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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】定電圧発生回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
G05F1/56 320C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021572660
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2021019626
(87)【国際公開番号】W WO2022249244
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2021-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】三井 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉井 宏治
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】脇岡 剛
【審判官】山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123172号公報(JP,A)
【文献】特開2007-086980号公報(JP,A)
【文献】特開2007-011425号公報(JP,A)
【文献】特開2002-312043号公報(JP,A)
【文献】特開2011-096210号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷との間に接続され、出力電流を制御する出力トランジスタと、
前記電源の電圧に基づいて発生される基準電圧に基づいて、前記出力トランジスタを駆動する第1の増幅回路と、
前記第1の増幅回路と並列に接続され、前記第1の増幅回路に比較して高速で動作し、前記基準電圧に基づいて前記出力トランジスタを駆動する第2の増幅回路と、
所定の動作時に、前記出力トランジスタから前記負荷に流れる出力電流を制限する保護回路と、
前記第2の増幅回路の動作を制御する制御回路とを備える定電圧発生回路であって、
前記第2の増幅回路は、前記第2の増幅回路の動作点を決定するバイアス電圧を印加する第1の内部ノードを含む差動対である第1のトランジスタ対を含む差動増幅回路であり、
前記第1のトランジスタ対は、前記第2の増幅回路の差動増幅回路の非反転入力端子に印加された第1の入力電圧を入力する第1の入力トランジスタ回路と、前記第2の増幅回路の差動増幅回路の反転入力端子に印加された第2の入力電圧を入力する第2の入力トランジスタ回路とを含み、
前記第1の入力トランジスタ回路は第1のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタのゲートには前記第1の入力電圧が入力され、前記第1のトランジスタのドレインは第2のトランジスタを介して前記電源に接続され、前記第1のトランジスタのソースは第1の電流源を介して接地され、
前記第2の入力トランジスタ回路は第3のトランジスタを含み、前記第3のトランジスタのゲートには前記第2の入力電圧が入力され、前記第3のトランジスタのドレインは前記第1の内部ノードに接続され、上記第3のトランジスタのドレインは第4のトランジスタを介して前記電源に接続され、前記第3のトランジスタのソースは前記第1の電流源を介して接地され、
前記制御回路は、前記出力電流が軽負荷時から増大し、所定の第2のしきい値電流までは、前記第2の増幅回路を動作させず、前記第2のしきい値電流以上となったときに、前記第2の増幅回路を動作させる一方、前記出力電流が重負荷時から減少し、前記第2のしきい値電流よりも小さい所定の第1のしきい値電流までは、前記第2の増幅回路を動作させ、前記第1のしきい値電流以下となったときに、前記第2の増幅回路を動作させないように制御し、
前記第2の増幅回路はさらに、非動作時に、前記第1の内部ノードの動作電位を固定する第1の動作電位固定回路を含み、
前記第1の動作電位固定回路は、
(1)前記第2の増幅回路の非動作時に、前記第1の内部ノードに所定のバイアス電圧を印加することで、動作電位を固定する第1のバイアス電圧発生回路、もしくは
(2)前記第2の増幅回路の非動作時に、前記第1の内部ノードに所定の電流を流すことで、動作電位を固定する第1の電流発生回路である、
定電圧発生回路。
【請求項2】
前記保護回路はさらに、
第3の増幅回路の動作点を決定するバイアス電圧を印加する第2の内部ノードを含む差動対である第2のトランジスタ対を含む差動増幅回路である前記第3の増幅回路を備え、
前記第2のトランジスタ対は、前記第3の増幅回路の差動増幅回路の非反転入力端子に印加された第3の入力電圧を入力する第3の入力トランジスタ回路と、前記第3の増幅回路の差動増幅回路の反転入力端子に印加された第4の入力電圧を入力する第4の入力トランジスタ回路とを含み、
前記第3の入力トランジスタ回路は第5のトランジスタを含み、前記第5のトランジスタのゲートには前記第3の入力電圧が入力され、前記第5のトランジスタのドレインは第6のトランジスタを介して前記電源に接続され、前記第5のトランジスタのソースは第2の電流源を介して接地され、
前記第4の入力トランジスタ回路は第7のトランジスタを含み、前記第7のトランジスタのゲートには前記第4の入力電圧が入力され、前記第7のトランジスタのドレインは前記第2の内部ノードに接続されかつ前記第4の入力電圧が入力され、上記第7のトランジスタのドレインは第8のトランジスタを介して前記電源に接続され、前記第7のトランジスタのソースは前記第2の電流源を介して接地され、
前記制御回路は、前記出力電流が軽負荷時から増大し、所定の第4のしきい値電流までは、前記第3の増幅回路を動作させず、前記第4のしきい値電流以上となったときに、前記第3の増幅回路を動作させる一方、前記出力電流が重負荷時から減少し、前記第4のしきい値電流よりも小さい所定の第3のしきい値電流までは、前記第3の増幅回路を動作させ、前記第3のしきい値電流以下となったときに、前記第3の増幅回路を動作させないように制御する、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項3】
前記第1のしきい値電流は前記第3のしきい値電流に等しく、前記第2のしきい値電流は前記第4のしきい値電流に等しくなるように設定される、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項4】
前記保護回路はさらに、非動作時に、前記第2の内部ノードの動作電位を固定する第2の動作電位固定回路を含む、
請求項2又は3に記載の定電圧発生回路。
【請求項5】
前記第2の動作電位固定回路は、
(1)前記保護回路の非動作時に、前記第2の内部ノードに所定のバイアス電圧を印加することで、動作電位を固定する第2のバイアス電圧発生回路、もしくは
(2)前記保護回路の非動作時に、前記第2の内部ノードに所定の電流を流すことで、動作電位を固定する第2の電流発生回路である、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項6】
請求項に記載の前記第1のバイアス電圧発生回路、及び請求項に記載の前記第2のバイアス電圧発生回路は、
少なくとも2個のトランジスタを直列に接続した電圧発生回路であって、前記基準電圧に基づいて、所定のバイアス電圧を発生する電圧発生回路を含む、
定電圧発生回路。
【請求項7】
前記第1のバイアス電圧発生回路は、
少なくとも2個のトランジスタを直列に接続した電圧発生回路であって、前記基準電圧に基づいて、所定のバイアス電圧を発生する第1の電圧発生回路と、
カレントミラー回路を含む第2の電圧発生回路であって、前記第1の電圧発生回路により発生されたバイアス電圧に対応するバイアス電圧を発生して前記第1の内部ノードに出力する前記第2の電圧発生回路とを含む、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項8】
前記第1のバイアス電圧発生回路は、
前記基準電圧に基づいて所定の内部基準電圧を発生する内部基準電圧発生回路と、
前記内部基準電圧に基づいて所定のバイアス電圧を発生し、カレントミラー回路を用いて出力インピーダンスを調整して前記第1の内部ノードに出力する電圧発生回路とを含む、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項9】
前記第1の電流発生回路は、
前記第2の増幅回路の動作時に、所定の第1の電流を前記第1の内部ノードに流し、
前記第2の増幅回路の非動作時に、前記第1の電流よりも小さい所定の第2の電流を前記第1の内部ノードに流す、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項10】
前記第2のバイアス電圧発生回路は、
少なくとも2個のトランジスタを直列に接続した電圧発生回路であって、前記基準電圧に基づいて、所定のバイアス電圧を発生する第1の電圧発生回路と、
カレントミラー回路を含む第3の電圧発生回路であって、前記第1の電圧発生回路により発生されたバイアス電圧に対応するバイアス電圧を発生して前記第2の内部ノードに出力する前記第3の電圧発生回路とを含む、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項11】
前記第2のバイアス電圧発生回路は、
前記基準電圧に基づいて所定の内部基準電圧を発生する内部基準電圧発生回路と、
前記内部基準電圧に基づいて所定のバイアス電圧を発生し、カレントミラー回路を用いて出力インピーダンスを調整して前記第2の内部ノードに出力する電圧発生回路とを含む、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【請求項12】
前記第2の電流発生回路は、
前記第3の増幅回路の動作時に、所定の第1の電流を前記第2の内部ノードに流し、
前記第3の増幅回路の非動作時に、前記第1の電流よりも小さい所定の第2の電流を前記第2の内部ノードに流す、
請求項に記載の定電圧発生回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、比較的低い入出力間電位差でも動作する低ドロップアウトレギュレータ(以下、LDOという。)などの定電圧発生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力電圧値、出力電流値又は端子印加電圧の極性に応じて複数のモードを切り替える電源回路の構成において、基準電圧源を共有する場合、各モードの切り替え時において基準電圧源に接続されたトランジスタのドレイン及びソースの片方又は両方の電位が変動する。上記切り替え時にトランジスタの寄生容量がカップリング容量として作用し、基準電圧源にノイズが重畳して切り替え前後で基準電圧が変化する。これにより、電源回路の出力電圧がそれに追従することで出力電圧変化、又は電源回路の出力電圧変化に伴う出力電流の変化が発生する。そして、出力電圧変化、又は電源回路の出力電圧変化に伴う出力電流の変化によって意図しないモード遷移を誘発し、最悪の場合、各モードを遷移し続ける誤動作に繋がるという問題点があった。
【0003】
上記の誤動作を回避する手段として、他方の回路動作に影響を与えないようにするために電位変動が発生する回路と他方の回路とで異なる基準電圧源を使用する方法が既に知られている。加えて、基準電圧源へ重畳されるノイズの絶対値を抑制するためにモード切り替えの際に、ドレイン及びソースの片方又は両方の電位が変動する基準電圧源に接続されたトランジスタのサイズを小さくして寄生容量を低減させる方法も既知の事実である。そして、基準電圧が切り替え前後で変化した際、基準電圧に電源回路の出力電圧が追従する制御が存在することによる電源回路の出力電圧変化、又はそれに伴う出力電流の変化によってモードの切り替えが発生しないように差動増幅器にオフセットを付ける方法も既知技術として存在する。
【0004】
例えば、特許文献1では、電源と負荷との間に接続された第1トランジスタを駆動する第1アンプと、第1トランジスタに並列接続された第2トランジスタを駆動する第2アンプと、第1アンプ及び第2アンプをそれぞれ制御するアンプ制御回路とを有するシリーズレギュレータが開示されている。当該シリーズレギュレータにおいて、第2トランジスタの電流能力は、第1トランジスタの電流能力よりも小さく、第2アンプの消費電流は、第1アンプの消費電流よりも小さく設定される。アンプ制御回路は、負荷に流れる出力電流が所定のアンプ切り替え閾値よりも小さい第1負荷領域では、第1トランジスタに流れる第1出力電流をゼロ値とし、第2トランジスタに流れる第2出力電流で出力電流の全てを賄うように、第1アンプ及び第2アンプをそれぞれ制御する。一方、出力電流がアンプ切り替え閾値よりも大きい第2負荷領域では、第2出力電流をゼロ値またはアンプ切り替え閾値よりも小さい固定値とする。また、第1出力電流で出力電流の全て又は出力電流から第2出力電流を差し引いた差分を賄うように、第1アンプ及び第2アンプをそれぞれ制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-185095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、今までの各モードを遷移し続ける誤動作を回避する手法として、異なる基準電圧源を使用する方法はチップ面積の増大、かつ基準電圧源の仕上りバラツキによって各モードの出力電圧の差が精度劣化に繋がる。また、トランジスタサイズを小さくするという方法はトランジスタ間のミスマッチが発生し、比較器又は差動増幅器の特性バラつきを増大させ、これも各モード間で発生する出力電圧の差が大きくなり出力電圧精度の劣化に繋がる。さらに、差動増幅器にオフセットを付ける方法は基準電圧源に重畳されるノイズ以上のオフセットを付ける必要があるため上記と同様で出力電圧の精度が劣化する等の問題点があった。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来技術と比較して、出力電圧の精度劣化を抑制しつつ、複数のモードを遷移し続ける誤動作を防止することができる定電圧発生回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る定電圧発生回路は、
電源と負荷との間に接続され、出力電流を制御するトランジスタと、
前記電源からの基準電圧に基づいて前記トランジスタを駆動する第1の増幅回路と、
前記第1の増幅回路と並列に接続され、前記第1の増幅回路に比較して高速で動作し、前記電源からの基準電圧に基づいて前記トランジスタを駆動する第2の増幅回路と、
所定の動作時に、前記トランジスタから前記負荷に流れる出力電流を制限する保護回路と、
前記第2の増幅回路の動作を制御する制御回路とを備える定電圧発生回路であって、
前記制御回路は、前記出力電流が軽負荷時から増大し、所定の第2のしきい値電流までは、前記第2の増幅回路を動作させず、前記第2のしきい値電流以上となったときに、前記第2の増幅回路を動作させる一方、前記出力電流が重負荷時から減少し、前記第2のしきい値電流よりも小さい所定の第1のしきい値電流までは、前記第2の増幅回路を動作させ、前記第1のしきい値電流以下となったときに、前記第2の増幅回路を動作させないように制御し、
前記第2の増幅回路はさらに、非動作時に、前記第2の増幅回路の内部ノードの動作電位を固定する第1の動作電位固定回路を含む。
【発明の効果】
【0009】
従って、本発明に係る定電圧発生回路によれば、カップリング容量を介したノイズ重畳が原因で発生する基準電圧源の出力電圧の変化を抑制することが可能である。これにより、差動増幅器のオフセット電圧を小さく設定でき、各モードにおいて出力電圧の差として発生する出力電圧の精度の劣化を抑制しつつ、電源回路が複数のモードを遷移し続ける誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る定電圧発生回路2とその周辺回路の構成例を示すブロック図である。
図2図1の差動増幅回路21,22の詳細構成を示す回路図である。
図3図1の定電圧発生回路2の保護実行回路13のための差動増幅回路22及び差動増幅回路21の停止動作を示すタイミングチャートである。
図4】変形例1に係る差動増幅回路21Aの構成例を示すブロック図である。
図5】変形例2に係る差動増幅回路21Bの構成例を示すブロック図である。
図6】変形例3に係る差動増幅回路21Cの構成例を示すブロック図である。
図7A図1の差動増幅回路21で用いるしきい値電流Ith1,Ith2の設定値を説明する図である。
図7B図1の差動増幅回路22で用いるしきい値電流Ith3,Ith4の設定値を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同一又は同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0012】
(発明者の知見)
特許文献1に開示されたシリーズレギュレータにおいて、動作モードの切り替えが発生するときに、MOSトランジスタの寄生容量を介して差動増幅器のノイズが、高い出力抵抗を有する基準電圧源からの出力電圧に重畳されることにより、2個の動作モード間で互いに入れ替わる切り替え発振という回路の誤動作が発生することを発見した。以下の実施形態はこの誤動作を防止することを目的とするものである。
【0013】
(実施形態)
図1は実施形態に係る定電圧発生回路2とその周辺回路の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、直流電圧源1から入力電圧Vinが定電圧発生回路2に入力される。定電圧発生回路2は例えばLDOであって、入力電圧Vinに基づいて、一定の定電圧Voutを発生して、出力キャパシタ3を介して負荷4に出力する。
【0015】
定電圧発生回路2は、基準電圧発生回路11と、監視対象ノード12と、保護実行回路13と、PチャンネルMOSトランジスタQ1と、電流源14と、3個の差動増幅回路21,22,23と、前記差動増幅回路21,22の動作を制御する制御回路10とを備えて構成される。
【0016】
基準電圧発生回路11は、入力電圧Vinを所定の基準電圧Vrefに変換して出力する。差動増幅回路21,22は例えば同一の回路構成を有する「電圧変動抑制機能付き差動増幅回路」であって、制御回路10からのイネーブル信号EN1,EN2に基づいて、例えば10MHz~数100MHzの動作周波数で動作し、差動増幅回路23に比較して高速でかつ高い消費電力で動作する。ここで、差動増幅回路21,22はそれぞれ制御回路10からのHレベルのイネーブル信号EN1,EN2に応答して動作する一方、Lレベルのイネーブル信号EN1に応答して動作しない。ここで、差動増幅回路21は定電圧発生回路2の主差動増幅器であって、所定の定電圧を発生して負荷4に供給する。また、差動増幅回路23は定電圧発生回路2の副差動増幅器であって、所定の定電圧を発生して負荷4に供給する。
【0017】
ここで、差動増幅回路21は、重負荷時に制御に支配的である主差動増幅回路を構成し、差動増幅回路22は、重負荷時に制御に支配的ではない副差動増幅回路を構成する。すなわち、重負荷時には2つの差動増幅回路21,22が動作しており、その際に消費電流の大きい差動増幅回路21が主差動増幅回路であり、差動増幅回路21に比較して消費電流の小さい差動増幅回路22が副差動増幅回路を構成する。
【0018】
さらに、差動増幅回路22は、例えばVoutに比例した電圧変化をする監視対象ノード12の電圧を検出して、差動増幅器を含む保護実行回路13とともに、例えば公知のブリックウォール電流制限法又はフォールドバック電流制限法などを用いて、出力電流Ioutの制限などの保護処理を実行する保護回路を構成する。
【0019】
差動増幅回路21,23及び保護実行回路13の出力端子は、ゲート電圧に応じて出力電流Ioutを制御するMOSトランジスタQ1のゲートに接続されることで、差動増幅回路21,23及び保護実行回路13はMOSトランジスタQ1を駆動して、MOSトランジスタQ1に流れる出力電流Ioutを制御する。また、入力電圧Vinの正極は、MOSトランジスタQ1のソース及びドレイン、電流源14を介して接地される。
【0020】
図7A図1の差動増幅回路21で用いるしきい値電流Ith1,Ith2の設定値を説明する図である。また、図7B図1の差動増幅回路22で用いるしきい値電流Ith3,Ith4の設定値を説明する図である。制御回路10は、MOSトランジスタQ1のゲート電圧を出力電流Ioutに換算して、もしくは、出力電圧端子に流れる出力電流Ioutを検出する電流センサからの出力電流Ioutを示す電流信号に基づいて、以下のように動作する。
【0021】
(1)制御回路10は、図7Aに示すように、電流0又は軽負荷時から出力電流Ioutが増大し、しきい値電流Ith2までは、Lレベルのイネーブル信号EN1を差動増幅回路21に出力し、Iout≧Ith2となったときに、Hレベルのイネーブル信号EN1を差動増幅回路21に出力する。一方、重負荷時から出力電流Ioutが減少し、しきい値電流Ith1(<Ith2)までは、Hレベルのイネーブル信号EN1を差動増幅回路21に出力し、Iout≦Ith1となったときに、Lレベルのイネーブル信号EN1を差動増幅回路21に出力する。すなわち、図7Aのようなヒステリシス動作で、制御回路10は差動増幅回路21を制御する。
【0022】
(2)制御回路10は、図7Bに示すように、電流0又は軽負荷時から出力電流Ioutが増大し、しきい値電流Ith4までは、Lレベルのイネーブル信号EN2を差動増幅回路22に出力し、Iout≧Ith4となったときに、Hレベルのイネーブル信号EN2を差動増幅回路22に出力する。一方、重負荷時から出力電流Ioutが減少し、しきい値電流Ith3(<Ith4)までは、Hレベルのイネーブル信号EN2を差動増幅回路22に出力し、Iout≦Ith3となったときに、Lレベルのイネーブル信号EN2を差動増幅回路22に出力する。すなわち、図7Bのようなヒステリシス動作で、制御回路10は差動増幅回路22を制御する。
【0023】
なお、各しきい値電流Ith1~Ith4の関係は以下のように設定される。
【0024】
Ith1≦Ith3<Ith2 (1)
Ith2≦Ith4 (2)
【0025】
ここで、「しきい値電流の簡単設定例」として、しきい値電流Ith1=Ith3、Ith2=Ith4と設定してもよい。
【0026】
図2図1の差動増幅回路21,22の詳細構成を示す回路図である。図2において、差動増幅回路21,22は、以下の5個の端子T1~T5を有する。
(1)反転入力端子(INN)T1;
(2)非反転入力端子(INP)T2;
(3)出力端子T3;
(4)イネーブル信号端子T4;及び
(5)基準電圧端子T5。
【0027】
図2において、差動増幅回路21,22は、インバータ33と、バイアス電圧発生回路31と、スイッチSW11,SW12と、差動増幅器32とを備えて構成される。なお、図2において、複数のMOSトランジスタQ11~Q34のうち、MOSトランジスタQ12、Q22,Q32をディプレッション型で構成しているが、エンハンスメント型で構成してもよく、以下、同様である。
【0028】
バイアス電圧発生回路31は、PチャンネルMOSトランジスタQ11と、NチャンネルMOSトランジスタQ12と、NチャンネルMOSトランジスタQ13とを備え、これらのMOSトランジスタが直列に接続されて構成される。MOSトランジスタQ11のソースには電源電圧Vinが印加され、MOSトランジスタQ11のゲートはそのドレインに接続される。MOSトランジスタQ12,Q13の各ゲートは互いに接続されて端子T5に接続される。MOSトランジスタQ12のソースとMOSトランジスタQ13のドレインとの接続点P1は、スイッチSW11を介して、差動増幅器32内のMOSトランジスタQ22のソースとMOSトランジスタQ23のドレインとの接続点P6に接続される。さらに、MOSトランジスタQ13のソースは接続点P2を介して電流源41を介して接地される。接続点P2はスイッチSW12を介して差動増幅器32内の接続点P7に接続される。
【0029】
以上のように構成されたバイアス電圧発生回路31は、端子T5に印加される基準電圧Vrefを所定のバイアス電圧に変換して、スイッチSW11を介して差動増幅器32内の接続点P6に印加する。
【0030】
図2の差動増幅器32は、MOSトランジスタQ21,Q22,Q23,Q31,Q32,Q33,Q34と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW13,SW14と、電流源42,43とを備えて構成される。MOSトランジスタQ21、接続点P4、MOSトランジスタQ22、接続点P6及びMOSトランジスタQ23とは互いに直列に接続され、MOSトランジスタQ21のソースは電源電圧Vinに接続され、MOSトランジスタQ23のソースはスイッチSW2及び電流源42を介して接地される。また、MOSトランジスタQ31、接続点P5及びMOSトランジスタQ32,33とは互いに直列に接続され、MOSトランジスタQ31のソースは電源電圧Vinに接続され、MOSトランジスタQ33のソースはスイッチSW2及び電流源42を介して接地される。さらに、MOSトランジスタQ21,Q31の各ゲートが互いに接続された接続点P3はスイッチSW13を介して電源電圧Vinに接続されるとともに、スイッチSW1を介して接続点P4に接続される。
【0031】
MOSトランジスタQ32,Q33の各ゲートは互いに接続された後、端子T2に接続される。接続点P5はMOSトランジスタQ34のゲートに接続され、MOSトランジスタQ34のゲートはスイッチSW14を介して電源電圧Vin及びMOSトランジスタQ34のソースに接続される。MOSトランジスタQ34のドレインは、端子T3に接続される接続点、スイッチSW3、及び電流源43を介して接地される。
【0032】
端子T4に入力されるイネーブル信号EN1,EN2はスイッチSW1~SW3の各制御端子に入力されるとともに、インバータ33に入力される、インバータ33から出力される反転イネーブル信号/EN1,/EN2はスイッチSW11~SW14の各制御端子に入力される。スイッチSW1~SW3の各制御端子に、Hレベルのイネーブル信号EN1,EN2が入力されるときに、各スイッチSW1~SW3がオンされる一方、Lレベルのイネーブル信号EN1,EN2が入力されるときに、各スイッチSW1~SW3がオフされる。また、スイッチSW11~SW14の各制御端子に、Hレベルの反転イネーブル信号/EN1,/EN2が入力されるときに、各スイッチSW11~SW14がオンされる一方、Lレベルの反転イネーブル信号/EN1,/EN2が入力されるときに、各スイッチSW11~SW14がオフされる。
【0033】
以上のように構成された差動増幅回路21,22において、Hレベルのイネーブル信号EN1EN2が入力されるときに、スイッチSW1~SW3がオンされかつスイッチSW11~SW14がオフされる。このとき、バイアス電圧発生回路31からの所定のバイアス電圧は差動増幅器32に印加されない状態で、差動増幅器32が動作状態となる。従って、差動増幅器32は、非反転入力端子T2に入力される非反転入力電圧INPから、反転入力端子T1に入力される反転入力電圧INNを減算し、減算結果の電圧を増幅した出力電圧を端子T3から出力する。なお、差動増幅回路21の端子T3は図1のMOSトランジスタQ1のゲートに接続され、差動増幅回路22の端子T3は図1の保護実行回路13を介してMOSトランジスタQ1のゲートに接続される。
【0034】
また、Lレベルのイネーブル信号EN1EN2が入力されるときに、スイッチSW1~SW3がオフされかつスイッチSW11~SW14がオンされる。このとき、バイアス電圧発生回路31からの所定のバイアス電圧は差動増幅器32に印加された状態で、差動増幅器32が非動作状態となる。従って、差動増幅器32は、前記の差動増幅をせず、端子T3からの出力のない停止状態となるが、所定のバイアス電圧が印加されているので、接点P6及びP7の電圧変動を抑制することで、MOSトランジスタQ22,Q23の持つ寄生容量を介したMOSトランジスタQ22,Q23のゲート電圧の変動を抑制する。
【0035】
すなわち、差動増幅回路21,22が動作時にはそれぞれ差動増幅動作を行い、非動作時には差動増幅動作を行わないが、このとき、所定のバイアス電圧が内部ノード(接続点P6、P7)に印加するので、基準電圧Vrefの変動を抑制することができる。
【0036】
図3図1の定電圧発生回路2の保護実行回路13のための差動増幅回路22及び差動増幅回路21の停止動作を示すタイミングチャートである。なお、図3は、しきい値電流Ith1=Ith3、Ith2=Ith4と設定した場合のしきい値電流の簡易設定例の場合を示している。
【0037】
図3の時間期間T11では、イネーブル信号EN1,EN2がHレベルとされているので、差動増幅回路21が動作状態で、保護実行回路13のための差動増幅回路22が動作状態となり、保護回路が動作している。次いで、時刻t1で、重負荷から軽負荷に変化することで出力電流Ioutが小さくなり、出力電流Iout≦Ith3となり、制御回路10はイネーブル信号EN2がLレベルになるため保護実行回路13のための差動増幅回路22の動作が停止する。また、イネーブル信号EN1がLレベルとされて差動増幅回路21は、バイアス電圧が差動増幅器32に印加された状態で、差動増幅器32が非動作状態となる。従って、差動増幅回路21は、前記の差動増幅をしない状態となるが、所定のバイアス電圧が印加されているので、MOSトランジスタQ22,Q23の持つ寄生容量を介した基準電圧の変動を抑制する。前記の効果は差動増幅回路22においても同様に発揮される。このとき、バイアス電圧の効果で、基準電圧源の出力電圧の変化が小さいために、出力電流Ioutの変動も小さく、保護実行回路13のための差動増幅回路22と差動増幅回路21が誤動作せずに、出力電圧Voutは発振しない。
【0038】
以上説明したように、差動増幅回路21,22を図2のように「電圧変動抑制機能付き差動増幅回路」で構成し、各差動増幅回路21,22が停止状態となったときに、差動増幅回路21,23の各差動増幅器32に所定のバイアス電圧が印加されているので、MOSトランジスタQ22,Q23の持つ寄生容量を介した基準電圧Vrefの変動を抑制する。このとき、バイアス電圧の効果で、出力電圧Voutの電圧変動は小さいために、出力電流Ioutの変動も小さく、差動増幅回路21,22及び保護実行回路13が誤動作せずに、出力電圧Voutは発振しない。すなわち、基準電圧源の出力電圧の変化を抑制することで、差動増幅器のオフセット電圧を小さく設定でき、モード間に渡って出力電圧Voutの精度の劣化を抑制しつつ、電源回路が複数のモードを遷移し続ける誤動作を防止することができる。
【0039】
(実施形態の変形例)
以上の実施形態において、保護実行回路13のための差動増幅回路22が停止状態となったときに、保護実行回路13に使用する差動増幅回路22の動作を停止する停止制御回路、もしくは当該差動増幅回路22のバイアス電圧を固定するバイアス電圧発生回路31を設けている。本発明はこれに限らず、これらの機能回路を、差動増幅回路21のみ設けて、差動増幅回路22に設けなくてもよいし、制御回路10からのイネーブル信号EN2で出力電流に応じて動作を停止させる機能がなくてもよい。
【0040】
以上の実施形態において、差動増幅回路23を、電圧変動抑制機能なしの通常の差動増幅回路で構成している。本発明はこれに限らず、差動増幅回路23を、差動増幅回路21,22と同様に、電圧変動抑制機能付きの差動増幅回路で構成してもよい。
【0041】
以上の実施形態において、MOSトランジスタQ12,Q13、MOSトランジスタQ22,Q23、MOSトランジスタQ32,Q33をそれぞれカスコード接続している。本発明はこれに限らず、カスコード接続せずに、それぞれ1個のMOSトランジスタQ13,Q23,Q33のみで構成してもよい。
【0042】
(他の変形例)
以上の実施形態では、定電圧発生回路2に用いる差動増幅回路21,22について説明したが、以下、差動増幅回路21,22の変形例1,2,3について説明する。なお、以下では、差動増幅回路21A,21B,21Cとしているが、これら構成を同様に、差動増幅回路21及び22に適用してもよい。
【0043】
(変形例1)
図4は変形例1に係る差動増幅回路21Aの構成例を示すブロック図である。図4において、図2と同様の構成要素について同一の符号を付している。図4の差動増幅回路21Aは、図2の差動増幅回路21,22に比較して以下の相違点を有する。
(1)バイアス電圧発生回路31に代えて、バイアス電圧発生回路31Aを備える。
(2)差動増幅器32に代えて、差動増幅器32Aを備える。
以下、相違点について説明する。
【0044】
図4において、バイアス電圧発生回路31Aは、MOSトランジスタQ11,Q13と、電流源41,44と、MOSトランジスタQ41,Q42とを備えて構成される。バイアス電圧発生回路31Aは、バイアス電圧発生回路31に比較して以下の相違点を有する。
(1)MOSトランジスタQ12を削除した。
(2)MOSトランジスタQ41,Q42によりカレントミラー回路CM1を構成することで、MOSトランジスタQ13のソース電位に対応するバイアス電圧を、カレントミラー回路CM1により発生して、スイッチSW15を介して接続点P7に出力した。
【0045】
端子T4に入力されるイネーブル信号EN1は、スイッチSW1~SW3の各制御端子に入力されるとともに、インバータ33を介してスイッチSW13~SW15の各制御端子に入力される。
【0046】
以上のように構成された差動増幅回路21Aによれば、非動作時に、MOSトランジスタQ13のソース電位に対応するバイアス電圧を、カレントミラー回路CM1により発生して、差動増幅器32Aの接続点P7に出力することで、基準電圧源の出力電圧の変化を抑制することができる。
【0047】
(変形例2)
図5は変形例2に係る差動増幅回路21Bの構成例を示すブロック図である。図5において、図2及び図4と同様の構成要素について同一の符号を付している。図5の差動増幅回路21Bは、図4の差動増幅回路21Aに比較して以下の相違点を有する。
(1)バイアス電圧発生回路31Aに代えて、内部基準電圧発生回路50及び電圧発生回路60を含むバイアス電圧発生回路を備える。
(2)差動増幅器32Aに代えて、差動増幅器32AAを備える。なお、差動増幅器32AAは、差動増幅器32Aに比較して、スイッチSW15に代えて、電圧発生回路60の接続点P22を差動増幅器32AAの接続点P6に接続するスイッチSW11を備える。
従って、差動増幅回路21Bは、内部基準電圧発生回路50及び電圧発生回路60と、差動増幅器32AAとを備えて構成される。以下、相違点について説明する。
【0048】
図5において、内部基準電圧発生回路50は、差動増幅器51と、PチャンネルMOSトランジスタQ51と、分圧抵抗R1,R2とを備えて、公知の基準電圧発生回路として構成される。従って、内部基準電圧発生回路50は、端子T5に入力される基準電圧Vrefに基づいて、所定の内部基準電圧を発生して接続点P21を介して電圧発生回路60のMOSトランジスタQ61のソースに出力する。ここで、接続点P21の電圧を当該ブロック外に出力することで、基準電圧として使用してもよい。
【0049】
電圧発生回路60は、PチャンネルMOSトランジスタQ60~Q62と、NチャンネルMOSトランジスタQ63,Q64とを備えて構成される。ここで、MOSトランジスタQ51とQ60とによりカレントミラー回路CM2を構成する。また、MOSトランジスタQ61~Q64によりカレントミラー回路を構成する。従って、電圧発生回路60は、内部基準電圧発生回路50からの定電圧について、カレントミラー回路CM2により出力インピーダンスを調整して差動増幅器32AAに出力する。
【0050】
端子T4に入力されるイネーブル信号EN1は、スイッチSW1~SW3の各制御端子に入力されるとともに、インバータ33を介してスイッチSW11,SW13,SW14の各制御端子に入力される。
【0051】
以上のように構成された差動増幅回路21Bによれば、非動作時に、MOSトランジスタQ51のドレイン電位に対応するバイアス電圧を、カレントミラー回路CM2により発生して、差動増幅器32AAの接続点P6に出力することで、基準電圧源の出力電圧の変化を抑制することができる。
【0052】
(変形例3)
図6は、変形例3に係る差動増幅回路21Cの構成例を示すブロック図である。図6の差動増幅回路21Cは、図2の差動増幅回路21に比較して以下の点が異なる。
(1)バイアス電圧発生回路31に代えて、2個の並列トランジスタ回路70,80及び電流源回路90を含む電流発生回路を備えた。
(2)差動増幅器32に代えて、差動増幅器32Bを備えた。
以下、相違点について説明する。
【0053】
差動増幅器32Bは、スイッチSW3,SW13,SW14,SW20と、MOSトランジスタQ21,Q31,Q32,Q33,Q34と、電流源43とを備えて構成される。ここで、MOSトランジスタQ34と、電流源43とにより、出力増幅回路を構成する。
【0054】
2個の並列トランジスタ回路70,80は、MOSトランジスタQ21と電流源回路90との間に、互いに直列に接続される。ここで、並列トランジスタ回路70は、2個のMOSトランジスタQ71,Q72と、スイッチSW21を備えて構成される。また、並列トランジスタ回路80は、2個のMOSトランジスタQ81,Q82と、スイッチSW23を備えて構成される。さらに、電流源回路90は、2個の電流源91,92と、スイッチSW25を備えて構成される。従って、スイッチSW21~SW25をオフにしたとき(差動増幅器32Bの非動作時)は、スイッチSW21~SW25をオンにしたとき(差動増幅器32Bの動作時)に比較して流す電流が小さくなり、特に、差動増幅器32Bを動作させないときに、当該小さい電流を前記電流発生回路から差動増幅器32Bの内部ノード(接続点P4,P6,P7)に流して、その動作電位を固定することで、基準電圧源の出力電圧の変化を抑制する。
【0055】
なお、並列トランジスタ回路70,80におけるスイッチに接続されるMOSトランジスタはそれぞれ1個に限らず、複数個のMOSトランジスタであってもよい。
【0056】
上述の実施形態及び変形例1,2では、差動増幅器32,32A,32AAの非動作時に、バイアス電圧発生回路31,31A及び電圧発生回路60から所定のバイアス電圧をそれぞれ差動増幅器32,32A,32AAの内部のノードに印加することで、差動増幅器32,32A,32AAのその動作電位を固定する(動作電位固定回路を構成する)ことで、基準電圧の電位変動を抑制する。これに対して、変形例3では、差動増幅器32Bを動作させないときに、所定の小さい電流を差動増幅器32Bの内部ノード(接続点P4,P6,P7)に流して(電流発生回路)、その動作電位を固定する(動作電位固定回路を構成する)ことで、基準電圧の電位変動を抑制する。
【0057】
(さらなる変形例)
以上の実施形態及び変形例において、スイッチSW1~SW25を備えている。ここで、スイッチSW1~SW25は例えばMOSトランジスタで構成される半導体スイッチ素子で構成される。
【0058】
以上の実施形態及び変形例において、差動増幅器32,32A,32Bを用いているが、本発明はこれに限らず、入力電圧を増幅する増幅器を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上詳述したように、本発明に係る定電圧発生回路によれば、カップリング容量を介したノイズ重畳が原因で発生する基準電圧源の出力電圧の変化を抑制することが可能である。これにより、差動増幅器のオフセット電圧を小さく設定でき、各モードにおいて出力電圧の差として発生する出力電圧の精度の劣化を抑制しつつ、電源回路が複数のモードを遷移し続ける誤動作を防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 直流電圧源
2 定電圧発生回路
3 出力キャパシタ
4 負荷
10 制御回路
11 基準電圧発生回路
12 監視対象ノード
13 保護実行回路
14 電流源
21~23,21A,21B,21C 差動増幅回路
31,31A バイアス電圧発生回路
32,32A,32AA,32B 差動増幅器
33 インバータ
41~45 電流源
50 内部基準電圧発生回路
51 差動増幅器
60 電圧発生回路
70,80 並列トランジスタ回路
90 電流源回路
91~92 電流源
P1~P22 接続点
CM1,CM2 カレントミラー回路
Q1~Q82 MOSトランジスタ
R1,R2 分圧抵抗
SW1~SW25 スイッチ
T1~T5 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B