(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】フォーカス制御装置およびそのプログラム、ならびに、撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20210101AFI20240502BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240502BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240502BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240502BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240502BHJP
【FI】
G02B7/08 A
G03B13/36
G02B7/28 Z
G02B7/04 E
H04N23/60
(21)【出願番号】P 2020152511
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】船津 良平
(72)【発明者】
【氏名】菊地 幸大
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏平
(72)【発明者】
【氏名】安江 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 智樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 誉行
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-107603(JP,A)
【文献】特開2018-022045(JP,A)
【文献】特開2003-279832(JP,A)
【文献】特開2020-091412(JP,A)
【文献】特開2007-094133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G02B 7/28-7/40
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートフォーカス動作と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置で動作するマニュアルフォーカス動作とが切り替え可能で、現在のフォーカス位置と前記フォーカス指示位置とを出力する撮像レンズに対して、フォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置であって、
前記現在のフォーカス位置と前記フォーカス指示位置との差分を算出する差分算出手段と、
オートフォーカスまたはマニュアルフォーカスのいずれかのフォーカス動作の選択を操作者の指示により選択するフォーカス動作選択手段と、
前記フォーカス動作選択手段で選択されたフォーカス動作を前記撮像レンズに指示するフォーカス動作切替手段と、を備え、
前記フォーカス動作切替手段は、前記フォーカス動作選択手段で前記マニュアルフォーカスのフォーカス動作が選択された際に、前記差分算出手段で算出される差分が予め設定された閾値以下となった段階で、前記マニュアルフォーカスのフォーカス動作を前記撮像レンズに指示することを特徴とするフォーカス制御装置。
【請求項2】
オートフォーカス動作と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置で動作するマニュアルフォーカス動作とが切り替え可能で、現在のフォーカス位置を出力する撮像レンズに対して、フォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置であって、
前記撮像レンズのフォーカス位置を予め設定された時間間隔で記憶する記憶手段を備え、前記撮像レンズの現在のフォーカス位置と、前記予め設定された時間間隔前のフォーカス位置との差分を算出する差分算出手段と、
オートフォーカスまたはマニュアルフォーカスのいずれかのフォーカス動作の選択を操作者の指示により選択するフォーカス動作選択手段と、
前記フォーカス動作選択手段で選択されたフォーカス動作を前記撮像レンズに指示するフォーカス動作切替手段と、を備え、
前記フォーカス動作切替手段は、前記フォーカス動作選択手段で前記マニュアルフォーカスのフォーカス動作が選択された際に、前記マニュアルフォーカス動作と前記オートフォーカス動作とを予め設定された継続時間で相互に切り替えて前記撮像レンズに指示し、前記マニュアルフォーカス動作時に前記差分が予め設定された閾値以下となった段階で、フォーカス動作の相互の切り替えを終了することを特徴とするフォーカス制御装置。
【請求項3】
コンピュータを、請求項1または請求項2に記載のフォーカス制御装置として機能させるためのフォーカス制御プログラム。
【請求項4】
オートフォーカスによるフォーカス位置をオートフォーカス指示位置として撮像レンズに指示するオートフォーカス操作部と、
操作ノブの回転位置に対応したフォーカス位置をマニュアルフォーカス指示位置として前記撮像レンズに指示するマニュアルフォーカス操作部と、
オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを切り替えて、前記オートフォーカス指示位置または前記マニュアルフォーカス指示位置にフォーカス位置を移動させる前記撮像レンズと、
前記撮像レンズの現在のフォーカス位置と前記マニュアルフォーカス指示位置とを入力し、前記撮像レンズのフォーカス動作の切り替えを制御する請求項1に記載のフォーカス制御装置と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
オートフォーカスによるフォーカス位置をオートフォーカス指示位置として撮像レンズに指示するオートフォーカス操作部と、
操作ノブの回転位置に対応したフォーカス位置をマニュアルフォーカス指示位置として前記撮像レンズに指示するマニュアルフォーカス操作部と、
オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを切り替えて、前記オートフォーカス指示位置または前記マニュアルフォーカス指示位置にフォーカス位置を移動させる前記撮像レンズと、
前記撮像レンズの現在のフォーカス位置を入力し、前記撮像レンズのフォーカス動作の切り替えを制御する請求項2に記載のフォーカス制御装置と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカスの切り替えを制御するフォーカス制御装置およびそのプログラム、ならびに、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョンカメラ(撮像装置)を三脚等に据え付けて使用する場合、撮像レンズのフォーカス操作は、カメラマンがフォーカスデマンドと呼ばれるフォーカス調整用リモコンの操作ノブを手動で回転させることで行われる(マニュアルフォーカス〔MF〕)。一般的なフォーカスデマンドは、操作ノブの回転位置と撮像レンズのフォーカス位置とが1対1に対応している。また、一般的なフォーカスデマンドは、回転の前後方向に端点が存在し、前方および後方の端点が、それぞれ、無限遠側と最至近距離(MOD:Minimum Object Distance)側とに対応している。これによって、カメラマンは、操作ノブの回転位置で合焦位置を推定することができる。
【0003】
一方、オートフォーカス(AF)機能を有する撮像装置において、カメラマンの判断で、AFとMFとを相互に切り替える場合がある。このとき、AFからMFに切り替えた際に、操作ノブの絶対位置を参照して撮像レンズのフォーカスリングが回転するため、カメラマンの意図しないピント変化が生じる場合がある。
この問題を解決する手法として、操作ノブの回転方向に端点が存在しないフォーカスデマンドを使用する手法が挙げられる。このタイプのフォーカスデマンドであれば、フォーカスの移動が常に操作ノブの現在位置からの相対的な回転角で決められるため、AFからMFに切り替えた際にフォーカス位置の変化が生じない(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、フォーカスの移動が操作ノブの相対的な回転角で決められるため、操作ノブは端点が存在しない仕様となる。
しかし、このように操作ノブに端点がない場合、カメラマンは、フォーカス位置を操作ノブの絶対位置で把握することが困難となってしまう。
そこで、本発明は、操作ノブの回転方向に端点を持つフォーカスデマンドを用いても、オートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えた場合のカメラマンの意図しないフォーカス移動を抑えることが可能なフォーカス制御装置およびそのプログラム、ならびに、撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るフォーカス制御装置は、オートフォーカス動作と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置で動作するマニュアルフォーカス動作とが切り替え可能で、現在のフォーカス位置と前記フォーカス指示位置とを出力する撮像レンズに対して、フォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置であって、差分算出手段と、フォーカス動作選択手段と、フォーカス動作切替手段と、を備える構成とした。
【0007】
かかる構成において、フォーカス制御装置は、差分算出手段によって、現在のフォーカス位置とフォーカス指示位置との差分を算出する。これによって、撮像レンズがオートフォーカス動作を行っている場合に、マニュアルフォーカス動作に切り替えた際のフォーカス位置の変化量を求めることができる。
また、フォーカス制御装置は、フォーカス動作選択手段によって、オートフォーカスまたはマニュアルフォーカスのいずれかのフォーカス動作の選択を操作者であるカメラマンの指示により選択する。
【0008】
そして、フォーカス制御装置は、フォーカス動作切替手段によって、フォーカス動作選択手段で選択されたフォーカス動作を撮像レンズに指示することで、操作者の所望するフォーカス動作に切り替える。
ここで、フォーカス動作切替手段は、フォーカス動作選択手段でマニュアルフォーカスのフォーカス動作が選択された際に、差分算出手段で算出される差分が予め設定された閾値以下となった段階で、マニュアルフォーカスのフォーカス動作を撮像レンズに指示する。
これによって、オートフォーカス動作からマニュアルフォーカス動作に切り替わっても、フォーカス位置の変動が小さくなる。
【0009】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るフォーカス制御装置は、オートフォーカス動作と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置で動作するマニュアルフォーカス動作とが切り替え可能で、現在のフォーカス位置を出力する撮像レンズに対して、フォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置であって、差分算出手段と、フォーカス動作選択手段と、フォーカス動作切替手段と、を備える構成とした。
【0010】
かかる構成において、フォーカス制御装置は、撮像レンズのフォーカス位置を予め設定された時間間隔で記憶する記憶手段を備えた差分算出手段によって、撮像レンズの現在のフォーカス位置と、予め設定された時間間隔前である一時点前のフォーカス位置との差分を算出する。
そして、フォーカス制御装置は、フォーカス動作選択手段によって、オートフォーカスまたはマニュアルフォーカスのいずれかのフォーカス動作の選択を操作者であるカメラマンの指示により選択する。
【0011】
そして、フォーカス制御装置は、フォーカス動作切替手段によって、フォーカス動作選択手段で選択されたフォーカス動作を撮像レンズに指示することで、操作者の所望するフォーカス動作に切り替える。
ここで、フォーカス動作切替手段は、フォーカス動作選択手段でマニュアルフォーカスのフォーカス動作が選択された際に、マニュアルフォーカス動作とオートフォーカス動作とを予め設定された継続時間で相互に切り替えて撮像レンズに指示し、マニュアルフォーカス動作時に差分が予め設定された閾値以下となった段階で、フォーカス動作の相互の切り替えを終了する。
これによって、フォーカス動作切替手段は、オートフォーカス動作時に瞬間的にマニュアルフォーカス動作時のフォーカス位置を取得し、差分算出手段で算出される差分が予め設定された閾値以下となった段階で、マニュアルフォーカス動作に移行することができる。
なお、フォーカス制御装置は、コンピュータを、前記した各機能部として機能させるためのフォーカス制御プログラムで動作させることができる。
【0012】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、オートフォーカスによるフォーカス位置をオートフォーカス指示位置として撮像レンズに指示するオートフォーカス操作部と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス位置をマニュアルフォーカス指示位置として前記撮像レンズに指示するマニュアルフォーカス操作部と、オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを切り替えて、前記オートフォーカス指示位置または前記マニュアルフォーカス指示位置にフォーカス位置を移動させる前記撮像レンズと、前記撮像レンズの現在のフォーカス位置と前記マニュアルフォーカス指示位置とを入力し、前記撮像レンズのフォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置と、を備える構成としてもよい。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、オートフォーカスによるフォーカス位置をオートフォーカス指示位置として撮像レンズに指示するオートフォーカス操作部と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス位置をマニュアルフォーカス指示位置として前記撮像レンズに指示するマニュアルフォーカス操作部と、オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを切り替えて、前記オートフォーカス指示位置または前記マニュアルフォーカス指示位置にフォーカス位置を移動させる前記撮像レンズと、前記撮像レンズの現在のフォーカス位置を入力し、前記撮像レンズのフォーカス動作の切り替えを制御するフォーカス制御装置と、を備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、操作ノブに回転の端点を持つマニュアルフォーカス操作部(フォーカスデマンド)を用いた場合でも、オートフォーカスからマニュアルフォーカスに切り替えた際に、フォーカス位置の差分が予め定めた閾値以下となった段階で切り替わるため、カメラマンの意図しないフォーカス移動を防止することができる。
これによって、本発明は、カメラマンのフォーカス移動の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るフォーカス制御装置を備えた撮像装置(テレビジョンカメラ)の斜視図である。
【
図2】フォーカスデマンドの操作ノブの一例を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るフォーカス制御装置の構成を示すブロック構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るフォーカス制御装置のAF/MFの切り替え動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るフォーカス制御装置のAFからMFへの切り替え動作をフォーカスデマンドの操作ノブの(a)~(d)の操作に対応付けて説明するための説明図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るフォーカス制御装置の構成を示すブロック構成図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るフォーカス制御装置のAF/MFの切り替え動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るフォーカス制御装置のAFからMFへの切り替え動作をフォーカスデマンドの操作ノブの(a)~(d)の操作に対応付けて説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪撮像装置の全対構成≫
最初に、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るフォーカス制御装置を備えた撮像装置の全体構成について説明する。
撮像装置100は、被写体を撮像するカメラであって、放送局等で用いられるテレビジョンカメラである。
ここでは、撮像装置100は、撮像レンズ1と、カメラ本体部2と、AF操作部3と、MF操作部4と、フォーカス制御装置5と、ビューファインダ6と、操作アーム7と、雲台8と、を備える。
【0017】
撮像レンズ1は、図示を省略した光学系、フォーカス移動機構等を含んだ一般的なカメラレンズである。この撮像レンズ1に入射される被写体光は、フォーカス位置に応じて集光してカメラ本体部2に照射される。
この撮像レンズ1は、フォーカス制御装置5からの動作指示により、AF操作部3から指示されるフォーカス位置(AF指示位置)、または、MF操作部4から指示されるフォーカス位置(MF指示位置)のいずれか一方のフォーカス位置にフォーカスを移動させる。
【0018】
また、撮像レンズ1は、オートフォーカス動作と、操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置で動作するマニュアルフォーカス動作とが切り替え可能で、現在のフォーカス位置とMF指示位置とを出力する機能を有するものとする。
なお、撮像レンズ1Bは、撮像レンズ1と同じ機能を有するが、MF指示位置の出力は行わず、現在のフォーカス位置のみをフォーカス制御装置5Bに出力する機能を有するものとする。
【0019】
カメラ本体部2は、撮像レンズ1から入射される被写体光を映像信号に変換するものである。カメラ本体部2は、一般的なものであるため、詳細な説明を省略する。
カメラ本体部2は、撮像した映像をビューファインダ6に表示するとともに、図示を省略した信号線を介して、外部に映像信号を出力する。
なお、ここでは、カメラ本体部2は、内部にAF操作部3を備える。
【0020】
AF(オートフォーカス)操作部3は、撮像レンズ1のフォーカス位置を被写体の合焦位置に自動(オート)で合わせるものである。
AF操作部3は、例えば、像面位相差方式により、フォーカス位置を調節する。像面位相差方式は、1つのイメージセンサ内の位相差を検出するための画素対による2眼ステレオ画像間の視差から幾何学的に被写体距離を算出し、フォーカス位置を調整する方式である。
AF操作部3は、フォーカス位置(AF指示位置)を撮像レンズ1に出力する。
【0021】
MF(マニュアルフォーカス)操作部4(フォーカスデマンド)は、撮像レンズ1のフォーカス位置を手動(マニュアル)で移動させるものである。
MF操作部4は、操作ノブ41を備え、操作ノブ41の回転位置に応じたフォーカス位置を、撮像レンズ1に出力する。
操作ノブ41は、
図2に示すように、回転機構(不図示)を備え、前方および後方の端点が、それぞれ、無限遠(INF)側と最至近距離(MOD)側とに対応している。この操作ノブ41の回転位置は、撮像レンズ1のフォーカス位置と1対1に対応している。
【0022】
フォーカス制御装置5は、撮像レンズ1のフォーカス動作の切り替えを制御するものである。なお、フォーカス制御装置5Bは、MF指示位置を出力しない撮像レンズ1Bに対応し、撮像レンズ1Bのフォーカス動作の切り替えを制御するものである。
このフォーカス制御装置5,5Bの構成および動作については後記する。
【0023】
ビューファインダ6は、撮像レンズ1を介して撮像された映像を表示するものである。このビューファインダ6は、撮像レンズ1のフォーカス位置がAFまたはMFによって移動して撮像された映像を、カメラマン(操作者)が確認するために用いられる。
【0024】
操作アーム7は、カメラマンの操作によって、撮像レンズ1の向きをパン方向またはチルト方向に移動させるものである。
雲台8は、カメラ本体部2を搭載する台である。この雲台8は、パン方向およびチルト方向に回転するパン機構およびチルト機構(不図示)を備え、カメラマンによる雲台8に固定された操作アーム7の操作によって、パン方向またはチルト方向に回転する。
このように構成された撮像装置100は、カメラマンの操作によって、AFとMFとを切り替えて、被写体を撮像する。
【0025】
<フォーカス制御装置の構成:第1実施形態>
次に、
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るフォーカス制御装置5の構成について説明する。
【0026】
フォーカス制御装置5は、撮像レンズ1のフォーカス位置をAFで制御するか、MFで制御するかの切り替え制御を行うものである。
フォーカス制御装置5は、MF操作部4が撮像レンズ1に指示するMFのフォーカス位置(MF指示位置)と、現在のフォーカス位置とを、撮像レンズ1から入力する。
また、フォーカス制御装置5は、カメラマンの操作によるAF/MFの切り替え時に、実際のAF/MFの動作を切り替える指示(動作切替指示)を撮像レンズ1に出力する。
図3に示すように、フォーカス制御装置5は、フォーカス動作選択手段50と、閾値設定手段51と、差分算出手段52と、フォーカス動作切替手段53と、を備える。
【0027】
フォーカス動作選択手段50は、AFまたはMFのいずれかのフォーカス動作をカメラマンの指示により選択するものである。このフォーカス動作選択手段50は、図示を省略した切替スイッチ等を介して、カメラマンによって、撮像レンズ1のフォーカス動作が選択される。
フォーカス動作選択手段50は、選択されたフォーカス動作を示す指示をフォーカス動作切替手段53に出力する。
【0028】
閾値設定手段51は、MF指示位置と現在のフォーカス位置との差で、AFからMFに切り替える基準となる閾値を設定するものである。この閾値設定手段51は、図示を省略した数字キー等の入力手段を介して、カメラマンによって数値が閾値Tとして設定される。なお、閾値Tは、予め定めた固定値とする場合、必ずしも閾値設定手段51を備える必要はなく、フォーカス動作切替手段53に予め固定値が設定されていればよい。
【0029】
差分算出手段52は、現在のフォーカス位置と操作ノブの回転位置に対応したフォーカス指示位置との差分を算出するものである。ここでは、差分算出手段52は、撮像レンズ1から出力される現在のフォーカス位置と、MF指示位置との差分を算出する。
差分算出手段52は、MF指示位置をFM、現在のフォーカス位置をFPとしたとき、差分Dを差分絶対値であるD=|FP-FM|として算出する。
差分算出手段52は、算出した差分(差分絶対値)Dを、フォーカス動作切替手段53に出力する。
なお、差分算出手段52は、常時、差分を算出する必要はなく、フォーカス動作切替手段53が差分を使用する際に、フォーカス動作切替手段53からの指示で算出を行ってもよい。
【0030】
フォーカス動作切替手段53は、フォーカス動作選択手段50で選択されたフォーカス動作を撮像レンズ1に指示するものである。
このフォーカス動作切替手段53は、撮像レンズ1がMFで動作している状態で、AFのフォーカス動作が選択された場合、MFからAFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1に出力する。これによって、撮像レンズ1は、AFで動作することになる。
そして、フォーカス動作切替手段53は、撮像レンズ1の現在のフォーカス動作がAFである状態を、図示を省略したメモリに記憶しておく。
【0031】
一方、フォーカス動作切替手段53は、撮像レンズ1がAFで動作している状態で、MFのフォーカス動作が選択された場合、以下の制御を行って、撮像レンズ1をMFで動作する状態に移行させる。
まず、フォーカス動作切替手段53は、MFのフォーカス動作が選択された時点では、AF動作を継続し、動作切替待ち状態となる。
動作切替待ち状態の間、MF操作部4から出力されるMF指示位置は、フォーカス制御装置5に入力されることになる。
そして、フォーカス動作切替手段53は、動作切替待ち状態において、差分算出手段52で算出される差分(差分絶対値)Dと閾値設定手段51で設定された閾値Tとを比較し、差分Dが閾値Tよりも大きい間、動作切替待ち状態で待機する。一方、差分Dが閾値T以下となった場合、フォーカス動作切替手段53は、AFからMFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1に出力する。これによって、撮像レンズ1は、MFで動作する状態になる。
そして、フォーカス動作切替手段53は、撮像レンズ1の現在のフォーカス動作がMFである状態を、図示を省略したメモリに記憶しておく。
【0032】
以上説明したように構成することで、フォーカス制御装置5は、AFからMFにフォーカス動作を切り替える際に、MF操作部4のMF指示位置に対応するフォーカス位置と、AFの現在のフォーカス位置との差分が予め定めた閾値以下になった段階で、撮像レンズ1のフォーカス動作をMFに切り替えることができる。
これによって、フォーカス制御装置5は、AFからMFにフォーカス動作を切り替えた際の意図しないフォーカス移動を抑制することができる。
なお、フォーカス制御装置5は、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるためのプログラム(フォーカス制御プログラム)で動作させることができる。
【0033】
<フォーカス制御装置の動作:第1実施形態>
次に、
図4を参照(構成については、適宜
図3参照)して、本発明の第1実施形態に係るフォーカス制御装置5の動作(AF⇔MF切替動作)について説明する。なお、ここでは、撮像レンズ1の初期状態のフォーカス動作がAFであるとする。また、閾値設定手段51によって、予め閾値Tが設定されているものとする。
【0034】
ステップS1において、フォーカス動作選択手段50は、切替スイッチ等によって、フォーカス動作としてMFが選択されたか否かを判定する。
ここで、MFが選択された場合(ステップS1でYes)、フォーカス制御装置5は、ステップS2に動作を進める。一方、MFが選択されていない場合(ステップS1でNo)、フォーカス制御装置5は、撮像レンズ1がAFで動作している状態を保持する。
【0035】
ステップS2において、差分算出手段52は、撮像レンズ1から出力される現在のフォーカス位置と、MF指示位置との差分(差分絶対値)Dを算出する。
ここで、現在のフォーカス位置は、撮像レンズ1がAFで動作している実際のフォーカス位置である。また、MF指示位置は、MF操作部4の操作ノブ41の回転位置に対応したフォーカス位置である。
【0036】
ステップS3において、フォーカス動作切替手段53は、ステップS2で算出された差分Dが、予め設定された閾値T以下であるか否かを判定する。
ここで、差分Dが閾値T以下の場合(ステップS3でYes)、フォーカス制御装置5は、ステップS4に動作を進める。一方、差分Dが閾値Tよりも大きい場合(ステップS3でNo)、フォーカス制御装置5は、ステップS2に動作を戻す。
なお、差分Dが閾値Tよりも大きい場合、カメラマンが、MF操作部4の操作ノブ41を回転させることで、MF指示位置が更新されることになる。
【0037】
ステップS4において、フォーカス動作切替手段53は、AFからMFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1に出力する。これによって、撮像レンズ1は、MFで動作する状態になる。
ステップS5において、フォーカス動作選択手段50は、切替スイッチ等によって、フォーカス動作としてAFが選択されたか否かを判定する。
ここで、AFが選択された場合(ステップS5でYes)、フォーカス制御装置5は、ステップS6に動作を進める。一方、AFが選択されていない場合(ステップS5でNo)、フォーカス制御装置5は、撮像レンズ1がMFで動作している状態を保持する。
【0038】
ステップS6において、フォーカス動作切替手段53は、MFからAFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1に出力する。これによって、撮像レンズ1は、AFで動作する状態になる。
そして、フォーカス制御装置5は、ステップS1に戻って動作を繰り返す。
【0039】
以上の動作によって、フォーカス制御装置5は、撮像レンズ1のフォーカス動作をAFとMFとの相互で切り替えることができる。このとき、フォーカス制御装置5は、AFからMFへの切り替えを、MF指示位置に対応するフォーカス位置と、現在のフォーカス位置との差分が予め定めた閾値以下になった段階で行うため、意図しないフォーカス移動を抑制することができる。
【0040】
<操作ノブの動き>
図5を参照して、フォーカス制御装置5を用いた場合において、AFからMFへの切り替えにおけるMF操作部4の操作ノブ41の動きについて模式的に説明する。
【0041】
図5(a)は、撮像レンズ1がAFで動作している状態を示している。例えば、MODとINFとの中間位置にMFのフォーカス位置F
Mに対応する回転位置が存在したとしても、その位置は、AFによって変動する実際のフォーカス位置F
Pによっては変動しない。なお、
図5では、MFのフォーカス位置F
Mに対応する回転位置を操作ノブ41上に実線で表し、AFのフォーカス位置F
Pに対応する仮想の回転位置を操作ノブ41上に破線で示している。
【0042】
図5(b),(c)は、フォーカス動作としてMFが選択された状態を示している。
図5(b)に示すように、MFが選択された場合、操作ノブ41を回転させることで、回転位置に対応するフォーカス位置F
Mが変動する。なお、このとき、撮像レンズ1は、フォーカス位置を移動させない。
【0043】
そして、
図5(c)に示すように、フォーカス位置F
Mとフォーカス位置F
Pとの差分Dが閾値T以下となった段階で、撮像レンズ1はMFのフォーカス動作へと移行する。
この段階で、撮像レンズ1のフォーカス位置は、AFのフォーカス位置F
Pから、MFのフォーカス位置F
Mに移動することになるが、その移動量は閾値T以下となる。
そして、
図5(d)に示すように、操作ノブ41の回転によって、フォーカス位置F
Mが変動することになる。
【0044】
<フォーカス制御装置の構成:第2実施形態>
次に、
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るフォーカス制御装置5Bの構成について説明する。
【0045】
フォーカス制御装置5Bは、撮像レンズ1Bのフォーカス位置をAFで制御するか、MFで制御するかの切り替え制御を行うものである。
フォーカス制御装置5Bは、現在のフォーカス位置を、撮像レンズ1Bから入力する。
また、フォーカス制御装置5Bは、カメラマンの操作によるAF/MFの切り替え時に、実際のAF/MFの動作を切り替える指示(動作切替指示)を撮像レンズ1Bに出力する。
【0046】
図6に示すように、フォーカス制御装置5Bは、フォーカス動作選択手段50と、閾値設定手段51Bと、差分算出手段52Bと、フォーカス動作切替手段53Bと、時間設定手段54と、を備える。
フォーカス動作選択手段50は、
図3で説明したフォーカス制御装置5と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0047】
閾値設定手段51Bは、現在のフォーカス位置と予め定めた時間間隔前のフォーカス位置(直前のフォーカス位置)との差で、AFからMFに切り替える基準となる閾値を設定するものである。この閾値設定手段51Bは、図示を省略した数字キー等の入力手段を介して、カメラマンによって数値が閾値Tとして設定される。
なお、閾値Tは、予め定めた固定値とする場合、必ずしも閾値設定手段51Bを備える必要はなく、フォーカス動作切替手段53Bに予め固定値が設定されていればよい
【0048】
差分算出手段52Bは、撮像レンズ1Bの現在のフォーカス位置と、記憶手段Mに記憶されている予め設定された時間間隔前のフォーカス位置(直前のフォーカス位置)との差分を算出するものである。記憶手段Mは、撮像レンズ1Bのフォーカス位置を逐次記憶するバッファである。この記憶手段Mに記憶されている現在の時刻tから時間t1だけ過去のフォーカス位置が直前のフォーカス位置として利用される。
差分算出手段52Bは、現在のフォーカス位置をFP(t)、直前のフォーカス位置をFP(t-t1)としたとき、差分Dを差分絶対値であるD=|FP(t)-FP(t-t1)|により算出する。なお、時間t1は、時間設定手段54で設定された時間である。
差分算出手段52Bは、算出した差分(差分絶対値)Dを、フォーカス動作切替手段53Bに出力する。
なお、差分算出手段52Bは、常時、差分を算出する必要はなく、フォーカス動作切替手段53Bが差分を使用する際に、フォーカス動作切替手段53Bからの指示で算出を行ってもよい。
【0049】
フォーカス動作切替手段53Bは、フォーカス動作選択手段50で選択されたフォーカス動作を撮像レンズ1Bに指示するものである。
このフォーカス動作切替手段53Bは、撮像レンズ1BがMFで動作している状態で、AFのフォーカス動作が選択された場合、MFからAFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1Bに出力する。これによって、撮像レンズ1Bは、AFで動作することになる。
そして、フォーカス動作切替手段53Bは、撮像レンズ1Bの現在のフォーカス動作がAFである状態を、図示を省略したメモリに記憶しておく。
【0050】
一方、フォーカス動作切替手段53Bは、撮像レンズ1BがAFで動作している状態で、MFのフォーカス動作が選択された場合、以下の制御を行って、撮像レンズ1BをMFで動作する状態に移行させる。
まず、フォーカス動作切替手段53Bは、MFのフォーカス動作が選択された時点で、動作切替待ち状態となる。
動作切替待ち状態の間、フォーカス動作切替手段53Bは、定期的にMFのフォーカス動作とAFのフォーカス動作とを切り替える。
フォーカス動作切替手段53Bは、AFからMFへの一時的な切り替えによる現在のフォーカス位置FP(t)と、直前のフォーカス位置FP(t-1)との差分Dが閾値T以下となった段階で、動作切替待ち状態から、完全なMFのフォーカス動作状態へと移行する。
【0051】
一方、フォーカス動作切替手段53Bは、AFからMFへの一時的な切り替えによる現在のフォーカス位置FP(t)と、直前のフォーカス位置FP(t-1)との差分Dが閾値Tよりも大きい場合、MFからAFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1Bに出力する。そして、フォーカス動作切替手段53Bは、時間設定手段54で設定される時間t2経過後、AFからMFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1Bに出力する。
このように、フォーカス動作切替手段53Bは、動作切替待ち状態で、MFにおけるフォーカス位置と、直前のAFにおけるフォーカス位置との差分が大きい場合、AFに動作を戻し、差分が小さくなった段階で、完全なMFのフォーカス動作状態に移行する。
【0052】
時間設定手段54は、フォーカス制御装置5B内の動作を規定する各種の時間を設定するものである。
ここでは、時間設定手段54は、差分算出手段52Bで使用するフォーカス位置の時間間隔である時間t1と、フォーカス動作切替手段53Bで、動作切替待ち状態におけるAFの動作時間である時間t2を設定する。
この時間設定手段54は、図示を省略した数字キー等の入力手段を介して、カメラマンによって数値が時間t1,t2として設定される。
なお、時間t1,t2は、予め定めた固定値とする場合、必ずしも時間設定手段54を備える必要はなく、差分算出手段52B、フォーカス動作切替手段53Bに予め固定値が設定されていればよい。
【0053】
以上説明したように構成することで、フォーカス制御装置5Bは、AFからMFにフォーカス動作を切り替える際に、MF操作部4のMF指示位置に対応するフォーカス位置と、AFのフォーカス位置との差分が小さくなった段階で、撮像レンズ1のフォーカス動作をMFに切り替えることができる。
これによって、フォーカス制御装置5Bは、AFからMFにフォーカス動作を切り替えた際の意図しないフォーカス移動を抑制することができる。
なお、フォーカス制御装置5Bは、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるためのプログラム(フォーカス制御プログラム)で動作させることができる。
【0054】
<フォーカス制御装置の動作:第2実施形態>
次に、
図7を参照(構成については、適宜
図6参照)して、本発明の第2実施形態に係るフォーカス制御装置5Bの動作(AF⇔MF切替動作)について説明する。なお、ここでは、撮像レンズ1Bの初期状態のフォーカス動作がAFであるとする。また、閾値設定手段51Bによって、予め閾値Tが設定され、時間設定手段54によって、予め時間t1,t2が設定されているものとする。
なお、ステップS1,S5~S6の動作については、
図4で説明したフォーカス制御装置5の動作と同じであるため、説明を省略する。
【0055】
ステップS1でMFが選択された後、ステップS10において、フォーカス動作切替手段53Bは、AFからMFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1Bに出力する。これによって、撮像レンズ1Bは、MFで動作している状態になる。
ステップS11において、差分算出手段52Bは、撮像レンズ1Bから出力される現在(時刻t)のフォーカス位置FP(t)と、時間t1だけ前の時点(時刻t-t1)で記憶手段Mに記憶されているフォーカス位置(直前のフォーカス位置)FP(t-t1)との差分Dを算出する。
【0056】
ステップS12において、フォーカス動作切替手段53Bは、ステップS11で算出された差分Dが、予め設定された閾値T以下であるか否かを判定する。
ここで、差分Dが閾値T以下の場合(ステップS12でYes)、フォーカス制御装置5Bは、ステップS5に動作を進める。一方、差分Dが閾値Tよりも大きい場合(ステップS12でNo)、フォーカス制御装置5Bは、ステップS13に動作を進める。
【0057】
ステップS13において、フォーカス動作切替手段53Bは、MFからAFへの切り替えを指示する動作切替指示を撮像レンズ1Bに出力する。これによって、撮像レンズ1Bは、AFで動作している状態になる。このように、差分Dが閾値Tよりも大きい場合に、MFからAFに素早く動作を切り替えることで、撮像レンズ1Bのフォーカス位置が大きく変動することを防ぐことができる。
ステップS14において、フォーカス動作切替手段53Bは、時間t2だけ待機し、AFの動作状態を継続する。そして、時間t2経過後、フォーカス動作切替手段53Bは、ステップS10以降の動作を実行する。
【0058】
以上の動作によって、フォーカス制御装置5Bは、撮像レンズ1Bのフォーカス動作をAFとMFとの相互で切り替えることができる。このとき、フォーカス制御装置5Bは、AFからMFへの切り替えを、MF動作時のフォーカス位置と、AF動作時のフォーカス位置との差分が小さくなった段階で行うため、意図しないフォーカス移動を抑制することができる。
【0059】
<操作ノブの動き>
図8を参照して、フォーカス制御装置5Bを用いた場合において、AFからMFへの切り替えにおけるMF操作部4の操作ノブ41の動きについて模式的に説明する。
【0060】
図8(a)は、撮像レンズ1BがAFで動作している状態を示している。これは、
図5(a)と同じ状態である。
図8(b),(c)は、フォーカス動作としてMFが選択された後の動作切替待ち状態を示している。動作切替待ち状態において、AFからMFへ一時的に動作が切り替えられると、時間t1が経過する間に、撮像レンズ1Bのフォーカス位置は、操作ノブ41が指示するMFのフォーカス位置の方向に、差分D=|F
P(t)-F
P(t-t1)|だけ変化する。
図8(b)に示すように、MFを選択して操作ノブ41を回転させても、差分Dが閾値Tよりも大きい場合、フォーカス動作切替手段53Bは、動作切替待ち状態が継続する。そして、
図7のステップS13の動作により、撮像レンズ1Bは、MF動作からAF動作に切り替わる。このAF動作は、時間t2だけ継続し、再び
図7のステップS1からS12の動作が繰り返される。
【0061】
そして、
図8(c)に示すように、差分Dが閾値T以下となった段階で、動作切替状態が完了し、撮像レンズ1BはMFのフォーカス動作へと完全に移行する。
この段階で、撮像レンズ1Bのフォーカス位置は、AFのフォーカス位置から、MFのフォーカス位置F
P(t)に移動することになるが、その移動量は閾値T以下となる。
そして、
図8(d)に示すように、操作ノブ41の回転によって、フォーカス位置F
Mと現在のフォーカス位置F
Pとが一致することになる。
【符号の説明】
【0062】
100 撮像装置
1,1B 撮像レンズ
2 カメラ本体部
3 AF(オートフォーカス)操作部
4 MF(マニュアルフォーカス)操作部(フォーカスデマンド)
41 操作ノブ
5,5B フォーカス制御装置
50 フォーカス動作選択手段
51,51B 閾値設定手段
52,52B 差分算出手段
53,53B フォーカス動作切替手段
54 時間設定手段
M 記憶手段