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特許7480587情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240501BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240501BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N1/00 C
B41J29/38 202
G06F3/12 304
G06F3/12 354
G06F3/04847
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020090730
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021190721
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】南 広一郎
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-238207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G06F 3/048- 3/04895
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に関する複数の設定項目のうち、所定の属性の値が出力対象としての条件を満たす設定項目の設定値を出力する出力部と、
前記情報処理装置に対して第1の設定項目が追加されると、前記複数の設定項目の親子関係において前記第1の設定項目の親として指定された第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する設定項目追加部と、
を有し、
前記設定項目追加部は、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されていない場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定し、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されている場合には、当該所定の属性の値が前記条件を満たす状態において、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値が前記条件を満たさない可能性が有る場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記情報処理システムに関する複数の設定項目のうち、所定の属性の値が出力対象としての条件を満たす設定項目の設定値を出力する出力部と、
前記情報処理システムに対して第1の設定項目が追加されると、前記複数の設定項目の親子関係において前記第1の設定項目の親として指定された第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する設定項目追加部と、
を有し、
前記設定項目追加部は、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されていない場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定し、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されている場合には、当該所定の属性の値が前記条件を満たす状態において、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値が前記条件を満たさない可能性が有る場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
情報処理装置に関する複数の設定項目のうち、所定の属性の値が出力対象としての条件を満たす設定項目の設定値を出力する出力手順と、
前記情報処理装置に対して第1の設定項目が追加されると、前記複数の設定項目の親子関係において前記第1の設定項目の親として指定された第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する設定項目追加手順と、
を前記情報処理装置が実行し、
前記設定項目追加手順は、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されていない場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定し、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されている場合には、当該所定の属性の値が前記条件を満たす状態において、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値が前記条件を満たさない可能性が有る場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
情報処理装置に関する複数の設定項目のうち、所定の属性の値が出力対象としての条件を満たす設定項目の設定値を出力する出力手順と、
前記情報処理装置に対して第1の設定項目が追加されると、前記複数の設定項目の親子関係において前記第1の設定項目の親として指定された第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する設定項目追加手順と、
を前記情報処理装置に実行させ
前記設定項目追加手順は、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されていない場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定し、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されている場合には、当該所定の属性の値が前記条件を満たす状態において、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値が前記条件を満たさない可能性が有る場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機等の画像形成装置の中には、レポート印刷等と呼ばれる機能を有する情報処理装置が有る。レポート印刷とは、画像形成装置が有する各種の設定項目の設定値を印刷する機能をいう。ユーザ又はサービスマンは、画像形成装置において故障や問い合わせなどが起きた際に、レポート印刷を利用することで、当該画像形成装置の現在の設定値を確認することができる。
【0003】
但し、画像形成装置に対する設定値の中には、例えば、ユーザの個人情報やその他の機密情報が含まれうる。そこで、このような情報について第三者への漏洩を防止するために、予め指定された設定項目の設定値は出力しない技術が考案されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置に対して機能追加等(例えば、アプリケーションのインストールやハードウェアの追加等)により画像形成装置の構成が変化すると、当該画像形成装置に対して新たな設定項目が追加される場合が有る。
【0005】
しかし、従来技術では、追加された設定項目に対して、出力の可否の指定を手動で行う必要が有る。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、情報処理装置に追加された設定項目の出力の可否に関する設定作業の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、情報処理装置に関する複数の設定項目のうち、所定の属性の値が出力対象としての条件を満たす設定項目の設定値を出力する出力部と、前記情報処理装置に対して第1の設定項目が追加されると、前記複数の設定項目の親子関係において前記第1の設定項目の親として指定された第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する設定項目追加部と、を有し、前記設定項目追加部は、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されていない場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定し、前記第1の設定項目の前記所定の属性に値が設定されている場合には、当該所定の属性の値が前記条件を満たす状態において、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値が前記条件を満たさない可能性が有る場合に、前記第2の設定項目の前記所定の属性の値を前記第1の設定項目の前記所定の属性に対して設定する
【発明の効果】
【0008】
情報処理装置に追加された設定項目の出力の可否に関する設定作業の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。
図3】設定画面の表示例を示す図である。
図4】項目階層記憶部131の構成例を示す図である。
図5】設定値記憶部132の構成例を示す図である。
図6】レポート出力の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】レポートの第1の出力例を示す図である。
図8】設定項目の追加に応じて画像形成装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図9】追加項目データの構成例を示す図である。
図10】レポートの第2の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図1において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0011】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
【0012】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、設定受付部121、設定項目追加部122及びレポート出力部123等を有する。これら各部は、画像形成装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU111に実行させる処理により実現される。画像形成装置10は、また、項目階層記憶部131及び設定値記憶部132等を利用する。これら各記憶部は、例えば、HDD114、又は画像形成装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0014】
設定受付部121は、画像形成装置10が有する各種の機能のパラメータ又は設定項目(以下、「設定項目」で統一する。)に対する設定値の設定(既存の設定値の変更も含む)をユーザから受け付ける。設定値の設定は、例えば、設定受付部121が操作パネル15に表示させる設定画面を介して行われる。
【0015】
図3は、設定画面の表示例を示す図である。図3において、設定画面500は、階層領域510及び設定領域520を含む。
【0016】
階層領域510は、画像形成装置10が有する複数の設定項目に関する階層構造(親子関係)において最上位(ルート)の設定項目から順に、下位(子)の設定項目を表示(展開)可能な領域である。当該階層構造とは、1つの設定項目をノードとし、設定項目間の階層関係(親子関係)をエッジとするグラフ構造をいう。当該階層構造において、複数のルートノード(最上位の設定項目)が存在してもよい。
【0017】
初期状態(設定画面500の表示直後)において、階層領域510には、最上位の設定項目の一覧が表示されている。表示されている設定項目のうちのいずれかの設定項目が選択されると、当該設定項目を親とする(当該設定項目の直属の)設定項目が表示される。これを再帰的に繰り返すことで、任意の階層の設定項目を表示させることができる。
【0018】
設定項目の中には、階層構造における単なるノードとして(すなわち、下位の設定項目の分類(カテゴリ)として)の意味を有し、設定値を設定できない設定項目が有る。以下このような設定項目を、特に「分類項目」という。一方、設定値を設定可能な設定項目を、特に「非分類項目」という。
【0019】
階層領域510において、非分類項目を子ノード(子項目)として有する設定項目が選択された場合、当該非分類項目に該当する1以上の設定項目を設定させるための入力部品が設定領域520に表示される。
【0020】
図3では、階層領域510において、「管理者設定/認証/ユーザ認証/LDAP認証」の階層構造が展開され(「/」は、ノード間の階層の区切りを示す)、当該階層構造において最下位の設定項目である「LADP認証」の子ノード(子項目)に該当する各設定項目(「サーバ1」、「サーバ2」、「SSL」、「接続テスト」)に対応する入力部品が設定領域520に表示された例が示されている。
【0021】
このような階層構造を示す情報(以下、「階層情報」という。)は、項目階層記憶部131に記憶されている。
【0022】
図4は、項目階層記憶部131の構成例を示す図である。図4に示されるように、項目階層記憶部131には、設定項目ごとに、項目ID、親項目ID、項目名、データ型、権限、レポート出力対象及びセキュリティレベル等の属性の値が記憶されている。
【0023】
項目IDは、設定項目の識別情報である。親項目IDは、階層関係(親子関係)において親ノード(親項目)に該当する設定項目の項目IDである。したがって、各設定項目の親項目IDを辿ることによって、設定項目間の階層関係(親子関係)を特定することができる。項目名は、項目の名前であり、設定画面500における表示用の文字列として用いられる。データ型は、設定項目に対する設定値のデータ型であり、設定画面500における入力部品の選別等に用いられる。データ型の値としては、文字列型、数値型、日付型、IPアドレス型、バイト列型、択一型、パスワード型等が有る。なお、設定値が設定されない分類項目について、データ型は無効な属性である。換言すれば、データ型に値が設定されていない設定項目は、分類項目に該当する。権限は、設定項目に対する設定値の変更の権限を有するユーザの識別情報である。設定画面500が表示される際の画像形成装置10のログインユーザが、権限を有さない設定項目については、設定画面500において非表示とされてもよいしグレーアウトされてもよい。レポート出力対象は、後述されるレポート印刷において出力対象であるか否かを示す属性である。セキュリティレベルは、セキュリティ(情報漏洩の防止)の観点における設定値の重要度を示す属性である。本実施の形態において、セキュリティレベルは、正の整数によって表現され、値が大きいほど重要度(セキュリティレベル)が高いこととする。
【0024】
設定受付部121は、項目階層記憶部131を参照することで、設定画面500の生成に必要な、設定項目間の階層関係を特定することができる。なお、図4には、便宜上、図3の設定画面の一部分に必要な設定項目に対応するレコードのみが示されているが、他の設定項目に対応するレコードも項目階層記憶部131に記憶されている。
【0025】
設定値記憶部132には、図5に示されるような情報が記憶される。図5は、設定値記憶部132の構成例を示す図である。
【0026】
図5において、設定値記憶部132には、非分類項目ごとに、項目ID、項目名、初期値及び設定値等を含むレコード(以下、「値レコード」という。)が記憶される。初期値は、設定値が設定されていない場合に、設定値として利用される値である。設定値は、設定画面500を介して設定された値である。なお、図5において、図3の設定画面500の設定領域520に対応する項目の設定値は、図3に示した設定値に対応する。
【0027】
設定受付部121は、設定画面500の設定領域520を生成する際に、非分類項目に該当する設定項目については、設定値記憶部132を参照して、当該設定項目の設定値として表示する値を特定する。具体的には、設定受付部121は、設定値が設定されている設定項目については、当該設定値を表示対象とし、設定値が設定されておらず、初期値が設定されている設定項目については、当該初期値を表示対象とする。一方、初期値及び設定値の双方が設定されていない設定項目について、設定受付部121は、当該設定項目に対応する入力部品の状態を、値が設定されていない状態とする。
【0028】
なお、設定受付部121は、設定画面500の設定領域520において、いずれかの設定項目の設定値が入力された(変更された)場合、設定値記憶部132において、当該設定項目の項目IDに対応する値レコードの「設定値」に、入力された設定値を記録(上書き)する。
【0029】
図2に戻る。設定項目追加部122は、画像形成装置10に対する機能の追加等によって新たな設定項目が画像形成装置10に追加される場合に、当該設定項目に関するレコードを項目階層記憶部131に追加するとともに、当該設定項目に関する値レコードを設定値記憶部132に追加する。
【0030】
レポート出力部123は、レポート出力の実行指示が画像形成装置10に対して入力されると、レポートの出力(印刷)の実行を制御する。レポートとは、各設定項目の設定内容を出力対象として含むデータをいう。
【0031】
以下、画像形成装置10が実行する処理手順について説明する。図6は、レポート出力の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0032】
例えば、操作パネル15を介してレポート出力の実行指示がサービスマン等によって入力されると(S101)、レポート出力部123は、項目階層記憶部131(図4)から未処理の1つの設定項目(以下、「対象項目」という。)に関する階層情報(レコード)を取得する(S102)。例えば、項目階層記憶部131(図4)に記憶されている順番に1つの階層情報が取得される。
【0033】
続いて、レポート出力部123は、対象項目がレポートの出力対象であるか否かを判定する(S103)。具体的には、レポート出力部123は、対象項目の階層情報の「レポート出力対象」の値が「True」であれば、対象項目が出力対象であると判定し、「False」であれば、対象項目が出力対象でないと判定する。
【0034】
対象項目が出力対象である場合(S103でYES)、レポート出力部123は、対象項目がセキュリティ項目であるか否かを判定する(S104)。セキュリティ項目とは、セキュリティの確保(情報漏洩の防止)の観点から出力対象とされない設定項目をいう。対象項目がセキュリティ項目であるか否かの判定は、画像形成装置10に対して予め設定されている、セキュリティレベルに関する閾値と、対象項目の階層情報に含まれているセキュリティレベルとを比較することで行われる。具体的には、対象項目のセキュリティレベルが当該閾値より大きければ、対象項目はセキュリティ項目であると判定され、当該セキュリティレベルが当該閾値以下であれば、対象項目はセキュリティ項目ではないと判定される。なお、対象項目にセキュリティレベルが設定されていない場合、対象項目はセキュリティレベルではないと判定される。但し、対象項目のセキュリティレベルに基づいて対象項目がセキュリティ項目でないと判定される場合であっても、対象項目の階層情報の親IDに値が設定されている場合(すなわち、対象項目に親項目が有る場合)であって、かつ、当該親項目がセキュリティ項目であると判定された場合には、対象項目もセキュリティ項目であると判定される。すなわち、設定項目の親子関係において、対象項目の上位(祖先)のいずれかの設定項目がセキュリティ項目であれば、対象項目もセキュリティ項目であると判定される。
【0035】
対象項目がセキュリティ項目ではない場合(S104でNO)、レポート出力部123は、対象項目の項目IDに対応付けられている初期値及び設定値を設定値記憶部132から取得する(S105)。続いて、レポート出力部123は、対象項目の階層情報を参照して、対象項目のデータ型が文字列型であるか否かを判定する(S106)。この判定は、対象項目に対して任意の文字列を初期値又は設定値として設定可能か否かの判定に相当する。すなわち、文字列型であれば任意の文字列を設定可能であり、文字列型でなければ任意の文字列を設定可能ではない。
【0036】
対象項目のデータ型が文字列型でない場合(S106でNO)、ステップS107は実行せずにステップS108へ進む。一方、対象項目のデータ型が文字列型である場合(S106でYES)、レポート出力部123は、対象項目の初期値及び設定値に対してマスク処理を実行して(S107)、ステップS108へ進む。マスク処理とは、初期値又は設定値としての文字列を、解読不能な他の文字列に変換(又は置換)する処理をいう。例えば、初期値及び設定値のそれぞれが、「---」に置換されてもよい。そうすることにより、機密情報が含まれている可能性がある文字列を解読不能とすることができ、機密情報の漏洩を防止することができる。マスク処理の実行に際し、レポート出力部123は、初期値及び設定値が異なる場合(すなわち、設定値が設定されている場合)、当該初期値のマスク処理後の文字列の末尾に、設定値が初期値と異なることを示す記号(例えば、"*"等)を付与してもよい。なお、初期値及び設定値のうち、値が空(値が無い)である初期値又は設定値については、マスク処理は不要である。
【0037】
ステップS108において、レポート出力部123は、対象項目をレポートへ追加する。この際、対象項目の階層情報の「親項目ID」に値が設定されている場合(すなわち、対象項目に親項目が有る場合)には、レポート出力部123は、対象項目の親項目よりもインデント(字下げ)を大きくすることで、対象項目が当該親項目の子項目であることを視認し易くしてもよい。
【0038】
ステップS108に続いて、ステップS109へ進む。なお、対象項目が出力対象でない場合(S103でNO)、又は対象項目がセキュリティ項目である場合(S104でNO)には、ステップS108は実行されずにステップS109へ進む。すなわち、セキュリティ項目については、レポートへの追加対象(すなわち、出力対象)とされない。
【0039】
ステップS109において、レポート出力部123は、対象項目が最後の設定項目であるか否か(すなわち、項目階層記憶部131に階層情報が記憶されている全ての設定項目について処理が終了したか否か)を判定する。対象項目が最後の設定項目でない場合(すなわち、未処理の設定項目が有る場合)(S109でNO)、レポート出力部123は、ステップS102以降を繰り返す。対象項目が最後の設定項目である場合(S109でYES)、レポート出力部123は、レポートの出力を制御する(S110)。例えば、レポート出力部123は、レポートの印刷を画像形成装置10に実行させる。その結果、レポートが出力される。
【0040】
図7は、レポートの第1の出力例を示す図である。図7に示されるレポートR1には、画像形成装置10の機器名(「機器A」)、レポートR1の出力日時(「2020/2/7 10:50」)、及びレポートR1へ追加された各設定項目の項目名、初期値及び設定値等が含まれる。文字列型の初期値及び設定値は、「---」によって出力されている。また、設定値と異なる初期値に対しては、"*"が付加されている。なお、初期値だけでなく、項目名又は設定値等に対して、"*"が付加されてもよい。更に、親項目を有する設定項目は、親項目よりも大きくインデントされている。 なお、図7のレポートR1は、画像形成装置10に設定されたセキュリティレベルの閾値が「3」である例に基づく。したがって、図4において、「セキュリティレベル」が「3」である(閾値以下である)、「LDAPサーバ1」及び「LDAPサーバ2」は、セキュリティ項目に該当しないため、レポートR1に含まれている。
【0041】
一方、図4において、「レポート出力対象」が「False」である「接続テスト」は、レポートR1に含まれていない。
【0042】
続いて、画像形成装置10に対する機能の追加等により、画像形成装置10に対して新たな設定項目が追加された場合に画像形成装置10が実行する処理手順について説明する。図8は、設定項目の追加に応じて画像形成装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図8の処理手順は、機能の追加に同期して実行されてもよいし、機能の追加後の任意のタイミング(例えば、ユーザによって実行指示が入力されたタイミング)において実行されてもよい。
【0043】
ステップS201において、設定項目追加部122は、機能の追加(例えば、当該機能に対応するプログラムのインストール等)に伴って入力される、追加項目データを読み込む。
【0044】
図9は、追加項目データの構成例を示す図である。図9に示されるように、追加項目データには、機能の追加に伴って追加される設定項目(以下、「追加項目」という。)ごとに、項目ID、親項目ID、項目名、データ型、初期値、権限、レポート出力対象及びセキュリティレベル等の属性の値を含む。これら各属性の意味は上記した通りである。なお、追加項目データは、例えば、ファイルの形式で入力されてもよいし、他の形式で入力されてもよい。図9において、1番目の追加項目の「親項目ID」は、図9に示される追加項目データに含まれるいずれの項目IDにも一致しない。当該親項目IDは、既存の設定項目に対する項目IDだからである。すなわち、1番目の追加項目の「親項目ID」は、既存の設定項目のうち、当該追加項目の親項目を指定する情報である。このように、追加項目については、既存の設定項目のいずれかを親項目として指定することができる。
【0045】
続いて、設定項目追加部122は、追加項目データに含まれる追加項目の中から、1つの未処理の追加項目(以下、「対象項目」という。)に関する情報(以下、「追加項目情報」という。)を取得する(S202)。
【0046】
続いて、設定項目追加部122は、対象項目に関する階層情報を項目階層記憶部131(図4)に記録する(S203)。当該階層情報は、対象項目の追加項目情報から抽出可能である。
【0047】
続いて、設定項目追加部122は、対象項目が非分類項目であるか否かを判定する(S204)。斯かる判定は、対象項目の追加項目情報の「データ型」を参照することで実行可能である。すなわち、当該「データ型」に値が設定されていれば、対象項目は非分類項目であり、当該「データ型」に値が設定されていなければ、対象項目は非分類項目ではない(分類項目である)。
【0048】
対象項目が分類項目である場合(S204でNO)、ステップS209へ進む。対象項目が非分類項目である場合(S204でYES)、設定項目追加部122は、対象項目の値レコードを設定値記憶部132に記録する(S205)。当該値レコードには、対象項目の追加項目情報に含まれている項目ID、項目名及び初期値が記録される。
【0049】
続いて、設定項目追加部122は、対象項目に親項目が有るか否かを判定する(S206)。対象項目に親項目が有るか否かは、対象項目の追加項目情報の「親項目ID」に他の設定項目の項目IDが設定されているか否かによって判定可能である。すなわち、当該「親項目ID」に他の設定項目の項目IDが設定されている場合、対象項目には親項目が有ることになる。
【0050】
対象項目に親項目が有る場合(S206でYES)、設定項目追加部122は、対象項目のセキュリティレベルが、親項目のセキュリティレベルより高いか否かを判定する(S207)。対象項目のセキュリティレベルは、対象項目の追加項目情報から取得可能である。親項目のセキュリティレベルは、対象項目の追加項目情報の「親項目ID」に設定されている項目IDに対応付けられて項目階層記憶部131に記憶されている。セキュリティレベルの高さは、セキュリティレベルの値の大小によって判定可能である。
【0051】
対象項目のセキュリティレベルが親項目のセキュリティレベルよりも低い(小さい)場合(S207でYES)、設定項目追加部122は、ステップS203において項目階層記憶部131に記録された対象項目のセキュリティレベルを親項目のセキュリティレベルによって上書き(更新)して(S208)、ステップS209へ進む。すなわち、対象項目のセキュリティレベルが、出力対象としての条件(本実施の形態では閾値以下であること)を満たす状態において、親項目のセキュリティレベルが当該条件を満たさない可能性が有る場合に、親項目のセキュリティレベルが対象項目に対して設定される。なお、対象項目のセキュリティレベルが親項目のセキュリティレベルよりも低い場合には、対象項目のセキュリティレベルに値が設定されていない場合も含む。
【0052】
一方、対象項目に親項目が無い場合(S206でNO)、又は対象項目のセキュリティレベルが親項目のセキュリティレベル以上である場合(S207でNO)、ステップS208は実行されずにステップS209へ進む。なお、対象項目のセキュリティレベルが親項目のセキュリティレベル以上である場合には、親項目にセキュリティレベルが設定されていない場合も含む。
【0053】
ステップS209において、設定項目追加部122は、対象項目が最後の追加項目であるか否か(すなわち、追加項目データに含まれている全ての追加項目について処理が終了したか否か)を判定する。対象項目が最後の追加項目でない場合(すなわち、未処理の追加項目が有る場合)(S209でNO)、設定項目追加部122は、ステップS202以降を繰り返す。対象項目が最後の追加項目である場合(S209でYES)、図8の処理手順は終了する。
【0054】
図9に示した追加項目データにおいて、1番目の追加項目の親項目IDは「112233」である。また、2番目及び3番目の追加項目の親項目IDは、1番目の追加項目の項目IDである。図4によれば、項目ID「112233」に対応する設定項目は、「ユーザ認証」である。したがって、ユーザ認証の下位に(子項目として)1番目の追加項目である「XXサーバ認証」が追加され、さらに当該追加項目の下位に、2番目及び3番目の追加項目が追加されることになる。したがって、図9に示される追加項目が追加された後に図6の処理手順が実行されると、図10に示されるようなレポートが出力される。
【0055】
図10は、レポートの第2の出力例を示す図である。ここでは、図10に示されるレポートR2について、図7のレポートR1との相違点を説明する。
【0056】
レポートR2では、「ユーザ認証」の直下に、「LDAP認証」と並んで(「LDAP認証」と同じ階層に)「XXサーバ認証」が追加されている。また、「XXサーバ認証」の下位には、「XXサーバ認証」の子項目である「ポート番号」が追加されている。なお、図9において「XXサーバ認証」の子項目である「サーバ名」は、レポートR2に含まれていない。これは、図10が、図7と同様に、セキュリティレベルに対する閾値が「3」である例に基づくからである。すなわち、「サーバ名」のセキュリティレベル(=4)は、当該閾値(=3)よりも大きいため、レポートR2に出力されない。一方、「ポート番号」のセキュリティレベル(=2)は、当該閾値(=3)以下であるため、レポートR2に出力される。
【0057】
上述したように、本実施の形態によれば、各設定項目は出力対象であるか否かを区別するための所定の属性としてセキュリティレベルを有し、セキュリティレベルと閾値との比較によって出力の可否(要否)が判定される。追加項目については、親項目のセキュリティレベルの方が高ければ、親項目のセキュリティレベルが自動的に設定される。すなわち、追加項目に対して予めセキュリティレベルを設定せずとも、親項目と同じ設定を追加項目に対して与えることができる。その結果、情報処理装置(画像形成装置10)に追加された設定項目の出力の可否に関する設定作業の負荷を軽減することができる。
【0058】
なお、本実施の形態を適用可能な情報処理装置は、画像形成装置10に限られない。例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等の情報処理装置に対して本実施の形態が適用されてもよい。
【0059】
また、単一の機器ではなく、複数の情報処理装置(機器)を含む情報処理システムに対して本実施の形態が適用されてもよい。この場合、図2に示した各部は、複数の情報処理装置に分散されてもよい。
【0060】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0061】
なお、本実施の形態において、画像形成装置10は、情報処理装置の一例である。レポート出力部123は、出力部の一例である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 NVRAM
121 設定受付部
122 設定項目追加部
123 レポート出力部
131 項目階層記憶部
132 設定値記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【文献】特開2010-062775号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10