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特許7480654処理実行システム、情報処理システム、情報処理方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】処理実行システム、情報処理システム、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240501BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240501BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
G03G21/00 388
G03G21/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020155739
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049506
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】対馬 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】木戸口 和明
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 温子
(72)【発明者】
【氏名】網倉 智哉
(72)【発明者】
【氏名】田部井 信充
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294792(JP,A)
【文献】特開2013-138370(JP,A)
【文献】特開2006-330863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
G03G 21/14
G06Q 10/00-10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う処理実行システムであって、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記機器を操作するユーザーの識別情報を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報及び前記ユーザーの識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部と、
を有することを特徴とする処理実行システム。
【請求項2】
前記通信部は、前記出力物の識別情報と前記ユーザーの識別情報に加え、前記出力物の種別を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、前記画像データを受信し、
前記出力物の種別に応じた処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の処理実行システム。
【請求項3】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う処理実行システムであって、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記出力物の種別を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部と、を有し、
前記重複検出部は、前記出力物の種別に対応付けて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するか否かが設定されている重複検出設定情報を参照し、
前記重複検出設定情報に、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されている場合、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出することを特徴とする処理実行システム。
【請求項4】
前記重複検出設定情報に同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されている場合、前記出力物の識別情報を含むファイル名を前記画像データのファイルに設定するファイル名設定部と、
前記ファイル名が同じファイルがすでに前記出力物の種別に応じたフォルダーに保存されている場合、前記ファイルを前記フォルダーに保存せず、
前記ファイル名が同じファイルが前記フォルダーに保存されていない場合、前記ファイルを前記フォルダーに保存する読取ワークフロー処理部と、を有することを特徴とする請求項に記載の処理実行システム。
【請求項5】
前記重複検出設定情報に同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されていない場合、前記画像データの受信の日時に関する日時情報を含むファイル名を前記画像データのファイルに設定するファイル名設定部と、
前記ファイル名が同じファイルがすでに前記出力物の種別に応じたフォルダーに保存されている場合、前記ファイルを前記フォルダーに保存せず、
前記ファイル名が同じファイルが前記フォルダーに保存されていない場合、前記ファイルを前記フォルダーに保存する読取ワークフロー処理部と、を有することを特徴とする請求項に記載の処理実行システム。
【請求項6】
同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを前記重複検出部が検出した場合、前記機器又は前記機器を操作したユーザーの少なくとも一方にエラーが生じた旨を通知することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の処理実行システム。
【請求項7】
前記出力物の識別情報は、前記機器からの要求に応じて前記出力物の識別情報を有する前記出力物の出力データを前記機器に送信した日時、前記機器からの要求を受け付けた日時、又は、前記機器と通信を開始した日時である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の処理実行システム。
【請求項8】
機器と、前記機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記機器を操作するユーザーの識別情報を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報及び前記ユーザーの識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
機器と、前記機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記出力物の種別を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部と、を有し、
前記重複検出部は、前記出力物の種別に対応付けて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するか否かが設定されている重複検出設定情報を参照し、
前記重複検出設定情報に、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されている場合、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出することを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う処理実行システムが行う情報処理方法であって、
通信部が、前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記機器を操作するユーザーの識別情報を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信するステップと、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信するステップと、
重複検出部が、前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報及び前記ユーザーの識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う処理実行システムが行う情報処理方法であって、
通信部が、前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記出力物の種別を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信するステップと、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信するステップと、
重複検出部が、前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するステップと、を有し、
前記重複検出部は、前記出力物の種別に対応付けて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するか否かが設定されている重複検出設定情報を参照し、
前記重複検出設定情報に、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されている場合、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う情報処理システムを、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記機器を操作するユーザーの識別情報を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報及び前記ユーザーの識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う情報処理システムを、
前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記出力物の種別を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、
前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部、
として機能させるためのプログラムであって、
前記重複検出部は、前記出力物の種別に対応付けて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出するか否かが設定されている重複検出設定情報を参照し、
前記重複検出設定情報に、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する旨が設定されている場合、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理実行システム、情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器のスキャナ機能又はファクス受信機能で入力された画像データに対し1つ以上の処理を行い配信する処理実行システムが知られている。処理実行システムは予め決まっている一連の処理(ワークフロー)を画像データに対し順に施すためワークフローシステムと呼ばれる場合がある。
【0003】
この処理実行システムが行う処理を自動で切り替える技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、機器が読み取る原稿に画像コードを形成しておき、読み取られた画像データの画像コードを解析して解析結果に基づき処理を切り替えるシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、同じ出力物から画像データが生成されたことを検出できないという問題があった。例えば、社員が会社に旅費などの費用を請求する場合、社員は旅費の申請用の出力物を機器で印刷する。社員は必要事項を出力物に記入して、出力物を機器で読み取って生成した画像データを情報処理システムに送信する。情報処理システムは予め定められたフォルダー等に画像データを送信しておき、庶務などの担当者がフォルダーから画像データを取得して精算する。したがって、社員が過去に申請に使用した出力物を使い回して、再度、申請すると、二重申請となってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、同じ出力物から画像データが生成されたことを検出できる処理実行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、機器から出力物の画像データを受信し、前記出力物の処理を行う処理実行システムであって、前記機器からの要求に応じて、前記出力物の識別情報に加え、前記機器を操作するユーザーの識別情報を含む前記出力物の出力データを前記機器に送信し、前記機器が前記出力データを印刷した前記出力物を前記機器が読み取って生成した画像データを受信する通信部と、前記通信部が受信した前記画像データに付加されている前記出力物の識別情報及び前記ユーザーの識別情報に基づいて、同じ前記出力物から前記画像データが生成されたことを検出する重複検出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
同じ出力物から画像データが生成されたことを検出できる処理実行システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】処理実行システムの動作の概略を説明する一例の図である。
図2】処理実行システムの一例の構成図である。
図3】情報処理システムの一例のハードウェア構成図である。
図4】機器の一例のハードウェア構成図である。
図5】情報処理システムと機器の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図6】ワークフローの一例を説明する図である。
図7】印刷のワークフローに関する設定画面の一例である。
図8】読取のワークフローに関する設定画面の一例である。
図9】印刷のワークフロー、読取のワークフローの設定、読取のワークフローの実行、及び、申請書の確認処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
図10】基本となる印刷と読取の全体の流れを示す一例のシーケンス図である。
図11】印刷のワークフローにおいて、情報処理システムが実行する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図12】認証画面の一例を示す図である。
図13】ホーム画面の一例を示す図である。
図14】印刷用画面の一例を示す図である。
図15】印刷設定画面の一例を示す図である。
図16】画像コードに含まれる情報を説明する図である。
図17】機器が印刷した原稿の一例を示す図である。
図18】管理者が操作する第一の端末装置が表示する位置設定画面の一例を示す図である。
図19】管理者が操作する第一の端末装置が表示する二重申請設定画面の一例を示す図である。
図20】情報処理システムが画像データに付与するファイル名を説明する図である。
図21】読取のワークフローにおいて、情報処理システムが実行する処理を説明する一例のシーケンス図である。
図22】読取用画面の一例を示す図である。
図23】読取設定・実行画面の一例を示す図である。
図24】読取・処理結果画面の一例を示す図である。
図25】二重申請が検出された場合に機器が表示する読取・処理結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、処理実行システムと処理実行システムが行う情報処理方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<動作の概略>
図1は、処理実行システム1の動作の概略を説明する図である。本実施形態では印刷のワークフローと読取のワークフローを処理方法情報により連携させる。処理方法情報は管理者が編集できるため、ワークフローを容易に拡張することができる。
【0011】
まず、図1(a)に基づいて、印刷のワークフローについて説明する。
【0012】
(1) ユーザーはまず、印刷のワークフローを選択する。これにより、情報処理システム10が印刷データ記憶部11から取得した書類種別を機器20が表示する。ユーザーは自分がワークフローで印刷したい書類種別を選択する。機器20は書類種別を情報処理システム10に送信する。書類種別は申請書など各種の書類の書類名等、書類を特定する情報である。
【0013】
(2) 情報処理システム10は印刷データ記憶部11から書類種別が示す書類の印刷データ(出力データ)を取得する。
【0014】
(3) 情報処理システム10は書類種別と出力物を識別する識別情報(以下、出力物の識別情報という)を画像コード(例えば、QRコード(登録商標))9に変換して書類の印刷データに形成し、機器20に送信する。これにより、機器20は画像コード9が形成された書類を印刷できる。
【0015】
(4) ユーザーは読取のワークフローのために書類に必要事項を記入する。ユーザーは必ずしも記入しなくてもよい。
【0016】
次に、図1(b)に基づいて、読取のワークフローについて説明する。
【0017】
(1) ユーザーは必要事項を記入した書類を機器20で読み取る。
【0018】
(2) 機器20は書類を読み取って生成した画像データ(入力データ)を情報処理システム10に送信し、情報処理システム10が画像コード9を解析して書類種別を取り出す。情報処理システム10は書類種別に対応付けられている処理方法を処理方法記憶部13から取得する。処理方法記憶部13には処理方法情報(ID:書類種別:処理方法)が登録されている。IDは書類を識別する識別情報である。書類種別は申請書など各種の原稿の書類名等、原稿を特定する情報である。処理方法は読取のワークフローにおいて原稿の画像データをどのように処理するかを示す。
【0019】
(3) また、情報処理システム10は、画像コード9を解析して出力物の識別情報を取り出す。そして、情報処理システム10は、過去に処理した出力物の識別情報に、取り出した出力物の識別情報と同じものがあるかどうかを判断する(重複判断)。情報処理システム10は、例えば過去に画像コード9から取り出した出力物の識別情報を記録しておき、現在、画像コード9から取得した出力物の識別情報と同じ出力物の識別情報があるかどうかを判断する。過去に取り出した出力物の識別情報と同じものがある場合、情報処理システム10はエラーが生じたことを電子メール等でユーザーに通知する。
【0020】
(4) 出力物の識別情報が重複していない場合、情報処理システム10は、書類の画像データを、書類種別に対応付けられた処理方法に基づいて処理する。情報処理システム10は、例えば、処理方法で指定されたフォルダーに配信したり、電子メールで通知したりする。
【0021】
このように、情報処理システム10は、出力物の識別情報に基づいて書類の二重申請を検出することができる。したがって、費用などを社員が二重申請することを抑制できる。
【0022】
また、出力物の画像コード9は書類種別を有しており、読み取られた出力物は書類種別に対応付けられている処理方法に基づいて処理される。管理者は処理方法記憶部13に新たに「ID:書類種別:処理方法」を登録してもよいし、すでに記憶されている処理方法を変更すればよいので、ワークフローを容易に拡張できる。
【0023】
<用語について>
出力物とは、機器が出力した物である。例えば、印刷物であり、印刷物は書類や文書と呼ばれる場合がある。本実施形態では、書類という用語で説明される。
【0024】
出力物の種別は、どの出力物かを示す情報である。本実施形態では書類種別という用語で説明される。
【0025】
出力物の識別情報は、個々の出力物を識別する情報である。したがって、出力物の種別が同じでも出力物の識別情報は異なる。本実施形態では、出力物が印刷された日時情報を出力物の識別情報の例として説明する。
【0026】
同じ出力物から生成された画像データを検出するとは、複数回、同じ出力物から画像データが生成され、機器から情報処理システムに送信されることをいう。同じ出力物とは、同じ書類の種別というだけでなく、出力物が同一物であることをいう。本実施形態では、単に、画像データの重複を検出する、とい記載で説明する。画像データの重複は、ユーザーが書類を機器に読み取らせることで行う申請の重複とも言うことができる。
【0027】
処理方法は、情報処理システムが画像データをどのように処理するかに関する情報である。例えば、配信先、通知先、加工方法、又は、送信先、などが指定されうる。
【0028】
<システム構成例>
図2は、処理実行システム1の一例の構成図である。図2に示される処理実行システム1は、サービス提供環境E1、ユーザー環境E2、及び外部システム30を含み、インターネット等の広域的なネットワークN1を介して通信可能に接続されている。
【0029】
サービス提供環境E1は、ネットワークを介してクラウドサービス等の外部サービスを提供するシステム環境である。なお、本実施形態では、外部サービスの具体例としてクラウドサービスを採用して説明するが、ASP(Application Service Provider)によって提供されるサービスやWebサービス等、ネットワークを介して提供されるサービスに関して本実施の形態が適用されてもよい。
【0030】
サービス提供環境E1は、一台以上の情報処理装置で実現される情報処理システム10を有する。情報処理システム10は、ネットワークを介して所定のサービスを提供する。例えば、情報処理システム10は、ユーザー環境E2の機器20において原稿(本実施形態では書類)をスキャンして生成された電子ファイルを、OCR(Optical Character Reader)処理して、外部システム30に保存するサービス(スキャン配信サービス)を提供する。また、例えば、情報処理システム10は、外部システム30に保存されている電子ファイルを、ユーザー環境E2の機器20で印刷するサービス(クラウドプリントサービス)を提供する。本実施形態では、情報処理システム10は、このようなスキャン配信サービス及びクラウドプリントサービスを提供するものとして説明する。
【0031】
ただし、情報処理システム10により提供されるサービスは、これらに限られず、例えば、外部システム30に保存されている電子ファイルを、ユーザー環境E2のプロジェクタで投影するサービス等であってもよい。また、このサービスは、機器20において書類をスキャンして生成された電子ファイルを、OCR処理した後、所定の言語に翻訳(例えば、英語から日本語に翻訳)して、外部システム30に保存するサービス等であってもよい。
【0032】
なお、情報処理システム10の全部又は一部は、ユーザー環境E2に設置されていてもよい。すなわち、情報処理システム10を構成する情報処理装置の全部又は一部は、ユーザー環境E2に包含されていてもよい。
【0033】
ユーザー環境E2は、例えば機器20を使用するユーザーである企業等におけるシステム環境である。ユーザー環境E2では、一台以上の機器20、第一の端末装置50及び第二の端末装置60が例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されている。
【0034】
本実施形態に係る機器20は、プリンタ機能及びスキャナ機能を有する画像形成装置である。なお、機器20は、プリンタ機能及びスキャナ機能以外に、コピー機能やファクス(FAX)通信機能等を備える複合機等でもよい。なお、以降では、複数の機器20について、各々を区別するときは、「機器20」、「機器20」等と添え字を用いて記載する。
【0035】
機器20は、プリンタ機能を有する装置と、スキャナ機能を有する装置とが別体でもよい。機器20がプリンタ機能及びスキャナ機能を有しているとしても、印刷する機器20とスキャンする機器20が異なっていてよい。また機器20は後述のようにブラウザを備え、ブラウザは情報処理システム10等の提供する各種サービスのワークフローを構成する、Webアプリケーションの表示や処理、処理の実行指示等を行うことができる。なお、機器20には専用アプリケーションがインストールされ、専用アプリケーションとWebアプリケーションとが連携することによって機器20が同様の処理を実行してもよい。その場合、専用アプリケーションが、Webアプリケーションの処理の一部を分担して行ってもよい。
【0036】
第一の端末装置50は管理者が操作するスマートフォンや携帯電話、タブレットPC、デスクトップPC、ノートPC、等の情報処理装置である。第一の端末装置50には、Webブラウザなどの画面表示機能を有するプログラムが搭載されている。このプログラムは情報処理システム10から受信した画面情報を画面として表示する機能を有していればよくWebブラウザに限られない。このプログラムは情報処理システム10に専用のプログラムでもよい。なお複数人の管理者が異なる第一の端末装置50を用いて、それぞれで操作を行ってもよい。
【0037】
第二の端末装置60は、一般ユーザーが利用するスマートフォンや携帯電話、タブレットPC、デスクトップPC、ノートPC、等の情報処理装置である。第二の端末装置60には、Webブラウザなどの画面表示機能を有するプログラムが搭載されている。このプログラムは情報処理システム10から受信した画面情報を画面として表示する機能を有していればよくWebブラウザに限られない。このプログラムは情報処理システム10に専用のプログラムでもよい。なお複数人のユーザーが異なる第二の端末装置60を用いて、それぞれで操作を行ってもよい。
【0038】
外部システム30は、企業の基幹システム、又は、外部の会社が提供するシステムなどである。外部システム30は、一例として、ネットワークを介してストレージサービス(又はオンラインストレージ)と呼ばれるクラウドサービスを提供するコンピュータシステムである。ストレージサービスとは、外部システム30のストレージの記憶領域を貸し出すサービスである。本実施形態では、スキャン配信サービスにおいて、外部システム30によって貸し出される記憶領域に、OCR処理された電子ファイルを保存(アップロード)する。また、本実施形態では、クラウドサービスにおいて、外部システム30によって貸し出される記憶領域から印刷対象となる電子ファイルを取得(ダウンロード)する。なお、以降では、複数の外部システム30について、各々を区別するときは、「外部システム30」、「外部システム30」等と添え字を用いて記載する。また、外部システム30によって提供されるサービスの名称を「ストレージサービスA」、外部システム30によって提供されるサービスの名称を「ストレージサービスB」等とする。
【0039】
なお、外部システム30は、複数台の情報処理装置によって実現されるシステムであってもよい。また、図2に示される処理実行システム1の構成は一例であって、他の構成であってもよい。例えば、上記のように、ユーザー環境E2は、機器20に加えて又は機器20に代えて、プロジェクタ、電子黒板等の各種機器を有していてもよい。
【0040】
<ハードウェア構成>
<<情報処理システム>>
図3は、情報処理システムのハードウェア構成図である。図3に示されているように、情報処理システムは、コンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0041】
これらのうち、CPU501は、情報処理システム全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0042】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0043】
第一の端末装置50と第二の端末装置60、又は、外部システム30のハードウェア構成は、図3と同様であるか、又は、異なるとしても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0044】
<<機器>>
図4は、機器のハードウェア構成図である。図4に示されているように、機器は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。なお、機器20のハードウェア構成は、図4に示す構成に限定されない。例えば、操作パネル940はASIC906ではなく、SB104に接続される構成であってもよい。
【0045】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。ただし、コントローラ910の構成はこれに限定されない。例えば、CPU901、NB903、SB904などの2以上の構成要素をSoC(System on Chip)によって実現してもよい。この場合、SoCとASIC906との間をPCI-express(登録商標)バスで接続してもよい。
【0046】
これらのうち、CPU901は、機器20の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0047】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0048】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0049】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。ただし、MEM-C107は搭載されていなくても良い。
【0050】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0051】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等の表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、機器20全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0052】
なお、機器20は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及び、ファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。操作パネル940は、各種情報を表示するLCDや動作状態を点灯/消灯により表示するLEDといった表示処理部21及びタッチパネルやハードキースイッチを有する入力部等を備えている。なお、操作パネル940はタッチパネルを備える場合にはハードキースイッチはなくてもよい。
【0053】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0054】
<機能について>
図5は、情報処理システム10、機器20、第一の端末装置50、及び、第二の端末装置60の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0055】
<<機器>>
機器20は、表示処理部21、操作受付部22、出力部23、入力部24、通信部25、及び、認証部26を有している。機器20が有するこれら各機能は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD909からRAM902b上に展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは所定のサーバからダウンロードされ、機器20にインストールされている。
【0056】
表示処理部21は、ユーザーが操作する画面を操作パネル940に表示する。例えば、ワークフローを起動するボタン、書類種別のリスト、操作を案内するメッセージ、印刷設定、及び、読取設定などを表示する。
【0057】
操作受付部22は、機器20に対する操作を受け付ける。例えば、起動するワークフローの選択、ワークフローに使用する書類種別などを受け付ける。
【0058】
出力部23は、情報処理システム10から送信された印刷データを印刷する。印刷することを出力するという場合がある。印刷データは情報処理システム10でPDL(Printer Description Language)に変換されてもよいし、機器20が変換してもよい。
【0059】
入力部24は、用紙などのシート材である書類を光学的に読み取って画像データ(入力データ)を作成する。読み取ることをスキャンともいい、画像データをスキャンデータという場合がある。書類は2ページ以上でもよい。
【0060】
通信部25(第二の通信部の一例)は、機器20をネットワークに接続して、各種の情報を送受信する。例えば、印刷データを情報処理システム10から受信し、書類を読み取って生成した画像データ(入力データ)を情報処理システム10に送信する。
【0061】
認証部26は、ユーザーを認証する。認証とはユーザーが正当な権限者か否かを判断することをいう。本実施例の場合は、情報処理システム10を使用する権限があるかどうかである。なお、認証が成功するとユーザーは機器20にログインする。ログインとは、コンピュータやインターネット上の様々なサービスを利用する際に、予め登録しておいたアカウント情報を用いてシステムのリソースにアクセスする認証行為をいう。アカウント情報は、ユーザーIDとパスワード、ICカードの番号、生体認証情報などである。
【0062】
<<第一の端末装置>>
第一の端末装置50は第一通信部51、第一表示制御部52、及び、第一操作受付部53を有している。第一の端末装置50はプログラム(例えばWebブラウザ)を実行することで、図5に示すような機能ブロックを実現する。
【0063】
第一通信部51は情報処理システム10と通信して、設定画面などの画面を第一の端末装置50が表示するための画面情報を受信する。また、管理者が各画面に入力した情報を情報処理システム10に送信する。
【0064】
第一表示制御部52は情報処理システム10から受信した画面の画面情報を解析してディスプレイ506に表示する。第一操作受付部53は第一の端末装置50に対する管理者の操作(例えば各画面への入力)を受け付ける。
【0065】
<<第二の端末装置>>
第二の端末装置60は第二通信部61、第二表示制御部62、及び、第二操作受付部63を有している。第二の端末装置60はプログラム(例えばWebブラウザ)を実行することで、図5に示すような機能ブロックを実現する。
【0066】
第二通信部61は情報処理システム10と通信して、申請書などの画像データを表示するための画面情報を受信する。また、処理担当が各画面に入力した情報を情報処理システム10に送信する。
【0067】
第二表示制御部62は情報処理システム10から受信した画面の画面情報を解析してディスプレイ506に表示する。第二操作受付部63は第二の端末装置60に対する取引担当の操作(例えば各画面への入力)を受け付ける。
【0068】
<<情報処理システム>>
情報処理システム10は、印刷ワークフロー処理部14、読取ワークフロー処理部15、通信部16、認証管理部17、及び、設定部18、を有している。情報処理システム10が有する各機能は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0069】
印刷ワークフロー処理部14は、印刷のワークフローの実行を制御する。例えば、書類の印刷データに画像コードを形成して機器20に送信する。読取ワークフロー処理部15は、読取のワークフローの実行を制御する。例えば、機器20が送信した画像データを解析して画像コードを復号し、読取のワークフローの処理方法を決定する。読取ワークフロー処理部15は重複検出部19及びファイル名設定部15aを有する。
【0070】
重複検出部19は、過去に機器20から送信された画像データ(入力データ)に含まれる出力物の識別情報に、新たに機器20から送信された画像データ(入力データ)に含まれる出力物の識別情報と重複するものがあるかどうかを判断する。ある場合、重複検出部19は、新たに機器20から送信された画像データ(入力データ)が重複することを検出する。
【0071】
ファイル名設定部15aは後述するファイル名の付与ルールに基づいて、画像データにファイル名を設定する。
【0072】
なお、印刷ワークフロー処理部14及び読取ワークフロー処理部15は企業の基幹システムと連携してワークフローを実行したり、外部(他社など)が提供するシステムと連携してワークフローを実行したりしてもよい。
【0073】
通信部16(第一の通信部の一例)は、情報処理システム10をネットワークに接続して、各種の情報を送受信する。例えば、ユーザーが選択した書類の印刷データを機器20に送信し、画像データ(入力データ)を機器20から受信する。また、外部システム30に画像データ(入力データ)を送信して処理を依頼する。また、第一の端末装置50からアプリの設定に関する情報を受信し、第二の端末装置60から申請書の処理に関する情報を送受信する。
【0074】
認証管理部17は、認証に関する制御を行う。例えば、企業ごとに、
・登録済みのユーザー、管理者、機器の情報
・契約(利用)しているアプリ
・契約アプリのライセンス情報
等を管理している。これらと機器20、第一の端末装置50又は第二の端末装置60から送信された情報を元に利用権限の有無を認証する。認証管理部17は各種ワークフローを構成するWebアプリケーションや次の設定部18を、各機器や端末装置から利用する際に、認証や利用権限判定、情報管理等のサービスを提供する、認証管理基盤として機能する。
【0075】
設定部18は後述する申請書類印刷サービス601(印刷のワークフローに相当)、及び、簡単申請サービス602(読取のワークフローに相当)に関する設定を第一の端末装置50から受け付ける。設定部18は、第一の端末装置50又は第二の端末装置60がWebブラウザでアクセスできるWebサーバ(設定サイト)である。設定部18は外部システム30のアカウント情報の入力を受け付ける。また、設定部18は、印刷のワークフロー及び読取のワークフローが実行される際に参照する参照先として処理方法記憶部13、印刷データ記憶部11、及び、読取データ記憶部12に保存される設定を受け付ける。設定部18は各種ワークフローを構成するWebアプリケーションの一部を形成していてもよい。企業で各種ワークフローのWebアプリを契約して利用開始すれば、対応する設定部18(設定サイト)も利用可能となる。
【0076】
また、情報処理システム10は、図3に示されているHD504、RAM503又はROM502の1つ以上により実現される記憶部40を有している。記憶部40には、印刷データ記憶部11、読取データ記憶部12、処理方法記憶部13、及び、出力物識別情報記憶部8、が構築されている。
【0077】
記憶部40にある印刷データ記憶部11、読取データ記憶部12、処理方法記憶部13、及び、出力物識別情報記憶部8は、情報処理システム10が保持していなくてもよい。例えば、クラウド上にあればよく、図2に示した外部システム30にあってもよい。民間又は公的なストレージサービス(例えば、Google Drive(登録商標)、One Drive(登録商標)等のクラウドストレージサービス)を利用できる。また、記憶部40にある印刷データ記憶部11、読取データ記憶部12、処理方法記憶部13、及び、出力物識別情報記憶部8は、クラウド上でなくオンプレミスに存在してもよい。また、印刷データ記憶部11、読取データ記憶部12、処理方法記憶部13、及び、出力物識別情報記憶部8は全て同じクラウドストレージサービスの、それぞれ別のフォルダーにもうけられてもよいし、同じフォルダー内に設けられてもよい。また、異なる複数のクラウドストレージサービス(外部システム30、30・・)に設けられてもよい。
【0078】
印刷データ記憶部11には、機器20が印刷する書類の印刷データが記憶されている。印刷データは、PDF(Portable Document Format)や各種のアプリケーションソフトが作成したファイルである。
【0079】
読取データ記憶部12は配信先のフォルダーに相当し、機器20で読み取って生成した画像データ(入力データ)が記憶される。
【0080】
処理方法記憶部13には、上記のように「ID:書類種別:処理方法」が対応付けられている。IDは上記の通り書類種別又は書類を識別する識別情報である。なお、処理方法記憶部13はファイルを記憶するフォルダーなどでもよいし、データベースでもよい。処理方法記憶部13に記憶されている処理方法情報の一例を表1に示す。
【0081】
【表1】
表1は処理方法記憶部13に記憶されている処理方法情報の一例を示す。処理方法情報は、書類種別ごとの処理方法(送り先フォルダー、通知先等)を指定する。例えば、書類が請求書の場合は、スキャンしたデータの送り先フォルダーは「/seikyuuフォルダー以下」であり、同時に「aaa@bb.cc」に電子メールで通知するということを表している。表1に示す以外に処理方法があってもよく、処理方法は1つでもよく、処理方法は2つに限られない。例えば、FAX(電話回線タイプでもインターネットファクスでもよい)の送り先などの項目があってもよい。
【0082】
同じ書類種別でも用途や使用時期によって、異なる処理方法が対応付けられていてよい。例えば申請月によって保管先フォルダーを切り替えることができる。このような処理に対応するためには、処理方法記憶部13上で同じ書類種別であっても管理者が異なるIDを登録することで、書類種別が同じでも書類によって異なるIDにそれぞれの処理方法を定義することで実現できる。
【0083】
書類種別の項目は印刷のワークフローで使用され、書類種別と処理方法は読取のワークフローで使用される。したがって、書類種別(又はID)により印刷のワークフローと読取のワークフローを連携できる。
【0084】
処理方法記憶部13のURLは、印刷ワークフロー処理部14と読取ワークフロー処理部15にとって既知である。必要なら、管理者が印刷ワークフロー処理部14と読取ワークフロー処理部15に該URLを設定する。これにより、印刷ワークフロー処理部14と読取ワークフロー処理部15は処理方法記憶部13を参照して、それぞれワークフローを実行できる。
【0085】
【表2】
表2は、処理方法情報が記載されたファイルの一例を示す。管理者は表2のようなファイルを使用して、印刷データ記憶部11に新しい処理方法情報を追加したり、古い処理方法情報を削除したり編集したりする。管理者はID(表2ではNo)、及び、処理方法(送り先と通知先)を任意に設定できる。ファイル名は書類種別のファイルのファイル名である(本実施形態では使用されない)。
【0086】
処理方法情報の態様としては、例えば表計算ファイルでもよいし、CSV(comma-separated values)、XML、JSONでもよい。単純に、「ID、書類種別、処理方法」が記載されたテキストファイルでもよい。また、管理者がデータベース形式で登録する場合、PC(Personal Computer)で動作するデータベースクライアントを操作して「ID、書類種別、処理方法」を登録する。
【0087】
【表3】
表3は、出力物識別情報記憶部8に記憶されている出力物の識別情報の一例を示す。出力物識別情報記憶部8には、機器20が送信した画像データを読取ワークフロー処理部15が解析して復号した出力物の識別情報のリストが記憶される。表3の出力物の識別情報はyyyyMMddHHmmssの形式の日時情報である。この日時情報は、例えば出力物の印刷の日時である。秒単位の日時なので、ほぼ一意性が保証される。
【0088】
より好ましくは、表3に示すように、出力物識別情報記憶部8には出力物を出力したユーザーのユーザーIDも含まれるとよい。同じユーザーが同時刻に2つの出力物を出力することはないと考えてよいため、一意性を確保しやすくなる。
【0089】
<ワークフローの一例>
図6は、ワークフローの一例を説明する図である。図6(a)は印刷のワークフローの一例を示し、図6(b)は読取のワークフローの一例を示す。
【0090】
印刷のワークフローは、「書類をクラウドBからダウンロード」「画像コードを付与」「印刷」の一連の処理を順番に実行するものである。読取のワークフローは「画像にOCRをかける」「画像をクラウドAに送る」「メールを送る」の一連の処理を順番に実行するものである。
【0091】
管理者は事前にワークフローを設定することができる。本実施形態ではプログラムレスかつユーザサイドで構築できる。例えば、図6の各処理をGUI(Graphical User Interface)で組み合わせる(つなげる)ことでワークフローを設定できる。図6(b)の例では、「画像にOCRをかける機能」「画像をクラウドAに送る機能」「メールを送る機能」を事前に用意しておいて、図6(b)のようにつなげることで、プログラムレスで1つのワークフローを設定できる。
【0092】
なお、ワークフローの各処理は情報処理システム10内で完結する処理だけでなく、外部システムへ処理を委譲するケースがあってもよい。この場合は、情報処理システム10は、外部システムのWeb API(Application Programming Interface)を介して処理を委譲する。Web APIには厳格な定義はないが、HTTPなどのプロトコルを用いてネットワーク越しに呼び出すアプリケーション間又はシステム間のインターフェースである。
【0093】
<印刷のワークフロー、読取のワークフローの設定>
図7は、印刷のワークフローに関する設定画面300の一例である。管理者は第一の端末装置50を操作して情報処理システム10に接続させ、第一の端末装置50に図7の画面を表示させる。
【0094】
印刷のワークフローの設定画面300は、ストレージアカウント設定欄301、印刷データ保管先設定欄302、処理方法保管先設定欄303、印刷設定欄304、及び、画像コード付加方法設定欄306、を有している。
・ストレージアカウント設定欄301…情報処理システム10がストレージ(クラウドストレージサービス)にアクセスするためのユーザーのアカウント情報を管理者が選択する欄である。アカウント情報は例えば、ユーザーID(メールアドレス)及びパスワードである。図7ではユーザーのリストがプルダウン表示され、管理者がユーザーを選択するとアカウント情報も設定される。
・印刷データ保管先設定欄302…印刷データの保管先(例えば印刷データ記憶部11)のフォルダーのパス情報を管理者が設定する欄である。例えば、「/storage/print_data/」などが設定される。後述するステップS14(図11)のファイル名一覧の取得、及び、ステップS20の印刷データ取得、の取得先等となる。
・処理方法保管先設定欄303…処理方法の保管先(例えば処理方法記憶部13)のフォルダーのパス情報を管理者が設定する欄である。例えば「/storage/process_data/」などが設定される。
【0095】
なお、利用するストレージによってAPIや接続方法が異なるため、Webアプリ(ワークフローアプリ)やパッケージごとに1つが固定で設定されている。ただし、複数のストレージを切り替え可能であってもよい。
・印刷設定欄304…印刷データの出力時の、機器20(例えば画像形成装置)における設定値が入力される。設定値は管理者が固定できる。+ボタン305で設定項目が追加されるため、複数入力可能である。設定項目には以下のようなものがある。
【0096】
サイズ:A4/A3
カラー:モノクロ/カラー/二色
後処理:パンチ/ステープル 等
処理方法の情報を付加して印刷する(送付先・処理担当・書類の取り扱い)
・画像コード付加方法設定欄306…利用する処理方法(コード化する情報)の選択として、管理者が利用できる。+ボタン307の押下で以下の設定項目からいずれかを選択できる。
【0097】
書類種別(及びIDの少なくとも一方)を画像コードとして付加
ログインしているユーザーの識別情報を画像コードとして付加
書類種別(及びIDの少なくとも一方)と、ユーザーの識別情報の両方を画像コードとして付加
画像コードを付加しない
図8は、読取のワークフローに関する設定画面310の一例である。管理者は第一の端末装置50を操作して情報処理システムに接続させ、第一の端末装置50に図8の画面を表示させる。
【0098】
読取のワークフローの設定画面310は、ストレージアカウント設定欄311、処理方法保管先設定欄312、読取データ保管先設定欄313、読取設定欄314、及び、処理方法の選択欄316、を有している。
・ストレージアカウント設定欄311…図7の印刷のワークフローに関する設定画面300のストレージアカウント設定欄301と同様である。
・処理方法保管先設定欄312…処理方法の保管先(例えば処理方法記憶部13)のフォルダーのパス情報を管理者が設定する欄である。例えば、「/storage/process_data/」が設定される。ここに印刷のワークフロー(申請書類印刷サービス601)の設定が入っていれば情報処理システムが参照して設定内容に従う。
・読取データ保管先設定欄313…機器20(例えば画像形成装置)が申請書を読み取って生成した画像データの保管先(例えば読取データ記憶部12)のフォルダーのパス情報を管理者が設定する欄である。例えば「/storage/scan_data/seikyuu」などが設定される。処理方法保管先設定欄312が設定されていれば読取データ保管先設定欄313は設定されていなくてもよい。
【0099】
なお、「読取データ保管先設定欄が設定されない場合、処理方法保管先設定欄に設定された保管先又は送付先が参照される」「処理方法に加えて、全ての画像データが1つの保管先にも保管される。」「処理方法は適用せずに、強制的に全ての画像データを1つの保管先にも保管する」、などを管理者が選択できてもよい。
・読取設定欄314…申請書の読取り時における機器20(例えば画像形成装置)の設定値を管理者が設定する欄である。管理者が固定できる。+ボタン315の押下が設定項目を追加できるので、管理者は複数の設定項目を入力できる。
【0100】
サイズ:A4/A3
カラー:モノクロ/カラー/二色
解像度:200dpi/300dpi/400dpi 等
・処理方法の選択欄316…+ボタン317の押下でいずれかを管理者が選択する。
「書類種別(又はID)の識別情報に対応する処理を行う」
「ログインしているユーザーの識別情報に対応する処理を行う」
「書類種別(又はID)と、ユーザーの識別情報の両方に対応する処理をともに行う。」
「印刷時(申請書類印刷サービス)の設定が入っていれば従う。」
「処理(送付)しない」
<管理者による設定とユーザーによるアプリ実行の処理の流れ>
図9は、印刷のワークフロー、読取のワークフローの設定、読取のワークフローの実行、及び、申請書の確認処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
【0101】
S101:管理者が第一の端末装置50を操作して情報処理システム10に接続させる。第一の端末装置50の第一表示制御部52がログイン画面を表示するので、管理者が認証情報を入力する。第一の端末装置50の第一操作受付部53は入力を受け付ける。
【0102】
S102:第一の端末装置50の第一通信部51は認証情報を情報処理システムに送信する。情報処理システムの認証管理部17は認証情報で管理者を認証する。すなわち、管理者の権限があることを認証する。
【0103】
S103:情報処理システムの通信部16は認証チケットを第一の端末装置50に送信する。認証チケットはログインしたユーザーと対応づけられており、誰がログインしたか、このユーザーはどのような処理が可能かを示す。
【0104】
S104:管理者は印刷のワークフロー又は読取のワークフローに関する設定を行うため、ワークフローを選択する。第一の端末装置50の第一操作受付部53は選択を受け付ける。
【0105】
S105:第一の端末装置50の第一通信部51は選択したアプリの設定画面(図7図8の画面)を情報処理システムに要求する。
【0106】
S106:情報処理システムの通信部16はアプリの設定画面の要求を受信し、設定部18が設定画面の画面情報を第一の端末装置50に送信する。
【0107】
S107:第一の端末装置50の第一通信部51が設定画面の画面情報を受信する。第一表示制御部52が印刷のワークフローの設定画面300又は読取のワークフローの設定画面310を表示するので、管理者が設定値を入力する。第一の端末装置50の第一操作受付部53は入力を受け付ける。
【0108】
S108:第一の端末装置50の第一通信部51は設定値を情報処理システム10に送信する。情報処理システム10の通信部16は設定値を受信し、設定部18が設定値を記憶する。
【0109】
S109:設定値を保存した旨(OK)が第一の端末装置50に送信される。
【0110】
S110:管理者は処理方法を編集できる。管理者は、例えば、表計算ファイル又は処理方法が記載されているファイルなどを第一の端末装置50に表示させ、IDごとに処理方法を編集する。第一の端末装置50の第一操作受付部53は編集を受け付ける。編集された処理方法は外部システム30に保存される。
【0111】
S111:処理方法を保存した旨(OK)が第一の端末装置50に送信される。
【0112】
続いて、ユーザーが機器20に赴いて読取のワークフローを実行する。印刷のワークフローについてはすでに実行されたものとする。
【0113】
S112:機器20の通信部25は起動後、認証要求を情報処理システム10に送信する。ユーザー又はデバイス識別情報が送信される。
【0114】
S113:情報処理システム10の認証管理部17はユーザー又は機器20を認証し、認証が成功した場合、利用権限ありを示す認証チケットを機器20に送信する。
【0115】
S114:機器20の通信部25はユーザーが選択したワークフローの実行要求を情報処理システム10に送信する。例えば、機器20が申請書を読み取って生成した画像データが送信される。
【0116】
S115:情報処理システム10の通信部16はワークフローの実行要求を受信し、読取ワークフロー処理部15が読取のワークフローの設定値を設定部18から取得する。
【0117】
S116:読取ワークフロー処理部15は設定値に基づいて処理方法の保管先(外部システム30)を特定し、編集後の処理方法情報を外部システム30から取得する。
【0118】
S117:読取ワークフロー処理部15は処理方法情報に基づいて、通知先アドレスに画像データを送信する。例えば、取引担当宛に電子メールを送信する。
【0119】
S118:また、読取ワークフロー処理部15は処理方法情報に基づいて、送信先フォルダーに画像データを送信する(保存する)。
【0120】
次に、申請書の処理担当が申請書を確認する。
【0121】
S119:処理担当が第二の端末装置60を操作して情報処理システム10に接続させる。第二の端末装置60には電子メール等で保管先(外部システム30のフォルダー)が通知されているので、処理担当は送信先のフォルダーを開く操作を入力する。第二の端末装置60の第二操作受付部63は入力を受け付ける。
【0122】
S120:第二の端末装置60の第二通信部61は送り先フォルダーに接続する。
【0123】
S121:これにより、第二の端末装置60の第二通信部61は送り先フォルダーに保存されている画像データ(申請書等)の一覧を受信し、第二表示制御部62が表示できる。
【0124】
S122:処理担当は所望の申請書等を選択すると、第二の端末装置60の第二通信部61が申請書の画像データを受信する。第二表示制御部62が画像データを表示することで処理担当は申請書等を確認できる。
【0125】
<動作手順>
続いて、図10を用いて処理実行システム1の動作について説明する。まず、図10は、基本となる印刷と読取の全体の流れを示すシーケンス図である。
【0126】
S1:ユーザーは機器20に対し印刷指示を入力する。機器20の操作受付部22は印刷指示を受け付ける。
【0127】
S2:機器20の通信部25は、情報処理システム10から書類の印刷データを取得する。情報処理システム10の印刷ワークフロー処理部14は、ユーザーが指定した書類の印刷データに対し図6(a)で説明したような一連の処理を施す。
【0128】
S3:機器20の出力部23は印刷データを印刷する。
【0129】
S4:ユーザーは印刷された書類に必要事項を記入する。
【0130】
S5:ユーザーは、機器20に記入済みの書類の読取指示を入力する。機器20の操作受付部22は読取指示を受け付ける。
【0131】
S6:機器20の入力部24は書類を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0132】
S7:機器20の通信部25は画像データを情報処理システム10に送信する。
【0133】
S8:情報処理システム10の読取ワークフロー処理部15は、送信された画像データを解析して書類種別を取得する。
【0134】
S9:情報処理システム10の読取ワークフロー処理部15は、読取ワークフローに基づいて画像データに図6(b)で説明したような一連の処理を施す。
【0135】
以下では、図10のうち、印刷のワークフローと読取のワークフローの詳細をそれぞれ説明する。
【0136】
<印刷のワークフローの処理>
図11は、印刷のワークフローにおいて、処理実行システム1が実行する処理を説明するシーケンス図の一例である。
【0137】
S10:まず、ユーザーが機器20にログインする。認証画面の一例を図12に示す。ユーザーはアカウント情報を機器20に入力し、操作受付部22が受け付けたアカウント情報に基づいて認証部26がユーザーを認証する。認証部26は認証成功又は失敗を表示処理部21に通知する。ここでは認証が成功したものとし、ユーザー名が特定されたものとする。ユーザー名に限らずユーザーを特定又は識別する情報であって処理方法記憶部13に登録されている情報が特定されればよい。
【0138】
S11:機器20は、認証成功により、例えばいくつかのアプリのリストが表示されたホーム画面を表示する。ユーザーは印刷のワークフローに対応したアプリを選択する。ホーム画面の一例を図13に示す。ユーザーが印刷用画面を表示する操作を入力すると(アプリを選択すると)操作受付部22が受け付けて表示処理部21に通知する。このアプリが表示する画面を印刷用画面という。
【0139】
S12:表示処理部21は、通信部25に印刷用画面の取得要求を送信する。
【0140】
S13:通信部25は、印刷用画面の取得要求を情報処理システム10に送信する。情報処理システム10の通信部16は印刷用画面の取得要求を受信する。
【0141】
S14:印刷ワークフロー処理部14は印刷用画面の画面情報を生成するため、書類のファイル名を印刷データ記憶部11に要求する。ファイル名に限らず、書類を特定できる情報であればよい。処理方法記憶部13から書類を特定できる情報を取得してよい。印刷ワークフロー処理部14は印刷データ記憶部11に記憶されている書類のリストを取得する。
【0142】
印刷ワークフロー処理部14は通信部16を介して、書類のファイル名を機器20に送信する。なお、印刷ワークフロー処理部14は単に書類のファイル名を機器20に送信してもよいし、Webサーバとして書類のファイル名(又は書類名などのユーザーが認知している名称)を表示する画面情報を機器20に送信してもよい。画面情報とは、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(cascading style sheet)等で記述されており、主にブラウザソフトが解析して表示する情報である。
【0143】
S15:機器20の通信部25は書類のファイル名又は画面情報を受信し、表示処理部21に印刷用画面取得結果(書類のファイル名又は画面情報)を送信する。
【0144】
S16:表示処理部21は書類のファイル名又は画面情報に基づいて、印刷用画面を操作パネル940に表示する。印刷用画面の一例を図14に示す。印刷用画面では、どの書類を印刷するかをユーザーが選択する。その際、図14(a)のように印刷データ記憶部11の中身を直接表示して選択させる印刷用画面でもよいし、図14(b)のように書類を選択式に選択させる印刷用画面でもよい。どちらを画面であっても以後のシーケンスで選択した書類に応じた書類種別が指定される。
【0145】
S17:ユーザーは印刷用画面において印刷する書類を選択する。操作受付部22は選択に応じて書類種別を受け付けて表示処理部21に書類種別を通知する。書類種別は印刷データを特定する情報であればよい。例えば、ファイル名、印刷データ記憶部11内の識別番号などでよい。ファイル名や印刷データ記憶部11内の識別番号は、ステップS14で取得されている。
【0146】
なお、ユーザーが書類を選択すると印刷用画面は印刷設定画面に遷移する。ユーザーは印刷設定画面で書類の印刷設定を行うことができる。印刷設定画面の一例を図15に示す。
【0147】
S18:表示処理部21は、書類種別とログインにより特定されたユーザーIDを指定して通信部25に印刷データ取得要求を送信する。
【0148】
S19:機器20の通信部25は、書類種別とユーザーIDを指定し情報処理システム10に印刷データ取得要求を送信する。なお、機器20はユーザー名を送信してもよく、この場合、情報処理システム10がユーザー名とユーザーIDの対応テーブルを参照して、ユーザー名をユーザーIDに変換する。
【0149】
S20:情報処理システム10の通信部16は印刷データ取得要求を受信し、情報処理システム10の印刷ワークフロー処理部14は、書類種別を指定して書類の印刷データを印刷データ記憶部11から取得する。なお、印刷ワークフロー処理部14が書類種別を示すIDを画像コード9に含める場合、書類種別に対応付けられているIDを処理方法記憶部13から取得する。
【0150】
S21:印刷ワークフロー処理部14は印刷データを加工する。すなわち、書類種別、ユーザーID、及び、出力物の識別情報を印刷データに付加する。付加の方法としては、直接文字列を付加してもいいし、画像コード(QRコード(登録商標)、二次元コード、バーコード等、特定の情報が埋め込まれた画像情報)を付加してもよいし、電子透かし・地紋などで付加してもよい。本実施形態では画像コードであるとして説明する。詳細を図16にて説明する。
【0151】
S22:印刷ワークフロー処理部14は通信部16を介して、機器20に印刷データを送信する。
【0152】
S23:機器20の通信部25は印刷データを受信し、表示処理部21に印刷データを返す。確認のために印刷データの文面を表示してもよい。
【0153】
S24:表示処理部21は、印刷データを指定して出力部23に印刷要求を送信する。
【0154】
S25:出力部23は、印刷を実行する。
【0155】
以上により、印刷のワークフローが実行され、書類種別、ユーザーID及び出力物の識別情報を含む画像コード9が形成された所望の書類が印刷される。
【0156】
<認証画面の一例>
図12は、認証画面660の一例を示す。図12(a)に示すように、認証画面660は、メールアドレス欄661、パスワード欄662、及び、ログインボタン663を有する。ホーム画面600で、申請書類印刷サービス601、又は、簡単申請サービス602が押下されると認証画面660に遷移する。
【0157】
ユーザーはメールアドレス欄661にメールアドレスを、パスワード欄662にパスワードを入力し、ログインボタン663を押下する。メールアドレスはユーザーの識別情報の1つである。これにより、認証部26がアカウント情報(メールアドレスとパスワード)に基づいて認証成功又は失敗を判断する。認証が成功した場合、印刷用画面610又は読取用画面630が表示される。認証が失敗した場合、図12(b)に示すエラーメッセージ664が表示される。この場合、ユーザーは再度、メールアドレスとパスワードを入力する。
【0158】
<印刷時の画面例>
図13はホーム画面600の一例を示す。ホーム画面600は、ユーザー操作の起点となる画面であり、起動後やログイン後に最初に表示される画面である。いくつかのアプリのリストが表示されており、その中の1つに印刷のワークフローに相当するアプリ、及び、読取のワークフローに相当するアプリがある。
【0159】
例えば、申請書類印刷サービス601が印刷のワークフローに相当するアプリであり、簡単申請サービス602が読取のワークフローに相当するアプリである。申請書類印刷サービス601が選択されると、図14(a)又は図14(b)に示す印刷用画面610が表示される。
【0160】
これらのワークフローのアプリは、操作パネル940にアプリマーケットサイトからユーザーが入手できる。追加されたアプリはWebアプリへのリンクを有しており、ワークフロー作成手段によってクラウド上に作成構築されたWebアプリに、アクセスする。
【0161】
図14は印刷用画面610の一例である。図14(a)は印刷データ記憶部11の中身を直接表示する印刷用画面610である。このため書類のファイル名611がリストアップされている。ユーザーはこの中から所望の書類を選択できる。ユーザーはファイル名611を押下することで書類を選択できる。
【0162】
図14(b)は書類を選択式に選択させる印刷用画面610である。この印刷用画面610は、印刷ワークフロー処理部14又は機器20の表示処理部21が印刷データ記憶部11の情報から作成したものである。印刷用画面610は書類のリスト612を表示している。図14(b)では書類のリスト612がファイル名と同じであるが、ユーザーに認知されている書類の名称を表示できる。印刷データ記憶部11において、例えば、各書類に識別番号を付加してファイル名と対応付けておけば、書類のリスト612で表示する書類の名称は任意でよい。ユーザーはラジオボタン613を押下することで書類を選択できる。
【0163】
図14(a)又は図14(b)で印刷ボタン614が押下されると、表示処理部21は印刷設定画面を表示する。
【0164】
図15は印刷設定画面620の一例を示す。印刷設定画面620はカラー/モノクロ621、倍率622、部数623、用紙624、両面/片面625、集約626などを設定するための画面である。ユーザーがスタートボタン627を押下すると、選択した書類の印刷が開始される(ステップS18以降が処理される)。
【0165】
<画像コードに含まれる情報>
図16は、画像コード9に含まれる情報を説明する図である。図16において「:」(半角コロン)は区切り文字である。したがって、図16は、@EDW\n(101)、交通費申請.pdf(102)、user0001(103)、及び、20200624091020(104)という4つの情報を有している。
・@EDW\n(101)はサービス識別文字列である。サービス識別文字列は、本アプリ(情報処理システムが提供するWebアプリ)が付与した画像コードである旨を示す。サービス識別文字列は、書類に関係なく固定で例えば「@EDW」とする。なお、\nは改行コードである。例えば、機器20が印刷する用紙に複数の画像コードが形成されている場合、情報処理システム10はサービス識別文字列を含む画像コード9を特定できる。サービス識別文字列は、情報処理システム10が画像コードを特定できれば「@EDW」に限られない。
・交通費申請.pdf(102)は書類のファイル名である。本実施形態では、一意のファイル名が付与されているので、ファイル名は書類種別である。書類種別は、拡張子を含み最大50文字とし、超過分は切り捨てられる。
・user0001(103)はログインしているユーザーのユーザーIDである。つまり、印刷ワークフローを実行したユーザーのアカウントである。最大50文字とし、超過分は切り捨てられる。
・20200624091020(104)は画像コード9を含む書類を機器20が印刷した日時である。JST(日本標準時(Japan Standard Time))をyyyyMMddHHmmss 形式で表す。本実施形態では、この日時を出力物の識別情報とする。出力物の一意性を保証できればよく、出力物の識別情報は、印刷ワークフローの実行日時、画像コード9の生成日時、又は、機器20が情報処理システム10にアクセスした日時、などでもよい。
【0166】
<書類への記入例>
図17は、機器20が印刷した書類の一例を示す。図17の書類は休暇届を例にしたが書類はどのようなものでもよい。図17(a)は画像コード9が付加される前の休暇届であり、図17(b)は画像コード9が形成された休暇届である。ユーザーは必要事項を記入して、読取のワークフローを実行する。
【0167】
図17(b)では休暇届の右上に画像コード9が形成されている。画像コード9には、@EDW、書類種別(例えば、休暇届.pdf)、ユーザーID、及び、出力物の識別情報がエンコードされている。
【0168】
なお、図18に示すように、画像コード9の形成位置はワークフローの設定の中で管理者が設定できる。図18(a)は、管理者が操作する第一の端末装置50が表示する位置設定画面670の一例である。
【0169】
位置設定画面670は印刷位置の項目671を有する。この項目671は、左上、右上、左下、又は、右下を表示するプルダウンメニューを有している。管理者は左上、右上、左下、又は、右下のいずれかから画像コード9の形成位置を設定できる。管理者が2カ所以上を設定できてよい。図18(b)は形成位置を模式的に示す。図18(b)に示す4カ所の形成位置672のうち、管理者が選択した1つ以上に画像コード9が形成される。
【0170】
<読取のワークフロー>
続いて、読取のワークフローをユーザーが実行する場合を説明する。読取のワークフローにおいて、管理者は二重申請を防止するか否かを情報処理システム10に設定することができる。これは、ユーザーが扱う書類によっては同じ書類を使った申請を認めてよい場合もあるためである。例えば、旅費の精算に使用される書類では二重申請を認めるべきでないが、営業報告の書類は、ユーザーが同じ書類を使った申請を認めてよい。こうすることで、ユーザーが報告のたびに、書類を印刷する手間やコストを低減できる。このため、本実施形態では、管理者が、二重申請を防止するか否かを情報処理システム10に設定できる。
【0171】
<<二重申請防止の設定>>
図19は、管理者が操作する第一の端末装置50が表示する二重申請設定画面680の一例である。二重申請設定画面680は、二重申請防止項目681を有する。二重申請防止項目681は、「する」、又は、「しない」を表示するプルダウンメニューを有している。管理者は、書類種別ごとに、「する」、又は、「しない」のいずれかを選択できる。
【0172】
情報処理システム10は、二重申請を防止する設定の場合、画像コード9に含まれる出力物の識別情報(印刷日時)を、画像データ(入力データ)のファイル名に使用する。ファイル名が同じファイルは1つのフォルダーに保存できないので、自動的に重複検出が可能になる。保管先のフォルダーに同じファイル名のファイルが存在する場合、情報処理システム10は、機器20及びユーザー(メール送信)の少なくとも一方にエラーを返す。
【0173】
二重申請を防止しない設定の場合、情報処理システム10は、画像コードに含まれる出力物の識別情報(印刷日時)ではなく、スキャン日時を画像データ(入力データ)のファイル名に使用する。申請書類が同じでもスキャン日時が変わるたびにファイル名が変わるので、ファイルの重複はほとんど検出されない。
【0174】
このように、本実施形態の情報処理システム10は、二重申請防止設定がありか又はなしかによって、情報処理システム10が画像データに付与するファイル名を変更する。
【0175】
【表4】
表4は、管理者が設定した二重申請防止設定のあり又はなしが登録された重複検出設定情報の一例を示す。重複検出設定情報には、書類種別ごとに二重申請防止のあり又はなしが設定されている。重複検出設定情報は、例えば、外部システム30に保存される。情報処理システム10が保存してもよい。
【0176】
図20は、情報処理システム10が画像データに付与するファイル名を説明する図である。図20(a)は 二重申請防止設定ありの場合のファイル名付与ルールである。ファイル名付与ルールによれば、「プレフィックス」111、「ユーザーID」112、及び「印刷日時」113がそれぞれ{}で囲まれ、それぞれが「_」により区切られている。「pdf」は拡張子である。拡張子はpdf以外でもよい。
・プレフィックス111は書類種別である。
・ユーザーID112は画像コード9に含まれるユーザーID(書類を印刷したユーザーの識別情報)である。
・印刷日時113は画像コード9に含まれる出力物の識別情報(印刷日時 (yyyyMMddHHmmss))である。
【0177】
したがって、いずれも画像コード9に含まれており、情報処理システム10はこれらを使って、画像データ(入力データ)にファイル名を付与できる。出力物の識別情報には一意性があるので、重複検出部19が画像データの重複を検出できる。ファイル名にはユーザーIDも含まれるので、更に一意性を保証しやすい。
【0178】
図20(b)は二重申請防止設定なしの場合のファイル名付与ルールである。「プレフィックス」111と「ユーザーID」112は図20(a)と同じである。二重申請防止設定なしの場合、出力物の識別情報でなくスキャン日時114がファイル名に含まれる。
・スキャン日時114は、読取ワークフローをユーザーが実行した日時である(yyyyMMddHHmmss)。スキャン日時114は、サービス提供した日時に関連した情報であればよい。例えば、情報処理システム10が機器20からサービス要求を受け付けた日時、又は、機器20から画像データを受け付けた日時であってもよい。
【0179】
スキャン日時はスキャンのたびに変わるので、1つのフォルダーに同じファイル名が存在する可能性をほぼなくすことができる。仮に同じスキャン日時のファイルが存在してもユーザーIDまで同じになることは生じにくいので、情報処理システム10は1つのフォルダーに画像データを保存できる(二重申請防止なし)。したがって、スキャン日時は、重複する可能性がないとみなせる桁数のランダムな文字列などでもよい。
【0180】
<読取のワークフローの処理>
図21は、読取のワークフローにおいて、処理実行システム1が実行する処理を説明するシーケンス図の一例である。なお、ユーザーは機器20にすでにログインしているものとする。
【0181】
S31:同様に、ユーザーはホーム画面600を表示させており、ユーザーは読取のワークフローに対応したアプリ(簡単申請サービス602)を選択する。このアプリが表示する画面が読取用画面である。ユーザーが読取用画面を表示する操作(簡単申請サービス602の押下)を入力すると操作受付部22が受け付けて表示処理部21に通知する。
【0182】
S32:表示処理部21は、通信部25に読取用画面の取得要求を送信する。
【0183】
S33:通信部25は、読取用画面の取得要求を情報処理システム10に送信する。情報処理システム10の通信部16は読取用画面の取得要求を受信する。読取ワークフロー処理部15は読取用画面の画面情報を機器20に送信する。読取用画面は所定のメッセージを表示する固定の画面でよい。
【0184】
S34:機器20の通信部25は受信した読取用画面の画面情報を表示処理部21に送信する。
【0185】
S35:表示処理部21は読取用画面の画面情報に基づいて、読取用画面を操作パネル940に表示する。読取用画面の一例を図22に示す。
【0186】
S36:ユーザーは読取用画面を参照して、書類をADF等にセットして、記入した書類の読取指示を機器20に入力する。操作受付部22は読取指示を受け付ける。
【0187】
なお、ユーザーが読取指示を入力すると読取用画面は読取設定・実行画面に遷移する。ユーザーは読取設定・実行画面で読取条件を設定することができる。読取設定・実行画面の一例を図23に示す。
【0188】
S37:表示処理部21は、読取条件を指定して入力部24に読取要求を送信する。
【0189】
S38:入力部24は読取条件にしたがって書類の読み取りを実行する。これにより書類の画像データを生成する。
【0190】
S39:入力部24は画像データの送信要求を通信部25に送信する。
【0191】
S40:機器20の通信部25は画像データを情報処理システム10に送信する。
【0192】
S41:情報処理システム10の通信部16は画像データを受信し、読取ワークフロー処理部15が画像コードの検出と、画像コードがあればその解析(デコード)を行う。これにより、書類種別、ユーザーID、及び、出力物の識別情報が復元される。
【0193】
S42:読取ワークフロー処理部15は書類種別を指定して、処理方法記憶部13から処理方法情報を取得する。ここでは処理方法を取得すればよい。画像コードから読み取った書類種別が「休暇届」の場合、処理方法は、データの保管先が「/kyuukaフォルダー以下」、通知先が「ccc@bb.cc」となる。
【0194】
S43:次に、読取ワークフロー処理部15は外部システム30から書類種別を指定して二重申請防止の設定を取得する。書類種別(又はID)を指定して、外部システム30から二重申請防止のあり又はなしを取得する。
【0195】
S44:二重申請防止ありの場合、重複検出部19が画像コードに含まれる情報に基づいて画像データの重複を判断する。すなわち、重複検出部19は、図16に示したように、画像コードに含まれる出力物の識別情報が、出力物識別情報記憶部8に記憶されているか否かを判断する。なお、出力物の識別情報とユーザーIDの両方を用いて判断してもよい。また、読取ワークフロー処理部15がフォルダーに画像データを保存する場合、ファイル名で画像データの重複を検出できる。したがって、ステップS44の重複判断はなくてもよい。
【0196】
S45:次に、ファイル名設定部15aは、出力物の識別情報を使用してファイル名を設定する。これは、フォルダーに同じファイル名のファイルがすでにある場合、読取ワークフロー処理部15がエラーを検出するためである。したがって、ステップS44が実行される場合、情報処理システム10は2つの方法で二重申請を防止できる。なお、読取データ記憶部12のフォルダーに同じファイル名のファイルがすでにあるか否かの判断方法は、読取ワークフロー処理部15がフォルダーにあるファイル名のリストと新たに設定したファイル名を比較する方法がある。あるいは、読取ワークフロー処理部15がフォルダーにファイルを書き込む際に、OSなどがエラーを出力する方法がある。二重申請が検出された場合の読取・処理結果画面の一例を図25に示す。
【0197】
S46:二重申請防止なしの場合、ファイル名設定部15aは、スキャン日時を使用してファイル名を設定する。これにより、フォルダーに同じファイル名のファイルがすでに存在する可能性をほぼなくすることができる。なお、ファイル名に使用されるユーザーIDは、読取ワークフローの実行時にユーザーがログインすることで特定されたユーザーIDでもよい。
【0198】
S47:読取ワークフロー処理部15は処理方法記憶部13に設定されているフォルダーに画像データを保存する。図21ではフォルダーが読取データ記憶部12にあるものとする。読取ワークフロー処理部15は、ファイル名が同じファイルがフォルダーに保存されている場合、ファイルを書類種別に応じたフォルダーに保存せず、ファイル名が同じファイルがフォルダーに保存されていない場合、ファイルを書類種別に応じたフォルダーに保存する。二重申請防止ありの場合、ファイル名が一致することでエラーが生じ、情報処理システム10が二重申請を防止できる。
【0199】
S48:重複検出部19が重複なしを判断した場合、読取ワークフロー処理部15は処理方法記憶部13に設定されている外部システムに画像データを送信し、外部システムに応じた処理を要求する。表1の処理方法記憶部13の場合、「ccc@bb.cc」にメール通知をする処理である。この他、他の外部システムへ連携処理を要求してもよい。このように、ファイル名の一致で二重申請を防止できない処理でも、重複検出部19が申請の重複(画像データの重複)を判断することで、同じ書類に基づく二重申請を防止できる。
【0200】
S49:読取ワークフロー処理部15は処理結果を機器20に送信する。処理結果には、二重申請防止ありの場合に、画像データの重複が検出された場合が含まれる。
【0201】
S50:機器20の通信部25は処理結果を受信し、入力部24に処理結果を送信する。
【0202】
S51:入力部24は処理結果を表示処理部21に送信する。
【0203】
S52:表示処理部21は処理結果を含む読取・処理結果画面を操作パネル940に表示する。読取・処理結果画面の一例を図24に示す。
【0204】
以上により、読取のワークフローが実行され、書類が書類種別に応じて決まったフォルダーに送信されたり、外部システムで処理されたりする。
【0205】
<読取時の画面例>
図22は読取用画面630の一例である。図22の読取用画面630へは、図13のホーム画面で簡単申請サービス602が選択されると遷移する。読取用画面630は「ADFに原稿をセットして読取ボタンを押下してください」というメッセージ631、及び、読取ボタン632を有している。読取ボタン632の押下により、読取用画面630は読取設定・実行画面640に遷移する。
【0206】
図23は読取設定・実行画面640の一例である。読取設定・実行画面640では、白黒641、ファイル形式642、解像度643、原稿面644、読取サイズ645、ファイル名646、濃度647、原稿セット方向648、及び、送信者649を設定できる。スタートボタン640aが押下されると読取が開始される(ステップS37以降が処理される)。読取が完了すると読取・処理結果画面650に遷移する。
【0207】
図24は実行完了の場合に機器が表示する読取・処理結果画面650の一例である。読取・処理結果画面650は「読み取ったデータの処理が完了しました」というメッセージ651と、書類種別のIDと処理方法情報に基づいて画像データを処理した処理方法652が表示されている。処理方法652は例えば「003 休暇届けを読取ったため、総務課(/kyuukaフォルダー、及び、ccc@bb.cc)に送信しました」である。「003」は書類種別のIDである。また、「総務課」のような情報は処理方法記憶部13に予め設定してあるものとする。
【0208】
図25は、二重申請が検出された場合に機器が表示する読取・処理結果画面690の一例である。読取・処理結果画面690は「申請の重複が検出されました。このため申請は却下されました。」というメッセージ691が表示されている。ユーザーはメッセージを読んで、エラーが生じた旨を把握し、新規に書類を印刷するなどの対応が可能になる。なお、情報処理システム10が同様のメッセージを有する電子メールをログインしているユーザーに送信してもよい。図25の読取・処理結果画面690の表示と電子メールの送信の両方を行ってもよい。
【0209】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の情報処理システム10は、出力物の識別情報に基づいて書類の二重申請を検出することができる。したがって、費用などを社員が二重申請することを抑制できる。また、管理者が書類ごとに二重申請防止設定のありとなしを設定できるので、情報処理システム10は、書類ごとに二重申請を検出するかどうかを切り替えることができる。
【0210】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。各実施例を組合せた処理を実行してもよい。
【0211】
また、本実施形態では機器20として主に画像形成装置を説明に使用したが、画像形成装置に限られない。機器20は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0212】
また、図5などの構成例は、情報処理システム10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理システム10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0213】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0214】
更に、情報処理システム10は、開示された処理ステップ、例えば図11図21等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、情報処理システム10が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、情報処理システム10は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0215】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0216】
1 処理実行システム
10 情報処理システム
20 機器
30 外部システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0217】
【文献】特開2018‐007085号公報
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