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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】加熱装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240502BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
G03G15/20 510
H05B3/00 335
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019225439
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021096286
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】久野 悟志
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194785(JP,A)
【文献】特開2019-174849(JP,A)
【文献】特開2011-203405(JP,A)
【文献】特開2015-197542(JP,A)
【文献】特開2013-073198(JP,A)
【文献】特開2012-145709(JP,A)
【文献】特開2013-114052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、
前記回転部材に対向する対向部材と、
前記回転部材の内側に設けられ、前記回転部材を介して、前記対向部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記回転部材を加熱する加熱部材と、
前記回転部材の内側に設けられ、前記ニップ形成部材を支持する支持部材とを備えた加熱装置であって、
前記支持部材は、前記ニップ形成部材に当接する複数の当接面が、前記ニップ形成部材の長手方向に断続的に設けられ、複数の前記当接面は、前記長手方向の幅が不均一であり、
前記長手方向の幅が異なる複数の記録媒体であって、加熱装置が対応する複数の記録媒体の前記長手方向の端部の位置に相当する位置にそれぞれ前記当接面が設けられ、かつ、複数の当該当接面の幅がその他の少なくともいずれかの前記当接面よりも大きく設けられ
前記支持部材は、前記記録媒体搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、前記当接面を複数有する支持列を備え、上流側および下流側の前記支持列が、前記ニップ形成部材に当接する側でそれぞれ独立して設けられることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
複数の前記当接面のうち、前記支持部材の長手方向端部の当接面の幅がその他の前記当接面の幅よりも大きい請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
回転部材と、
前記回転部材に対向する対向部材と、
前記回転部材の内側に設けられ、前記回転部材を介して、前記対向部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記回転部材を加熱する加熱部材と、
前記回転部材の内側に設けられ、前記ニップ形成部材を支持する支持部材とを備えた加熱装置であって、
前記支持部材は、前記ニップ形成部材に当接する複数の当接面が、前記ニップ形成部材の長手方向に断続的に設けられ、前記当接面同士の前記長手方向の間隔が不均一であり、
前記長手方向の幅が異なる複数の記録媒体であって、加熱装置が対応する複数の記録媒体の前記長手方向の端部の位置に相当する位置にそれぞれ前記当接面が設けられ、かつ、複数の当該当接面と隣接する前記当接面との間隔が、その他の少なくともいずれかの前記当接面同士の間隔よりも小さく設けられ
前記支持部材は、前記記録媒体搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、前記当接面を複数有する支持列を備え、上流側および下流側の前記支持列が、前記ニップ形成部材に当接する側でそれぞれ独立して設けられることを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
前記当接面のうち、前記長手方向端部の当接面と当該当接面に隣接する当接面との間隔が、その他の前記当接面同士の間隔よりも小さい請求項3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記当接面が剪断面である請求項1から4いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ニップ形成部材は、前記支持部材の前記当接面に当接する被支持面が金属材によって形成される請求項1から5いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記当接面は、前記ニップ形成部材に直に当接する請求項1から6いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記長手方向において、上流側および下流側の前記支持列は、前記当接面が互い違いに配置される請求項1から7いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記ニップ形成部材の長手方向中央位置を長手方向内側、当該中央位置に対して両端部側を長手方向外側とすると、
前記長手方向において、長手方向端部の前記当接面は、加熱装置が対応する最大幅の記録媒体よりも長手方向外側を含む領域に設けられる請求項1からいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記ニップ形成部材の長手方向中央位置を長手方向内側、中央位置に対して両端部側を長手方向外側とすると、
前記長手方向において、長手方向端部の前記当接面は、前記加熱部材の端部よりも長手方向外側を含む領域に設けられる請求項1からいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記ニップ形成部材の長手方向中央位置を長手方向内側、中央位置に対して両端部側を長手方向外側とすると、
前記長手方向において、長手方向端部の前記当接面は、前記ニップ部の端部よりも長手方向外側を含む領域に設けられる請求項1から10いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記長手方向中央の当接面が、前記長手方向端部の当接面よりもニップ形成部材側に突出して設けられる請求項1から11いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記記録媒体に定着動作を行う定着装置である請求項1から12いずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項14】
請求項1から13いずれか1項に記載の加熱装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱装置として、プリンタなどの画像形成装置に設けられた定着装置が存在する。定着装置は、回転部材としての定着ベルトを備え、定着ベルトの内側に、定着ベルトを加熱する加熱部材や加圧ローラとの間に定着ニップを形成するためのニップ形成部材が設けられる。
【0003】
そして、定着装置には、ニップ形成部材をその背面側から支持する支持部材が設けられる。支持部材がニップ形成部材を支持することで、加圧ローラからの加圧力によるニップ形成部材の撓みを抑制し、定着ベルトと加圧ローラとの間に均一な幅のニップ部を形成することができる(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1(特開2016-28264号公報)の定着装置では、ステーのニップ形成部材に対する支持面である剪断面が、ステーの長手方向に断続的に設けられている。この剪断面は、長手方向端部から中央へ向けて、ニップ形成部材側に突出した凸形状をなしている。これにより、ステーの撓みによるニップの偏差を相殺して均一なニップを得ることができる。
【0005】
ところで、このような定着装置では、サイズの小さい記録媒体に連続して定着動作を行った際に回転部材の長手方向端部側の温度が中央側に比べて大きくなる等、回転部材の温度に長手方向にムラが生じてしまうことがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転部材の温度が長手方向に不均一になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、回転部材と、前記回転部材に対向する対向部材と、前記回転部材の内側に設けられ、前記回転部材を介して、前記対向部材との間にニップ部を形成するニップ形成部材と、前記回転部材を加熱する加熱部材と、前記回転部材の内側に設けられ、前記ニップ形成部材を支持する支持部材とを備えた加熱装置であって、前記支持部材は、前記ニップ形成部材に当接する複数の当接面が、前記ニップ形成部材の長手方向に断続的に設けられ、複数の前記当接面は、前記長手方向の幅が不均一であり、前記長手方向の幅が異なる複数の記録媒体であって、加熱装置が対応する複数の記録媒体の前記長手方向の端部の位置に相当する位置にそれぞれ前記当接面が設けられ、かつ、複数の当該当接面の幅がその他の少なくともいずれかの前記当接面よりも大きく設けられ、前記支持部材は、前記記録媒体搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、前記当接面を複数有する支持列を備え、上流側および下流側の前記支持列が、前記ニップ形成部材に当接する側でそれぞれ独立して設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱装置は、回転部材の長手方向の温度分布を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の概略構成図である。
図2】定着装置の概略構成図である。
図3】ステーの支持部分の側を示す斜視図である。
図4】ステーがニップ形成部材に当接する様子を示した斜視図である。
図5】定着装置に通紙される用紙とステーの当接面の長手方向の位置関係を示す図である。
図6】当接面の幅を変更した変形例である。
図7】当接面同士の間隔を変更した変形例である。
図8】用紙搬送方向のステーの支持位置が異なる変形例である。
図9】支持列同士の支持範囲が異なる場合の変形例である。
図10】突出部の高さを変化させた場合の変形例である。
図11】異なる定着装置の概略構成図である。
図12図11の定着装置に設けられたステーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下、各実施形態の説明において、加熱装置として、トナーを熱により定着させる定着装置として説明する。
【0011】
図1に示すカラー画像形成装置1の中央には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Kが着脱可能に設けられた画像形成部2が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0012】
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラを有する現像装置12等を備えている。
【0013】
プロセスユニット9の下方には、露光部3が配置されている。露光部3は、画像データに基づいて、レーザ光を発するように構成されている。
【0014】
画像形成部2の上方には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ14および従動ローラ15に周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ13等で構成されている。各一次転写ローラ13はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
【0015】
また、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ14に対向した位置には二次転写ローラ17が配設されている。二次転写ローラ17は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ17と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。駆動ローラ14、中間転写ベルト16、そして、二次転写ローラ17は、画像を用紙に転写する画像転写部として機能する。
【0016】
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット18や、給紙カセット18から用紙Pを搬出する給紙ローラ19等からなっている。
【0017】
搬送路7は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路であり、一対のレジストローラ20の他、後述する排紙部8に至るまで、搬送ローラ対が搬送路7の途中に適宜配置されている。
【0018】
定着装置6は、加熱部材によって加熱される定着ベルト31、その定着ベルト31を加圧可能な加圧ローラ32等を有している。
【0019】
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路7の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ21と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ22とが配設されている。
【0020】
画像形成装置1の上部には、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色トナーが充填されたトナーボトル23Y,M,C,Kが着脱可能に設けられている。そして、このトナーボトル23Y,M,C,Kから各現像装置12との間に設けた補給路を介して、各色の現像装置12に各色トナーが補給される。
【0021】
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
【0022】
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Kの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部3によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置12に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラによって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0023】
転写部4では、駆動ローラ14の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印Aの方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ13には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。
【0024】
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ19が回転駆動することによって、給紙カセット18に収容された用紙Pが搬送路7に送り出される。搬送路7に送り出された用紙Pは、レジストローラ20によってタイミングを計られて、二次転写ローラ17と駆動ローラ14との間の二次転写ニップに送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
【0025】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置6へと搬送され、定着ベルト31と加圧ローラ32とによって用紙Pが加熱および加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト31から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ21によって排紙トレイ22へと排出される。
【0026】
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0027】
次に、定着装置6のより詳細な構成について図2を用いて説明する。
図2に示すように、定着装置6は、定着部材あるいは回転部材としての定着ベルト31と、加圧部材あるいは対向部材としての加圧ローラ32と、ニップ形成部材33と、加熱部材としてのヒータ34と、反射部材35と、フランジ36と、支持部材としてのステー40とを有する。ニップ形成部材33と、ヒータ34と、反射部材35と、ステー40とは、定着ベルト31の内周面側に設けられる。また、定着ベルト31、加圧ローラ32、ニップ形成部材33、ヒータ34、反射部材35、そして、ステー40は、定着ベルト31の長手方向(図の紙面に直交する方向で、加圧ローラ32の軸方向、あるいは、定着装置に通紙される用紙の幅方向でもある)に延在する部材である。以下、この方向を単に長手方向とも呼ぶ。
【0028】
定着ベルト31は、ベルトはニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(又はフィルム)で構成される。ベルトの表層はPFA又はPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFA又はPTFE層の間にはシリコーンゴム層などからなる弾性層があってもよい。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着するときにベルト表面の微妙な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の跡が残るという不具合が生じ得る。これを改善するにはシリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
【0029】
加圧ローラ32は、金属ローラとその周りのシリコーンゴム層を有し、離型性を得るために表面には離型層(PFA又はPTFE層)が設けてある。加圧ローラ32は、画像形成装置1に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ32は、スプリングなどにより定着ベルト31側に押し付けられており、ゴム層が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ32は中実のローラでも中空のローラでも良いが、中空のほうが熱容量は少なくて良い。また、加圧ローラ32がハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。シリコーンゴム層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ32内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト31の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
【0030】
ニップ形成部材33は金属材からなる。ニップ形成部材33は、定着ベルト31の長手方向の温度分布を均一化するために、金、銀、銅、グラファイト等の熱伝導率の高い材料で構成されることが好ましい。本実施形態では、樹脂製のパッドを設けず、金属材のみによってニップ形成部材33を構成している。
【0031】
ニップ形成部材33は、定着ベルト31の加圧ローラ32に対向する部分に対して、その内周面側から当接する。ニップ形成部材33は、定着ベルト31を介して、加圧ローラ32との間に定着ニップNを形成する。
【0032】
本実施形態のヒータ34はハロゲンヒータである。ヒータ34は、赤外線光を放射することで、定着ベルト31を輻射熱により内周側から加熱する加熱部材である。またヒータ34は、IHコイル、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。
【0033】
反射部材35は、ステー40とヒータ34との間に設けられ、ステー40の反射部材35側の面を覆うようにして設けられる。反射部材35は、ステー40よりも熱や光の反射率の高い部材によって形成される。反射部材35により、ヒータ34の輻射熱のうち、ステー40の側に輻射された熱が定着ベルト31の側に反射される。これにより、定着ベルト31を効率良く加熱することができる。ただし、反射部材35を備える代わりに、ステー40の表面に断熱処理若しくは鏡面処理を行ってもよい。
【0034】
フランジ36は、定着ベルト31の長手方向両端側に設けられ、定着ベルト31をその内周面側から支持する。フランジ36は、定着ベルト31の周方向において、定着ベルト31がニップ形成部材33に対向する位置、および、その近傍を除いた位置で、定着ベルト31の内周面に当接する。フランジ36が定着ベルト31をその内周面側から支持することにより、定着ベルト31がその筒形状を維持することができる。
【0035】
ステー40は、用紙搬送方向の上流側と下流側(図の上側と下側)に設けられた一対の部材である。ステー40は金属材によって形成される。
【0036】
ステー40はニップ形成部材33をその背面側から支持する。より具体的には、ステー40は、ニップ形成部材33に対して、加圧ローラ32の加圧方向とは反対側(図の左側)から、その長手方向にわたってニップ形成部材33に突き当てられることで、加圧ローラ32の加圧によってニップ形成部材33が撓むことをその長手方向にわたって抑制し、定着ベルト31と加圧ローラ32との間により平坦な定着ニップNを形成する。特に本実施形態のステー40は、加圧ローラ32の加圧方向(図の左右方向)に延在する起立部40aがニップ形成部材33に当接することで、ニップ形成部材33の撓みを効果的に抑制することができる。本実施形態では、ニップ形成部材33は金属材によって形成されており、ステー40が当接する被支持面33aも金属材によって形成された面である。
【0037】
ニップ形成部材33は、金属の板材を剪断加工等することで形成される。起立部40aのニップ形成部材33に当接する当接面40b1は、剪断面によって形成される。剪断面の端縁側に面取りや面押し加工を施すことで、バリやエッジを取り除き、ステー40の成形精度を高めると共に、ニップ形成部材33等の相手部材の損耗や異常画像の形成を防止できる。また、ステー40の当接面40b1を用紙搬送方向の上流側から下流側にわたって設けた面ではなく、その上流側と下流側の2箇所で部分的に当接する面とすることで、ステー40のニップ形成部材33に対する接触面積を減らし、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を減らすことができる。
【0038】
また、定着ベルト31の長手方向両端側には、定着ベルト31およびステー40の長手方向両端側を支持する側板が設けられる。ステー40の側板に支持される被支持面(図3の被支持面40c参照)も、前述したような剪断面によって形成することが好ましい。これにより、ステー40の当接面40b1の側の面と被支持面を一度のプレス加工で形成できる(図3参照)。
【0039】
ニップ形成部材33は、定着ベルト31に当接する面に摺動性能にすぐれた摺動材がコーティングされている。これにより、定着ベルト31とニップ形成部材33との間に、摺動シートなどの摺動部材を設けることなく、定着ベルト31のとの摺動性を確保することができる。従って、金属製のニップ形成部材33を、摺動シートなどを介在せずに、直に定着ベルト31に当接させることができ、ニップ形成部材33の均熱効果を高めることができる。また、上記の摺動シートや摺動シートをニップ形成部材33に保持させるためのネジ部材等が不要になり、定着装置6を低コスト化することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の定着装置6では、ニップ形成部材33を金属材のみで構成して樹脂製のパッド部材を省略したり、摺動シートや摺動シートを保持させるためのネジなどの保持部材を設けない構成としている。従って、これらの部材の分だけ定着ベルト31の内側のスペースに余裕ができ、ヒータ34をより定着ベルト31の中央側に寄せることができる。つまり、ヒータ34によって加熱する定着ベルト31の領域をより広範囲で設けることができ、定着ベルト31の加熱効率を向上させてウォームアップ時間やTEC値を向上させることができる。
【0041】
以下、図2を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ヒータ34に電力が供給されると共に、加圧ローラ32が図2中の時計回り(矢印B1参照)に回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト31は、加圧ローラ32との摩擦力によって、図2中の反時計回り(矢印B2参照)に従動回転する。
【0042】
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像が担持された用紙Pが、ガイド板に案内されながら図2の矢印C1方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト31および加圧ローラ32の定着ニップNに送入される。そして、ヒータ34によって加熱された定着ベルト31による熱と、定着ベルト31と加圧ローラ32との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像が定着される。
【0043】
このような定着装置6では、ヒータ34によって加熱された定着ベルト31熱量の一部が、ニップ形成部材33を介してステー40に流出する。つまり、ニップ形成部材33とステー40との接触部分から、ニップ形成部材33の熱量がステー40へ伝達される。このような熱の流出により、定着ベルト31の加熱効率の低下や定着ベルト31を所定温度まで加熱するための電力消費の増加を招いてしまう。特に本実施形態では、ニップ形成部材33の金属部分にステー40が当接しているため、ステー40の側に熱が伝達しやすい。なお、本実施形態ではニップ形成部材33全体が金属材によって形成されているが、必ずしもこれに限るものではない。
【0044】
上記の熱量の損失を抑制するための本実施形態の構成について説明する。具体的には、ステー40のニップ形成部材33に当接する当接面の構成について説明する。なお、以下の説明では、ニップ形成部材33の長手方向中央位置の側を長手方向内側、この中央位置に対して、ニップ形成部材33の両端部側を長手方向外側と呼ぶ。
【0045】
図3に示すように、ステー40は、起立部40aの先端部に、ニップ形成部材33の側に突出した突出部40b(支持部40b)を有する。突出部40bは、長手方向に複数設けられており、各突出部40bの先端面がニップ形成部材33に当接する当接面40b1である。言い換えると、ステー40は、長手方向に断続的に当接面40b1を有する。なお、それぞれの突出部40bの高さは同じである。これらの突出部40bのうち、ステー40の長手方向両端に設けられる突出部40bは、その他の突出部40bよりも長手方向の幅が大きく設けられており、当接面40b1の幅が大きい。その他の突出部40bは、同じ幅で等間隔に設けられる。
【0046】
図4に示すように、ステー40は、長手方向に断続的に設けられた突出部40bがニップ形成部材33を支持する。つまり、長手方向に断続的に設けられた当接面40b1がニップ形成部材33に直に当接する。図5に示すように、長手方向両端部の当接面40b1は、定着装置6が対応する最大幅の用紙P1(本実施形態ではA4横サイズの用紙P1)の幅方向両端部に対応する位置に設けられる。本実施形態では特に、用紙P1の幅方向両端の位置とその幅方向両側(長手方向内側と外側)にわたって、幅の大きい当接面40b1が設けられる。
【0047】
このように、ステー40のニップ形成部材33に対する当接面40b1を長手方向に断続的に設けることで、ステー40のニップ形成部材33に対する接触面積を小さくし、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を減らすことができる。これにより、本実施形態のようにステー40がニップ形成部材33の金属面に当接するような構成であっても、ステー40への熱の流出を抑制することができる。従って、定着装置6が、定着ベルト31を効率的に加熱し、定着装置6の高速化および省エネルギー化を実現できる。ただし、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量をさらに減らしたい場合や加圧ローラからステー40に加えられる荷重を減らしたい場合には、シート状部材をニップ形成部材33とステー40との間に設けてもよい。
【0048】
また、このように突出部40bや当接面40b1を長手方向に断続的に設けることで、それぞれの突出部40bや当接面40b1の形状を個別に微調整することができる。従って、ステー40のニップ形成部材33に対する支持精度を向上させることができる。
【0049】
さらに、当接面40b1の長手方向の幅や当接面40b1同士の長手方向の間隔を不均一にすることで、長手方向の各位置における、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を調整することができる。これにより、定着ベルト31の温度を長手方向に均一化したり、定着ベルト31が部分的に高温になることを防止できる。
【0050】
本実施形態では特に、長手方向両端部の当接面40b1の幅を中央側に比べて相対的に大きくしている。これにより、長手方向端部側でニップ形成部材33とステー40との接触面積を大きくし、伝熱量を中央側に比べて相対的に大きくしている。本実施形態の定着装置6は、サイズの異なる複数種の用紙に対応しており、用紙P1よりも小さいサイズの用紙が連続通紙された場合には、長手方向端部側の非通紙領域で用紙に熱が奪われず、定着ベルト31の温度が過昇温するおそれがある。しかし、上記のように長手方向端部側でのニップ形成部材33からステー40への伝熱量を中央側よりも増やすことで、端部側の過昇温を防止することができる。特に本実施形態では、長手方向において、当接面40b1を通紙領域(用紙P1の領域と同じ領域)のさらに外側にも設けることで、効果的に端部温度上昇を抑制することができる。
【0051】
以上のように本実施形態では、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を抑制して定着ベルト31の加熱を効率化すると共に、定着ベルト31の長手方向端部側での温度上昇を抑制することができる。このように、定着ベルト31の長手方向において、部分的に温度上昇がしやすい部分がある場合等、定着ベルト31の長手方向の温度分布に応じて、ニップ形成部材33とステー40との接触面積を長手方向に変化させることで、定着ベルト31の温度を長手方向に均一化したり、部分的に高温になることを防止できる。
【0052】
また上記実施形態のように、通紙領域のさらに外側に当接面40b1を設けるだけでなく、ヒータ34の長手方向外側、つまり、加熱領域のさらに外側に当接面40b1を設けることがより好ましい。これにより、長手方向端部側での定着ベルト31の温度上昇を効果的に抑制することができる。さらに、長手方向において、加圧ローラ32の、定着ベルト31あるいはニップ形成部材33に対する加圧範囲のさらに外側に当接面40b1を設けることがより好ましい。これにより、ステー40が加圧ローラ32の加圧力に対してニップ形成部材33を適切に支持することができ、ニップ形成部材33の長手方向端部側における変形や破損を防止することができる。
【0053】
また上記実施形態と異なり、複数のサイズの用紙の幅方向端部に対応する位置で、当接面40b1を大きくすることができる。例えば、図6に示すように、定着装置6が対応する最大幅のサイズ(A4横サイズ)の用紙P1に加えて、より小さいサイズ(A6縦サイズ)の用紙P2の幅方向端部に対応する位置の当接面40b1の幅が、その他の当接面40b1の幅よりも大きく設けられる。例えば、ヒータ34として、長手方向にその加熱範囲が異なる複数のハロゲンヒータを備える場合、それぞれの加熱範囲の端部側に対応する位置で、当接面40b1の幅を大きくする。これにより、例えば用紙P2よりも幅の小さい用紙が連続通紙された場合に、用紙P2の幅方向端部に対応する位置での過昇温を防止できる。その他、ヒータ34の加熱量の分布や定着ベルト31の温度分布などに応じて、適宜、当接面40b1の幅を変更することができる。
【0054】
また、以上の実施形態では当接面40b1の幅を不均一にする場合を例示したが、当接面40b1同士の間隔を不均一にすることもできる。例えば図7に示すように、ニップ形成部材33の長手方向端部側、特に、定着装置6が対応する最大幅の用紙P1の幅方向両端部に対応する位置あるいはその近傍で、幅方向中央側よりも当接面40b1同士の間隔を小さくする。これにより、端部側でのステー40への伝熱量を大きくして過昇温を防止することができる。また、ステー40の当接面40b1を断続的に設けることで、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を小さくすることができる。このように、ヒータ34の加熱量の分布や定着ベルト31の温度分布などに応じて、適宜、当接面40b1同士の間隔を変更することができる。これにより、定着ベルト31の温度を長手方向に均一化したり、部分的に高温になることを防止できる。
【0055】
ただし、当接面40b1の幅を不均一にする構成と当接面40b1同士の間隔を不均一にする構成を組み合わせてもよい。
【0056】
また、ステー40を用紙搬送方向に設けられた一対の部材とし、ニップ形成部材33に対する支持列を2列で設けることで、用紙搬送方向の2箇所でニップ形成部材33を支持することができる。特に本実施形態では、定着ニップNの用紙搬送方向(図2の上下方向)の中央位置を挟んでその両側に支持列を配置する。これにより、ステー40がニップ形成部材33を安定して支持することができ、ニップ形成部材33が用紙搬送方向に対して傾くことを防止し、定着ベルト31と加圧ローラ32との間に、搬送方向にわたって適切に定着ニップNを形成することができる。ただし、単一の支持列とすることもできる。なお、上記の支持列とは、ステー40のニップ形成部材33に対する支持部分が長手方向に複数設けられて列をなしたものであり、当接面40b1(あるいは突出部40b)の長手方向の列のことである。
【0057】
また本実施形態では、図2に示すように、用紙搬送方向において、両方の支持列が定着ニップN(ニップ部N)の範囲内に設けられる。これにより、ステー40が、定着ニップNの位置で効果的にニップ形成部材33を支持することができる。さらに、図8に示すように、用紙搬送方向において、両方の支持列を定着ニップNの範囲外に設けてもよい。この場合、当接面40b1に対して加圧ローラ32からの荷重がかかった際にも、ニップ形成部材33の形状に影響が出にくいという利点がある。
【0058】
また以上の実施形態では、両方の支持列における長手方向の支持範囲(当接面40b1が設けられる範囲)が同じ場合を示したが、異なっていてもよい。例えば図9に示すように、長手方向において、両方の支持列に設けられた突出部40b(当接面40b1)が互い違いで、かつ、一部領域が重なって配置されている。
【0059】
複数の支持列が異なる支持範囲を有することで、長手方向に対して当接面40b1が配置されていない領域を減らすことができる。特に本実施形態では2つの支持列の当接面40b1を互い違いに配置することで、当接面40b1が配置されていない領域を効果的に減らし、あるいはなくすことができる。これにより、ニップ形成部材33をより均熱化したり、ニップ形成部材33の長手方向のより広い領域で加圧ローラ32の荷重を支持してその変形を抑制することができる。
【0060】
さらに、以上の実施形態では、各突出部40bの高さが同じ場合を示したが、その高さが異なっていてもよい。例えば図10に示すように、本実施形態では、ステー40の長手方向中央の突出部40bが、長手方向端部の突出部40bよりもその高さが高くなっている。言い換えると、長手方向中央の当接面40b1が最もニップ形成部材33の側(図の上側)へ突出して設けられている。特に本実施形態では、長手方向端部側から中央側へ向けて、当接面40b1がニップ形成部材33の側へ突出して設けられている。
【0061】
ステー40は、その長手方向両端部で側板によって支持される両持ち梁の構成のため、長手方向中央側で撓みやすい。このような撓みにより、ニップ幅(定着ニップNの短手方向の幅)が長手方向に不均一になると、定着ニップNを通過する用紙上のトナーに与える熱量に過不足が生じ、定着不良の原因となってしまう。
【0062】
しかし、本実施形態のように長手方向中央の突出部40bを端部側よりもニップ形成部材33側に突出させることで、中央側でステー40がニップ形成部材33を適切に支持することができる。従って、均一なニップ幅の定着ニップNを形成することができる。図10では当接面40b1が曲面状でその高さが不均一な場合を示したが、図の左右方向に水平な平坦面であってもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0064】
本発明を適用する定着装置は、前述の実施形態の定着装置に限らない。例えば、図11に示す定着装置6に本発明を適用できる。この定着装置6は、図11に示すように、定着ベルト31と、加圧ローラ32と、ニップ形成部材33と、ヒータ34と、フランジ36と、ステー40と、側板37等を備える。
【0065】
本実施形態においても、ニップ形成部材33は金属材によって形成され、ステー40は金属製のニップ形成部材33に直に当接している。また、ステー40は、側板37に穿設された穴部37aに被支持面40dを嵌合されることにより、側板37によって支持されている。
【0066】
本実施形態では、ステー40は、ステー上401、ステー下402、ステー右403から構成されている。ステー上401およびステー下402は板金材によって形成される。図12に示すように、ステー上401、ステー下402の図12における下端面は、長手方向にわたってその高さが均一な直線状の剪断面で形成されている。ステー上401、ステー下402は、その上端面側に長手方向に断続的に設けられた突出部40bを有する。この突出部が、ステー右403を図12の上下方向に貫通しており、突出部40bの上端面によって一方の剪断面である当接面40b1が形成される。当接面40b1は、長手方向の両端部から中央部に向かうに従い徐々にその突出量が高くなっていく。言い換えると、当接面40b1は、前述の実施形態の図10で示したように、両端部から中央部へ向けた凸形状を形成する。
【0067】
ステー下402の図12における上端面は、ステー下402が途中で曲折されることにより(図11参照)、ステー上401の上端面に対して所定距離だけ離間している。つまり、ステー上401およびステー下402によってそれぞれ形成される当接面40b1の長手方向の列(支持列)が、用紙搬送方向(図11の上下方向)に所定距離だけ離間して設けられる。
【0068】
ステー上401とステー下402とは、溶接、接着、カシメやねじ止め等により固定されている。また、ステー上401、ステー下402は、ステー右403とも、溶接、接着、カシメやねじ止め等により固定されている。ステー上401、ステー下402の下端面は他方の剪断面である被支持面40dを構成している。
【0069】
板金製のステー40に形成された剪断面である当接面40b1は、その寸法精度が出しやすい。従って、当接面40b1によりニップ形成部材33を支持することで、ニップ形成部材33を高精度に位置決めすることができる。これにより、部品の信頼性が向上して検査コストを低減可能な定着装置を提供できる。また当接面40b1が、上記のように、長手方向の両端部から中央部に向かうに従って、ステー右403からの突出量が大きくなっていくことにより、ステー40の撓みによるニップの偏差を相殺して均一なニップ幅の定着ニップNを得ることができる。
【0070】
以上の定着装置6においても、ステー40のニップ形成部材33に対する当接面40b1の長手方向の幅あるいは当接面40b1同士の長手方向の間隔を不均一にすることで、長手方向の各位置における、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を調整することができる。これにより、定着ベルト31の温度を長手方向に均一化したり、定着ベルト31が局所的に高温になることを防止できる。
【0071】
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0072】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0073】
また、本発明は、上記の実施形態で説明したような定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクを乾燥させる乾燥装置、さらには、被覆部材としてのフィルムを用紙等のシートの表面に熱圧着するラミネータや、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの熱圧着装置のような加熱装置にも適用可能である。このようなインクジェット式の画像形成装置や熱圧着装置にも本発明を適用することで、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を減らし、加熱装置を効率化することができる。また、ニップ形成部材33からステー40への伝熱量を長手方向に調整し、回転部材の温度を長手方向に均一化することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
6 定着装置(加熱装置)
31 定着ベルト(定着部材あるいは回転部材)
32 加圧ローラ(加圧部材あるいは対向部材)
33 ニップ形成部材
33a 被支持面
34 ヒータ(加熱部材)
40 ステー(支持部材)
40a 起立部
40b 突出部(支持部)
40b1 当接面
N 定着ニップ(ニップ部)
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【文献】特開2016-28264号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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