(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】路面表示材および路面発光材
(51)【国際特許分類】
E01F 9/512 20160101AFI20240426BHJP
G08G 1/052 20060101ALI20240426BHJP
G08G 1/056 20060101ALI20240426BHJP
E01F 9/547 20160101ALI20240426BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240426BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
E01F9/512
G08G1/052
G08G1/056
E01F9/547
G09F9/00 362
G09F9/30 398
G09F9/00 304C
(21)【出願番号】P 2020026480
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 博紀
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩樹
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-311827(JP,A)
【文献】実開昭60-045723(JP,U)
【文献】特開昭61-157211(JP,A)
【文献】実開昭58-149484(JP,U)
【文献】特開2016-132898(JP,A)
【文献】特開平10-152883(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025243(JP,U)
【文献】特開2010-095904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/512
G08G 1/052
G08G 1/056
E01F 9/547
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に形成した配設溝に嵌め込まれ、前記道路を通行する歩行者および車両の運転者のうち一方または両方に対し、識別表示機能を発揮する表示プレート体を少なくとも有し、
前記表示プレート体は、
複数の凹部が断続的に連なって延在する凹溝を有する基材と、
前記凹部に嵌め込まれた複数の表示プレート片と
を有し、
前記表示プレート片は、前記凹溝に嵌め込まれ、
前記凹溝を構成する凹溝同士の間に存在する前記基材の区画部分は、前記区画部分の上面位置と前記凹溝の底面位置との間の所定高さ位置に摩耗限界表示を有する、路面表示材。
【請求項2】
前記表示プレート体は、前記道路上における区画線としての機能を有する白線プレートである、請求項1に記載の路面表示材。
【請求項3】
前記表示プレート片は、透光材料からなり、前記凹溝を構成する前記凹部は、内壁の少なくとも一部に第1表示パターンを有する、請求項1に記載の路面表示材。
【請求項4】
前記表示プレート片は、透光材料からなり、前記凹溝を構成する前記凹部は、平面視で矩形状をなし、4つの内壁のうち、1つの内壁に第1表示パターンを有し、前記1つの内壁と向かい合う内壁に第2表示パターンを有する、請求項1に記載の路面表示材。
【請求項5】
前記路面表示材は、ケーブルを収容する内部空間を有し、上端が開口するケーブル収容部の前記開口を閉鎖する蓋材である、請求項1から4のいずれか1項に記載の路面表示材。
【請求項6】
前記路面表示材は、ケーブルを収容する内部空間を有し、前記第1表示パターンおよび前記第2表示パターンの少なくとも一方は、前記ケーブルと電気的に接続されて発光する発光手段によって構成される、請求項4に記載の路面表示材。
【請求項7】
前記発光手段は、前記道路を設定速度と異なる速度で走行する車両に対し、前記設定速度での走行を促す第1の発光を行う、請求項6に記載の路面表示材。
【請求項8】
前記発光手段は、前記道路を逆走方向に走行する車両に対し、前記逆走方向での走行を通知する第2の発光を行う、請求項6に記載の路面表示材。
【請求項9】
前記基材および前記表示プレート片のうち少なくとも一部が、電磁波を反射する材料によって構成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の路面表示材。
【請求項10】
前記路面表示材は、融雪設備の蓋材を構成し、
前記蓋材は、発熱体を収容する内部空間を有し、上端が開口する収容容器の前記開口を閉鎖する位置に設けられる伝熱性の蓋材である、請求項1から9のいずれか1項に記載の路面表示材。
【請求項11】
道路上に形成した配設溝に嵌め込まれ、前記道路を通行する歩行者および車両のうち一方または両方を照らす発光手段を有する発光プレート体で構成され、
前記発光プレート体は、
複数の凹部が断続的に連なって延在する凹溝を有する基材と、
前記凹部に嵌め込まれた透光材料からなる複数の透光プレート片と
を有し、
前記凹溝を構成する前記凹部は、内壁の少なくとも一部に第1発光パターンを有する、路面発光材。
【請求項12】
前記凹溝を構成する前記凹部は、平面視で矩形状をなし、4つの内壁のうち、1つの内壁に前記第1発光パターンを有し、前記1つの内壁と向かい合う内壁に第2発光パターンを有する、請求項11に記載の路面発光材。
【請求項13】
前記路面発光材は、前記道路のうち前記歩行者および前記車両の通行部分の境界に埋設され、
前記凹溝は、前記歩行者および前記車両の移動方向に沿って設けられ、
前記第1発光パターンは、前記歩行者を照らすように構成され、
前記第2発光パターンは、前記車両を照らすように構成される、請求項12に記載の路面発光材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を通行する歩行者や車両の運転者に、発光などの手段によって表示を行なう路面表示材および路面発光材に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を通行する歩行者や車両の運転者に表示を行なう際、道路面に敷設される白線などの路面表示によって、歩行者や運転者に表示を行なうことが多い。
【0003】
このような路面表示として、例えば特許文献1には、道路面に塗布した後にガラスビーズなどの再帰反射材を散布して乾燥させることによって塗膜を形成する路面標示用塗料として、合成樹脂の溶液または分散液と、充填材とを含有する路面標示用塗料が記載されている。この路面標示用塗料をコンクリート製の路面にスプレーなどによって塗布し、乾燥する前にその表面に再帰反射材を散布した後、塗料に含まれる希釈剤を揮発させることによって、再帰反射材の周縁部に保持部を設け、それにより再帰反射材の保持力を高めている。
【0004】
また、特許文献2には、レーザレーダの検知対象となる帯状ラインが、熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須とする溶融式の標示用塗料で形成されており、帯状ラインの表面にガラスビーズが散布固着されてなり、該ガラスビーズとして、1.6~2.5の屈折率と、500~1500μmのメジアン粒径を有するガラスビーズを50%以上含有する路面ライン標示が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、路面上に設けられる、目止層とライン塗料層とで形成される路面標示用の白線が記載されており、該白線上に、単一あるいは多成分系の金属酸化物ガラス膜により形成されるガラス膜層を設けた路面標示用の白線が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-208106号公報
【文献】特開2015-148114号公報
【文献】特開2004-239033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載されるような、路面標示用塗料を塗布して形成される路面表示では、歩行者や車両との接触による摩耗によって路面標示用塗料の塗膜が消失し易い。そのため、メンテナンスとして、定期的に再帰反射材(ガラスビーズなど)と路面標示用塗料を重ね塗りすることで、路面表示を維持する必要がある。ひとたびメンテナンスが行われると、長時間の交通規制が必要となるため、メンテナンスの頻度の少ない路面表示の手法が求められていた。
【0008】
このとき、路面標示用塗料を厚く塗布することで、歩行者や車両と接触したときに、路面表示を失われ難くすることも考えられる。しかし、路面標示用塗料を厚く塗布した場合、特に路面表示の下側において、歩行者や車両との接触によって受ける力が増加するため、路面表示が道路面からの剥離によって脱落し易くなる。
【0009】
本発明の目的は、メンテナンスの頻度を減らすことが可能であり、かつ道路面からの脱落を起こり難くすることが可能な、路面表示材および路面発光材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、道路上に形成した配設溝に嵌め込んだ、歩行者や車両運転者に対し、識別表示機能を発揮する表示プレート体を少なくとも有する路面表示材によることで、表示プレート体が配設溝に保持され、それにより路面表示材が道路面から脱落され難くなることを見出した。それとともに、表示プレート体が識別表示機能を発揮することで、歩行者や車両との接触による摩耗によっても、路面表示材の識別表示機能を消失し難くすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)道路上に形成した配設溝に嵌め込まれ、前記道路を通行する歩行者および車両の運転者のうち一方または両方に対し、識別表示機能を発揮する表示プレート体を少なくとも有することを特徴とする路面表示材。
(2)前記表示プレート体は、耐摩耗材料からなり、連続して延在する連続凹溝、および複数の凹部が断続的に連なって延在する断続凹溝の少なくとも一方の凹溝を有する基材と、前記凹溝に嵌め込まれた表示プレート片とを有する、上記(1)に記載の路面表示材。
(3)前記表示プレート片は、前記断続凹溝に嵌め込まれ、前記凹溝を構成する凹溝同士の間に存在する前記基材の区画部分は、前記区画部分の上面位置と前記凹溝の底面位置との間の所定高さ位置に摩耗限界表示を有する、上記(2)に記載の路面表示材。
(4)前記表示プレート体は、前記道路上における区画線としての機能を有する白線プレートである、上記(1)、(2)または(3)に記載の路面表示材。
(5)前記表示プレート片は、透光材料からなり、前記断続凹溝を構成する前記凹部は、内壁の少なくとも一部に第1表示パターンを有する、上記(2)または(3)に記載の路面表示材。
(6)前記表示プレート片は、透光材料からなり、前記断続凹溝を構成する前記凹部は、平面視で矩形状をなし、4つの内壁のうち、1つの内壁に第1表示パターンを有し、前記1つの内壁と向かい合う内壁に第2表示パターンを有する、上記(2)または(3)に記載の路面表示材。
(7)前記路面表示材は、ケーブルを収容する内部空間を有し、上端が開口するケーブル収容部の前記開口を閉鎖する蓋材である、上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の路面表示材。
(8)前記第1表示パターンおよび前記第2表示パターンの少なくとも一方は、前記ケーブルと電気的に接続されて発光する発光手段によって構成される、上記(7)に記載の路面表示材。
(9)前記発光手段は、前記道路を設定速度と異なる速度で走行する車両に対し、前記設定速度での走行を促す第1の発光を行う、上記(8)に記載の路面表示材。
(10)前記発光手段は、前記道路を逆走方向に走行する車両に対し、前記逆走方向での走行を通知する第2の発光を行う、上記(8)に記載の路面表示材。
(11)前記基材および前記表示プレート片のうち少なくとも一部が、電磁波を反射する材料によって構成される、上記(2)から(10)のいずれかに記載の路面表示材。
(12)前記路面表示材は、融雪設備の蓋材を構成し、前記蓋材は、発熱体を収容する内部空間を有し、上端が開口する収容容器の前記開口を閉鎖する位置に設けられる伝熱性の蓋材である、上記(1)から(11)のいずれか1項に記載の路面表示材。
(13)道路上に形成した配設溝に嵌め込まれ、前記道路を通行する歩行者および車両のうち一方または両方を照らす発光手段を有する発光プレート体で構成されることを特徴とする路面発光材。
(14)前記発光プレート体は、耐摩耗材料からなり、連続して延在する連続凹溝、および複数の凹部が断続的に連なって延在する断続凹溝の少なくとも一方の凹溝を有する基材と、前記凹溝に嵌め込まれた透光材料からなる透光プレート片とを有する、上記(13)に記載の路面発光材。
(15)前記断続凹溝を構成する前記凹部は、内壁の少なくとも一部に第1発光パターンを有する、上記(14)に記載の路面発光材。
(16)前記断続凹溝を構成する前記凹部は、平面視で矩形状をなし、4つの内壁のうち、1つの内壁に第1発光パターンを有し、前記1つの内壁と向かい合う内壁に第2発光パターンを有する、上記(14)または(15)のいずれか1項に記載の路面発光材。
(17)前記路面発光材は、前記道路のうち前記歩行者および前記車両の通行部分の境界に埋設され、前記断続凹溝は、前記歩行者および前記車両の移動方向に沿って設けられ、前記第1発光パターンは、前記歩行者を照らすように構成され、前記第2発光パターンは、前記車両を照らすように構成される、上記(16)に記載の路面発光材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メンテナンスの頻度を減らすことが可能であり、かつ道路面からの剥離を起こり難くすることが可能な、路面表示材および路面発光材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に従う第1実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図1(a)が斜視図、
図1(b)が
図1(a)の仮想平面P
1における断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に従う第1実施形態の路面表示材の複数個が舗装路に設置された状態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に従う第2実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図3(a)が斜視図、
図3(b)が
図3(a)の仮想平面P
2における断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に従う第3実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図4(a)が斜視図、
図4(b)が
図4(a)の仮想平面P
3における断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図5(a)が斜視図、
図5(b)が
図5(a)の仮想平面P
4における断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材を用いて、道路を設定速度と異なる速度で走行する車両の運転者に対して表示を行う場合の模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材を用いて、道路を逆走方向に走行する車両の運転者に対して表示を行う場合の模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に従う第5実施形態の路面表示材の構造を示した模式断面図である。
【
図9】
図9は、本発明に従う第6実施形態の路面発光材の構造を示した図であって、
図9(a)が斜視図、
図9(b)が
図9(a)の仮想平面P
5における断面図である。
【
図10】
図10は、本発明に従う第6実施形態の路面発光材を用いて、歩行者を照らし、かつ車両の運転者に対して表示を行う場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態について、以下で説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明に従う第1実施形態の路面表示材の構造を示したものであって、
図1(a)が斜視図、
図1(b)が
図1(a)の仮想平面P
1における断面図であり、
図1(a)は、収容容器内に1本のケーブルを収容した状態で示している。また、
図2は、本発明に従う第1実施形態の路面表示材の複数個が舗装路に設置された状態を示す概略図である。
【0016】
本発明に従う第1実施形態に係る路面表示材1は、
図2に記載されるように、道路10上に形成した配設溝11に嵌め込まれ、道路を通行する歩行者Fおよび車両Cの運転者のうち一方または両方に対し、道路における歩行路または走行路の識別表示機能を発揮する表示プレート体2を少なくとも有する。このように、表示プレート体2を配設溝11に嵌め込まれるように構成することで、厚みのある表示プレート体2が配設溝11に保持されるため、路面表示材1の道路10からの脱落を起こり難くすることができる。また、路面表示材1を配設溝11に嵌め込む構造にすることで、白線などの識別表示を塗膜で形成する従来法に比べて、塗膜が剥がれて表示がかすれることがなく、また、新しく白線を形成し直す場合にも、塗膜を剥がす手間が不要になるため、メンテナンスの作業時間を減らすことが可能である。
【0017】
図2では、路面表示材1が道路10上に形成した配設溝11に嵌め込まれており、かつ、道路10の車両Cや歩行者Fの移動方向Dに沿って複数並べられている。他方で、路面表示材1は、必要とされる路面表示に従って任意の形状にすることができ、移動方向Dに沿って並べられるものに限られない。また、路面表示材1は、移動方向Dに沿って並べる場合、隣接する路面表示材1の端部同士が接触した状態で連続ライン(実線)状に並べて構成してもよく、または、隣接する路面表示材1同士を所定の間隔を開けて断続ライン(破線)状に並べて構成してもよい。
【0018】
路面表示材1は、車両Cや歩行者Fの通行の妨げにならないようにする観点から、表示プレート体2の上面Tが、道路10における車両Cや歩行者Fの通行面(地表面G)と同一平面になるように、配設溝11に嵌め込まれて埋設されることが好ましい。道路10における車両Cや歩行者Fの通行面は、舗装路および非舗装路の路面のいずれであってもよいが、汚損による識別表示機能の低下を防ぐ観点から、舗装路20の路面であることが好ましい。舗装路20としては、
図2に記載されるような、主にアスファルトからなる舗装層21と、主に土からなり下層に位置する地盤22と、を有するものが挙げられる。なお、
図2では、路面表示材1が車両Cおよび歩行者Fの両方が通行する道路10上に埋設される例を説明するが、路面表示材1が埋設される道路10は、車両Cおよび歩行者Fのうち一方が通行するものであってもよい。また、道路10には、車両Cや歩行者Fが通行しない箇所を備えるものも含まれ、さらには、駐車場や駐輪場のように車両Cや歩行者Fを通過させる機能を具備しないものも含まれる。
【0019】
路面表示材1の配設溝11への固定手段は、特に限定されず、例えば杭やビスなどの公知の手段を用いることができる。本実施形態に係る路面表示材1は、路面標示用塗料のように、舗装路20の路面への粘着によらなくても配設溝11に固定することができるため、上面を車両Cおよび歩行者Fが通過しても破損が起こり難い。
【0020】
路面表示材1は、単独で配設溝11に固定されてもよい。他方で、
図1に示すように、路面表示材1を、ケーブル7を収容する内部空間Sを有し、上端が開口する収容容器8と組み合わせて、前記開口を閉鎖する蓋材として用いることも好ましい。これにより、路面表示材1の敷設と、ケーブル7の地中への埋設とを同時に行うことができる。
【0021】
収容容器8としては、通信線や低圧電力線、高圧電力線などのケーブル7を収容する容器が挙げられる。特に、収容容器8を設置する際のケーブル7の脱落を防ぐ観点から、ケーブル7が延在する方向と平行な延在方向(
図1の路面表示材1の長さ方向y)に対して直角に交わる横断面で見たときに、凹状となる形状を有することが好ましい。つまり、路面表示材1は、識別表示機能を有するとともに、収容容器8の蓋材としての機能も有することが好ましい。
【0022】
[表示プレート体]
本実施形態に係る路面表示材1は、
図1に示すように、識別表示機能を発揮する表示プレート体2を備える。
【0023】
本実施形態に係る路面表示材1では、表示プレート体2のうち少なくとも表示プレート片5が、例えば道路上における区画線としての機能を有する白線プレートのように、少なくとも一部が道路10と異なる色彩を有することで、歩行者Fや車両Cの運転者に対して識別表示機能を発揮する。他方で、表示プレート体2は、少なくとも一部が光を発することで、歩行者Fや車両Cの運転者に対する識別表示機能を奏してもよい。この態様については後述する。
【0024】
表示プレート体2は、耐摩耗材料からなり、かつ凹溝3を有する基材4と、凹溝3に嵌め込まれた表示プレート片5と、を有することが好ましい。
【0025】
(基材)
このうち、基材4は、耐摩耗材料によって構成されることが好ましい。特に、基材4が耐摩耗材料によって構成されることで、基材4に道路10を通行する歩行者Fや車両Cなどが接触しても基材4が摩耗し難くなるため、路面表示材1の識別表示機能を保護することができる。ここで、耐摩耗材料としては、例えばJIS K 7204(プラスチック-摩耗輪による摩耗試験方法)に準拠した試験において、摩耗輪としてH-22を選択し、荷重を9.8Nにしたときに求められる摩耗量が、0.5g/1,000回以下である材料を用いることが好ましい。また、耐摩耗材料の具体例としては、鉄、ステンレスおよびアルミニウムなどの金属、ポリアミドおよびポリテトラフルオロエチレンなどのエンジニアリングプラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)、セラミック、ならびにコンクリートなどが挙げられる。
【0026】
基材4は、連続して延在する連続凹溝、および複数の凹部が断続的に連なって延在する断続凹溝のうち、少なくとも一方の凹溝3を有する。より好ましくは、
図1に示すように、凹溝3として、複数の凹部3a~3fが断続的に連なって延在する断続凹溝31を有する。路面表示材1の長さ方向yおよび幅方向xの少なくともいずれかに沿って連続して延在し、または断続的に連なる凹溝3を設けることで、その内部に表示プレート片5などの表示手段を埋め込むことができるため、路面表示材1に様々な識別表示機能を発揮させることができる。また、特に複数の凹部3a~3fが断続的に連なって延在する断続凹溝31を設けることで、凹溝3の幅方向について隣接する部分に加え、凹溝3の延在方向について途切れている部分にも耐摩耗材料が存在するため、歩行者Fや車両Cとの接触による摩耗から、路面表示材1の識別表示機能を保護することができる。
【0027】
ここで、凹溝3が形成される方向は、路面表示材1の長さ方向yに沿ってもよく、幅方向xに沿ってもよい。また、特定の方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に向けて表示する観点では、互いに平行に設けられた複数の凹溝3を有することが好ましいが、複数の凹溝3がそれぞれ異なる方向に延在してもよい。
【0028】
基材4の厚さ寸法は、大きいことが好ましく、より具体的には10mm以上100mm以下の範囲であることが好ましい。このように、路面表示材1の厚さ寸法を大きくすることで、路面表示材1を道路10に設置したときに、表示プレート体2を配設溝11に保持しやすくするとともに、路面表示材1の道路10からの脱落を起こり難くすることができる。
【0029】
基材4の地色は、特に限定されるものではないが、路面表示材1が設置される道路10に対して、表示プレート片5および基材4の両方を目立たせたい場合は、基材4の地色を白色や橙色などにしてもよい。他方で、路面表示材1を道路10に対して目立たせるのが望まれない場合は、基材4の地色を黒色や灰色などにしてもよい。
【0030】
(表示プレート片)
表示プレート片5は、基材4の凹溝3に嵌め込まれるものであり、歩行者Fや車両Cの運転者への表示を行い、またはその補助を行うものである。この表示プレート片5における色彩と、基材4の地色により、表示プレート体2の識別表示機能が発揮される。
【0031】
表示プレート片5の色彩は、路面表示材1において所望とされる表示色に基づいて決定される。例えば、路面表示材1が設置される道路10に対して、表示プレート片5を目立たせたい場合は、表示プレート片5の色彩を白色や橙色などにしてもよい。また、表示プレート片5の色彩と、基材4の地色とを組み合わせて、これらの色彩および地色と異なる色が歩行者Fや車両Cの運転者に認識されるように構成してもよい。
【0032】
この表示プレート片5は、基材4に付着するように構成される。ここで、表示プレート片5を基材4に付着させる際、必要に応じて透明または非透明の粘着剤を用いてもよい。
【0033】
表示プレート片5の厚さ寸法は、大きいことが好ましい。より具体的には、5mm以上50mm以下の範囲の厚さ寸法であることが好ましい。このように、表示プレート片5の厚さ寸法を大きくすることで、従来用いられていた塗膜と比べて厚みを大きくすることが可能になるため、歩行者Fや車両Cなどとの接触による摩耗によっても、路面表示材1の識別表示機能を消失し難くすることができる。
【0034】
表示プレート片5は、断続凹溝31に嵌め込まれるとともに、凹溝3を構成する凹溝3同士の間に存在する基材4の区画部分41に、区画部分41の上面Tの位置と凹溝3の底面33の位置との間の所定高さ位置に、摩耗限界表示6を有することが好ましい。特に、この摩耗限界表示6を、歩行者Fや車両Cなどとの接触による摩耗が許容される高さ位置よりも上側に設けることで、路面表示材1の識別表示機能が消失する前に路面表示材1の交換を進めることが可能になる。そのことで、路面表示材1の識別表示機能を適切に維持しながら、適切なタイミングでメンテナンスを行うことができ、また、メンテナンスの計画を立て易くすることができるため、メンテナンスの効率化を図ることができる。例えば、摩耗限界表示6が目視により認められたときに、表示プレート片5を交換するメンテナンス作業を行うことができる。
【0035】
ここで、表示プレート片5と基材4のうち一方または両方は、電磁波を反射する材料を含んで構成されることが好ましい。これにより、自動運転機能を備えた車両Cが発するレーダーなどの電磁波が反射され易くなるため、自動運転機能を備えた車両Cが、道路10上にある路面表示材1を識別しやすくすることができる。したがって、例えば、電磁波反射性を有する表示プレート片5や基材4を有する路面表示材1を、道路10の通行帯の区分線に用いた場合、車両Cの通行帯からの逸脱をより確実に防ぐことができる。
【0036】
なお、本明細書における「車両の運転者」には、自動運転機能付き車両の場合の車両も含まれる。
【0037】
<第2実施形態>
図3は、本発明に従う第2実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図3(a)が斜視図、
図3(b)が
図3(a)の仮想平面P
2における断面図であり、
図3(a)は、収容容器内に1本のケーブルを収容した状態で示している。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0038】
図3に示す路面表示材1Aは、表示プレート片5Aが透光材料からなり、断続凹溝31を構成する凹部3a~3fは、内壁32の少なくとも一部に第1表示パターン61Aを有する。本実施形態では、路面表示材1Aの表示プレート体2Aのうち、表示プレート片5Aそのものではなく、断続凹溝31の内壁32に設けられた第1表示パターン61Aが、透光材料からなる表示プレート片5Aを介して、道路10と異なる色彩を呈することで、歩行者Fや車両Cの運転者に対して識別表示機能を発揮する。
【0039】
表示プレート片5Aを構成する透光材料としては、可視光(波長400nm~700nmの範囲の光)を透過する材料を用いることができ、その具体例としては、ポリカーボネート、アクリル、強化ガラスなどを挙げることができる。
【0040】
第1表示パターン61Aは、断続凹溝31の内壁32のうち少なくとも一部に設けられる。より好ましくは、
図3に示す態様では、第1表示パターン61Aは、断続凹溝31の内壁32のうち、上面Tに対して垂直であり、かつ一方向に面する側壁34に設けられる。特に、第1表示パターン61Aを、一方向に面する側壁34に設けることで、一方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に対し、選択的に識別表示機能を発揮することができる。
【0041】
<第3実施形態>
図4は、本発明に従う第3実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図4(a)が斜視図、
図4(a)の仮想平面P
3における断面図であり、
図4(a)は、収容容器内に1本のケーブルを収容した状態で示している。なお、以下の説明において、上記第1実施形態または第2実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0042】
図4に示す路面表示材1Bは、表示プレート片5Bが第2実施形態と同様に透光材料からなり、断続凹溝31を構成する凹部3a~3fは、上側から見た平面視で矩形状をなし、矩形の各辺によって構成される4つの内壁のうち、1つの内壁である側壁34に第1表示パターン61Bを有し、1つの内壁(側壁34)と向かい合う内壁(側壁35)に第2表示パターン62Bを有する。ここで、第1表示パターン61Bは、断続凹溝31の内壁32のうち、上面Tに対して垂直であり、かつ一方向に面する側壁34に設けられる。他方で、第2表示パターン62Bは、凹部3a~3fの内壁32のうち、上面Tに対して垂直であり、かつ前記一方向とは反対側の他方向に面する側壁35に設けられる。これにより、一方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に対して、選択的に第1表示パターン61Bを表示することができ、かつ、他方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に対して、選択的に第2表示パターン62Bを表示することができる。したがって、路面表示材1Bから見て両側に位置する歩行者Fや車両Cの運転者に対し、それぞれ異なる内容を表示することができる。
【0043】
<第4実施形態>
図5は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材の構造を示した図であって、
図5(a)が斜視図、
図5(b)が
図5(a)の仮想平面P
4における断面図であり、
図5(a)は、収容容器内に1本のケーブルを収容した状態で示している。また、
図6は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材を用いて、道路を設定速度と異なる速度で走行する車両の運転者に対して表示を行う場合の模式図である。また、
図7は、本発明に従う第4実施形態の路面表示材を用いて、道路を逆走方向に走行する車両の運転者に対して表示を行う場合の模式図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態から第3実施形態の少なくともいずれかと同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0044】
図5に示す路面表示材1Cは、第1表示パターン61Cおよび第2表示パターン62Cの少なくとも一方を備える路面表示材1Cであり、第1表示パターン61Cおよび第2表示パターン62Cの少なくとも一方が、ケーブル7と電気的に接続されて発光する発光手段72C、73Cによって構成される。ここで、
図5に示す路面表示材1Cでは、第1表示パターン61Cが発光手段72Cによって構成され、第2表示パターン62Cが発光手段73Cによって構成される。これにより、発光手段72C、73Cが、ケーブル7とリード線71などによって図示しない電源に電気的に接続されて発光するため、歩行者Fや車両Cの運転者に対し、識別表示機能を発揮することができる。このとき、ケーブル7を上述の収容容器8に収容することで、ケーブル7と発光手段72C、73Cが近接して設けられるため、メンテナンス時における配線作業を行い易くすることができる。
【0045】
路面表示材1Cは、第2実施形態および第3実施形態と同様に透光材料からなる表示プレート片5Cを有し、発光手段72C、73Cからの発光に基づいて、歩行者Fや車両Cの運転者に第1表示パターン61Cや第2表示パターン62Cが表示されるように構成される。ここで、発光手段72C、73Cとしては、LED(Light Emitting Diode)などの可視光(波長400~700nmの範囲の光)が発生するものを用いてもよく、また、紫外域や赤外域の光が発生するものを用いて蛍光物質と組み合わせてもよい。
【0046】
本実施形態の路面表示材1Cは、固定された表示パターンのほか、時間により表示の有無や色彩が変化する表示パターンを、歩行者Fや車両Cの運転者に表示するように構成することもできる。例えば、道路10に設けられる路面表示材1Cは、道路10を法定速度などの設定速度v0と異なる速度で走行する車両Cに対し、設定速度v0での走行を促す第1の発光を行うように発光手段72Cを構成することが好ましい。より具体的には、路面表示材1Cは、設定速度v0に合わせて、車両Cが走行する方向に向かって発光箇所が移るように、発光手段72Cを、順に発光および消光するように構成することが好ましい。これにより、車両Cの移動速度v1が設定速度v0を超過していることや、上り勾配などで車両Cの移動速度v1が低下していることが、車両Cの運転者に向けて表示されるため、車両Cに対してより適切な速度での通行を促すことができる。
【0047】
また、異なる一例として、道路10に設けられる路面表示材1C’は、道路10を逆走方向に走行(移動速度v1が設定されている方向と逆方向に走行)する車両に対し、逆走方向での走行を通知する第2の発光を行うように発光手段73Cを構成することが好ましい。より具体的には、路面表示材1C’は、車両C’の運転者に対して、移動方向が適切でないことを、発光手段73Cが警告色を発光および消光することで表示することが好ましい。これにより、車両C’が逆走車両であることが、車両C’の運転者に向けて表示されるため、逆走する車両C’による交通事故を起こり難くすることができる。
【0048】
さらに、
図6および
図7に示すように、路面表示材1Cが設置される道路10は、車両の進行方向や進行速度を検知して検知信号を発生する検知手段91と、この検知信号から車両の進行方向や進行速度を推測し、道路10における所定の移動(通行)方向や設定速度に基づいて、発光手段72C、73Cの発光および消光を制御して、第1表示パターン61Cや第2表示パターン62Cが表示されるように構成する発光制御手段92と、をさらに備えることが好ましい。これにより、移動方向や移動速度が適正でない車両の運転者に対して選択的に、移動方向や移動速度に関する情報を路面表示材1Cに表示することができる。
【0049】
このとき、
図6に示すように、検知手段91が、道路10上での移動速度v
1が設定速度v
0よりも高い(低い)車両Cを検知したとき、発光制御手段92は、設定速度v
0に沿って発光箇所が移るように、車両Cの前方に対向する発光手段72Cが順に発光および消光するように構成することができる。それにより、発光手段72Cは、車両Cの運転者に対して、適正な移動速度を表示することができる。
【0050】
また、
図7に示すように、検知手段91が、道路10を逆走方向に走行(移動速度v
1が設定されている方向と逆方向に走行)する車両C’を検知したとき、発光制御手段92は、車両C’に対し、発光手段73Cが警告色を発光および消光するように構成することができる。それにより、発光手段73Cは、車両C’の運転者に対して、移動方向が適切でないことを表示することができる。このとき、発光制御手段92は、車両C’の前方にいる他の車両に対して、発光手段72Cが警告色を発光および消光するように構成し、それにより他の車両に逆走している車両C’の存在を表示することもできる。これらにより、逆走する車両C’による交通事故を起こり難くすることができる。
【0051】
<第5実施形態>
図8は、本発明に従う第5実施形態の路面表示材の構造を示した模式断面図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態から第4実施形態の少なくともいずれかと同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0052】
本実施形態では、路面表示材1は、
図8に示すように、融雪設備12の蓋材を構成するものである。ここで、蓋材を構成する路面表示材1は、発熱体9を収容する内部空間Sを有し、上端が開口する収容容器8と組み合わせて、内部空間Sの上端の開口を閉鎖する位置に設けられる、伝熱性の蓋材であることが好ましい。これにより、地表面Gのうち、少なくとも路面表示材1の上の積雪Wが融解するため、特に積雪地においても、所望の識別表示機能を歩行者Fや車両Cの運転者に対して発揮することができる。
【0053】
ここで、発熱体9としては、地表面Gを0℃以上に加熱できるものであればよい。その中でも、収容容器8に電源のケーブルを収容できる観点では、電熱線やそれによって加熱される温水配管であることが好ましい。他方で、より広範な地表面Gの融雪を図る観点では、発熱体9から0℃超の水や温水を地表面に散布してもよい。なお、
図8では、主にアスファルトからなる舗装層21と、主に土からなる地盤22と、を有する舗装路20に、路面表示材1と発熱体9の収容容器8を備えた融雪設備12を埋設する例を記載しているが、これに限定されない。
【0054】
<第6実施形態>
上述の第4実施形態では、発光手段72C、73Cを備える路面表示材1Cとして、道路10を通行する歩行者Fや車両Cの運転者に対し、識別表示機能を発揮する構成について示したが、かかる構成だけには限定されない。例えば、第4実施形態における路面表示材1Cの発光手段72C、73Cにおける輝度などを適切に調整して、
図9に示すように、道路を通行する歩行者Fおよび車両Cのうち一方または両方を照らす発光手段72’、73’を有する発光プレート体2’で構成される路面発光材1’を、道路10上に形成した配設溝11に嵌め込むことで構成してもよい。
【0055】
路面発光材1’は、第4実施形態の路面表示材1Cと同様に構成することができる。すなわち、発光プレート体2’は、表示プレート体2と同様に、耐摩耗材料からなり、かつ凹溝3を有する基材4と、凹溝3に嵌め込まれた透光材料からなる透光プレート片5’と、を有することが好ましい。このうち、凹溝3としては、歩行者Fや車両Cとの接触による摩耗から発光手段72’、73’を保護することができる観点では、複数の凹部3a~3fが断続的に連なって延在する断続凹溝31を有することが好ましい。他方で、断続凹溝31とともに、またはその代わりに、連続して延在する連続凹溝を有してもよい。
【0056】
このとき、断続凹溝31を構成する凹部3a~3fは、内壁の少なくとも一部に第1発光パターン61’を有することが好ましい。より好ましくは、断続凹溝31を構成する凹部3a~3fは、上側から見た平面視で矩形状をなし、矩形の各辺によって構成される4つの内壁のうち、1つの内壁である側壁34に第1発光パターン61’を有し、1つの内壁(側壁34)と向かい合う内壁(側壁35)に第2発光パターン62’を有する。これにより、一方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に対して、選択的に第1発光パターン61’を表示することができ、かつ、他方向に存在する歩行者Fや車両Cの運転者に対して、選択的に第2発光パターン62’を表示することができる。したがって、路面発光材1’から見て両側に位置する歩行者Fや車両Cの運転者に対し、それぞれ異なる内容を表示することができる。
【0057】
路面発光材1’の具体例としては、
図10に示されるような、道路10のうち歩行者Fおよび車両Cの通行部分の境界に埋設される路面発光材1’が挙げられる。ここで、路面発光材1’は、断続凹溝31が、歩行者Fおよび車両Cの移動方向Dに沿うように設けられる。このとき、
図9に示される、断続凹溝31の側壁34に設けられる発光手段72による第1発光パターン61’は、方向L
1にある歩行者Fを照らすように構成される。また、断続凹溝31の側壁35に設けられる発光手段73による第2発光パターン62’は、方向L
2にある車両Cを照らすように構成される。これにより、第1発光パターン61’によって歩行者Fが照らされるとともに、第2発光パターン62’によって、車両Cの運転者に対して選択的に注意喚起がなされる。したがって、路面発光材1’の両側を通行する歩行者Fおよび車両Cの双方が、道路10をより安全に通行することができる。
【0058】
<他の実施形態>
また、第6実施形態における路面発光材1’のリード線71に接続されている発光手段72’、73’は、他の電気機器や電子機器に置き換えることで、歩行者Fや車両Cの運転者の五感のうち、少なくともいずれかを刺激するように構成することも可能である。
【0059】
例えば、発光手段72’および発光手段73’のうち少なくともいずれかを、指向性のあるスピーカに置き換えることが可能である。より具体的には、
図9を用いて説明すると、断続凹溝31の側壁34にスピーカを設けることで、方向L
1にある歩行者Fの聴覚を刺激するように構成することができる。また、断続凹溝31の側壁35にスピーカを設けることで、方向L
2にある車両Cの運転者の聴覚を刺激するように構成することができる。これにより、歩行者Fまたは車両Cの運転者に対し、選択的に音声によって注意喚起することができる。
【0060】
また、発光手段72’および発光手段73’のうち少なくともいずれかを、噴霧手段に置き換えることも可能である。より具体的には、
図9を用いて説明すると、断続凹溝31の側壁34に噴霧手段を設けることで、方向L
1にある歩行者Fに向けて選択的に、冷感を与え、または芳香を漂わせることもできる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A~1C 路面表示材
2、2A~2C 表示プレート体
3 凹溝
3a~3f 凹部
31 断続凹溝
32 内壁
33 底面
34、35 側壁
4 基材
41 基材の区画部分
5、5A~5C 表示プレート片
6 摩耗限界表示
7 ケーブル
71 リード線
72C、73C 発光手段
8 収容容器
9 発熱体
10 道路
11 配設溝
12 融雪設備
20 舗装路
21 舗装層
22 地盤
61A~61C 第1表示パターン
62B、62C 第2表示パターン
91 検知手段
92 発光制御手段
1’ 路面発光材
2’ 発光プレート体
5’ 透光プレート片
61’ 第1発光パターン
62’ 第2発光パターン
72’、73’ 発光手段
C 車両
D 移動方向
F 歩行者
G 地表面
S 収容容器の内部空間
T 表示プレート体の上面
W 積雪
v0 道路の設定速度
v1 車両の移動速度
x 路面表示材の幅方向
y 路面表示材の長さ方向