、リソグラフィツールを用いてサンプル上の第2露光フィールドを露光して、少なくとも計測ターゲットの第2特徴物を形成することを含み、第2露光フィールドが第1露光フィールドと部分的に重なり、第2露光フィールドは、サンプルの計測ターゲットの位置において第1露光フィールドと重なる。他の例示的実施形態において、本方法は、計測ツールを用いて、計測ターゲットに対応する計測データを生成することを含む。他の例示的実施形態において、本方法は、計測データに基づいて、計測ターゲットの製造中の1つ以上の製造誤差を特定することを含む。他の例示的実施形態において、本方法は、1つ以上の製造誤差に基づいて、1つ以上の後のリソグラフィステップにおけるリソグラフィツールの1つ以上の製造パラメータを調整するための1つ以上の補正可能値を生成することを含む。
【0009】
前述した概要的記述と下記の詳細な説明はいずれも例示及び説明のみのために提供され、必ずしも請求項に記載された本発明を限定するものではない。明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する付属の図面は本発明の実施形態を図示し、概要的記述と共に、本発明の原理を説明する役割を担う。
【0010】
本開示の多数の利点は、当業者であれば付属の図面を参照することによってより明白に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の1つ以上の実施形態に係る製造システムを示す概念図である。
図1B】本開示の1つ以上の実施形態に係る、リソグラフィサブシステムを示す概念図である。
図1C】本開示の1つ以上の実施形態に係る、計測サブシステムを示すブロック図である。
図2】サンプルの概念的上面図で、特定のサンプル層の作製に関わるリソグラフィサブシステムによる複数のリソグラフィステップに対応する、本開示の1つ以上の実施形態に係る、複数の重畳露光フィールドを示す図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態に係る、2層フィールド検知オーバーレイターゲットの概念的上面図である。
図4A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクの上面図である。
図4B】サンプルの一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、2つの直交方向に重畳露光フィールドを用い、図4Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図5A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットのデザインを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクであって、4つのセルを含み、各セルに第1層のターゲット特徴物及び第2層のターゲット特徴物が配置される、パターンマスクを示す上面図である。
図5B】サンプルの一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、2つの直交方向に部分重畳露光フィールドを用い、図5Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図6A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットの入れ子箱デザインを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクであって、第1層のターゲット特徴物及び第2層のターゲット特徴物の各部位が一連の入れ子状の箱に配置される、パターンマスクの上面図である。
図6B】サンプルの一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図6Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図7A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットの「ルーラ(Ruller)型デザインを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクであって、第1層のターゲット特徴物と第2層のターゲット特徴物の各部位が一連の入れ子状の櫛形に配置される、パターンマスクを示す上面図である。
図7B】サンプルの一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図7Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図8A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットのAIMidデザインを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクであって、第1層のターゲット特徴物及び第2層のターゲット特徴物が千鳥に配置される、パターンマスクの上面図である。
図8B】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図8Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図9A図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲットのAIMidデザインを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクであって、第1層のターゲット特徴物及び第2層のターゲット特徴物が重畳して十字パターンを形成する、パターンマスクの上面図である。
図9B】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図9Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図10】本開示の1つ以上の実施形態に係る単層フィールド検知オーバーレイターゲットを示す概念的上面図である。
図11A図10に示したフィールド検知オーバーレイターゲットを形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクを示す上面図である。
図11B】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、2つの直交方向において部分重畳露光フィールドを用い、図11Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図12】本開示の1つ以上の実施形態に係る単層フィールド検知オーバーレイターゲットを示す概念的上面図である。
図13A】第1層の特徴物を形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスクの上面図である。
図13B】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図13Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットの第1層の特徴物を作製する処理を例示する図である。
図13C】本開示の1つ以上の実施形態に係る第2層の特徴物を形成するのに適したパターンマスクの上面図である。
図13D】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールドを用い、図13Cのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットの第2層の特徴物を作製する処理を例示する図である。
図13E】サンプルの一部を示す上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、2つの直交方向において部分重畳露光フィールドを用い、図9Aのパターンマスクに基づいてフィールド検知オーバーレイターゲットを作製する処理を例示する図である。
図14】本開示の1つ以上の実施形態に係るフィールド検知オーバーレイ計測方法において実行されるステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、付属の図面に記載された本開示の内容について詳細に記述する。本開示は、特定の実施形態及びその個別の特徴に基づいて具体的に図示及び説明される。本明細書に記載された実施形態は、限定ではなく例示するためのものである。当業者には容易に明らかになるであろうが、形式及び細部に対して、本開示の精神及び範囲から外れることなく各種の変更及び変更を行うことができる。
【0013】
本開示の実施形態は、共通の計測ターゲットにオーバーレイ計測及びフィールド間計測(例えば、フィールド検知オーバーレイ計測)を提供するシステム及び方法を対象とする。フィールド検知オーバーレイ計測では、フィールド検知オーバーレイターゲットにおいて斬新な又は従来のオーバーレイ測定技法を利用して、オーバーレイ誤差とフィールド間誤差の少なくとも一方を示すデータを提供できる。例えば、フィールド検知オーバーレイ計測ターゲット上の特徴物の相対位置は、一般的なオーバーレイターゲットの場合と同様に、共通の露光フィールド内のオーバーラップ露光間の変動を検知するだけでなく、隣接する露光フィールド間の変動を検知して、フィールド間変動を表すデータを提供できる。
【0014】
本開示の目的において、オーバーレイ計測の用語は、サンプルの共通部位への2回以上の露光によって形成された特徴物のアラインメント不良の測定を幅広く意味する。この点において、オーバーレイ計測は、サンプルの2つ以上の層に形成された特徴物のアラインメントの測定と共に、共通のサンプル層への連続露光(例えば、二重パターニング、三重パターニング等)によって形成された特徴物のアラインメントの測定値を提供できる。また、本開示の目的において、フィールド間計測の用語は、サンプル上の異なるフィールド(例えば、隣接フィールド)における2回以上の露光で形成された特徴物間の差異の測定を幅広く意味する。例えば、フィールド間誤差は、限定ではないが、フィールド間の重ね合わせ誤差又はスケーリング誤差を含み得る。したがって、本明細書に開示するシステム及び方法は、共通の測定ステップにおける広範囲の処理誤差についての計測測定値を提供できる。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態の対象は、オーバーレイ誤差とフィールド間誤差を表すデータを同時に提供するのに適したフィールド検知オーバーレイターゲットである。本明細書において、一般的なオーバーレイ計測ターゲットは、サンプルの同一領域(例えば、リソグラフィツールの同一露光フィールド)の複数回の露光によって、同一の層又は複数の異なる層のいずれかにターゲットの異なる部位を形成することによって構成されると認識される。このため、異なる露光処理で形成された特徴物の相対位置及び/又は相対寸法は、繰り返された露光処理の露光フィールドに対する、リソグラフィツールのアラインメント誤差を表す。これに対し、フィールド検知オーバーレイターゲットは、サンプルの共通部位の複数回の露光によって形成でき、その際に、少なくとも1つの露光フィールドはターゲットの生成に用いられる1つ以上の他の露光フィールドと部分的にのみ重ねられる。例えば、計測ターゲットの1つ以上の特徴物は、サンプル上の第1フィールドの露光で形成され、1つ以上の特徴物は、サンプル上の第2フィールドの露光で形成されてよく、第2フィールドは、計測ターゲットの位置において第1フィールドと部分的にのみ重なる。このため、フィールド検知オーバーレイターゲットの特徴物の相対位置及び/又は相対寸法は、特に、ターゲットの生成に用いられる各種の露光フィールドのフィールド間変動の影響を受ける。
【0016】
本明細書では、フィールド検知オーバーレイターゲットは、概して、フィールド検知でないオーバーレイターゲットと同じデザインであってよいと考える。例えば、適合できるオーバーレイ計測ターゲットのデザインは、像ベースの計測ターゲットを含み、像ベースの計測ターゲットとしては、限定ではないが、高度イメージング計測(Advanced Imaging Metrology,AIM)ターゲット、AIMチップ内(AIM in-die,AIMid)ターゲット、入れ子箱ターゲット、又は多層AIMid(MLAIMid)ターゲット等が挙げられる。他の例として、適合できるオーバーレイ計測ターゲットデザインは、スキャトロメトリベースのオーバーレイ(Scatterometry-based overlay,SCOL)ターゲットを含む。したがって、フィールド検知オーバーレイターゲットは、新規又は既存のオーバーレイ計測ツールによって測定及び特徴化できる。ただし、フィールド検知オーバーレイターゲットの測定値に関する誤差の原因についての情報の抽出に用いられる計測アルゴリズムは、フィールド検知オーバーレイターゲットによって測定された誤差の各種異なる原因に応じて異なってよい。
【0017】
本開示の更なる実施形態の対象は、フィールド検知オーバーレイターゲットの作製に適したフォトマスクである。例えば、フォトマスクは、素子特徴物に対応するパターンを含む素子領域、及び素子領域の周りの1つ以上のターゲット領域を含んでよい。特に、素子領域を挟んで向かい合う両側のターゲット領域は、フィールド検知オーバーレイターゲットの補完部位を含んでよい。このため、フィールド検知オーバーレイターゲットの完全な層は、同一サンプル上の重畳露光(例えば、重畳する露光フィールド)によって作製されてよく、その際、重畳する量は、フィールド検知オーバーレイターゲットの補完パターンを生成するように設計される。
【0018】
本開示の更なる実施形態の対象は、フィールド検知オーバーレイターゲットを用いて生成されるオーバーレイデータとフィールド間データの両方に基づいて、リソグラフィツールの補正可能値を生成することである。例えば、フィードフォワード型の補正可能値は、現在の層において測定された変動を補正するために、後の層の露光中にリソグラフィツールに提供されてよい。他の例として、フィードバック型の補正可能値をリソグラフィツールに提供して、経時的に変動(ドリフト)を緩和することができる。
【0019】
また、本明細書では、フィールド検知オーバーレイ計測は、各種の製造誤差源を測定、制御、及び/又は緩和することに適し得ると考える。このような製造誤差としては、限定ではないが、フォトマスク及び/又はサンプルの形状における変動、フォトマスク及び/又はサンプル上の応力、フォトマスク及び/又はサンプル上の表面張力効果、又はリソグラフィツール自体に関連する誤差が挙げられる。したがって、フィールド検知オーバーレイ測定に基づいた補正可能値は、リソグラフィ工程の高精度で効率的な制御を提供できる。
【0020】
次に、図1Aから図14を参照しながら、フィールド検知オーバーレイ計測システム及び方法について、本開示の1つ以上の実施形態に従ってより詳細に記述する。
【0021】
図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態に係る製造システム100を示す概念図である。一実施形態において、システム100は、サンプル上のパターンマスクの1つ以上のパターン要素(例えば、素子パターン要素、計測ターゲットパターン要素等)をリソグラフィ方式で結像させるリソグラフィサブシステム102を含む。リソグラフィサブシステム102は、限定ではないが、スキャナ又はステッパ等、本分野において知られている任意のリソグラフィツールを含んでよい。他の実施形態において、システム100は、サンプル上の1つ以上の特徴物を特徴付ける計測サブシステム104を含む。計測サブシステム104は、サンプル特徴物(例えば、フィールド検知オーバーレイターゲットの特徴物)の相対位置を測定するのに適したオーバーレイ計測ツールを含んでよい。一実施形態において、計測サブシステム104は、サンプルの1つ以上の像の生成処理に基づいて計測データを測定する像ベースの計測ツールを含む。他の実施形態において、計測サブシステム104は、サンプルからの光の散乱(反射、回折、散漫散乱等)に基づいて計測データを測定するスキャトロメトリベースの計測システムを含む。他の実施形態において、システム100は制御装置106を含む。他の実施形態において、制御装置106は、メモリ媒体110に保持されたプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ108を含む。これに関して、制御装置106の1つ以上のプロセッサ108は、本開示全体に記載された各種のプロセスステップのいずれかを実行できる。
【0022】
制御装置106の1つ以上のプロセッサ108は、当分野で既知の任意の要素プロセッサを含んでよい。この意味において、1つ以上のプロセッサ108は、アルゴリズム及び/又は命令を実行するように構成されたマイクロプロセッサ型装置を含むことができる。一実施形態において、1つ以上のプロセッサ108は、本開示全体を通じて記述されるように、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、又はシステム100を駆動するように構築されたプログラムを実行するように構成された任意の他のコンピュータシステム(例えば、ネットワークコンピュータ)で構成されてよい。また、「プロセッサ」の用語は、幅広く定義されるもので、非一時的メモリ媒体110から取得されるプログラム命令を実行する1つ以上の要素プロセッサを有する任意の装置を含む。また、本開示全体に記載されたステップは、単一の制御装置106によって実行されても、又はこれに代えて複数の制御装置によって実行されてもよい。また、制御装置106は、共通のハウジング内又は複数のハウジング内に収容された1つ以上の制御装置を含んでよい。これにより、任意の1つの制御装置、又は複数の制御装置の組み合わせは、システム100への組み込みに適したモジュールとして個別にパッケージ化することができる。また、制御装置106は、検出器132から受け取ったデータを分析し、分析したデータを、システム100内の追加の構成要素(例えば、リソグラフィサブシステム102)に、又はシステム100の外部に送ることができる。
【0023】
メモリ媒体110は、対応付けられた1つ以上のプロセッサ108で実行可能なプログラム命令を保存するのに適した、この分野で既知の任意の記憶媒体を含んでよい。例えば、メモリ媒体110は非一時的メモリ媒体を含んでよい。他の例として、メモリ媒体110は、限定ではないが、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光学メモリ装置(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ等を含んでよい。更に述べると、メモリ媒体110は、1つ以上のプロセッサ108を有する共通の制御装置ハウジング内に収容されてよい。一実施形態において、メモリ媒体110は、1つ以上のプロセッサ108及び制御装置106の物理位置に対して遠隔に配置されてよい。例えば、制御装置106の1つ以上のプロセッサ108は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット等)からアクセス可能なリモートメモリ(例えば、サーバ)にアクセスしてよい。したがって、前述した説明は、本発明への限定ではなく単なる例として解釈されるべきである。
【0024】
図1Bは、本開示の1つ以上の実施形態に係るリソグラフィサブシステム102を示す概念図である。一実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、照明ビーム114を生成するように構成されたリソグラフィ照明源112を含む。1つ以上の照明ビーム114は、光の1つ以上の選択波長を含んでよく、限定ではないが、紫外(UV)放射線、可視光放射線、又は赤外(IR)放射線を含み得る。
【0025】
リソグラフィ照明源112からの照明は、任意の空間分布(例えば、照明パターン)を有してよい。例えば、リソグラフィ照明源112としては、限定ではないが、単極照明源、二重極照明源、C-クワッド照明源、クエーサー照明源、又は自由形式の照明源が挙げられる。これに関して、リソグラフィ照明源112は、照明光が光軸116に沿って(又は平行に)伝搬する軸上照明ビーム114、及び/又は照明光が光軸116に対して傾斜して伝搬する任意の数の軸外照明ビーム114を生成してよい。
【0026】
ここで更に述べると、本開示の目的において、リソグラフィ照明源112の照明極は、特定の場所からの照明を表し得る。この点において、リソグラフィ照明源112の各空間位置(例えば、光軸116に対する空間位置)は、照明極であると考えることができる。また、照明極は、当分野において既知の任意の形状又はサイズであってよい。また、リソグラフィ照明源112は、照明極の分布に対応した照射プロファイルを有すると考えられる。
【0027】
また、リソグラフィ照明源112は、当分野で既知の任意の方法で照明ビーム114を生成してよい。例えば、照明ビーム114は、リソグラフィ照明源112の照明極(例えば、リソグラフィ照明源112の照明プロファイルの一部等)からの照明として形成されてよい。他の例として、リソグラフィ照明源112は、複数の照明ビーム114を生成する複数の照明源を含むことができる。
【0028】
他の実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、マスク支持装置118を含む。マスク支持装置118は、パターンマスク120を固定するように構成される。他の実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、1セットの投影光学系122を含み、投影光学系122は、1つ以上の照明ビーム114によって照光されたパターンマスク120の像を、サンプル台126に配置されたサンプル124上に投影して、パターンマスク120の像に対応した印刷パターン要素を生成するように構成される。他の実施形態において、マスク支持装置118は、パターンマスク120を駆動又は位置決めするように構成されてよい。例えば、マスク支持装置118は、システム100の投影光学系122を基準とした指定の位置までパターンマスク120を駆動できる。
【0029】
サンプル124は、パターンマスク120の像を受け取るのに適した、任意の数の感光性材料及び/又は材料層を含んでよい。例えば、サンプル124は、レジスト層128を含んでよい。これに関して、投影光学系122のセットは、パターンマスク120の像をレジスト層128上に投影して、レジスト層128を露光でき、後のエッチングステップでは、露光された材料の除去(例えば、ポジティブエッチング)又は露光されてない材料の除去(例えば、ネガティブエッチング)を行って、サンプル124上に印刷特徴物を設けることができる。また、パターンマスク120は、当分野で既知の任意のイメージング構成において利用されてよい。例えば、パターンマスク120は、パターン要素が印刷パターン要素としてポジティブに結像されるポジティブマスク(例えば、明視野マスク)であってよい。一例として、パターンマスク120は、パターンマスク120のパターン要素がネガティブな印刷パターン要素(例えば、間隙、空間等)を形成するネガティブマスク(例えば、暗視野マスク)であってよい。
【0030】
制御装置106は、リソグラフィサブシステム102内の任意の要素又は要素の組み合わせと通信可能に連結されてよく、限定ではないが、マスク支持装置118及び/又はサンプル台126に連結されてパターンマスク120上のパターン要素をサンプル124に転写するように仕向けること、リソグラフィ照明源112に連結されて照明ビーム114の1つ以上の特徴を制御することができる。
【0031】
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態に係る計測サブシステム104のブロック図である。システム100は、サンプル124から到来する光(例えば、サンプル光130)に対応する1つ以上の像を、当分野で既知の任意の方法を用いて、少なくとも1つの検出器132上に生成してよい。一実施形態において、検出器132は、視野平面に配置されて、サンプル124上の1つ以上の特徴物の像を生成する。この点において、システム100は、像ベースのオーバーレイ計測ツールとして動作できる。他の実施形態において、検出器132は、瞳平面に配置されて、サンプル124から到来する光の角度に基づいて(例えば、反射、回折、散乱等に基づいて)像を生成する。この点において、システム100は、スキャトロメトリベースの計測ツールとして動作できる。
【0032】
一実施形態において、計測サブシステム104は、計測照明ビーム136を生成する計測照明源134を含む。計測照明源134は、リソグラフィ照明源112と同一であっても、又は独立した計測照明ビーム136を生成するように構成された個別の照明源であってもよい。計測照明ビーム136は、光の1つ以上の選択波長を含んでよく、限定ではないが、真空紫外(Vacuum Ultraviolet,VUV)放射線、深紫外(Deep Ultraviolet,DUV)放射線、紫外(UV)放射線、可視光放射線、又は赤外(IR)放射線を含んでよい。計測照明源134は、更に、任意の範囲の選択波長を含む計測照明ビーム136を生成できる。他の実施形態において、計測照明源134は、調整可能なスペクトルを有する計測照明ビーム136を生成するスペクトル可変照明源を含んでよい。
【0033】
計測照明源134は、更に、時間プロファイルを有する計測照明ビーム136を生成してよい。例えば、計測照明源134は、連続計測照明ビーム136、パルス計測照明ビーム136、又は変調計測照明ビーム136を生成できる。また、計測照明ビーム136は、自由空間伝搬又は導波光(例えば、光ファイバ、光導体等)によって計測照明源134から送出されてよい。
【0034】
他の実施形態において、計測照明源134は、照明路138を介して計測照明ビーム136をサンプル124まで送る。照明路138は、1つ以上のレンズ140、又は計測照明ビーム136を変調及び/又は調整するのに適した追加の照明光学部品142を含んでよい。例えば、1つ以上の照明光学部品142としては、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上のディフューザ、1つ以上のホモジナイザ、1つ以上のアポダイザ、1つ以上のビーム整形器、又は1つ以上のシャッタ(例えば、機械式シャッタ、電気光学シャッタ、音響光学シャッタ等)が挙げられるが、これらには限定されない。一例として、1つ以上の照明光学部品142は、サンプル124上の照明の角度を制御する開口絞り、及び/又はサンプル124上の照明の空間範囲を制御する視野絞りを含んでよい。一例において、照明路138は、対物レンズ144の後焦点面の共役平面に配置されてサンプルのテレセントリック照明を提供する開口絞りを含む。他の実施形態において、システム100は、計測照明ビーム136をサンプル124上で合焦させる対物レンズ144を含む。
【0035】
他の実施形態において、サンプル124は、サンプル台146に配置される。サンプル台146は、システム100内でサンプル124を位置決めするのに適した任意の装置を含んでよい。例えば、サンプル台146は、直線平行移動台、回転台、チップ/チルト台等を含んでよい。
【0036】
他の実施形態において、検出器132は、集光路148を通ってサンプル124から到来する放射線(例えば、サンプル光130)を捉えるように構成される。例えば、集光路148は、集光レンズ(例えば、図1Cに示したような対物レンズ144)、又は1つ以上の追加の集光路レンズ150を含んでよいが、必ずしも含む必要はない。この点において、検出器132は、サンプルから反射若しくは散乱(例えば、正反射や拡散反射等によって反射若しくは散乱)された放射線、又はサンプル124によって生成された放射線(例えば、計測照明ビーム136の吸収に関わる発光等)を受け取ることができる。
【0037】
集光路148は、対物レンズ144によって集束された照明を伝達及び/又は変調する任意の数の集光光学部品152を更に含むことができ、集光光学部品152としては、限定ではないが、1つ以上の集光路レンズ150、1つ以上のフィルタ、1つ以上の偏光子、又は1つ以上のビームブロックが挙げられる。また、集光路148は、検出器132上に結像されるサンプルの空間範囲を制御する視野絞り、又は検出器132上の像の生成に用いられるサンプルからの照明の角度範囲を制御する開口絞りを含むことができる。他の実施形態において、集光路148は、光学部品、対物レンズ144の後焦点面の共役平面に配置されてサンプルのテレセントリック結像を提供する開口絞りを含む。
【0038】
検出器132は、サンプル124から受け取った照明を測定するのに適した、本分野で既知の任意のタイプの光学検出器を含んでよい。例えば、検出器132は、静止サンプル124(例えば、動作が静止モードであるサンプル)の1つ以上の像を生成するのに適したセンサを含んでよく、このようなセンサとしては、限定ではないが、電荷結合素子(Charge Coupled Device,CCD)、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor,CMOS)センサ、光電子倍増管(Photomultiplier Tube,PMT)アレイ、又はアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiode,APD)アレイ等が挙げられる。一例として、検出器132は、動作中(例えば、動作の走査モード中)にサンプル124の1つ以上の像を生成するのに適した、ラインセンサ、又は時間遅延積分(Time Delay and Integration,TDI)センサ等のセンサを含んでよいが、これらのセンサには限定されない。
【0039】
他の実施形態において、検出器132は、サンプル124から到来する放射線の波長を特定するのに適した分光検出装置を含んでよい。他の実施形態において、システム100は、複数の検出器132(例えば、1つ以上のビームスプリッタによって形成された複数のビーム路に対応するもの等)を含んでよく、これによりシステム100による複数回の計測測定処理が容易になる。
【0040】
一実施形態において、図1Cに示すように、システム100は、対物レンズ144が計測照明ビーム136をサンプル124に送り込むのと同時にサンプル124から到来する放射線を収集できるように配置されたビームスプリッタ154を含む。この場合、システム100は、落射照明モードで構成されてよい。
【0041】
他の実施形態において、制御装置106は、システム100の1つ以上の構成要素に通信可能に連結される。この場合、制御装置106は、システム100の任意の構成要素からのデータを送受信できる。例えば、制御装置106は、限定ではないが、検出器132から得られた1つ以上の像を含むデータを受け取るように構成されてよい。
【0042】
図2は、サンプル124の概念的上面図で、特定のサンプル層の作製に関わるリソグラフィサブシステム102による複数のリソグラフィステップに対応付けられた、本開示の1つ以上の実施形態に係る複数の重畳露光フィールド202を例示する図である。一実施形態において、パターンマスク120は、各露光フィールド202上に結像される。また、各露光フィールド202上に同一のパターンマスク120が繰り返し結像されても、又は、選択された複数の露光フィールド202に複数のパターンマスク120が結像されてもよい。ただし、図2は縮尺に合わせて作画されていない点を理解されたい。逆に、限定するものではないが、サンプル124の寸法に対する各露光フィールド202の寸法、露光フィールド202の数、又は隣接する露光フィールド202の重畳量等、図2のパラメータは、例示を目的として選択されたものであり、限定として解釈されるべきではない。
【0043】
一実施形態において、図2に示されるように、隣接する露光フィールド202は、サンプル124の端から端まで分布する重畳領域204を形成するように重なってよい。素子の特徴物(例えば、サンプル124の端から端まで分布するチップに対応する特徴物)は、非重畳領域206のいずれかにおいて作製できるため、特定のサンプル層上のフィールド検知オーバーレイターゲット又はその各部位は、隣接する重畳露光フィールド202から、重畳領域204のいずれかに露光に基づいて形成されてよい。これに対して、本明細書では、典型的なオーバーレイ計測ターゲットが、同一層又は異なる層における異なるリソグラフィステップに関わる完全に重畳する露光フィールド202を用いて形成できると認識される。
【0044】
他の実施形態において、露光フィールド202のパターンは、製造工程に関連付けられた複数のリソグラフィステップで複製されてよい。例えば、第1サンプル層に対応するパターン要素の第1セットは、材料蒸着ステップ、露光フィールド202のパターン(例えば、図2に示したようなもの)を用いたリソグラフィステップ、エッチングステップ等の一連のステップを利用して作製されてよい。第2サンプル層に対応するパターン要素の第2セットは、一連の追加の材料蒸着ステップ、露光フィールド202のパターンを用いるリソグラフィステップ、エッチングステップ等を利用して作製されてよく、その際に、第1サンプル層と第2サンプル層に対応する各露光フィールド202のパターンの位置合わせが行われる。同様の工程は、単一のサンプル層上への複数回の位置合わせ露光(例えば、二重パターニング工程等の複数回の露光)処理で実行されてよい。
【0045】
次に図3から図13Eを参照して、フィールド検知計測ターゲット及びその形成について、本開示の1つ以上の実施形態に従って詳細に記述する。本明細書では、フィールド検知計測ターゲットは、任意の数の重畳露光フィールド202から形成される任意の数のサンプル層上の特徴物を含んでよいと考える。図3から図9Bに、2層フィールド検知オーバーレイターゲットの非限定的例として、第1サンプル層に対応する特徴物が1つの露光フィールド202を用いて形成され、第2サンプル層に対応する特徴物が隣接する重畳露光フィールド202を用いて形成される2層フィールド検知オーバーレイターゲットを示す。これらのデザインにおいて、第2層の特徴物に対する第1層の特徴物の相対位置及び/又は相対寸法は、特に、異なるサンプル層に対する複数のリソグラフィステップのあいだのフィールド間の変動に応じて変化する。図10から図11Bに、単層フィールド検知オーバーレイターゲットの非限定的例を示す。このデザインにおいて、第2層の特徴物に対する第1層の特徴物の相対位置及び/又は相対寸法は、特に、単一のサンプル層に対する複数のリソグラフィステップのあいだのフィールド間の変動に応じて変化する。図12から図13Eに、2つの露光フィールド202を横断する4回の露光を用いて形成される2層フィールド検知オーバーレイターゲットの非限定的例として、第1層の特徴物が、隣接する露光フィールド202を用いて図10から図11Bの例と同様の方式で作製され、第2層の特徴物が、第1層の特徴物に用いたものと同じ隣接する露光フィールド202を用いて作製される2層フィールド検知オーバーレイターゲットを示す。このデザインにおいて、完全に重畳する露光フィールド202から形成される、異なる層の特徴物を含むターゲット部位は、従来のオーバーレイターゲットとして機能でき、各露光フィールド202の連続露光におけるリソグラフィツールの位置合わせ誤差及び/又はスケール誤差を表すデータを提供できる。また、部分的に重畳する露光フィールド202から形成される特徴物を含むターゲット部位は、フィールド間の誤差を示すデータを提供できる。また、本明細書の例は、例示のみを目的として提示するものであり、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、従来のオーバーレイデータ及び/又はフィールド間データを提供する1層又は2層のフィールド検知オーバーレイターゲットの他のデザインも本開示の精神及び範囲に入る。他の例として、フィールド検知オーバーレイターゲットは、ターゲットの位置において一部のみが他の露光フィールド202と重畳する少なくとも1つの露光フィールド202を用いて形成される3つ以上のサンプル層上の特徴物を含んでよい。
【0046】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態に係る2層のフィールド検知オーバーレイターゲット300を示す概念的上面図である。一実施形態において、フィールド検知オーバーレイターゲット300は、第1露光フィールド202を用いて形成された第1層のターゲット特徴物302と、第2露光フィールドを用いて形成された第2層のターゲット特徴物304とを含み、ここで、第2露光フィールド202は第1露光フィールド202と一部のみが重畳する。例えば、図2の例を用いると、第1層のターゲット特徴物302を露光フィールド202aに対応付け、第2層のターゲット特徴物304を露光フィールド202bに対応付けることができる。したがって、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304は、完全なフィールド検知オーバーレイターゲット300の相補的部位である。
【0047】
図3のフィールド検知オーバーレイターゲット300のレイアウトは限定ではなく例示として意図されていることを理解されたい。第1層のターゲット特徴物302及び第2層のターゲット特徴物304はオーバーレイ測定に適した任意の構成で配置されてよい。例えば、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304のレイアウトは、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304がそれぞれ2つのセルを含み、交差する対角線に沿って分布する図3の図には限定されない。むしろ、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304は、オーバーレイ測定に適した任意のパターンで任意の個数のセルに分布できる。一例において、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304は完全に、又は部分的に重畳してよい。また、第1層のターゲット特徴物302又は第2層のターゲット特徴物304のいずれかは、1つ以上の方向に沿ってセグメント化されてよい。
【0048】
したがって、本明細書では、更に、任意の技法を用いて、異なる露光処理で形成された特徴物の相対位置を特定できると考えており、この相対位置は、本明細書において既に説明したオーバーレイ誤差やフィールド間誤差を含む誤差の各種の原因に影響され得るものである。例えば、第1層のターゲット特徴物302の位置は、第2層のターゲット特徴物304と直接比較されてよい。他の例として、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304に対応する各対称中心(例えば、回転対称、鏡映対称等の中心)が比較されてもよい。
【0049】
図4Aから図9Bに、図3に例示したフィールド検知オーバーレイターゲット300の各種デザインと共に、隣接する部分重畳露光フィールド202を用いて各種デザインを形成するのに適した対応するパターンマスク120を示す。ただし、理解されたいが、図4A~9Bに例示したフィールド検知オーバーレイターゲット300のデザインは例示する目的でのみ示すものであり、限定として解釈されるものではない。本明細書では、任意のオーバーレイターゲットデザインは、隣接する部分重畳露光フィールド202を用いて相補的部位を作製することによって、フィールドを検知することに適応できると考える。
【0050】
図4Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300の形成に適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク402(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図である。一実施形態において、パターンマスク402は、作製される半導体素子に対応する素子特徴物(図示せず)のパターンを含む素子領域404を含む。他の実施形態において、パターンマスク402は、素子領域404の対向する両側の結像領域の境界406内にフィールド検知オーバーレイターゲット300の相補的部位を含む。例えば、パターンマスク402は、水平方向に隣接する露光フィールド202を用いて完全なフィールド検知オーバーレイターゲット300を形成するための、フィールド検知オーバーレイターゲット300の相補的部位を水平軸に沿って含み、更に、垂直方向に隣接する露光フィールド202を用いて完全なフィールド検知オーバーレイターゲット300を形成するための、フィールド検知オーバーレイターゲット300の相補的部位を垂直軸に沿って含む。特に、第1層のターゲット特徴物302に対応するパターン要素408は素子領域404の左側と上側とに配置され、第2層のターゲット特徴物304に対応するパターン要素410は、素子領域404の右側と下側とに配置される。
【0051】
図4Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、重畳露光フィールド202を用いて2つの直交方向に形成される、図4Aのパターンマスク402に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。一実施形態において、各露光フィールド202は、パターンマスク402の像を含む。また、隣接する露光フィールド202の間隔及び重畳量は、フィールド検知オーバーレイターゲット300の相補的部位がサンプル124上で重なって、重畳領域204において完全なフィールド検知オーバーレイターゲット300を形成する一方で、パターンマスク402の素子領域404に対応する素子特徴物が非重複領域206内に形成されるように選択することができる。
【0052】
例えば、フィールド検知オーバーレイターゲット300aは、第1露光フィールド202(例えば、露光フィールド202a)から得られる第1層のターゲット特徴物302と、第2露光フィールド202(例えば、露光フィールド202b)から得られる第2層のターゲット特徴物304とを用いて形成される。他の例として、フィールド検知オーバーレイターゲット300bは、第1露光フィールド202(例えば、露光フィールド202a)から得られる第1層のターゲット特徴物302と、第3露光フィールド202(例えば、露光フィールド202c)から得られる第2層のターゲット特徴物304とを用いて形成される。
【0053】
次に図5A図9Bを参照して、フィールド検知オーバーレイターゲットの各種デザインと、対応するパターンマスクとについて、本開示の1つ以上の実施形態に従ってより詳細に説明する。図4A及び図4Bに対応するフィールド検知オーバーレイターゲット300を作製するためのパターンマスク402及びサンプル124上のパターンマスク402の部分重畳露光についての説明は、図5A図9Bに示すターゲットのデザインに適用できる。
【0054】
図5Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300のデザインを形成するのに適したパターンマスク502(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図で、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304の部位が各セルに配置された4つのセルを含む、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク502を示す図である。具体的には、第1層のターゲット特徴物302に対応するパターン要素408が素子領域404の左側及び下側に配置され、第2層のターゲット特徴物304に対応するパターン要素410が素子領域404の右側及び上側に配置されている。図5Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて2つの直交方向に形成される、図5Aのパターンマスクに基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。このデザインにおける第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304の相対位置は、それぞれの回転対称中心を比較することによって特定され得るが、必ずしもこれには限定されない。例えば、第1層のターゲット特徴物302及び第2層のターゲット特徴物304は、90度の回転対称形である。ただし、本明細書では、限定ではないが180度の回転対称形又は鏡映対称形を始めとする他のタイプの対称形を含むデザインも本開示の精神及び範囲に入ると考える。
【0055】
図6Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300の入れ子箱デザインを形成するのに適したパターンマスク602(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図で、第1層のターゲット特徴物302と及び第2層のターゲット特徴物304の部位が一連の入れ子箱に配置される、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク602を示す図である。図6Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて形成される、図6Aのパターンマスク602に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。図には示していないが、フィールド検知オーバーレイターゲット300は、図4B及び図5Bに示したものと同様の方式で、図6Bの垂直方向に沿ったパターンマスク602の複数回の一部重畳露光によって形成されてよい。
【0056】
図7Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300の「ルーラ(Ruller)」タイプのデザインを形成するのに適したパターンマスク702(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図で、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304の部位が一連のネストされた櫛形に配置される、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク702を示す図である。図7Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて形成される、図7Aのパターンマスク702に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。図には示していないが、フィールド検知オーバーレイターゲット300は、図4B及び図5Bに示したものと同様の方式で、図7Bの垂直方向に沿ったパターンマスク702の複数回の部分重畳露光によって形成されてよい。
【0057】
図8Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300のAIMidデザインを形成するのに適したパターンマスク802(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図で、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304が千鳥に配置される、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク802を示す図である。図8Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて形成される、図8Aのパターンマスク802に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。図には示していないが、フィールド検知オーバーレイターゲット300は、図4B及び図5Bに示したものと同様の方式で、図8Bの垂直方向に沿ったパターンマスク802の複数回の部分重畳露光によって形成されてよい。
【0058】
図9Aは、図3に示したフィールド検知オーバーレイターゲット300のAIMidデザインを形成するのに適したパターンマスク902(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図で、第1層のターゲット特徴物302と第2層のターゲット特徴物304が重なって十字パターンを形成する、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク902を示す図である。図9Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて形成される、図9Aのパターンマスク902に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット300の作製を例示する図である。図には示していないが、フィールド検知オーバーレイターゲット300は、図4B及び図5Bに示したものと同様の方式で、図9Bの垂直方向に沿ったパターンマスク902の複数回の部分重畳露光によって形成されてよい。
【0059】
次に、図10から図11Bを参照して、単層のフィールド検知オーバーレイターゲット1000について本開示の1つ以上の実施形態に従って説明する。図10は、本開示の1つ以上の実施形態に係る単層のフィールド検知オーバーレイターゲット1000の概念的上面図である。図10の単層のフィールド検知オーバーレイターゲット1000は、図3に示した2層のフィールド検知オーバーレイターゲット300と同様であるが、全ての特徴物が共通のサンプル層に対応する露光フィールド202を用いて形成される点が異なる。具体的には、単層のフィールド検知オーバーレイターゲット1000は、第1露光フィールド202(例えば、露光フィールド202a)に対応するターゲット特徴物1002の第1セットと、第2露光フィールド202(例えば、露光フィールド202b又は露光フィールド202c)に対応するターゲット特徴物1004の第2セットを含んでよい。
【0060】
図11Aは、図10に示したフィールド検知オーバーレイターゲット1000を形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク1102(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面部である。具体的には、パターン要素1104が第1セットのターゲット特徴物1002に対応し、パターン要素1106が第2セットのターゲット特徴物1004に対応する。図11Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて2つの直交方向に形成される、図11Aのパターンマスク1102に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット1000の作製を示す図である。
【0061】
次に、図12から図13Eを参照して、2層のフィールド検知オーバーレイターゲット1200について本開示の1つ以上の実施形態に従って説明する。図12は、本開示の1つ以上の実施形態に係る単層のフィールド検知オーバーレイターゲット1200の概念的上面図である。
【0062】
一実施形態において、フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、4回の露光で形成される。例えば、フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、第1露光フィールド202(例えば、露光フィールド202a)から形成される第1セットの第1層特徴物1202と、第1露光フィールドと部分的に重なる第2露光フィールド(例えば、露光フィールド202b又は露光フィールド202c)から形成される第2セットの第1層特徴物1204とを含んでよい。フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、更に、第1露光フィールド(例えば、露光フィールド202a)から形成される第1セットの第2層特徴物1206と、第2露光フィールド(例えば、露光フィールド202b又は露光フィールド202c)から形成される第2セットの第2層特徴物1208とを含んでよい。
【0063】
図13Aは、第1層特徴物(例えば、第1セットの第1層特徴物1202及び第2セットの第1層特徴物1204)を形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク1302(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図である。具体的には、パターン要素1304が第1セットの第1層特徴物1202に対応し、パターン要素1306が第2セットの第1層特徴物1204に対応する。
【0064】
図13Bは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202(例えば、第1層のリソグラフィステップにおける露光フィールド202a,b)を用いて形成される、図13Aのパターンマスク1302に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット1200の第1層特徴物の作製を例示する図である。
【0065】
図13Cは、第2層特徴物(例えば、第1セットの第2層特徴物1206及び第2セットの第2層特徴物1208)を形成するのに適した、本開示の1つ以上の実施形態に係るパターンマスク1308(例えば、図1Bのパターンマスク120に対応)の上面図である。具体的には、パターン要素1310が第1セットの第2層特徴物1206に対応し、パターン要素1312が第2セットの第2層特徴物1208に対応する。
【0066】
図13Dは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202(例えば、第2層のリソグラフィステップにおける露光フィールド202a,b)を用いて形成される、図13Cのパターンマスク1308に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット1200の第2層特徴物の作製を例示する図である。また、第2層のリソグラフィステップにおける露光フィールド202a,bは、第1層のリソグラフィステップにおける対応する露光フィールド202a,bと完全に重畳してよい。
【0067】
図13Eは、サンプル124の一部の上面図で、本開示の1つ以上の実施形態に従って、部分重畳露光フィールド202を用いて2つの直交方向に形成される、図13A図13Cのパターンマスク1302と1308に基づいたフィールド検知オーバーレイターゲット1200の作製を例示する図である。
【0068】
図12から図13Eに示されるように、フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、各層及び層間に関連する一般的なオーバーレイデータとフィールド間データの両方を提供できる。例えば、第1セットの第1層特徴物1202及び第1セットの第2層特徴物1206は、第1層及び第2層において完全に重なる重畳露光フィールド202(例えば、露光フィールド202a)から形成されるため、第1セットの第2層特徴物1206に対する第1セットの第1層特徴物1202の相対位置及び/又は相対寸法は、一般的なオーバーレイターゲットによってもたらされ、複数の層に跨るリソグラフィステップの位置合わせに関する一般的なオーバーレイ誤差を示すことができる。また、第2セットの第1層特徴物1204及び第2セットの第2層特徴物1208も同様のデータを提供できる。
【0069】
ただし、フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、各種のフィールド間誤差を表すデータも提供できる。例えば、図13Aのパターンマスク1302及び図13Cのパターンマスク1308は、両方とも図11Aに示したパターンマスク1102と同様の方式で機能する。したがって、第2セットの第1層特徴物1204に対する第1セットの第1層特徴物1202の相対位置及び/又は相対寸法が、第1層におけるフィールド間誤差を示すことができる一方で、第2セットの第2層特徴物1208に対する第1セットの第2層特徴物1206の相対位置及び/又は相対寸法が、第2層におけるフィールド間誤差を示し得る。また、フィールド検知オーバーレイターゲット1200は、複数の層に跨るフィールド間誤差を表すデータを提供できる。例えば、第2セットの第2層特徴物1208に対する第1セットの第1層特徴物1202の相対位置及び/又は相対寸法は、図3から図13Eに図示したターゲットによってもたらされるデータと同様に、複数の層に跨るフィールド間誤差を示すことができる。同様のデータは、第2セットの第1層特徴物1204及び第2セットの第2層特徴物1208に基づいても取得できる。
【0070】
本明細書において既に説明したように、図3から図13Eは例示のみを目的として提供されたものであり、限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。むしろ、ターゲットの特徴物の少なくとも一部が、当該ターゲットの形成に用いられる他の露光フィールド202と部分的にのみ重畳する露光フィールド202から形成されるのであれば、フィールド検知オーバーレイターゲットは、任意の回数の露光によって形成される任意の数の特徴物を含むことができる。また、フィールド検知オーバーレイターゲットは、本明細書に例示した特徴物の組み合わせを含むことができる。例えば、フィールド検知オーバーレイターゲットは、3つ以上のサンプル層における特徴物を含んでよい。
【0071】
図14は、本開示の1つ以上の実施形態に係るフィールド検知オーバーレイ計測の方法1400において実行されるステップを示す流れ図である。出願人は、本明細書においてシステム100の文脈で既に説明した実施形態及び実現可能な技術は方法1400にも拡大されると解釈されるべきであると認識する。ただし、方法1400は、システム100の構成に限定されないことも注記しておく。
【0072】
一実施形態において、本方法は、リソグラフィツールによりサンプルの第1露光フィールドを露光して、計測ターゲット(例えば、フィールド検知オーバーレイターゲット)の少なくとも第1特徴物を形成するステップ1402を含む。他の実施形態において、本方法は、リソグラフィツールを用いて、第1露光フィールドと部分的に重なる第2露光フィールドをサンプル上で露光して、計測ターゲットの少なくとも第2特徴物を形成するステップ1404を含む。具体的には、第2露光フィールドは、サンプル上の計測ターゲットの位置において第1露光フィールドと重なってよい。このため、計測ターゲットの第1特徴物及び計測ターゲットの第2特徴物はそれぞれ計測ターゲットの相補的部位を形成できる。
【0073】
本明細書では、第1露光フィールドは、第2露光フィールドと同じ層、又は第2露光フィールドとは異なる層に存在してよいと考える。したがって、第1特徴物と第2特徴物は、サンプルの同じ層又は異なる層の特徴物であり得る。また、本方法は、計測ターゲットの他の特徴物を形成する追加の露光を含んでよく、各追加露光は、計測ターゲットの特徴物の生成に用いられる他の露光と完全に又は部分的に重なる。
【0074】
例えば、図3から図13Eに、システム100を用いてステップ1402と1404を実行する各種の非限定的な例が示されている。
【0075】
他の実施形態において、本方法は、計測ツール(例えば、計測サブシステム104等)を用いて計測ターゲットに対応する計測データを生成するステップ1406を含む。他の実施形態において、本方法は、計測データに基づいて、計測ターゲットの作製中の1つ以上の製造誤差を特定するステップ1408を含む。例えば、計測ターゲットの複数の特徴物(例えば、第1特徴物、第2特徴物、任意の追加特徴物等)の相対位置と相対寸法の少なくとも一方は、計測ターゲットの作製中における、限定ではないが、リソグラフィツールに関連する誤差(例えば、フィールド拡大縮小誤差、フィールド間アライメント誤差、サンプル/マスクアライメント誤差、オーバーレイ誤差等)、又はサンプルに関連する誤差(例えば、サンプルの応力、サンプルの疵等)等の製造誤差を示し得る。
【0076】
他の実施形態において、本方法は、1つ以上の後のリソグラフィステップにおけるリソグラフィツールの1つ以上の製造パラメータを調整するための1つ以上の補正可能値を、1つ以上の製造誤差に基づいて生成するステップ1410を含む。
【0077】
ステップ1410は、計測ターゲット(ひいては、サンプル上の素子特徴物)の作製で使用されるリソグラフィツールのフィードバック制御又はフィードフォワード制御の任意の組み合わせに用いられる補正可能値を生成することを含んでよい。例えば、フィードフォワード補正可能値は、同一サンプルの後段の層の露光中に、現在のサンプル層において測定された変動を補正するためにリソグラフィツールに提供されてよい。他の例として、フィードバック補正可能値は、時間の経過に伴う変動(例えば、ドリフト)を緩和するためにリソグラフィツールに提供されてよい。このような補正可能値は、同一サンプルの異なる部分に対して、同一ロット内の異なるサンプルに対して、又は複数のロットに亘って存在する複数のサンプルに対して適用されてよい。
【0078】
本明細書では、フィールド間誤差に対する検知能力を提供する、方法1400によって生成された計測ターゲット(例えば、フィールド検知オーバーレイターゲット)は、一般的なオーバーレイターゲットよりも正確且つ効果的なリソグラフィツールの補正可能値の生成を実現できると考える。例えば、本明細書に開示されたフィールド検知計測ターゲットにより、繋ぎ合わされたターゲットセル間の、異なる露光フィールドに起因するオーバーレイ誤差を抑制するための高解像度基準点(High-Resolution Reference Point,HRRP)を容易に決定することができる。他の例として、本明細書に記載したフィールド検知計測ターゲットは、フィールド内及びフィールド間のパターニングラップ形状測定(Patterning Wrap Geometry,PWG)を容易化する、又は既存のPWG技法の微調整若しくは検証を補助するために、フィールドの端部に沿って印刷されてよい。
【0079】
本明細書に記載した内容には、場合によって、他の構成要素に含まれる別の構成要素、又は他の構成要素と結合される別の構成要素が例示されている。このように記載された構成は単なる例であり、実際には同一の機能を達成する多数の他の構成を実施できることを理解されたい。概念上、同一の機能を達成する構成要素の構成は、所望の機能が実現するように効果的に「対応付けられる」。したがって、本明細書において特定の機能を実現するために組み合わされる2つの構成要素は、構成又は中間的構成要素の如何に寄らず、所望の機能を実現するように互いに「対応付けられる」と認識できる。同様に、このように対応付けられた2つの構成要素も、所望の機能を実現するように「接続」又は「結合」されていると見ることができ、このような対応付けが可能な2つの構成要素は、所望の機能を実現するように互いに「結合可能」であると見なすこともできる。結合可能な具体的例は、限定ではないが、物理的に相互作用可能な構成要素、物理的に相互作用している構成要素、無線式に相互作用可能な構成要素、無線式に相互作用している構成要素、論理的に相互作用可能な構成要素、及び/又は論理的に相互作用している構成要素を含む。
【0080】
本開示及び付随する多数の利点は、前述した記載内容によって理解されると確信している。また、開示した内容から外れることなく、又は開示した素材の利点のいずれも犠牲にすることなく、構成要素の形式、構造、及び配置を変更できることは明らかであろう。記載した形態は単なる例示であり、下記の請求項は、前述した変更を含意及び包含することが意図されている。また、理解されるであろうが、本発明は付属の請求項によって定義されるものである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14