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特許7482627窒素ガス分離方法および窒素ガス分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】窒素ガス分離方法および窒素ガス分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20240507BHJP
   C01B 21/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B01D53/047
C01B21/04 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019239140
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107058
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】中島 拓人
(72)【発明者】
【氏名】小林 牧治
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-049010(JP,A)
【文献】特開2001-302217(JP,A)
【文献】特開平03-077617(JP,A)
【文献】特開2002-167204(JP,A)
【文献】特開2013-240728(JP,A)
【文献】特開2005-270953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12
C01B 15/00-23/00
B01J 20/00-20/28,20/30-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、
第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行う、窒素ガス分離方法。
【請求項2】
吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、
第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行い、
前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送り、
前記脱着工程に付されている吸着塔へ送られる前記洗浄ガスの流量は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされる、窒素ガス分離方法。
【請求項3】
吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、
第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行い、
前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送る一方で、前記洗浄ガスを前記脱着工程に付されている吸着塔へ送ることを一時的に停止し、
前記停止する時間は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされる、窒素ガス分離方法。
【請求項4】
吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、
前記製品ガスの流量を流量計により計測し、
前記製品ガスの圧力を圧力計により検出し、
前記流量計により計測された流量が前記吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、前記圧力計により検出された圧力が前記第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合に、前記吸着工程の長さが前記第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第1流量よりも大きな流量である第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間になるように吸着工程の時間を延長する、窒素ガス分離方法。
【請求項5】
吸着剤が充填され、少なくとも窒素ガスと酸素ガスを含む所定流量の原料ガスが所定圧力の加圧下で導入される第1吸着塔と、
吸着剤が充填され、少なくとも窒素ガスと酸素ガスを含む所定流量の原料ガスが所定圧力の加圧下で導入される第2吸着塔と、
前記第1吸着塔及び第2吸着塔において吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し行うための制御を行う制御部と、
前記第1吸着塔及び第2吸着塔において原料ガスから得られた窒素ガスを含む製品ガスが導入される製品槽と、
前記製品ガスの流量を計測する流量計と、
前記製品ガスの圧力を検出する圧力計と、を備え、
前記制御部は、
前記流量計により計測された流量が前記吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、前記圧力計により検出された圧力が前記第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合に、前記吸着工程の長さが前記第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第1流量よりも大きな流量である第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間になるように吸着工程の時間を延長する
、窒素ガス分離装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るための制御を行い、
前記脱着工程に付されている吸着塔へ送られる前記洗浄ガスの流量は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされる、請求項5に記載の窒素ガス分離装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るための制御を行う一方で、前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記洗浄ガスを送ることを一時的に停止するための制御を行い、
前記停止する時間は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされる、請求項5に記載の窒素ガス分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素ガス分離方法および窒素ガス分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窒素ガスは金属の熱処理、半導体の製造、化学プラントの防爆シール等に用いる工業用ガスから食品保存用の充填ガスに至るまで多岐にわたる分野で使用されており、その使用量も年々増大している。この窒素ガスの製造方法として、速度分離型の吸着剤である分子ふるい炭素を充填した吸着槽に原料ガスである高圧の空気を送入し、前記吸着剤に酸素ガスを吸着させて窒素ガスを分離するいわゆる圧力変動吸着(Pressure Swing Adsorption:PSA)式製造方法が用いられている。このようなPSA方式による窒素ガス分離方法としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1の窒素ガス分離方法は、常に安定して高純度の窒素ガス(例えば、99.99%)を供給することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-270953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、窒素ガスの純度は高純度でなくても多量の窒素ガスを取り出したいというユーザの要望がある。このようなユーザの要望に応えるため、製品ガスとして取り出す窒素ガスの流量を増加させることにより、低純度の窒素ガスを多量に得る方法が考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、窒素ガスの取り出し量が増加するため、製品ガスとして取り出す窒素ガスの圧力が低下してしまい、ユーザが望む製品ガスの圧力が得られないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、その目的は、取り出す製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることができる窒素ガス分離方法および窒素ガス分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る窒素ガス分離方法は、吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法である。第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行う。
【0009】
本発明によれば、第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出すので、特定の濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて低い濃度の製品ガスであっても多量の製品ガスを取り出したい、というユーザの要望に応えることができる。しかも、吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間行うので、特定の濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る窒素ガス分離方法は、吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行う。さらに、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送り、前記脱着工程に付されている吸着塔へ送られる前記洗浄ガスの流量は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされる。
【0011】
この構成によれば、吸着工程において、特定の濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、洗浄ガスの流量を小さくするため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、洗浄ガスの流量は、第1時間に対する第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされるので、特定の濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る窒素ガス分離方法は、吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法であって、第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽から取り出す際に、前記吸着工程は、特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間行う。さらに、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送る一方で、前記洗浄ガスを前記脱着工程に付されている吸着塔へ送ることを一時的に停止し、前記停止する時間は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされる。
【0013】
この構成によれば、吸着工程において、特定の濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、脱着工程に付されている吸着塔へ洗浄ガスを送ることを一時的に停止するため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、停止する時間は、第1時間に対する第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされるので、洗浄ガスの量は、特定の濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る窒素ガス分離方法は、吸着剤が充填された2基以上の吸着塔に窒素ガスと酸素ガスとを含む所定流量の原料ガスを所定圧力の加圧下で供給し、各吸着塔が吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し、前記原料ガスよりも高濃度の窒素ガスが含まれる製品ガスを得る窒素ガス分離方法である。前記窒素ガス分離方法では、前記製品ガスの流量を流量計により計測し、前記製品ガスの圧力を圧力計により検出し、前記流量計により計測された流量が前記吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、前記圧力計により検出された圧力が前記第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合に、前記吸着工程の長さが前記第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第1流量よりも大きな流量である第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間になるように吸着工程の時間を延長する。
【0015】
本発明によれば、特定の濃度の製品ガスを製品槽から取り出すときの製品ガスの第1流量よりも大きい流量で製品ガスを製品槽から取り出すので、取り出される製品ガス中の窒素ガス濃度が特定の濃度よりも下がる。この製品ガスの取り出しに際し、流量計により計測された流量が吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、圧力計により検出された圧力が第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合に、吸着工程の長さが第1時間よりも長い第2時間になるように吸着工程の時間を延長する。このため、第1圧力で特定の濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることができる。
【0016】
本発明に係る窒素ガス分離装置は、吸着剤が充填され、少なくとも窒素ガスと酸素ガスを含む所定流量の原料ガスが所定圧力の加圧下で導入される第1吸着塔と、吸着剤が充填され、少なくとも窒素ガスと酸素ガスを含む所定流量の原料ガスが所定圧力の加圧下で導入される第2吸着塔と、前記第1吸着塔及び第2吸着塔において吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程を繰り返し行うための制御を行う制御部と、前記第1吸着塔及び第2吸着塔において原料ガスから得られた窒素ガスを含む製品ガスが導入される製品槽と、前記製品ガスの流量を計測する流量計と、前記製品ガスの圧力を検出する圧力計と、を備える。前記制御部は、前記流量計により計測された流量が前記吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、前記圧力計により検出された圧力が前記第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合に、前記吸着工程の長さが前記第1時間よりも長い第2時間であって、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記特定の濃度の製品ガスを前記第1流量で取り出したときの圧力に対する、前記吸着工程の実施時間を前記第1時間として前記製品ガスを前記第1流量よりも大きな流量である第2流量で取り出したきの圧力の低下量に比べ、圧力低下量が抑制される時間として設定される前記第2時間になるように吸着工程の時間を延長する。
【0017】
本発明によれば、特定の濃度の製品ガスを製品槽から取り出すときの製品ガスの第1流量よりも大きい流量で製品ガスを製品槽から取り出すので、取り出される製品ガス中の窒素ガス濃度が特定の濃度よりも下がる。この製品ガスの取り出しに際し、流量計により計測された流量が吸着工程において特定の濃度の製品ガスを製品槽から第1時間取り出すときの第1流量よりも大きく、かつ、圧力計により検出された圧力が第1時間の吸着工程を行ったときに製品槽から取り出される製品ガスの圧力である第1圧力よりも低い場合、前記吸着工程の長さが前記第1時間よりも長い第2時間になるように吸着工程の時間が延長される。このため、第1圧力で特定の濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることができる。
【0018】
上記構成において、前記制御部は、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るための制御を行ってもよい。前記脱着工程に付されている吸着塔へ送られる前記洗浄ガスの流量は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされてもよい。
【0019】
この構成によれば、吸着工程において、第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、洗浄ガスの流量を小さくするため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、洗浄ガスの流量は、第1時間に対する第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされるので、第1濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0020】
上記構成において、前記制御部は、前記吸着工程において、前記吸着工程に付されている吸着塔から前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るための制御を行う一方で、前記脱着工程に付されている吸着塔へ前記洗浄ガスを送ることを一時的に停止するための制御を行ってもよい。前記停止する時間は、前記第1時間に対する前記第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされてもよい。
【0021】
この構成によれば、吸着工程において、第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、脱着工程に付されている吸着塔へ洗浄ガスを送ることを一時的に停止するため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、停止する時間は、第1時間に対する第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされるので、洗浄ガスの量は、第1濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、取り出す製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る窒素ガス分離装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る窒素ガス分離装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態に係る窒素ガス分離装置を説明するために必要となる主要な構成要素を簡略化して示したものである。したがって、本発明の各実施形態に係る窒素ガス分離装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。以下、図1を参照しながら、第1実施形態の窒素ガス分離装置について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
窒素ガス分離装置10は、窒素ガスと酸素ガスとを含む原料ガスから窒素ガスを分離して、窒素ガスを含む製品ガスを得るものである。原料ガスとしては、例えば、空気を使用することができるが、これに限定されるものではなく、少なくとも窒素ガスと酸素ガスを含むガスであればよい。
【0026】
窒素ガス分離装置10は、図1に示すように、原料ガス供給部2と、第1吸着塔3Aと、第2吸着塔3Bと、製品ガス取り出しラインL3と、製品槽4と、制御部20と、を備える。尚、第1及び第2吸着塔3A、3Bは、合計3基以上設けられてもよい。
【0027】
原料ガス供給部2は、ガス供給機1と、ガス供給機1の吐出口に接続された原料ガス供給ラインL1と、原料ガス供給ラインL1と第1吸着塔3Aの入口とを接続する第1吸着塔入口ラインL1Aと、原料ガス供給ラインL1と第2吸着塔3Bの入口とを接続する第2吸着塔入口ラインL1Bと、を有する。
【0028】
ガス供給機1は、原料ガスを吸入口から吸い込み、吸い込んだ原料ガスを加圧して吐出口から吐出し、原料ガス供給ラインL1および第1及び第2吸着塔入口ラインL1A、L1Bを介して第1及び第2吸着塔3A、3Bに所定圧力の原料ガスを供給する。尚、原料ガスとして空気が使用される場合は、ガス供給機1は、大気から空気を吸い込む。空気以外のガスを原料ガスとする場合は、例えば、ガス供給機1は、原料ガスを容器に入れた原料ガス源7に接続される(図1参照)。尚、ガス供給機1は、圧縮機、昇圧機またはブロワによって構成されてもよい。
【0029】
第1吸着塔入口ラインL1A上には、第1吸気バルブCV1が設けられている。第2吸着塔入口ラインL1Bには、第2吸気バルブCV3が設けられている。さらに、第1吸着塔入口ラインL1Aと第2吸着塔入口ラインL1Bとを接続する第1均圧ラインL7が設けられている。第1均圧ラインL7上には、第1均圧バルブCV7が設けられている。第1及び第2吸着塔入口ラインL1A、L1Bには、原料ガス排出ラインL2が接続されている。
【0030】
原料ガス排出ラインL2は、第1吸着塔入口ラインL1A上における第1吸気バルブCV1の下流側に接続された第1排出ラインL2Aと、第2吸着塔入口ラインL1B上における第2吸気バルブCV3の下流側に接続された第2排出ラインL2Bと、第1排出ラインL2Aと第2排出ラインL2Bとの合流点に接続された排出合流ラインL2Cと、を有する。
【0031】
第1吸着塔3A及び第2吸着塔3Bは、酸素ガスを吸着する吸着剤が充填されている。第1吸着塔3A及び第2吸着塔3Bは、原料ガスが供給されると、原料ガス中の酸素ガスが吸着剤に吸着して、窒素ガスを高純度に含む製品ガスを生成する。第1及び第2吸着塔3A、3B内に充填される吸着剤としては、酸素ガスを吸着できるものであればいずれのものでもよく、例えば、分子篩炭素を使用することができる。
【0032】
分子篩炭素とは、多数の細孔を備える木炭、石炭、コークス、やし殻、樹脂、ピッチなどの原料を高温で炭化し、細孔径を約3~5オングストロームに調整した木質系、石炭系、樹脂系、ピッチ系などの吸着剤である。このような分子篩炭素は、窒素ガスよりも酸素ガスを吸着しやすい性質を有しており、空気等の窒素ガスと酸素ガスとを含む混合気体から、酸素ガスを選択的に吸着する性質を有する。また、分子篩炭素は、高圧条件下において酸素ガスの吸着能が増大する。そのため、分子篩炭素は、第1及び第2吸着塔3A、3B内を加圧することにより酸素ガスを多く吸着することができ、その後、第1及び第2吸着塔3A、3B内を減圧することにより酸素ガスを脱着させることができる。
【0033】
第1及び第2吸着塔3A、3Bにおいて生成された製品ガスは、製品ガス取り出しラインL3を通してユーザに供給される。製品ガス取り出しラインL3は、第1吸着塔3Aの出口に接続された第1吸着塔出口ラインL3Aと、第2吸着塔3Bの出口に接続された第2吸着塔出口ラインL3Bと、第1吸着塔出口ラインL3Aと第2吸着塔出口ラインL3Bとが合流する製品ガス合流ラインL3Cと、を有する。
【0034】
第1吸着塔出口ラインL3Aには、第1取出バルブCV5が設けられている。第2吸着塔出口ラインL3Bには、第2取出バルブCV6が設けられている。さらに、第1吸着塔出口ラインL3Aにおける第1取出バルブCV5の上流側と、第2吸着塔出口ラインL3Bにおける第2取出バルブCV6の上流側と、を接続する第2均圧ラインL8が設けられている。第2均圧ラインL8には、第2均圧バルブCV8が設けられている。これらのバルブCV1~CV8は、開閉切り換え可能な弁によって構成されている。
【0035】
第2均圧ラインL8には、第2均圧ラインL8における第2均圧バルブCV8を迂回するように洗浄ガス流量調節ラインL5が接続されている。洗浄ガス流量調節ラインL5は、第2均圧ラインL8よりも管径が小さくなるように構成されている。すなわち、洗浄ガス流量調節ラインL5は洗浄ガス用のラインなので、製品ガスの一部として流す洗浄ガスの流量は、第2均圧ラインL8を流れる製品ガスの流量よりも小さくなるようにしている。
【0036】
洗浄ガス流量調節ラインL5には、洗浄ガス流量調節バルブ5が設けられている。洗浄ガス流量調節バルブ5は、吸着工程に付されている吸着塔から脱着工程に付されている吸着塔へ製品ガスの一部を洗浄ガスとして送り、脱着工程に付されている吸着塔内に残存する原料ガスの排出を促進するために設けられている。洗浄ガス流量調節バルブ5は、後述の制御部20の制御により洗浄ガス流量調節ラインL5の開度を調節可能に構成されている。尚、洗浄ガス流量調節バルブ5及び洗浄ガス流量調節ラインL5は省略されてもよい。すなわち、洗浄ガスを流さない構成にしてもよい。
【0037】
製品ガス合流ラインL3Cには、製品槽4が配置されている。製品槽4は、供給された製品ガスを適宜貯留する一次貯留空間を有する容器によって構成されており、製品槽4内に貯留された製品ガス中の窒素ガス濃度を平準化するものである。
【0038】
製品ガス合流ラインL3Cにおける製品槽4の下流側には、酸素濃度計21、流量計22および製品ガス流量調節バルブCV9が設けられている。製品ガス流量調節バルブCV9は、開度を調節可能に構成されている。製品ガス流量調節バルブCV9の開度を調節することにより、製品槽4から取り出される製品ガスの流量を調節することができる。製品槽4から取り出される製品ガスの流量は、ユーザのニーズに応じて適宜設定することができる。
【0039】
酸素濃度計21は、製品槽4から取り出される製品ガスに含まれる酸素ガス濃度を計測して製品ガス中の窒素ガス濃度を算出するためのものである。酸素濃度計21は、製品ガス合流ラインL3C上における製品槽4の下流側に配置されている。
【0040】
流量計22は、製品槽4から取り出される製品ガスの流量を計測する。流量計22は、製品ガス合流ラインL3C上における酸素濃度計21と製品ガス流量調節バルブCV9との間に配置されている。流量計22は、製品槽4から取り出される製品ガスの流量を把握するためのものであり、製品槽4から取り出される製品ガス中の流量を計測する。尚、流量計22は、製品ガス合流ラインL3C上における製品槽4と酸素濃度計21との間に配置されてもよい。
【0041】
制御部20は、バルブCV1~CV8及び洗浄ガス流量調節バルブ5に電気的に接続されており、第1及び第2吸着塔3A、3Bにおいて吸着工程、均圧工程、脱着工程および均圧工程を繰り返し行うことができるようにバルブCV1~CV8の開閉及び洗浄ガス流量調節バルブ5の開度を制御する。
【0042】
具体的に、制御部20は、第1吸着塔3Aを吸着工程に、第2吸着塔3Bを脱着工程に付すときには、第1吸気バルブCV1と第1取出バルブCV5と第2排出バルブCV4とを開くとともに、第2吸気バルブCV3と第1取出バルブCV6と第1排出バルブCV2とを閉じる。
【0043】
制御部20は、第1吸着塔3Aを脱着工程に、第2吸着塔3Bを吸着工程に付すときには、第1吸気バルブCV1と第1取出バルブCV5と第2排出バルブCV4を閉じるとともに、第2吸気バルブCV3と第2取出バルブCV6と第1排出バルブCV2とを開く。
【0044】
制御部20は、第1及び第2吸着塔3A、3Bを均圧工程に付すときには、第1吸気バルブCV1と第2吸気バルブCV3と第1取出バルブCV5と第2取出バルブCV6とを閉じるとともに、第1均圧バルブCV7と第2均圧バルブCV8とを開く。
【0045】
制御部20は、窒素ガス分離装置10が始動されると、予め設定された時間だけ、各工程が行われるようにバルブCV1~CV8の開閉状態を維持する制御を行う。また、制御部20は、窒素ガス分離装置10が始動されると、予め設定された開度に洗浄ガス流量調節バルブ5を調節する制御を行う。
【0046】
次に、上記のように構成された窒素ガス分離装置10を使用した窒素ガス分離方法について説明する。
【0047】
まず、窒素ガス分離装置10が始動されると、予め設定された時間だけ吸着工程、均圧工程、脱着工程、均圧工程が繰り返し行われる。このとき、吸着工程において洗浄ガス流量調節バルブ5の開度も予め設定された開度に調節される。
【0048】
例えば、第1吸着塔3Aにおいて吸着工程を行うときには、第2吸着塔3Bにおいて脱着工程が行われる。吸着工程は、原料ガスから窒素ガスを分離して窒素ガスを含む製品ガスを生成する工程である。脱着工程は、吸着剤に吸着している酸素ガスを吸着剤から脱着することによって吸着剤を再生する工程である。
【0049】
第1吸着塔3Aの吸着工程と第2吸着塔3Bの脱着工程は、第1吸気バルブCV1と第1取出バルブCV5と第2排出バルブCV4と洗浄ガス流量調節バルブ5とを開き、第1排出バルブCV2と第2吸気バルブCV3と第1取出バルブCV6と第1及び第2均圧バルブCV7、CV8とを閉じることによって開始される。
【0050】
第1吸着塔3Aの吸着工程では、まず、原料ガス源7から原料ガス供給ラインL1および第1吸着塔入口ラインL1Aを通して第1吸着塔3Aに原料ガスが供給される。第1吸着塔3Aに供給された原料ガスは、原料ガス中の酸素ガスが吸着剤に吸着されることにより、原料ガスから窒素ガスが分離して窒素ガスを含む製品ガスが生成される。第1吸着塔3Aにおいて生成した製品ガスは、第1吸着塔出口ラインL3Aおよび製品ガス合流ラインL3Cを通して製品槽4に供給されて平準化され、製品槽4から製品ガス合流ラインL3Cを通して流出される。第1吸着塔3Aにおいて生成した製品ガスの一部は、洗浄ガスとして洗浄ガス流量調節ラインL5を介して第2吸着塔3Bへ送られる。
【0051】
一方、第2吸着塔3Bの脱着工程では、第2吸着塔入口ラインL1B、第2排出ラインL2B、排出合流ラインL2Cを介して第2吸着塔3B内の原料ガスが洗浄ガスとともに第2吸着塔3B内の圧力よりも低い外部へ圧力差によって排出される。これにより、第2吸着塔3B内の圧力が減圧され、吸着剤に吸着していた酸素ガスが吸着剤から脱着する。脱着した酸素ガスは、原料ガスと洗浄ガスとともに第1吸着塔3Bから排出される。これにより、第1吸着塔3B内の吸着剤が再生される。
【0052】
吸着工程および脱着工程が終了すると、第1吸着塔3A内のガスを第2吸着塔3Bへ移動させる均圧工程が開始される。均圧工程は、第1吸気バルブCV1と第1取出バルブCV5と第2排出バルブCV4と洗浄ガス流量調節バルブ5とを閉じ、第1及び第2均圧バルブCV7、CV8を開くことによって開始される。
【0053】
均圧工程では、第1吸着塔3A内に充満していたガスが第1均圧ラインL7および第2均圧ラインL8を通じて第2吸着塔3Bに移動する。
【0054】
均圧工程が終了すると、第1吸着塔3Aの脱着工程と第2吸着塔3Bの吸着工程が行われる。第1吸着塔3Aの脱着工程と第2吸着塔3Bの吸着工程は、第1排出バルブCV2と第2吸気バルブCV3と第2取出バルブCV6と洗浄ガス流量調節バルブ5とを開き、第1及び第2均圧バルブCV7、CV8を閉じることによって開始される。
【0055】
第2吸着塔3Bの吸着工程では、原料ガス源7から原料ガス供給ラインL1および第2吸着塔入口ラインL1Bを通して原料ガスが第2吸着塔3Bに供給される。このとき、原料ガス中の酸素ガスが吸着剤に吸着し、原料ガスから窒素ガスが分離して窒素ガスを含む製品ガスが生成される。第2吸着塔3Bにおいて生成した製品ガスは、第2吸着塔出口ラインL3Bと製品ガス合流ラインL3Cとを通して製品槽4に供給されて平準化され、製品槽4から製品ガス合流ラインL3Cを通して流出される。第2吸着塔3Bにおいて生成した第2濃度の製品ガスの一部は、洗浄ガス流量調節ラインL5を介して第1吸着塔3Aへ送られる。
【0056】
一方、第1吸着塔3Aの脱着工程では、第1吸着塔入口ラインL1A、第1排出ラインL2A、および、排出合流ラインL2Cを通して第1吸着塔3A内の原料ガスが洗浄ガスとともに第1吸着塔3A内の圧力よりも低い外部へ圧力差によって排出される。これにより、第1吸着塔3A内の圧力が減圧され、吸着剤に吸着していた酸素ガスが吸着剤から脱着する。脱着した酸素ガスは、原料ガスと洗浄ガスとともに第1吸着塔3Aから排出される。これにより、第1吸着塔3A内の吸着剤が再生される。
【0057】
第1吸着塔3Aの脱着工程および第2吸着塔3Bの吸着工程が終了すると、第2吸着塔3B内のガスを第1吸着塔3Aに移動させる均圧工程が行われる。
【0058】
均圧工程が終了すると、第1吸着塔3Aの吸着工程と第2吸着塔3Bの脱着工程が行われる。以後、第1及び第2吸着塔3A、3Bにおいて上記のサイクルが繰り返される。
【0059】
窒素ガス分離装置10では、第1濃度の製品ガスを第1流量で製品槽4から取り出すことも、第1濃度よりも低い第2濃度の製品ガスを第1流量よりも大きい第2流量で製品槽4から取り出すこともできる。第1濃度は、例えば、99%以上99.999%以下の範囲の製品ガス中の窒素ガス濃度である。第1濃度は、例えば、99%よりも高く99.999%以下であってもよい。第2濃度は、第1濃度よりも低い濃度であり、例えば、90%以上99%以下の範囲の濃度である。第1流量および第2流量は、それぞれ窒素ガス分離装置10のサイズや性能等に応じて適宜設定すればよいが、第2流量は第1流量よりも大きい流量であり、例えば、第1流量の1.2倍~10.0倍程度であってもよい。
【0060】
第1濃度の製品ガスを第1流量で製品槽4から取り出す場合には、制御部20は、窒素ガス分離装置10を第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すモードで始動するとともに、製品槽4から取り出される製品ガスの流量が第1流量となるように製品ガス流量調節バルブCV9の開度を第1開度に調節する。このとき、制御部20は、予め設定された時間である第1時間の吸着工程を行うとともに、予め設定された開度に洗浄ガス流量調節バルブ5を調節する。
【0061】
一方、第2濃度の製品ガスを第2流量で製品槽4から取り出す場合には、制御部20は、窒素ガス分離装置10を第2濃度の製品ガスを第2流量で取り出すモードで始動するとともに、製品槽4から取り出される製品ガスの流量が第1流量よりも大きい第2流量となるように製品ガス流量調節バルブCV9の開度を第2開度に調節する。このとき、制御部20は、予め設定された時間である第2時間の吸着工程を行う。第2時間は、第1時間よりも長い時間である。同時に、制御部20は、予め設定された開度に洗浄ガス流量調節バルブ5を調節する。このとき、洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間の吸着工程を行うときの洗浄ガスの量と同程度の洗浄ガスの量となるように、第1時間の吸着工程を行う場合に比べて小さくなるように調節される。
【0062】
上記第1吸着塔3Aの吸着工程の初期の段階では、吸着剤に酸素ガスが十分に吸着されるため、高純度の窒素ガスを含む製品ガスが第1吸着塔3Aから製品槽4に供給される。
【0063】
吸着工程においては、吸着剤に酸素ガスが吸着されていくことによって吸着剤の吸着能力が低下していくため、第1吸着塔3Aから製品槽4に供給される製品ガス中の窒素ガス濃度は徐々に低下していく。吸着工程において、窒素ガス濃度が許容できる濃度を下回らないところで吸着工程を終了するように設定された時間が第1時間である。第1流量で製品ガスを製品槽4から取り出す際に、吸着工程の時間を第1時間としたサイクルで窒素ガス分離装置10を運転した際に製品槽4から取り出される製品ガス中の窒素ガス濃度の平均濃度が第1濃度である。第1流量で製品ガスを製品槽4から取り出す際に、吸着工程の時間を第1時間としたサイクルで窒素ガス分離装置10を運転した際に製品槽4から取り出される製品ガスの平均圧力が第1圧力である。第1流量、第1時間および第1濃度は、ユーザの要望に応じて適宜設定することができる。
【0064】
第1流量よりも大きな第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出す場合、製品ガス中の窒素ガス濃度が低下するとともに、製品槽4内の製品ガスの圧力が低下しやすくなる。このため、第1時間よりも長い第2時間の吸着工程を行うことにより、製品槽4内の製品ガスの圧力は、第1圧力とほぼ同程度の圧力まで上昇させることが可能になる。したがって、第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出すときは、第1時間よりも長い第2時間の吸着工程が行われる。これにより、製品槽4から第2流量で取り出される製品ガス中の窒素ガス濃度が第1流量で製品ガスを製品槽4から取り出す場合に比べて低くなるが、製品槽4から第2流量で取り出される製品ガスの圧力は、製品槽4から第1流量で取り出される製品ガスの第1圧力に比べて低下することを抑制することができる。
【0065】
第2流量で製品槽4から取り出す場合には、洗浄ガス流量調節バルブ5の開度が調節される。このとき、洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1流量で製品ガスを製品槽4から取り出す場合に吸着工程の全体で使用する洗浄ガスの量と同程度の洗浄ガスの量となるように、第1時間に対する第2時間の長さの比に応じて洗浄ガスの流量が小さくなるように調節される。
【0066】
例えば、第1時間の吸着工程の長さが40秒に設定され、第2時間の吸着工程の長さが80秒に設定された場合には、第2時間の吸着工程の長さは、第1時間の吸着工程の長さの2倍である。このため、第2時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度の1/2にされる。尚、第2時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度の1/2になるように調節されなくてもよい。
【0067】
また、第1時間の吸着工程の長さが40秒に設定され、第2時間の吸着工程の長さが120秒に設定された場合には、第2時間の吸着工程の長さは、第1時間の吸着工程の長さの3倍である。このため、第2時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度の1/3にされる。尚、この場合、第2時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間の吸着工程を行うときの洗浄ガス流量調節バルブ5の開度の1/3になるように調節されなくてもよい。例えば、洗浄ガス流量調節バルブ5の開度は、第1時間に対する第2時間の長さの差に応じて洗浄ガスの流量が小さくなるように調節されてもよい。
【0068】
第1実施形態の窒素ガス分離方法では、第1流量よりも大きな流量である第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出すことができるので、第1濃度(特定の濃度)の製品ガスを取り出す場合に比べて低い濃度の製品ガスであっても多量の製品ガスを取り出したい、というユーザの要望に応えることができる。しかも、吸着工程は、第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間行うので、第1濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制することができる。
【0069】
第1実施形態の窒素ガス分離方法では、吸着工程において、第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、洗浄ガスの流量を小さくするため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、洗浄ガスの流量は、第1時間に対する第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量とされるので、第1濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0070】
以上に説明した窒素ガス分離装置10を使用した窒素ガス分離方法は、本発明の一実施形態であり、その具体的構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、第1実施形態の変形例に係る窒素ガス分離装置10を使用した窒素ガス分離方法について説明する。第1実施形態の変形例において上記第1実施形態と対応する要素は、上記第1実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する点について説明する。
【0071】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、洗浄ガスの流量は、第1時間に対する第2時間の長さの比または差に応じて小さくなる流量に制御されたが、洗浄ガスを脱着工程に付されている吸着塔へ送ることを一時的に停止するように制御してもよい。この場合、洗浄ガス流量調節バルブ5は、単なる開閉弁として構成されてもよい。停止する時間は、第1時間に対する第2時間の長さの差に応じて大きくなる時間に制御される。例えば、第1時間が40秒であり、第2時間が80秒に設定された場合、第1時間に対する第2時間の長さの差は40秒である。この場合、停止する時間は、40秒に設定される。また、第1時間が40秒であり、第2時間が120秒に設定された場合、第1時間に対する第2時間の長さの差は80秒である。この場合、停止する時間は、80秒に設定される。尚、洗浄ガスを脱着工程に付されている吸着塔に送ることを停止する時間は、厳密にこれらの時間に調節されなくてもよい。例えば、停止する時間は、第1時間に対する第2時間の長さの比に応じて大きくなるように調節されてもよい。
【0072】
第1実施形態の変形例では、吸着工程において、第1濃度の製品ガスを第1流量で取り出すための吸着工程の実施時間である第1時間よりも長い第2時間製品ガスを製品槽から取り出すが、脱着工程に付されている吸着塔へ洗浄ガスを送ることを一時的に停止するため、脱着工程に付されている吸着塔へ送られる洗浄ガスの量は多くならない。しかも、停止する時間は、第1時間に対する第2時間の長さの差または比に応じて大きくなる時間とされるので、洗浄ガスの量は、第1濃度の製品ガスの一部を洗浄ガスとして送るときの洗浄ガスの量と同等の量で済ますことができる。このため、吸着工程において、製品ガスの一部が洗浄ガスとして必要以上に排出されてしまうことを抑制することができる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の窒素ガス分離装置200及び窒素ガス分離装置200を使用した窒素ガス分離方法について説明する。第2実施形態において上記第1実施形態と対応する要素については、第1実施形態と同様の符号を付して、第1実施形態の説明を援用する。以下、第2実施形態の窒素ガス分離装置200について第1実施形態と相違する点について説明していく。
【0074】
第2実施形態の窒素ガス分離装置200は、図2に示すように、製品ガスの圧力を検出する圧力計201を更に備える点、流量計22により計測された流量と圧力計201により検出された圧力とに基づいて第1時間よりも長い第2時間の吸着工程を行うか否かが判断される点で第1実施形態の窒素ガス分離装置10と相違している。
【0075】
流量計22は、制御部20と接続されており、計測された流量を示す流量情報を制御部20に送信するように構成されている。
【0076】
圧力計201は、製品槽4内の製品ガスの圧力を計測するように製品槽4に設置されている。尚、圧力計201は、製品ガス合流ラインL3Cにおける製品槽4の下流側に設置されてもよい。圧力計201は、制御部20と接続されており、検出された圧力を示す圧力情報を制御部20に送信するように構成されている。
【0077】
制御部20は、流量計22から受信した流量情報が第1流量を示す場合、第1時間の吸着工程を行う制御をする。
【0078】
制御部20は、流量計22により計測された流量が第1流量よりも大きく、かつ、圧力計201により検出された圧力が第1圧力よりも低い場合に、吸着工程の長さが第2時間の長さになるように吸着工程の時間を延長する制御を行う。具体的には、制御部20は、第1時間の吸着工程を行うときのバルブCV1~CV8の開閉状態を吸着工程が第2時間経過するまで維持する制御を行う。尚、洗浄ガス流量調節バルブ5の調節方法は、第1実施形態と同様なので、省略する。
【0079】
第2実施形態の窒素ガス分離装置200及び窒素ガス分離方法では、第1濃度の製品ガスを製品槽4から取り出すときの製品ガスの第1流量よりも大きい第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出すので、取り出される製品ガス中の窒素ガス濃度が第1濃度よりも下がる。この製品ガスの取り出しに際し、流量計22により計測された流量が第1流量よりも大きく、かつ、圧力計201により検出された圧力が第1圧力よりも低い場合、吸着工程の長さが第2時間の長さになるように吸着工程の時間を延長する。このため、第1圧力で第1濃度の製品ガスを製品槽4から取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることができる。
【0080】
第2実施形態の窒素ガス分離装置200及び窒素ガス分離方法では、流量計22により計測された流量が第1流量よりも大きく、かつ、圧力計201により検出された圧力が第1圧力よりも低い場合に、吸着工程の長さが第2時間の長さになるように吸着工程の時間を延長したが、圧力計201により検出された圧力が第1圧力に達するまで吸着工程を行うように制御されてもよい。
【0081】
このようにすると、第1流量よりも大きい第2流量で製品槽4から取り出される第2濃度の製品ガスの圧力は、第1流量で製品槽4から取り出される製品ガスの圧力と同等の圧力に保持される。このため、取り出す製品ガスの圧力が低下することを抑制しつつ、より多くの製品ガスを得ることが容易になる。
【実施例
【0082】
吸着工程において製品槽4から取り出される製品ガスの圧力は、ガス供給機1から第1及び第2吸着塔3A、3Bに供給される原料ガスの流量と圧力が一定であることを前提とした場合、製品槽4から取り出される製品ガスの流量および吸着工程の時間に応じて変化する。以下、図1に示す窒素ガス分離装置10を用いて具体的に実施した例について説明する。
【0083】
(実施例1)
実施例1では、ガス供給機1から第1及び第2吸着塔3A、3Bに供給される原料ガスとしての空気の圧力と流量とがそれぞれ0.725MPaと5.75m/minになるようにガス供給機1を設定した。吸着工程において流量計22より計測される第2流量が100Nm/hになるように製品ガス流量調節バルブCV9を調節した。この流量は、第1流量(60Nm/h)よりも大きい流量である。さらに、吸着工程の時間である第2時間を60秒に設定した。
【0084】
(実施例2)
実施例2は、吸着工程の時間である第2時間が80秒に設定された点で実施例1と相違している。実施例2の他の条件は、実施例1と同じである。
【0085】
(実施例3)
実施例3は、第2流量が実施例1、2よりも大きな流量(125Nm/h)に設定されている点、吸着工程の時間である第2時間が実施例1、2よりも長い時間(180秒)に設定されている点で実施例1、2と相違している。
【0086】
(比較例)
比較例では、吸着工程の時間である第2時間が第1時間と同じ長さ(40秒)に設定されている点で実施例1、2と相違している。比較例の他の条件は、実施例1、2と同じである。
【0087】
上記実施例1~3および比較例において、それぞれ、酸素ガス濃度計21により計測された酸素ガス濃度から算出された窒素ガス濃度と製品槽4内の製品ガスの平均圧力を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
本試験では、基準として、製品ガスの第1流量を60Nm/h、第1濃度を99.99%とし、吸着工程時間である第1時間を40秒とした。表1に示すように、実施例1では、製品ガスの流量を100Nm/h(第2流量)とし、吸着工程時間を60秒(第2時間)としたサイクルで窒素ガス分離装置10を運転した際の製品窒素ガスの平均濃度は、99%であり、製品ガスの平均圧力は0.51MPaであった。このことから、実施例1では、製品槽4内における第2濃度の製品ガスの平均圧力は、第1流量(60Nm/h)で第1濃度(99.99%)の製品ガスを第1時間(40秒)の吸着工程時間で取り出した際(基準時)の製品槽4内の平均圧力(0.55MPa)とほぼ同程度になることが分かる。
【0090】
実施例2では、製品槽4内の第2濃度の製品ガスの平均圧力は0.62MPaであり、基準時の製品ガスの平均圧力(0.55MPa)とほぼ同程度になることが分かる(表1参照)。
【0091】
上記と同様に、実施例3では、製品槽4内の第2濃度の製品ガスの平均圧力は0.55MPaであり、基準時の製品槽4内の平均圧力(0.55MPa)と同程度になっている(表1参照)。このことから、製品槽4内の第2濃度の製品ガスの平均圧力は、製品槽4から取り出す製品ガスの流量を大きくしても、吸着工程の長さを大きくすることにより、基準時の製品槽4内の平均圧力と同程度の圧力にできることが分かる。
【0092】
比較例では、製品槽4内の第2濃度の製品ガスの平均圧力は、0.37MPaであり、基準時の製品槽4内の平均圧力(0.55MPa)よりも低い圧力になっている(表1参照)。これは、比較例では、第1流量よりも大きな第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出すにも関わらず、吸着工程時間が第1時間と同じ長さ(40秒)に設定されているため、製品槽4内の第2濃度の製品ガスの平均圧力が、基準時の製品槽4内の平均圧力と同程度の圧力まで上昇する前に吸着工程が終了したためであると考えられる。
【0093】
このことから、第1流量よりも大きな第2流量で製品ガスを製品槽4から取り出しても、実施例1~3のように、吸着工程の長さを第1時間よりも大きな第2時間の長さに設定することにより、第1濃度の製品ガスを取り出す場合に比べて、製品ガスの圧力が低下することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0094】
3A 第1吸着塔
3B 第2吸着塔
4 製品槽
10 窒素ガス分離装置
20 制御部
22 流量計
201 圧力計
図1
図2