(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】3次元メモリデバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240430BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240430BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240430BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240430BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L29/78 613B
H01L29/78 626A
(21)【出願番号】P 2021575436
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2019108117
(87)【国際公開番号】W WO2021056325
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-12-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チグアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ジン
(72)【発明者】
【氏名】アン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンウェイ・ル
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161015(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108847413(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109496358(CN,A)
【文献】特開2010-225684(JP,A)
【文献】特開2018-137388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配設されている交互の導電性/誘電体スタックと、
前記基板の上に配設されているエピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層の上に配設されており、前記交互の導電性/誘電体スタックによって取り囲まれているブロッキング層と、
前記ブロッキング層の上に配設されており、前記ブロッキング層によって取り囲まれて、
窒化ケイ素を含むトラッピング層と、
前記トラッピング層の上に配設されており、前記トラッピング層によって取り囲まれているトンネリング層と、
前記エピタキシャル層の上に前記エピタキシャル層と接触して配設されている半導体層であって、前記半導体層は、前記トンネリング層の上に部分的に配設されており、前記トンネリング層によって取り囲まれている、半導体層と
を備え、
前記トラッピング層は、
水平方向の部分と、
垂直方向の部分とを含み、前記水平方向の部分は、前記半導体層と接触しており、
前記垂直方向の部分は、
下側部分と、
前記下側部分の上方に配設されている上側部分であって、水平方向における前記上側部分の厚さは、前記水平方向における前記下側部分の厚さよりも大きい、上側部分と
を含
み、
前記下側部分におけるシリコンに対する窒素の比(N/Si)は、前記上側部分におけるシリコンに対する窒素の比(N/Si)よりも低くなっている、3次元(3D)メモリデバイス。
【請求項2】
前記トラッピング層および前記エピタキシャル層は、所定の距離に配設されている、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項3】
前記トラッピング層および前記エピタキシャル層は、前記ブロッキング層によって分離されている、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項4】
前記トラッピング層は、断面視においてL字形状を含む、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項5】
前記半導体層は、前記水平方向の部分を介して前記トラッピング層を貫通している、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項6】
前記水平方向における前記下側部分の前記厚さに対する、前記水平方向における前記上側部分の前記厚さの比は、1.25から2の範囲にある、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項7】
前記トラッピング層の厚さは、前記下側部分から前記上側部分に向けて徐々に増加されている、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項8】
前記半導体層の上に配設されており、前記半導体層によって取り囲まれている充填層と、
前記充填層の上に配設されており、前記半導体層と接触している導電性構造体と
をさらに備える、請求項1に記載の3Dメモリデバイス。
【請求項9】
3次元(3D)メモリデバイスの製造方法であって、
基板の上に交互の誘電体スタックを形成するステップと、
前記基板の厚さ方向に前記交互の誘電体スタックを貫通し、前記基板を露出させる第1の開口部を形成するステップと、
前記第1の開口部を介して前記基板の上にエピタキシャル層を形成するステップと、
前記第1の開口部を介して、前記エピタキシャル層および前記第1の開口部の側壁部の上に、ブロッキング層、
窒化ケイ素を含むトラッピング層、およびトンネリング層を順に形成するステップと、
前記ブロッキング層、前記トラッピング層、および前記トンネリング層を貫通し、前記エピタキシャル層を露出させる第2の開口部を形成するステップと、
前記第1の開口部を介して、前記エピタキシャル層、前記第2の開口部の側壁部、前記トンネリング層の一部、および、前記第1の開口部の前記側壁部の上に、半導体層を形成するステップであって、前記半導体層は、前記エピタキシャル層と接触している、ステップと
を含み、
前記トラッピング層は、
水平方向の部分と、
垂直方向の部分とを含み、前記水平方向の部分は、前記半導体層と接触しており、
前記垂直方向の部分は、
下側部分と、
前記下側部分の上方に配設されている上側部分であって、水平方向における前記上側部分の厚さは、前記水平方向における前記下側部分の厚さよりも大きい、上側部分と
を含
み、
前記下側部分におけるシリコンに対する窒素の比(N/Si)は、前記上側部分におけるシリコンに対する窒素の比(N/Si)よりも低くなっている、製造方法。
【請求項10】
前記第1の開口部を介して、前記半導体層によって取り囲まれている充填層を形成するステップと、
前記充填層の上に前記半導体層と接触して導電性構造体を形成するステップと
をさらに含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1の開口部を形成するときに、前記基板の一部が除去され、前記エピタキシャル層が、前記基板の中に形成される、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1の開口部の前記側壁部の上への前記ブロッキング層、前記トラッピング層、または前記トンネリング層の堆積は、原子層堆積(ALD)プロセスを含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第2の開口部を形成するステップは、
前記トンネリング層の前記一部を覆うマスク層を形成するステップと、
前記マスク層を介して、前記トンネリング層、前記トラッピング層、および前記ブロッキング層を通してエッチングし、前記エピタキシャル層を露出させ、前記第2の開口部を形成するステップと
をさらに含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ブロッキング層を形成するステップは、
前記エピタキシャル層および前記第1の開口部の前記側壁部の上にベース層を形成するステップと、
前記ベース層に対して酸化プロセスを実施し、前記ブロッキング層を形成するステップと
をさらに含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項15】
前記ベース層は、窒化物層を含む、請求項
14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記酸化プロセスは、インサイチュ蒸気発生(ISSG)プロセスまたは熱酸化プロセスを含む、請求項
14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記ベース層は、酸化物層と、前記酸化物層の上に配設されている窒化物層とを含み、前記窒化物層は、前記酸化プロセスによって酸化される、請求項
14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリデバイスおよびその製造方法に関し、より具体的には、3次元(3D)メモリデバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面的なメモリセルは、プロセス技術、回路設計、プログラミングアルゴリズム、および製作プロセスを改善することによって、より小さいサイズにスケーリングされる。しかし、メモリセルの特徴サイズが下限に接近するにつれて、平面的なプロセスおよび製作技法は、困難でコストがかかるようになる。結果として、平面的なメモリセルに関するメモリ密度は、上限に接近する。
【0003】
3次元(3D)メモリアーキテクチャは、平面的なメモリセルの密度限界に対処することが可能である。3Dメモリアーキテクチャは、メモリアレイと、メモリアレイへのおよびメモリアレイからの信号を制御するための周辺デバイスとを含む。従来の3Dメモリアーキテクチャにおいて、メモリストリングが、半導体基板の上の複数の層スタック構造体を貫通するチャネルホールの中に形成されている。エピタキシャル構造体が、メモリストリングのチャネル層と半導体基板とを電気的に接続するために、それぞれのチャネルホールの底部に形成されている。しかし、スタック構造体の中の層の量が増加するにつれて、および、スタック構造体の中のそれぞれの層が、より高いストレージ密度のために、より薄くなるにつれて、いくつかの問題は深刻になり、3Dメモリデバイスの電気的性能および製造歩留まりに影響を与える。したがって、3Dメモリデバイスの構造および/または製造プロセスは、3Dメモリデバイスの電気的性能および/または製造歩留まりを改善するために修正されなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
3次元(3D)メモリデバイスおよびその製造方法が、本開示において提供される。トラッピング層の上側部分の厚さは、3Dメモリデバイスの電気的性能を改善するために、トラッピング層の下側部分の厚さよりも大きい。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、3Dメモリデバイスの製造方法が提供される。製造方法は、以下のステップを含む。交互の誘電体スタックが、基板の上に形成される。開口部が、基板の厚さ方向に交互の誘電体スタックを貫通して形成される。ブロッキング層が、開口部の側壁部の上に形成される。トラッピング層が、開口部の中に形成され、トラッピング層は、ブロッキング層の上に形成される。トラッピング層は、下側部分と、下側部分の上方に配設されている上側部分とを含む。水平方向における上側部分の厚さは、水平方向における下側部分の厚さよりも大きい。
【0006】
いくつかの実施形態において、水平方向における下側部分の厚さに対する水平方向における上側部分の厚さの比は、1.5以下である。
【0007】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の下側部分は、基板の厚さ方向にトラッピング層の上側部分と基板との間に配設されている。
【0008】
いくつかの実施形態において、水平方向は、基板の厚さ方向に直交している。
【0009】
いくつかの実施形態において、開口部の上部幅は、開口部の底部幅よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の厚さは、下側部分から上側部分に向けて徐々に増加されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、ブロッキング層の形成方法は、以下のステップを含む。ベース層が、開口部の側壁部の上に形成される。酸化プロセスが、ベース層に対して実施され、ベース層は、酸化プロセスによって酸化され、ブロッキング層になる。
【0012】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスの製造方法は、以下のステップをさらに含む。トンネリング層が、開口部の中に形成される。トンネリング層は、開口部の中のトラッピング層の上に形成される。半導体層が、開口部の中に形成される。半導体層は、基板の厚さ方向に細長くなっており、半導体層は、水平方向に、トンネリング層、トラッピング層、およびブロッキング層によって取り囲まれている。
【0013】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスの製造方法は、開口部の中に充填層を形成するステップをさらに含む。充填層は、水平方向に、半導体層、トンネリング層、トラッピング層、およびブロッキング層によって取り囲まれている。
【0014】
いくつかの実施形態において、交互の誘電体スタックは、基板の厚さ方向に交互に積層されている誘電体層および犠牲層を含み、3Dメモリデバイスの製造方法は、半導体層を形成するステップの後に、交互の導電性/誘電体スタックを形成するように、犠牲層を導電性層と置換するステップをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の下側部分の材料組成は、トラッピング層の上側部分の材料組成とは異なっている。
【0016】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の下側部分の一部は、トラッピング層の下側部分の厚さを低減させるために除去される。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、3Dメモリデバイスが提供される。3Dメモリデバイスは、基板と、交互の導電性/誘電体スタックと、開口部と、ブロッキング層と、トラッピング層とを含む。交互の導電性/誘電体スタックは、基板の上に配設されている。開口部は、基板の厚さ方向に交互の導電性/誘電体スタックを貫通している。ブロッキング層は、開口部の中に配設されており、開口部の側壁部の上に配設されている。トラッピング層は、開口部の中に配設されており、ブロッキング層の上に配設されている。トラッピング層は、下側部分と、下側部分の上方に配設されている上側部分とを含む。水平方向における上側部分の厚さは、水平方向における下側部分の厚さよりも大きい。
【0018】
いくつかの実施形態において、水平方向における下側部分の厚さに対する水平方向における上側部分の厚さの比は、1.5以下である。
【0019】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の下側部分は、基板の厚さ方向にトラッピング層の上側部分と基板との間に配設されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、水平方向は、基板の厚さ方向に直交している。
【0021】
いくつかの実施形態において、開口部の上部幅は、開口部の底部幅よりも大きい。
【0022】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の厚さは、下側部分から上側部分に向けて徐々に増加されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスは、半導体層およびトンネリング層をさらに含む。半導体層は、開口部の中に配設されており、基板の厚さ方向に細長い。半導体層は、水平方向にトラッピング層によって取り囲まれている。トンネリング層は、半導体層とトラッピング層との間に配設されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、トラッピング層の下側部分の材料組成は、トラッピング層の上側部分の材料組成とは異なっている。
【0025】
本開示の他の態様は、本開示の説明、特許請求の範囲、および図面に照らして、当業者によって理解され得る。
【0026】
本発明のこれらのおよび他の目的は、さまざまな図および図面に図示されている好適な実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、間違いなく当業者に明らかになることとなる。
【0027】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成しており、添付の図面は、本開示の実施形態を図示しており、さらに、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たし、当業者が本開示を作製および使用することを可能にする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の一実施形態による3次元(3D)メモリデバイスを図示する概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図2の後に続くステップにおける概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図3の後に続くステップにおける概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図4の後に続くステップにおける概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図5の後に続くステップにおける概略図である。
【
図7】本開示の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図6の後に続くステップにおける概略図である。
【
図8】本開示の別の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図である。
【
図9】本開示のさらに別の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図である。
【
図10】本開示のさらに別の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図9の後に続くステップにおける概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特定の構成および配置が議論されているが、これは、単に例示目的のためだけに行われているということが理解されるべきである。当業者は、本開示の要旨および範囲から逸脱することなく、他の構成および配置が使用され得るということを認識することとなる。本開示は、さまざまな他の用途においても用いられ得るということが、当業者に明らかであることとなる。
【0030】
本明細書における「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」などに対する言及は、説明されている実施形態が、特定の特徴、構造体、または特質を含むことが可能であるが、すべての実施形態が、必ずしも、その特定の特徴、構造体、または特質を含むとは限らない可能性があるということを示しているということが留意される。そのうえ、そのような語句は、必ずしも、同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造体、または特質が、実施形態に関連して説明されているときには、明示的に説明されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連して、そのような特徴、構造体、または特質に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であることとなる。
【0031】
一般的に、専門用語は、文脈における使用法から少なくとも部分的に理解され得る。たとえば、本明細書で使用されているような「1つまたは複数の」という用語は、少なくとも部分的に文脈に応じて、単数形の意味で、任意の特徴、構造体、または特質を説明するために使用され得るか、または、複数形の意味で、特徴、構造体、または特質の組み合わせを説明するために使用され得る。同様に、「a」、「an」、または「the」などのような用語は、繰り返しになるが、少なくとも部分的に文脈に応じて、単数形の使用法を伝えるということ、または、複数形の使用法を伝えるということを理解され得る。加えて、「基づく」という用語は、必ずしも、排他的な要因のセットを伝えることを意図しているとは限らないということが理解され得、その代わりに、繰り返しになるが、少なくとも部分的に文脈に応じて、必ずしも明示的に記載されていない追加的な要因の存在を可能にする可能性がある。
【0032】
さまざまな要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために、第1の、第2のなどの用語が本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないということが理解されることとなる。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを別のものから区別するためだけに使用されている。したがって、下記に議論されている第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層またはセクションと呼ばれ得る。
【0033】
本開示における「の上に」、「の上方に(above)」、および「の上方に(over)」の意味は、最も広い様式で解釈されるべきであり、「の上に」は、何か「の上に直接的に」を意味するだけではなく、中間特徴または層がそれらの間にある状態で、何か「の上に」を意味することも含むようになっており、「の上方に(above)」または「の上方に(over)」は、何か「の上方に(above)」または「の上方に(over)」を意味するだけでなく、中間特徴または層がそれらの間にない状態で、それが何か「の上方に(above)」または「の上方に(over)」(すなわち、何かの上に直接的に)あることを意味することも含むことが可能であるということが容易に理解されるべきである。
【0034】
さらに、「の下に」、「の下方に」、「下側」、「の上方に」、および「上側」などのような、空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図に図示されているような別の要素または特徴に対する1つの要素または特徴の関係を説明するために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている配向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図している。装置は、その他の方法で配向され得(90度回転させられるか、または、他の配向で)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述子は、同様にそのように解釈され得る。
【0035】
「形成する」という用語、または、「配設する」という用語は、材料の層を物体に適用する挙動を説明するために以降で使用されている。そのような用語は、それに限定されないが、熱膨張、スパッタリング、蒸発、化学蒸着、およびエピタキシャル成長、電気めっきなどを含む、任意の可能な層形成技法を説明することを意図している。
【0036】
図1を参照されたい。
図1は、本開示の実施形態による3次元(3D)メモリデバイスを図示する概略図である。
図1に示されているように、この実施形態では、3Dメモリデバイス100が提供される。3Dメモリデバイス100は、基板10と、交互の導電性/誘電体スタックS2と、開口部(たとえば、
図1に示されている第1の開口部OP1など)と、ブロッキング層22と、トラッピング層24とを含む。交互の導電性/誘電体スタックS2は、基板10の上に配設されている。第1の開口部OP1は、基板10の厚さ方向(たとえば、
図1に示されている垂直方向D1など)に交互の導電性/誘電体スタックS2を貫通する。ブロッキング層22は、第1の開口部OP1の中に配設されており、第1の開口部OP1の側壁部の上に配設されている。トラッピング層24は、第1の開口部OP1の中に配設されており、ブロッキング層22の上に配設されている。トラッピング層24は、下側部分24Aおよび上側部分24Bを含み、トラッピング層24の上側部分24Bは、垂直方向D1にトラッピング層24の下側部分24Aの上方に配設されている。水平方向D2における上側部分24Bの厚さ(たとえば、
図1に示されている第2の厚さTK2など)は、水平方向D2における下側部分24Aの厚さ(たとえば、
図1に示されている第1の厚さTK1など)よりも大きい。トラッピング層24の下側部分24Aは、垂直方向D1にトラッピング層24の上側部分24Bと基板10との間に配設され得る。いくつかの実施形態において、ブロッキング層22は、第1の開口部OP1の内側側壁部の上にコンフォーマルに配設され得、トラッピング層24は、3Dメモリデバイス100の電気的性能を改善するために、異なる厚さ分布によってブロッキング層22の上に配設され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、水平方向D2は、基板10の上部表面に平行とすることが可能であり、水平方向D2は、基板10の厚さ方向(たとえば、垂直方向D1)に直交することが可能である。いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイス100は、トンネリング層26および半導体層30をさらに含むことが可能である。トンネリング層26は、第1の開口部OP1の中に配設されており、トラッピング層24の上にコンフォーマルに配設され得る。半導体層30は、第1の開口部OP1の中に配設されており、垂直方向D1に実質的に細長くなっていることが可能である。半導体層30は、水平方向D2に、トンネリング層26、トラッピング層24、およびブロッキング層22によって取り囲まれ得る。トンネリング層26は、半導体層30とトラッピング層24との間に配設され得、トラッピング層24は、トンネリング層26とブロッキング層22との間に配設され得る。いくつかの実施形態において、半導体層30、トンネリング層26、トラッピング層24、およびブロッキング層22は、垂直方向D1に交互の導電性/誘電体スタックS2を貫通するNANDストリングの部分と見なされ得るが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の開口部OP1は、垂直方向D1に細長い円筒形状を有することが可能であり、半導体層30、トンネリング層26、トラッピング層24、およびブロッキング層22は、第1の開口部OP1の中心から第1の開口部OP1の側壁部に向けて、半径方向にこの順序で配置され得る。したがって、上記に説明されている第1の厚さTK1および第2の厚さTK2は、水平方向D2にブロッキング層22とトンネリング層26との間に挟まれている下側部分24Aの厚さ、および、水平方向D2にブロッキング層22とトンネリング層26との間に挟まれている上側部分24Bの厚さと見なされ得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、交互の導電性/誘電体スタックS2は、垂直方向D1に交互に積層されている誘電体層12および導電性層50を含むことが可能である。交互の導電性/誘電体スタックS2の中の導電性層50のうちの少なくともいくつかは、メモリユニットの中のゲート構造体として使用され得、メモリユニットは、導電性層50によって水平方向D2に取り囲まれているブロッキング層22の一部、トラッピング層24の一部、トンネリング層26の一部、および、半導体層30の一部を含むことが可能である。換言すれば、3Dメモリデバイス100は、垂直方向D1に積層された複数のメモリユニットを含むことが可能である。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1の開口部OP1の上部幅は、第1の開口部OP1の底部幅よりも大きくなっていることが可能である。換言すれば、第1の開口部OP1は、相対的に大きい上側部分および相対的に小さい下側部分を備えた円筒形状を有することが可能である。相対的に下側の導電性層50によって取り囲まれているブロッキング層22、トラッピング層24、トンネリング層26、および半導体層30の体積は、第1の開口部OP1の形状に起因して、相対的に上側の導電性層50によって取り囲まれているブロッキング層22、トラッピング層24、トンネリング層26、および半導体層30の体積よりも小さくなっていることが可能であり、下側メモリユニットの電気的特性は、上側メモリユニットの電気的特性とは異なっていることが可能である。たとえば、下側メモリユニットの初期閾値電圧(Vt)シフトは相対的に悪く、マージンは相対的に狭く、下側メモリユニットのプログラミング/消去の変化は、それに応じて、上側メモリユニットのものよりも悪い。下側メモリユニットの保持特性(たとえば、電荷捕獲能力など)は、下側メモリユニットの中のトラッピング層24の厚さを低減させることによって改善され得る。その理由は、比較的に少ない捕獲された電荷が下側メモリユニットに必要とされるからである。したがって、3Dメモリデバイス100の全体的な電気的性能は、相対的に厚い上側部分および相対的に薄い下側部分を有するトラッピング層24によって改善され得る。いくつかの実施形態において、トラッピング層24の厚さは、下側部分24Aから上側部分24Bに向けて徐々に増加され得るが、本開示は、これに限定されない。いくつかの実施形態において、水平方向D2における下側部分24Aの第1の厚さTK1に対する水平方向D2における上側部分24Bの第2の厚さTK2の比は、1.25から2の範囲にあることが可能である。その理由は、トラッピング層24の下側部分24Aの第1の厚さTK1が、必要な機能を提供するために特定の範囲に依然として維持されなければならないからである。
【0040】
いくつかの実施形態において、トラッピング層24の下側部分24Aの材料組成は、下側メモリユニットの保持特性をさらに改善するために、トラッピング層24の上側部分24Bの材料組成とは異なっていることが可能である。たとえば、トラッピング層24が窒化ケイ素を含むときには、トラッピング層24の下側部分24Aにおけるシリコンに対する窒素の比(N/Si)は、トラッピング層24を形成するプロセスを修正することによって、トラッピング層24の上側部分24Bにおけるものよりも低くなっていることが可能であるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、トラッピング層24を形成するための炉内プロセスのプロセスパラメータは、異なるN/Si比を有するトラッピング層24を形成するために修正され得る。たとえば、シラン(SiH4)を導入する時間、および/または、窒素(N2)パージの時間は、相対的に低いN/Si比(たとえば、約1.05~1.15)を有する下側部分24A、および、相対的に高いN/Si比(たとえば、約1.23)を有する上側部分24Bを形成するために修正され得るが、それに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイス100は、エピタキシャル層20、充填層32、導電性構造体34、およびキャップ層40をさらに含むことが可能である。エピタキシャル層20は、第1の開口部OP1の底部に配設され得、エピタキシャル層20の一部は、基板10の中に配設され得る。いくつかの実施形態において、ブロッキング層22の底部部分、トラッピング層24の底部部分、および、トンネリング層26の底部部分は、垂直方向D1に積層され、エピタキシャル層20の上に配設され得る。したがって、エピタキシャル層20は、垂直方向D1にブロッキング層22と基板10との間に配設され得る。いくつかの実施形態において、第2の開口部OP2が、ブロッキング層22の底部部分、トラッピング層24の底部部分、および、トンネリング層26の底部部分を、垂直方向D1に貫通することが可能であり、エピタキシャル層20の一部を露出させることが可能である。半導体層30は、エピタキシャル層20に接触するために、エピタキシャル層20と直接的に電気的に接続されるために、第2の開口部OP2の中に部分的に配設され得るが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、エピタキシャル層20は、NANDメモリ構造体の中の底部選択ゲート(BSG)トランジスターのチャネル構造体と見なされ得、半導体層30は、エピタキシャル層20を介して、基板10の中のドープされたウェル(図示せず)に電気的に接続され得るが、それに限定されない。充填層32は、第1の開口部OP1の中に配設されており、水平方向D2に半導体層30によって取り囲まれ得る。1つまたは複数の空隙Vが、充填層32の中に配設され得るが、それに限定されない。導電性構造体34は、第1の開口部OP1の中に配設され、充填層32の上方に配設され得、導電性構造体34は、半導体層30と直接的に接続され得るが、それに限定されない。キャップ層40は、垂直方向D1に、交互の導電性/誘電体スタックS2、ブロッキング層22、トラッピング層24、トンネリング層26、半導体層30、および導電性構造体34を覆うことが可能である。いくつかの実施形態において、ビットライン構造体(図示せず)が、導電性構造体34を介してNANDストリングに電気的に接続されるように、キャップ層40を貫通することが可能であるが、それに限定されない。
【0042】
図2~
図7および
図1を参照されたい。
図2~
図7は、この実施形態における、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図である。
図3は、
図2の後に続くステップにおける概略図であり、
図4は、
図3の後に続くステップにおける概略図であり、
図5は、
図4の後に続くステップにおける概略図であり、
図6は、
図5の後に続くステップにおける概略図であり、
図7は、
図6の後に続くステップにおける概略図であり、
図1は、
図7の後に続くステップにおける概略図と見なされ得る。3Dメモリデバイス100の製造方法は、それに限定されないが、以下のステップを含むことが可能である。
図2に示されているように、基板10が提供され、交互の誘電体スタックS1が基板10の上に形成され得る。いくつかの実施形態において、基板10は、シリコン(たとえば、単結晶シリコン、多結晶シリコン)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンオンインシュレーター(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレーター(GOI)、または、それらの任意の適切な組み合わせを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、交互の誘電体スタックS1は、垂直方向D1に交互に積層されている複数の誘電体層12および複数の犠牲層14を含むことが可能であるが、それに限定されない。交互の誘電体スタックS1の中の誘電体層12および犠牲層14は、それに限定されないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または、それらの任意の組み合わせを含む、誘電材料を含むことが可能である。後続のプロセスにおいて必要とされるエッチング選択性を提供するために、誘電体層12の材料組成は、犠牲層14の材料組成とは異なっていることが可能である。たとえば、誘電体層12のそれぞれは、酸化ケイ素層とすることが可能であり、犠牲層14のそれぞれは、窒化ケイ素層とすることが可能であるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、交互の誘電体スタックS1の中の誘電体層12および犠牲層14の合計数は、32または64とすることが可能であるが、それに限定されない。
【0043】
その後に、第1の開口部OP1が、基板10の厚さ方向(すなわち、垂直方向D1)に交互の誘電体スタックS1を貫通して形成される。いくつかの実施形態において、3Dメモリデバイスの上面図における第1の開口部OP1の形状は、円形、長方形、または、他の適切な閉じた形状とすることが可能である。いくつかの実施形態において、複数の第1の開口部OP1が、フォトリソグラフィックプロセスによって形成され得、基板10の一部が、第1の開口部OP1によって露出され得、基板10の一部が、第1の開口部OP1を形成するステップによって除去され得る。したがって、第1の開口部OP1の底部表面は、垂直方向D1に基板10の上部表面よりも低くなっていることが可能であるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、上記に説明されているフォトリソグラフィックプロセスのエッチング特性、交互の誘電体スタックS1の中の誘電体層12および犠牲層14の合計数、交互の誘電体スタックS1の厚さ、ならびに/または、第1の開口部OP1の高いアスペクト比に起因して、第1の開口部OP1の上部幅W2は、第1の開口部OP1の底部幅W1よりも大きくなっていることが可能である。換言すれば、第1の開口部OP1の側壁部SWは傾斜され得、第1の開口部OP1の側壁部SWと基板10の上部表面との間の傾斜角度は、90度でなくてもよいが、それに限定されない。
【0044】
図2~
図4に示されているように、エピタキシャル層20が、第1の開口部OP1の中に形成され得、次いで、ブロッキング層22が、垂直方向D1にエピタキシャル層20の上方に形成され得、第1の開口部OP1の側壁部SWの上に形成され得る。いくつかの実施形態において、エピタキシャル層20は、選択エピタキシャル成長(SEG)プロセスによって第1の開口部OP1の中に形成されたポリシリコン層とすることが可能であり、エピタキシャル層20は、第1の開口部OP1によって露出された基板10の表面において成長することが可能であるが、それに限定されない。エピタキシャル層20は、他の適切なエピタキシャル材料を含むことが可能であり、および/または、いくつかの実施形態において、他の適切なプロセスによって形成され得る。追加的に、ブロッキング層22の形成方法は、第1の開口部OP1の側壁部SWの上にベース層21を形成すること、および、ベース層21に対して酸化プロセス91を実施することを含むことが可能であり、ベース層21は、酸化プロセス91によって酸化され、ブロッキング層22になることが可能である。ベース層21は、窒化物層(たとえば、窒化ケイ素層など)または他の適切な誘電材料を含むことが可能であり、ベース層21は、堆積プロセス(たとえば、原子層堆積(ALD)プロセス、化学蒸着(CVD)プロセス、または他の適切なフィルム形成プロセスなど)によって形成され得る。酸化プロセス91は、インサイチュ蒸気発生(ISSG: in-situ steam generation)プロセス、熱酸化プロセス、または他の適切な酸化アプローチを含むことが可能である。したがって、ブロッキング層22は、酸化物層を含むことが可能であるが、それに限定されない。しかし、本開示におけるブロッキング層22の形成方法は、上記に説明されている方法に限定されず、他の適切なアプローチおよび/または他の適切なブロッキング材料も、本開示におけるブロッキング層22を形成するために使用され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、ブロッキング層22は、堆積プロセス(たとえば、ALDプロセスなど)によって、エピタキシャル層20および第1の開口部OP1の側壁部SWの上に直接的に形成された酸化物層を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ベース層21は、酸化物層と、酸化物層の上に配設されている窒化物層とを含むことが可能であり、ベース層21の中の窒化物層は、ブロッキング層22を形成するために酸化プロセス91によって酸化され得る。
【0045】
図5に示されているように、次いで、トラッピング層24が、第1の開口部OP1の中に形成され、トラッピング層24が、ブロッキング層22の上に形成される。トラッピング層24は、下側部分24Aと、垂直方向D1に下側部分24Aの上方に配設されている上側部分24Bとを含み、水平方向D2における上側部分24Bの第2の厚さTK2は、水平方向D2における下側部分24Aの第1の厚さTK1よりも大きくなっていることが可能である。いくつかの実施形態において、トラッピング層24は、堆積プロセス(たとえば、ALDプロセス、CVDプロセス、または他の適切なフィルム形成プロセスなど)によって形成され得、トラッピング層24は、それに限定されないが、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または、それらの任意の組み合わせを含む、材料の1つまたは複数のフィルムを含むことが可能である。トラッピング層24の下側部分24Aは、垂直方向D1にトラッピング層24の上側部分24Bと基板10との間に位置し得る。いくつかの実施形態において、ブロッキング層22は、第1の開口部OP1の側壁部の上にコンフォーマルに形成され得、トラッピング層24は、トラッピング層24を形成するための堆積プロセスのプロセスパラメータを修正することによって、異なる厚さ分布によってブロッキング層22の上に形成され得るが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、異なる厚さ分布を有するトラッピング層24は、他の適切なアプローチによっても形成され得る。いくつかの実施形態において、特に、異なる厚さ分布を有するトラッピング層24が、堆積プロセスのプロセスパラメータを修正することによって形成されるときには、トラッピング層24の厚さは、下側部分24Aから上側部分24Bに向けて徐々に増加され得るが、それに限定されない。
【0046】
図6に示されているように、その後に、トンネリング層26が、第1の開口部OP1の中に形成され得、トンネリング層26は、第1の開口部OP1の中のトラッピング層24の上に形成され得る。いくつかの実施形態において、トンネリング層26は、堆積プロセス(たとえば、ALDプロセス、CVDプロセス、または他の適切なフィルム形成プロセスなど)によって形成され得、トンネリング層26は、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、高誘電率(高k)誘電体、または、それらの任意の組み合わせを含むことが可能である。
【0047】
図6および
図7に示されているように、第2の開口部OP2が、垂直方向D1に、ブロッキング層22の底部部分、トラッピング層24の底部部分、および、トンネリング層26の底部部分を貫通して形成され、エピタキシャル層20の一部を露出させることが可能である。半導体層30が、第2の開口部OP2を形成するステップの後に、第1の開口部OP1の中に形成され得る。半導体層30は、垂直方向D1に細長くなっていることが可能であり、半導体層30は、水平方向D2に、トンネリング層26、トラッピング層24、およびブロッキング層22によって取り囲まれ得る。半導体層30は、トンネリング層26の上に部分的に形成され得、エピタキシャル層20と接触して直接的に電気的に接続されるように、第2の開口部OP2の中に部分的に形成され得る。
【0048】
充填層32および導電性構造体34が、半導体層30を形成するステップの後に形成され得る。充填層32は、水平方向D2に、半導体層30、トンネリング層26、トラッピング層24、およびブロッキング層22によって取り囲まれ得る。いくつかの実施形態において、半導体層30は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、または他の適切な半導体材料を含むことが可能であり、充填層32は、酸化物または他の適切な絶縁材料を含むことが可能であるが、それに限定されない。導電性構造体34が、充填層32の上方の凹部の上に形成され得、導電性構造体34は、ポリシリコンまたは他の適切な導電性材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、トンネリング層26は、電子電荷(電子または正孔)をトンネリングするために使用され得る。半導体層30からの電子または正孔は、トンネリング層26を通ってトラッピング層24にトンネルすることが可能であり、トラッピング層24は、メモリ動作のための電子電荷(電子または正孔)を貯蔵するために使用され得るが、それに限定されない。
【0049】
図7および
図1に示されているように、その後に、交互の誘電体スタックS1の中の犠牲層14が、導電性層50と置換され得、交互の導電性/誘電体スタックS2を形成するようになっている。換言すれば、導電性層50は、半導体層30を形成するステップの後に形成され得る。いくつかの実施形態において、キャップ層40は、犠牲層14を導電性層50と置換するステップの前に交互の誘電体スタックS1を覆って形成され得るが、それに限定されない。導電性層50は、それに限定されないが、タングステン、コバルト、銅、アルミニウム、ドープトシリコン、ポリシリコン、シリサイド、または、それらの任意の組み合わせを含む、導電性材料を含むことが可能である。キャップ層40は、酸化物層(たとえば、酸化ケイ素層など)または他の適切な絶縁材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ゲート誘電体層(図示せず)は、水平方向D2に導電性層50とブロッキング層22との間に形成され得るが、それに限定されない。
【0050】
以下の説明は、本開示の異なる実施形態を詳述することとなる。説明を簡単化するために、以下の実施形態のそれぞれの中の同一の構成要素は、同一の記号によってマークされている。実施形態同士の間の違いをより理解しやすくするために、以下の説明は、異なる実施形態の間の相違点を詳述することとなり、同一の特徴は、冗長に説明されないこととなる。
【0051】
図8および
図6~
図7を参照されたい。
図8は、本開示の別の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図6は、
図8の後に続くステップにおける概略図と見なされ得る。
図8および
図6~
図7に示されているように、いくつかの実施形態において、ブロッキング層22の一部、トラッピング層24の一部、および、トンネリング層26の一部は、第1の開口部OP1の外側に形成され得る。プロセス(たとえば、化学的な機械的な研磨プロセスなど)が、半導体層30を形成するステップの前に、第1の開口部OP1の外側のブロッキング層22の一部、トラッピング層24の一部、および、トンネリング層26の一部を除去するように実施され得る。いくつかの実施形態において、第1の開口部OP1の外側のブロッキング層22の一部、第1の開口部OP1の外側のトラッピング層24の一部、および、第1の開口部OP1の外側のトンネリング層26の一部は、また、いくつかの考慮事項にしたがって、異なるステップによって除去され得る。たとえば、第1の開口部OP1の外側のブロッキング層22の一部は、トラッピング層24を形成するステップの前に除去され得、第1の開口部OP1の外側のトラッピング層24の一部は、トンネリング層26を形成するステップの前に除去され得るが、それに限定されない。しかし、トラッピング層24および/またはブロッキング層22のフィルム品質に対する除去ステップ(たとえば、CMPプロセスなど)の影響は、同じ除去ステップによって、第1の開口部OP1の外側のブロッキング層22の一部、トラッピング層24の一部、および、トンネリング層26の一部を除去することによって低減され得る。
【0052】
図9および
図10を参照されたい。
図9および
図10は、本開示のさらに別の実施形態による、3Dメモリデバイスの製造方法を図示する概略図であり、
図10は、
図9の後に続くステップにおける概略図である。
図9に示されているように、トラッピング層24は、ブロッキング層22の上にコンフォーマルに形成され得、トラッピング層24がブロッキング層22の上に形成されたばかりのときに、水平方向D2における上側部分24Bの第2の厚さTK2は、水平方向D2における下側部分24Aの第1の厚さTK1に実質的に等しくなっていることが可能である。
図9および
図10に示されているように、トラッピング層24の下側部分24Aの一部は、トラッピング層24の下側部分24Aの第1の厚さTK1を低減させるために除去され得る。いくつかの実施形態において、マスク層60が、トラッピング層24の上側部分24Bを覆って形成され得、トラッピング層24の下側部分24Aを薄くするためにパターニングされたもの60を形成するステップの後に、エッチングプロセス92が、トラッピング層24の下側部分24Aに対して実施され得る。いくつかの実施形態において、エッチングプロセス92は、トラッピング層24の下側部分24Aを薄くすることができる等方性エッチングプロセス(たとえば、ウェットエッチングプロセスなど)または他の適切なアプローチを含むことが可能である。マスク層60は、エッチングプロセス92の後に、および、上記に説明されているトンネリング層を形成するステップの前に除去され得る。いくつかの実施形態において、マスク層60は、エッチングプロセス92の前に、トラッピング層24の上側部分24Bおよびトラッピング層24の下側部分24Aを覆って形成され得、下側部分24Aの上に形成されたマスク層60の部分は、マスク層60のステップカバレッジを修正することによって、上側部分24Bの上に形成されたマスク層60の部分よりも薄くなっていることが可能である。下側部分24Aの上に形成された相対的に薄いマスク層60は、エッチングプロセス92によってエッチングおよび除去され得、上側部分24Bの上に形成された相対的に厚いマスク層60は、エッチングプロセス92の間にトラッピング層24の上側部分24Bを覆ったままとすることが可能であり、トラッピング層24の下側部分24Aの一部は、下側部分24Aの上に形成されたマスク層60がエッチングプロセス92によって除去された後に、トラッピング層24の下側部分24Aの第1の厚さTK1を低減させるために除去され得る。
【0053】
上記の説明を要約するために、本開示による3Dメモリデバイスおよびその製造方法において、トラッピング層の上側部分の厚さは、3Dメモリデバイスの電気的性能を改善するために、トラッピング層の下側部分の厚さよりも大きくなっている。下側メモリユニットの保持特性(たとえば、電荷捕獲能力など)は、下側メモリユニットの中のトラッピング層の厚さを低減させることによって改善され得る。その理由は、比較的に少ない捕獲された電荷が下側メモリユニットに必要とされるからである。したがって、3Dメモリデバイス100の全体的な電気的性能は、相対的に厚い上側部分および相対的に薄い下側部分を有するトラッピング層によって改善され得る。
【0054】
当業者は、本発明の教示を保ちながら、デバイスおよび方法の多数の修正例および代替例が作製され得るということに容易に気付くこととなる。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界および境界線によってのみ限定されるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0055】
10 基板
12 誘電体層
14 犠牲層
20 エピタキシャル層
21 ベース層
22 ブロッキング層
24 トラッピング層
24A 下側部分
24B 上側部分
26 トンネリング層
30 半導体層
32 充填層
34 導電性構造体
40 キャップ層
50 導電性層
60 マスク層
91 酸化プロセス
92 エッチングプロセス
100 3Dメモリデバイス
D1 垂直方向
D2 水平方向
OP1 第1の開口部
OP2 第2の開口部
S1 交互の誘電体スタック
S2 交互の導電性/誘電体スタック
SW 側壁部
TK1 第1の厚さ
TK2 第2の厚さ
W1 底部幅
W2 上部幅