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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】接続構造体及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20240501BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01R11/01 501A
H01R43/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021567160
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2020045304
(87)【国際公開番号】W WO2021131620
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2019239521
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】赤井 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】宮地 勝将
(72)【発明者】
【氏名】欠畑 純一
(72)【発明者】
【氏名】江尻 芳則
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敏光
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-45832(JP,A)
【文献】特開2014-225654(JP,A)
【文献】特開2012-142450(JP,A)
【文献】特開2019-29135(JP,A)
【文献】特開平5-23887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/01
H01R 43/00
H01B 13/00
H01L 21/60
H05K 3/32
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極を複数有する第一の回路部材と、
第二の電極を複数有する第二の回路部材と、
前記第一の電極と前記第二の電極とを電気的に接続する接合部を複数有する中間層と、
を備え、
前記接合部で接続される前記第一の電極及び前記第二の電極の少なくとも一方が金電極であり、
複数の前記接合部のうち90%以上が、前記第一の電極と前記第二の電極とを連結するスズ-金合金を含有する第一の領域と、前記第一の領域に接する、ビスマスを含有する第二の領域と、を含む、
接続構造体。
【請求項2】
前記中間層が、前記第一の回路部材と前記第二の回路部材との間を封止する絶縁性樹脂層を更に有する、請求項1に記載の接続構造体。
【請求項3】
第一の電極を複数有する第一の回路部材と、第二の電極を複数有する第二の回路部材と、異方性導電フィルムと、を準備する準備工程と、
前記第一の回路部材、前記第二の回路部材及び前記異方性導電フィルムを、前記第一の回路部材の前記第一の電極を有する面と前記第二の回路部材の前記第二の電極を有する面とが前記異方性導電フィルムを介して対向するように配置して、前記第一の回路部材、前記異方性導電フィルム及び前記第二の回路部材がこの順で積層した積層体を得る配置工程と、
前記積層体を厚み方向に押圧した状態で加熱することにより、前記第一の電極と前記第二の電極とを接合部を介して電気的に接続する接続工程と、
を含み、
前記第一の電極及び前記第二の電極のうち少なくとも一方が金電極であり、
前記異方性導電フィルムが、絶縁性樹脂組成物から構成される絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルム中に配置されている複数のはんだ粒子とを含み、
前記はんだ粒子がスズ-ビスマス合金を含有し、前記はんだ粒子の平均粒子径が1μm~30μmであり、前記はんだ粒子のC.V.値が20%以下であり、
前記異方性導電フィルムの縦断面において、前記はんだ粒子が隣接する前記はんだ粒子と離隔した状態で横方向に並ぶように配置されており、
前記接続工程で形成される複数の前記接合部のうち90%以上が、前記第一の電極と前記第二の電極とを連結するスズ-金合金を含有する第一の領域と、前記第一の領域と接する、ビスマスを含有する第二の領域と、を含む、
接続構造体の製造方法。
【請求項4】
前記はんだ粒子が、
複数の凹部を有する基体と、スズ-ビスマス合金を含有するはんだ微粒子と、を準備するはんだ微粒子準備工程と、
前記はんだ微粒子の少なくとも一部を、前記凹部に収容する収容工程と、
前記凹部に収容された前記はんだ微粒子を融合させて、前記凹部の内部にはんだ粒子を形成する融合工程と、
を含む方法により製造されたはんだ粒子である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記はんだ微粒子準備工程で準備される前記はんだ微粒子のC.V.値が20を超える、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記異方性導電フィルムが、
前記はんだ粒子が収容された凹部を複数有する基体の、前記凹部の開口側に絶縁性樹脂組成物を接触させて、前記はんだ粒子が転写された第一の樹脂層を得る転写工程と、
前記はんだ粒子が転写された側の前記第一の樹脂層の表面上に、絶縁性樹脂組成物から構成される第二の樹脂層を形成することにより、異方性導電フィルムを得る積層工程と、
を含む方法により製造された異方性導電フィルムである、請求項3~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスに搭載される半導体チップは、回路基板上にワイヤーボンディングやはんだボールを用いたボールグリッドアレイ(BGA)接続などで実装された後、絶縁性樹脂材料で封止され、半導体パッケージと呼ばれる機能集積体として利用される。特に、BGA接続は、電極間ピッチを狭く出来ることから、半導体パッケージの小型化に寄与してきた(特許文献1)。
【0003】
近年は、スマートフォンやタブレットといった小型で高機能な製品向けに、半導体パケージの低背、薄型、高機能化が進行し、接続する電極数の増大と、電極間ピッチの狭小化が進んでいる。半導体パッケージの1次接続側では、100μm以下の狭ピッチ接続を実現するために、銅ピラーの先端にはんだを積層したはんだ付Cuピラー構造が用いられている(特許文献2)。
【0004】
また、環境性能の観点から2000年代からは、スズに銀や銅を添加した鉛フリーはんだが用いられており、260℃前後のリフロー温度により実装がなされている。しかしながら、金属やガラスや樹脂などの複合体である半導体パッケージでは、260℃リフローによる熱履歴により、各材料の熱膨張率の違いから、実装部(はんだ部分)へ応力が掛かり、破壊が起こる課題があった。また、260℃リフローでは、はんだと電極の金属材料との合金化が進行し、破壊を促進する合金層が生成してしまう課題もあった。また、スズ-銀系統のはんだは、260℃リフローを必要とするため、より安価な樹脂材料を適用出来ない課題があった。特許文献3では、スズとビスマスを用いた200℃以下の融点を有する低温はんだを用いた実装方法が開示されている。しかしながら、スズ-ビスマスはんだは、ビスマスが脆いことから外部からの衝撃によりはんだ接合部が破壊しやすい課題があった。特許文献4では、スズ-ビスマスはんだに、微量金属を添加することで、接合部の脆さを改善する試みがなされている。
【0005】
一方で、多数の電極を一括で電気的な接続を取る方法として、従来から異方性導電フィルム、異方性導電ペースト等の異方性導電材料が用いられてきた。異方性導電材料は、ディスプレイのコントロールICの実装やタブ線の接続・実装など多数の配線を一括で実装する用途に用いられ、近年では30μmを下回る狭ピッチ接続を可能としてきた。これら異方性導電材料に配合される導電性粒子として、従来からはんだ粒子の使用が検討されている。例えば、特許文献5には、熱硬化性成分と、特定の表面処理を施された複数のはんだ粒子と、を含む導電ペーストが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-7894公報
【文献】特開2015-106654公報
【文献】特開2014-84395公報
【文献】WO2014061085公報
【文献】特開2016-76494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、近年、回路部材の多様化に対応した接続温度の低温化、回路部材の高精細化に伴って接続箇所の微小化、薄型化が進行しており、接続構造体の導通信頼性の確保が難しくなっている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、導通信頼性及び絶縁信頼性に優れた接続構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、第一の電極を複数有する第一の回路部材と、第二の電極を複数有する第二の回路部材と、第一の電極と第二の電極とを電気的に接続する接合部を複数有する中間層と、を備え、接合部で接続される前記第一の電極及び前記第二の電極の少なくとも一方が金電極であり、複数の接合部のうち90%以上が、第一の電極と第二の電極とを連結するスズ-金合金を含有する第一の領域と、前記第一の領域に接する、ビスマスを含有する第二の領域と、を含む、接続構造体に関する。
【0010】
一態様において、中間層は、第一の回路部材と第二の回路部材との間を封止する絶縁性樹脂層を更に有していてよい。
【0011】
本発明の他の一側面は、第一の電極を複数有する第一の回路部材と、第二の電極を複数有する第二の回路部材と、異方性導電フィルムと、を準備する準備工程と、第一の回路部材、第二の回路部材及び異方性導電フィルムを、第一の回路部材の第一の電極を有する面と第二の回路部材の第二の電極を有する面とが異方性導電フィルムを介して対向するように配置して、第一の回路部材、異方性導電フィルム及び第二の回路部材がこの順で積層した積層体を得る配置工程と、積層体を厚み方向に押圧した状態で加熱することにより、第一の電極と前記第二の電極とを接合部を介して電気的に接続する接続工程と、を含む、接続構造体の製造方法に関する。この製造方法において、第一の電極及び第二の電極のうち少なくとも一方は金電極であり、異方性導電フィルムは、絶縁性樹脂組成物から構成される絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルム中に配置されている複数のはんだ粒子とを含む。また、はんだ粒子は、スズ-ビスマス合金を含有し、はんだ粒子の平均粒子径は1μm~30μmであり、はんだ粒子のC.V.値は20%以下である。また、異方性導電フィルムの縦断面において、はんだ粒子は、隣接するはんだ粒子と離隔した状態で横方向に並ぶように配置されている。また、接続工程で形成される複数の接合部のうち90%以上は、第一の電極と第二の電極とを連結するスズ-金合金を含有する第一の領域と、前記第一の領域に接する、ビスマスを含有する第二の領域と、を含む。
【0012】
一態様において、はんだ粒子は、複数の凹部を有する基体と、スズ-ビスマス合金を含有するはんだ微粒子と、を準備するはんだ微粒子準備工程と、はんだ微粒子の少なくとも一部を凹部に収容する収容工程と、凹部に収容されたはんだ微粒子を融合させて、凹部の内部にはんだ粒子を形成する融合工程と、を含む方法により製造されたはんだ粒子であってよい。
【0013】
一態様において、はんだ微粒子準備工程で準備されるはんだ微粒子のC.V.値は20を超えていてよい。
【0014】
一態様において、異方性導電フィルムは、はんだ粒子が収容された凹部を複数有する基体の、凹部の開口側に絶縁性樹脂組成物を接触させて、はんだ粒子が転写された第一の樹脂層を得る転写工程と、はんだ粒子が転写された側の第一の樹脂層の表面上に、絶縁性樹脂組成物から構成される第二の樹脂層を形成することにより、異方性導電フィルムを得る積層工程と、を含む方法により製造された異方性導電フィルムであってよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導通信頼性及び絶縁信頼性に優れた接続構造体及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は異方性導電フィルムの第一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2図2(a)は図1に示すIIa-IIa線における模式的な横断面図であり、図2(b)は第一実施形態の変形例を模式的に示す横断面図である。
図3図3(a)は基体の一例を模式的に示す平面図であり、図3(b)は図3(a)のIb-Ib線における断面図である。
図4図4(a)~(h)は基体の凹部の断面形状の例を模式的に示す断面図である。
図5図5は基体の凹部にはんだ微粒子が収容された状態を模式的に示す断面図である。
図6図6は基体の凹部にはんだ粒子が形成された状態を模式的に示す断面図である。
図7図7(a)は図6における凹部の開口部と反対側からはんだ粒子を見た図であり、図7(b)ははんだ粒子の投影像に外接する四角形を二対の平行線により作成した場合における、対向する辺間の距離X及びY(但しY≦X)を示す図である。
図8図8(a)~(c)は第一実施形態に係る異方性導電フィルムの製造過程の一例を模式的に示す断面図である。
図9図9(a)~(c)は第二実施形態に係る異方性導電フィルムの製造過程の一例を模式的に示す断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は異方性導電フィルムの製造過程の他の一例を模式的に示す断面図である。
図11図11は接続構造体の一部を拡大して示す図であって、第一の電極と第二の電極とが接合部によって電気的に接続された状態を模式的に示す断面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、本発明に係る接続構造体の製造過程の第一の例を模式的に示す断面図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、本発明に係る接続構造体の製造過程の第二の例を模式的に示す断面図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、本発明に係る接続構造体の製造過程の第三の例を模式的に示す断面図である。
図15図15(a)、図15(b)、図15(c)及び図15(d)は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含む接合部の一例を模式的に示す断面図である。
図16図16(a)、図16(b)、図16(c)及び図16(d)は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含む接合部の一例を模式的に示す断面図である。
図17図17(a)、図17(b)、図17(c)、図17(d)、図17(e)及び図17(f)は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含む接合部の一例を模式的に示す平面図である。
図18図18(a)、図18(b)及び図18(c)は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含まない接合部の一例を模式的に示す断面図である。
図19図19(a)、図19(b)、図19(c)及び図19(d)は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含まない接合部の一例を模式的に示す断面図である。
図20図20は、押圧及び加熱がなされる前の異方性導電フィルムのはんだ粒子の位置と、バンプ(電極)の位置との関係の第一の例を模式的に示す平面図である。
図21図21は、押圧及び加熱がなされる前の異方性導電フィルムのはんだ粒子の位置と、バンプ(電極)の位置との関係の第二の例を模式的に示す平面図である。
図22図22は、押圧及び加熱がなされる前の異方性導電フィルムのはんだ粒子の位置と、バンプ(電極)の位置との関係の第三の例を模式的に示す平面図である。
図23図23は、押圧及び加熱がなされる前の異方性導電フィルムのはんだ粒子の位置と、バンプ(電極)との関係の第四の例を模式的に示す平面図である。
図24図24は基体の凹部の断面形状の他の例を模式的に示す断面図である。
図25図25(a)は、押圧及び加熱がなされた後の接続構造体の断面像であり、図25(b)は、当該断面像のEDX分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下で例示する材料は、特に断らない限り、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0018】
本実施形態に係る接続構造体は、第一の電極を複数有する第一の回路部材と、第二の電極を複数有する第二の回路部材と、第一の電極と前記第二の電極とを電気的に接続する接合部を複数有する中間層と、を備える。また、接合部で接続される第一の電極及び第二の電極の少なくとも一方が金電極であり、複数の接合部のうち90%以上は、第一の電極と第二の電極とを連結するスズ-金合金を含有する第一の領域と、前記第一の領域に接する、ビスマスを含有する第二の領域と、を含むものとなっている。
【0019】
本実施形態に係る接続構造体は、第一の電極と第二の電極との間を連結する第一の領域と、前記第一の領域に接する第二の領域とを含む接合部を備えている。当該接合部は、第一の領域がスズ-金合金を含んで一体化され、更に第二の領域が補強部として機能するため、クラックが生じにくい。また、当該接合部は、第一の領域が融点の高いスズ-金合金を含むため、接合部の再溶融が十分に抑制されている。本実施形態に係る接続構造体は、接合部の90%以上が、このような第一の領域及び第二の領域を含むものであることから、接合部へのクラックの発生及び接合部の溶融が十分に抑制され、導通信頼性に優れる。また、本実施形態に係る接続構造体は、接合部の溶融が十分に抑制されていることから、二次実装等への適用が容易であり、また、高温環境下での使用にも適する。
【0020】
中間層は、第一の回路部材と第二の回路部材との間を封止する絶縁性樹脂層を更に有していてもよい。絶縁性樹脂層は、後述の異方性導電フィルムの絶縁性フィルムにより形成されたものであってよい。
【0021】
本実施形態において、接続構造体中の接合部のうち、第一の領域及び第二の領域を含む上記接合部の割合は、80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、100%であってもよい。
【0022】
接続構造体の接合部の大半を第一の領域及び第二の領域を含むものとするためには、各接合部の形成に供されるはんだ粒子が均一であることが望ましい。また、接続構造体の接合部の大半を第一の領域及び第二の領域を含むものとするためには、はんだ粒子の周囲に絶縁性樹脂組成物が配置されており、はんだ粒子の溶融時に、溶融したはんだが第一の電極及び第二の電極の間に十分な時間保持されることが望ましい。これらの観点から、本実施形態に係る接続構造体は、以下に示す異方性導電フィルムを用いて第一の回路部材と第二の回路部材とを接合したものであることが好ましい。
【0023】
以下、図面を参照しつつ、接続構造体の製造に有用な異方性導電フィルム及びその製造方法、並びに、接続構造体及びその製造方法の好適な形態について説明する。
【0024】
<異方性導電フィルム>
図1に示す第一実施形態に係る異方性導電フィルム10は、絶縁性樹脂組成物からなる絶縁性フィルム2と、絶縁性フィルム2中に配置されている複数のはんだ粒子1とによって構成されている。異方性導電フィルム10の所定の縦断面において、一個のはんだ粒子1は隣接する一個のはんだ粒子1と離隔した状態で横方向(図1における左右方向)に並ぶように配置されている。換言すると、異方性導電フィルム10は、その縦断面において、複数のはんだ粒子1が横方向に列をなしている中央領域10aと、はんだ粒子1が実質的に存在しない表面側領域10b,10cとによって構成されている。
【0025】
図2(a)は図1に示すIIa-IIa線における模式的な横断面図である。図2に示されるとおり、異方性導電フィルム10の横断面において、はんだ粒子1が規則的に配置されている。図2(a)に示されたとおり、はんだ粒子1は異方性導電フィルム10の全体の領域に対して規則的且つほぼ均等の間隔で配置されていてもよく、図2(b)に示された変形例のように、異方性導電フィルム10の横断面において、複数のはんだ粒子1が規則的に配置されている領域10dと、はんだ粒子1が実質的に存在しない領域10eとが規則的に形成されるように、はんだ粒子1を配置してもよい。例えば、接続すべき電極の形状、サイズ及びパターン等に応じ、はんだ粒子1の位置及び個数等を設定すればよい。
【0026】
(はんだ粒子)
はんだ粒子1の平均粒子径は、例えば30μm以下であり、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。また、はんだ粒子1の平均粒子径は、例えば1μm以上であり、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
【0027】
はんだ粒子1の平均粒子径は、サイズに合わせた各種方法を用いて測定することができる。例えば、動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、電気的検知帯法、共振式質量測定法等の方法を利用できる。さらに、光学顕微鏡、電子顕微鏡等によって得られる画像から、粒子サイズを測定する方法を利用できる。具体的な装置としては、フロー式粒子像分析装置、マイクロトラック、コールターカウンター等が挙げられる。
【0028】
はんだ粒子1のC.V.値は、より優れた導電信頼性及び絶縁信頼性を実現できる観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは7%以下である。また、はんだ粒子1のC.V.値の下限は特に限定されない。例えば、はんだ粒子1のC.V.値は1%以上であってよく、2%以上であってもよい。
【0029】
はんだ粒子1のC.V.値は、前述の方法によって測定された粒子径の標準偏差を平均粒子径で割った値に100を掛けることで算出される。
【0030】
図7(a)に示すように、はんだ粒子1は、表面の一部に平面部11が形成されていてよく、このとき当該平面部11以外の表面は、球冠状であることが好ましい。すなわち、はんだ粒子1は、平面部11と、球冠状の曲面部と、を有するものであってよい。はんだ粒子1の直径Bに対する平面部11の直径Aの比(A/B)は、例えば0.01超1.0未満(0.01<A/B<1.0)であってよく、0.1~0.9であってもよい。はんだ粒子1が平面部11を有することで、接続時の加圧による位置ずれが生じ難くなり、より優れた導電信頼性及び絶縁信頼性を実現できる。
【0031】
はんだ粒子1の投影像に外接する四角形を二対の平行線により作成した場合において、対向する辺間の距離をX及びY(但しY<X)としたときに、Xに対するYの比(Y/X)は、0.8超1.0未満(0.8<Y/X<1.0)であってよく、0.9以上1.0未満であってもよい。このようなはんだ粒子1はより真球に近い粒子ということができる。後述の製造方法によれば、このようなはんだ粒子1を容易に得ることができる。はんだ粒子1が真球に近いことで、例えば、対向する複数の電極間をはんだ粒子1を介して電気的に接続させるときに、はんだ粒子1と電極間接触にムラが生じ難く、安定した接続が得られる傾向がある。また、はんだ粒子1を樹脂組成物中に分散した導電性フィルムや樹脂を作製したとき、高い分散性が得られ、製造時の分散安定性が得られる傾向がある。さらに、はんだ粒子1を樹脂組成物に分散したフィルムやペーストを、電極間の接続に用いる場合、樹脂中ではんだ粒子1が回転しても、はんだ粒子1が球体形状であれば、投影像で見たとき、はんだ粒子1同士の投影面積が近い。そのため、電極同士を接続する際にばらつきの少ない、安定した電気接続を得易い傾向がある。
【0032】
図7(b)は、はんだ粒子の投影像に外接する四角形を二対の平行線により作成した場合における、対向する辺間の距離X及びY(但しY<X)を示す図である。例えば、任意の粒子を走査型電子顕微鏡により観察して投影像を得る。得られた投影像に対し二対の平行線を描画し、一対の平行線は平行線の距離が最小となる位置に、もう一対の平行線は平行線の距離が最大となる位置に配し、その粒子のY/Xを求める。この作業を300個のはんだ粒子に対して行って平均値を算出し、はんだ粒子のY/Xとする。
【0033】
はんだ粒子1は、スズ-ビスマス合金(Sn-Bi合金)を含む。スズ-ビスマス合金の具体例としては、下記の例が挙げられる。
・Sn-Bi(Sn43質量%、Bi57質量% 融点138℃)
・Sn-Bi(Sn72質量%、Bi28質量% 融点138℃)
・Sn-Bi-Ag(Sn42質量%、Bi57質量%、Ag1質量% 融点139℃)
【0034】
はんだ粒子1は、Sn及びBi以外の他の金属を更に含んでいてもよい。他の金属としては、例えばAg、Cu、Ni、Bi、Zn、Pd、Pb、Au、P、B、Ga、As、Sb、Te、Ge、Si、Al等が挙げられる。はんだ粒子1の他の金属の含有率は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0035】
(絶縁性フィルム)
絶縁性フィルム2を構成する絶縁性樹脂組成物は、熱硬化性化合物を含んでもよい。熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、絶縁樹脂の硬化性及び粘度をより一層良好にし、接続信頼性をより一層高める観点から、エポキシ化合物が好ましい。
【0036】
絶縁性樹脂組成物は熱硬化剤をさらに含んでもよい。熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのうち、低温で速やかに硬化可能である点で、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0037】
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0038】
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。ポリチオール硬化剤の溶解度パラメーターは、好ましくは9.5以上、好ましくは12以下である。上記溶解度パラメーターは、Fedors法にて計算される。例えば、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは9.6、ジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネートの溶解度パラメーターは11.4である。
【0039】
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0040】
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
【0041】
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
【0042】
(フラックス)
異方性導電フィルム10は、フラックスを含むことが好ましい。具体的には、異方性導電フィルム10を構成する絶縁性樹脂組成物がフラックスを含有するとともに、はんだ粒子1の表面をフラックスが覆っていることが好ましい。フラックスは、はんだ表面の酸化物を溶融して、はんだ粒子同士の融着性及び電極へのはんだの濡れ性を向上させる。
【0043】
フラックスとしては、はんだ接合等に一般的に用いられているものを使用できる。具体例としては、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0044】
溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスとして、カルボキシル基を二個以上有する有機酸又は松脂を使用することにより、電極間の導通信頼性がより一層高くなるという効果が奏される。
【0045】
フラックスの融点は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。フラックスの融点は、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは160℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは140℃以下である。上記フラックスの融点が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。フラックスの融点の範囲は、80~190℃であることが好ましく、80~140℃以下であることがより好ましい。
【0046】
融点が80~190℃の範囲にあるフラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
【0047】
<異方性導電フィルムの製造方法>
異方性導電フィルム10の製造方法は、複数の凹部を有する基体とはんだ微粒子とを準備するはんだ微粒子準備工程と、はんだ微粒子の少なくとも一部を凹部に収容する収容工程と、凹部に収容されたはんだ微粒子を融合させて、凹部の内部にはんだ粒子を形成する融合工程と、はんだ粒子が凹部に収容されている基体の、凹部の開口側に絶縁性樹脂組成物を接触させて、はんだ粒子が転写された第一の樹脂層を得る転写工程と、はんだ粒子が転写された側の第一の樹脂層の表面上に、絶縁性樹脂組成物から構成される第二の樹脂層を形成することにより、異方性導電フィルムを得る積層工程と、を含む。
【0048】
図3~8を参照しながら、第一実施形態に係る異方性導電フィルム10の製造方法について説明する。
【0049】
まず、はんだ微粒子と、はんだ微粒子を収容するための基体60を準備する。図3(a)は基体60の一例を模式的に示す平面図であり、図3(b)は図3(a)に示すIb-Ib線における断面図である。図3(a)に示す基体60は、複数の凹部62を有している。複数の凹部62は所定のパターンで規則的に配置されていてよい。この場合、後述の転写工程に基体60をそのまま用いることができる。
【0050】
基体60の凹部62は、凹部62の底部62a側から基体60の表面60a側に向けて開口面積が拡大するテーパ状に形成されていることが好ましい。すなわち、図3(a)及び図3(b)に示すように、凹部62の底部62aの幅(図3(a)及び図3(b)における幅a)は、凹部62の表面60aにおける開口の幅(図3(a)及び図3(b)における幅b)よりも狭いことが好ましい。そして、凹部62のサイズ(幅a、幅b、容積、テーパ角度及び深さ等)は、目的とするはんだ粒子のサイズに応じて設定すればよい。
【0051】
なお、凹部62の形状は図3(a)及び図3(b)に示す形状以外の形状であってもよい。例えば、凹部62の表面60aにおける開口の形状は、図3(a)に示すような円形以外に、楕円形、三角形、四角形、多角形等であってよい。
【0052】
また、表面60aに対して垂直な断面における凹部62の形状は、例えば、図4に示すような形状であってよい。図4(a)~(h)は、基体が有する凹部の断面形状の例を模式的に示す断面図である。図4(a)~(h)に示すいずれの断面形状も、凹部62の表面60aにおける開口の幅(幅b)が、断面形状における最大幅となっている。これにより、凹部62内に形成されたはんだ粒子が取り出しやすくなり、作業性が向上する。また、表面60aに対して垂直な断面における凹部62の形状は、例えば、図24に示すように、図4(a)~(h)に示す断面形状における壁面を傾斜させた形状であってもよい。図24は、図4(b)に示す断面形状の壁面を傾斜させた形状ということができる。
【0053】
基体60を構成する材料としては、例えば、シリコン、各種セラミックス、ガラス、ステンレススチール等の金属等の無機材料、並びに、各種樹脂等の有機材料を使用することができる。これらのうち、基体60は、はんだ微粒子の溶融温度で変質しない耐熱性を有する材質からなることが好ましい。また、基体60の凹部62は、フォトリソグラフ法、インプリント法、エッチング法等の公知の方法によって形成することができる。
【0054】
はんだ微粒子準備工程で準備されるはんだ微粒子は、凹部62の表面60aにおける開口の幅(幅b)より小さい粒子径の微粒子を含むものであればよく、幅bより小さい粒子径の微粒子をより多く含むことが好ましい。例えば、はんだ微粒子は、粒度分布のD10粒子径が幅bより小さいことが好ましく、粒度分布のD30粒子径が幅bより小さいことがより好ましく、粒度分布のD50粒子径が幅bより小さいことが更に好ましい。
【0055】
はんだ微粒子の粒度分布は、サイズに合わせた各種方法を用いて測定することができる。例えば、動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、電気的検知帯法、共振式質量測定法等の方法を利用できる。さらに、光学顕微鏡、電子顕微鏡等によって得られる画像から、粒子サイズを測定する方法を利用できる。具体的な装置としては、フロー式粒子像分析装置、マイクロトラック、コールターカウンター等が挙げられる。
【0056】
準備工程で準備されるはんだ微粒子のC.V.値は特に限定されないが、大小の微粒子の組み合わせによる凹部62への充填性が向上する観点から、C.V.値は高いことが好ましい。例えば、はんだ微粒子のC.V.値は、20%を超えていてよく、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。
【0057】
はんだ微粒子のC.V.値は、前述の方法によって測定された粒子径の標準偏差を平均粒子径(D50粒子径)で割った値に100を掛けることで算出される。
【0058】
はんだ微粒子は、スズ-ビスマス合金(Sn-Bi合金)を含む。スズ-ビスマス合金の具体例としては、下記の例が挙げられる。
・Sn-Bi(Sn43質量%、Bi57質量% 融点138℃)
・Sn-Bi(Sn72質量%、Bi28質量% 融点138℃)
・Sn-Bi-Ag(Sn42質量%、Bi57質量%、Ag1質量% 融点139℃)
【0059】
はんだ微粒子は、Sn及びBi以外の他の金属を更に含んでいてもよい。他の金属としては、例えばAg、Cu、Ni、Bi、Zn、Pd、Pb、Au、P、B、Ga、As、Sb、Te、Ge、Si、Al等が挙げられる。はんだ微粒子の他の金属の含有率は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0060】
収容工程では、基体60の凹部62のそれぞれに、はんだ微粒子準備工程で準備したはんだ微粒子を収容する。収容工程では、はんだ微粒子準備工程で準備したはんだ微粒子の全部を凹部62に収容する工程であってよく、はんだ微粒子準備工程で準備したはんだ微粒子の一部(例えば、はんだ微粒子のうち、凹部62の開口の幅bより小さいもの)を凹部62に収容する工程であってよい。
【0061】
図5は、基体60の凹部62にはんだ微粒子111が収容された状態を模式的に示す断面図である。図5に示すように、複数の凹部62のそれぞれに、複数のはんだ微粒子111が収容される。
【0062】
凹部62に収容されたはんだ微粒子111の量は、例えば、凹部62の容積に対して20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることがもっとも好ましい。これにより、収容量のばらつきが抑えられ、粒度分布のより小さいはんだ粒子が得られやすくなる。
【0063】
はんだ微粒子を凹部62に収容する方法は特に限定されない。収容方法は、乾式、湿式のいずれであってもよい。例えば、準備工程で準備したはんだ微粒子を基体60上に配置し、スキージを用いて基体60の表面60aを擦ることで、余分なはんだ微粒子を除去しつつ、凹部62内に十分なはんだ微粒子を収容することができる。凹部62の開口の幅bが凹部62の深さより大きい場合、凹部62の開口からはんだ微粒子が飛び出す場合がある。スキージを用いると、凹部62の開口から飛び出ているはんだ微粒子は除去される。余分なはんだ微粒子を除去する方法として、圧縮空気を吹き付ける、不織布又は繊維の束で基体60の表面60aを擦る、等の方法も挙げられる。これらの方法は、スキージと比べて物理的な力が弱いため、変形しやすいはんだ微粒子を扱う上で好ましい。また、これらの方法では、凹部62の開口から飛び出ているはんだ微粒子を凹部内に残すこともできる。
【0064】
融合工程は、凹部62に収容されたはんだ微粒子111を融合させて、凹部62の内部にはんだ粒子1を形成する工程である。図6は、基体60の凹部62にはんだ粒子1が形成された状態を模式的に示す断面図である。凹部62に収容されたはんだ微粒子111は、溶融することで合一化し、表面張力によって球状化する。このとき、凹部62の底部62aとの接触部では、溶融したはんだが底部62aに追従して平面部11を形成する。これにより、形成されるはんだ粒子1は、表面の一部に平面部11を有する形状となる。
【0065】
図7(a)は、図6における凹部62の開口部と反対側からはんだ粒子1を見た図である。はんだ粒子1は、直径Bを有する球の表面の一部に直径Aの平面部11が形成された形状を有している。なお、図6及び図7(a)に示すはんだ粒子1は、凹部62の底部62aが平面であるため平面部11を有するが、凹部62の底部62aが平面以外の形状である場合は、底部62aの形状に対応した異なる形状の面を有するものとなる。
【0066】
凹部62に収容されたはんだ微粒子111を溶融させる方法としては、はんだ微粒子111をはんだの融点以上に加熱する方法が挙げられる。はんだ微粒子111は、酸化被膜の影響で融点以上の温度で加熱しても溶融しない場合や、濡れ拡がらない場合や、合一化しない場合がある。このため、はんだ微粒子111を還元雰囲気下に晒し、はんだ微粒子111の表面酸化皮膜を除去した後に、はんだ微粒子111の融点以上の温度に加熱することで、はんだ微粒子111を溶融させ、濡れ拡がり、合一化させることができる。また、はんだ微粒子111の溶融は、還元雰囲気下で行うことが好ましい。はんだ微粒子111をはんだ微粒子111の融点以上に加熱し、かつ還元雰囲気とすることで、はんだ微粒子111の表面の酸化被膜が還元され、はんだ微粒子111の溶融、濡れ拡がり、合一化が効率的に進行しやすくなる。
【0067】
還元雰囲気にする方法は、上述の効果が得られる方法であれば特に限定されず、例えば水素ガス、水素ラジカル、ギ酸ガス等を用いる方法がある。例えば、水素還元炉、水素ラジカル還元炉、ギ酸還元炉、又はこれらのコンベアー炉若しくは連続炉を用いることで、還元雰囲気下にはんだ微粒子111を溶融させることができる。これらの装置は、炉内に、加熱装置、不活性ガス(窒素、アルゴン等)を充填するチャンバー、チャンバー内を真空にする機構等を備えていてよく、これにより還元ガスの制御がより容易となる。また、チャンバー内を真空にできると、はんだ微粒子111の溶融及び合一化の後に、減圧によってボイドの除去を行うことができ、接続安定性に一層優れるはんだ粒子1を得ることができる。
【0068】
はんだ微粒子111の還元、溶解条件、温度、炉内雰囲気調整などのプロファイルは、はんだ微粒子111の融点、粒度、凹部サイズ、基体60の材質などを勘案して適宜設定されてよい。例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を、炉内に挿入し、真空引きを行った後に、還元ガスを導入して、炉内を還元ガスで満たし、はんだ微粒子111の表面酸化被膜を除去した後、真空引きにて還元ガスを除去し、その後、はんだ微粒子111の融点以上に加熱して、はんだ微粒子を溶解及び合一化させて、凹部62内にはんだ粒子を形成した後、窒素ガスを充填してから炉内温度を室温に戻し、はんだ粒子1を得ることができる。また、例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を、炉内に挿入し、真空引きを行った後に、還元ガスを導入して、炉内を還元ガスで満たし、炉内加熱ヒーターによりはんだ微粒子111を加熱して、はんだ微粒子111の表面酸化被膜を除去した後、真空引きにて還元ガスを除去し、その後、はんだ微粒子111の融点以上に加熱して、はんだ微粒子を溶解及び合一化させて、凹部62内にはんだ粒子を形成した後、窒素ガスを充填してから炉内温度を室温に戻し、はんだ粒子1を得ることができる。還元雰囲気下で、はんだ微粒子を加熱することで、還元力が増し、はんだ微粒子の表面酸化皮膜の除去が容易になる利点がある。
【0069】
さらに、例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を、炉内に挿入し、真空引きを行った後に、還元ガスを導入して、炉内を還元ガスで満たし、炉内加熱ヒーターにより基体60をはんだ微粒子111の融点以上に加熱して、はんだ微粒子111の表面酸化被膜を還元により除去すると同時にはんだ微粒子を溶解及び合一化させて、凹部62内にはんだ粒子を形成し、真空引きにて還元ガスを除去し、さらにはんだ粒子内のボイドを減らした後、窒素ガスを充填してから炉内温度を室温に戻し、はんだ粒子1を得ることができる。この場合は、炉内温度の上昇、下降の調節がそれぞれ一回で良いため、短時間で処理出来る利点がある。
【0070】
上述の凹部62内にはんだ粒子を形成した後に、もう一度炉内を還元雰囲気にして、除去し切れなかった表面酸化皮膜を除去する工程を加えてもよい。これにより、融合されずに残っていたはんだ微粒子や、融合されずに残っていた酸化皮膜の一部などの残渣を減らすことができる。
【0071】
大気圧のコンベアー炉を用いる場合は、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を搬送用コンベアーに載せ、複数のゾーンを連続して通過させてはんだ粒子1を得ることができる。例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を、一定の速度に設定したコンベアーに載せ、はんだ微粒子111の融点より低い温度の窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充満したゾーンを通過させ、続いてはんだ微粒子111の融点より低い温度のギ酸ガスなどの還元ガスが存在するゾーンを通過させて、はんだ微粒子111の表面酸化皮膜を除去し、続いてはんだ微粒子111の融点以上の温度の窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充満したゾーンを通過させてはんだ微粒子111を溶融、合一化させ、続いて窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充満した冷却ゾーンを通過させて、はんだ粒子1を得ることができる。例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60を、一定の速度に設定したコンベアーに載せ、はんだ微粒子111の融点以上の温度の窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充満したゾーンを通過させ、続いてはんだ微粒子111の融点以上の温度のギ酸ガスなどの還元ガスが存在するゾーンを通過させて、はんだ微粒子111の表面酸化皮膜を除去し、溶融、合一化させ、続いて窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充満した冷却ゾーンを通過させて、はんだ粒子1を得ることができる。前記のコンベアー炉は、大気圧での処理が可能であることから、フィルム状の材料をロールトゥロールで連続的に処理することもできる。例えば、はんだ微粒子111が凹部に充填された基体60の連続ロール品を作製し、コンベアー炉の入り口側にロール巻きだし機、コンベアー炉の出口側にロール巻き取り機を設置して、一定の速度で基体60を搬送し、コンベアー炉内の各ゾーンを通過させることで、凹部に充填されたはんだ微粒子111を融合させることができる。
【0072】
はんだ微粒子準備工程~融合工程によれば、はんだ微粒子111の材質及び形状によらず、均一なサイズのはんだ粒子1を形成することができる。また、形成されたはんだ粒子1は、基体60の凹部62に収容された状態で取り扱うことができるため、はんだ粒子1を変形させることなく運搬・保管等することができる。さらに、形成されたはんだ粒子1は、単に基体60の凹部62に収容された状態であるため、取り出しが容易であり、はんだ粒子を変形させることなく回収・表面処理等を行うことができる。
【0073】
また、はんだ微粒子111は、粒度分布にばらつきが大きくても、形状がいびつであってもよく、凹部62内に収容することができれば原料として好適に用いることができる。
【0074】
また、上記方法において、基体60は、リソグラフィー、機械加工、インプリント、エッチング等によって凹部62の形状を自在に設計できる。はんだ粒子1のサイズは凹部62に収容されるはんだ微粒子111の量に依存するため、凹部62の設計によりはんだ粒子1のサイズを自在に設計できる。
【0075】
融合工程で形成されたはんだ粒子1は、そのまま転写工程に使用してよく、基体60の凹部62に収容された状態で表面をフラックス成分で被覆してから転写工程に使用してもよく、凹部62から取り出し、表面をフラックス成分で被覆し、凹部62に再度収容してから転写工程に使用してもよい。なお、ここでは、はんだ粒子1の形成に用いた基体60をそのまま転写工程に利用しているが、凹部62からはんだ粒子1と取り出すステップを含む場合は、取り出したはんだ粒子1を、基体60とは異なる基体に収容して、転写工程に用いてもよい。
【0076】
転写工程は、はんだ粒子1が凹部62に収容されている状態の基体60に対して、凹部62の開口側から絶縁性樹脂材料2aを接触させることにより、はんだ粒子1が転写された第一の樹脂層2bを得る工程である。
【0077】
図8(a)に示す基体60は、凹部62のそれぞれに一個のはんだ粒子1が収容された状態である。この基体60の凹部62の開口側の面に、層状の絶縁性樹脂組成物2aを対向させて、基体60と層状の絶縁性樹脂組成物2aとを近づける(図8(a)における矢印A,B)。なお、層状の絶縁性樹脂組成物2aは、支持体65の表面上に形成されている。支持体65は、プラスチックフィルムであってもよいし、金属箔であってもよい。
【0078】
図8(b)は、転写工程後の状態であって、基体60の凹部62の開口側の面を層状の絶縁性樹脂組成物2aに接触させたことにより、基体60の凹部62に収容されていたはんだ粒子1が層状の絶縁性樹脂組成物2aに転写された状態を示している。転写工程を経ることで、層状の絶縁性樹脂組成物2aの所定の位置に複数のはんだ粒子1が転写された第一の樹脂層2bが得られる。第一の樹脂層2bは、その表面に複数のはんだ粒子1が露出している。なお、上記製造方法において、複数のはんだ粒子1は、いずれも平面部11が第二の樹脂層2d側を向いた状態で、異方性導電フィルム10中に配置されている。
【0079】
積層工程は、第一の樹脂層2bの、はんだ粒子1が転写された側の表面2c上に、絶縁性樹脂組成物で構成される第二の樹脂層2dを形成することにより、異方性導電フィルム10を得る工程である。
【0080】
図8(c)は、積層工程後の状態であって、第一の樹脂層2bの表面2c上に、はんだ粒子1を覆うように第二の樹脂層2dを形成した後、支持体65を取り除いた状態を示している。第二の樹脂層2dは、絶縁性樹脂組成物からなる絶縁性フィルムを第一の樹脂層2bにラミネートすることによって形成してもよく、絶縁性樹脂材料を含むワニスで第一の樹脂層2bを被覆した後、硬化処理を施すことによって形成してもよい。
【0081】
次に、図9を参照しながら、第二実施形態に係る異方性導電フィルム10の製造方法について説明する。
【0082】
第二実施形態では、準備工程、収容工程及び融合工程を第一実施形態と同様にして実施した後、転写工程において、凹部62の内部にまで絶縁性樹脂組成物を侵入させることにより、はんだ粒子1を第一の樹脂層2bに埋設する。
【0083】
図9(a)に示す基体60は、凹部62のそれぞれに一個のはんだ粒子1が収容された状態である。この基体60の凹部62の開口側の面に、層状の絶縁性樹脂組成物2aを対向させて、基体60と層状の絶縁性樹脂組成物2aとを近づける(図9(a)における矢印A,B)。
【0084】
図9(b)は、転写工程後の状態であって、基体60の凹部62の開口側の面を層状の絶縁性樹脂組成物2aに接触させたことにより、基体60の凹部62に収容されていたはんだ粒子1が層状の絶縁性樹脂組成物2aに転写された状態を示している。転写工程を経ることで、所定の位置に複数のはんだ粒子1が配置された第一の樹脂層2bが得られる。第一の樹脂層2bの表面2c側には、凹部62に応じた複数の凸部2eが形成されており、これら凸部2eにはんだ粒子1が埋設されている。このような第一の樹脂層2bを得るため、転写工程では、凹部62の内部にまで絶縁性樹脂材料2aを侵入させる。具体的には、基体60と層状の絶縁性樹脂組成物2aとを、積層方向(図9(a)における矢印A,Bの方向)に加圧することで、層状の絶縁性樹脂組成物2aを凹部62の内部に侵入させてよい。また、転写工程を減圧雰囲気下で行うと、層状の絶縁性樹脂組成物2aが凹部62の内部に入りやすくなる。また、図9では層状の絶縁性樹脂材料2aによって転写工程を実施しているが、絶縁性樹脂組成物をワニスの状態で凹部62の内部及び基体60の表面に塗布し、硬化処理を施すことによって、第一の樹脂層2bを得ることもできる。
【0085】
図9(c)は、積層工程後の状態であって、第一の樹脂層2bの表面2c上に、第二の樹脂層2dを形成した後、支持体65を取り除いた状態を示している。第二の樹脂層2dは、絶縁性樹脂組成物からなる絶縁性フィルムを第一の樹脂層2bにラミネートすることによって形成してもよく、絶縁性樹脂組成物を含むワニスで第一の樹脂層2bを被覆した後、硬化処理を施すことによって形成してもよい。
【0086】
なお、上記製造方法において、複数のはんだ粒子1は、いずれも平面部11が第二の樹脂層2d側を向いた状態で、異方性導電フィルム10中に配置されている。融合工程で形成されたはんだ粒子1を一度取り出し、フラックス成分での被覆等の処理を施した後、再度、凹部62に再配置する方法を採用した場合、複数のはんだ粒子1は、平面部11の向きが互いに異なっていてもよい。図10(a)は、一度取り出したはんだ粒子1を凹部62に再配置した状態を示している。このような状態で転写工程及び積層工程を行うことで、複数のはんだ粒子1は、平面部11の向きが一致しない状態で異方性導電フィルム10中に配置される。図10(b)は、複数のはんだ粒子1が、平面部11の向きが一致しない状態で異方性導電フィルム10に配置された状態を示す図である。
【0087】
<接続構造体>
図11は、接続構造体の一部を拡大して示す図であって、第一の電極と第二の電極とが接合部によって電気的に接続された状態を模式的に示す断面図である。すなわち、図11は、第一の回路部材30の電極32と第二の回路部材40の電極42が、はんだ粒子1の融着により形成された接合部70を介して電気的に接続された状態を模式的に示したものである。本明細書において「融着」とは上記のとおり、電極の少なくとも一部が熱によって融解されたはんだ粒子1によって接合され、その後、これが固化する工程を経ることによって電極の表面にはんだが接合された状態を意味する。第一の回路部材30は、第一の回路基板31と、その表面31a上に配置された第一の電極32とを備える。第二の回路部材40は、第二の回路基板41と、その表面41a上に配置された第二の電極42とを備える。回路部材30,40の間に充填された絶縁樹脂層55は、第一の回路部材30と第二の回路部材40が接着された状態を維持するとともに、第一の電極32と第二の電極42が電気的に接続された状態を維持する。
【0088】
回路部材30,40のうちの一方の具体例として、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品;リジット型のパッケージ基板が挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。回路部材30,40のうちの他方の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウムスズ酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板が挙げられる。
【0089】
第一の電極32又は第二の電極42の具体例としては、銅、銅/ニッケル、銅/ニッケル/金、銅/ニッケル/パラジウム、銅/ニッケル/パラジウム/金、銅/ニッケル/金、銅/パラジウム、銅/パラジウム/金、銅/スズ、銅/銀、インジウムスズ酸化物等の電極が挙げられる。第一の電極32または第二の電極42は、無電解めっき又は電解めっき又はスパッタ又は金属箔のエッチングで形成することができる。
【0090】
本実施形態において、第一の電極32及び第二の電極42のうち少なくとも一方は金電極である。
【0091】
接合部70は、第一の電極32と第二の電極42とを接続する第一の領域71と、第一の領域と接する第二の領域72とを含んでいる。本実施形態では、溶融したはんだと金電極との接触により、金電極中の金の一部がはんだ中のスズと合金(スズ-金合金)を形成し、第一の領域71が形成されると考えられる。また、これに伴い、はんだ中のビスマスは第一の領域71から押し出され、第一の領域71の周囲を囲む第二の領域72が形成されると考えられる。
【0092】
第一の領域71は、スズ-金合金から構成されたものであってよく、第二の領域72は、ビスマスから構成されたものであってよい。
【0093】
第一の領域71の体積Vに対する第二の領域72の体積Vの比V/Vは、例えば0.05~2.0であってよく、0.1~1.5が好ましく、0.18~1.0がより好ましい。
【0094】
接続構造体中に複数存在する接合部のうち、第一の領域71及び第二の領域72を含む接合部70の割合は、90%以上であり、好ましくは95%以上であり、より好ましくは99%以上であり、100%であってもよい。なお、第一の領域71及び第二の領域72を含まない接合部としては、例えば、スズ-ビスマス合金から構成された柱状部を有する接合部等が挙げられる。
【0095】
図15(a)、図15(b)、図15(c)、図15(d)、図16(a)、図16(b)、図16(c)及び図16(d)は、それぞれ、第一の領域71及び第二の領域72を含む接合部の一例を模式的に示す積層方向の断面図である。
【0096】
図15(a)に示すように、接合部70において、第一の領域71は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有していてよく、第二の領域72は、第一の領域71を取り囲む円環状構造を有してよい。図15(a)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(a)に示すような構造であってよい。
【0097】
図15(b)に示すように、接合部70において、第一の領域71は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有していてよく、第二の領域72は、第一の領域71の一部と接する塊状であってよい。図15(b)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(b)に示すような構造であってよい。
【0098】
図15(c)に示すように、接合部70は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有する第一の領域71を複数含んでいてよい。また、この接合部70において、第二の領域72は、複数の第一の領域71の間に、複数の第一の領域71同士を接続するように配置されていてよい。図15(c)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば,図17(c)に示すような構造であってよい。
【0099】
図15(d)に示すように、接合部70において、第一の領域71は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有していてよい。また、接合部70は、柱状構造以外に更にスズ-金合金を含有する塊状体を有していてよい。当該塊状体は、図15(d)に示すように第一の領域71と一体化して第一の領域71の一部を構成して(すなわち、第一の領域71が、柱状部と塊状部とを有して)いてよく、第一の領域71と離間して存在していてもよい。前者の場合、第二の領域72は、第一の領域71の柱状部又は塊状部と接するように配置されていてよく、後者の場合、第二の領域72が、第一の領域71及び塊状体の両方に接するように配置されていてよい。図15(c)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(c)又は図17(d)に示すような構造であってよい。
【0100】
図16(a)に示すように、接合部70において、第一の領域71は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有していてよく、第二の領域72は、第一の領域71を取り囲む円環状構造を有していてよい。また、接合部70は、円環状構造以外に、更にビスマスを含有する塊状体を有していてよい。当該塊状体は、図16(a)に示すように第二の領域72と一体化して第二の領域72の一部を構成して(すなわち、第二の領域72が、円環状部と塊状部とを有して)いてよく、円環状の第二の領域72と離間して、もう一つの第二の領域72として第一の領域71と接していてもよい。図16(a)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(d)に示すような構造であってよい。
【0101】
図16(b)に示すように、接合部70において、第一の領域71は、第一の電極32と第二の電極42とを連結する柱状構造を有していてよく、第二の領域72は、第一の領域71の一部を取り囲む円環状構造を有していてよい。また、第一の領域71は、第一の電極32又は第二の電極42の電極表面に沿って拡がっていてよい。
【0102】
図16(c)又は図16(d)に示すように、接合部70は、複数のはんだ粒子1(又ははんだバンプ)が合一化して形成されたものであってよい。図16(c)に示すように、接合部70は、複数のはんだ粒子1の合一化によって形成された、柱状構造を有する第一の領域71を含んでいてよく、当該第一の領域71を取り囲む円環状の第二の領域72を更に含んでいてよい。また、図16(d)に示すように、接合部70は、複数のはんだ粒子1(又ははんだバンプ)のそれぞれ由来する複数の第一の領域71を有していてよく、第二の領域72によって複数の第一の領域71が接続されていてよい。図16(c)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(e)に示すような構造であってよい。また、図16(d)に示す接合部70の積層方向に垂直な断面は、例えば、図17(f)に示すような構造であってよい。
【0103】
次に、図18(a)、図18(b)及び図18(c)、は、それぞれ、第一の領域及び第二の領域を含まない接合部の一例を模式的に示す積層方向の断面図である。
【0104】
図18(a)に示す接合部90では、スズ-金合金を含有する領域91が、第一の電極32側及び第二の電極42側のそれぞれに偏在しており、第一の電極32と第二の電極42とを連結できていない。また、第一の電極32側の領域91と第二の電極42側の領域91との間に、ビスマスを含有する領域92が形成されている。図18(a)に示す接合部90は、第一の領域を有しないため、「第一の領域と第二の領域とを含む接合部」には該当しない。図18(a)に示す接合部90の積層方向に垂直な断面は、例えば、図19(a)、図19(b)又は図19(c)に示すような構造であってよい。
【0105】
図18(b)に示す接合部90では、スズ-金合金を含有する領域91が、第二の電極42側に偏在しており、領域91と第一の電極32との間に、ビスマスを含有する領域92が形成されている。図18(b)に示す接合部90は、領域91が第一の電極32と第二の電極42とを連結しておらず、「第一の領域と第二の領域とを含む接合部」には該当しない。図18(a)に示す接合部90の積層方向に垂直な断面は、例えば、図19(a)、図19(b)又は図19(c)に示すような構造であってよい。
【0106】
図18(c)に示す接合部90では、スズ-金合金を含有する領域91とビスマス合金を有する領域92とが第二の電極42側に偏在しており、第一の電極32と第二の電極42とが電気的に接続されていない。また、図18(c)に示す接合部90では、金とスズとの合金化が不十分で領域92中に、スズを含む領域93が形成されている。図18(c)に示す接合部90は、領域91が第一の電極32と第二の電極42とを連結しておらず、「第一の領域と第二の領域とを含む接合部」には該当しない。図18(a)に示す接合部90の積層方向に垂直な断面は、例えば、図19(a)、図19(b)、図19(c)又は図19(d)に示すような構造であってよい。
【0107】
<接続構造体の製造方法>
図12(a)及び図12(b)を参照しながら、接続構造体の製造方法について説明する。これらの図は、図11に示す接続構造体50Aを形成する過程の一例を模式的に示す断面図である。まず、図1に示す異方性導電フィルム10を予め準備し、これを第一の回路部材30と第二の回路部材40とが対面するように配置する(図12(a))。このとき、第一の回路部材30の第一の電極32と第二の回路部材40の第二の電極42とが対向するように設置する。その後、これらの部材の積層体の厚さ方向(図12(a)に示す矢印A及び矢印Bの方向)に加圧する。矢印A及び矢印Bの方向に加圧する際に全体をはんだ粒子1の融点よりも高い温度(例えば130~260℃)に少なくとも加熱することによって、はんだ粒子1が溶融し、第一の電極32と第二の電極42の間に寄り集まって、接合部70が形成され、その後、冷却することで第一の電極32と第二の電極42の間に接合部70が固着され、第一の電極32と第二の電極42が電気的に接続される。
【0108】
絶縁性フィルム2を構成する絶縁性樹脂組成物が例えば熱硬化性樹脂を含む場合、矢印A及び矢印Bの方向に加圧する際に全体を加熱することによって絶縁性樹脂組成物を硬化させることができる。これにより、絶縁性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁樹脂層55が回路部材30,40の間に形成される。
【0109】
図13(a)及び図13(b)は、図12(a)及び図12(b)に示す接続構造体50Aの製造方法の変形例を模式的に示す断面図である。この変形例に係る製造方法においては、はんだ粒子1の一部が電極32,42の融着に寄与せずに絶縁樹脂層55内に残存しているものの、異方性導電フィルム10において特定の位置にはんだ粒子1が配置されているに過ぎず、つまり、はんだ粒子1の密度が十分に低いため、絶縁信頼性を高く維持することができる。
【0110】
図14(a)及び図14(b)は、図12(a)及び図12(b)に示す接続構造体50Aの製造方法の変形例を模式的に示す断面図である。この変形例に係る製造方法においては、実質的に全てのはんだ粒子1が接合部70となり、第一の回路部材30の第一の電極32と第二の回路部材40の第二の電極42を融着している。異方性導電フィルム10におけるはんだ粒子1の配置をあらかじめ設計することで、融着に寄与せずに残存するはんだ粒子1を極力低減することが可能である。これにより、接続構造体の絶縁信頼性をより一層向上することができる。
【0111】
以上、異方性導電フィルム10を用いて本実施形態の接続構造体を製造する方法について説明したが、本実施形態の接続構造体は、異方性導電フィルムを使用しない方法によって製造してもよい。
【0112】
例えば、本実施形態の接続構造体の製造方法の他の一態様では、第一の回路部材30の第一の電極32(又は第二の回路部材40の第二の電極42)の表面にはんだバンプを形成し、当該はんだバンプを形成した第一の電極32(又は第二の電極42)と第二の電極42(又は第一の電極32)とを対向する位置に配置し、加熱加圧して第一の電極32と第二の電極42とを接続し、接合部70を製造してもよい。
【0113】
はんだバンプを形成する方法は特に限定されないが、例えば、凹部62のそれぞれにはんだ粒子1が収容された基体60を準備し、この基体60の凹部62の開口側の面に、第一の回路部材30の第一の電極32を対向させて配置し、基体の厚み方向に加圧しながら加熱処理することで、第一の電極32の表面にはんだバンプを形成することができる。同様の方法で、第二の電極42の表面にはんだバンプを形成することもできる。
【0114】
加熱処理は、例えば、脱酸素雰囲気又は還元雰囲気で実施することが好ましい。これにより、はんだ粒子の酸化が抑制され、第一の電極32(又は第二の電極42)への濡れ拡がりが進みやすくなり、はんだバンプをより確実に第一の電極32(又は第二の電極42)の表面に配置することができる。脱酸素雰囲気は、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、真空状態等であってよい。
【0115】
はんだバンプをより確実に第一の電極32(又は第二の電極42)の表面に配置する観点から、はんだバンプの形成に際し、フラックス、粘性物質等を使用してもよい。また、これらは第一の電極32と第二の電極42との接続を阻害する場合や、はんだバンプ又は電極を酸化又は腐食させる場合があるため、バンプの形成後に、これらを除去する工程があってもよい。
【0116】
第一の電極32と第二の電極42との接続は、例えば、脱酸素雰囲気又は還元雰囲気で実施することが好ましい。これにより、はんだ粒子の酸化が抑制され、第一の電極32及び第二の電極42への濡れ拡がりが進みやすくなり、より確実に第一の電極32と第二の電極42とを接続する接合部70を形成することができる。脱酸素雰囲気は、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、真空状態等であってよい。
【0117】
第一の電極32と第二の電極42とをより確実に製造する観点から、接合部70の形成に際し、フラックス、粘性物質等を使用してもよい。また、これらは、接合部又は電極を酸化又は腐食させる場合、後述する絶縁樹脂層55の形成に悪影響を与える場合があるため、接合部70の形成後に、これらを除去する工程があってもよい。
【0118】
接続構造体の製造方法の上記態様では、接合部70の形成後に、第一の回路部材30及び第二の回路部材40の間に絶縁性樹脂材料を注入及び硬化させて、絶縁性樹脂層55を形成してよい。
【0119】
接続構造体の製造方法の上記態様では、接合部70の形成に際し、はんだバンプが形成された第一の電極32を有する第一の回路部材30と、第二の電極42を有する第二の回路部材40とを、第一の電極32と第二の電極42とが対向するように配置し、更に第一の回路部材30及び第二の回路部材40の間に絶縁性樹脂フィルムを配置して、厚み方向に加圧しながら加熱処理することで、接合部70の形成と絶縁樹脂層55の形成とを同時に行うこともできる。
【0120】
図20図21図22及び図23は、押圧及び加熱がなされる前の異方性導電フィルム10のはんだ粒子1の位置と第一の電極32の位置との関係を模式的に示す図である。図20図21図22及び図23は、はんだバンプの形成時における、基体60中のはんだ粒子1の位置と第一の電極32(又は第二の電極42)の位置との関係を模式的に示す図、ということもできる。
【0121】
上述の実施形態及びそれらの変形例に係る接続構造体の適用対象としては、半導体メモリー、半導体ロジックチップなどの接続、半導体パッケージの一次実装や二次実装の接続部、CMOS画像素子、レーザー素子、LED発光素子などの接合体や、それらを用いたカメラ、センサー、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等のデバイスが挙げられる。
【0122】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例
【0123】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0124】
<はんだ粒子の作製>
(作製例1)
(工程a1)はんだ微粒子の分級
Sn-Biはんだ微粒子(5N Plus社製、融点139℃、Type8)100gを、蒸留水に浸漬し、超音波分散させた後、静置し、上澄みに浮遊するはんだ微粒子を回収した。この操作を繰り返して、10gのはんだ微粒子を回収した。得られたはんだ微粒子の平均粒子径は1.0μm、C.V.値は42%であった。
(工程b1)基体への配置
表1に示す、開口径2.3μmφ、底部径2.0μmφ、深さ2.0μm(底部径2.0μmφは、開口を上面からみると、開口径2.3μmφの中央に位置する)の凹部を複数有する基体(ポリイミドフィルム、厚さ100μm)を準備した。複数の凹部は、1.0μmの間隔で規則的に配列させた。工程aで得られたはんだ微粒子(平均粒子径1.0μm、C.V.値42%)を基体の凹部に配置した。なお、基体の凹部が形成された面側を微粘着ローラーでこすることで余分なはんだ微粒子を取り除き、凹部内のみにはんだ微粒子が配置された基体を得た。
(工程c1)はんだ粒子の形成
工程b1で凹部にはんだ微粒子が配置された基体を、水素ラジカル還元炉(神港精機株式会社製、プラズマリフロー装置)に投入し、真空引き後、水素ガスを炉内に導入して、炉内を水素ガスで満たした。その後、炉内を120℃に調整し、5分間水素ラジカルを照射した。その後、真空引きにて炉内の水素ガスを除去し、170℃まで加熱した後、窒素を炉内に導入して大気圧に戻してから炉内の温度を室温まで下げることにより、はんだ粒子を形成した。
(工程d1)はんだ粒子の回収
工程c1を経た基体を凹部裏側よりタップすることで、凹部よりはんだ粒子を回収した。得られたはんだ粒子を、下記の方法で評価した。
<はんだ粒子の評価>
SEM観察用台座表面に固定した導電テープ上に、得られたはんだ粒子を載せ、厚さ5mmのステンレス板にSEM観察用台座をタップしてはんだ粒子を導電テープ上に万遍なく広げた。その後、導電テープ表面に圧縮窒素ガスを吹きかけ、はんだ粒子を導電テープ上に単層に固定した。SEMにてはんだ粒子の直径を300個測定し、平均粒子径及びC.V.値を算出した。結果を表2に示す。
【0125】
(作製例2~6)
凹部のサイズを表1に記載のとおり変更したこと以外は、作製例1と同様にしてはんだ粒子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
<実施例1>
(A)異方性導電フィルムの作製
(工程e1)フラックスコートはんだ粒子の製造
作製例1と同じ方法ではんだ粒子を作製した。得られたはんだ粒子20gと、アジピン酸4gと、アセトン7gとを3つ口フラスコに秤量し、次にはんだ粒子表面の水酸基とアジピン酸のカルボキシル基との脱水縮合反応を触媒するジブチルスズオキシド0.03gを添加し、60℃で4時間反応させた。その後、はんだ粒子を濾過して回収した。回収したはんだ粒子と、アジピン酸5gと、トルエン20gと、パラトルエンスルホン酸0.03gとを3つ口フラスコに秤量し、真空引き、及び還流を行いながら、120℃で、3時間反応させた。この際、ディーンスターク抽出装置を用いて、脱水縮合により生成した水を除去しながら反応させた。その後、濾過によりはんだ粒子を回収し、ヘキサンにて洗浄し、乾燥した。乾燥後のはんだ粒子を気流式解砕機で解砕し、音波篩によりメッシュを通すことで、フラックスコートはんだ粒子を得た。
(工程f1)フラックスコートはんだ粒子の配置
開口径2.3μmφ、底部径2.0μmφ、深さ2.0μm(底部径2.0μmφは、開口部を上面からみると、開口径2.3μmφの中央に位置する)の凹部を複数有する転写型(ポリイミドフィルム、厚さ100μm)を準備した。なお、複数の凹部は、1.0μmの間隔で規則的に配列させた。この転写型の凹部に、それぞれ工程e1で得たフラックスコートはんだ粒子を配置した。
(工程g1)接着フィルムの作製
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名「PKHC」)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、分子量:85万)75gとを、酢酸エチル400gに溶解し、溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(エポキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、商品名「ノバキュアHX-3941」)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を得た。得られた接着剤溶液を、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ40μm)にロールコータを用いて塗布し、90℃で10分間の加熱することにより乾燥して、厚さ2、3、4、10,15及び20μmの接着フィルム(絶縁樹脂フィルム)をセパレータ上に作製した。
(工程h1)フラックスコートはんだ粒子の転写
セパレータ上に形成された接着フィルムと、工程f1でフラックスコートはんだ粒子が配置された転写型とを向かい合わせて配置し、接着フィルムにフラックスコートはんだ粒子を転写させた。
(工程i1)異方性導電フィルムの作製
工程h1で得た接着フィルムの転写面に、工程g1と同様の方法で作製された接着フィルムを接触させ、50℃、0.1MPa(1kgf/cm)で加熱・加圧させることで、フィルムの断面視において、フラックスコートはんだ粒子が層状に配列された異方性導電フィルムを得た。なお、厚さ2μmのフィルムに対しては2μmを重ね合わせ、同様に、3μmには3μm、4μmには4μm、10μmには10μm、15μmには15μm、20μmには20μmを重ね合わることで、4μm、6μm、8μm、20μm、30μm及び40μmの厚みの異方性導電フィルムを作製した。
【0129】
(B)接続構造体の作製
(工程j1)評価チップの準備
下記に示す、7種類の金バンプ付きチップ(3.0×3.0mm、厚さ:0.5mm)を準備した。
・チップC1…面積100μm×100μm、スペース40μm、高さ:10μm、バンプ数362
・チップC2…面積75μm×75μm、スペース20μm、高さ:10μm、バンプ数362
・チップC3…面積40μm×40μm、スペース16μm、高さ:7μm、バンプ数362
・チップC4…面積30μm×30μm、スペース12μm、高さ:6μm、バンプ数362
・チップC5…面積20μm×20μm、スペース7μm、高さ:5μm、バンプ数362
・チップC6…面積10μm×10μm、スペース6μm、高さ:3μm、バンプ数362
(工程k1)評価基板の準備
下記に示す、7種類の金バンプ付き基板(70×25mm、厚さ:0.5mm)を準備した。なお、これらの金バンプには抵抗測定用の引き出し配線も形成されている。
・基板D1…面積100μm×100μm、スペース40μm、高さ:4μm、バンプ数362
・基板D2…面積75μm×75μm、スペース20μm、高さ:4μm、バンプ数362
・基板D3…面積40μm×40μm、スペース16μm、高さ:4μm、バンプ数362
・基板D4…面積30μm×30μm、スペース12μm、高さ:4μm、バンプ数362
・基板D5…面積20μm×20μm、スペース7μm、高さ:4μm、バンプ数362
・基板D6…面積10μm×10μm、スペース6μm、高さ:3μm、バンプ数362
(工程l1)
次に、工程i1作製した異方性導電フィルムを用いて、評価チップ(3.0×3.0mm、厚さ:0.5mm)と、評価基板(厚さ:0.5mm)との接続を、以下に示すi)~iii)の手順に従って行うことによって接続構造体を得た。
i)異方性導電フィルム(3.5×19mm)の片面のセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ40μm)を剥がし、異方性導電フィルムと評価基板を接触させ、80℃、0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた。
ii)セパレータを剥離し、評価チップのバンプと評価基板のバンプの位置合わせを行った。
iii)180℃、40gf/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、本接続を行った。以下の(1)~(6)の「チップ/異方性導電フィルム/基板」の組み合わせで、(1)~(6)に係る計7種類の接続構造体をそれぞれ作製した。
(1)チップC1/40μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D1
(2)チップC2/30μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D2
(3)チップC3/20μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D3
(4)チップC4/8μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D4
(5)チップC5/6μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D5
(6)チップC6/4μmの厚みの異方性導電フィルム/基板D6
【0130】
<接続構造体の評価>
得られた接続構造体の一部について、導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を以下のように行った。
(導通抵抗試験-吸湿耐熱試験)
金バンプ付きチップ(バンプ)/金バンプ付き基板(バンプ)間の導通抵抗に関して、導通抵抗の初期値と吸湿耐熱試験(温度85℃、湿度85%の条件で100、500、1000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、それらの平均値を算出した。
得られた平均値から下記基準に従って導通抵抗を評価した。結果を表3に示す。なお、吸湿耐熱試験1000時間後に、下記A又はBの基準を満たす場合は導通抵抗が良好といえる。
A:導通抵抗の平均値が2Ω未満
B:導通抵抗の平均値が2Ω以上5Ω未満
C:導通抵抗の平均値が5Ω以上10Ω未満
D:導通抵抗の平均値が10Ω以上20Ω未満
E:導通抵抗の平均値が20Ω以上
【0131】
(導通抵抗試験-高温放置試験)
金バンプ付きチップ(バンプ)/金バンプ付き基板(バンプ)間の導通抵抗に関して、導通抵抗の初期値と高温放置試験(温度100℃の条件で100、500、1000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定した。なお、高温放置後は、落下衝撃を加え、落下衝撃後のサンプルの導通抵抗を測定した。落下衝撃は、接続構造体を、金属板にネジ止め固定し、高さ50cmから落下させることで生じさせた。落下後、最も衝撃の大きいチップコーナーのはんだ接合部(4箇所)において直流抵抗値を測定し、測定値が初期抵抗から5倍以上増加したときに破断が生じたとみなして、評価を行った。なお、各サンプルにつき4箇所で、合計80箇所の測定を行った。結果を表4に示す。落下回数20回後に下記A又はBの基準を満たす場合をはんだ接続信頼性が良好であると評価した。
A:初期抵抗から5倍以上増加したはんだ接続部が、0箇所であった。
B:初期抵抗から5倍以上増加したはんだ接続部が、1箇所以上5箇所以下であった。
C:初期抵抗から5倍以上増加したはんだ接続部が、6箇所以上20箇所以下であった。
D:初期抵抗から5倍以上増加したはんだ接続部が、21箇所以上であった。
【0132】
(絶縁抵抗試験)
チップ電極間の絶縁抵抗に関し、絶縁抵抗の初期値とマイグレーション試験(温度60℃、湿度90%、20V印加の条件で100、500、1000時間放置)後の値を、20サンプルについて測定し、全20サンプル中、絶縁抵抗値が10Ω以上となるサンプルの割合を算出した。得られた割合から下記基準に従って絶縁抵抗を評価した。結果を表5に示す。なお、マイグレーション試験1000時間後に、下記A又はBの基準を満たした場合は絶縁抵抗が良好といえる。
A:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が100%
B:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が90%以上100%未満
C:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が80%以上90%未満
D:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が50%以上80%未満
E:絶縁抵抗値10Ω以上の割合が50%未満
【0133】
<実施例2~6>
作製例2~6と同じ方法で作製したはんだ粒子を用いたこと、及び、転写型として作製例2~6のはんだ粒子作製に用いた基体と同じ形状の転写型を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で異方導電性フィルム及び接続構造体の作製を行った。
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
<接続構造体の評価>
評価に用いた接続構造体を、エポキシ注型樹脂で固めた後、リファインソーで切り出し、研磨紙を用いて、評価チップの金バンプ、はんだ粒子、評価基板の金バンプが見える接続断面部まで研磨した。その後、クライオミリング装置(IB-19520CCP、JEOL製)にて、-120℃以下、4.0kVで、接続断面を平坦に加工した。この断面加工部にスパッタによりプラチナ層を5nm程度形成して、SEM観察及びEDX分析を行った。その結果、実施例2の(5)では、接続構造体を形成した直後は、評価チップの金バンプと評価基板の金バンプとが、一定の距離を保っており、金とスズの合金層を介して接続していることが確認された。また、この合金層に接する位置に、ビスマス部が存在した。断面のSEM画像を図25(a)、断面のEDX分析結果を図25(b)に示す。評価試験後の断面構造は、金とスズの合金層が各金バンプ側に広がっていたものの、試験前と概ね変わらなかった。
【0138】
実施例1~6では、絶縁樹脂部によるはんだ粒子の保持、金バンプ間のギャップ保持があり、適度な加熱時間により、はんだのスズ成分と金との合金化及びビスマスの再配置が進行して、安定した接続構造体が得られるものと考えられる。
【0139】
<はんだバンプ形成部材の作製>
(作製例7)
(工程m1)基体の作製
6インチのシリコンウエハ上に、液状感光性レジスト(昭和電工マテリアルズ株式会社製、AHシリーズ)をスピンコート法にて1.5μmの厚みに塗布した。このシリコンウエハ上の感光性レジストを露光・現像して、開口径2.3μmφ、底部径2.0μmφ、深さ1.5μm(底部径2.0μmφは、開口を上面からみると、開口径2.3μmφの中央に位置する)の凹部を有する基体7を得た。なお、これらの凹部は評価用基板7の電極配置パターンに相対した位置に配置した。また、基体7の表面には、凹部形成と同時に3箇所のアライメントマークを配置した。基体7の概要を表6に示す。
【0140】
【表6】
【0141】
工程a1と同様にはんだ微粒子を得て、基体7を用いたこと以外は工程b1と同様に凹部内にはんだ微粒子を配置し、工程c1により凹部内にはんだ粒子を有したはんだバンプ形成部材7を得た。
【0142】
<はんだバンプ形成部材の評価>
はんだバンプ形成部材7の一部を、SEM観察用台座表面に固定し、表面に白金スパッタを施した。SEMにて、はんだ粒子の直径を300個測定し、平均粒子径及びC.V.値を算出した。結果を表7に示す。また、はんだバンプ形成部材7の一部の表面形状を、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、LEXT OLS5000-SAF)を用いて測定し、基体表面からのはんだ粒子の高さを測定し、300個の平均値を算出した。結果を表7に示す。
【0143】
【表7】
【0144】
(作製例8~12)
感光性レジストの厚みを表6に示す深さの値に変更し、また凹部サイズも表6に記載のとおり変更し、凹部の配置位置は表6記載の評価用基板の電極配置パターンに相対した位置としたこと以外は、作製例7と同様にしてはんだバンプ形成部材を作製し、評価した。結果を表7に示す。
【0145】
<はんだバンプ付き評価チップの作製>
(工程j2)評価チップの準備
下記に示す、6種類の金バンプ付きチップ(5×5mm、厚さ:0.5mm)を準備した。
チップC7…電極サイズ:8μm×4μm、ピッチ:X方向16μm、Y方向8μm、バンプ数:18万個
チップC8…電極サイズ:16μm×8μm、ピッチ:X方向32μm、Y方向16μm、バンプ数:4.6万個
チップC9…電極サイズ:24μm×12μm、ピッチ:X方向48μm、Y方向24μm、バンプ数:1.5万個
チップC10…電極サイズ:72μm×36μm、ピッチ:X方向144μm、Y方向72μm、バンプ数:3400個
チップC11…電極サイズ:96μm×48μm、ピッチ:X方向192μm、Y方向96μm、バンプ数:850個
チップC12…電極サイズ:140μm×70μm、ピッチ:X方向280μm、Y方向140μm、バンプ数:420個
(工程n1)はんだバンプ形成
FC3000W(東レエンジニアリング製)のステージにはんだバンプ形成部材7を置き、評価チップC8をヘッドに装着してピックアップし、双方のアライメントマークを利用して、はんだバンプ形成部材7の凹部内に配置したはんだ粒子と評価チップC8の電極位置合わせを行い、はんだバンプ形成部材7の上に評価チップC7を仮置きした。その後、ギ酸リフロー炉(神港精機株式会社製、バッチ式真空半田付装置)の下部熱板上に置き、真空引きの後、ギ酸ガスを充填し、下部熱板を145℃に昇温し、1分加熱した。その後、真空引きにてギ酸ガスを排出後、窒素置換を行い、下部熱板を室温まで戻し、炉内を大気開放し、評価チップC7の電極上にはんだ粒子を転写し、はんだバンプを形成した。
【0146】
<はんだバンプの評価>
工程n1を経て得た評価チップを、300個の電極に対して、はんだ粒子が転写出来た数(はんだバンプ数)を数え、転写率を算出した。また、はんだバンプの高さをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、LEXT OLS5000-SAF)を用いて測定し、300個の平均値を算出した。結果を表8に示す。
【0147】
【表8】
【0148】
はんだバンプ形成フィルム8~12と、評価チップC8~C12を用いたこと以外は、工程n1と同様にして、はんだバンプ形成を行った。更に、300個の電極のはんだバンプを評価して、転写率と高さ平均値を算出した。結果を表8に示す。
【0149】
<接続構造体の作製>
(工程k2)評価基板の準備
下記に示す、6種類の金バンプ付き評価基板(70×25mm、厚さ:0.5mm)を準備した。この金バンプは、前述の評価チップC7~C12の金電極に対向した位置に配置されており、アライメントマークが配されている。また、金バンプの一部には抵抗測定用の引き出し配線も形成されている。
基板D7…面積8μm×4μm、ピッチ:X方向16μm、Y方向8μm、高さ:2μm、バンプ数:18万個
基板D8…面積16μm×8μm、ピッチ:X方向32μm、Y方向16μm、高さ:3μm、バンプ数:4.6万個
基板D9…面積24μm×12μm、ピッチ:X方向48μm、Y方向24μm、高さ:3μm、バンプ数:1.5万個
基板D10…面積72μm×36μm、ピッチ:X方向144μm、Y方向72μm、高さ:3μm、バンプ数:3400個
基板D11…面積96μm×48μm、ピッチ:X方向192μm、Y方向96μm、高さ:3μm、バンプ数:850個
基板D12…面積140μm×70μm、ピッチ:X方向280μm、Y方向140μm、高さ:3μm、バンプ数:420個
(工程及びo1)電極の接合
以下に示すi)~iii)の手順に従い、工程n1で作製したはんだバンプ付き評価チップと金バンプ付き評価基板とをはんだバンプを介して接続した。
i)FC3000W(東レエンジニアリング製)のステージに金バンプ付き評価基板D7を置き、はんだバンプ付き評価チップC7をヘッドでピックアップし、双方のアライメントマークを利用して金電極同士を対向させ、はんだバンプ付き評価チップC7を金バンプ付き評価基板D7上に配置し、接合前サンプル7を得た。
ii)i)で得た接合前サンプル7を、ギ酸リフロー炉(神港精機株式会社製、バッチ式真空半田付装置)の下部熱板上に置いた。
iii)ギ酸真空リフロー炉を作動させ、真空引きの後、ギ酸ガスを充填し、下部熱板を160℃に昇温し、5分加熱した。その後、真空引きにてギ酸ガスを排出後、窒素置換を行い、下部熱板を室温まで戻し、炉内を大気開放した。評価チップと評価基板の間に粘度を調整したアンダーフィル材(昭和電工マテリアルズ株式会社製、CELシリーズ)を適量入れ、真空引きにて充填後、125℃で3時間硬化させ、評価チップと評価基板の接続構造体を作製した。接続構造体の作製に用いた各材料の組合せは以下のとおりである。
(7)チップC7/はんだバンプ形成部材7/基板D7
(8)チップC8/はんだバンプ形成部材8/基板D8
(9)チップC9/はんだバンプ形成部材9/基板D9
(10)チップC10/はんだバンプ形成部材10/基板D10
(11)チップC11/はんだバンプ形成部材11/基板D11
(12)チップC12/はんだバンプ形成部材12/基板D12
【0150】
<接続構造体の評価>
得られた接続構造体の一部について、前述同様に導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。結果を表9、表10及び表11に示す。
【0151】
【表9】
【0152】
【表10】
【0153】
【表11】
【0154】
<作製例13~18>
工程m1の基体の作製及び工程j2の評価チップの準備、更に、工程n1のはんだバンプ形成を経て、表8に示すはんだバンプ形成済みの評価チップC7~C12を得た。
【0155】
<接続構造体の作製>
以下に示すi)~iii)の手順に従い、工程n1で作製したはんだバンプ付き評価チップと工程k2で準備した金バンプ付き評価基板とをはんだバンプを介して接続した。
i)金バンプ付き評価基板をスピンコータにセットし、液状フラックス(NS-334、日本スペリア社製)を金バンプ面側にコートした。
ii)i)で得た金バンプ付き評価基板をFC3000W(東レエンジニアリング製)のステージに置き、はんだバンプ付き評価チップをヘッドでピックアップし、双方のアライメントマークを利用して金電極同士を対向させ、はんだバンプ付き評価チップを金バンプ付き評価基板上に配置し、接合前サンプル13~18を得た。
iii)接合前サンプルを、ギ酸リフロー炉(神港精機株式会社製、バッチ式真空半田付装置)の下部熱板上に置いた。
iv)ギ酸真空リフロー炉を作動させ、真空引きの後、窒素ガスを充填し、下部熱板を160℃に昇温し、3分加熱した。その後、真空引きした後、窒素置換を行い、下部熱板を室温まで戻し、炉内を大気開放した。
v)接合サンプルをイソプロピルアルコール液内に浸してフラックス残渣を洗い流した。
vi)評価チップと評価基板の間に粘度を調整したアンダーフィル材(昭和電工マテリアルズ株式会社製、CELシリーズ)を適量入れ、真空引きにて充填後、125℃で3時間硬化させ、評価チップと評価基板の接続構造体を作製した。接続構造体の作製に用いた各材料の組合せは以下のとおりである。
(13)チップC7/はんだバンプ形成部材7/基板D7
(14)チップC8/はんだバンプ形成部材8/基板D8
(15)チップC9/はんだバンプ形成部材9/基板D9
(16)チップC10/はんだバンプ形成部材10/基板D10
(17)チップC11/はんだバンプ形成部材11/基板D11
(18)チップC12/はんだバンプ形成部材12/基板D12
<接続構造体の評価>
得られた接続構造体の一部について、前述同様に導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を行った。結果を表12、表13及び表14に示す。
【0156】
【表12】
【0157】
【表13】
【0158】
【表14】
【符号の説明】
【0159】
1…はんだ粒子、2…絶縁性フィルム、2a…絶縁性樹脂材料、2b…第一の樹脂層、2c…第一の樹脂層の表面、2d…第二の樹脂層、10…異方性導電フィルム、30…第一の回路部材、31…第一の回路基板、32…第一の電極、40…第二の回路部材、41…第二の回路基板、42…第二の電極、55…絶縁樹脂層、60…基体、62…凹部、70…接合部、71…第一の領域、72…第二の領域、80…中間層、111…はんだ微粒子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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