(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】カトラリー類操作装置
(51)【国際特許分類】
A47G 21/10 20060101AFI20240502BHJP
A61F 4/00 20060101ALI20240502BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20240502BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20240502BHJP
【FI】
A47G21/10 Z
A61F4/00
A47G21/02 Z
A47G21/04 Z
(21)【出願番号】P 2020035886
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 雄一郎
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-058184(JP,A)
【文献】実開昭59-183380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/10
A47G 21/02
A47G 21/04
A61F 4/00
A61G 12/00
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が持ち上げて操作することができるカトラリー類操作装置であって、
食品を食するときに手指で把持して使用する柄を有するカトラリー類の柄側を着脱自在に保持する保持部と、
前記保持部を
保持部駆動手段を介して支持する第1支持部と、
前記第1支持部を第1駆動手段を介して回動自在に支持する第2支持部と、
前記第2支持部を第2駆動手段を介して昇降移動させる昇降機構と、
前記第1駆動手段の回動制御及び前記第2駆動手段の昇降移動制御を行う制御機構と、
前記昇降機構を載置台に載置する側に設けら
れ、前記載置台から持ち上げ載置自在である台座と、を備え、
前記第1支持部は、前記保持部を支持する取付支持部と、前記取付支持部に接続する支持軸部とを備え、前記取付支持部が前記保持部を支持し、前記支持軸部が軸線回りに前記第2支持部に回動自在に支持されていることを特徴とするカトラリー類操作装置。
【請求項2】
前記第1支持部は、
前記取付支持部に支持される前記保持部駆動手段
の回転軸を介して
回転自在に前記保持部を支持し、
前記制御機構は、前記保持部駆動手段の
回転制御を、前記第1駆動手段の回動制御、及び、前記第2駆動手段の昇降移動制御と併せて行うことを特徴とする請求項1に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項3】
前記台座は、衝撃を吸収する衝撃吸収部を備えている請求項1
又は請求項2に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記カトラリー類が一組で使用する場合の一方の柄側を前記保持部駆動手段を介して保持する第1保持部と、前記第1保持部に隣り合って、前記一組で使用する場合の他方の柄側を保持する第2保持部とを有し、
前記第1保持部で保持する
一方のカトラリー類の先端側を、前記保持部駆動手段により所定角度で回転させたときに、前記第2保持部で保持する
他方のカトラリー類の先端側
に当接
し、前記保持部駆動手段により所定角度で回転させたときに、前記第2保持部で保持する他方のカトラリー類の先端側から離間
するように、
前記第1保持部及び前記第2保持部が、前記第1支持部に配置されている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項5】
前記昇降機構は、前記第2支持部を支持し昇降方向に沿って配置される
昇降用の回転軸と、前記
昇降用の回転軸に沿って設置され昇降移動する前記第2支持部をガイドするガイドレールと、前記第2支持部を前記
昇降用の回転軸及びガイドレールに沿って昇降移動させるように前記
昇降用の回転軸に係合して回動させる前記第2駆動手段と、前記
昇降用の回転軸及び前記ガイドレールの一端側及び他端側に設置され前記
昇降用の回転軸を回動自在に保持すると共に前記ガイドレールを取り付ける取付部と、を備え、前記他端側に設置された取付部が前記台座に取り付けられている請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項6】
前記制御機構は、前記第1駆動手段による
回動駆動開始位置及び
回動駆動終了位置と、前記第2駆動手段による昇降移動開始位置及び昇降移動終了位置と、前記保持部駆動手段による回転駆動開始位置及び回転駆動終了位置と、を位置情報として予め設定される基準位置に対して設定する設定部と、前記設定部で設定した前記位置情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶させた前記位置情報を読み出す読出部を介して、前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記保持部駆動手段を駆動させる動作部と、前記設定部で設定される前記位置情報を表示する表示部と、を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項7】
前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記保持部駆動手段を駆動させる前記動作部の駆動スイッチを前記昇降機構又は第2支持部に取り付けた把手に設けている
請求項6に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項8】
前記制御機構は、前記設定部が、前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記保持部駆動手段の駆動速度をそれぞれ設定する速度設定部と、前記速度設定部で設定した駆動速度の最大スピードに達するまでの加速度を前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記保持部駆動手段のそれぞれで設定する加速度設定部と、前記保持部駆動手段が動作してから前記第1駆動手段が動作するまでの遅延時間と、前記第1駆動手段が動作してから前記第2駆動手段が動作するまでの遅延時間を設定する遅延時間設定部と、を更に備える
請求項6に記載のカトラリー類操作装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記保持部駆動手段の設定が終了したときに、前記保持部、前記第1支持部及び前記第2支持部の位置を、前記基準位置で設定された位置に戻す巻戻部を備える
請求項6に記載のカトラリー類操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を箸、スプーン、フォーク等のカトラリー類で掴んで操作する映像を撮影するときに使用されるカトラリー類操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食事のシーンを撮影する場合に、食事で使用される食品を、より美味しそうに見せるための映像(以下、シズル映像)を作成することがある。シズル映像を撮影するには、皿等の食器に盛り付けされている食品を箸等のカトラリー類を介して、一定のスピードで持ち上げ、所定の高さで止めてその状態を維持する等の動作を必要とする。このようなシズル映像を撮影する際には、作業者が手指で、例えば箸を持ち、作業することがほとんどである。
【0003】
なお、箸をスムーズに操作するための器具として、例えば、手障害者用箸保持装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この手障害者用箸保持装置は、スタンド上に筒体が設けられ、その筒体の上に箸の一方を差し込むことができる第1リングを有し、さらに、リングに案内部を介して他方の箸を差し込むことができる第2リングを案内部を起点として開閉できるように形成している。そして、第1リングは、筒体の上に取り付け位置を起点として回動自在に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した特許文献1に記載された手障害者用箸保持装置では、確かに食べ物を安定して掴むことができるが、映像を撮影するために作成されたものではない。そのため、上下動作を行う場合や、所定空間位置において食べ物を掴んだ箸を安定して保持する等、シズル映像を撮影するために応用することが困難であった。
【0006】
本発明は、機械的な動作により食べ物を箸等のカトラリー類を用いて安定して操作することができるカトラリー類操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカトラリー類操作装置は、作業者が持ち上げて操作することができるカトラリー類操作装置であって、食品を食するときに手指で把持して使用する柄を有するカトラリー類の柄側を着脱自在に保持する保持部と、前記保持部を保持部駆動手段を介して支持する第1支持部と、前記第1支持部を第1駆動手段を介して回動自在に支持する第2支持部と、前記第2支持部を第2駆動手段を介して昇降移動させる昇降機構と、前記第1駆動手段の回動制御及び前記第2駆動手段の昇降移動制御を行う制御機構と、前記昇降機構を載置台に載置する側に設けられ、前記載置台から持ち上げ載置自在である台座と、を備え、前記第1支持部は、前記保持部を支持する取付支持部と、前記取付支持部に接続する支持軸部とを備え、前記取付支持部が前記保持部を支持し、前記支持軸部が軸線回りに前記第2支持部に回動自在に支持されていることとした。
【0008】
このような構成を備えるカトラリー類操作装置は、保持部に保持される例えば箸や、スプーンや、フォークなどのカトラリー類が食品を保持部駆動手段の駆動により掴み、第2駆動手段の駆動により上昇させて所定位置で停止させることがスムーズな動作ででき、停止した時などに震えるようなことがない。
また、カトラリー類操作装置は、制御機構が設定部、記憶部、動作部、表示部を備えることにより、カトラリー類の操作を予め設定されてる範囲において自在に設定し、カトラリー類で食品を持ち上げて所定位置に震えることなく移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、箸、スプーン、フォーク等を含むカトラリー類で食品を持ち上げて所定高さに安定して保持することがカトラリー類操作装置により行うことができる。そのため、本発明では、安定したシズル映像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカトラリー類操作装置を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図1のカトラリー類操作装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1のカトラリー類操作装置で使用されるカトラリー類の一例を示す説明図であり、(a)は箸を示す斜視図、(b)はスプーンを示す斜視図、(c)はフォークを示す斜視図である。
【
図4】カトラリー類操作装置の表示パネルの表示状態を示す説明図であり、(a)は、stick(保持部駆動手段:STICK駆動手段)の回転駆動開始位置を設定する状態を示す説明図、(b)は、stick(保持部駆動手段:STICK駆動手段)の回転駆動終了位置を設定する状態を示す説明図、(c)は、wrist(第1駆動手段:WRIST駆動手段)の
回動駆動開始位置を設定する状態を示す説明図、(d)は、巻き戻し動作中の表示状態を示す説明図、(e)は遅延時間(動作するまでのパルス数)を設定する状態を示す説明図、(f)は、速度及び加速度を調整する状態を示す説明図、(g)動作を行う準備完了の状態を示す説明図、(h)は、動作が終了した状態の説明図である。
【
図5】
図1のカトラリー類操作装置の保持部、第1支持部(STICK支持部:取付支持部及び支持軸部)を部分的に示す斜視図であり、(a)はカトラリー類を保持する前の第1支持部(STICK支持部)の取付支持部の状態を示す斜視図、(b)は、カトラリー類を保持部に保持させて作動する状態を示す斜視図である。
【
図6】
図1のカトラリー類操作装置の第2支持部(WRIST支持部)及び保持部駆動手段を部分的に示す斜視図であり、(a)は、第1駆動手段(WRIST駆動手段)が作動する前の第1支持部(STICK支持)の状態を示す斜視図、(b)は、第1駆動手段(WRIST駆動手段)が作動して第1支持部(STICK支持)を作動させた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図1のカトラリー類操作装置の昇降機構を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図1のカトラリー類操作装置の設置台を部分的に示す分解斜視図である。
【
図9】第1実施形態で設定される速度、加速度、遅延時間の関係を模式的に示すグラフである。
【
図10】第1実施形態に係るカトラリー類操作装置の設定手順を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態に係るカトラリー類装置の設定手順で動作させる状態を示すフローチャートである。
【
図12】第1実施形態のカトラリー類操作装置の動作状態を示す説明図であり、(a)は作業者が手指で把持してカトラリー類操作装置を持ち上げた状態を示す説明図、(b)は、箸先が麺に差し込まれた状態を示す説明図、(c)は垂直方向に並んだ箸先で麺を掴んだ状態を示す説明図、
【
図13】第1実施形態のカトラリー類操作装置の動作状態を示す説明図であり、(a)は、箸先で掴んだ麺を水平方向に
回動させた状態を示す説明図、(b)は、水平方向に並んで麺を掴んでいる箸を上昇させる状態を示す説明図、(c)設定した高さで麺を掴んだ箸を停止させて状態を示す説明図である。
【
図14】第2実施形態のカトラリー類操作装置の一部を省略して模式的に示す斜視図である。
【
図15】第3実施形態のカトラリー類操作装置の一部を省略して模式的に示す斜視図である。
【
図16】第4実施形態のカトラリー類操作装置の制御機構側を省略して模式的に示す側面図である。
【
図17】第5実施形態のカトラリー類操作装置の一例における第1支持部を模式的に示す斜視図である。
【
図18】第5実施形態のカトラリー類操作装置の他の一例における第1支持部を模式的に示す斜視図である。
【
図19】各実施形態において把持部の他の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して第1実施形態に係るカトラリー類操作装置の構成を説明し、その後設定手順について説明する。なお、第1実施形態として、ここでは、カトラリー類を設定して動作させる構成を第1実施形態として説明し、予め設定されている動作を行う構成については、第2実施形態以降で説明する。また、構成を説明するに当たって表示される前後左右上下の方向は相対的に示すもので絶対的な方向ではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、カトラリー類操作装置100は、保持部5と、保持部5を
回転自在に保持部駆動手段(STICK駆動手段)10Aを介して支持する第1支持部10Sの取付支持部(STICK支持部)10と、取付支持部(STICK支持部)10を回動自在に第1駆動手段(WRIST駆動手段)30Aを介して支持する第1支持部(STICK支持部)10Sの支持軸部(WRIST支持部)30と、支持軸部(WRIST支持部)30を支持する第2支持部(ARM支持部)20と、第2支持部(ARM支持部)20を第2駆動手段(ARM駆動手段)20Aを介して昇降自在に支持する昇降機構40と、保持部駆動手段(STICK駆動手段)10Aの回転駆動制御、第1駆動手段(WRIST駆動手段)30Aの
回動駆動制御及び第2駆動手段(ARM駆動手段)20Aの昇降移動制御を行う制御機構60と、昇降機構40をテーブル等の設置する側となる下方に設けた台座90と、を備えている。
【0013】
第1支持部10Sは、STICK支持部10と、このSTICK支持部10を支持するWRIST支持部30とを備えている。
STICK支持部10は、保持部5と、STICK駆動手段10Aとを備え、WRIST支持部30に支持されている。このSTICK支持部10は、例えば、保持部5及びSTICK駆動手段10Aを設置できるような金属或いは樹脂のフレームにより形成されている。STICK支持部10は、保持部5を設置する設置板11と、この設置板11に連続して形成されWRIST支持部30で支持できる取付板12とを有している。
【0014】
設置板11は、一例として、長手方向に一定間隔で貫通穴11aが形成され、保持部5を所望の位置に配置できるように形成されている。取付板12は、WRIST支持部30の先端が固定できるように設置板11の端部から直交する方向に連続して形成されている。なお、取付板12は、板を貫通する取付穴12aを所定間隔で形成して、WRIST支持部30の一端をネジにより固定する場合、STICK支持部10とWRIST支持部30との取付位置を調整することができる。STICK支持部10は、保持部5を設置すると共にWRIST支持部30で支持することができる大きさ及び形状であれば、特に、その形状、大きさ、材質を限定されるものではない。
【0015】
保持部5は、カトラリー類の柄を着脱自在に保持するものである。この保持部5は、例えば、
図3に示すように、箸C1、スプーンC2、フォークC3などの手指で把持する柄C12、C22、C33側を着脱自在に保持することができるように形成されている。なお、
図3に示すように、ここでは、保持部5は、一例として、箸C1の一方の把持部(持ち代)である柄C12側を保持する第1保持部5Aと、箸C1の他方の把持部(持ち代)である柄C12側を保持する第2保持部5Bとを備える構成として説明する。
【0016】
第1保持部5Aは、STICK支持部10の設置板11にSTICK駆動手段10Aを介して所定角度に回転駆動できるように設けられている。第1保持部は、例えば、断面がコ字形状の金属或いは樹脂の部材を、STICK駆動手段10Aである駆動モータの回転軸を介して設置板11に支持されている。第1保持部5Aは、箸C1の柄C12側を着脱自在に固定する手段を備えている。一例として、第1保持部5Aの対向する側面に固定ネジ6が設置されている。この固定ネジ6を締め付ける方向に回し、固定ネジ6の先端が柄C12に当接して箸C1を固定することができる。
【0017】
なお、カトラリー類を固定する手段は、固定ネジ6に限定されるものではなく、例えば、断面がコ字形状の部材の断面の大きさを徐々に小さくなるようにして、柄C12側を第1保持部5Aに強制的に押し込むことで箸C1を保持するようにする等、特に限定されるものではない。そして、第1保持部5Aは、STICK駆動手段10Aの駆動により所定角度に回転駆動する。第1保持部5Aは、保持している箸C1の箸先C11を第2保持部5Bで保持して固定されている箸C1の箸先C11側に当接或いは近接できるように動作する。STICK駆動手段10Aは、回転軸を予め設定した角度に回転駆動させることができる、ステッピングモータ、或いは、サーボモータ、或いは、その他のアクチュエータである。なお、STICK駆動手段10Aの回転角度の制御は、後記する制御機構60により行われる。
【0018】
また、第2保持部5Bは、STICK支持部10の設置板11に第1保持部5Aから所定距離を離した位置に設けられている。第2保持部5Bは、設置板11にネジ等の固定手段により支持されている。なお、第2保持部5Bは、他方の箸C1の柄C12側を予め設定された位置に例えば固定ネジ6により固定した状態で保持されている。第2保持部5Bは、STICK駆動手段10Aにより第1保持部5Aが所定角度で駆動されたときに、互いの箸先C11、C11が当接或いは近接して、予め設定される食べ物を掴むことができる位置に設定されている。第2保持部5Bは、設置板11の貫通穴11aにネジにより着脱自在に固定されている。そのため、第2保持部5Bは、箸C1で挟んで掴む対象の食品が変わっても位置を設置板11の貫通穴11aで調整することができる。
【0019】
図6(a)、(b)及び
図7に示すように、WRIST支持部30は、その一端をSTICK支持部10に接合し、その他端をARM支持部20に支持されている。さらに、WRIST支持部30は、WRIST駆動手段30Aを介してARM支持部20に支持されている。WRIST支持部30は、棒状の支稈31と、支稈31を回動自在に支持する軸受32とを備えている。そして、支稈31は、一端をSTICK支持部10の取付板12にネジ33により固定されている。また、支稈31の他端は、軸受32を介してWRIST駆動手段30Aにより軸線周り方向に所定角度或いは
回動自在に駆動できるように取り付けられている。支稈31は、円筒形状であることや円柱形状あるいは板状であってもよい。また、軸受32は、支稈31の他端を回動自在に支持することができる構成を備えていれば、限定されるものではない。なお、WRIST支持部30は、棒状に形成されているため、複数の部材を長手方向に連結することができ、前後方向の長さの調整を自在にすることが可能となる。
WRIST駆動手段30Aは、ステッピングモータ、或いは、その他のアクチュエータであり、
回動角度の制御或いは
回動制御は、後記する制御機構60により行われる。
【0020】
図7に示すように、ARM支持部20は、ARM駆動手段20Aを介して昇降移動する昇降機構40に支持されている。そして、ARM支持部20は、WRIST駆動手段30Aを保持すると共に、昇降機構40に昇降自在に支持されている。ARM支持部20は、一例として、昇降機構40の回転軸41に螺合して貫通できるように筐体形状に形成された筐体部21と、この筐体部21に取り付けられ昇降機構40のガイドレール42に案内される案内部22と、筐体部21の一面にWRIST駆動手段30Aを設置する設置部23とを備えている。
【0021】
筐体部21は、直方体形状に形成され、昇降機構40の回転軸41に回転自在に螺合して回転軸41が貫通するように貫通穴が形成されている。また、筐体部21は、昇降機構40の回転軸41及びガイドレール42よりも幅方向(左右方向)に大きくなるように形成されている。そして、筐体部21は、昇降機構40のガイドレール42に案内される案内部22を筐体背面側にガイドレール42の左右に向かって突出して備えている。
【0022】
案内部22は、ガイドレール42に当接して或いは摺動して案内できるように形成されている。案内部22は、例えば、ガイドレール42に当接するボールを回動自在に保持することや、或いは、ガイドレール42の溝に係合して摺動するように形成されている。案内部22は、ガイドレール42に沿って筐体部21を昇降するときにスムーズに案内できる構成であれば、特に限定されるものではない。
【0023】
設置部23は、WRIST駆動手段30Aを設置している。この設置部23は、ここでは筐体部21の正面板に形成され、例えば、WRIST駆動手段30Aを固定する凹部形状に形成されている。なお、設置部23は、STICK支持部10、STICK駆動手段10A、WRIST支持部30及びWRIST駆動手段30Aを支持することができるように固定して設置できる構成であれば限定されるものではない。
【0024】
図7及び
図8に示すように、昇降機構40は、ARM支持部20を支持して昇降移動させるものである。この昇降機構40は、回転軸41と、回転軸41に沿って配置したガイドレール42と、回転軸41及びガイドレール42の一端側及び他端側で回転軸41を回転自在に支持すると共に、ガイドレール42を取り付ける上部取付部43及び下部取付部44と、下部取付部44に回転軸41を回転駆動させるARM駆動手段20Aと、下部取付部44の下方でARM駆動手段20Aを覆うように設けた台座90とを備えている。
回転軸41は、ネジ溝が形成された軸部材で、その一端側に軸受けを介して上部取付部43に取り付けられると共に、下部取付部44に回動自在となるように貫通して他端側をARM駆動手段20Aに回転自在に支持さられている。この回転軸41は、垂直方向を昇降方向として所定の長さで設けられている。回転軸41は、螺合している筐体部21を回転数に応じて昇降させている。
【0025】
ガイドレール42は、細長い直方体に形成され回転軸41に沿って隣り合った位置に設置されている。ガイドレール42は、両側面に長手方向に亘ってガイド溝42aが形成され、このガイド溝42a沿って案内部22が案内されるように形成されている。また、ガイドレール42は、ここでは、ARM駆動手段20A及びWRIST駆動手段30AのモータドライバMDを背面側に設けるように構成している。また、ガイドレール42は、モータドライバMDの下方に把手45を設けている。この把手45は、作業者が手指で掴んで、昇降機構40の設置角度を自在に変えるときに使用するものである。
【0026】
また、把手45には、動作ボタン46が設置されている。この動作ボタン46は、モータドライバMDを介してSTICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aを動作させるものである。なお、STICK駆動手段10Aのモータドライバは、一例として、後記する制御機構60側に基板サイズで設置されている。なお、各駆動部のモータドライバは、制御機構60側にまとめて設置することや、昇降機構40側にまとめて設置することや、制御機構60及び昇降機構40のそれぞれに適宜設置することとしても構わない。
【0027】
上部取付部43及び下部取付部44は、取付部として例えば、板状に形成され、ガイドレール42が設置されると共に、回転軸41を回転自在に支持している。この上部取付部43及び下部取付部44は、樹脂或いは金属等のリジッドな材料で形成されている。また、下部取付部44は、ここでは、下方にARM駆動手段20Aを支持していると共に、台座90が着脱自在に設けられている。
【0028】
図8に示すように、台座90は、衝撃を吸収する衝撃吸収部を備えている。なお、台座90は、衝撃吸収部を備える一例として、ダンパ装置93を備えている。台座90は、例えば、発泡性の樹脂で形成され、ARM駆動手段20Aを収納する凹部91と、下部取付部44を介して係止されるネジの筒状ナット92と、ダンパ装置93と、を備えている。この台座90は、テーブル等の載置台に置かれたときに、昇降機構40を垂直な状態で維持できる硬さを備えている。また、ダンパ装置93は、例えば、油圧によりダンパを介して衝撃を吸収するように構成されている。ダンパ装置93は、台座90の底面で周縁側に形成された複数の設置穴94に必要な数を挿入して使用することができるようにここでは構成されている。つまり、ダンパ装置93は、カテラリー類の種類や使い方によって、ダンパ装置93の数や設定位置を調整して使用することができる。台座90の底面からダンパ部分が突出した状態から、テーブル等の載置台上に置かれて、台座90の底面と同等の高さに収まるようにダンパ部分が配置されている。ダンパー装置93は、カトラリー類操作装置100全体が作業者の手を離れて設置される際、設置される面に対して垂直に近い状態で収縮するようバランスを取ることが可能となっている(
図13(a)~(c)参照)。なお、ダンパ装置93は、エアダンパ、ガスダンパ、クッションダンパ等であっても構わず、衝撃を吸収することできるものであれば、コイルスプリングであってもよい。
【0029】
図1に示すように、制御機構60は、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A及びWRIST駆動手段30Aの回転駆動を制御すると共に、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A及びWRIST駆動手段30Aの回転駆動を設定するものである。この制御機構60は、操作パネル80を有し、入力部61と、モード切替部62と、表示出力部63と、記憶部64と、読出部65と、動作部66と、設定部70とを備えている。
【0030】
図1及び
図2に示すように、操作パネル80は、電源スイッチ81と、表示部である表示パネル82と、設定ボタン83と、設定確認ランプ84、速度調整ツマミ86と、加速度調整ツマミ85と、遅延時間調整ツマミ87とを備えている。
電源スイッチ81は、電源のオン・オフを行うスイッチである。なお、電源スイッチ81の電源をオンにすることで、制御機構60は、予め設定された駆動部が表示パネルに表示されるように設定されている。
表示パネル82は、設定時の状態と動作時の状態とを表示するものである。この表示パネル82は、操作パネル80からの操作の状態により表示出力部63を介して表示内容が表示される。
【0031】
設定ボタン83は、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A及びWRIST駆動手段30Aの設定を行うと共に、設定した条件で、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A及びWRIST駆動手段30Aを動作させるものである。設定ボタン83は、ここでは、セットボタン83aと、アップボタン83bと、ダウンボタン83cとを備えている。なお、セットボタン83aは、既に説明した動作ボタン46と、設置後は同じ働きをするように設定されている。アップボタン83bは、回転駆動開始位置、回動駆動開始位置及び昇降移動開始位置を調整する。そして、ダウンボタン83cは、回転駆動終了位置、回動駆動終了位置及び昇降移動終了位置を調整する。さらに、セットボタン83aは、調整した回転駆動開始位置、回動駆動開始位置、昇降移動開始位置、回転駆動終了位置、回動駆動終了位置、昇降移動終了位置を設定する。なお、セットボタン83a及び動作ボタン46は、各位置が設定された後には、設定された条件で各駆動部を駆動させるためのスタートボタンの役割を行うことができるようになっている。
【0032】
設定確認ランプ84は、設定ボタン83でSTICK駆動手段10A、WRIST駆動手段30A、ARM駆動手段のいずれかのモードが設定されるごとに、設定されたモードを点灯してわかるように示すものである。一例として、設定されるモードの表示は、「Stick」、「Wrist」、「Arm」の3種類を示しており、それぞれ、STICK駆動手段10A、WRIST駆動手段30A、ARM駆動手段20Aに対応している。設定確認ランプ84は、設定ボタン83により設定が完了されているモードのみを点灯させるようにここでは構成されている。例えば、「Stick」のランプについては、動作開始点と動作終了点が決まった瞬間に点灯する。他のモードのランプも同様に設定が完了すると点灯するようにここでは構成されている。
【0033】
速度調整ツマミ86は、設定された各駆動部であるサーボモータの回転速度を調整するものである。また、加速度調整ツマミ85は、設定された各駆動手段であるステッピングモーターあるいはその他のアクチュエータの回転駆動開始位置、回動駆動開始位置から速度調整つまみ86で設定された定速状態に遷移するまでの加速度、および定速状態から回転駆動終了位置、回動駆動終了位置までに遷移するまでのマイナス方向の加速度を設定する。また、加速度調整ツマミ85は、昇降移動開始位置から速度調整つまみ86で設定された定速状態に遷移するまでの加速度、および定速状態から昇降移動終了位置までの加速度を調整するものである。
【0034】
なお、遅延時間調整ツマミ87は、WRIST駆動手段30AがSTICK駆動手段10Aに対してどのくらい遅延してから動作するかと、WRIST駆動手段30AがARM駆動手段20Aに対してどのくらい遅延してから動作するかを調整するものである。なお、遅延時間調整ツマミ87は、WRIST駆動手段30Aのステッピングモーターの動作開始までのSTICK駆動手段10Aのステッピングモーターの動作パルス数を設定している。また、遅延時間調整ツマミ87は、ARM駆動手段20Aのステッピングモーターの動作開始までのWRIST駆動手段30Aのステッピングモーターの動作パルス数を設定している。速度、加速度、遅延時間の関係は、例えば、
図9に示す。
【0035】
図9では、時間tと回転角度或いは回転数θとの関係で示している。このグラフでは、設定された回転
駆動開始位置から回転
駆動終了位置まで
、あるいは、回動駆動開始位置から回動駆動終了位置までの到達時間、速度(傾き)、加速度(各グラフのカーブの形状)、各駆動部が動作を開始するまでの遅延時間(動作タイミング:t
B、t
C)の関係を示している。すなわち、各ツマミを調整することで、グラフの傾きや、カーブの形状、縦軸方向のあるθまでの位置、横軸方向の位置(t
B、t
C)が調整されることになる。
なお、速度調整ツマミ86、加速度調整ツマミ85、遅延時間調整ツマミ87による各調整は、例えば、STICK駆動手段10A
の回転駆動開始位置及び回転駆動終了位置、ARM駆動手段20A
の昇降移動開始位置及び
昇降移動終了位置、或いは、
WRIST駆動手段30Aの回動駆動開始位置及び
回動駆動終了位置の設定が終了した後に行ってもよい。
【0036】
図1及び
図2に示すように、入力部61は、各ボタン及び各ツマミからの信号を入力するインターフェイスである。この入力部61は、ここでは、設定入力部61Aと、調整入力部61Bとを有している。
設定入力部61Aは、アップボタン83b、ダウンボタン83c、セットボタン83a、動作ボタン46からの信号を入力し設定部70に出力する。
調整入力部61Bは、前記した各ツマミ85,86,87からの信号を入力し、モード切替部62に出力する。
【0037】
モード切替部62は、入力部から入力された信号により「Stick」、「Wrist」、「Arm」の各モードに設定部70の設定される対象を切り替える。さらに、モード切替部62は、設定部70の駆動開始位置設定部71及び駆動終了位置設定部72からの信号により、駆動開始位置(start)及び駆動終了位置(end)の表示を切り替える。また、モード切替部62は、入力部61或いは設定部70から信号を受け取り、表示出力部63を介して、設定確認ランプ84及び表示パネル82の表示内容を切り替えると共に、設定部70の設定対象のモードの切り替えを行う信号を出力している。なお、制御機構60は、電源スイッチ81で電源オンがなされると、一例として、モードが「Stick」(STICK駆動手段10Aの設定モード)になるようにモード切替部62が設定され、表示パネル82で表示される。
【0038】
設定部70は、STICK駆動手段10Aによる回転駆動開始位置及び回転駆動終了位置と、ARM駆動手段20Aによる昇降移動開始位置及び昇降移動終了位置と、WRIST駆動手段30Aによる回動駆動開始位置及び回動駆動終了位置と、を位置情報として予め設定される基準位置に対して設定する。また、設定部70は、設定された位置情報のそれぞれを調整して設定する。さらに、設定した位置情報に基づいて駆動した各駆動部を基準位置に巻き戻すと共に、設定が終了して巻き戻された後に、セットボタン83a及び動作ボタン46からの信号を動作部66に出力する。
設定部70は、駆動開始位置設定部71と、駆動終了位置設定部72と、巻戻部73と、設定・動作切替部74と、速度設定部75と、加速度設定部76と、遅延時間設定部77とを備えている。設定部70は、入力部61からの信号が入力され、モード切替部62、表示出力部63、記憶部64、読出部65、動作部66のいずれか、或いは複数に、
それぞれのタイミングで信号を出力する。
【0039】
駆動開始位置設定部71は、モード切替部62で切り替えられているモードである「Stick」、「Wrist」、「Arm」の駆動開始位置を順次設定する。この駆動開始位置設定部71は、モードが「Stick」である場合、STICK駆動手段10Aの駆動開始位置を、アップボタン83b或いはダウンボタン83cからの信号により調整した後に、セットボタン83aが押下されることで生じる信号により設定される。そして、駆動開始位置設定部71は、設定されたSTICK駆動手段10Aの駆動開始位置を、記憶部64の予め設定されているリストの設定項目に記憶させる。また、駆動開始位置を設定するときには、表示パネル82に表示出力部63を介して
図4(a)で示すように、現在の状態が表示される。なお、表示パネル82には、数値として予め設定される角度を示すステップ数で、表示するようにここでは設定されている。例えば、表示パネル82には、「stick start:0」と示され、駆動開始位置がステップ数で0となるように表示され、また、記憶部64にはSTICK駆動手段10Aのリストの設定項目に設定される。
【0040】
駆動終了位置設定部72は、駆動開始位置設定部71からの信号により、設定する内容をSTICK駆動手段10Aの駆動終了位置の設定に切り替えて、駆動終了位置を設定するものである。この駆動終了位置設定部72は、アップボタン83b或いはダウンボタン83cからの信号により駆動終了位置を調整した後に、セットボタン83aが押下されることで生じる信号により駆動終了位置が設定される。そして、駆動終了位置設定部72は、設定されたSTICK駆動手段10Aの駆動終了位置を、記憶部64の予め設定されているリストの設定項目に記憶させる。駆動終了位置設定部72で駆動終了位置が設定されると、巻戻部73及びモード切替部62に信号が送られる。また、駆動終了位置を設定するときには、表示パネル82に表示出力部63を介して
図4(b)で示すように、現在の設定状態が表示される。なお、表示パネル82には、数値として予め設定される角度を示すステップ数で、例えば、「stick end:481」と示され、駆動終了位置がステップ数で481となるように表示され、記憶部64の設定項目にも設定される。なお、駆動終了位置設定部72は、セットボタン83aからの信号をカウントして、受けた信号の数が偶数であれば、設定を切り替えて駆動終了位置を設定するものとしてもよい。つまり、セットボタン83aからの信号が奇数の場合は、駆動開始位置が設定され、偶数の場合は駆動終了位置が設定されるので、受けた信号をカウントすることでも設定を切り替えることができる。
【0041】
巻戻部73は、駆動終了位置設定部72からの信号により、読出部65を介して記憶部64のリストを読出し、リストの設定項目(保持部駆動手段から第1駆動手段の開始及び終了の位置情報)が全て設定されているか否かを判定して巻戻し動作を行う。巻戻部73は、一例として、記憶部64のリストにおいて設定項目が全て設定されていない場合には、モード切替部62に信号を送り設定するモードを切り替える。また、巻戻部73は、設定項目が全て設定されている場合には、動作部66及び設定・動作切替部74に信号を送る。そして、信号が送られた動作部66は、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aを駆動させ予め設定された基準位置から移動した分が巻き戻されるように、STICK支持部10、ARM支持部20、WRIST支持部30の位置を元の基準位置に戻す。なお、巻戻部73により巻き戻されている場合には、表示出力部63を介して表示パネルに、
図4(d)で示すように、「REWINDING」の文字が表示される。
【0042】
制御機構60は、駆動開始位置設定部71及び駆動終了位置設定部72でアップボタン83b及びダウンボタン83cを押下したときに、箸C1の高さや食品を掴む状態、食品を掴んで持ち上げるまでの状態が、具体的に分かるように動作部66を介してSTICK駆動手段10AからWRIST駆動手段30Aのいずれかを動作させ、第1保持部5A、STICK支持部10、ARM支持部20を実際に移動させる。また、巻戻部73により巻き戻しの動作においても、STICK駆動手段10AからWRIST駆動手段30Aを動作させ、第1保持部5A、STICK支持部10、ARM支持部20が実際に移動する。
【0043】
記憶部64は、位置情報等を記憶するハードディスク、光ディスク、メモリ等の記憶手段である。記憶部64は、駆動開始位置設定部71、駆動終了位置設定部72、速度設定部75、加速度設定部76、遅延時間設定部77で設定された各値(位置情報、速度、加速度、遅延時間)を予め設定されているリストの設定項目に記憶する。
読出部65は、巻戻部73、又は、動作部66からの信号により記憶部64に設定された位置情報等を読み出す。この読出部65は、巻戻部73から信号が送られてきた場合には、記憶部64に設定された位置情報を読み出し、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aをそれぞれ基準位置に巻き戻されるように動作部66に信号を送る。また、読出部65は、動作部66からの信号を受け取ると、記憶部64に設定されている位置情報を読み出し、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aが設定されたように駆動するように、動作部66に信号を送る。
【0044】
設定・動作切替部74は、設定動作と駆動動作とを切り替える。設置・動作切替部74は、巻戻部73から信号を受けると、設置動作から駆動動作に設定部を切り替えると共に、表示出力部63に信号を送り、
図4(g)で示すように、起動待ちの画面を表示させる。設定・動作切替部74は、巻き戻し動作が終了した後に、セットボタン83a又は動作ボタン46の押下により信号が送られて来た場合には、動作部66に信号を送る。
【0045】
動作部66は、設定・動作切替部74から信号が送られると、読出部65を介して設定された位置情報を記憶部64から読み出して、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aをそれぞれ設定されたタイミング、速度及び加速度で駆動(起動)させる。また、動作部66により設定した動作が終了すると、動作部66から信号が設定・動作切替部74に送られる。そして、設定・動作切替部74は、表示出力部63を介して、
図4(h)で示すように、動作終了後の静止状態の画面を、次のように、(FREEZING:hit ST/RN to bk)表示させる。
【0046】
以上のように構成されたカトラリー類操作装置100は、初めに、作業者がSTICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aを所望のタイミング、速度、加速度で設定して駆動することができる。なお、作業者はいつでも、速度調整ツマミ86、加速度調整ツマミ85、遅延時間調整ツマミ87を介して、それぞれ速度、加速度、遅延時間を調整することができる。各ツマミを操作すると、モード切替部62を介して調整するモードを変えて設定することができるように構成されている。また、各ツマミを操作すると、表示出力部63を介して表示パネル82に内容も変えて表示される(
図4(e)(f))。
カトラリー類操作装置100の操作方法について、設定方法及び動作方法を、以下に示すように説明する。
カトラリー類操作装置100の設定方法は、
図10に示すように、初めに電源ON(S11)がされた後に、STICK駆動手段10Aの設定(S12)、ARM駆動手段20Aの設定(S13)、WRIST駆動手段30Aの設定(S14)が行われる。
【0047】
カトラリー類操作装置100は、電源ON(S11)にすると保持部駆動手段(Stick)を設定する状態となり、
図4(a)に示すように、表示パネル82に設定される状態が表示される。なお、設定確認ランプ84は、設定が完了していなので、消灯した状態となっている。そして、操作者がアップボタン83b又はダウンボタン83cを押下してSTICK駆動手段10Aの
回転駆動開始位置(保持部5で保持されている箸C1の動作開始位置)を調整する。なお、設定を開始したときには基準位置が表示0で示され、回転駆動開始位置が設定されたときには、その位置がゼロで示される位置となる。さらに、操作者は、セットボタン83aを押下することでSTICK駆動手段10Aの回転駆動開始位置を設定する(S12)。設定部70は、セットボタン83aの押下による信号により駆動開始位置設定部71が記憶部64にSTICK駆動手段10Aの回転駆動開始位置を設定する。
【0048】
また、セットボタン83aの押下により、
図4(b)に示すように、表示パネル82の表示がモード切替部62により切替られ、設定する表示内容が表示出力部63を介してSTICK駆動手段10Aの回転駆動終了位置(箸C1の動作終了位置)に切り替えて表示される。そして、操作者は、アップボタン83b又はダウンボタン83cを押下してSTICK駆動手段10Aの回転駆動終了位置(保持部5で保持されている箸C1の動作終了位置)を調整すると共に、セットボタン83aの押下により、STICK駆動手段10Aの回転駆動終了位置を設定する(S12)。
【0049】
なお、アップボタン83bまたはダウンボタン83cを押下すると、表示パネル82のend:「〇〇」で表示される「〇〇」部の数値が変化して設定したい数値が分かるようになる。設定部70は、セットボタン83aの押下による信号により駆動終了位置設定部72が記憶部64にSTICK駆動手段10Aの回転駆動終了位置を設定する。セットボタン83aの押下により、STICK駆動手段10Aの設定が終了すると、併せて、モード切替部62がモード(StickからWrist)に切り替える信号が出され、表示出力部63を介して、表示パネル82の表示画面が切り替わる。また、設定確認ランプ84のStick(STICK駆動手段10A)を消灯状態から点灯状態に切り替えて、Stickの回転駆動開始位置と回転駆動終了位置の双方が設定されたことが分かるようになる。
【0050】
続けて、アップボタン83b、ダウンボタン83c、セットボタン83aを操作して、前記したSTICK駆動手段10Aと同様に、WRIST駆動手段30Aの回動駆動開始位置及び回動駆動終了位置、ARM駆動手段20Aの回動駆動開始位置(昇降移動開始位置)及び回動駆動終了位置(昇降移動終了位置)を設置する(S13、S14)。設定確認ランプ84は、設定が完了するごとに、対象となるモード位置で点灯するようになっている。そのため、Stick(STICK駆動手段10A)を設定する場合には、設定確認ランプ84は消灯した状態のままで行われ、Wrist(WRIST駆動手段30A)を設定する状態になったきに、Stickのランプが点灯することになる。なお、STICK駆動手段10A、WRIST駆動手段30A、ARM駆動手段の設定である各モードの設定は、各モードの設定が終了する度に、駆動終了位置設定部72からの信号により巻戻部73から読出部65を介して記憶部64のリストを読出し、リストの設定項目が全て設定されたかを巻戻部73が判定している。
【0051】
そして、記憶部64のリストの項目が全て設定されていると巻戻部73からの信号により動作部66は読出部65で読み出された位置情報から元の基準位置に戻るようにSTICK駆動手段10A~WRIST駆動手段30Aを設定された位置から巻き戻すように動作させる(S15)。なお、巻き戻し動作は、駆動終了位置設定部72が全てのモードの設定を終了したときに巻戻部73に信号を送ることで行うように構成さていてもよい。そして、巻戻部73により巻き戻し動作を行っているときには、表示パネル82は、
図4(d)で示すように、「REWINDING」が表示される。
カトラリー類操作装置100は、このように設定されることで駆動させることができるが、更に、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aの速度、加速度、遅延時間について調整したい場合には、操作パネル80の速度調整ツマミ86、加速度調整ツマミ85及び遅延時間調整ツマミ87を操作することができる(S16)。
【0052】
STICK駆動手段10A(Stick)、WRIST駆動手段30A(Wrist)ARM駆動手段20A(Arm)において、調整した速度、加速度、及び、遅延時間は、それぞれ、速度設定部75、加速度設定部76、遅延時間設定部77によりリストに既に記載されている設定項目を変更して設定される。なお、各ツマミを操作して調整する場合、表示パネル82には、
図4(e)、(f)で示すように、調整状態が表示されて調整することができる。
図4(e)では、一例として遅延時間の調整状態が表示され、
図4(f)では、STICK駆動手段10A及びARM駆動手段20Aの速度の調整状態が表示されている。
【0053】
次に、設定が終了したカトラリー類操作装置100は、動作方法として、例えば、
図11に示すように、セットボタン83a又は動作ボタン46の押下により、設定したSTICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aを動作させる。つまり、カトラリー類操作装置100は、セットボタン83a又は動作ボタン46を押下(S21)すると、設定部70から動作部66に信号が送られ、動作部66が読出部65を介して記憶部64に設定した位置情報を読出し(S22)、その読み出した位置情報(設定項目)に基づいてSTICK駆動手段10A~WRIST駆動手段30Aを設定したタイミング、速度、加速度で駆動させる。そして、カトラリー類操作装置100の最終動作となるARM駆動手段20Aの昇降移動終了位置(
回動駆動終了位置)で停止(S24)することで動作が終了する。
カトラリー類操作装置100は、このような動作開始から動作終了までの間でシズル映像を撮影することができる。
【0054】
以下、カトラリー類操作装置100により、一例として、麺Wを掴み上げるシズル映像を撮影する場合について説明する。
図12(a)~(c)及び
図13(a)~(c)で示すように、カトラリー類操作装置100は、動作させてシズル撮影を行うことができる。なお、シズル映像は、
図12(a)~(c)及び
図13(a)~(c)において、矩形で示す画角範囲DGで撮影されるため、箸C1の途中までが画角内に収まり、カトラリー類操作装置100の機械的な部分が画角内から外れて見切れて映らないように配置される。
【0055】
始めに、
図12(a)に示すように、作業者は、カトラリー類操作装置100の把手45を手指で把持してカトラリー類操作装置100を持ち上げた状態とする。そして、
図12(b)に示すように、カトラリー類操作装置100で保持している箸C1の箸先C11が麺の中に届いた状態で、かつ、台座90の一部がテーブルに接触させた状態となるまで手動で操作する。撮影は、ここでは、箸C1の箸先C11が麺に届く直前から開始される。作業者は、箸先C11,C11が麺の中に届くと、把手45の動作ボタン46を押下する。そして、作業者は、シズル映像の全体の流れにおいて、カトラリー類操作装置100を設定した最終動作が終わるまでに、徐々に傾斜角度を小さくしていき垂直状態になるように手動で移動させている(
図12(b)~
図13(c)で示すカトラリー類操作装置100の姿勢)。
【0056】
一方、箸C1が麺の中に差し込まれたときに、動作ボタン46からの信号によりSTICK駆動手段10Aが駆動することで、
図12(b)及び
図12(c)に示すように、第1保持部5Aが動作し、第1保持部5Aで保持している箸C1の箸先C11が第2保持部5Bで保持されている箸C1の箸先C11に当接するように垂直方向に動作する。そのため、麺は箸C1の箸先C11,C11で掴まれた状態となる。更に、
図13(a)で示すように、WRIST駆動手段30Aが設定された遅延時間を経て駆動することで、垂直状態で麺を掴んだ一方と他方の箸C1、C1が45度などに回転することで水平状態などで麺Wを掴んだ状態となり、麺Wを確実に箸C1、C1の箸先C11,C11で掴んで絡める状態とする。
【0057】
なお、箸先C11,C11の高さ位置は、昇降機構40が垂直状態に徐々に手動で動かされることによっても上昇することとなる。そして、
図13(a)~(c)で示すように、ARM駆動手段20Aが駆動することで、箸先C11,C11に麺を掴んだ状態で昇降機構40の所定の高さまで上昇させて持ち上げて静止させる。昇降機構40が垂直状態となった時には、ダンパ装置93のダンパの突出状態が台座90の底面と同じ高さになるように収納され台座90の底面全体をテーブルに載置する。また、STICK支持部10の保持部5で保持されている箸C1,C1も機械的に動作するので、映像に悪影響を与えるような震えはない。そのため、箸で麺を掴んで持ち上げるシズル映像は、スムーズな箸C1,C1の動作で震えのないスムーズな映像を撮影することができる。
【0058】
[第2実施形態]
なお、
図1から
図13(a)~(c)では、一組の箸C1,C1を対象にして説明したが、例えば、カトラリー類の一例として、スプーンC2であってもよい。
図14で示すように、食品の一例としてプリンW1を掬って持ち上げるシズル映像を撮ることもできる。スプーンC2を使用する場合には、プリンW1の正面側からプリンW1の内側にスプーンC2を移動できる位置に作業者が手動で移動させて、スプーンC2の先端C21をプリンW1に差し込む状態を想定して設定する。従って、スプーンC2がSTICK駆動手段10AによりプリンW1を掬うように所定の角度の範囲を設定し、ARM駆動手段20Aの駆動タイミング及び速度、加速度を設定し、ARM駆動手段20Aの駆動によりプリンの一部を掬ったスプーンを上昇させて所定位置に停止させるように設定し、その後、設定した動作を行わせることができる。なお、既に、
図12(a)~(c)及び
図13(a)~(c)で示したように昇降機構40を作業者が傾斜させた状態から垂直になる状態までは手動で行うことと併せて、スプーンC2の動作をSTICK駆動手段10A、ARM駆動手段20Aの設定された動作により行う。ここでは、第1駆動手段の駆動が発生しないように設定をするか、又は、設定を行っておらず、STICK駆動手段10A及びARM駆動手段20Aの動作のみでシズル映像を撮影している。
【0059】
[第3実施形態]
また、
図15に示すように、食品の一例としてスパゲッティW2をフォークC3の先端C31に巻き付けて持ち上げるシズル映像を撮影することもできる。すなわち、フォークC3の先端C31がスパゲッティW2内に差し込まれると、STICK駆動手段10Aを所定角度において駆動させるように設定し、フォークC3の先端C31が上方に向くようにする。そして、その状態で、WRIST駆動手段30Aを駆動させるように設定し、フォークC3の先端C31を所定回数回動させることで、フォークC3の先端C31にスパゲッティW2を巻き付かせるようにする。さらに、先端C31にスパゲッティW2を巻き付かせたフォークC3をARM駆動手段20Aの駆動により所定の高さまで上昇させるように設定する。そして、既に、
図12(a)~(c)及び
図13(a)~(c)で示したように昇降機構40を作業者が傾斜させた状態から垂直になる状態までは手動で行うことと併せて、フォークC3の動作をSTICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aの設定された動作により行う。そのため、フォークC3の先端C31でスパゲッティW2を巻き付けて持ち上げる動作をスムーズにかつ震えることなく安定して行うことができる。従って、シズル映像もスムーズに安定して撮影することができる。
【0060】
[第4実施形態]
なお、カトラリー類操作装置100は、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、WRIST駆動手段30Aをそれぞれ自在に設定した状態で動作するように説明したが、予め設定した状態で各駆動部が駆動する装置であってもよい。すなわち、
図16に示すように、カトラリー類操作装置100Aは、STICK支持部10にSTICK駆動手段10Aが設けられ、STICK支持部10に保持部5(第1保持部5A、第2保持部5B)が設置され、ARM支持部20でSTICK支持部10を支持し、ARM支持部20がARM駆動手段20Aの駆動により昇降機構40を介して昇降移動し、昇降機構40の下方に台座90を有するように構成されているものを使用してもよい。このカトラリー類操作装置100Aは、制御機構としてモータドライバMDを備え、把手45の動作ボタン46を押下することで、予め設定した速度、加速度で、予め設定した遅延時間でSTICK駆動手段10A及びARM駆動手段20Aが駆動するように構成されている。また、STICK支持部10の取付板12の設置板11と平行に配置される板部分の一端がARM支持部20の設置部23によって支持されるように構成されている。そして、ARM支持部20の設置部23では、支持しているSTICK支持部10の保持部5の位置が垂直方向に並ぶように取り付けることや、水平方向に並ぶように取り付けることができる。
【0061】
そのため、作業者は、設定作業をすることなく、昇降機構40の把手45を手指で把持して装置全体を持ち上て傾斜させ、ゆっくり箸C1,C1の箸先C11,C11が麺に入り込むように手動で移動させた後に、動作ボタン46を押下すると、STICK駆動手段10Aが所定角度において第1保持部5Aを回転させることで、箸先C11,C11とが当接或いは近接するように移動し麺を掴む。そして、STICK駆動手段10Aの動作が停止するタイミングに合わせてARM駆動手段20Aを駆動させてARM支持部20を上昇させることで麺を掴んだ状態で箸C1,C1を持ち上げて所定位置で停止することができる。このカトラリー類操作装置100Aでは、STICK駆動手段10A及びARM駆動手段20Aを予め設定した速度、加速度、遅延時間をそれぞれ調整してあるので、一般的なシズル映像を撮影する場合には、震えることもなく安定して使用することができる。勿論、スプーンC2やフォークC3を用いた動作を行うことが可能である。
【0062】
[第5実施形態]
また、
図17及び
図18に示すように、カトラリー類操作装置100B、100Cのような構成であってもよい。
すなわち、
図17に示すように、カトラリー類操作装置100Bでは、第1支持部10S1が、取付支持部11Bと、ARM支持部20に回動自在に軸受32を介して支持された支稈31とを備える構成としている。そして、取付支持部11Bは、一端側に保持部5が支持され、他端側を支稈31で支持されるように形成されている。取付支持部11Bは、支稈31の軸線方向に対して直交する方向に板形状に形成され、一端側に支稈31の軸線方向に平行に保持部5を支持してている。
【0063】
従って、カトラリー類操作装置100Bでは、WRIST駆動手段30Aの駆動により支稈31を軸線周りに所定角度において回動させると、保持部5で保持しているスプーンC2の先端C21が円弧状の軌跡を描くように移動して、例えば、プリン等の食品を掬い上げることができる。カトラリー類操作装置100Bは、スプーンC2の先端C21がプリンを掬い上げる直前の位置に、作業者が手動により把手45を持って持ち上げてスタンバイし、セットボタン83a或いは動作ボタン46を押下することで、スプーンC2がプリンを掬い上げ、掬い上げたスプーンC2は、それのみの動作でシズル映像を撮影することができる。つまり、カトラリー類操作装置100Bでは、WRIST駆動手段30Aのみを備えることで、シズル映像を撮影することができる。なお、カトラリー類操作装置100Bでは、昇降機構40をスプーンC2の高さを設定する高さ調整機構として使用することや、或いは、スプーンC2で掬った食品を所定高さまで上昇するように、既に説明したような動作を行うこととしてもよい。カトラリー類操作装置100Bでは、昇降機構40を備える場合には、ARM駆動手段20Aを備えるように形成される。
【0064】
また、
図18に示すように、カトラリー類操作装置100Cは、第1支持部10S2が支稈31と軸受32とで形成される構成としてもよい。そして、支稈31の一端に保持部5が固定され、支稈31の他端を軸受32を介してWRIST駆動手段30Aに回動自在に支持し、WRIST駆動手段30AをARM支持部20に支持するように構成されている。
従って、カトラリー類操作装置100Cでは、例えば、スパゲッティなどの麺類にフォークを作業者の手動により差し込んだ状態としてスタンバイし、セットボタン83a或いは動作ボタン46の押下により、WRIST駆動手段30Aを駆動させてフォークC3が先端C31にスパゲッティを巻き付けるように支稈31を軸線回りに回動させる。そして、設定された或いは予め設定された回数において、支稈31が回動すると昇降機構40により所定高さまで上昇するように動作することができる。
【0065】
[第6実施形態]
なお、
図16に示したカトラリー類操作装置100Aでは、WRIST駆動手段30Aを設けない構成として説明したが、勿論、WRIST駆動手段30Aを備えている構成(
図2で示す構成において、操作パネル80や設定するための制御機構60を備えることがない構成)で、モータドライバMDにより予め設定した速度、加速度、遅延時間で動作する構成であってもよい。
さらに、第1実施形態から至第6実施形態において、昇降機構40は、ガイドレール42の背面に把手45を設ける構成として説明したが、
図19に示すように、ARM支持部20の筐体部21の側面に左右の把手24,24として設け、把手24,24のいずれか一方に動作ボタン25として設けるようにしてもい。なお、筐体部21の左右の側面に把手24,24を設ける場合、昇降機構40を持ち上げたり、テーブル上に置いたりする動作が両手でできるため、昇降機構40の手動による動作をより安定して行うことができる。さらに、把手24,24を設けた場合、ARM支持部20を作業者の動作の基準点とすることにより、装置を手放す直前まで、昇降機構40の動きがカトラリー類の空間上における絶対的高さに影響を与えないこととなる。そのため、作業者がカトラリー類操作装置100をテーブル上に置くことによるカトラリー類の空間上の下降動作から、カトラリー類操作装置100の昇降機構40の動作によるカトラリー類の空間上の上昇動作へスムーズに動作が引き継げることとなり、よりスムーズなシズル映像の撮影が可能となる。
【0066】
以上、説明したように、第1実施形態から第6実施形態において、カトラリー類操作装置では、カトラリー類である箸、スプーン、フォーク、或いは、レンゲ等、食品を食べるときに使用される手指で持って操作するものをSTICK支持部10の保持部5或いは第1保持部5A及び第2保持部5Bで保持する操作することができる。そして、第1実施形態から第6実施形態では、STICK駆動手段10A、ARM駆動手段20A、或いは、WRIST駆動手段30Aにより機械的に安定した動作で駆動させることで、震えのない安定した動作を行うことができる。また、各実施形態では、台座に衝撃吸収部として、ダンパ装置を例示したが、発泡性の樹脂を台座として形成する構成としてもよい。そのため、シズル映像をスムーズにまた食品を美味しそうに撮影することが可能となる。また、以上で説明したカトラリー類操作装置では、第1駆動手段及び第2駆動手段を備える構成、あるいは、第2駆動手段及び保持部駆動手段を備える構成、保持部駆動手段と第1駆動手段と第2駆動手段とを備える構成、第1支持部と第1駆動手段のみの構成、第1支持部と第2駆動手段及び昇降機構を備える構成のいずれで、設定操作を行って動作させることや、設定操作なく動作させることでもよい。つまり、カトラリー類操作装置は、STICK駆動手段、WRIST駆動手段、ARM駆動手段の一つ以上の駆動手段及びSTICK支持部、WRIST支持部、ARM支持部の一つ以上の支持部を最低限備えるものであれば、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0067】
100,100A,100B,100C カトラリー類操作装置
5 保持部
5A 第1保持部
5B 第2保持部
6 固定ネジ
10S 第1支持部(取付支持部、支持軸部)
10A 保持部駆動手段(STICK駆動手段)
10 取付支持部(STICK支持部)
11 設置板
11a 貫通穴
12 取付板
12a 取付穴
20 第2支持部(ARM支持部)
20A 第2駆動手段(ARM駆動手段)
30 支持軸部(WRIST支持部)
30A 第1駆動手段(WRIST駆動手段)
40 昇降機構
41 回転軸
42 ガイドレール
43,44 取付部(上部取付部、下部取付部)
60 制御機構
61 入力部
62 モード切替部
63 表示出力部
64 記憶部
65 読出部
66 動作部
70 設定部
71 動作開始位置設置部
72 動作終了位置設定部
73 巻戻部
74 設定・動作切替部
75 速度設定部
76 加速度設定部
77 遅延時間設定部
80 操作パネル
81 電源スイッチ
82 表示パネル(表示部)
83 設定ボタン
84 設定確認ランプ
85 加速度調整ツマミ
86 速度調整ツマミ
87 遅延時間調整スマミ
90 台座
93 衝撃吸収部(ダンパ装置)