(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法、持続性コンピュータ可読媒体、及び決定システム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/04 20060101AFI20240507BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01J37/04 A
H01J37/06 A
(21)【出願番号】P 2022185115
(22)【出願日】2022-11-18
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】317008610
【氏名又は名称】ニューフレアテクノロジー アメリカ,インク.
【氏名又は名称原語表記】NuFlare Technology America,Inc.
【住所又は居所原語表記】1294 Hammerwood Avenue,Sunnyvale,CA 94089,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター カツァプ
(72)【発明者】
【氏名】チィーシング ライ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-099986(JP,A)
【文献】特開2008-181876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 27/00-27/26
H01J 1/13-1/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショットキー熱電界放出(TFE)源のショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶するステップと、
前記取得されて記憶されたショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を最大強度パラメータを参照して正規化して合計するステップと、
ショットキーTFE源からの中央ビーム成分とその外側ビーム成分とからなるビーム電流と、前記正規化して合計したピクセルデータ値とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、
前記割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップと、
を備え、
前記各ステップを1つ以上のプロセッサで実行し、
前記ビーム電流と前記正規化して合計したピクセル値とに基づいてピクセル電流を割り当てる前記ステップは
、前記ビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算
した値の各ピクセルの強度に比例する値に応じた
値であるビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てる、
ことを特徴とするショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項2】
ピクセルデータ値を正規化して合計する前記ステップは、前記ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、最大強度パラメータを参照して前記ピクセル値を正規化し、正規化されたピクセル値を合計する、請求項1に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項3】
前記中央ビーム成分は、前記外側ビーム成分と比較して、水平軸に対するより低い発散角と、より狭いエネルギーの広がりとを含み、前記外側ビーム成分は、前記中央ビーム成分と比較して、より高い発散角と、より広いエネルギーの広がりとを含む、請求項1に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項4】
前記使用可能電流及び輝度は、マルチビーム電子光学ツールで使用するために最大化される、請求項1に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項5】
ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定する前記ステップは、ピクセル正規化値により割り当てられたピクセル電流と前記使用可能電流基準とを組み合わせることを更に含み、
ショットキーTFE温度Tに応じて、前記使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される、
請求項1に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項6】
ピクセル電流の最大値に対して正規化されたピクセル電流値Pは、以下のように前記使用可能電流基準に基づき、
P=Ao+Al*EXP(T/b)を満たす、
ここで、
Aoは、パーセンテージで測定される第1の使用可能電流基準であり、
Alは、パーセンテージで測定される第2の使用可能電流基準であり、
Tは、度Kで測定されるショットキーTFE温度であり、
bは、度Kで測定される第3の使用可能電流基準であり、
前記使用可能電流基準は、実験的に開発された基準に基づく、
請求項5に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項7】
前記第1の使用可能電流基準、前記第2の使用可能電流基準、及び、前記第3の使用可能電流基準は、以下の値の動作範囲、すなわち、
Ao=36.9+/-0.12[%]
Al=2.003E-20+/-2.00E-21[%]、及び
b=38.5+/-0.08[度K]
を有する、請求項6に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項8】
使用可能電流は、実験的に開発された基準に基づく第1の使用可能電流基準、第2の使用可能電流基準、及び、第3の使用可能電流基準を満たす前記ピクセルの割り当てられたピクセル電流が合計されることにより定義され、前記使用可能電流を使用可能電流が生成される面積Sで割ることによって使用可能放出電流密度Jemが決定される、請求項5に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項9】
前記ショットキーTFEの使用可能電流、温度T、及び、面積Sに基づいて使用可能ショットキーTFE輝度Briが決定され、
面積Sは、前記使用可能電流が生成される面積である、
請求項5に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項10】
Bri=1.44*Jem/[pi*k*T]であり、
ここで、
Jem=使用可能放出電流密度=使用可能電流/S[A/sq.cm]
pi=3.1415…、及び
k=8.617333262...×10
-5eVK
-1、ボルツマン定数
請求項9に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項11】
前記使用可能電流基準は、ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分及び外側ビーム成分の特性に基づいて実験的に決定される、請求項1に記載のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法。
【請求項12】
ショットキー熱電界放出(TFE)源のショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するための方法を1つ以上のプロセッサに実行させる場合における、前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムが読み取り可能に記憶された持続性コンピュータ可読媒体において、前記方法は、
ショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶するステップと、
前記取得されて記憶されたショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を最大強度パラメータを参照して正規化して合計するステップと、
ショットキーTFE源からの中央ビーム成分とその外側ビーム成分とからなるビーム電流と前記正規化して合計したピクセルデータ値とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、
前記割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップと、
を備え、
前記ビーム電流と前記正規化して合計したピクセル値とに基づいてピクセル電流を割り当てる前記ステップは、
前記ビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算
した値の各ピクセルの強度に比例する値に応じた
値であるビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てる、
ことを特徴とする持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
ピクセルデータ値を正規化して合計する前記ステップは、前記ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、最大強度パラメータを参照して前記ピクセル値を正規化し、正規化されたピクセル値を合計する、請求項12に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
ショットキーTFE温度Tに応じて、前記使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される、請求項12に記載の持続性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
ショットキー熱電界放出(TFE)源のショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するための決定システムであって、
ショットキーTFE発光画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶し、
使用可能電流基準と使用可能放出電流密度とを利用する実験的に開発されたアルゴリズムに基づいて、ショットキーTFEの使用可能ビーム電流と輝度とを決定し、ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分及び外側ビーム成分の特性に基づいて前記使用可能電流基準が生成される、
ように構成される1つ以上のプロセッサを備えることを特徴とする決定システム。
【請求項16】
前記ショットキーTFEの使用可能ビーム電流と輝度とを決定することは、
前記ショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を正規化して合計し、
前記正規化して合計したピクセルデータ値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当て、
前記割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいてショットキーTFEの使用可能電流と輝度とを決定する、
ことを含み、
ピクセルデータ値を正規化して合計することは、ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、最大強度パラメータを参照して前記ピクセル値を正規化し、正規化されたピクセルデータ値を合計する、
請求項15に記載の決定システム。
【請求項17】
前記ピクセル正規化値及び前記ビーム電流に基づいて前記ピクセル電流を割り当てることは
、ユーザ提供のビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算
した値の各ピクセルの強度に比例する値に応じた
値であるビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てることを更に含む、請求項16に記載の決定システム。
【請求項18】
前記ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定することは、ピクセル正規化値により割り当てられたピクセル電流と前記使用可能電流基準とを組み合わせることを更に含み、ショットキーTFE温度Tに応じて、前記使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される、請求項15に記載の決定システム。
【請求項19】
マルチビーム電子光学ツールの動作のために前記ショットキーTFE源に関して決定された使用可能電流及び輝度の結果を利用することを更に含む、請求項15に記載の決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、ショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法、持続性コンピュータ可読媒体、及び決定システムに関する。例えば、ショットキー熱電界放出(TFE)源のためのシステム、方法、及び、コンピュータ可読媒体に関する。より詳細には、本開示は、ショットキーTFEのより広範な用途を可能にするショットキーTFEの使用可能電流及び輝度の正確な評価に関する。
【背景技術】
【0002】
ショットキーTFE源は、走査型電子顕微鏡(SEM)などの商用電子ビームツールの実装に非常に効果的となり得る。本質的に、ショットキーTFEの放出は非常に不均一であり、中央の放出が低く、縁部の放出が高い(口語的に「ドッグイヤー」と称される)。従来、SEMをサポートするために、ショットキーTFEの放出の不均一性は、中央から放出された電子のみを透過させることができるようにし得る非常に小さなビーム画定開口(BDA)を適用することによって効果的にフィルタリングされる。この従来の解決策は、マルチビーム(MB)ツールなどの他の用途、例えばマルチビームリソグラフィ又は検査ツールをサポートするには効果的でない場合がある。これらの用途の場合、複数のビームを形成するのに一般に10μAを超える高い入射ビーム電流を必要とし得ることから、BDAが適用できない場合がある。したがって、ショットキーTFE源の最初に放出されたビームのどの部分を使用してマルチビームフローを形成できるか及びショットキーTFE源がマルチビームモードでどの程度の輝度を与えることができるかを知る必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実施形態は、ショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を取得可能な方法、持続性コンピュータ可読媒体、及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様のショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を決定する方法は、
ショットキーTFE源のショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶するステップと、
前記取得されて記憶されたショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を最大強度パラメータを参照して正規化して合計するステップと、
ショットキーTFE源からの中央ビーム成分とその外側ビーム成分とからなるビーム電流と、正規化して合計したピクセルデータ値とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、
前記割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップと、
を備え、
前記各ステップを1つ以上のプロセッサで実行し、
前記ビーム電流と前記正規化して合計したピクセル値とに基づいてピクセル電流を割り当てる前記ステップは、前記ビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算した値の各ピクセルの強度に比例する値に応じた値であるビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てる、
ことを特徴とする。
【0005】
本発明の一態様の持続性コンピュータ可読媒体は、
ショットキー熱電界放出(TFE)源のショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するための方法を1つ以上のプロセッサに実行させる場合における、前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムが読み取り可能に記憶された持続性コンピュータ可読媒体において、前記方法は、
ショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶するステップと、
前記取得されて記憶されたショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を最大強度パラメータを参照して正規化して合計するステップと、
ショットキーTFE源からの中央ビーム成分とその外側ビーム成分とからなるビーム電流と、正規化して合計したピクセルデータ値とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、
前記割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップと、
を備え、
前記ビーム電流と前記正規化して合計したピクセル値とに基づいてピクセル電流を割り当てる前記ステップは、前記ビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算した値の各ピクセルの強度に比例する値に応じた値であるビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てる、
ことを特徴とする。
【0006】
本発明の一態様の決定システムは、
ショットキー熱電界放出(TFE)源のショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するための決定システムであって、
ショットキーTFE発光画像をデジタル形式で取得してメモリに記憶し、
使用可能電流基準と使用可能放出電流密度とを利用する実験的に開発されたアルゴリズムに基づいて、ショットキーTFEの使用可能ビーム電流と輝度とを決定し、ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分及び外側ビーム成分の特性に基づいて前記使用可能電流基準が生成される、
ように構成される1つ以上のプロセッサを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ショットキー熱電界放出(TFE)源の使用可能電流及び輝度を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係るショットキーTFE源の構成及びショットキーTFEから放出されるビーム電流を示す図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態に係るビーム断面特性評価のための機械走査型ファラデーカップ(FCup)を示す図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態に係る「ドッグイヤー」を伴うショットキーTFEビームプロファイルを示す図である。
【
図4A】本開示の幾つかの実施形態に係るショットキーTFEの平らな正方形の先端の中心を示す図である。
【
図4B】本開示の幾つかの実施形態に係るショットキーTFEの先端の側面を示す図である。
【
図5A】本開示の幾つかの実施形態に係る走査型電子顕微鏡(SEM)を使用してショットキーTFE放出画像を観察するための物理的構造を示す図である。
【
図6A】本開示の幾つかの実施形態に係るSEMを使用して捕捉されたショットキーTFE先端の画像を示す図である。
【
図6B】本開示の幾つかの実施形態に係る
図6AのショットキーTFE先端によってもたらされるショットキーTFEの先端放出画像を示す図である。
【
図6C】本開示の幾つかの実施形態に係る
図6A及び6Bの先端放出画像に基づくショットキーTFE放出画像3D表示を示す図である。
【
図7A】本開示の幾つかの実施形態に係る本明細書に記載の技術を使用して捕捉されたショットキーTFE先端の画像を示す図である。
【
図7B】本開示の幾つかの実施形態に係る
図7Aの画像に基づく「ドッグイヤー」を含むショットキーTFE放出プロファイルを示す図である。
【
図8】本開示の典型的な実施形態に係るショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を評価するためのフローチャートを示す図である。
【
図9A】本開示の典型的な実施形態に係るデジタル化されたショットキーTFE放出画像を示す図である。
【
図9B】本開示の典型的な実施形態に係る
図9Aによる解析されたショットキーTFE放出画像を示す図である。
【
図10】本開示の幾つかの実施形態に係るショットキーTFEにおける使用可能ビーム電流及び輝度を評価するための処理デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態は、電子ビームを放出するためのショットキーTFE源に関する。典型的な実施形態は、ショットキーTFEの高分解能放出画像の取得を行ない、実験的に開発された基準に基づいて使用可能ビーム電流及び輝度を計算することができる。方法のステップは、ショットキーTFE源のショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得して記憶するステップと、ショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を正規化して合計するステップと、正規化して合計したピクセルデータ値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップとを行なうように1つ以上のプロセッサを構成することを含むことができる。正規化して合計したピクセルデータ値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップは、各ピクセルの強度に比例する値を各ピクセルに割り当てて、ユーザ提供のビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算し、それに伴う除算出力を割り当てることを更に含むことができる。ビーム電流の分率に基づいて割り当てられたピクセル電流を各ピクセルに導入することができる。ビーム電流は、中央ビーム成分と外側ビーム成分とを含むビーム電流を構成する。典型的な実施形態は、ピクセル正規化値により割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とを組み合わせることによってショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定することを含み、TFE温度Tに応じて、使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される。システムの実施形態及び持続性コンピュータ可読媒体の実施形態は、前述の方法のステップを実施するために同様の態様で構成され得る。
【0010】
他の典型的な実施形態において、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するためのショットキーTFEシステムは、ショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得して記憶し、使用可能電流基準と使用可能放出電流密度とを利用する実験的に開発されたアルゴリズムに基づいてショットキーTFEにおける使用可能ビーム電流及び輝度を決定するように構成される1つ以上のプロセッサを備えることができる。使用可能電流基準は、ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分及び外側ビーム成分の特性に基づいて生成される。このシステムは、マルチビーム電子光学ツールの動作のためにショットキーTFEにおける決定された使用可能ビーム電流及び輝度の評価結果を利用することができる。
【0011】
本開示の態様は、以下の詳細な説明を添付図面と共に読むと最も良く理解される。様々な特徴が必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らないことに留意されたい。実際に、様々な特徴の寸法及び形状は、図を明確にするために任意に増減される場合がある。
【0012】
本開示の典型的な実施形態は、ショットキーTFEの高分解能放出画像の取得及び実験的に開発されたクライテリア(基準)に基づく使用可能ビーム電流及び輝度の計算を行なうことができる。これらの典型的な実施形態の利点としては、(1)ショットキーTFEの開発及び品質検査に関して重要となり得る、ショットキーTFEの使用可能ビーム電流及び輝度の取得、及び、(2)マルチビーム電子光学ツールで用いるための使用可能ビーム電流及び輝度を最大化するようにショットキーTFE動作モードを最適化することが挙げられる。
【0013】
本開示の実施形態は、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度の正確な評価を可能にし得る。前述のように、TFEの放出は非常に不均一であり、中央の放出が低く、エッジ部(縁部)の放出が高くなる可能性がある(ドッグイヤーとして知られている)。これは、縁部放出を構成する電子は、非常に大きな発散角を伴うTFEコーン(cone)及び電子がいわゆる「拡張ショットキーモード」で放出される平らな先端(tip)の縁部から放出されるためであり、すなわち、電子が真空中へとトンネリングされるため、TFEの平らな先端から放出される電子よりもはるかに幅広いエネルギーの広がりを有するためである。大角度の電子は許容できない収差(主に球面収差)を引き起こし、エネルギーが広範に広がる電子は集束ビームスポットで許容できない色収差を引き起こす。
【0014】
ショットキーTFEを使用する市販の電子ビームツール、例えばSEMでは、この問題を簡単な方法、すなわち、電子をショットキーTFEの平らな先端の中心からのみ放出できるようにするために、非常に小さい、いわゆるビーム画定開口(BDA)がショットキーTFEの前方に配置されることで解決している。BDAは、一般に1μA未満の低い電流で電子ビームを形成する。マルチビーム(MB)ツール、例えばマルチビームリソグラフィ又は検査ツールでは、複数のビームを形成するのに一般に10μAを超える高い入射ビーム電流を必要とし得ることから、BDAは適用できない。
【0015】
前述のように、マルチビームモードで動作するためには、ショットキーTFEの最初に放出されたビームのどの部分を使用してマルチビームフローを形成できるか及びショットキーTFEがマルチビームモードでどの程度の輝度を成すことができるかを知る必要がある。前述した例示的な実施形態は、新規なショットキーTFE放出撮像アプローチを使用し、ショットキーTFE源の使用可能ビーム電流及び輝度を計算するために実験的に開発されたアルゴリズムを用いる。更なるポイントとして、幾つかの実施形態では、劣化した先端が画質及び分解能を低下させる可能性があるため、電子ビームを放出するための高品質で鋭い先端を有することが重要となり得る。当業者であれば分かるように、多くのバリエーションが存在し得る。
【0016】
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係る、ショットキーTFE源100の構成及びショットキーTFE101から出力されるビーム電流103の実施形態を示す図である。
図1に示すように、ショットキーTFE源100は、ショットキーTFE101(エミッタ)とサプレッサ106(電極)とエクストラクタ102(引出し電極)とを備える。一実施形態において、既存の方法は、トライオードガンモードでショットキーTFE101を起動させ、3つの電流、すなわち、総放出電流Itot(ショットキーTFE101から出ている全ての電子から構成される)、エクストラクタ電流Iext(エクストラクタ電極によって遮断された電子から構成される)、及び、ビーム電流103Ibeam(エクストラクタの開口部(ボア)を通過する電子から構成される)をItot=Iext+Ibeamとなるように測定することに基づくことができる。
【0017】
図1に示すように、TFE先端(ショットキーTFE101の中央にある水平の尖った先端)は、複数の方向で総放出電流Itotを生成する。MBツールの用途に関して興味深いのは、総放出電流Itotからどのような情報を取得できるかを決定することである。エクストラクタ102は、総放出電流を効果的にフィルタリングし、ビーム電流103Ibeamを生成する。Ibeamは以下の2つの成分を含む。
【0018】
(1)より低い発散、すなわち、水平軸に対してより狭い角度、及び、より狭いエネルギーの広がりを伴う中央ビーム成分104。幾つかの実施形態において、中央ビーム成分104は、ビームの中央コアの成分の代表値である低発散角(約4度から5度)、より低いエネルギーの広がり(<1eV)を有することができる。中央ビーム成分104は、ビームの中央コア内で軸対称となり得る。
【0019】
(2)高い発散、すなわち、より広い角度及び幅広いエネルギーの広がり、すなわち、より高いパワーを伴う外側ビーム成分105。幾つかの実施形態において、外側ビーム成分105は、ビームの外側エンベロープを形成する成分の代表値である、高発散角(約6度から7度)、幅広いエネルギーの広がり(約1.5eV)を有することができる。
【0020】
発散角が低く、エネルギーの広がりが低いビームの中央コアは、高分解能電子ビームツールを実装するために不可欠であり得る。本開示の実施形態は、主にショットキーTFE源101の中央部分から放出される使用可能電流の評価を可能にする。後述するように、この使用可能電流は、既存の方法によって報告されるビーム電流のごく一部となり得る。
【0021】
幾つかの実施形態において、ショットキーTFE先端によって放出された電子は、エクストラクタ102の穴(開口部)を貫通し、それが中央ビーム成分104を支配し、そしてSEMの動作を効果的にサポートする。
【0022】
図2は、本開示の幾つかの実施形態に係る、ビーム断面特性評価のために機械走査型ファラデーカップ(FCup)202を利用する放出測定の構成200を示す。機械走査型FCup202は、ショットキーTFE源のエミッタ(ショットキーTFE)、サプレッサ、及び、エクストラクタと、プローブ電流を受けるためのカップとを備える。また、放出測定のための構成200として、
図2には、ショットキーTFEの先端及びエクストラクタ204の断面、並びに、ショットキーTFEの先端の断面の拡大画像も示される。
【0023】
機械走査型FCup202をビーム断面の特性評価のために利用することができる。
図2に示されるように、機械走査型FCup202は10mradの角度内でビームを遮断するが、ビーム発散半角は約100mradであるため、この測定の分解能は非常に低い。結果として得られる機械走査型FCup202の走査は、一般にドッグイヤーを伴なう低分解能のビームプロファイルを生成する。
【0024】
図3は、本開示の幾つかの実施形態に係るドッグイヤー302を伴うショットキーTFE放出画像プロファイル300を示す図である。ドッグイヤー302は、ショットキーTFE放出の特性であり、非常に大きな発散角を伴うショットキーTFEコーンから、及び、電界強度が最大に達して、電子が真空へとトンネリングされ、したがって、ショットキーTFEの平らな先端から放出される電子よりもはるかに幅広いエネルギーの広がりを有する先端縁部から放出された電子によって形成される。
図3により、ドッグイヤー302におけるビーム電流は、ビーム電流Ibeamを十分に支配し得る。つまり、Ibeamは、主に、発散角が大きすぎてエネルギーの広がりが幅広すぎる電子から構成され得る。
図3に示されるように、中央ビームは、約550μA/srの角強度I’を有し、一方、外側ビーム(すなわち、ドッグイヤー302)は、約1,150μA/srの角強度I’を有する。
【0025】
図4Aは、本開示の幾つかの実施形態に係る、ショットキーTFEの先端側から見た、ショットキーTFEの平らな正方形の先端402の中央の画像400を示す図である。高分解能電子ビームツールに使用可能な電子は、ショットキーTFEの平らな正方形の先端402の中央部分から放出される。幾つかの実施形態では、平らな正方形の先端が平らな円形の先端であってもよい。
【0026】
図4Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る、ショットキーTFEの先端の側面の画像404を示す。先端の一番端には、平らな正方形の部分406がある。
【0027】
本開示のシステム及び方法における典型的な実施形態は、参照により本願に組み入れられる関連する米国特許出願第17/319,208に記載されるように得られるショットキーTFE放出画像を使用する。電子光学装置は、CCD/CMOSカメラと共に、電子光学系(内部)と外部の拡大光学系(顕微鏡)とが増加された真空チャンバを含む。より具体的には、一実施形態において、電子装置は、電子ビームを形成するためのショットキーTFE源、シンチレータスクリーン上への電子ビームの形状を調整してショットキーTFE源の先端の放出画像を形成するための電子光学系、及び、所望の倍率で先端の最終画像を取得するためのカメラ/顕微鏡対を含む。そのような技術は、制御可能な倍率で高分解能の画像を取得できるようにし、該画像は、その後、放出及び構造上の欠陥を特定するために使用できる。
【0028】
ショットキーTFE源のための電子光学装置をここで更に説明する。電子光学装置は、電子ビームを放出するように製造/加工された先端(ショットキーTFE)を有するショットキーTFE源と、電子ビームの形状を調整することによりショットキーTFE先端の点投影放出画像を生成するように構成される電子光学系であって、先端に隣接して配置される電子光学系と、調整された電子ビームに晒されるときに放出画像を生成するように構成されるシンチレータスクリーンであって、電子光学系に隣接して、調整された電子ビームの軌道経路に沿って配置されるシンチレータスクリーンと、CCD/CMOSカメラセンサ平面で放出画像の倍率を調整するように構成される顕微鏡であって、シンチレータスクリーンに隣接して、調整された電子ビームの軌道経路に沿って配置される顕微鏡と、調整された放出画像から最終画像を生成するように構成される、カメラセンサを備えるカメラであって、顕微鏡に隣接して配置され、カメラセンサが調整された電子ビームの軌道経路に沿って配置されるカメラと、真空チャンバとを有し、ショットキーTFE源、電子光学系、及び、シンチレータスクリーンが真空チャンバ内に配置され、顕微鏡及びカメラが真空チャンバの外側に位置される。
【0029】
一実施形態は、ショットキーTFE源、シンチレータスクリーン、電子光学系、顕微鏡、及び、カメラのうちの少なくとも1つに電気的に接続される処理回路を更に備え、処理回路は、ショットキーTFE源を制御して電子ビームを放出させ、電子光学系に設定電圧を印加し、顕微鏡に設定倍率を適用し、カメラを制御して最終画像を取得/保存するように構成される。
【0030】
図5Aは、本開示の幾つかの実施形態に係る、SEMを使用してショットキーTFE放出画像を観察して取得/保存するための物理的構造500を示す。開口プレート519であるエクストラクタ521、サプレッサ523、及び、ショットキーTFE527を含むショットキーTFE源525が示される。ショットキーTFE源525は、電子光学系513へと向けられる電子ビーム511を生成するように構成される。電子ビーム511は、最初に発散して、円錐形のビームを形成する。
【0031】
電子光学系513は、ショットキーTFE源525とシンチレータスクリーン507の第1の面側509との間に位置される。電子光学系513は、電界を生成することによって電子ビーム511の形状を調整するように構成される3つの電極515a、515b、515cを有する静電レンズを含む。電子光学系513を介して生成される電界は、電極515a、515b、515cに印加される設定電圧を変えることによって制御され得る。一実施形態では、電極515a、515b、515cに設定電圧を印加して、電子ビーム511をほぼコリメートする電界を生成し、それにより、調整された(すなわち、ほぼコリメートされた)電子ビームを形成することができる。3つの電極515c、515b、515aにそれぞれ印加することができる設定電圧の例としては、(1)シンチレータスクリーン507で3ミリメートル直径画像を作成するための2,000V、600V、350V、(2)シンチレータスクリーン507で5ミリメートル直径(拡大)画像を作成するための2,000V、600V、450V、及び、(3)シンチレータスクリーン507で2ミリメートル直径画像を作成するための2,000V、600V、250Vが挙げられる。これらの例では、電極515aの電圧のみが調整された(画像を拡大するために増大され、画像を縮小するために減少される)が、そのような調整は、他の実施形態では、電極515a、515b、515cのいずれか1つ又は組み合わせに対して行なうことができる。当業者であれば分かるように、電極数、形状、位置、及び、印加電圧など、多数の電子光学設計及びレイアウトが存在する。
【0032】
シンチレータスクリーン507は、コリメート後に電子ビーム511がシンチレータスクリーン507の第1の面側509に当たるように、電子光学系513に隣接して電子ビーム511の軌道経路に沿って位置される。シンチレータスクリーン507は、電子ビーム511が衝突したときに光を放出し、放出された光は、以下、放出画像と称される。シンチレータスクリーン507には、電子ビーム断面特性評価のために機械走査型ファラデーカップを設けることもできる。
【0033】
カメラセンサを含むカメラ503及び顕微鏡501も
図5Aに示される。一実施形態において、顕微鏡501は、放出画像を光学的に拡大する光学顕微鏡であってもよいが、他の実施形態では、任意のタイプの顕微鏡を使用することができる。顕微鏡501は、シンチレータスクリーン507の第2の面側505に隣接して位置され、シンチレータスクリーン507で生成された放出画像を所望の拡大/縮小を伴ってカメラ503におけるカメラセンサ平面に転送するように構成される。顕微鏡501は、シンチレータスクリーン507とカメラ503との間に柔軟な光学インタフェースを与え、所定のサイズを有するカメラセンサを所望の倍率の放出画像で満たす(例えば、カメラセンサ上への放出画像の特定の部分を拡大し、カメラセンサ上への完全な放出画像を適合/維持する)ことができる。放射画像の拡大は、検査対象のショットキーTFE先端の欠陥をカメラで捉えることができるように行なわれる。カメラ503は、そのカメラセンサ上の顕微鏡調整された放出画像からショットキーTFE527の先端の最終画像を生成するように構成される。一実施形態では、カメラ503を電荷結合素子(CCD)カメラとすることができる。他の実施形態では、カメラを相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラとすることができる。他の実施形態では、カメラが1.5ミクロン以下の分解能(ピクセルサイズ)を有する。更にカメラ503は、特定の露出時間、フレームレート、ゲイン、又は、オフセットなどの特定の設定を有するように構成され得る。
【0034】
図5Aにおいて、ショットキーTFE源525、電子光学系513、電子ビーム511、及び、シンチレータスクリーン507は、真空状態を維持するように構成される真空チャンバ529内に位置され、顕微鏡501及びカメラ503は真空チャンバ529の外側に位置される。
【0035】
顕微鏡501及び電子光学系513を組み込むことにより、カメラ503によって取得される画像のサイズ及び分解能などの最終画像の画像特性を制御することができる。例えば、より大きな画像を取得する必要がある場合、電子光学系513の電圧を調整することにより電子ビーム511を広げることができる。他の例として、より詳細な画像を取得する必要がある場合、顕微鏡501は、放出画像の軌道をカメラセンサ上でより大きくなるように変更することができる。他の例として、カメラ503によって生成される最終画像が大きすぎる場合、電子光学系513は電子ビーム511の幅を減少させることができ、又は、顕微鏡501は、放出画像をカメラセンサ上でより小さくなるように変更することができる。
【0036】
電気光学的拡大のための電子光学系513と、光学的拡大のための顕微鏡501とを一緒に利用することにより、電子光学系513又は顕微鏡501の一方のみが使用される特定のシナリオの場合よりも詳細な画像を得ることができる。例えば、画像が光学的に拡大されることなく電子光学的に10,000倍に拡大される場合、放出画像はカメラのセンサ領域に収まらず、多くの詳細が失われる。他の例として、画像が電気光学的に拡大されることなく光学的に400倍に拡大される場合、先端と同じ倍率、つまり1倍の画像がシンチレータスクリーン上に投影される。シンチレータスクリーンにおける画像サイズは約300nmであり、これはシンチレータ光の主波長である550nmよりも小さい。そのような場合には、光の波長よりも小さい物体を撮像して分解することができない。
【0037】
一実施形態において、画像のサイズ及び分解能は、顕微鏡501の設定倍率及び/又は電子光学系513の設定電圧を(例えばルックアップテーブルから)所定の設定を使用して事前に構成することによって制御され得る。そのようなシナリオでは、特定のサイズ又は分解能などの所望の画像特性を有する最終画像を、更なる調整を何ら必要とすることなく取得することができる。他の実施形態では、最終画像が所望の画像特性を有するまで設定倍率及び/又は設定電圧をリアルタイムで調整することができる。1つの典型的なシナリオにおいて、ユーザは、最初の最終画像を見て、顕微鏡及び/又は電子光学系を調整し、最終画像をそれが望ましいサイズ及び分解能を有するまで微調整することができる。
【0039】
ショットキーTFE放出に関する画像600、610、620の例が
図6A、
図6B、
図6Cに示される。
図6Aは、本開示の幾つかの実施形態に係るSEMを使用して取得されたショットキーTFE源先端の画像を示す図である。画像600の中央にある正方形の先端602に留意されたい。
【0040】
図6Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る、
図6AのショットキーTFE源先端によってもたらされるショットキーTFE源の先端放出画像を示す図である。画像の中央ビーム成分がより暗い色612であり、外側ビーム成分がより明るい色614であることに留意されたい。
図1に関して既に説明したように、中央ビーム成分は、発散が低く、エネルギーの広がりが狭い。外側ビーム成分は、発散が大きく、エネルギーの広がりが幅広い。
【0041】
図6Cは、本開示の幾つかの実施形態に係る、
図6A及び
図6Bの先端放出画像に基づくショットキーTFE放出画像620の諧調を用いた3D表示を示す図である。外側(縁部)ビーム成分622は強度が高く、一方、中央ビーム成分624は強度が低い。目的は、発散が小さく(角度が小さい)且つエネルギーの広がりが狭い(小さい)放出を有する低強度部分、すなわち、中央ビーム成分624に含まれる電流の量を決定することである。
【0042】
図7Aは、本開示の幾つかの実施形態に係る、本明細書に記載の技術を使用して取得されたショットキーTFE源先端の画像700を示す図である。
図7Aは、低強度ビーム電流を示す中央ビーム電流における暗い色の表面702と、高強度ビーム電流を示す外側ビームにおける明るい色の表面704を示す。明るい色の表面704は、ショットキーTFE源先端のドッグイヤーを表わす。
【0043】
図7Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る
図7Aの画像のショットキーTFE放出画像プロファイル710を示す図である。ショットキーTFE放出画像プロファイル710は強いドッグイヤーを示す。
【0044】
ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するための方法は、放出解析器を使用して以下のように動作することができる。すなわち、(1)ショットキーTFE放出画像が例えば、PNG、BMPなどの適切なデジタル形式で取得されてメモリに記憶され、(2)デジタル化された放出画像が放出解析ソフトウェアアプリケーションに取り込まれ、(3)平らな先端のサイズ、温度、及び、ビーム電流などの特定のTFEパラメータが放出解析ソフトウェアに取り込まれ、(4)放出解析ソフトウェアが、特定のアルゴリズムを使用して、使用可能ビーム電流及び対応する輝度を計算し、(5)放出解析ソフトウェアが計算値に関するレポートを発行する。
【0045】
図8は、本開示の典型的な実施形態に係るショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を評価するためのフローチャート800を示す図である。
図8を参照すると、方法は以下のステップを含む。
【0046】
ステップ801:ショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得して記憶する。
【0047】
ステップ802:ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、各最大強度を参照して各ピクセル値を正規化し、そしてそれらを合計する。
【0048】
ステップ803:より低い発散及びより低いエネルギーの広がりを伴う中央ビーム電流と、高い発散及び高いエネルギーの広がりを伴う縁部(外側)ビーム電流とから構成されるビーム電流を取得する。
【0049】
ステップ804:各ピクセルにその強度に比例する値を用いて、ユーザから提供されたビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算し、各ピクセルにその強度に比例する値に応じた除算出力、つまり、ビーム電流の分率を各ピクセルに割り当てる。
【0050】
ステップ805:ショットキーTFE温度Tに応じて、使用可能電流の以下の基準を適用することによってピクセルを選択する。
ピクセル電流の最大値に対して正規化されたピクセル電流値Pの値は、使用可能電流基準に基づいており、
P=Ao+Al*EXP(T/b)
に等しい。
ここで、
Ao=パーセンテージで測定される第1の使用可能電流基準、
Al=パーセンテージで測定される第2の使用可能電流基準、
T=度Kで測定されるショットキーTFE温度、
b=度Kで測定される第3の使用可能電流基準、
であり、使用可能電流基準は、実験的に開発された基準に基づく。
【0051】
ステップ806:使用可能ビーム電流を決定するため、使用可能電流基準に基づいて選択されたピクセル電流を合計する。
【0052】
ステップ807:結果を評価してグラフィック図を伴うレポートを発行する。
【0053】
前述のステップにより、第1、第2、及び、第3の使用可能電流基準を満たすピクセルの割り当てられたピクセル電流が合計されて使用可能電流が形成され、面積Sは、第1、第2、及び、第3の使用可能電流基準を満たすピクセルによって決定され、使用可能電流及び面積Sが使用可能放出電流密度Jemを決定する。面積Sは、使用可能電流が生成される面積である。使用可能電流基準は、全ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分の特性に基づいて生成される。一般に、中央ビーム成分は、ビーム電流の最大値の20~30%になり得る。したがって、外側(縁部)成分(ドッグイヤー)は、ビーム電流の最大値の70~80%になり得る。
【0054】
使用可能なショットキーTFEの輝度Briは、使用可能電流、温度T、面積Sに基づいて以下のように計算され得る。
Bri=1.44*Jem/[pi*k*T]であり、
ここで、
Jem=使用可能放出電流密度=使用可能電流/S[A/sq.cm]
pi=3.1415…、
k=8.617333262...×10-5eVK-1、ボルツマン定数
【0055】
幾つかの実施形態では、Ao、A1、及び、bの値の動作範囲が以下となり得る。
Ao=36.9+/-0.12[%]
Al=2.003E-20+/-2.00E-21[%]、及び
b=38.5+/-0.08[度K]。
【0056】
一実施形態では、Ao、A1、及び、bの値が以下となり得る。
Ao=36.9
Al=2.003E-20
b=38.5
【0057】
幾つかの他の実施形態では、使用可能電流基準を決定するため、1750K又は1800K又は1850Kといったユーザ提供のショットキーTFE温度を調べることによって、ステップタイプ方法を利用することができる。温度に応じて、使用可能電流の以下の基準を適用することによりピクセルを選択できる。
【0058】
【0059】
表1に示されるように、ショットキーTFEビームプロファイルは温度に伴って変化する。すなわち、温度が高いほど、使用可能電流基準は、温度が低い場合よりも全ピクセル値の割合が高くなる。このことは、1850Kなどの高温で50%値を超えると、ショットキーTFEビームプロファイルのドッグイヤーに起因して性能が低下し得ることを意味する。
【0060】
幾つかの実施形態において、ユーザは、TFE先端半径値Rを与えることができ、また、使用可能電流基準を満たすピクセルがカウントされ、これらのピクセルの総面積が計算される(ソフトウェアは、合計でR内に収まるピクセルの数を処理することができ、1ピクセルのサイズを見つけて、その値を2乗し、個々のピクセル当たりの面積を決定する)。
【0061】
図9A及び
図9Bは、ショットキーTFE電流及び輝度を評価するための開示された動作方法の実施形態900、950の例をそれぞれ示す。
図9Aは、本開示の典型的な実施形態に係る、デジタル化されたショットキーTFE放出画像を示す図である。
図9Aは、ドッグイヤー(暗い色)を表わす、縁部上の高い強度によって取り囲まれた中心円(明るい色)における比較的低い強度を示す。一実施形態において、このショットキーTFE放出画像を、40μAのユーザ供給のビーム電流、温度1800K、及び、先端サイズ0.78μmで、放出解析グラフィックスに取り込むことができる。
【0062】
図9Bは、本開示の典型的な実施形態に係る、
図9Aによる解析されたショットキーTFE放出画像を示す図である。
図9Bは、デジタル化されてピクセル化された画像であり、測定可能な電流及び使用可能な電流及び輝度の実施形態の注目に値する例である。具体的には、
図9Bのデジタル化されてピクセル化された画像は、5.239μAの使用可能電流と1.291E8A/sq.m*sr/Vの輝度とを表示する。
【0063】
図10は、本開示の幾つかの実施形態に係る、ショットキーTFEにおける使用可能ビーム電流及び輝度を評価するための処理デバイス1000の図である。
図10は、プロセッサ1002、オペレーティングシステム1004、メモリ1006、及び、I/Oインタフェース1008のそれぞれについて1つのブロックを示す。メモリ1006は、アプリケーション1010及びデータベース1012を備えることができる。これらのブロックは、1つ以上のプロセッサ又は処理回路、オペレーティングシステム、メモリ、I/Oインタフェース、アプリケーション、及び/又は、ソフトウェアモジュールに相当してもよい。他の実施において、処理デバイス1000は、示された構成要素の全てを有していなくてもよく、及び/又は、本明細書中に示されたものに代えて又は加えて、他のタイプの要素を含む他の要素を有してもよい。
【0064】
一般に、本明細書に記載されるプロセスを実行するコンピュータは、1つ以上のプロセッサ及びメモリ(例えば、持続性(非一時的な)コンピュータ可読媒体)を含むことができる。プロセスデータ及び命令がメモリに記憶されてもよい。これらのプロセス及び命令は、ハードドライブ(HDD)又はポータブル記憶媒体などの記憶媒体に記憶されてもよく、遠隔的に記憶されてもよい。記載された実施形態の各機能が1つ以上のプロセッサ又は処理回路によって実装されてもよいことに留意されたい。処理回路は、プロセッサが回路を含むように、プログラムされたプロセッサを含むことができる。処理回路/回路構成は、特定用途向け集積回路(ASIC)などのデバイス及び列挙された機能を果たすように構成される従来の回路構成要素も含むことができる。処理回路は、本開示全体を通して回路と置き換え可能に称され得る。更に、特許請求の範囲に記載される進展は、本発明のプロセスの命令が記憶されるコンピュータ可読媒体の形式によって限定されない。例えば、命令は、CD、DVD、フラッシュメモリ、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、ハードディスク、又は、任意の他の情報処理デバイスに記憶されてもよい。
【0065】
本明細書に記載される機能及び特徴は、システムの様々な分散コンポーネントによって実行されてもよい。例えば、1つ以上のプロセッサが機能を実行してもよく、プロセッサは、ネットワーク内で通信する複数のコンポーネントにわたって分散される。分散コンポーネントは、様々なヒューマンインタフェース及び通信デバイス(例えば、ディスプレイモニタ、スマートフォン、タブレット、携帯情報端末(PDA))に加えて処理を共有し得る1つ以上のクライアント及びサーバーマシンを含んでもよい。ネットワークは、LAN又はWANなどのプライベートネットワークであってもよく、インターネットなどのパブリックネットワークであってもよい。システムへの入力は、直接的なユーザ入力を介して受信されてもよく、リアルタイムに又はバッチプロセスとして遠隔的に受信されてもよい。更に、一部の実施は、記載されているものと同一ではないモジュール又はハードウェアで実行されてもよい。したがって、他の実施は特許請求の範囲に記載されてもよい範囲内にある。
【0066】
当業者であれば分かるように、本発明の同じ目的を依然として達成しつつ、前述した技術の動作に対して多くの変形が存在し得る。そのような変形は、この開示の範囲によって網羅されることが意図される。したがって、本発明の実施形態の前述の説明は、限定を意図するものではない。
【0067】
要約すると、本開示は、電子ビームを放出するためのショットキーTFE源に関する。典型的な実施形態は、ショットキーTFEの高分解能放出画像の取得、及び、実験的に開発された基準に基づく使用可能ビーム電流及び輝度の計算を提供することができる。方法のステップは、ショットキーTFEのショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得して記憶するステップと、ショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を正規化して合計するステップと、正規化して合計したピクセルデータ値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップと、割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいて、ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップとを実行するように1つ以上のプロセッサを構成することを含むことができ、ピクセルデータ値を正規化して合計するステップは、ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、正規化されたピクセル値を合計するとともに、最大強度パラメータを参照してピクセル値を正規化することを更に含み、更に、正規化して合計したピクセルデータ値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当てるステップは、各ピクセルの強度に比例する値を各ピクセルに割り当てて、ユーザ提供のビーム電流を正規化されたピクセル値の合計で除算し、それに伴う除算出力を割り当てることを更に含む。割り当てられたピクセル電流は、ビーム電流の分率に基づいて各ピクセルに導入され得る。ビーム電流は、中央ビーム成分と外側ビーム成分とを含む。
【0068】
ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定するステップは、ピクセル正規化値により割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とを組み合わせることを更に含むことができ、TFE温度Tに応じて、使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される。より具体的には、最大値ピクセル電流値に関して、正規化されたピクセル値Pは、以下のように使用可能電流基準に基づく。
P=Ao+Al*EXP(T/b)
ここで、
Aoは、パーセンテージで測定される第1の使用可能電流基準、
Alは、パーセンテージで測定される第2の使用可能電流基準、
Tは、度Kで測定されるショットキーTFE温度、
bは、度Kで測定される第3の使用可能電流基準、
であり、
使用可能電流基準は、実験的に開発された基準に基づく。
更に、Ao、A1、及び、bにおける値の動作範囲は以下となり得る。すなわち、Ao=36.9+/-0.12[%]、Al=2.003E-20+/-2.00E-21[%]、及び、b=38.5+/-0.08[度K]。
【0069】
使用可能電流を形成するために、第1、第2、及び、第3の使用可能電流基準を満たすピクセルの割り当てられたピクセル電流が合計され、使用可能電流を面積Sで割ることによって使用可能放出電流密度Jemが決定され、面積Sは、第1、第2、及び、第3の使用可能電流基準を満たすピクセルによって決定される。
【0070】
ショットキーTFEの使用可能電流、温度T、及び、面積Sに基づいて使用可能ショットキーTFE輝度Briが決定され、面積Sは、使用可能電流が生成される面積である。Briを以下のように計算することができる。
【0071】
Bri=1.44*Jem/[pi*k*T]であり、ここで、Jem=使用可能放出電流密度=使用可能電流/S[A/sq.cm]、pi=3.1415…、及び、k=8.617333262...×10-5eVK-1、ボルツマン定数。
【0072】
評価が完了すると、グラフィック図を伴うレポートを発行することができる。
【0073】
システムの実施形態及び持続性コンピュータ可読媒体の実施形態は、前述の方法ステップを実施するように構成され得る。
【0074】
ショットキーTFEの使用可能電流及びショットキーTFEの輝度を決定するための他の典型的な実施形態のシステムにおいて、該システムは、1つ以上のプロセッサを備えることができるとともに、ショットキーTFE放出画像をデジタル形式で取得して記憶し、使用可能電流基準と使用可能放出電流密度とを利用する実験的に開発されたアルゴリズムに基づいてショットキーTFEにおける使用可能ビーム電流及び輝度を決定するように構成可能であり、使用可能電流基準は、ショットキーTFEビーム電流の中央ビーム成分及び外側ビーム成分の特性に基づいて生成される。更に、使用可能ビーム電流及び輝度を決定することは、ショットキーTFE放出画像のピクセルデータ値を正規化して合計し、ピクセル正規化値とビーム電流とに基づいてピクセル電流を割り当て、割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とに基づいてショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定することを含み、ピクセルデータ値を正規化して合計することは、ショットキーTFE放出画像内のピクセルをカウントし、正規化されたピクセル値を合計し、及び、最大強度パラメータを参照してピクセル値を正規化することを更に含む。ピクセル正規化値及びビーム電流に基づいてピクセル電流を割り当てることは、各ピクセルにその強度に比例する値を割り当て、ユーザ提供のビーム電流を正規化ピクセル値の合計で除算し、及び、それに伴う除算出力を割り当てることを含むことができる。ショットキーTFEの使用可能電流及び輝度を決定することは、ピクセル正規化値による割り当てられたピクセル電流と使用可能電流基準とを組み合わせることを更に含むことができ、TFE温度Tに応じて、使用可能電流基準を適用することによってピクセルが選択される。典型的な実施形態において、ショットキーTFEに関して決定された使用可能ビーム電流及び輝度の評価結果は、マルチビーム電子光学ツールの動作のために利用することができる。
【0075】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0076】
100 ショットキーTFE源
101 ショットキーTFE
102 エクストラクタ
103 ビーム電流
104 中央ビーム成分
105 外側ビーム成分
200 放出測定の構成
202 FCup
204 エクストラクタ
300 ショットキーTFE放出画像プロファイル
302 ドッグイヤー
400 ショットキーTFEの先端の中央の画像
402 先端
404 ショットキーTFEの先端の正面の画像
406 部分
500 物理的構造
501 顕微鏡
503 カメラ
505 第2の面側
507 シンチレータスクリーン
509 第1の面側
511 電子ビーム
513 電子光学系
515 電極
519 開口プレート
521 エクストラクタ
523 サプレッサ
525 ショットキーTFE源
527 ショットキーTFE
529 真空チャンバ
600、610、620 画像
602 先端
612 色
614 色
620 ショットキーTFE放出画像
622 外側ビーム成分
624 中央ビーム成分
700 画像
702 表面
704 表面
800 フローチャート
1000 処理デバイス
1002 プロセッサ
1004 オペレーティングシステム
1006 メモリ
1008 I/Oインタフェース
1010 アプリケーション
1012 データベース
【符号の説明】
【0077】
100 ショットキーTFE源
101 ショットキーTFE
102 エクストラクタ
103 ビーム電流
104 中央ビーム成分
105 外側ビーム成分
200 放出測定の構成
202 FCup
204 エクストラクタ
300 ショットキーTFE放出画像プロファイル
302 ドッグイヤー
400 ショットキーTFEの先端の中央の画像
402 先端
404 ショットキーTFEの先端の正面の画像
406 部分
500 物理的構造
501 顕微鏡
503 カメラ
505 第2の面側
507 シンチレータスクリーン
509 第1の面側
511 電子ビーム
513 電子光学系
515 電極
519 開口プレート
521 エクストラクタ
523 サプレッサ
525 ショットキーTFE源
527 ショットキーTFE
529 真空チャンバ
550 一体型ソース・サプレッサ・エクストラクタ・モジュール
551 一体型ソース・サプレッサ・エクストラクタ・モジュール
600、610、620 画像
602 先端
612 色
614 色
620 ショットキーTFE放出画像
622 外側ビーム成分
624 中央ビーム成分
700 画像
702 表面
704 表面
800 フローチャート
1000 処理デバイス
1002 プロセッサ
1004 オペレーティングシステム
1006 メモリ
1008 I/Oインタフェース
1010 アプリケーション
1012 データベース