(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用ステム及びその製造方法、半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240501BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240501BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240501BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240501BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/12 S
H01L23/02 F
H01S5/022
(21)【出願番号】P 2020204085
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 渉
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-125996(JP,A)
【文献】特開2019-016722(JP,A)
【文献】特開2009-130185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/12
H01L 23/02
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットと、
台座部、及び前記台座部から突出する柱状部を備えた金属ブロックと、を有し、
前記台座部は前記貫通孔に挿入され
て金属接合材により前記アイレットと接合され、前記柱状部は前記第1面から突出する部分を備え、
前記柱状部は、半導体素子を搭載する素子搭載面を含み、
平面視において、前記台座部の外周部が前記柱状部の周囲に露出し
、
平面視において、前記台座部は略矩形であり、前記台座部の前記素子搭載面側の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、前記第1辺に対向する第2辺の両端の角部が前記第1辺の両端の角部よりも半径の大きな丸みを帯びている、半導体パッケージ用ステム。
【請求項2】
前記素子搭載面の一部は、前記貫通孔内に位置している、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項3】
前記素子搭載面の前記台座部側は
断面視でR状の領域であり、
前記
R状の領域は、すべて前記貫通孔内に位置している、請求項2に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項4】
前記柱状部の周囲に露出する前記台座部の外周部において、前記素子搭載面側の幅は、前記柱状部の他の面側の幅よりも狭い、請求項1乃至3の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項5】
前記第2面に、前記貫通孔の一端側を塞ぐように接合された金属ベースを有し、
前記台座部は、前記貫通孔に挿入されて前記貫通孔内で前記金属ベースと接合されている、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項6】
前記金属ベースの熱伝導率は、前記アイレットの熱伝導率と同等以上である、請求項
5に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステムと、
前記素子搭載面に搭載された半導体素子と、を有する半導体パッケージ。
【請求項8】
第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットを作製する工程と、
台座部、及び前記台座部から突出する柱状部を備えた金属ブロックを作製する工程と、
前記台座部を前記貫通孔に挿入し、前記柱状部の少なくとも一部が前記第1面から突出するように、前記金属ブロックを
金属接合材により前記アイレットと接合する工程と、を有し、
前記金属ブロックを作製する工程は、
棒状の材料に対して引き抜き加工を行って所定形状に成型後、切断して個片化する工程と、
個片化された各々の前記材料に対して、前記柱状部となる部分を周囲から金型で押圧し、半導体素子を搭載する素子搭載面となる部分を平坦化する工程と、を含み、
前記平坦化する工程では、平面視において、前記台座部の外周部が前記柱状部の周囲に露出する、半導体パッケージ用ステムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用ステム及びその製造方法、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を搭載する半導体パッケージ用ステムにおいて、例えば、円板状のアイレットに、アイレットの上面から突出する金属ブロックを設け、金属ブロックの一面を、半導体素子を搭載する素子搭載面とする構造が知られている。アイレットにはリード端子を挿入する複数の貫通孔が設けられ、リード端子は貫通孔内にガラス等の封止部により封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子を搭載する素子搭載面は平坦であることが必要である。そのため、従来の半導体パッケージ用ステムでは、例えば、アイレットに金属ブロックを設けた後に、素子搭載面とその反対面を金型で挟んで両側から押圧する平押しが行われており、平押しにより素子搭載面を平坦化していた。しかし、この方法では、素子搭載面のアイレットの上面に接続される部分は、ダレが発生してR状となりやすい。その結果、素子搭載面の平坦な領域を十分に確保することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、素子搭載面の平坦な領域を十分に確保することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本半導体パッケージ用ステムは、第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットと、台座部、及び前記台座部から突出する柱状部を備えた金属ブロックと、を有し、前記台座部は前記貫通孔に挿入されて金属接合材により前記アイレットと接合され、前記柱状部は前記第1面から突出する部分を備え、前記柱状部は、半導体素子を搭載する素子搭載面を含み、平面視において、前記台座部の外周部が前記柱状部の周囲に露出し、平面視において、前記台座部は略矩形であり、前記台座部の前記素子搭載面側の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、前記第1辺に対向する第2辺の両端の角部が前記第1辺の両端の角部よりも半径の大きな丸みを帯びている。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、素子搭載面の平坦な領域を十分に確保することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図(その2)である。
【
図6】第2実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は
図1(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0011】
図1を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステム1は、アイレット10と、金属ベース20と、金属ブロック30と、第1リード41と、第2リード42と、封止部50とを有する。
【0012】
アイレット10は、円板状の部材である。アイレット10には、上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10xが形成されている。
【0013】
なお、本願において、円板状とは、平面形状が略円形で所定の厚さを有するものを指す。直径に対する厚さの大小は問わない。また、部分的に凹部や凸部、貫通孔等が形成されているものも含むものとする。また、本願において、平面視とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
アイレット10の外縁部には、平面視において、外周側から中心側に窪んだ形状の切り欠き部11、12、及び13が形成されている。切り欠き部11、12、及び13は、例えば、平面形状が略三角状や略四角状の窪みである。切り欠き部11と切り欠き部12とは、例えば、対向して配置できる。
【0015】
切り欠き部11及び12は、例えば、半導体パッケージ用ステム1が半導体素子を搭載する際の素子搭載面の位置出し等に用いることができる。切り欠き部13は、例えば、半導体パッケージ用ステム1の回転方向の位置出し等に用いることができる。但し、切り欠き部11、12、及び13は、必要に応じて設ければよい。
【0016】
アイレット10の直径は、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、φ5.6mmやφ9.0mm等である。アイレット10の厚さは、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、0.5~3mm程度である。
【0017】
アイレット10は、例えば、鉄やステンレス等の金属材料から形成できる。アイレット10を、複数の金属層(銅層や鉄層等)が積層された金属材料(例えば、所謂クラッド材)から形成してもよい。アイレット10の表面にめっきを施してもよい。
【0018】
金属ベース20は、平面形状がアイレット10よりも若干小型に形成された、平面形状が略円形の部材である。つまり、平面視で、金属ベース20の外形はアイレット10の外形よりも小さく、金属ベース20にはアイレット10の外形よりもはみ出す部分がない。金属ベース20には、第1リード41及び第2リード42が通る部分を除き、貫通孔は形成されていない。金属ベース20は、アイレット10の下面10bに、貫通孔10xの一端側を塞ぐように接合されている。
【0019】
金属ベース20の厚さは、アイレット10の厚さよりも薄く、例えば、0.1~0.4mm程度である。金属ベース20の熱伝導率は、アイレット10の熱伝導率と同等以上である。例えば、アイレット10の材料が鉄である場合、金属ベース20の材料として、アイレット10よりも熱伝導率の良い銅を用いることができる。この場合、半導体パッケージ用ステム1の放熱性能を向上できる。
【0020】
アイレット10の材料が鉄である場合、金属ベース20の材料として、鉄を用いてもよい。このようにアイレット10と金属ベース20とが同一材料により形成されている場合、アイレット10と金属ベース20の熱膨張係数が同一となる。そのため、アイレット10と金属ベース20の熱による変形を抑制でき、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載した半導体パッケージ(
図6参照)を作製したときに、半導体パッケージの気密性を向上できる。
【0021】
金属ブロック30は、台座部31と、台座部31の上面31aから突出する柱状部32とを備えている。台座部31と柱状部32は、一体に形成されている。柱状部32は、半導体素子(例えば、レーザ等の発光素子)を搭載する素子搭載面30rを含んでいる。素子搭載面30rは、アイレット10の上面10aに対して略垂直になるように設けられている。なお、台座部31の上面31aは平坦面であるとは限らない。
【0022】
台座部31は、アイレット10の貫通孔10xに挿入されて貫通孔10x内で金属ベース20と接合されている。柱状部32は、アイレット10の上面10aから突出する部分を備えている。柱状部32は、大部分がアイレット10の上面10aから突出している。柱状部32は、全ての部分がアイレット10の上面10aから突出してもよいが、柱状部32の台座部31側は、貫通孔10x内に位置することが好ましい。金属ブロック30の下面30bは、アイレット10の下面10bと略面一である。
【0023】
平面視において、台座部31の上面31aの外周部は、柱状部32の周囲に露出している。柱状部32の周囲に露出する台座部31の上面31aの外周部において、素子搭載面30r側の幅は、柱状部32の他の面側の幅よりも狭い。言い換えれば、平面視において、柱状部32の中心は、台座部31の中心に対してA-A線方向に沿って第1リード41及び第2リード42側にオフセットしている。柱状部32の周囲に露出する台座部31の上面31aの外周部において、素子搭載面30r側の幅は例えば0.05mm程度であり、柱状部32の他の面側の幅は例えば0.5mm程度である。このような形状とすることで、アイレット10に第1リード41及び第2リード42を配置する領域を十分に確保できる。
【0024】
平面視において、台座部31は略矩形であるが、台座部31の素子搭載面30r側(第1リード41及び第2リード42側)の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、第1辺に対向する第2辺の両端の角部が第1辺の両端の角部よりも半径の大きな丸みを帯びている。台座部31を上記のような形状とすることで、アイレット10の形状に沿って台座部31を配置することが容易となる。
【0025】
平面視において、柱状部32は略矩形であるが、柱状部32の素子搭載面30r側の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、第1辺に対向する第2辺の両端の角部が第1辺の両端の角部と同程度の丸みを帯びている。柱状部32は、半導体パッケージ用ステム1が半導体素子を搭載した半導体パッケージとして使用されるときに半導体素子を搭載し固定する部分であり、半導体素子から発する熱を放散する放熱板としての機能も有する。柱状部32を上記のような形状とすることで、柱状部32の体積を十分に確保でき、放熱性を向上できる。
【0026】
金属ブロック30の上面30aとアイレット10の上面10aとの距離(柱状部32のアイレット10の上面10aからの突出量)は、例えば、2~3mm程度である。金属ブロック30には、アイレット10よりも熱伝導率の高い材料を用いることができる。アイレット10の材料が鉄であれば、例えば、金属ブロック30の材料は銅である。
【0027】
図2は、
図1(b)のB部の部分拡大断面図である。
図2に示すように、素子搭載面30rの一部は、貫通孔10x内に位置していることが好ましい。金属ブロック30は製造上の理由により、素子搭載面30rの台座部31側はダレ領域となる。ダレ領域は、R状となり平坦にはならない。素子搭載面30rの一部が貫通孔10x内に位置していることで、素子搭載面30rのダレ領域を貫通孔10x内に入り込ませることができる。素子搭載面30rのダレ領域は、すべて貫通孔10x内に位置していることが好ましい。これにより、アイレット10の上面10aから突出する部分の素子搭載面30rの平坦な領域の面積を大きくできる。その結果、より大きな素子が搭載できる。
【0028】
図1の説明に戻り、第1リード41及び第2リード42は、アイレット10及び金属ベース20を厚さ方向に貫通する貫通孔に、長手方向を厚さ方向に向けて挿入されている。アイレット10の貫通孔内において、第1リード41及び第2リード42の周囲は封止部50に封止されている。第1リード41及び第2リード42の一部は、アイレットの上面10a及び金属ベース20の下面20bから突出している。第1リード41及び第2リード42において、金属ベース20の下面20bからの突出量は、例えば、6~7mm程度である。
【0029】
第1リード41及び第2リード42は、例えば、50%鉄-ニッケル合金やコバール等の金属から形成されており、封止部50は、例えば、ガラス材等の絶縁材料から形成されている。第1リード41及び第2リード42は、例えば、半導体パッケージ用ステム1に搭載される半導体素子と電気的に接続される。なお、搭載する半導体素子の仕様に合わせて、リードの数を増やしてもよい。
【0030】
図3及び
図4は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図である。
【0031】
まず、
図3に示すように、台座部31、及び台座部31から突出する柱状部32を備えた金属ブロック30を作製する。金属ブロック30を作製するには、例えば、棒状の材料に対して引き抜き加工を行って所定形状に成型し、切断して個片化する。個片化された各々の材料は、台座部31及び柱状部32となる部分である。その後、個片化された各々の材料に対して金型を用いてフォーミングを行う。具体的には、個片化された各々の材料に対して、柱状部32となる部分を周囲から金型で押圧し、素子搭載面30rとなる部分を平坦化する。これにより、押圧された部分は押圧されていない部分よりも小さくなる。つまり、押圧された部分は柱状部32となり、押圧されていない部分が台座部31となり、
図3の形状ができ上る。平面視において、台座部31の外周部は、柱状部32の周囲に露出する。なお、ここでいう平坦とは、平面度が0.005mmMAX程度の面であることを示す。なお、
図3では、素子搭載面30rの平坦な部分を梨地模様で示している。
【0032】
次に、
図4(a)に示すように、プレス加工等により、上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10xやリード挿入用の貫通孔が形成されたアイレット10を作製する。そして、リード挿入用の貫通孔に第1リード41及び第2リード42を挿入し、貫通孔内において第1リード41及び第2リード42の周囲を封止部50で封止する。
【0033】
次に、
図4(b)に示すように、図示しない金属接合材を金属ベース20の上面20a上に配置し、さらに金属接合材の上に
図4(a)に示す構造体を配置する。そして、金属ブロック30の台座部31をアイレット10の貫通孔10xに挿入し、柱状部32の少なくとも一部がアイレット10の上面10aから突出するように配置する。金属ブロック30の下面30bは、金属接合材と接する。
【0034】
次に、
図4(c)に示すように、金属接合材を融点より高い温度まで加熱して溶融させ、その後凝固させる。この際、アイレット10及び金属ブロック30を金属ベース20側に押圧してもよい。金属接合材は、溶融により略均一に薄くなるため、金属ブロック30の下面30bはアイレット10の下面10bと略面一となる。また、溶融した金属接合材の一部は、毛細管現象により隙間に入り込み、隙間を充填した状態で凝固する。これにより、アイレット10と金属ベース20と金属ブロック30とが接合される。
【0035】
このように、金属ブロック30の下面30bは、金属接合材により金属ベース20の上面20aに接合され、金属ブロック30の側面30cは金属接合材によりアイレット10の貫通孔10xの内壁面10cに接合される。また、アイレット10の下面10bは、金属接合材により金属ベース20の上面20aに接合される。以上により、半導体パッケージ用ステム1が完成する。
【0036】
なお、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載した半導体パッケージの製造工程は、300℃程度に加熱する工程を含む場合がある。そのため、アイレット10と金属ベース20と金属ブロック30とを接合する金属接合材としては、融点が350℃以上の材料を選定することが好ましい。金属接合材としては、例えば、融点が800℃程度である銀ろうを用いることができる。
【0037】
ところで、従来の半導体パッケージ用ステムでは、
図3に示す工程で説明したフォーミングは行われていなかった。その代わりに、
図4(c)の工程の後に、素子搭載面とその反対面を金型で挟んで両側から押圧する平押しが行われており、平押しにより素子搭載面を平坦化していた。しかし、この方法では、素子搭載面のアイレットの上面に接続される部分は、ダレが発生してR状となりやすく、素子搭載面の平坦な領域を十分に確保することが困難である。また、この方法では、平押し時の応力がリード端子を封止する封止部に伝達して封止部にクラックが発生するおそれがある。
【0038】
これに対して、半導体パッケージ用ステム1では、金属ブロック単体の状態でフォーミングを行って素子搭載面を平坦化するため、平押し工程が不要となる。すなわち、台座部31及び台座部31から突出する柱状部32を備えた金属ブロック30を予め作製し、台座部31がアイレット10の貫通孔10xに挿入されて柱状部32がアイレット10の上面10aから突出する部分を備えた構造とする。これにより、素子搭載面30rの平坦な領域を十分に確保することが可能な半導体パッケージ用ステム1を実現できる。また、封止部50にクラックが発生する問題を解消できる。また、
図2に示したように、素子搭載面30rをアイレット10の上面10aよりも下方まで形成した場合には、素子搭載面30rの平坦な領域を一層広く確保できる。
【0039】
図5は、素子搭載面の平坦度を測定した例であり、
図5(a)は比較例となる従来の半導体パッケージ用ステムの平押しが行われていない素子搭載面のデータである。また、
図5(b)は本実施形態に係る半導体パッケージ用ステム1の素子搭載面のデータである。
図5(a)と
図5(b)とを比較するとわかるように、半導体パッケージ用ステム1では従来の半導体パッケージ用ステムと比較して素子搭載面のダレ領域を少なくできる。すなわち、半導体パッケージ用ステム1では、平押しを行わなくても素子搭載面30rに平坦な領域を広く確保できる。また、半導体パッケージ用ステム1では、ダレ領域をアイレット10の上面10aよりも下方に配置できるため、素子搭載面30rに平坦な領域を一層広く確保できる。
【0040】
また、半導体パッケージ用ステム1では、アイレット10の下面10bに貫通孔10xの一端側を塞ぐように、アイレット10の熱伝導率と同等以上の熱伝導率の金属ベース20が接合されている。そして、金属ブロック30の一端側(下面30b側)が貫通孔10xに挿入されて貫通孔10x内で金属ベース20と接合され、他端側(上面30a側)がアイレット10の上面10aから突出している。また、金属ブロック30の下面30bは、アイレット10の下面10bと略面一である。
【0041】
このような構造により、金属ブロック30の素子搭載面30rに半導体素子を搭載した際に放熱部となる金属ベース20に、金属ブロック30の下面30bを近づけることができる。また、金属ブロック30を貫通孔10x内に挿入することにより、金属ブロック30の体積を増やすことができる。その結果、半導体パッケージ用ステム1の放熱性能を向上できる。
【0042】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムに半導体素子の一例である発光素子を搭載した半導体パッケージの例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る半導体パッケージを例示する図であり、
図6(a)は平面図、
図6(b)は
図6(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0044】
図6を参照すると、半導体パッケージ2は、半導体パッケージ用ステム1(
図1等参照)と、発光素子110と、キャップ120と、接着剤130と、透明部材140とを有する。
【0045】
発光素子110は、例えば、波長が405nm、650nm、又は780nmの半導体レーザチップである。発光素子110は、一方の端面が上側(透明部材140側)を向き、他方の端面が下側(アイレット10の上面10a側)を向くように、金属ブロック30の素子搭載面30rに固着されている。半導体パッケージ2において、例えば、平面視において、発光素子110の発光点位置がアイレット10の上面10aの中心と略一致するように、発光素子110が搭載される。発光素子110の電極(図示せず)は、例えば、ボンディングワイヤ等により第1リード41及び第2リード42と接続されている。
【0046】
キャップ120は、例えば、鉄や銅等の金属から形成され、平面視において略中央部に開口部120x(窓)が設けられている。透明部材140は、例えば、ガラス等から形成され、開口部120xを塞ぐように、低融点ガラス等からなる接着剤130によりキャップ120のアイレット10側の面(内側の面)に接着されている。透明部材140が接着剤130により接着されたキャップ120は、例えば溶接等により、アイレット10の上面10aの外縁部近傍に接合されており、発光素子110を気密封止している。
【0047】
発光素子110の一方の端面側から出射された光(例えば、レーザ光)は、開口部120x内の透明部材140を透過して半導体パッケージ2の外部に出射される。なお、発光素子110の他方の端面側から出射された光をフォトダイオード等により受光して、発光素子110の出射光量をモニタするようにしてもよい。フォトダイオードで受光する光量が一定になるように、半導体パッケージ2の外部に配置された回路で制御することにより、環境温度等によらず、半導体パッケージ2の出射光量を一定にできる。
【0048】
このように、半導体パッケージ用ステム1の素子搭載面30rに発光素子110を搭載して半導体パッケージ2を実現できる。半導体パッケージ用ステム1は、従来の半導体パッケージ用ステムと比べて素子搭載面の平坦な領域が広いため、半導体パッケージ2において、発光素子110の搭載が容易である。また、半導体パッケージ用ステム1は、従来の半導体パッケージ用ステムと比べて放熱性能に優れているため、半導体パッケージ2において、発光素子110の発した熱を効率よく外部に放出できる。
【0049】
なお、第2実施形態では半導体パッケージ用ステム1に発光素子110を搭載する例を示したが、これには限定されず、半導体パッケージ用ステム1に発光素子以外の発熱性の半導体素子を搭載してもよい。また、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載した半導体パッケージは、各種センサやインフレータ等に用いても構わない。
【0050】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 半導体パッケージ用ステム
2 半導体パッケージ
10 アイレット
10a、20a、30a 上面
10b、20b、30b 下面
10c 内壁面
10x 貫通孔
11、12、13 切り欠き部
20 金属ベース
30 金属ブロック
30c 側面
30r 素子搭載面
41 第1リード
42 第2リード
50 封止部
110 発光素子
120 キャップ
120x 開口部
130 接着剤
140 透明部材