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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240430BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240430BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240430BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B41/06 A
B24B49/12
B24B27/06 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020134818
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030670
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌之
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-238884(JP,A)
【文献】特開2004-207424(JP,A)
【文献】特開2017-112216(JP,A)
【文献】特開平3-200012(JP,A)
【文献】特開2004-347382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 41/06
B24B 49/12
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持テーブルと、
切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、該保持テーブルで保持された該被加工物を複数のチップに分割する切削ユニットと、
該保持テーブルよりも下方に配置された回転テーブルと、該回転テーブルの周方向に沿って配置され、少なくとも1つのチップをそれぞれ収納する複数の容器と、を有する収納ユニットと、
該回転テーブルの下部に連結され、該回転テーブルを所定の回転軸の周りに所定の角度ずつ回転させることができる回転駆動ユニットと、
該回転テーブルの下方において該回転軸の周りに連結された板部材であって、該複数の容器の各々に対応する領域において各領域の上方に位置する容器を特定するための光学的特徴が設けられている該板部材と、
該板部材の外周部の一部に配置され、該所定の角度で該板部材が回転する毎に、1つの容器に対応する該光学的特徴を検知可能な1以上のフォトセンサを有するフォトセンサユニットと、
プロセッサを備え、該フォトセンサユニットからの信号に基づいて、該光学的特徴に対応する該1つの容器の位置を少なくとも特定する位置特定ユニットと、
を備えることを特徴とする切削装置。
【請求項2】
該光学的特徴は、該板部材の周方向に沿ってそれぞれ離散的に設けられた、該板部材を厚さ方向に貫通する貫通領域と、非貫通領域と、の少なくとも1つ以上を有し、
該貫通領域及び該非貫通領域の少なくとも1つ以上の該周方向における配列は、該複数の容器の各々に対応する領域毎に異なり、
該1以上のフォトセンサの各々は、該貫通領域に対応して第1の信号を生成し、該非貫通領域に対応して第2の信号を生成し、
該位置特定ユニットは、該第1の信号及び該第2の信号の少なくともいずれかに基づいて、該光学的特徴に対応する該1つの容器の位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該収納ユニットは、N個の容器を有し、
該光学的特徴は、該板部材を周方向でN等分した複数の領域の各々に形成されており、
該Nは、3以上の自然数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削装置。
【請求項4】
該位置特定ユニットには、該複数の容器の各々に対応する光学的特徴の位置関係が予め記憶されており、
該位置特定ユニットは、該1つの容器の位置を特定する該フォトセンサユニットからの信号と、該位置関係と、に基づいて、全ての容器の位置を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を分割して製造された1以上のチップがそれぞれ収納される複数の容器を備える切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属、樹脂等で形成された基板上に複数の半導体デバイスチップを配置した後、当該基板及び半導体デバイスチップを樹脂で封止することで、パッケージ基板(被加工物)が形成される。このパッケージ基板を複数のチップに分割する場合には、切削装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
切削装置は、パッケージ基板を吸引保持する保持テーブルを備える。保持テーブルの上方には、切削ブレードを有する切削ユニットが配置されている。パッケージ基板を分割する際には、まず、パッケージ基板の表面に設定された複数の分割予定ラインと、保持テーブルに形成された複数の逃げ溝と、を位置合わせした状態で、パッケージ基板を保持テーブルで直接吸引して保持する。
【0004】
次いで、パッケージ基板を分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削して、複数のチップに分割する。複数のチップは、洗浄ユニットで洗浄され、更に、乾燥ユニットで乾燥された後、乾燥ユニットの近傍に形成された貫通開口を経て、貫通開口の下方に配置された収納ユニットへ搬送される。
【0005】
従来の収納ユニットは、移動ステージと、移動ステージ上に配置された2つのキャニスタ(容器)と、を有する。各キャニスタは、円筒形状を有し、貫通開口に対応する大きさの開口を円筒の上部に有する。移動ステージにはエアシリンダが連結されており、エアシリンダで所定の直線方向に沿って移動ステージを移動させることで、どちらか1つのキャニスタのみが、貫通開口の直下に位置付けられる。
【0006】
エアシリンダには、シリンダセンサが設けられている。例えば、第1のキャニスタが貫通開口の直下にある場合、シリンダセンサが第1状態(例えば、オフ状態)となり、第2のキャニスタが貫通開口の直下にある場合、シリンダセンサが第2状態(例えば、オン状態)となる。それゆえ、シリンダセンサを用いて、どちらのキャニスタが貫通開口の直下に位置しているのかが特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-49193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
キャニスタの数が2つである場合は、シリンダセンサの二つの状態を利用してキャニスタの位置を特定できる。しかし、キャニスタの数が3つ以上となると、シリンダセンサの二つの状態を利用してキャニスタの位置を特定できない。
【0009】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、シリンダセンサに代えて、キャニスタの位置を特定可能な新規なセンサユニットを有する切削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、被加工物を保持する保持テーブルと、切削ブレードが装着されるスピンドルを有し、該保持テーブルで保持された該被加工物を複数のチップに分割する切削ユニットと、該保持テーブルよりも下方に配置された回転テーブルと、該回転テーブルの周方向に沿って配置され、少なくとも1つのチップをそれぞれ収納する複数の容器と、を有する収納ユニットと、該回転テーブルの下部に連結され、該回転テーブルを所定の回転軸の周りに所定の角度ずつ回転させることができる回転駆動ユニットと、該回転テーブルの下方において該回転軸の周りに連結された板部材であって、該複数の容器の各々に対応する領域において各領域の上方に位置する容器を特定するための光学的特徴が設けられている該板部材と、該板部材の外周部の一部に配置され、該所定の角度で該板部材が回転する毎に、1つの容器に対応する該光学的特徴を検知可能な1以上のフォトセンサを有するフォトセンサユニットと、プロセッサを備え、該フォトセンサユニットからの信号に基づいて、該光学的特徴に対応する該1つの容器の位置を少なくとも特定する位置特定ユニットと、を備える切削装置が提供される。
【0011】
好ましくは、該光学的特徴は、該板部材の周方向に沿ってそれぞれ離散的に設けられた、該板部材を厚さ方向に貫通する貫通領域と、非貫通領域と、の少なくとも1つ以上を有し、該貫通領域及び該非貫通領域の少なくとも1つ以上の該周方向における配列は、該複数の容器の各々に対応する領域毎に異なり、該1以上のフォトセンサの各々は、該貫通領域に対応して第1の信号を生成し、該非貫通領域に対応して第2の信号を生成し、該位置特定ユニットは、該第1の信号及び該第2の信号の少なくともいずれかに基づいて、該光学的特徴に対応する該1つの容器の位置を特定する。
【0012】
また、好ましくは、該収納ユニットは、N個の容器を有し、該光学的特徴は、該板部材を周方向でN等分した複数の領域の各々に形成されており、該Nは、3以上の自然数である。
【0013】
また、好ましくは、該位置特定ユニットには、該複数の容器の各々に対応する光学的特徴の位置関係が予め記憶されており、該位置特定ユニットは、該1つの容器の位置を特定する該フォトセンサユニットからの信号と、該位置関係と、に基づいて、全ての容器の位置を特定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る切削装置は、収納ユニットを備える。収納ユニットは、回転テーブルを有し、回転テーブルには、回転テーブルの周方向に沿って、少なくとも1つのチップをそれぞれ収納する複数の容器が配置されている。回転テーブルの下部には、回転テーブルを所定の回転軸の周りに所定の角度ずつ回転させることができる回転駆動ユニットが連結されている。
【0015】
回転テーブルの下方には、回転軸の周りに板部材が連結されている。板部材には、複数の容器の各々に対応する領域において、各領域の上方に位置する容器を特定するための光学的特徴が設けられている。
【0016】
切削装置は、板部材の外周部の一部に配置されたフォトセンサユニットを更に備える。フォトセンサユニットは、所定の角度で板部材が回転する毎に、1つの容器に対応する光学的特徴を検知可能な1以上のフォトセンサを有する。切削装置は、フォトセンサユニットからの信号に基づいて、光学的特徴に対応する1つの容器の位置を少なくとも特定する位置特定ユニットを更に含む。
【0017】
例えば、回転テーブルの周方向に沿って3つの容器が配置され、回転テーブルを120°ずつ回転させる場合、板部材も120°ずつ回転する。板部材が回転する毎に1つの光学的特徴をフォトセンサユニットで検出することで、1つの光学的特徴に対応する容器が当該光学的特徴の上方に位置していることを検出できる。それゆえ、収納ユニットが3つ以上の容器を有する場合であっても、各光学的特徴に応じて容器の位置を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】切削装置の斜視図である。
図2】収納ユニット等の斜視図である。
図3】回転駆動ユニットの上面図である。
図4】板部材の上面図である。
図5】板部材及びフォトセンサユニットの上面図である。
図6図6(A)はレーザービームが貫通領域を通過する様子を示す図であり、図6(B)はレーザービームが非貫通領域により遮られる様子を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る板部材の上面図である。
図8図8(A)は所定値以上の強度の光が高反射領域から反射される様子を示す図であり、図8(B)は所定値未満の強度の光が低反射領域から反射される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る切削装置2の斜視図である。図1では、切削装置2の構成要素の一部をブロック図で示す。
【0020】
なお、以下の説明で用いられるX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向(高さ方向、切り込み送り方向)は、互いに直交する。切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を有する。
【0021】
基台4のY軸方向の一方側(-Y側)には、カセット載置領域4aが設けられている。カセット載置領域4aには、それぞれ直方体状の複数のカセット6が配置されている。各カセット6には、カセット6の高さ方向に沿って複数の棚部(不図示)が設けられている。
【0022】
1つの棚部には1つの被加工物11が配置されている。本実施形態の被加工物11は、矩形板状の樹脂パッケージ基板である。樹脂パッケージ基板は、例えば、金属、樹脂等で形成された基板(不図示)上に複数の半導体デバイスチップ(不図示)が搭載され、当該基板及び半導体デバイスチップを樹脂で封止することで製造される。
【0023】
被加工物11の表面11aには、複数の分割予定ライン(不図示)が格子状に設定されている。複数の分割予定ラインで区画された各領域には、1つの半導体デバイスチップが配置されている。
【0024】
カセット載置領域4aに対してX軸方向の一方側(+X側)には、カセットエレベータ8が設けられている。カセットエレベータ8は、Z軸方向に沿って移動可能な昇降機構(不図示)と、昇降機構の上部に設けられた昇降台(不図示)と、を有する。
【0025】
カセットエレベータ8に対してY軸方向の他方側(+Y側)には、一対のガイドレール10がY軸方向に沿って配置されている。昇降台上に配置されたカセット6の高さが昇降機構で調整された後、第1の搬送機構(不図示)により、カセット6から一対のガイドレール10の間へ、1つの被加工物11が搬出される。
【0026】
一対のガイドレール10は、互いに近づくようにX軸方向に移動することで、被加工物11のX軸方向の位置を調整する。一対のガイドレール10の+Y側には、位置合わせ領域4bが設けられている。
【0027】
被加工物11は、第1の搬送機構により、一対のガイドレール10から位置合わせ領域4bに配置された第1の保持テーブル12へ搬送される。第1の保持テーブル12は、被加工物11の形状に対応した矩形板状のチャックテーブルである。
【0028】
第1の保持テーブル12の下部には、モータ等の第1の回転駆動源(不図示)の出力軸が連結されており、第1の保持テーブル12は、Z軸方向に略平行な回転軸の周りに回転可能である。
【0029】
第1の保持テーブル12の上面には、複数の吸引口(不図示)が形成されている。各吸引口には、一端がエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続された流路(不図示)の他端が接続されている。
【0030】
吸引源で発生させた負圧を各吸引口に伝達させると、第1の保持テーブル12の上面(保持面)には、負圧が生じる。第1の保持テーブル12の上方には、位置調整用の顕微鏡カメラユニット14が設けられている。
【0031】
第1の保持テーブル12の保持面で被加工物11の裏面側を吸引保持した状態で、顕微鏡カメラユニット14により被加工物11の表面11a側を撮像する。そして、取得した画像に基づいて、分割予定ライン等が特定される。
【0032】
その後、分割予定ラインがX軸方向と略平行になる様に、第1の保持テーブル12を回転させる。位置合わせ領域4bの+Y側には、切削領域4cが設けられている。切削領域4cには、第2の保持テーブル16が配置されている。
【0033】
第1の保持テーブル12で向きが調整された被加工物11は、第1の搬送機構により、第2の保持テーブル16へ搬送される。第2の保持テーブル16は、被加工物11の形状に対応した矩形板状のチャックテーブルである。
【0034】
第2の保持テーブル16は、固定治具と、固定治具を吸引保持する治具ベースと、を有する。固定治具には、各分割予定ラインに対応する位置に、逃げ溝(不図示)が形成されている。つまり、固定治具には、複数の逃げ溝が、格子状に形成されている。
【0035】
複数の逃げ溝で区画される各領域には、分割後の個々のチップ13を吸引する吸引口(不図示)が形成されている。各吸引口には、一端が上述の吸引源(不図示)に接続された流路(不図示)の他端が接続されている。吸引源で発生させた負圧を各吸引口に伝達させると、第2の保持テーブル16の上面(保持面)には、負圧が生じる。
【0036】
第2の保持テーブル16の下部には、モータ等の第2の回転駆動源(不図示)の出力軸が連結されており、第2の保持テーブル16はZ軸方向に略平行な回転軸の周りに回転可能である。
【0037】
第2の回転駆動源の下部には、ボールネジ式のX軸移動機構(不図示)が配置されている。X軸移動機構を動作させれば、第2の保持テーブル16は、第2の回転駆動源と共にX軸方向に沿って移動する。
【0038】
第2の保持テーブル16の上方にも、顕微鏡カメラユニット14が設けられている。第2の保持テーブル16の保持面で被加工物11の裏面側を吸引保持した状態で、顕微鏡カメラユニット14により表面11a側を撮像した画像に基づいて、分割予定ライン等が特定される。
【0039】
顕微鏡カメラユニット14よりもX軸方向の他方側(-X側)には、一対の切削ユニット18が配置されている。切削ユニット18は、長手部がY軸方向と略平行に配置された円筒状のスピンドルハウジング20を有する。
【0040】
スピンドルハウジング20には、Y軸移動機構及びZ軸移動機構(いずれも不図示)が連結されている。スピンドルハウジング20は、Y軸移動機構により割り出し送り方向の位置が調整され、Z軸移動機構により切り込み送り方向の位置が調整される。
【0041】
スピンドルハウジング20には、円柱状のスピンドル22の一部が回転可能な態様で収納されている。スピンドル22の一端部には、モータ等の第3の回転駆動源の出力軸が連結されている。
【0042】
スピンドル22の他端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレード24が装着されている。被加工物11を切削する際には、まず、第2の保持テーブル16の保持面で被加工物11の裏面側を吸引保持する。そして、顕微鏡カメラユニット14、第2の回転駆動源等を用いて、分割予定ラインをX軸方向と略平行にする。
【0043】
次いで、1つの切削ユニット18の切削ブレード24を高速で回転させ、切削ブレード24を1つの分割予定ラインの延長線上に配置し、切削ブレード24の下端を、固定治具の逃げ溝の底部と、第2の保持テーブル16の保持面との間に位置付ける。
【0044】
この状態で、第2の保持テーブル16をX軸方向に沿って移動させると、被加工物11は1つの分割予定ラインに沿って切削される。一の方向における全ての分割予定ラインに沿って被加工物11を切削した後、第2の保持テーブル16を90°回転させ、一の方向と直交する他の方向の分割予定ラインをX軸方向と略平行にする。
【0045】
その後、他の方向における全ての分割予定ラインに沿って被加工物11を切削する。これにより、被加工物11は、複数のチップ13に分割される。切削領域4cの+Y側には、洗浄領域4dが設けられている。
【0046】
複数のチップ13は、第2の搬送機構(不図示)により表面側が吸引保持された状態で、洗浄領域4dへ搬送される。洗浄領域4dには、複数のチップ13の裏面側を吸引保持する第3の保持テーブル26が設けられている。
【0047】
第3の保持テーブル26の下方には、ボールネジ式のY軸移動機構(不図示)が連結されている。Y軸移動機構を動作させれば、第3の保持テーブル26はY軸方向に沿って移動する。
【0048】
洗浄領域4dにおいて第3の保持テーブル26の上方には、純水等の洗浄水を下方に向けて噴射するノズルを有する洗浄ユニット28が設けられている。第3の保持テーブル26で裏面側が吸引保持された複数のチップ13は、その表面側が洗浄水で洗浄される。
【0049】
洗浄領域4dの+Y側には、乾燥領域4eが設けられている。乾燥領域4eには、洗浄ユニット28と略同じ高さ位置に、乾燥ユニット30が配置されている。乾燥ユニット30は、下方に向けて乾燥エアを噴射するためのノズルを有する。
【0050】
洗浄後、第3の保持テーブル26を乾燥領域4eに移動させ、複数のチップ13の表面側を乾燥エアで乾燥させる。なお、図1では図示していないが、各チップ13の裏面側を洗浄する洗浄ユニットと、各チップ13の裏面側を乾燥する乾燥ユニットとが、設けられてもよい。
【0051】
乾燥領域4eの+Y側には、X軸方向に長手部を有する矩形状の貫通開口32が形成されている。乾燥後の複数のチップ13は、第3の保持テーブル26の上方に配置されたスクレーパー34により、貫通開口32へ掃き出される。
【0052】
貫通開口32の下部には、所定のスロープ(不図示)が設けられており、スロープの下方には、収納ユニット40が配置されている。つまり、収納ユニット40は、第2の保持テーブル16及び第3の保持テーブル26よりも下方に配置されている。
【0053】
図2は、収納ユニット40等の斜視図である。収納ユニット40は、円盤状の回転テーブル42を有する。回転テーブル42の上面は、XY平面と略平行に配置されている。回転テーブル42の上面には、回転テーブル42の周方向42aに沿って複数のキャニスタ(容器)44が配置されている。
【0054】
各キャニスタ44は、有底筒状であり、上部に開口44aを有する。貫通開口32へ掃き出された少なくとも1つのチップ13は、スロープを通って、スロープの直下に配置されている1つのキャニスタ44に収容される。
【0055】
回転テーブル42の下部には、Z軸方向と略平行に配置された円柱状の回転軸46の上端部が連結されている。回転軸46の下端部には、回転軸46を所定の角度ずつ回転させることができる回転駆動ユニット48(図3参照)が連結されている。
【0056】
図3は、回転駆動ユニット48の上面図である。回転駆動ユニット48は、XY平面に略平行に配置されたエアシリンダ50を有する。エアシリンダ50のシリンダチューブ50aは、回転テーブル42の下方に位置するベース基台52に対して固定されている。
【0057】
シリンダチューブ50aは、X軸及びY軸に対して斜め方向に配置されている。シリンダチューブ50aには、矢印54の方向において進退可能な態様で、ピストンロッド50bの一部が収容されている。
【0058】
ピストンロッド50bの先端部には、保持ブロック56の一端部が固定されている。保持ブロック56の他端部には、Z軸方向に略平行な回転軸58が固定されている。回転軸58にはプレート60が回転可能に連結されている。
【0059】
プレート60は、所定長さの腕部62を有しており、この腕部62の先端部は、回転軸46に対して回転可能に連結されている。ピストンロッド50bが矢印54の方向に突出すると、プレート60は、腕部62を半径として回転する。
【0060】
回転軸46とは反対側に位置する腕部62の基端部であって、プレート60の下面側には、板状の爪部64が固定されている。爪部64は、回転軸46に固定された平板状の歯車66の歯66aと噛合う様に配置されている。
【0061】
歯車66には、歯車66の周方向に沿って略等間隔に6つの歯66aが形成されている。図3の二点鎖線で示す様に、ピストンロッド50bの突出量が最小であるとき、爪部64は、1つの歯66aと噛合っている。
【0062】
これに対して、図3の実線で示す様に、ピストンロッド50bの突出量が最大となると、爪部64により歯車66が、時計回りに60°だけ回転させられる。その後、ピストンロッド50bの突出量が再び最小となると、爪部64は、歯車66を回転させること無く元の位置に戻る。
【0063】
そして、爪部64は、元の位置に戻ると、歯車66の回転方向とは反対方向において隣接する別の歯66aと噛み合う。この様に、回転駆動ユニット48は、ピストンロッド50bの1回のストロークにより、回転軸46を60°回転させるラチェット機構として機能する。
【0064】
ピストンロッド52bのn回のストロークにより、回転軸46は、(60°×n)回転する(なお、nは自然数である)。それゆえ、回転テーブル42は、回転軸46の回転と共に回転軸46の周りに60°ずつ回転する。
【0065】
次に、図2図4等を参照し、回転テーブル42の下方に配置されている板部材70等について説明する。図2に示す様に、板部材70は円環形状を有しており、円環の内周が回転軸46の外周に固定されている。
【0066】
板部材70は、回転軸46の周りに連結されているので、回転駆動ユニット48で回転軸46を所定の角度だけ回転させれば、回転テーブル42及び板部材70も、回転軸46の回転と共に所定の角度だけ回転する。
【0067】
板部材70は、キャニスタ44の数に応じて、板部材70の周方向72に沿って複数の領域に分割されている。図4は、板部材70の上面図である。なお、図4に示す例では、板部材70を上面視した場合の時計回り方向を、周方向72としている。
【0068】
板部材70は、周方向72に沿って、第1の領域70aから第6の領域70fに6等分されている。便宜上、図4では、各領域の境界に破線を付し、更に、キャニスタ44を破線で示す。なお、板部材70において、各領域の境界線は無くてもよい(図2参照)。
【0069】
第1の領域70aから第6の領域70fの各々は、1つのキャニスタ44の位置に対応している。つまり、板部材70における1つの円弧状の領域の上方には、1つのキャニスタ44が配置されている。
【0070】
図4では、第1の領域70a上に位置するキャニスタ44を、第1のキャニスタ44-1とし、第2の領域70b上に位置するキャニスタ44を、第2のキャニスタ44-2とする。
【0071】
更に、第3の領域70c上に位置するキャニスタ44を、第3のキャニスタ44-3とし、第4の領域70d上に位置するキャニスタ44を、第4のキャニスタ44-4とする。
【0072】
同様に、第5の領域70e上に位置するキャニスタ44を、第5のキャニスタ44-5とし、第6の領域70f上に位置するキャニスタ44を、第6のキャニスタ44-6とする。
【0073】
第1の領域70aから第6の領域70fには、各領域を特定するための互いに異なる光学的特徴74が形成されている。第1の実施形態においてそれぞれの光学的特徴74は、レーザービームを通過させる貫通領域74aと、レーザービームを通過させない非貫通領域74bと、の少なくとも1つ以上で形成されている。
【0074】
貫通領域74aは、板部材70を厚さ方向で貫通している。これに対して、非貫通領域74bは、板部材70を貫通していない。なお、非貫通領域74bは、平坦な板部材70の一部であってもよいし、非貫通状態の凹部や凸部であってもよい。
【0075】
貫通領域74a及び非貫通領域74bは、周方向72に沿ってそれぞれ離散的に設けられている。便宜上、図4では、貫通領域74aを黒丸で示し、非貫通領域74bを破線の丸で表す。
【0076】
第1の領域70aの光学的特徴74は、周方向72に沿って形成された3つの貫通領域74aを有する。第2の領域70bの光学的特徴74は、周方向72に沿って順に形成された1つの貫通領域74aと、2つの非貫通領域74bと、を有する。
【0077】
第3の領域70cの光学的特徴74は、周方向72に沿って順に形成された1つの非貫通領域74bと、1つの貫通領域74aと、1つの非貫通領域74bと、を有する。第4の領域70dの光学的特徴74は、周方向72に沿って順に形成された2つの非貫通領域74bと、1つの貫通領域74aと、を有する。
【0078】
第5の領域70eの光学的特徴74は、周方向72に沿って順に形成された2つの貫通領域74aと、1つの非貫通領域74bと、を有する。第6の領域70fの光学的特徴74は、周方向72に沿って順に形成された3つの貫通領域74aを有する。
【0079】
この様に、光学的特徴74は、貫通領域74a及び非貫通領域74bの周方向72における配列(即ち、順列)により構成されており、第1の領域70aから第6の領域70f毎に異なる。
【0080】
板部材70の外周部の一部には、フォトセンサユニット80(図5参照)が配置されている。図5は、板部材70及びフォトセンサユニット80の上面図である。フォトセンサユニット80は、ブロック状のベース部82を有する。
【0081】
ベース部82の上面には、第1の上方腕部84a、第2の上方腕部84b及び第3の上方腕部84cの各々の基端部が固定されている。ベース部82の下面には、第1の下方腕部86a(図6(A)等参照)、第2の下方腕部及び第3の下方腕部(いずれも不図示)の各々の基端部が固定されている。
【0082】
第1の上方腕部84a及び第1の下方腕部86aは、Z軸方向で重なる様に配置されている。同様に、第2の上方腕部84b及び第2の下方腕部は、Z軸方向で重なり、第3の上方腕部84c及び第3の下方腕部は、Z軸方向で重なる様に配置されている。
【0083】
第1の上方腕部84aの先端部の下面側には、第1のフォトセンサ88aが設けられている。同様に、第2の上方腕部84bの先端部の下面側には、第2のフォトセンサ88bが設けられており、第3の上方腕部84cの先端部の下面側には、第3のフォトセンサ88cが設けられている。
【0084】
また、第1の下方腕部86aの先端部の上面側には、発光ダイオード90aが設けられている(図6(A)等参照)。同様に、第2の下方腕部の先端部の上面側には、発光ダイオード(不図示)が設けられており、第3の下方腕部の先端部の上面側には、発光ダイオード(不図示)が設けられている。各発光ダイオードは、上方へ向けてレーザービームL(図6(A)等参照)を照射する。
【0085】
第1の領域70aが、フォトセンサユニット80の位置にあるとき(図5参照)、3つの発光ダイオード90a等から出射されたレーザービームLは、それぞれ異なる貫通領域74aを通過し、第1のフォトセンサ88a、第2のフォトセンサ88b及び第3のフォトセンサ88cで受光される。
【0086】
図6(A)は、レーザービームLが貫通領域74aを通過する様子を示すフォトセンサユニット80等の断面図である。これに対して、図6(B)は、レーザービームLが非貫通領域74bにより遮られる様子を示すフォトセンサユニット80等の断面図である。
【0087】
例えば、第6の領域70fが、フォトセンサユニット80の位置にあるとき(図6(B)参照)、各発光ダイオードから出射されたレーザービームLは、いずれも非貫通領域74bで遮られ、第1のフォトセンサ88a、第2のフォトセンサ88b及び第3のフォトセンサ88cで受光されない。
【0088】
第1のフォトセンサ88a、第2のフォトセンサ88b及び第3のフォトセンサ88cの各々は、貫通領域74aを通過したレーザービームLを受光すると、第1の信号91(例えば、ハイレベル電圧信号)を生成し、第1の信号91を制御部94へ送信する。
【0089】
これに対して、第1のフォトセンサ88a、第2のフォトセンサ88b及び第3のフォトセンサ88cの各々は、非貫通領域74bによりレーザービームLが遮られた場合に、第2の信号92(例えば、ローレベル電圧信号)を生成し、第2の信号92を制御部94へ送信する。
【0090】
便宜的に、第1の信号91を「1」で表し、第2の信号92を「0」で表すと、第1の領域70aから第6の領域70fの各々における光学的特徴74は、下記の表1に示す様に、1及び0の順列に置換される。
【0091】
【表1】
【0092】
この様に、1つの光学的特徴74が、1つのキャニスタ44に対応するので、フォトセンサユニット80で光学的特徴74を検知すれば、第1のキャニスタ44-1から第6のキャニスタ44-6のどれが、フォトセンサユニット80の位置にあるか特定できる。
【0093】
ここで、図1に戻って、切削装置2の他の構成要素について説明する。カセットエレベータ8、一対のガイドレール10、第1の保持テーブル12、顕微鏡カメラユニット14、第2の保持テーブル16、切削ユニット18、第3の保持テーブル26、洗浄ユニット28、乾燥ユニット30等の動作は、制御部94により制御される。
【0094】
制御部94は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0095】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部94の機能が実現される。ソフトウェアの一部は、少なくとも1つのキャニスタ44の位置を特定する位置特定ユニット94aとして機能する。
【0096】
位置特定ユニット94aは、フォトセンサユニット80から受信する第1の信号91及び第2の信号92に基づいて、特定の1つのキャニスタ44が、フォトセンサユニット80の位置にあることを特定する。
【0097】
例えば、フォトセンサユニット80は、回転テーブル42及び板部材70が60°回転する毎に光学的特徴74を検出し、位置特定ユニット94aは、検出した各光学的特徴74に対応するキャニスタ44の位置を特定する。
【0098】
これに代えて、位置特定ユニット94aは、1つの容器の位置を特定するための1つの光学的特徴74の検知により、2以上のキャニスタ44の位置を特定してもよいし、全てのキャニスタ44の位置を特定してもよい。
【0099】
例えば、位置特定ユニット94aは、1つのキャニスタ44がフォトセンサユニット80の位置にあることを特定した後、複数のキャニスタ44の各々に対応する光学的特徴74の位置関係を補助記憶装置から読み出すことで、残り全てのキャニスタ44の位置を特定できる。
【0100】
具体的には、表1に示す様に、光学的特徴74とキャニスタ44とが1対1で紐付けられた情報と、複数のキャニスタ44の順番の情報と、が予め記憶されている場合、第1のキャニスタ44-1がフォトセンサユニット80の位置にあることを特定できれば、第2のキャニスタ44-2は、第1のキャニスタ44-1から周方向72に60°進んだ位置にあると特定できる。
【0101】
同様に、第3のキャニスタ44-3は、第1のキャニスタ44-1から周方向72に120°進んだ位置にあり、第4のキャニスタ44-4は、第1のキャニスタ44-1から周方向72に180°進んだ位置にあると特定できる。
【0102】
また、第5のキャニスタ44-5は、第1のキャニスタ44-1から周方向72に240°進んだ位置にあり、第6のキャニスタ44-6は、第1のキャニスタ44-1から周方向72に300°進んだ位置にあると特定できる。
【0103】
第1の実施形態では、板部材70が60°回転する毎に、1つの光学的特徴74をフォトセンサユニット80で検出することで、1つの光学的特徴74に対応するキャニスタ44が当該光学的特徴74の上方に位置していることを検出できる。それゆえ、収納ユニット40が3つ以上のキャニスタ44を有する場合であっても、各光学的特徴74に応じてキャニスタ44の位置を特定できる。
【0104】
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態に係る板部材96の上面図である。板部材96では、貫通領域74aに代えて、レーザービームLを反射しやすい平坦な鏡面状の高反射領域98aが設けられている。更に、非貫通領域74bに代えて、レーザービームLを反射し難い低反射領域98bが設けられている。
【0105】
また、第2の実施形態では、第1の上方腕部84aの先端部の下面側に、第1のフォトセンサ88a及び発光ダイオード90aが設けられており、第2の上方腕部84bの先端部の下面側に、第2のフォトセンサ88b及び発光ダイオード(不図示)が設けられている。
【0106】
同様に、第3の上方腕部84cの先端部の下面側に、第3のフォトセンサ88c及び発光ダイオード(不図示)が設けられている。図8(A)は、所定値以上の強度の光が高反射領域98aから反射される様子を示す図である。
【0107】
図8(A)に示す様に、発光ダイオード90aから高反射領域98aへ入射したレーザービームLは、高反射領域98aで反射(正反射又は拡散反射)され、所定値以上の強度の光が第1のフォトセンサ88aに入射する。これにより、第1のフォトセンサ88aは、第1の信号91(例えば、ハイレベル電圧信号)を生成する。
【0108】
これに対して、図8(B)は、所定値未満の強度の光が低反射領域98bから反射される様子を示す図である。例えば、発光ダイオード90aから低反射領域98bへ入射したレーザービームLは、低反射領域98bで散乱、吸収等される。
【0109】
この場合、第1のフォトセンサ88aに反射光は全く入射しない又は極僅かに入射するので、第1のフォトセンサ88aは、第2の信号92(例えば、ローレベル電圧信号)を生成する。この様に、第2の実施形態では、光学的特徴74が高反射領域98a及び低反射領域98bの順列で構成されている点が、第1の実施形態と異なる。
【0110】
次に、板部材70が周方向72でN等分されている複数の変形例について述べる(Nは、2以上の自然数である)。なお、変形例では、第1の実施形態と同様に、貫通領域74a及び非貫通領域74bと、フォトセンサユニット80と、を採用するものとするが、第2の実施形態の様にしてもよい。
【0111】
N等分された領域の各々には、光学的特徴74が形成されている。回転テーブル42上には、光学的特徴74とキャニスタ44とが1対1に紐付けられた態様で、N個のキャニスタ44が配置されている。
【0112】
(N=2の場合)まず、板部材70が周方向72で二等分されている場合について説明する。この場合、板部材70は、周方向72で二等分された、第1の領域70aと、第2の領域70bと、を有する。例えば、第1の領域70aは1つの貫通領域74aを有し、第2の領域70bは1つの非貫通領域74bを有する。
【0113】
N=2の場合、フォトセンサユニット80は、第1のフォトセンサ88a及び発光ダイオード90aを有する。便宜的に、第1の信号91を「1」で表し、第2の信号92を「0」で表すと、第1の領域70a及び第2の領域70bの各々における光学的特徴74は、例えば、下記の表2の様に、1又は0に置換される。
【0114】
【表2】
【0115】
位置特定ユニット94aは、第1の信号91又は第2の信号92により、第1のキャニスタ44-1及び第2のキャニスタ44-2のいずれか又は両方の位置を特定できる。
【0116】
(N=3の場合)勿論、Nは、3以上の自然数であってもよい。N=3の場合、板部材70は、周方向72で三等分された、第1の領域70a、第2の領域70b及び第3の領域70cを有する。
【0117】
例えば、第1の領域70aは、周方向72に沿って順に形成された2つの貫通領域74aを有する。これに対して、第2の領域70bは、周方向72に沿って順に形成された1つの貫通領域74a及び1つの非貫通領域74bを有する。また、第3の領域70cは、周方向72に沿って順に形成された2つの非貫通領域74bを有する。
【0118】
N=3の場合、フォトセンサユニット80は、第1のフォトセンサ88a及び発光ダイオード90aと、第2のフォトセンサ88b及びこれに対応して配置された発光ダイオードと、を有する。
【0119】
便宜的に、第1の信号91を「1」で表し、第2の信号92を「0」で表すと、第1の領域70a、第2の領域70b及び第3の領域70cの各々における光学的特徴74は、下記の表3の様に、1及び0の順列に置換される。
【0120】
【表3】
【0121】
位置特定ユニット94aは、第1の信号91及び第2の信号92の順列により、第1のキャニスタ44-1、第2のキャニスタ44-2及び第3のキャニスタ44-3の1以上の位置を特定できる。
【0122】
(N=4の場合)次に、N=4の場合について説明する。N=4の場合、板部材70は、周方向72で四等分された、第1の領域70a、第2の領域70b、第3の領域70c及び第4の領域70dを有する。
【0123】
例えば、第1の領域70aは、周方向72に沿って順に形成された2つの貫通領域74aを有し、第2の領域70bは、周方向72に沿って順に形成された1つの貫通領域74a及び1つの非貫通領域74bを有する。
【0124】
また、第3の領域70cは、周方向72に沿って順に形成された1つの非貫通領域74b及び1つの貫通領域74aを有し、第4の領域70dは、周方向72に沿って順に形成された2つの非貫通領域74bを有する。
【0125】
N=4の場合、フォトセンサユニット80は、第1のフォトセンサ88a及び発光ダイオード90aと、第2のフォトセンサ88b及びこれに対応して配置された発光ダイオードと、を有すればよい。
【0126】
便宜的に、第1の信号91を「1」で表し、第2の信号92を「0」で表すと、第1の領域70a、第2の領域70b、第3の領域70c及び第4の領域70dの各々における光学的特徴74は、下記の表4の様に、1及び0の順列に置換される。
【0127】
【表4】
【0128】
位置特定ユニット94aは、第1の信号91及び第2の信号92の順列により、第1のキャニスタ44-1、第2のキャニスタ44-2、第3のキャニスタ44-3及び第4のキャニスタ44-4の1以上の位置を特定できる。
【0129】
(N=5の場合)次に、N=5の場合について説明する。N=5の場合、板部材70は、周方向72で五等分された、第1の領域70a、第2の領域70b、第3の領域70c、第4の領域70d及び第5の領域70eを有する。
【0130】
例えば、第1の領域70aは、周方向72に沿って順に形成された3つの貫通領域74aを有し、第2の領域70bは、周方向72に沿って順に形成された1つの貫通領域74a及び2つの非貫通領域74bを有する。第3の領域70cは、周方向72に沿って順に形成された1つの非貫通領域74b、1つの貫通領域74a及び1つの非貫通領域74bを有する。
【0131】
また、第4の領域70dは、周方向72に沿って順に形成された2つの非貫通領域74b及び1つの貫通領域74aを有する。第5の領域70eは、周方向72に沿って順に形成された2つの貫通領域74a及び1つの非貫通領域74bを有する。
【0132】
N=5の場合、フォトセンサユニット80は、第1のフォトセンサ88a及び発光ダイオード90aと、第2のフォトセンサ88b及びこれに対応して配置された発光ダイオードと、第3のフォトセンサ88c及びこれに対応して配置された発光ダイオードと、を有すればよい。
【0133】
便宜的に、第1の信号91を「1」で表し、第2の信号92を「0」で表すと、第1の領域70a、第2の領域70b、第3の領域70c、第4の領域70d及び第5の領域70eの各々における光学的特徴74は、下記の表5の様に、1及び0の順列に置換される。
【0134】
【表5】
【0135】
位置特定ユニット94aは、第1の信号91及び第2の信号92の順列により、第1のキャニスタ44-1、第2のキャニスタ44-2、第3のキャニスタ44-3、第4のキャニスタ44-4及び第5のキャニスタ44-5の1以上の位置を特定できる。
【0136】
以上、N=2からN=6の場合について説明したが、Nを7以上としてもよい。また、板部材70の周方向72での分割数に応じて、ピストンロッド50bの1ストロークにおける移動量、当該移動量に対応する歯車66の回転角度、歯66aの数等は、適宜調整される。
【0137】
例えば、N=2の場合、回転軸46を180°ずつ回転させ、N=3の場合、回転軸46を120°ずつ回転させる。また、N=4の場合、回転軸46を90°ずつ回転させ、N=5の場合、回転軸46を72°ずつ回転させる。
【0138】
なお、上述の貫通領域74a及び非貫通領域74bの順列、並びに、高反射領域98a及び低反射領域98bの順列は、一例であり、適宜変更してもよい。また、貫通領域74aに代えて、光を透過させることができるフィルタ等が設けられた透過領域であってもよい。その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0139】
2:切削装置
4:基台、4a:カセット載置領域、4b:位置合わせ領域
4c:切削領域、4d:洗浄領域、4e:乾燥領域
6:カセット、8:カセットエレベータ
10:ガイドレール
11:被加工物、11a:表面
12:第1の保持テーブル
13:チップ
14:顕微鏡カメラユニット
16:第2の保持テーブル
18:切削ユニット
20:スピンドルハウジング、22:スピンドル、24:切削ブレード
26:第3の保持テーブル
28:洗浄ユニット、30:乾燥ユニット
32:貫通開口、34:スクレーパー
40:収納ユニット、42:回転テーブル、42a:周方向
44:キャニスタ
44-1:第1のキャニスタ、44-2:第2のキャニスタ
44-3:第3のキャニスタ、44-4:第4のキャニスタ
44-5:第5のキャニスタ、44-6:第6のキャニスタ
44a:開口
46:回転軸、48:回転駆動ユニット
50:エアシリンダ、50a:シリンダチューブ、50b:ピストンロッド
52:ベース基台、54:矢印、56:保持ブロック、58:回転軸、60:プレート
62:腕部、64:爪部、66:歯車、66a:歯
70:板部材
70a:第1の領域、70b:第2の領域、70c:第3の領域
70d:第4の領域、70e:第5の領域、70f:第6の領域
72:周方向
74:光学的特徴、74a:貫通領域、74b:非貫通領域
80:フォトセンサユニット、82:ベース部
84a:第1の上方腕部、84b:第2の上方腕部、84c:第3の上方腕部
86a:第1の下方腕部
88a:第1のフォトセンサ、88b:第2のフォトセンサ、88c:第3のフォトセンサ
90a:発光ダイオード
91:第1の信号、92:第2の信号
94:制御部、94a:位置特定ユニット
96:板部材、98a:高反射領域、98b:低反射領域
L:レーザービーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8