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特許7482551心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240507BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022500453
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005052
(87)【国際公開番号】W WO2021162055
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2020021509
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】内藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮太
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063504(JP,A)
【文献】特許第6448839(JP,B1)
【文献】特開平09-101970(JP,A)
【文献】特開2007-249319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
G06N 3/04
G06N 3/00
G06N 20/00
G06F 16/50
G06F 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN(Deep Neural Networks)に、前記特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成させるステップと、
前記DNNに、前記複数のサンプル画像を入力するステップと、
前記複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、前記DNNにより、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、前記DNNから取得するステップとを含み、
前記特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる、
心的イメージ可視化方法。
【請求項2】
さらに、
前記複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、前記複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付き加算平均して第1特徴ベクトルを得るステップと、
前記DNNを用いて、前記第1特徴ベクトルから前記心的イメージを示す画像を生成するステップとを含む、
請求項1に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項3】
前記DNNは、styleGAN(A Style-Based Generator Architecture for Generative Adversarial Networks)で構成され、
前記取得するステップでは、前記styleGANのマッピングネットワークの出力を取得することで、前記特徴ベクトルを取得し、
前記生成するステップでは、前記styleGANの合成ネットワークに前記第1特徴ベクトルを入力することで前記合成ネットワークに前記心的イメージを示す画像を生成させる、
請求項2に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項4】
さらに、
前記複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、前記複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルに重み付けした特徴ベクトルの分散共分散行列を、STC(Spike-triggered covariance)分析により算出するステップと、
算出した前記分散共分散行列に対して特異値分解を実行して複数の固有値を得るステップと、
前記複数の固有値のうち、少なくとも2つの固有値を選択するステップと、
前記少なくとも2つの固有値のいずれかをそれぞれを有する少なくとも2つの固有ベクトルを導出するステップと、
前記DNNを用いて、前記少なくとも2つの固有ベクトルから、前記心的イメージを構成する前記少なくとも2つのサブ心的イメージであって互いに直交性を仮定するサブ心的イメージを示す画像を生成するステップとを含む、
請求項1に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項5】
さらに、
前記複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、前記複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルに重み付けした特徴ベクトルにDMD(Dynamic Mode Decomposition)を適用することで、複数の固有値を得るステップと、
前記複数の固有値のうちから少なくとも2つの固有値を選択して、前記少なくとも2つの固有値のいずれかをそれぞれを有する少なくとも2つの固有ベクトルを得るステップと、
前記DNNを用いて、前記少なくとも2つの固有ベクトルから、前記心的イメージを構成する前記少なくとも2つのサブ心的イメージであって互いに直交性を仮定しないサブ心的イメージを示す画像を生成するステップとを含む、
請求項1に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項6】
前記DNNは、styleGAN(A Style-Based Generator Architecture for Generative Adversarial Networks)で構成され、
前記取得するステップでは、前記styleGANのマッピングネットワークの出力を取得することで、前記特徴ベクトルを取得し、
前記生成するステップでは、前記styleGANの生成器に前記少なくとも2つの固有ベクトルを入力することで前記生成器に前記少なくとも2つのサブ心的イメージを示す画像を生成させる、
請求項4または5に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項7】
さらに、心理学的逆相関法を用いて用意された複数の画像と、前記心的イメージを持つ対象者が行った前記複数の画像に対する前記感性評価の結果とで構成される学習用データセットを用いて学習されたDCNN(Deep Convolution Neural Networks)に、前記複数のサンプル画像それぞれを入力し、前記複数のサンプル画像に対する前記感性評価の結果を予測させることにより、前記複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果を取得するステップを含む、
請求項2~6のいずれか1項に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項8】
前記DCNNは、
事前学習済のCNN(Convolution Neural Networks)と、
前記CNNの後段に設けられた1層以上の畳み込み層と、
前記1層以上の畳み込み層の後段に設けられたGAP(Global Average Pooling)層とで構成され、
前記CNNは、複数の畳み込み層と複数のプーリング層とを有する、
請求項7に記載の心的イメージ可視化方法。
【請求項9】
心的イメージ可視化方法を実行するためのプログラムであって、
特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN(Deep Neural Networks)に、前記特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成させるステップと、
前記DNNに、前記複数のサンプル画像を入力するステップと、
前記複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、前記DNNにより、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、前記DNNから取得するステップとを含み、
前記特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる、
プログラム。
【請求項10】
特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN(Deep Neural Networks)と、
前記DNNに生成させた複数のサンプル画像であって前記特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を取得する取得部と、
前記複数のサンプル画像を前記DNNに入力する入力部と、を備え、
前記取得部は、前記複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、前記DNNにより、対応するサンプル画像が、n次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、前記DNNから取得し、
前記特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる、
心的イメージ可視化装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の心的イメージ可視化方法における前記DNNの潜在空間を取得するステップと、
複数のレコメンド候補画像それぞれを、前記DNNの潜在空間内にembeddingするステップと、
前記DNNの潜在空間内における前記心的イメージの位置と、embeddingした前記複数のレコメンド候補画像それぞれの位置との距離を算出するステップと、
前記複数のレコメンド候補画像のうち、算出された前記距離のうち閾値以下の距離に対応する1以上のレコメンド候補画像を、前記心的イメージを持つ対象者に提示するステップとを含む、
レコメンド方法。
【請求項12】
請求項10に記載の心的イメージ可視化装置における前記DNNと、
複数のレコメンド候補画像それぞれを、前記DNNの潜在空間内にembeddingするEmbedding実行部と、
前記DNNの潜在空間内における前記心的イメージの位置と、embeddingした前記複数のレコメンド候補画像それぞれの位置との距離を算出する距離算出部と、
前記複数のレコメンド候補画像のうち、算出された前記距離のうち閾値以下の距離に対応する1以上のレコメンド候補画像を、前記心的イメージを持つ対象者に提示する提示部とを備える、
レコメンドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人は、心の中に存在する心的イメージと眼前のイメージ(視覚対象)との比較から感性判断を行うことが知られている。ここで、感性は、外界からの刺激を受け止める感覚的能力であり、視覚対象を観察した際に人が感じる特定の価値判断を伴う感覚である。心的イメージは、心の中に思い浮かべるイメージ(心的表象)であり、心の中に存在する。
【0003】
例えば、非特許文献1には、心的イメージを可視化する技術が開示されている。非特許文献1によれば、用意した顔画像であるベース画像にランダムなノイズを付加して種々の顔画像を得る。そして、心理学的逆相関法を利用して、種々の顔画像から、被験者が持つ人種の顔イメージに近い顔画像を選択することで、被験者の顔による人種判断に関する心的イメージを可視化する技術が開示されている。なお、心理学的逆相関法は、例えば美しいなど、ある感性が生じた際に提示されていた刺激が何であったかという関係性に注目することで、当該感性を生じさせることに寄与する画像特徴が何であるかを可視化する技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Visualising mental representations: A primer on noise-based reverse correlation in social psychology、L Brinkman, A Todorov, R Dotsch European Review of Social Psychology 28 (1), 333-361
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に開示される技術では、ベース画像にランダムなノイズを付加して得た種々の顔画像は、ベース画像から派生した画像である。つまり、種々の顔画像は、用意されたベース画像に強く規定される。このため、種々の顔画像から選択された顔画像は、選択した人の心的イメージに近いものの異なる可能性がある。また、非特許文献1に開示される技術では、用意されるベース画像は、データベースから取得した顔画像を平均化して得た顔画像であるものの、低品質であるという課題もある。
【0006】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、ヒトの心的イメージをより高品質な画像で可視化することができる心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る心的イメージ可視化方法は、特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN(Deep Neural Networks)に、前記特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成させるステップと、前記DNNに、前記複数のサンプル画像を入力するステップと、前記複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、前記DNNにより、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、前記DNNから取得するステップとを含み、前記特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示の一形態に係る心的イメージ可視化装置は、特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN(Deep Neural Networks)と、前記DNNに生成させた複数のサンプル画像であって前記特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を取得する取得部と、前記複数のサンプル画像を前記DNNに入力する入力部と、を備え、前記取得部は、前記複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、前記DNNにより、対応するサンプル画像が、n次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、前記DNNから取得し、前記特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる。
【0009】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の心的イメージ可視化方法等によれば、ヒトの心的イメージをより高品質な画像で可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1に係る心的イメージ可視化装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、styleGANのGenerator部分の構造を示す図である。
図3A図3Aは、実施の形態1に係るサンプル画像の一例を示す図である。
図3B図3Bは、図3Aに示すサンプル画像の特徴ベクトルの一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る心的イメージ可視化装置の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る心的イメージ可視化装置の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る2つのサンプル画像の特徴ベクトルの加算平均により得られる画像を示す図である。
図7図7は、実施の形態2に係る心的イメージ可視化システムの構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、図7に示すDCNNのネットワーク構造の一例を示す図である。
図9図9は、図8に示すDCNNの学習方法を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態2に係る複数のサンプル画像に対する感性評価の結果の一例を示す図である。
図11A図11Aは、実施の形態2に係る加算平均部により算出された第1特徴ベクトルの一例を示す図である。
図11B図11Bは、図11Aに示す第1特徴ベクトルから生成された心的イメージを示す画像を示す図である。
図12図12は、実施の形態1及び2に係る美醜評価での心的イメージ可視化方法の全体像を示す図である。
図13図13は、実施の形態2の変形例1に係る心的イメージ可視化システムの構成の一例を示すブロック図である。
図14図14は、実施の形態2の変形例1に係る次元圧縮処理部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図15図15は、実施の形態2の変形例1に係る心的イメージ可視化システムの動作例を概観的に示す図である。
図16A図16Aは、図15に示す動作例に係る特異値分解を実行して得た複数の固有値をランク順に並べたグラフの一例を示す図である。
図16B図16Bは、図16Aに示す表を用いてサブ心的イメージを示す画像と心的イメージを示す画像との関係を説明するための図である。
図17図17は、実施の形態2の変形例2に係る次元圧縮処理部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図18図18は、実施の形態3に係るレコメンドシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図19図19は、実施の形態3に係る心的イメージ或いはサブ心的イメージの一例を示す図である。
図20図20は、実施の形態3に係る潜在空間の一例と、心的イメージ或いはサブ心的イメージの位置を示す図である。
図21図21は、実施の形態3に係る潜在空間内における心的イメージ或いはサブ心的イメージの位置と1つのレコメンド候補画像の位置との距離の一例を示す図である。
図22A図22Aは、実施の形態3に係るレコメンド画像生成UIにより提示されるレコメンド候補画像の一例を示す図である。
図22B図22Bは、実施の形態3に係るレコメンド画像生成UIにより提示されるレコメンド候補画像の一例を示す図である。
図22C図22Cは、実施の形態3に係るレコメンド画像生成UIにより提示されるレコメンド候補画像の一例を示す図である。
図23A図23Aは、実施の形態3に係るレコメンドシステムの心的イメージ或いはサブ心的イメージの取得方法の一例を示す図である。
図23B図23Bは、実施の形態3に係る対象者が評価するサンプル画像の提示と評価方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0013】
(実施の形態1)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態1について説明する。
【0014】
[1.心的イメージ可視化装置1]
図1は、実施の形態1に係る心的イメージ可視化装置1の構成の一例を示すブロック図である。心的イメージ可視化装置1は、DNN(Deep Neural Networks)を用いたコンピュータ等で実現される。より具体的には、心的イメージ可視化装置1は、DNN10を用いて複数のサンプル画像を生成する。また、心的イメージ可視化装置1は、DNN10を用いて、生成した複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルを取得する。なお、以下では、サンプル画像は、例えば顔画像であり、心的イメージは、顔の美醜に関するものとして説明するがこれに限らない。例えば、サンプル画像は、自動車の外観を示す画像であってもよいし、家屋の外観を示す画像であってもよいし、商品を示す画像であってもよい。同様に、心的イメージは、感性形容詞に関するものであれば、顔の美醜に関するものでなくてよい。例えば心的イメージは、自動車の外観の良し悪しに関するものであってもよいし、家屋の外観の良し悪しに関するものであってもよいし、商品の良し悪しに関するものであってもよい。また現代的である、日本的である、など任意の形容詞を感性形容詞として使用可能である。
【0015】
本実施の形態では、心的イメージ可視化装置1は、図1に示すように、DNN10と、取得部11と、入力部12とを備える。以下、それぞれの構成要素の詳細について説明する。
【0016】
[1-1.DNN10]
DNN10は、特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習された多層ニューラルネットワークで構成される。DNN10は、特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成する。特徴学習用画像のデータセットは、既存のデータベース等から取得される種々の顔画像を含むデータセットでもよいし、自ら作成した種々の顔画像を含むデータセットでもよい。
【0017】
DNN10は、入力部12により複数のサンプル画像が入力されると、複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを生成する。n次元の特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いられる。
【0018】
ここで、DNN10は、例えばstyleGAN(A Style-Based Generator Architecture for Generative Adversarial Networks)で構成されてもよい。なお、DNN10は、複数のサンプル画像を生成でき、さらに、入力したサンプル画像のn次元の特徴ベクトルを生成できるのであれば、styleGANで構成される場合に限らず、他のGANまたは他の多層ニューラルネットワークで構成されていてもよい。
【0019】
<styleGAN>
styleGANは、GAN(Generative Adversarial Networks)の1種であり、例えば1024画素×1024画素の高解像度の画像を生成することができる。また、styleGANは、人物画像を生成する場合、人物画像の大局的な属性(顔の輪郭、眼鏡の有無など)から局所的な属性(しわ、肌質など)までを切り分けて制御した上で生成することができる。ここで、GANは、学習用のデータを学習し、学習したデータと似たような新しいデータを生成するモデル(生成モデル)の一種である。換言すると、GANは、GeneratorとDiscriminatorという2つのネットワークを有し、2つのネットワークを競わせながら学習させるアーキテクチャであり、正解データを与えることなく特徴を学習する(教師なし学習を行う)。GANは、データから特徴を学習することで、実在しないデータを生成したり、存在するデータに沿って変換したりすることができる。
【0020】
図2は、styleGANのGenerator部分の構造を示す図である。
【0021】
styleGANのGeneratorは、図2に示すようにマッピングネットワーク(Mapping network f)と、合成ネットワーク(Synthesis Network g)とで構成される。
【0022】
マッピングネットワークは、複数層(図では8層)の全結合層(前層と後層のニューロンが全て接続されている層)から構成されるネットワークである。マッピングネットワークの出力は、入力レイヤと同じサイズ(512×1)となっている。マッピングネットワークは、入力されたベクトル(潜在変数z)を別の空間(中間的な潜在空間W)へと写像することで、中間潜在変数w(w∈W)とも称される中間ベクトルを獲得する。
【0023】
合成ネットワークは、複数層(図では18層)から構成されるネットワークである。合成ネットワークの最終レイヤの出力は、RGBに変換される。合成ネットワークは、AdaIN(Adaptive Instance Normalization)と、畳み込み層とを有する。
【0024】
ここで、人物画像の髪、シワなどの局所的な属性は、確率的とみなせる細部の局所的な特徴として扱うことができることが知られている。合成ネットワークでは、各畳み込み層の直後に、ピクセル単位のノイズを直接加えることで、上記の局所的な特徴を制御する。AdaINは、各畳み込み層の出力にノイズが加えられて制御されたベクトルと、マッピングネットワークによって得られた中間ベクトルに対してアフィン変換が施されて得た画像用のベクトルとを合成させる。AdaINの処理は、各解像度スケール(4×4、8×8、・・・)の畳み込み層の出力に対して行われる。AdaINの処理は、特徴マップ単位(チャンネル単位)での正規化処理になっている。このように、AdaINの処理を行うことで、解像度スケール(4×4、8×8、・・・)毎に、画像全体にわたって大局的な属性(画像のスタイル)を変化させることができる。
【0025】
図3Aは、実施の形態1に係るサンプル画像の一例を示す図である。図3Bは、図3Aに示すサンプル画像の特徴ベクトルの一例を示す図である。なお、図3Aに示されるサンプル画像は、グレースケールで表現されているが、これに限らずカラーで表現されていてもよく、同様のことが言える。
【0026】
本実施の形態では、顔画像の特徴を学習するための複数の顔画像を特徴学習用画像として構成されるデータセットを用いて、DNN10を学習させる。これにより、DNN10は、styleGANのGeneratorを用いて、例えば顔画像である複数のサンプル画像を生成することができる。例えばDNN10は、図3Aに示すように、実在しない女性の顔画像を、サンプル画像として生成することができる。
【0027】
ここで、顔画像の特徴を学習するための複数の顔画像を特徴学習用画像として構成されるデータセットを用いてstyleGANを学習させる。この場合において、学習済のstyleGANのマッピングネットワークに、特徴学習用画像と異なる顔画像を入力したとき、中間ベクトルとして、512次元のベクトルに変換された特徴ベクトルを獲得できることを見出した。換言すると、styleGANのマッピングネットワークは、例えば512画素×512画素または1024画素×1024画素などで構成される画像を512次元の特徴ベクトルに変換するニューラルネットワークとして機能することを見出した。
【0028】
このため、DNN10は、生成した複数のサンプル画像のうちの一つのサンプル画像が入力されると、styleGANのGeneratorの一部すなわちマッピングネットワークを用いて、当該サンプル画像が512次元のベクトルに変換された特徴ベクトルを生成する。例えば、DNN10は、図3Aに示すサンプル画像から、図3Bに示す512次元の特徴ベクトルを生成することができる。
【0029】
[1-2.取得部11]
取得部11は、入力部12によりDNN10に入力されたサンプル画像の特徴ベクトルをDNNから取得する。取得部11は、DNN10がstyleGANで構成される場合、styleGANのマッピングネットワークの出力を取得することで、特徴ベクトルを取得する。
【0030】
[1-3.入力部12]
入力部12は、DNN10に、複数のサンプル画像を入力する。本実施の形態では、入力部12は、取得部11から出力されたサンプル画像を、DNN10に入力する。
【0031】
[1-4.ハードウェア構成]
次に、本実施の形態に係る心的イメージ可視化装置1のハードウェア構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る心的イメージ可視化の機能をソフトウェアにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0032】
コンピュータ1000は、図4に示すように、入力装置1001、出力装置1002、CPU及びGPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007、送受信装置1008及びバス1009を備えるコンピュータである。入力装置1001、出力装置1002、CPU及びGPU1003、内蔵ストレージ1004、RAM1005、読取装置1007及び送受信装置1008は、バス1009により接続される。
【0033】
入力装置1001は入力ボタン、タッチパッド、タッチパネルディスプレイなどといったユーザインタフェースとなる装置であり、ユーザの操作を受け付ける。なお、入力装置1001は、ユーザの接触操作を受け付ける他、音声での操作、リモコン等での遠隔操作を受け付ける構成であってもよい。
【0034】
内蔵ストレージ1004は、フラッシュメモリなどである。また、内蔵ストレージ1004は、心的イメージ可視化装置1の機能を実現するためのプログラム、及び、心的イメージ可視化装置1の機能構成を利用したアプリケーションの少なくとも一方が、予め記憶されていてもよい。
【0035】
RAM1005は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)であり、プログラムまたはアプリケーションの実行に際してデータ等の記憶に利用される。
【0036】
読取装置1007は、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る。読取装置1007は、上記のようなプログラムやアプリケーションが記録された記録媒体からそのプログラムやアプリケーションを読み取り、内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0037】
送受信装置1008は、無線または有線で通信を行うための通信回路である。送受信装置1008は、例えばネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置から上記のようなプログラムやアプリケーションをダウンロードして内蔵ストレージ1004に記憶させる。
【0038】
CPU及びGPU1003は、中央演算処理装置(Central Processing Unit)とグラフィックスプロセッシングユニット(Graphics Processing Unit)であり、内蔵ストレージ1004に記憶されたプログラム、アプリケーションをRAM1005にコピーし、そのプログラムやアプリケーションに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行する。
【0039】
[2.心的イメージ可視化装置1の動作]
次に、上記のように構成された心的イメージ可視化装置1の動作について説明する。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る心的イメージ可視化装置1の動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、心的イメージ可視化装置1は、学習済のDNN10に、複数のサンプル画像を生成させる(S10)。より具体的には、心的イメージ可視化装置1は、図1に示すDNN10を、特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習する。そして、心的イメージ可視化装置1は、このように学習させたDNN10に、特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成させる。
【0042】
次に、心的イメージ可視化装置1は、DNN10に、ステップS10で生成した複数のサンプル画像を入力する(S11)。
【0043】
次に、心的イメージ可視化装置1は、ステップS10で生成した複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルを、DNN10から取得する(S12)。より具体的には、心的イメージ可視化装置1は、ステップS10で生成した複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、DNN10により、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルに変換された特徴ベクトルを、DNN10から取得する。
【0044】
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、特徴を学習するための特徴学習用画像のデータセットを用いて学習されたDNN10に、特徴学習用画像に写る対象物と同一のカテゴリで異なる対象物が写る複数のサンプル画像を生成させることができる。さらに、DNN10に、複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルであって、対応するサンプル画像がn次元(nは100以上の整数)のベクトルとなる特徴ベクトルに変換させることができるので、DNN10から当該特徴ベクトルを取得することができる。
【0045】
図6は、実施の形態1に係る2つのサンプル画像の特徴ベクトルの加算平均により得られる画像を示す図である。図6の(a)、(b)に示される女性の顔画像と特徴ベクトルは、2つの異なるサンプル画像とそれぞれの特徴ベクトルの一例である。
【0046】
本実施の形態の心的イメージ可視化装置1により生成される特徴ベクトルは、例えば512次元の特徴ベクトルであり、一定の線形性を有する。このため、例えば図6の(a)及び(b)のような、2つの異なるサンプル画像の特徴ベクトルを平均した特徴ベクトルから生成される画像は、図6の(c)に示す女性の顔画像のように、図6の(a)及び(b)に示されるサンプル画像の特徴が平均的に含まれることになる。また、図6の(c)に示すように、図6の(a)及び(b)に示されるサンプル画像の特徴が平均的に含まれる画像は、図6の(a)及び(b)と同様に高画質な画像となるのがわかる。
【0047】
このため、数百枚のサンプル画像について心理学的逆相関法で感性評価を行った結果から、例えば最もその感性評価のスコアが高いサンプル画像の特徴ベクトルを取得することができる。この場合、感性評価のスコアが高いサンプル画像の特徴ベクトルから生成した画像を、心的イメージを示す画像とすればよい。また、数百枚のサンプル画像について心理学的逆相関法で感性評価を行った結果から、比較的感性評価のスコアが高い複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルを取得してもよい。この場合、比較的感性評価のスコアが高い複数のサンプル画像それぞれの特徴ベクトルを重み付き加算平均した特徴ベクトルに対する非線形変換Fから生成した画像を、心的イメージを示す画像としてもよい。このようにして、本実施の形態の心的イメージ可視化装置1により生成される特徴ベクトルは、心的イメージを示す画像を生成するために用いることができる。
【0048】
なお、特徴ベクトルから画像を生成する方法としては、DNN10を用いてもよい。例えばDNN10がstyleGANで構成される場合、styleGANの合成ネットワークを用いることで、特徴ベクトルから画像を生成することができる。なお、多次元の特徴ベクトルから画像を生成できるニューラルネットワークであれば、styleGANの合成ネットワークに限らない。
【0049】
以上のように、本実施の形態の心的イメージ可視化装置1によれば、心理学的逆相関法で感性評価を行うサンプル画像を、上述したベース画像に依存せず、例えば1024画素×1024画素の高解像度で高画質に生成できる。また、本実施の形態の心的イメージ可視化装置1によれば、生成したサンプル画像の特徴ベクトルを生成できる。これにより、心理学的逆相関法で感性評価を行ったサンプル画像の特徴ベクトルを、評価結果に従って重み付き加算平均し、このように算出した特徴ベクトルから生成した画像を、心的イメージを示す画像として得ることができる。つまり、本実施の形態の心的イメージ可視化装置1によれば、ヒトの心的イメージをより高品質な画像で可視化することができる。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態1では、可視化対象の心的イメージを持つ対象者に複数(数百枚)のサンプル画像について感性評価を行わせる場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。可視化対象の心的イメージを持つ対象者の好みを予め学習させておいたDCNN(Deep Convolution Neural Networks)を用いて、複数(数百枚)のサンプル画像について心理学的逆相関法で感性評価を行ってもよい。
【0051】
以下では、実施の形態2として、心的イメージ可視化装置が生成したサンプル画像を感性評価するDCNNを備え、心的イメージを示す画像を生成する心的イメージ可視化システム100について説明する。
【0052】
[1.心的イメージ可視化システム100]
図7は、実施の形態2に係る心的イメージ可視化システム100の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。また、心的イメージ可視化システム100の機能は、実施の形態1と同様に、図4に示すコンピュータ1000を用いてソフトウェアにより実現される。
【0053】
本実施の形態では、心的イメージ可視化システム100は、心的イメージ可視化装置1Aと、DCNN13と、加算平均部14とを備える。以下、それぞれの構成要素の詳細について説明する。
【0054】
[1-1.心的イメージ可視化装置1A]
図7に示す心的イメージ可視化装置1Aは、図1に示す心的イメージ可視化装置1と構成は同じである。心的イメージ可視化装置1Aでは、さらにDNN10が、加算平均部14により得られた第1特徴ベクトルから、心的イメージを示す画像を生成させる点を明示している。
【0055】
より具体的には、DNN10は、第1特徴ベクトルから心的イメージを示す画像を生成する。本実施の形態では、DNN10は、入力部12により第1特徴ベクトルが入力される。DNN10は、入力された第1特徴ベクトルから心的イメージを示す画像を生成する。DNN10がstyleGANで構成される場合、DNN10は、styleGANの合成ネットワークに第1特徴ベクトルを入力することで、合成ネットワークに心的イメージを示す画像を生成させる。詳細は、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0056】
取得部11は、DNN10が生成した心的イメージを示す画像を取得する。
【0057】
入力部12は、DNN10に、加算平均部14から得た第1特徴ベクトルを、DNN10に入力する。
【0058】
なお、サンプル画像、及び、特徴ベクトルの生成等については、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0059】
[1-2.DCNN13]
DCNN13は、心理学的逆相関法を用いて用意された複数の画像と、心的イメージを持つ対象者が行った複数の画像に対する感性評価の結果とで構成される学習用データセットを用いて学習された畳み込みニューラルネットワークで構成される。学習用データセットは、既存のデータベース等から取得される種々の顔画像を含むデータセットでもよいし、自ら作成した種々の顔画像を含むデータセットでもよい。このようにして、DCNN13は、可視化対象の心的イメージを持つ対象者の好みを予め学習することができる。本実施の形態では、心理学的逆相関法を用いて用意された複数の画像は、実施の形態1と同様、例えば顔画像である。複数の画像に対する感性評価は、例えば、顔の美醜についての感性評価である。
【0060】
DCNN13は、心的イメージ可視化装置1Aにより生成された複数のサンプル画像それぞれが入力されると、複数のサンプル画像に対する感性評価の結果を予測し、複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果として出力する。
【0061】
ここで、DCNN13は、例えば、事前学習済のCNN(Convolution Neural Networks)と、CNNの後段に設けられた1層以上の畳み込み層と、1層以上の畳み込み層の後段に設けられたGAP(Global Average Pooling)層とで構成されてもよい。また、CNNは、複数の畳み込み層及び複数のプーリング層を有する畳み込みニューラルネットワークで構成される。
【0062】
図8は、図7に示すDCNN13のネットワーク構造の一例を示す図である。
【0063】
DCNN13は、例えば図8に示すように、事前学習済のVGG19と、3層の畳み込み層と、1層のGAP層とで構成される畳み込みニューラルネットワークである。事前学習済のVGG19は、DCNN13が有するCNNの一例である。なお、VGG19は、インターネットなど公開データベース等から取得することができる。DCNN13が有するCNNは、事前学習済のVGG19に限らない。また、DCNN13は、CNNの後段に1層以上の畳み込み層が構成されればよく、図8に示す3層の畳み込み層を構成する場合に限らない。
【0064】
図9は、図8に示すDCNN13の学習方法を説明するための図である。
【0065】
まず、心理学的逆相関法を用いて用意された複数の顔画像と、可視化対象の心的イメージを持つ対象者が行った当該複数の画像に対する感性評価の結果とで構成される学習用データセットを用意する。本実施の形態では、例えばそれぞれ女性の顔が写る複数の顔画像それぞれに対して、対象者がどのくらい美顔に感じるかを示す感性評価のスコアを付与したものを学習用データセットとしている。
【0066】
次に、学習用データセットの顔画像を一つずつ入力画像としてDCNN13に入力し、対象者が付与する感性評価のスコアを予測させ、差があれば差をなくすようにDCNN13にフィードバックする。このようにして、学習用データセットのすべての顔画像について、DCNN13が予測するスコアと、対象者が付与したスコアとの差を最小にするように学習させる。つまり、学習用データセットを用いて正解データを与える学習(教師あり学習)を、DCNN13に行う。
【0067】
これにより、DCNN13に対象者(個人)の感性評価を学習させることができるので、DCNN13は、任意の顔画像に対する感性評価を対象者に代わって行うことができる。
【0068】
ここで、メンタルテンプレートマッチング仮説によれば、美醜などの感性判定は、個人が心に持っているテンプレート(つまり心的イメージ)に基づいて行われる。そして、DCNN13は、そのパラメータを適切に学習することで、任意の顔画像に対する感性評価を対象者に代わって行うことができることから、発明者らは、DCNN13に、個人が心に持っている心的イメージを学習させることができることを見出した。
【0069】
これにより、DCNN13は、上記のような学習用データセットを準備して学習させることで、高名な芸術家またはデザイナーといった特殊技能を有する個人の感性(心的イメージ)をそのパラメータに保存することが可能となる。
【0070】
図10は、実施の形態2に係る複数のサンプル画像に対する感性評価の結果の一例を示す図である。
【0071】
図10に示される複数の女性の顔画像は、DCNN13により対象者に代わって感性評価が行われた複数のサンプル画像の一例である。例えば図10に示す3.7、2.2、4.2、3.1、…、は、DCNN13が当該複数の女性の顔画像それぞれに対して、対象者に代わって予測した感性評価のスコアの一例である。
【0072】
なお、図10には、複数の女性の顔画像の特徴ベクトルも示されている。
【0073】
[1-3.加算平均部14]
加算平均部14は、複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付き加算平均に対する非線形変換Fを行うことによって第1特徴ベクトルを得る。
【0074】
加算平均部14は、第1特徴ベクトルを入力部12に出力することで、第1特徴ベクトルをDNN10に入力する。
【0075】
図11Aは、実施の形態2に係る加算平均部14により算出された第1特徴ベクトルの一例を示す図である。図11Bは、図11Aに示す第1特徴ベクトルから生成された心的イメージを示す画像を示す図である。
【0076】
図11Aに示す第1特徴ベクトルは、図10に示す複数の女性の顔画像に対して予測された感性評価のスコアに基づいて、図10に示す複数の女性の顔画像の特徴ベクトルが加算平均された後に非線形変換されたものである。図11Aに示す第1特徴ベクトルは、入力部12によりDNN10に入力される。
【0077】
これにより、DNN10の合成ネットワークは、入力された図11Aに示す第1特徴ベクトルから、図11Bに示す画像を、心的イメージを示す画像として生成することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、図11Bに示す画像は、対象者(個人)が美顔に関する心的イメージに該当することになる。
【0079】
[2.効果等]
図12は、実施の形態1及び2に係る美醜評価での心的イメージ可視化方法の全体像を示す図である。図12では、個人による美醜評価を行わせて美醜評価での心的イメージ可視化方法が示されている。なお、心的イメージ可視化装置1Aに生成された複数のサンプル画像に対して、心的イメージを持つ対象者が感性評価を行ってもよいし、上述したようにDCNN13が感性評価を予測してもよい。
【0080】
以上のように、本実施の形態によれば、心的イメージ可視化システム100は、生成した複数のサンプル画像について感性評価を行った結果に従い、当該複数のサンプル画像の特徴ベクトルを加算平均した後に非線形変換を行った第1特徴ベクトルから、心的イメージを示す画像を生成することができる。
【0081】
心的イメージ可視化装置1Aが生成した複数のサンプル画像は、可視化を試みる者等により選択または用意された実在する画像であるベース画像から派生した画像ではなく、実在しない画像または実在する画像に沿って変換された画像である。さらに、当該複数のサンプル画像の特徴ベクトルを加算平均した後に非線形変換を行った第1特徴ベクトルから生成した画像を、心的イメージを示す画像とすることができるので、心的イメージを示す画像は、用意したサンプル画像のみに規定されない。つまり、本実施の形態によれば、より対象者が持つ心的イメージに近いまたはそのものを示す画像を生成できる。
【0082】
また、心的イメージ可視化装置1Aが生成した複数のサンプル画像は、例えば1024画素×1024画素の高解像度であり高画質な画像である。このため、複数のサンプル画像の特徴ベクトルから算出される第1特徴ベクトルから生成される心的イメージを示す画像も高品質な画像で生成できる。
【0083】
よって、本実施の形態の心的イメージ可視化システム100によれば、ヒトの心的イメージをより高品質な画像で可視化することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、DCNN13に、個人ごとの感性評価(心的イメージ)を学習させることができる。これにより、高名な芸術家またはデザイナーといった特殊技能を有する個人の感性(心的イメージ)をそのパラメータに保存することが可能となる。
【0085】
この結果、芸術家またはデザイナーは、ある時点での自身の感性をDCNN13という多層ニューラルネットワーク内にパラメータとして保存することができる。このため、芸術家またはデザイナーは、いつの時点でも過去の自分の感性を示す画像を参照して、作品またはデザインを作成することができる。
【0086】
さらに、心理学的逆相関法を用いて用意された複数の画像と、当該複数の画像に対する、例えば40代男性かつ関西在住者などである特定集団による評価結果とで構成される学習用データセットを準備できれば、DCNN13に、特定集団の心的イメージを学習させることができる。
【0087】
そして、特定対象者または特定集団の感性評価(心的イメージ)を学習したDCNN13を用いて、例えばあるデザインの是非について感性評価を予測させることもできる。これにより、当該デザインの是非について実際に大規模な市場調査を行う必要がなくなるという効果がある。さらに、当該デザインについて大規模市場調査を行うことなく販売対象者がどのような感性評価を行うかを、事前に把握できるという効果もある。
【0088】
また、本実施の形態の心的イメージ可視化システム100によれば、デザイナーの心的イメージを示す画像を生成できるので、当該デザイナーの心的イメージを、例えば開発者または営業担当者など当該デザイナー以外の者が画像として共有することができる。例えば、製品イメージの開発段階で、デザイナーまたは開発者が持つデザインの心的イメージを可視化し、グループ内で共有することもできる。
【0089】
また、本実施の形態の心的イメージ可視化システム100によれば、注文建築などを行う顧客が持つイメージ(心的イメージ)を可視化した画像を、短時間で生成することができる。これにより、顧客の求める商品デザインの開発を高精度で行えるといった効果もある。
【0090】
また、本実施の形態の心的イメージ可視化システム100によれば、例えば、高所得者がイメージする家屋の理想的な外観を、具体的なイメージとして可視化することができるので、建築メーカの設計に容易に反映させることができるという効果もある。
【0091】
なお、本実施の形態の心的イメージ可視化システム100によれば、個人ごとの具体的な理想顔を高品質画像として可視化することもできる。これにより、化粧または美容整形の完成後のイメージであって個人ごとの理想顔のイメージを示す画像を他者と共有することができる。
【0092】
(変形例1)
実施の形態2では、DCNN13による複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、心的イメージ可視化装置1Aにより出力された複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付き加算平均する場合について説明した。重み付き加算平均することで、複数のサンプル画像に対応する512次元の特徴ベクトルから、1次元に次元圧縮した第1特徴ベクトルを得ることになるが、次元圧縮は1次元にする場合に限らない。2次元または3次元程度の次元に次元圧縮してもよい。以下では、実施の形態2の変形例1として、2次元または3次元程度に次元圧縮する場合について説明する。
【0093】
[1.心的イメージ可視化システム100B]
図13は、実施の形態2の変形例1に係る心的イメージ可視化システム100Bの構成の一例を示すブロック図である。なお、図7と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。また、心的イメージ可視化システム100Bの機能は、実施の形態1と同様に、図4に示すコンピュータ1000を用いてソフトウェアにより実現される。
【0094】
図13に示す心的イメージ可視化システム100Bは、図7に示す心的イメージ可視化システム100と比較して、加算平均部14の代わりに次元圧縮処理部14Bを備える点で構成が異なる。以下、それぞれの構成要素の詳細について、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0095】
[1-1.次元圧縮処理部14B]
次元圧縮処理部14Bは、DCNN13による複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従い、心的イメージ可視化装置1Bにより出力された複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付けした特徴ベクトルを算出する。そして、次元圧縮処理部14Bは、重み付けした特徴ベクトルを、STC(Spike-triggered covariance)分析による次元圧縮を行うことで得た複数の固有ベクトルを出力する。
【0096】
図14は、実施の形態2の変形例1に係る次元圧縮処理部14Bの詳細構成の一例を示すブロック図である。
【0097】
次元圧縮処理部14Bは、図14に示すように、分散共分散行列算出部141と、特異値分解実行部142と、固有値選択部143と、固有ベクトル導出部144とを備える。
【0098】
分散共分散行列算出部141は、複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付けする。分散共分散行列算出部141は、重み付けした特徴ベクトルの分散共分散行列を、STC(Spike-triggered covariance)分析により算出する。
【0099】
特異値分解実行部142は、算出した分散共分散行列に対して特異値分解を実行して複数の固有値を得る。
【0100】
本変形例では、重み付けされた特徴ベクトルのSTC行列を算出し、特異値分解して複数の固有値を得てもよい。STC分析は、主成分分析と類似した分析手法である。STC分析は、例えば多次元ベクトルにランダムな値を与えることで得られる分布における注目すべき特徴の分布の分散を最大化させる空間の軸を、直交するように取り直す手法ともいえる。空間の軸を多次元で直交するように取り直すことは、STC行列の固有ベクトルを取ることで実現できる。そして、取り直した軸で、所望の特徴の分布を表現し直すことにより、多次元ベクトルの次元を絞り込んだ(圧縮した)形で表現することができる。
【0101】
固有値選択部143は、特異値分解実行部142により得られた複数の固有値のうち、少なくとも2つの固有値を選択する。例えば、固有値選択部143は、特異値分解実行部142により得られた複数の固有値のうち、ランク順に並べたときの平均よりも分散の値が高い固有値と低い固有値とを選択してもよい。本変形例では、固有値選択部143は、ランク順に並べたときの1番目及び2番目に大きい固有値と、一番小さい固有値など、3つの固有値を選択する。
【0102】
固有ベクトル導出部144は、固有値選択部143により選択された当該少なくとも2つの固有値のいずれかをそれぞれを有する少なくとも2つの固有ベクトルを導出する。固有ベクトル導出部144は、導出した少なくとも2つの固有ベクトルを心的イメージ可視化装置1Bに出力する。本変形例では、固有ベクトル導出部144は、1番目及び2番目に大きい固有値と、一番小さい固有値とを有する3つの固有ベクトルを導出する。この場合、固有ベクトル導出部144は、導出した3つの固有ベクトルを心的イメージ可視化装置1Bの入力部12に出力する。
【0103】
[1-2.心的イメージ可視化装置1B]
図13に示す心的イメージ可視化装置1Bは、図1及び図7に示す心的イメージ可視化装置1及び1Aと構成は同じである。心的イメージ可視化装置1Bでは、DNN10が、次元圧縮処理部14Bにより得られた少なくとも2つの固有ベクトルから、少なくとも2つのサブ心的イメージを示す画像を生成させる。少なくとも2つのサブ心的イメージはそれぞれ、上述した心的イメージを成分分解した1つのイメージに相当する。
【0104】
本変形例では、入力部12は、次元圧縮処理部14Bから得た少なくとも2つの固有ベクトルを、DNN10に入力する。
【0105】
DNN10は、入力部12により少なくとも2つの固有ベクトルのそれぞれが入力される。すると、DNN10は、入力された少なくとも2つの固有ベクトルから、少なくとも2つのサブ心的イメージを示す画像を生成する。ここで、DNN10がstyleGANで構成される場合、入力部12は、styleGANの生成器に、少なくとも2つの固有ベクトルのそれぞれを入力する。すると、styleGANの生成器により、心的イメージを構成する少なくとも2つのサブ心的イメージであって互いに直交性を仮定するサブ心的イメージを示す画像が生成される。
【0106】
なお、次元圧縮処理部14Bで特異値分解を実行して得た複数の固有値のいずれかをそれぞれ有する固有ベクトルを足し合わせたベクトルを、DNN10に入力すると、ほぼ心的イメージを示す画像が生成される。ここで、ほぼと記載したのは、次元圧縮により削除された情報があるからである。このように、心的イメージを成分分解したものそれぞれがサブ心的イメージに相当する。固有ベクトルからサブ心的イメージを生成することは、第1特徴ベクトルから心的イメージを生成することと同様であり、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでの詳細は説明は省略する。
【0107】
取得部11は、DNN10が生成したサブ心的イメージを示す画像を取得する。
【0108】
なお、サンプル画像、及び、特徴ベクトルの生成等については、実施の形態1で説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0109】
[2.心的イメージ可視化システム100Bの動作例]
以上のように構成された心的イメージ可視化システム100Bの動作例について説明する。本動作例では、心的イメージ可視化装置1BのDNN10は、styleGANで構成されているとして、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0110】
図15は、実施の形態2の変形例1に係る心的イメージ可視化システム100Bの動作例を概観的に示す図である。
【0111】
図15に示す動作例では、自動車の外観の良し悪しに関するサブ心的イメージを示す画像を生成する場合が示されている。図15には、心的イメージ可視化装置1Bにより生成された、自動車の外観を示す複数のサンプル画像が、サンプル画像S、S、…、SN-1、Sとして示されている。サンプル画像S、S、…、SN-1、Sはそれぞれ、心的イメージ可視化システム100Bを用いることで、上述したように512次元のベクトルの特徴ベクトルで表現される。サンプル画像S、S、…、SN-1、Sの下には、心的イメージ可視化装置1Bにより生成されたサンプル画像S、S、…、SN-1、Sのそれぞれの特徴ベクトルW、W、…、WN-1、Wが示されている。
【0112】
本動作例では、まず、DCNN13に、サンプル画像S、S、…、SN-1、Sに対する心理学的逆相関法による感性評価の結果を出力させる。
【0113】
次に、次元圧縮処理部14Bは、分散共分散行列141aを算出する。具体的には、次元圧縮処理部14Bは、サンプル画像S、S、…、SN-1、Sに対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って重み付けした特徴ベクトルW、W、…、WN-1、Wの分散共分散行列141aを、STC分析により算出している。
【0114】
次に、次元圧縮処理部14Bは、固有ベクトル分析142aを行っている。具体的には、次元圧縮処理部14Bは、算出した分散共分散行列141aに対して、特異値分解を実行して512個の固有値を得ている。そして、次元圧縮処理部14Bは、特異値分解を実行して得た512個の固有値をランク順に並べたグラフ、例えば図16Aに示すようなグラフを作成する。
【0115】
ここで、図16Aは、図15に示す動作例に係る特異値分解を実行して得た複数の固有値をランク順に並べたグラフの一例を示す図である。図16Aに示す縦軸は分散(ばらつき)を示している。図16Aに示すように、点で表される固有値が重なって線のように見えているところと、線のように見えているところから離れた固有値とがあるのがわかる。この離れた点は、ランク順に並べたときの分散(ばらつき)の値が1番目及び2番目に大きい固有値と、分散(ばらつき)の値が一番小さい固有値となっており、それぞれSub1、Sub2及びSub512として示されている。
【0116】
本動作例では、次元圧縮処理部14Bに、ランク順に並べたときの1番目及び2番目に大きい固有値と、一番小さい固有値すなわちSub1、Sub2及びSub512として示されている3つの固有値を選択させる。なお、この3つの固有値の選択は、心的イメージ可視化システム100Bに対する操作または所定のアルゴリズムによりなされてもよい。
【0117】
次に、次元圧縮処理部14Bは、Sub1、Sub2及びSub512として示されている3つの固有値を有する3つの固有ベクトルを導出する。
【0118】
そして、次元圧縮処理部14Bにより導出された3つの固有ベクトルから、心的イメージ可視化装置1Bに3つのサブ心的イメージを示す画像を生成させる。なお、この生成は、心的イメージ可視化システム100Bに対する操作または所定のアルゴリズムによりなされてもよい。また、図15には、心的イメージ可視化装置1Bにより生成された3つのサブ心的イメージを示す画像Sub1、Sub2及びSub512が示されている。なお、画像Sub1、Sub2及びSub512は、本来、図3Aで示したグレースケールで示されたサンプル画像と同様にカラーの画像であるが、便宜上線図にして示している。
【0119】
図16Bは、図16Aに示す表を用いてサブ心的イメージを示す画像と心的イメージを示す画像との関係を説明するための図である。心的イメージを示す画像Tも、本来、図3Aで示したグレースケールで示されたサンプル画像と同様にカラーの画像であるが、図面上で比較しやすいように便宜上線図にして示している。
【0120】
図16Bに示すように、固有値が最も高い固有ベクトルから生成されたサブ心的イメージを示す画像Sub1に示される自動車の外観等は、心的イメージを示す画像Tに示される自動車の外観等に近いのがわかる。つまり、固有値が最も高い固有ベクトルから生成されたサブ心的イメージは、心的イメージを構成する寄与率が高く、対象者の好み(心的イメージ)に近いと言える。一方で、固有値が最も高い固有ベクトルから生成されたサブ心的イメージを示す画像Sub512は、心的イメージを示す画像Tから遠いのがわかる。つまり、固有値が最も低い固有ベクトルから生成されたサブ心的イメージは、心的イメージを構成する寄与率が低く、対象者の理想(心的イメージ)ではないと言える。しかしながら、発明者らは、自動車の外観の良し悪しに関するものも含め、対象者の心的イメージは、対象者の理想だけでなく、理想ではないものからも構成されていることに想到した。つまり、心的イメージは、対象者の理想(好み)と異なるものも抑制的であるが成分としてもっていることがわかった。
【0121】
[3.効果等]
以上のように、本変形例によれば、心的イメージ可視化装置1Bにより出力された複数のサンプル画像に対応する多次元の特徴ベクトルから得られた2つ以上の固有ベクトルから、心的イメージを成分分解したようなサブ心的イメージの画像を生成して可視化することができる。
【0122】
なお、上述した変形例1に係る心的イメージ可視化システム100Bにおいて、DCNN13は必須ではない。心的イメージ可視化システム100Bが生成したサンプル画像に対して、DCNN13の代わりに対象者が心理学的逆相関法による感性評価をし、その結果を次元圧縮処理部14Bに入力するとしてもよい。
【0123】
(変形例2)
上述した変形例1では、STC分析による次元圧縮を行う場合の例について説明したが、これに限らない。DMD(Dynamic Mode Decomposition)を適用して次元圧縮を行ってもよい。以下では、変形例1と異なる点を中心に説明する。
【0124】
[1-1.次元圧縮処理部14C]
図17は、実施の形態2の変形例2に係る次元圧縮処理部14Cの詳細構成の一例を示すブロック図である。なお、図14と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0125】
次元圧縮処理部14Cは、DCNN13による複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従い、心的イメージ可視化装置1Bにより出力された複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルを重み付けした特徴ベクトルを算出する。そして、次元圧縮処理部14Bは、重み付けした特徴ベクトルにDMDを適用して次元圧縮を行うことで得た複数の固有ベクトルを出力する。
【0126】
本変形例では、次元圧縮処理部14Cは、図17に示すように、DMD適用部141Cと、固有値選択部143と、固有ベクトル導出部144とを備える。
【0127】
DMD適用部141Cは、複数のサンプル画像に対する心理学的逆相関法による感性評価の結果に従って、複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルに重み付けした特徴ベクトルにDMDを適用することで、複数の固有値を得る。
【0128】
なお、STC分析により次元圧縮を行う場合、得られる複数の固有ベクトルは、独立すなわち直交性が仮定される。この直交性が強い制約となる場合がある。そこで、DMDを適用することで、直交性を仮定しない複数の固有ベクトルを得ることができる。DMDでは、例えばクープマン作用素といった何らかの線形作用素を用いることで、直交性を考慮に入れずに線形性を持たせることができる。その他については、STC分析による次元圧縮と同様となる。すなわち、DMDを適用することで、重み付けされた特徴ベクトルから、直交性を考慮に入れずに線形性を持たせたベクトルを算出して複数の固有値を得ることができる。これにより、STC分析による次元圧縮と同様に、DMDを適用して次元圧縮する場合も複数のサブ心的イメージを得ることができる。
【0129】
[1-2.心的イメージ可視化装置1B]
本変形例でも、上記変形例1と同様に、入力部12は、次元圧縮処理部14Cから得た少なくとも2つの固有ベクトルを、DNN10に入力する。
【0130】
DNN10は、入力部12により少なくとも2つの固有ベクトルのそれぞれが入力される。すると、DNN10は、入力された少なくとも2つの固有ベクトルから、少なくとも2つのサブ心的イメージを示す画像を生成する。ここで、DNN10がstyleGANで構成される場合、入力部12は、styleGANの生成器に、少なくとも2つの固有ベクトルのそれぞれを入力する。すると、styleGANの生成器により、心的イメージを構成する少なくとも2つのサブ心的イメージであって互いに直交性を仮定しないサブ心的イメージを示す画像が生成される。
【0131】
なお、次元圧縮処理部14Cで得た複数の固有値のいずれかをそれぞれ有する固有ベクトルを足し合わせたベクトルを、DNN10に入力しても、ほぼ心的イメージを示す画像が生成される。
【0132】
[2.心的イメージ可視化システム100Bの動作例]
本変形例では、図15に示す分散共分散行列141aと固有ベクトル分析142aとがSTC分析の代わりにDMDが適用されて動作する。その他の動作は、変形例1と同じであるので説明を省略する。
【0133】
なお、本変形例に係る心的イメージ可視化システム100Bにおいて、DCNN13は必須ではない。心的イメージ可視化システム100Bが生成したサンプル画像に対して、DCNN13の代わりに対象者が心理学的逆相関法による感性評価をし、その結果を次元圧縮処理部14Cに入力するとしてもよい。
【0134】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態1及び実施の形態2により生成できる心的イメージを用いた応用例として、心的イメージを用いたレコメンドシステム200について説明する。なお、心的イメージの代わりに、実施の形態2の変形例1、2で説明したサブ心的イメージを用いてもよい。
【0135】
[1.レコメンドシステム200]
図18は、実施の形態3に係るレコメンドシステム200の構成の一例を示すブロック図である。レコメンドシステム200の機能は、図4に示すコンピュータ1000を用いてソフトウェアにより実現される。図19は、実施の形態3に係る心的イメージ或いはサブ心的イメージの一例を示す図である。なお、図19に示す心的イメージ画像或いはサブ心的イメージ画像の一例は、本来カラーの画像であるが、便宜上線図にして示している。図20は、実施の形態3に係る潜在空間の一例と、心的イメージ或いはサブ心的イメージの位置を示す図である。
【0136】
本実施の形態では、レコメンドシステム200は、記憶部20と、レコメンド画像生成UI(User Interface)21とを備える。以下、それぞれの構成要素の詳細について説明する。
【0137】
[1-1.記憶部20]
記憶部20は、HDD(Hard Disk Drive)またはメモリ等で構成され、複数のレコメンド候補画像201などが記憶される。複数のレコメンド候補画像201は、複数の商品画像など、例えば数十から数百規模の既存製品の画像群で構成され、対象者(ユーザ)にレコメンド(お薦め)したい製品候補の画像群である。なお、画像群の規模は一例であり、数百規模を超えた規模であってもよい。
【0138】
本実施の形態では、一例であるが、複数のレコメンド候補画像201は、インテリアを構成する既存製品(インテリア製品)の画像群で構成されているとして説明する。
【0139】
[1-2.レコメンド画像生成UI21]
レコメンド画像生成UI21は、記憶部20に記憶されている複数のレコメンド候補画像201のうち、対象者の持つ心的イメージに近い既存製品が示されるレコメンド候補画像201を、対象者に提示する。例えば、レコメンド画像生成UI21は、記憶部20に記憶されているそれぞれインテリア製品を示す複数のレコメンド候補画像201のうち、対象者の持つ心的イメージ(好み)に近いインテリア製品を示すレコメンド候補画像201を対象者に提示する。
【0140】
レコメンド画像生成UI21は、図18に示すように、メモリ210と、取得部211と、Embedding実行部212と、距離算出部213と、選択画像部214と、表示制御部215とを備える。
【0141】
メモリ210は、DNN2101と、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102とを格納している。
【0142】
DNN2101は、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)から取得されたDNN10のコピーであってもよく、実施の形態1及び2で説明した学習済のstyleGANであってもよい。DNN2101は、DNN10における学習済のstyleGANの潜在空間を利用できる形でメモリ210に格納されればその形態を問わない。本実施の形態では、当該styleGANは、例えば複数の既存のインテリア画像を含むデータセットを用いて、予め学習されている。
【0143】
心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102は、例えば、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)により生成されたものであり、予め取得されてメモリ210に格納されている。本実施の形態では、予め取得されてメモリ210に格納されている心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102は、例えば図19に示すインテリア製品の画像Txである。
【0144】
取得部211は、記憶部20から、複数のレコメンド候補画像201を取得し、Embedding実行部212に出力する。また、取得部211は、メモリ210から、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を取得し、Embedding実行部212に出力する。
【0145】
なお、取得部211は、前もってDNN10の潜在空間を取得して、メモリ210に格納している。本実施の形態では、取得部211は、心的イメージ可視化システム100B(100)から、前もってDNN10のコピーを取得することでDNN10の潜在空間を取得している。例えば、取得部211は、図20に示されるような点(ベクトル位置)が分布するstyleGANの潜在空間を取得する。
【0146】
Embedding実行部212は、前もって、取得部211より取得された心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102をDNN2101の潜在空間内にembeddingし、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102の位置(ベクトル位置)を得ている。本実施の形態では、Embedding実行部212は、例えば図19に示すインテリア製品の画像Txを、DNN2101の潜在空間内にembeddingし、例えば図20に示されるような当該画像Txの位置(ベクトル位置)を得る。図19に示すインテリア製品の画像Txは上述したように、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102の一例である。
【0147】
また、Embedding実行部212は、取得部211により取得された複数のレコメンド候補画像201それぞれを、DNN2101の潜在空間内にembeddingし、当該潜在空間内における複数のレコメンド候補画像201それぞれの位置(ベクトル位置)を得る。
【0148】
距離算出部213は、DNN2101の潜在空間内における心的イメージの位置(ベクトル位置)と、embeddingした複数のレコメンド候補画像201それぞれの位置(ベクトル位置)との距離を算出する。
【0149】
図21は、実施の形態3に係る潜在空間内における心的イメージ或いはサブ心的イメージの位置と1つのレコメンド候補画像201aの位置との距離の一例を示す図である。図21には、図20に示す潜在空間内における図19に示すインテリア製品の画像Txの位置と、図20に示す潜在空間内における1つのレコメンド候補画像201aの位置とが示されている。なお、1つのレコメンド候補画像201aは、インテリア製品の一例であるカーテンの画像であるとして示されている。
【0150】
本実施の形態では、距離算出部213は、図21に示す潜在空間内において、例えば図19に示すインテリア製品の画像Txの位置と1つのレコメンド候補画像201aの位置との距離dを算出する。同様にして、距離算出部213は、図21に示す潜在空間内において、例えば図19に示すインテリア製品の画像Txの位置と複数のレコメンド候補画像201それぞれの位置との距離を算出する。
【0151】
選択画像部214は、取得部211により取得された複数のレコメンド候補画像201のうち、距離算出部213により算出された複数の距離のうち閾値以下の距離に対応する1以上のレコメンド候補画像201を選択する。
【0152】
本実施の形態では、選択画像部214は、距離算出部213により算出された複数の距離を用いて、対象者の心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102である図19に示すインテリア製品の画像Txに近い1以上のインテリア製品を選択する。
【0153】
表示制御部215は、選択画像部214により選択された1以上のレコメンド候補画像201を、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を持つ対象者に提示する。つまり、表示制御部215は、表示装置300を制御して、お薦め商品を示す画像を表示装置300に表示させることで対象者にお薦め商品を提示する。
【0154】
本実施の形態では、表示制御部215は、選択画像部214により選択された例えば図22A図22Cに示すレコメンド候補画像201を、表示装置300に表示させることで当該対象者に提示する。
【0155】
ここで、図22A図22Cはそれぞれ、実施の形態3に係るレコメンド画像生成UI21により提示されるレコメンド候補画像の一例を示す図である。図22A図22Cにはそれぞれ、実施の形態3に係るレコメンド画像生成UI21により提示されるレコメンド候補画像201とその説明文との一例が示されている。なお、図22A図22Cに示されるレコメンド候補画像201a、201b、201cは、本来、カラーの画像であるが、説明の便宜上線図にして示している。図22A図22B及び図22Cには、インテリア製品の一例としてのカーテンの画像であるレコメンド候補画像201a、201b及び201cと共にその説明文とが示されている。
【0156】
[1-3.表示装置300]
表示装置300は、画像または文字などを表示するディスプレイを有する。ここで、そのディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。また、表示装置300は、対象者による入力操作を受け付けるUIとしての機能を有し、例えばキーボード、マウス、タッチセンサ、タッチパッドなどを備える。
【0157】
[2.心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102の取得方法の一例]
本実施の形態に係るレコメンドシステム200は、例えば、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)から、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を予め取得してメモリ210に格納するとして説明した。
【0158】
レコメンドシステム200は、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)から、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を、受動的に取得してもよいが、これに限らない。
【0159】
レコメンドシステム200は、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)と連携することで、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を、能動的に取得してもよい。つまり、レコメンドシステム200は、表示装置300を介した対象者とのやりとりを通じて、図7図13)に示す心的イメージ可視化システム100(100B)に、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102を生成させてもよい。
【0160】
以下、この場合の心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102の取得方法の一例について説明する。
【0161】
図23Aは、実施の形態3に係るレコメンドシステム200の心的イメージ或いはサブ心的イメージの取得方法の一例を示す図である。図23Bは、実施の形態3に係る対象者が評価するサンプル画像の提示と評価方法の一例を示す図である。図18等と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0162】
図23Aに示すように、レコメンドシステム200は、まず、心的イメージ可視化システム100(100B)が生成したインテリア製品に関する複数のサンプル画像を取得する。例えばレコメンドシステム200は、10枚程度のサンプル画像を取得する。
【0163】
次に、レコメンドシステム200は、取得した複数のサンプル画像のそれぞれを順に、表示装置300に表示させ、表示させたサンプル画像に示されるインテリア製品がどの程度好みであるか対象者に入力させる心理学的逆相関法による感性評価を依頼する。図23Bには、表示装置300に、評価用サンプル画像の一例として、椅子、机、カーテンなどがそろったインテリアの画像Sxが示され、好みの程度を対象者に入力してもらうためのスコア入力ボタンが示されている。
【0164】
次に、レコメンドシステム200は、対象者により入力された画像Sxを含む複数のサンプル画像に対するスコアを取得すると、それらスコアを、心理学的逆相関法による感性評価の評価結果として心的イメージ可視化システム100(100B)に入力する。
【0165】
すると、心的イメージ可視化システム100(100B)では、心理学的逆相関法による感性評価の評価結果であるスコアと、心的イメージ可視化装置1Aにより出力された複数のサンプル画像に対応する特徴ベクトルとから、心的イメージ(サブ心的イメージ)を生成する。生成方法の詳細は、実施の形態1及び2で説明したのでここでの説明は省略する。
【0166】
次に、レコメンドシステム200は、心的イメージ可視化システム100(100B)により生成された心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)を取得し、心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)2102としてメモリ210に格納する。
【0167】
これにより、レコメンドシステム200は、10枚程度のサンプル画像を用いて、心的イメージ可視化システム100(100B)から、不特定の対象者それぞれが持つ心的イメージ(サブ心的イメージ)の画像を取得することができる。
【0168】
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、レコメンドシステム200は、対象者が持つ心的イメージ(サブ心的イメージ)の画像を用いることで、心的イメージ(サブ心的イメージ)に近い既存製品をレコメンドすることができる。つまり、対象者が持つ心的イメージ(サブ心的イメージ)の画像を用いることで、従来のレコメンドエンジンで必要であった購買履歴などの対象者の行動履歴情報がない状態でも、対象者の好みにあった既存製品を選択して、レコメンドすることができる。
【0169】
また、レコメンドシステム200は、心的イメージ可視化システム100(100B)と連携することで、不特定の対象者それぞれが持つ心的イメージ(サブ心的イメージ)の画像を取得することができる。そして、不特定の対象者それぞれが持つ心的イメージ(サブ心的イメージ)画像を用いることで、従来のレコメンドエンジンで必要であった購買履歴などの対象者の行動履歴情報がない状態でも、対象者の好みにあった既存製品を選択して、レコメンドすることができる。これにより、ECサイトに訪れる不特定の対象者に対しても、購買履歴などの対象者の行動履歴情報がない状態でも、対象者の好みにあった既存製品を選択して、レコメンドすることができる。
【0170】
なお、レコメンドシステム200は、心的イメージ可視化システム100(100B)と異なるシステムとして説明したが、これに限らない。レコメンドシステム200は、心的イメージ可視化システム100(100B)を内部に備えていてもよい。
【0171】
(他の実施態様の可能性)
以上、本開示の一態様に係る心的イメージ可視化方法、レコメンド方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0172】
(1)上記の心的イメージ可視化装置、心的イメージ可視化システムまたはレコメンドシステムを構成する構成要素の一部または全部は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムでもよい。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0173】
(2)上記の心的イメージ可視化装置、心的イメージ可視化システムまたはレコメンドシステムを構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0174】
(3)上記の心的イメージ可視化装置、心的イメージ可視化システムまたはレコメンドシステムを構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0175】
(4)上記の心的イメージ可視化装置、心的イメージ可視化システムまたはレコメンドシステムを構成する構成要素の一部または全部は、サーバ及びcloudストレージを含むネットワーク構造として分散して構成されるとしてもよい。データ入力装置と演算装置とは遠隔地に別個に存在することが可能であり、またそれぞれ複数の入力装置、演算装置が分散して存在するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本開示は、心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラムに利用でき、特に、個人ごとまたは集団などの対象者の心的イメージを可視化するための心的イメージ可視化方法、心的イメージ可視化装置及びプログラムに利用できる。
【符号の説明】
【0177】
1、1A、1B 心的イメージ可視化装置
10、2101 DNN
11 取得部
12 入力部
13 DCNN
14 加算平均部
14B、14C 次元圧縮処理部
20 記憶部
21 レコメンド画像生成UI
100、100B 心的イメージ可視化システム
141 分散共分散行列算出部
141a 分散共分散行列
141C DMD適用部
142 特異値分解実行部
142a 固有ベクトル分析
143 固有値選択部
144 固有ベクトル導出部
200 レコメンドシステム
201 レコメンド候補画像
210 メモリ
211 取得部
212 Embedding実行部
213 距離算出部
214 選択画像部
215 表示制御部
300 表示装置
2102 心的イメージ画像(サブ心的イメージ画像)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B