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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】包装箱のブランクシート及びその包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B65D5/44 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057042
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155075
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健司
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-114714(JP,U)
【文献】特開平08-301264(JP,A)
【文献】特開2018-176498(JP,A)
【文献】実開平03-011620(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主罫線を介して連接された2方向の壁面板がなす綾部に、物流用バンドによるエッジ切れを防止するための面取り部を設けた包装箱のブランクシートにおいて、
前記面取り部は、主罫線を挟んで鏡対象に設けられた補助罫線によって形作られ、
ブランクシートの内面側には前記主罫線及び前記補助罫線が設けられ、
ブランクシートの外面側には前記主罫線および前記補助罫線と対応する位置にミシン目が設けられている、ブランクシート。
【請求項2】
前記補助罫線には、さらにミシン目が付与されている請求項1に記載のブランクシート。
【請求項3】
主罫線と補助罫線は段潰しとなっており、包装箱内面側の主罫線は包装箱外面側の主罫線よりも深く加工されている、請求項1又は2に記載のブランクシート。
【請求項4】
請求項1乃至に記載のブランクシートからなる包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装箱のブランクシートに関する。より詳しくは、自動封緘装置に対応した包装箱のブランクシートであって、当該ブランクシートからなる包装箱は樹脂製の結束バンドで結束しても結束バンドが食い込みにくい包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を輸送する際に、耐衝撃性、防汚性及び積載や運搬のしやすさ等の観点から、段ボール箱に商品を詰めて輸送することが一般的に行われている。また、複数の段ボール箱を一つにまとめて輸送する場合、段ボール箱がバラバラにならないように樹脂製の結束バンドで結束することも広く行われている。
【0003】
段ボール箱を結束バンドで結束する場合、結束バンドが段ボール箱の角部に食い込んでエッジ切れが起こってしまうことがある。特に軽量化した段ボール箱は結束バンドが食い込みやすく、湿気の高い環境下では段ボール箱の剛性が弱まるため、その傾向が強い。段ボール箱に結束バンドが食い込んでしまったりエッジ切れを起こしてしまったりすると、段ボール箱内の商品に変形などの影響が出たり、虫や水が段ボール箱内に入り込みやすくなったりするといった問題が発生しやすくなる。
【0004】
そこで、結束バンドが段ボール箱に食い込むことを防止するために、段ボール箱の角部に面取り部を設ける方法が提案されている。例えば、特許文献1には、エッジ切れ防止加工部として、基本折目線を挟んで一方に段潰部分、他方に離間折目線が形成された段ボール箱が開示されている。この段ボール箱は、バンドに張力が作用して稜部が締め付けられると、稜部の段ボールが二重に折れて傾斜面が生じ、巻き締まり強度が向上するとともに、バンドの段ボールへの食い込みが抑制される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6112992号公報
【0006】
ところで、特許文献1に記載の段ボール箱は、いわゆる、ミカン箱(JIS Z 1507 02(溝切形)に基づく段ボール製包装箱)と呼ばれるものである。溝切形の段ボール箱はある程度の容量があることから、異なるサイズの物などをまとめて一つの箱内に収納する際に便利である。この溝切形の段ボール箱は、まず底面を封緘し、続いて段ボール内部に商品を入れた後に天面部を封緘して用いるのが一般的である。そして、溝切形の段ボール箱は人の手による組み立てや封緘が多いことから、フラップの折り畳み等のライン適正についてはさほど厳密性を求められていない。
【0007】
一方、段ボール製包装箱には上記溝切形以外に、JIS Z 1507 03(テレスコープ形),04(組立形),05(差し込み形),06(ブリス形),07(糊付け簡易組立形)なども存在する。特に、同一形状の複数の商品を梱包する際には、ブランクシート上に複数の商品を置いた状態で製函できる組立形が多く用いられている。ここで、組立形の段ボールの製函は自動封緘装置(以下、「オートケーサー」という。)で行われる。オートケーサーで製函する場合、ダンボール箱には厳密なライン適正が求められる。そのため、組立形の段ボール箱に特許文献1のような面取り部を設けてしまうと、面取り部を設けなかった場合に比べて、製函不良の発生頻度が増加する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、結束バンドが包装箱に食い込むことを防ぎ、かつ、オートケーサーでの製函に適した包装箱のブランクシート及びその包装箱を提供することを目的とする。本発明者はオートケーサーでの製函時には補助罫線に力が加わりにくく、バンド締結時には補助罫線に力が加わるような主罫線及び補助罫線の設け方について検討を起こった。そして、補助罫線の設け方によって、上記課題を解決できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決のため、本発明は、主罫線を介して連接された2方向の壁面板がなす綾部に、物流用バンドによるエッジ切れを防止するための面取り部を設けた包装箱のブランクシートにおいて、前記面取り部は、主罫線を挟んで鏡対象に設けられた補助罫線によって形作られ、ブランクシートの内面側には前記主罫線及び前記補助罫線が設けられ、ブランクシートの外面側には前記主罫線が設けられている、ブランクシートを提供する。
【0010】
かかる構成によれば、ブランクシートの内面側にのみ補助罫線が設けられているため、オートケーサーで製函する際に製函不良が起こりにくい。また、ブランクシートの内外両面に主罫線が設けられているため、製函しやすい。
【0011】
さらに、上記構成においては、主ブランクシートの外面側において、前記補助罫線と対応する位置にミシン目が設けられていることが好ましい。また、補助罫線には、さらにミシン目が付与されていることが好ましい。さらに、主罫線と補助罫線は段潰しとなっており、包装箱内面側の主罫線は包装箱外面側の主罫線よりも深く加工されていることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、ミシン目を設けることで、締結用バンドで締結した際に面取り部が形成されやすくなる。また、段潰し構造の深さに差を設けることで、製函のしやすさを向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態の包装箱を示す斜視図である。
図2図1の包装箱の展開図であって、内面側を表した図である。
図3図1の包装箱の展開図であって、外面側を表した図である。
図4図1の包装箱を積み上げた状態を示す斜視図である。
図5図4の包装箱を締結バンドで締結した状態を示す斜視図である。
図6】一実施形態における包装箱に対して、締結バンドを締め上げる前後の状態を説明するための説明図であって、(a)は締結バンドを締め上げる前の状態を示す部分拡大図及び断面図であり、(b)は締結バンドを締め上げた後の状態を示す部分拡大図及び断面図である。
図7】従来の包装箱に対して、締結バンドを締め上げる前後の状態を説明するための説明図であって、(a)は締結バンドを締め上げる前の状態を示す部分拡大図及び断面図であり、(b)は締結バンドを締め上げた後の状態を示す部分拡大図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本実施形態では、表ライナ(包装箱の外面)と裏ライナ(包装箱の内面)の間に波形状の中芯を配設したシングルフルートの両面段ボール原紙を使用した包装箱を例に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の説明において、前後左右上下方向は、図1に示す包装箱の状態を基準としている。
【0016】
本明細書の記載において、「高さ」とは、図1における上下方向を示すもの、「幅」とは、図1における前後方向を示すもの、及び、「長さ」とは、図1における左右方向を示すものとする。
【0017】
<構造について>
図1は、本実施形態にかかる開封前の包装箱の斜視図であり、図2,3は、図1に示される包装箱を展開したブランクシートであって、図2は内面側、図3は外面側をそれぞれ表した平面図である。図2,3において、太い実線はブランクシートの外形を示し、一点鎖線は折り曲げを容易にする主罫線を示し、細い実線はバンド締結時の変形を容易にする補助罫線を示し、破線は補助罫線に対応する位置に設けられたミシン目を示す。
【0018】
本実施形態における包装箱は、内部に物品を収容して用いられる。物品の一例としては、パックの袋入り即席食品、円筒形や逆錐台形などの容器に入った即席食品等が挙げられるが、これに限られない。
【0019】
図1図3に示すように、本実施形態に係る包装箱10は、JIS Z 1507-1989 04(組立形) 0410(コード)に基づく段ボール製包装箱であり、長方形の第1面部(底面部)11及び第4面部(天面部)14における長辺が短辺に比べ長いとともに、第1面部11及び第4面部14の短辺の長さと比較して高さが低い略直方体の形状を有するラップアラウンドケースである。この包装箱10は、第1面部11から第5面部15の5つの長方形の面部、一対の第1内フラップ部21及び一対の第2内フラップ部23の4つの内フラップ部、一対の第1外フラップ部31及び一対の第2外フラップ部33の4つの外フラップ部、を備えて構成される。本実施形態に係る包装箱10では、図2に示すように、左から第5面部15、第4面部14、第3面部13、第1面部11、第2面部12の順に連続している。一方、第2面部12と第5面部15とは連続していない。
【0020】
第1面部(底面部)11は、長方形であり、相互に平行な第1縁辺L1及び第2縁辺L2と、第1縁辺L1と直交する相互に平行な一対の第3縁辺L3と、を有する。
【0021】
第2面部(一方の長さ面部)12は、長方形であり、第1縁辺L1と直交する相互に平行な一対の第4縁辺L4を有し、この第1縁辺(第1主罫線)L1を介し、直角に折れ曲がって第1面部11の長辺に連接する。
【0022】
第3面部(他方の長さ面部)13は、長方形であり、第2縁辺L2と平行な第5縁辺L5と、第2縁辺L2と直交する相互に平行な一対の第6縁辺L6と、を有し、この第2縁辺(第2主罫線)L2を介し、直角に折れ曲がって第1面部11の長辺に連接するとともに、第2面部12と対向する。
【0023】
第4面部(天面部)14は、長方形であり、第5縁辺L5と直交する相互に平行な一対の第7縁辺L7と、第5縁辺L5と平行な第8縁辺L8を有し、この第5縁辺(第5主罫線)L5を介し、直角に折れ曲がって第3面部13の長辺に連接するとともに、第1面部11と対向する。
【0024】
第5面部(側面部,長さ面部)15は、長方形であり、第8縁辺(第8主罫線)L8を介して、直角に折れ曲がって第4面部14の長辺に連接するとともに、第3面部13と対向する。
【0025】
一対の第1内フラップ部(幅面部)21は、一対の第4縁辺(第4主罫線)L4を介して、直角に折れ曲がってそれぞれ第2面部12の短辺に連接するとともに、相互に対向する。
【0026】
一対の第2内フラップ部(幅面部)23は、一対の第6縁辺(第6主罫線)L6を介して、直角に折れ曲がってそれぞれ第3面部13の短辺に連接するとともに、相互に対向する。
【0027】
一対の第1外フラップ部(幅面部)31は、一対の第3縁辺(第3主罫線)L3を介して、直角に折れ曲がってそれぞれ第1面部11の短辺に連接するとともに、相互に対向する。
【0028】
一対の第2外フラップ部(幅面部)33は、一対の第7縁辺(第7主罫線)L7を介して、直角に折れ曲がってそれぞれ第4面部14の短辺に連接するとともに、相互に対向する。
【0029】
(主罫線L1~L8について)
本実施形態における主罫線は、製函工程において主罫線を基準に折り曲げやすくすることで、製函不良を抑制する役割を担うものである。本実施形態においては、表ライナ及び裏ライナの両側から中芯に向かって押し潰す段潰し加工によって主罫線が形成されている。
【0030】
図2,3に示すように、本実施形態におけるブランクシートは、第1主罫線L1、第2主罫線L2、第5主罫線L5、及び、第8主罫線L8が段ボールの縦罫線(いわゆる、クリーズ)となり、一対の第3主罫線L3、一対の第4主罫線L4、一対の第6主罫線L6、及び、一対の第7主罫線L7が段ボールの横罫線(いわゆる、スコア)となるように設定されている。本実施形態における罫線の形成方向は、各縁辺に沿ったものであるが、これに限られず、いずれの方向に形成されても良い。
【0031】
(補助罫線40について)
本実施形態における補助罫線40は、結束バンドによる張力が包装箱10の角部にかかった際に、後述する面取り部50の形成を誘導するための役割を担うものである。すなわち、補助罫線40によって囲われた箇所が、後述する面取り部50として機能する。図2に示すように、本実施形態においては、裏ライナ側からのみ中芯に向かって押し潰す段潰し加工によって補助罫線40が形成されている。なお、補助罫線40における段潰し加工は、主罫線L1~L8における段潰し加工よりも浅く押し潰されていることが好ましい。
【0032】
本実施形態において、補助罫線40は、主罫線L1~8を挟んで鏡対象となるように形成されている。より詳しくは、補助罫線40は、主罫線を挟んで主罫線と平行に設けられた一対の辺41と、辺41となす角度が鈍角となるように、それぞれの辺41の両末端から主罫線に向かって設けられた辺42で構成されている。辺42の末端のうち、辺41と接していない末端は、辺42の末端同士が接することで、閉じた空間を形成している。なお、本実施形態において、補助罫線によって形成される形状が6角形であるが、6以上の偶数角からなる多角形状であれば特に制限はされない。
【0033】
(面取り部50について)
図2を用いて、第1縁辺L1、第2縁辺L2、及び、一対の第3縁辺L3に設けられた面取り部について説明する。ここで、第8縁辺L8、第5縁辺L5、及び、一対の第7縁辺L7における面取り部は、それぞれ、第1縁辺L1、第2縁辺L2、及び、一対の第3縁辺L3における面取り部と同様の形態であることから、説明は省略する。
【0034】
面取り部50は、樹脂バンドで締結した際に包装箱10の破損を防ぐためのものである。詳細については後述するが、包装箱10の角が潰れて面取り部50が形成されることで、食い込みを防ぐことができる。面取り部50は、補助罫線40で形作られた多角形状が該当する。なお、本実施形態においては、第1面部の4つの縁辺(主罫線)L1~3には、各主罫線の中央に面取り部50が設けられている。
【0035】
(ミシン目60について)
本実施形態においては、製函に影響を与えず、かつ、締結バンドにより張力がかかった際に面取り部50が形成されやすくすることを目的として、裏ライナに対してさらにミシン目60を設けてもよい。ミシン目60を設ける位置としては、段潰し加工が施された補助罫線40上にミシン目60を設けることが好ましい。また、裏ライナ以外に表ライナにミシン目60を設けてもよい。表ライナに設けるミシン目60の位置としては、裏ライナに設けられた補助罫線40と対応する位置に設けることが好ましい。
【0036】
<包装箱の製函について>
本実施形態におけるブランクシート10Bから包装箱10を組み立てる一例について説明する。まず、ブランクシート10Bを、裏ライナが上側に位置するように配置する。次に、第1面部11上に、収容する物品を載置する。第1面部11を中心として、第1主罫線L1及び第2主罫線L2を介して、第2面部12及び第3面部13を折り曲げる。そして、一対の第4主罫線L4及び一対の第6主罫線L6を介して、一対の第1内フラップ部21及び一対の第2内フラップ部23を折り曲げる。続いて、第1内フラップ部21及び第2内フラップ部23の上に重なるように、一対の第3主罫線L3を介して、一対の第1外フラップ部31を折り曲げるとともに、第1内フラップ部21及び第2内フラップ部23に接着する。さらに、第5主罫線L5を介して、第4面部14を折り曲げて、第1面部11と対向させた状態とし、続いて、第1内フラップ部21及び第2内フラップ部23の上に重なるように、一対の第7主罫線L7を介して、一対の第2外フラップ部33を折り曲げるとともに、第1内フラップ部21及び第2内フラップ部23に接着する。最後に、第2面部12の上に重なるように、第8主罫線L8を介して、第5面部15を折り曲げるとともに、第2面部12に接着することで、図1に示した包装箱10が組み立てられる。本実施形態における接着は、例えば、熱溶融樹脂等の接着剤によって貼着(ホットメルト)することにより行われる。また、本実施形態における接着剤の塗布は、各接着部位に対して適宜のタイミングで行うことができる。この組み立てにより、第1面部11を底面部、第4面部14を天面部、第2面部12、第5面部15及び第3面部13を長さ面部とし、一対の第1内フラップ部21、一対の第2内フラップ部23、一対の第1外フラップ部31及び一対の第2外フラップ部33を幅面部とする包装箱10が形成される。ここで、本発明によれば主罫線L1~8は段潰し加工となっているため、折り曲げやすくなっている。また、補助罫線40は裏面ライナにしか設けられていないため、製函不良が起こりにくい。製函時、補助罫線40が折れ曲がらないのは、主罫線L1~8が表ライナと裏ライナの両側に設けられているため、補助罫線40よりも折れ曲がりやすくなっているためである。すなわち、主罫線L1~8が折れ曲がりやすいため、製函にかかる力が主罫線L1~8に集まりやすく、補助罫線40には伝播しないためであると考えられる。
【0037】
<面取り部50形成機序について>
面取り部50は次のようにして形成される。図1に示すように、本実施形態にかかる製函したばかりの包装箱10の表ライナ(外側)には面取り部50の形状に合わせたミシン目60はあるものの、面取り部50はいまだ形成されていない。図4は、製函した包装箱10を上下方向(図1参照)に複数(ここでは3個)積み上げたものである。積み上げた包装箱10に対して、幅方向及び長さ方向(図1における前後方向及び左右方向)に締結バンドを掛ける(図5参照)。包装箱10に掛けられた締結バンドはバンドの締め上げとともに、最上段及び最下段の包装箱10の角部に当接する。包装箱10の角部に当接したバンドは、締め上げる力を包装箱10の内部に向かって働かせる。
【0038】
このとき、図6(a)に示すように、包装箱10は角部に集中した張力を分散させようとする。角部にかかった張力は、図6(a)の実線白抜きの矢印のように包装箱10の面部を伝う。そうして伝った張力は補助罫線40にも伝達される。補助罫線40である段潰し部は裏面ライナが中芯に向かって押しつぶされているため、角部から伝わってきた力によって折れ曲がりやすくなっている。さらに、表面ライナや補助罫線40にミシン目60が設けられていると、ミシン目60に対して応力が集中するため、より折れ曲がりやすくなる。これにより、補助罫線40が折れ曲がる。補助罫線40のうちどこか一カ所でも折れ曲がると、面部を伝ってきた力は補助罫線40を伝って伝播していく。補助罫線40が折れ曲がると面取り部50が浮かび上がり、それと同時に角部は図6(b)のように平面に戻る。ここで、面取り部50が形成されると、当初1つだけだった角部は2つに増える。2つに増えることで、従来1つの角部にかかっていた張力はより分散され、包装箱への食い込みを防ぐことができる。また、面取り部50が形成されることで締結バンドと段ボール箱との接触面積が増えるため、より強固に締結することができる。さらに、従来の包装箱と異なり、食い込みを起こさず、面が凹むだけで済む。
【0039】
これに対して、従来の包装箱は、図7に示すように、角部に集中した張力が包装箱の面部を伝っても、応力を集中させる箇所がない。その結果、角部に集中した張力が限界を超えると、バンドの食い込みによるエッジ切れが起こる。
【0040】
以下、具体的構成を例に本発明をより詳細に説明する。
【0041】
表〇に記載の条件に基づいて、包装箱ブランクシートを作成した。当該ブランクシート上に容器入り即席食品を載せ、オートケーサーで製函した。各実施例・比較例にかかる包装箱は3箱ずつ製函した。得られた包装箱は次の条件下で試験を行った。
【0042】
【表1】

【0043】
(製函試験)
表1に基づくブランクシートをオートケーサーで製函し、製函不良を製函適正という観点から確認した。製函適正の基準は次の通りである。
○:現状設備を用いて、通常ブランクシートと同様に製函可能である。
△:現状設定ではロスが発生するが、軽微な調整で製函可能である。
×:大幅な設備改造が必要となり、通常のブランクシートを製函する場合との併用が難しい。
【0044】
(締結試験)
締結試験は容器入り即席食品が入った包装箱を図4のように3段重ね、締結バンドを幅方向及び長さ方向に掛けた。締結バンドが撓まず、面に対して密着するように締結バンドを締め上げた。このとき、包装箱の角に締結バンドが食い込んでいたり、エッジ切れが起こっていたりしないか確認を行った。判断基準は次の通りである。結果を図〇に示す。
◎:面取り部が意図した形状に形成され、締結バンドの食い込みやエッジ切れが起こらない。
〇:面取り部の形成がやや不十分だが、締結バンドの食い込みやエッジ切れが起こらない。意図した機能が概ね機能しており、食い込みが発生しにくい。
×:締結バンドの食い込みやエッジ切れが起こっている。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から明らかなように、実施例1~4では製函不良は起こらなかった。また、いずれの実施例においても、締結試験で食い込みやエッジ切れは起こらなかった。このことから、補助罫線を裏ライナ(包装箱の内側)に設けることで、製函性と締結バンドの食い込み防止に役立つことが示唆された。なお、実施例1~4について比較すると、補助罫線だけでも締結バンドの食い込み対策として十分であるが、ミシン目を設けることでより面取り部が意図した形状に形成され、締結バンドの食い込みを防ぐのに有効であることがわかる。特に、ミシン面を表裏両面に設けた場合、面取り部の形成が容易となる。
【0047】
以上、説明したように、本発明においては、補助罫線を包装箱の内面側に設けることで、製函時の製函不良の発生を抑えつつ、締結バンドによる締結時には面取り部を形成させることができる。これにより、締結バンドの食い込みやエッジ切れを防ぐことができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0048】
1 包装体
10 包装箱
10B ブランクシート
11 第1面部(底面部)
12 第2面部(一方の長さ面部)
13 第3面部(他方の長さ面部)
14 第4面部(天面部)
15 第5面部(側面部、長さ面部)
21 一対の第1内フラップ部
23 一対の第2内フラップ部
31 一対の第1外フラップ部
33 一対の第2外フラップ部
40 補助罫線
50 面取り部
60 ミシン目
L1 第1縁辺(第1主罫線)
L2 第2縁辺(第2主罫線)
L3 一対の第3縁辺(第3主罫線)
L4 一対の第4縁辺(第4主罫線)
L5 第5縁辺(第5主罫線)
L6 一対の第6縁辺(第6主罫線)
L7 一対の第7縁辺(第7主罫線)
L8 第8縁辺(第8主罫線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7