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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240430BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240430BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/455
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019170264
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2020061549
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】16/157,303
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 直人
(72)【発明者】
【氏名】平山 昌樹
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0019428(US,A1)
【文献】特表2016-515925(JP,A)
【文献】特開2017-148766(JP,A)
【文献】特開2003-124125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0269156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346758(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0107809(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0270895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバの上方に設けられた筒状部と、前記筒状部の側面に設けられた第1導入管と、前記筒状部の側面に設けられた第2導入管と、前記第1導入管と前記第2導入管から前記筒状部の中に導入されたガスを一旦前記チャンバと逆方向に導いた後に前記チャンバに導入する、前記筒状部の中に設けられたガスガイド部と、を有するマニフォールドであって、前記ガスガイド部が、中央に開口を有し外縁が前記筒状部に接する底板部と、底面が前記底板部に接し、前記筒状部の中に導入されたガスが流入する開口を上面に有するインナーチューブと、を備える、マニフォールドと、
前記第1導入管にガスを供給する第1ガス源と、
前記第2導入管にガスを提供する第2ガス源と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記チャンバの中に設けられたステージと、
前記チャンバの中に設けられ、前記マニフォールドから提供されたガスを前記ステージの上に導くシャワーヘッドと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1導入管は前記ガスガイド部の中央に向かってガスを導入し、
前記第2導入管は、前記第1導入管のガス導入方向とは正反対の方向から、前記ガスガイド部の中央に向かってガスを導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1導入管と前記第2導入管は、平面視で一直線上に並ぶことを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1導入管と前記第2導入管は前記ガスガイド部の中央からずれた方向にガスを導入し、前記ガスガイド部と前記筒状部の間に渦を生じさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1導入管と前記第2導入管は、平面視で前記ガスガイド部の中央を挟んで平行になっていることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1導入管と前記第2導入管は、前記筒状部に近づくほど前記チャンバから離れることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記インナーチューブの高さは、前記インナーチューブと前記筒状部の間の距離の2.4倍以上であることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記インナーチューブの高さは、前記インナーチューブと前記筒状部の間の距離の2.8倍以上であることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記インナーチューブは円筒形であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記インナーチューブの側面は曲面であることを特徴とする請求項9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記インナーチューブの側面は平面であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1ガス源と前記第2ガス源は異なるガスを提供することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャンバの上に、チャンバの内部空間に通じるマニフォールドを設けることがある。マニフォールドは、複数の導入管から導入されたガスを混合させた上で、チャンバに提供するものである。混合されたガスはチャンバの中において、例えば、基板への成膜、膜のエッチング、又は膜の改質などに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/240359号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マニフォールドの内部においてガスの混合が不十分であると様々な弊害が生じえる。例えば、ガスをプレカーサとして提供してプラズマを生成する場合には、プラズマ空間に導入されるプレカーサの濃度が不均一となる。不均一なプレカーサ濃度は、基板に成膜される膜厚の分布を悪化させたり、気相中でパーティクルを発生させたりする。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ガスを十分混合させることができるマニフォールドを有する基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明に係る基板処理装置は、チャンバと、該チャンバの上方に設けられた筒状部と、該筒状部の側面に設けられた第1導入管と、該筒状部の側面に設けられた第2導入管と、該第1導入管と該第2導入管から該筒状部の中に導入されたガスを一旦該チャンバと逆方向に導いた後に該チャンバに導入する、該筒状部の中に設けられたガスガイド部と、を有するマニフォールドと、該第1導入管にガスを供給する第1ガス源と、該第2導入管にガスを提供する第2ガス源と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガスを十分混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基板処理装置の構成例を示す断面図である。
図2】マニフォールドの構成例を示す斜視図である。
図3】マニフォールドの構成例を示す底面図である。
図4】マニフォールドの構成例を示す斜視図である。
図5】マニフォールドの中のガスの流れを例示する断面図である。
図6】マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。
図7】マニフォールドの内部のガスの流れを示す斜視図である。
図8】マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。
図9】マニフォールドの別の構成例の斜視図である。
図10】マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。
図11】マニフォールドの別の構成例の斜視図である。
図12】マニフォールドの種類と、マニフォールドから提供されるガスの均一性との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
基板処理装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態.
図1は、基板処理装置の構成例を示す断面図である。基板処理装置10は、例えば基板に対しPEALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)を施す成膜装置として構成されている。基板処理装置10ではALDに限らず、CVD処理をしたり、膜をエッチングしたり、膜を改質したりすることができる。基板処理装置10はチャンバ(Reactor Chamber)12を備えている。チャンバ12の内には、RF電力が印加されるシャワーヘッド14が設けられている。シャワーヘッド14は、上方に1つの開口があり、下方に複数のスリット14aがあるものである。
【0012】
チャンバ12の中には、シャワーヘッド14と対向するステージ16が設けられている。ステージ16は、例えば滑動シャフト18に支持されたサセプタである。シャワーヘッド14とステージ16で平行平板構造が形成されている。ステージ16の上の空間は、ステージ16にのせられた基板に対し例えば成膜などの処理を施す空間であるので、処理空間17と称する。
【0013】
シャワーヘッド14には、絶縁部品20を介してマニフォールド50が接続されている。マニフォールド50は、シャワーヘッド14とステージ16の間に供給するガスを混合する部分である。一例によれば、マニフォールド50は、筒状部51、ガスガイド部52、第1導入管54及び第2導入管56を備えている。筒状部51は、チャンバ12の上方に設けられ、例えば絶縁部品20に固定された部分である。筒状部51は、例えばOリングを介して又はOリングを介さずに絶縁部品20にねじ締めされ得る。筒状部51の側面に、第1導入管54と第2導入管56が設けられている。第1導入管54と第2導入管56は、筒状部51の内部に通じる管である。
【0014】
筒状部51の中には、ガスガイド部52が設けられている。ガスガイド部52は、第1導入管54と第2導入管56から筒状部51の中に導入されたガスを一旦チャンバ12と逆方向に導いた後にチャンバ12に導入するものである。図1において、チャンバ12と逆方向というのはz正方向である。つまり、ガスガイド部52は、ガスを一旦z正方向に導き、その後z負方向に導くことで、ガスをチャンバ12の内に提供する。
【0015】
図2は、マニフォールド50の構成例を示す斜視図である。一例によれば、ガスガイド部52は、底板部52Aとインナーチューブ52Bを備える。底板部52Aは、中央に開口52aを有し外縁が筒状部51に接する板である。そして、インナーチューブ52Bは、底面が底板部52Aに接する筒である。インナーチューブ52Bを円筒形とすることで、インナーチューブ52Bの側面は曲面になっている。このようなガスガイド部52を提供することで、開口52aだけを通じて、筒状部51の内部空間と、チャンバ12の内部がつながる。
【0016】
図3は、マニフォールド50の構成例を示す底面図である。インナーチューブ52Bの直径x1は例えば50mmであり、筒状部51の直径x2は例えば100mmである。別の数値を採用してもよい。図3に示されるように、第1導入管54はガスガイド部52の中央に向かってガスを導入し、第2導入管56は第1導入管54のガス導入方向とは正反対の方向から、ガスガイド部52の中央に向かってガスを導入する。いいかえれば、第1導入管54はx正方向に筒状部51の中にガスを導入し、第2導入管56はx負方向に筒状部51の中にガスを導入するものである。この例では、第1導入管54と第2導入管56は平面視で一直線上に並んでいる。なお、平面視とは、z正方向又はz負方向から対象を見たことをいう。
【0017】
図4は、マニフォールド50の構成例を示す斜視図である。インナーチューブ52Bの高さz1は例えば70mmである。筒状部51の高さz2は例えば100mmである。インナーチューブ52Bと筒状部51の間の距離x3は例えば25mmである。この場合、インナーチューブ52Bの高さ(70mm)は、インナーチューブ52Bと筒状部51の間の距離(25mm)の2.8倍である。つまり、z1/x3は2.8である。別の例によれば、上述のz1、x3とは異なる値でz1/x3を2.8以上とすることができる。
【0018】
インナーチューブ52Bの高さz1を60mmとして、インナーチューブ52Bと筒状部51の間の距離x3を25mmとしてもよい。この場合、インナーチューブ52Bの高さ(60mm)は、インナーチューブ52Bと筒状部51の間の距離(25mm)の2.4倍である。つまり、z1/x3は2.4である。別の例によれば、上述のz1、x3とは異なる値でz1/x3を2.4以上とすることができる。別の例では別の数値をとることができる。
【0019】
図1の説明に戻る。マニフォールド50の上にはゲートバルブ58が設けられている。ゲートバルブ58の上方にリモートプラズマユニット59が設けられている。リモートプラズマユニット59は、主としてチャンバ12のクリーニングに用いるプラズマを生成する。ゲートバルブ58を開いた状態で、リモートプラズマユニット59から、マニフォールド50とシャワーヘッド14を経由してチャンバ12内にプラズマを提供することで、チャンバ12のクリーニングを行うことができる。クリーニング時以外は、ゲートバルブ58を閉じておく。
【0020】
第1導入管54には、バルブV3を介して、第1ガス源40が接続されている。第1ガス源40は第1導入管54にガスを供給するあらゆるガス源が該当する。第2導入管56には、バルブVaを介してキャリアガス源32が接続され、複数のバルブV1を介して第2ガス源22が接続されている。第2ガス源22には例えば液体材料が保存されており、その液体材料の蒸気がキャリアガス源32から提供されたキャリアガスによって、第2導入管56に提供される。第2ガス源22は、第2導入管56にガスを提供するあらゆるガス源が該当する。第1ガス源40と第2ガス源22は、基板の処理に必要なあらゆるガスのガス源とすることができる。例えば、BDEAS(Bis(diethylamino)silane)、O、SiI、DCS(dichlorosilane)、NH又はTEOSなどのガス源とすることができる。第1ガス源40と第2ガス源22は、例えばSiNなどの窒化膜の形成に必要なガスを提供することができる。第1ガス源40と第2ガス源22は異なるガスを提供する任意のガス源とすることができる。
【0021】
シャワーヘッド14とチャンバ12の間に排気ダクト30が設けられている。排気ダクト30は例えばセラミックで形成されている。排気ダクト30とシャワーヘッド14の間には適度に圧縮されたOリング31が設けられている。排気ダクト30とチャンバ12の間には適度に圧縮されたOリング34が設けられている。
【0022】
排気ダクト30は、ステージ16を囲むように、平面視で環状に形成されている。排気ダクト30により、ステージ16の上の処理空間17を囲む環状流路30bが提供されている。排気ダクト30には、処理空間17に供給されたガスを環状流路30bに導く環状のスリット30a、及び環状流路30bのガスを外部に排出する排気口30cが形成されている。
【0023】
排気口30cは、チャンバ12の側面に設けられたガス排気部41につながる。ガス排気部41は、使用済のガスを排気するために設けられている。ガス排気部41にはバルブ42と真空ポンプ44が接続されている。バルブ42と真空ポンプ44により排気量を調整することでチャンバ12内の圧力を自在に制御できる。
【0024】
次に、基板処理装置10の動作例を説明する。図5は、マニフォールド50の中のガスの流れを例示する断面図である。第1導入管54から筒状部51の中に提供された第1ガスは、インナーチューブ52Bに当たり、矢印a1に示すとおりチャンバと逆方向であるz正方向に導かれる。その後、z正方向の流れが弱まり、矢印a2で示すとおりインナーチューブ52Bの中をz負方向に進む。他方、第2導入管56から筒状部51の中に提供された第2ガスは、インナーチューブ52Bに当たり、矢印a3に示すとおり、チャンバと逆方向であるz正方向に導かれる。その後、z正方向の流れが弱まり、矢印a4で示すとおりインナーチューブ52Bの中をz負方向に進む。矢印a1、a2、a3、a4のとおり進む過程で第1ガスと第2ガスはxy平面に広く拡散し、第1ガスと第2ガスが十分混合する。
【0025】
こうしてマニフォールド50から提供されたガスは、図1に示すシャワーヘッド14のスリット14aを介して処理空間17に供給される。つまり、シャワーヘッド14によってマニフォールド50から提供されたガスが基板の上に導かれる。そして、電力を印加したシャワーヘッド14とステージ16の間の電界によってガスのプラズマを生成し、ステージ16上の基板にプラズマ処理を施す。プラズマ処理に使用されたガスは、平面視で放射状に広がり、排気ダクト30のスリット30aを通って環状流路30bに入り、排気口30cから外部に排出される。
【0026】
この動作例によれば、マニフォールド50において第1ガスと第2ガスが十分に混合されるので、例えばプリカーサ濃度を均一に近づけることができる。これにより例えば、基板に形成される薄膜の膜厚分布を改善できる。
【0027】
図6は、マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。第1導入管54Aと第2導入管56Aはガスガイド部52の中央からずれた方向にガスを導入する。一例によれば、z負方向から見ると、第1導入管54Aはガスガイド部52の中央よりy座標の値が小さい位置に向かってガスを提供し、第2導入管56Aはガスガイド部52の中央よりy座標の値が大きい位置に向かってガスを提供する。例えば、第1導入管54Aと第2導入管56Aは、平面視でガスガイド部52の中央を挟んで平行に設けることができる。
【0028】
図7は、図6のマニフォールドの内部のガスの流れを示す斜視図である。第1導入管54Aと第2導入管56Aを上述のとおり設けることで、ガスガイド部52と筒状部51の間に矢印で示す渦を生じさせることができる。この渦が、第1ガスと第2ガスの混合を促進する。
【0029】
図8は、マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。図8のマニフォールドは図6のマニフォールドと類似するが、図6のマニフォールドとの相違点は、第1導入管54Bと第2導入管56Bが筒状部51に近づくほどチャンバ12から離れることである。つまり、第1導入管54Bと第2導入管56Bのz座標は筒状部51に近づくほど大きくなる。いいかえれば、第1導入管54Bと第2導入管56Bは、筒状部51の側壁の法線よりも下方に傾いている。このような傾きは、第1ガスと第2ガスによって筒状部51の中で生じる渦の速度を高めるので、第1ガスと第2ガスの混合がさらに促進される。
【0030】
図9は、マニフォールドの別の構成例の斜視図である。図9のマニフォールドは図2のマニフォールドと類似するが、図2のマニフォールドとの相違点は、第1導入管54Cと第2導入管56Cが筒状部51に近づくほどチャンバ12から離れることである。この構成によって、第1ガスと第2ガスは筒状部51の中において勢いよくチャンバ12から離れる方向に進むので、第1ガスと第2ガスの混合が促進される。
【0031】
図10は、マニフォールドの別の構成例を示す斜視図である。インナーチューブ52Bの側面は平面となっている。インナーチューブ52Bは、例えば、4つの平面を側面とするものである。側面を構成する平面の数は3としたり、5以上としたりすることができる。
【0032】
図11は、マニフォールドの別の構成例の斜視図である。インナーチューブ52Bの側面にはz方向のスリット52bが形成されている。スリット52bの数は特に限定されない。
【0033】
図12は、マニフォールドの種類と、マニフォールドから提供されるガスの均一性との関係を示す図である。縦軸は、マニフォールドの出口である開口52aにおけるガスの均一性を表す。縦軸は、開口52aの各場所のガス濃度がどの程度ばらついているかを示すということができる。Uniformityの値が小さいほどガスの均一性が高い。
【0034】
全部で8つのマニフォールドに対して、ガスの均一性を測定した。左側の7つの結果は、図8に示す第1導入管54Bと第2導入管56Bを有するマニフォールドを用いて得られた。右端の1つの結果は図6に示す第1導入管54Aと第2導入管56Aを有するマニフォールドを用いて得られた。横軸に示された数値は、インナーチューブ52Bの高さz1である。左側の5つのデータは、図2に示す円筒形状のインナーチューブ52Bを用いて得られた。Rectangularと記載されたデータは図10のインナーチューブ52Bを用いて得られた。Slitと記載されたデータは図11のインナーチューブ52Bを用いて得られた。なお、Rectangularと記載されたデータを除き、インナーチューブ52Bと筒状部51の間の距離x3は25mmである。
【0035】
例えば、左から4つ目の60mmと記載されたデータは、距離x3が25mmであり、z1が60mmのマニフォールドで得られたものである。また、左から5つ目の70mmと記載されたデータは、距離x3が25mmであり、z1が70mmのマニフォールドで得られたものである。x3とz1の比によって、ガスの拡散が促進されたり抑制されたりする。
【0036】
図12の各データは、第1導入管と第2導入管から、それぞれ1×10-4kg/sの流量のO2とN2を筒状部51に導入し、マニフォールド内の圧力を400Pa、マニフォールドの温度を80℃として得た。
【0037】
図12のデータから、インナーチューブ52Bの高さz1が高いほどガスの均一性を高めることができることが分かる。特に、z1を60mm以上としたり、70mm以上としたりすることが、顕著な均一性改善効果を与える。70mmと記載された2つのデータがどちらも十分小さいユニフォーミティを与えることから、マニフォールドの中で渦を形成することが特に効果的であることが分かる。
【0038】
このように、マニフォールドの下部を2重管構造とし、ガスを一旦上方向に導き、中央の孔から下方向に流すことが、良好な均一性を有するガスの提供を可能とする。ガス導入管の接続は様々な方法が可能である。
【符号の説明】
【0039】
12 チャンバ、 14 シャワーヘッド、 50 マニフォールド、 51 筒状部、 52 ガスガイド部、 54 第1導入管、 56 第2導入管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12