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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】映像合成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240501BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240501BHJP
   H04N 23/698 20230101ALI20240501BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G08G1/00 D
H04N23/698
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019191032
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021022912
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2019139886
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 https://www.ite.or.jp/winter/2018/winter2018.zipで公開された映像メディア学会2018年冬季大会講演予稿集のWEBプログラムにおいて、「全方位映像を用いた自由経路合成」について公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】516307895
【氏名又は名称】株式会社ブイテック研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】相澤 清晴
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 宥光
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】海老根 義人
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-098816(JP,A)
【文献】特開2004-265396(JP,A)
【文献】特開2019-067416(JP,A)
【文献】特開2013-118471(JP,A)
【文献】特開2004-046846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G08G 1/00
H04N 23/698
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全天球カメラによって撮影された市街映像を取得する市街映像取得部と、
前記取得した市街映像を構成する複数のフレーム画像それぞれに所定のアルゴリズムを適用して、撮影方向に対応する撮影方向フレーム画像にジオタグを付与し、前記撮影方向フレーム画像についてのフレーム位置として推定するフレーム位置推定部と、
前記複数の撮影方向フレーム画像それぞれについて推定されたフレーム位置に基づいて、前記全天球カメラの撮影経路を作成する撮影経路作成部と、
前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像からなる複数の撮影経路が互いに交差する交差点において一の撮影経路から他の撮影経路に前記市街映像が切り替わる交差点フレーム画像を、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像から検出する交差点フレーム画像検出部と、
前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続するフレーム画像接続部と、
前記交差点を含む入力された経路に対応した、前記接続された交差点フレーム画像を含む合成市街映像を出力する合成市街映像出力部と、
を備える映像合成装置。
【請求項2】
全天球カメラによって撮影された市街映像を取得する市街映像取得部と、
前記取得した市街映像を構成する複数のフレーム画像それぞれに所定のアルゴリズムを適用して、撮影方向に対応する撮影方向フレーム画像にジオタグを付与し、前記撮影方向フレーム画像についてのフレーム位置として推定するフレーム位置推定部と、
前記複数の撮影方向フレーム画像それぞれについて推定されたフレーム位置に基づいて、前記全天球カメラの撮影経路を作成する撮影経路作成部と、
前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像からなる複数の撮影経路が互いに交差する交差点において一の撮影経路から他の撮影経路に前記市街映像が切り替わる交差点フレーム画像を、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像から検出する交差点フレーム画像検出部と、
前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続するフレーム画像接続部と、
前記接続された交差点フレーム画像を含む合成市街映像を出力する合成市街映像出力部と、
前記合成市街映像の出力の起点となる位置の選択を、表示画面に表示される地図において促すとともに、前記起点から前記合成市街映像の出力経路の選択を促す経路選択指示部と、
を備える映像合成装置。
【請求項3】
前記合成市街映像の出力中に、一部の又はすべての交差点において行先の選択を促す行先情報を前記交差点フレーム画像及び/又は当該交差点フレーム画像より手前となる複数の撮影方向フレーム画像に表示する行先情報送出部と、
を備え、
前記フレーム画像接続部は、前記交差点において選択された行先にしたがって、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項1又は2記載の映像合成装置。
【請求項4】
検出された各撮影経路の交差点フレーム画像の前後の撮影方向フレーム画像のうち、視覚的に最も類似する撮影方向フレーム画像の組み合わせを交差点フレーム画像とするように前記各撮影経路の交差点フレーム画像を校正する交差点フレーム画像校正部をさらに備える
請求項1~3の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項5】
前記交差点における複数の交差点フレーム画像それぞれについて特徴点マッチングを行い、各交差点フレーム画像に付与されている前記全天球カメラの姿勢の誤差を補正するカメラ姿勢補正部をさらに備える
請求項1~4の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項6】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より手前となる複数の撮影方向フレーム画像を前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項1~5の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項7】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項1~5の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項8】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より手前となる前記一の撮影経路における複数の撮影方向フレーム画像を前記他の撮影経路の方向に向けて回転させると共に、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より先になる前記他の撮影経路における複数の撮影方向フレーム画像を前記一の撮影経路における複数の撮影方向フレーム画像が回転している方向とは反対の回転方向に回転させ、両者の回転途中で前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項1~5の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項9】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路の方向に向けて回転させると共に、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像を前記一の撮影経路における交差点フレーム画像が回転している方向とは反対の回転方向に回転させ、両者の回転途中で前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項1~5の何れか一項に記載の映像合成装置。
【請求項10】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より手前となる複数の撮影方向フレーム画像をフェードアウトさせながら前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像をフェードインさせながら前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項6記載の映像合成装置。
【請求項11】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像をフェードアウトさせながら前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像をフェードインさせながら前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項7記載の映像合成装置。
【請求項12】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より手前となる前記一の撮影経路における複数の撮影方向フレーム画像をフェードアウトさせながら前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像及び当該交差点フレーム画像より先になる前記他の撮影経路における複数の撮影方向フレーム画像をフェードインさせながら前記一の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項8記載の映像合成装置。
【請求項13】
前記フレーム画像接続部は、前記一の撮影経路における交差点フレーム画像をフェードアウトさせながら前記他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記他の撮影経路における交差点フレーム画像をフェードインさせながら前記一の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する
請求項9記載の映像合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、市街の複数の経路映像の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、地図情報サービスを利用して遠隔地の情報を入手することが容易になっている。例えば、「Street View(登録商標)」のような地図及び地図に表された位置の写真の提供サービスを利用して、各種の店舗、施設の所在地や経路などの情報を入手することが可能となっている。この他、ある地点から目的地に向かう経路映像を配信するサービスも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-228956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した現在提供されている地図情報サービスの場合、解像度の低さや映像の不連続性といった機能的に改善すべき点がある。また、上述した現在提供されている経路映像配信サービスの場合、一本の動画として撮影されたもの又は複数の映像をつなぎあわせたものであるので、想定される全ての経路について一つの映像を撮影する必要がある、映像の切り替わる箇所で連続性が失われるといった改善点がある。そのため、市街映像について連続性のある映像の提供が求められている。
【0005】
本発明は、ユーザの入力した経路に沿って映像の切り替わる箇所で連続性があり、高精細な映像を作成する映像合成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
全天球カメラによって撮影された市街映像を取得する市街映像取得部と、
前記取得した市街映像を構成する複数のフレーム画像それぞれに所定のアルゴリズムを適用して、撮影方向に対応する撮影方向フレーム画像にジオタグを付与し、前記撮影方向フレーム画像についてのフレーム位置として推定するフレーム位置推定部と、
前記複数の撮影方向フレーム画像それぞれについて推定されたフレーム位置に基づいて、前記全天球カメラの撮影経路を作成する撮影経路作成部と、
前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像からなる複数の撮影経路が互いに交差する交差点において一の撮影経路から他の撮影経路に前記市街映像が切り替わる交差点フレーム画像を、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像から検出する交差点フレーム画像検出部と、
前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続するフレーム画像接続部と、
前記交差点を含む入力された経路に対応した、前記接続された交差点フレーム画像を含む合成市街映像を出力する合成市街映像出力部と、
を備える映像合成装置。
【0007】
[2]
全天球カメラによって撮影された市街映像を取得する市街映像取得部と、
前記取得した市街映像を構成する複数のフレーム画像それぞれに所定のアルゴリズムを適用して、撮影方向に対応する撮影方向フレーム画像にジオタグを付与し、前記撮影方向フレーム画像についてのフレーム位置として推定するフレーム位置推定部と、
前記複数の撮影方向フレーム画像それぞれについて推定されたフレーム位置に基づいて、前記全天球カメラの撮影経路を作成する撮影経路作成部と、
前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像からなる複数の撮影経路が互いに交差する交差点において一の撮影経路から他の撮影経路に前記市街映像が切り替わる交差点フレーム画像を、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において前記フレーム位置が推定された複数の撮影方向フレーム画像から検出する交差点フレーム画像検出部と、
前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続するフレーム画像接続部と、
前記接続された交差点フレーム画像を含む合成市街映像を出力する合成市街映像出力部と、
前記合成市街映像の出力の起点となる位置の選択を、表示画面に表示される地図において促すとともに、前記起点から前記合成市街映像の出力経路の選択を促す経路選択指示部と、
を備える映像合成装置。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ユーザの入力した経路に沿って映像の切り替わる箇所で連続性があり、高精細な映像を作成する映像合成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の構成の一例を表す図である。
図2】撮影経路の異なる市街映像のデータファイルの一例を表す図である。
図3】(a)はEquirectangular形式のフレーム画像の一例を表す図である。(b)はCubeMap形式のフレーム画像の一例を表す図である。(c)は作成された撮影経路の一例を表す図である。
図4】(a)二分探索による交差点フレーム画像の検出の流れを説明する図である。(b)検出された交差点フレーム画像の一例を表す図である。
図5】検出された交差点フレーム画像の他の例を表す図である。
図6】(a)、(b)ともに、交差点フレーム画像の校正を説明する図である。
図7】校正前、構成後の交差点フレーム画像の比較を表す図である。
図8】映像を合成するための入力経路の一例を表す図である。
図9】(a)は、校正の有無別に分けた交差点フレーム画像を表す図である。(b)、(c)ともに、校正後の交差点フレーム画像の一例を表す図である。
図10】交差点における全天球カメラの姿勢の補正を説明する図である。
図11】(a)は、カメラ姿勢補正前の交差点フレーム画像の比較を表す図である。(b)は、カメラ姿勢補正後の交差点フレーム画像の比較を表す図である。
図12】(a)は、交差点フレーム画像の接続方法の一例を表す図である。(b)~(e)は、それぞれ交差点フレーム画像が接続される状態を表す映像の一部である。
図13】(a)は、交差点フレーム画像の接続方法の他の例を表す図である。(b)~(e)は、それぞれ交差点フレーム画像が接続される状態を表す映像の一部である。
図14】(a)は、交差点フレーム画像の接続方法の他の例を表す図である。(b)~(e)は、それぞれ交差点フレーム画像が接続される状態を表す映像の一部である。
図15】(a)は、交差点フレーム画像の接続方法の他の例を表す図である。(b)~(e)は、それぞれ交差点フレーム画像が接続される状態を表す映像の一部である。
図16】交差点フレーム画像の接続方法の他の例を表す図であって、(a)~(d)は交差点フレーム画像が接続される状態を表す映像の一部である。
図17】(a)~(c)ともに、合成市街映像の出力起点となる位置の選択及び出力経路の選択の一例を説明する図である。
図18】(a)~(d)は、合成市街映像の出力中での交差点における行先の選択の一例を表す図である。(e)は、(c)の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。本実施形態の映像合成装置1は、一例として、ユーザが使用するユーザ端末2に市街の案内映像を配信する装置である。
【0011】
図1に示す形態では、映像合成装置1は例えばサーバ装置としての機能を備え、前記市街の案内映像を制作・提供する事業者によって、インターネット通信網、無線通信規格で定められている無線通信網、等の通信ネットワーク3上に設置される。映像合成装置1は、通信ネットワーク3を介してユーザ端末2と通信可能に接続されている。図1に示す形態の他、前記ユーザが映像合成装置1を直接操作して前記市街の案内映像を出力する機器・装置の形態とすることもできる。
【0012】
ユーザ端末2は、前記市街の案内映像の提供を受ける複数のユーザが使用する端末であって、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等、通信機能やウェブ閲覧機能を備える端末である。図示していないが、ユーザ端末2は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メモリ等の各種データを記憶する記憶部と、液晶ディスプレイ等の情報出力部と、タッチパネル等の情報入力部と、各種データの送受信を行う通信部と、を備えている。
【0013】
ユーザ端末2は、通信ネットワーク3を介して映像合成装置1へアクセスして前記市街の案内映像を取得する。この際、映像合成装置1による後述する処理によって撮影経路の異なる複数の市街映像が合成された合成市街映像がユーザ端末2で再生される。あるいは特定の施設に設置されている映像合成装置1を前記ユーザが操作して前記合成市街映像が再生される。
【0014】
映像合成装置1は、図1に示すように、情報送受信部4、制御部5、記憶部6、市街映像取得部7、フレーム位置推定部8、撮影経路作成部9、交差点フレーム画像検出部10、交差点フレーム画像校正部11、カメラ姿勢補正部12、フレーム画像接続部13、合成市街映像出力部14、経路選択指示部26、行先情報送出部27を備えている。
【0015】
情報送受信部4は、ユーザ端末2との間で情報の送受信を行う。制御部5は、映像合成装置1が備える各処理部が行う情報処理をCPU、RAM等の演算処理部で制御する。
【0016】
記憶部6には、以下の情報が記憶されている。
【0017】
(市街映像)
本実施形態では、図示していない全天球カメラといった撮影装置によって全方位(360度)に渡り撮影された市街の動画を市街映像としている。図2に示すように、全天球カメラによって所定の複数の経路に沿って撮影された市街の動画が、それぞれ公知のフォーマットに変換され市街映像データファイル15として記憶部6に記憶される。市街映像データファイル15は、時刻tにおける複数のフレーム画像(静止画)で構成される。市街映像は、前記事業者が使用する事業者端末(不図示)に前記撮影装置を接続し、事業者端末を介して映像合成装置1へ入力されるか、あるいは前記撮影装置を映像合成装置1に接続して直接入力される。
【0018】
(地図情報)
地図情報は、後述する市街映像を構成する複数のフレーム画像についてのフレーム位置推定処理及び全天球カメラの撮影経路作成処理に使用される。前記地図情報は従来公知の二次元(航空写真含む)、三次元表示の地図情報を使用することができる。本実施形態では、図3(c)に示すように、二次元表示の地図情報16を使用している。
【0019】
本実施形態では、記憶部6が地図情報16を記憶している態様としているが、この他、地図及び地図に表された位置の写真を提供する地図情報配信事業者が設置しているWebサーバ(不図示)と映像合成装置1との間で行われるAPI(Application Programming Interface)を利用して、映像合成装置1が地図情報16を取得することができる。この場合、前記事業者端末からの地図情報取得の要求に応じて、映像合成装置1の情報送受信部4が、前記地図情報配信事業者が設置しているWebサーバから地図情報16を取得する。
【0020】
本実施形態では、以下の処理によって撮影経路の異なる複数の市街映像が合成された合成市街映像が生成される。
【0021】
[市街映像の取得処理]
市街映像取得部7は、全天球カメラによって撮影された市街映像を取得する。市街映像取得部7は、上述したように、全天球カメラに接続された前記事業者端末を介して入力された前記市街映像を取得する。あるいは、市街映像取得部7は、映像合成装置1に接続された全天球カメラから前記市街映像を取得する。
【0022】
[フレーム位置推定処理]
フレーム位置推定部8は、市街映像取得部7が取得した市街映像を構成する複数のフレーム画像それぞれについての、地図上におけるフレーム位置を推定する。
【0023】
本実施形態では、フレーム位置推定部8は、まず市街映像取得部7が取得した図3(a)に示すようなEquirectangular形式のフレーム画像17を、図3(b)に示すようなCubeMap形式のフレーム画像18に変換する。ここで、Equirectangularとは、経度と緯度をそのまま直角かつ等間隔に投影した地図投影法の一種である。また、CubeMapとは、対象となるオブジェクトを上下左右前後の6つの正方形テクスチャで表現する環境マップの形式の一種である。Equirectangular形式のフレーム画像17を一旦球面上に投影した後、その球を、内接する立方体に再度投影することで画像が変換される。
【0024】
次に、フレーム位置推定部8は、CubeMap形式のフレーム画像18から前方向のフレーム画像を抽出する。
【0025】
次に、フレーム位置推定部8は、抽出した前方向のフレーム画像に対して、記憶部6に記憶されている地図情報16に基づいて、経度緯度といったジオタグを付加する。ジオタグが付加された前方向のフレーム画像と従来公知のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)といった自己位置推定と環境地図の作成を同時に行うアルゴリズムを用いて、前方向のフレーム画像の地図上におけるフレーム位置が推定される。フレーム位置が推定されることから、全天球カメラの姿勢も推定される。これら推定されたフレーム位置及び全天球カメラの姿勢は後述する交差点フレーム画像の検出処理、カメラの姿勢調整処理及び市街映像の合成・出力処理で使用される。
【0026】
このような処理が時刻tにおける複数のEquirectangular形式のフレーム画像17tに対して行われる。
【0027】
[撮影経路作成処理]
撮影経路作成部9は、複数のフレーム画像それぞれについて推定されたフレーム位置に基づいて、全天球カメラの撮影経路を作成する。
【0028】
本実施形態では、フレーム位置推定部8が複数のフレーム画像それぞれについて推定したフレーム位置を集計し、図2に示す各市街映像データファイル15に対応する図3(c)に示す撮影経路19を作成する。図3(c)に示す撮影経路19a~19hはそれぞれ、図2に示す市街映像データファイル15a~15hに対応している。
【0029】
[交差点フレーム画像の検出処理]
1.交差点フレーム画像の検出
交差点フレーム画像検出部10は、フレーム位置が推定された複数のフレーム画像からなる複数の撮影経路が互いに交差する交差点において一の撮影経路から他の撮影経路に市街映像が切り替わる交差点フレーム画像を、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において前記フレーム位置が推定された複数のフレーム画像から検出する。
【0030】
本実施形態では、交差点フレーム画像検出部10は、以下の二分探索による手法を用いて交差点フレーム画像を検出する。
【0031】
(1)図4(a)左側に示すように、撮影経路19i、19jそれぞれの経路全体をバウンディングボックスで囲む
(2)撮影経路19i、19jそれぞれのバウンディングボックスを二分割し、図4(a)中央に示すように、分割したバウンディングボックスについてさらにバウンディングボックスを作成する
(3)図4(a)右側に示すように、撮影経路19i、19jを含むバウンディングボックスのみ(図中実線部分)を残す
(4)バウンディングボックス内の撮影経路19i、19jを構成するフレーム位置が所定の数(例えば16個未満)に達するまで上記(2)、(3)を繰り返す
(5)全数探索により最近傍となるフレーム位置を抽出する
(6)抽出されたフレーム位置に該当するフレーム画像を検出する
【0032】
図4(b)は、上記二分探索による手法を用いた処理結果の一例である。図4(b)には以下の交差点フレーム画像20が検出されている。
【0033】
・撮影経路19kと撮影経路19mが互いに交差する交差点21aにおいて、撮影経路19kから撮影経路19m又は撮影経路19mから撮影経路19kに市街映像が切り替わる交差点フレーム画像20a、20c
・撮影経路19lと撮影経路19mが互いに交差する交差点21bにおいて、撮影経路19lから撮影経路19m又は撮影経路19mから撮影経路19lに市街映像が切り替わる交差点フレーム画像20b、20c
・撮影経路19kと撮影経路19nが互いに交差する交差点21cにおいて、撮影経路19kから撮影経路19n又は撮影経路19nから撮影経路19kに市街映像が切り替わる交差点フレーム画像20a、20d
・撮影経路19lと撮影経路19nが互いに交差する交差点21dにおいて、撮影経路19lから撮影経路19n又は撮影経路19nから撮影経路19lに市街映像が切り替わる交差点フレーム画像20b、20d
【0034】
2.校正
交差点フレーム画像校正部11は、検出された各撮影経路の交差点フレーム画像の前後のフレーム画像のうち、最も視覚的に類似するフレーム画像の組み合わせを交差点フレーム画像とするように前記各撮影経路の交差点フレーム画像を校正する。視覚的に類似する画像は、画像の視覚的な特徴点の比較により求めてもよいし、入力画像について深層学習を行い、その学習モデルに基づく画像の深層特徴量を利用してもよい。本実施形態では、視覚的な特徴点の比較による類似画像の算出について説明する。
【0035】
以下、本実施形態において、視覚的特徴点とは、複数の異なる画像において互いに対応する箇所を特徴づける点をいう。視覚的特徴点は、例えば、フレーム画像に表される建物の輪郭等を例示することができる。また、本実施形態において、特徴点のマッチングとは、一の画像の視覚的特徴点に対応する点を他の画像において抽出する処理をいう。
【0036】
図5に示すように、撮影経路19o、19pそれぞれにおいて検出された交差点フレーム画像20e、20fが、撮影経路19oと撮影経路19pが互いに交差する交差点21において、市街映像の連続的な接続、すなわち、撮影経路19oから撮影経路19pへの滑らかな映像の切り替えに適さない場合がある。
【0037】
本実施形態では、交差点フレーム画像校正部11は、以下の手法を用いて交差点フレーム画像を校正し、精度の高い交差点フレーム画像を検出する。
【0038】
(1)図6(a)に示すように、二分探索により検出された撮影経路19q、19rそれぞれの交差点フレーム画像20g、20h周辺の複数のフレーム画像18a、18bを選択する
なお、フレーム画像18a、18bは上述したように、地図上におけるフレーム位置及び全天球カメラの姿勢が推定されている。
【0039】
(2)球面線形補間(SLERP)を表す下記の数式1を用いて、選択されたフレーム画像18a、18bについて全天球カメラの姿勢を演算する
【数1】
【0040】
ここで、q、qはQuaternion、θは2つのQuaternionの成す角、tは0≦t≦1を満たす実数である。
【0041】
(3)上記(2)で演算した全天球カメラの姿勢に基づいて、フレーム画像18a、18bを回転させる
【0042】
(4)図6(b)に示すように、2つのフレーム画像18a、18bの特徴点の抽出とそのマッチングを行う
図6に示す例では、フレーム画像18aの座標(x、y)が視覚的特徴点22aとして抽出され、当該視覚的特徴点22aに対応するフレーム画像18bの視覚的特徴点22bの座標(X、Y)がマッチングされている。
【0043】
(5)下記の数式2を用いて、図6(b)に示す2つのフレーム画像18a、18bの視覚的特徴点22a、22bの平均移動距離Dpixelを演算する。Dpixelが最小となるフレーム画像の組み合わせを計算し、当該フレーム画像の組み合わせを校正後の交差点フレーム画像とする
【数2】
【0044】
図7は、上記手法を用いた処理結果の一例である。図7の右側には、交差点フレーム画像校正部11による交差点フレーム画像の校正が行われる前の交差点フレーム画像20e、20f図5参照)が示されている。交差点フレーム画像校正部11による処理の結果、図7の左側に示すように、Dpixelが最小となるフレーム画像の組み合わせが、撮影経路19oから撮影経路19pへの滑らかな映像の切り替えに適した交差点フレーム画像20e、20fとされている。
【0045】
[経路の入力処理]
前記事業者は、前記事業者端末を使用して、図8に示すような地図情報16においてフレーム画像を接続するための経路を入力する。図8に示す例では、撮影経路19b’、19c’、19h’、19d’、19e’、19a’の順番からなる入力経路23となっている。
【0046】
[カメラの姿勢調整処理]
カメラ姿勢補正部12は、交差点における複数の交差点フレーム画像それぞれについて特徴点マッチングを行い、各交差点フレーム画像に付与されている全天球カメラの姿勢の誤差を補正する。
【0047】
例えば、図9に示すように、交差点21c(図4(b)参照)において交差点フレーム画像校正部11によって校正された交差点フレーム画像20i、20jが表す視覚的特徴点22c、22dが一致せず、そのため交差点フレーム画像20i、20jにおける全天球カメラの姿勢(向き)に誤差が生じる場合がある。
【0048】
本実施形態では、カメラ姿勢補正部12は、以下の手法を用いて交差点フレーム画像20の特徴点マッチングを行い、交差点21における全天球カメラの姿勢の補正を行う。
【0049】
(1)図10に示すように、上述したフレーム位置推定処理によって推定されたフレーム位置におけるEquirectangular形式の交差点フレーム画像20jを回転させる
【0050】
(2)図10に示すように、交差点フレーム画像20iと回転後の交差点フレーム画像20j’について特徴点マッチングを行う
【0051】
(3)対応する視覚的特徴点を球面上に射影し、2点間の回転を求める
この処理において、Equirectangular形式の画像上の点(u、v)を単位球面上に射影したとき、対応する単位球面上の点(x、y、z)は下記の数式3で与えられる。
【数3】
【0052】
ここで、u、vはそれぞれEquirectangular形式の画像の横と縦の画素数である。
【0053】
また、Equirectangular形式の画像上において、特徴点マッチングによって得られた視覚的特徴点の座標をそれぞれ単位球面上の射影したときの位置ベクトルをr、rとすると、rからrへの回転を表すQuaternion qは下記の数式4で表される。
【数4】
【0054】
ここで、Vは回転の軸となるベクトル、θは回転の角度を表す。
【0055】
(4)不要な交差点フレーム画像の特徴点マッチングによる座標の組を除去
この処理において、交差点フレーム画像20は互いにほぼ一致していることを前提とし、カメラ姿勢の補正では大きくカメラ姿勢を回転させる必要がないことを仮定している。そこで、上記数式4において、回転の大きさを表す第1成分の値が小さい、すなわち回転量の大きな座標の組は誤ったマッチング結果としてこれを除去する。本実施形態では、Quaternionの第1成分の値が下位40%未満の座標の組を除去している。
【0056】
(5)対応する視覚的特徴点の座標からカメラ姿勢の回転を求める
上記数式4による演算をすべての視覚的特徴点の組に対して行う。得られた視覚的特徴点の組から、演算したQuaternionの球面線形補間(SLERP)による平均をとり、交差点フレーム画像20が表す全天球カメラの姿勢の補正を行う
【0057】
図11は、上記手法を用いた処理結果の一例である。図11(a)では全天球カメラの姿勢の補正が行われる前の交差点フレーム画像22i、22jの視覚的特徴点22c、22dである特定の建物の輪郭の誤差が示されている。図11(b)では、上記手法により、補正前に比べ、交差点フレーム画像20j’の視覚的特徴点22d’である特定の建物の輪郭と、これに対応する交差点フレーム画像20iの視覚的特徴点22cである特定の建物の輪郭との誤差が小さくなっていることが示されている。
【0058】
また、交差点フレーム画像20i、22j’について画像間の平均二乗距離(MSE)による評価を表1に示す。MSEは画像のピクセルごとの画素値の二乗平均であり、下記の数式5で表される。MSEが小さいほど二つの画像間の視覚的特徴点の誤差が小さいことを示す。
【数5】
【0059】
ここで、H、Wは画像の縦と横の大きさを表し、p(i、j)は座標(i、j)の画素値を表す。
【表1】
【0060】
[市街映像の合成・出力処理]
フレーム画像接続部13は、上述した経路の入力処理によって作成された入力経路に含まれる一の撮影経路及び他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像を、交差点において連続するように接続する。本実施形態では、フレーム画像接続部13は、以下の接続方法を用いて交差点フレーム画像の接続を行う。
【0061】
(接続方法1)
図12(a)に示すように、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20k及び当該交差点フレーム画像20kより手前となる複数のフレーム画像17a、17aを撮影経路19tの方向へ回転させ、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0062】
以下、接続方法1~接続方法4において、回転させるフレーム画像17及び交差点フレーム画像20は、上述した球面線形補間の数式1で算出される。また、2つのQuaternion q、q間の回転を表すQuaternion qは、上述したカメラの姿勢調整処理によって計算されたカメラ姿勢を補正するためのQuaternionをqとして考慮すると、下記の数式6で表される。
【数6】
【0063】
ここで、q -1はqの逆元である。
【0064】
これらの式からフレーム画像17及び交差点フレーム画像20の回転の向きと大きさを計算し、フレーム画像17及び交差点フレーム画像20の回転を行う。さらに、2つのQuaternion q、q間の回転の大きさθは、内積を用いてθ=cos-1(q・q)で表される。これにより計算された回転の大きさに応じて、回転処理を行うフレーム画像数の調整を行う。
【0065】
図12(b)~(e)は、上述の処理によって撮影経路19sにおけるフレーム画像17a、17a及び交差点フレーム画像20kが交差点21で撮影経路19tの方向に回転し、交差点フレーム画像20kが撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致して、交差点フレーム画像20kから交差点フレーム画像20lへ滑らかに切り替わった状態を表す。
【0066】
(接続方法2)
図13(a)に示すように、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tの方向へ回転させ、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0067】
図13(b)~(e)は、上述の処理によって撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kが交差点21で撮影経路19tの方向に回転し、交差点フレーム画像20kが撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致して、交差点フレーム画像20kから交差点フレーム画像20lへ滑らかに切り替わった状態を表す。
【0068】
(接続方法3)
図14(a)に示すように、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20k及び当該交差点フレーム画像20kより手前となる複数のフレーム画像17a、17aを撮影経路19tの方向へ回転させ、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20l及び当該交差点フレーム画像20lより先となる複数のフレーム画像17b、17bを撮影経路19sの方向へ回転させ、交差点フレーム画像20k、20lの回転途中で、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0069】
図14(b)~(e)は、上述の処理によって撮影経路19sにおけるフレーム画像17a、17a及び交差点フレーム画像20kが交差点21で撮影経路19tの方向に回転し、交差点フレーム画像20kが回転している途中で撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20l及びフレーム画像17b、17bへ滑らかに切り替わった状態を表す。
【0070】
(接続方法4)
図15(a)に示すように、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tの方向へ回転させ、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lを撮影経路19sの方向へ回転させ、交差点フレーム画像20k、20lの回転途中で、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kを撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lと一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0071】
図15(b)~(e)は、上述の処理によって撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kが交差点21で撮影経路19tの方向に回転し、交差点フレーム画像20kが回転している途中で、撮影経路19sの方向に回転した、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lへ滑らかに切り替わった状態を表す。
【0072】
(接続方法5)
フレーム画像接続部13は、交差点における一の撮影経路のフレーム画像をフェードアウトさせながら他の撮影経路の方向に向けて回転させ、前記交差点における他の撮影経路のフレーム画像をフェードインさせ、フェードインしているフレーム画像をフェードアウトしているフレーム画像に重ね合わせながら前記一の撮影経路における交差点フレーム画像を前記他の撮影経路における交差点フレーム画像と一致させ、前記一の撮影経路及び前記他の撮影経路において検出された前記交差点フレーム画像を、前記交差点において連続するように接続する。この接続方法によれば、異なる複数の撮影経路の映像を交差点においてより滑らかに接続することができる。
【0073】
図16に示す形態では、この接続方法によって以下のように、交差点において一の撮影経路の交差点フレーム画像から他の撮影経路の交差点フレーム画像へ滑らかに切り替わった状態を表す。
【0074】
(1)フレーム画像接続部13は、撮影経路19uの交差点フレーム画像20mを撮影経路19vの方向へ回転させる(図16(a))
(2)フレーム画像接続部13は、撮影経路19uの交差点フレーム画像20mを撮影経路19vの方向へ回転させつつ、交差点フレーム画像20mをフェードアウトさせる(図16(b)、(c))
(3)フレーム画像接続部13は、撮影経路19vの交差点フレーム画像20nをフェードインさせ、フェードアウトしている交差点フレーム画像20mに重ね合わせて表示する(図16(b)、(c))
なお、撮影経路19vの交差点フレーム画像20nは予め撮影経路19uの方向に回転処理されており、交差点フレーム画像20m、20nの回転途中で、撮影経路19uにおける交差点フレーム画像20mを撮影経路19vにおける交差点フレーム画像20nと一致させている。
(4)フレーム画像接続部13は、フェードアウトしている撮影経路19uの交差点フレーム画像20mから、フェードインしている撮影経路19vの交差点フレーム画像20nへ切り替える(図16(d))
また、この接続方法を上述した接続方法1~4それぞれに適用することができる。
【0075】
この接続方法を上述した接続方法1に適用する場合、図12(a)において、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20k及び当該交差点フレーム画像20kより手前となる複数のフレーム画像17a、17aをフェードアウトさせながら撮影経路19tの方向へ回転させる。
フレーム画像接続部13は、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lをフェードインさせ、フェードアウトしている交差点フレーム画像20k及び当該交差点フレーム画像20kより手前となる複数のフレーム画像17a、17aに重ね合わせながら交差点フレーム画像20kと交差点フレーム画像20lとを一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0076】
この接続方法を上述した接続方法2に適用する場合、図13(a)において、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kをフェードアウトさせながら撮影経路19tの方向へ回転させる。
フレーム画像接続部13は、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lをフェードインさせ、フェードアウトしている交差点フレーム画像20kに重ね合わせながら交差点フレーム画像20kと交差点フレーム画像20lとを一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0077】
この接続方法を上述した接続方法3に適用する場合、図14(a)において、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20k及び当該交差点フレーム画像20kより手前となる複数のフレーム画像17a、17aをフェードアウトさせながら撮影経路19tの方向へ回転させる。
フレーム画像接続部13は、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20l及び当該交差点フレーム画像20lより先となる複数のフレーム画像17b、17bをフェードインさせながら撮影経路19sの方向へ回転させ、交差点フレーム画像20k、20lの回転途中で交差点フレーム画像20kと交差点フレーム画像20lとを一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0078】
この接続方法を上述した接続方法4に適用する場合、図15(a)において、フレーム画像接続部13は、撮影経路19sにおける交差点フレーム画像20kをフェードアウトさせながら撮影経路19tの方向へ回転させる。
フレーム画像接続部13は、撮影経路19tにおける交差点フレーム画像20lをフェードインさせながら撮影経路19sの方向へ回転させ、交差点フレーム画像20k、20lの回転途中で交差点フレーム画像20kと交差点フレーム画像20lとを一致させ、撮影経路19s及び撮影経路19tにおいて検出された交差点フレーム画像20k、20lを、交差点21において連続するように接続する。
【0079】
合成市街映像出力部14は、交差点を含む入力経路に対応した、前記接続された交差点フレーム画像を含む合成市街映像を出力する。本実施形態では、合成市街映像出力部14は、以下のように合成市街映像を出力する。
【0080】
(合成市街映像の出力例1)
前記ユーザがユーザ端末2を使用して、図8に示すような地図情報16における現在地24から目的地25までの経路を選択した場合、合成市街映像出力部14は、前記ユーザの現在地24から目的地25までの撮影経路19b’、19c’、19h’、19d’、19e’、19a’の市街映像が合成された合成市街映像をユーザ端末2に出力する。ユーザ端末2では当該合成市街映像が再生される。
【0081】
あるいは、前記ユーザが現在地24において、映像合成装置1を操作して地図上又はユーザインターフェイス上で目的地25を選択した場合でも、合成市街映像出力部14は、前記ユーザの現在地24から目的地25までの複数の撮影経路19の市街映像が合成された合成市街映像を再生する。
【0082】
各撮影経路19が交差する場所では、上述した各処理によって、交差点21において一の撮影経路及び他の撮影経路において検出された交差点フレーム画像20が、各交差点において滑らかに連続して再生される。
【0083】
(合成市街映像の出力例2)
経路選択指示部26は、ユーザ端末2に対して合成市街映像の出力の起点となる位置の選択を地図において促すとともに、前記起点から前記合成市街映像の出力経路の選択を促す。
【0084】
ユーザは、ユーザ端末2に表示される地図情報16において、前記合成市街映像の再生の起点28を選択する。起点28は、例えば図17(a)の符号28a~28dに示すように、前記ユーザが任意に選択できるようになっている。また、例えば、図17(b)に示すような地図上の特徴物であるランドマーク29a~29dの位置を地図情報16において選択して起点28とすることもできる。
【0085】
起点28が選択された後、ユーザ端末2には起点28に対応するフレーム画像が表示されるとともに、図17(c)に示すように前記合成市街映像を再生する複数の経路30a、30bが表示される。この経路30a、30bは、起点28から複数存在する撮影経路19のうち、どの撮影経路の市街映像を再生するかを選択するためのものである。前記ユーザが何れかの経路30を選択すると合成市街映像出力部14は、選択された経路30に対応する撮影経路19の市街映像を再生する。
【0086】
行先情報送出部27は、合成市街映像の出力中に、一部の又はすべての交差点において行先の選択を促す行先情報を交差点フレーム画像及び/又は当該交差点フレーム画像より手前となる複数のフレーム画像に表示する。
【0087】
例えば、図18(a)に示す撮影経路19wの市街映像の再生中に、図18(b)に示すフレーム画像17と、図18(c)に示す交差点フレーム画像20に図18(e)に示すような市街映像の切り替えを選択させる矢印や、各種施設名といった行先情報31a~31dが表示される。
【0088】
前記ユーザが例えば行先情報31b又は31dを選択すると、フレーム画像接続部13は交差点21において選択された行先にしたがって、上述した各処理によって図18(c)、(d)に示すように撮影経路19w及び撮影経路19xにおいて検出された交差点フレーム画像20を、交差点21において連続するように接続する。
【0089】
この出力例では、前記ユーザがインタラクティブに経路選択しながら市街映像を再生するインターフェースとなっている。
【0090】
このように、本実施形態によれば、異なる複数の撮影経路の映像が交差点において滑らかに接続される合成市街映像を作成することができる。したがって、観光案内、地域、特定スポットの紹介、不動産の案内といったナビゲーションとして新たな案内映像をユーザに提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 映像合成装置
2 ユーザ端末
3 通信ネットワーク
4 情報送受信部
5 制御部
6 記憶部
7 市街映像取得部
8 フレーム位置推定部
9 撮影経路作成部
10 交差点フレーム画像検出部
11 交差点フレーム画像校正部
12 カメラ姿勢補正部
13 フレーム画像接続部
14 合成市街映像出力部
15 市街映像データファイル
16 地図情報
17 Equirectangular形式のフレーム画像
18 CubeMap形式のフレーム画像
19 撮影経路
20 交差点フレーム画像
21 交差点
22 視覚的特徴点
23 入力経路
26 経路選択指示部
27 行先情報送出部
28 出発点
29 ランドマーク
30 出力経路
31 行先情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18