(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/153 20060101AFI20240502BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240502BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20240502BHJP
H01L 21/66 20060101ALN20240502BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/28 B
H01J37/12
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2022545025
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(86)【国際出願番号】 EP2021053325
(87)【国際公開番号】W WO2021165135
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537223(JP,A)
【文献】特表2002-530833(JP,A)
【文献】特開平03-276547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0243717(US,A1)
【文献】特表2007-538398(JP,A)
【文献】特表2014-519724(JP,A)
【文献】特開2005-203464(JP,A)
【文献】特開2014-229481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01L 21/64-21/66
H01L 21/30
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビームコラムであって、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、前記荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成された複数の集光レンズであって、前記複数の荷電粒子ビームをそれぞれの中間焦点に集束させるように構成された複数の集光レンズと、前記中間焦点のダウンビームであるように構成された複数の対物レンズであって、各対物レンズは前記複数の荷電粒子ビームのうちの1つをサンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、前記複数の荷電粒子ビーム中の1つ又は複数の収差を低減するように構成された収差補正器と、を含む複数のビームコラムを含み、
前記ビームコラムは、前記荷電粒子ビームを前記サンプルの隣接領域に投影するように互いに隣接して配置される、
荷電粒子評価ツール。
【請求項2】
前記対物レンズと一体化された検出器を更に含み
、
前記検出器は、前記サンプルの方を向いている、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記収差補正器は、焦点補正器を含む、請求項1又は2に記載のツール。
【請求項4】
前記収差補正器は、非点収差補正器及び/又は像面湾曲補正器を含み
、
前記対物レンズは、前記非点収差補正器を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のツール。
【請求項5】
前記ビームコラムは、矩形のアレイ状に配置される、請求項1~4の何れか一項に記載のツール。
【請求項6】
前記ビームコラムは、六角形のアレイ状に配置される、請求項1~4の何れか一項に記載のツール。
【請求項7】
ビームコラムの数は、9~200の範囲内である、請求項1~6の何れか一項に記載のツール。
【請求項8】
各ビームコラム内の集光レンズの数は、1,000~100,00
0の範囲内にある、請求項1~7の何れか一項に記載のツール。
【請求項9】
各ビームコラムの前記集光レンズは、50~500μmの範囲
内のピッチを有するそれぞれのアレイ内に配置される、請求項1~8の何れか一項に記載のツール。
【請求項10】
前記集光レンズ及び/又は前記対物レンズは、MEMS又はCMOSデバイスとして形成される、請求項1~9の何れか一項に記載のツール。
【請求項11】
前記収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、前記中間焦点のそれぞれ1つに配置されるか、又はそれと直接的に隣接して配置される、請求項1~10の何れか一項に記載のツール。
【請求項12】
前記サンプルに渡って前記
荷電粒子ビームを走査するための1つ又は複数の走査偏向器を更に含み
、
前記1つ又は複数の走査偏向器は、前記対物レンズのうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する、請求項1~11の何れか一項に記載のツール。
【請求項13】
1つ又は複数のコリメータを更に含む、請求項1~12の何れか一項に記載のツール。
【請求項14】
前記1つ又は複数のコリメータは、1つ又は複数のコリメータ偏向器であり
、
前記1つ又は複数のコリメータ偏向器は、前記
荷電粒子ビームの主光線が前記サンプルに実質的に垂直に入射することを確実にするのに効果的な量だけ、それぞれのビームレットを曲げるように構成される、請求項13に記載のツール。
【請求項15】
複数のビームコラムを使用して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放出することであって、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、前記荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成され、且つ前記複数の荷電粒子ビームをそれぞれの中間焦点に集束させるように構成された、複数の集光レンズと、複数の対物レンズであって、そのそれぞれは、前記それぞれの中間焦点のダウンビームであるように構成され、前記複数の対物レンズの各々は、前記複数の荷電粒子ビームのうちの1つを前記サンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、前記複数の荷電粒子ビーム中の1つ又は複数の収差を低減するように構成された収差補正器と、を含むことを含み、
前記ビームコラムは、前記荷電粒子ビームを前記サンプルの隣接領域に投影するように互いに隣接して配置される、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年2月21日に出願された欧州特許出願第20158863.9号、及び2020年7月6日に出願された欧州特許出願第20184162.4号、及び2020年11月11日に出願された欧州特許出願第20206987.8号の優先権を主張するものである。これらの特許出願はそれぞれ、全体として本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本明細書に提供される実施形態は、一般に、荷電粒子評価ツール及び検査方法に関し、特に、複数の荷電粒子サブビームを使用する荷電粒子評価ツール及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際に、例えば、光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が、製作プロセス中に、基板(すなわち、ウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それによって歩留まりが低下する。したがって、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的に、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、それの製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えば、パターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子の相互作用により、二次電子、後方散乱電子、又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することによって、サンプルの表面にわたり二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することによって、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 荷電粒子検査装置のスループット及び他の特性を向上させる一般的必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書で提供する実施形態は、荷電粒子ビーム検査装置を開示する。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によれば、荷電粒子評価ツールが提供され、この荷電粒子評価ツールは、
複数のビームコラムであって、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成された複数の集光レンズと、複数の対物レンズであって、そのそれぞれは複数の荷電粒子ビームのうちの1つをサンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、を含む、複数のビームコラムを含み、
ビームコラムは、荷電粒子ビームをサンプルの隣接領域に投影するように互いに隣接して配置される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によれば、検査方法が提供され、この検査方法は、
複数のビームコラムを使用して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放出することであって、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成された複数の集光レンズと、複数の対物レンズであって、そのそれぞれは複数の荷電粒子ビームのうちの1つをサンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、を含むこと、を含み、
ビームコラムは、荷電粒子ビームをサンプルの隣接領域に投影するように互いに隣接して配置される。
【0009】
[0009] 本発明の第3の態様によれば、複数の荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影するための荷電粒子ツール用の荷電粒子マルチビームコラムアレイが提供され、この荷電粒子マルチビームコラムアレイは、
それぞれのマルチビームをサンプルの異なる領域上に同時に投影するように構成された複数の荷電粒子マルチビームコラムと、
マルチビームのサブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施すように構成された焦点補正器であって、各グループ焦点補正は、それぞれのグループのサブビームの全てについて同じである焦点補正器と、
を含む。
【0010】
[0010] 本発明の第4の態様によれば、検査方法が提供され、この検査方法は、
マルチビームコラムアレイを使用して複数の荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影することと、
マルチビームのサブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施すことであって、各グループ焦点補正は、それぞれのグループのサブビームの全てについて同じであることと、
を含む。
【0011】
[0011] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0012]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
【
図2】[0013]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3】[0014]一実施形態による、例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図4】[0015]一実施形態による、別の例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図5】[0016]着地エネルギー対スポットサイズのグラフである。
【
図6】[0017]本発明の一実施形態の対物レンズの拡大図である。
【
図7】[0018]一実施形態による、検査装置の対物レンズの概略断面図である。
【
図8】[0019]
図7の対物レンズの底面図である。
【
図9】[0020]
図7の対物レンズの変形の底面図である。
【
図10】[0021]
図7の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
【
図11】[0022]隣接する複数の光学コラムを有する検査ツールの概略側面図である。
【
図12】[0023]矩形の配置にある隣接する複数の光学コラムを有する検査ツールの概略平面図である。
【
図13】[0024]六角形の配置にある隣接する複数の光学コラムを有する検査ツールの概略平面図である。
【
図14】[0025]2つの電極を含む対物レンズアレイと一体化された補正器アパーチャアレイの概略側面断面図である。
【
図15】[0026]3つの電極を含む対物レンズアレイと一体化された補正器アパーチャアレイの概略側面断面図である。
【
図16】[0027]例示的な補正器アパーチャアレイ内の電極の概略上面図であり、電極は、第1の方向に整列された比較的に幅の広い細長導電性ストリップを含む。
【
図17】[0028]別の例示的な補正器アパーチャアレイ内の電極の概略上面図であり、電極は、第2の方向に整列された比較的に幅の広い細長導電性ストリップを含む。
【
図18】[0029]別の例示的な補正器アパーチャアレイ内の電極の概略上面図であり、電極は、第1の方向に整列された比較的に幅の狭い細長導電性ストリップを含む。
【
図19】[0030]別の例示的な補正器アパーチャアレイ内の電極の概略上面図であり、電極は、第2の方向に整列された比較的に幅の狭い細長導電性ストリップを含む。
【
図20】[0031]別の例示的な補正器アパーチャアレイの電極の概略上面図であり、電極は、より低いアスペクト比の、隙間なく埋め尽くしている導電性要素を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0032] これより、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0014】
[0033] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。したがって、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは驚くに値しない。たとえ1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」が、デバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここでは、ステップが、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るためには、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有していなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0015】
[0034] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方で、一時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(すなわち、ウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。したがって、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0016】
[0035] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、電子源を含む照明装置と、投影装置とを含む。電子源は、一次電子を発生させるためのものである。投影装置は、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するためのものである。共に、少なくとも照明装置又は照明システム、及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子-光学システム又は装置と呼ばれることがある。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるときに、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、すなわち、マルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれることがある。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。したがって、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0017】
[0036] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0018】
[0037] 図は、概略図である。したがって、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解される。したがって、本文書全体を通して、電子への言及は、より一般的に、荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0019】
[0038] ここで
図1を参照すると、
図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。
図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30、及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0020】
[0039] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板前面開口式一体型ポッド(FOUP(front opening unified pod))を受け取ることがある。FOUPには、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料で作られた基板)、又は検査予定のサンプルが含まれる(以下では、基板、ウェーハ、及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0021】
[0040] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されてもよく、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後に、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0022】
[0041] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)でもよい。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもよいことが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置してもよく、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散されてもよい。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0023】
[0042] ここで
図2を参照すると、
図2は、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では、装置40とも呼ばれる)は、電子源201、投影装置230、電動ステージ209、及びサンプルホルダ207を含む。電子源201及び投影装置230は、まとめて、電子光学装置と呼ばれることがある。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように、電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、電子検出デバイス240を更に含む。
【0024】
[0043] 電子源201は、カソード(図示せず)、及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中に、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0025】
[0044] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、且つ各サブビームをサンプル208上に誘導するように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百、又は何千ものサブビームが存在することがある。サブビームは、ビームレットと呼ばれることがある。
【0026】
[0045] コントローラ50は、電子ソース201、電子検出デバイス240、投影装置230、及び電動ステージ209などの
図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0027】
[0046] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212、及び213をサンプル208上に集束させるように構成されることがあり、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することがある。投影装置230は、サンプル208の表面の一セクション内の個々の走査エリアに渡ってプローブスポット221、222、及び223を走査するために、一次サブビーム211、212、及び213を偏向させるように構成されることがある。サンプル208上のプローブスポット221、222、及び223への一次サブビーム211、212、及び213の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子が、サンプル208から発生する。二次電子は、一般的に、50eV以下の電子エネルギーを有する。後方散乱電子は、一般的に、50eVと一次サブビーム211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。
【0028】
[0047] 電子検出デバイス240は、二次電子及び/又は後方散乱電子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送られる。電子検出デバイスは、投影装置に組み込まれているか、又は投影装置からは分離されていることがあり、二次光学コラムが、二次電子及び/又は後方散乱電子を電子検出デバイスに向けるように設けられる。
【0029】
[0048] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。したがって、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機、又はこれらの組み合わせなどの信号通信を可能にする装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体でもよい。ストレージは、画像取得器と結合されてもよく、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。
【0030】
[0049] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、ある期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0031】
[0050] コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212、及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。したがって、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0032】
[0051] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中に、好ましくは継続的に、例えば、一定の速度で、ある方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラは、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0033】
[0052]
図3は、本発明の一実施形態による、検査ツールの概略図である。電子源201は、電極を、投影システム230の一部を形成する集光レンズ231のアレイに向ける。電子源は、明度と全放出電流との間の良好な妥協点を持つ高明度の熱電界放出器であることが望ましい。何十、何百、又は何千もの集光レンズ231が存在することがある。集光レンズは、アインツェルレンズであることが望ましく、欧州特許出願公開第1602121A1号に記載されるように構築されてもよく、この文書は、特に電子ビームを複数のマルチビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、ビームレット毎に1つのレンズを提供する)の開示を参照することにより本明細書に組み込まれる。レンズアレイは、少なくとも2つのプレートの形態を取ることがある。この少なくとも2つのプレートは、電極として機能する。この少なくとも2つのプレートのそれぞれにおいて、互いに整列され、ビームレットの場所に対応するアパーチャが、規定される。各プレートは、所望のレンズ効果を達成するために、動作中に異なる電位に維持される。レンズアレイは、少なくとも2つのプレートのうちの一方であり得るビーム制限アパーチャアレイを含むことがある。
【0034】
[0053] ある構成では、集光レンズアレイは、レンズの入口及び出口が同じビームエネルギーを有する3つのプレートのアレイで形成されることがあり、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれることがある。これは、分散がアインツェルレンズ内でのみ発生することから、オフアクシス色収差が制限されるので、有益である。そのようなレンズの厚さが数mm程度である場合、これらの収差は無視できる。
【0035】
[0054] アレイ中の各集光レンズは、電子を、それぞれの中間焦点233で集束するそれぞれのサブビーム211、212、213に向ける。サブビームは、互いに対して発散している。中間焦点233のダウンビームは、複数の対物レンズ234であり、そのそれぞれは、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208に向ける。対物レンズ234は、アインツェルレンズであり得る。集光レンズ及び対応するダウンビーム対物レンズによりビーム内で発生する、少なくとも色収差は、互いに打ち消されることがある。
【0036】
[0055] サンプル上での電子の着地エネルギーを制御することにより、焦点パラメータを制御し、他の補正を導入することが可能になる。着地エネルギーは、二次電子の放出及び検出を増加させるように選択することができる。対物レンズ234を制御するために設けられたコントローラは、着地エネルギーを、所定の範囲内の任意の所望の値、又は複数の所定の値のうちの所望の値に制御するように構成されることがある。一実施形態では、着地エネルギーは、1000eV~4000eV、又は更には5000eVまでの範囲内の所望の値に制御されることがある。
【0037】
[0056] 電子検出デバイス240は、対物レンズ234とサンプル208との間に設けられ、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を検出する。電子検出システムの例示的な構成について、以下で説明する。
【0038】
[0057]
図3のシステムでは、ビームレット211、212、213は、集光レンズ231からサンプル208まで直線経路に沿って伝搬する。ビームレット経路は、集光レンズ231のダウンビームを発散させる。変形構成例が
図4に示されており、これは、偏向器235が中間焦点233に設けられている点を除いて、
図3のシステムと同じである。偏向器235は、対応する中間焦点233又はフォーカスポイント(即ち、フォーカス地点)の位置で、又は少なくともその周りで、ビームレット経路中に配置される。偏向器は、関連付けられたビームレットの中間像面において、即ち、その焦点又はフォーカスポイントにおいて、ビームレット経路内に配置される。偏向器235は、それぞれのビームレット211、212、213に対して動作するように構成される。偏向器235は、主光線(ビーム軸と呼ばれることもある)がサンプル208に実質的に垂直に(即ち、サンプルの公称表面に実質的に90°で)入射することを確実にするのに効果的な量だけ、それぞれのビームレット211、212、213を曲げるように構成される。偏向器235は、コリメータ又はコリメータ偏向器と呼ばれることもある。偏向器235は、事実上、偏向器に至る前で、ビームレット経路が互いに対して発散するように、ビームレットの経路を平行化する。偏向器のダウンビームでは、ビームレット経路は互いに対して実質的に平行である、即ち、実質的にコリメートされている。従って、各ビームレット経路は、集光レンズ231のアレイと、コリメータ、例えば偏向器235のアレイ、との間で直線状になっていることがある。各ビームレット経路は、偏向器235のアレイと、対物レンズアレイ234との間、任意選択的にサンプル208との間で、直線状になっていることがある。適切なコリメータは、2020年2月7日に出願された欧州特許出願第20156253.5号で開示される偏向器であり、この特許出願は、マルチビームアレイへの偏向器の適用に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
[0058]
図4のシステムでは、電子の着地エネルギーがより容易に制御されることがある、というのも、ビームレット経路で発生するオフアクシス収差は、集光レンズ231において、又は少なくとも主として集光レンズ231において、発生するからである。
図4に示したシステムの対物レンズ234は、アインツェルレンズである必要はない。これは、ビームが平行化されている場合、対物レンズ内でオフアクシス収差が発生しないから、である。オフアクシス収差は、対物レンズ234よりも集光レンズにおいてより良好に制御することができる。集光レンズ231を実質的により薄くすることにより、オフアクシス収差、特に色オフアクシス収差に対する集光レンズの寄与分が最小限に抑えられることがある。集光レンズ231の厚さを変化させて、色オフアクシス寄与分を調整し、それぞれのビームレット経路中の色収差の他の寄与分と釣り合わせることがある。従って、対物レンズ234は、2つ以上の電極を有することがある。対物レンズに入ってくるビームエネルギーは、対物レンズを出てゆくエネルギーとは異なっていることがある。
【0040】
[0059]
図6は、アインツェルレンズなどの、3つの電極構成における対物レンズのアレイのうちの1つの対物レンズ300の拡大概略図である。対物レンズ300は、10よりも大きな倍率、望ましくは50から100以上の範囲の倍率で、電子ビームを縮小するように構成されることがある。対物レンズは、中央の即ち第1の電極301、下側の即ち第2の電極302、及び上側の即ち第3の電極303を含む。電圧源351、352、353は、電位V1、V2、V3を、それぞれ第1、第2、及び第3の電極に印加するように構成される。更なる電圧源がサンプルに接続されて、グランドであり得る第4の電位を印加する。電位は、サンプル208を基準にして定義されることがある。一実施形態では、第3の電極が省略されることが望ましい。そのような構成は、2電極対物レンズであり、これは、
図4に関して図示し説明した構成で使用されることがある。第1、第2、及び第3の電極は、それぞれアパーチャを備えており、そのアパーチャを通って、それぞれのサブビームが伝搬する。第2の電位は、サンプルの電位に近い電位、例えば約50Vだけより正の電位であり得る。或いは、第2の電位は、約+500V~約+1,500Vの範囲内であり得る。
【0041】
[0060] 第1及び/又は第2の電位は、焦点補正を行うために、アパーチャ毎に変えることができる。
【0042】
[0061] 着地エネルギーを決定することができるように、対物レンズ300に減速機能を持たせるために、最も下側の電極とサンプルの電位を変化させることが望ましい。電子を減速させるために、下側の(第2の)電極は、中央の電極よりも負にされる。最も低い着地エネルギーが選択された場合に、最も高い静電場強度が発生する。第2の電極と中央の電極との距離、最も低い着地エネルギー、及び第2の電極と中央の電極との最大電位差は、結果として得られる電場強度が許容可能であるように、選択される。着地エネルギーがより高くなると、静電場はより低くなる(同じ長さに渡る減速度がより小さくなる)。
【0043】
[0062] 電子源とビーム制限アパーチャ(集光レンズのすぐ上)との間の電子光学系構成は同じままなので、ビーム電流は、着地エネルギーが変化しても変わらないままである。着地エネルギーが変化すると、解像度に影響が及び、解像度が向上するか又は低減することがある。
図5は、2つの場合における、着地エネルギー対スポットサイズを示すグラフである。黒丸を備えた破線は、着地エネルギーだけを変化させた場合の効果を示す、即ち集光レンズの電圧は同じままである。白丸を備えた実線は、着地エネルギーが変更され、集光レンズの電圧(拡大率対開き角の最適化)が再最適化された場合の効果を示す。
【0044】
[0063] 集光レンズの電圧が変更された場合、コリメータは、全ての着地エネルギーに対して正確な中間像面にはなくなる。従って、コリメータによって誘発される非点収差を補正することが望ましい。
【0045】
[0064] ある実施形態では、前述の実施形態で参照された対物レンズは、アレイ対物レンズである。アレイ内の各要素は、マルチビームにおける異なるビーム又は異なるビームの一群を操作するマイクロレンズである。静電アレイ対物レンズは、少なくとも2つのプレートを有し、各プレートは、複数の孔又はアパーチャを有する。一方のプレートにおける各孔の位置は、他方のプレートにおける対応する孔の位置に対応する。対応する孔は、使用時に、マルチビームにおける同じビーム又は同じビームの一群に対して作用する。アレイ内の各要素のレンズのタイプの適切な例は、2電極減速レンズである。追加の電極を設けることができる。対物レンズの底部電極は、マルチビームマニピュレータアレイと一体化されたCMOSチップ検出器である。対物レンズに検出器アレイを統合すると、二次コラムが置き換えられる。検出器アレイ、例えばCMOSチップは、サンプルと向き合うように向けられることが好ましい(ウェーハと電子光学システムの底部との間の距離が短い(例えば、100μm)ため)。一実施形態では、二次電子信号を捕捉する電極が、CMOSデバイスの上部金属層内に形成される。電極は、他の層に形成されてもよい。CMOSの電力及び制御信号は、スルーシリコンビアによってCMOSに接続され得る。ロバスト性のために、底部電極は、好ましくは2つの要素:CMOSチップ、及び孔を有するパッシブSiプレートから成る。このプレートは、高電界からCMOSをシールドする。
【0046】
[0065] 検出効率を最大にするために、(アパーチャを除く)アレイ対物レンズの実質的にすべてのエリアが電極によって占められるように、電極表面をできる限り大きくすることが望ましい。各電極は、アレイピッチに実質的に等しい直径を有する。ある実施形態では、電極の外形は、円形であるが、これは、検出エリアを最大にするために正方形にされてもよい。また、基板スルーホールの直径を最小にすることができる。電子ビームの一般的なサイズは、約5~15ミクロンである。
【0047】
[0066] 一実施形態では、単一の電極が各アパーチャを取り囲む。別の実施形態では、複数の電極要素が、各アパーチャの周りに設けられる。1つのアパーチャを取り囲む電極要素によって捕捉される電子は、単一の信号に合成されるか、又は独立した信号を生成するために使用されることがある。電極要素は、半径方向に分割されるか(即ち、複数の同心の環を形成するか)、角度的に分割されるか(即ち、複数の扇状の部分を形成するか)、半径方向と角度的の両方で分割されるか、又は他の任意の便利な態様で分割されることがある。
【0048】
[0067] しかしながら、電極表面の拡大は、寄生容量の増大、したがって、帯域幅の低下をもたらす。このため、電極の外径を制限することが望ましい場合がある。特に、電極の拡大が、わずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかしキャパシタンスの大幅な増加を与える場合。円形(環状)電極は、収集効率と寄生容量の良い妥協点を提供し得る。
【0049】
[0068] 電極の外径の増大は、クロストーク(隣接した孔の信号に対する感度)の増加ももたらし得る。これは、電極の外径をより小さくする理由にもなり得る。特に、電極の拡大が、わずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかしクロストークの大幅な増加を与える場合。
【0050】
[0069] 電極によって収集された後方散乱電子及び/又は二次電子の電流は、トランスインピーダンスアンプによって増幅される。
【0051】
[0070] 例示的実施形態を
図7に示し、
図4は、概略断面でマルチビーム対物レンズ401を示す。対物レンズ401の出力側(サンプル403に対向する側)には、検出器モジュール402が設けられる。
図8は、検出器モジュール402の底面図であり、検出器モジュール402は、上に複数の捕捉電極405が設けられる基板404を含み、各捕捉電極405は、ビームアパーチャ406を取り囲む。ビームアパーチャ406は、基板404を貫通してエッチングすることによって形成することができる。
図8に示される配置では、ビームアパーチャ406は、矩形アレイで示されている。ビームアパーチャ406は、異なるように(例えば、
図9に示されるように、六方最密アレイで)配置されることも可能である。
【0052】
[0071]
図10は、縮尺を大きくして、検出器モジュール402の一部を断面で示す。捕捉電極405は、検出器モジュール402の一番下の面、すなわちサンプルに最も近い面を形成する。捕捉電極405とシリコン基板404の本体との間には、論理層407が設けられる。論理層407は、増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、アナログ-デジタル変換器、及び読出し論理回路を含み得る。ある実施形態では、1つの捕捉電極405につき、1つの増幅器及び1つのアナログ-デジタル変換器が存在する。論理層407及び捕捉電極405は、捕捉電極405が最終メタライゼーション層を形成するCMOSプロセスを使用して製造することができる。
【0053】
[0072] 配線層408は、基板404の裏側に設けられ、スルーシリコンビア409によって論理層407に接続される。スルーシリコンビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。具体的には、電極信号が論理層407においてデジタル化される場合、データバスを提供するために、少数のスルーシリコンビアのみが必要とされ得る。配線層408は、制御線、データ線、及び電力線を含み得る。ビームアパーチャ406にもかかわらず、すべての必要な接続に十分なスペースが存在することに気付くだろう。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技術を使用して製作することもできる。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップが検出器モジュール402の裏側に設けられてもよい。
【0054】
[0073] 上述した統合された検出器アレイは、調整可能な着地エネルギーを有するツールと共に使用された場合に、特に有利である、というのも、二次電子の捕捉を、ある範囲の着地エネルギーに対して最適化することができるからである。
【0055】
[0074] サンプルを評価又は検査することができるレート(単位時間当たりの面積)を増加させることが望ましい。荷電粒子ビームを使用するツールでは、放射源の明度及び全放出電流に対する制約のせいで、ビーム強度を増加させることにより動作速度を高めることは、一般的に不可能である。ビーム電流を増加させると、荷電粒子の相互反発に起因して、確率的影響も増加することがある。
【0056】
[0075]
図11~
図13に示すように、複数の荷電粒子ビームを同じサンプルに投影するように、互いに隣接する複数のマルチビームコラム110-1~110-nを備えるツールを提供することが提案される。各マルチビームコラム110は、上述したような投影装置230を含む。「マルチビームコラム」という用語は、本明細書では、複数の電子ビームを1つのサンプルに同時に向けるビームコラムを表すために使用される。それによって、サンプルの増加したエリアを、一度に評価することができる。コラム間の間隔を最小にするために、集光レンズ及び/又は対物レンズがMEMS又はCMOSデバイスとして形成されることが望ましい。コリメータが存在する場合、コリメータもMEMS又はCMOSデバイスとして形成されることが望ましい。コリメータは、偏向器であることがあり、コリメータ偏向器と呼ばれることがある。マルチビームコラム110-1~110-nは、
図12に示すように矩形のアレイ状に配置されることも、又は
図13に示すように六角形のアレイ状に配置されることもある。
【0057】
[0076] 上述のように、マルチビームコラム110の各サブビームは、サンプルが載置される物体平面のそれぞれの個々の走査エリア(サブビーム対処可能エリアと呼ばれることがある)全体を走査することができる。マルチビームコラム110の全てのサブビームのサブビーム対処可能エリアは、まとめてコラム対処可能エリアと呼ばれることがある。コラム対処可能エリアは、連続していない、というのも、サブビームの走査範囲は、対物レンズのピッチよりも小さいからである。サンプルの連続した領域は、物体平面を通してサンプルを機械的に走査することにより、走査することができる。サンプルの機械的走査は、曲がりくねっていることも、又はステップアンドスキャン方式の動きであることもある。
【0058】
[0077] コラム対処可能エリアを包含する連続エリアは、本明細書では、領域と呼ばれる。領域は、円又は多角形であり得る。領域は、コラム対処可能エリアを包含する最小の形状である。隣接するマルチビームコラム110によって対処される領域は、物体平面に載置されたときのサンプル上で隣接する。隣接する領域は、必ずしも当接しているとは限らない。マルチビームコラム110は、サンプルの少なくとも一部から全部をカバーするように配置されることがある。領域は、マルチビームコラム110が全体部分上に投影できるように、間隔をあけられていることがある。ステージは、コラムに関連付けられた領域が、サンプルの全体部分を好ましくはオーバーラップなしにカバーするように、マルチビームコラム110に対して移動することがある。マルチビームコラム110のフットプリント(即ち、物体平面上へのマルチビームコラム110の投影)は、マルチビームコラム110がサブビームを投影する領域よりも大きくなる可能性が高い。
【0059】
[0078] 一実施形態では、サンプルの任意の非平坦性を考慮するように、サンプル上の個々のビーム又はビームのグループの焦点を補正するための焦点補正器が提供される。焦点補正器は、静電式及び/又は機械式であり得る。焦点補正器は、Z方向、Rx方向、及びRy方向の補正の何れか又は全てを含むことがある。機械式焦点補正器は、コラム全体、又はコラムの一部だけ、例えば対物レンズアレイ、を傾斜及び/又はシフトさせるように構成されたアクチュエータを含むことがある。焦点補正器については、以下で更に説明する。
【0060】
[0079] 一実施形態では、対物レンズは、非点収差補正器を有する。非点収差補正器は、焦点補正器と組み合わせることができる。
【0061】
[0080] 幾つかの実施形態では、荷電粒子評価ツールは、サブビームにおける1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器をさらに含む。ある実施形態では、収差補正器の少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、複数の中間焦点のそれぞれの中間焦点において、又はそれに直接隣接して(例えば、中間像面233、235内に、又は中間像面233、235に隣接して又は焦点)位置決めされる。サブビームは、中間平面などの焦点面内に、又はその付近に最小断面積を有する。これは、他の場所で、すなわち、中間平面のアップビーム若しくはダウンビームで利用可能なスペースよりも(又は中間像面を持たない代替の配置で利用可能となるスペースよりも)多くのスペースを収差補正器のために提供する。
【0062】
[0081] ある実施形態では、中間焦点(若しくは中間像面)において、又はそれらに直接隣接して位置決めされた収差補正器は、異なるビームにとって異なる位置にあるように見えるソース201を補正するための偏向器を含む。補正器は、各サブビームと対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを阻む、ソースに起因した巨視的収差を補正するために使用することができる。
【0063】
[0082] 収差補正器は、適切なコラムアライメントを阻む収差を補正することができる。このような収差は、サブビームと補正器との間のミスアライメントももたらし得る。このため、追加的又は代替的に収差補正器を集光レンズ231において、又はその近くに位置決めすることが望ましい場合がある(例えば、このような収差補正器のそれぞれは、集光レンズ231の1つ若しくは複数と一体化されるか、又は直接隣接する)。これは、集光レンズ231がビームアパーチャと垂直方向に近い、又はビームアパーチャと一致するため、集光レンズ231では、又はその近くでは、収差が対応するサブビームのシフトをまだ引き起こしていないことから望ましい。しかしながら、集光レンズ231において、又はその近くに補正器を位置決めすることに関する課題は、各サブビームが比較的大きな断面積を有し、さらに下流の場所と比べて、この場所において比較的小さなピッチを有する点である。
【0064】
[0083] 実施形態によっては、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれが、対物レンズ234のうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する。一実施形態では、これらの収差補正器は、像面湾曲、フォーカスエラー、及び非点収差、のうちの1つ又は複数を低減する。これに加えて又はその代わりに、サンプル208に渡ってサブビーム211、212、214を走査するために、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)が、対物レンズ234のうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接することがある。一実施形態では、走査偏向器は、欧州特許出願公開第2425444A1号に記載されるように使用されることがある(この特許出願は、特に、走査偏向器としてのアパーチャアレイの使用の開示に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0065】
[0084] 収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラマブル偏向器、又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイであることがあり、両文書におけるビームレットマニピュレータの説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
[0085] 一実施形態では、
図3に示すように、収差補正器、例えば対物レンズ234に関連付けられた収差補正器126は、像面湾曲を低減する像面湾曲補正器を含む。像面湾曲を低減すると、非点収差及びフォーカスエラーなどの、像面湾曲によって引き起こされるエラーが低減される。補正が無いと、対物レンズ234への斜めの角度の入射が生じることに起因して、サブビーム211、212、213が集光レンズ231と対物レンズ234との間の直線経路に沿って伝搬する実施形態では、対物レンズ234において、著しい像面湾曲収差効果が発生すると予期される。像面湾曲効果は、サブビーム211、212、213が対物レンズ234に到達する前にサブビーム211、212、213を平行化することにより、低減又は除去することができる。しかしながら、対物レンズ234の上流にコリメータを設けると、
図4に示した実施形態に関連するように、複雑さが増す。像面湾曲補正器は、コリメータを回避することを可能にし、それによって複雑さが低減される。上述したように、対物レンズ234の上流にコリメータが無いと、対物レンズをより大きなピッチで設けることを可能にすることにより、ビーム電流を更に増加させることができる。
【0067】
[0086] 一実施形態では、像面湾曲補正器は、対物レンズ234のうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する。一実施形態では、像面湾曲補正器は、受動補正器を含む。受動補正器は、例えば、対物レンズ118のアパーチャの直径及び/又は楕円率を変化させることにより、実装されることがある。受動補正器は、例えば、特に非点収差を補正するためのアパーチャパターンの使用の開示を参照することにより本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第2575143A1号に記載されるように、実装されてもよい。受動補正器の受動性質は、制御電圧が必要ないことを意味するので、望ましい。受動補正器が、対物レンズ118のアパーチャの直径及び/又は楕円率を変化させることにより実装される実施形態では、受動補正器は、追加のレンズ要素などの追加の要素を必要としない、という更なる望ましい特徴を提供する。受動補正器の課題は、それらは固定されているので、必要な補正量を事前に慎重に計算する必要がある、ということである。これに加えて又はその代わりに、一実施形態では、像面湾曲補正器は、能動補正器を含む。能動補正器は、荷電粒子を制御可能に補正して、補正を提供することができる。各能動補正器によって施される補正は、能動補正器の1つ又は複数の電極のそれぞれの電位を制御することにより、制御されることがある。一実施形態では、受動補正器が粗い補正を施し、能動補正器がより細かい及び/又は調整可能な補正を施す。
【0068】
[0087] 実施形態によっては、
図14~
図20に例示されるように、荷電粒子マルチビームコラムアレイは、焦点補正器を含む。焦点補正器は、個々のサブビームのそれぞれに焦点補正を施すように構成されることがある。他の実施形態では、焦点補正器は、マルチビームのサブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施す。焦点補正は、Z方向、Rx方向、及びRy方向の補正の何れか又は全てを含むことがある。各グループ焦点補正量は、それぞれのグループのサブビームの全てに対して同じである。上述のように、グループで補正を施すと、ルーティング要件が低減されることがある。実施形態によっては、焦点補正器は、異なるマルチビームからのサブビームに異なる補正を施す。従って、あるマルチビームコラム110からのマルチビームに施される焦点補正は、同じアレイ中の異なるマルチビームコラム110からのマルチビームに施される焦点補正とは異なることがある。従って、焦点補正器は、異なるマルチビームコラム110間の製造上の又は設置上の差異、及び/又は、異なるマルチビームコラム110間のサンプル208の表面の高さの差異を補正することができる。その代わりに又はこれに加えて、焦点補正器は、同じマルチビーム内の異なるサブビームに異なる補正を施すことがある。従って、焦点補正器は、より細かいレベルの粒度で焦点補正を提供し、それによって、例えば、マルチビームコラム110内の製造上のばらつき、及び/又はサンプル208の表面の高さの比較的に小さな範囲のばらつきを補正することができる場合がある。
【0069】
[0088] 実施形態によっては、焦点補正器は、機械式アクチュエータ630を含む。機械式アクチュエータ630は、少なくとも部分的に焦点調整要素の機械的な作動によって、グループ焦点補正のうちの1つ又は複数のそれぞれを施す。焦点調整要素を機械的に作動すると、マルチビームコラム110全体、又はその一部のみ、例えば対物レンズアレイ118、の傾斜及び/又はシフトが適用されることがある。例えば、焦点調整要素は、対物レンズアレイ118の1つ又は複数の電極を含むことがあり、機械式アクチュエータ630は、対物レンズアレイ118の1つ又は複数(例えば、全て)の電極を(例えば、サンプル208の表面に向けて又は表面から離れるように)移動させることにより、焦点を調整することがある。
【0070】
[0089] 実施形態によっては、焦点補正器は、1つ又は複数の電極のそれぞれに印加される電位を少なくとも部分的に変えることにより、グループ焦点補正の1つ又は複数のそれぞれを施す。実施形態によっては、
図14~
図20に例示されるように、焦点補正器は、少なくとも1つの補正器アパーチャアレイ601、602を含む。補正器アパーチャアレイ601は、補正器アパーチャ603の複数のグループを規定する(各グループは、複数の補正器アパーチャ603を含む)。補正器アパーチャアレイ601は、対物レンズアレイ118と一体化されるか、及び/又は対物レンズアレイ118と直接的に隣接することがある。例えば、補正器アパーチャアレイ601は、対物レンズアレイ118の電極(例えば、アパーチャを規定するボディ)上に形成されることがある。
【0071】
[0090]
図14に示す例では、補正器アパーチャアレイ601は、2電極対物レンズアレイ118のアップビーム電極611上に形成される。
図14に示す例では、別の補正器アパーチャアレイ602が、対物レンズアレイ118のダウンビーム電極612上に形成される。この別の補正器アパーチャアレイ602は、補正器アパーチャ605の別の複数のグループを規定することがある。
【0072】
[0091]
図15に示す例では、補正器アパーチャアレイ601は、3電極対物レンズアレイ118の中央電極のアップビーム表面上に形成される(又は、アップビーム表面を形成する)。
図15に示す例では、補正器アパーチャ605の別の複数のグループを規定する、別の補正器アパーチャアレイ602が、中央電極のダウンビーム表面上に形成される(又は、ダウンビーム表面を形成する)。補正器アパーチャアレイ601と補正器アパーチャアレイ602との間の電位差は、2つの補正器アパーチャアレイ601、602との間の領域におけるあらゆる有意なレンズ効果を回避するように十分に小さいことがある。3電極対物レンズアレイ118は、アインツェルレンズアレイとして動作するように構成されることがある。
【0073】
[0092] 少なくとも1つの補正器アパーチャアレイ601、602は、対物レンズアレイ中の何れかの電極の何れかの表面上に形成されるか、又は何れかの表面を形成することがある。少なくとも1つの補正器アパーチャアレイ601、602を、対物レンズアレイ中の他の電極よりも強いレンズ効果を有する電極上に設けることが望ましい。これにより、少なくとも1つの補正器アパーチャアレイ601、602が、所与の印加電位差に対して最も強い効果を有することが可能になる。
図15の構成では、通常、中央電極が、アップビーム電極651及びダウンビーム電極652よりも強いレンズ効果を有するので、2つの補正器アパーチャアレイ601、602は、中央電極に関連付けられている。
【0074】
[0093] 各補正器アパーチャアレイ601、602は、それぞれの電極システム621、622を含む。各電極システム621、622は、複数の電極を含む。各電極は、補正器アパーチャの複数のグループのうちの異なるグループにおける全てのアパーチャのアパーチャ外周部表面に、共通の電位を印加する。各電極システム621、622中の各電極は、電極システム621、622中の他の各電極からは電気的に絶縁されている。各電極は、補正器アパーチャ603、605の複数のグループのうちの異なるグループにおける全てのアパーチャのアパーチャ外周部表面に、同時に電気的に接続される。各補正器アパーチャ603、605は、対物レンズアレイ118中のそれぞれの対物レンズと、サブビーム経路に沿って位置合わせされている。
図14及び
図15の例では、対物レンズアレイ118中の各対物レンズは、それぞれのサブビーム経路に沿って互いに位置合わせされている電極中のアパーチャによって、規定される。従って、各補正器アパーチャ603、605は、それぞれのサブビーム経路に沿って互いに位置合わせされたアップビーム電極及びダウンビーム電極中のアパーチャと位置合わせされていることがある。
【0075】
[0094] 一実施形態では、補正器アパーチャ603、605の複数のグループのうちの1つ又は複数のそれぞれにおいて、補正器アパーチャ603、605が位置合わせされる対物レンズは、全て、同じマルチビームコラム110内にある。その代わりに又はこれに加えて、実施形態によっては、補正器アパーチャ603、605の複数のグループのうちの1つ又は複数のそれぞれにおいて、補正器アパーチャ603、605が位置合わせされる対物レンズの少なくともサブセットは、異なるマルチビームコラム110内にある。補正器アパーチャアレイ603(及び/又は、提供される任意の別のアパーチャアレイ605)は、それぞれの複数の電極を使用して、フォーカスエラーを補正することがある。電極を使用して、サブビームが通過する領域内の電場を制御することにより、補正が施される。
【0076】
[0095] 各補正器アパーチャアレイ601、602内で、各電極は、補正器アパーチャアレイ601、602内の他のアパーチャに印加される電位とは無関係に、複数の補正器アパーチャ603、605に電位を同時に印加することができる。従って、各電極が1つの補正器アパーチャのみに接続される場合よりも、必要とされる電極がより少なくなる。電極がより少なくなると、電極のルーティングが容易になり、それによって、製造が容易になり、任意選択的に、電極中の補正器アパーチャのパターンをより密にすることができる。独立して補正器アパーチャ603、605のグループに印加される電位を制御すると、補正器アパーチャが一体型の金属プレートに形成される場合などの、補正器アパーチャの全てが一緒に電気的に接続される場合よりも、より高いレベルの制御がもたらされる。従って、製造の容易さとサブビーム操作の制御性とのバランスの改善がもたらされる。
【0077】
[0096] 実施形態によっては、電極システム621、622は、それぞれ、支持構造上の導電性の層又は構造として提供される。電極システム621、622は、シリコン・オン・インシュレータ・プロセスを使用して形成されることがある。電極システム621、622は、酸化ケイ素の絶縁層上の導電性の層又は構造として提供されることがある。電極システム621、622は、金属化層、及び/又はケイ素若しくはドープされたケイ素などの導電性半導体を含むことがある。電極システム621、622は、モリブデン又はアルミニウムなどの金属を含むことがある。
【0078】
[0097] 実施形態によっては、
図16~
図19に例示するように、電極システム621、622のうちの1つ又は複数のそれぞれにおける各電極は、細長い導電性ストリップ631、632を含む。各電極システム内のそれぞれの細長い導電性ストリップ631、632は、例えば、一連の平行なプレートとして実装されることがある。各それぞれの電極システム621、622の導電性ストリップ631、632は、互いに平行であるか、及び/又は実質的に直線状であることが好ましい。それぞれの電極システム621、622内の導電性ストリップ631、632中に電極を配置すると、ルーティングがより容易になる、というのも、導電性ストリップ631、632への電気的な接続を導電性ストリップ631、632の端部で行うことができるからである。構成によっては、導電性ストリップ631、632は、
図16~
図19に概略的に示すように、それぞれの電極システム621、622の周縁部まで延びるように配置される。導電性ストリップ631、632を周縁部まで延ばすことは、導電性ストリップ631、632への電気的な接続を、周縁部で行うことができることを意味する。図に示す電極システム621、622の周縁部は概略的である。周辺表面の形状及び相対的なサイズは、実際の構成では異なっていることがある。周辺表面は、例えば、図に示すよりもより多くの補正器アパーチャ603、605を含むように寸法決めされることがある。
【0079】
[0098] 実施形態によっては、補正器アパーチャ603、605は、規則的なアレイ状に配置される。規則的なアレイは、単位セルの繰り返しを有する。規則的なアレイは、例えば、正方形のアレイ、長方形のアレイ、又は六角形のアレイを含むことがある。或いは、補正器アパーチャ603、605は、複数のアパーチャ603、605を含む不規則な配置で、配置されることがあり、これは、不規則なアレイと呼ばれることがある。規則的なアレイを有する配置では、導電性ストリップ631、632は、互いに対して平行に、且つアレイの原理軸に対して垂直になっていることがある。
図14~
図20に示す例では、補正器アパーチャ603、605は、正方形のアレイ状に配置される。規則的なアレイは、ページの平面内に水平な1つの原理軸、及びページの平面内に垂直な別の原理軸を有することがある。従って、
図16及び
図24の導電性ストリップ631、632は、互いに平行であり、水平原理軸に対して垂直である。
図17及び
図19の導電性ストリップ631、632は、互いに平行であり、垂直原理軸に対して垂直である。
【0080】
[0099] 導電性ストリップ631、632はそれぞれ、短軸及び長軸を有することがある。
図16及び
図18の例では、各短軸は水平であり、各長軸は垂直である。
図17及び
図19の例では、各短軸は垂直であり、各長軸は水平である。短軸に平行な導電性ストリップ631、632のピッチは、短軸に平行なアレイのピッチよりも大きいことがある。従って、各垂直な導電性ストリップは、アパーチャ603、605の複数の列を含むことがあり、及び/又は、各水平なストリップは、従って、アパーチャ603、605の複数の行を含むことがある。この方式は、制御性と製造の容易さとの良好なバランスをもたらす。或いは、短軸に平行な導電性ストリップ631、632のピッチは、短軸に平行なアレイのピッチと等しいことがあり、これは、電場のより細かい空間制御をもたらす。
【0081】
[0100] 一実施形態では、複数の補正器アパーチャアレイ601、602が提供される。補正器アパーチャアレイ601、602は、サブビーム経路に沿って互いに位置合わせされることがある。一実施形態では、補正器アパーチャアレイ601のうちの1つの、電極システム621内の導電性ストリップ631は、補正器アパーチャアレイ602のうちの異なる1つの、電極システム621内の導電性ストリップ632と平行ではない、例えば、垂直である。この構成は、例えば、電極システム621、622のそれぞれにおいて、導電性ストリップ631、632が互いに平行である場合に、特に好ましいことがある。例えば、補正器アパーチャアレイ601のうちの1つの、電極システム621は、
図16又は
図18に示すような導電性ストリップ631を含むことがあり、補正器アパーチャアレイ602のうちの異なる1つの、電極システム622は、
図17又は
図19に示すような導電性ストリップ632を含むことがあり、逆も同様である。このようにして異なる電極システム621、622内の導電性ストリップ631、632を交差させると、それぞれの導電性ストリップ631、632への電気的な接続のルーティングをより困難にすることなく、それぞれの補正器アパーチャアレイ内の対応するアパーチャ603、605間の電位差の広範な可能な組み合わせがもたらされる。
【0082】
[0101] 更なる構成では、
図20に例示されるように、電極システム621、622の複数の電極は、互いに隙間なく埋め尽くしている複数の導電性要素633を含む。図示する例では、導電性要素633は正方形である。長方形、長斜方形、平行四辺形、及び六角形、及び/又は隙間なく埋め尽くす形状のグループの繰り返し、などの、他の隙間なく埋め尽くす形状が使用されてもよい。この方式は、
図16~
図19を参照して上述したような導電性ストリップを使用した構成と比べて、荷電粒子を操作する際の自由度をより高めることができるが、個々の電極への電気信号のルーティングが、より複雑になることがある。
【0083】
[0102] 一実施形態では、ビームコラムは、長方形のアレイ状に配置される。
【0084】
[0103] 一実施形態では、ビームコラムは、六角形のアレイ状に配置される。
【0085】
[0104] 一実施形態では、ビームコラムの数は、9~200の範囲内にある。
【0086】
[0105] 一実施形態では、各ビームコラム内の集光レンズの数は、1,000~100,000、望ましくは5,000~25,000の範囲内にある。
【0087】
[0106] 一実施形態では、各ビームコラムの集光レンズは、50~500μmの範囲内、望ましくは70~150μmの範囲内のピッチを有するそれぞれのアレイ内に配置される。
【0088】
[0107] 一実施形態では、n個の集光レンズ及び/又は対物レンズが、MEMS又はCMOSデバイスとして形成される。
【0089】
[0108] 一実施形態では、サブビーム中の1つ又は複数の収差を低減するように構成された1つ又は複数の収差補正器が提供される。
【0090】
[0109] 一実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれが、中間焦点のうちのそれぞれ1つに配置されるか、又はそれと直接的に隣接する。
【0091】
[0110] 一実施形態では、サンプルに渡ってサブビームを走査するための1つ又は複数の走査偏向器が提供される。
【0092】
[0111] 一実施形態では、1つ又は複数の走査偏向器は、対物レンズのうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する。
【0093】
[0112] 一実施形態では、評価ツールは、1つ又は複数のコリメータを含む。1つ又は複数のコリメータは、1つ又は複数のコリメータ偏向器である。
【0094】
[0113] 一実施形態では、1つ又は複数のコリメータ偏向器は、サブビームの主光線がサンプルに実質的に垂直に入射することを確実にするのに効果的な量だけ、それぞれのビームレットを曲げるように構成される。
【0095】
[0114] 一実施形態では、対物レンズと一体化された検出器が提供される。
【0096】
[0115] 本発明の一実施形態による評価ツールは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行うツール、又は、サンプルの定量的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールであり得る。評価ツールの例は、検査ツール及び計測ツールである。
【0097】
[0116] 「隣接する」という用語は、「当接する」という意味を含むことがある。
【0098】
[0117] 本明細書に記載する実施形態は、1本のビーム又はマルチビームの経路に沿ってアレイ状に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学要素の形態を取ることがある。そのような電子光学要素は、静電的であり得る。一実施形態では、例えば、サンプルより前のサブビーム経路内の、ビーム制限アパーチャアレイから最後の電子光学要素までの、全ての電子光学要素は、静電的であることがあり、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態をしていることがある。構成では、電子光学要素のうちの1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として製造されることがある。
【0099】
[0118] 本発明について様々な実施形態と関連付けて説明してきたが、当業者には、本明細書で開示される発明の明細及び実施を考慮することから、他の実施形態が明らかであろう。この明細書及び例は、単なる例とみなされることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以降の特許請求の範囲及び条項によって示される。
【0100】
[0119] 条項1.荷電粒子評価ツールであって、複数のビームコラムであって、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成された複数の集光レンズと、複数の対物レンズであって、そのそれぞれは複数の荷電粒子ビームのうちの1つをサンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、を含む、複数のビームコラムを含み、ビームコラムは、荷電粒子ビームをサンプルの隣接領域に投影するように、互いに隣接して配置される、荷電粒子評価ツール。集光レンズは、複数の荷電粒子ビームを、それぞれの中間焦点に集束させるように構成されることがある。複数の対物レンズは、中間焦点のダウンビームが複数の対物レンズになるように、構成されることがある。収差補正器は、複数の荷電粒子ビームにおける1つ又は複数の収差を低減するように構成されることがある。収差補正器は、非点収差補正器、焦点補正器、及び/又は像面湾曲補正器を含むことがある。
【0101】
[0120] 条項2.焦点補正器を更に含む、条項1に記載のツール。
【0102】
[0121] 条項3.対物レンズは、非点収差補正器を有するか又は含む、条項1又は2に記載のツール。
【0103】
[0122] 条項4.ビームコラムは、矩形のアレイ状に配置される、条項1、2、又は3に記載のツール。
【0104】
[0123] 条項5.ビームコラムは、六角形のアレイ状に配置される、条項1、2、又は3に記載のツール。
【0105】
[0124] 条項6.ビームコラムの数は、9~200の範囲内である、条項1~5の何れか一項に記載のツール。
【0106】
[0125] 条項7.各ビームコラム内の集光レンズの数は、1,000~100,000、望ましくは5,000~25,000の範囲内にある、条項1~6の何れか一項に記載のツール。
【0107】
[0126] 条項8.各ビームコラムの集光レンズは、50~500μmの範囲内、望ましくは70~150μmの範囲内のピッチを有するそれぞれのアレイ内に配置される、条項1~7の何れか一項に記載のツール。
【0108】
[0127] 条項9.集光レンズ及び/又は対物レンズは、MEMS又はCMOSデバイスとして形成される、条項1~8の何れか一項に記載のツール。
【0109】
[0128] 条項10.サブビーム中の1つ又は複数の収差を低減するように構成された1つ又は複数の収差補正器を更に含む、条項1~9の何れか一項に記載のツール。
【0110】
[0129] 条項11.収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、中間焦点のうちのそれぞれ1つに配置されるか、又はそれと直接的に隣接する、条項9に記載のツール。
【0111】
[0130] 条項12.サンプルに渡ってサブビームを走査するための1つ又は複数の走査偏向器を更に含み、任意選択的に、その1つ又は複数の走査偏向器は、対物レンズのうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する、条項1~11の何れか一項に記載のツール。
【0112】
[0131] 条項13.1つ又は複数のコリメータを更に含み、コリメータのうちの1つ又は複数は、それぞれの1つ又は複数の中間焦点に設けられ、好ましくは、コリメータは1つ又は複数のコリメータ偏向器であり、任意選択的に、その1つ又は複数のコリメータ偏向器は、サブビームの主光線がサンプルに実質的に垂直に入射することを確実にするのに効果的な量だけ、それぞれのビームレットを曲げるように構成される、条項1~12の何れか一項に記載のツール。
【0113】
[0132] 条項14.対物レンズと一体化された検出器を更に含み、好ましくは検出器はサンプルの方を向いている、条項1~13の何れか一項に記載のツール。
【0114】
[0133] 条項15.検査方法であって、複数のビームコラムを使用してサンプルに向けて荷電粒子ビームを放出することを含み、各ビームコラムは、荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子を複数の荷電粒子ビームへと形成するように構成された複数の集光レンズと、複数の対物レンズであって、そのそれぞれは複数の荷電粒子ビームのうちの1つをサンプル上に投影するように構成された複数の対物レンズと、を含み、ビームコラムは、荷電粒子ビームをサンプルの隣接領域に投影するように、互いに隣接して配置される、検査方法。集光レンズは、複数の荷電粒子ビームを、それぞれの中間焦点に集束させるように構成されることがある。複数の対物レンズは、中間焦点のダウンビームが複数の対物レンズになるように、構成されることがある。収差補正器は、複数の荷電粒子ビームにおける1つ又は複数の収差を低減するように構成されることがある。
【0115】
[0134] 条項16.複数の荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影するための荷電粒子ツール用の荷電粒子マルチビームコラムアレイであって、この荷電粒子マルチビームコラムアレイは、それぞれのマルチビームをサンプルの異なる領域に同時に投影するように構成された複数の荷電粒子マルチビームコラムと、マルチビームのサブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施すように構成された焦点補正器であって、各グループ焦点補正は、それぞれのグループのサブビームの全てについて同じである焦点補正器と、を含む、荷電粒子マルチビームコラムアレイ。
【0116】
[0135] 条項17.焦点補正器は、異なるマルチビームからのサブビームに異なる補正を施すように構成される、条項16に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0117】
[0136] 条項18.焦点補正器は、同じマルチビーム内の異なるサブビームに異なる補正を施すように構成される、条項16又は17に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0118】
[0137] 条項19.焦点補正器は、少なくとも部分的に、焦点調整要素の機械的な作動により、グループ焦点補正のうちの1つ又は複数のそれぞれを施すように構成される、条項16~18の何れか一項に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0119】
[0138] 条項20.焦点補正器は、1つ又は複数の電極のそれぞれに印加される電位を少なくとも部分的に変えることにより、グループ焦点補正のうちの1つ又は複数のそれぞれを施すように構成される、条項16~19の何れか一項に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0120】
[0139] 条項21.各マルチビームコラムは、マルチビームコラムに関連付けられた放射源によって放出された荷電粒子のビームからサブビームを形成するように構成されたサブビーム規定アパーチャアレイ、及び対物レンズアレイを含み、各対物レンズはサブビームをサンプルに投影するように構成され、焦点補正器は、補正器アパーチャの複数のグループが規定される補正器アパーチャアレイを含み、補正器アパーチャアレイは、対物レンズアレイのうちの1つ又は複数と一体化されるか、及び/又はそれらと直接的に隣接する、条項20に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0121】
[0140] 条項22.サブビーム規定アパーチャアレイは、サブビームの経路に沿って対物レンズアレイに隣接する、条項21に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0122】
[0141] 条項23.補正器アパーチャアレイは、複数の電極を含む電極システムを含み、各電極は、他の電極のそれぞれから電気的に絶縁され、且つ補正器アパーチャの複数のグループのうちの異なるグループ内の全てのアパーチャのアパーチャ外周部表面に同時に電気的に接続される、条項21又は22に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0123】
[0142] 条項24.補正器アパーチャアレイは、複数の電極を含む電極システムを含み、各電極は、補正器アパーチャの複数のグループのうちの異なるグループ内の全てのアパーチャのアパーチャ外周部表面に共通の電位を印加するように構成される、条項21~23の何れか一項に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0124】
[0143] 条項25.各補正器アパーチャは、サブビーム経路に沿って、それぞれの対物レンズと位置合わせされる、条項21~24の何れか一項に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0125】
[0144] 条項26.補正器アパーチャの複数のグループのうちの1つ又は複数のそれぞれにおいて、補正器アパーチャが位置合わせされる対物レンズは、全て、同じマルチビームコラム内にある、条項25に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0126】
[0145] 条項27.補正器アパーチャの複数のグループのうちの1つ又は複数のそれぞれにおいて、補正器アパーチャが位置合わせされる対物レンズの少なくともサブセットは、異なるマルチビームコラム内にある、条項25又は26に記載のマルチビームコラムアレイ。
【0127】
[0146] 条項28.各コラムは、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子からの複数の荷電粒子ビームから形成されるように構成された複数の集光レンズと、それぞれの1つ又は複数の中間焦点にあるコリメータと、対物レンズと関連付けられた非点収差補正器と、サブビーム中の1つ又は複数の収差を低減するように構成された1つ又は複数の収差補正器であって、好ましくは、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、中間焦点のうちのそれぞれの1つに配置されるか、又はこれと直接的に隣接する、1つ又は複数の収差補正器と、サンプルに渡ってサブビームを走査するための1つ又は複数の走査偏向器であって、任意選択的に、1つ又は複数の走査偏向器は対物レンズのうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はこれと直接的に隣接する、1つ又は複数の走査偏向器と、好ましくは対物レンズと一体化されている検出器と、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項16~27の何れか一項に記載のマルチビームコラム。
【0128】
[0147] 条項29.検査方法であって、マルチビームコラムアレイを使用して複数の荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影することと、マルチビームのサブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施すことであって、各グループ焦点補正は、それぞれのグループのサブビームの全てについて同じであることと、を含む検査方法。
【0129】
[0148] 条項30.グループ焦点補正を施すことは、異なるマルチビームからのサブビームに異なる補正を施すことを含む、条項29に記載の方法。
【0130】
[0149] 条項31.グループ焦点補正を施すことは、同じマルチビーム内の異なるサブビームに異なる補正を施すことを含む、条項29又は30に記載の方法。
【0131】
[0150] 条項32.グループ焦点補正は、機械的に及び/又は静電的に施される、条項29~31の何れか一項に記載の方法。
【0132】
[0151] 条項33.検査方法であって、条項1~28の何れか一項に記載のマルチビームコラムアレイを使用して、複数の荷電粒子マルチビームをサンプルに向けて投影することと、サンプルから放出される荷電粒子を検出することと、を含む、検査方法。