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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】ウェーハ清掃装置、及び保持面清掃装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240501BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
B08B3/04 A
H01L21/304 644Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020139245
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035139
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 敦
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-225945(JP,A)
【文献】特開平06-326066(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138881(WO,A1)
【文献】特開2002-001238(JP,A)
【文献】特開2008-147505(JP,A)
【文献】特開昭63-034929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/32
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃するウェーハ清掃装置であって、
該保持面に平行な従動軸と、該従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、該保持面の中心を回転軸として該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、
該ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、該保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の該中心に近い領域と、に接触させ、
該回転機構が該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に該保持面の中心を回転軸として回転させることによって、該ロール清掃具を該従動軸を軸に従動回転させウェーハを清掃するウェーハ清掃装置。
【請求項2】
保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃するウェーハ清掃装置であって、
該保持面に平行な回転軸と、該回転軸で支持されたロール清掃具と、該回転軸を軸として該ロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、
該保持パッドは、該保持面の中心を従動軸として回転自在に支持されており、
該ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、該保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の該中心に近い領域と、に接触させ、
該回転機構が該ロール清掃具を該回転軸を軸として回転させることによって、該保持パッドを該従動軸を軸に従動回転させウェーハを清掃するウェーハ清掃装置。
【請求項3】
前記ロール清掃具、又は前記保持パッドに保持されたウェーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備える請求項1、又は請求項2記載のウェーハ清掃装置。
【請求項4】
ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する保持面清掃装置であって、
該保持面に平行な従動軸と、該従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、該保持面の中心を回転軸として該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、
該ロール清掃具は、該保持面の半径より長く該保持面の直径より短い長さで、側面を、該保持面の中心と、該保持面の半径エリア全域と、該保持面の中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの該保持面の中心に近い領域と、に接触させ、
該回転機構が該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に該保持面の中心を回転軸として回転させることによって、該ロール清掃具を該従動軸を軸に従動回転させ該保持面を清掃する保持面清掃装置。
【請求項5】
ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する保持面清掃装置であって、
該保持面に平行な回転軸と、該回転軸で支持されたロール清掃具と、該回転軸を軸として該ロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、
該保持パッドは、該保持面の中心を従動軸として回転自在に支持されており、
該ロール清掃具は、該保持面の半径より長く該保持面の直径より短い長さで、側面を、該保持面の中心と、該保持面の半径エリア全域と、該保持面の中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの該保持面の中心に近い領域と、に接触させ、
該回転機構が該ロール清掃具を該回転軸を軸として回転させることによって、該保持パッドを該従動軸を軸に従動回転させ該保持面を清掃する保持面清掃装置。
【請求項6】
前記ロール清掃具、又は前記保持パッドの前記保持面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備える請求項4、又は請求項5記載の保持面清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを清掃するウェーハ清掃装置、及び保持パッドの保持面を清掃する保持面清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、又は特許文献2に開示されているように、ウェーハを研削する研削装置は、研削されたウェーハの下面、又はウェーハの下面に貼着したテープにスポンジを接触させ清掃している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-073457号公報
【文献】特開2013-122995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポンジは、長方形やロール形状のものであり、ロール形状のロールスポンジの場合、ロールスポンジを回転させることによって、ロールスポンジの側面の綺麗なところをウェーハの下面等に接触させ清掃している。そのため、ウェーハの下面側でスポンジを回転させる機構が必要となり装置を大きくしてしまうという問題がある。これは、ウェーハを保持する保持パッドの保持面を清掃する保持面清掃装置においても、同様に発生する問題である。
【0005】
したがって、ウェーハ清掃装置においては、ロールスポンジ等のロール清掃具を回転させるモータ機構等を用いずともウェーハを清掃可能とし、装置の小型化を図るという課題がある。また、保持面清掃装置においては、ロールスポンジ等のロール清掃具を回転させるモータ機構等を用いずとも保持パッドの保持面を清掃可能とし、装置の小型化を図るという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃するウェーハ清掃装置であって、該保持面に平行な従動軸と、該従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、該保持面の中心を回転軸として該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、該ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、該保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の該中心に近い領域と、に接触させ、該回転機構が該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に該保持面の中心を回転軸として回転させることによって、該ロール清掃具を該従動軸を軸に従動回転させウェーハを清掃するウェーハ清掃装置である。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明は、保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃するウェーハ清掃装置であって、該保持面に平行な回転軸と、該回転軸で支持されたロール清掃具と、該回転軸を軸として該ロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、該保持パッドは、該保持面の中心を従動軸として回転自在に支持されており、該ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、該保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の該中心に近い領域と、に接触させ、該回転機構が該ロール清掃具を該回転軸を軸として回転させることによって、該保持パッドを該従動軸を軸に従動回転させウェーハを清掃するウェーハ清掃装置である。
【0008】
本発明に係るウェーハ清掃装置は、前記ロール清掃具、又は前記保持パッドに保持されたウェーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備えると好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明は、ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する保持面清掃装置であって、該保持面に平行な従動軸と、該従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、該保持面の中心を回転軸として該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、該ロール清掃具は、該保持面の半径より長く該保持面の直径より短い長さで、側面を、該保持面の中心と、該保持面の半径エリア全域と、該保持面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの該保持面の該中心に近い領域と、に接触させ、該回転機構が該保持パッドと該ロール清掃具とを相対的に該保持面の中心を回転軸として回転させることによって、該ロール清掃具を該従動軸を軸に従動回転させ該保持面を清掃する保持面清掃装置である。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明は、ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する保持面清掃装置であって、該保持面に平行な回転軸と、該回転軸で支持されたロール清掃具と、該回転軸を軸として該ロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、該保持パッドは、該保持面の中心を従動軸として回転自在に支持されており、該ロール清掃具は、該保持面の半径より長く該保持面の直径より短い長さで、側面を、該保持面の中心と、該保持面の半径エリア全域と、該保持面の該中心を基準として該半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの該保持面の該中心に近い領域と、に接触させ、該回転機構が該ロール清掃具を該回転軸を軸として回転させることによって、該保持パッドを該従動軸を軸に従動回転させ該保持面を清掃する保持面清掃装置である。
【0011】
本発明に係る保持面清掃装置は、前記ロール清掃具、又は前記保持パッドの前記保持面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備えると好ましい。
【発明の効果】
【0012】
保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃する本発明に係るウェーハ清掃装置は、保持面に平行な従動軸と、従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、保持面の中心を回転軸として保持パッドとロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の中心を基準として半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の中心に近い領域と、に接触させることで、回転機構が保持パッドとロール清掃具とを相対的に保持面の中心を回転軸として回転させることによって、ロール清掃具を従動軸を軸に従動回転させてウェーハを清掃することが可能となる。即ち、ロール清掃具が回転するウェーハとの間に働く摩擦力によりウェーハの下面を擦るように従動回転されるので、ウェーハの下面の清掃効率を向上させつつ、ロール清掃具をモータ等を用いて回転させる機構を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0013】
また、保持パッドの保持面によって上面を保持されたウェーハの下面を清掃する本発明に係るウェーハ清掃装置は、保持面に平行な回転軸と、回転軸で支持されたロール清掃具と、回転軸を軸としてロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、保持パッドは、保持面の中心を軸に回転自在に支持されており、ロール清掃具は、ウェーハの半径より長くウェーハの直径より短い長さで、側面を、保持面に保持されたウェーハの下面の中心と、ウェーハの下面の半径エリア全域と、ウェーハの下面の中心を基準として半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちのウェーハの下面の中心に近い領域と、に接触させ、回転機構がロール清掃具を回転軸を軸として回転させることによって、保持パッドを保持面の中心を従動軸として従動回転させウェーハを清掃することが可能となる。即ち、保持パッドに保持されたウェーハが回転するロール清掃具との間に働く摩擦力によりロール清掃具の側面を擦るように従動回転されるので、ウェーハの下面の清掃効率を向上させつつ、保持パッドを回転させる機構のモータ等を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0014】
本発明に係るウェーハ清掃装置は、ロール清掃具、又は保持パッドに保持されたウェーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備えることで、ウェーハの下面をより効率的に洗浄できるようになる。
【0015】
ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する本発明に係る保持面清掃装置は、保持面に平行な従動軸と、従動軸で回転自在に支持されたロール清掃具と、保持面の中心を回転軸として保持パッドとロール清掃具とを相対的に回転させる回転機構と、を備え、ロール清掃具は、保持面の半径より長く保持面の直径より短い長さで、側面を、保持面の中心と、保持面の半径エリア全域と、保持面の中心を基準として半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの保持面の中心に近い領域と、に接触させ、回転機構が保持パッドとロール清掃具とを相対的に保持面の中心を回転軸として回転させることによって、ロール清掃具を従動軸を軸に従動回転させ保持面を清掃することが可能となる。即ち、ロール清掃具が回転する保持面との間に働く摩擦力により保持面を擦るように従動回転されるので、保持面の清掃効率を向上させつつ、ロール清掃具をモータ等を用いて回転させる機構を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
また、ウェーハを保持する保持パッドの円形の保持面を清掃する本発明に係る保持面清掃装置は、保持面に平行な回転軸と、回転軸で支持されたロール清掃具と、回転軸を軸としてロール清掃具を回転させる回転機構と、を備え、保持パッドは、保持面の中心を従動軸として回転自在に支持されており、ロール清掃具は、保持面の半径より長く保持面の直径より短い長さで、側面を、保持面の中心と、保持面の半径エリア全域と、保持面の中心を基準として半径エリアの反対側の逆半径エリアのうちの保持面の中心に近い領域と、に接触させ、回転機構がロール清掃具を回転軸を軸として回転させることによって、保持パッドを従動軸を軸に従動回転させ保持面を清掃することが可能となる。即ち、保持パッドの保持面とロール清掃具との間に働く摩擦力により保持パッドがロール清掃具の側面を擦るように従動回転されるので、保持面の清掃効率を向上させつつ、保持パッドを回転させる機構のモータ等を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0017】
本発明に係る保持面清掃装置は、ロール清掃具、又は保持パッドの保持面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段を備えることで、保持面をより効率的に洗浄できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ロール清掃具の延在方向に直交する方向からウェーハ清掃装置の一例を見た断面図である。
図2】ロール清掃具の延在方向からウェーハ清掃装置の一例を見た断面図である。
図3】ロール清掃具の延在方向に直交する方向からウェーハ清掃装置の別例を見た断面図である。
図4】ロール清掃具の延在方向からウェーハ清掃装置の別例を見た断面図である。
図5】ロール清掃具の延在方向に直交する方向から保持面清掃装置の一例を見た断面図である。
図6】ロール清掃具の延在方向から保持面清掃装置の一例を見た断面図である。
図7】ロール清掃具の延在方向に直交する方向から保持面清掃装置の別例を見た断面図である。
図8】ロール清掃具の延在方向から保持面清掃装置の別例を見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図2に示すウェーハ清掃装置1は、ウェーハ90を研削して所望に厚みに薄化する研削装置、ウェーハ90を切削して例えばチップに分割する切削装置、又は、ウェーハ90を研磨して研磨面の抗折強度を高める研磨装置、又はこれらが組み合わされた複合加工装置等に配設される装置である。
【0020】
図1図2に示すウェーハ90は、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであるが、これに限定されず、ガリウムヒ素、サファイア、セラミックス、樹脂、窒化ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよい。図1図2において下方を向いているウェーハ90の表面900は、例えば複数のデバイスが形成されており、ウェーハ90と同径の保護テープ909が貼着されて全面が保護されている。上方を向いているウェーハ90の上面902は、保持パッド20によって吸引保持される。なお、ウェーハ90の表面900は、保護テープ909によって保護されていなくてもよい。以下、保護テープ909の下面をウェーハ90の下面905とする。
【0021】
本実施形態において、図1図2に示すウェーハ90の下面905を清掃するウェーハ清掃装置1は、ウェーハ90を保持する保持パッド20と、保持パッド20の水平方向(X軸Y軸方向)に平行で平坦な保持面202に平行な従動軸30と、例えば桶32内において従動軸30で回転自在に支持されたロール清掃具40と、保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具40とを相対的に回転させる回転機構23を備えている。なお、図2は、図1の-Y方向側からウェーハ清掃装置1を見た断面図である。
【0022】

保持パッド20は、その外形が平面視円形状であり、ポーラス部材等からなりウェーハ90を吸着する吸着部200と、吸着部200を支持する枠体201とを備え、吸着部200は真空発生装置又はエジェクター等の吸引源29に吸引管204を介して連通し、吸着部200の露出面(下面)である保持面202でウェーハ90を吸引保持する。
【0023】
例えば、枠体201の吸着部200に接触する下面には、枠体201の回転中心を中心とする同心円状に形成された複数の円環状の吸引用の溝2011と、円環状の溝2011から周方向に均等に環状の吸引溝2011同士を連結するように放射状に延びる図示しない連結溝とが形成されている。そして、円環状の溝2011及び連結溝は吸引源29に連通しており、保持面202全面に吸引力を伝達可能としている。
【0024】
保持パッド20は、例えば円形板状のプレート22の下面側に複数の固定ボルト221によって固定されており、吸引管204はプレート22を貫通してその上面で開口している。そして、プレート22の上面中央には、回転機構23のスピンドル230の下端が図示しないシーリング部材等を介して連結されており、吸引管204の上端側開口は、スピンドル230内部に形成されたスピンドル内吸引路231に連通している。
【0025】
回転機構23は、軸方向がZ軸方向(鉛直方向)でありその中心をプレート22の中心及び保持パッド20の中心に略合致させてプレート22に連結されたスピンドル230と、スピンドル230をベアリング2324を介して回転可能に支持し例えば水平方向(X軸Y軸方向)に平行に延在するアーム部232と、スピンドル230に連結されスピンドル230を回転駆動する駆動力を生み出すモータ234と、スピンドル230の上端側を囲繞するように配設されたロータリージョイント235とを備えている。スピンドル230の軸中心は、保持面202の中心を通る回転軸と合致する。
例えば、アーム部232は、水平方向に旋回移動、又は直動移動可能であるとともに、Z軸方向に昇降移動可能となっている。
【0026】
スピンドル230の内部に形成されたスピンドル内吸引路231は、例えばスピンドル230内をZ軸方向に延びた後、スピンドル230の外側面に開口しており、スピンドル230側に遺漏なく吸引力を伝達可能とするロータリージョイント235を介して、樹脂チューブや金属配管等で構成された吸引配管294に連通している。
【0027】
吸引配管294は、例えば三方管等を介して二手に分岐して、片方には吸引源29が連通しており、もう片方にはエア供給管288が連通している。また、吸引配管294には、吸引源29との連通状態と非連通状態とを切り換える吸引制御弁297が配設されている。
【0028】
エア供給管288にはコンプレッサー等のエア供給源28が連通している。また、エア供給管288には、エア供給源28との連通状態と非連通状態とを切り換える供給制御弁286が配設されている。
【0029】
従動軸30は、例えば、Y軸方向を軸方向として保持パッド20の保持面202に平行に延在している。そして、従動軸30は、ロール清掃具40を上側の一部を露出させて水没させる洗浄水を溜める桶32によって回転可能に支持されている。
【0030】
図1図2に示す桶32は、例えば、長手方向がY軸方向である略直方体の箱状となっており、平面視矩形の底板320と、底板320の外周から一体的に+Z方向に立ち上がる4枚の側壁とからなる。図1図2でX軸方向において対向する2枚の側壁を側壁321として、Y軸方向において対向する2枚の側壁を側壁322とする。桶32は、ロール清掃具40の略全体を収容可能な容積を備えている。
【0031】
図1、2に示すように、側壁322の下部、又は底板320には、水供給口33が貫通形成されており、該水供給口33は例えば洗浄水として純水を供給可能なポンプ等からなる洗浄水供給源399に樹脂チューブ398等を介して連通している。
【0032】
図1図2に示す従動軸30の両端は、ベアリング303を介して二枚の側壁322により回転可能に支持されており、従動軸30は、桶32の内部上方に位置付けられており、図1、2に示すように従動軸30が挿入されたロール清掃具40は、その外側面400の一部分が桶32外上方に露出した状態で、桶32に収容されている。また、桶32の底面上とロール清掃具40との間には所定の間隔の隙間が設けられている。
【0033】
ロール清掃具40は、例えば所定の厚みを備えるスポンジを円筒形状に成形したものであり、例えば、ウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さでY軸方向に延在し、その中心に例えば従動軸30よりも少しだけ小径の挿入孔401が形成されている。ロール清掃具40は、従動軸30が挿入孔401に挿入され従動軸30の外側面に取り外し可能に固定されており、従動軸30と共に従動軸30によって桶32内で回転自在に支持されている。ロール清掃具40は、例えば、気泡が互いに連通している構造を有する連泡スポンジであり、ポリウレタンを発泡成形して作られるスポンジ(例えば、アイオン社製、ソフラススポンジ)、PVAスポンジ(例えば、アイオン社製、ベルイータースポンジ)、又はゴムに発泡剤等を練り込み成形されるスポンジ等を用いる。ロール清掃具40の外側面400が、ウェーハ90の下面905(本実施形態においては、保護テープ909の下面)に接触し清掃する清掃面となる。なお、ロール清掃具40は、単泡スポンジであってもよい。
なお、例えば、桶32がベアリング303等を備えず、従動軸30を固定した状態で支持しており、ウェーハ90の洗浄時において、ロール清掃具40が従動軸30の外側面上で、固定された状態の従動軸30に対して回転するものとしてもよい。
【0034】
ロール清掃具40は、例えば、ロールブラシであってもよい。この場合には、ロールブラシは、例えば、弾力性を備えるナイロン等の樹脂繊維を直毛状に形成し従動軸30が挿通される円筒状の心材の外周面に密集させたものである。
【0035】
例えば、洗浄水供給源399から洗浄水を桶32に供給しないで、ロール清掃具40によりウェーハ90の下面905を清掃する場合にはロール清掃具40は、例えば、従動軸30が挿通される円筒状の心材の外周面に所定の粘着層を備えた粘着ロールであってもよい。
【0036】
本実施形態においては、ウェーハ清掃装置1は、ロール清掃具40、又は保持パッド20に保持されたウェーハ90の下面905に洗浄水を供給する洗浄水供給手段39を備えており、洗浄水供給手段39は、例えば、上記洗浄水供給源399、樹脂チューブ398、水供給口33、及び桶32で構成されている。
【0037】
洗浄水供給手段39の構成は上記例に限定されるものではない。例えば、従動軸30の内部にはY軸方向に延びる流路が形成されており、該流路は従動軸30の外側面に複数形成された洗浄水供給口に連通している。また、従動軸30の一端には図示しないシーリング部材や継手等を介して洗浄水供給源399が連通している。この場合においては、洗浄水供給源399から供給された洗浄水は、従動軸30内部から従動軸30の外側面の複数の洗浄水供給口より噴出して、ロール清掃具40へと到達する。そして、ロール清掃具40に到達した洗浄水は、ロール清掃具40の内部から、外側面400に広範囲にわたって染み出していく。その結果、外側面400に付着したゴミが洗浄水によって洗い落とされるとともに、ウェーハ90の下面905とロール清掃具40との接触部位等にも洗浄水が供給される。
【0038】
例えば、図1に示すように、保持パッド20で吸引保持されたウェーハ90は、清掃時おいて、ロール清掃具40から水平方向に一部、即ち、例えば後述する逆半径エリア9003のうちの一部がはみ出し下方が空くように位置づけられているため、そのはみ出した部分の逆半径エリア9003の下方に対向するように位置付けた洗浄水噴射ノズルから噴射させた洗浄水をウェーハ90の下面905に直に供給させてもよい。洗浄中にウェーハ90は、スピンドル230を軸として回転するため、ウェーハ90の下面905に噴射された洗浄水は保護テープ909とともに連れ回り、ロール清掃具40にも到達する。
【0039】
以下に、上記ウェーハ清掃装置1を用いてウェーハ90の下面905(保護テープ909の下面)を清掃する場合の、ウェーハ清掃装置1の動作について説明する。なお、ウェーハ90の表面900に保護テープ909が貼着されていない場合には、ウェーハ90の表面900が清掃される下面となる。
例えば、まず、ウェーハ90は図示しないチャックテーブル上に吸引保持された状態になっている。アーム部232が、ウェーハ90の真上の位置まで保持パッド20を水平方向に移動してから降下させ、保持パッド20の保持面202とウェーハ90の上面902とを接触させる。吸引制御弁297が開かれた状態で吸引源29が作動して生み出される吸引力が、吸引配管294、ロータリージョイント235、スピンドル内吸引路231、及び吸引管204を通り保持パッド20の保持面202に伝達されることで、保持パッド20がウェーハ90の下面905の中心9009と保持パッド20の中心とを略合致させた状態でウェーハ90を吸引保持する。また、図示しないチャックテーブルによるウェーハ90の吸引保持が解除され、アーム部232が上昇してウェーハ90をチャックテーブルから離間させる。
【0040】
アーム部232が、ウェーハ90を保持した保持パッド20を水平方向に移動して、ウェーハ90とロール清掃具40との位置合わせを行う。該位置合わせは、図1図2に示すように、ウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さのロール清掃具40の外側面400を、保持面202に保持されたウェーハ90の下面905の中心9009と、ウェーハ90の下面905の例えば+Y方向側の半径エリア9002の全域と、ウェーハ90の下面905の中心9009を基準として半径エリア9002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004と、に対向するように行われる。即ち、ロール清掃具40は、ウェーハ90の下面905の+Y方向側の半径全長に重なり、かつ、ウェーハ90の下面905の中心9009に重なり、かつ、ウェーハ90の下面905の中心9009から-Y方向側の半径に所定の長さだけ重なる。なお、図1に示す例においては、ロール清掃具40は、ウェーハ90の下面905の中心9009から-Y方向側の半径に半径の約1/3の長さ重なっているが、例えば下面905の中心9009から-Y方向側の半径に半径の1/2の長さ重なっていてもよいし、下面905の中心9009から-Y方向側の半径に半径の1/5の長さ重なっていてもよい。
【0041】
さらに、アーム部232が保持パッド20を降下させ、ロール清掃具40の外側面400を、保持面202に保持されたウェーハ90の下面905の中心9009と、ウェーハ90の下面905の+Y方向側の半径エリア9002全域と、ウェーハ90の下面905の中心9009を基準として半径エリア9002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004と、に接触させて押し付ける。
【0042】
この状態で、保持パッド20の保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具40とを相対的に回転させる。即ち、モータ234が保持面202の中心を通る回転軸と軸中心を一致させたスピンドル230を例えば平面視で時計回り方向に所定の回転速度で回転させることで、スピンドル230と共に保持パッド20に吸引保持されたウェーハ90が回転する。なお、スピンドル230の回転中もロータリージョイント235によって保持パッド20側に吸引源29が生み出す吸引力が遺漏なく伝達される。
【0043】
上記のように回転機構23が保持パッド20を回転させることによって、ロール清掃具40の挿入孔401に挿入された従動軸30は、桶32のベアリング303によって回転自在に支持されているため、ロール清掃具40は、ウェーハ90の下面905との間の摩擦力によって、従動軸30とともに+Y方向側から見て反時計回り方向に下面905を擦るように従動回転する。これは、ロール清掃具40は、ウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さであり、かつ、ロール清掃具40の接触面積がウェーハ90の下面905の半径エリア9002の方がウェーハ90の下面905の逆半径エリア9003よりも大きいためである。その結果、保持パッド20に保持されたウェーハ90の下面905の+Y方向側の半径エリア9002全域とウェーハ90の下面905の中心9009とは、+Z方向から見たウェーハ90の回転方向とロール清掃具40の回転進行方向とが同じになった状態で、ロール清掃具40に清掃されていく。また、保持パッド20に保持されたウェーハ90の-Y方向側の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004では、+Z方向から見たウェーハ90の回転方向とロール清掃具40の回転進行方向とが反対になった状態、即ち、回転するロール清掃具40の外側面400が領域9004に水平方向において突っ込むようにして、ロール清掃具40による領域9004の清掃が行われていく。従来は、ウェーハ90の下面905中心領域はゴミが残りやすかったが、上記のように、より強く逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004が清掃されていくことで、領域9004のゴミの残りが発生しにくい。
そして、ウェーハ90は回転しているため、所定時間が経過するとウェーハ90の下面905全面がロール清掃具40によって清掃される。
また、ウェーハ90の下面905の逆半径エリア9003にロール清掃具40が接触することによって、保持パッド20の回転速度よりロール清掃具40の回転速度が遅くなる。そのため、ウェーハ90の半径エリア9002を接触したロール清掃具40が擦りながら清掃するため、半径エリア9002のゴミの残りが発生しにくい。
【0044】
本実施形態においては、図1図2に示すように、洗浄水供給手段39の洗浄水供給源399が樹脂チューブ398に洗浄水390を送出し、該洗浄水390が水供給口33から桶32内に貯水されていく。桶32内が洗浄水390で満たされた後も、洗浄水供給源399からの洗浄水390の供給が継続してなされることで、洗浄水390が桶32の上部から溢れ出る状態になり、ロール清掃具40の上側の外側面400以外が桶32に収容され水没した状態になる。また、ロール清掃具40全体が洗浄水390を十分に含んだ状態になる。
【0045】
ロール清掃具40の桶32から露出した外側面400がウェーハ90の下面905を洗浄していくのに伴って、回転するロール清掃具40の外側面400には、下面905に付着していた研削屑等のゴミが付着する。このロール清掃具40に付着したゴミは、ロール清掃具40の回転に伴って桶32内に入り、桶32に貯水されている洗浄水390によりロール清掃具40の外側面400から濯ぎ落とされる。該ゴミが、洗浄水390よりも比重が小さい場合には、桶32の上方開口から溢れ出る洗浄水390と共に桶32の外部に流下するので、ロール清掃具40に再び付着することはない。したがって、洗浄水供給源399から洗浄水390が桶32に供給され続けることで、桶32内には一定量の清潔な洗浄水390が貯水された状態が保たれる。
一方で、該ゴミが洗浄水390よりも比重が大きい場合には、該ゴミは桶32の底面上に沈殿し、ロール清掃具40と桶32の底面との間には所定の間隔の隙間が設けられているので、ロール清掃具40に再び付着することはない。この場合には、ウェーハ90を複数枚ウェーハ清掃装置1で洗浄した後、桶32内の洗浄が行われる。
【0046】
なお、ウェーハ90の下面905の清掃は、洗浄水390を用いずに行ってもよい。また、所定時間下面905の洗浄水390を用いた洗浄が行われた後に、洗浄水供給源399からの桶32に対する洗浄水390の供給を止めて、ウェーハ90を回転させ、かつ、ロール清掃具40を従動回転させて、ロール清掃具40によって保護テープ909に付着している洗浄水390の残りを吸収させて、下面905を乾燥させてもよい。
【0047】
ウェーハ90の下面905の全面の清掃が完了した後、スピンドル230の回転が停止され、さらに、アーム部232が、下面905が洗浄されたウェーハ90を保持した保持パッド20を水平方向に移動して、例えば図示しないスピンナー洗浄装置のスピンナーテーブル上にウェーハ90を搬送する。その後、例えば、吸引制御弁297が閉じられ、かつ、供給制御弁286が開かれた状態で、エア供給源28が圧縮したエアをエア供給管288に供給する。該エアは、さらに、吸引配管294、ロータリージョイント235、スピンドル内吸引路231、及び吸引管204を通り保持パッド20の保持面202から噴出して、保持面202とウェーハ90の上面902との間に残存する真空吸着力を排除して、保持パッド20からウェーハ90を離脱させて、ウェーハ90がスピンナーテーブル上に保持される。そして、スピンナーテーブル上でウェーハ90の上面902の洗浄が行われる。
【0048】
保持パッド20の保持面202によって上面902を保持されたウェーハ90の下面905を清掃する本発明に係るウェーハ清掃装置1は、保持面202に平行な従動軸30と、従動軸30で回転自在に支持されたロール清掃具40と、保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具40とを相対的に回転させる回転機構23と、を備え、ロール清掃具40は、ウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さで、外側面400を、保持面202に保持されたウェーハ90の下面905の中心9009と、ウェーハ90の下面905の半径エリア9002全域と、ウェーハ90の下面905の中心9009を基準として半径エリア9002の反対側の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004と、に接触させることで、回転機構23が例えば保持パッド20を保持面202の中心を回転軸として回転させることによって、ロール清掃具40を従動軸30を軸に従動回転させてウェーハ90の下面905を清掃することが可能となる。即ち、ロール清掃具40が回転するウェーハ90の下面905との間に働く摩擦力によりウェーハ90の下面905を擦るように従動回転されるのでウェーハ90の清掃効率を向上させつつ、ロール清掃具40をモータ等を用いて回転させる機構を必要としないためウェーハ清掃装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0049】
本発明に係るウェーハ清掃装置1は、ロール清掃具40、又は保持パッド20に保持されたウェーハ90に洗浄水を供給する洗浄水供給手段39を備えることで、ウェーハ90をより効率的に洗浄できるようになる。
【0050】
なお、保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具40とを相対的に回転させる回転機構23の代わりに、回転機構を桶32側に接続させて、保持パッド20側に回転機構23のモータ234等を配設せずに、例えば、回転機構によって、桶32及びロール清掃具40ごと保持面202の中心を回転軸として、保持パッド20の保持面202に対して相対的に周回させ、ロール清掃具40を従動軸30を軸に従動回転させてウェーハ90の下面905を清掃してもよい。
【0051】
以下に、図1、2に示すウェーハ清掃装置1の別例である図3図4に示すウェーハ清掃装置11について説明する。ウェーハ清掃装置11とウェーハ清掃装置1との構成において同様の構成については、ウェーハ清掃装置11についてもウェーハ清掃装置1と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
ウェーハ清掃装置11は、保持パッド20の保持面202に平行な回転軸31と、回転軸31で支持されウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さのロール清掃具40と、回転軸31を軸としてロール清掃具40を回転させる回転機構24と、を備えている。
【0053】
図3図4に示す回転軸31の両端側は、ベアリング303を介して二枚の側壁322により回転可能に支持されており、また、回転軸31の+Y方向側の一端は、桶32の側壁322をシーリング部材等を介して桶32外へ貫出しており、該一端側にモータ等からなる回転機構24が連結されている。
【0054】
ウェーハ清掃装置11においては、図1、2に示すウェーハ清掃装置1とは異なり、保持パッド20側を保持面202の中心を軸として回転させるための回転駆動源であるモータ234を備えておらず、その分保持パッド20側の構成を小型化することができる。また、保持パッド20は、アーム部232及びベアリング2324によって、スピンドル230を介して保持面202の中心を通る軸を従動軸として回転自在に支持されている。
【0055】
以下に、上記ウェーハ清掃装置11を用いてウェーハ90の下面905を清掃する場合の、ウェーハ清掃装置11の動作について説明する。ロール清掃具40と保持パッド20に保持されたウェーハ90の下面905との水平方向における位置づけ、及びロール清掃具40とウェーハ90の下面905との接触までは、図1、2に示すウェーハ清掃装置1と同様に、ウェーハ清掃装置11においても行われる。
【0056】
ロール清掃具40の外側面400を、保持面202に保持されたウェーハ90の下面905の中心9009と、ウェーハ90の下面905の+Y方向側の半径エリア9002全域と、ウェーハ90の下面905の中心9009を基準として半径エリア9002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004と、に接触させた状態で、回転機構24がロール清掃具40を回転軸31を軸として回転させる。
【0057】
即ち、回転機構24が回転軸31を例えば+Y方向側から見て反時計回り方向に所定の回転速度で回転させることで、回転軸31と共にロール清掃具40が回転する。そして、スピンドル230に連結された保持パッド20は、保持面202の中心を通る従動軸と軸心を合致させたスピンドル230がアーム部232にベアリング2324を介して回転可能に支持されているため、保持パッド20及びウェーハ90は、ロール清掃具40の外側面400との間の摩擦力によって、+Z方向側から見て時計回り方向に下面905をロール清掃具40によって擦られつつ従動回転する。
【0058】
保持パッド20に保持されたウェーハ90の下面905の+Y方向側の半径エリア9002全域とウェーハ90の下面905の中心9009とは、+Z方向から見たウェーハ90の回転方向とロール清掃具40の回転進行方向とが同じになった状態で、ロール清掃具40に清掃されていく。また、保持パッド20に保持されたウェーハ90の-Y方向側の逆半径エリア9003のうちの中心9009に近い領域9004では、+Z方向から見たウェーハ90の回転方向とロール清掃具40の回転進行方向とが反対になった状態で領域9004が清掃されていくことで、領域9004のゴミの残りが発生しにくい。所定時間が経過するとウェーハ90の下面905全面がロール清掃具40によって清掃される。
なお、ウェーハ90の下面905の逆半径エリア9003にロール清掃具40が接触することによって、保持パッド20の回転速度よりロール清掃具40の回転速度が遅くなる。そのため、ウェーハ90の半径エリア9002は接触したロール清掃具40によって擦られながら清掃されるため、半径エリア9002のゴミの残りが発生しにくい。
【0059】
ウェーハ90の下面905全面のロール清掃具40による清掃中に、例えば、洗浄水供給手段39によるロール清掃具40による洗浄水の供給が、図1、2に示すウェーハ清掃装置1と同様に行われる。また、清掃完了後の、ウェーハ清掃装置11の動作は、図1、2に示すウェーハ清掃装置11と同様である。
【0060】
上記のように、図3、4に示す保持パッド20の保持面202によって上面902を保持されたウェーハ90の下面905を清掃する本発明に係るウェーハ清掃装置11は、保持面202に平行な回転軸31と、回転軸31で支持されたロール清掃具40と、回転軸31を軸としてロール清掃具40を回転させる回転機構24と、を備え、保持パッド20は保持面202の中心を従動軸として回転自在に支持されており、ロール清掃具40は、ウェーハ90の半径より長くウェーハ90の直径より短い長さで、外側面400を、保持面202に保持されたウェーハ90の下面905の中心9009と、ウェーハ90の下面905の半径エリア9002全域と、ウェーハ90の下面905の中心9009を基準として半径エリア9002の反対側の逆半径エリア9003のうちのウェーハ90の下面905の中心9009に近い領域9004と、に接触させ、回転機構24がロール清掃具40を回転軸31を軸として回転させることによって、保持パッド20を保持面202の中心を従動軸として従動回転させウェーハ90を清掃することが可能となる。即ち、保持パッド20に保持されたウェーハ90が回転するロール清掃具40との間に働く摩擦力によりロール清掃具40の外側面400を擦るように従動回転されるので、ウェーハ90の下面905の清掃効率を向上させつつ、保持パッド20を回転させる機構にモータ等の回転駆動源を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0061】
以下に、ウェーハを保持可能な図5図6に示す保持パッド20の円形の保持面202を清掃する保持面清掃装置12について説明する。図1図2に示すウェーハ清掃装置1と保持面清掃装置12は、一部同様の構成を備えるため、保持面清掃装置12とウェーハ清掃装置1との構成において同様の構成については、保持面清掃装置12についてもウェーハ清掃装置1と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
保持面清掃装置12は、保持パッド20の保持面202に平行な従動軸30と、従動軸30で回転自在に支持されたロール清掃具41と、保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具41とを相対的に回転させる回転機構23と、を備えている。そして、図1に示すロール清掃具40と材質等が同様のロール清掃具41は、保持面202の半径より長く保持面202の直径より短い長さに形成されている。
【0063】
以下に、上記保持面清掃装置12を用いて保持パッド20の保持面202を清掃する場合の、保持面清掃装置12の動作について説明する。
アーム部232が、保持パッド20を水平方向に移動して、保持パッド20とロール清掃具41との位置合わせを行う。該位置合わせは、図5図6に示すように、保持面202の半径より長く保持面202の直径より短い長さのロール清掃具41の外側面410を、保持面202の中心2009と、保持面202の例えば+Y方向側の半径エリア2002の全域と、保持面202の中心2009を基準として半径エリア2002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004と、に対向するように行われる。即ち、ロール清掃具41は、保持面202の+Y方向側の半径全長に重なり、かつ、保持面202の中心2009に重なり、かつ、保持面202の中心2009から-Y方向側の半径に所定の長さだけ重なる。なお、図5に示す例においては、ロール清掃具41は、保持面202の中心2009から-Y方向側の半径に半径の約1/3の長さ重なっているが、例えば保持面202の中心2009から-Y方向側の半径に半径の1/2の長さ重なっていてもよいし、保持面202の中心2009から-Y方向側の半径に半径の1/5の長さ重なっていてもよい。
【0064】
さらに、アーム部232が保持パッド20を降下させ、ロール清掃具41の外側面410を、保持面202の中心2009と、保持面202の+Y方向側の半径エリア2002全域と、保持面202の中心2009を基準として半径エリア2002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004と、に接触させて押し付ける。
【0065】
この状態で、保持パッド20の保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具41とを相対的に回転させる。即ち、モータ234が保持面202の中心を通る回転軸と軸中心を一致させたスピンドル230を例えば平面視で時計回り方向に回転させて保持パッド20を回転させる。
【0066】
上記のように回転機構23が保持パッド20を回転させることによって、ロール清掃具41の挿入孔401に挿入された従動軸30は、桶32のベアリング303によって回転自在に支持されているため、ロール清掃具41は、保持面202との間の摩擦力によって、従動軸30とともに+Y方向側から見て反時計回り方向に保持面202を擦るように従動回転する。これは、ロール清掃具41は、保持面202の半径より長く保持面202の直径より短い長さであり、かつ、ロール清掃具41の接触面積が保持面202の半径エリア2002の方が保持面202の逆半径エリア2003よりも大きいためである。その結果、保持パッド20に保持された保持面202の+Y方向側の半径エリア2002全域と保持面202の中心2009とは、+Z方向から見た保持面202の回転方向とロール清掃具41の回転進行方向とが同じになった状態で、ロール清掃具41に清掃されていく。また、保持面202の-Y方向側の逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004では、+Z方向から見た保持面202の回転方向とロール清掃具41の回転進行方向とが反対になった状態、即ち、回転するロール清掃具41の外側面410が領域2004に水平方向において突っ込むようにして、ロール清掃具41による領域2004の清掃が行われていく。従来は、保持面202の中心領域はゴミが残りやすかったが、上記のように、より強く逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004が清掃されていくことで、領域2004のゴミの残りが発生しにくい。
そして、保持パッド20は回転しているため、所定時間が経過すると保持面202全面がロール清掃具41によって清掃される。
また、保持面202の逆半径エリア2003にロール清掃具41が接触することによって、保持パッド20の回転速度よりロール清掃具41の回転速度が遅くなる。そのため、保持面202の半径エリア2002を接触したロール清掃具41が擦りながら清掃するため、半径エリア2002のゴミの残りが発生しにくい。
【0067】
本実施形態においては、図5図6に示すように、洗浄水供給手段39の洗浄水供給源399が送出した洗浄水390が桶32内に貯水されていく。桶32内が洗浄水390で満たされた後も、洗浄水供給源399からの洗浄水390の供給が継続してなされることで、洗浄水390が桶32の上部から溢れ出る状態になり、全体に洗浄水を含んだロール清掃具41の上側の外側面410以外が桶32に収容され水没した状態になる。
【0068】
ロール清掃具41の桶32から露出した外側面410が保持面202を洗浄していくのに伴って、回転するロール清掃具41の外側面410には、保持面202に付着していたゴミが付着する。該ゴミは、ロール清掃具41の回転に伴って桶32内に入り、桶32に貯水されている洗浄水390によりロール清掃具41の外側面410から濯ぎ落とされる。
【0069】
なお、保持面202の清掃は、洗浄水390を用いずにロール清掃具41を例えば粘着ロールとすることで行ってもよい。また、所定時間保持面202の洗浄水390を用いた洗浄が行われた後に、桶32に対する洗浄水390の供給を止めて、保持面202を回転させ、かつ、ロール清掃具41を従動回転させて、ロール清掃具41によって保持面202に付着している洗浄水390の残りを吸収させて、保持面202を乾燥させてもよい。
【0070】
上記のように、ウェーハを保持する保持パッド20の円形の保持面202を清掃する本発明に係る保持面清掃装置12は、保持面202に平行な従動軸30と、従動軸30で回転自在に支持されたロール清掃具41と、保持面202の中心を回転軸として保持パッド20とロール清掃具41とを相対的に回転させる回転機構23と、を備え、ロール清掃具41は、保持面202の半径より長く保持面202の直径より短い長さで、外側面410を、保持面202の中心2009と、保持面202の半径エリア全域2002と、保持面202の中心2009を基準として半径エリア2002の反対側の逆半径エリア2003のうちの保持面202の中心2009に近い領域2004と、に接触させ、回転機構23が保持パッド20とロール清掃具41とを相対的に保持面202の中心2009を回転軸として回転させることによって、ロール清掃具41を従動軸30を軸に従動回転させ保持面202を清掃することが可能となる。即ち、ロール清掃具41が回転する保持面202との間に働く摩擦力により保持面202を擦るように従動回転されるので、保持面202の清掃効率を向上させつつ、ロール清掃具41をモータ等を用いて回転させる機構を必要としないため装置の小型化を図ることが可能となる。
【0071】
以下に、図5図6に示す保持面清掃装置12の別例である図7図8に示す保持面清掃装置13について説明する。保持面清掃装置13と保持面清掃装置12との構成において同様の構成については、保持面清掃装置13についても保持面清掃装置12と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
保持面清掃装置13は、保持パッド20の保持面202に平行な回転軸31と、回転軸31で支持され保持面202の半径より長く保持面202の直径より短い長さのロール清掃具41と、回転軸31を軸としてロール清掃具41を回転させる回転機構24と、を備えている。
【0073】
図7図8に示す回転軸31の両端側は、ベアリング303を介して二枚の側壁322により回転可能に支持されており、また、回転軸31の+Y方向側の一端は、桶32の側壁322をシーリング部材等を介して桶32外へ貫出しており、該一端側にモータ等からなる回転機構24が連結されている。
【0074】
保持面清掃装置13においては、図5、6に示す保持面清掃装置12とは異なり、保持パッド20側を保持面202の中心を軸として回転させるための回転駆動源であるモータ234を備えておらず、その分保持パッド20側の構成を小型化することができる。また、保持パッド20は、アーム部232及びベアリング2324によって、スピンドル230を介して保持面202の中心を従動軸として回転自在に支持されている。
【0075】
以下に、上記保持面清掃装置13を用いて保持面202を清掃する場合の、保持面清掃装置13の動作について説明する。ロール清掃具41と保持パッド20の保持面202との水平方向における位置づけ、及びロール清掃具41と保持面202の接触までは、図5、6に示す保持面清掃装置12と同様に、保持面清掃装置13においても行われる。
【0076】
ロール清掃具41の外側面410を、保持面202の中心2009と、保持面202の+Y方向側の半径エリア2002全域と、保持面202の中心2009を基準として半径エリア2002の反対側(-Y方向側)の逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004と、に接触させた状態で、回転機構24がロール清掃具41を回転軸31を軸に回転させる。
【0077】
即ち、回転機構24が回転軸31を例えば+Y方向側から見て反時計回り方向に所定の回転速度で回転させることで、回転軸31と共にロール清掃具41が回転する。そして、スピンドル230に連結された保持パッド20は、軸心を保持面202の中心を通る従動軸と合致させたスピンドル230がアーム部232にベアリング2324を介して回転可能に支持されているため、保持パッド20は、ロール清掃具41の外側面410との間の摩擦力によって、+Z方向側から見て時計回り方向に保持面202をロール清掃具41によって擦られつつ従動回転する。
【0078】
保持パッド20に保持された保持面202の+Y方向側の半径エリア2002全域と保持面202の中心2009とは、+Z方向から見た保持面202の回転方向とロール清掃具41の回転進行方向とが同じになった状態で、ロール清掃具41に清掃されていく。また、保持パッド20の-Y方向側の逆半径エリア2003のうちの中心2009に近い領域2004では、+Z方向から見た保持面202の回転方向とロール清掃具41の回転進行方向とが反対になった状態で領域2004が清掃されていくことで、領域2004のゴミの残りが発生しにくい。そして、所定時間が経過すると保持面202全面がロール清掃具41によって清掃される。
なお、保持面202の逆半径エリア2003にロール清掃具41が接触することによって、保持パッド20の回転速度よりロール清掃具41の回転速度が遅くなる。そのため、保持面202の半径エリア2002は接触したロール清掃具41によって擦られながら清掃されるため、半径エリア2002のゴミの残りが発生しにくい。
【0079】
保持面202全面のロール清掃具41による清掃中に、例えば、洗浄水供給手段39によるロール清掃具41による洗浄水の供給が、図5、6に示す保持面清掃装置12と同様に行われる。
【0080】
なお、本発明に係るウェーハ清掃装置及び保持面清掃装置は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されているウェーハ清掃装置や保持面清掃装置の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
90:ウェーハ 900:ウェーハの表面 902:ウェーハの上面 909:保護テープ 905:ウェーハの下面 9009:ウェーハの下面の中心 9002:ウェーハの下面の半径エリア 9004:ウェーハの下面の逆半径エリア 9003:逆半径エリアのうちの中心に近い領域
1:ウェーハ清掃装置
20:保持パッド 200:吸着部 202:保持面 201:枠体 2011:溝 204:吸引管
22:プレート 221:固定ボルト
23:回転機構
230:スピンドル 231:スピンドル内吸引路
232:アーム部 2324:ベアリング
234:モータ 235:ロータリージョイント
29:吸引源 294:吸引配管 297:吸引制御弁
28:エア供給源 288:エア供給管 286:供給制御弁
30:従動軸 303:ベアリング
32:桶 321、322:側壁 320:底板 33:水供給口
39:洗浄水供給手段 399:洗浄水供給源 398:樹脂チューブ
40:ロール清掃具 401:挿入孔 400:外側面
11:ウェーハ清掃装置 31:回転軸 24:回転機構
12:保持面清掃装置 41:ロール清掃具 410:ロール清掃具の外側面
20:保持パッド 202:保持面 2009:保持面の中心 2002:保持面の半径エリア 2003:保持面の逆半径エリア 2004:保持面の逆半径エリアのうちの中心に近い領域
13:保持面清掃装置 24:回転機構
図1
図2
図3
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図5
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図8