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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】マルチ荷電粒子ビーム描画装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240501BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240501BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20240501BHJP
   H01J 37/10 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01L21/30 541W
H01L21/30 541D
G03F7/20 504
H01J37/305 B
H01J37/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023542611
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2023000961
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】森田 博文
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-338445(JP,A)
【文献】特開2013-197289(JP,A)
【文献】特開2014-127568(JP,A)
【文献】特開2017-199758(JP,A)
【文献】国際公開第2021/100463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/305
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ荷電粒子ビームの各ビームをブランキング偏向する複数のブランカと、
前記複数のブランカによってビームオフの状態になるように偏向されたビームを遮蔽する制限アパーチャ部材と、
前記制限アパーチャ部材を通過した前記マルチ荷電粒子ビームの焦点を基板上に合わせる、磁界レンズからなる2段以上の対物レンズと、
前記基板における前記マルチ荷電粒子ビームの結像状態の補正を行う3個以上の補正レンズと、
を備え、
前記3個以上の補正レンズは、第1磁界補正レンズと、2個以上の補正レンズから構成され、
前記2個以上の補正レンズは、前記2段以上の対物レンズのいずれかのレンズ磁場内に配置され、
前記2段以上の対物レンズのそれぞれの磁場中に配置される静電補正レンズは1個以下である、マルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
記第1磁界補正レンズは、前記2段以上の対物レンズの磁場の外に配置される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
前記2個以上の補正レンズは2つの静電補正レンズを含み、
前記2つの静電補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項2に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記2個以上の補正レンズは、第1静電補正レンズと第2磁界補正レンズとを含み、
前記第1静電補正レンズ及び前記第2磁界補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項2に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
前記2個以上の補正レンズは2つの磁界補正レンズを含み、
前記2つの磁界補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項2に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項6】
記第1磁界補正レンズは、前記2段以上の対物レンズのいずれかの磁場内に配置される、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項7】
前記2個以上の補正レンズは2つの静電補正レンズを含み、
前記2つの静電補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項6に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項8】
前記2個以上の補正レンズは、第1静電補正レンズと第2磁界補正レンズとを含み、
前記第1静電補正レンズ及び前記第2磁界補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項6に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項9】
前記2個以上の補正レンズは2つの磁界補正レンズを含み、
前記2つの磁界補正レンズは、それぞれ前記2段以上の対物レンズの異なる対物レンズのレンズ磁場内に配置される、請求項6に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項10】
前記3個以上の補正レンズの励起量の相互関係を設定して、前記マルチ荷電粒子ビームの前記結像状態の補正を行う、請求項1に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項11】
前記結像状態の補正は、倍率不変かつ無回転で結像高さを変える補正である、請求項10に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項12】
前記結像状態の補正は、無回転かつ結像高さ不変で倍率を変える補正である、請求項10に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項13】
前記結像状態の補正は、結像高さ不変かつ倍率不変で回転を変える補正である、請求項10に記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、縮小投影型露光装置を用いて、石英上に形成された高精度の原画パターンをウェーハ上に縮小転写する手法が採用されている。高精度の原画パターンの作製には、電子ビーム描画装置によってレジストを露光してパターンを形成する、所謂、電子ビームリソグラフィ技術が用いられている。
【0003】
電子ビーム描画装置として、これまでの1本のビームを偏向して試料上の必要な箇所にビームを照射するシングルビーム描画装置に代わって、マルチビームを使った描画装置の開発が進められている。マルチビームを用いることで、1本の電子ビームで描画する場合に比べて多くのビームを照射できるので、スループットを大幅に向上させることができる。マルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子源から放出された電子ビームを複数の開口部を持った成形アパーチャアレイ部材に通してマルチビームを形成し、ブランキングアパーチャアレイ基板で各ビームのブランキング制御を行い、遮蔽されなかったビームが光学系で縮小され、移動可能なステージ上に載置された試料に照射される。
【0004】
電子ビーム描画装置では、各ショットのビームを対物レンズで試料上に焦点を合わせると共に、例えば静電レンズを使って、試料面の凹凸に対応するように描画中にダイナミックに焦点補正(ダイナミックフォーカス)を行い、マルチビームアレイ像の光軸方向の位置(結像高さ)を補正している。ここで、光軸とは電子ビームが放出され試料に照射されるまでの光学系の中心軸を意味する。しかし、ダイナミックフォーカスを行うと、試料上においてビームアレイ像に回転や倍率変動を生じ、描画位置精度が劣化してしまう。そのため、ダイナミックフォーカスに依存するビームアレイ像の回転及び倍率変動を極力低減することが求められる。
【0005】
ダイナミックフォーカスに依存するビーム像の回転及び倍率変動を抑えるために、3個の静電レンズを設けると共に、2段の対物レンズの各段のレンズ磁場中に少なくとも1つの静電レンズが配置されるようにしたマルチビーム描画装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
マルチビーム描画装置の電子光学系では、ビームアレイ像の寸法やアレイピッチの精度を上げるために、ビームアレイ像を試料面に高い縮小率、例えば1/200程度の倍率で、結像させる必要がある。このように高い縮小率を実現しながら、レンズ下面と試料との間に試料が移動可能な間隔(多くの場合、ワーキングディスタンスと呼ばれる)を確保するには、対物レンズによるビームアレイ像の結像回数は少なくとも2回必要となる。
【0007】
結像回数を2回とする場合、対物レンズの段数は2段となる。ここで、“段”というのは、1回の結像を行うという意味であり、多くの場合、1段の対物レンズは1個のレンズで構成されるが、収差や歪を低減する為に、1段の対物レンズを、近接する2個以上の磁界レンズで構成する(つまり1回の結像を近接する2個以上の磁界レンズで行う)場合もある。
【0008】
特許文献1では、2段の対物レンズの磁場中に3個の静電レンズを配置するので、どちらか1段の対物レンズの磁場中に2個の静電レンズを近接して配置することになる。レンズ磁場の存在する領域は、ビーム進行方向において、磁極が存在する位置とその前後の限られた短い区間である。また、レンズ磁場の存在する領域の殆どは、直径が小さい磁極に囲まれた領域であるので、ビーム進行方向と垂直な方向においても、狭く制限された空間である。
【0009】
一方、静電レンズは、電子ビームの通る真空中に配置する必要があり、真空シール、真空領域からの配線引出しなどの複雑な構造が必要である。さらに、静電レンズに電圧を印加するには、レンズ電極を支える絶縁体が必須であり、帯電によるビーム位置変動を防ぐために絶縁体は電子ビーム軌道から見えないように導体で十分に囲む構造も必要である。これら複雑な構造を、レンズ磁界が存在する短い区間の、かつ、磁極に囲まれた狭い空間内に、2個作りこむことは困難である。
【0010】
電子ビーム描画装置では、電子ビームを試料に照射する際に、試料に当たって反射した電子(反射電子)や、試料に入射して発生した電子(二次電子)の影響を受けてドリフト(即ち、ビーム位置変動、ビーム位置不安定性)を起こし、目標とする位置からずれた位置に照射されてしまうことがあった。そのため、試料面に対して静電レンズをプラスの電圧範囲で運用し、二次電子等を試料面から上方に加速し誘導することが行われている(例えば特許文献2参照)。
【0011】
対物レンズ磁場中に2個の静電レンズを配置し、静電レンズを試料面に対してプラス電圧で動作させた場合、上流の静電レンズの電圧が下流の静電レンズより低くなると、試料面からの二次電子が2個の静電レンズの境界付近に滞留し、滞留した二次電子からのクーロン力でビーム(1次ビーム)が偏向され、ビーム位置が不安定になり、ドリフトが生じる。
【0012】
静電レンズは、描画中に試料面高さに対応して印加電圧が変わるため、2個の静電レンズの電圧の大小関係が描画中に逆転し、描画開始当初はドリフトが生じていないが、描画途中でドリフトが生じている場合もある。
【0013】
このように、1段の対物レンズの磁場中に2個の静電レンズを近接して配置すると、二次電子の滞留によりドリフトが生じるという問題があった。
【0014】
【文献】特開2013-197289号公報
【文献】特開2013-191841号公報
【発明の概要】
【0015】
本発明は、焦点補正レンズの配置の余裕を確保すると共に、二次電子の滞留を抑制し、ビーム照射位置を安定化させることができるマルチ荷電粒子ビーム描画装置を提供することを課題とする。
【0016】
本発明の一態様によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、マルチ荷電粒子ビームの各ビームをブランキング偏向する複数のブランカと、前記複数のブランカによってビームオフの状態になるように偏向されたビームを遮蔽する制限アパーチャ部材と、前記制限アパーチャ部材を通過した前記マルチ荷電粒子ビームの焦点を基板上に合わせる、磁界レンズからなる2段以上の対物レンズと、前記基板における前記マルチ荷電粒子ビームの結像状態の補正を行う3個以上の補正レンズと、を備え、前記3個以上の補正レンズは、磁界補正レンズを少なくとも1個含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、焦点補正レンズの配置の余裕を確保すると共に、二次電子の滞留を抑制し、ビーム照射位置を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図2】成形アパーチャアレイ基板の概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図5】変形例によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図7】変形例によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
図8】変形例によるマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係るマルチ荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。本実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の他の荷電粒子ビームでもよい。
【0021】
この描画装置は、描画対象の基板24に電子ビームを照射して所望のパターンを描画する描画部Wと、描画部Wの動作を制御する制御部Cとを備える。
【0022】
描画部Wは、電子光学鏡筒2及び描画室20を有している。電子光学鏡筒2内には、電子源4、照明レンズ6、成形アパーチャアレイ基板8、ブランキングアパーチャアレイ基板10、縮小レンズ12、磁界補正レンズ40、制限アパーチャ部材14、2段の対物レンズ16,17、及び2個の静電補正レンズ66,67が設けられている。
【0023】
照明レンズ6は、電子源4と成形アパーチャアレイ基板8との間に配置されている。照明レンズ6は、磁界レンズでもよいし、静電レンズでもよい。縮小レンズ12は、ブランキングアパーチャアレイ基板10と対物レンズ16との間に配置されている。縮小レンズ12は、磁界レンズでもよいし、静電レンズでもよい。対物レンズ16,17は磁界レンズである。
【0024】
磁界補正レンズ40は、縮小レンズ12と対物レンズ16との間に配置されている。また、磁界補正レンズ40は、対物レンズ16,17のレンズ磁場の外に配置されている。また、磁界補正レンズ40は、縮小レンズ12が磁界レンズの場合、そのレンズ磁場の外に配置されている。磁界型のレンズの磁場(軸上磁束密度)は、レンズ磁極から離れると減衰する。軸上磁束密度が最大となるのは、通常、磁界レンズの一組の磁極(二つの磁極)の中間付近の光軸上である。経験的に、軸上磁束密度が最大値に対し、例えば1/10以下より大きい領域、或いは磁束密度が極小となるまでの領域を「磁場内」、それ以外の領域を「磁場の外」とみなすことができる。
【0025】
なお、収差や歪を低減する為に1段の対物レンズを近接する2個以上の磁界レンズで構成する場合があるが、このような場合は、1段の対物レンズを構成する近接した磁界レンズの間に磁束密度が1/10以下になる或いは極小になるところが生じても、当該対物レンズのレンズ磁場の内か外かの境界とみなすことはなく、「磁場内」とみなされる。
【0026】
磁界補正レンズ40は、微小な回転対称磁界を発生して結像状態を補正する。例えば、磁界補正レンズ40は、ビーム光軸を中心軸とする、円形コイルやソレノイドコイルであり、補正のための電流が流される。フェライト等の磁性体でコイルを囲ってもよい。
【0027】
制限アパーチャ部材14は縮小レンズ12と対物レンズ16との間に配置されるが、対物レンズ16と対物レンズ17との間に配置する構成も可能である。対物レンズ17は、描画装置に設けられた複数の対物レンズのうち、ビーム進行方向の最も下流側に配置されたものである。対物レンズ16は対物レンズ17よりもビーム進行方向の上流側に配置されている。このような位置関係から、対物レンズ16は上段の対物レンズ、対物レンズ17は下段の対物レンズと呼ばれる場合がある。また、対物レンズ17は、最終段の対物レンズと呼ばれる場合がある。静電補正レンズ66は、磁界レンズで構成される対物レンズ16の磁場内(すなわち、磁場中、磁場の中)に配置されている。静電補正レンズ67は、磁界レンズで構成される対物レンズ17の磁場内に配置されている。
【0028】
静電補正レンズ66,67は、微小な回転対称電界を発生してマルチビームの結像状態を補正する。例えば、静電補正レンズ66,67は円筒電極で構成され、補正のための電圧が印加される。電圧印加される電極の前後に、円筒状のアース電極を配置してもよい。
【0029】
なお、円筒状やリング状の電極を分割して(例えば8極偏向器のように分割して)、これら電極群に、集束電界(回転対称電界)、偏向電界、多極子電界などを発生させる電圧を加算して印加し、レンズ、偏向器、多極子等を兼ねる構成も、レンズ効果を持つ電界を発生させるので、そのような電極群も1個の静電補正レンズに含まれる。
【0030】
描画室20内には、XYステージ22が配置される。XYステージ22上には、描画対象の基板24が載置されている。描画対象の基板24は、例えば、マスクブランクスや半導体基板(シリコンウェハ)である。
【0031】
電子源4から放出された電子ビーム30は、照明レンズ6によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板8を照明する。図2は、成形アパーチャアレイ基板8の構成を示す概念図である。成形アパーチャアレイ基板8には、縦(y方向)m列×横(x方向)n列(m,n≧2)の開口部80が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。例えば、512列×512列の開口部80が形成される。各開口部80は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。各開口部80は、同じ径の円形であっても構わない。
【0032】
電子ビーム30は、成形アパーチャアレイ基板8のすべての開口部80が含まれる領域を照明する。これらの複数の開口部80を電子ビーム30の一部がそれぞれ通過することで、図1に示すようなマルチビーム30Mが形成される。
【0033】
ブランキングアパーチャアレイ基板10には、成形アパーチャアレイ基板8の各開口部80の配置位置に合わせて貫通孔が形成され、各貫通孔には、対となる2つの電極からなるブランカが配置される。各貫通孔を通過するマルチビーム30Mは、それぞれ独立に、ブランカに印加される電圧によって偏向される。この偏向によって、各ビームがブランキング制御される。このように、ブランキングアパーチャアレイ基板10により、成形アパーチャアレイ基板8の複数の開口部80を通過したマルチビーム30Mの各ビームに対してブランキング偏向が行われる。
【0034】
ブランキングアパーチャアレイ基板10を通過したマルチビーム30Mは、縮小レンズ12によって、各々のビームサイズと配列ピッチが縮小され、対物レンズ16のやや上流にクロスオーバーCO1を形成するように進む。制限アパーチャ部材14に形成された開口の中心がクロスオーバーCO1とほぼ一致するように、制限アパーチャ部材14は配置される。ここで、ブランキングアパーチャアレイ基板10のブランカにより偏向された電子ビームは、その軌道が変位し制限アパーチャ部材14の開口から位置がはずれ、制限アパーチャ部材14によって遮蔽される。一方、ブランキングアパーチャアレイ基板10のブランカによって偏向されなかった電子ビームは、制限アパーチャ部材14の開口を通過する。
【0035】
このように、制限アパーチャ部材14は、ブランキングアパーチャアレイ基板10のブランカによってビームOFFの状態になるように偏向された各電子ビームを遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに制限アパーチャ部材14を通過したビームが、1回分のショットの電子ビームとなる。
【0036】
制限アパーチャ部材14を通過したマルチビーム30Mに、上段の対物レンズ16は作用し、成形アパーチャアレイ基板8の複数の開口部80の縮小された中間像IS1を結像させ、クロスオーバーCO2を形成させる。下段の対物レンズは、中間像IS1を縮小し、成形アパーチャアレイ基板8の複数の開口部80の所望の縮小率の像(ビームアレイ像)IS2を基板24の表面に結像させる。なお、縮小率とは、倍率の逆数であり、例えば、成形アパーチャアレイ基板8の複数の開口部80を電子ビーム30の一部がそれぞれ通過することで形成された電子ビームのサイズ(又はピッチ)と、基板24表面に結像された像のサイズ(又はピッチ)との比をいう。
【0037】
対物レンズを2段とすることで、高い縮小率(例えば1/200程度の倍率)を実現すると共に、最終段レンズ(対物レンズ17)下面と基板24との間に、基板24が移動可能な間隔(ワーキングディスタンス)を確保することができる。
【0038】
静電補正レンズ66,67は、基板24の表面に対し、プラスの電圧範囲で動作する。なお、例えば、描画領域全体に対して描画すべきパターンの面積の比率が非常に低い場合のように、反射電子や二次電子の試料での発生が少なく、その影響を考慮しなくてもよいと判断できる場合等は、マイナスの電圧で動作してもよい。
【0039】
制限アパーチャ部材14を通過した各電子ビーム(マルチビーム全体)は、偏向器(図示せず)によって同方向にまとめて偏向され、基板24に照射される。偏向器(図示せず)はブランキングアパーチャアレイ基板10より下流に配置すればよいが、上段の対物レンズ16より下流に配置すると歪や収差が小さいという利点がある。XYステージ22が連続移動している時、ビームの照射位置がXYステージ22の移動に追従するように偏向される。また、XYステージ22が移動して描画位置が都度変化し、マルチビームが照射される基板24表面の高さが変化する。そのため、磁界補正レンズ40と静電補正レンズ66,67によって、描画中に、ダイナミックにマルチビームの焦点ずれが補正(ダイナミックフォーカス)される。
【0040】
一度に照射されるマルチビームは、理想的には成形アパーチャアレイ基板8の複数の開口部80の配列ピッチに上述した所望の縮小率で除した(即ち、倍率を乗じた)ピッチで並ぶことになる。この描画装置は、ショットビームを連続して順に照射していくラスタースキャン方式で描画動作を行い、所望のパターンを描画する際、パターンに応じて必要なビームがブランキング制御によりビームONに制御される。
【0041】
制御部Cは、制御計算機32及び制御回路34を有している。制御計算機32は、描画データに対し複数段のデータ変換処理を行って装置固有のショットデータを生成し、制御回路34に出力する。ショットデータには、各ショットの照射量及び照射位置座標等が定義される。制御回路34は、各ショットの照射量を電流密度で割って照射時間を求め、対応するショットが行われる際、算出した照射時間だけビームONするように、ブランキングアパーチャアレイ基板10の対応するブランカに偏向電圧を印加する。
【0042】
制御計算機32は、後述する、磁界補正レンズ40、静電補正レンズ66、67の励起量を連動する関係式のデータを保持しており、この関係式を用いて各補正レンズの励起量を算出する。制御回路34は、磁界補正レンズ40、静電補正レンズ66、67に、関係式から算出された励起量を与えて動作させる。なお、励起量は、磁界補正レンズにおいては励磁電流であり、静電補正レンズにおいては印加電圧である。
【0043】
磁界補正レンズは、ビーム像を回転させる効果(回転効果)を有し、この効果は、磁界補正レンズの光軸方向の位置がレンズの磁場の中か外かを問わず生じる。像の回転は、対物レンズ磁場の回転効果と磁界補正レンズ磁場の回転効果との単純な加算になり、両者の磁場が重なり合っても相乗効果(両者の磁場の積に比例するような回転効果)は生じない。なお、本実施形態で縮小レンズ12が磁界レンズの場合は、縮小レンズの回転効果も像の回転に加算される。
【0044】
磁界補正レンズをレンズ磁場の中に配置した場合、結像高さ補正の感度は大きくなり、付随して倍率補正効果も大きくなる。レンズ磁場の集束力は軸上磁束密度の二乗に比例するので、対物レンズの磁場と磁界補正レンズの磁場に光軸方向で重なりがあると相乗効果(両者の磁場の積に比例するような集束効果)が生じ、補正レンズ磁場の小さな変化に対して、集束力の大きな変化が得られるからである。一方、磁界補正レンズをレンズ磁場の外に配置すると、集束力の変化は非常に小さくなり、結像高さ及び倍率の補正感度は低くなる。
【0045】
従って、本実施形態のように、レンズ磁場の外に配置した磁界補正レンズ40は、結像高さと倍率の補正感度は低く、回転補正感度は高いという特性を有する。
【0046】
対物レンズ(磁界レンズ)の磁場中に配置される静電レンズは、静電レンズ内のビームのエネルギーを変化させて、ビームが磁界レンズから受ける集束効果を変えることにより結像高さを変える。この集束効果の変化により倍率変化も生じる。回転は、静電レンズ単独では通常生じないが、レンズ磁場中に配置すると、エネルギー変化から磁界レンズ作用を介して回転も変化する。ここで、ビームを結像させるために対物レンズが発生する磁場は極めて強力であるため、静電レンズの印加電圧の小さな変化による小さなエネルギー変化に対しても、レンズ磁場全体の集束効果と回転効果は大きく変化する。従って、最終段の対物レンズ17のレンズ磁場内に配置された静電補正レンズ67は、結像高さ、倍率、回転の補正感度が高い。
【0047】
一方、上流の静電補正レンズ66は、結像高さの補正感度が低くなる。最終段の対物レンズ17が中間像IS1を縮小して結像させるので、高さ方向の変化も縮小されて、基板24の表面にビームアレイ像IS2を結像するためである。但し、倍率変化(倍率の比)と回転は変わらない。従って、上流の対物レンズ16のレンズ磁場内に配置された静電補正レンズ66は、結像高さの補正感度は低いが、倍率と回転については静電補正レンズ67と同程度の高い補正感度を有する。
【0048】
このように、磁界補正レンズ40、静電補正レンズ66,67は、それぞれ異なる補正特性を有する(結像高さ補正感度、倍率補正感度、回転補正感度の比率が異なる)ため、これら3個の補正レンズの励起量(静電補正レンズでは印加電圧、磁界補正レンズでは励磁電流)を、適切な関係式で連動させて制御することにより、以下の結像状態の補正を行うことができる。
・基板の表面高さ変動に対応させて、倍率不変かつ無回転で、結像高さを変える。
・基板の表面高さは一定として、無回転かつ結像高さ不変で、倍率を変える。
・基板の表面高さは一定として、結像高さ不変かつ倍率不変で、回転を変える。
上記の3種類の結像状態の補正のうち、第1番目の補正は、試料面の凹凸に対応するように描画中に行う焦点補正(ダイナミックフォーカス)で利用する。第2番目の補正は倍率の微調整に、第3番目の補正は回転の微調整に利用できる。
【0049】
結像状態の補正での励起量の連動の関係式は、上記3パターンの調整のそれぞれで異なる。励起量の関係式は、調整量(結像高さ、倍率、回転)の1次以上の多項式とすれば、十分な精度で調整できる。多項式の係数は、軌道シミュレーションで求まる。実測した、結像高さ、倍率、回転の励起量に対する依存性に基づいて係数を算出してもよい。
【0050】
このように、本実施形態では、各段の対物レンズのレンズ磁場内に配置する静電補正レンズは1個なので、配置の余裕を確保することができる。静電補正レンズ同士が近接しないため、静電補正レンズ配置に必要な、真空シール、真空領域からの配線引出し、レンズ電極を支える絶縁体などの構造を、容易に設計することができる。また、組み立て作業が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、レンズ磁場中に近接して配置される静電補正レンズは無いので、近接する静電レンズ間の電圧の違いで生じる二次電子の滞留を抑制し、ビーム位置を安定化させることができる。
【0052】
なお、磁界補正レンズは、静電補正レンズと異なり、通常、真空外に配置されるため、真空シール、真空外配線引出し、真空中絶縁体支持などの複雑な構造は不要である。
【0053】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、磁界補正レンズ40を縮小レンズ12と対物レンズ16との間の、レンズ磁場の外に配置する構成について説明したが、図3に示すように、磁界補正レンズ40を2段の対物レンズ16、17の間の、レンズ磁場の外に配置してもよい。
【0054】
例えば、2つの対物レンズ16,17の励磁方向(集束磁界の方向)を逆としている場合、両者の間に磁束密度が0となる箇所が生じるので、その付近に磁界補正レンズ40を配置する。
【0055】
2つの対物レンズ16,17の励磁方向が同じ場合でも、両者の間に磁束密度が十分減衰する領域(例えば、軸上磁束密度が最大値の1/10以下になる領域)が生じる場合が多いので、その付近に磁界補正レンズ40を配置する。
【0056】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、対物レンズ16,17のレンズ磁場内にそれぞれ1個の静電補正レンズ66、67を配置する構成について説明したが、静電補正レンズ66,67の少なくともいずれか一方を磁界補正レンズに置き換えてもよい。なお、静電補正レンズと磁界補正レンズとでは構造が異なり実装形態も異なるので、ここで言う「置き換える」は、光軸方向のほぼ同じ位置に配置するという意味である。光軸方向の位置以外の諸元、例えば、静電補正レンズの電極と磁界補正レンズのコイルの直径や長さ(光軸方向の長さ)は通常異なる。
【0057】
図4は、対物レンズ16のレンズ磁場内の補正レンズを磁界補正レンズ41とし、対物レンズ17のレンズ磁場内の補正レンズは静電補正レンズ67とした構成を示す。図5は、対物レンズ16のレンズ磁場内の補正レンズを磁界補正レンズ41とし、対物レンズ17のレンズ磁場内の補正レンズを磁界補正レンズ42とした構成を示す。
【0058】
図示は省略するが、対物レンズ16のレンズ磁場内の補正レンズは静電補正レンズ66とし、対物レンズ17のレンズ磁場内の補正レンズを磁界補正レンズ42としてもよい。
【0059】
対物レンズの磁場内に配置する磁界補正レンズは、空芯の円形コイルやソレノイドコイルである。対物レンズの磁場を乱さないように、フェライト等の磁性体で囲む構造にはしないことが好ましい。
【0060】
対物レンズ17の磁場中に配置した磁界補正レンズ42は、結像高さ補正感度と倍率補正感度は高い。対物レンズ16の磁場中に配置した磁界補正レンズ41は、結像高さ補正量が後段の対物レンズ17により縮小されるので、結像高さ感度は低くなるが、倍率補正効果は後段レンズに影響されず高い。このように、対物レンズのレンズ磁場中に配置した磁界補正レンズは、焦点と倍率の補正感度が、静電補正レンズを配置する場合と類似した比率になる。また、磁界補正レンズは、対物レンズの磁場の中か外かに関係なく回転補正感度は高い。そのため、それぞれ異なる補正特性を有する補正レンズの励起量を、すなわち、図4の実施形態では磁界補正レンズ40,41の励磁電流と静電補正レンズ67の印可電圧を、図5の実施形態では磁界補正レンズ40~42の励磁電流を、関係式に基づいて連動させて制御することで、ビームアレイ像IS2の結像高さ、倍率、回転を適切に調整できる。
【0061】
対物レンズのレンズ磁場内に配置する磁界補正レンズ(40、41)は、静電補正レンズと異なり、通常、真空外に配置されるため、複雑な構造は不要であるので、配置の余裕を確保することができる。また、レンズ磁場中に近接して配置される静電補正レンズは無いので、近接する静電レンズ間の電圧の違いで生じる二次電子の滞留を抑制し、ビーム位置を安定化させることができる。
【0062】
[第4の実施形態]
上記第2の実施形態では、磁界補正レンズ40を2段の対物レンズ16、17の間の、レンズ磁場の外に配置する構成について説明したが、磁界補正レンズ40を対物レンズ16又は対物レンズ17のレンズ磁場内に配置してもよい。図6は、磁界補正レンズ40を対物レンズ16のレンズ磁場内に配置する構成を示している。
【0063】
磁界補正レンズ40は、空芯の円形コイルやソレノイドコイルである。
【0064】
対物レンズ16のレンズ磁場中には、静電補正レンズ66及び磁界補正レンズ40の2つの補正レンズが配置され、両者は光軸方向に隣接して配置される。磁界補正レンズ40は真空の外に配置可能なので、静電補正レンズの配置に余裕を確保できる。また、2つの補正レンズが光軸方向に隣接しているが、磁界補正レンズは光軸付近の電位を変えないので、近接するレンズ間の電圧の違いで生じる二次電子の滞留は発生せず、ビーム位置を安定化させることができる。
【0065】
対物レンズ16のレンズ磁場内に配置された磁界補正レンズ40は、結像高さの補正感度が低く、倍率及び回転は補正感度が高い。
【0066】
磁界補正レンズ40は、レンズ磁場中心から離れた磁場の弱い所に配置しても、回転補正の感度は変わらない。そのため、磁界補正レンズ40を静電補正レンズ66から光軸方向に離して配置することで、静電補正レンズ66にさらなる配置余裕を持たせることも可能である。
【0067】
図7に示すように、対物レンズ16のレンズ磁場内の静電補正レンズ66を磁界補正レンズ41に置き換えてもよい。
【0068】
図8に示すように、対物レンズ16のレンズ磁場内の静電補正レンズ66を磁界補正レンズ41に置き換え、対物レンズ17のレンズ磁場内の静電補正レンズ67を磁界補正レンズ42に置き換えてもよい。
【0069】
磁界補正レンズを用いることで、補正レンズを真空の外に配置可能となるため、補正レンズの配置に余裕を持たせることができる。また、2つの補正レンズ(磁界補正レンズ40,41)が光軸方向に隣接しているが、磁界補正レンズは光軸付近の電位を変えないので、近接するレンズ間の電圧の違いで生じる二次電子の滞留は発生せず、ビーム位置を安定化させることができる。
【0070】
静電補正レンズと異なり、磁界補正レンズは、対物レンズ磁場中心から離れた磁場の弱い所に配置しても、回転補正の感度は変わらない。そのため、磁界補正レンズ同士を光軸方向に離して配置することで、さらなる配置余裕を持たせることができる。
【0071】
対物レンズ磁場内の補正レンズの各補正感度を詳細に検討すると、磁界補正レンズの回転補正感度を除き、補正感度は、補正レンズ位置での対物レンズ磁場強度(磁束密度)と、補正レンズ位置でのビーム軌道値(光軸からの距離)に依存する。また、どの補正感度か(結像高さ補正感度、倍率補正感度、回転補正感度のどれか)によって、その依存性は異なる。従って、同じ対物レンズのレンズ磁場内であっても、2個の補正レンズの位置をビーム光軸方向にずらして配置すれば、各位置での磁場強度や軌道値は異なるので、異なる補正感度が得られる。その結果、図6図8に示した例においても、各補正レンズはそれぞれ異なる補正特性を有するため、これら3個の補正レンズの励起量を適切な関係式で連動させて制御することにより、結像状態の補正、すなわち、ビームアレイ像IS2の結像高さ、倍率、回転の補正を、適切に行うことができる。
【0072】
なお、静電補正レンズと磁界補正レンズは単純に相互に置き換え可能という訳ではない。静電補正レンズは対物レンズ(磁界レンズ)の磁場の中に配置した場合は問題なく機能するが、磁場の外に配置した場合は非常に感度が低くなり、結像高さ補正も、倍率補正も、回転補正も難しくなる。これに対し、磁界補正レンズは、磁場の外に配置した場合でも回転補正の感度は高い。従って、両者間の置き換えは単純ではなく、置き換えできる場合と、置き換えできない場合がある。例えば、図1図3の実施形態の磁界補正レンズ40は、静電補正レンズに置き換えることはできない。
【0073】
これまで示した描画装置では、3個の補正レンズを用いる構成を説明したが、結像状態の補正に使用する補正レンズは3個に限定されず、4個以上であってもよい。
【0074】
また、これまで示した描画装置では2段の対物レンズを用いる構成を説明したが、3段以上の対物レンズを用いる場合も、焦点補正レンズの配置の余裕を確保すると共に二次電子の滞留を抑制しビーム照射位置を安定化させる効果を発揮しながら、結像状態の補正を行うことができる。
【0075】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0076】
2 電子光学鏡筒
4 電子源
6 照明レンズ
8 成形アパーチャアレイ基板
10 ブランキングアパーチャアレイ基板
12 縮小レンズ
14 制限アパーチャ部材
16、17 対物レンズ
20 描画室
22 XYステージ
24 基板
40,41,42 磁界補正レンズ
66,67 静電補正レンズ
【要約】
焦点補正レンズの配置の余裕を確保すると共に、二次電子の滞留を抑制し、ビーム照射位置を安定化させることができるマルチ荷電粒子ビーム描画装置を提供する。マルチ荷電粒子ビーム描画装置は、マルチ荷電粒子ビームの各ビームをブランキング偏向する複数のブランカと、前記複数のブランカによってビームオフの状態になるように偏向されたビームを遮蔽する制限アパーチャ部材と、前記制限アパーチャ部材を通過した前記マルチ荷電粒子ビームの焦点を基板上に合わせる、磁界レンズからなる2段以上の対物レンズと、前記基板における前記マルチ荷電粒子ビームの結像状態の補正を行う3個以上の補正レンズと、を備える。前記3個以上の補正レンズは、磁界補正レンズを少なくとも1個含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8