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特許7482393取付部材の取り付け構造及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】取付部材の取り付け構造及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240507BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20240507BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G10K11/16 160
G03G21/16 152
B41J29/13
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020116537
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2021189417
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2020093749
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】小林 一啓
(72)【発明者】
【氏名】杉田 成実
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-003247(JP,A)
【文献】特開2012-040796(JP,A)
【文献】特開2010-130808(JP,A)
【文献】特開2017-005816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16-21/18
B41J 29/00-29/70
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引っ掛け部を被取付部材に引っ掛けて取付部材を前記被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、
前記取付部材の少なくとも一箇所は、前記被取付部材に対し離接方向で不動に取り付けられ
前記被取付部材と前記取付部材とに挟まれる緩衝部材を備え、
前記緩衝部材は、前記被取付部材に設けられた前記引っ掛け部が差し込まれる孔部の一部を塞いでいることを特徴とする取付部材の取り付け構造
【請求項2】
請求項1に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記緩衝部材は、前記被取付部材に設けられており、
前記引っ掛け部が貫通する貫通孔部を有し、
前記貫通孔部は、前記孔部よりも小さいことを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項3】
請求項2に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記引っ掛け部は、前記孔部に差し込まれる差込部と、前記差込部の先端から差し込み方向と直交する方向に突出して前記被取付部材の前記取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部とを有し、
前記緩衝部材は、前記孔部と前記差込部の前記対向部が設けられた面との隙間、および、前記孔部と前記差込部の一対の側面のうちの一方の側面との隙間を塞ぐことを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項4】
請求項2に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記引っ掛け部は、前記孔部に差し込まれる差込部と、前記差込部の先端から差し込み方向と直交する方向に突出して前記被取付部材の前記取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部とを有し、
前記緩衝部材は、前記孔部と前記差込部の前記対向部が設けられた面と反対側の面との隙間を塞ぐことを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記引っ掛け部は、前記被取付部材に設けられた孔部に差し込まれる差込部と、前記差込部の先端から差し込み方向と直交する方向に突出して前記被取付部材の前記取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部とを有し、
前記緩衝部材を、前記被取付部材と前記対向部との間に設けたことを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項6】
請求項1に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記緩衝部材は、前記取付部材に設けられていることを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記緩衝部材は、前記被取付部材との接触面および前記取付部材との接触面が粘着性を有することを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記緩衝部材の前記被取付部材との接触面および前記取付部材との接触面の少なくとも一方が、凹凸形状であることを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項9】
請求項1乃至いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記取付部材の前記被取付部材との接触面、または、前記取付部材の前記被取付部材と前記取付部材とに挟まれる緩衝部材との接触面の少なくとも一部が凸状の曲面であることを特徴する取付部材の取り付け構造
【請求項10】
求項1乃至9いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記引っ掛け部は、前記被取付部材に設けられた孔部に差し込まれる差込部と、前記差込部の先端から差し込み方向と直交する方向に突出して前記被取付部材の前記取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部とを有し、
前記差込部の長さを、前記被取付部材の厚みよりも短くしたことを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記取付部材に制振部材を設けたことを特徴とする取付部材の取り付け構造
【請求項12】
求項11に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記制振部材は、前記被取付部材に接触することを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造であって、
前記被取付部材は、駆動モータおよび電装部品が取り付けられる部材であり、
前記取付部材は、前記駆動モータと前記電装部品とを仕切るように設けられ、ハーネスをガイドするハーネスガイドであることを特徴とする取付部材の取り付け構造。
【請求項14】
被取付部材に取り付けられる取付部材を備えた画像形成装置において、
請求項1乃至13いずれか一項に記載の取付部材の取り付け構造を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部材の取り付け構造及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引っ掛け部を被取付部材に引っ掛けて取付部材を被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記取付部材の取り付け構造として、被取付部材としての本体フレームに取り付けられる取付部材として外装カバーに複数の引っ掛け部を設け、これら複数の引っ掛け部を本体フレームに引っ掛けて外装カバーを取り付けるものが記載されている。本体フレームと外装カバーとの間に挟まれて圧縮変形する軟弾性部材を設けることで、外装カバーのガタツキを抑え、ガタツキ音の発生を抑制できる旨が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品寸法のばらつき、軟弾性部材の経年劣化などによる反発力低下によって、外装カバーたる取付部材のガタツキを十分に抑えることができず、ガタツキ音を良好に抑制できないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、引っ掛け部を被取付部材に引っ掛けて取付部材を前記被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、前記取付部材の少なくとも一箇所は、前記被取付部材に対し離接方向で不動に取り付けられ、前記被取付部材と前記取付部材とに挟まれる緩衝部材を備え、前記緩衝部材は、前記被取付部材に設けられた前記引っ掛け部が差し込まれる孔部の一部を塞いでいることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置の騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複写機の構成を示す概略構成図。
図2】同複写機の画像形成ユニットの構成を示す構成図。
図3】同複写機のプリンタ部の奥側を示す斜視図。
図4】(a)は、ハーネスガイドの斜視図であり、(b)は、ハーネスガイドの上部拡大斜視図。
図5】ハーネスガイドおよびモータ駆動基板が取り外されたブラケットの一部を示す斜視図。
図6】作像駆動ユニットを下側から見た要部拡大構成図。
図7】引っ掛け部のブラケットへの引っ掛けの参考例について説明する図。
図8】実施例1の構成について説明する図。
図9】実施例1の緩衝部材の構成を示す断面図。
図10】同緩衝部材のハーネスガイドとの接触面およびブラケットとの接触面の少なくとも一方の面を凹凸形状とした例を示す図。
図11】ハーネスガイド組付け後の差込部と差込孔との隙間について説明する図。
図12】実施例1の第1変形例について説明する図。
図13】実施例1の第2変形例について説明する図。
図14】実施例1の第3変形例について説明する図。
図15】実施例1の第4変形例について説明する図。
図16】実施例2の構成について説明する図。
図17】ハーネスガイドの左右方向の振動による異音発生について説明する図。
図18】実施例2の第1変形例について説明する図。
図19】実施例3の構成について説明する図。
図20】実施例3の第1変形例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態の一例として、電子写真方式の複写機300について説明する。まず、実施形態に係る複写機300の基本的な構成について説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る複写機300の構成を示す概略構成図である。
図1に示されるように、この複写機300は、画像形成を行うプリンタ部100及びプリンタ部100の上部に取り付けられたスキャナ部200から構成される。
【0010】
プリンタ部100は、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kを備えている。符号の末尾に添えられたY,C,M,Kという添字は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像を形成するための手段であることを示す。なお、Y,C,M,Kの色順は、図1に示される順に限られるものでなく、他の並び順であっても構わない。
【0011】
図2は、画像形成ユニットの構成を示す構成図である。
図2に示されるように、画像形成ユニット1Yに設けられた潜像担持体たるドラム状の感光体2Yの周囲には、帯電手段たる帯電ローラ3Y、現像手段たる現像装置4Y、ドラムクリーニング装置5Yなどが配設されている。ゴムローラからなる帯電ローラ3Yは、感光体2Yの表面に接触しながら回転するようになっている。実施形態に係るプリンタでは、かかる帯電ローラ3Yに対して、帯電バイアスとして、AC成分を含まないDCバイアスを印加する接触DC帯電方式を採用している。なお、帯電ローラ3Yには、接触AC帯電ローラ方式や非接触帯電ローラ方式などの他の方式を採用することもできる。
【0012】
現像装置4Y内には、イエロートナーと磁性キャリアとを含有する現像剤が収容されている。現像装置4Yは、感光体2に対向した現像剤担持体たる現像ローラ4aY、現像剤を搬送・撹拌するスクリュー、トナー濃度センサー等から構成される。現像ローラ4aYは、中空で回転自在なスリーブと、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラとから構成されている。
【0013】
画像形成ユニット1Yは、感光体2Yと、その周囲に配設された帯電ローラ3Y、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置5Yとを1つのユニットとして共通の保持体に保持させたプロセスカートリッジとして構成されている。プリンタ部100本体に対して着脱可能になっており、その寿命到達持に一度に消耗部品を交換できるようになっている。他色用の画像形成ユニット1C,1M,1Kは、トナーとしてシアントナー、マゼンタトナー、黒トナーを用いるが、それ以外の構成は、Y用の画像形成ユニット1Yと同様である。
【0014】
画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの下方には、潜像書込手段たる光書込ユニット6が配設されている。光書込ユニット6は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各色の感光体2Y,2C,2M,2Kの表面に対してレーザー光Lの光走査を行う。この光走査により、感光体2Y,2C,2M,2K上に、イエロー,シアン,マゼンタ,黒用の静電潜像が形成される。
【0015】
画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの上方には、トナー像を感光体2Y,2C,2M,2Kから中間転写ベルト7を介して記録シートPに転写する中間転写ユニット8が配置されている。中間転写ベルト7は、複数のローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。中間転写ユニット8は、中間転写ベルト7の他、一次転写ローラ9Y,9C,9M,9K、ブラシローラ、クリーニングブレードを具備するベルトクリーニング装置10、二次転写バックアップローラ11、光学センサーユニット20などを備えている。
【0016】
一次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kは、中間転写ベルト7を感光体2Y,2C,2M,2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、感光体2Y,2M,2C,2Kと、中間転写ベルト7のおもて面とが当接するY,C,M,K用の一次転写ニップが形成されている。中間転写ユニット8は、黒用の画像形成ユニット1Kよりもベルト移動方向下流側で、二次転写バックアップローラ11の近傍にてベルトループ外側に位置する二次転写ローラ12を備えている。二次転写ローラ12は、二次転写バックアップローラ11との間に中間転写ベルト7を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
【0017】
二次転写ローラ12の上方には、定着ユニット13が配設されている。定着ユニット13は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着部材たる定着ローラ13aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧部材たる加圧ローラ13bとによって定着ニップを形成している。
【0018】
プリンタ部100の下部には、出力画像が記録される記録媒体たる記録シートPを複数枚重ねて収容する第一給紙カセット14a、第二給紙カセット14b、第一給紙ローラ21a,第二給紙ローラ21b、レジストローラ対15などが配設されている。また、プリンタ部100の側面には、側面から手差しで給紙を行うための手差しトレイ14cが備えられている。また、中間転写ユニット8や定着ユニット13の図中右側には、両面印刷時に記録シートPを再び二次転写ニップへ搬送するための両面ユニット16が設けられている。
【0019】
プリンタ部100の上部には、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの現像装置にトナーを補給するトナー補給容器17Y、17C、17M、17Kが配設されている。また、プリンタ部100には、廃トナー補給容器、電源ユニットなども設けられている。
【0020】
次に、画像形成の動作について説明する。まず、帯電電源ユニットから出力される帯電バイアスが印加される帯電ローラ3Yと感光体2Yとの接触領域で感光体2Yの表面を一様に帯電させる。所定の電位に帯電した感光体2Yの表面には、光書込ユニット6によって画像データに基づくレーザー光Lの走査がなされ、これによって感光体2Yに静電潜像が書き込まれる。静電潜像を担持した感光体2Yの表面が感光体2Yの回転に伴って現像装置4Yに到達すると、感光体2Yと対向配置される現像ローラ4aYにより、感光体2Yの表面の静電潜像にYトナーが供給される。これにより、感光体2Yの表面にYトナー像が形成される。現像装置4Y内には、トナー濃度センサーの出力に応じて、トナー補給容器17Yから適量のYトナーが補給される。
【0021】
同様の動作が画像形成ユニット1C,M,Kにおいても所定のタイミングで行われる。これにより、感光体2Y,2C,2M,2Kの表面に、Y,C,M,Kトナー像が形成される。これらY,C,M,Kトナー像は、Y,C,M,K用の一次転写ニップで中間転写ベルト7のおもて面に順に重ね合わせて一次転写されていく。この一次転写は、一次転写ローラ9Y,9C,9M,9Kに、転写電源によってトナーと逆極性の電圧が印加されることで行われる。
【0022】
記録シートPは、第一給紙カセット14a、第二給紙カセット14b、もしくは手差しトレイ14cのいずれかから搬送され、レジストローラ対15に到達したところで一旦停止する。そして、所定のタイミングに合せてレジストローラ対15が回転して記録シートPを二次転写ニップへ向けて送り出す。
【0023】
中間転写ベルト7上に重ね合わされたY,C,M,Kトナー像は、二次転写ローラ12と中間転写ベルト7とが当接する二次転写ニップで記録シートPに二次転写される。この二次転写は、二次転写電源によって二次転写ローラ12にトナーと逆極性の電圧が印加されることで行われる。記録シートPは、二次転写ニップを出た後に定着ユニット13に向けて搬送されて定着ニップに挟み込まれる。記録シートP上のトナー像は、定着ニップにて定着ローラからの熱により加熱定着される。トナー像が定着せしめられた記録シートPは、片面印刷の場合には、排紙ローラ18によって機外に排出される。また、両面印刷の場合、記録シートPは、各搬送ローラによって両面ユニット16へ搬送されて反転され、先に画像が形成された面とは反対側の面に、上述したように画像が形成された後に機外に排出される。
【0024】
図3は、プリンタ部100の奥側を示す斜視図である。
図3に示すように、プリンタ部100の奥側板100aには、作像駆動ユニット30が取り付けられている。
作像駆動ユニット30の板金からなる被取付部材たるブラケット31には、YCM色のカラーの感光体2Y,2C,2Mを駆動するカラー感光体モータ51YCMがネジ止めされている。また、このカラー感光体モータ51YCMの真下にYCM色のカラーの現像装置4Y,4C,4Mを駆動するカラー現像モータ160YCMがネジ止めされている。
【0025】
また、カラー現像モータ160YCMの図中左側には、K色の現像装置4Kを駆動する黒用現像モータ160Kがブラケット31にネジ止めされており、この黒用現像モータ160Kの図中左側には、K色の感光体2Kを駆動する黒用感光体モータ51Kがブラケット31にネジ止めされている。
【0026】
また、ブラケット31の図中右側には、プリンタ部100に設けられたモータの駆動を制御する電装部品としてのモータ駆動基板70が取り付けられている。モータ駆動基板70には、プリンタ部100に設けられた複数のモータから延びる複数のハーネス35が取り付けられている。これらハーネス35は、ところどころでクランプ35aによって、プリンタ部100のフレームや側板、ブラケット31に留められている。
【0027】
また、このブラケット31には、取付部材たるハーネスガイド60が取り付けられている。ハーネスガイド60は、モータ駆動基板70と、カラー現像モータ160YCMとを仕切るように設けられている。
【0028】
モータ駆動基板70の図中左端部付近を上下に横切るように這い回されているハーネス35は、クランプによって、プリンタ部のフレームや側板、ブラケット31に留められていない。そのため、図中左側へ撓んでカラー現像モータ160YCMに干渉するおそれがある。そのため、本実施形態では、モータ駆動基板70と、カラー現像モータ160YCMとの間に取付部材としてのハーネスガイド60を設けて、モータ駆動基板70の図中左端部付近を上下に横切るように這い回されているハーネス35が、カラー現像モータYCM側へ撓むのを規制している。
【0029】
また、ハーネスガイド60を、モータ駆動基板70と、カラー現像モータ160YCMとを仕切るように設けることで、万一、モータ駆動基板70から発火したとき、モータへの延焼を防止することもできる。
【0030】
図4(a)は、ハーネスガイド60の斜視図であり、図4(b)は、ハーネスガイド60の上部拡大斜視図である。
ハーネスガイド60の上端には、ブラケット31に引っ掛けて固定する引っ掛け部61が設けられており、ハーネスガイド60の下端には、ネジ65によりブラケット31に離接不動に取り付けられる締結部63が設けられている。また、ハーネスガイド60は、上下方向に延びてハーネス35と対向してハーネスをガイドするハーネスガイド部64を有している。さらには、ブラケット31に位置決めするための第一位置決め部62aと、第二位置決め部62bとを有している。
【0031】
図4(b)に示すように、引っ掛け部61には、ブラケット31に設けられた差込孔131a(図5参照)を貫通するように、装置の手前側に延びだした差込部61bと、差込部61bの先端から上方に延び出し、ブラケット31の装置の手前側の面と対向する対向部61aとを備えている。
【0032】
図5は、ハーネスガイド60およびモータ駆動基板70が取り外されたブラケット31の一部を示す斜視図である。
図5に示すように、ブラケット31の上部には、ハーネスガイド60の引っ掛け部61が差し込まれる矩形状の差込孔131aが設けられている。また、ブラケット31の下部には、内周にネジ溝が切られたネジ穴131bが設けられている。上下方向において、差込孔131aとネジ穴131bとの間には、円形状の主基準位置決め孔132aと、上下に長い従基準位置決め孔132bとが設けられている。
【0033】
ハーネスガイド60は、引っ掛け部61の差込部61bがブラケット31の差込孔131aを貫通するように引っ掛け部61を差し込んで、引っ掛け部61の対向部61aをブラケット31の手前側の面(ギヤ配置側の面)に対向させる。また、第一位置決め部62aを、ブラケット31の主基準位置決め孔132aに差し込み、第二位置決め部62bを、ブラケット31の従基準位置決め孔132bに差し込んで、ハーネスガイド60をブラケット31に位置決めする。そして、ネジ65によりハーネスガイド60の締結部63がブラケット31に締結される。
【0034】
また、ハーネスガイド60の下部がネジ65により取り付けられることで、ハーネスガイド60がブラケット31に対して上下方向に移動することがなく、引っ掛け部61の対向部61aがブラケット31の手前側の面に対向する状態が維持される。これにより、対向部61aがブラケット31の手前側の面に突き当たることで、ハーネスガイド60の奥側への移動が規制され、ハーネスガイド60の上部がブラケット31から外れることがない。
これにより、取付部材たるハーネスガイド60が、被取付部材たるブラケット31に取り付けられる。
【0035】
図6は、作像駆動ユニット30を下側から見た要部拡大構成図である。
【0036】
作像駆動ユニット30は、カラー現像装置4Y,4C,4Mにカラー現像モータ160YCMの駆動力を伝達するための複数のギヤからなるカラー現像ギヤ列150YCMを収納している。
【0037】
カラー現像ギヤ列150YCMのカラー用現像駆動ギヤ155YCMは、ブラケット31を貫通するカラー現像モータ160YCMのモータ軸に直接歯を切って形成されたカラー用現像モータギヤ160aYCMと噛み合っている。
【0038】
カラー用現像駆動ギヤ155YCMに伝達されたカラー現像モータ160YCMの駆動力が、カラー現像ギヤ列150YCMを構成する複数のギヤを介して、YCM色の現像装置4Y,4C、4Mへ伝達される。カラー用現像駆動ギヤ155YCM等で構成されるカラー現像ギヤ列150YCMの各ギヤは、ブラケット31にネジ止めされる樹脂ハウジング33にインサート成形で固定された支持軸等に回転自在に支持されている。
【0039】
また、作像駆動ユニット30は、カラー感光体モータ51YCMの駆動力をY、C、Mの感光体に伝達するカラー感光体ギヤ列、黒用感光体モータ51Kの駆動力をK色の感光体2Kに伝達する黒用感光体ギヤ、および、黒用現像モータ160Kの駆動力をK色の現像装置4Kに伝達する黒用現像ギヤ列等も収納している。
【0040】
上述したように、カラー現像モータ160YCMのモータ軸には直接歯を切ってカラー用現像モータギヤ160aYCMを形成しているため、カラー用現像モータギヤに噛み合うカラー用現像駆動ギヤ155YCMとの間の噛合振動は、直接モータ軸に伝わり、カラー現像モータを介して固定されているブラケット31に伝播する。
【0041】
また、カラー現像ギヤ列のギヤの噛み合い振動によりカラー現像ギヤ列のギヤを支持する支持軸を振動させ、この支持軸が固定された樹脂ハウジング33などを介してブラケット31に伝播するおそれもある。
【0042】
また、カラー感光体モータ51YCM、黒用現像モータ160Kおよび黒用感光体モータ51Kの各モータギヤに噛み合うギヤとの間の噛合振動がモータを介して固定されているブラケット31に伝播するおそれもある。また、カラー感光体ギヤ列の各ギヤの噛み合い振動、黒用現像ギヤ列の各ギヤの噛み合い振動が、ギヤを支持する支持軸等を介してブラケット31に伝播するおそれもある。
【0043】
これらの駆動時のギヤの噛み合い振動がブラケット31に伝播し、ブラケット31を介して、このブラケット31に取り付けられているハーネスガイド60に伝播する。
【0044】
図7は、引っ掛け部61のブラケット31への引っ掛けの参考例について説明する図である。
図7に示す参考例においては、引っ掛け部の差込部61bの長さが、ブラケット31の板厚よりも長く、ブラケット31と引っ掛け部61の対向部61aとの間には0.2mm程度の隙間があった。そのため、ハーネスガイド60の上部は、前後方向(ブラケットの板厚方向)にブラケット31に対して多少のガタがあった。そのため、ブラケット31を介して、このブラケット31に取り付けられているハーネスガイド60に伝播すると、ハーネスガイド60の上部が振動する。この振動によって、ハーネスガイド60の上部がブラケット31に衝突してガタツキ音が発生するおそれがあった。
【0045】
そこで、本実施形態では、ハーネスガイド60の振動によるガタツキ音の発生を抑制するために、ハーネスガイド60とブラケット31の間に緩衝部材を設けたり、ハーネスガイド60の振動によりブラケット31に衝突する部分を曲面としたりした。以下、本実施形態の特徴部について、実施例として、説明する。
【0046】
[実施例1]
図8は、実施例1の構成について説明する図である。
図8に示すように、実施例1は、ブラケット31の差込孔131aの周囲に、ハーネスガイド60のブラケット31への衝突を緩衝する緩衝部材80を設けたものである。
【0047】
ハーネスガイド60の引っ掛け部を差込孔131aに差し込んで、ハーネスガイド60をブラケット31に引っ掛けると、ハーネスガイド60の上部が緩衝部材80に接触し、緩衝部材80が、ブラケット31とハーネスガイド60の上部とに挟まれる形となる。
【0048】
このように、ブラケット31とハーネスガイド60との間に緩衝部材80を設けることで、ハーネスガイド60の上部が振動したとき、ハーネスガイド60の上部は、緩衝部材80に衝突する。緩衝部材80は、クッション性を有した素材を有しており、ハーネスガイド60が緩衝部材80に衝突した際に、緩衝部材80が弾性変形することで、衝突が緩和される。これにより、ハーネスガイド60の振動によるガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0049】
実施例1における緩衝部材80には、ハーネスガイド60の引っ掛け部61の差込部61bが貫通する貫通孔部80aが設けられている。この貫通孔部80aの孔径は、ブラケット31の差込孔131aの孔径よりも小さくなっており、緩衝部材80により差込孔131aの一部を塞いでいる。
【0050】
このように、緩衝部材80により差込孔131aの一部を塞ぐことでこの差込孔131aからギヤの噛み合い騒音などのプリンタ部内部の騒音が漏れ出すのを抑制することができ、装置の静音化を図ることができる。
【0051】
なお、ハーネスガイド60の下部は、ブラケット31にネジ止めされることで、ブラケット31に対して接離する方向に移動不能である。従って、ハーネスガイド60の単独での振動が発生することがない。その結果、ブラケット31に衝突するようなことがなく、ガタツキ音が発生することがない。従って、ネジ止めされていないハーネスガイド60の上部とブラケット31との間のみ緩衝部材80を設ければよい。これにより、ハーネスガイド60とブラケット31との間全体に緩衝部材80を設ける場合に比べて、装置のコストダウンを図ることができる。
【0052】
この実施例1では、緩衝部材80として、両面テープを用いている。
図9は、実施例1の緩衝部材80の構成を示す断面図である。
図9に示すように、実施例1の緩衝部材80としての両面テープは、不織布81aの両面にアクリル系粘着剤の粘着層81bを有しており、片側に剥離ライナー81cが設けられた構成で、厚みは、0.16mmである。
【0053】
緩衝部材80としての両面テープの剥離ライナー81cが設けられていない面を、ブラケット31の差込孔131aの周囲に接触させて、両面テープをブラケット31に貼り付けた後、剥離ライナー81cを剥がす。そして、ハーネスガイド60の上部を両面テープに接触させて、ハーネスガイド60をブラケット31に取り付ける。
【0054】
このように、緩衝部材80として両面テープを用いることで、ハーネスガイド60の上部が両面テープに接着される。これにより、ハーネスガイド60の上部の自由度が拘束され、ハーネスガイド単独での振動が抑制される。その結果、ハーネスガイド60の振動による緩衝部材80を介したブラケット31への衝突も抑制され、より一層、ガタツキ音の発生を抑制することが可能となる。
【0055】
さらに、緩衝部材80としては、難燃性の材質のものを用いるのが好ましい。難燃性の材質を用いることで、万が一モータ駆動基板70が発火したときに、緩衝部材80に延焼するのを抑制することができる。また、このような難燃性の緩衝部材80により差込孔131aを塞ぐことで、差込孔131aを通した延焼も抑制することができる。
【0056】
また、図10に示すように緩衝部材80のハーネスガイド60との接触面およびブラケット31との接触面の少なくとも一方の面を凹凸形状とするのが好ましい。これら接触面の凹凸形状は、エンボス加工により施すことができる。このように、接触面を凹凸形状とすることで、緩衝部材80がつぶれやすくなり、緩衝部材80によりハーネスガイド60の衝突を良好に吸収することができる。
【0057】
図11は、ハーネスガイド60取り付け後の差込部61bと差込孔131aとの隙間について、説明する図である。
差込部61bの厚みは、差込孔131aの上下方向の長さよりも薄いため、図11(a)に示すように、差込孔131aに差し込まれた差込部61bの下面と、差込孔131aの下縁との間には、所定の隙間が生じる。
【0058】
また、差込部61bの上面が差込孔131aの上縁に突き当たるとハーネスガイド60に不要な応力が加わったたり、ネジ65によるネジ止めが困難となったりするおそれがある。そのため、図11(b)に示すように、差込部61bの上面と、差込孔131aの上縁との間にも所定の隙間が生じている。
【0059】
また、差込部61bが容易に差込孔131aに入るように、差込部61bの幅は、差込孔の左右方向の長さよりも狭くなっている。そのため差込部61bと、差込孔131aの左右の縁との間にも所定の隙間が生じる。
【0060】
図8に示すように、全周にわたりブラケット31の差込孔131aからはみ出すように、緩衝部材80の貫通孔部80aを小さく設定することで、上下左右の差込部61bと差込孔131aとの隙間を塞ぐことができ、差込孔131aから装置内部の騒音が漏れ出すのを効果的に防ぐことができる。
【0061】
また、図12(a)に示すように、緩衝部材80の上側と図中左側が、差込孔131aからはみ出すように、緩衝部材80の貫通孔部80aを構成し、図12(b)に示すように、差込部61bの上面と、差込孔131aの上縁の隙間と、差込部61bの図中左側面と差込孔131aと図中左縁の間の隙間を塞ぐようにしてもよい。
【0062】
この図12に示す構成では、差込部61bの図中左側面と差込孔131aと図中左縁の間の隙間とを埋めるようにしているが、差込部61bの図中右側面と差込孔131aと図中右縁の間の隙間とを埋めるようにしてもよい。しかし、差込部61bの図中右側面と差込孔131aと図中右縁の間の隙間は、ハーネスガイド60の形状で覆っており、このハーネスガイド60である程度、プリンタ部内部の騒音の漏れ出しを防ぐことができる。従って、差込部61bの図中左側面と差込孔131aと図中左縁の間の隙間を埋めるようにするのが、差込孔から装置内部の騒音が漏れ出すのを効果的に防ぐことができ好ましい。
【0063】
この図12に示す構成では、差込部61bの下面と差込孔131aの下縁との間、差込部左右方向の一方と、差込孔131aの縁との隙間が緩衝部材80により塞がれないので、差込孔131aからプリンタ部内部の騒音が漏れ出しについては、図8に示す構成に比べて劣る。しかし、この図12の構成においては、緩衝部材80の貫通孔部80aの孔径を、図8に示す構成よりも大きくできる。これにより、引っ掛け部61を、差込孔131aに差し込みやすくなり、ハーネスガイド60の取り付け性が向上するというメリットがある。
【0064】
また、図13(a)に示すように、緩衝部材80の下側のみ、差込孔131aからはみ出すように、貫通孔部80aを構成し、図13(b)に示すように、差込部61bの下面と、差込孔131aの下縁との隙間を緩衝部材80で塞ぐようにしてもよい。
【0065】
また、緩衝部材80を、図14(a)に示すように、貫通孔部80aの上縁から下側に飛び出すような巻き付き部80bを設け、この巻き付き部80bを、図14(b)に示すように、差込孔131aの上縁に巻き付かせて、ブラケット31の引っ掛け部61の対向部61aが対向する対向面にも、緩衝部材80が設けられる構成としてもよい。
【0066】
この図14に示す構成とすることで、ハーネスガイド60がブラケット31に対して相対的に振動したときの対向部61aの衝突を緩衝部材80が弾性変形して緩衝することができる。これにより、ハーネスガイド振動時の異音の発生を、より抑制することができる。
【0067】
なお、ブラケット31のモータ取り付け側の面とハーネスガイド上部との間に挟む緩衝部材とは別に、ブラケット31のギヤ収納側の面と対向部61aとの間に挟む第二の緩衝部材を設けてもよい。
【0068】
また、図15(a)に示すように、緩衝部材80を、ハーネスガイド60に貼り付ける構成としてもよい。この図15に示す構成では、緩衝部材80を、ハーネスガイド上部の差込孔131aとの対向する箇所およびブラケット31と対向する箇所に貼り付けている。かかる構成とすることでも、図15(b)に示すように、緩衝部材80で、差込孔131aを塞ぐことができるとともに、ハーネスガイド60の上部とブラケット31との間に緩衝部材80を設けることができる。また、引っ掛け部61を差込孔131aに差し込みやすくなり、組み付け性の向上を図ることができる。
【0069】
[実施例2]
次に、実施例2ついて、説明する。
図16は、実施例2の構成について、説明する図である。
図16に示すように、この実施例2は、ハーネスガイド上部のブラケット対向面66と、引っ掛け部61の対向部61aのブラケット31との対向面とを凸状の曲面としたものである。
図17に示すように、ハーネスガイド上部のブラケット対向面66、引っ掛け部の対向部61aのブラケット31との対向面が平面の場合、ハーネスガイドの上部が左右に振動した場合は、対向部61aの左右両端X1,X2が、ブラケット31に対して接離し、交互にブラケット31への衝突を繰り返し、ガタツキ音が発生する。ハーネスガイド60の上部が左右に振動すると、ハーネスガイドの上部右端X3が、ブラケット31に対して接離し、ブラケット31への衝突が繰り返され、ガタツキ音が発生する。
【0070】
これに対して、図16に示すように、引っ掛け部の対向部61aのブラケット31との対向面を凸状の曲面とすることで、ハーネスガイド上部が左右に振動して、対向部61aがブラケット31に対して左右に揺れたとしても、ブラケット31との接点が移動するだけとなり、対向部61aの左右両端X1、X2がブラケット31と衝突しなくなる。これにより、対向部61aのブラケット31との衝突によるガタツキ音の発生を防ぐことができる。
【0071】
また、ハーネスガイド60の上部が左右に振動したとき、ハーネスガイド60の上部のブラケット対向面66とブラケット31との接点が移動するだけとなり、ブラケット対向面66の図中右端X3がブラケット31と衝突しなくなる。これにより、ブラケット対向面66のブラケット31との衝突によるガタツキ音の発生も防ぐことができる。
【0072】
図16に示す構成では、ハーネスガイド60の左右の振動によるブラケット31への衝突は防げるが、ハーネスガイド60の前後(ブラケットの板厚方向)の振動により、対向部61aや、ハーネスガイド60のブラケット対向面66が接離し、交互にブラケット31に衝突してガタツキ音が発生するおそれがある。
【0073】
そのため、図18に示すように、ブラケット31の厚みaよりも差込部61bの長さbを短くして、ハーネスガイド60の上部が装置の前後方向(ブラケットの板厚方向)において、ガタつきなくブラケット31に取り付けられるようにすることが好ましい。これにより、ハーネスガイド60の上部の前後方向の振動の発生を防止し、ハーネスガイド60の上部の前後方向の振動による異音の発生を防止することができる。
【0074】
なお、実施例1の構成を採用し、ハーネスガイド60の上部とブラケット31との間や、対向部61aとブラケット31との間に緩衝部材80を設け、ハーネスガイド60の上部の前後方向の振動による衝突を緩衝部材80により吸収することで、異音の発生を抑制するようにしてもよい。また、実施例1の構成を採用することで、差込孔131aからのプリンタ部内部の騒音の漏れ出しを抑制できる。
【0075】
[実施例3]
次に、実施例3ついて、説明する。
図19は、実施例3の構成について、説明する図である。
この実施例3は、ハーネスガイド60に制振部材69を設け、ハーネスガイド60の固有振動数を、ブラケット31を介してハーネスガイド60に伝播する振動の周波数から離すようにしたものである。このように、ハーネスガイド60の固有振動数を、ブラケット31を介してハーネスガイド60に伝播する振動の周波数から離すことで、ブラケット31を介してハーネスガイドに伝播する振動にハーネスガイド60が共振しないようできる。よって、ハーネスガイド60の振動を抑えることができ、ハーネスガイド60の上部が、ハーネスガイドの振動によってブラケット31に衝突する際の勢いを抑えることができ、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0076】
この実施例3では、制振部材69として厚さ1mmの樹脂板を、ハーネスガイド60のガイド部に接着した。制振部材69の厚みや重量、材質などは、適宜、装置の構成に基づいて決めればよい。適切な制振部材69をハーネスガイド60に貼り付けることで、貼り付けない場合に比べて、ハーネスガイド60の振動が7割近く低減することを、本出願人は、確認している。
【0077】
また、制振部材69としては、面積が大きく、重量が上がるほど、ハーネスガイド60に伝播する振動に対する共振点がずれ、制振効果を高めることができる。そのため、例えば、質量がある物質(例えば金属)で制振部材69を構成することで、効果的に制振効果を高めることができ好ましい。さらに、ハーネスガイド60のハーネスガイド部64全体に制振部材69を貼り付けることで、制振部材69の面積が大きくなり、効果的に制振効果を高めることができ好ましい。また、ハーネスガイド60のハーネスガイド部64全体に制振部材69を貼り付けることで、ハーネスガイド60全体が変形しがたくなり、ハーネスガイド60の振動の振幅を抑える効果も期待できる。
【0078】
また、図20に示すように、制振部材69をブラケット31に当接させるのがより好ましい。このように、制振部材69をブラケット31に当接させることで、制振部材69によりハーネスガイド60の姿勢が強制される。また、制振部材69がブラケット31に接触することで、ハーネスガイド60のブラケット31側の移動が規制され、前後方向のガタつきが抑制される。また、制振部材69のブラケット31に対する摺動抵抗によって、ハーネスガイド60上部の左右方向のガタつきも防止することができる。
【0079】
この実施例3では、ハーネスガイドの振動は完全に無くせないので上述した実施例1の構成、実施例2の構成、または、実施例1構成と実施例2の構成の両方を追加することで、ハーネスガイド上部のブラケットへの衝突による異音発生をより抑制することができる。
【0080】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
引っ掛け部61をブラケット31などの被取付部材に引っ掛けてハーネスガイド60などの取付部材を被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、取付部材の少なくとも一箇所(本実施形態では、締結部63)は、被取付部材に対し離接方向で不動に取り付けられている。
これによれば、ハーネスガイド60などの取付部材の少なくとも一箇所は、ブラケット31被取付部材に対し離接方向で不動に取り付けられているため、取付部材が被取付部材に引っ掛けて取り付けられた特許文献1に記載の構成に比べて、取付部材の被取付部材に対するガタツキを抑制することができる。これにより、取付部材のガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0081】
(態様2)
態様1において、ブラケット31などの被取付部材とハーネスガイド60などの取付部材とに挟まれる緩衝部材80を備える。
これによれれば、ハーネスガイド60などの取付部材のブラケット31などの被取付部材に対し離接方向で不動に取り付けられていない箇所(本実施形態では、ハーネスガイドの上部)の振動による被取付部材への衝突を緩衝部材80で和らげることができる。これにより、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0082】
(態様3)
態様2において、緩衝部材80は、ブラケット31などの被取付部材に設けられた引っ掛け部61が差し込まれる差込孔131aなどの孔部の一部を塞いでいる。
これによれば、実施例1を用いて説明したように、差込孔131aなどの孔部から装置内部の音が漏れ出すのを抑制することができ、装置の騒音を抑制することができる。
【0083】
(態様4)
引っ掛け部61をブラケット31などの被取付部材に引っ掛けてハーネスガイド60などの取付部材を被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、被取付部材と取付部材とに挟まれる緩衝部材80を備え、緩衝部材80は、被取付部材に設けられた引っ掛け部61が差し込まれる差込孔131aなどの孔部の一部を塞いでいる。
これによれば、実施例1を用いて説明したように、差込孔131aなどの孔部から装置内部の音が漏れ出すのを抑制することができ、装置の騒音を抑制することができる。
【0084】
(態様5)
態様3または4において、緩衝部材80は、ブラケットなどの被取付部材に設けられており、引っ掛け部61が貫通する貫通孔部80aを有し、貫通孔部80aは、差込孔131aなどの孔部よりも小さい。
これによれば、実施例1で説明したように、緩衝部材80が差込孔131aなどの孔部にはみ出してブラケット31など被取付部材に設けることができ、緩衝部材80で差込孔131aなどの孔部の一部を塞ぐことができる。
【0085】
(態様6)
態様5において、引っ掛け部61は、差込孔131aなどの孔部に差し込まれる差込部61bと、差込部61bの先端から差し込み方向と直交する方向に突出してブラケット31などの被取付部材のハーネスガイド60などの取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部61aとを有し、緩衝部材80は、孔部と差込部61bの対向部61aが設けられた面との隙間、および、孔部と差込部61bの一対の側面のうちの一方の側面との隙間を塞ぐ。
これによれば、図12を用いて説明したように、差込孔131aなどの孔部から装置の騒音が漏れ出すのを抑制し、かつ、差込部61bと孔部との四方の隙間をすべて緩衝部材80で塞ぐ場合に比べて、貫通孔部80aを大きくでき、引っ掛け部61を、貫通孔部80aに入れやすくなる。これにより、ハーネスガイド60などの取付部材のブラケット31などの被取付部材への取り付け性を高めることができる。
【0086】
(態様7)
態様5において、引っ掛け部61は、差込孔131aなどの孔部に差し込まれる差込部61bと、差込部61bの先端から差し込み方向と直交する方向に突出してブラケット31などの被取付部材のハーネスガイド60などの取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部61aとを有し、緩衝部材80は、孔部と差込部61bの対向部61aが設けられた面と反対側の面との隙間を塞ぐ。
これによれば、図13を用いて説明したように、差込孔131aなどの孔部から装置の騒音が漏れ出すのを抑制し、かつ、差込部61bと孔部との四方の隙間をすべて緩衝部材80で塞ぐ場合に比べて、貫通孔部80aを大きくでき、引っ掛け部61を、貫通孔部80aに入れやすくなる。これにより、ハーネスガイド60などの取付部材のブラケット31などの被取付部材への組み付け性を高めることができる。
【0087】
(態様8)
態様2乃至7いずれかにおいて、引っ掛け部61は、差込孔131aなどの孔部に差し込まれる差込部61bと、差込部61bの先端から差し込み方向と直交する方向に突出してブラケット31などの被取付部材のハーネスガイド60などの取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部61aとを有し、緩衝部材80を、被取付部材と対向部61aとの間に設けた。
これによれば、図14を用いて説明したように、ハーネスガイド60などの取付部材が振動したときの対向部61aの衝突を緩衝部材80により緩衝することができ、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0088】
(態様9)
態様2乃至4いずれかにおいて、緩衝部材80は、ハーネスガイド60などの取付部材に設けられている。
これによれば、図15を用いて説明したように、緩衝部材80で、差込孔131aなどの孔部を塞ぐことができるとともに引っ掛け部61を孔部に差し込みやすくなり、取り付け性の向上を図ることができる。
【0089】
(態様10)
態様2乃至9いずれかにおいて、緩衝部材80は、ブラケット31などの被取付部材との接触面およびハーネスガイド60などの取付部材との接触面が粘着性を有する。
これによれば、実施例1で説明したように、ハーネスガイド60などの取付部材の自由度が拘束され、取付部材単独での振動が抑制される。その結果、取付部材の振動による緩衝部材80を介したブラケット31などの被取付部材への衝突も抑制され、より一層、ガタツキ音の発生を抑制することが可能となる。
【0090】
(態様11)
態様2乃至10いずれかにおいて、緩衝部材80のブラケット31などの被取付部材との接触面およびハーネスガイド60などの取付部材との接触面の少なくとも一方が、凹凸形状である。
これによれば、図10を用いて説明したように、緩衝部材80がつぶれやすくなり、緩衝部材80によりハーネスガイド60などの取付部材の振動によるブラケット31などの被取付部材への衝突を良好に吸収することができ、ガタツキ音の発生を良好に抑えることができる。
【0091】
(態様12)
態様1乃至11いずれかにおいて、ハーネスガイド60などの取付部材のブラケット31などの被取付部材との接触面、または、取付部材の被取付部材と取付部材とに挟まれる緩衝部材との接触面の少なくとも一部が凸状の曲面である。
これによれば、実施例2で説明したように、ブラケット31などの被取付部材のハーネスガイド60など取付部材が取り付けられるモータ側の面などの取り付け面と水平方向に取付部材が振動したときに、取付部材が緩衝部材80またはブラケット31などの被取付部材に衝突することがなく、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0092】
(態様13)
引っ掛け部61をブラケット31などの被取付部材に引っ掛けてハーネスガイド60などの取付部材を被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、取付部材の被取付部材に接触する接触面の少なくとも一部が凸状の曲面である。
これによれば、実施例2で説明したように、ブラケット31などの被取付部材のハーネスガイド60など取付部材が取り付けられるモータ側の面などの取り付け面と水平方向に取付部材が振動したときに、取付部材がブラケット31などの被取付部材に衝突することがなく、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0093】
(態様14)
態様1乃至13いずれかにおいて、引っ掛け部61は、差込孔131aなどの孔部に差し込まれる差込部61bと、差込部61bの先端から差し込み方向と直交する方向に突出してブラケット31などの被取付部材の取付部材に対向する対向面とは反対側の面に対向する対向部61aとを有し、差込部61bの長さを、被取付部材の厚みよりも短くした。
これによれば、図18を用いて説明したように、ハーネスガイド60などの取付部材のブラケット31などの被取付部材に対する被取付部材の厚み方向のガタつきがなくなり、取付部材の上記厚み方向の振動を防止することができる。これにより、厚み方向の振動による取付部材の被取付部材への衝突が防止され、異音の発生を抑制することができる。
【0094】
(態様15)
態様1乃至14いずれかにおいて、ブラケット31などの取付部材に制振部材69を設けた。
これによれば、実施例3で説明したように、ハーネスガイド60などの取付部材の固有振動数を、ブラケット31などの被取付部材を介して取付部材に伝播する振動の周波数から離すことができる。これにより、取付部材の振動を抑えることができ、取付部材の振動による被取付部材への衝突を抑えることができ、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0095】
(態様16)
引っ掛け部61をブラケット31などの被取付部材に引っ掛けてハーネスガイド60などの取付部材を被取付部材に取り付ける取付部材の取り付け構造であって、取付部材に制振部材69を設けた。
これによれば、実施例3で説明したように、ハーネスガイド60などの取付部材の固有振動数を、ブラケット31などの被取付部材を介して取付部材に伝播する振動の周波数から離すことができる。これにより、取付部材の振動を抑えることができ、取付部材の振動による被取付部材への衝突を抑えることができ、ガタツキ音の発生を抑制することができる。
【0096】
(態様17)
態様15または16において、制振部材69は、ブラケット31などの被取付部材に接触する。
これによれば、図20を用いて説明したように、制振部材69によりハーネスガイド60などの取付部材の姿勢が強制され、かつ、取付部材のガタつきも防止することができる。
【0097】
(態様18)
態様1乃至17いずれかにおいて、ブラケット31などの被取付部材は、駆動モータおよびモータ駆動基板70などの電装部品が取り付けられる部材であり、ハーネスガイド60などの取付部材は、駆動モータと電装部品とを仕切るように設けられ、ハーネスをガイドするハーネスガイド60である。
これによれば、駆動モータのモータギヤとこれに噛み合うギヤとの間で発生する噛み合い振動が、駆動モータからブラケットなどの取付部材を介して、ハーネスガイドに伝播して、ハーネスガイドが単独で振動したときの異音の発生を抑制することができる。
【0098】
(態様19)
被取付部材に固定される取付部材を備えた画像形成装置において、態様1乃至18いずれかの取付部材の取り付け構造を備える。
これによれば、画像形成装置の静音化を図ることができる。
【符号の説明】
【0099】
2 :感光体
4 :現像装置
30 :作像駆動ユニット
31 :ブラケット
33 :樹脂ハウジング
35 :ハーネス
35a :クランプ
51K :黒用感光体モータ
51YCM :カラー感光体モータ
60 :ハーネスガイド
61 :引っ掛け部
61a :対向部
61b :差込部
62a :第一位置決め部
62b :第二位置決め部
63 :締結部
64 :ハーネスガイド部
65 :ネジ
66 :ブラケット対向面
69 :制振部材
70 :モータ駆動基板
80 :緩衝部材
80a :貫通孔部
80b :巻き付き部
100 :プリンタ部
100a :奥側板
131a :差込孔
131b :ネジ穴
132a :主基準位置決め孔
132b :従基準位置決め孔
150YCM :カラー現像ギヤ列
155YCM :カラー用現像駆動ギヤ
160K :黒用現像モータ
160YCM :カラー現像モータ
160aYCM :カラー用現像モータギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【文献】特開2017-163503号公報
図1
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