(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】基板接合装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240430BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 R
H01L21/68 P
(21)【出願番号】P 2021098418
(22)【出願日】2021-06-14
(62)【分割の表示】P 2020531216の分割
【原出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2018135801
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062467(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/155002(WO,A1)
【文献】特開2009-004545(JP,A)
【文献】特開2005-101226(JP,A)
【文献】特開2006-270084(JP,A)
【文献】国際公開第2016/060274(WO,A1)
【文献】特開2018-056507(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084285(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/67-21/687
B23K 20/00-20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とを接合する基板接合装置であって、
前記第1基板を支持する第1支持台と、
前記第2基板の接合面を前記第1基板の接合面に対向させた状態で前記第2基板を支持する第2支持台と、
前記第1支持台が前記第1基板を支持した状態で前記第1基板の周部を保持する第1保持部と、
前記第1保持部を駆動する保持部駆動部と、
前記第1基板が前記第1支持台に全面で接触した状態で保持され且つ前記第2基板が前記第2支持台に全面で接触した状態で支持された状態から、前記第1基板の中央部が前記第1基板の周部に対して前記第2基板側に突出するように前記第1基板が撓んだ状態で支持され、前記第1基板の接合面の中央部と前記第2基板の接合面の中央部とが接触した状態にし、その後、前記第1基板と前記第2基板との接合が進むにつれて前記第1基板が中央部から周部に向かって漸次前記第1支持台から離脱するとともに、前記第2基板が中央部から周部に向かって漸次前記第2支持台から離脱しながら、前記第1基板と前記第2基板との接合を進ませた後、前記第1基板の周部を前記第2基板の周部に接触させて前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とを全面で張り合わせる際、前記第1保持部による前記第1基板の周部の保持を解除するように前記保持部駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記第1支持台は、前記第1基板を支持した状態で前記第1基板に対向する基板接触領
域が同一面内であり、前記第1基板が中央部から周部に向かって漸次前記第1支持台から離脱するとともに、前記第2基板が中央部から周部に向かって漸次前記第2支持台から離脱する際、前記第1基板が前記第1支持台から離脱し易くし且つ前記第2基板が前記第2支持台から離脱し易くするために、前記基板接触領域の内側全体が粗面加工さ
れ、
前記基板接触領域の表面の算術平均粗さは、0.1μm乃至1mmであり、
前記第1支持台が前記第1基板を支持した状態で、前記第1支持台と前記第1基板との間に気体を吐出して前記第1支持台と前記第1基板との間に形成される隙間に気体を充満させる気体吐出部を更に備え、
前記制御部は、更に、前記第1支持台の前記基板接触領域と前記第1基板との間に気体を吐出して前記第1支持台と前記第1基板との間に形成される隙間に気体を充満させて前記第1保持部に密着した前記第1基板を剥がす方向へ圧力をかけて前記第1基板を前記第1保持部から離脱させるように前記気体吐出部を制御する、
基板接合装置。
【請求項2】
前記気体は、イオンを含んだ気体または水を含んだ気体である、
請求項
1に記載の基板接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの基板同士をボンディングするための装置であって、ボンディング時において基板が取り付けられる取付装置を備えた装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された取付装置は、基板の周部を真空チャックにより保持する外側の環状部分と、基板の中央部を取付装置から突出させるように基板を変形させる変形手段と、を有する。そして、この装置は、2つの基板の接合面の中央部同士を接触させた状態にしてから、一方の基板の周部の真空チャックによる吸着保持を解除することにより2つの基板同士をボンディングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている装置のように、一方の基板の周部の吸着保持を解除する際、一方の基板の周部を吸着保持する真空チャックを停止させたとしても基板の周部に生じる静電力により取付装置の基板の取付面に張り付いてしまう場合がある。この場合、一方の基板の周部が取付装置に張り付いた状態で、2つの基板同士を近づけることにより接合せざるを得ない。そうすると、一方の基板に歪みが生じた状態で基板同士を接合することとなり、その結果、接合された2つの基板の相対的な位置がずれた状態で接合されてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、基板同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる基板接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る基板接合装置は、
第1基板と第2基板とを接合する基板接合装置であって、
前記第1基板を支持する第1支持台と、
前記第2基板の接合面を前記第1基板の接合面に対向させた状態で前記第2基板を支持する第2支持台と、
前記第1支持台が前記第1基板を支持した状態で前記第1基板の周部を保持する第1保持部と、
前記第1保持部を駆動する保持部駆動部と、
前記第1基板が前記第1支持台に全面で接触した状態で保持され且つ前記第2基板が前記第2支持台に全面で接触した状態で支持された状態から、前記第1基板の中央部が前記第1基板の周部に対して前記第2基板側に突出するように前記第1基板が撓んだ状態で支持され、前記第1基板の接合面の中央部と前記第2基板の接合面の中央部とが接触した状態にし、その後、前記第1基板と前記第2基板との接合が進むにつれて前記第1基板が中央部から周部に向かって漸次前記第1支持台から離脱するとともに、前記第2基板が中央部から周部に向かって漸次前記第2支持台から離脱しながら、前記第1基板と前記第2基板との接合を進ませた後、前記第1基板の周部を前記第2基板の周部に接触させて前記第1基板の接合面と前記第2基板の接合面とを全面で張り合わせる際、前記第1保持部による前記第1基板の周部の保持を解除するように前記保持部駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記第1支持台は、前記第1基板を支持した状態で前記第1基板に対向する基板接触領域が同一面内であり、前記第1基板が中央部から周部に向かって漸次前記第1支持台から離脱するとともに、前記第2基板が中央部から周部に向かって漸次前記第2支持台から離脱する際、前記第1基板が前記第1支持台から離脱し易くし且つ前記第2基板が前記第2支持台から離脱し易くするために、前記基板接触領域の内側全体が粗面加工され、
前記基板接触領域の表面の算術平均粗さは、0.1μm乃至1mmであり、
前記第1支持台が前記第1基板を支持した状態で、前記第1支持台と前記第1基板との間に気体を吐出して前記第1支持台と前記第1基板との間に形成される隙間に気体を充満させる気体吐出部を更に備え、
前記制御部は、更に、前記第1支持台の前記基板接触領域と前記第1基板との間に気体を吐出して前記第1支持台と前記第1基板との間に形成される隙間に気体を充満させて前記第1保持部に密着した前記第1基板を剥がす方向へ圧力をかけて前記第1基板を前記第1保持部から離脱させるように前記気体吐出部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1支持台が、第1基板を支持した状態で第1基板に対向する基板接触領域が同一面内であり、基板接触領域の内側全体が粗面加工されている。これにより、第1基板を撓ませて第1基板の中央部と第2基板の中央部とを接触させた後に第1基板の周部を第2基板の周部に接触させる際、第1基板の周部の内側の部分の第1支持台への貼り付きが抑制され且つ第1基板の周部の第1支持台への貼り付きが抑制されるので、第1基板に歪みが生じた状態での第1基板と第2基板との接合が回避でき、第1基板と第2基板とを歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る基板接合装置の概略正面図である。
【
図2A】実施の形態1に係るステージおよびヘッド付近を示す概略斜視図である。
【
図2B】実施の形態1に係るヘッドを微調整する方法を説明する図である。
【
図3A】実施の形態1に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図3B】実施の形態1に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る基板接合装置の一部の構成を示すブロック図である。
【
図5A】接合する2つの基板の一方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
【
図5B】接合する2つの基板の他方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
【
図6A】アライメントマークの撮影画像を示す概略図である。
【
図6B】アライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
【
図7】実施の形態1に係る基板接合装置が実行する基板接合処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8A】実施の形態1に係るステージおよびヘッドに基板が保持された状態を示す概略断面図である。
【
図8B】実施の形態1に係るステージおよびヘッドに保持された基板の接合面の中央部同士を接触させた状態を示す概略断面図である。
【
図9A】実施の形態1に係るステージおよびヘッドに保持された基板同士を近づける様子を示す概略断面図である。
【
図9B】実施の形態1に係るステージおよびヘッドに保持された基板の接合面の周部同士を接触させた状態を示す概略断面図である。
【
図9C】実施の形態1に係るヘッドをステージから離脱させる様子を示す概略断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る静電チャックから基板の周部を離脱させる際に保持部駆動部が静電チャックに印加する電圧の推移を示すタイムチャートである。
【
図11】比較例に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図12】本発明の実施の形態2に係る基板接合装置の概略正面図である。
【
図13A】実施の形態2に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図13B】実施の形態2に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
【
図14】実施の形態2に係るステージおよびヘッドの表面近傍の拡大断面図である。
【
図15A】実施の形態2に係る基板接触領域の一例を示す一部拡大写真である。
【
図15B】実施の形態2に係る基板接触領域の他の一例を示す一部拡大写真である。
【
図16A】実施の形態2に係る基板接触領域の一例を示す一部拡大写真である。
【
図16B】実施の形態2に係る基板接触領域の他の一例を示す一部拡大写真である。
【
図17】実施の形態2に係る基板接合装置の一部の構成を示すブロック図である。
【
図18A】実施の形態3に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図18B】実施の形態3に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
【
図19】変形例に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図20A】変形例に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図20B】変形例に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
【
図21】変形例に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図22A】変形例に係るステージおよびヘッドの概略平面図である。
【
図22B】変形例に係るステージおよびヘッドの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る基板接合装置について、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る基板接合装置は、2つの基板同士を予め設定された基準真空度以上の真空度の真空チャンバ内で、互いに接合される接合面に対して活性化処理および親水化処理が施された2つの基板同士を接触させて加圧および加熱することにより、2つの基板を接合する。ここで、活性化処理では、基板の接合面に特定のエネルギ粒子を当てることにより基板の接合面を活性化する。また、親水化処理では、活性化処理により活性化した基板の接合面近傍に水等を供給することにより基板の接合面を親水化する。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態に係る基板接合装置100は、真空チャンバ200と第1支持台であるステージ401と第2支持台であるヘッド402とステージ駆動部403とヘッド駆動部404と基板加熱部481、482と位置測定部500とを備える。また、基板接合装置100は、ステージ401とヘッド402との間の距離を測定する距離測定部490を備える。なお、以下の説明において、適宜
図1の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。
【0011】
真空チャンバ200は、第1基板である基板301と第2基板である基板302とが配置される領域S1を予め設定された基準真空度以上の真空度で維持する。真空チャンバ200は、排気管202と排気弁203とを介して真空ポンプ201に接続されている。排気弁203を開状態にして真空ポンプ201を作動させると、真空チャンバ200内の気体が、排気管202を通して真空チャンバ200外へ排出され、真空チャンバ200内の気圧が低減(減圧)される。また、排気弁203の開閉量を変動させて排気量を調節することにより、真空チャンバ200内の気圧(真空度)を調節することができる。また、真空チャンバ200の一部には、位置測定部500により基板301、302間における相対位置を測定するために使用される窓部503が設けられている。なお、前述の基準真空度は、接合された基板301、302の間への空気の巻き込みによりボイドが生じない真空度である10000Pa以下が好ましい。また、基準真空度は、1000Pa以下がより好ましく、100Pa以下が更に好ましい。
【0012】
ステージ駆動部403は、ステージ401をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりすることができる。
【0013】
ヘッド駆動部404は、ヘッド402を鉛直上方または鉛直下向(
図1の矢印AR1参照)へ昇降させる第2支持台駆動部である昇降駆動部406と、ヘッド402をXY方向へ移動させるXY方向駆動部405と、ヘッド402をZ軸周りの回転方向(
図1の矢印AR2参照)に回転させる回転駆動部407と、を有する。XY方向駆動部405と回転駆動部407とから、ヘッド402を鉛直方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)へ移動させる第1支持台駆動部を構成する。また、ヘッド駆動部404は、ヘッド402のステージ401に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ411と、ヘッド402に加わる圧力を測定するための第1圧力センサ412と、を有する。XY方向駆動部405および回転駆動部407が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ヘッド402をステージ401に対して相対的に移動させることにより、ステージ401に保持された基板301とヘッド402に保持された基板302とのアライメントが可能となる。
【0014】
昇降駆動部406は、ヘッド402を鉛直方向へ移動させることにより、ステージ401とヘッド402とを互いに近づけたり、ヘッド402をステージ401から遠ざけたりする。昇降駆動部406がヘッド402を鉛直下方へ移動させることにより、ステージ401に保持された基板301とヘッド402に保持された基板302とが接触する。そして、基板301、302同士が接触した状態において昇降駆動部406がヘッド402に対してステージ401に近づく方向への駆動力を作用させると、基板302が基板301に押し付けられる。また、昇降駆動部406には、昇降駆動部406がヘッド402に対してステージ401に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する第2圧力センサ408が設けられている。第2圧力センサ408の測定値から、昇降駆動部406により基板302が基板301に押し付けられたときに基板301、302の接合面に作用する圧力が検出できる。第2圧力センサ408は、例えばロードセルから構成される。
【0015】
ピエゾアクチュエータ411、第1圧力センサ412は、それぞれ
図2Aに示すように、3つずつ存在する。3つのピエゾアクチュエータ411と3つの第1圧力センサ412とは、ヘッド402とXY方向駆動部405との間に配置されている。3つのピエゾアクチュエータ411は、ヘッド402の上面における同一直線上ではない3つの位置、平面視略円形のヘッド402の上面の周部においてヘッド402の周方向に沿って略等間隔に並んだ3つの位置に固定されている。3つの第1圧力センサ412は、それぞれピエゾアクチュエータ411の上端部とXY方向駆動部405の下面とを接続している。3つのピエゾアクチュエータ411は、各別に上下方向に伸縮可能である。そして、3つのピエゾアクチュエータ411が伸縮することにより、ヘッド402のX軸周りおよびY軸周りの傾きとヘッド402の上下方向の位置とが微調整される。例えば
図2Bの破線で示すように、ヘッド402がステージ401に対して傾いている場合、3つのピエゾアクチュエータ411のうちの1つを伸長させて(
図2Bの矢印AR3参照)ヘッド402の姿勢を微調整することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とが略平行な状態にすることができる。また、3つの第1圧力センサ412は、ヘッド402の下面における3つの位置での加圧力を測定する。そして、3つの第1圧力センサ412で測定された加圧力が等しくなるように3つのピエゾアクチュエータ411それぞれを駆動することにより、ヘッド402の下面とステージ401の上面とを略平行に維持しつつ基板301、302同士を接触させることができる。
【0016】
ステージ401とヘッド402とは、真空チャンバ200内において、鉛直方向で互いに対向するように配置されている。ステージ401は、その上面401aで基板301を支持し、ヘッド402は、その下面402aで基板302を支持する。ここで、ステージ401は、その上面401aが基板301全体に面接触した状態で基板301を支持し、ヘッド402は、その下面402aが基板302全体に面接触した状態で基板302を支持する。ステージ401とヘッド402とは、例えば透光性を有するガラスのような透光性材料から形成されている。ステージ401およびヘッド402には、
図3Aおよび
図3Bに示すように、基板301、302を保持する静電チャック441、442、451、452、461、462と、基板301の中央部を押圧する第1押圧機構431と、基板302の中央部を押圧する第2押圧機構432と、が設けられている。静電チャック441、442は、基板301、302の周部を保持する第1保持部(第3保持部)である。静電チャック451、452、461、462は、基板301、302の周部よりも内側を保持する第2保持部(第4保持部)である。また、ステージ401、ヘッド402の中央部には、平面視円形の貫通孔401b、402bが設けられている。
【0017】
静電チャック441、442は、ステージ401、ヘッド402に基板301、302が支持された状態で、ステージ401、ヘッド402における基板301、302の周部に対向する第1領域A1に設けられた第1静電チャックである。静電チャック441、442は、端子電極441a、441b、442a、442bと、複数の電極子441c、441d、442c、442dと、を有する。端子電極441a、442aは、円環状であり、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1の外側において周方向に沿って配設された第1端子電極である。端子電極441b、442bは、円環状であり且つ端子電極441a、442aよりも小径であり、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1の内側において周方向に沿って配設された第2端子電極である。
【0018】
複数の電極子441c、442cは、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極441a、442aに電気的に接続され、先端部がステージ401、ヘッド402の中央部に向かって延在している第1電極子である。また、複数の電極子441d、442dは、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極441b、442bに電気的に接続され、先端部ステージ401、ヘッド402の中央部から離れる方向、即ち、外側に向かって延在している第2電極子である。そして、複数の電極子441c、442cと複数の電極子441d、442dとは、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1において第1方向である第1領域A1の周方向に沿って交互に並ぶように配置されている。ステージ401、ヘッド402の周方向において隣り合う電極子441c、442cと電極子441d、442dとの間の電極子間距離は、10mm以下に設定される。なお、この電極子間距離は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。また、端子電極441a、441b、442a、442bと複数の電極子441c、441d、442c、442dとは、例えばITOのような透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。
【0019】
静電チャック451、452、461、462は、ステージ401、ヘッド402に基板301、302が支持された状態で、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1よりも内側に位置する第2領域A2に設けられた第2静電チャックである。静電チャック451、452は、端子電極451a、451b、452a、452bと、複数の電極子451c、451d、452c、452dと、を有する。端子電極451a、452aは、円環状であり、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2の外側において周方向に沿って配設された第3端子電極である。端子電極451b、452bは、円環状であり且つ端子電極451a、452aよりも小径であり、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2の端子電極451a、452aよりも内側において周方向に沿って配設された第4端子電極である。
【0020】
複数の電極子451c、452cは、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極451a、452aに電気的に接続され、先端部がステージ401、ヘッド402の中央部に向かって延在している第3電極子である。また、複数の電極子451d、452dは、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極451b、452bに電気的に接続され、先端部がステージ401、ヘッド402の中央部から離れる方向、即ち、外側に向かって延在している第4電極子である。そして、複数の電極子451c、452cと複数の電極子451d、452dとは、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2において第2方向である第2領域A2の周縁に沿った方向において交互に並ぶように配置されている。ステージ401、ヘッド402の周方向において隣り合う電極子451c、452cと電極子451d、452dとの間の電極子間距離は、10mm以下に設定される。なお、この電極子間距離は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。また、端子電極451a、451b、452a、452bと複数の電極子451c、451d、452c、452dとは、例えばITOのような透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。
【0021】
静電チャック461、462は、端子電極461a、461b、462a、462bと、複数の電極子461c、461d、462c、462dと、を有する。端子電極461a、462aは、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2に配設された第3端子電極である。端子電極461a、462aは、端子電極451b、452bの内側に沿って配設された円弧状部分を有する。また、端子電極461b、462bも、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2に配設された第3端子電極である。端子電極461b、462bも、端子電極451b、452bの内側に沿って配設された円弧状部分を有する。
【0022】
複数の電極子461c、462cは、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極461a、462aに電気的に接続され、先端部が
図3AのW軸方向に直交する方向に延在している第3電極子である。また、複数の電極子461d、462dも、それぞれ直線状であり、基端部において端子電極461b、462bに電気的に接続され、先端部が
図3AのW軸方向に直交する方向に延在している第4電極子である。そして、複数の電極子461c、462cと複数の電極子461d、462dとは、ステージ401、ヘッド402におけるW軸方向において交互に並ぶように配置されている。W軸方向において隣り合う電極子461c、462cと電極子461d、462dとの間の電極子間距離は、10mm以下に設定される。なお、この電極子間距離は、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。端子電極461a、461b、462a、462bと複数の電極子461c、461d、462c、462dとは、例えばITOのような透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。
【0023】
また、静電チャック441、442、451、452、461、462は、
図4に示すように、保持部駆動部443に接続されている。保持部駆動部443は、制御部700から入力される制御信号に基づいて、各静電チャック441、442、451、452、461、462へ電圧を印加することにより静電チャック441、442、451、452、461、462を駆動する。また、保持部駆動部443は、制御部700から入力される制御信号に基づいて、静電チャック441、442、451、452、461、462を互いに独立して駆動する。
【0024】
図3Bに示すように、第1押圧機構431は、ステージ401の中央部に設けられ、第2押圧機構432は、ヘッド402の中央部に設けられている。第1押圧機構431は、ステージ401の貫通孔401bを通じてヘッド402側へ出没可能な第1押圧部431aと、第1押圧部431aを駆動する第1押圧駆動部431bと、を有する。第2押圧機構432は、ヘッド402の貫通孔402bを通じてステージ401側へ出没可能な第2押圧部432aと、第2押圧部432aを駆動する第2押圧駆動部432bと、を有する。第1押圧駆動部431bおよび第2押圧駆動部432bは、例えばボイスコイルモータを有する。また、第1押圧部431aおよび第2押圧部432aは、基板301、302に印加する圧力を一定に維持するよう制御する圧力制御と、基板301、302の接触位置を一定に維持するように制御する位置制御と、のいずれかがなされる。例えば、第1押圧部431aが位置制御され、第2押圧部432aが圧力制御されることにより、基板301、302が一定の位置で一定の圧力で押圧される。
【0025】
図1に戻って、距離測定部490は、例えばレーザ距離計であり、ステージ401およびヘッド402に接触せずにステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。距離測定部490は、透明なヘッド402の上方からステージ401に向かってレーザ光を照射したときのステージ401の上面での反射光とヘッド402の下面での反射光との差分からステージ401とヘッド402との間の距離を測定する。距離測定部490は、
図2Aに示すように、ステージ401の上面における3箇所の部位P11、P12、P13と、ヘッド402の下面における、Z方向において部位P11、P12、P13に対向する3箇所の部位P21、P22、P23との間の距離を測定する。
【0026】
図1に戻って、位置測定部500は、鉛直方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における、基板301と基板302との位置ずれ量を測定する。位置測定部500は、第1撮像部501と、第2撮像部502と、ミラー504、505と、を有する。第1撮像部501と第2撮像部502とは、ステージ401における基板301が支持される側とは反対側に配置されている。第1撮像部501および第2撮像部502は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系(図示せず)とを有している。同軸照明系の光源としては、基板301、302およびステージ401、真空チャンバ200に設けられた窓部503を透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0027】
例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように、基板301には、2つの第1アライメントマークであるアライメントマークMK1a、MK1bが設けられ、基板302には、2つの第2アライメントマークであるアライメントマークMK2a、MK2bが設けられている。基板接合装置100は、位置測定部500により両基板301、302に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板301、302の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。より詳細には、基板接合装置100は、まず、位置測定部500により基板301、302に設けられたアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを認識しながら、基板301、302の大まかなアライメント動作(ラフアライメント動作)を実行して、2つの基板301、302を対向させる。その後、基板接合装置100は、位置測定部500により2つの基板301、302に設けられたアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを同時に認識しながら、更に精緻なアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行する。
【0028】
ここで、
図1の破線矢印SC1、SC2に示すように、第1撮像部501の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー504で反射されて上方に進行し、窓部503および基板301、302の一部あるいは全部を透過する。基板301、302の一部あるいは全部を透過した光は、基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部503を透過してミラー504で反射されて第1撮像部501の撮像素子に入射する。また、第2撮像部502の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー505で反射されて上方に進行し、窓部503および基板301、302の一部あるいは全部を透過する。基板301、302の一部あるいは全部を透過した光は、基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部503を透過してミラー505で反射されて第2撮像部502の撮像素子に入射する。このようにして、位置測定部500は、
図6Aおよび
図6Bに示すように、2つの基板301、302のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板301、302のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。なお、第1撮像部501による撮影画像GAaの撮影動作と第2撮像部502による撮影画像GAbの撮影動作とは、略同時に実行される。
【0029】
図1に戻って、基板加熱部481、482は、例えば電熱ヒータであり、
図3Bに示すように、それぞれステージ401、ヘッド402に設けられている。基板加熱部481、482は、ステージ401,402に支持されている基板301,302に熱を伝達することにより基板301、302を加熱する。また、基板加熱部481、482の発熱量を調節することにより、基板301,302やそれらの接合面の温度を調節できる。
【0030】
また、基板加熱部481、482は、
図4に示すように、加熱部駆動部483に接続されている。加熱部駆動部483は、制御部700から入力される制御信号に基づいて、基板加熱部481、482へ電流を供給することにより基板加熱部481、482を発熱させる。なお、基板接合処理のスループット向上を重視する場合、基板301、302の加熱処理を、基板接合装置100とは別のアニール装置において行うことが好ましい。
【0031】
制御部700は、MPU(Micro Processing Unit)(図示せず)と主記憶部(図示せず)と補助記憶部(図示せず)とインタフェース(図示せず)とを有する。主記憶部は、揮発性メモリから構成され、MPUの作業領域として使用される。補助記憶部は、不揮発性メモリから構成され、MPUが実行するプログラムを記憶する。また、補助記憶部は、後述する基板301、302の相対的な算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθに対して予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを記憶するパラメータ記憶部703を有する。パラメータ記憶部703は、更に、後述する基板301、302の周部の静電チャック441、442による保持を解除する際に静電チャック441、442に印加するパルス電圧のパルス幅およびパルス間隔を示す情報も記憶する。
【0032】
制御部700は、第1圧力センサ412、第2圧力センサ408および距離測定部490から入力される計測信号を計測情報に変換して取得する。また、制御部700は、第1撮像部501および第2撮像部502から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換して取得する。更に、制御部700は、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、保持部駆動部443、ピエゾアクチュエータ411、第1押圧駆動部431b、第2押圧駆動部432b、加熱部駆動部483、ステージ駆動部403およびヘッド駆動部404それぞれへ制御信号を出力する。
【0033】
制御部700は、
図6Bに示すように、第1撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板301、302に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量Δxa、Δyaを算出する。なお、
図6Bは、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部700は、第2撮像部502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板301、302に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。その後、制御部700は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。そして、制御部700は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減されるように、ヘッド402をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。これにより、2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθが低減される。このようにして、基板接合装置100は、2つの基板301、302の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するファインアライメント動作を実行する。
【0034】
次に、本実施の形態に係る基板接合装置100が実行する基板接合処理について
図7乃至
図10を参照しながら説明する。この基板接合処理は、制御部700により基板接合処理を実行するためのプログラムが起動されたことを契機として開始される。なお、
図7においては、基板301,302が、ステージ401、ヘッド402に支持されているものとする。ここで、制御部700は、保持部駆動部443から静電チャック441、442、451、452、461、462へ電圧を印加することにより静電チャック441、442、451、452、461、462を駆動している。これにより、静電チャック441、451、461が基板301を保持し、静電チャック442、452、462が基板302を保持した状態となっている。また、基板接合装置100は、距離測定部490により、ステージ401およびヘッド402に基板301、302が保持されていない状態で、ステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離の測定を完了しその結果をパラメータ記憶部703に記憶しているものとする。更に、基板301、302の厚さの測定結果が既にパラメータ記憶部703に記憶されているものとする。
【0035】
まず、基板接合装置100は、ステージ401およびヘッド402に基板301、302が保持されていない状態でのステージ401の上面とヘッド402の下面との間の距離と基板301、302の厚さとに基づいて、基板301、302間の距離を算出する。そして、基板接合装置100は、算出した距離に基づいて、ヘッド402を下方向へ移動させて基板301、302同士を近づける(ステップS1)。
【0036】
次に、基板接合装置100は、
図8Aに示すように基板301、302同士が離間した状態で、基板301の基板302に対する位置ずれ量を算出する(ステップS2)。ここにおいて、制御部700は、まず、位置測定部500の第1撮像部501および第2撮像部502から、非接触状態における2つの基板301、302の撮影画像GAa,GAb(
図6A参照)を取得する。そして、制御部700は、2つの撮影画像GAa,GAbに基づいて、2つの基板301、302のX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向の位置ずれ量Δx、Δy、Δθそれぞれを算出する。具体的には、制御部700は、例えばZ方向に離間したアライメントマークMK1a,MK2aを同時に読み取った撮影画像GAaに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxa、Δya(
図6B参照)を算出する。同様に、Z方向に離間したアライメントマークMK1b,MK2bを同時に読み取った撮影画像GAbに基づき、ベクトル相関法を用いて位置ずれ量Δxb、Δybを算出する。そして、制御部700は、位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、2つの基板301、302の水平方向における位置ずれ量Δx、Δy、Δθを算出する。
【0037】
図7に戻って、続いて、基板接合装置100は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように基板302を基板301に対して相対的に移動させることにより、位置合わせを実行する(ステップS3)。ここにおいて、基板接合装置100は、ステージ401を固定した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが解消するように、ヘッド402をX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向へ移動させる。
【0038】
その後、基板接合装置100は、基板301、302が互いに離間した状態で、基板301、302を撓ませる(ステップS4)。基板接合装置100は、例えば
図8Bに示すように、基板301の接合面の周部301sに対して中央部301cが基板302側に突出する形で、基板301を撓ませる。このとき、基板接合装置100は、ステージ401の周縁側の静電チャック441により基板301を保持させつつ、ステージ401の中央部側の静電チャック451、461による基板301の保持を解除する。ここで、制御部700は、保持部駆動部443から静電チャック441へ電圧が印加され、保持部駆動部443から静電チャック451、461に電圧が印加されないように保持部駆動部443を制御する。そして、基板接合装置100は、基板301の周部301sを静電チャック441に保持させた状態で、第1押圧部431aにより基板301の中央部を基板302側に押圧する。これにより、基板301は、その接合面の中央部301cが基板302側に突出するように撓む。
【0039】
また、基板接合装置100は、基板302の接合面の周部302sに対して中央部302cが基板301側に突出する形で、基板302を撓ませる。このとき、基板接合装置100は、ヘッド402の周縁側の静電チャック442により基板302を保持させつつ、ヘッド402の中央部側の静電チャック452、462による基板302の保持を解除する。ここで、制御部700は、保持部駆動部443から静電チャック442へ電圧が印加され、保持部駆動部443から静電チャック452、462に電圧が印加されないように保持部駆動部443を制御する。そして、基板接合装置100は、基板302の周部302sを静電チャック442に保持させた状態で、第2押圧部432aにより基板302の中央部を基板301側に押圧する。これにより、基板302は、その接合面の中央部302cが基板301側に突出するように撓む。
【0040】
図7に戻って、次に、基板接合装置100は、昇降駆動部406によりヘッド402を下方向へ移動させることにより、基板301の接合面の中央部301cと基板302の接合面の中央部302cとを接触させる(ステップS5)。このとき、
図8Bの矢印AR11に示すように、基板301、302それぞれの互いに接合している接合面の中央部301c、302cから基板301、302の周部に向かって基板301、302同士の接合が進んでいく。ここで、制御部700は、例えばヘッド402の静電チャック442に印加される電圧がステージ401の静電チャック441に印加される電圧に比べて低くなるように保持部駆動部443を制御する。この場合、静電チャック442へ基板302が吸着される力と基板301、302同士の接合力とが平衡しつつ、基板301、302同士の接合が進んでいく。
【0041】
そして、基板接合装置100は、
図9Aの矢印AR12に示すように、第1押圧部431aをステージ401に没入させる方向へ移動させ且つ第2押圧部432aをヘッド402に没入させる方向へ移動させる。同時に、基板接合装置100は、
図9Aの矢印AR13に示すように、ヘッド402をステージ401に近づく方向へ移動させる。ここで、基板接合装置100は、基板301、302の接触部分ACの周縁における基板301の接合面と基板302の接合面とのなす角度θ1が予め設定された基準角度以下となるようにステージ401、ヘッド402を駆動する。なお、基準角度は、例えば45度に設定され、15度以下であることが好ましい。これにより、基板301、302同士の接触時における基板301、302の接触部分ACの周縁部分に生じる歪みが緩和される。なお、このとき、基板301と基板302とは、互いに離脱させることが可能な状態で接合されたいわゆる仮接合状態となっている。また、基準角度θ1は、基板301、302同士が仮接合した状態における基板301、302同士の接合力と、静電チャック451、452、461、462による基板301、302の吸着力と、基板301、302をステージ401、ヘッド402から剥離する際に要する剥離力と、に基づいて設定される。なお、前述の接合力、吸着力および剥離力は、基板301、302同士の接合処理を行う前に事前に計測しておく。
【0042】
図7に戻って、続いて、基板接合装置100は、基板301の接合面が基板302の接合面に接触した状態で、 基板302の基板301に対する位置ずれ量を測定する(ステップS6)。このとき、基板接合装置100は、基板301と基板302との仮接合が進むことにより基板302の基板301に対する移動が規制された状態で、基板301、302の位置ずれ量を測定する。
【0043】
その後、基板接合装置100は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0044】
次に、基板接合装置100により、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθのいずれかが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthよりも大きいと判定されたとする(ステップS7:No)。この場合、基板接合装置100は、基板302の接合面を基板301の接合面から離脱させる(ステップS8)。このとき、基板接合装置100は、ヘッド402を上昇させて基板301、302間の隙間を広げつつ、第1押圧部431aをステージ401に没入させる方向へ移動させるとともに、第2押圧部432aをヘッド402に埋没させる方向へ移動させる。ここにおいて、基板接合装置100は、基板302を基板301から剥がす際の基板302の引っ張り圧力が一定となるようにヘッド402の上昇を制御する。また、基板接合装置100は、ステージ401の中央部側の静電チャック451、461と、ヘッド402の中央部側の静電チャック452、462と、により基板301、302の中央部を保持させる。ここで、基板接合装置100が、静電チャック451、452、461、462により基板301、302を保持するタイミングは、基板301、302間の隙間を広げつつ第1押圧部431aをステージ401に没入させ、第2押圧部432aをヘッド402に没入させるタイミングの前後のタイミングであってもよいし、同時であってもよい。これにより、基板302が基板301から離脱し、基板301と基板302との接触状態が解除される。
【0045】
続いて、基板接合装置100は、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθを全て位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下にするための基板301、302の補正移動量を算出する(ステップS9)。ここにおいて、制御部700は、基板302を基板301に接触させた状態での基板301と基板302との位置ずれ量Δx、Δy、Δθと、基板302が基板301に接触していない状態での基板301と基板302との位置ずれ量との差分に相当する移動量だけ移動させるような補正移動量を算出する。このように、基板301、302同士が接触した状態での位置ずれ量と基板301、302が接触していない状態での位置ずれ量との差分に相当する移動量だけオフセットしてアライメントすることにより、再度基板301、302同士が接触したときに同様の基板301、302の接触による位置ずれが発生すれば基板301、302の位置ずれが無くなることになる。
【0046】
その後、基板接合装置100は、2つの基板301、302の非接触状態、即ち2つの基板301、302が水平方向において自由に移動可能な状態において、2つの基板301、302の相対的な位置ずれ量Δx、Δy、Δθを補正するように、位置合わせを実行する(ステップS10)。ここにおいて、基板接合装置100は、ステージ401が固定された状態で、ヘッド402をステップS9で算出された補正移動量だけX方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向に移動させる。このようにして、基板接合装置100は、基板301の接合面と基板302の接合面とが離間した状態で、位置ずれ量Δx、Δy、Δθが小さくなるように基板301の基板302に対する相対位置を調整する。そして、基板接合装置100は、再びステップS4の処理を実行する。
【0047】
一方、基板接合装置100により、算出した位置ずれ量Δx、Δy、Δθの全てが、予め設定された位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθth以下であると判定されたとする(ステップS7:Yes)。この場合、基板接合装置100は、基板301、302の周部の保持を解除する(ステップS11)。ここでは、基板接合装置100は、
図9Bに示すように、基板301の周部301sを基板302の周部302sに接触させる。そして、基板接合装置100は、静電チャック441、442による基板301、302の周部の保持を解除させる。ここにおいて、制御部700が、静電チャック441、442による基板301、302の周部301s、302sの保持を解除するように保持部駆動部443を制御する。即ち、制御部700は、保持部駆動部443から静電チャック441、442への電圧印加を停止するように保持部駆動部443を制御する。このようにして、基板接合装置100は、基板301の周部を基板302の周部に接触させて基板301の接合面と基板302の接合面とを全面で張り合わせる。
【0048】
また、制御部700は、静電チャック441、442による基板301、302の周部の保持を解除させる際、静電チャック441、442の端子電極441a、441b、442a、442bの間にパルス電圧を印加するよう保持部駆動部443を制御する。ここで、制御部700は、端子電極441a、441b、442a、442bの間に互いに極性の異なるパルス電圧を交互に印加しつつ、パルス電圧の振幅を漸減させるように保持部駆動部443を制御する。ここで、保持部駆動部443は、例えば
図10に示すように、パルス幅ΔT11、ΔT12、ΔT13、ΔT14、ΔT15、ΔT16の極性の異なるパルス電圧を交互に印加する。ここで、各パルス電圧のパルス間隔は、それぞれΔT21、ΔT22、ΔT23、ΔT24、ΔT25に設定されている。各パルス間隔ΔT21、ΔT22、ΔT23、ΔT24、ΔT25は、ステージ401、ヘッド402の放電時間を考慮して決定される。また、本実施の形態に係る静電チャック441、442、451、452、461、462のように、複数の電極子が交互に並ぶように配置されている場合、放電し易くなり、パルス間隔ΔT21、ΔT22、ΔT23、ΔT24、ΔT25を設けることによるステージ401、ヘッド402の帯電抑制効果が得られる。また、パルス幅ΔT11、ΔT12、ΔT13、ΔT14、ΔT15、ΔT16は、互いに等しく設定されていてもよいし、経時的に長くなるように設定されていてもよい。或いは、任意に選択した5つ以下のパルス電圧のパルス幅が等しくなるように設定されていてもよい。更に、パルス間隔ΔT21、ΔT22、ΔT23、ΔT24、ΔT25は、互いに等しく設定されていてもよいし、経時的に長くなるように設定されていてもよい。或いは、任意に選択した4つ以下のパルス間隔が等しくなるように設定されていてもよい。なお、
図10において、V0、V1、V2、V3、V4、V5、V6は、電圧振幅の絶対値を示し、V0は、静電チャック441、442により基板301、302を保持しているときの電圧振幅に相当する。そして、V0>V1>V2>V3>V4>V5>V6の関係が成立している。
【0049】
図7に戻って、次に、基板接合装置100は、基板301、302同士を接合する接合処理を実行する(ステップS12)。ここでは、基板接合装置100が、基板加熱部481、482により基板301、302を加熱することにより、基板301と基板302とを接合させる。そして、基板接合装置100は、
図9Cの矢印AR14に示すように、ヘッド402を上昇させる。
【0050】
また、基板接合装置100は、基板301、302同士の接合が複数回実行される場合において、予め設定された基準回数毎に、静電チャック441、442が基板301、302を保持している状態における端子電極441a、441b、442a、442bの間に印加する電圧の極性を反転させる。具体的には、制御部700が、基準回数毎に、基板301、302を保持している状態における端子電極441a、441b、442a、442bの間に印加する電圧の極性を反転させるように保持部駆動部443を制御する。ここで、基準回数は、ステージ401、ヘッド402の帯電量が基板301、302同士の接合に影響しない帯電量で維持されるように設定され、1回に設定されていてもよいし、2回以上に設定されていてもよい。基準回数が1回に設定されている場合、基板接合装置100は、1組の基板301、302の接合を行う毎に端子電極441a、441b、442a、442bの間に印加する電圧の極性を反転させる。なお、基板接合装置100は、静電チャック451、452、461、462についても、予め設定された基準回数毎に基板301、302を保持している状態における端子電極451a、451b、452a、452b、461a、461b、462a、462bの間に印加する電圧の極性を反転させる。これにより、ステージ401、ヘッド402の帯電量が減少するので、ステージ401、ヘッド402が帯電していることに起因した基板301、302のステージ401、ヘッド402への貼り付きが抑制される。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係る基板接合装置100によれば、制御部700が、基板301、302を撓ませて基板301の中央部301cと基板302の中央部302cとが接触した状態において、基板301の周部301sを基板302の周部302sに接触させる際、静電チャック441による基板301の周部301sの保持を解除するように保持部駆動部443を制御する。これにより、基板301、302を撓ませて基板301の中央部301cと基板302の中央部302cとを接触させた後、基板301の周部301sを基板302の周部302sに接触させる際、基板301の周部301sの内側の部分のステージ401への貼り付きおよび基板302の周部302sの内側の部分のヘッド402への貼り付きが抑制され且つ基板301の周部301sのステージ401への貼り付きおよび基板302の周部302sのヘッド402への貼り付きが抑制される。従って、基板301に歪みが生じた状態での基板301、302同士の接合が回避でき、基板301、302同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【0052】
ところで、静電チャックとして、例えば
図11に示す比較例のように、ステージ9401、ヘッド9402における、平面視で貫通孔401b、402bを挟んだ両側それぞれに設けられた電極9441a、9442a、9441b、9442bを有する構成が考えられる。この場合、静電チャック9441、9442により基板301、302を保持している状態で、ステージ9401、ヘッド9402内における電荷の偏りが大きくなる。従って、静電チャック9441、9442による基板301、302の保持を解除する際、ステージ9401、ヘッド9402の電荷の偏りが大きい分、電極9441a、9442a、9441b、9442b間への電圧印加を停止しても電荷の偏りが解消しにくい。これにより、ステージ9401、ヘッド9402の帯電量が大きくなり、基板301、302がステージ9401、ヘッド9402から離脱せず、貼り付いた状態になる虞がある。
【0053】
これに対して、本実施の形態に係る基板接合装置100では、複数の電極子441c、442cと複数の電極子441d、442dとが、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1において第1領域A1の周方向に沿って交互に並ぶように配置されている。また、複数の電極子451c、452cと複数の電極子451d、452dとは、ステージ401、ヘッド402における第2領域A2において第2方向である第2領域A2の周縁に沿った方向において交互に並ぶように配置されている。更に、複数の電極子461c、462cと複数の電極子461d、462dとは、ステージ401、ヘッド402におけるW軸方向において交互に並ぶように配置されている。このため、比較例に比べて、電極子441c、442c、441d、442d、451c、452c、451d、452d、461c、462c、461d、462d間の距離が短い。これにより、静電チャック441、442、451、452、461、462による基板301、302の保持を解除する際、ステージ401、ヘッド402が放電し易いので、基板301、302の帯電に起因した基板301、302のステージ401、ヘッド402への貼り付きが抑制される。
【0054】
更に、本実施の形態に係る制御部700は、静電チャック441による基板301の周部の保持を解除する際、端子電極441a、441bの間に互いに極性の異なるパルス電圧を交互に印加しつつ、その振幅が漸減するように保持部駆動部443を制御する。また、制御部700は、静電チャック442による基板302の周部の保持を解除する際、端子電極442a、442bの間に互いに極性の異なるパルス電圧を交互に印加しつつ、その振幅が漸減するように保持部駆動部443を制御する。これにより、基板301、302の帯電量を急速に減少させることができるので、基板301、302をスムーズにステージ401、ヘッド402から離脱させることができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るステージ401、ヘッド402は、透光性を有するガラスから形成されている。そして、端子電極441a、441b、442a、442b、451a、451b、452a、452b、461a、461b、462a、462bと電極子441c、441d、442c、442d、451c、451d、452c、452d、461c、461d、462c、462dとが、透明な導電性材料を含む透明導電膜から形成されている。これにより、距離測定部490は、ステージ401またはヘッド402における基板301、302側とは反対側から、ステージ401とヘッド402との間の距離を測定することが可能となる。また、位置測定部500は、ステージ401またはヘッド402における基板301、302側とは反対側から、基板301、302の相対的な位置ずれ量を測定することができる。従って、距離測定部490および位置測定部500の配置の自由度を高めることができる。そして、本実施の形態に係る基板接合装置100では、第1撮像部501と第2撮像部502とがステージ401における基板301が支持される側とは反対側に配置されている。これにより、基板301、302の間に撮像部を設ける必要が無くなるので、基板301、302上にパーティクルが付着することが抑制される。また、基板301のアライメントマークMK1a、MK1b、と基板302のアライメントマークMK2a、MK2bを個別に別の撮像部で認識する方法を採用する場合、例えば熱膨張、振動または2つの撮像部間の距離の経時的変化の影響を受ける。これに対して、本実施の形態のように赤外線透過方式により第1撮像部501でアライメントマークMK1a、MK2aを同時認識し、第2撮像部502でアライメントマークMK1b、MK2bを同時認識する方法を採用することにより、基板301、302の位置精度を向上させることができる。
【0056】
ところで、基板301、302のステージ401、ヘッド402への貼り付きを抑制するために、ステージ401、ヘッド402の第2領域A2に凹部(図示せず)を設けて基板301、302とステージ401、402との接触面積を低減したステージ、ヘッドが考えられる。ところが、このようなステージ、ヘッドでは、ステージ、ヘッドが基板301、302を支持した状態で基板301、302の中央部が凹部の内側に向かって撓んだ状態となり基板301、302に歪みが生じうる。そして、基板301、302に歪みが生じた状態で基板301、302同士を接合すると接合不良が生じる虞がある。これに対して、本実施の形態に係るステージ401は、その上面401aが基板301の少なくとも一部に面接触した状態で基板301を支持する。また、ヘッド402は、その下面402aが基板302の少なくとも一部に面接触した状態で基板302を支持する。これにより、ステージ401、ヘッド402により基板301、302を支持した状態における基板301、302の撓みが低減されるので、基板301、302の接合不良の発生が抑制される。
【0057】
更に、本実施の形態に係る基板接合装置100は、ステージ401、ヘッド402が静電チャック441、442、451、452、461、462により基板301、302を支持する。これにより、ステージ401、ヘッド402は、真空チャンバ200内の真空度が高い状態であっても基板301、302を堅固に支持することができるので、基板301、302のステージ401、ヘッド402からの脱落が抑制される。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基板接合装置は、大気圧下で、互いに接合される接合面に対して活性化処理および親水化処理が施された2つの基板301、302同士を接触させて加圧および加熱することにより、2つの基板301、302を接合する。
図12に示すように、本実施の形態に係る基板接合装置2100は、真空チャンバを備えていない点で実施の形態1に係る基板接合装置100と相違する。なお、
図12において、実施の形態1と同様の構成については
図1と同一の符号を付している。なお、以下の説明では、本実施の形態に係る基板接合装置について実施の形態1に係る基板接合装置100と同様の構成について、
図1乃至
図9に示す符号と同じ符号を用いて説明する。
【0059】
ステージ2401、2402は、鉛直方向で互いに対向するように配置されている。ステージ2401およびヘッド2402は、例えば透光性を有するガラスのような透光性材料から形成されている。また、ステージ2401、ヘッド2402は、
図13Aに示すように、それぞれ、基板301、302を支持した状態で基板301、302に対向する基板接触領域A3を有する。なお、
図13Aおよび
図13Bにおいて、実施の形態1と同様の構成については
図3Aおよび
図3Bと同一の符号を付している。ステージ2401、ヘッド2402それぞれの基板接触領域A3には、例えば
図14に示すように、凹凸2401a、2402aが形成されている。ここで、基板接触領域A3の表面の算術平均粗さは、0.1μm乃至1mmである。
【0060】
ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の凹凸2401a、2402aは、例えば基板接触領域A3にブラスト処理を施した後、表面研磨処理を行うことにより形成されてもよい。この場合、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の表面には、例えば
図15Aに示すような算術平均粗さが10μm程度の凹凸が形成される。或いは、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の凹凸2401a、2402aは、例えば基板接触領域A3にシリカコーティングを施すことにより形成されてもよい。この場合、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の表面には、例えば
図15Bに示すような算術平均粗さが5μm程度の凹凸が形成される。更に、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の凹凸2401a、2402aは、例えば基板接触領域A3をエッチングすることにより形成されてもよい。この場合、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3の表面には、例えば
図16Aに示すような算術平均粗さが1.59μm程度の凹凸または
図16Bに示すような算術平均粗さが2.63μ、程度の凹凸が形成される。
【0061】
ここで、基板301、302の内側に気体を充満させて基板301、302の基板接触領域A3の内側部分とステージ2401、ヘッド2402との間の隙間の圧力を上昇させることにより基板301、302をステージ2401、ヘッド2402から離脱させることが好ましい。このことから、基板接触領域A3の凹凸2401a、2402aは、少なくとも基板接触領域A3の周部を除く内側に形成されていることが好ましい。
【0062】
また、ステージ2401およびヘッド2402には、
図13Aおよび
図13Bに示すように、基板301、302を吸着保持するための吸着孔2441a、2451a、2461a、2471a、2442a、2452a、2462a、2472aと、基板301の中央部を押圧する第1押圧機構431と、基板302の中央部を押圧する第2押圧機構432と、が設けられている。吸着孔2441a、2442aは、基板301、302の周部を保持する第1保持部である。吸着孔2451a、2461a、2471a、2452a、2462a、2472aは、基板301、302の周部よりも内側を保持する第2保持部である。吸着孔2441a、2451a、2461a、2471aは、各別に基板301を吸着保持した状態と吸着保持しない状態とをとりうる。また、吸着孔2442a、2452a、2462a、2472aも、各別に基板302を吸着保持した状態と吸着保持しない状態とをとりうる。吸着孔2441a、2451a、2461a、2471a、2442a、2452a、2462a、2472aは、例えば真空ポンプ(図示せず)に各別の排気管(図示せず)を介して接続されている。
【0063】
また、本実施の形態に係る基板接合装置は、
図17に示すように、各排気管に介挿され、各別に開閉する開閉バルブ2441b、2451b、2461b、2471b、2442b、2452b、2462b、2472bと、保持部駆動部2443と、を備える。例えば開閉バルブ2441b,2451bを閉状態にし、開閉バルブ2461b、2471bを開状態にしたとする。この場合、吸着孔2441a、2451aにおいて基板301を吸着保持されず、吸着孔2461a、2471aのみにおいて基板301を吸着保持された状態になる。保持部駆動部2443は、開閉バルブ2441b、2451b、2461b、2471b、2442b、2452b、2462b、2472bに接続されている。そして、保持部駆動部2443は、制御部2700から入力される制御信号に基づいて、各開閉バルブ2441b、2451b、2461b、2471b、2442b、2452b、2462b、2472bを各別に開状態または閉状態にする。
【0064】
更に、本実施の形態に係る基板接合装置は、ステージ2401、ヘッド2402が基板301、302を支持した状態で、
図13Aに示すステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3と基板301、302との間に気体を吐出する気体吐出部2444を備える。気体吐出部2444は、コンプレッサ(図示せず)と、コンプレッサから吸着孔2461a、2471a、2462a、2472aへ各別に気体を供給する供給管(図示せず)と、各供給管に介挿された開閉バルブ(図示せず)と、を有する。気体吐出部2444は、開閉バルブを開状態にすることにより、吸着孔2461a、2471a、2462a、2472aステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3と基板301、302との間に気体を吐出する。ここで、気体吐出部2444は、例えばHeイオンのようなイオンを含んだ気体または水を含んだ気体を吐出する。
【0065】
図17に戻って、制御部2700は、実施の形態1で説明した制御部700と同様の構成を有する。パラメータ記憶部2703は、前述の位置ずれ量閾値Δxth、Δyth、Δθthを記憶する。制御部2700は、制御部700と同様に、第1圧力センサ412、第2圧力センサ408および距離測定部490から入力される計測信号を計測情報に変換して取得する。また、制御部2700は、第1撮像部501および第2撮像部502から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換して取得する。更に、制御部2700は、補助記憶部が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、保持部駆動部2443、気体吐出部2444、ピエゾアクチュエータ411、第1押圧駆動部431b、第2押圧駆動部432b、加熱部駆動部483、ステージ駆動部403およびヘッド駆動部404それぞれへ制御信号を出力する。
【0066】
次に、本実施の形態に係る基板接合装置が実行する基板接合処理について説明する。本実施の形態に係る基板接合処理は、実施の形態1で
図7を用いて説明した基板接合処理と同様であるため、
図7を参照しながら説明する。
図7のステップS4の処理において、本実施の形態に係る基板接合装置は、
図13Aに示すステージ2401の周縁側の吸着孔2441a、2451aにより基板301を吸着保持させつつ、ステージ2401の中央部側の吸着孔2461a、2471aによる基板301の吸着保持を解除する。ここで、制御部2700は、
図17に示す開閉バルブ2441b、2451bを開状態にして開閉バルブ2461b、2471bを閉状態にするように保持部駆動部2443を制御する。そして、基板接合装置2100は、
図13Aに示す基板301の周部301sを吸着孔2441a、2451aにより吸着保持させた状態で、第1押圧部431aにより基板301の中央部を基板302側に押圧する。また、基板接合装置2100は、ヘッド2402の周縁側の吸着孔2442a、2452aにより基板302を吸着保持させつつ、ヘッド2402の中央部側の吸着孔2462a、2472aによる基板302の吸着保持を解除する。ここで、制御部2700は、
図17に示す開閉バルブ2442b、2452bを開状態にして開閉バルブ2462b、2472bを閉状態にするように保持部駆動部2443を制御する。そして、基板接合装置2100は、
図13Aに示す基板302の周部302sを吸着孔2442a、2452aにより吸着保持させた状態で、第2押圧部432aにより基板302の中央部を基板301側に押圧する。
【0067】
また、
図7のステップS12の処理において、本実施の形態に係る基板接合装置は、気体吐出部2444により、
図13Aに示すステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3と基板301、302との間に気体を吐出させる。ここで、制御部2700は、基板301、302の周部同士を接触させる際、ステージ2401、ヘッド2402の基板接触領域A3と基板301、302との間に気体を吐出するように気体吐出部2444を制御する。具体的には、制御部2700は、
図17に示す開閉バルブ2441b、2442b、2451b、2452bを閉状態にするよう保持部駆動部2443を制御するとともに、気体吐出部2444の開閉バルブが開状態となるよう気体吐出部2444を制御する。これにより、基板301、302の周部のステージ2401、ヘッド2402への貼り付きの発生が抑制される。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態に係る基板接合装置によれば、ステージ2401、ヘッド2402が、それぞれ基板301、302を支持した状態で基板301、302に対向する基板接触領域A3に凹凸が形成されている。これにより、基板301の周部301sを基板302の周部302sに接触させる際、基板301の周部のステージ2401への貼り付きが抑制されるので、基板301に歪みが生じた状態での基板301、302同士の接合が回避でき、基板301、302同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係るステージ2401、ヘッド2402それぞれの基板接触領域A3の表面の算術平均粗さは、0.1μm乃至1mmである。これにより、例えば第1撮像部501および第2撮像部502によりステージ2401における基板301側とは反対側から位置ずれ測定を実行する際、第1撮像部501および第2撮像部502から出射された光がステージ2401による散乱が抑制される。従って、基板301と基板302とのアライメントを精度良く実行することが可能となる。
【0070】
ところで、ステージ2401における基板301を支持する面が仮に鏡面に近い状態または接触面積が大きい状態であるとする。この場合、気体吐出部2444が吸着孔2461a、2471aから気体を吐出して基板301をステージ2401から離脱させる際、気体が基板301とステージ2401との間の一部のみを通って流出しうる。この場合、基板301の基板接触領域A3の内側部分とステージ2401との間の隙間の圧力が上昇せず、基板301とステージ2401との間における基板接触領域A3の他の部分へ気体が流れず、基板301がステージ2401に貼り付いた状態となり基板301がステージ2401からスムーズに離脱させることができない虞がある。なお、基板302をヘッド2402から離脱させる場合も同様である。
【0071】
これに対して、本実施の形態に係るステージ2401、ヘッド2402は、基板接触領域A3に凹凸が形成されている。これにより、気体吐出部2444が吸着孔2461a、2471aから気体を吐出して基板301をステージ2401から離脱させる際、基板301とステージ2401との間に気体を充満させて基板301の基板接触領域A3とステージ2401との間の隙間の圧力を上昇させることができるので、基板301をステージ2401から離脱し易くなる。従って、基板301のステージ2401への貼り付きが抑制され、基板301をステージ2401からスムーズに離脱させることができる。なお、基板302をヘッド2402から離脱させる場合も同様である。
【0072】
また、本実施の形態に係る気体吐出部2444は、イオンを含んだ気体または水を含んだ気体を吐出する。これにより、ステージ2401、ヘッド2402が帯電している場合、気体吐出部2444から吐出される気体の除電効果によりステージ2401、ヘッド2402の帯電量が減少する。従って、ステージ2401、ヘッド2402が帯電していることに起因して基板301、302がステージ2401、ヘッド2402への貼り付きが抑制される。
【0073】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る基板接合装置は、
図1に示す実施の形態1で説明した基板接合装置100と同様である。但し、本実施の形態に係る基板接合装置は、実施の形態1に係るステージ401、ヘッド402の代わりに
図18Aおよび
図18Bに示すようなステージ3401、ヘッド3402を備える点で実施の形態1で説明した基板接合装置100と相違する。なお、以下の説明では、本実施の形態に係る基板接合装置について実施の形態1に係る基板接合装置100と同様の構成について、
図1乃至
図9Cに示す符号と同じ符号を用いて説明する。また、
図18Aおよび
図18Bにおいて、実施の形態1と同様の構成については
図3Aおよび
図3Bと同一の符号を付している。
【0074】
ステージ3401とヘッド3402とは、真空チャンバ200内において、鉛直方向で互いに対向するように配置されている。ステージ3401、ヘッド3402は、
図18Aに示すように、第1領域A1の内側の第2領域A2に設けられた凹部3401c、3402cを有する。ここで、第1領域A1は、ステージ3401、ヘッド3402に基板301、302が支持された状態で、ステージ3401、ヘッド3402における基板301、302の周部に対向する領域に相当する。そして、ステージ3401、ヘッド3402は、凹部3401c、3402cの中央部から凹部3401c、3402cの周縁に亘って延在し基板301、302に当接する4つのリブ3401d、3402dを有する。ここで、4つのリブ3401d、3402dは、凹部3401cの中央部から放射状に延在している。そして、ステージ3401、ヘッド3402の周部3401a、3402aと、ステージ3401、ヘッド3402の第2領域A2の内側の貫通孔401b、402bの外周部に相当する内側部位3401b、3402bと、リブ3401d、3402dとで、基板301、302を支持する。
【0075】
本実施の形態に係る基板接合装置では、実施の形態1と同様に、ステージ3401、ヘッド3402における第1領域A1に静電チャック441、442が配設されている。また、本実施の形態に係る保持部駆動部443には、静電チャック441、442のみが接続されている。そして、保持部駆動部443は、制御部700から入力される制御信号に基づいて、各静電チャック441、442へ電圧を印加することにより静電チャック441、442を駆動する。なお、本実施の形態に係る基板接合装置は、実施の形態1で
図7を用いて説明した基板接合処理と同様である。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態に係る基板接合装置によれば、ステージ3401、ヘッド3402が、ステージ3401、ヘッド3402における第2領域A2に設けられた凹部3401c、3402cの中央部から凹部3401c、3402cの周縁に亘って延在し基板301、302に当接する4つのリブ3401d、3402dを有する。これにより、基板301、302とステージ3401、ヘッド3402との接触面積を小さくすることができるので、ステージ3401、ヘッド3402による基板301、302の保持を解除する際、基板301、302のステージ3401、ヘッド3402への貼り付きが抑制される。従って、基板301、302に歪みが生じた状態での基板301、302同士の接合が回避でき、基板301、302同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【0077】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、基板接合装置は、
図19に示すようなステージ4401およびヘッド4402を備えるものであってもよい。なお、
図19において実施の形態3と同様の構成については
図18Aと同一の符号を付している。ステージ4401、ヘッド4402は、
図19に示すように、円環状の第1領域A1に沿って配設された4つの円弧状の第1突出部4401a、4402aと、第1領域A1の内側の第2領域A2に形成された凹部4401c、4402cの内側に設けられた4つの長尺のリブ4401d、4402dと、を有する。第1突出部4401a、4402aには、それぞれ、静電チャック4441、4442が配設されている。また、ステージ4401、ヘッド4402は、それらの貫通孔401b、402bの外周部に4つのリブ4401d、4402dの長手方向における貫通孔401b、402b側の一端部が連続する円環状の第2突出部4401b、4402bを有する。そして、4つのリブ4401d、4402dの長手方向における他端部と第1突出部4401a、4402aとの間には隙間が形成されている。ここで、第1突出部4401a、4402a、リブ4401d、4402dおよび第2突出部4401b、4402bのステージ4401、ヘッド4402の厚さ方向の高さが等しくなっている。これにより、第1押圧部431a、第2押圧部432aをステージ4401、ヘッド4402に没入させた状態で、ステージ4401、ヘッド4402に基板301、302を支持させると、第1突出部4401a、4402a、リブ4401d、4402dおよび第2突出部4401b、4402bが基板301、302に当接する。
【0078】
本構成によれば、第1領域A1における基板301、302と第1突出部4401a、4402aとの接触面積が小さい分、ステージ4401、ヘッド4402による基板301、302の周部の保持を解除する際、基板301、302の周部のステージ4401、ヘッド4402への貼り付きが抑制される。従って、基板301、302に歪みが生じた状態での基板301、302同士の接合が回避でき、基板301、302同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【0079】
実施の形態2に係る基板接合装置2100において、例えば
図20Aおよび
図20Bに示すようなステージ5401、ヘッド5402を備えるものであってもよい。なお、
図20Aおよび
図20Bにおいて、実施の形態2および実施の形態3と同様の構成については
図13Aおよび
図13B並びに
図18Aおよび
図18Bと同一の符号を付している。ステージ5401、ヘッド5402では、第1領域A1に吸着孔2441a、2442a、2451a、2452aが配設され、第2領域A2に凹部3401c、3402cと長尺のリブ3401d、3402dとが設けられている。吸着孔2441a、2451aは、各別に基板301を吸着保持した状態と吸着保持しない状態とをとりうる。また、吸着孔2442a、2452aも、各別に基板302を吸着保持した状態と吸着保持しない状態とをとりうる。吸着孔2441a、2451a、2442a、2452aは、例えば真空ポンプ(図示せず)に各別の排気管(図示せず)を介して接続されている。
【0080】
本構成によっても、実施の形態3と同様に、基板301、302とステージ5401、ヘッド5402との接触面積を小さくすることができるので、ステージ5401、ヘッド5402による基板301、302の保持を解除する際、基板301、302のステージ5401、ヘッド5402への貼り付きが抑制される。従って、基板301、302に歪みが生じた状態での基板301、302同士の接合が回避でき、基板301、302同士を歪み無く全面で高い位置精度で接合することができる。
【0081】
実施の形態1では、ステージ401、ヘッド402における第1領域A1に静電チャック441、442が配設され、第2領域A2に静電チャック451、452、461、462が配設されている例について説明した。但し、これに限らず、例えば
図21に示すように、ステージ6401、ヘッド6402における第2領域A2には、円環状の凹部6401c、6402cが設けられ、静電チャックが配設されていないものであってもよい。なお、
図21において、実施の形態1と同様の構成については
図3Aと同一の符号を付している。ここで、ステージ6401、ヘッド6402は、第1領域A1を含む周部6401a、6402aと、第2領域A2の内側における貫通孔401b、402bの外周部に相当する内側部位6401b、6402bと、を有する。この場合、第1押圧部431a、第2押圧部432aをステージ6401、ヘッド6402に没入させた状態で、ステージ6401、ヘッド6402に基板301、302を支持させると、周部6401a、6402aおよび内側部位6401b、6402bが基板301、302に当接する。
【0082】
或いは、
図22Aおよび
図22Bに示すように、ステージ7401、ヘッド7402における第2領域A2に、平面視円形の凹部7401c、7402cが設けられ、貫通孔7401b、7402bが凹部7401c、7402cの底部に開口しているものであってもよい。この場合、第1押圧部431a、第2押圧部432aをステージ7401、ヘッド7402に没入させた状態で、ステージ7401、ヘッド7402に基板301、302を支持させると、ステージ7401、ヘッド7402の周部7401a、7402aのみが基板301、302に当接する。
【0083】
本構成によれば、実施の形態3に係るステージ3401、ヘッド3402に比べて、基板301、302とステージ7401、ヘッド7402との接触面積を小さくすることができる。従って、ステージ7401、ヘッド7402による基板301、302の保持を解除する際、基板301、302のステージ7401、ヘッド7402への貼り付きが抑制される。
【0084】
実施の形態1では、複数の電極子441c、441d、442c、442dが、第1領域A1においてステージ401、ヘッド402の周方向に沿って交互に並ぶように配置されている例について説明した。但し、これに限らず、複数の電極子が、第1領域A1においてステージ401、ヘッド402の径方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。或いは、複数の電極子が、第1領域A1においてステージ401、ヘッド402の厚さ方向に直交する任意の一方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。また、実施の形態1では、複数の電極子451c、451d、452c、452dが、第2領域A2において第1領域A1と第2領域A2との境界部分の周方向に沿って交互に並ぶように配置されている例について説明した。但し、これに限らず、複数の電極子が、第2領域A2においてステージ401、ヘッド402の径方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよいし、ステージ401、ヘッド402の厚さ方向に直交する任意の一方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。或いは、複数の電極子が、第2領域A2全体において、ステージ401、ヘッド402の周方向に沿って交互に並ぶように配置されていてもよい。
【0085】
実施の形態1、3では、基板301、302同士を真空中で接合する例について説明したが、これに限らず、基板301、302同士を大気圧下で接合するものであってもよいし、或いは、任意の気体が充填された雰囲気下で接合するものであってもよい。
【0086】
各実施の形態では、ステージ401、2401、3401に対してヘッド402、2402、3402が鉛直方向へ移動する例について説明したが、これに限らず、例えばヘッド402、2402、3402に対してステージ401、2401、3401が鉛直方向へ移動するものであってもよい。
【0087】
各実施の形態では、基板301、302の両方を撓ませる例について説明したが、これに限らず、例えば基板301、302のいずれか一方のみを撓ませるようにしてもよい。例えば、例えばステージ401、2401、3401のみに第1押圧機構431が設けられ、ヘッド402、2402、3402に押圧機構が設けられていないものであってもよい。この場合、基板301のみを撓ませることができる。或いは、ヘッド402、2402、3402のみに第2押圧機構432が設けられ、ステージ401、2401、3401に押圧機構が設けられていないものであってもよい。この場合、基板302のみを撓ませることができる。また、ステージ401、2401、3401に、気体吐出部(図示せず)を設けて、ステージ401、2401、3401に基板301の周部が保持された状態で、ステージ401、2401、3401と基板301との間に気体を吐出することにより基板301を撓ませるものであってもよい。或いは、ヘッド402、2402、3402に、気体吐出部(図示せず)を設けて、ヘッド402、2402、3402に基板302の周部が保持された状態で、ヘッド402、2402、3402と基板302との間に気体を吐出することにより基板302を撓ませるものであってもよい。
【0088】
実施の形態1および3において、ステージ401、3401またはヘッド402、3402へ電子またはイオンを供給することによりステージ401、3401またはヘッド402、3402を電気的に中和するニュートライザ(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、制御部700は、ステージ401、3401、ヘッド402、3402が基板301、302を支持した状態から基板301、302を支持していない状態になった後、ステージ401、3401、ヘッド402、3402へ電子またはイオンを供給するようにニュートライザを制御すればよい。ニュートライザは、例えばタングステンのような金属から形成された金属フィラメント(図示せず)と、金属フィラメントに電流を流すフィラメント電源(図示せず)と、を有し、ステージ401、3401、ヘッド402、3402へ電子を供給するものであってもよい。或いは、ニュートライザが、例えば電気的に負イオンを発生させるイオン源または紫外線を利用して負イオンを発生させるイオン源であってもよい。
【0089】
本構成によれば、ニュートライザからステージ401、3401またはヘッド402、3402へ供給される電子またはイオンによりステージ401、3401またはヘッド402、3402の帯電量を減少させることができる。従って、ステージ401、3401またはヘッド402、3402が帯電していることに起因した基板301、302のステージ401、3401、ヘッド402、3402への貼り付きが抑制される。
【0090】
実施の形態では、第1撮像部501と第2撮像部502とが、それぞれ撮像素子と同軸照明系とを有するいわゆる反射型である例について説明したが、第1撮像部、第2撮像部の構成は、これに限定されない。例えば第1撮像部と第2撮像部とが、それぞれ、基板301、302の厚さ方向において基板301、302を挟んで対向する位置に配置された撮像素子(図示せず)と光源(図示せず)とを備え、光源から出射し基板301、302を透過した光を撮像素子で受光する配置でアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを撮像するいわゆる透過型の構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えばCMOSイメージセンサやメモリ、演算素子、MEMSの製造に好適である。
【符号の説明】
【0092】
100,2100:基板接合装置、200:真空チャンバ、201:真空ポンプ、202:排気管、203:排気弁、301,302:基板、401,2401,3401,4401,5401,6401,7401:ステージ、401a:上面、401b,402b,7401b,7402b:貫通孔、402,2402,3402,4402,5402,6402,7402:ヘッド、402a:下面、403:ステージ駆動部、404:ヘッド駆動部、405:XY方向駆動部、406:昇降駆動部、407:回転駆動部、408:第2圧力センサ、411:ピエゾアクチュエータ、412:第1圧力センサ、431:第1押圧機構、431a:第1押圧部、431b:第1押圧駆動部、432:第2押圧機構、432a:第2押圧部、432b:第2押圧駆動部、441,442,451,452,461,462:静電チャック、443,2443:保持部駆動部、481,482:基板加熱部、483:加熱部駆動部、490:距離測定部、500:位置測定部、501:第1撮像部、502:第2撮像部、503:窓部、504,505:ミラー、700,2700:制御部、703,2703:パラメータ記憶部、2401a,2402a:凹凸、2441a,2442a,2451a,2452a,2461a,2462a,2471a,2472a:吸着孔、2441b,2442b,2451b,2452b,2461b,2462b,2471b,2472b:開閉バルブ、2444:気体吐出部、3401a,3402a,6401a,6402a,7401a,7402a:周部、3401b,3402b,6401b,6402b:内側部位、3401c,3402c,6401c、6402c,7401c,7402c:凹部、3401d、3402d,4401d,4402d:リブ、4401a,4402a:第1突出部、4401b、4402b:第2突出部、A1:第1領域、A2:第2領域、A3:基板接触領域、AC:接触部分、GAa,GAb:撮影画像、MK1a,MK1b,MK2a,MK2b:アライメントマーク、S1:領域