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特許7482603炭化ケイ素内における半導体デバイスの形成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】炭化ケイ素内における半導体デバイスの形成
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20240507BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240507BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240507BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L29/78 652T
H01L29/78 658E
【請求項の数】 34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019049346
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2019176142
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】10 2018 106 866.2
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ, ハンス-ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ラップ, ローラント
(72)【発明者】
【氏名】サントス ロドリゲス, フランシスコ ハビエル
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0065379(US,A1)
【文献】特開2014-179605(JP,A)
【文献】特開2003-095798(JP,A)
【文献】特開2006-036609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0063352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0087541(US,A1)
【文献】特開2000-349267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された多孔性炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-前記第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-前記第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-前記第1層(101)の一部が前記第2層(102)と共に残るように、前記第1層(101)の中間部分に破断をもたらして、前記第2層(102)から前記基材(130)を分離するステップと、
を有し、
前記第1層(101)は、光吸収材料を含み、前記光吸収材料は、ドーパントと、前記第1層(101)を提供するべく使用される焼き戻しプロセスから得られる少なくとも1つの炭素層と、のうちの少なくとも1つを有し、
前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップは、前記光吸収材料によって吸収されるレーザー光(250)を使用して前記第1層(101)を損傷させて前記破断をもたらすステップを有する、方法。
【請求項2】
前記第2層(102)の厚さ(102A)は、少なくとも20μmであり、或いは、
前記第2層(102)の厚さ(102A)は、最大で30μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1層(101)の前記多孔性炭化ケイ素は、気孔(601)の相互接続されたネットワークを形成する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1層(101)は、第1気孔密度(801)を有する第1サブ層(101-1)を有し、且つ、第2気孔密度(802)を有する第2サブ層(101-2)を更に有し、
前記第1層(101)の前記第1サブ層(101-1)は、前記第1層(101)の前記第2サブ層(101-2)と前記基材(130)の間に配置されており、
前記第1気孔密度(801)は、前記第2気孔密度(802)よりも大きい請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有する請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、電気化学エッチングプロセスを使用するステップを有する請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2層(102)を前記提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有し、
前記第2層(102)は、第1サブ層(102-1)及び第2サブ層(102-2)を有し、
前記第2層(102)の前記第1サブ層(102-1)は、前記第2層(102)の前記第2サブ層(102-2)と前記第1層(101)の間に配置されており、
前記第2層(102)の前記第1サブ層(102-1)の前記エピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-1)は、前記第2層(102)の前記第2サブ層(102-2)の前記エピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-2)よりも小さい請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1層(101)は、前記第1層(101)の抵抗率を定義するドーパントを有しており、前記第1層(101)の前記抵抗率は、前記基材(130)の抵抗率よりも小さい請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2層(102)を前記提供するステップの前に、前記第1層(101)を平坦化するステップを更に有する請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2層(102)内にエッチングされた垂直方向エッジにおいて保護材料を提供するステップを更に有する請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
-前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)の前記半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)をシンギュレートするべく前記第2層(102)を垂直方向においてダイシングするステップを更に有し、
前記第2層(102)は、前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップの前に、ダイシングされる請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップの後に、前記第2層(102)と共に残った前記第1層(101)の前記一部上において、バックサイド金属化層(107)を堆積させるステップを更に有する請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1層(101)は、第1成長レート(311-1、311-2)において提供され、
前記第2層(102)は、第2成長レート(312-1、312-2)において提供され、
前記第1成長レートは、前記第2成長レートよりも小さい請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
-前記第2層(102)内において前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドリフト領域を定義するステップと、
-前記第2層(102)内において前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域を定義するステップと、
を更に有し、
前記ドレイン領域又は前記バックサイドエミッタ領域の厚さは、前記ドリフト領域の厚さよりも大きい請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-前記第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-前記第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-前記第1層(101)において前記第2層(102)から前記基材(130)を分離するステップと、
を有し、
前記第1層(101)は、複数の空隙(150)を有し、
前記第1層(101)は、第1空隙密度(301)を有する第1サブ層(101-1)を有し、且つ、第2空隙密度(302)を有する第2サブ層(101-2)を更に有し、
前記第1層(101)の前記第1サブ層(101-1)は、前記第1層(101)の前記第2サブ層(101-2)と前記基材(130)の間に配置されており、
前記第1空隙密度(301)は、前記第2空隙密度(302)よりも大きい、方法。
【請求項16】
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-前記第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-前記第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-前記第1層(101)において前記第2層(102)から前記基材(130)を分離するステップと、
を有し、
前記第1層(101)は、複数の空隙(150)を有し、
前記第2層(102)を前記提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有し、
前記第2層(102)は、第1サブ層(102-1)及び第2サブ層(102-2)を有し、
前記第2層(102)の前記第1サブ層(102-1)は、前記第2層(102)の前記第2サブ層(102-2)と前記第1層(101)の間に配置されており、
前記第2層(102)の前記第1サブ層(102-1)の前記エピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-1)は、前記第2層(102)の前記第2サブ層(102-2)の前記エピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-2)よりも小さい、方法。
【請求項17】
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-前記第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-前記第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-前記第1層(101)において前記第2層(102)から前記基材(130)を分離するステップと、
を有し、
前記第1層(101)は、複数の空隙(150)を有し、
前記第1層(101)は、前記第1層(101)の抵抗率を定義するドーパントを有し、前記第1層(101)の前記抵抗率は、前記基材(130)の抵抗率よりも小さい、方法。
【請求項18】
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-前記第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-前記第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-前記第1層(101)において前記第2層(102)から前記基材(130)を分離するステップと、
を有し、
前記第1層(101)は、複数の空隙(150)を有し、
前記第1層(101)は、光吸収材料を含み、
前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップは、前記光吸収材料によって吸収されるレーザー光(250)を使用して前記第1層(101)を損傷させるステップを有し、
前記光吸収材料は、ドーパントと、前記第1層(101)を提供するべく使用される焼き戻しプロセスから得られる少なくとも1つの炭素層と、のうちの少なくとも1つを有する、方法。
【請求項19】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、前記複数の空隙(150)を定義するべくトレンチ充填プロセス(2101)を使用するステップを有する請求項15から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記トレンチ充填プロセス(2101)は、リソグラフィによって定義されたトレンチ(160)のドライエッチング、前記トレンチ(160)のダメージインプランテーション、及び前記トレンチ(160)の電気化学エッチングのうちの少なくとも1つを有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有する請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有し、
前記第1層(101)を提供するべく使用される前記エピタキシャル成長プロセスは、前記基材(130)の結晶面との関係におけるオフオリエンテーション方向(161)を使用するステップ制御エピタキシャル成長プロセスであり、
前記トレンチ充填プロセス(2101)のトレンチ(160)は、前記オフオリエンテーション方向(161)との間において少なくとも1度の角度(162)を有する請求項19又は20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1層(101)の前記ステップ制御エピタキシャル成長プロセスの成長レートは、前記複数の空隙(150)の空隙(150)を封止するべく横方向過成長領域(165)内にある請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、リフロープロセスを使用するステップを有し、
前記リフロープロセスの温度は、前記複数の空隙(150)の空隙(150)を封止するべく横方向閉鎖領域内にある請求項15から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1層(101)を前記提供するステップは、前記複数の空隙(150)の隣接する空隙(150)の間の隆起部(152)をエッチングするステップを有する請求項15から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の空隙(150)の空隙(150)は、細長い形状を有し、
前記複数の空隙(150)の前記空隙(150)の長手方向軸(151)は、互いにアライメントされている請求項15から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の空隙(150)の空隙(150)は、前記第1層(101)内において定義された横方向パターンにおいて配列されている請求項15から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2層(102)を前記提供するステップの前に、前記第1層(101)を平坦化するステップを更に有する請求項15から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップは、
-前記複数の空隙(150)内に流体を注入し、且つ、前記流体をその凍結点未満に冷却するステップと、
-高速の圧力変化と、
-前記第1層(101)における微細電気放電機械加工と、
のうちの少なくとも1つを有する請求項15から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2層(102)内にエッチングされた垂直方向エッジにおいて保護材料を提供するステップを更に有する請求項15から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
-前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)の前記半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)をシンギュレートするべく、前記第2層(102)を垂直方向においてダイシングするステップを更に有し、
前記第2層(102)は、前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップの前に、ダイシングされる請求項15から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2層(102)から前記基材(130)を前記分離するステップの後に、前記第1層(101)の残りの部分上においてバックサイド金属化層を堆積させるステップを更に有する請求項15から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1層(101)は、第1成長レート(311-1、311-2)において提供され、
前記第2層(102)は、第2成長レート(312-1、312-2)において提供され、
前記第1成長レートは、前記第2成長レートよりも小さい請求項15から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
-前記第2層(102)内において前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドリフト領域を定義するステップと、
-前記第2層(102)内において前記複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域を定義するステップと、
を更に有し、
前記ドレイン領域又は前記バックサイドエミッタ領域の厚さは、前記ドリフト領域の厚さよりも大きい請求項15から33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な例は、一般に、炭化ケイ素内における半導体デバイスの形成に関する。更に詳しくは、本発明の様々な例は、炭化ケイ素基材の再使用を可能にする技法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体デバイスは、高電圧及び/又は高電流のスイッチング能力を有する。従って、パワー半導体デバイスは、例えば、オフショア風力発電所、スマートグリッドコンポーネント、鉄道牽引などにおける、高電圧DC伝送などの様々な分野において用途を有する。
【0003】
パワー半導体デバイスは、しばしば、炭化ケイ素(SiC)によって形成されている。SiCは、相対的に広いバンドギャップを有する半導体材料である。これにより、高電圧及び/又は高電流のスイッチング能力が促進される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Lendenmann,H.,et al.“Degradation in SiC bipolar devices:sources and consequences of electrically active dislocations in SiC.“Materials Science Forum.Vol.433.Trans Tech Publications,2003
【文献】Savkina,N. S.,et al.“Characterization of 3C-SiC/6H-SiC heterostructures grown by vacuum sublimation.“Materials Science Forum.Vol.433,pp.293-296.Trans Tech Publications,2003
【文献】Matsunami,Hiroyuki,and Tsunenobu Kimoto.“Step-controlled epitaxial growth of SiC:High quality homoepitaxy.“Materials Science and Engineering:R:Reports 20.3(1997):125-166
【文献】Feenstra,Randall M.,and Colin EC Wood.Porous SiC and gallium nitride:epitaxy,catalysis,and biotechnology applications.John Wiley & Sons,2008
【文献】Swoboda,Marko,et al.“Laser assisted SiC wafering using COLD SPLIT.“Materials Science Forum.Vol.897.Trans Tech Publications,2017
【文献】Ji,Shiyang,et al.“An empirical growth window concerning the input ratio of HCl/SiH4 gases in filling 4H-SiC trench by CVD.“Applied Physics Express 10.5(2017):055505
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現時点において入手可能なSiCパワー半導体デバイスの1つの欠点は、例えば、高価な基材価格及び/又は相対的に小さな製造歩留まりによってもたらされる、(少なくともケイ素半導体との比較における)高価格である。従って、SiC内において半導体デバイスを形成する進歩した技法に対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法の実施形態は、SiCの第1層を提供するステップを含む。第1層は、SiC基材によって支持されている。また、方法は、第1層上においてエピタキシャルSiCの第2層を提供するステップをも含む。また、方法は、第2層内において複数の半導体デバイスを形成するステップをも含む。また、方法は、第1層において第2層から基材を分離するステップをも含む。第1層は、複数の空隙を含む。
【0007】
方法の実施形態は、SiCの基材によって支持された多孔性SiCの第1層を提供するステップを含む。また、方法は、第1層上においてエピタキシャルSiCの第2層を提供するステップをも含む。また、方法は、第2層内において複数の半導体デバイスを形成するステップをも含む。また、方法は、第1層において第2層から基材を分離するステップをも含む。
【0008】
ウエハの実施形態は、SiC基材と、SiC基材によって支持されたSiCの層と、を含む。層は、複数の空隙を含む。
【0009】
ウエハの実施形態は、SiC基材と、SiC基材によって支持されたSiCの多孔性層と、を含む。
【0010】
上述の特徴及び更に後述する特徴は、本発明の範囲を逸脱することなしに、示されている個々の組合せにおいて、のみならず、その他の組合せにおいても、或いは、隔離状態においても、使用されうることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な例による方法のフローチャートである。
図2】様々な例による、SiC内において半導体デバイスを形成する複数のプロセスステップを概略的に示す。
図3】様々な例による、SiC内において半導体デバイスを形成する複数のプロセスステップを概略的に示す。
図4】様々な例による方法のフローチャートであり、この場合に、方法は、トレンチ充填プロセスを含む。
図5】様々な方法による、トレンチ充填プロセスのトレンチを定義するエッチングマスクを概略的に示す。
図6】様々な例による、トレンチ充填プロセスのトレンチを概略的に示し、且つ、トレンチによって定義された空隙を更に概略的に示す。
図7】様々な例による、トレンチ充填プロセスの横方向過成長領域を概略的に示す。
図8】様々な例による、複数の層内の空隙密度を概略的に示す。
図9】様々な例による、エピタキシャル成長の成長レートを概略的に示す。
図10】様々な例による、半導体デバイスをシンギュレートする際にウエハの垂直方向エッジにおいて保護材料を提供するステップを概略的に示す。
図11】様々な例による、半導体層をシンギュレートする際にウエハの垂直方向エッジにおいて保護材料を提供するステップを概略的に示す。
図12】様々な例による、半導体デバイスをシンギュレートするステップを概略的に示す。
図13】様々な例による、多孔性SiCの気孔を概略的に示す。
図14】様々な例による、多孔性SiCの気孔を概略的に示す。
図15】様々な例による、複数の層内の空隙密度を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明することとする。実施形態に関する以下の説明は、限定の意味において解釈してはならないことを理解されたい。本発明の範囲は、後述する実施形態又は図面によって限定されることを意図したものではなく、これらの実施形態及び図面は、例示を目的としたものに過ぎない。
【0013】
図面は、概略表現であるものと見なすことを要し、且つ、図面内において示されている要素は、必ずしも正確な縮尺で示されてはいない。むしろ、様々な要素は、その機能及び一般的な目的が当業者に明らかとなるように、表されている。
【0014】
以下、ワイドバンドギャップ半導体材料内において半導体デバイスを提供する技法について説明する。半導体デバイスは、基材上において提供された又は基材によって支持された半導体材料内において定義されている。以下においては、半導体デバイスが、半導体材料の「内部において定義されている(defined in)」場合には、これは、半導体デバイスが、前記材料を含み、且つ/又は、前記材料を基礎としている、ことを意味しうる。
【0015】
本明細書において使用されている「水平方向」という用語は、半導体基材又は本体の第1又は主水平方向面に対して実質的に平行である向きを記述することを意図している。これは、例えば、ウエハ又はダイの表面であってよい。また、しばしば、水平方向は、横方向とも呼称される。
【0016】
本明細書において使用されている「垂直方向」という用語は、第1面に対して実質的に垂直に、即ち、半導体基材又は本体の第1面の垂直方向に対して平行に、配置された向きを記述することを意図している。
【0017】
半導体デバイスは、例えば、ダイオードなどの、2端子装置によって実装することができる。また、半導体デバイスは、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、具体的には、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、接合型電界効果トランジスタ(JFET)、及びサイリスタなどの、3端子装置でもあってもよい。また、半導体デバイスは、3つ超の端子を含むこともできる。
【0018】
以下、ワイドバンドギャップ半導体材料を加工するステップの様々な例について説明する。本明細書において使用されている「ワイドバンドギャップ半導体材料」という用語は、1eV超のバンドギャップを有する半導体材料を表すことを意図している。SiC又は窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体材料は、それぞれ、高破壊電界強度(例えば、少なくとも2.5MV/cm)と、高臨界アバランシェ電界強度と、を有する。従って、相対的に小さなバンドギャップの半導体材料との比較において、相対的に高度になるように半導体領域のドーピングを選択することが可能であり、この結果、オン状態抵抗値Ron(オン抵抗値Ronとも呼称される)が低減される。以下においては、例は、主に、ワイドバンドギャップ半導体材料としてのSiCとの関係において説明しているが、類似の技術は、その他の種類又はタイプのワイドバンドギャップ半導体材料にも容易に適用することができる。
【0019】
本明細書において記述されている様々な例においては、SiC内において定義される半導体デバイスは、パワー半導体デバイスであってよい。本明細書において使用されている「パワー半導体デバイス」という用語は、高電圧(具体的には、少なくとも250V、或いは、少なくとも600V)及び高電流のスイッチング能力を有する、単一チップ上の半導体デバイスを表すことを意図している。換言すれば、パワー半導体デバイスは、通常はアンペアの範囲内の、高電流用として意図されている。
【0020】
半導体デバイスは、SiC基材上において提供されたSiCのエピタキシャル層内において形成することができる。この層は、以下においては、デバイス層と呼称される。
【0021】
原則として、デバイス層は、サブ層を含むことができる。例えば、サブ層は、半導体デバイスのドレイン領域を実装することができる。ドレイン領域は、高度にドーピングすることができる。ドレイン領域の厚さは、デバイス層を基材から分離する際に得られる、ダイに対する十分な構造的安定性を付与するものであってよい。例えば、ドレイン領域の厚さは、少なくとも2μm~最大で200μmの範囲、或いは、少なくとも10μm~最大で100μmの範囲、或いは、少なくとも20μm~最大で50μmの範囲、であってよい。任意選択により、デバイス層の更なるサブ層は、バッファ領域を実装することができる。例えば、半導体デバイスとしてのFETの場合には、nドープバッファ層を個々のサブ層によって実装することができる。半導体デバイスとしてのダイオードの場合には、nドープバッファ層は、接触層に対応しうる。バイポーラダイオードのケースにおいては、nドープバックサイドエミッタ領域を個々のサブ層によって実装することができる。更なるサブ層は、ドリフト領域を実装することができる。
【0022】
デバイス層は、高電荷キャリア移動度用の結晶質SiCを取得するべく、エピタキシャル成長プロセスを使用することによって提供することができる。一般には、エピタキシャル成長プロセスの成長レートは、デバイス層の厚さに跨って、即ち、垂直方向に沿って、変化してもよく、例えば、異なるサブ層ごとに変化してもよい。
【0023】
半導体デバイスを形成するべく、フロントサイド加工を実装することができる。この場合には、異なる領域に電気的に接触するための1つ又は複数の電気接点を形成することができる。例えば、半導体デバイスとしてのFETの場合には、ソース接点、ドレイン接点、及びゲート接点を形成することができる。
【0024】
基準実装形態に従って、特に、特定の厚さのダイ上において、半導体デバイスを取得するには、例えば、研削を介して、基材の大きな部分の除去が必要とされる場合がある。除去された材料は、破棄することができる。SiC基材の相対的に高価な価格に起因して、この結果、少なくともケイ素との比較において、単位費用/半導体デバイスが相対的に高くなりうる。この費用は、例えば、基材の再使用を許容することにより、大幅に低減することができる。
【0025】
以下、SiC基材の複数回にわたる再使用を促進する技法について説明する。即ち、半導体デバイスの複数の組をSiC基材上において順番に形成することができる。半導体デバイスのそれぞれの組は、横方向において離隔した半導体デバイスのアレイを含みうる。基材から半導体デバイスのそれぞれの組を分離することにより、次いで、半導体デバイスの更なる組を形成するべく、基材を再使用することができる。これにより、半導体層の複数の組についてSiC基材を再使用することにより、単位費用/半導体デバイスを低減することができる。
【0026】
SiCに基づいた半導体デバイスの1つの制限は、SiC基材の大きな欠陥密度をもたらす傾向である。例えば、欠陥は、半導体デバイスによる電流伝導の際に拡散及び伝播しうる。積層欠陥は、このような欠陥の一例である。このような現象は、バイポーラ劣化と呼ばれている。例えば、(非特許文献1)を参照されたい。積層欠陥は、結果的に、トランジスタにおけるON状態抵抗値Ronの増大又はダイオードにおける順方向電圧の増大をもたらしうる。このような欠陥は、半導体装置の製造における歩留まりを引き下げうる。この結果、この場合にも、単位費用/半導体デバイスが増大する。また、半導体デバイスの動作信頼性も劣化しうる。
【0027】
通常、欠陥密度は、半導体デバイスの誤動作を回避するべく、対策を必要としうる。一例においては、このような欠陥は、基材と半導体デバイスが形成されるSiCのエピタキシャル層の間に高ドープバッファ領域を実装することにより、抑制することができる。このバッファ領域は、ダイのフロントサイドから注入される正に帯電した電気キャリア(正孔)の高再結合レートを促進する。これにより、積層欠陥の成長を抑制することができる。(非特許文献2)を参照されたい。この場合には、SiCの多孔性層が、エピタキシャルSiC層と基材の間に提供されている。これにより、基材内の欠陥の密度と比較された場合に、エピタキシャルSiC層内の欠陥の密度を大幅に低減することができる。
【0028】
以下、基材の任意の結晶欠陥のデバイス層内への伝播の抑制を促進する技法について説明する。これにより、半導体デバイスの製造における歩留まりを増大させることが可能であり、これは、結果的に、単位費用/半導体デバイスの低減にも有用である。更には、使用中の半導体デバイスの障害の尤度を減少させることもできる。
【0029】
本明細書において記述されている様々な例においては、このような効果は、基材とデバイス層を更なる層によって結合することにより、実現することができる。この層は、以下においては、インターフェイス層と呼称される。
【0030】
インターフェイス層は、基材によって支持されている。例えば、インターフェイス層は、基材のフロントサイドに隣接した状態において定義することができる。例えば、インターフェイス層は、フロントサイドに隣接した状態において、基材内において定義することができる。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、インターフェイス層は、フロントサイドに隣接した状態において、基材上において定義されてもよく、即ち、インターフェイス層は、成長プロセスを使用することにより、基材の上部において設けられてもよい。基材とインターフェイス層の間には、その他の層が存在しなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、インターフェイス層は、接着剤などを使用して基材に装着されなくてもよい。
【0031】
インターフェイス層の横方向寸法は、基材の横方向寸法に対応しうる。例えば、インターフェイス層は、基材のフロントサイドの全体に跨って、或いは、少なくとも基材のフロントサイドのエリアの90%に跨って、横方向において延在することができる。
【0032】
インターフェイス層の垂直方向の寸法、即ち、インターフェイス層の厚さ、は、例えば、少なくとも2μm、或いは、例えば、少なくとも5μm、などのように、少なくとも1μmから、例えば、最大で25μm、或いは、例えば、最大で10μm、などのように、最大で50μmまで、の範囲であってよい。インターフェイス層の厚さは、最大で、デバイス層の厚さの50%であることが可能であり、任意選択により、デバイス層の厚さの最大で20%であることが可能であり、更には、任意選択により、デバイス層の厚さの最大で5%であることが可能である。
【0033】
基材の垂直方向寸法は、例えば、200μm~500μmの範囲などのように、100μm~800μmの範囲であってよい。
【0034】
原則的に、インターフェイス層の厚さは、基材の厚さと比較された場合に、小さくてもよい。例えば、インターフェイス層の厚さは、基材の20%、或いは、任意選択により、10%、超でなくてもよい。
【0035】
インターフェイス層の材料は、基材の且つ/又はデバイス層の、材料に対応しうる。通常、基材、インターフェイス層、及びデバイス層は、SiCから製造されている。「~から製造される(made of)」という用語は、通常の製造許容範囲内において理解することを要し、且つ、不純物及び/又はドーパントの存在を排除するものではない。インターフェイス層は、エピタキシャルSiCから製造することが可能であるが、これは、必須ではない。いくつかのシナリオにおいては、SiCの原子的秩序は、基材、インターフェイス層、及びデバイス層の間において変化してもよい。例えば、基材、インターフェイス層、及びデバイス層が、いずれも、結晶質形態における、但し、例えば、異なるポリタイプによる、SiCを含むことが可能であろう。また、基材、インターフェイス層、及びデバイス層が、いずれも、結晶質形態における、且つ、同一のポリタイプにおける、SiCを含むことも可能であろう。
【0036】
原則的に、例えば、デバイス層用の、且つ、任意選択により、インターフェイス層用の、結晶質SiCは、本明細書において記述されている様々な例においては、エピタキシャル成長プロセスを使用することにより、提供することができる。これは、化学気相蒸着(CVD)及び/又は昇華エピタキシーを使用するステップを含みうる。例えば、ステップ制御エピタキシャル成長プロセスを利用することが可能であり、例えば、(非特許文献3)を参照されたい。このようなステップ制御エピタキシャル成長プロセスは、通常、基材の結晶面との関係におけるオフオリエンテーション方向に依存している。例えば、4H-SiCのケースにおいては、この結晶面は、SiC(1,1,-2,0)面であってよい。通常、4H-SiCのケースにおいては、オフ方向は、SiC(1,1、-2,0)面との間において4°~5°の角度を有する。結晶成長は、材料の表面のテラス又はアイランド上において実装される。吸収されたCVDの種は、このようなテラスの階段内に内蔵される。
【0037】
インターフェイス層は、様々な機能を提供するように、設計することができる。例えば、インターフェイス層は、積層欠陥及び/又は転位などの欠陥の、基材からデバイス層内への、伝播を抑制するように、設計することができる。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、インターフェイス層は、デバイス層からの基材の分離を可能にすることにより、更なる半導体デバイスを形成する更なるプロセスにおいて基材の再使用を促進するように、設計することもできる。
【0038】
従って、方法は、SiCのインターフェイス層を提供するステップを含む。インターフェイス層は、SiC基材によって支持されている。また、方法は、インターフェイス層上においてエピタキシャルSiCのデバイス層を提供するステップをも含む。また、方法は、第2層内において複数の半導体デバイスを形成するステップをも含む。また、方法は、第1層において第2層から基材を分離するステップをも含む。
【0039】
このような機能を提供するべく、インターフェイス層用に利用可能な様々な設計選択肢が存在している。例えば、インターフェイス層は、複数の空洞を含むことができる。空洞は、インターフェイス層の材料内において定義することができる。
【0040】
本明細書において記述されている様々な例においては、異なるタイプの空洞に依存することができる。一例においては、空洞は、多孔性を有するインターフェイス層によって定義することができる。このような多孔性のインターフェイス層は、例えば、光電気化学エッチングなどの、電気化学エッチングから取得することができる。この場合に、エピタキシャルSiCを使用することは、通常、必須ではない。通常、このような多孔性インターフェイス層の気孔の集合体は、好ましい方向又は任意の大きい順の順序を示していなくてもよい。むしろ、多孔性層の気孔は、サイズ及び/又は形状及び/又は向きの統計的な分布を示すことができる。気孔は、相互接続されたネットワークを形成することが可能であろう。換言すれば、多孔性層は、スポンジタイプの多孔性層となりうるであろう。
【0041】
別の例においては、空洞は、空隙によって実装することができる。空隙は、通常、適合されたサイズ及び/又は形状及び/又は向きを有する。例えば、空隙は、明確に制御されたプロセスパラメータを使用することにより、トップ-ダウンプロセスにおいて定義することができる。従って、空隙も、サイズ及び/又は形状及び/又は向きの分布を示しうる一方で、このような分布の幅は、基準多孔性層の気孔における対応する分布の幅よりも大幅に小さくてもよい。具体的には、空隙は、好ましい方向とアライメントしていてもよく、且つ、大きい順の順序を示すことができる。
【0042】
いずれのケースにおいても、インターフェイス層内において、例えば、気孔及び/又は空隙などの、空洞を設けることにより、デバイス層内の欠陥密度の低減を支援することができる。また、空洞によって誘発されるインターフェイス層の構造的剛性及び/又は安定性の低減により、デバイス層からの基材の分離もサポートされることになる。
【0043】
以下、以下の例について説明することとする。
例1.方法は、
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の(例えば、エピタキシャル炭化ケイ素の)第1層(101)を提供するステップと、
-第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-第1層(101)において第2層(102)から基材(130)を分離するステップと、
を有し、
この場合に、第1層(101)は、複数の空隙(150)を有する。
【0044】
例2.例1の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するステップは、複数の空隙(150)を定義するべくトレンチ充填プロセス(2101)を使用するステップを含む。
【0045】
例3.例2の方法であって、
この場合に、トレンチ充填プロセス(2101)は、リソグラフィによって定義されたトレンチ(160)のドライエッチング、トレンチ(160)のダメージインプランテーション、及びトレンチ(160)の電気化学エッチングのうちの少なくとも1つを有する。
【0046】
例4.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有する。
【0047】
例5.例2又は3並びに例4の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するべく使用されるエピタキシャル成長プロセスは、基材(130)の結晶面との関係におけるオフオリエンテーション方向(161)を使用するステップ制御エピタキシャル成長プロセスであり、
この場合に、トレンチ充填プロセス(2101)のトレンチ(160)は、オフオリエンテーション方向(161)との間において少なくとも1°の、任意選択により、少なくとも5°の、更に任意選択により、少なくとも85°の、角度(162)を有する。
【0048】
例6.例4又は5の方法であって、
この場合に、第1層(101)のステップ制御エピタキシャル成長プロセスの成長レートは、複数の空隙(150)の空隙(150)を封入するべく、横方向過成長領域(965)内にある。
【0049】
例7.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するステップは、リフロープロセスを使用するステップを有し、
この場合に、リフロープロセスの温度は、複数の空隙(150)の空隙(150)を取り囲むべく、横方向閉鎖領域内にある。
【0050】
例8.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するステップは、複数の空隙(150)の隣接する空隙(150)の間の隆起部(152)をエッチングするステップを有する。
【0051】
例9.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)は、第1空隙密度(301)を有する第1サブ層(101-1)を有し、且つ、第2空隙密度(302)を有する第2サブ層(101-2)を更に有し、
この場合に、第1層(101)の第1サブ層(101-1)は、第1層(101)の第2サブ層(101-2)と基材(130)の間に配置されており、
この場合に、第1空隙密度(301)は、第2空隙密度(302)よりも大きい。
【0052】
例10.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第2層(102)を提供するステップは、エピタキシャル成長プロセスを使用するステップを有し、
この場合に、第2層(102)は、第1サブ層(102-1)及び第2サブ層(102-2)を有し、
この場合に、第2層(102)の第1サブ層(102-1)は、第2層(102)の第2サブ層(102-2)と第1層(101)の間に配置されており、
この場合に、第2層(102)の第1サブ層(102-1)のエピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-1)は、第2層(102)の第2サブ層(102-2)のエピタキシャル成長プロセスの成長レート(312-2)よりも小さい。
【0053】
例11.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、複数の空隙(150)の空隙(150)は、細長い形状を有し、
この場合に、複数の空隙(150)における空隙(150)の長手方向軸(151)は、互いにアライメントされている。
【0054】
例12.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、複数の空隙(150)の空隙(150)は、第1層(101)内において定義された横方向パターンにおいて配列されている。
【0055】
例13.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)は、第1層(101)の抵抗率を定義するドーパントを有し、この第1層(101)の抵抗率は、基材(130)の抵抗率よりも小さい。
【0056】
例14.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
-第2層(102)を提供するステップの前に、第1層(101)を平坦化するステップ、
を更に有する。
【0057】
例15.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)は、光吸収材料を含み、
この場合に、第2層(102)から基材(130)を分離するステップは、光吸収材料によって吸収されるレーザー光(250)を使用して第1層(101)を損傷させるステップを有する。
【0058】
例16.例15の方法であって、
この場合に、光吸収材料は、ドーパントと、第1層(101)を提供するべく使用される焼き戻しプロセスから得られる少なくとも1つの炭素層と、のうちの少なくとも1つを有する。
【0059】
例17.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第2層(102)から基材(130)を分離するステップは、
-複数の空隙(150)内に流体を注入し、且つ、流体をその凍結点未満に冷却するステップ、
-高速の圧力変化、及び
-第1層(101)における微細電気放電機械加工、
のうちの少なくとも1つを有する。
【0060】
例18.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
-第2層(102)内にエッチングされた垂直方向エッジにおいて保護材料を提供するステップ、
を更に有する。
【0061】
例19.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
-複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)をシンギュレートするべく第2層(102)を垂直方向においてダイシングするステップ、
を更に有し、
この場合に、第2層(102)は、第2層(102)から基材(130)を分離するステップの前に、ダイシングされる。
【0062】
例20.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
-第2層(102)から基材(130)を分離するステップの後に、第1層(101)の残りの部分上においてバックサイド金属化層を堆積させるステップ、
を更に有する。
【0063】
例21.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)は、第1成長レート(311-1、311-2)において提供され、
この場合に、第2層(102)は、第2成長レート(312-1、312-2)において提供され、
この場合に、第1成長レートは、第2成長レートよりも小さい。
【0064】
例22.方法であって、
-多孔性炭化ケイ素の第1層(101)を提供するステップと、
-第1層(101)上においてエピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)を提供するステップと、
-第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)を形成するステップと、
-第1層(101)において第2層(102)から基材(130)を分離するステップと、
を有する。
【0065】
例23.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第2層(102)の厚さ(102A)は、少なくとも20μmであり、任意選択により、少なくとも50μmであり、或いは、
この場合に、第2層(102)の厚さ(102A)は、最大で30μmであり、任意選択により、最大で20μmである。
【0066】
例24.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
-第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドリフト領域を定義するステップと、
-第2層(102)内において複数の半導体デバイス(105、105-1、105-2、105-3)のドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域を定義するステップと、
を更に有する。
ドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域の厚さは、ドリフト領域の厚さよりも大きくてもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0067】
例25.以上の例のいずれか1つの例の方法であって、
この場合に、第1層(101)を提供するステップは、電気化学エッチングプロセスを使用するステップを有する。
【0068】
例26.ウエハであって、
-炭化ケイ素基材(130)と、
-炭化ケイ素基材(130)によって支持された炭化ケイ素の第1層(101)と、
を有し、
この場合に、第1層(101)は、複数の空隙(150)を有する。
【0069】
例27.例26のウエハであって、
-複数の半導体デバイスのドリフト領域を有する、且つ、複数の半導体デバイスのドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域を更に有する、エピタキシャル炭化ケイ素の第2層(102)、
を更に有する。
ドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域の厚さは、ドリフト領域の厚さよりも大きくてもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0070】
例28.例26又は例27のウエハであって、
この場合に、第2層(102)の厚さ(102A)は、少なくとも20μmであり、任意選択により、少なくとも50μmであり、或いは、
この場合に、第2層(102)の厚さ(102A)は、最大で30μmであり、任意選択により、最大で20μmである。
【0071】
上述の例は、更なる例をもたらすべく、互いに組み合わせることができる。例えば、第1層が気孔を含むシナリオの場合にも、空隙を含む第1層との関連において記述されている基材から第2層を分離するための技法を適用することが可能であろう。上述の方法との関係において記述されている更なる技法をウエハに関係する例に適用することができる。例えば、ウエハは、このような方法を使用して製造することができる。
【0072】
図1は、様々な例による方法のフローチャートである。図1による方法は、本明細書において記述されている技法による例示用のプロセスに対応している。
【0073】
ブロック1001において、第1層が提供されている。第1層は、基材によって支持されている。第1層は、基材内に、或いは、基材上に、提供することができる。基材は、ウエハによって提供されている。
【0074】
第1層は、上述のインターフェイス層に対応している。例えば、インターフェイス層は、例えば、気孔又は空隙によって実装された複数の空洞を含むことができる。
【0075】
インターフェイス層が複数の空隙を含むシナリオにおいては、インターフェイス層は、エピタキシャル成長プロセスを使用することにより、提供することができる。従って、インターフェイス層は、エピタキシャルSiCから製造することができる。別の選択肢は、こちらもエピタキシャルSiCから製造された基材内においてインターフェイス層を定義するというものになるが、このようなシナリオにおいては、インターフェイス層を提供するための専用のエピタキシャル成長プロセスが不要になりうる。
【0076】
インターフェイス層が気孔を有する更なるシナリオにおいては、インターフェイス層は、電気化学エッチングを使用することにより、提供することができる。このような一例においては、水溶性フッ化水素酸(HF)に基づいた電気化学エッチングは、例えば、界面活性剤、エタノール、イソプロパノールなどの、いくつかの添加剤を含むことができる。HFの濃度は、通常、50容積%未満の範囲である。水溶性HFと添加剤の間の比率は、(重量で計測された)3:1、2:1、1:2、1:1、3:1、1:4であってよい。陽極酸化用の電圧条件に応じて、100V未満の電圧を使用することが可能であり、或いは、場合によっては、プロセスが更なるUV照明下において実行されるかどうかに応じて、更に低い電圧(10V未満)を使用することもできる。電流密度により、多孔性層の気孔密度(しばしば、気孔率とも呼称される)を設定することができる。例えば、通常の電流密度は、10μA/cm~100mA/cmの範囲である。気孔密度は、インターフェイス層の材料内の空の空間の尺度である。通常、これは、合計容積に対する空の材料の容積の比率として定義され、且つ、従って、0%~100%の間において変化しうる。
【0077】
エッチングの後に、すすぎ及び乾燥を実行することができる。原則として、インターフェイス層は、4H-SiCポリタイプから製造することが可能であろう。具体的には、このような構成においては、(0001)ケイ素面が、(
炭素面と比較された場合に)外向きに対向している際に、電気化学エッチングを実行することが可能であろう。別の選択肢は、インターフェイス層を6H-SiCポリタイプから製造するというものになろう。
【0078】
次いで、ブロック1002において、第2層が提供されている。第2層は、インターフェイス層上において提供されている。第2層は、上述のデバイス層に対応している。
【0079】
ブロック1002は、例えば、nドープドレイン領域などのドレイン領域、例えば、nドープバッファ領域などのバッファ領域、及び/又はバックサイドエミッタ領域をインターフェイス上に堆積させるエピタキシャル成長プロセスを含むことができる。3.5kV未満の阻止能力を有する装置の場合には、ドレイン領域又はバックサイドエミッタ領域の厚さは、ドリフト領域の厚さよりも大きくてよい。
【0080】
ブロック1002は、ドリフト領域を堆積させるエピタキシャル成長プロセスを含むことができる。
【0081】
ブロック1002は、欠陥のない成長プロセスを促進するべく、水素による事前処理を含むことができる。例えば、(非特許文献4)を参照されたい。
【0082】
ブロック1003において、複数の半導体デバイスがデバイス層内において形成されている。これは、半導体デバイスの本体領域、ソース領域、エミッタ領域、及び/又は電気接点を定義するフロントサイド加工を含むことができる。
【0083】
ブロック1004において、基材が、インターフェイス層において、デバイス層から分離されている。これは、分離をトリガするべく力を作用させる前に、キャリア上においてデバイス層を支持するステップを含むことができる。
【0084】
ブロック1004は、複数の半導体デバイスを含む1つ又は複数のダイ又はチップをもたらす。また、ブロック1004は、基材の残りの部分をも、もたらす。例えば、基材上のインターフェイス層の任意の残りの部分は、例えば、研削又は研磨により、除去することができる。例えば、超高速研磨を利用することができる。
【0085】
任意選択のブロック1005において、バックサイド金属化層が、ブロック1004から得られた1つ又は複数のダイのバックサイド上に堆積されている。通常、バックサイド金属化層は、分離するステップの後に、デバイス層に装着されるインターフェイス層の残りの部分上において堆積することができる。
【0086】
ブロック1005は、任意選択である。いくつかのシナリオにおいては、ブロック1005を実行する代わりに、ブロック1001において、インターフェイス層内においてドーパントを提供することが可能であり、これにより、インターフェイス層の抵抗率を基材の抵抗率よりも小さくすることができる。この結果、デバイス層に隣接しているインターフェイス層の残りの部分は、オームバックサイド接触を促進する大きな導電率を示すことができる。残りのインターフェイス層によって提供されるバックサイドの増大した粗度は、接触抵抗値の低減に寄与することができる。
【0087】
図1の方法は、基材からデバイス層への欠陥の伝播の抑制を促進している。これは、基材の結晶品質と比較された場合の、デバイス層の結晶品質の改善に対応しており、この結果、妥当な欠陥密度を有する基材の利用が促進される。通常、特に低い欠陥密度を有するSiC基材は、相対的に高い欠陥密度を有するSiC基材と比較された場合に、相対的に高価である。本明細書において記述されている技法においては、インターフェイス層により、欠陥密度を改善することが可能であり、従って、特に高い品質の基材に依存する必要がなくなりうる。インターフェイス層内の空洞は、広がった積層欠陥及びその他の欠陥の伝播を停止又は低減する。
【0088】
図1において破線矢印によって示されているのは、基材を再使用する可能性である。具体的には、ブロック1004の実行から得られた基材の残りの部分は、ブロック1001~1005の更なる反復のための入力として使用することができる。材料磨滅のレベル/反復に応じて、多数回の反復が、単一の基材の再使用によってサポートされており、これは、潜在的に任意の数である。いくつかの例においては、材料磨滅について補償するべく、ブロック1004における基材の分離の後に、エピタキシャルSiCの更なる層を提供することが可能であろう。これにより、基材の初期厚さを維持することができる。
【0089】
図2の概略的な図との関連において、図1の方法によって定義されているプロセスの更なる詳細について説明する。
【0090】
図2は、様々な例によるSiCの処理との関係における態様を示している。
【0091】
プロセスステップ2001において、基材130が提供されている。図2に示されているのは、基材の厚さ133がそれに沿って定義されている、垂直方向zである。また、基材130のフロントサイド131及びバックサイド132も示されている。
【0092】
プロセスステップ2002において、インターフェイス層101が、基材130上において提供されている。インターフェイス層101は、フロントサイド131に隣接している。インターフェイス層101は、空洞を含む。例えば、インターフェイス層101は、多孔性層であってもよく、或いは、空隙を含むこともできる。
【0093】
インターフェイス層101は、例えば、エピタキシャル成長プロセスなどの、成長プロセスを使用することにより、提供されている。通常、インターフェイス層の厚さは、少なくとも1μm~最大で50μmの範囲であってよく、或いは、少なくとも2μm~最大で10μmの範囲であってもよい。
【0094】
ブロック2002の後に、ケイ素面は、上向きに対向しうる。
【0095】
成長プロセスを使用した後に、且つ、プロセスステップ2003の前に、インターフェイス層101を平坦化することができよう。
【0096】
プロセスステップ2003において、デバイス層102が、インターフェイス層101上において提供されている。通常、デバイス層102の厚さ102Aは、少なくとも10μmであってよく、任意選択により、少なくとも50μm、或いは、少なくとも100μm、或いは、少なくとも150μm、であってもよい。
【0097】
その他の例においては、プロセスステップ2003において、デバイス層102の特に小さな厚さが提供されてもよい。例えば、デバイス層102の厚さ102Aは、最大で30μmであってもよく、或いは、最大で20μmであってもよい。
【0098】
原則的に、デバイス層102の厚さを可能な限り小さく、但し、必要に応じて大きく、寸法設定する傾向が存在しうる。半導体デバイスの様々なプロパティは、デバイス層102の厚さに依存する場合があり、且つ、具体的には、トレードオフ状況が発生しうる。(i)相対的に小さな厚さは、相対的に良好な熱プロパティを提供することができる、例えば、熱をキャリア又はヒートシンクに相対的に効率的に散逸することができ、(ii)相対的に小さな厚さは、相対的に高速且つ費用効率に優れた処理を提供することが可能であり、(iii)相対的に大きな厚さは、例えば、半導体デバイスによって実装されたトランジスタの、ブレークスルー電圧を増大させることが可能であり、(iv)相対的に大きな厚さは、基材130からデバイス層102を分離する際に、結果的に得られるチップに対して構造的安定性の増大を提供することが可能であり、(v)相対的に大きな厚さは、相対的に大きなRonを結果的にもたらしうる。
【0099】
デバイス層102は、エピタキシャル成長プロセスを使用することにより、提供されている。デバイス層102を提供する成長プロセスの成長レートは、インターフェイス層101を提供する成長プロセスの成長レートよりも、大きいことが可能である。この結果、デバイス層102の大きな厚さ2003Aを促進することができる。
【0100】
例えば、インターフェイス層101を提供する高品質のエピタキシャル成長プロセスにより、デバイス層102を提供する成長プロセスの大きな成長レートを促進することができる。インターフェイス層101の平坦化は、デバイス層102を提供する大きな成長レートのサポートを更に支援することができる。表面を平坦化する選択肢は、化学機械的平坦化、研磨、及びダメージエッチングを含む。これらは、いずれも、低欠陥密度をサポートするデバイス層102の形態と、プロセスステップ2004において形成される半導体デバイス105の高い歩留まりと、を促進している。
【0101】
デバイス層102を提供するステップは、プロセスステップ2004において形成された半導体デバイス105用のドリフト領域を定義するステップを含むことができる。
【0102】
プロセスステップ2004において、半導体デバイス105が、デバイス層102内において形成されている。これは、電気接点などを形成するステップを含む。
【0103】
プロセスステップ2005において、フロンドサイドキャリア106がデバイス層102に装着されている。図2の例においては、フロントサイドキャリア106は、デバイス層102に装着された状態において留まっているが、(図2には示されていない)その他の例においては、フロントサイドキャリア106は、例えば、プロセスステップ2007において除去されてもよい。
【0104】
プロセスステップ2006において、デバイス層102が、インターフェイス層101において基材130から分離されている。図2には、破断171が示されている。
【0105】
原則として、基材130を分離するための破断171をもたらすステップに利用可能な様々な選択肢が存在している。
【0106】
第1選択肢においては、図2に示されているように、バックサイドレーザープロセスを利用することができる。この場合には、レーザー光250が、基材130のバックサイド132上に照射され、この結果、光の吸収及び加熱に起因して、インターフェイス層101に対する損傷がもたらされる。これは、レーザー光250との関係における基材130のSiCの透明性によって促進される。インターフェイス層101への損傷は、インターフェイス層101の構造的剛性を更に低減し、この結果、最終的に破断171が得られる。
【0107】
このような損傷を更に改善するべく、インターフェイス層101は、光吸収材料を含むことができよう。この結果、基材130は、光吸収材料によって吸収されるレーザー光250を使用することにより、デバイス層102から分離することができる。ドーパントを光吸収材料として使用することができる。また、例えば、グラフェンなどの、1つ又は複数の炭素層を光吸収材料として使用することもできる。例えば、このような炭素原子は、プロセスステップ2002においてインターフェイス層101に適用される焼き戻しプロセスから取得することができよう。光吸収材料がインターフェイス層101内において提供される場合には、最大強度がインターフェイス層101において観察されるように、レーザー光250を合焦することが不要となりうる。むしろ、インターフェイス層101における吸収は、レーザー光250の空間的に変化する強度の代わりに、光吸収材料により、増大させることができる。この結果、プロセスステップ2006の複雑さが低減される。
【0108】
第2の選択肢においては、破断171を促進するべく、即ち、デバイス層102からの基材130の分離をトリガするべく、コールドスプリットプロセスの少なくとも一部分が使用されてもよく、例えば、(非特許文献5)を参照されたい。この場合には、例えば、デバイス層102のフロントサイド上において、1つ又は複数のポリマーを含む層を堆積させることができる。ポリマーは、基材130とは異なる熱膨張係数を有しうる。この結果、冷却した際に、ポリマーの長さ及び/又は容積の変化が、破断171に結び付く機械的な応力を誘発する。一般的に、インターフェイス層101の構造的剛性の低減に起因して、このようなポリマー層の長さの変化によって誘発される機械的な応力でさえ、分離に結び付くに十分である可能性があり、この結果、バックサイドレーザープロセスの更なる利用が不要となりうる。従って、バックサイドレーザープロセスは、一般には、任意選択である。
【0109】
第3の選択肢においては、基材130を分離するステップは、この代わりに、又はこれに加えて、インターフェイス層101の空隙内に流体を注入するステップを含みうる。次いで、流体をその凍結点未満に冷却することができる。固体状態への遷移における流体の膨張も、破断171に結び付く機械的応力を誘発しうる。例えば、流体状態又はガス状態における水を使用することができる。
【0110】
第4の選択肢においては、基材130を分離するステップは、この代わりに、又はこれに加えて、水ジェット処理を含みうる。
【0111】
第5の選択肢においては、基材130を分離するステップは、この代わりに、又はこれに加えて、インターフェイス層101内における微細電気放電機械加工(μEDM)を含みうる。
【0112】
第6の選択肢においては、基材130を分離するステップは、この代わりに、又はこれに加えて、ストレスを誘発するべく迅速な圧力の変化を適用するステップを含みうる。
【0113】
プロセスステップ2007において、バックサイド金属化層107が、インターフェイス層101の残りの部分上において、バックサイド132において提供されている。この場合にも、これは、任意選択である。或いは、この代わりに、インターフェイス層が除去されてもよい。
【0114】
プロセスステップ2008において、半導体デバイス105をシンギュレートするべく、デバイス層102の垂直方向のダイシングが実装されている。ダイシングライン172を定義するべく、個々のKERF構造を使用することができる。
【0115】
図2のシナリオにおいては、プロセスステップ2008のダイシングは、プロセスステップ2006において発生する基材130の分離の後である。その他の例においては、ダイシングによって半導体デバイス105をシンギュレートするステップは、例えば、プロセスステップ2006の前又はプロセスステップ2005の後などのように、デバイス層102から基材130を分離するステップの前に実行することもできよう。
【0116】
図3は、様々な例によるSiCの処理との関係における態様を示している。
【0117】
図3の処理は、図2の処理に、概ね対応している。例えば、プロセスステップ2011は、プロセスステップ2001に対応している。プロセスステップ2013は、プロセスステップ2003に対応している。プロセスステップ2014は、プロセスステップ2004に対応している。プロセスステップ2015は、プロセスステップ2005に対応している。プロセスステップ2016は、プロセスステップ2006に対応している。プロセスステップ2017は、プロセスステップ2007に対応している。プロセスステップ2018は、プロセスステップ2008に対応している。
【0118】
プロセスステップ2012において、インターフェイス層101は、プロセスステップ2002とは異なって、成長プロセスを使用することによって基材130上においてエピタキシャル層として提供されてはおらず、むしろ、基材130内において提供されている。例えば、基材130の上部層を適切に構造化することにより、空洞を基材130の上部層内において定義することができる。
【0119】
図4は、様々な例による方法のフローチャートである。例えば、インターフェイス層101を提供するべく、図1のブロック1001との関連において、図4の方法を利用することができる。
【0120】
具体的には、図4は、インターフェイス層101内における複数の空隙の定義との関係における態様を示している。
【0121】
方法は、ブロック1011によって始まっている。ブロック1011は、任意選択のブロックである。ブロック1011においては、エピタキシャル成長プロセス、具体的には、ステップ制御エピタキシャル成長プロセス、が実行されている。結晶質SiCが基材上において堆積されている(図2のプロセスステップ2002を参照されたい)。その他の実装形態においては、インターフェイス層は、基材内において定義されてもよく、この結果、基材の上部においてなんらかの更なる材料を堆積させる必要はない(図3のプロセス2012を参照されたい)。
【0122】
次いで、ブロック1012において、エッチングマスクが、例えば、レジスト及びその露光を使用するなどにより、リソグラフィによって定義されている。エッチングマスクは、トレンチの形状を定義している。図5には、例示用のエッチングマスク165が示されている。長手方向の成形されたトレンチ160が示されている。図5は、平面図であり、ウエハの横方向プレーンは、図面プレーンに対応している。
【0123】
具体的には、トレンチ160は、ブロック1011のステップ制御エピタキシャル成長プロセスのオフオリエンテーション方向161との間において角度162を有している。例えば、角度162は、少なくとも1°であってもよく、任意選択によって少なくとも5°であってもよく、更に任意選択によって少なくとも85°であってもよい。例えば、角度は、90°±5°であってもよい。
【0124】
再度図4を参照すれば、次いで、ブロック1013において、トレンチ160がエッチングされている。この場合に、トレンチ160を定義するべく、ドライエッチング、ダメージインプランテーション、及び電気化学エッチングのうちの1つ又は複数を使用することが可能である。SiCがマスキング材料165(例えば、フォトレジスト及び/又はハードマスク)によって保護されていないところにおいて、材料が局所的に除去される。
【0125】
ブロック1014において、SiCを堆積させるべく、再度、エピタキシャル成長プロセスが使用されている。材料を堆積させるステップの前に、エッチングマスク165が除去される。エピタキシャル成長プロセスを使用することにより、トレンチが充填されているが、これが、ブロック1012~1014が、しばしば、トレンチ充填プロセス2101と呼称される理由である。従って、理解されるように、インターフェイス層101を提供するステップは、トレンチ充填プロセス2101を使用するステップを含みうる。
【0126】
いくつかの例においては、図4において破線矢印によって示されているように、トレンチ充填プロセス2101の複数回の反復を実装することが可能であろう。これにより、2つ以上のサブ層をインターフェイス層101に提供することができる。
【0127】
トレンチ充填プロセス2101を使用するステップは、インターフェイス層101内において空隙を定義するステップを促進している。図6は、空隙150との関係における詳細を示している。
【0128】
図6は、複数の空隙150を含むインターフェイス層101との関係における態様を示している。図6は、図5の垂直方向z及びラインX-Xに沿った断面図である。図6に示されているのは、トレンチ充填プロセス2101によって定義されたトレンチ160である。
【0129】
図6においては、空隙150が、トレンチ160と関連付けられている。空隙150は、図4のブロック1014において材料を堆積させた際の、トレンチ160の過成長の結果である。従って、空隙150は、トップ-ダウンプロセスにおいて提供されており、且つ、好ましい方向を示す。例えば、図6に示されているように、空隙150の長手方向軸151は、互いにアライメントされている。このアライメントは、エッチングマスク165の幾何学的形状及び構成によって誘発されている。同様に、エッチングマスク165は、トレンチ160に沿って、横方向パターンにおいても、空隙150の構成を誘発している。空隙150は、z方向に沿って細長い形状を有する。空隙150は、液滴の形状を有する。従って、空隙150は、通常は球状である多孔性層の気孔とは異なっている。
【0130】
理解されるように、図6の例においては、空隙150は、相互接続されたネットワーク(スポンジタイプの空洞)を形成してはいない。いくつかの例においては、相互接続されたネットワークを形成するように、空隙150を定義することが望ましい場合がある。例えば、隣接する空隙が互いに接続されている場合には、且つ/又は、空隙が、ウエハのエッジに到達するように、z方向に対して垂直の方向においてウエハ全体に沿って延長しているケースにおいては、流体をその凍結点未満に冷却することによって基材130の分離を促進する流体を注入することができる。相互接続されたネットワークを形成するように、空隙150を定義するべく利用可能な様々な選択肢が存在している。例示用の一選択肢によれば、図4のブロック1014の成長プロセスを一時停止し、且つ、一時停止しつつ、依然として開放状態の空隙150の隆起部152をエッチングすることが可能であろう。このエッチングは、材料の酸化と、酸化された材料のフッ化水素酸の後続の処理と、を含みうる。
【0131】
いくつかの例においては、このような隆起部152のエッチングは、相互接続されたネットワークを形成するためにではなく、むしろ、個々の空隙150の容積を拡大することにより、インターフェイス層101の構造的な安定性を更に低減するべく、使用することができる。この結果、インターフェイス層101において基材130からデバイス層102を分離するステップが更に促進される。
【0132】
原則として、図4のブロック1014において材料を堆積させる際に、空隙150の形成を促進するべく、様々な選択肢が利用可能である。これらの選択肢は、単独で、或いは、相互の組合せにおいて、利用することができる。
【0133】
空隙150の形成を促進するための第1の選択肢は、角度162の適切な選択を含む(図5を参照されたい)。通常、4°~90°の範囲の角度162の大きさ設定が、空隙の封入の促進を支援しうる。
【0134】
空隙150の形成を促進するための第2の選択肢は、リフロープロセスを使用するステップを含む。この場合には、堆積されたSiC材料の横方向の再分散により、空隙150を封入している。このような再分散のために、成長プロセスを中断させることができる。再分散を促進するプロセスパラメータは、高温と、低圧と、例えば、水素を有する、適切なガス雰囲気と、のうちの少なくとも1つを有する。温度は、空隙150を封入するべく、横方向の閉鎖領域内に位置するように、設定することができる。
【0135】
空隙の形成を促進するための第3の選択肢においては、成長プロセスのプロセスパラメータを横方向の過成長領域内において設定することができる。これが、図7との関連において示されている。
【0136】
図7は、ブロック1014のエピタキシャル成長プロセスのプロセスパラメータとの関係における態様を示している。エピタキシャル成長プロセスは、図7のシナリオにおいては、垂直軸である、塩化水素酸又は塩化水素(HCl)と、水平軸である、シラン(SiH4)と、である、反応物質の特定のフローレートを含むCVDプロセスである。図7において示されているように、空隙150を定義するための、過成長用の通常の領域965は、相対的に大きなシランのフローレート及び相対的に小さなHClのフローレートに依存している。これは、通常、材料堆積の小さな成長レートを結果的にもたらす。一般に、ブロック1014のエピタキシャル成長プロセスの成長レートは、空隙150を封入する横方向の過成長領域965内に位置するように、設定することができる。例えば、(非特許文献6)を参照されたい。
【0137】
図8は、垂直方向位置の関数として空隙密度との関係における態様を示している。図8のシナリオにおいては、インターフェイス層101は、(例えば、トレンチ充填プロセスの複数の反復から得られた)2つのサブ層101-1、101-2を含む(図4の破線矢印を参照されたい)。サブ層101-1は、基材130に隣接しており、且つ、サブ層101-2は、デバイス層102に隣接している。
【0138】
空隙密度は、一般に、(i)即ち、空隙に起因して、SiC材料が、インターフェイス層内に存在していない容積と、(ii)インターフェイス層の合計容積と、の間の比率に対応しうる。空隙密度と関連する別の尺度は、(i)SiC材料がインターフェイス層内に存在している容積と、(ii)インターフェイス層の合計容積と、の間の比率である。
【0139】
例えば、本明細書において記述されている様々な例においては、(i)SiC材料がインターフェイス層内において存在している容積と、(ii)インターフェイス層の全体容積と、の間の比率は、10%~90%の範囲であってもよく、或いは、任意選択によって30%~70%の範囲であってもよい。
【0140】
図示のように、サブ層101-1は、サブ層101-2の空隙密度302と比較された場合に、相対的に高い空隙密度301を有する。
【0141】
一般的なレベルにおいては、垂直のZ方向に沿った基材130までの距離が増大するのに伴って空隙密度301、302を減少させる傾向が存在しうる。これにより、デバイス層102のエピタキシャル成長のためのシード状態が改善することができる。具体的には、形態を改善することができる。
【0142】
異なる空隙密度301、302は、例えば、隣接するトレンチ160の間の横方向ピッチを変化させることにより、且つ/又は、トレンチ160の横方向の幾何学的充填率を変化させることにより、実現することができる。空隙密度301、302は、トレンチ160を充填するべく使用されるエピタキシャル成長プロセスの成長レートを変化させることにより、変化させることもできる。図9において、成長レートとの関係における詳細について説明する。
【0143】
図9は、垂直方向位置の関数として、成長レートとの関係における態様を示している。
【0144】
図9において、インターフェイス層101は、サブ層101-1、101-2を含む。デバイス層102も、サブ層102-1、102-2を含む。
【0145】
図9に示されているように、成長レート311-1、311-2、312-1、312-2は、垂直のZ方向に沿った基材130までの距離の増大に伴って増大している。図9のシナリオにおける成長レートの増大は、サブ層101-1、101-2、102-1、102-2と相関している。
【0146】
一般的な傾向として、成長レートは、例えば、インターフェイス層101内において、且つ/又は、デバイス層102内において、垂直のZ方向に沿った基材130までの距離の増大に伴って増大しうる。これにより、インターフェイス層101内の空隙150に起因した乱れた表面形態の伝播の回避を支援することができる。この結果、高品質な半導体デバイス105が促進される。
【0147】
理解されるように、デバイス層102の平均成長レート312-1、312-2は、インターフェイス層101の平均成長レート311-1、311-2よりも大きい。これは、処理時間の低減に有用であり、その理由は、通常、デバイス層102の厚さは、インターフェイス層101の厚さを大幅に上回っているからである。
【0148】
図10及び図11は、半導体デバイス105-1~105-3のシンギュレートとの関係における態様を示している。具体的には、図10及び図11は、半導体デバイス105-1~105-3の保護との関係における態様を示している。
【0149】
この場合には、エッジ領域172がエッチングされる。次いで、エッジ領域172の個々の垂直方向エッジをカバーするべく、例えば、ガラス、エポキシ、又は別の酸化物などの保護材料180が、エッジ領域172内に圧入される。次いで、半導体デバイス105-1~105-3を相互にシンギュレートするためのダイシングが、エッジ領域172に沿って実装される。これにより、エッジのパッシベーション/エッジの保護が提供される。
【0150】
半導体デバイス105、105-1~105-3の形成は、本明細書において記述されている様々な例において変化しうる。例えば、装置のオン状態における接合終端のエリア内の装置の自由電荷キャリア密度を低減することにより、装置のターンオフ耐久性を改善する、所謂、「高動的耐久性」(HDR)の概念を実装することができる。この場合には、後から定義されたダイシングエッジに沿った小さな領域を局所的に酸化させることができる。次いで、これらの局所的に酸化された領域にエピタキシャル横方向成長を適用することができる。これらの領域は、一方においては、欠陥のないエピタキシャル横方向過成長を促進するべく、十分に小さいことを要するが、他方においては、ダイのバックサイドからの自由電荷キャリアの注入が効果的に抑制されるように、隣接する領域の間の距離が十分に小さいことを要する。
【0151】
半導体デバイスの形成に対する更なる可能な変更は、105、105-1~105-3が、デバイス層102内において、例えば、気孔及び/又は空隙などの、空洞を形成していることを含む。これは、図12との関係において示されている。
【0152】
図12は、デバイス層102内における空洞の定義との関係における態様を概略的に示している。例えば、気孔は、例えば、電気化学エッチングを使用することにより、デバイス層102の横方向において閉じ込められた領域178内において定義することができる。これらの領域178は、半導体デバイス105-1~105-3をシンギュレートするべく、これに沿ってダイシングが実装される、KERF179とアライメントさせることができる。例えば、これらの領域178の垂直方向の厚さ178Aは、デバイス層102の厚さ(図12には、示されていない)よりも大きくてよい。別の例においては(図12を参照されたい)、これらの領域の垂直方向の厚さ178Aは、これにより、機械的安定化を提供するべく、デバイス層102の厚さ102Aよりも小さくなっている。任意選択により、領域178内において空洞を定義した後に、SiCのエピタキシャル成長層を堆積させることが可能である(図12を参照されたい。この場合には、領域178は、デバイス層102のフロントサイドまで完全に延在してはいない)。領域178内の空洞は、例えば、適切な機械的応力を作用させることによる、KERF179に沿った半導体デバイス105-1~105-3のシンギュレートを促進する。ダイシングの実装が不要となりうる。エッジ品質を向上させることができる。
【0153】
図13は、多孔性SiCを有するインターフェイス層102との関係における態様を概略的に示している。図13は、z方向に対して垂直である、即ち、xyプレーン内における、インターフェイス層102の断面図である。図13は、異なるz位置(z1及びz2)における気孔601を示しており、z位置は、平均気孔サイズ602よりも小さい距離だけ、オフセットされている(図13においては、わかりやすさを目的として、気孔601のすべてにラベルが付与されているわけではないことに留意されたい)。
【0154】
図13に示されているように、気孔601は、相互接続されたネットワーク(スポンジタイプの気孔)を形成している。これは、平均で、相互接続された気孔601の数が、例えば、10よりも大きい、或いは、100よりも大きい、などのように、1よりも格段に大きいことを意味している。チャネルが、隣接する気孔601の間において形成されている。
【0155】
気孔601は、例えば、平均で、球状の形状を有しうる、即ち、1という平均アスペクト比を有することができる。気孔601の集合体のいくつかの個々の気孔は、1を逸脱したアスペクト比を有していてもよく、即ち、x方向に沿ったその長さが、y方向に沿ったその長さとは異なっている(このアスペクト比は、しばしば、伸び又は偏心とも呼称される)。これは、気孔が、横方向におけるよりも、垂直方向において、相対的に長い延在を有しうることを意味している。気孔の間の半導体構造は、例えば、鍾乳石のような構造を有することができる。
【0156】
図14は、多孔性SiCを有するインターフェイス層102との関係における態様を概略的に示している。図14の例は、図13の例に概ね対応している。但し、図14の例においては、気孔密度が、図13のシナリオと比較された場合に、低減されている。また、図13の例と比較された場合に、図14の例においては、平均気孔サイズ602も、相対的に小さくなっている。
【0157】
気孔密度は、一般に、(i)即ち、気孔に起因して、SiC材料が、インターフェイス層内において存在していない容積と、(ii)インターフェイス層の合計容積と、の間の比率に対応しうる。気孔密度と関連する別の尺度は、(i)SiC材料がインターフェイス層内において存在している容積と、(ii)インターフェイス層の合計容積と、の間の比率である。
【0158】
例えば、本明細書において記述されている様々な例においては、(i)SiC材料がインターフェイス層内に存在している容積と、(ii)インターフェイス層の合計容積と、の間の比率は、10%~90%の範囲であってもよく、或いは、任意選択により、30%~70%の範囲であってもよい。
【0159】
図14においては、気孔密度及び気孔サイズは、気孔601の相互接続されたネットワークが形成されないように、構成されている。
【0160】
多孔性インターフェイス層102を調製するための適切なプロセスを使用することにより、気孔601のこのような及びその他の構造的プロパティを適合させることが可能である。例えば、気孔601のサイズ及び/又は密度は、電気化学エッチングの電流密度を調節することにより、調節することができる。いくつかの例においては、これは、異なる気孔密度及び/又は気孔サイズを有するインターフェイス層102の複数のサブ層を調製するべく、使用されている。図15には、対応するシナリオが示されている。
【0161】
図15は、垂直方向位置の関数として、気孔密度との関係における態様を示している。図15のシナリオにおいては、インターフェイス層101は、(例えば、調節されたプロセスパラメータを有する電気化学エッチングプロセスの複数の反復から取得された)2つのサブ層101-1、101-2を含む。サブ層101-1は、基材130に隣接しており、且つ、サブ層101-2は、デバイス層102に隣接している。
【0162】
図示のように、サブ層101-1は、サブ層101-2の気孔密度802と比較された場合に、相対的に高い気孔密度801を有する。
【0163】
一般的なレベルにおいて、基材130までの垂直のZ方向に沿った距離の増大に伴って気孔密度801、802を減少させる傾向が存在しうる。これにより、デバイス層102のエピタキシャル成長用のシード状態を改善することができる。具体的には、形態を改善することができる。
【0164】
例えば、電気化学エッチングの電流密度を変化させることにより、様々な気孔密度801、802を実現することができる。
【0165】
例えば、サブ層101-1は、40%~70%の範囲の気孔密度を有しうる一方で、サブ層101-2は、10%~50%の範囲の気孔密度を有することができる。
【0166】
いくつかの例においては、サブ層101-1は、気孔601の相互接続されたネットワークを形成しうる一方で、サブ層101-2は、気孔601の相互接続されたネットワークを形成しなくてもよい。
【0167】
例えば、サブ層101-1の厚さ101-1Aは、0.5μm~50μmの範囲であってもよい。厚さ101-2Aは、0.2μm~20μmの範囲であってよい。従って、サブ層101-2は、サブ層101-1と比較された場合に、相対的に小さな垂直方向の延在を有することができる。
【0168】
以上を要約すれば、エピタキシャルSiCのデバイス層内における半導体デバイスの形成を促進する様々な技法について説明した。デバイス層が、気孔又は空隙などの空洞を含むインターフェイス層上において提供されている。インターフェイス層は、SiC基材上において提供されているか、或いは、そのフロントサイドに近接した状態においてSiC基材内において定義されている。
【0169】
これらの技法は、高品質で高歩留まりのパワー半導体デバイスの製造を促進する。例えば、デバイス層は、半導体デバイスの特定のタイプに応じて、ドレイン又はエミッタ領域と、任意選択により、バッファ領域、ドリフト領域、pドープ本体領域、及び/又はソース領域又はフロントサイドエミッタと、を含む、層積層体を含むことができる。
【0170】
インターフェイス層は、デバイス層からの基材の分離との関係における機能及び/又は欠陥の伝播に抗する障壁との関係における機能を提供している。
【0171】
要すれば、以下の例について説明した。
【0172】
特定の好適な実施形態との関係において、本発明について図示及び記述したが、本明細書の参照及び理解の際に、当業者は、均等物及び変更について想起することになろう。本発明は、すべてのこのような均等物及び変更を含んでおり、且つ、添付の請求項の範囲によってのみ限定されている。
【0173】
例示を目的として、インターフェイス層が空隙を含むシナリオにおいて、インターフェイス層における基材からのデバイス層の分離との関係における様々な技法について説明した。類似の技法は、インターフェイス層が気孔を含むシナリオに対しても容易に適用することができる。
【0174】
更なる例示を目的として、デバイス層及びインターフェイス層を提供するステップを含む方法との関係において、様々な技法について説明した。このような方法から、個々のウエハを取得することが可能であり、この場合に、ウエハは、このような方法によって特徴付けられた構造的プロパティを有する。
【0175】
更なる例示を目的として、デバイス層としてのSiCのエピタキシャル成長層内において空隙を定義するべくトレンチ充填プロセスが使用されている、様々な技法について説明した。トレンチ充填プロセスは、デバイス層が基材内において定義されるシナリオとの関連において使用することもできる。
【0176】
更なる例示を目的として、例えば、少なくとも20μmなどの、相対的に大きな厚さを有するデバイス層との関係において、様々な技法について説明した。類似の技法は、例えば、最大で20μmの厚さを有する、相対的に薄いデバイス層のために提供することもできる。
【0177】
更なる例示を目的として、半導体材料としてのSiCとの関係において、様々なシナリオについて説明したが、類似の技法は、例えば、GaNなどのような、その他の種類及びタイプのワイドバンドギャップ半導体材料において実装することもできる。
【符号の説明】
【0178】
101 第1層
101-1 第1サブ層
101-2 第2サブ層
102 第2層
102-1 第1サブ層
102-2 第2サブ層
102A 第2層の厚さ
105、105-1、105-2、105-3 半導体デバイス
130 基材
150 空隙
151 長手方向軸
152 隆起部
160 トレンチ
161 オフオリエンテーション方向
162 角度
165 横方向過成長領域
250 レーザー光
301 第1空隙密度
302 第2空隙密度
311-1、311-2 第1成長レート
312-1、312-2 第2成長レート
601 気孔
801 第1気孔密度
802 第2気孔密度
2101 トレンチ充填プロセス
図1
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