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特許7480475通知制御システム、通知制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】通知制御システム、通知制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240501BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240501BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240501BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20240501BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240501BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
H04M11/00 301
A61B5/01 350
A61B5/11 200
A61G12/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019098711
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020057351
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2018185999
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 創
(72)【発明者】
【氏名】厚美 智浩
(72)【発明者】
【氏名】小元 翔太郎
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112151(US,A1)
【文献】特開2008-282219(JP,A)
【文献】特開2012-110586(JP,A)
【文献】特開2014-087524(JP,A)
【文献】特開2017-194737(JP,A)
【文献】国際公開第2003/091961(WO,A1)
【文献】特開2016-077522(JP,A)
【文献】特表2004-512058(JP,A)
【文献】特開2014-235669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0109442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - A61B 5/01
A61B 5/06 - A61B 5/22
A61G 9/00 - A61G 15/12
A61G 99/00
G06Q 50/22
G08B 19/00 - G08B 31/00
G16H 10/00 - G16H 80/00
H04M 3/00
H04M 3/16 - H04M 3/20
H04M 3/38 - H04M 3/58
H04M 7/00 - H04M 7/16
H04M 11/00 - H04M 11/10
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集装置と、前記情報収集装置とネットワークを介して通信可能な通知制御装置とを含む通知制御システムであって、
前記情報収集装置は、
施設内に設置されたベッド、及び前記ベッドの周辺の温度画像データを撮影する画像データ取得部と、
前記ベッド、及び前記ベッドの周辺にある無線タグから無線IDを受信するID受信部と、
前記温度画像データを含む、前記ベッドの利用者の情報であって、前記ID受信部が前記無線IDを受信した場合、前記無線IDをさらに含む利用者の情報を、前記通知制御装置に送信する情報送信部と、
を有し、
前記通知制御装置は、
前記利用者の情報を受信する情報受信部と、
前記利用者の情報に含まれる前記温度画像データを用いて、所定の温度であり、かつ頭部の大きさに相当する領域を検出することにより、前記利用者の頭部を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、前記利用者の状態を示す通知情報を所定の通知先に通知する通知制御部と、
を有し、
前記通知制御部は、
前記検知部により、前記ベッド上で検知されていた前記頭部が前記ベッドの周辺に設けられた落下検知領域で検知され、かつ所定の時間内に前記情報収集装置の撮影範囲内に設定された検知枠内で検知されなくなった場合、前記利用者がベッドを離れたことを示す離床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、
前記検知部により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれていない場合、前記利用者がベッドに戻ったことを示す帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、
前記検知部により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれている場合、前記帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知する処理を中止する、
通知制御システム。
【請求項2】
前記通知制御装置は、
前記医療従事者の前記無線IDを管理する識別情報管理部と、
前記情報受信部が受信する前記利用者の情報に含まれる前記医療従事者の無線IDを用いて、前記ベッドの利用者に対する前記医療従事者の対応を可視化する情報を提供する第1の情報提供部と、
を有する、請求項1に記載の通知制御システム。
【請求項3】
前記利用者の情報は、前記ベッド及び前記ベッドの周辺の音声を収集した音声データを含み、
前記通知制御装置は、
前記利用者の情報に含まれる前記温度画像データと前記音声データとを用いて、前記音声データに含まれる音の種類を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果と、前記ベッド及び前記ベッドの周辺の温度を示す画像とを含む情報を提供する第2の情報提供部と、
を有する、請求項1又は2に記載の通知制御システム。
【請求項4】
前記通知制御装置は、
前記ベッドの位置の変化に応じて、前記ベッドの周辺に予め設定された1つ以上の検知領域の位置を補正する補正部と、
前記補正部が前記検知領域の位置を補正できない場合、前記ベッド又は前記ベッドの周辺の表示部に、前記検知領域の位置を補正できないことを示す表示情報を表示させる表示制御部と、
を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通知制御システム。
【請求項5】
前記情報収集装置は、前記ベッド及び前記ベッドの周辺の音声データを取得する音声データ取得部を有する、請求項3に記載の通知制御システム。
【請求項6】
前記情報収集装置は、前記ベッド又は前記ベッドの周辺に前記医療従事者がいるとき、前記ベッド又は前記ベッドの周辺に前記医療従事者がいることを示す表示情報を表示する表示部を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通知制御システム。
【請求項7】
前記情報収集装置は、前記補正部が前記検知領域の位置を補正できない場合、前記検知領域の位置を補正できないことを示す表示情報を表示する前記表示部を有する、請求項4に記載の通知制御システム。
【請求項8】
情報収集装置と、前記情報収集装置とネットワークを介して通信可能な通知制御装置とを含む通知制御システムにおける通知制御方法であって、
前記情報収集装置が、
施設内に設置されたベッド、及び前記ベッドの周辺の温度画像データを撮影する処理と、
前記ベッド、及び前記ベッドの周辺にある無線タグから無線IDを受信するID受信処理と、
前記温度画像データを含む、前記ベッドの利用者の情報であって、前記ID受信処理で前記無線IDを受信した場合、前記無線IDをさらに含む利用者の情報を、前記通知制御装置に送信する処理と、
を実行し、
前記通知制御装置が、
前記利用者の情報を受信する処理と、
前記利用者の情報に含まれる前記温度画像データを用いて、所定の温度であり、かつ頭部の大きさに相当する領域を検出することにより、前記利用者の頭部を検知する検知処理と、
前記検知処理による検知結果に基づいて、前記利用者の状態を示す通知情報を所定の通知先に通知する通知制御処理と、
を実行し、
前記通知制御処理は、
前記検知処理により、前記ベッド上で検知されていた前記頭部が前記ベッドの周辺に設けられた落下検知領域で検知され、かつ所定の時間内に前記情報収集装置の撮影範囲内に設定された検知枠内で検知されなくなった場合、前記利用者がベッドを離れたことを示す離床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、
前記検知処理により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれていない場合、前記利用者がベッドに戻ったことを示す帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、
前記検知処理により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれている場合、前記帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知する処理を中止する、
通知制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の通知制御方法を通知制御システムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知制御システム、通知制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設や介護施設等の施設において、患者等の呼出操作等に応じて医療従事者を呼出すことができるナースコールシステムが知られている。
【0003】
また、ベッドが空床であるか否かを検知し、空床である場合には呼出操作に応じてベッドメイキングの終了を通知すると共に、空床でない場合には呼出操作に応じてナースコールを通知するナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる医療施設や介護施設等の施設においては、ベッドの周辺に設けられたサーモカメラ等で撮影した温度画像データを用いて、ベッドの利用者(患者等)の離床、帰床等の状況を検知し、利用者の状況をナースコールシステム等に通知するシステムも考えられる。例えば、温度画像データを用いて、利用者に対応する温度、及び大きさの領域を検知して、利用者の状況を推定し、推定結果に基づいて利用者の状況をナースコールシステムに通知することができる。これにより、例えば、ベッドの利用者のプライバシーを確保すること、及び消灯後の夜間に利用者の状況を検知すること等を容易にする通知制御システムを実現することができる。
【0005】
しかし、この方法では、利用者がベッドから離床した後に、例えば、医療従事者がベッド、又はベッドの周辺に来訪した場合、利用者がベッドに帰床したと誤検知され、ナースシステムに通知されてしまう場合がある。
【0006】
また、このような誤検知を防ぐために、例えば、人物に対応する温度、及び大きさの領域がベッドの周辺で検知された後、ベッドに移動し所定の時間を経過した後に、利用者がベッドに帰床したと判断することも考えられる。しかし、このように、時間をかけて利用者の状況を判断する方法では、万が一、ベッドの利用者に、事故等が発生した場合に、ナースコールシステムへの通知が遅れてしまうという問題がある。
【0007】
このように、所定の撮影範囲で撮影された温度画像データに基づいて利用者の状況を所定の通知先に通知する通知制御装置において、利用者の状況を示す通知の遅延を抑制しつつ、誤通知を低減させることには困難を伴っていた。
【0008】
本発明の一実施形態は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、所定の撮影範囲で撮影された温度画像データに基づいて利用者の状況を所定の通知先に通知する通知制御装置において、利用者の状況を示す通知の遅延を抑制しつつ、誤通知を低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る通知制御システムは、情報収集装置と、前記情報収集装置とネットワークを介して通信可能な通知制御装置とを含む通知制御システムであって、前記情報収集装置は、施設内に設置されたベッド、及び前記ベッドの周辺の温度画像データを撮影する画像データ取得部と、前記ベッド、及び前記ベッドの周辺にある無線タグから無線IDを受信するID受信部と、前記温度画像データを含む、前記ベッドの利用者の情報であって、前記ID受信部が前記無線IDを受信した場合、前記無線IDをさらに含む利用者の情報を、前記通知制御装置に送信する情報送信部と、を有し、前記通知制御装置は、前記利用者の情報を受信する情報受信部と、前記利用者の情報に含まれる前記温度画像データを用いて、所定の温度であり、かつ頭部の大きさに相当する領域を検出することにより、前記利用者の頭部を検知する検知部と、前記検知部による検知結果に基づいて、前記利用者の状態を示す通知情報を所定の通知先に通知する通知制御部と、を有し、前記通知制御部は、前記検知部により、前記ベッド上で検知されていた前記頭部が前記ベッドの周辺に設けられた落下検知領域で検知され、かつ所定の時間内に前記情報収集装置の撮影範囲内に設定された検知枠内で検知されなくなった場合、前記利用者がベッドを離れたことを示す離床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、前記検知部により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれていない場合、前記利用者がベッドに戻ったことを示す帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知し、前記検知部により、前記検知枠内で検知されていなかった前記頭部が前記落下検知領域で検知され、かつ前記利用者の情報に医療従事者の前記無線IDが含まれている場合、前記帰床検知情報を含む前記通知情報を前記所定の通知先に通知する処理を中止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、所定の撮影範囲で撮影された温度画像データに基づいて利用者の状況を所定の通知先に通知する通知制御装置において、利用者の状況を示す通知の遅延を抑制しつつ、誤通知を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る通知制御システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係るベッド、及び情報収集装置の配置の例を示す図である。
図3】一実施形態に係る検知領域の例を示す図である。
図4】一実施形態に係る検知パターンの例を示す図である。
図5】一実施形態に係る通知制御装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図6】一実施形態に係る情報収集装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る通知制御システムの機能構成の例を示す図である。
図8】一実施形態に係る通知制御装置が管理する情報の例を示す図である。
図9】第1の実施形態に係る通知制御処理の例を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係る表示制御処理の例を示すシーケンス図である。
図11】第1の実施形態に係る対応情報の提供処理の例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る音の判別処理の例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施形態に係る表示画面の例を示す図である。
図14】第3の実施形態に係る検知枠の補正処理について説明するための図である。
図15】第3の実施形態に係る検知枠の補正処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0013】
<システムの構成>
図1は、一実施形態に係る通知制御システムのシステム構成の例を示す図である。通知制御システム100は、医療施設や介護施設等の施設の一例である入院病棟110に設置された複数の情報収集装置102a~102f、及びネットワーク104を介して複数の情報収集装置102a~102fと通信可能に接続された通知制御装置101を含む。
【0014】
なお、以下の説明の中で、複数の情報収集装置102a~102fのうち、任意の情報収集装置を示す場合、「情報収集装置102」を用いる。また、図1に示す情報収集装置102の数は一例であり、情報収集装置102の数は1つ以上の他の数であって良い。
【0015】
情報収集装置102は、被写体の温度を示す温度画像データを撮影するサーモカメラ、及びBluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEと呼ぶ)タグから送信される識別情報を受信する近距離無線モジュール等を有している。なお、情報収集装置102は、病床見守りカメラ、又は単にカメラ等と呼ばれる場合もある。
【0016】
サーモカメラは、測定対象物からの赤外線放射を画像化して温度に換算し、温度の分布を色等によって可視化する撮影装置である。なお、サーモカメラは、サーモグラフィカメラ、サーモグラフィ、サーモビジョン、サーモビューワ等と呼ばれる場合もある。
【0017】
図1の例では、複数の情報収集装置102a~102fは、病室A~Fに設けられた複数のベッド103a~103fの各々に対応して、各病室の壁、又は天井等に設置されている。例えば、情報収集装置102aは、病室Aに設けられたベッド103aに対応する壁面に設置され、ベッド103a、及びベッド103aの周辺(所定の撮影範囲)における被写体の温度を示す温度画像データを撮影することができるように設置されている。
【0018】
情報収集装置102aは、サーモカメラを用いて、ベッド103a、及びベッド103aの周辺における温度画像データを、所定のフレームレート(例えば、5fps~1fps等)で撮影する。
【0019】
また、本実施形態では、施設に勤務する医療従事者(例えば、医師、看護師、介護士等)は、当該医療従事者を識別する識別情報を送信するBLEタグを所持しているものとする。情報収集装置102aは、近距離無線モジュールを用いて、施設に勤務する医療従事者(以下、単に「医療従事者」と呼ぶ)が所持しているBLEタグから送信される識別情報(以下、無線IDと呼ぶ)を受信する。
【0020】
なお、医療従事者には、施設に勤務する様々な職員が含まれていても良い。また、サーモカメラが取得する温度画像データは、所定の時間間隔(例えば、10秒~60秒間隔等)で撮影される静止画データであっても良い。また、近距離無線モジュールは、BLEタグに代えて、RFID(Radio Frequency Identifier)のアクティブタグ等、BLEタグ以外の無線タグから送信される無線IDを受信するものであっても良い。
【0021】
上記の構成において、情報収集装置102aは、撮影した温度画像データを含む利用者の情報を、ネットワーク104を介して通知制御装置101に送信する。この利用者の情報には、情報収集装置102aや、ベッド103aを特定するための識別情報(例えば、IPアドレス、装置ID、ベッドID等)が含まれる。また、情報収集装置102aが無線IDを受信した場合、利用者の情報には、受信した無線IDが含まれる。
【0022】
同様にして、他の情報収集装置102b~102fも、対応するベッド、及びベッドの周辺を撮影した温度画像データ、受信した無線ID等を含む利用者の情報を、ネットワーク104を介して通知制御装置101に送信する。
【0023】
通知制御装置101は、コンピュータの構成を有する情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムである。通知制御装置101は、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信し、受信した利用者の情報に基づいて、ベッドを利用する利用者の状態を示す通知情報を、例えば、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0024】
例えば、通知制御装置101は、利用者の情報に含まれる温度画像データを用いて、撮影範囲内に予め設定された1つ以上の検知領域における所定のパターンの温度変化を検知する。また、通知制御装置101は、所定のパターンの温度変化が検知された場合、検知された温度変化に対応する通知内容(例えば、利用者の状態を示す情報、及び温度画像データ等)を含む通知情報を、ナースコールシステム121に通知する。
【0025】
また、本実施形態に係る通知制御装置101は、利用者の情報に、予め定められた無線IDが含まれているか否かに応じて、通知情報をナースコールシステム121に通知する処理を中止する機能を有している。
【0026】
例えば、通知制御装置101は、利用者の情報に含まれる温度画像データを用いて、ベッド103の利用者が離床したことを検知した後、利用者がベッド103に戻った場合、利用者が戻ったことを示す帰床情報を所定の通知先に通知する。ただし、温度画像データでは、戻ってきた人物がベッドの利用者であるか、医療従事者等であるかを判断することは困難である。
【0027】
そこで、一例として、通知制御装置101は、受信した利用者の情報に、予め登録された、医療従事者や施設の職員の無線IDが含まれている場合、あるいは施設外からの者(例えば清掃員などのように、契約している出入業者の者など)の無線IDが含まれている場合、戻ってきた人物が医療従事者等であると判断し、通知情報をナースコールシステム121に通知する処理を中止する。このような処理とすることで、例えば、ベッドの利用者が車いすに乗って施設の職員と一緒に戻るなどの場合や、医療従事者等によるベッドメイキングなどの場合に、誤ってナースコールシステム121への通知がされてしまうことを低減することができる。
【0028】
別の一例として、通知制御装置101は、受信した利用者の情報に、ベッドの利用者の無線IDが含まれていない場合に、戻ってきた人物がベッドの利用者ではないと判断し、通知情報をナースコールシステム121に通知する処理を中止するものであっても良い。
【0029】
さらに別の一例として、利用者が食事などで用いるトレイや容器などにBLEタグを取り付けておき、後述のベッド上の所定の領域で利用者が検知されたとしても、受信した利用者の情報に、当該BLEタグの無線IDが含まれている場合には、通知情報をナースコールシステム121に通知する処理を中止するようにしても良い。
【0030】
ここでは、通知制御装置101が、利用者の情報に、予め登録された、医療従事者、施設の職員、施設外からの者等の無線IDが含まれている場合、通知情報をナースコールシステム121に通知する処理を中止するものとして、以下の説明を行う。なお、予め登録された医療従事者、施設の職員、施設外からの者等の無線ID、ベッドの利用者の無線ID等は、予め定められた識別情報の一例である。
【0031】
ナースコールシステム121は、コンピュータの構成を有する情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムであり、通知制御装置101が通知情報を通知する所定の通知先の一例である。ナースコールシステム121は、ベッド103を利用する利用者(例えば、患者、被介護者等)による呼出情報を、ナースステーションA~Cに設置された表示装置122a~122cや、看護師や介護士等の職員が所持する情報端末123等に表示させる。
【0032】
また、本実施形態に係るナースコールシステム121は、図1に示すように、ネットワーク104を介して通知制御装置101に接続され、通知制御装置101から通知される通知情報を受信する。さらに、ナースコールシステム121は、受信した通知情報に基づいて、利用者の状況を通知する表示画面を、表示装置122a~122cや、情報端末123等に表示させることができる。
【0033】
複数の表示装置122a~122cは、ナースステーション等に設けられた表示装置であり、ナースコールシステム121から送信される表示画面を表示する。
【0034】
情報端末123は、看護師や介護士等の職員が所持するスマートフォン、タブレット端末、ノートPC等の情報端末である。情報端末123は、例えば、無線通信によりナースコールシステム121と通信が可能であり、所定のアプリケーションを実行することにより、ナースコールシステム121から送信される表示画面を表示することができる。
【0035】
(ベッド、及びカメラの配置の例)
図2は、一実施形態に係るベッド、及びカメラの配置の例を示す図である。本実施形態は、例えば、図2(a)、(b)に示すように、1つの病室111内に複数のベッド103が設けられている場合でも適用することができる。
【0036】
例えば、図2(a)に示すように、情報収集装置102は、情報収集装置102に対応するベッド103、及びベッドの周辺の画像データを取得することができるように、病室111の壁面等に設置されている。なお、情報収集装置102は、病室111の天井に設置されているものであっても良い。
【0037】
図2(b)は、病室111を上方から見た状態を示している。情報収集装置102は、サーモカメラを用いて、情報収集装置102に対応するベッド103、及びベッド103の周辺を含む所定の撮影範囲201の温度画像データを撮影することができるように設置されている。
【0038】
また、情報収集装置102は、近距離無線モジュールを用いて、ベッド103、及びベッド103の周辺を含む通信範囲202内にあるBLEタグが送信する電波を受信し、電波に含まれる無線IDを取得することができるように、調整されている。
【0039】
なお、医療従事者は、それぞれ、医療従事者を識別する無線IDを送信するBLEタグを所持している。BLEタグは、送信する電波の強弱で通信距離を制御することができ、例えば、通信距離が3m~4m程度になるように送信する電波の強度が設定されている。
【0040】
(検知領域の例)
図3は、一実施形態に係る検知領域の例を示す図である。通知制御装置101は、情報収集装置102の撮影範囲201内に予め設定された、1つ以上の検知領域を管理している。
【0041】
例えば、情報収集装置102の撮影範囲201内には、図3(a)に示すように、複数の小領域302を含む検知枠301が設定されている。図3(a)の例では、検知枠301内には、列A~E、及び行1~5で識別される25個の小領域302が設けられている。
【0042】
また、通知制御装置101は、図3(b)に示すように、25個の小領域302を、複数の検知領域と対応づけて記憶した領域情報310を管理している。例えば、図3(b)の例では、注意領域Bは、小領域の位置を示す「C3」により表される。また、注意領域Cは、複数の小領域の位置を示す「B2、C2」、及び「B4、C4」により表される。これにより、通知制御装置101は、1つ以上の検知領域における温度の変化を容易に管理することができる。
【0043】
(検知パターンの例)
図4は、一実施形態に係る検知パターンの例を示す図である。通知制御装置101は、情報収集装置102から受信する利用者の情報に含まれる温度画像データを用いて、撮影範囲201内に設定された1つ以上の検知領域における所定のパターンの温度変化を検知する。
【0044】
好適な一例として、通知制御装置101は、ベッド103を利用する利用者401の位置を、利用者401の頭部402の温度によって検知する。利用者401の身体のうち頭部402は、例えば、衣服や毛布等によって覆われることが少なく、また、顔の部分は毛髪の影響も受け難いため、利用者401の位置を検知するために好適である。
【0045】
例えば、利用者の情報に含まれる温度画像データにおいて、図4(a)に示されるように、利用者401の頭部402は、他の部分とは異なる温度(他の部分とは異なる色)で表される。従って、通知制御装置101は、温度画像データから、所定の温度(例えば、30℃~40℃等)であり、かつ頭部402の大きさに相当する領域を検出することにより、利用者401の位置を検知することができる。
【0046】
図4(a)の例では、検知パターンの一例として、利用者401の頭部402が、図3(a)、(b)で定められた注意領域A410に移動した場合の検知パターンの例を示している。利用者401の頭部402が注意領域A410に移動した場合、通知制御装置101は、例えば、利用者401がベッド103から落下する危険があると判断する。この場合、通知制御装置101は、利用者401がベッドから落下する危険があることを示す通知情報を、例えば、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。この通知情報には、利用者401がベッド103から落下する恐れがあることを示す落下注意情報、ベッド103を識別するベッドID、危険と判断した温度画像データ、及び現在の温度画像データ等が含まれる。
【0047】
図4(b)は、検知パターンの別の一例として、利用者401が、ベッド103から落下した場合の検知パターンの例を示している。例えば、図3(a)、(b)で定められた注意領域A~Cのいずれかで検知されていた利用者401の頭部402が、落下検知領域420に移動し、所定の時間を超えて落下検知領域420に留まっているものとする。この場合、通知制御装置101は、利用者401がベッド103から落下したと判断する。この場合、通知制御装置101は、利用者401がベッドから落下したことを示す落下検知情報を含む通知情報を、例えば、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0048】
図4(c)は、検知パターンの別の一例として、ベッド103を利用する利用者401が、ベッド103を離れる離床を検知する検知パターンの一例を示している。例えば、ベッド103上で検知されていた利用者401の頭部402が、落下検知領域420で検知され、所定の時間内に検知枠301内で検知されなくなった場合、通知制御装置101は、利用者が離床したと判断する。この場合、通知制御装置101は、利用者401がベッド103を離れたことを示す離床検知情報を含む通知情報を、例えば、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0049】
図4(d)は、検知パターンの別の一例として、ベッド103を利用する利用者401が、ベッド103に戻ったこと(以下、帰床と呼ぶ)を検知する検知パターンの一例を示している。例えば、検知枠301内で検知されていなかった利用者401が、ベッド103、又はベッド103の周辺に戻ってきたものとする。この場合、例えば、図4(d)に示すように、利用者401の頭部402が、落下検知領域420で検知される。ただし、これだけでは、落下検知領域420で検知された人物が、ベッド103の利用者401であるか、施設の職員であるかを、通知制御装置101は判断することができない。
【0050】
そこで、通知制御装置101は、情報収集装置102から受信した利用者の情報に医療従事者の無線IDが含まれていない場合、落下検知領域420で検知された人物がベッド103の利用者401であると判断する。また、情報収集装置102は、利用者401がベッド103に戻ったことを示す帰床検知情報を含む通知情報を、例えば、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。一方、通知制御装置101は、情報収集装置102から受信した利用者の情報に医療従事者の無線IDが含まれている場合、落下検知領域420で検知された人物が医療従事者であると判断し、通知情報を所定の通知先へ送信する処理を中止する。
【0051】
これにより、ベッド103に戻った利用者401が、例えば、手や足を滑らせて図4(b)に示すように、落下検知領域420で倒れている場合、通知制御装置101は、落下検知領域420に利用者401がいることを、直ちに判断することができる。また、通知制御装置101は、医療従事者が落下検知領域420で作業等をしているとき等には、通知情報を所定の通知先へ送信する処理を中止するので、通知先への誤通知を低減させることができる。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、所定の撮影範囲201で撮影された温度画像データに基づいて利用者の状況を所定の通知先に通知する通知制御装置101において、利用者の状況を示す通知の遅延を抑制しつつ、誤通知を低減させることができる。
【0053】
<ハードウェア構成>
続いて、通知制御装置101、及び情報収集装置102のハードウェア構成について説明する。
【0054】
(通知制御装置のハードウェア構成)
図5は、一実施形態に係る通知制御装置のハードウェア構成の例を示す図である。通知制御装置101は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、RAM(Random Access Memory)502、ROM(Read Only Memory)503、ストレージ504、ネットワークI/F(Interface)505、入力デバイス506、表示デバイス507、外部I/F508、及びバス509等を有する。
【0055】
CPU501は、ROM503やストレージ504等に格納されたプログラムやデータをRAM502上に読み出し、処理を実行することで、通知制御装置101の各機能を実現する演算装置である。RAM502は、CPU501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM503は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
【0056】
ストレージ504は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、例えば、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、各種のデータ等を記憶する。
【0057】
ネットワークI/F505は、通知制御装置101をネットワーク104に接続するための通信インタフェースである。入力デバイス506は、マウス等のポインティングデバイスや、キーボード等の入力装置であり、通知制御装置101に各種の操作を入力ために用いられる。表示デバイス507はディスプレイ等の表示装置であり、通知制御装置101による処理結果等を表示するために用いられる。
【0058】
外部I/F508は、外部装置を接続するためのインタフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体等が含まれる。通知制御装置101は、例えば、記録媒体に所定のプログラムを格納し、この記録媒体に格納されたプログラムを外部I/F508を介して、通知制御装置101にインストールすることにより、所定のプログラムが実行可能となる。バス509は、上記の各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0059】
(情報収集装置のハードウェア構成)
図6は、一実施形態に係る情報収集装置のハードウェア構成の例を示す図である。情報収集装置102は、図6(a)に示すように、CPU601、メモリ602、ネットワークI/F603、近距離無線モジュール604、サーモカメラ605、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ606、マイクロフォンアレイ607、LED(Light Emitting Diode)608、及びバス609等を有する。
【0060】
CPU601は、メモリ602に格納されたプログラムを実行することにより、情報収集装置102の各機能を実現する演算装置である。メモリ602は、例えば、RAM、ROM、フラッシュROM等の記憶装置が含まれる。ネットワークI/F603は、情報収集装置102をネットワーク104に接続するための通信インタフェースである。
【0061】
近距離無線モジュール604は、例えば、BLE通信等の近距離無線通信により、BLEタグ等の無線タグと通信するための、アンテナ、無線回路、及び通信制御部等を含む。
【0062】
サーモカメラ605は、図1の説明の中で述べた、測定対象物からの赤外線放射を画像化して温度に換算し、温度の分布を色等によって可視化する撮影装置である。サーモカメラ605は、例えば、図6(b)に示すように、ベッド103に対向するフロントパネル610等に設けられ、ベッド103、及びベッド103の周辺を含む撮影範囲201内を撮影して、温度画像データを出力する。
【0063】
CMOSカメラ606は、一般的な写真データを撮影する撮影装置である。CMOSカメラ606は、例えば、図6(b)に示すように、ベッド103に対向するフロントパネル610等に設けられ、ベッド103、及びベッド103の周辺を含む撮影範囲201内の写真データを撮影して、撮影した写真データを出力する。
【0064】
マイクロフォンアレイ607は、複数のマイクを用いて、所定の範囲の音声を選択的に取得する。マイクロフォンアレイ607は、例えば、図6(b)に示すように、ベッド103に対向するフロントパネル610等に設けられた2つ以上のマイクを含み、ベッド103、及びベッド103の周辺の音声データを選択的に取得する。一例として、マイクロフォンアレイ607は、図2に示した、近距離無線モジュールの通信範囲202と同様の範囲内の音声を取得する。
【0065】
LED608は、CPU601からの制御に従って発光する発光素子である。LED608は、情報収集装置102が備える表示デバイスの一例であり、例えば、CPU601から指定された色、発光パターンで点滅又は点灯する。バス609は、上記の各構成要素に接続され、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0066】
<機能構成>
続いて、通知制御システム100の機能構成について説明する。
【0067】
図7は、一実施形態に係る通知制御システムの機能構成の例を示す図である。通知制御システム100は、ネットワーク104に接続された通知制御装置101、及び1つ以上の情報収集装置102a、102b、・・・等を含む。また、通知制御装置101は、例えば、ネットワーク104を介して、所定の通知先の一例であるナースコールシステム121と通信可能に接続されている。なお、図7において、情報収集装置102bは、情報収集装置102aと同様の機能構成を有しているものとする。
【0068】
(通知制御装置の機能構成)
通知制御装置101は、CPU501で所定のプログラムを実行することにより、例えば、通信部701、情報受信部702、検知部703、通知制御部704、ID管理部705、対応情報提供部706、表示制御部707、音声判別部708、音声情報提供部709、補正部710、及び記憶部711等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0069】
通信部701は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラム、及びネットワークI/F505等によって実現され、通知制御装置101をネットワーク104に接続して、情報収集装置102、ナースコールシステム121等と通信を行う。
【0070】
情報受信部702は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、1つ以上の情報収集装置102から、ネットワーク104を介して送られてくる利用者の情報(被写体の情報)を受信して、記憶部711に記憶する。
【0071】
この利用者の情報には、前述したように、情報収集装置102、ベッド103等を識別する情報と、ベッド103及びベッド103周辺の撮影範囲201を撮影した温度画像データが含まれる。また、情報収集装置102が無線IDを受信した場合、利用者の情報には、受信した無線IDがさらに含まれる。
【0072】
また、必要に応じて、利用者の情報には、音声データ取得部725が、ベッド103、及びベッド103の周辺で取得した音声データが含まれる。
【0073】
検知部703は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現される。検知部703は、情報受信部702が記憶部711に記憶した温度画像データを用いて、撮影範囲201内に予め設定された1つ以上の検知領域における所定の検知パターンの温度変化を検知する。
【0074】
例えば、通知制御装置101は、図8(a)に示すような検知パターン情報712を、記憶部711等に予め記憶している。また、検知部703は、例えば、図3(a)、(b)で説明した、検知枠301、落下検知領域、注意領域A~C等の検知領域において、検知パターン情報712に設定されている検知パターンの温度変化を検知する。
【0075】
図8(a)は、一実施形態に係る検知パターン情報712の一例のイメージを示す図である。図8(a)の例では、検知パターン情報712には、項目として「検知パターン」、「通知内容」、及び「温度変化」等の情報が含まれる。
【0076】
「検知パターン」は、温度変化のパターンを示す検知パターンを識別するための名前、番号、又は識別情報等の情報である。「通知内容」は、「検知パターン」に対応する「温度変化」が検知されたときに、所定の通知先に通知する通知内容を示す情報である。「温度変化」は、「検知パターン」に対応する、検知枠301、落下検知領域、注意領域A~C等の検知領域で検知された温度の変化を示す情報である。
【0077】
例えば、図8(a)において、検知パターン「パターン6」に対応する「温度変化」は、検知対象(例えば、利用者401の頭部402)の検知枠301外から検知枠301内への移動、であることが示されている。検知部703は、例えば、検知枠301、落下検知領域、注意領域A~Cにおける温度の変化を検知し、検知対象が検知枠301外から、検知枠301内へ移動した場合、「パターン6」(所定の検知パターン一例)の温度変化を検知する。
【0078】
通知制御部704は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現される。通知制御部704は、情報受信部702が受信した利用者の情報(被写体の情報)に基づいて、ベッド103の利用者401の状態(被写体の状態)を示す通知情報を、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0079】
例えば、通知制御部704は、検知部703が所定の検知パターンの温度変化を検知し、かつ利用者の情報(被写体の情報)に予め定められた無線IDが含まれていない場合、「検知パターン」に対応する「通知内容」を含む通知情報を、所定の通知先に通知する。ここで、予め定められた無線IDは、施設に勤務する医療従事者の無線IDである。
【0080】
例えば、図8(a)に示す検知パターン情報712において、「パターン6」の検知パターンの温度変化が検知され、かつ利用者の情報には、予め定められた無線IDが含まれていないものとする。この場合、通知制御部704は、検知パターン情報712の検知パターン「パターン6」に対応する「通知内容」(利用者がベッドに戻ったことを示す帰床情報と、ベッド、及びベッドの周辺の温度画像データ)を含む通知情報を、所定の通知先に通知する。
【0081】
一方、通知制御部704は、検知部703が所定の検知パターンの温度変化を検知し、かつ利用者の情報に予め定められた無線IDが含まれている場合、「検知パターン」に対応する「通知内容」を含む通知情報を、所定の通知先に通知する処理を中止する。
【0082】
ID管理部(識別情報管理部)705は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、施設に勤務する医療従事者を識別する無線IDを記憶したID管理情報713を、記憶部711等に記憶して管理する。
【0083】
図8(b)は、一実施形態に係るID管理情報713の一例のイメージを示す図である。図8(b)の例では、ID管理情報713には、項目として、「無線ID」、「職種」、「所属」、「名前」等の情報が含まれる。
【0084】
「無線ID」は、施設に勤務する医療従事者が所持するBLEタグが送信する電波に含まれる識別情報である。「職種」は、「無線ID」に対応する医療従事者の職種を示す情報である。「所属」は、「無線ID」に対応する医療従事者が所属する所属先を示す情報である。「名前」は、「無線ID」に対応する医療従事者の名前等を示す情報である。
【0085】
このようなID管理情報713を用いて、通知制御装置101は、ベッド103、及びベッド103の周辺で受信された無線IDが、ID管理情報713に登録されている場合、施設の職員、医療従事者等がベッド103の近くにいると判断することができる。また、通知制御装置101は、ベッド103、及びベッド103の周辺で受信された無線IDが、ID管理情報713に登録されていない場合、施設の職員、医療従事者等がベッド103の近くにいないと判断することができる。
【0086】
対応情報提供部(第1の情報提供部)706は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現される。対応情報提供部706は、情報受信部702が受信する利用者の情報(被写体の情報)に含まれる無線IDを用いて、ベッド103の利用者401に対する施設の職員、医療従事者等の対応を可視化する情報を提供する。
【0087】
例えば、対応情報提供部706は、各医療従事者の無線IDが各ベッド103で受信された時間を集計し、各医療従事者が、各ベッド103の利用者にどの程度の時間をかけて対応したのかを、表、グラフ等で可視化した情報を出力、又は表示する。
【0088】
なお、対応情報提供部706が提供する情報には、ベッド103、及びベッド103の周辺を撮影した温度画像データが含まれていても良い。これにより、例えば、ベッド103の利用者401が、暴力や虐待等の被害を受けた場合、ベッド103の周辺にいた職員、及びその対応状況が可視化されるので、医療従事者による暴力や虐待等を抑止する効果が期待できる。
【0089】
表示制御部707は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、情報収集装置102が備えるLED608等の表示デバイスによる表示を制御する。
【0090】
例えば、表示制御部707は、情報受信部702が受信した利用者の情報に含まれる無線IDにより、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいるかを判断する。また、表示制御部707は、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者等がいる場合、一例として、ベッド103、又はベッド103の周辺に医療従事者がいることを示す情報を、情報収集装置102に通知する。別の一例として、表示制御部707は、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者等がいる場合、LED608を緑色点滅することを指示する制御情報を、情報収集装置102に通知しても良い。
【0091】
これに応じて、情報収集装置102は、ベッド103、又はベッド103の周辺に医療従事者がいる場合、例えば、LED608を緑色点滅させる。なお、LED608の緑色点滅は、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいることを示す表示情報の一例である。
【0092】
一方、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいない場合、表示制御部707は、一例として、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいないことを示す情報を、情報収集装置102に通知する。また、別の一例として、表示制御部707は、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいない場合、LED608を緑色点滅させないことを指示する制御情報を、情報収集装置102に通知しても良い。
【0093】
これに応じて、情報収集装置102は、ベッド103、又はベッド103の周辺に医療従事者がいない場合、LED608を緑色点滅させない。
【0094】
音声判別部(判別部)708は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、情報受信部702が受信した利用者の情報に含まれる温度画像データと、音声データとを用いて、音声データに含まれる音の種類を判別する。
【0095】
例えば、音声判別部708は、音声データの音の大きさを算出して、音の大きさが第1の閾値以上である場合、温度画像データを解析し、ベッド103を利用する利用者の移動量(例えば、利用者401の頭部402の移動量)を算出する。
【0096】
また、音声判別部708は、例えば、音声データの音の大きさが第1の閾値以上であり、かつ利用者の移動量が第2の閾値以上である場合、音の種類を、例えば、利用者のうめき声であると判断する。
【0097】
一方、音声判別部708は、例えば、音声データの音の大きさが第1の閾値以上であり、かつ利用者の移動量が第2の閾値未満である場合、音の種類を、例えば、利用者のいびきであると判断する。
【0098】
なお、うめき声、及びいびきは、音声判別部708が判別する音の種類の一例である。音声判別部708は、例えば、音声データに含まれる音の種類が、所定の通知先に通知すべき音であるか否かを判別するものであっても良い。
【0099】
音声情報提供部(第2の情報提供部)709は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、音声判別部708による判別結果を示す情報を出力、又は表示する。
【0100】
好ましくは、音声情報提供部709が提供する情報には、ベッド103、又はベッド103の周辺を撮影した温度画像データが含まれる。好ましくは、音声情報提供部709は、ユーザの操作等に応じて、ベッド103、又はベッド103の周辺で取得した音声を出力することができる。
【0101】
補正部710は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラムによって実現され、ベッド103の位置の変化に応じて、撮影範囲201内に設定された検知枠301、落下検知領域、及び注意領域A~C等の位置を補正する。
【0102】
例えば、情報収集装置102は、必要に応じて、CMOSカメラ606でベッド103を撮影した画像データ(以下、写真データと呼ぶ)を、通知制御装置101に送信することができる。また、補正部710は、受信した写真データを用いて、ベッド103の位置(例えば、輪郭等)を特定し、ベッド103の位置に合わせて、検知枠301、落下検知領域、及び注意領域A~C等の位置を補正する。
【0103】
好ましくは、補正部710が、検知枠301、落下検知領域、及び注意領域A~C等の位置を補正できない場合、表示制御部707は、情報収集装置102のLED608を、例えば、赤色点滅させる。この場合、施設の職員、医療従事者等は、ベッド103の位置が適正でないと判断し、ベッド103を正しい位置に調整する。
【0104】
この後、補正部710は、再び、検知枠301、落下検知領域、及び注意領域A~C等の位置を補正し、補正できた場合、情報収集装置102のLED608の赤色点滅を終了させる。
【0105】
記憶部711は、例えば、図5のCPU501で実行されるプログラム、及びストレージ504、RAM502等によって実現され、前述した検知パターン情報712、ID管理情報713、及び領域情報310等を記憶する。
【0106】
(情報収集装置の機能構成)
情報収集装置102は、例えば、CPU601で所定のプログラムを実行することにより、通信部721、画像データ取得部722、ID受信部723、情報送信部724、音声データ取得部725、写真データ取得部726、及び表示部727等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部はハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0107】
通信部721は、例えば、図6のCPU601で実行されるプログラム、及びネットワークI/F603等によって実現され、情報収集装置102をネットワーク104に接続して、通知制御装置101等と通信を行う。
【0108】
画像データ取得部722は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、図6のサーモカメラ605を用いて、ベッド103、及びベッド103の周辺の温度画像データを撮影する。
【0109】
ID受信部(識別情報受信部)723は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、図6の近距離無線モジュール604を用いて、ベッド103、及びベッド103の周辺にあるBLEタグ等から、無線IDを受信する。
【0110】
情報送信部724は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、画像データ取得部722が撮影した温度画像データを含む利用者の情報を、通知制御装置101に送信する。
【0111】
この利用者の情報には、前述したように、情報収集装置102やベッド103等を識別する情報が含まれる。また、ID受信部723が無線IDを受信した場合、利用者の情報には、ID受信部723が受信した無線IDが含まれる。さらに、情報送信部724は、必要に応じて、音声データ取得部725が取得した音声データ、写真データ取得部726が取得した写真データ等を、例えば、利用者の情報に含めて、通知制御装置101に送信することができる。
【0112】
音声データ取得部725は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、図6のマイクロフォンアレイ607を用いて、ベッド103、及びベッド103の周辺の音声データを取得する。
【0113】
写真データ取得部726は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、図6のCMOSカメラ606を用いて、ベッド103、及びベッド103の周辺の写真データを撮影する。
【0114】
表示部727は、例えば、CPU601で実行されるプログラムによって実現され、図6のLED608を、所定の色、点滅パターン等で発光させて、所定の情報を表示する。例えば、表示部727は、ベッド103、及びベッド103の周辺に、施設の職員、利用従事者等がいる場合、一例として、LED608を緑色点滅させる。また、表示部727は、通知制御装置101の補正部710が、検知枠301の位置を補正できないとき、一例として、LED608を赤色点滅させる。
【0115】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る通知制御方法の処理の流れについて説明する。
【0116】
[第1の実施形態]
(通知制御処理)
図9は、第1の実施形態に係る通知制御処理の例を示すフローチャートである。この処理は、通知制御装置101が、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信したときに実行する通知制御処理の例を示している。
【0117】
なお、ここでは、一例として、情報収集装置102が、ベッド103及びベッド103の周辺を撮影した温度画像データと、ベッド103を識別するベッドIDとを含む利用者の情報を、所定の時間間隔で通知制御装置101に送信しているものとする。また、情報収集装置102は、ID受信部723が無線IDを受信した場合、受信した無線IDを含む利用者の情報を、通知制御装置101に送信するものとする。
【0118】
ステップS901において、通知制御装置101の情報受信部702は、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信する。
【0119】
ステップS902において、情報受信部702は、受信した利用者の情報に含まれる温度画像データを、記憶部711に記憶する。
【0120】
好ましくは、このとき、情報受信部702は、所定の保存期間を経過した温度画像データを、記憶部711から削除する。
【0121】
ステップS903において、通知制御装置101の検知部703は、記憶部711に記憶された温度画像データを用いて、1つ以上の検知領域における所定の検知パターンの温度変化を検知する。
【0122】
例えば、検知部703は、図3(a)、(b)で説明した、検知枠301、落下検知領域、注意領域A~C等の検知領域において、検知パターン情報712に設定されている検知パターンの温度変化を検知する。
【0123】
ステップS904において、通知制御装置101の検知部703は、ステップS903で所定の検知パターンの温度変化が検知されたか否かを判断する。
【0124】
所定の検知パターンの温度変化が検知された場合、通知制御装置101は、処理をステップS905に移行させる。一方、所定の検知パターンの温度変化が検知されない場合、通知制御装置101は、処理を終了させる。
【0125】
ステップS905に移行すると、通知制御装置101の通知制御部704は、情報受信部702が受信した利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれているか否かを判断する。例えば、通知制御部704は、情報受信部702が受信した利用者の情報に、ID管理情報713に登録された無線IDが含まれている場合、利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれていると判断する。
【0126】
利用者の情報に医療従事者の無線IDが含まれていない場合、通知制御部704は、処理をステップS906に移行させる。一方、利用者の情報に医療従事者の無線IDが含まれている場合、通知制御部704は、通知情報を所定の通知先に通知する処理を中止し、処理を終了させる。
【0127】
ステップS906に移行すると、通知制御装置101の通知制御部704は、検知された温度変化に対応する通知情報を、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0128】
上記の処理により、例えば、図4(d)に示すように、ベッド103を利用する利用者401が検知枠301内に移動した場合、通知制御部704は、直ちに、利用者401が帰床したことを示す通知情報を、所定の通知先に通知することができる。
【0129】
一方、図4(d)において、検知枠301内に移動した人物が、医療従事者であった場合、通知制御装置101は、通知情報を所定の通知先に通知する処理を中止することができる。
【0130】
このように、本実施形態によれば、所定の撮影範囲で撮影された温度画像データに基づいて利用者の状況を所定の通知先に通知する通知制御装置101において、利用者の状況を示す通知の遅延を抑制しつつ、誤通知を低減させることができる。
【0131】
(表示制御処理)
図10は、第1の実施形態に係る表示制御処理の例を示すシーケンス図である。この処理は、通知制御装置101が、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信したときに、図9に示した通知制御処理と並行して実行する表示制御処理の例を示している。
【0132】
ステップS1001において、情報収集装置102は、ベッド103、及びベッド103の周辺を撮影した温度画像データを含む利用者の情報を、通知制御装置101に送信する。
【0133】
ステップS1002において、通知制御装置101の表示制御部707は、情報収集装置102から受信した利用者の情報に、医療従事者の無線ID(所定のID)が含まれているか否かを判断する。
【0134】
ここで、利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれている場合、ステップS1011、S1012の処理が実行される。一方、利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれていない場合、ステップS1021、S1022の処理が実行される。
【0135】
ステップS1011において、通知制御装置101の表示制御部707は、一例として、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいることを示す情報を、情報収集装置102に通知する。別の一例として、表示制御部707は、LED608の緑色点滅を指示する制御情報を、情報収集装置102に通知しても良い。
【0136】
ステップS1012において、情報収集装置102の表示部727は、通知制御装置101から受信した、医療従事者がいることを示す情報、又はLED608の緑色点滅を指示する制御情報に応じて、LED608を緑色点滅させる。
【0137】
一方、ステップS1021において、通知制御装置101の表示制御部707は、一例として、ベッド103、又はベッド103の周辺に、医療従事者がいないことを示す情報を、情報収集装置102に通知する。別の一例として、表示制御部707は、LED608の緑色点滅の停止を指示する制御情報を、情報収集装置102に通知しても良い。
【0138】
ステップS1022において、情報収集装置102の表示部727は、通知制御装置101から受信した、医療従事者がいないことを示す情報、又はLED608の緑色点滅の停止を指示する制御情報に応じて、LED608を緑色点滅させない。例えば、表示部727は、LED608を緑色点滅させている場合には、LED608の緑色点滅を終了し、LED608を緑色点滅させていない場合には、現在の状態を維持する。
【0139】
上記の処理により、医療従事者は、近くにある情報収集装置102のLED608を確認し、緑色点滅していない場合、BLEタグが、故障、又は電池切れの状態であること、もしくは情報収集装置102のID受信部723が故障状態にあることを認識することができる。
【0140】
(対応情報の提供処理)
図11は、第1の実施形態における対応情報の提供処理の例を示すフローチャートである。この処理は、通知制御装置101が、医療従事者による、ベッド103の利用者401に対する対応を可視化して提供する対応情報の提供処理の例を示している。
【0141】
ステップS1101において、通知制御装置101の情報受信部702は、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信する。
【0142】
ステップS1102において、通知制御装置101の対応情報提供部706は、受信した利用者の情報に、医療従事者の無線ID(所定のID)が含まれるか否かを判断する。
【0143】
利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれる場合、対応情報提供部706は、処理をステップS1103に移行させる。一方、利用者の情報に、医療従事者の無線IDが含まれない場合、対応情報提供部706は、処理をステップS1104に移行させる。
【0144】
ステップS1103に移行すると、通知制御装置101の対応情報提供部706は、利用者の情報に含まれる医療従事者の無線IDを、ベッド103と対応づけて記憶部711に記憶する。例えば、対応情報提供部706は、利用者の情報に含まれる無線IDと、ベッド103、情報収集装置102等を識別する識別情報とを対応づけて、記憶部711に記憶する。
【0145】
好ましくは、対応情報提供部706が記憶部711に記憶した情報は、一定期間を超えると自動消去される。
【0146】
ステップS1104に移行すると、通知制御装置101の対応情報提供部706は、対応情報の表示要求を、例えば、入力デバイス506等から受け付けたか否かを判断する。
【0147】
対応情報の表示要求を受け付けていない場合、通知制御装置101は、処理をステップS1101に戻して、ステップS1101以降の処理を再び実行する。一方、対応情報の表示要求を受け付けた場合、通知制御装置101の対応情報提供部706は、処理をステップS1105に移行させる。
【0148】
ステップS1105に移行すると、通知制御装置101の対応情報提供部706は、記憶部711に記憶した情報を取得し、各ベッド103で医療従事者の無線IDを受信した時間を集計する。これにより、例えば、医療従事者が、各ベッド103、及びベッド103の周辺に留まっていた時間が算出される。
【0149】
ステップS1106において、通知制御装置101の対応情報提供部706は、例えば、医療従事者による各ベッドの利用者に対する対応を可視化して表示する。
【0150】
例えば、対応情報提供部706は、ステップS1104で指定された医療従事者の無線IDに基づいて、当該医療従事者が、各ベッド103の利用者に対して、どれだけ時間をかけて対応したのかを示す表示情報を作成して、表示デバイス507等に表示する。
【0151】
また、好適な一例として、対応情報提供部706は、ステップS1104で指定されたベッド103において、利用者に対応した医療従事者の情報と、温度画像データとを含む表示情報を作成して、表示デバイス507等に表示しても良い。これにより、例えば、ベッド103の利用者401が、暴行や虐待を受けた場合、どの医療従事者によって行われたものであるかを特定することが容易になる。
【0152】
このように、本実施形態に係る通知制御装置101によれば、医療従事者による各ベッド103の利用者に対する対応を可視化し、提供(出力、表示等)することができる。
【0153】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、情報収集装置102が、通知制御装置101に送信する利用者の情報に、ベッド103、及びベッド103の周辺の音声データが含まれている場合の処理の例について説明する。
【0154】
(音の判別処理)
図12は、第2の実施形態に係る音の判別処理の例を示すフローチャートである。この処理は、通知制御装置101の音声判別部708が、ベッド103、及びベッド103の周辺における音の種類を判別する処理の一例を示している。
【0155】
ステップS1201において、通知制御装置101の情報受信部702は、情報収集装置102から送信される利用者の情報を受信し、記憶部711に記憶する。
【0156】
ステップS1202において、音声判別部708は、利用者の情報に含まれる音声データから、音の大きさを算出する。
【0157】
ステップS1203において、音声判別部708は、音声データにおける音の大きさが第1の閾値以上であるか否かを判断する。なお、第1の閾値は、例えば、ベッド103、及びベッド103の周辺で判別対象となる音が発生しているか否かを判断するための値が、予め設定されているものとする。
【0158】
音声データにおける音の大きさが第1の閾値未満である場合、音声判別部708は処理を終了させる。一方、音声データにおける音の大きさが第1の閾値以上である場合、音声判別部708は、処理をステップS1205に移行させる。
【0159】
ステップS1204に移行すると、音声判別部708は、記憶部711に記憶した温度画像データを用いて、ベッド103の利用者の移動量(例えば、利用者401の頭部402の移動量)を算出する。一例として、利用者の移動量は、温度画像データにおける、利用者401の頭部402に対応する温度を示す画素(ピクセル)の移動量等で表される。
【0160】
ステップS1205において、音声判別部708は、ステップS1204で算出した利用者の移動量が第2の閾値以上であるか否かを判断する。第2の閾値は、例えば、ベッド103の利用者が起きているか、寝ているかを判断するための値等が、予め設定されているものとする。
【0161】
利用者の移動量が第2の閾値以上である場合、音声判別部708は、ベッド103、及びベッド103の周辺で発生している音の種類を、例えば、うめき声と判別する。一方、利用者の移動量が第2の閾値未満である場合、音声判別部708は、ベッド103、及びベッド103の周辺で発生している音の種類を、例えば、いびきと判別する。
【0162】
この判別結果に基づいて、通知制御装置101の音声情報提供部709は、例えば、図13に示すような表示画面1300を、表示デバイス507等に表示させることができる。
【0163】
或いは、音声情報提供部709は、この判定結果に基づいて、表示画面1300を、ナースコールシステム121等に通知するものであっても良い。例えば、音声情報提供部709は、図12に示す音の判別処理において、音の種類がうめき声と判別された場合、図13に示すような表示画面1300を、ナースコールシステム121等の所定の通知先に通知する。
【0164】
図13は、第2の実施形態に係る表示画面の例を示す図である。図13の例では、表示画面1300には、例えば、利用者の状態を示す文字列1301、ベッド103周辺を撮影した温度画像1302、音量情報1303、及び再生ボタン1304等が表示されている。
【0165】
利用者の状態を示す文字列1301は、例えば、図13に示すように、ベッド103を特定するベッド名、ベッド103の利用者401の状態、及び図12の音の判別処理による判別結果等を表示する。
【0166】
ベッド103周辺を撮影した温度画像1302は、情報収集装置102から受信した利用者の情報に含まれる温度画像データを用いて表示する。
【0167】
音量情報1303は、ベッド103の周辺における音の大きさを視覚的に表示する。また、再生ボタン1304が選択されると、音声情報提供部709は、取得した音声データを用いて、ベッド103周辺で取得された音を再生する。
【0168】
例えば、第1の実施形態では、通知制御装置101は、利用者401の頭部402が、落下検知領域、注意領域A~C等で検知されたときに、利用者401の状態を示す通知情報を、所定の通知先に通知する通知処理を実行する。従って、例えば、図13の温度画像1302に示す位置から、利用者401の頭部402が移動しない場合、通知情報は通知されない。
【0169】
しかし、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせることにより、通知制御装置101は、例えば、利用者401の頭部402が移動しない場合でも、利用者401の異常を検知して、所定の通知先に、異常が発生したことを通知することができるようになる。
【0170】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、通知制御装置101の補正部710による検知枠301の補正に関する処理について説明する。
【0171】
情報収集装置102が病室の壁や天井に設置されている場合、ベッド103の位置が所定の位置から移動すると、検知部703による検知処理の精度が低下する恐れがある。そのため、通知制御装置101は、情報収集装置102の検知枠301対して、ベッド103の位置がずれている場合、検知枠301の位置をベッド103の位置に合わせて補正する補正部710を有している。
【0172】
図14は、第3の実施形態に係る検知枠の補正処理について説明するための図である。本実施形態に係る情報収集装置102は、CMOSカメラ606を用いてベッド103の写真データを撮影し、通知制御装置101に送信する機能を有している。
【0173】
例えば、情報収集装置102の写真データ取得部726は、ベッド103、及びベッド103の周辺の写真データを取得する。また、情報送信部724は、画像データ取得部722が取得した温度画像データと、写真データ取得部726が取得した写真データとを含む利用者の情報を、通知制御装置101に送信する。
【0174】
なお、情報送信部724は、利用者情報とは別に、写真データを通知制御装置101に送信しても良い。また、情報収集装置102は、例えば、通知制御装置101からの要求があったときに写真データを通知制御装置101に送信するものであっても良いし、所定の時間間隔で写真データを通知制御装置101に送信するもの等であっても良い。
【0175】
図14(a)は、ベッド103が所定の位置に配置されている場合における、写真画像1401、及び検知枠301のイメージを示している。この状態から、例えば、図14(b)に示すように、ベッド103の位置がずれた場合、通知制御装置101の補正部710は、例えば、写真画像1401からベッド103の輪郭を検出すること等により、ベッド103の位置がずれたことを検知する。
【0176】
また、通知制御装置101の補正部710は、ベッド103の位置がずれたことを検知すると、例えば、図14(c)に示すように、ベッド103の輪郭に合わせて、検知枠301の位置を補正する。
【0177】
しかし、例えば、図14(d)に示すように、ベッド103の位置が大きくずれてしまうと、通知制御装置101の補正部710は、例えば、ベッド103の輪郭が検出できない場合がある。また、このようにベッド103の位置が大きくずれてしまうと、ベッド103の輪郭を検出できたとしても、検知枠301の一部を検知できなくなってしまう場合がある。
【0178】
このような場合、通知制御装置101の補正部710は、検知枠301の補正が行えないことを、例えば、情報収集装置102のLED608を赤色点滅させて通知する。これにより、例えば、ベッド103の周辺にいる医療従事者は、情報収集装置102のLED608を赤色点滅している場合、ベッド103の位置がずれていると判断し、ベッド103の位置を修正することができる。また、ベッド103の周辺にいる医療従事者は、情報収集装置102のLED608を赤色点滅していない場合、ベッド103の位置が適正であることを認識することができる。
【0179】
<処理の流れ>
図15は、第3の実施形態に係る検知枠の補正処理の例を示すフローチャートである。この処理は、通知制御装置101が、検知枠301を補正するときに実行する検知枠の補正処理の例を示している。
【0180】
ステップS1501において、通知制御装置101の補正部710は、情報収集装置102から送信される、ベッド103の写真データを取得する。例えば、補正部710は、情報受信部702が受信した利用者の情報に含まれる写真データを取得する。
【0181】
ステップS1502において、通知制御装置101の補正部710は、ベッド103の写真データからベッド103の位置を検知する。例えば、補正部710は、写真データを解析して、ベッド103の輪郭を抽出する。
【0182】
ステップS1503において、通知制御装置101の補正部710は、検知枠301に対して、ベッド103の位置がずれているか否かを判断する。例えば、補正部710は、図14(a)に示すように、検知枠301、及び検知枠301内の小領域302に対して、ベッドの輪郭が正しい位置にある場合、ベッド103の位置がずれていないと判断する。一方、補正部710は、図14(b)に示すように、検知枠301、及び検知枠301内の小領域302に対して、ベッドの輪郭が正しい位置にない場合、ベッド103の位置がずれていると判断する。
【0183】
ベッド103の位置がずれていない場合、補正部710は、処理をステップS1504に移行させる。一方、ベッド103の位置がずれている場合、補正部710は、処理をステップS1505に移行させる。
【0184】
ステップS1504に移行すると、通知制御装置101の補正部710は、検知枠301の補正に成功したことを情報収集装置102に通知して、処理を終了する。これにより、情報収集装置102は、LED608を赤色点滅させている場合、LED608の赤色点滅を終了し、LED608を赤色点滅させていない場合、LED608を赤色点滅させていない状態を継続する。
【0185】
一方、ステップS1503からステップS1505に移行すると、通知制御装置101の補正部710は、例えば、図14(c)に示すように、ベッド103の位置に合わせて、検知枠301の位置を補正する。例えば、補正部710は、及び検知枠301を、移動、回転、拡大、又は縮小することにより、検知枠301、及び検知枠301内の小領域302に対して、ベッドの輪郭が正しい位置になるように調整する。
【0186】
ステップS1506において、通知制御装置101の補正部710は、検知枠301の補正に成功したか否かを判断する。例えば、補正部710は、図14(c)に示すように、検知枠301、及び検知枠301内の小領域302を検知可能になった場合、補正に成功したと判断する。一方、補正部710は、図14(d)に示すように、ベッド103の輪郭を検出できない場合や、検知枠301及び検知枠301内の小領域302の一部を検知できない場合、補正に失敗したと判断する。
【0187】
検知枠301の補正に成功した場合、補正部710は、処理をステップS1504に移行させる。一方、検知枠301の補正に失敗した場合、補正部710は、処理をステップS1507に移行させる。
【0188】
ステップS1507に移行すると、通知制御装置101の補正部710は、検知枠301の補正に失敗したことを情報収集装置102に通知して、処理をステップS1501に戻す。これにより、情報収集装置102は、LED608を赤色点滅させていない場合、LED608の赤色点滅を開始し、LED608を赤色点滅させている場合、LED608の赤色点滅を継続する。
【0189】
上記の処理により、医療従事者は、ベッド103の位置がずれていることを容易に判断し、ベッド103の位置を修正することができるようになる。
【符号の説明】
【0190】
100 通知制御システム
101 通知制御装置
102 情報収集装置
103 ベッド
702 情報受信部
703 検知部
704 通知制御部
705 ID管理部(識別情報管理部)
706 対応情報提供部(第1の情報提供部)
707 表示制御部
708 音声判別部(判別部)
709 音声情報提供部(第2の情報提供部)
710 補正部
722 画像データ取得部
723 ID受信部(識別情報受信部)
724 情報送信部
725 音声データ取得部
727 表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0191】
【文献】特開2013-211607号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15