(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】光ファイババンドル構造、光コネクタ、光ファイバ接続構造、及び光ファイババンドル構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/04 20060101AFI20240426BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20240426BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240426BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G02B6/04 B
G02B6/36
G02B6/42
G02B6/04 D
G02B6/02 461
(21)【出願番号】P 2021509508
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013354
(87)【国際公開番号】W WO2020196627
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2019060379
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 独立行政法人情報通信研究機構「空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発」産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 隆一
(72)【発明者】
【氏名】塚本 昌義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正典
(72)【発明者】
【氏名】高坂 繁弘
(72)【発明者】
【氏名】前田 幸一
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-201923(JP,A)
【文献】米国特許第05748820(US,A)
【文献】特開2017-181791(JP,A)
【文献】特開2017-009859(JP,A)
【文献】特開2012-083579(JP,A)
【文献】特開平06-148465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/04
G02B 6/36-6/40
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材と、
前記交差解消部材に把握力を付与する把握部材と、を備え、
前記複数の光ファイバ心線は、先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有し、
前記ガラスファイバ部は、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有し、
前記複数の光ファイバ心線は、互いの前記樹脂被覆部、前記細径部、および前記テーパ部が接するように配置され、
前記交差解消部材は、後端側に形成され、前記光ファイバ心線の前記樹脂被覆部が挿通される貫通孔と、先端から後端側の途中まで延在しているスリットと、前記貫通孔を先端側に投影した領域に形成され、前記光ファイバ心線と当接するための切欠き部と、を有し、
前記スリットは、前記長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しており、
前記各辺に位置する当該スリットの前記幅が、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線の樹脂被覆部に外接する多角形の一辺の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線の細径部に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であるスリットが形成されている
ことを特徴とする光ファイババンドル構造。
【請求項2】
複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材と、
前記交差解消部材に把握力を付与する把握部材と、を備え、
前記複数の光ファイバ心線は、先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有し、
前記ガラスファイバ部は、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有し、
前記複数の光ファイバ心線は、互いの前記樹脂被覆部、前記細径部、および前記テーパ部が接するように配置され、
前記交差解消部材は、後端側に形成され、前記光ファイバ心線の前記樹脂被覆部が挿通される貫通孔と、先端から後端側の途中まで延在しているスリットと、前記貫通孔を先端側に投影した領域に形成され、前記光ファイバ心線と当接するための切欠き部と、を有し、
前記スリットは、前記長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する略多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しており、
前記
切欠き部が、前記光ファイバ心線の外周に沿うように曲線形状を有し、前記各辺に位置する当該スリットの前記幅の合計が、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線を最短で囲む外周の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線を最短で囲む外周の長さとの差分以上であるスリットが形成されている
ことを特徴とする光ファイババンドル構造。
【請求項3】
前記把握部材は、前記交差解消部材の先端側に嵌合するリングである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイババンドル構造。
【請求項4】
前記複数の光ファイバ心線は、前記細径部において正方配置である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光ファイババンドル構造。
【請求項5】
前記複数の光ファイバ心線は、4本又は9本である
ことを特徴とする請求項4に記載の光ファイババンドル構造。
【請求項6】
前記複数の光ファイバ心線は、前記細径部において六方最密配置である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光ファイババンドル構造。
【請求項7】
前記複数の光ファイバ心線は、7本又は19本である
ことを特徴とする請求項6に記載の光ファイババンドル構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光ファイババンドル構造を備える光コネクタであって、
前記把握部材は、挿入された前記交差解消部材に把握力を付与する孔部が形成されているフェルールである
ことを特徴とする光コネクタ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光ファイババンドル構造と、
前記複数の光ファイバ心線のコアに接続されている複数のコア部、及びコア部の外周に形成されているクラッド部を有するマルチコアファイバと、を備える
ことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1つに記載の光ファイババンドル構造と、
前記複数の光ファイバ心線のコアに接続されている複数の受発光部と、を備える
ことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項11】
先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有する複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材の長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しているスリットであって、前記各辺に位置する当該スリットの前記幅は、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であるスリットに、円環状のガイド部材の内周方向に突出する凸部が嵌合するように、前記交差解消部材を前記ガイド部材に挿入する挿入工程と、
前記複数の光ファイバ心線を所定の配置に整列させて、前記交差解消部材の先端側から後端側に挿通させる挿通工程と、
前記交差解消部材に把握力を付与しながら、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有する前記ガラスファイバ部の前記細径部が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する牽引工程と、
前記交差解消部材から前記ガイド部材を取り外す取り外し工程と、
前記交差解消部材に把握力を付与しながら、フェルールの孔部に前記交差解消部材を挿入するフェルール挿入工程と、を含み、
前記複数の光ファイバ心線は、互いの前記樹脂被覆部、前記細径部、および前記テーパ部が接するように配置され、
前記交差解消部材は、後端側に形成され、前記光ファイバ心線の前記樹脂被覆部が挿通される貫通孔と、先端から後端側の途中まで延在しているスリットと、前記貫通孔を先端側に投影した領域に形成され、前記光ファイバ心線と当接するための切欠き部と、を有する
ことを特徴とする光ファイババンドル構造の製造方法。
【請求項12】
前記牽引工程は、
前記ガラスファイバ部の前記テーパ部の後端が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する第1牽引工程と、
前記ガラスファイバ部の前記細径部が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する第2牽引工程と、を含み、
前記第1牽引工程と、前記第2牽引工程との間に前記取り外し工程を実行する
ことを特徴とする請求項11に記載の光ファイババンドル構造の製造方法。
【請求項13】
前記ガイド部材の凸部の厚さは、前記光ファイバ心線の前記テーパ部の後端において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さと、前記光ファイバ心線の前記テーパ部の先端において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上である
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の光ファイババンドル構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイババンドル構造、光コネクタ、光ファイバ接続構造、及び光ファイババンドル構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコア部を有する光ファイバであるマルチコアファイバが知られている。そして、マルチコアファイバとシングルコアファイバとを接続するために、マルチコアファイバのコアに対応する位置にシングルコアファイバのコアを配列する光ファイババンドル構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、先端から順に、細径部と、後端に向かって径が大きくなるテーパ部と、太径部と、樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有する複数の光ファイバ心線と、これらの光ファイバ心線を収容するキャピラリと、を備える光ファイババンドル構造が開示されている。この光ファイババンドル構造では、光ファイバ心線の細径部及び樹脂被覆部がキャピラリの内面に当接することにより、光ファイバ心線が位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光ファイババンドル構造では、光ファイバ心線のテーパ部及び太径部において、光ファイバ心線が位置決めされていない。その結果、この光ファイババンドル構造では、光ファイバ心線の細径部及び樹脂被覆部において、光ファイバ心線が位置決めされていても、テーパ部及び太径部において光ファイバ心線が交差している場合があった。光ファイバ心線が交差していると、曲げ損失が発生するため好ましくない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、損失が小さい光ファイババンドル構造、光コネクタ、光ファイバ接続構造、及び光ファイババンドル構造の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造は、複数の光ファイバ心線と、前記複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材と、前記交差解消部材に把握力を付与する把握部材と、を備え、前記複数の光ファイバ心線は、先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有し、前記ガラスファイバ部は、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有し、前記交差解消部材には、前記長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しているスリットであって、前記各辺に位置する当該スリットの前記幅が、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であるスリットが形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造は、複数の光ファイバ心線と、前記複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材と、前記交差解消部材に把握力を付与する把握部材と、を備え、前記複数の光ファイバ心線は、先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有し、前記ガラスファイバ部は、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有し、前記交差解消部材には、前記長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する略多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しているスリットであって、前記複数の光ファイバ心線に外接する略多角形の各頂点部が曲線形状を有し、前記各辺に位置する当該スリットの前記幅の合計が、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線を最短で囲む外周の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線を最短で囲む外周の長さとの差分以上であるスリットが形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造では、上記発明において、前記把握部材は、前記交差解消部材の先端側に嵌合するリングであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造では、上記発明において、前記複数の光ファイバ心線は、前記細径部において正方配置であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造では、上記発明において、前記複数の光ファイバ心線は、4本又は9本であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造では、上記発明において、前記複数の光ファイバ心線は、前記細径部において六方最密配置であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造では、上記発明において、前記複数の光ファイバ心線は、7本又は19本であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係る光コネクタは、上記の光ファイババンドル構造を備える光コネクタであって、前記把握部材は、挿入された前記交差解消部材に把握力を付与する孔部が形成されているフェルールであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様に係る光ファイバ接続構造は、上記の光ファイババンドル構造と、前記複数の光ファイバ心線のコアに接続されている複数のコア部、及びコア部の外周に形成されているクラッド部を有するマルチコアファイバと、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様に係る光ファイバ接続構造は、上記の光ファイババンドル構造と、前記複数の光ファイバ心線のコアに接続されている複数の受発光部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造の製造方法は、先端から順に、ガラスファイバ部と、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部と、を有する複数の光ファイバ心線が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材の長手方向に直交する断面において、前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の各辺を、該辺に接する前記光ファイバ心線の数で等分した点を中心に幅を有し、先端から後端側の途中まで延在しているスリットであって、前記各辺に位置する当該スリットの前記幅は、後端側のスリットの終端部において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さと、先端側において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であるスリットに、円環状のガイド部材の内周方向に突出する凸部が嵌合するように、前記交差解消部材を前記ガイド部材に挿入する挿入工程と、前記複数の光ファイバ心線を所定の配置に整列させて、前記交差解消部材の先端側から後端側に挿通させる挿通工程と、前記交差解消部材に把握力を付与しながら、先端から順に、細径部と、テーパ部と、太径部と、を有する前記ガラスファイバ部の前記細径部が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する牽引工程と、前記交差解消部材から前記ガイド部材を取り外す取り外し工程と、前記交差解消部材に把握力を付与しながら、フェルールの孔部に前記交差解消部材を挿入するフェルール挿入工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造の製造方法では、上記発明において、前記牽引工程は、前記ガラスファイバ部の前記テーパ部の後端が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する第1牽引工程と、前記ガラスファイバ部の前記細径部が前記交差解消部材の内側に位置するまで、前記光ファイバ心線を後端側に牽引する第2牽引工程と、を含み、前記第1牽引工程と、前記第2牽引工程との間に前記取り外し工程を実行することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様に係る光ファイババンドル構造の製造方法では、上記発明において、前記ガイド部材の凸部の厚さは、前記光ファイバ心線の前記テーパ部の後端において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さと、前記光ファイバ心線の前記テーパ部の先端において前記複数の光ファイバ心線に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、損失が小さい光ファイババンドル構造、光コネクタ、光ファイバ接続構造、及び光ファイババンドル構造の製造方法を実現する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイババンドル構造の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す光ファイバ心線の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す交差解消部材の構成を示す模式図である。
【
図10】
図10は、変形例1の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
【
図11】
図11は、変形例2の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
【
図12】
図12は、変形例2に係る交差解消部材のスリットを表す図である。
【
図13】
図13は、変形例3の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
【
図14】
図14は、変形例4における光ファイバ心線及び交差解消部材の
図1のB-B線に対応する断面図である。
【
図15】
図15は、変形例4における光ファイバ心線及び交差解消部材の
図1のC-C線に対応する断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2に係る光コネクタの構成を示す模式図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3に係る光ファイバ接続構造の構成を示す模式図である。
【
図20】
図20は、実施の形態4に係る光ファイバ接続構造の構成を示す模式図である。
【
図22】
図22は、光ファイババンドル構造の製造方法を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、交差解消部材をガイド部材に挿入した様子を表す図である。
【
図26】
図26は、交差解消部材に光ファイバ心線を挿入する様子を表す図である。
【
図28】
図28は、ガイド部材の内側に光ファイバ心線のテーパ部の後端が位置する様子を表す図である。
【
図30】
図30は、交差解消部材に光ファイバ心線の細径部まで挿入した様子を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
〔光ファイババンドル構造〕
まず、光ファイババンドル構造について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイババンドル構造の構成を示す模式図である。
図2は、
図1のA-A線に対応する断面図である。以下において、
図1の紙面に沿って左側を先端、右側を後端とする。
【0024】
光ファイババンドル構造1は、同一径の複数の光ファイバ心線2と、複数の光ファイバ心線2が長手方向に沿って挿通されている交差解消部材3と、交差解消部材3に把握力を付与する把握部材4と、を備える。
【0025】
光ファイバ心線2は、コア21と、コア21の外周に形成されているクラッド22と、樹脂からなる被覆部23と、を有する。光ファイバ心線2は、所定の配列で保持される。
図2に示す例では、4本の光ファイバ心線2のコア21が正方形(正多角形)の頂点位置となるように配置される。すなわち、隣り合う光ファイバ心線2のコア21同士が、略同じ距離となるように配置される。なお、このように、コア21の中心を繋いだ際に正方形となる配置を正方配置とする。
【0026】
コア21は、例えばゲルマニウムなどがドープされた屈折率の高い石英系ガラスによって構成されている。複数のコア21の屈折率は、同一であってよいが、異なっていてもよい。クラッド22は、コア21よりも屈折率の低い材料で構成されており、例えば屈折率調整用のドーパントが添加されていない純石英ガラスなどで構成されている。
【0027】
図3は、
図1に示す光ファイバ心線の構成を示す模式図である。光ファイバ心線2は、先端から順に、ガラスファイバ部2aと、ガラスファイバに樹脂が被覆されている樹脂被覆部2bと、を有する。また、ガラスファイバ部2aは、先端から順に、細径部2aaと、テーパ部2abと、太径部2acと、を有する。
【0028】
細径部2aaは、クラッド径(クラッド22の直径)が40μmであるが、例えばクラッド径が30μm~80μm、コア径(コア21の直径)が6μm~12μmであればよい。なお、コア径は、ガラスファイバ部2a(細径部2aa、テーパ部2ab、及び太径部2ac)、及び樹脂被覆部2bにおいて同一である。
【0029】
テーパ部2abは、先端に向かうほどクラッド径が小さくなる。テーパ部2abは、先端のクラッド径が例えば40μmであり、後端のクラッド径が例えば80μmである。
【0030】
細径部2aa及びテーパ部2abは、樹脂被覆部2bの被覆部23を除去することで、内部のガラスファイバを露出させて、露出したガラスファイバの先端側の所定の長さに対してケミカルエッチングを施すこと等で形成される。すなわち、細径部2aa及びテーパ部2abは、太径部2acに対して細径である。太径部2acは、例えばクラッド径が80μmである。
【0031】
樹脂被覆部2bは、例えばクラッド径が80μmであり、その外周を被覆部23が覆っている。そして、樹脂被覆部2bは、例えば被覆径(被覆部23の直径)が125μmである。
【0032】
図4は、
図1に示す交差解消部材の構成を示す模式図である。
図5は、
図4のE-E線に対応する断面図である。
図6は、
図4のF-F線に対応する断面図である。
図4~
図6は、交差解消部材3に把握部材4からの把握力が付与されていない状態を表す図である。
【0033】
交差解消部材3は、後端側に形成されている貫通孔3a(
図5参照)と、先端から後端側の途中まで延在しているスリット3b(
図4参照)と、貫通孔3aを先端側に投影した領域に形成されている切欠き部3c(
図6参照)と、を有する。
【0034】
貫通孔3aには、
図2に示すように、4本の光ファイバ心線2の樹脂被覆部2bが挿通されている。貫通孔3aは、一辺の長さが樹脂被覆部2bの2本分に略等しい正方形であり、例えば一辺の長さが250μmである。
【0035】
スリット3bは、
図5に示すE-E線に対応する断面(長手方向に直交する断面)において、複数の光ファイバ心線2に外接する多角形の各辺を、その辺に接する光ファイバ心線2の数で等分した点を中心に幅を有する。
図2に示す光ファイバ心線2が4本の場合、交差解消部材3は、光ファイバ心線2に外接する四角形の各辺の中点を中心とした幅wの4つのスリット3bを有する。スリット3bの幅wは、例えば170μmである。
【0036】
切欠き部3cは、例えば1辺が40μmであり、交差解消部材3に把握部材4からの把握力が付与されていない状態では、スリット3bと切欠き部3cとが、点鎖線で示すように、貫通孔3aと同じ大きさである一辺が250μmの四角形を形成する。
【0037】
交差解消部材3は、
図1に示すように、把握部材4によって付与される把握力によって、先端側に向かってスリット3bの幅が狭められている。なお、把握力とは、交差解消部材3の長手方向に直交する断面における中心方向に向かって加えられる力である。
【0038】
図7は、
図1のB-B線に対応する断面図である。
図7において、スリット3bの幅w1は、狭められておらず170μmであるので、スリット3bと切欠き部3cとが形成する正方形は、樹脂被覆部2bの2本分に略等しい一辺が250μmの四角形である。
【0039】
図8は、
図1のC-C線に対応する断面図である。
図8において、スリット3bと切欠き部3cとが形成する正方形は、テーパ部2abの後端におけるクラッド径の2本分に略等しい一辺が160μmの四角形である。すなわち、スリット3bの幅w2は、80μmである。
【0040】
図9は、
図1のD-D線に対応する断面図である。
図9において、スリット3bの幅は略ゼロになる。このとき、切欠き部3cが形成する四角形は、テーパ部2abの先端におけるクラッド径の2本分に略等しい一辺が80μmの四角形である。
【0041】
把握部材4は、交差解消部材3の先端側に嵌合するリングである。ただし、把握部材4は、交差解消部材3に把握力を付与する構成であればよく、交差解消部材3の外周から弾性力を付与する弾性部材や、交差解消部材3が嵌合する孔部であってもよい。
【0042】
ここで、各辺に位置するスリット3bの幅は、後端側のスリット3bの終端部において複数の光ファイバ心線2に外接する多角形の一辺の長さと、先端側において複数の光ファイバ心線2に外接する多角形の一辺の長さとの差分以上であることが好ましい。具体的には、
図2に示す光ファイバ心線2が4本の場合、後端側のスリット3bの終端部において4本の光ファイバ心線2(樹脂被覆部2b)に外接する四角形の一辺の長さである250μmと、先端側において4本の光ファイバ心線2(細径部2aa)に外接する四角形の一辺の長さである80μmとの差分は、170μmであり、交差解消部材3のスリット3bの幅は、170μmである。その結果、後端側から先端側に向かって光ファイバ心線2が縮径するのに応じてスリット3bの幅が狭まり、交差解消部材3が光ファイバ心線2の長手方向の全域にわたって光ファイバ心線2に当接し、光ファイバ心線2が交差することを防止する。
【0043】
(変形例1)
図10は、変形例1の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
図10は、
図1のA-A線に対応する断面図である。変形例1の光ファイババンドル構造は、9本の光ファイバ心線2と、交差解消部材3Aと、を備える。
【0044】
光ファイバ心線2は、コア21の中心を繋いだ際に正方形となる正方配置に配置されている。そして、交差解消部材3Aは、四角形の貫通孔3Aaを有する。このように、光ファイバ心線2は、2×2、3×3、4×4、・・・と、本数によらずに正方配置とすることができる。この場合、交差解消部材に形成する貫通孔の形状を略正方形とすればよい。
【0045】
(変形例2)
図11は、変形例2の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
図11は、
図1のA-A線に対応する断面図である。変形例2の光ファイババンドル構造は、7本の光ファイバ心線2と、交差解消部材3Bと、を備える。また、7本のうちの中心の1本はダミーとして扱い、光ファイバ心線2は6本でもよい。
【0046】
光ファイバ心線2は、光ファイバ心線2が六方最密配置で配置されており、外側のコア21の中心を繋いだ線が六角形をなす。そして、交差解消部材3Bは、六角形の貫通孔3Baを有する。
【0047】
図12は、変形例2に係る交差解消部材のスリットを表す図である。
図12は、
図5に示すE-E線に対応する断面図である。交差解消部材3Bは、光ファイバ心線2に外接する六角形の各辺の中点を中心とした6つのスリット3Bbを有する。交差解消部材3に把握力が付与されていない状態では、スリット3Bbと切欠き部3Bcとが、点鎖線で示すように、貫通孔3Baと同じ大きさの六角形を形成する。
【0048】
(変形例3)
図13は、変形例3の光ファイバ心線及び交差解消部材を表す断面図である。
図13は、
図1のA-A線に対応する断面図である。変形例3の光ファイババンドル構造は、19本の光ファイバ心線2と、交差解消部材3Cと、を備える。
【0049】
光ファイバ心線2は、コア21の中心を繋いだ際に六角形となる六方最密配置に配置されている。そして、交差解消部材3Cは、六角形の貫通孔3Caを有する。このように、光ファイバ心線2は、1+6、1+6+2×6、1+6+2×6+3×6、・・・と、本数によらずに六方最密配置とすることができる。この場合、交差解消部材に形成する貫通孔の形状を略六角形とすればよい。
【0050】
(変形例4)
図14は、変形例4における光ファイバ心線及び交差解消部材の
図1のB-B線に対応する断面図である。
図14に示すように、スリット3Dbは、複数の光ファイバ心線2に略外接する略多角形の各辺を、その辺に接する光ファイバ心線2の数で等分した点を中心に幅を有する。
図14に示す光ファイバ心線2が4本の場合、交差解消部材3Dは、光ファイバ心線2に外接する略四角形の各辺の中点を中心とした幅W11,W12,W13,W14の4つのスリット3Dbを有する。スリット3Dbの幅の合計(W11+W12+W13+W14)は、例えば680μmである。
【0051】
切欠き部3Dcは、例えば半径が40μmの円の一部からなり、光ファイバ心線2に略外接する曲線形状を有する。
図14に示す例では切欠き部3Dcは例えば円弧である。交差解消部材3Dに把握部材4からの把握力が付与されていない状態では、スリット3Dbと切欠き部3Dcとが、太実線で示すように、貫通孔(図示せず)と同じ大きさであって角が滑らかな円弧状である、一辺が250μm程度の略四角形を形成する。すなわち、
図14において、スリット3Dbの幅の合計(W11+W12+W13+W14)は狭められておらず、例えば680μmであるので、スリット3Dbと切欠き部3Dcとが形成する略多角形である略正方形は、樹脂被覆部2bの2本分に略等しい一辺が250μmの四角形の4隅を曲線形状にした形状である。
【0052】
交差解消部材3は、
図1に示すように、把握部材4によって付与される把握力によって、先端側に向かってスリット3bの幅が狭められている。
図15は、変形例4における光ファイバ心線及び交差解消部材の
図1のC-C線に対応する断面図である。
図15において、スリット3Dbと切欠き部3Dcとが形成する略正方形は、テーパ部2abの後端におけるクラッド径の2本分に略等しい一辺が160μmの四角形である。すなわち、
図15において、スリット3Dbの幅の合計(W21+W22+W23+W24)は、320μmである。
【0053】
図14及び
図15に示すように、複数、例えば4本の光ファイバ心線2に外接する略多角形の各頂点部である切欠き部3Dcは、光ファイバ心線2と外接する曲線形状を有する。各辺に位置するスリット3Dbの幅の合計(W11+W12+W13+W14)は、後端側のスリットの終端部において複数の光ファイバ心線2を最短で囲む外周の長さ(
図14における太実線)と、先端側において複数の光ファイバ心線2を最短で囲む外周の長さ(
図15中、太実線)との差分以上である。
【0054】
(実施の形態2)
〔光コネクタ〕
次に、光ファイババンドル構造1を用いた光コネクタについて説明する。
図16は、実施の形態2に係る光コネクタの構成を示す模式図である。光コネクタ100は、光ファイババンドル構造1Aを備える。
【0055】
光ファイババンドル構造1Aは、挿入された交差解消部材3に把握力を付与する孔部11aが形成されたフェルール11を備える。また、フェルール11は、光ファイバ心線2の細径部2aaが挿入される細孔部11bを有する。
【0056】
以上説明した実施の形態2によれば、光コネクタ100を接続可能なコネクタに内蔵されたマルチコアファイバ等に低損失で接続することができる。
【0057】
図17は、
図16の光ファイバ心線を先端側に押し込む様子を表す図である。
図17に示すように、光ファイババンドル構造1をフェルール11の孔部11aに挿入した後、細径部2aaの先端が細孔部11bの深部まで到達するよう光ファイバ心線2を押し込んでもよい。
【0058】
(実施の形態3)
〔光ファイバ接続構造〕
図18は、実施の形態3に係る光ファイバ接続構造の構成を示す模式図である。
図19は、
図18のG-G線に対応する断面図である。光ファイバ接続構造200は、光ファイババンドル構造1と、マルチコアファイバ12と、キャピラリ13と、を備える。
【0059】
マルチコアファイバ12は、複数のコア部としての複数のコア12aと、コア12aの外周に形成されているクラッド部としてのクラッド12bと、を有する。マルチコアファイバ12は、
図19に示すように、例えば4つのコア21を有し、コア21は、正方配置で配置されている。そして、コア21は、それぞれコア21と接続されている。
【0060】
光ファイババンドル構造1と、マルチコアファイバ12とは、接着又は融着により接続される。以上説明した実施の形態3によれば、マルチコアファイバ12の各コア12aと光ファイバ心線2の各コア21とを低損失で接続することができる。
【0061】
(実施の形態4)
〔他の光ファイバ接続構造〕
図20は、実施の形態4に係る光ファイバ接続構造の構成を示す模式図である。
図21は、
図20のH-H線に対応する断面図である。光ファイバ接続構造300は、光ファイババンドル構造1と、受発光素子14と、を備える。
【0062】
受発光素子14は、
図21に示すように、複数の受発光部として例えば4つの受発光部14aを有し、受発光部14aは、正方配置で配置されている。そして、受発光部14aは、それぞれコア21と接続されている。
【0063】
光ファイババンドル構造1と、受発光素子14とを接合することにより、受発光素子14の各受発光部14aと光ファイバ心線2の各コア21とを低損失で接続することができる。
【0064】
〔光ファイババンドル構造の製造方法〕
次に、光ファイババンドル構造1の製造方法を説明する。
図22は、光ファイババンドル構造の製造方法を示すフローチャートである。
【0065】
まず、交差解消部材3をガイド部材に挿入する(ステップS1:挿入工程)。
図23は、ガイド部材の構成を示す模式図である。
図24は、
図23のI矢視図である。ガイド部材5は、円環状の部材であり、内周方向に突出する厚さtの凸部5aを有する。凸部5aの厚さtは、例えば80μmである。
【0066】
図25は、交差解消部材をガイド部材に挿入した様子を表す図である。交差解消部材3のスリット3bに、ガイド部材5の凸部5aが嵌合するように、交差解消部材3をガイド部材5に挿入する。
【0067】
続いて、複数の光ファイバ心線2を交差解消部材3に挿通させる(ステップS2:挿通工程)。
図26は、交差解消部材に光ファイバ心線を挿入する様子を表す図である。
図27は、
図26のJ-J線に対応する断面図である。4本の光ファイバ心線2を正方配置となるように整列させて、交差解消部材3の先端側から後端側に挿通させる。
図27に示す断面では、スリット3bと切欠き部3cとが形成する正方形の一辺の長さL1は、樹脂被覆部2bの2本分に略等しい250μmである。
【0068】
そして、交差解消部材3に把握力Fを付与しながら、ガラスファイバ部2aのテーパ部2abの後端が交差解消部材3の内側に位置するまで、光ファイバ心線2を後端側に牽引する(ステップS3:第1牽引工程)。なお、交差解消部材3に対する把握力Fは、ガイド部材5によって付与してもよいが、交差解消部材3に手で把握力Fを付与してもよい。
【0069】
図28は、ガイド部材の内側に光ファイバ心線のテーパ部の後端が位置する様子を表す図である。
図29は、
図28のK-K線に対応する断面図である。
図28、
図29に示す状態では、把握力Fにより交差解消部材3の内面が光ファイバ心線2に当接している。そして、
図29に示す断面では、スリット3bと切欠き部3cとが形成する正方形の一辺の長さL2は、太径部2ac2本分に略等しい160μmである。この状態では、スリット3bのすき間と凸部5aの厚さとが一致する。
【0070】
その後、交差解消部材3からガイド部材5を取り外す(ステップS4:取り外し工程)。
【0071】
さらに、交差解消部材3に把握力Fを付与しながら、ガラスファイバ部2aの細径部2aaが交差解消部材3の内側に位置するまで、光ファイバ心線2を後端側に牽引する(ステップS5:第2牽引工程)。
図30は、交差解消部材に光ファイバ心線の細径部まで挿入した様子を表す図である。
図31は、
図30のL-L線に対応する断面図である。
図30及び
図31に示す状態では、把握力Fにより交差解消部材3の内面が光ファイバ心線2に当接している。そして、
図31に示す断面では、スリット3bと切欠き部3cとが形成する正方形の一辺の長さL3は、細径部2aaの2本分に略等しい80μmである。
【0072】
ここで、ガイド部材5の凸部5aの厚さtは、光ファイバ心線2のテーパ部2abの後端において複数の光ファイバ心線2に外接する多角形(四角形)の一辺の長さ(160μm)と、光ファイバ心線2のテーパ部2abの先端において複数の光ファイバ心線2に外接する多角形(四角形)の一辺の長さ(80μm)との差分以上であることが好ましい。この条件を満たす場合、交差解消部材3からガイド部材5を取り外すと、スリット3bに凸部5aの厚さtに相当するすき間が生じる。その結果、テーパ部2abの後端から先端に向かって光ファイバ心線2が縮径するのに応じてスリット3bの幅が狭まり、交差解消部材3が光ファイバ心線2のテーパ部2abの長手方向の全域にわたって光ファイバ心線2に当接し、光ファイバ心線2が交差することを防止する。
【0073】
そして、交差解消部材3に把握力Fを付与しながら、フェルールの孔部に交差解消部材3を挿入する(ステップS5:フェルール挿入工程)。具体的には、例えば
図16に示すフェルール11の孔部11aに交差解消部材3を挿入する。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、マルチコアファイバのコアに対応する位置にシングルコアファイバのコアを配列する光ファイババンドル構造に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0075】
1、1A 光ファイババンドル構造
2 光ファイバ心線
2a ガラスファイバ部
2aa 細径部
2ab テーパ部
2ac 太径部
2b 樹脂被覆部
3、3A、3B、3C、3D 交差解消部材
3a、3Aa、3Ba、3Ca 貫通孔
3b、3Bb、3Db スリット
3c、3Bc、3Dc 切欠き部
4 把握部材
5 ガイド部材
5a 凸部
11 フェルール
11a 孔部
11b 細孔部
12 マルチコアファイバ
13 キャピラリ
14 受発光素子
14a 受発光部
21、12a コア
22、12b クラッド
23 被覆部
100 光コネクタ
200、300 光ファイバ接続構造