(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/66 20060101AFI20240502BHJP
H04L 49/201 20220101ALI20240502BHJP
H04N 21/4402 20110101ALI20240502BHJP
【FI】
H04L12/66
H04L49/201
H04N21/4402
(21)【出願番号】P 2020142926
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山上 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】河村 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕靖
(72)【発明者】
【氏名】楠 知也
(72)【発明者】
【氏名】今村 浩一郎
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213235(JP,A)
【文献】デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 MMT-BASED MEDIA TRANSPORT SCHEME IN DIGITAL BROADCASTING SYSTEMS,ARIB STD-B60,第1.1版,日本,一般社団法人 電波産業会,2014年12月16日,pp.4-5, pp.40-49, pp.179-182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/66
H04L 49/201
H04N 21/4402
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャスト方式で伝送された、パッケージを構成する複数のアセットのデータを、ネットワークを介して接続された受信装置に中継するゲートウェイ装置であって、
前記マルチキャスト方式の前記複数のアセットのデータと、前記複数のアセットのロケーション情報とを受信し、前記データに設定された宛先アドレスを前記受信装置のアドレスに付け替えたユニキャスト方式のデータに変換するとともに、前記付け替えに応じて前記ロケーション情報を書き換えて、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する付替部を備える、ゲートウェイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲートウェイ装置において、
前記パッケージを構成する複数のアセットのうち、一部のアセットのデータは、第1の伝送路を介して伝送され、残りのアセットのデータは、第2の伝送路を介して伝送され、
前記ロケーション情報には、前記アセットのデータの宛先アドレスが含まれ、
前記付替部は、前記第1の伝送路を介して伝送された第1のデータに設定された宛先アドレスおよび前記第2の伝送路を介して伝送された第2のデータに設定された宛先アドレスをそれぞれ、前記受信装置のアドレスに付け替えるとともに、前記付け替えに応じて、前記ロケーション情報に含まれる宛先アドレスを書き換える、ゲートウェイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のゲートウェイ装置において、
前記ロケーション情報には、前記アセットのデータを受信するための宛先ポートのポート番号である宛先ポート番号がさらに含まれ、
前記第1のデータに設定された第1のポート番号と、前記第2のデータに設定された第2のポート番号とが同一である場合、前記第1のポート番号と前記第2のポート番号とを異なるポート番号に付け替えるとともに、前記付け替えに応じて、前記ロケーション情報に含まれる宛先ポート番号を書き換える、ゲートウェイ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のゲートウェイ装置において、
前記アセットのデータの宛先アドレスと、前記アセットのデータを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号と、前記宛先ポートの代替であり、前記宛先アドレスごとに異なる代替宛先ポートのポート番号である代替宛先ポート番号とを対応付けた対応関係を記憶する制御部をさらに備え、
前記付替部は、前記第1のデータと前記第2のデータとに設定された宛先アドレスが異なり、かつ、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とが同一である場合、前記記憶された対応関係に基づき、前記第1のポート番号および前記第2のポート番号を、対応する前記代替宛先ポート番号に付け替える、ゲートウェイ装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1から4のいずれか一項に記載のゲートウェイ装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
4K映像および8K映像の衛星放送では、従来のデジタル放送で用いられてきたMPEG-2TSに代わり、IP(Internet Protocol)ベースのMMT(MPEG Media Transport)方式が用いられている(非特許文献1参照)。MMT方式では、1つの編成チャンネル(以下、「パッケージ」と称する。)は、複数の映像・音声などのコンポーネント(以下、「アセット」と称する。)を含むことができる。また、MMT方式では、アセットのデータとともに、アセットのデータの宛先IPアドレスおよび宛先ポート番号などのロケーション情報を記したMP(MMT Package)テーブルを含むPA(Package Access)メッセージが伝送される。テレビなどの視聴デバイスである受信装置はまず、PAメッセージを受信し、PAメッセージに含まれるロケーション情報を参照することで、
図8に示すように、各アセットのデータを取得することができる。
【0003】
パッケージを構成する複数のアセットのうち、一部のアセットのデータは、放送路とは異なる伝送路である通信路(例えば、CATVなどのクローズドネットワーク)で伝送することができる。放送路および通信路を利用した放送通信連携サービスが検討されている。このような放送通信連携サービスの一例を
図9に示す。
【0004】
図9に示す放送通信連携サービスでは、放送路でメインコンテンツである主映像と音声とが伝送され、通信路でサブコンテンツである副映像が伝送される。
図9に示す放送通信連携サービスによれば、視聴者は、主映像と副映像とを切り替えたり、同時に楽しんだりすることができる。
図9に示すように、PAメッセージは放送路で伝送され、PAメッセージに含まれるMPテーブルには、放送路で伝送されるアセットおよび通信路で伝送されるアセットのロケーション情報が記される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ARIB STD-B60、「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MMT方式による放送通信連携サービスでは、メインコンテンツもサブコンテンツもUDP(User Datagram Protocol)/IPマルチキャスト方式で伝送されることが想定される。また、将来の視聴スタイルとして、受信したコンテンツを宅内ネットワークに流し、宅内ネットワーク上のテレビおよびスマートフォンといった視聴デバイスで視聴するという視聴形態が検討されている。
【0007】
宅内ネットワークとしては、無線LAN(Local Area Network)が用いられることが多い。無線LANは、有線LANと比べてパケットロスが頻繁に発生する。マルチキャスト方式では、無線レイヤでの誤り訂正およびパケットの再送などの処理が行われないため、上述した視聴形態において、各家庭に届いたマルチキャスト方式のデータをそのまま宅内ネットワークに流しても、視聴デバイスにおいて受信できないことがある。そこで、宅内ネットワークの入り口にゲートウェイ装置を設け、ゲートウェイ装置により、放送路および/または通信路を介して伝送されてきたマルチキャスト方式のデータを、ユニキャスト方式のデータに変換して、宅内ネットワークに流すことが考えられる。
【0008】
マルチキャスト方式では、受信しようとするコンテンツに対応するマルチキャストグループに参加することで、視聴デバイスはそのコンテンツを受信することができる。マルチキャスト方式のデータには、マルチキャストグループのIPアドレスが宛先IPアドレスとして設定される。ゲートウェイ装置は、マルチキャスト方式のデータに設定された宛先IPアドレス(マルチキャストグループアドレス)を、視聴デバイスのIPアドレスに付け替えることで、ユニキャスト方式のデータに変換することができる。ユニキャスト方式では、無線レイヤでの誤り訂正およびパケットの再送などの処理が行われるため、パケットロスが発生しても、視聴デバイスはコンテンツを受信することができる。
【0009】
しかしながら、単に、マルチキャスト方式のデータに設定された宛先IPアドレス(マルチキャストグループアドレス)を視聴デバイスのIPアドレスに付け替えるだけでは、PAメッセージのロケーション情報と不整合が生じ、視聴デバイスは、コンテンツのアセットを取得することができなくなってしまう。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、マルチキャスト方式で伝送された、パッケージを構成するアセットのデータをより確実に受信することができるゲートウェイ装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係るゲートウェイ装置は、マルチキャスト方式で伝送された、パッケージを構成する複数のアセットのデータを、ネットワークを介して接続された受信装置に中継するゲートウェイ装置であって、前記マルチキャスト方式の前記複数のアセットのデータと、前記複数のアセットのロケーション情報とを受信し、前記データに設定された宛先アドレスを前記受信装置のアドレスに付け替えたユニキャスト方式のデータに変換するとともに、前記付け替えに応じて前記ロケーション情報を書き換えて、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する付替部を備える。
【0012】
また、本発明に係るゲートウェイ装置において、前記パッケージを構成する複数のアセットのうち、一部のアセットのデータは、第1の伝送路を介して伝送され、残りのアセットのデータは、第2の伝送路を介して伝送され、前記ロケーション情報には、前記アセットのデータの宛先アドレスが含まれ、前記付替部は、前記第1の伝送路を介して伝送された第1のデータに設定された宛先アドレスおよび前記第2の伝送路を介して伝送された第2のデータに設定された宛先アドレスをそれぞれ、前記受信装置のアドレスに付け替えるとともに、前記付け替えに応じて、前記ロケーション情報に含まれる宛先アドレスを書き換えることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るゲートウェイ装置において、前記ロケーション情報には、前記アセットのデータを受信するための宛先ポートのポート番号である宛先ポート番号がさらに含まれ、前記第1のデータに設定された第1のポート番号と、前記第2のデータに設定された第2のポート番号とが同一である場合、前記第1のポート番号と前記第2のポート番号とを異なるポート番号に付け替えるとともに、前記付け替えに応じて、前記ロケーション情報に含まれる宛先ポート番号を書き換える。
【0014】
また、本発明に係るゲートウェイ装置において、前記アセットのデータの宛先アドレスと、前記アセットのデータを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号と、前記宛先ポートの代替であり、前記宛先アドレスごとに異なる代替宛先ポートのポート番号である代替宛先ポート番号とを対応付けた対応関係を記憶する制御部をさらに備え、前記付替部は、前記第1のデータと前記第2のデータとに設定された宛先アドレスが異なり、かつ、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とが同一である場合、前記記憶された対応関係に基づき、前記第1のポート番号および前記第2のポート番号を、対応する前記代替宛先ポート番号に付け替える。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述したゲートウェイ装置として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るゲートウェイ装置およびプログラムによれば、マルチキャスト方式で伝送された、パッケージを構成するデータをより確実に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示すゲートウェイ装置および視聴デバイスの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】
図1に示すゲートウェイ装置の制御部が記憶する、マルチキャストグループと、宛先ポート番号と、代替宛先ポート番号との対応関係の一例を示す図である。
【
図4A】
図1に示す付替部による宛先アドレスおよび宛先ポート番号の付け替えの一例を示す図である。
【
図4B】
図1に示すPAメッセージ書換部によるロケーション情報の書き換えの一例を示す図である。
【
図5A】
図1に示す付替部による宛先アドレスおよび宛先ポート番号の付け替えの他の一例を示す図である。
【
図5B】
図1に示すPAメッセージ書換部によるロケーション情報の書き換えの他の一例を示す図である。
【
図6】放送路と通信路とで異なるパッケージが伝送される放送通信連携サービスの一例を示す図である。
【
図7】
図6に示すPAメッセージに含まれるロケーション情報の一例を示す図である。
【
図8】ロケーション情報の参照によるアセットのデータの取得について説明するための図である。
【
図9】放送通信連携サービスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ通信システム1の構成例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るデータ通信システム1は、ゲートウェイ装置10と、受信装置としての視聴デバイス20とを備える。視聴デバイス20は、ユーザの宅内に設置されたテレビ、スマートフォン、タブレット端末などの、コンテンツを視聴するための装置である。ゲートウェイ装置10と視聴デバイス20とは、無線LANなどの宅内ネットワークを介して接続される。
【0021】
ゲートウェイ装置10は、視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークの入り口に設けられる。ゲートウェイ装置10は、1つの編成チャンネル(パッケージ)を構成する複数のアセットのデータを受信する。具体的には、ゲートウェイ装置10は、マルチキャスト方式で、放送路(第1の伝送路)を介して伝送されてきた、パッケージのメインコンテンツを構成するアセットのデータを受信する。また、ゲートウェイ装置10は、マルチキャスト方式で、通信路(第2の伝送路)を介して伝送されてきた、パッケージのサブコンテンツを構成するアセットのデータを受信する。また、ゲートウェイ装置10は、放送路を介して伝送されてきた、パッケージを構成する複数のアセットのロケーション情報を含むPAメッセージを受信する。ロケーション情報は、アセットのデータの宛先IPアドレス、宛先ポート番号などの、アセットのデータの取得に際して参照される情報である。ゲートウェイ装置10は、受信したマルチキャスト方式のデータ(パケット)をユニキャスト方式のデータ(パケット)に変換して、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する。また、ゲートウェイ装置10は、上述したマルチキャスト方式のデータのユニキャスト方式のデータへの変換に応じて、PAメッセージに含まれるロケーション情報を書き換えて、視聴デバイス20に送信する。
【0022】
視聴デバイス20は、ゲートウェイ装置10から宅内ネットワークを介して送信されてきたPAメッセージに含まれるロケーション情報を参照して、メインコンテンツおよびサブコンテンツのアセットのデータを取得し、コンテンツをユーザに提示する。
【0023】
次に、ゲートウェイ装置10および視聴デバイス20の構成について、
図1を参照して説明する。まず、ゲートウェイ装置10の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、ゲートウェイ装置10は、制御部11と、付替部12とを備える。
【0025】
制御部11は、詳細は後述するが、視聴デバイス20が受信するコンテンツに対応するマルチキャストグループのIPアドレスIPdと、IPアドレスIPdを宛先とするデータを視聴デバイス20において受信するためのポート(宛先ポート)のポート番号である宛先ポート番号Pdと、宛先ポートの代替となるポート(代替宛先ポート)のポート番号である代替宛先ポート番号Paとを対応付けて記憶する。制御部11は、後述する視聴デバイス20の制御部21と制御信号をやり取りすることで、IPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとの対応関係を取得する。制御部11は、記憶している対応関係に基づき、受信したマルチキャスト方式のデータに含まれる、宛先アドレス(IPアドレスIPd)および宛先ポート番号Pdの付け替えを指示する付替指示を付替部12に出力する。
【0026】
付替部12は、視聴デバイス20が接続された宅内ネットワークの外部(放送路および通信路(例えば、CATVなどのクローズドネットワーク))を介して送信されてきた、メインコンテンツおよびサブコンテンツのアセットのデータ(パケット)を受信する。また、付替部12は、放送路を介して送信されてきた、ロケーション情報を含むPAメッセージを受信する。ロケーション情報には、1つのパッケージを構成する複数のアセットのデータの取得に際して参照される情報が含まれる。したがって、ロケーション情報には、放送路を介して伝送されるアセットだけでなく、放送路を介して伝送されるアセットと同じパッケージを構成する、通信路を介して伝送されるアセットの取得に際して参照される情報も含まれる。
【0027】
受信したマルチキャスト方式のデータ(パケット)には、宛先アドレスとして、視聴デバイス20が参加するマルチキャストグループのIPアドレスIPdが設定され、また、IPアドレスIPdを宛先とするデータを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号Pdが設定されている。付替部12は、制御部11から出力された付替指示に従い、マルチキャスト方式のデータに設定された、IPアドレスIPdを視聴デバイス20のIPアドレスに付け替える。こうすることで、付替部12は、受信したマルチキャスト方式のデータを、ユニキャスト方式のデータに変換する。また、付替部12は、詳細は後述するが、必要に応じて、マルチキャスト方式のデータに設定された宛先ポート番号Pdを、宛先ポート番号Pdに対応付けられた代替宛先ポート番号Paに付け替える。
【0028】
また、付替部12は、PAメッセージ書換部121を備える。PAメッセージ書換部121は、上述した、マルチキャスト方式のデータに設定されたIPアドレスIPd(および宛先ポート番号Pd)の付け替えに応じて、ロケーション情報を書き換える。付替部12は、マルチキャスト方式のデータを変換して生成したユニキャスト方式のデータ、および、ロケーション情報を書き換えたPAメッセージを、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する。
【0029】
次に、視聴デバイス20の構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、視聴デバイス20は、制御部21と、デコーダ22と、提示部23とを備える。
【0031】
制御部21は、制御部11と制御信号のやり取りを行い、視聴デバイス20が参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPd、宛先ポート番号Pdおよび代替宛先ポート番号Paをゲートウェイ装置10に通知する。マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとが対応付けてゲートウェイ装置10で記憶されると、制御部21は、ゲートウェイ装置10から送信されるユニキャスト方式のデータの受信および受信したデータに基づくコンテンツの提示を指示する受信・提示指示をデコーダ22に出力する。
【0032】
デコーダ22は、制御部21から受信・提示指示が出力されると、ゲートウェイ装置10から宅内ネットワークを介して送信されてきたPAメッセージに含まれるロケーション情報を参照して、ユニキャスト方式で伝送されてきたコンテンツ(メインコンテンツおよびサブコンテンツ)のデータを受信する。デコーダ22は、受信したデータを復号し、コンテンツの映像・音声信号を取得して、提示部23に出力する。
【0033】
提示部23は、デコーダ22から出力された映像・音声信号を再生し、コンテンツを提示する。
【0034】
次に、ゲートウェイ装置10および視聴デバイス20の動作を、
図2に示すシーケンス図を参照して説明する。視聴デバイス20がマルチキャストグループに参加する操作を制御するプロトコルとして、IGMP(Internet Group Management Protocol)がある。以下では、IGMPを用いた場合を例として説明する。また、以下では、IPアドレスのプロトコルとしてIPv4を用いる場合を例として説明する。IPv6を用いる場合には、MLD(Multicast Listener Discovery)というプロトコルを用いることができる。この場合、視聴デバイス20は、後述するIGMP Joinメッセージの代わりにMLD Joinメッセージを送信し、IGMP Leaveメッセージの代わりにMLD Leaveメッセージを送信する点が異なるが、他の手順は、IPv4を用いる場合と同様である。
【0035】
マルチキャストグループに参加する場合、制御部21は、マルチキャストグループへの参加を要求するIGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信する(ステップS101)。IGMP Joinメッセージには、参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPdと、IPアドレスIPdを宛先とするデータを受信する宛先ポートの宛先ポート番号Pdとが含まれる。宛先ポート番号Pdは伝送されるコンテンツに関連付けられたポート番号であり、コンテンツが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスIPdとともに、コンテンツの配信開始前あるいは配信開始時などに、不図示の放送局から通知される。視聴デバイス20は、IGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信すると、宛先ポートを開いて、コンテンツのデータ(パケット)を待ち受ける。なお、視聴デバイス20は、IGMP Joinメッセージを一定時間ごとに繰り返し送信する。
【0036】
制御部11は、視聴デバイス20から送信されてきたIGMP Joinメッセージを受信する。視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応している場合、IGMPで定められた通常のシーケンスに従い、マルチキャスト方式のデータが視聴デバイス20に中継され、視聴デバイス20において受信される。
【0037】
宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応していない場合、制御部11は、IGMP Joinメッセージを受信すると、視聴デバイス20の宛先ポートに宛てて、ユニキャスト方式で代替宛先ポート要求メッセージを送信する(ステップS102)。代替宛先ポート要求メッセージは、宛先ポートの代替となる代替宛先ポートのポート番号(代替宛先ポート番号Pa)の通知を要求するメッセージである。制御部11は、視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応しているか否かを予め把握することができる。
【0038】
制御部21は、ゲートウェイ装置10から送信されてきた代替宛先ポート要求メッセージを受信すると、空きポートの中から代替宛先ポートとするポートを選択し、代替宛先ポート返答メッセージを、ゲートウェイ装置10に送信する(ステップS103)。代替宛先ポート返答メッセージには、視聴デバイス20が参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとが含まれる。視聴デバイス20は、後述する宛先ポート番号Pdの代替宛先ポート番号Paへの付け替えが行われる場合には、代替宛先ポートを開いて、ユニキャスト方式のデータを待ち受ける。
【0039】
制御部11は、視聴デバイス20から送信されてきた代替宛先ポート返答メッセージを受信すると、代替宛先ポート返答メッセージに含まれる、IPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとを対応付けて記憶する(ステップS104)。制御部11は、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとの対応付けを記憶すると、付替指示を付替部12に出力する。
【0040】
付替指示が制御部11から出力されると、付替部12は、マルチキャスト方式で放送路を介して伝送されてきたメインコンテンツのアセットのデータ、および、マルチキャスト方式で通信路を介して伝送されてきたサブコンテンツのアセットのデータを受信する(ステップS105)。受信したマルチキャスト方式のデータには、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdとが含まれる。
【0041】
付替部12は、受信したマルチキャスト方式のデータを、ユニキャスト方式のデータに変換する。具体的には、付替部12は、マルチキャスト方式のデータに含まれる、マルチキャストグループのIPアドレスIPdを視聴デバイス20のIPアドレスに付け替える。また、付替部12は、必要に応じて、受信したマルチキャスト方式のデータに含まれる宛先ポート番号Pdを、その宛先ポート番号Pdに対応付けて制御部11に記憶されている代替宛先ポート番号Paに付け替える。また、PAメッセージ書換部121は、上述したIPアドレスIPd(および宛先ポート番号Pd)の付け替えに応じて、PAメッセージに含まれるロケーション情報を書き換える(ステップS106)。
【0042】
付替部12は、マルチキャスト方式のデータを変換して生成したユニキャスト方式のデータを、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する(ステップS107)。上述したように、視聴デバイス20はIGMP Joinメッセージを一定時間ごとに繰り返し送信するが、ゲートウェイ装置10は、マルチキャスト方式のデータをユニキャスト方式のデータに変換して視聴デバイス20に送信する中継動作を開始すると、視聴デバイス20からIGMP Joinメッセージを受信しても、代替宛先ポート要求メッセージを送信しない。
【0043】
ゲートウェイ装置10は、マルチキャストグループからの離脱を要求するIGMP Leaveメッセージを視聴デバイス20から受信すると(ステップS108)、パケットの中継動作を終了する。すなわち、ゲートウェイ装置10は、IGMP Leaveメッセージを視聴デバイス20から受信するまで、上述したステップS105からステップS107の処理を繰り返す。
【0044】
視聴デバイス20におけるコンテンツの視聴形態として、マルチキャストグループのIPアドレスIPdだけが異なり、宛先ポート番号が同一であるコンテンツ(IPフロー)を同時に視聴するという視聴形態がある。このような視聴形態としては、例えば、スポーツ中継において、放送路経由でカメラの映像が伝送され、通信路(例えば、CATVなどのクローズドネットワーク)経由で別のカメラの映像が伝送され、これらの映像を視聴デバイス20で同時に視聴するという視聴形態がある。
【0045】
マルチキャスト方式のデータを視聴デバイス20に中継する場合、マルチキャスト方式のデータに設定されたマルチキャストグループのIPアドレスIPdを、視聴デバイス20のIPアドレスに単純に書き換える方法もある。しかしながら、この方法では、上述した視聴形態において、マルチキャストグループのIPアドレスIPdだけが異なり、宛先ポート番号Pdが同一であるIPフローを区別することができない。一方、本実施形態においては、IPフローごとに、宛先ポート番号Pdを代替宛先ポート番号Paに付け替えることができるので、上述したような視聴形態でも、各IPフローを区別することができる。
【0046】
次に、マルチキャスト方式のデータに設定されたIPアドレスIP
d(および宛先ポート番号P
d)の付け替え、および、その付け替えに応じたロケーション情報の書き換えの具体例について説明する。なお、以下では、制御部11は、
図3に示すように、マルチキャストグループのIPアドレスIP
dと、宛先ポート番号P
dと、代替宛先ポート番号P
aとを対応付けて記憶しているものとする。
図3に示す例では、メインコンテンツのマルチキャストグループのIPアドレスIP
d「224.0.0.1」と、メインコンテンツに関連付けられた宛先ポートの宛先ポート番号P
d「51216」と、代替宛先ポートの代替宛先ポート番号P
a「50000」とが対応付けられている。また、サブコンテンツのマルチキャストグループのIPアドレスIP
d「224.0.0.2」と、サブコンテンツに関連付けられた宛先ポートの宛先ポート番号P
d「51216」と、代替宛先ポートの代替宛先ポート番号P
a「50001」とが対応付けられている。
図3に示すように、制御部11は、マルチキャストグループアドレス(アセットのデータの宛先アドレス)と、アセットのデータを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号P
dと、宛先ポートの代替であり、宛先アドレスごとに異なる代替宛先ポートのポート番号である代替宛先ポート番号P
aとを対応付けて記憶する。
【0047】
図4Aは、付替部12の動作の一例を示す図である。
図4Aでは、図の簡略化のため、制御部11、制御部21および提示部23については記載を省略している。なお、以下では、視聴デバイス20のIPアドレスは「192.168.0.100」であるとする。また、以下では、
図9を参照して説明したように、1つのパッケージを構成する複数のアセットのうち、一部のアセット(メインコンテンツのアセット)のデータ(第1のデータ)は放送路(第1の伝送路)で伝送され、残りのアセット(サブコンテンツのアセット)のデータ(第2のデータ)は通信路(第2の伝送路)で伝送されるものとする。
【0048】
図4Aに示す例では、メインコンテンツのアセットのデータには、IPアドレスIP
d「224.0.0.1」と、宛先ポート番号P
d「51216」とが設定されている。また、サブコンテンツのアセットのデータには、IPアドレスIP
d「224.0.0.2」と、宛先ポート番号P
d「51216」とが設定されている。
【0049】
付替部12は、メインコンテンツのアセットのデータに設定されたIPアドレスIPd「224.0.0.1」を、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」に付け替える。また、付替部12は、サブコンテンツのアセットのデータに設定されたIPアドレスIPd「224.0.0.2」を、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」に付け替える。
【0050】
図3を参照して説明したように、IPアドレスIP
d「224.0.0.1」および宛先ポート番号P
d「51216」に対応付けて、代替宛先ポート番号P
a「50000」が記憶されている。また、IPアドレスIP
d「224.0.0.2」および宛先ポート番号P
d「51216」に対応付けて、代替宛先ポート番号P
a「50001」が記憶されている。付替部12は、この対応関係に基づき、メインコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d「51216」を代替宛先ポート番号P
a「50000」に付け替え、サブコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d「51216」を代替宛先ポート番号P
a「50001」に付け替える。
【0051】
したがって、付替部12は、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」および代替宛先ポート番号Pa「50000」が設定された、ユニキャスト方式のメインコンテンツのアセットのデータを視聴デバイス20に送信する。また、付替部12は、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」および代替宛先ポート番号Pa「50001」が設定された、ユニキャスト方式のサブコンテンツのアセットのデータを視聴デバイス20に送信する。
【0052】
PAメッセージ書換部121は、上述したIPアドレスIP
dおよび宛先ポート番号P
dの付け替えに応じて、PAメッセージに含まれるロケーション情報を書き換える。PAメッセージ書換部121によるロケーション情報の書き換えについて
図4Bを参照して説明する。
【0053】
図4Bに示す例では、メインコンテンツのアセットのロケーション情報として、「location_type」が含まれる。「location_type」はロケーション情報の種類を示す。
図4Bに示す例では、「location_type」として、「0x00」が設定されている。「0x00」は、ロケーション情報を記したMPテーブルを含むPAメッセージが伝送されるIPデータフローと同一のIPデータフローであることを示す。
【0054】
また、
図4Bに示す例では、サブコンテンツのアセットのロケーション情報として、「location_type」と、「ipv4_src_addr」と、「ipv4_dst_addr」と、「dst_port」とが含まれる。「location_type」として、「0x01」が設定されている。「0x01」は、IPv4のデータフローであることを示す。「ipv4_src_addr」は、サブコンテンツの送信元のIPアドレスであるソースIPアドレスを示し、
図4Bに示す例では、「10.0.0.1」が設定される。「ipv4_dst_addr」は、IPv4データフローの宛先アドレスを示し、サブコンテンツのアセットのデータに設定されたIPアドレスIP
d「224.0.0.2」が設定される。「dst_port」は、IPv4データフローの宛先ポート番号を示し、視聴デバイス20の宛先ポートの宛先ポート番号P
d「51216」が設定される。
【0055】
上述したように、サブコンテンツのアセットのデータに設定された宛先IPアドレスIP
d「224.0.0.2」は、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」に書き換えられる。また、サブコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d「51216」は、代替宛先ポート番号P
a「50001」に書き換えられる。したがって、PAメッセージ書換部121は、
図4Bに示すように、サブコンテンツのロケーション情報に含まれる「ipv4_dst_addr」に設定された「224.0.0.2」を、「192.168.0.100」に書き換える。また、PAメッセージ書換部121は、
図4Bに示すように、サブコンテンツのロケーション情報に含まれる「dst_port」に設定された「51216」を、「50001」に書き換える。
【0056】
このように、付替部12は、メインコンテンツとサブコンテンツとが1つのパッケージを構成し、メインコンテンツの宛先ポート番号Pd(第1のポート番号)と、サブコンテンツとで宛先ポート番号Pd(第2のポート番号)とが同一である場合、宛先IPアドレスIPdおよび宛先ポート番号Pdの付け替え、ならびに、ロケーション情報の書き換えを行う。
【0057】
図5Aは、付替部12の動作の他の一例を示す図である。なお、
図5Aにおいても、制御部11、制御部21および提示部23については記載を省略している。
【0058】
図5Aに示す例では、メインコンテンツのアセットのデータには、IPアドレスIP
d「224.0.0.1」と、宛先ポート番号P
d「51216」とが設定されている。また、サブコンテンツのアセットのデータには、IPアドレスIP
d「224.0.0.2」と、宛先ポート番号P
d「51217」とが設定されている。
【0059】
付替部12は、メインコンテンツのアセットのデータに設定されたIPアドレスIPd「224.0.0.1」を、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」に付け替える。また、付替部12は、サブコンテンツのアセットのデータに設定されたIPアドレスIPd「224.0.0.2」を、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」に付け替える。
【0060】
図5Aに示す例では、メインコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d「51216」と、サブコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d「51217」とが異なっている。この場合、代替宛先ポート番号P
aに付け替えなくても、メインコンテンツのデータフローとサブコンテンツのデータフローとを区別することができる。そのため、付替部12は、メインコンテンツおよびサブコンテンツのアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dの付け替えは行わない。
【0061】
したがって、付替部12は、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」および宛先ポート番号Pd「51216」が設定された、ユニキャスト方式のメインコンテンツのアセットのデータを視聴デバイス20に送信する。また、付替部12は、視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.100」および宛先ポート番号Pd「51217」が設定された、ユニキャスト方式のサブコンテンツのアセットのデータを視聴デバイス20に送信する。
【0062】
PAメッセージ書換部121は、上述したIPアドレスIP
dの付け替えに応じて、ロケーション情報を書き換える。PAメッセージ書換部121によるロケーション情報の書き換えについて
図5Bを参照して説明する。
【0063】
図5Aに示す例では、IPアドレスIP
dの付け替えのみが行われ、宛先ポート番号P
dの付け替えは行われていない。したがって、PAメッセージ書換部121は、サブコンテンツのアセットのロケーション情報に含まれる「ipv4_dst_addr」に設定された「224.0.0.2」を、「192.168.0.100」に書き換える。PAメッセージ書換部121は、
図5Bに示すように、サブコンテンツのロケーション情報に含まれる「dst_port」については書き換えを行わず、「51217」のままとする。
【0064】
このように、付替部12は、メインコンテンツとサブコンテンツとで宛先ポート番号Pdが異なる場合、宛先IPアドレスIPdの付け替えおよびロケーション情報の書き換えを行う。
【0065】
なお、
図6に示すように、放送路と通信路とで異なるパッケージを構成するアセットが伝送されることがある。この場合、伝送路ごとに、当該伝送路で伝送されるパッケージを構成するアセットのロケーション情報を記したMPテーブルを含むPAメッセージが伝送される。
【0066】
伝送路ごとに異なるパッケージのアセットが伝送される例として、
図4Aに示すように、メインコンテンツを構成するアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dと、メインコンテンツとは異なるパッケージのサブコンテンツを構成するアセットに設定された宛先ポート番号P
dとが異なる場合がある。また、別の例として、
図5Aに示すように、メインコンテンツを構成するアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dと、メインコンテンツとは異なるパッケージのサブコンテンツを構成するアセットに設定された宛先ポート番号P
dとが同一である場合がある。いずれの場合においても、付替部12による宛先IPアドレスIP
d(および宛先ポート番号P
d)の付け替えの動作は、
図4A,5Aを参照して説明した動作と同じである。
【0067】
したがって、
図4Aに示すように、メインコンテンツを構成するアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dと、サブコンテンツを構成するアセットに設定された宛先ポート番号P
dとが同じである場合には、付替部12は、アセットのデータに設定された宛先IPアドレスIP
d(「224.0.0.1」および「224.0.0.2」)を、視聴デバイス20のIPアドレス(「192.168.0.100」)に付け替える。また、付替部12は、アセットのデータに設定された宛先ポート番号P
d(「51216」および「51217」)を、代替宛先ポート番号Pa(「50000」および「50001」)に付け替える。
【0068】
また、
図5Aに示すように、メインコンテンツを構成するアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dと、サブコンテンツを構成するアセットに設定された宛先ポート番号P
dとが異なる場合には、付替部12は、アセットのデータに設定された宛先IPアドレスIP
d(「224.0.0.1」および「224.0.0.2」)を、視聴デバイス20のIPアドレス(「192.168.0.100」)に付け替える。
【0069】
メインコンテンツを構成するアセットのデータに設定された宛先ポート番号P
dと、メインコンテンツとは異なるパッケージのサブコンテンツを構成するアセットに設定された宛先ポート番号P
dとが、異なる場合であっても、同一である場合であっても、メインコンテンツおよびサブコンテンツのアセットのロケーション情報は、
図7に示すように、「0x00」を示す「location_type」のみとなる。したがって、PAメッセージ書換部121は、メインコンテンツおよびサブコンテンツそれぞれのロケーション情報を書き換えることなく、そのまま視聴デバイス20に中継する。
【0070】
なお、本実施形態においては、ゲートウェイ装置10には2つのコンテンツ(メインコンテンツおよびサブコンテンツ)のアセットが入力される例を用いて説明したが、これに限られるものではない。ゲートウェイ装置10に3以上のコンテンツのアセットが入力される場合でも、付替部12およびPAメッセージ書換部121は、本実施形態で説明したのと同様の処理により、宛先IPアドレスIPdおよび宛先ポート番号Pdの付け替え、ならびに、ロケーション情報の書き換えを行う。
【0071】
このように本実施形態においては、ゲートウェイ装置10は、マルチキャスト方式で伝送された複数のアセットのデータと、複数のアセットのロケーション情報とを受信すると、複数のアセットのデータに設定されたIPアドレスIPdを視聴デバイス20のアドレスに付け替えたユニキャスト方式のデータに変換する付替部12を備える。付替部12は、その付け替えに応じてロケーション情報を書き換えて、ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する。
【0072】
マルチキャスト方式で伝送された複数のアセットのデータの、ユニキャスト方式のデータへの変換に伴う宛先アドレスの付け替えに応じてロケーション情報を書き換えることで、ロケーション情報に不整合が生じることがなくなる。そのため、視聴デバイス20において、マルチキャスト方式で伝送されたパッケージのアセットのデータをより確実に受信することができる。
【0073】
上述した実施形態においては、宅内ネットワークに接続する視聴デバイス20が1つである例を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、宅内ネットワークに複数の視聴デバイス20が接続されていてもよい。この場合、ゲートウェイ装置10は、それぞれの視聴デバイス20からの要求に応じて、マルチキャスト方式で伝送されたデータの中継を行う。
【0074】
なお、実施形態では特に触れていないが、コンピュータを、ゲートウェイ装置10として機能させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0075】
あるいは、ゲートウェイ装置10が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、および、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、ゲートウェイ装置10に搭載されるチップが提供されてもよい。
【0076】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 データ通信システム
10 ゲートウェイ装置
11 制御部
12 付替部
121 PAメッセージ書換部
20 視聴デバイス(受信装置)
21 制御部
22 デコーダ
23 提示部