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特許7479248情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/34 20060101AFI20240426BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240426BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240426BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G09G3/34 J
G02F1/133 535
G09G3/20 642A
G09G3/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020146341
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2021189420
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-07-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2020095050
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】須崎 滉平
【合議体】
【審判長】濱野 隆
【審判官】田邉 英治
【審判官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-27702(JP,A)
【文献】特開2012-68655(JP,A)
【文献】特開2012-2862(JP,A)
【文献】特開2010-54839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の光源を有するバックライトにおける1つの光源が点灯した際の光の広がり方を表す第1の輝度プロファイルデータを入力し、前記点灯した1つの光源からの光の照射領域における前記第1の輝度プロファイルデータに基づく輝度分布の位置に応じて間引き間隔を変更して前記第1の輝度プロファイルデータの値の間引きを行った、第2の輝度プロファイルデータを生成することを有し、
前記第1の輝度プロファイルデータに基づく前記輝度分布は、少なくとも第1領域、第2領域、及び第3領域に分けられ、
前記第1領域における空間的な輝度変化は、前記第2領域における空間的な輝度変化及び前記第3領域における空間的な輝度変化よりも大きく、
前記第2領域における空間的な輝度変化は、前記第1領域における空間的な輝度変化よりも小さく、
前記第3領域における空間的な輝度変化は、前記第2領域における空間的な輝度変化よりも小さく、
前記第1領域において、前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行わないで、前記第2の輝度プロファイルデータを生成し、
前記第2領域において、前記第3領域における間引き間隔よりも小さい間引き間隔で前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行って、前記第2の輝度プロファイルデータを生成し、
前記第3領域において、前記第2領域における間引き間隔よりも大きい間引き間隔で前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行って、前記第2の輝度プロファイルデータを生成することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
1つまたは複数の光源を有するバックライトにおける1つの光源が点灯した際の光の広がり方を表す第1の輝度プロファイルデータを入力し、前記点灯した1つの光源からの光の照射領域における前記第1の輝度プロファイルデータに基づく輝度分布の位置に応じて間引き間隔を変更して前記第1の輝度プロファイルデータの値の間引きを行った、第2の輝度プロファイルデータを生成することを有し、
前記第1の輝度プロファイルデータは、少なくとも第4領域、第5領域、及び第6領域に分けられ、
前記第4領域は、前記第1の輝度プロファイルデータにおける最も輝度が高い部分を含み、
前記第5領域の前記第4領域からの一方向における距離は、前記第6領域の前記第4領域からの前記一方向における距離よりも小さく、
前記第6領域の前記第4領域からの前記一方向における距離は、前記第5領域の前記第4領域からの前記一方向における距離よりも大きく、
前記第4領域において、前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行わないで、前記第2の輝度プロファイルデータを生成し、
前記第5領域において、前記第6領域における間引き間隔よりも小さい間引き間隔で前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行って、前記第2の輝度プロファイルデータを生成し、
前記第6領域において、前記第5領域における間引き間隔よりも大きい間引き間隔で前記第1の輝度プロファイルデータの間引きを行って、前記第2の輝度プロファイルデータを生成することを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
コンピュータに、請求項1または2に記載の情報処理方法によって第2の輝度プロファイルデータを生成させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の情報処理方法によって生成した第2の輝度プロファイルデータが格納された記憶素子と、
前記記憶素子に格納された前記第2の輝度プロファイルデータの値を参照して、光源が1つまたは複数並べられたバックライトの前記光源が各々の位置から各々の光出力レベルで点灯した際のバックライト全体の輝度分布を計算する輝度分布計算部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項5】
1つまたは複数の光源を有するバックライトにおける1つの光源が点灯した際の光の広がり方を表す第1の輝度プロファイルデータが格納された第1の記憶素子と、
前記第1の輝度プロファイルデータの値から、請求項1または2に記載の情報処理方法によって第2の輝度プロファイルデータを生成する情報処理部と、
前記第2の輝度プロファイルデータを格納する第2の記憶素子と、
前記第2の記憶素子に格納された前記第2の輝度プロファイルデータの値を参照して、光源が1つまたは複数並べられたバックライトの前記光源が各々の位置から各々の光出力レベルで点灯した際のバックライト全体の輝度分布を計算する輝度分布計算部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項6】
1つまたは複数の光源が並べられたバックライトと、
前記バックライトの前記光源の明るさを制御するバックライト制御部と、
画像を表示する液晶パネルと、
前記液晶パネルにおける各画素の透過率を制御する液晶パネル制御部と、
画像データから前記バックライトの各光源の光出力レベルを算出する光出力レベル計算部と、
前記第2の輝度プロファイルデータと前記光出力レベルとから各光源位置での輝度分布データを計算する輝度分布計算部と、
前記輝度分布計算部による計算結果から前記液晶パネルにおける各画素の透過率を計算する画像処理部と、
を備え、
前記輝度分布計算部は、請求項4または請求項5記載の情報処理装置であることを特徴とする、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光源で構成されたバックライトと、液晶パネルと、を用いた画像表示装置において、表示する画像と、各光源の明るさと、を制御することで、低消費電力かつ高コントラストの画像表示が可能である。
【0003】
特許文献1に開示された画像表示装置では、光源の照度分布と、光源ごとの発光輝度の変調率と、から照射対象物の位置ごとに光源の照度分布を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-54839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バックライト全体の輝度分布計算を行う際に参照する輝度プロファイルデータは、光源からの照射光の輝度分布を厳密に再現するものである必要がある一方で、できる限りデータ量を少なくしつつ、なおかつデータ量が多い場合と同程度の精度で輝度分布計算結果を得られるものであることが求められる。データ量を減らす目的であればデータの単純な間引きや削減などによって実現が可能であるが、単純な間引きや削除では輝度プロファイルデータのうち、輝度分布内での位置による違いなどの特徴的な部分が表されているデータまで削除してしまうことがある。
【0006】
そこで、本開示は、元の輝度プロファイルデータの特徴を残しつつ、もともとの輝度プロファイルデータの値から、データ量を削減した新たな輝度プロファイルデータを生成する情報処理方法を提供することを目的とする。
本開示は、さらに、そのような情報処理方法を用いて第2の輝度プロファイルデータを生成する情報処理プログラムを提供することを目的とする。
本開示は、さらに、そのような情報処理方法あるいはプログラムを用いて第2の輝度プロファイルデータを生成しバックライト全体の輝度分布を計算する情報処理装置を提供することを目的とする。
本開示は、さらに、そのような情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る情報処理方法は、1つまたは複数の光源を有するバックライトにおける1つの光源が点灯した際の光の広がり方を表す第1の輝度プロファイルデータを入力し、前記第1の輝度プロファイルデータに基づく輝度分布の位置に応じて間引き間隔を変更して前記第1の輝度プロファイルデータの値の間引きを行った、第2の輝度プロファイルデータを生成する。
本発明の実施形態に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、上記の情報処理方法によって第2の輝度プロファイルデータを生成させる。
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、上記の情報処理方法によって生成した第2の輝度プロファイルデータが格納された記憶素子と、前記記憶素子に格納された前記第2の輝度プロファイルデータの値を参照して、光源が1つまたは複数並べられたバックライトの前記光源が各々の位置から各々の光出力レベルで点灯した際のバックライト全体の輝度分布を計算する輝度分布計算部と、を備える。
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、1つまたは複数の光源を有するバックライトにおける1つの光源が点灯した際の光の広がり方を表す第1の輝度プロファイルデータが格納された第1の記憶素子と、前記第1の輝度プロファイルデータの値から、上記の情報処理方法によって第2の輝度プロファイルデータを生成する情報処理部と、前記第2の輝度プロファイルデータを格納する第2の記憶素子と、前記第2の記憶素子に格納された前記第2の輝度プロファイルデータの値を参照して、光源が1つまたは複数並べられたバックライトの前記光源が各々の位置から各々の光出力レベルで点灯した際のバックライト全体の輝度分布を計算する輝度分布計算部と、を備える。
本発明の実施形態に係る画像表示装置は、1つまたは複数の光源が並べられたバックライトと、前記バックライトの前記光源の明るさを制御するバックライト制御部と、画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルにおける各画素の透過率を制御する液晶パネル制御部と、画像データから前記バックライトの各光源の光出力レベルを算出する光出力レベル計算部と、輝度プロファイルデータと前記光出力レベル計算部の計算結果における各光源の光出力レベルとから各光源位置での輝度分布データを計算する輝度分布計算部と、前記輝度分布計算部による計算結果から前記液晶パネルにおける各画素の透過率を計算する画像処理部と、を備え、前記輝度分布計算部は、上記の情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法によれば、輝度分布計算結果の精度を保ったまま、元の輝度プロファイルデータに比べデータ量の少ない輝度プロファイルデータを生成することができる。
もともとの輝度プロファイルデータの特徴を残しつつ、もともとの輝度プロファイルデータの値から、データ量を削減した新たな輝度プロファイルデータを生成する情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)、(b)は、画像表示装置の一態様を表す概略斜視図である。図(b)は、図1(a)に加え、液晶パネルとバックライト用の光源との間に光学材料が挟まれている。
図2図2(a)~(c)は、1つの光源が点灯した際の輝度プロファイルデータの一態様を表す概略図である。図2(a)は、光源位置を表す概略上面図である。図2(b)は、光源の輝度プロファイルデータの各区画の輝度を、最大値を100とした割合で表すマッピング図である。図2(c)は、図2(b)の区画のうちのある1行の輝度変化を表すグラフである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理方法を説明するためのブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る間引き処理方法を説明するための輝度プロファイルデータの概略図であり、間引き前の輝度プロファイルデータを表すマッピング図である。
図5図5は、間引き領域を表す概略上面図である。
図6図6は、間引き後の輝度プロファイルデータを表すマッピング図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る間引き処理方法を説明するための輝度変化を表す輝度グラフである。
図8図8は、複数の光源が点灯した際の光の重ね合わせを説明するための輝度グラフである。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を説明するためのブロック図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置での輝度プロファイル補完方法を説明するためのマッピング図であり、補完前の輝度プロファイルデータを表すマッピング図である。
図11図11は、補完後の輝度プロファイルデータを表すマッピング図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を説明するためのブロック図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置を説明するためのブロック図である。
図14図14は、バックライトの各光源の配置の一様態を表す概略上面図である。
図15図15は、図9の各光源位置に対する液晶パネルのエリア分割を表す概略上面図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置での光出力レベルの計算方法を説明するためのマッピング図である。
図17図17は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置でのバックライト制御方法を説明するための説明図であり図17(a)は、光源と、光源に流れる電流と、を表す回路模式図である。図17(b)は、光源に流れる電流の時間波形を表すグラフである。
図18図18(a)は、2つの光源の接続と、それぞれの光源に係る電圧と、を表す回路模式図である。(b)は、2つの光源それぞれに係る電圧の時間波形を表すグラフである。
図19図19は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置を説明するためのブロック図である。
図20図20(a)は、本発明の一実施形態に係る発光装置の模式断面図であり、図20(b)は、図20(a)に示す発光装置を下から見た模式平面図である。
図21図21は、本発明の一実施形態に係る発光素子の模式平面図である。
図22図22は、図21のXXII-XXII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「中央」、「水平」、「垂直」、「斜め」、「上」、「下」及び、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は、図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は、同一の部分または部材を示す。
【0011】
(画像表示装置)
図1は、実施形態に係る画像表示装置の一態様を例示する概念図である。すなわち、同図は、液晶パネルと、光源を含むバックライトと、制御部と、を合わせた画像表示装置100の一例を表す概略図である。
画像表示装置100には、液晶パネル130と、バックライト120と、を備えたものがある。この画像表示装置100では、バックライト120の光を液晶パネル130に照射し、液晶パネル130の各画素の透過率を制御して、任意の画像を表示させる。バックライト120の明るさや液晶パネル130の各画素の透過率は、制御部150にて制御を行う。
図1(a)、(b)は、画像表示装置の一態様を表す概略斜視図である。
図1(a)に表した一態様は、平面上に光源110を複数並べたバックライト120と、液晶パネル130と、制御部150と、を含む。
図1(b)に表した一態様は、図1(a)に加え、バックライト120と液晶パネル130の間に、光学材料140が含まれる。光学材料140の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
以下、この画像表示装置100で実行される制御方法と、情報処理方法と、について説明する。
【0012】
(バックライト)
バックライトとしては、図1(a)のようにバックライト120のみをバックライト呼んでも、図1(b)のようにバックライト120と光学材料140を合わせたものをバックライトと呼んでも、どちらでもよい。光学材料140としては、例えば光拡散シートや、光拡散板や、レンズシートなどを挙げることができる。
【0013】
(輝度プロファイルデータ)
実施形態では、1つまたは複数の光源が平面上に並べられたバックライトの内、1つの光源が点灯し液晶パネルなどの画像表示素子に光を照射した際に、画像表示素子の各区画(画素)に照射される照射光の輝度分布を、「輝度プロファイル」と呼ぶ。また、輝度プロファイルの数値データを「輝度プロファイルデータ」と呼ぶ。なお、バックライトの内の1つの光源は、少なくとも発光素子を1つ含むものであり、具体的には、発光素子が1つで構成されるものや複数で構成されるもの、1つの発光素子や複数の発光素子を備えるLEDパッケージやチップサイズパッケージ(csp)、さらにはこれらのいずれかが樹脂などの部材で覆われたものなどを含む。
【0014】
図2は、輝度プロファイルデータを説明するための概念図である。図2(a)は、バックライトの内の一つの光源110の位置を表す概略上面図である。図2(b)は、バックライトの内の1つの光源として、中央付近の光源110が1つだけ点灯した際の輝度プロファイルデータ200の一例を表す。輝度プロファイルデータ200は複数の区画210に分かれている。1つの区画210は、画像表示素子の1つの画素を表す。区画210内に書かれた数値は、画像表示素子の各画素における照射光の輝度の相対強度を表す。図2(b)では、輝度プロファイルデータとして21×21区画のデータを表しているが、輝度プロファイルデータの区画数(データ数)は21×21区画に限らない。また、図2(b)は、上下あるいは左右または上下左右に等方的なデータの一例であるが、等方的なデータに限らない。例えば、240×270区画のデータであり、データ値の変化が等方的でないものでもよい。
図2(c)は、輝度プロファイルデータ200のうち、Aの領域の各区画に書かれた数値をプロットしたグラフである。
【0015】
(輝度分布計算)
バックライトに含まれる各光源が、各々の光出力レベルで点灯した際に、画像表示素子の各区画に照射される照射光は、各光源が各々の位置から各々の光出力レベルで照射した光を重ね合わせたものになる。この、光を重ね合わせたものを、ここでは「バックライト全体の輝度分布」と呼ぶ。バックライト全体の輝度分布は、各光源の光出力レベルと、各光源の位置情報と、輝度プロファイルデータと、から計算によって推定が可能である。
【0016】
<第1の実施形態>
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理方法のブロック図である。
図3に示すように、情報処理方法300は、第1の輝度プロファイルデータ310を間引き処理部320に入力するステップと、間引き処理部320により間引き処理が施された第2の輝度プロファイルデータ330を出力するステップと、を含む。第1の輝度プロファイルデータ310は、例えば図2(b)に示す輝度プロファイルデータ200のようなデータである。
【0017】
(間引き処理方法)
間引き処理部320における間引き処理方法について、図4図6を用いて説明する。
図4は、輝度プロファイルデータ200表す概念図である。区画ごとに、対応する照射光の輝度の相対強度が数値で表されている。
図5は、輝度の変化の大小に応じて輝度プロファイルデータ200を複数の領域に分ける概念図である。ここでは、輝度プロファイルデータ200を領域410~領域440の4種類の領域に分けている。
間引き処理部320では、これら各領域ごとに、各領域の空間的な輝度変化の大小に応じて、間引き間隔を変更して輝度プロファイルデータの間引きを行う。空間的に輝度の変化の大きい領域では間引き間隔を小さくするか、あるいは間引きを行わない。輝度の変化の小さい領域では、間引き間隔を大きくする。
図6は、間引き処理が施された第2の輝度プロファイルデータ450を例示する概念図である。領域410~440のそれぞれにおいて、輝度プロファイルデータの空間的な変化の大小に応じて、輝度データが適宜間引かれていることが分かる。具体的には、領域410~440を、空間的に輝度の変化の大きい領域から並べると、領域420、領域410、領域430、領域440となるところ、領域420の間引き間隔が最も小さく、領域410、領域430、領域440の順に間引き間隔が大きくなるように第2の輝度プロファイルデータを生成している。さらにここでは輝度変化の最も大きい領域にあたる領域420では、間引きを行っていない。間引き処理により、第1の輝度プロファイルデータの特徴を残しつつ、第1の輝度プロファイルデータの値から、データ量を削減した第2の輝度プロファイルデータを生成することができる。なお、本明細書で間引き間隔とは、言い換えると間引いたあとのデータの間隔のことである。例えば、間引き間隔が小さいとは、間引き量が小さいことを意味し、間引いた後のデータの間隔が小さい。
【0018】
図5及び図6に例示した具体例においては、説明の簡略化のために4種類の領域に分けているが、領域の種類あるいは数は、4つには限らない。また、間引き処理後の第2の輝度プロファイルデータとしては、間引きが行われていない区画の値は、元の第1の輝度プロファイルデータの値をそのまま保持してもよいし、間引き前の周囲のいくつかの区画の値から計算できる平均値や中央値などの値を代わりに保持してもよい。
【0019】
(第2のプロファイルデータ)
図6に例示したような第2の輝度プロファイルデータは、間引き処理により、一部の区画のデータが間引かれて存在しない。第2の輝度プロファイルデータを参照する際には、間引かれていない区画はそのまま参照する。間引かれた区画の値は、代わりにその周囲の間引かれていない区画の値を代用して参照してもよいし、周囲の間引かれていない区画の値から線形補完や関数補完などによる計算を行って数値を推定してもよい。あるいは、周囲の間引かれていない区画の値の平均値や中央値を計算して代用してもよい。
【0020】
<第2の実施形態>
図7は、第2実施形態に係る情報処理方法を説明するための概念図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態と比べ、間引き処理部320での間引き処理方法が異なる。第2の実施形態では、間引き処理部320(図3参照)において、輝度プロファイルデータの中央からの距離と方向に応じて間引き間隔を変更する。
図7の輝度グラフ500は61×61区画の輝度プロファイルデータに基づく、ある方向の空間的な輝度変化を表す。ここ図7(b)に表した具体例では、輝度の最も高い部分からの距離と、方向と、に応じて、輝度グラフ500を領域510~領域580の8つの領域に分けている。最も輝度が高い部分を含む領域を領域530としている。そこから左方向(区画1~17)を領域510と520との2つの領域に分けている。領域530から右方向(区画27~61)を領域540~580の5つの領域に分けている。間引き処理部320では、各領域ごとに、間引き間隔を変更して間引きを行う。
図7(c)に表した輝度グラフ590は、輝度グラフ500を基に間引き処理を行った後の輝度グラフの一例である。輝度の最も高い部分を含む領域530と、輝度の最も高い部分を含む領域から近い領域(例えば、領域520、540、550)では、間引き間隔を小さくするか、あるいは間引きを行わない。輝度の最も高い部分から遠い領域(例えば、領域510、580など)では、間引き間隔を大きくする。なお、領域520~550の4つの領域においては次のいずれかのようにしてもよい。一つは、間引き間隔が同じか、いずれも間引きを行わないこととする。もう一つは、領域530を最も間引き間隔を小さくするか、あるいは間引きを行わないで、領域520と領域540と領域550とを、領域530より間引き間隔を大きくする。
領域の分け方と間引き間隔は、方向ごとに変更してもよい。例えば、輝度プロファイルの分布に基づいて、中央から水平方向、垂直方向、斜め方向でそれぞれ異なる領域を設け、それぞれの領域で間引き間隔を変更してもよい。
図7に表した具体例では、説明の簡略化のために8つの領域に分けているが、領域の数は8つに限らない。この間引き処理により、第1の輝度プロファイルデータの特徴を残しつつ、第1の輝度プロファイルデータに基づいて、データ量を削減した第2の輝度プロファイルデータを生成することができる。
【0021】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1の実施形態に係る情報処理方法または第2の実施形態に係る情報処理方法に示す間引き処理部320で実行するプログラムである。このプログラムは、コンピュータにインストールして実行することができる。そして、入力された第1の輝度プロファイルデータに基づいて、間引き処理を行い、第2の輝度プロファイルデータを生成して出力する。
【0022】
<第4の実施形態>
第4の実施形態として、第1の実施形態に係る情報処理方法または第2の実施形態に係る情報処理方法に示すような間引き方法を用いて生成した第2のプロファイルデータを用いて、バックライト全体の輝度分布を計算する情報処理装置について説明する。
バックライト全体の輝度分布計算は、バックライト全体の輝度分布を輝度プロファイルデータの1区画サイズに分割し、各区画に対してその区画での輝度計算を行う。バックライト全体の輝度分布の1つの区画の輝度は、1つまたは複数の光源からの光が足し合わされた値になる。この値は、各光源が、それぞれの位置から、それぞれの明るさで、輝度プロファイルデータで表される光の広がり方に従って点灯した際に、バックライトの輝度分布の各区画に、周囲の光源から合計でどの程度光が到達するかを計算した値に相当する。
【0023】
図8は、複数の光源からの光が重ね合わさった際の、光の広がり方の一例を表すグラフである。図8では、4つの光源それぞれからの光の広がりを表す輝度分布610~640と、これらが重ね合わさった際の光の広がり方を表す輝度分布650と、が示されている。
【0024】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。情報処理装置720は、記憶素子700に第1の実施形態に係る情報処理方法または第2の実施形態に係る情報処理方法に示される間引き方法を用いて生成した第2の輝度プロファイルデータ330を格納する。輝度分布計算部710では、各光源の光出力レベル350と、第2の輝度プロファイルデータ330とから、バックライト全体の輝度分布にあたる輝度分布計算結果360を出力する。
【0025】
(輝度分布計算部)
輝度分布計算部710では、まずバックライト内の各光源について、光出力レベルと輝度プロファイルデータの各区画の値を掛け合わせる。この掛け合わせた値は、各光源が各々の光出力レベルで点灯した際に周囲の区画に届く光の強度に相当するため、バックライト全体の輝度分布の各区画の輝度は、この掛け合わせた値と、各光源のバックライト内での位置情報から、各区画に届く光の強度を全て足し合わせることで計算し、バックライト全体の輝度分布計算結果360として出力する。
ここで、第2の輝度プロファイルデータ330は間引き処理によって、一部の区画のデータが間引かれているため、その区画のデータを参照する際は、代わりに周囲の間引きが行われていない区画の値を参照してもよいし、周囲の間引かれていない区画の値から線形補完や関数補完などによる計算を行って数値を推定してもよい。あるいは、周囲の間引かれていない区画の値の平均値や中央値を計算して代用してもよい。また、輝度分布計算結果360は、足し合わせ後のデータそのままでもよいし、足し合わせの後に最大値が1になるように規格化を行っても良い。
【0026】
図10は、第2の輝度プロファイルデータ450を例示する概念図である。
図11は、この第2の輝度プロファイルデータ450を参照して、輝度計算部710が補完を行った輝度プロファイルデータ810を例示する概念図である。図11では一例として、間引かれた各区画の値の代わりに、周囲の間引かれていない区画の値の平均値を計算して使用している。この輝度プロファイルデータ810は、輝度計算部710での計算の過程で使用されるため、輝度プロファイルデータ810の全てのデータを格納するための記憶素子を必ずしも有する必要はない。
【0027】
<第5の実施形態>
図12は、本発明の第5の実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。第5の実施形態は、第4の実施形態に加え、輝度プロファイルデータの間引き処理部320が含まれている。その他は第4の実施形態と同様である。本実施形態では、第1の輝度プロファイルデータ310を第1の記憶素子900に格納している。間引き処理部320では、この第1の輝度プロファイルデータ310から、第1の実施形態に係る情報処理方法または第2の実施形態に係る情報処理方法に示される間引き方法によって間引きを行い、間引き後のデータを第2の輝度プロファイルデータ330として第2の記憶素子920に格納する。
【0028】
<第6の実施形態>
第6の実施形態では、液晶パネルなどの画像表示素子と、バックライトとの両方を制御し、なおかつ第4の実施形態に示すようなバックライト全体の輝度分布計算装置を用いて輝度分布計算を行い画像表示結果に反映させる画像表示装置について説明する。
【0029】
図13は、本発明の第6の実施形態に係る画像表示装置1060の概略図である。本実施形態では、制御部150にて、まず入力された画像データ1001を基に、光出力レベル計算部1000にて各光源の光出力レベルを計算する。バックライト制御部1010では、この計算した光出力レベルを基に、電流と電圧の制御を行い各光源の明るさを制御する。情報処理部720は、第4の実施形態に関して前述したような、間引き処理された輝度プロファイルデータからバックライト全体の輝度分布を計算する情報処理装置である。輝度分布計算部710では、記憶素子700に格納された輝度プロファイルデータと、光出力レベル計算部1000で計算された各光源の光出力レベルと、から、バックライト全体の輝度分布を計算する。ここで、記憶素子700に格納された輝度プロファイルデータは、第1の実施形態に係る情報処理方法または第2の実施形態に係る情報処理方法に示される間引き処理を施した第2の輝度プロファイルデータである。
画像処理部1040では、入力された画像データ1001と、輝度分布計算部710の計算結果とを基に、画像処理を行う。
液晶パネル制御部1050では、この画像処理後の画像データを基に、液晶パネルの各画素の透過率を制御し、液晶パネルに画像を表示する。この画像表示装置では、図1(a)、(b)に例示したようにバックライトと液晶パネルとを重ねて画像表示を行う。
以下、第6の実施形態に係る各部分についてより詳細に説明する。
【0030】
(光出力レベル計算部)
光出力レベル計算部1000では、液晶パネル130に画像が表示される際に、液晶パネル130の下にあるバックライト120内の各光源1100の光出力レベルを計算する。光出力レベル計算部1000に入力される画像データ1001は、各画素に対し赤青緑を表すR、G、B(赤、緑、青)それぞれの階調値を有している。階調値は、例えば0~255の256段階で表される。
光出力レベルの計算では、図14図15に表すように、液晶パネル130全体の画素を、バックライト120の各光源1100の配置に応じて複数の画素エリア1200に分割して計算を行う。
図16に表すように、各光源の上部にある液晶パネルの画素エリア1200において、そのエリア内での画素のR、G、Bの階調値の内、最も数値の高い階調値をその画素エリア1200の下にある光源の第1の光出力レベル1310とする。
なお、このように第1の光出力レベルの算出をすべてのエリアに対して行った第1の光出力レベルデータ1320に対して、最も高い値が1となるように、全ての値を規格化したデータを第2の光出力レベルデータ1330とする。この規格化は、数式1に従って各エリアに対し行われる。ここで、L1は第1の光出力レベル、L2は第2の光出力レベル、Lmaxは第1の光出力レベルの最大値を示す。例えば、階調値が0~255で表される場合は、Lmaxは255である。
【数1】
【0031】
(バックライト制御部)
バックライト制御部1010は、光出力レベル計算部1000で計算された各光源の光出力レベルを基に、各光源1100に対する電流と、電圧と、を制御し、バックライトの各光源を点灯させる。以下に、バックライト制御部での電流制御と電圧制御について説明する。
【0032】
(電流制御)
図17を用いて、バックライト制御部1010での電流制御について説明する。
図17(a)は、光源1410と、光源1410に流れる電流1420を表す回路模式図である。図17(b)は、電流1420の時間波形(グラフ内の実線)を表すグラフである。バックライト制御部1010は、光源1410に電流1420が流れる時間1430と、電流の大きさ1440と、のいずれか、または両方を制御することで、光源1410から照射される光の強度を制御する。
【0033】
(電圧制御)
図18を用いて、バックライト制御部1010での電圧制御について説明する。図18(a)は、光源1411と、光源1412と、の接続を表す回路模式図である。光源1411と、光源1412と、はカソード側が1つの配線として接続されている。
図18(b)は、光源1411と光源1412のそれぞれの、アノードとカソードとの間にかかる、電圧1450と、電圧1460と、の時間波形を表すグラフである。バックライト制御部1010は、電圧1450と電圧1460のそれぞれがかかるタイミングをずらす制御を行い、光源1411と光源1412とを交互に点灯させる。この制御は、カソード側の配線数を減らす場合などに用いられる。図18(a)のような2つの光源のみを接続する場合に限らず、1つのカソード側の配線には、複数の光源(3つ以上の光源)を接続してもよい。
【0034】
(情報処理部)
情報処理部720は、第4の実施形態に示すような情報処理装置を用いて情報処理を行う。また、第6の実施形態において、輝度分布計算結果は最大値が1になるように規格化されたものである。
【0035】
(画像処理部)
画像処理部1040では、画像データ1001の各画素のR、G、Bそれぞれの階調値と、輝度分布計算部710で計算した各画素に照射されるバックライトからの輝度レベルとから、この輝度レベルに合わせた各画素のR、G、Bそれぞれの階調値を計算する。ある画素のRまたはGまたはBのそれぞれに対しこの計算を行う際、計算は数式2に従う。ここで、Voutは計算後の階調値を示す。Vinは元の階調値を示す。γは画像を表示する液晶パネルのγ値を表し、液晶パネルによって異なる。γ値としては、例えばγ=2.2などがある。Lは輝度分布計算結果における各画素に照射される輝度レベルを表し、0~1で表される。
【数2】
【0036】
(液晶パネル制御部)
液晶パネル制御部1050では、画像処理部1040の計算結果である画像データを基に、液晶パネルの各画素の透過率を制御し、画像を表示させる。
【0037】
<第7の実施形態>
第7の実施形態は、第6の実施形態と、情報処理部が異なる画像表示装置1070である。図19に示すように、第7の実施形態では、情報処理部930は、第5の実施形態に示すような、第1の輝度プロファイルデータから、間引き処理を行った第2の輝度プロファイルデータを生成し、この第2の輝度プロファイルデータからバックライト全体の輝度分布を計算する情報処理装置である。その他は第6の実施形態と同様である。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、情報処理方法や情報処理装置などが備える各要素・工程の内容、条件、形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
以上のように、第1実施形態~第7実施形態を用いて情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び画像表示装置を説明したが、第1輝度プロファイルデータは、図2(b)、図2(c)、図4図7(a)、図8のようなデータに限らず、光源の配光特性として知られているバットウィング型の輝度プロファイルや種々の輝度プロファイルにも用いることが可能であることは言うまでもない。
【0038】
バックライト120に含まれる光源110としては、発光素子や、発光素子が封止樹脂によって封止されたもの、発光装置や、発光装置が樹脂によって封止されたもの、発光装置と発光装置の光軸上に2次レンズとを備えたもの、など種々のものが挙げられる。
【0039】
以下に、光源の具体例を説明する。
【0040】
[発光装置]
光源の具体例として、発光装置を説明する。この発光装置は、発光装置の光軸上に2次レンズを備えたものも一体として光源とすることもできる。
【0041】
図20(a)は本発明の一実施形態に係る発光装置1の模式断面図である。図20(b)は、図20(a)に示す発光装置1を下から見た模式平面図である。
【0042】
発光装置1は、半導体層を含む積層構造体80と、積層構造体80の下面に配置された正負の電極(図21及び図22を参照して後述するp側外部電極21p、n側外部電極21n、n側外部電極22nおよびp側外部電極22p)とを有する発光素子110Aを備える。
【0043】
さらに、発光装置1は、積層構造体80の下面の反対側の上面に配置される第1透光性部材40と、それぞれの電極21p、21n、22n、22pの少なくとも一部が露出するように、積層構造体80の側面と下面とを覆う第1被覆部材30aと、第1透光性部材40の側面と第1被覆部材30aの上面とを覆う第2被覆部材30bと、第1透光性部材40の上面と第2被覆部材30bの上面とを覆う第2透光性部材50と、発光素子110Aの下面側において第1被覆部材30aの表面を覆い、電極21p、21n、22n、22pとそれぞれ接続される金属層70とを備える。
【0044】
第1透光性部材40は、樹脂により構成されてもよく、蛍光物質を含んだ樹脂により構成されてもよい。樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、並びにこれらの変性樹脂及びハイブリッド樹脂のうちの少なくとも1つを用いることができる。
【0045】
蛍光物質は、発光素子110Aから出射される一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を出射する。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば白色光) を出射する発光装置1とすることができる。蛍光物質は、以下に示す具体例のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的な蛍光物質としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu(Al,Ga)12:Ce)、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)SiO:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCaMg(SiOl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6-ZAl8-Z:Eu(0<Z<4.2))、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CASN又はSCASN)系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu)、フッ化珪酸カリウム系蛍光体(例えばKSiF:Mn)などが挙げられる。このほか、蛍光物質は、量子ドットを含んでもよい。量子ドットは、粒径1nm以上100nm以下程度の粒子であり、粒径によって発光波長を変えることができる。量子ドットは、例えば、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉛、セレン化鉛、又はテルル化カドミウム・水銀などが挙げられる。
【0046】
また、蛍光物質は、第1透光性部材40において、全体に拡散して存在してもよく、発光素子110A側に偏って存在してもよい。偏って存在する場合は、蛍光物質を含んだ樹脂をポッティングで形成し、蛍光物質を自重または遠心力を加えて沈降させる方法を用いて形成することができる。
【0047】
また、第1透光性部材40は、第1透光性部材40と、第2被覆部材30bとが一体となった中間体を準備し、この中間体を、発光素子110Aの上面と、発光素子110Aの側面の第1被覆部材30aの上面とに、接着して形成することができる。
【0048】
第1被覆部材30aと第2被覆部材30bとは、少なくとも樹脂として母材を含み、更にその母材中に白色顔料を配合することが好ましく、また任意で充填剤を配合してもよい。第1被覆部材30aと第2被覆部材30bとの母材は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、並びにこれらの変性樹脂及びハイブリッド樹脂のうちの少なくとも1つを用いることができる。熱可塑性樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、並びにこれらの変性樹脂及びハイブリッド樹脂のうちの少なくとも1つを用いることができる。白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。白色顔料は、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。また、第1被覆部材30aと第2被覆部材30bとは、被覆部材30として一体となっていてもよい。
【0049】
発光素子110Aの側面には、さらに導光部材60を備えていてもよい。導光部材60は、発光素子110Aの側面に接し、発光素子110Aの周囲を被覆している。また導光部材60は被覆部材30に被覆され、上面は第1透光性部材40に被覆されている。これにより発光素子110Aの側面から出た光を第1透光性部材40に向かって導光させることができる。
【0050】
第2透光性部材50は、樹脂により構成されてもよく、例えば酸化チタンに代表される光拡散剤を含んだ樹脂により構成されてもよい。樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、並びにこれらの変性樹脂及びハイブリッド樹脂のうちの少なくとも1つを用いることができる。また、例えば揮発性の溶剤と混合し、パルス式スプレー装置を用いて第1透光性部材40と被覆部材30の上に噴霧してさらに硬化して、第2透光性部材50を形成することができる。
【0051】
(発光素子)
図21は、発光素子110Aの模式平面図である。図22は、発光素子110Aを図21のYZ面に平行に切断したときの断面を模式的に示す。図22に示す断面は、図21のXXII-XXII断面に相当する。
【0052】
本開示の発光素子110Aは、それぞれが電気的に独立した複数の半導体発光構造を有する。図21に例示する構成において、発光素子110Aは、透光性基板10と、第1発光セル111(第1半導体発光構造111)および第2発光セル112(第2半導体発光構造112)とを含む。透光性基板10は、発光素子110Aの上面を構成する上面10aと、上面10aとは反対側に位置する下面10bとを有する。図22に模式的に示すように、第1発光セル111は、透光性基板10の下面10b上に形成されており、同様に、第2発光セル112も透光性基板10の下面10b上に位置する。
【0053】
第1発光セル111および第2発光セル112のそれぞれは、LED(Light emitting diode)等の公知の半導体発光素子と同様の構造を有し得る。ここでは、第1発光セル111および第2発光セル112のそれぞれは、透光性基板10の側から順にn型半導体層11n、活性層11eおよびp型半導体層11pが積層された構造をその一部に含む。以下では、第1発光セル111に注目して、その構成の詳細を説明し、第2発光セル112の構成の詳細な説明を省略する。
【0054】
第1発光セル111は、透光性基板10の下面10b上のn型半導体層11nと、n型半導体層11nの一部の領域上に形成された活性層11eおよびp型半導体層11pを有する。第1発光セル111の活性層および第2発光セル112の活性層から発生される光のピーク波長は、例えば360nm以上650nm以下の範囲にある。これら発光セルは、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InAlGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含み得る。透光性基板10は、第1発光セル111および第2発光セル112を支持する。透光性基板10は、サファイア基板および窒化ガリウム基板に代表される基板であり得る。
【0055】
透光性基板10上の各発光セルは、さらに、1以上の絶縁層および電極を含む。例えば、第1発光セル111は、図22に示すように、n型半導体層11n、活性層11eおよびp型半導体層11pの積層構造を覆う第1絶縁膜13と、第1絶縁膜13上に位置するn側内部電極15nおよびp側内部電極15pと、n側内部電極15nおよびp側内部電極15pを覆う第2絶縁膜23と、第2絶縁膜23上に位置するn側外部電極21nおよびp側外部電極21pとをさらに有する。
【0056】
第1絶縁膜13は、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、AlおよびHfからなる群から選ばれる1種以上含有する酸化物または窒化物から形成され、第1発光セル111および第2発光セル112を連続して覆う。また、SiOおよびNbが繰り返し積層された多層膜を第1絶縁膜13に適用することもできる。
【0057】
第1絶縁膜13には、複数の第1貫通孔13tが設けられており、後述のn側内部電極15nおよびp側内部電極15pは、これら第1貫通孔13tを介してn型半導体層11nおよびp型半導体層11pにそれぞれ電気的に接続される。ここでは、第1絶縁膜13のうち第1発光セル111に重なる部分に、15個の第1貫通孔13tが形成されている。
【0058】
n側内部電極15nおよびp側内部電極15pは、第1絶縁膜13上に位置し、それぞれ、n型半導体層11nおよびp型半導体層11pに電気的に接続された電極である。n側内部電極15nおよびp側内部電極15pは、Al、Ag、Al合金およびAg合金等の、高い光反射性および導電性を示す金属または合金から形成される。n側内部電極15nおよびp側内部電極15pとして、Ti、RhおよびTiを順に堆積した積層膜を用いてもよい。
【0059】
第2絶縁膜23は、第1絶縁膜13、n側内部電極15nおよびp側内部電極15pを連続して覆う。第2絶縁膜23は、n側内部電極15nと重なる位置に第2貫通孔23tnを有し、後述するn側外部電極21nは、第2貫通孔23tnを介してn側内部電極15nに電気的に接続される。さらに、第2絶縁膜23には、p側内部電極15pと重なる位置に第3貫通孔23tpが設けられており、後述のp側外部電極21pは、第3貫通孔23tpを介してp側内部電極15pに電気的に接続される。第2絶縁膜23の材料には、SiO等、第1絶縁膜13の材料と共通の材料を用いることができる。
【0060】
図22に模式的に示すように、n側外部電極21nは、第2絶縁膜23上に位置し、第2絶縁膜23の第2貫通孔23tnを介してn側内部電極15nに電気的に接続される。同様に、p側外部電極21pは、第2絶縁膜23上に位置し、第2絶縁膜23の第3貫通孔23tpを介してp側内部電極15pに電気的に接続される。
【0061】
図21に示すように、第2発光セル112も、発光素子110Aの上面すなわち透光性基板10の上面10aとは反対側に、第2発光セル112のn型半導体層に電気的に接続されたn側外部電極22nと、第2発光セル112のp型半導体層に電気的に接続されたp側外部電極22pとを有している。つまり、発光素子110Aは、電源等に接続されることにより独立して駆動可能に構成された第1発光セル111および第2発光セル112を有している。
【0062】
第1発光セル111のn側外部電極21nおよびp側外部電極21p、ならびに、第2発光セル112のn側外部電極22nおよびp側外部電極22pは、例えばメッキにより形成され、シード層としての第1層と、第1層上の第2層とを含む2層以上の積層構造を有し得る。第1層の材料としては、Al、Ag、Al合金およびAg合金等の、高い光反射性および導電性を示す金属または合金を用いることができる。第2層の材料の典型例は、Cu、AuおよびNiである。n側外部電極21n、p側外部電極21p、n側外部電極22nおよびp側外部電極22pとして、透光性基板10側からTi、NiおよびAlを順に堆積した積層膜を用いてもよい。
【0063】
図21に示すように、発光素子110Aは、例えば、2つの正電極(p側外部電極21pおよびp側外部電極22p)と、2つの負電極(n側外部電極21nおよびn側外部電極22n)とを有する。図21に示すn側外部電極21n、p側外部電極21p、n側外部電極22nおよびp側外部電極22pを、図20(b)においては正方形に単純化して模式的に表す。
【0064】
図20(b)に示すように、発光素子110Aの下面側に配置される被覆部材30の表面には、金属層70が配置されている。例えば、発光素子110Aのn側外部電極21n、p側外部電極21p、n側外部電極22nおよびp側外部電極22pのそれぞれと接続された4つの金属層70が互いに分離して配置されている。
【0065】
金属層70は、次の手順で形成できる。n側外部電極21n、p側外部電極21p、n側外部電極22nおよびp側外部電極22pと被覆部材30の表面に、これらを連続して覆う金属層70を形成する。金属層70は、スパッタ、蒸着、原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法や有機金属化学的気相成長(metal organic chemical vapor deposition;MOCVD)法、プラズマCVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)法、大気圧プラズマ成膜法、めっきなどによって形成することができる。次いで、金属層70にレーザ光を照射し、レーザアブレーションにより照射した領域の金属層70を除去する。これにより、発光素子110Aの正負の電極間の被覆部材30が露出されて、金属層70が得られる。
【0066】
金属層70は単一の材料の一層のみで構成されてもよく、異なる材料の層が積層されて構成されていてもよい。特に、高融点の金属層70を用いるのが好ましく、例えば、R u、Mo、Ta等を挙げることができる。また、これら高融点の金属を、発光素子110Aの電極21p、21n、22n、22pと最表面の層との間に設けることにより、はんだに含まれるSnが電極21p、21n、22n、22pや、電極21p、21n、22n、22pに近い層に拡散することを低減することが可能な拡散防止層とすることができる。このような拡散防止層を備えた積層構造の例としては、Ni/Ru/Au、Ti/Pt/Au等が挙げられる。また、拡散防止層(例えばRu)の厚みとしては、10Å以上1000Å以下程度が好ましい。
【符号の説明】
【0067】
100 画像表示装置
110 光源
120 バックライト
130 液晶パネル
140 光学材料
150 制御部
200 輝度プロファイルデータ
210 区画
300 情報処理方法ブロック図
310 第1の輝度プロファイルデータ
320 間引き処理部
330 第2の輝度プロファイルデータ
410、420、430、440 領域
450 第2の輝度プロファイルデータ
500 輝度グラフ
510、520、530、540 領域
550、560、570、580 領域
590 第2の輝度プロファイルデータ
610、620、630、640、650 輝度分布
700 記憶素子
710 輝度分布計算部
720 情報処理装置
810 補完後の輝度プロファイルデータ
900 第1の記憶素子
920 第2の規則素子
930 情報処理装置
1000 光出力レベル計算部
1001 画像データ
1010 バックライト制御部
1040 画像処理部
1050 液晶パネル制御部
1060、1070 画像表示装置
1100 光源
1200 画素エリア
1310 光源出力レベル
1320、1330 光出力レベルデータ
1410、1411、1412 光源
1420 電流
1430 電流が流れる時間
1440 電流の大きさ
1450、1460 光源にかかる電圧
図1
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