IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図1
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図2
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図3
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図4
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図5
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図6
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図7
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図8
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図9
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図10
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図11
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図12
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図13
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図14
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図15
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図16
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図17
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図18
  • 特許-処理装置、方法、及びプログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20240501BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20240501BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240501BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20240501BHJP
【FI】
G01N35/04 E
A61B5/1172
G01N35/04 F
G06T7/00 530
G06T7/00 612
G06T7/90 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020118679
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015675
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-332691(JP,A)
【文献】特開2017-072568(JP,A)
【文献】特開2010-054425(JP,A)
【文献】特開2016-045200(JP,A)
【文献】特開2005-134366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
A61B 5/1172
G06T 7/90
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象をセットする挿入手段と、
前記処理対象に対し保護材料を付加する付加手段と、
前記処理対象を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記処理対象を読み取る読取手段と、
前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理する処理手段と、
前記検査指標の処理結果を出力する出力手段と、
読み取り後の前記処理対象を排出する排出手段と、
前記挿入手段から複数の前記処理対象が搬送されると前記読取手段の読取位置で前記処理対象を連続的に読み取らせる制御手段とを有する、
処理装置。
【請求項2】
処理対象をセットする挿入手段と、
前記処理対象を搬送する搬送手段と、
前記挿入手段から搬送された複数の前記処理対象を待機させる待機手段と、
前記待機手段から前記搬送手段により搬送された前記処理対象を読み取る読取手段と、
前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理する処理手段と、
前記検査指標の処理結果を出力する出力手段と、
読み取り後の前記処理対象を排出する排出手段と、
前記挿入手段から複数の前記処理対象が搬送されると前記待機手段に待機させて前記読取手段の読取位置で複数の前記処理対象を連続的に読み取らせる制御手段とを有する、
処理装置。
【請求項3】
処理対象をセットする挿入手段と、
読み取りを操作した指の指紋情報を検出して、前記指紋情報に紐づく情報を前記処理対象の被検者の情報として取得する指紋検出部と、
前記処理対象を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記処理対象を読み取る読取手段と、
前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理する処理手段と、
前記検査指標の処理結果を出力する出力手段と、
読み取り後の前記処理対象を排出する排出手段と、
前記挿入手段から複数の前記処理対象が搬送されると前記読取手段の読取位置で前記処理対象を連続的に読み取らせる制御手段とを有する、
処理装置。
【請求項4】
処理対象である検体が滴下された状態の検査デバイスが複数配置されている透明フィルムをセットする挿入手段と、
前記透明フィルムを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記透明フィルムの複数の前記検査デバイスに滴下されている検体を読み取る読取手段と、
前記検体の読み取り結果の画像情報に基づき前記検体の検査指標を定量的に処理する処理手段と、
前記検査指標の処理結果を出力する出力手段と、
読み取り後の前記透明フィルムを排出する排出手段と、
前記挿入手段から前記透明フィルムが搬送されると前記読取手段の読取位置で複数の前記検体を連続的に読み取らせる制御手段とを有する、
処理装置。
【請求項5】
前記処理対象に対し保護材料を付加する付加手段をさらに有する、
請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記挿入手段から搬送された複数の前記処理対象を待機させる待機手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記待機手段に待機させた複数の前記処理対象を前記読取手段で連続的に読み取らせる、
請求項1、3、4のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記処理結果に対して判定を行う判定手段をさらに有し、
前記処理手段は、前記検査指標を前記画像情報に含まれる色味情報を基に数値化する処理を行い、
前記判定手段は、前記検査指標が数値化されたデータから前記処理対象が示す状態を判定する、
請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
基準シートを搬送して読み取らせることにより前記読取手段の読取結果の誤差を補正する補正手段をさらに有する、
請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項9】
読み取り後の前記処理対象を後処理する後処理手段をさらに有する、
請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項10】
前記後処理手段は、排出された前記処理対象を安全に取り出すための後処理を行う、
請求項に記載の処理装置。
【請求項11】
電池駆動のための電力供給手段を有する、
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項12】
指紋検出部をさらに有し、
前記指紋検出部で検出された指紋情報に紐づく情報を前記処理対象の被検者の情報として取得する、
請求項1、2、4のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項13】
前記処理対象は検体であり、
前記検体は検査デバイスに滴下された状態で前記挿入手段にセットされる、
請求項1、2、3のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項14】
前記検査デバイスを複数配置するための透明フィルムを有し、
前記検査デバイスが配置された前記透明フィルムが前記挿入手段にセットされる、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項15】
前記読取手段は1次元センサである、
請求項1乃至1のうちのいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項16】
処理対象をセットするステップと、
前記処理対象に対し保護材料を付加するステップと、
前記処理対象を搬送するステップと、
搬送された前記処理対象を読み取るステップと、
前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理するステップと、
前記検査指標の処理結果を出力するステップと、
読み取り後の前記処理対象を排出するステップと、
複数の前記処理対象が搬送されると前記処理対象を連続的に読み取らせるステップと、
を含む方法。
【請求項17】
処理対象をセットする挿入手段と、
前記処理対象に対し保護材料を付加する付加手段と、
前記処理対象を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記処理対象を読み取る読取手段と、
検査指標の処理結果を出力する出力手段と、
読み取り後の前記処理対象を排出する排出手段と、
を有する装置のコンピュータに、
前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理する処理手段と、
前記挿入手段から複数の前記処理対象が搬送されると前記読取手段で前記処理対象を連続的に読み取らせる制御手段と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型のベルト搬送ユニットと複数の載置台とを組み合わせ、載置台に載置した複数の測定対象物を搬送ベルトで搬送して測定する測定装置がある。
【0003】
例えば、ベルト搬送で搬送した試験片をベルト搬送時の振動の影響を抑えるために一度静止し、その静止した状態で撮像を行うといった搬送ユニットの制御を行う試験片分析装置が開示されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のような搬送ユニットでは、測定対象を載置台にセットしてから測定を終えるまでの間に測定対象の搬送を一度静止するなど一連の動作が間欠的に行われている。昨今ではウィルス検査のために大量の検体の処理が必要とされているが、従来の技術では検体の数が増えると処理を終えるまでにより多くの時間がかかってしまい、効率的ではないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、検体などの複数の処理対象を効率的に処理することができる処理装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の処理装置は、処理対象をセットする挿入手段と、前記処理対象に対し保護材料を付加する付加手段と、前記処理対象を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記処理対象を読み取る読取手段と、前記処理対象の読み取り結果の画像情報に基づき前記処理対象の検査指標を定量的に処理する処理手段と、前記検査指標の処理結果を出力する出力手段と、読み取り後の前記処理対象を排出する排出手段と、前記挿入手段から複数の前記処理対象が搬送されると前記読取手段の読取位置で前記処理対象を連続的に読み取らせる制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検体などの複数の処理対象を効率的に処理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる検査デバイスの構成の一例を示す図である。
図2図2は、紙製マイクロ流体デバイスの機能説明図である。
図3図3は、検体測定装置の全体構成の一例を示す図である。
図4図4は、検査部の数値化後の値の一例を示す図である。
図5図5は、検体測定処理の制御フローの一例を示す図である。
図6図6は、変形例1にかかる検体測定装置の全体構成の一例を示す図である。
図7図7は、付加手段の配置の一例を示す図である。
図8図8は、検体測定処理の制御フローの一例を示す図である。
図9図9は、変形例2にかかる検体測定装置の全体構成の一例を示す図である。
図10図10は、待機手段の構成の一例を示す図である。
図11図11は、検体測定装置の制御フローの一例を示す図である。
図12図12は、変形例3にかかる検体測定装置で基準シートを読み取った読取画像の一例を示す図である。
図13図13は、変形例4にかかる後処理手段の構成の一例を示す図である。
図14図14は、変形例5にかかる検体測定装置の構成の一例を示す図である。
図15図15は、変形例6にかかる検体測定装置の構成の一例を示す図である。
図16図16は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図17図17は、ADFの内部構成を示す詳細図である。
図18図18は、第3の実施の形態にかかる画像読取装置の構成の一例を示す図である。
図19図19は、検体フィルムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、処理装置、方法、及びプログラムの実施の形態について詳細に説明する。以下では、処理装置として検体測定装置と画像処理装置(画像形成装置および画像読取装置)への適用例について示す。検体や検査デバイスなどを処理対象の一例として示す。
【0010】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態として検体測定装置について説明する。まず、検体測定装置により処理される処理対象である被検者の検体の処理対象物の構成について説明し、その後で検体測定装置の構成について説明する。
【0011】
(検査デバイス)
検体は、化学物質と反応させて成分を検出する検査デバイスにより検体測定装置に提供され処理される。検査デバイスは、基板や専用チップでの実施も可能だが、安価に検査することができる紙製のデバイスの利用が可能である。ここで紙製のデバイスとは、紙と疎水性ワックスで形成する紙製マイクロ流体デバイスのことである。以下では、検査デバイスの一例として紙製マイクロ流体デバイスの構成について説明する。
【0012】
図1は、第1の実施の形態にかかる検査デバイスの構成の一例を示す図である。図1には紙製マイクロ流体デバイスの平面図を示している。紙製マイクロ流体デバイスの幅は1cm程度のものを示している。
【0013】
図1に示す紙製マイクロ流体デバイス1は、流体が浸透する紙f上に疎水性ワックスgを形成して、検体入力部11と、前処理部12と、検査部13との機能部に分けられている。紙fには浸透性の高い紙、例えば「ろ紙」などを使用している。血液や尿や唾液などの検体eは、検体入力部11と、前処理部12と、検査部13とに順に浸透する。これら各機能部を検体eが進む紙の領域を検査紙と呼ぶことにする。
【0014】
図2は、紙製マイクロ流体デバイス1の機能説明図である。図2(a)~図2(d)に示す検体eの処理手順を参照しながら紙製マイクロ流体デバイスの機能について説明する。図2(a)~図2(d)の順に検体eが各機能部に浸透していく様子を示している。
【0015】
図2(a)には、検体入力部11に検体eを滴下したときの状態を示している。検体eは検体入力部11への滴下により検査紙f1に浸透する。
【0016】
続いて図2(b)に示すように、検体入力部11に浸透した検体eが検査紙f1を伝って前処理部12に到達する。前処理部12は、到達した検体eに対し検査の前処理として必要な成分の混合や必要な成分の摘出(分離)などを行う。
【0017】
続いて図2(c)に示すように、前処理部12で処理された検体eがさらに検査紙f1を伝って検査部13に到達する。検査部13は、前処理がなされた検体eから、患者の状態を判別できるようにするバイオマーカについて成分との反応検査を行う。具体的には、検査部13では、前処理がなされた検体eに含まれる成分物質の含有量に応じて色が変化する化学物質を反応させる。図2(d)に示す例では、前処理がなされた検体eがそれぞれ5種類の検査位置m1~m5に到達し、それぞれの位置m1、m2、m3、m4、m5で、それぞれ異なる化学物質による検査が行われる。一例としては、位置m1でグルコースの検査、位置m2でプロテインの検査、位置m3でケトンの検査、位置m4で亜硝酸塩の検査、そして位置m5でコントールの検査が行われる。各位置m1、m2、m3、m4、m5にそれぞれの検査の指標として示される色味や濃度を読み取ることで検体e中の成分の含有状態が分かり、被検者の状態を判別する指標として用いることができる。
【0018】
(検体測定装置)
続いて、検体測定装置の構成について説明する。ここでは検体測定装置が備える全体構成について図3を参照しながら説明する。なお、以下において検体測定装置は交流のコンセントから電力供給を受けて動作する。
【0019】
図3は、第1の実施の形態にかかる検体測定装置の全体構成の一例を示す図である。図3に示す検体測定装置2は、制御手段20と、挿入手段21と、搬送手段22と、読取手段(発光手段23および受光手段24)と、処理手段25と、判定手段26と、出力手段27と、後処理手段28と、情報入力手段29とを有する。ここで、後処理手段28は排出手段の一例である。また、発光手段23、判定手段26、および情報入力手段29は適宜省略するなどしてもよい。
【0020】
制御手段20、処理手段25、および判定手段26は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成する。一例として、CPUがROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリに記憶されている制御プログラムを読み込んで処理を実行するものとするが、この構成に限定されない。例えば、それらの一部またはすべてをASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0021】
制御手段20は、検体測定装置2全体を所定の手順で制御する。本実施の形態では、制御手段20は、処理の一例として、各手段を制御して検査デバイスd(例えば紙製マイクロ流体デバイス1など)の連続測定を行う検体測定処理を行う。
【0022】
挿入手段21は、検査デバイスdを検体測定装置2にセットする手段である。例えば、挿入手段21は搬送装置や、挿入機構などである。挿入手段21として搬送装置を設ければ、上流側の装置から検体eを滴下した検査デバイスdを搬送装置に乗せて搬送路sの入り口手前にセットする。また、挿入機構は、測定作業者などが検査デバイスdを検体測定装置2内部に挿入するための載置台や複数の検査デバイスdを一つずつ搬送路sに挿入する機構である。
【0023】
搬送手段22は、例えばローラと、ローラの駆動機構であり、挿入手段21に挿入された検査デバイスdをローラの回転により搬送路sに乗せて搬送する。搬送をベルトレスで駆動するため搬送時の振動が抑えられる。搬送路s上に設けた複数組のローラは、向かい合わせとなる位置で搬送路sの両面を挟持する。検査デバイスdのサイズや材質、さらには必要とする搬送性能などに応じてローラ間隔等の設定は最適に調整する。このように、本実施の形態では、搬送手段22のローラにより検査デバイスdを直接送って搬送する。
【0024】
発光手段23および受光手段24は読取手段である。発光手段23は、発光源として例えばLED(Light Emitting Diode)等を有し、搬送手段22により搬送される検査デバイスdに測定のための光を照射する。受光手段24は、反射方式であれば発光手段23が検査デバイスdに照射した光の反射光を、透過方式であれば検査デバイスdを透過した透過光を受光し、受光した光に基づく読取信号をデータ出力する。発光手段23と受光手段24には、検体eの種類や検出したい成分などに応じて特定の波長の光を設定する。
【0025】
特定の波長の光は、可視光に限らず人間の目には見えない赤外光など特殊光を使用してもよい。例えば、血液中のヘモグロビンは近赤外光を吸収するが、ヘモグロビンに酸素がついていると、近赤外光の吸収の度合いが変化する。そのため、その度合いの変化を測定する場合においては、発光手段23で赤外光を照射し、受光手段24で赤外光を受光して得たデータでヘモグロビンの吸収度を数値化する。これにより、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンの変化量を測定する。
【0026】
また、本実施の形態では、受光手段24として1次元センサを設置し、複数の検査デバイスdを連続で読み取る制御を行う。例えば複数の検査デバイスdを1次元センサの画素の配列方向に並べて搬送手段22で搬送し、複数の検査デバイスdを並列に連続で読み取る制御を行うこともできる。1次元センサはコピー機のスキャナ等に読取センサとして設けられている構成のものでもよい。例えばセンサ自身もしくは検査の対象物を移動させながら、高解像度で読むことができ、FA(Factory Automation)の現場でも高速検査が必要な際に用いることができる。また、搬送手段22をベルト駆動の搬送ベルトをなくした構成としたことにより読取方式として透過方式と反射方式のどちらも採用することが可能である。
【0027】
処理手段25は、受光手段24から出力されたデータを基に検査指標を定量的に処理する。定量的な処理であるため、色味を正確に測定し検体の詳細な状態を把握することができる。具体的に、処理手段25は、検査部13の読取データ(画像情報)を基に各バイオマーカの色味情報(色味や濃度)を数値化する。判定手段26は、処理手段25が数値化した結果(処理結果)に基づいて被検者の状態を判定し、その判定結果を出力する。例えば、各バイオマーカの数値を所定の基準値と比較し、基準を超えている場合に、OK/NGなどの出力を行う。OKは、感染症等の陽性の疑いがある場合、NGは陰性の可能性がある場合など、任意に設定してよい。感染症には、例えばジカ熱などがある。
【0028】
なお、結果の出力は、バイオマーカ全体の数値バランスに基づくOK/NGなどの出力でもよいし、一つでもバイオマーカが基準値を超えている場合にOK/NGなどの出力を行ってもよい。
【0029】
出力手段27は、処理手段25の処理結果である数値データや判定手段26の判定結果を出力する。一例として出力手段27は検体測定装置2の液晶等のディスプレイであり、数値データと判定結果をディスプレイに表示させる。液晶等のディスプレイは、検体測定装置2に内蔵させたものでも外部接続したものでもよい。また、出力手段27は数値データと判定結果を内蔵のプリンタまたは外部接続したプリンタなどでプリント出力させてもよい。
【0030】
後処理手段28は、受光手段24での読み取りが終わった検査デバイスdを後処理して検体測定装置2から取り出し可能にして排出する。この例では検体を扱っているため、測定を終えた検査デバイスdに対し必要な後処理を行っている。必要な後処理とは、例えば取扱者の2次感染を防ぐため、測定を終えた検査デバイスdの検体e内に含まれている毒素や、細菌や、ウィルスなどを中和する混合処理や、検体eを粉砕する裁断処理などが含まれる。測定対象が後処理が不要なものである場合には、後処理を含めなくてもよい。
【0031】
情報入力手段29は、例えば操作部のキーボードや操作部の操作パネルなどである。情報入力手段29は検査デバイスdにより検体検査が行われた患者等の被検者の情報を入力する。なお、情報入力手段29は、被検者の情報が二次元バーコードや三次元バーコードで提供されている場合には、それらに対応する読取装置で読み取ることにより情報を入力してもよい。
【0032】
続いて、検査部13の画像として光の3原色であるR(Red)とG(Green)とB(Blue)の画像情報を取得した場合の数値化処理について一例を挙げて説明する。例えば発光手段23として白色LEDを使用し、受光手段24としてカラーイメージセンサを使用する。つまり発光手段23から白色光を照射し、受光手段24で入射光に対してカラーフィルタ等によりRGBに色分解された光をそれぞれ受光する。受光手段24で電気信号に変換されたR画像データとG画像データとB画像データは、各色の系統ごとにデジタルデータとして処理手段25に入力される。R画像情報とG画像情報とB画像情報のそれぞれの画素の読取値をそれぞれ数値化することにより、各バイオマーカを色情報として数値化する。
【0033】
処理手段25は、検査部13の色情報をそれぞれR、G、Bの数値データとして処理し、その結果(Rn、Gn、Bn)を出力する。ここで「n」は1、2、・・・であり、Rn、Gn、Bnは、任意の数値を示す。
【0034】
図4は、検査部13の数値化後の値の一例を示す図である。図4には、図1に示す5つの反応薬と検体eが反応して色変化した検査部13の画像Qと、数値化後の結果とを、両者を比較できるように並べて示している。図4に示す5つの位置m1、m2、m3、m4、m5のバイオマーカは、反応薬と反応した場合に色や濃度が変化する。図4に示す例において、位置m1のバイオマーカは(R1、G1、B1)、位置m2のバイオマーカは(R2、G2、B2)などの結果を示している。(R1、G1、B1)は例えば赤であり、(R2、G2、B2)は例えば紫である。なお、判定に必要な色の階調性に応じてイメージセンサや処理手段25の分解能、例えばA/D変換のbit数などを予め決めておく。
【0035】
続いて検体測定装置2の制御について説明する。検体測定装置2は、制御手段20のCPUがメモリに記憶されている制御プログラムを読み込んで実行し、検体測定処理を行う。
【0036】
図5は、検体測定処理の制御フローの一例を示す図である。まず、CPUは、挿入手段21への検査デバイスdの挿入を受け付ける(ステップS1)。例えば操作者が検査デバイスdを挿入手段21にセットする。複数の検査デバイスdを挿入手段21にセットしてもよい。
【0037】
検査デバイスdが挿入されると、CPUは、情報入力手段29での入力を可能にし、被検者の氏名や年齢などの検査情報(被検者情報)の入力を受け付ける(ステップS2)。さらに、CPUは、測定開始かどうかの判定を行う(ステップS3)。例えば、CPUは情報入力手段29で測定開始の操作を受け付けたかどうかにより測定開始かどうかを判定する。測定開始の操作を受け付けていない場合(ステップS3:No)、CPUは、測定開始の操作を待つ。
【0038】
そして、CPUは、測定開始の操作を受け付けると(ステップS3:Yes)、搬送手段22を制御し、搬送手段22のローラの回転により搬送路sに沿って検査デバイスdの搬送を開始する(ステップS4)。複数の検査デバイスdがセットされている場合、検査デバイスdを挿入手段21から一つずつ繰り出して搬送してもよいし、複数の検査デバイスdを並列に並べて搬送させてもよい。複数の検査デバイスdを並列に並べて搬送させる構成については、第3の実施の形態において詳しく説明する。
【0039】
CPUは、検査デバイスdが読取位置に到達すると読取手段(発光手段23および受光手段24)を制御し、検査デバイスdをスキャンして読取データを出力する(ステップS5)。
【0040】
CPUは、受光手段24からの出力データを処理手段25で処理することにより測定結果を取得する(ステップS6)。例えば、処理手段25は、検査デバイスdごとに、検査部13の例えば5つのバイオマーカについて、それぞれ、読取データの読取値から色味や濃度をそれぞれの検査指標として数値化する。
【0041】
CPUは、測定結果が得られると、判定手段26により判定を行う(ステップS7)。例えば、判定手段26は、バイオマーカの各指標値を予め決められた基準値に基づいてOK/NGの判定を行う。一例として、OK/NGとは、血液の検体情報からジカ熱感染であるかをOKやNGで示している。
【0042】
OKの場合(ステップS7:Yes)、CPUは、検査結果を「OK」、つまり「ジカ熱感染」の疑いあり、として表示ディスプレイなどに出力する(ステップS8)。NOの場合(ステップS7:No)、CPUは、検査結果を「NO」、つまり「ジカ熱感染」の疑いなし、として表示ディスプレイなどに出力する(ステップS9)。
【0043】
検査結果の出力後、CPUは、後処理手段28を制御して検査デバイスdの後処理を実行して排出する(ステップS10)。
【0044】
そして、CPUは、すべての検査デバイスdの測定が終了したかを判定し(ステップS11)、すべての検査デバイスdの測定が終了した場合には(ステップS11:Yes)、検体測定処理を終了する。
【0045】
また、CPUは、連続して測定する検査デバイスdがある場合には(ステップS11:No)、続く検査デバイスdを対象にステップS4からの手順を実行する。つまりCPUは、挿入手段21に複数の検査デバイスdがセットされると、続く検査デバイスdについても自動で同様のフローを実行し、続く検査デバイスdの読み取りを読取位置で連続して行う。この場合、複数の挿入手段21にセットされたすべての検査デバイスdの測定が終了した時点で処理が終了となる。
【0046】
以上のように、本実施の形態では、複数の検査デバイスdを連続で読み取ることができる。このため特に多数の検査デバイスdの測定を行う場合には、途中で搬送を停止するなどの間欠動作の回数を減らしたりなくしたりすることができるため、大量の検査デバイスdを短時間に効率よく処理することが可能になる。
【0047】
また、搬送手段22がベルト駆動の搬送ベルトをなくしたことにより読取方式として透過方式と反射方式のどちらでも採用することが可能になっている。そのため、透過方式または反射方式の選択を変えることで搬送路sの設計の自由度も向上する。
【0048】
さらに、バイオマーカの色や濃度を数値化して示すことにより、例えば感染等の疑いだけでなく、数値データから検体eの状態を詳細に把握することができ、処方内容を細分化することが可能となる。
【0049】
(変形例1)
検体eに含まれる成分の経時変化や外気成分の付着を防止するために、すぐに検査デバイスdの処理を開始したいが、検体測定装置2内に乾いてない検体eが付着する可能性がある。そこで、検査デバイスdの搬送を開始する前(搬送路の入り口などの再上流部)に、透明シートの貼り付けやグロストナーを塗布するなどによりコーティング層を付加することで、すぐに検査デバイスdの搬送を行えるようにする構成を変形例1として示す。ここでは第1の実施の形態の検体測定装置2の構成(図3参照)と異なる部分について説明し、共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略する。
【0050】
図6は、変形例1にかかる検体測定装置2の全体構成の一例を示す図である。変形例1にかかる構成では、挿入手段21の近傍に付加手段31を設けている。付加手段31は、検体eの経時変化や搬送路sの汚れ防止のために、検査デバイスdの表面に対し保護材料によりコーティング層を付加する。コーティング層は透明シートやグロストナーの他に、コーティングフィルムの貼り付けや、他のコーティング剤の塗布など、いくつかの付加方法があるが、その方法は特に限定されない。
【0051】
図7は、付加手段31の配置の一例を示す図である。図7に示すように付加手段31は、挿入手段21に挿入された検査デバイスdの上方、例えば搬送手段22の1つ目のローラにより搬送方向へ送られる搬送前の位置の上方に設けられ、上方から検査デバイスdの表面(検査面)にコーティングLを付加する。
【0052】
なお、検査面にコーティングとして付加する材料を液体とする場合には、検体eに含まれる物質との化学変化などの影響がなく、透明度や速乾性の高い材料で実施する。例えば検体eが血液である場合には、ポリエステルで構成された透明なコート剤でコーティングする。コート剤は産業分野においてグロスコーティング用途で利用されているものを使用する。また、最近では採取後の血液を保護する透明シート等もポリエステルで構成されており、それらも血液を保護し、速乾性にも優れる。よって、それら透明シートを貼り付ける機構を付加手段31として設けてもよい。この場合、貼付け方法としては、コピー機で使われる後処理装置としてのステープラがあるので、それを使って透明シートを検査デバイスdの表面にステープル止めしてから搬送してもよい。
【0053】
なお、コーティングにより検体eの色味が変わる可能性がある場合には、例えば判定手段26による判定の際に、基準となるR、G、Bの値にオフセットをもたせておくなどして判定を行うようにする。
【0054】
一方、付加手段31として熱定着で紙に蒸着させる方法は避けることが望ましい。高温状態に検体eをさらすことになるので血液の場合、凝固してしまい、変色してしまう。このため、高温状態を伴う付加方法は避けるようにすることが望ましい。
【0055】
検査デバイスdの表面に対するコーティングの付加処理は、CPU等の制御手段20でタイミングを制御することにより検査デバイスdごとに毎回実施する。
【0056】
付加するタイミングは搬送前とすることが望ましい。搬送による搬送路sの汚れを未然に防止することができる。例えば検体測定装置2の測定開始のタイミングでコーティングを行う、あるいは検査デバイスdがセットされたことをフォトセンサなどで検知した瞬間にコーティングを行う。
【0057】
続いて変形例1にかかる検体測定装置2の制御について説明する。検体測定装置2は、制御手段20のCPUがメモリに記憶されている制御プログラムを読み込んで実行し、検体測定処理を行う。
【0058】
図8は、検体測定処理の制御フローの一例を示す図である。ここでは第1の実施の形態の検体測定装置2の制御フロー(図5参照)と異なる部分について説明し、共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略する。
【0059】
図8に示す制御フローにおいて、CPUは、ステップS1~ステップS3を行い、測定開始の操作を受け付けると(ステップS3:Yes)、付加手段31を制御して検査デバイスdの表面をコーティングする(ステップS21)。検査デバイスdは、搬送手段22のローラの手前に挿入されている。コーティングが終わると、CPUは、図5と同様にステップS4からの処理つまり搬送手段22を制御して搬送手段22のローラの回転により搬送路sに沿って検査デバイスdの搬送を開始する。それ以降の処理は第1の実施の形態の処理と共通するため、ここでの説明を省略する。
【0060】
以上のように付加手段31を設けることにより、検体の経時変化や外気成分付着を防止することができ、さらに検体測定装置2内の搬送路sの汚れも防止することができる。よって、この構成によれば検体eの乾燥を待たずにすぐに読み取りなどの処理を行うことができる。
【0061】
(変形例2)
複数の検査デバイスdを連続読取する場合の変形例2の構成を示す。挿入手段21で順次挿入された検査デバイスdを読取位置の手前で一時的にスタックしておくことにより複数の検査デバイスdを連続読取するように構成する。ここでは変形例1の検体測定装置2の構成(図6および図7参照)と異なる部分について説明し、共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略する。
【0062】
図9は、変形例2にかかる検体測定装置2の全体構成の一例を示す図である。変形例2にかかる構成では、図9に示すように待機手段41を設けている。待機手段41は、挿入手段21と読取位置の間の搬送途中に設け、挿入手段21から順次挿入された検査デバイスdを読取位置より手前の搬送途中でスタックして待機させる。また、待機手段41は、スタックした複数の検査デバイスdを、制御手段20の制御により検査デバイスdが読取位置で一つずつ連続して読み取られるように時間を調整して読取位置に送り出す。
【0063】
図10は、待機手段41の構成の一例を示す図である。図10に示す例において、挿入手段21から挿入された検査デバイスdは、付加手段31によりコーティングが行われた後、搬送手段22のローラにより待機手段41のスタック部に搬送されて一時的にスタックされる。この構成によると、例えば測定作業者が自分のペースで挿入手段21に検査デバイスdを一つずつ挿入することができ、測定作業者が検査デバイスdを一つ挿入する度に、コーティングが行われスタック部にスタックされることになる。スタックされた複数の検査デバイスdは、測定開始命令を受けるなどしてから一つずつ自動で読取位置へと繰り出される。例えば待機手段41に設けられている搬送手段22(繰り出し用のローラ)が繰り出し方向へ連続的に制御されることで、スタックされている検査デバイスdが一つずつ自動で読取位置へと繰り出される。
【0064】
連続の読取は、例えば測定したい検査デバイスdが待機手段41にすべて入力されてから、測定作業者による測定開始命令を受け、待機手段41の最下段の検査デバイスdを繰り出すローラで順番に連続的に繰り出して読取位置に搬送する。連続的に繰り出すタイミングは、例えば読取位置における読み取りのタイミングに同期させて繰り出すなどしてもよい。測定開始命令は例えば情報入力手段29による測定開始の操作などに基づいて受け付ける。
【0065】
続いて変形例2にかかる検体測定装置2の制御について説明する。検体測定装置2は、制御手段20のCPUがメモリに記憶されている制御プログラムを読み込んで実行し、検体測定処理を行う。
【0066】
図11は、検体測定装置2の制御フローの一例を示す図である。ここでは変形例1の検体測定装置2の制御フロー(図8参照)と異なる部分について説明し、共通する部分については同一の番号を付すなどして説明を省略する。
【0067】
図11に示す制御フローは、図8に示す制御フローに比べて、ステップS31がさらに追加され、測定開始の判定(図8のステップS3)がステップS31の後に行われる。つまり、変形例2のCPUは、検査デバイスdを挿入すると(ステップS1)、検査情報の入力を受け付け(ステップS2)、その後に検査デバイスdをコーティングする(ステップS21)。コーティングのタイミングは、例えば検査デバイスdがコーティングを行う位置にセットされたかどうかをフォトセンサで検出し、その検出信号をCPUが受信するなどして検知する。
【0068】
続いて、CPUは、コーティングの後、その検査デバイスdを搬送手段22により待機手段41まで搬送し、その検査デバイスdをスタック部にスタックする(ステップS31)。
【0069】
その後にCPUは、測定開始かどうかの判定を行う(ステップS3)。測定開始の操作を受け付けていない場合(ステップS3:No)、CPUはステップS1に戻り、連続して測定を行う検査デバイスdの挿入を受け付ける。また、CPUは、例えば連続して測定する対象のすべての検査デバイスの挿入が終わり、測定開始の操作を受け付けると(ステップS3:Yes)、搬送手段を制御し、待機手段41の繰り出し用のローラの回転により、スタック部から検査デバイスdを一つずつ繰り出し、搬送手段22により搬送路sに沿って検査デバイスdの搬送を開始する(ステップS4)。ステップS5からの処理についてはこれまでと同様のためここでの説明を省略する。
【0070】
この変形例2のように読み取りの前に検査デバイスdを待機手段41に待機させる構成により、挿入手段21に複数の検査デバイスdを収容する機構を設けることなく、複数の検査デバイスdを連続的にコーティングし、それらの検査デバイスdを自動で連続読取することが可能になる。よって、装置スピード(例えば読み取りのスピードなど)に合わせることなく測定作業者のペースで複数の検査デバイスdを挿入手段21に一つずつセットすることが可能になるため、測定作業者の負荷を減らすことができる。また、複数の挿入手段21を設ける必要がないため装置を小型化することができる。また、検査デバイスdはコーティングされているためスタック部にスタックしても検体同士が汚れることを防止することもできる。
【0071】
さらに、検査デバイスdの挿入順番を管理しておけば各被検者の情報の入力作業を測定開始前にまとめて実施することも可能である。
【0072】
よって、変形例2の構成によれば、多数患者の検体検査においても連続的に読取動作を行うため効率的に処理を行うことができる。
【0073】
(変形例3)
搬送路s、発光手段23、受光手段24等の経時変化により検体測定装置2側の読取結果に誤差を含む場合がある。そこで、その誤差をなくすための変形例3として、検査デバイスdと同じ物質の基準シートを用意し、測定前などに一度検査デバイスdと同じように搬送させて、読取結果の誤差の補正を行う。
【0074】
図12は、変形例3にかかる検体測定装置2で基準シートを読み取った読取画像の一例を示す図である。図12(a)は工場出荷時に基準シートを読み取った場合の読取画像の一例であり、図12(b)は使用直前などに基準シートを読み取った場合の読取画像の一例である。図12(a)と図12(b)のいずれにも検査部13のバイオマーカの位置m1、m2、m3、m4、m5から得た数値化後の結果を並べて示している。
【0075】
基準シートについても検査デバイスdと同様の工程により検体測定装置2で読み取りが行われる。その読み取られた画像から検査部13の読取値をR、G、Bの色情報として数値化する。なお、測定ポイントは検査デバイスdの測定ポイントと同一であることが望ましい。
【0076】
まず、工場出荷時等に基準シートの測定値(R01、G01、B01)を取得し、それを検体測定装置2の処理手段25のメモリに格納しておく。基準シートを次に読み取るときまでは、その測定値を補正値として使用する。続いて、必要なタイミングにて、基準シートを再度読み取り、測定値(R11、G11、B11)を取得する。再度取得した測定値から、補正係数CR1=R11/R01を算出し、この補正係数CR1を、それ以降の測定値の補正に使用する。これを経時で変化した数値の分だけ補正係数として検体測定装置2の処理手段25に再設定する。図12に示す例では、5ポイントのRGBの補正係数、つまり計15個(CR1、CR2、・・・、CR5、CG1、・・・、CG5、CB1・・・CB5)が処理手段25内のメモリに保存されることになる。
【0077】
これにより、検体測定装置2内の部品の劣化が起きても補正により読取値に影響を与えず誤差を抑制することができる。
【0078】
(変形例4)
取扱者が検査デバイスdを安全に取り出せるような後処理手段28の構成を変形例4として示す。
【0079】
図13は、変形例4にかかる後処理手段28の構成の一例を示す図である。図13に示すように変形例4にかかる後処理手段28は、前処理手段28-1と、測定物蓄積手段28-2と、取り出し口28-3とを有する。
【0080】
前処理手段28-1は、検査デバイスdを廃棄するために必要な前処理を行う。ここで必要な処理とは、取扱者の2次感染を防ぐために行う処理である。例えば検体e内含まれている毒素や、細菌や、ウィルスなどを中和する混合処理や、検体eを粉砕するような裁断処理などを行う。
【0081】
測定物蓄積手段28-2は、廃棄のための前処理を終えた検査デバイスdを蓄積する。例えば、前処理後の検査デバイスdをケースのような蓄積手段に順次蓄積する。これにより、取扱者が取り出し口28-3から複数の検査デバイスdをケースごと安全に取り出すことができる。
【0082】
この一連の後処理はCPUの制御により自動で行うことができる。具体的には読み取り直後の検査デバイスdを搬送手段22によって後処理手段28に送り、前処理手段28-1を制御して前処理を実施する。前処理が終わった検査デバイスdは測定物蓄積手段28-2であるケースに排出され、蓄積される。この一連の構成により、取扱者は、測定された複数の検査デバイスdを取り出し口28-3からケースごと安全に取り出すことができるようになる。つまり、変形例4に示すような後処理手段28を設けることにより、読取直後の検査デバイスdを安全に廃棄することができる。
【0083】
(変形例5)
検体測定装置2を電池駆動する場合の構成を変形例5として示す。
図14は、変形例5にかかる検体測定装置2の構成の一例を示す図である。図14には変形例4として変形例2の構成に電力供給手段51を設けた場合のものを示している。電力供給手段51は、例えばリチウムイオンバッテリなどの2次電池である。例えば14.4V、4700mAh、68Whのスペックのリチウムイオンバッテリを使用すれば、通常の原稿読取装置でのスキャンであれば1000枚の連続使用が可能であるため、検査デバイスdを読み取る検体測定装置2であっても同等の耐久性能が期待できる。よって、電池駆動にした場合であっても検体測定装置2の使用は可能であり、電源事情が乏しい地域でも十分に使用可能である。
【0084】
(変形例6)
被検者情報の入力の代わりに認証により被検者情報を取得する場合の構成を変形例6として示す。例えば、検体測定装置2のメモリに被検者の認証情報と被検者情報とを予め紐づけておく。検体測定装置2のCPUは、被検者の認証情報を受け付け、メモリの認証情報との認証が成立すると、その認証情報に紐づく被検者情報を測定対象者の被検者情報としてセットする。
【0085】
図15は、変形例6にかかる検体測定装置2の構成の一例を示す図である。図15には、認証情報を受け付ける手段として指紋検出部61を設けた例を示している。挿入手段21の他の構成については、これまでのものと同様のため、図示および説明を省略する。
【0086】
図15に示す例では、情報入力手段29の読取開始ボタン60に指紋検出部61を設けた例を示している。指紋検出部61は、例えば読取開始ボタン60に重ねられた指から指紋センサにより指紋情報である指紋画像を取得する。検体測定装置2のCPUは、その指紋画像に含まれる特徴点とメモリに登録されている登録データの特徴点とを照合し、被検者情報が登録されている被検者かを特定する。
【0087】
例えば一人の被検者の検体eを測定する場合、その被検者の指紋の特徴が予め登録されていれば、その被検者が読取開始ボタン60を操作することで、その場で指紋検出部61が情報入力手段29の代わりに被検者情報を取得する。従って情報入力手段29で被検者情報(名前等)を入力する手間を省くことができ、迅速な検査が可能となる。
【0088】
また、複数の被検者の検体eを連続的に検査する場合においては、読取開始ボタン60の操作の際に指紋検出部61が指紋画像から特徴を抽出して、情報入力手段29により入力された被験者情報と紐づけてメモリに登録しておく。これにより、再検査等が発生した場合に、その該当者の読取開始ボタン60の操作により、該当者の再度の情報入力を省略し、登録データから取り出すことができる。つまり一度入力した被検者情報を再入力する手間を減らすことができ、さらに、再入力時の誤入力を防止することもできる。
【0089】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、検体測定装置を画像形成装置で実施する場合の例を示す。
図16は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。画像形成装置は、スキャン機能や印刷機能やFAX機能など、異なる機能を複合的に有するMFP(Multifunction Peripheral)などが相当する。図16には、画像形成装置の内部構成が分かるようにカバーの一部を開放した状態を示している。
【0090】
図16に一例として示す画像形成装置100は、スキャナ(画像読取装置)101、自動原稿送り装置102、給紙部103、および画像形成装置本体104を備えている。画像形成装置100全体は、画像形成装置本体104に設けられたCPUやASICなどのコントローラにより制御される。まず、検体測定装置の主な構成を含む自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)について図17の詳細図を参照しながら説明する。
【0091】
図17は、ADFの内部構成を示す詳細図である。図17において、原稿トレイ221やピックアップローラ261などが挿入手段21に相当する。搬送経路252aやターン部253が搬送路sに相当する。プルアウトローラ265や読取入口ローラ267などの各種ローラが搬送手段22に相当する。第1読取部(スキャナ101)や第2読取部201が読取手段(発光手段23および受光手段24)に相当する。排紙部256や排紙トレイ212が排紙手段に相当する。
【0092】
なお、制御手段20、処理手段25、および判定手段26は、画像形成装置100全体を制御するコントローラにおいて実施される。例えばメモリに記憶した測定プログラムをCPUで実行することにより各手段を機能部として実現する。また、各手段の一部またはすべてをASIC等のハードウェアにより実施してもよい。
【0093】
また、情報入力手段29と出力手段27は、画像形成装置100の操作部で実施する。操作部は例えばタッチ方式の液晶表示パネルであり、画像形成装置100のコントローラと通信して、コントローラへの操作信号の送信や、コントローラからの出力情報の表示などを行う。例えば操作部のタッチパネルにより入力操作を受け付け(情報入力手段29)、操作部の液晶表示パネルに情報を表示する(出力手段27)。出力手段27は、情報表示の他に、画像形成装置本体104に対し印刷のためのデータを出力してもよい。
【0094】
対応する各部は、第1の実施の形態や変形例に示した構成や制御で実施する。それぞれの具体的な構成や制御は第1の実施の形態や各変形例において説明済みのため、ここでは、それらとの対応関係と、画像形成装置で特有の構成や制御について適宜説明する。
【0095】
図17に示す一例のADF102は、原稿トレイ221は、基端部を支点として図中a、b方向に回動する可動原稿テーブル241と、原稿の代わりに挿入する検査デバイスdの給紙方向に対する左右方向を位置決めする一対のサイドガイド板242とを有している。可動原稿テーブル241の回動により、検査デバイスdの給送方向前端部が適切な高さに合わせられる。
【0096】
また、原稿トレイ221には、検査デバイスdの向きが縦と横の何れになっているかを検知する原稿長さ検知センサ289、290が給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ289、290としては、光学的手段により未接触で検知する反射型センサ、又は接触式のアクチュエータータイプのセンサを用いてもよい。
【0097】
一対のサイドガイド板242は、片側が給紙方向に対する左右方向にスライド自在であり、異なるサイズの検査デバイスが載置可能に構成されている。一対のサイドガイド板242の固定側には、検査デバイスの載置により回動するセットフィラー246が設けられている。また、セットフィラー246の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ221に検査デバイスdが載置されたことを検知する原稿セットセンサ282が設けられている。つまり、原稿セットセンサ282は、セットフィラー246が回動して原稿セットセンサ282から外れたか否かにより、ADF102に検査デバイスdがセットされているかどうかの有無を検知する。
【0098】
ADF102の搬送部は、分離給送部251と、プルアウト部252と、ターン部253と、第1読取搬送部254と、第2読取搬送部255と、排紙部256とにより構成されている。搬送部の各搬送ローラは、1つ以上の搬送モータにより回転駆動される。
【0099】
分離給送部251は、給紙口の近傍に配置されたピックアップローラ261と、搬送経路を挟んで対向するように配置された給紙ベルト262及びリバースローラ263とを有している。
【0100】
ピックアップローラ261は、給紙ベルト262に取り付けられた支持アーム部材264により支持されており、カム機構を介して検査デバイスdの束に接触する接触位置と束から離れた離隔位置との間で図中c、d方向に上下動する。ピックアップローラ261は、接触位置において原稿トレイ221上に積載された検査デバイスdのうち、数枚(理想的には一枚)の原稿をピックアップする。
【0101】
給紙ベルト262は、給送方向に回転し、リバースローラ263は、給送方向と逆方向に回転する。また、リバースローラ263は、検査デバイスdが重送された場合に、給紙ベルト262に対して逆方向に回転するが、リバースローラ263が給紙ベルト262に接している場合、又は検査デバイスdを一枚のみ搬送している場合には、トルクリミッタの働きにより、給紙ベルト262に連れ回りする。これにより、検査デバイスdの重送が防止される。
【0102】
プルアウト部252は、搬送経路252aを挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ265を有している。プルアウト部252は、プルアウトローラ265とピックアップローラ261の駆動タイミングにより、送り出された検査デバイスdを一次突当整合(いわゆる、スキュー補正)し、整合後の検査デバイスdを引き出し搬送する。
【0103】
ターン部253は、上から下に向けて湾曲した搬送経路253aを挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ266及び読取入口ローラ267を有している。ターン部253は、中間ローラ266により引き出し搬送された検査デバイスdを、湾曲した搬送経路を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ267により検査デバイスdの表面を下方に向けてスリットガラス207の近傍まで搬送する。
【0104】
ここで、プルアウト部252からターン部253への検査デバイスdの搬送速度は、第1読取搬送部254における搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、第1読取搬送部254に搬送される検査デバイスdの搬送時間の短縮が図られている。
【0105】
第1読取搬送部254は、スリットガラス207に対向するよう配置された第1読取ローラ268と、読取終了後の搬送経路255aに配置された第1読取出口ローラ269とを有している。第1読取搬送部254は、スリットガラス207の近傍まで搬送された検査デバイスdの表面を第1読取ローラ268によりスリットガラス207に接触させながら搬送し、スリットガラス207を介して、画像読取装置101にて読み取る。読取終了後の検査デバイスdを第1読取出口ローラ269によりさらに搬送する。
【0106】
第2読取搬送部255は、検査デバイスdの裏面を読み取る第2読取部201と、搬送経路255aを挟んで第2読取部201に対向するよう配置された第2読取ローラ270と、第2読取部201の搬送方向下流に配置された第2読取出口ローラ271とを有している。第2読取搬送部255では、表面読取後の検査デバイスdの裏面が第2読取部201により読み取られる。裏面が読み取られた検査デバイスdは、第2読取出口ローラ271により排紙口に向けて搬送される。第2読取ローラ270は、第2読取部201における検査デバイスdの浮きを抑えると同時に、第2読取部201におけるシェーディングデータを取得する為の基準白部を兼ねるものである。両面読み取りを行わない場合には、検査デバイスdは第2読取部201を素通りするようになっている。
【0107】
排紙部256は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ272が設けられ、第2読取出口ローラ271により搬送された検査デバイスdを排紙トレイ212に排紙する。
【0108】
また、ADF102には、搬送経路に沿って、突き当てセンサ284、レジストセンサ281、排紙センサ283などの各種センサが設けられており、検査デバイスdの搬送距離や搬送速度等の搬送制御に用いられる。
【0109】
さらに、プルアウトローラ265と中間ローラ266との間には、原稿幅センサ285が設けられている。原稿幅センサ285は、一例として検査デバイスdの幅方向に複数並べた受光素子から構成されており、搬送経路を挟んで対向位置に設けられた照射光からの受光結果に基づき原稿幅を検知する。なお、検査デバイスの搬送方向の長さは、上記突き当てセンサ284での検査デバイスdの先端及び後端を読み取りによりモータパルスから検知される。
【0110】
以上のように検査デバイスdは搬送部をローラの回転により搬送して、読取部で画像が読み取られる。画像読取装置101の読取部は検査デバイスdの1次元センサにより構成されているため、検査デバイスdの幅方向である主走査方向をライン毎に読み取り画像データを出力する。
【0111】
画像形成装置本体104内には、タンデム方式の作像部105とこの作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108と、光書き込み装置109と、定着、搬送部110と、両面トレイ111とを備えている。
【0112】
作像部105には、YMCK4色に対応して4本の感光体ドラム112が並設され、各感光体ドラム112の回りは現像器106などの作像要素が配置されている。作像要素には、帯電器、転写器、クリーナ、除電器などが含まれる。
【0113】
また、転写器と感光体ドラム112との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が配置されている。
【0114】
画像形成装置本体104は、画像データに基づいて、YMCKの色毎に各色に対応する感光体ドラム112に光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に例えばY、M、C、Kの順で1次転写する。そして、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後、定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。
【0115】
なお、変形例1に示す付加手段31を設ける場合には、ADF102において例えば検査デバイスdの挿入方向に対してピックアップローラ261の手前に位置するように実装する。そして、ピックアップローラ261によるピックアップの前に検査デバイスdにコーティング層を付加するように制御する。つまり原稿トレイ221に検査デバイスdを挿入した時点でコーティング層が付加されるようにする。コーティング層を付加するトリガは原稿セットセンサ282の検知信号などが利用できる。
【0116】
また、変形例2に示す待機手段41を設ける場合には、突当整合等を実施するプルアウト部252をスタック部を有するように構成することで実施する。スタック部を有する構成については変形例2を参照するものとし、ここでの図示および説明を省略する。
【0117】
また、変形例4に示す後処理手段28は、排紙部の排紙トレイを変形例4に示す構成に変形することにより実施できる。後処理手段28の詳しい構成については変形例4を参照されたい。
【0118】
また、変形例6に示す指紋検出部61は、操作パネルの読取開始ボタン60に指紋検出部61を構成することで実現できる。指紋検出部61の詳しい構成については変形例6を参照されたい。
【0119】
以上のように、第1の実施の形態に示す検体測定装置を画像形成装置で実施することが可能である。このような場合、専用の検体測定装置を準備しなくとも、身の回りの画像形成装置を利用することができ、POCT(Point of care testing、臨床現場即時検査)を実施することも可能となる。
【0120】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態として、検体測定装置を画像読取装置で実施する場合の例を示す。
図18は、第3の実施の形態にかかる画像読取装置300の構成の一例を示す図である。図18には、画像読取装置300の内部構成が分かるようにカバーの一部を開放した状態を示している。ここで、第1キャリッジ301と撮像部304とが読取手段(発光手段および受光手段)に相当する。制御手段/処理手段/判定手段は画像読取装置300のコントローラに相当する。フィルム入力手段203は挿入手段に相当する。フィルム出力手段202は排出手段に相当する。ここで、画像読取装置300の本体フレーム300aの上面には透明なコンタクトガラス305が設けられている。本体フレーム300aの上部にフィルム搬送装置200が設けられている。搬送路sは、検体フィルムd1が搬送されるコンタクトガラス305面上の搬送路に相当する。
【0121】
第1キャリッジ301と、第2キャリッジ302と、結像レンズ303と、撮像部304は本体フレーム300aの内部に設けられている。第1キャリッジ301は、副走査方向(図18に矢印y1で示す方向)において実線で示す第1キャリッジ301の位置と破線で示す第1キャリッジ301の位置との間を往復移動可能に設けられている。また、第2キャリッジ302も、副走査方向(図18に矢印y2で示す方向)に実線で示す第2キャリッジ302の位置と破線で示す第2キャリッジ302の位置との間を往復移動可能に設けられている。
【0122】
具体的には、本体フレーム300aの内部に第1レールおよび第2レールが副走査方向に延在するよう設けられている。第1レールは、副走査方向と直交する主走査方向(図18に示す図の奥行き方向)に所定の間隔をあけて配置された2本のレールからなる。第2レールについても、第1レールと同様の構成である。第1キャリッジ301は、第1レールに摺動自在に取り付けられ、駆動モータにより第1キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に往復移動可能にされている。また、第2キャリッジ302は、第2レールに摺動自在に取り付けられ、駆動モータにより第2キャリッジ用駆動ワイヤを介して副走査方向に往復移動可能にされている。
【0123】
ここで、これら第1キャリッジ301及び第2キャリッジ302は、2:1の速度比で副走査方向に移動する。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ301及び第2キャリッジ302の移動があっても、原稿面から結像レンズ303までの光の光路長が変化しないようになっている。図18中の一点鎖線が、原稿面に照射した光が撮像部304に入射するまでの光路を表している。
【0124】
さらに第1キャリッジ301には、光源301aと、第1ミラー部材301bとが設けられている。また、第2キャリッジ302には、第2ミラー部材302aと、第3ミラー部材302bとが設けられている。結像レンズ303は、各ミラー部材を介して入射された検体フィルムd1からの反射光を撮像部304に集光結像する。撮像部304は、1次元センサであり、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子で構成され、結像レンズ303を介して結像された検体フィルムd1の反射光像を光電変換して読取画像であるアナログ画像信号を出力する。
【0125】
フィルム搬送装置200は、例えば使用する際にADFと同様に本体フレーム300aの上に載置して使用する構成としてもよい。フィルム搬送装置200の脱着を可能とする構成とするかは適宜決めてよい。
【0126】
フィルム搬送装置200は、フィルム入力手段203、搬送手段22、フィルム出力手段202を備える。フィルム入力手段203は検体フィルムd1をセットする部分である。搬送手段22は搬送路sに設けられ、検体フィルムd1を搬送路sに沿って搬送する。フィルム出力手段202は、読み取りを終えた検体フィルムd1を排出する部分となる。ここでフィルム搬送装置200の下部は透明ガラスとなっていてもよいし、開放されていてもよい。
【0127】
搬送手段22は例えばローラ等である。検体フィルムd1のサイズや材質や、必要とする搬送性能に応じてローラの間隔等が設定される。
【0128】
検体フィルムd1がフィルム入力手段203にセットされると、画像読取装置300の本体側の制御と同期させる形でフィルム搬送装置200の搬送手段22が駆動し、検体フィルムd1が搬送路sに沿って読取位置に搬送される。検体フィルムd1が読取位置にくると画像読取装置300本体がスキャンを行い、検体フィルムd1全体の画像データを取得する。その画像データはコントローラに出力され、数値化処理や感染かどうかの判定の処理がなされる。画像の読み取り後、検体フィルムd1はフィルム出力手段202から排出される。
【0129】
スキャンは、フィルム搬送装置200の搬送手段22が検体フィルムd1を搬送方向に送りながら、所定の読取位置にきた検体フィルムの1ラインを順次走査し1次元センサである撮像部304で読み取ることにより全体の画像データを取得する。なお、フィルム搬送装置200の搬送性能によっては、画像読取装置300本体のコンタクトガラス305面で検体フィルムd1を静止させ、画像読取装置300本体側のキャリッジを駆動して検体フィルムd1を副走査方向に走査し、全体の画像データを取得してもよい。
【0130】
図19は、検体フィルムd1の一例を示す図である。図19には、縦5列、横2列の多数の紙製マイクロ流体デバイス1を透明な検体フィルムd1に配置した例を示している。この検体フィルムd1をフィルム搬送装置200のフィルム入力手段203に入力すれば、複数の紙製マイクロ流体デバイス1を1次元センサにより同時に並列で読み取らせることも可能になる。つまり、複数の挿入手段を設けたり待機手段を設けたりせずとも透明フィルムに配置した検体をフィルム入力手段203から挿入するだけで複数の検体の連続測定を実施することができ、同等の効果が得られる。
【0131】
なお、図19に示す例では検体フィルムd1は検査面と接触する面側が透明フィルムとなっている。測定の際は、複数の紙製マイクロ流体デバイス1を置いてから、その検査面側に透明フィルムを配置し、その検体フィルムd1をフィルム搬送装置200のフィルム入力手段203から挿入する。
【0132】
検体フィルムd1は透明フィルムであり、検査面側を透明フィルムで覆えばコーティングした場合と同様の効果が得られる。つまり、変形例1に示す付加手段31とも言える。コーティングと異なる点は、検体フィルムd1の場合には、測定後に洗浄すれば再利用することも可能ということである。
【0133】
また、変形例4に示す後処理手段28は、フィルム搬送装置の後段に設置すれば同様の効果が得られる。後処理手段28の詳しい構成については変形例4を参照されたい。
【0134】
また、変形例6に示す指紋検出部61も装置の操作パネルの読取開始ボタン60に指紋検出部61を備えておけば容易に実現できる。指紋検出部61の詳しい構成については変形例6を参照されたい。
【0135】
なお、フィルム搬送装置200はベルト駆動式のADFを使っても実現可能である。その場合も、画像読取装置のコンタクトガラス305上面で検体フィルムを静止させ、画像読取装置内のキャリッジを駆動して全体の画像データを取得する。
【0136】
以上より、第3の実施の形態にかかる画像読取装置であれば、検体フィルムd1のセット作業を作業者のペースで実施することができる。また、読取開始ボタンを押せば、後は検体フィルムd1にセットした検体数分が自動で連続読取され、効率的な処理を画像形成装置や画像読取装置を使用しても実施することが可能となる。
【0137】
各実施の形態や変形例で説明した各手段は、ハードウェアで実現してもよいし、それらのうちの一部またはすべてをソフトウェアで実現してもよい。例えばCPUがハードディスクドライブ装置、ROMまたはRAM等の記憶されている対応プログラムを実行することでソフトウェア的に実現する。
【0138】
また、それらの対応プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(登録商標)、半導体メモリなどのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、インターネットなどのネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよい。また、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0139】
以上、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、実施の形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
2 検体測定装置
20 制御手段
21 挿入手段
22 搬送手段
23 発光手段
24 受光手段
25 処理手段
26 判定手段
27 出力手段
28 後処理手段
29 情報入力手段
d 検査デバイス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0141】
【文献】特開2017-072568号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19