(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】端末装置、情報提供システム、情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 11/00 20060101AFI20240501BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240501BHJP
H04M 1/71 20210101ALI20240501BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
H04B11/00 B
G08B27/00 C
H04B11/00 A
H04M1/71
H04M1/72
(21)【出願番号】P 2019213569
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 勉
(72)【発明者】
【氏名】福田 道隆
(72)【発明者】
【氏名】細川 潤
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132977(JP,A)
【文献】特開2018-207239(JP,A)
【文献】特開2010-219986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00-13/02
G08B 23/00-31/00
H04M 1/00
H04M 1/24-1/82
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報とを記憶する記憶部と、
前記第1の情報と、前記第2の情報とを含む音波を受信する受信部と、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報を含む音波を前記受信部で受信した場合、前記受信部で受信した音波に含まれる前記第1の情報により識別される前記所定の処理を実行する実行部と、
を有
し、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報は、複数のエリアに共通の情報であることを示す情報を含む、端末装置。
【請求項2】
前記実行部は、前記受信部で受信した音波に前記記憶部に記憶されている前記第2の情報が含まれていない場合、前記所定の処理の実行を中止する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報は、複数のエリアのうち、前記端末装置に対応するエリアを示す情報を含む、請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記実行部は、
前記受信部で受信した音波に、複数のエリアのうち、前記端末装置に対応するエリアを示す前記第2の情報が含まれる場合、前記端末装置に対応するエリアの情報を表示する第1の処理を実行し、
前記受信部で受信した音波に、前記複数のエリアに共通の情報であることを示す前記第2の情報が含まれる場合、前記複数のエリアに共通の情報を表示する第2の処理を実行する、
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記端末装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を有し、
前記記憶部は、1つ以上の前記第2の情報と、前記第2の情報に対応するエリアを示す情報とを記憶し、
前記実行部は、前記端末装置の位置が、前記受信部で受信した音波から取得した前記第2の情報に対応するエリアに含まれる場合、前記所定の処理を実行する、請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項6】
音波を用いて利用者に情報を提供する情報提供システムであって、
利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報とを含む音波を出力する出力装置と、
前記音波から取得した前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記所定の処理を実行する端末装置と、
を含み、
前記端末装置は、
前記第1の情報と、前記第2の情報とを記憶する記憶部と、
前記第1の情報と、前記第2の情報とを含む音波を受信する受信部と、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報を含む音波を前記受信部で受信した場合、前記受信部で受信した音波に含まれる前記第1の情報により識別される前記所定の処理を実行する実行部と、
を有
し、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報は、複数のエリアに共通の情報であることを示す情報を含む、情報提供システム。
【請求項7】
端末装置が、
利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報とを記憶部に記憶する処理と、
前記第1の情報と、前記第2の情報とを含む音波を受信する受信処理と、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報を含む音波を前記受信処理で受信した場合、前記受信処理で受信した音波に含まれる前記第1の情報により識別される前記所定の処理を実行する処理と、
を実行
し、
前記記憶部に記憶する前記第2の情報は、複数のエリアに共通の情報であることを示す情報を含む、情報提供方法。
【請求項8】
端末装置に
利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報とを記憶部に記憶する処理と、
前記第1の情報と、前記第2の情報とを含む音波を受信する受信処理と、
前記記憶部に記憶されている前記第2の情報を含む音波を前記受信処理で受信した場合、前記受信処理で受信した音波に含まれる前記第1の情報により識別される前記所定の処理を実行する処理と、
を実行させ
、
前記記憶部に記憶する前記第2の情報は、複数のエリアに共通の情報であることを示す情報を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体等が、防災情報を送信する親局から、屋外拡声子局(以下、「子局」と呼ぶ)のスピーカを介して、災害時に防災情報等を音声で放送するとともに、平常時には、自治体内の連絡情報等を音声で放送可能な防災無線システムが知られている。
【0003】
例えば、親局が、子局を示す呼出IDと、防災情報を識別する情報IDとを送信し、子局が、記憶部に記憶した呼出IDと情報IDとを含む防災情報を受信したときに、受信した防災情報を出力する防災無線システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に示すような、従来の防災無線システムでは、情報が音声で伝達されるため、例えば、子局からの距離、周辺環境によるエコー、隣接する他の自治体の子局から放送される他の音声等により、利用者に防災情報を適切に通知できない場合がある。また、このような、従来の防災無線システムでは、例えば、隣接する他の自治体内の連絡情報等、利用者にとって、必ずしも必要でない情報が利用者に通知されてしまう場合がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、音波を用いて利用者に情報を提供するシステムにおいて、利用者に、必要な情報をより適切に通知できるようにするとともに、必要でない情報が利用者に通知されてしまうことを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る端末装置は、利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報とを記憶する記憶部と、前記第1の情報と、前記第2の情報とを含む音波を受信する受信部と、前記記憶部に記憶されている前記第2の情報を含む音波を前記受信部で受信した場合、前記受信部で受信した音波に含まれる前記第1の情報により識別される前記所定の処理を実行する実行部と、を有し、前記記憶部に記憶されている前記第2の情報は、複数のエリアに共通の情報であることを示す情報を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、音波を用いて利用者に情報を提供するシステムにおいて、利用者に、必要な情報をより適切に通知できるようにするとともに、必要でない情報が利用者に通知されてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報提供システムのシステム構成の例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る音波IDについて説明するための図である。
【
図3】一実施形態に係る情報提供システムの処理の概要について説明するための図である。
【
図4】一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る親局及び子局のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る情報提供システムの機能構成の例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態に係る端末装置の表示画面の例を示す図である。
【
図10】第3の実施形態に係るエリア情報のイメージを示す図である。
【
図11】第3の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0010】
<システムの構成>
図1は、一実施形態に係る情報提供システムのシステム構成の例を示す図である。情報提供システム100は、例えば、防災無線システムの親局101、防災無線システムの屋外拡声子局(以下、「子局」と呼ぶ)102、及び利用者107が利用する端末装置103等を含む。
【0011】
防災無線システムは、例えば、市町村等の自治体が整備する同報系の放送設備である。例えば、親局101で設定された防災情報等は、デジタル無線通信104により子局102に送信され、子局102は、受信した防災情報等を、子局102が備えるスピーカ106を用いて住民に一斉放送する。また、防災無線システムは、平常時には、親局101で設定された自治体内の連絡情報等を、防災情報等と同様にして、子局102が備えるスピーカ106を用いて住民に一斉放送することも可能である。
【0012】
好ましくは、防災無線システムは、例えば、地震、台風、洪水等の災害により、商用電源が停電したときや、公衆通信網が利用できないとき等でも、防災情報、連絡情報等を放送することができるように構成されている。
【0013】
従来の防災無線システムは、防災情報、連絡情報等の提供情報を、音声放送で利用者107に通知していたため、例えば、子局102からの距離や、周辺環境によるエコー等により、利用者107が提供情報を適切に聞き取れない場合がある。また、自治体の境界に近いエリアでは、利用者107にとって、必ずしも必要でない、他の自治体の連絡情報等が利用者に聞こえてしまう場合がある。
【0014】
そこで、本実施形態に係る情報提供システム100は、このような防災無線システムを利用して、利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報と、所定の処理の実行を制御する第2の情報とを含む音波105を出力する機能を有している。例えば、子局102は、親局101から制御に従って、
図2(A)に示すような音波識別情報(以下、音波ID200と呼ぶ)を含む音波105を出力することができる。
【0015】
図2(A)は、一実施形態に係る音波ID200の一例のイメージを示している。音波ID200には、例えば、
図2(A)に示すように、利用者107に情報を提供する所定の処理を識別する処理ID201と、所定の処理の実行を制御するエリアIDとが含まれる。なお、処理ID201は、利用者107に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報の一例である。第1の情報は、例えば、音波ID200に含まれる所定のビット数の処理ビット等であっても良い。また、エリアIDは、所定の処理の実行を制御する第2の情報の一例である。第2の情報は、例えば、音波ID200に含まれる所定のビット数のエリアビット等であっても良い。
【0016】
さらに、第2の情報は、所定の処理を実行させる端末装置103を指定する宛先情報、又は所定の処理を実行させる端末装置103のグループを識別するグループID等であっても良い。
【0017】
図2(B)は、一実施形態に係るエリアIDとエリアとの対応関係210の一例を示している。
図2(B)の例では、エリアID「001」は、エリア「A市」と対応付けられている。これは、音波ID200に含まれるエリアID202が「001」である場合、音波ID200が、エリア「A市」向けの情報であることを示している。
【0018】
また、
図2(B)の例では、エリアID「002」は、エリア「B市」と対応付けられている。これは、音波ID200に含まれるエリアID202が「002」である場合、音波ID200が、エリア「B市」向けの情報であることを示している。
【0019】
さらに、
図2(B)の例では、エリアID「111」は、エリア「エリア共通」と対応付けられている。これは、音波ID200に含まれるエリアID202が「111」である場合、音波ID200が、各エリアに共通の情報であることを示している。
【0020】
図2(C)は、一実施形態に係る処理IDと処理内容との対応関係220の一例を示している。例えば、端末装置103は、
図2(C)に示すような対応関係220を記憶部に記憶しておくことにより、処理IDに対応する処理内容を特定することができる。
【0021】
端末装置103は、利用者107が利用する、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の情報端末である。端末装置103は、例えば、情報提供システム100に対応するアプリケーションプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行することにより、防災無線システムの子局102から出力される音波105を受信する。また、端末装置103は、受信した音波105に含まれる処理ID201と、エリアID202とに基づいて、利用者107に情報を提供する所定の処理を実行する。
【0022】
(処理の概要)
図3は、一実施形態に係る情報提供システムの処理の概要について説明するための図である。
図3において、子局102aは、自治体の一例であるA市、B市の境界302付近のA市側に設置され、所定の範囲301a内に音波ID200を含む音波を出力するように構成されているものとする。また、子局102bは、A市、B市の境界302付近のB市側に設置され、所定の範囲301b内に音波ID200を含む音波を出力するように構成されているものとする。端末装置103は、A市に対応するアプリを実行しており、予め定められたエリアID「001」、「111」を有しているものとする。
【0023】
この状態で、端末装置103は、受信した音波に、予め定められたエリアID「001」が含まれている場合、処理IDに対応する処理内容を実行する。例えば、処理IDが「1001」である場合、端末装置103は、
図2(C)に示すような対応関係220を参照して、処理IDが「1001」に対応する処理内容「連絡情報Aを表示」を実行する。これにより、A市の広報担当者等は、防災無線システムを用いて、子局102aからエリアID「001」、処理ID「1001」を含む音波を出力することにより、端末装置103に、自治体の連絡情報の一例である連絡情報Aを表示させることができる。
【0024】
同様にして、端末装置103は、受信した音波に、予め定められたエリアID「111」が含まれている場合、処理IDに対応する処理内容を実行する。例えば、処理IDが「2001」である場合、端末装置103は、
図2(C)に示すような対応関係220を参照して、処理IDが「2001」に対応する処理内容「防災情報Aを表示」を実行する。これにより、A市の防災担当者等は、防災無線システムを用いて、子局102aからエリアID「111」、処理ID「2001」を含む音波を出力することにより、端末装置103に、各エリアに共通の情報の一例である防災情報Aを表示させることができる。
【0025】
なお、端末装置103が表示する連絡事項A、防災情報A等は、端末装置103が予め記憶していても良いし、インターネットや無線LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して、例えば、A市が提供するサーバ装置等から取得しても良い。
【0026】
なお、端末装置103が備えるマイクは、一般的に、人間の耳より感度が高いので、端末装置103は、利用者107が、音声放送を聞き取れない場合でも、利用者107に、連絡情報、防災情報等の必要な情報を、適切に通知することができる。
【0027】
また、端末装置103は、受信した音波に、予め定められたエリアID「001」、「111」とは異なるエリアID「002」が含まれている場合、処理IDに対応する処理内容の実行を中止する。これにより、例えば、B市の広報担当者等が、防災無線システムを用いて、子局102bからエリアID「002」、処理ID「1002」を含む音波を出力しても、端末装置103が、B市の連絡事項Bを表示してしまうことを抑制することができる。
【0028】
なお、端末装置103は、例えば、B市の防災担当者等が、防災無線システムを用いて、子局102bからエリアID「111」、処理ID「2002」を含む音波を出力した場合、各エリアに共通の防災情報Bを表示することが望ましい。
【0029】
以上、本実施形態によれば、音波を用いて利用者に情報を提供する情報提供システム100において、利用者107に、必要な情報をより適切に通知できるようにするとともに、必要でない情報が利用者に通知されてしまうことを抑制することができる。
【0030】
また、防災無線システムは、前述したように、災害により、商用電源が停電したときや、公衆通信網が利用できないとき等でも、音波ID200を含む音波を出力することができる。さらに、端末装置103は、端末装置103が備えるマイクを用いて、音波ID200を取得することができれば、公衆通信網が利用できないとき等でも、通知された連絡情報、防災情報等の提供情報を表示することができる。従って、本実施形態による情報提供システム100では、災害により、商用電源が停電したときや、公衆通信網が利用できないとき等でも、端末装置103を利用する利用者107に、様々な提供情報を提供することができる。
【0031】
なお、
図1~3で説明した情報提供システム100のシステム構成は一例である。本発明の実施形態は、例えば、企業、医療施設、商業施設、レジャー施設等に備えられた放送システム等、音波ID200を含む音波を出力可能な様々なシステムに適用することができる。
【0032】
<ハードウェア構成>
続いて、情報提供システム100に含まれる各装置のハードウェア構成について説明する。
【0033】
(端末装置のハードウェア構成)
図4は、一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図4に示されているように、端末装置103は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、ストレージデバイス404、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ405、撮像素子I/F(Interface)406、加速度・方位センサ407、メディアI/F409、GPS(Global Positioning System)受信部410を備えている。
【0034】
これらのうち、CPU401は、所定のプログラムを実行することにより端末装置103全体の動作を制御する。ROM402は、例えば、IPL(Initial Program Loader)等のCPU401の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。ストレージデバイス404は、OS(Operating System)、アプリ等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する大容量の不揮発性の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、フラッシュROM等によって実現される。
【0035】
CMOSセンサ405は、CPU401の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、端末装置103は、CMOSセンサ405に代えて、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段を有していても良い。撮像素子I/F406は、CMOSセンサ405の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ407は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F409は、フラッシュメモリ等のメディア(記憶メディア)408に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部410は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0036】
また、端末装置103は、遠距離通信回路411、遠距離通信回路411のアンテナ411a、CMOSセンサ412、撮像素子I/F413、マイク414、スピーカ415、音入出力I/F416、ディスプレイ417、外部機器接続I/F418、近距離通信回路419、近距離通信回路419のアンテナ419a、及びタッチパネル420を備えている。
【0037】
これらのうち、遠距離通信回路411は、例えば、通信ネットワークを介して、他の装置と通信する回路である。CMOSセンサ412は、CPU401の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F413は、CMOSセンサ412の駆動を制御する回路である。マイク414は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ415は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F416は、CPU401の制御に従ってマイク414及びスピーカ415との間で音波信号の入出力を処理する回路である。
【0038】
ディスプレイ417は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。外部機器接続I/F418は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。近距離通信回路419は、例えば、NFC(Near Field Communication)や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う回路を含む。タッチパネル420は、利用者がディスプレイ417を押下することで、端末装置103を操作する入力手段の一種である。
【0039】
また、端末装置103は、バスライン421を備えている。バスライン421は、
図4に示されているCPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等を含む。
【0040】
(親局のハードウェア構成)
本実施形態では、親局101、及び子局102のハードウェアは、基本的に、既存の防災無線システムのハードウェア構成を流用し、主にソフトウェア(プログラム)で本実施形態に係る各機能を実現することを想定している。ここでは、親局101のハードウェア構成の一例について説明する。
【0041】
図5は、親局101、及び子局102のハードウェア構成の一例を示す図である。親局101は、一例として、CPU501、メモリ502、ストレージデバイス503、操作盤504、マイク505、音波入力I/F506、無線通信装置507、及びバス508等を有する。
【0042】
CPU501は、例えば、ストレージデバイス503等に格納されたプログラムやデータをメモリ502上に読み出し、処理を実行することで、親局101の各機能を実現する演算装置である。メモリ502には、例えば、CPU501のワークエリア等として用いられるRAM、及び親局101の起動用のプログラム等を記憶するROM等が含まれる。ストレージデバイス503は、OS、アプリケーション、及び各種のデータ等を記憶する不揮発性の大容量の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD等によって実現される。
【0043】
操作盤504は、例えば、表示画面、音等を出力する出力装置、及び入力操作を受け付ける入力装置等を含む。マイク505は、例えば、音声アナウンス等の入力を受け付けるマイクロフォンを含む。音波入力I/F506は、例えば、音波ID200を含む音波データ、又は音波を入力するインタフェースである。無線通信装置507は、所定の無線通信で子局102とデータを送受信する無線回路、通信制御回路、及びアンテナ等を含む。バス508は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0044】
(子局のハードウェア構成)
続いて、子局102のハードウェア構成の一例について説明する。子局102は、一例として、CPU511、メモリ512、ストレージデバイス513、無線通信装置514、アンプ515、スピーカ516、及びバス517等を有する。
【0045】
CPU511は、例えば、ストレージデバイス513等に格納されたプログラムやデータをメモリ522上に読み出し、処理を実行することで、子局102の各機能を実現する演算装置である。メモリ512には、例えば、CPU511のワークエリア等として用いられるRAM、及び子局102の起動用のプログラム等を記憶するROM等が含まれる。ストレージデバイス513は、OS、アプリケーション、及び各種のデータ等を記憶する不揮発性の大容量の記憶装置であり、例えば、HDD、SSD等によって実現される。
【0046】
無線通信装置514は、所定の無線通信で親局101とデータを送受信する無線回路、通信制御回路、及びアンテナ等を含む。アンプ515は、音波IDを含む音波信号を増幅する増幅器である。スピーカ516は、アンプ515が増幅した音波信号を音波に変換して出力する。なお、子局102は、子局102の外部に接続されたスピーカ106等に音波信号を出力して、音波ID200を含む音波105を出力させるものであっても良い。バス517は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0047】
なお、
図5に示す親局101、及び子局102のハードウェア構成は一例である。親局101、及び子局102は、コンピュータの構成を有し、情報提供システム100に対応するプログラムを実行可能な他のハードウェア構成を有していても良い。
【0048】
<機能構成>
続いて、情報提供システム100の機能構成について説明する。
図4は、一実施形態に係る情報提供システムの機能構成の例を示す図である。
【0049】
(親局の機能構成)
親局101は、例えば、
図5のCPU501で所定のプログラムを実行することにより、操作受付部611、音波出力制御部612、通信部613、及び記憶部614等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部はハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0050】
操作受付部611は、例えば、
図5の操作盤504等を用いて、広報担当者、防災担当者等の操作者による音波ID200を含む音波105の出力操作を受け付ける。
【0051】
音波出力制御部612は、例えば、操作受付部611が受け付けた音波ID200を含む音波105の出力操作に応じて、子局102に、音波ID200を含む音波105を出力させる制御を行う。
【0052】
例えば、A市の広報担当者等が、A市の住民に対して、自治体内の連絡情報Aを通知する操作を行ったものとする。この場合、音波出力制御部612は、エリアID「001」、及び処理ID「1001」を含む音波ID200と、連絡情報Aに対応する音声アナウンスとを含む音波データを、通信部613を介して、子局102に送信する。或いは、音波出力制御部612は、エリアID「001」、及び処理ID「1001」を含む音波ID200のみを含み、音声アナウンスを含まない音波データを、通信部613を介して、子局102に送信するものであっても良い。
【0053】
なお、音波ID200等を含む音波データは、記憶部614等に予め記憶しておくものであっても良いし、音波出力制御部612が生成するものであっても良い。さらに、音波ID200等を含む音波データは、
図5の音波入力I/F506を利用して、外部装置等から入力するものであっても良い。
【0054】
通信部613は、例えば、
図5の無線通信装置507等を用いて、子局102と通信を行う。例えば、通信部613は、音波出力制御部612から受け付けた、音波ID200等を含む音波データを子局102に送信する。
【0055】
記憶部614は、例えば、
図5のCPU501で実行されるプログラム、及びストレージデバイス503等によって実現され、複数の音波ID200に対応する音波データ等を記憶する。
【0056】
なお、上記の親局101の機能構成は一例である。例えば、音波出力制御部612は、音波ID200等を含む音波データに代えて、音波ID200等を含む音波データの出力を要求する制御情報を、子局102に送信するもの等であっても良い。
【0057】
(子局の機能構成)
子局102は、例えば、
図5のCPU511で所定のプログラムを実行することにより、通信部621、音波データ取得部622、音波出力部623、及び記憶部624等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部はハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0058】
通信部621は、例えば、
図5の無線通信装置514等を用いて、親局101と通信を行う。例えば、通信部613は、親局101から送信される音波ID200等を含む音波データ等を受信する。
【0059】
音波データ取得部622は、例えば、通信部621が受信した、音波ID200等を含む音波データを取得する。
【0060】
音波出力部623は、音波データ取得部622が取得した、音波ID200等を含む音波データを音波信号に変換し、
図6のアンプ515に入力することにより、スピーカ516から、音波ID200等を含む音波を出力する。
【0061】
記憶部624は、例えば、
図5のCPU511で実行されるプログラム、及びストレージデバイス513等によって実現され、様々な情報、データ等を記憶する。
【0062】
上記の構成により、子局102は、利用者107に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報(処理ID201)と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報(エリアID202)とを含む音波105を出力する出力装置として機能する。
【0063】
なお、上記の子局102の機能構成は一例である。例えば、子局102は、複数の音波ID200に対応する音波データを記憶部624等に予め記憶しておくものであっても良い。この場合、音波データ取得部622は、通信部621が受信した音波ID200等を含む音波データの出力を要求する制御情報に従って、指定された音波ID200等を含む音波データを、記憶部624等から取得する。
【0064】
(端末装置の機能構成)
端末装置103は、例えば、
図4のCPU401で所定のプログラムを実行することにより、受信部601、解析部602、実行部603、通信部604、操作受付部605、位置情報取得部606、及び記憶部607等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0065】
受信部601は、例えば、
図4のマイク414、音入出力I/F416等を用いて、子局102が出力する、利用者107に情報を提供する所定の処理を識別する処理ID201と、前記所定の処理の実行を制御するエリアID202とを含む音波105を受信する。
【0066】
解析部602は、受信部601が受信した音波105を解析して、音波105に含まれる処理ID201、エリアID201等を取得する。
【0067】
なお、本実施形態では、音波105で音波ID200を表す方法について、特に限定しないが、例えば、予め定められた複数の周波数の音波をオン、オフすることで、デジタルデータの「1」、「0」を表すもの等であっても良い。この場合、解析部602は、音波をFFT(Fast Fourier Transform)解析して、複数の周波数の音波の有無を解析することにより、音波ID200を抽出することができる。ただし、これに限られず、音波ID200は、様々変調方式で伝送されるものであって良い。
【0068】
実行部603は、解析部602が取得した処理ID201とエリアID202とに基づいて、利用者107に情報を提供する所定の処理を実行する。例えば、実行部603は、受信部601が受信した音波に、予め定められたエリアID202が含まれている場合、
図2(C)に示すような対応関係220を参照して、処理ID201に対応する処理内容を実行する。一方、実行部603は、受信部601が受信した音波に、予め定められたエリアID202が含まれていない場合、処理ID201に対応する処理内容の実行を中止する。
【0069】
通信部604は、例えば、
図4の遠距離通信回路411等を用いて、端末装置103をインターネットや無線LAN等の通信ネットワークに接続して、外部装置と通信を行う。或いは、通信部604は、
図4の近距離通信回路419等を用いて、Bluetooth等の近距離無線通信により、外部装置と通信を行うものであっても良い。
【0070】
操作受付部605は、例えば、
図4のタッチパネル420等を用いて、端末装置103に対する利用者107の入力操作を受け付ける。
【0071】
位置情報取得部606は、例えば、
図4のGPS受信部410等を用いて、端末装置103の位置を示す位置情報を取得する。或いは、位置情報取得部606は、
図4の遠距離通信回路411を用いて、端末装置103を通信ネットワークに接続し、ジオロケーションサービス等により、端末装置103の位置を示す位置情報を取得しても良い。さらに、位置情報取得部606は、近距離通信回路419によるBluetooth通信等で、位置情報を報知するビーコンを受信して、位置情報を取得するもの等であっても良い。
【0072】
記憶部607は、例えば、
図4のCPU401で実行されるプログラム、及びストレージデバイス404、RAM403等によって実現される。記憶部607には、例えば、予め定められたエリアID202や、
図2(C)に示すような、処理ID201と処理内容との対応関係220等が記憶される。また、記憶部607には、例えば、端末装置103が表示する連絡情報、防災情報等の提供情報が記憶される。
【0073】
なお、
図6に示した情報提供システムの機能構成は一例である。例えば、子局102は、利用者107に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報(処理ID201)と、前記所定の処理の実行を制御する第2の情報(エリアID202)とを含む音波105を出力する出力装置の一例である。出力装置は、処理ID201とエリアID202とを含む音波を出力する機能を有する任意の装置であって良い。
【0074】
また、端末装置103は、必ずしも、位置情報取得部606、通信部604等を有していなくても良い。
【0075】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る情報提供方法の処理の流れについて説明する。
【0076】
[第1の実施形態]
図7は、第1の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。情報提供システム100に対応するアプリを実行する端末装置103は、
図7に示す処理を、例えば、所定の時間間隔で繰返し実行する。なお、
図7に示す処理の開始時点において、アプリには、利用者107に対応するエリア(例えば、利用者107が居住する自治体等)が予め設定され、当該エリアに対応するエリアIDと、各エリアに共通のエリアIDとが記憶部607等に記憶されているものとする。
【0077】
ステップS701において、端末装置103の受信部601は、
図4のマイク414、音入出力I/F415等を用いて、端末装置103の周辺の音波を受信(取得)する。
【0078】
ステップS702において、端末装置103の解析部602は、受信部601が受信した音波を解析して、例えば、
図2(A)に示すような、処理ID201とエリアID202とを含む音波ID200を取得する。
【0079】
ステップS703において、端末装置103の実行部603は、解析部602により、音波ID200を取得できたか否かを判断する。音波ID200を取得できた場合、実行部603は、処理をステップS704に移行させる。一方、音波ID200を取得できない場合、実行部603は、ステップS704以降の処理の実行を中止する。
【0080】
ステップS704に移行すると、実行部603は、取得した音波ID200からエリアID202を取得する。
【0081】
ステップS705において、実行部603は、取得したエリアID202が、記憶部607に記憶されているか否かを判断する。ここでは、前述したように、記憶部607に、利用者107に対応するエリアに対応するエリアID(例えば、エリアID「001」)と、各エリアに共通のエリアID(例えば、エリアID「111」)とが、予め記憶されているものとする。
【0082】
取得したエリアID202が記憶部607に記憶されていない場合、実行部603は、受信部601が受信した音波が、例えば、他のエリア向けの音波であると判断し、ステップS706の処理の実行を中止する。一方、取得したエリアID202が記憶部607に記憶されている場合、実行部603は、受信部601が受信した音波が、例えば、利用者107に対応するエリア向けの音波、又は各エリアに共通の音波であると判断し、処理をステップS706に移行させる。
【0083】
ステップS706に移行すると、実行部603は、記憶部607に記憶された、例えば、
図2(C)に示すような対応関係220を参照して、音波ID200に含まれる処理ID201に対応する処理内容を実行する。例えば、処理ID201が「1001」であれば、実行部603は、
図2(C)に示すような対応関係220を参照して、処理ID「1001」に対応する処理内容「連絡情報Aを表示」を実行する。例えば、実行部603は、記憶部607に記憶された連絡情報Aを、
図4のディスプレイ417等の表示部に表示する。或いは、実行部603は、通信部604を用いて、予め設定された外部サーバ等から、連絡情報Aを取得して、表示部に表示するもの等であっても良い。
【0084】
上記の処理により、例えば、端末装置103にA市のエリアID「001」と、エリア共通のエリアID「111」が記憶されている場合、端末装置103は、A市向けの情報と、各エリアに共通の情報とを選択的に表示することができる。また、端末装置103は、A市以外の自治体(例えば、B市)向けの情報の表示を禁止することができる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、音波を用いて利用者に情報を提供する情報提供システム100において、利用者107に、必要な情報をより適切に通知できるようにするとともに、必要でない情報が利用者に通知されてしまうことを抑制することができる。
【0086】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。第2の実施形態では、端末装置103が実行するアプリが、2つの動作モードを有する場合の例について説明する。ここでは、具体的な一例として、端末装置103が実行するアプリが、平常時に自治体の連絡情報等を表示可能な通常モードと、災害発生時等に防災情報等を表示する非常モードの2つの動作モードを有するものとして以下の説明を行う。
【0087】
なお、
図8に示す処理の開始時点において、端末装置103の記憶部607には、利用者107に対応するエリアに対応するエリアIDと、各エリアに共通のエリアIDとが記憶されているものとする。また、
図8に示す処理のうち、ステップS701~S704、S705~S706の処理は、第1の実施形態のステップS701~S706で説明した処理と同様なので、ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0088】
ステップS801において、端末装置103の実行部603は、取得したエリアID202が、エリア共通のエリアID(例えば、「111」)であるか否かを判断する。取得したエリアIDがエリア共通のエリアIDである場合、実行部603は、処理をステップS802に移行させる。一方、取得したエリアIDがエリア共通のエリアIDでない場合、実行部603は、処理をステップS705に移行させる。
【0089】
ステップS802に移行すると、実行部603は、端末装置103の動作モードが通常モードであるか否かを判断する。動作モードが通常モードである場合、実行部603は、処理をステップS803に移行させる。一方、動作モードが通常モードでない場合(非常モードである場合)、実行部603は、処理をステップS705に移行させる。
【0090】
ステップS803に移行すると、実行部603は、端末装置103の動作モードを非常モードに切り替える。
【0091】
図9は、第2の実施形態に係る端末装置の表示画面の例を示す図である。
図9(A)は、端末装置103が通常モードで動作しているときに表示する通常モードの表示画面910の一例のイメージを示している。
図9(A)に示すように、通常モードの表示画面910には、自治体内の連絡情報911等が表示される。好ましくは、この通常モードの表示画面901は、自治体ごとにカスタマイズが可能になっている。
【0092】
図9(B)は、端末装置103が非常モードで動作しているときに表示する非常モードの表示画面920の一例のイメージを示している。
図9(B)に示すように、非常モードの表示画面920には、防災情報921等が表示される。なお、非常モードの表示画面920には、防災情報921に限られず、緊急性が高い様々な情報を表示することが可能になっている。
【0093】
好ましくは、端末装置103は、通常モードから非常モードに切り替わると、自治体内の連絡情報911等を表示する処理(第1の処理)を中止して、防災情報921等の緊急性が高い情報を表示する処理(第2の処理)を実行する。
【0094】
なお、通常モードの表示画面901に表示される連絡情報911、非常モードの表示画面に表示される防災情報921等は、
図8のステップS705、S706の処理によって決定される。
【0095】
好ましくは、情報提供システム100は、防災情報921等の緊急性の高い情報を提供するときには、音波ID200に、エリア共通のエリアID(例えば、「111」)を付加して、音波を出力する。これにより、端末装置103の利用者107は、他の自治体にいるときでも、例えば、
図9(B)に示すような非常時の表示画面920を表示することができる。
【0096】
上記の処理により、端末装置103は、防災情報921等の緊急性の高い情報を、優先的に表示して、利用者107に注意を促すことができるようになる。
【0097】
[第3の実施形態]
第1、2の実施形態では、エリアIDに対応する「エリア」が自治体であるものとして説明を行ったが、「エリア」は自治体に限られない。第3の実施形態では、エリアIDに対応する「エリア」を、位置座標等の位置情報によって定義する場合の例について説明する。
【0098】
図10は、第3の実施形態に係るエリア情報のイメージを示す図である。
図10(A)は、端末装置103が、記憶部607に記憶するエリア情報の一例のイメージを示している。
図10(A)の例では、エリア情報1001には、複数のエリアIDと、各エリアIDに対応する「エリア」とが対応付けて記憶されており、「エリア」が緯度の範囲(最小値、最大値)、及び経度の範囲(最小値、最大値)で定義されている。このように、エリアIDに対応するエリアは、位置座標等の位置情報によって定義するものであっても良い。
【0099】
なお、エリアIDに対応する「エリア」は、例えば、
図10(B)に示すエリア情報1002のように、N(Nは3以上の整数)個の位置座標等で表されるものであっても良い。この場合、「エリア」は、座標1、座標2、・・・、座標N」の各座標を結ぶ線分で囲まれた領域で表される。
【0100】
図11は、第3の実施形態に係る端末装置の処理の例を示すフローチャートである。情報提供システム100に対応するアプリを実行する端末装置103は、
図11に示す処理を、例えば、所定の時間間隔で繰返し実行する。なお、
図11に示す処理の開始時点において、端末装置103の記憶部607には、例えば、
図10(A)に示すようなエリア情報1001が記憶されているものとする。また、
図10に示す処理のうち、ステップS701~S704、S706の処理は、第1の実施形態のステップS701~S704、S706の処理と同様なので、ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0101】
ステップS1101において、端末装置103の実行部603は、取得したエリアID202が、記憶部607に記憶されているか否かを判断する。例えば、実行部603は、取得したエリアIDが、
図10(A)に示すようなエリア情報1001に記憶されているか否かを判断する。取得したエリアIDが記憶部607に記憶されている場合、実行部603は、処理をステップS1102に移行させる。一方、取得したエリアIDが記憶部607に記憶されていない場合、実行部603は、
図11の処理を終了する。
【0102】
ステップS1102において、実行部603は、位置情報取得部606を用いて、端末装置103の位置を示す位置情報(位置座標等)を取得する。
【0103】
ステップS1103において、実行部603は、取得したエリアIDに対応するエリアの位置情報を取得する。例えば、実行部603は、
図10(A)に示すようなエリア情報1001から、取得したエリアIDに対応するエリアの緯度(最小値、最大値)、及び経度(最小値、最大値)を取得する。
【0104】
ステップS1104において、実行部603は、端末装置103の位置が、取得したエリアIDに対応するエリアの範囲内であるか否かを判断する。例えば、実行部603は、ステップS1102で取得した端末装置103の位置が、ステップS1103で取得したエリアの範囲内であるか否かを判断する。
【0105】
端末装置103の位置が、取得したエリアIDに対応するエリアの範囲内である場合、実行部603は、処理をステップS706に移行させる。一方、端末装置103の位置が、取得したエリアIDに対応するエリアの範囲内でない場合、実行部603は、ステップS706の処理を中止して、
図11の処理を終了する。
【0106】
上記の処理により、情報提供システム100は、位置座標等の位置情報で表される任意のエリア内にある端末装置103に対して、例えば、連絡情報、防災情報等の提供情報を、選択的に表示させることができるようになる。
【0107】
例えば、A市にある河川の水位が上昇し、氾濫する恐れがある場合には、A市の全域に避難警報等を出すよりも、河川の氾濫により浸水が予測される地域に、選択的に避難警報を出すことが望ましい。第3の実施形態によれば、このような処理を容易に実現することができるようになる。
【0108】
以上、本発明の各実施形態によれば、音波を用いて利用者に情報を提供する情報提供システム100において、利用者に、必要な情報をより適切に通知できるようにするとともに、必要でない情報が利用者に通知されてしまうことを抑制することができる。
【0109】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0110】
上記の各実施形態で説明した処理ID201は、利用者に情報を提供する所定の処理を識別する第1の情報の一例であり、エリアID202は、所定の処理の実行を制御する第2の情報の一例である。
【0111】
また、第2の情報は、「エリア」を指定する情報に限られず、例えば、所定の処理を実行させる端末装置103のグループを識別するグループID等であっても良い。例えば、第2の情報がグループIDである場合、自治体の職員、消防団の団員、施設の職員、高齢者、児童等の任意のグループと、グループIDとを予め対応付けておく。これにより、情報提供システム100は、第2の情報の設定により、任意のグループに、選択的に提供情報を表示させることができるようになる。
【0112】
また、上記の各実施形態で説明した防災無線システムの子局102は、利用者107に提供する所定の情報を識別する第1の情報と、所定の情報の出力する第2の情報とを含む音波を出力する出力装置の一例である。出力装置は、例えば、企業、医療施設、商業施設、レジャー施設等に備えられた放送システム等で、利用者107に提供する所定の情報を識別する第1の情報と、所定の情報の出力する第2の情報とを含む音波を出力可能な様々な装置であって良い。
【符号の説明】
【0113】
100 情報提供システム
101 親局
102 子局(出力装置の一例)
103 端末装置
201 処理ID(第1の情報の一例)
202 エリアID(第2の情報の一例)
601 受信部
606 位置情報取得部
607 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】