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特許7483038パルス化学気相堆積による金属酸化物の選択的堆積
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  • 特許-パルス化学気相堆積による金属酸化物の選択的堆積 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】パルス化学気相堆積による金属酸化物の選択的堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240507BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240507BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20240507BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240507BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
C23C16/04
C23C16/40
C23C16/455
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022561478
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021016257
(87)【国際公開番号】W WO2021206792
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/007,124
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/902,665
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, キース タットスン
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ, シュリーニヴァース ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クンメル, アンドリュー シー.
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ユンイル
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジェームズ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0105515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118243(US,A1)
【文献】特開2019-096877(JP,A)
【文献】特開2004-056142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
C23C 16/04
C23C 16/40
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物材料を形成する方法であって、
処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、前記基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含み、前記不動態化されていない表面が、ヒドリド基、水酸基、又はそれらの組み合わせで終端される、基板を位置決めすることと;
前記不動態化された表面が少なくとも実質的に第1の金属酸化物層を含まないままである一方で、前記不動態化されていない表面の上又は上方に前記第1の金属酸化物層を生成するために、前記基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、前記第1の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、前記第1の金属酸化物層を生成する、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;
前記不動態化された表面が少なくとも実質的に第2の金属酸化物層を含まないままである一方で、前記第1の金属酸化物層の上に前記第2の金属酸化物層を生成するために、前記基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、前記第2の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、前記第2の金属酸化物層を生成する、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;
前記第1の金属酸化物層と前記第2の金属酸化物層が交互になった層を含むラミネートフィルムを生成するために、前記基板を前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことと
を含み、
前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、及びランタンからなる群より選択される金属を含み、
前記第1の金属アルコキシド前駆体と前記第2の金属アルコキシド前駆体とが異なる金属を有する、
方法。
【請求項2】
前記ラミネートフィルムが非晶質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の金属酸化物層及び/又は前記第2の金属酸化物層を生成するときに、前記基板が150℃から450℃の温度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層のそれぞれが、独立して、0.1nmから5nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ラミネートフィルムが、10対から50対の前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ラミネートフィルムが、5nmから50nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属酸化物層が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、前記基板が、前記第1のパルス化学気相堆積プロセス中に前記第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに連続的に曝露され、前記基板が、0.1秒から10秒の間、前記第1の金属アルコキシド前駆体に、また1秒から120秒の間、前記第1のパージガスに曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の金属酸化物層が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、前記基板が、前記第2のパルス化学気相堆積プロセス中に前記第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに連続的に曝露され、前記基板が、0.1秒から10秒の間、前記第2の金属アルコキシド前駆体に、また1秒から120秒の間、前記第2のパージガスに曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、金属プロポキシド化合物又は金属ブトキシド化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン(IV)n-プロポキシド、チタン(IV)イソ-プロポキシド、チタン(IV)n-ブトキシド、チタン(IV)tert-ブトキシド、ハフニウム(IV)n-プロポキシド、ハフニウム(IV)イソ-プロポキシド、ハフニウム(IV)n-ブトキシド、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジルコニウム(IV)n-プロポキシド、ジルコニウム(IV)イソ-プロポキシド、ジルコニウム(IV)n-ブトキシド、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、アルミニウム(III)n-プロポキシド、アルミニウム(III)イソ-プロポキシド、アルミニウム(III)n-ブトキシド、アルミニウム(III)tert-ブトキシド、ランタン(III)n-プロポキシド、ランタン(III)イソ-プロポキシド、ランタン(III)n-ブトキシド、ランタン(III)tert-ブトキシド、それらの異性体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の金属酸化物層が酸化チタンを含み、前記第2の金属酸化物層が酸化ハフニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の金属酸化物層が第1の金属を含み、前記第2の金属酸化物層が第2の金属を含み、前記ラミネートフィルムが、5:1から15:1の、前記第2の金属に対する前記第1の金属の原子比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記不動態化された表面が、1つ又は複数のアルキル基で終端される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも前記第1の金属アルコキシド前駆体又は前記第2の金属アルコキシド前駆体が、β-ヒドリド脱離プロセスによって熱分解される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも前記第1の金属アルコキシド前駆体又は前記第2の金属アルコキシド前駆体が、共反応物の不存在下で熱分解される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
金属酸化物材料を形成する方法であって、
処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、前記基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含み、前記不動態化されていない表面が、ヒドリド基、水酸基、又はそれらの組み合わせで終端される、基板を位置決めすることと;
前記不動態化された表面が少なくとも実質的にラミネートフィルムを含まないままである一方で、前記ラミネートフィルムを前記不動態化されていない表面上に選択的に堆積することと
を含み、
前記ラミネートフィルムが、2対以上の、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層が交互になった層を含み、
第1の金属アルコキシド前駆体が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、前記第1の金属酸化物層を生成し、
第2の金属アルコキシド前駆体が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、前記第2の金属酸化物層を生成し、
前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、及びランタンからなる群より選択される金属を含み、
前記第1の金属アルコキシド前駆体と前記第2の金属アルコキシド前駆体とが、異なる金属を有する、
方法。
【請求項17】
前記基板が、前記第1のパルス化学気相堆積プロセス中に第1の温度で、また前記第2のパルス化学気相堆積プロセス中に第2の温度で維持され、前記第1の温度及び前記第2の温度のそれぞれが、独立して、150℃から450℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の温度及び前記第2の温度のそれぞれが、独立して、200℃から350℃である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層のそれぞれが、独立して、0.1nmから5nmの厚さを有し、前記ラミネートフィルムが、10対から50対の、前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
金属酸化物材料を形成する方法であって、
処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、前記基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含み、前記不動態化されていない表面が、ヒドリド基、水酸基、又はそれらの組み合わせで終端される、基板を位置決めすることと;
前記不動態化された表面が少なくとも実質的に第1の金属酸化物層を含まないままである一方で、前記不動態化されていない表面の上又は上方に前記第1の金属酸化物層を生成するために、前記基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、前記第1の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、前記第1の金属酸化物層を生成し、その一方で、前記基板が150℃から350℃の第1の温度で維持される、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;
前記不動態化された表面が少なくとも実質的に第2の金属酸化物層を含まないままである一方で、前記第1の金属酸化物層の上に前記第2の金属酸化物層を生成するために、前記基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、前記第2の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、前記第2の金属酸化物層を生成し、その一方で、前記基板が150℃から350℃の第2の温度で維持される、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;
前記第1の金属酸化物層と前記第2の金属酸化物層が交互になった層を含むラミネートフィルムを生成するために、前記基板を前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことであって、前記ラミネートフィルムが、10対から100対の、前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層を含む、前記基板を前記第1の金属アルコキシド前駆体及び前記第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことと
を含み、
前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層が、独立して、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、及びそれらのドーパントからなる群より選択される金属酸化物を含み、
前記第1の金属酸化物層と前記第2の金属酸化物層とが異なる金属酸化物を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施態様は、概して、堆積プロセス、特に金属酸化物の気相堆積プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]サブハーフミクロン以下の特徴部を確実に生成することは、半導体デバイスの次世代の超大規模集積(VLSI)及び極超大規模集積(ULSI)の重要な技術的課題の1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し上げられ、VLSI及びULSI技術において寸法が小さくなることにより、処理能力にさらなる要求が突きつけられることになった。VLSI及びULSIを成功させる上で、また、個々の基板やダイの回路密度及び品質を向上させるための継続的な取り組みにおいては、信頼性の高いゲート構造物を基板上に形成することが重要である。
【0003】
[0003]半導体デバイスを形成するために使用される構造物の形状寸法限界は、技術的限界とせめぎ合うものであるため、小さな限界寸法と高いアスペクト比とを有する構造物、及び、ある所望の材料を有する構造物を製造するための、所望の材料で正確に形成するための必要性を満たすことは、益々困難になってきている。従来の選択的堆積プロセスは、効率的に基板の指定された小さなエリアに限定できないことが多く、その結果、望ましくない材料が基板の望ましくない場所に形成されることになる。したがって、堆積材料は、概して選択性なく基板の表面全体にグローバルに形成されるか、又は基板の望ましくない場所に堆積されるため、選択的堆積プロセスを実現することは難しく、しばしば基板表面にクロスコンタミネーションが発生することになる。
【0004】
[0004]したがって、金属酸化物を選択的に堆積するための改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書で説明及び議論される実施態様は、2種類以上の金属酸化物層が交互になった層を含むラミネートフィルムなどの金属酸化物材料を堆積するための方法を提供する。金属酸化物材料は非晶質であるが、これは、2種類以上の金属酸化物を合金化することで、材料全体の結晶化を防ぐことができるためである。
【0006】
[0006]1つ又は複数の実施態様では、金属酸化物材料を形成する方法は、基板を処理チャンバ内に位置決めすることであって、基板が、1つ又は複数の不動態化された表面、及び1つ又は複数の不動態化されていない表面を有する、基板を位置決めすることと、不動態化された表面が、第1の金属酸化物層を少なくとも実質的に含まないままである一方で、不動態化されていない表面の上又は上方に第1の金属酸化物層を生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることとを含む。第1の金属アルコキシド前駆体は、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成する。方法は、不動態化された表面が、第2の金属酸化物層を少なくとも実質的に含まないままである一方で、第1の金属酸化物層の上に第2の金属酸化物層を生成するために、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることも含む。第2の金属アルコキシド前駆体は、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成する。方法は、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返して、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層とが交互になった層を含むラミネートフィルムを生成することをさらに含む。第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体のそれぞれは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、又はランタンから選択される異なる金属を有する。
【0007】
[0007]他の実施態様では、金属酸化物材料を形成する方法は、基板を処理チャンバ内に位置決めすることであって、基板が、1つ又は複数の不動態化された表面、及び1つ又は複数の不動態化されていない表面を有する、基板を位置決めすることと、不動態化された表面がラミネートフィルムを少なくとも実質的に含まないままである一方で、不動態化されていない表面の上にラミネートフィルムを選択的に堆積するか又はそうでなければ形成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることとを含む。ラミネートフィルムは、2対以上の、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層とが交互になった層を含む。第1の金属アルコキシド前駆体は、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成する。同様に、第2の金属アルコキシド前駆体は、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成する。
【0008】
[0008]いくつかの実施態様では、金属酸化物材料を形成する方法は、基板を処理チャンバ内に位置決めすることであって、基板が、1つ又は複数の不動態化された表面、及び1つ又は複数の不動態化されていない表面を有する、基板を位置決めすることと、不動態化された表面が第1の金属酸化物層を少なくとも実質的に含まないままである一方で、不動態化されていない表面の上又は上方に第1の金属酸化物層を生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、基板が約150℃から約350℃の第1の温度に維持されながら、第1の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成する、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることとを含む。方法は、不動態化された表面が第2の金属酸化物層を少なくとも実質的に含まないままである一方で、第1の金属酸化物層の上に第2の金属酸化物層を生成するために、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、基板が約150℃から約350℃の第2の温度に維持されながら、第2の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成する、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることも含む。第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層のそれぞれは、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、それらのドーパント、又は酸化ランタンから選択される異なる金属酸化物を有する。方法は、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層とが交互になった層を含むラミネートフィルムを生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことであって、ラミネートフィルムが非晶質であり、ラミネートフィルムが、約10対から約100対の第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を含む、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことも含む。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施態様を参照することによって、得ることができる。そのうちのいくつかの実施態様は添付の図面で例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得ることから、添付図面が本開示の典型的な実施態様を例示しているにすぎず、よって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]本明細書で説明及び議論される1つ又は複数の実施態様による、金属酸化物材料を含むラミネートフィルムを基板上に生成するためのプロセスのフロー図である。
図2】[0011]本明細書で説明及び議論される1つ又は複数の実施態様による、ラミネートフィルムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0012]理解を容易にするために、可能であれば、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。一実施態様の構成要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施態様に有益に組み込まれ得ると想定される。
【0012】
[0013]しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容し得ることから、添付の図面は本開示の典型的な実施態様しか例示しておらず、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【0013】
[0014]1つ又は複数の実施態様では、金属酸化物材料を形成するため、例えば金属酸化物のラミネートフィルムを選択的に堆積するための方法が、提供される。パルス化学気相堆積(CVD)プロセス中に2つ以上の金属アルコキシド前駆体が使用されて、基板上にラミネートフィルムを形成する。ラミネートフィルムは、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層などの、異なる種類の金属を有する2つの異なる金属酸化物が交互になった層を含む。金属酸化物層のそれぞれは、独立して、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、それらのドーパント、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれを含み得る。2つ以上の異なる金属酸化物層を合金化することにより、結晶化が防止され、そのため、金属酸化物材料を非結晶性又は非晶質にすると考えられている。
【0014】
[0015]図1は、基板又は他の表面上に、金属酸化物材料を含むラミネートフィルムを選択的に堆積するのに使用され得る、プロセス100のフロー図である。図2は、基板202上に堆積されたラミネートフィルム220を含むワークピース200の断面図を示している。ラミネートフィルム220は、プロセス100によって生成され得る異なる種類のラミネートフィルムの一例である。ラミネートフィルム220並びに同様の構造体及びデバイスは、バックエンド構造体若しくはデバイス、フロントエンド構造体若しくはデバイス、相互接続構造体若しくはデバイス、パッシベーション構造体若しくはデバイス、フィン構造体若しくはデバイス、ゲート構造体若しくはデバイス、コンタクト構造体若しくはデバイス、又は、半導体デバイス、ディスプレイデバイス、光起電力デバイス、バッテリー若しくはエネルギー貯蔵デバイス、及びその他のデバイスなどのマイクロエレクトロニクスで使用される任意の適切な構造体若しくはデバイスであり得るか又はそれを含み得る。
【0015】
[0016]プロセス100は、図1に示すように動作110-190を含む。動作110では、1つ又は複数の基板は、処理チャンバ内に配置あるいは位置決めされ得る。処理チャンバは、CVDチャンバ、パルスCVDチャンバ、プラズマCVD(PE-CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、プラズマALD(PE-ALD)チャンバ、熱アニールチャンバ、及び他の種類のチャンバであり得るか又はそれを含み得る。1つ又は複数の例では、プロセス100は、Applied Materials, Inc.から市販されているTrillium(登録商標)チャンバなどの、熱CVDチャンバ又は熱ALDチャンバで実施される。
【0016】
[0017]基板202は、1つ又は複数の不動態化されていない材料又は表面204と、1つ又は複数の不動態化された材料又は表面206とを含む。ラミネートフィルム220の金属酸化物材料は、1種の表面上に、別の種類の表面と比べて選択的に堆積される。より具体的には、ラミネートフィルム220は、不動態化されていない表面204上に選択的に堆積されるか又は形成される一方、不動態化された表面206は、ラミネートフィルム220を形成する金属酸化物材料を完全に含まないか又は実質的に含まないままである。
【0017】
[0018]不動態化されていない表面204は、ケイ素基板若しくはケイ素含有材料、酸化ケイ素基板若しくは酸化ケイ素含有材料、金属(例えば、銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、それらの合金)、又はコンタクト材料、又はそれらの変化形の水素終端表面(-H)及び/又はヒドロキシル終端表面(-OH)であり得る。1つ又は複数の例では、不動態化されていない表面204は、水素終端ケイ素表面であり、その下層はケイ素基板又はケイ素含有材料である。他の例では、不動態化されていない表面204は、ヒドロキシル終端酸化ケイ素表面であり、その下層は酸化ケイ素基板又は酸化ケイ素含有材料である。
【0018】
[0019]不動態化された表面206は、アルキル終端表面であり得、メチル基(-CH)、エチル基(-CHCH)、プロピル基(-CHCHCH)、ブチル基(-CHCHCHCH)、他のアルキル基、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ又は複数のアルキル基で終端され得る。1つ又は複数の例では、不動態化された表面206は、メチル終端表面であり、その下層及び/又は基板は、炭素がドープされた酸化ケイ素(SiCOH)、例えば、 Applied Materials, Inc.から市販されているBlack Diamond(登録商標)材料であるか又はそれを含む。
【0019】
[0020]1つ又は複数の実施態様では、不動態化された表面206は、1つ又は複数の誘電体材料、例えば、酸化ケイ素、ドープされたケイ素材料、又は低誘電率材料、例えば炭素含有材料であるか又はそれを含む。適切な炭素含有材料は、アモルファスカーボン、炭化ケイ素、炭素がドープされた酸化ケイ素材料、又はそれらの組み合わせであり得るか又はそれを含み得る。例示的な低誘電率絶縁誘電体材料は、酸化ケイ素材料、窒化ケイ素材料、炭素がドープされた酸化ケイ素材料、炭化ケイ素材料、炭素系材料、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれを含み得る。
【0020】
[0021]1つ又は複数の例では、不動態化されていない表面204は、ヒドリド基、水酸基、又はそれらの組み合わせで終端され、不動態化された表面206は、1つ又は複数のアルキル基で終端される。
【0021】
[0022]基板202は、結晶シリコン(例えばSi<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされた若しくはドープされていないポリシリコン、ドープされた若しくはドープされていないシリコンウエハ及びパターニングされた若しくはパターニングされていないウエハのシリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアから選択される材料であり得るか又はそれを含み得る。基板202は、様々な寸法(例えば200mm、300mm、450mm、又はその他の直径)を有することがあり、また、長方形又は正方形のパネルであることもある。別途明記されない限り、本明細書に記載の実施態様及び実施例は、直径200mm、直径300mm、又は直径450mmの基板上で実行される。SOI構造が基板202のために利用される実施態様では、基板202は、シリコン結晶性基板上に配置された、埋設された誘電体層を含み得る。本明細書で示される実施態様では、基板202は、結晶シリコン基板であり得る。さらに、基板202は特定の大きさ又は形状に限定されない。基板は、フラットパネルディスプレイの製造に使用される多角形ガラス基板などのように、円形、多角形、正方形、長方形、湾曲した或いは非円形のワークピースであり得る。
【0022】
[0023]動作120では、ワークピース200及び/又は基板202は、第1の金属アルコキシド前駆体に曝露されて、不動態化されていない表面204の上又は上方に第1の金属酸化物層210を生成する一方で、不動態化された表面206は、第1の金属酸化物層210を、完全に含まないのではない場合は少なくとも実質的に含まない。第1の金属アルコキシド前駆体の金属は、第1の金属酸化物層210中に含まれる堆積金属酸化物が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、又はそのドーパントから選択されるように、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、又はランタンから選択される。
【0023】
[0024]動作130では、第1の金属酸化物層210を含むワークピース200及び/又は基板202は、第1のパージガスに曝露される。第1のパージガスは、副生成物、過剰な前駆体、及び他の望ましくない薬剤又は汚染物質を除去する。第1のパージガスは、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれを含み得る。パージガスは、約500sccmから約4,000sccm、例えば約500sccmから約1,000sccmの流量を有し得る。
【0024】
[0025]動作120及び130では、第1の金属アルコキシド前駆体は、第1のパルスCVDプロセス中に、熱分解されて、第1の金属酸化物層210を生成する。基板202は、動作120及び130中に、約150℃から約450℃、例えば、約200℃から約350℃、約150℃から約350℃、又は約250℃から約300℃で加熱及び/又は維持される。CVD又は他の処理チャンバの内部空間又は処理領域は、第1のパルスCVDプロセス中に、約10mTorrから約10Torr、例えば、約100mTorrから約500mTorrの圧力で維持され得る。
【0025】
[0026]ワークピース200及び/又は基板202を第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに曝露させるサイクルは、1回又は複数回、例えば、2回、3回、5回、約10回、約15回、約20回、約25回、約30回、約40回、約50回、約65回、約80回、約100回、又はそれより多い回数、実施され得る。ワークピース200及び/又は基板202は、第1のパルスCVDプロセス中に、第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに連続的に曝露される。
【0026】
[0027]1つ又は複数の例では、ワークピース200及び/又は基板202は、約0.1秒から約10秒の間、第1の金属アルコキシド前駆体に曝露され、その後、約1秒から約120秒の間、第1のパージガスに曝露される。他の例では、ワークピース200及び/又は基板202は、約0.1秒から約2秒の間、第1の金属アルコキシド前駆体に曝露され、その後、約1秒から約30秒の間、第1のパージガスに曝露される。
【0027】
[0028]動作140では、所望の厚さの第1の金属酸化物層210が堆積又は達成された場合、プロセス100は動作150へ進む。所望の厚さの第1の金属酸化物層210が堆積又は達成されない場合、所望の厚さの第1の金属酸化物層210が達成されるまで、動作120及び130が繰り返される。第1の金属酸化物層210は、約0.05nmから約10nm、例えば、約0.1nmから約5nm、又は約0.15nmから約1.2nmの厚さを有し得る。
【0028】
[0029]動作150では、ワークピース200及び/又は基板202は、第2の金属アルコキシド前駆体に曝露されて、第1の金属酸化物層210の上に第2の金属酸化物層212を生成する一方で、不動態化された表面206は、第2の金属酸化物層212を、完全に含まないのではない場合は少なくとも実質的に含まない。第2の金属アルコキシド前駆体の金属は、第2の金属酸化物層212中に含まれる堆積金属酸化物が、第1の金属酸化物層210のために選択される金属とは異なる金属を有するように、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、又はランタンから選択される。そのため、第2の金属酸化物層212は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、又はそれらのドーパントを含む。そのため、第1の金属酸化物層210中の金属は第2の金属酸化物層212中の金属とは異なることから、ラミネートフィルム220は、非晶質又は非結晶性で維持される。
【0029】
[0030]動作120及び150では、少なくとも第1の金属アルコキシド前駆体及び/又は第2の金属アルコキシド前駆体は、β-ヒドリド脱離プロセスによって熱分解される。第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体は、熱分解されて、共反応物の不存在下で、それぞれ第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を生成する。典型的なCVD又はALDプロセスでは、酸化剤は金属前駆体と共に使用されて金属酸化物を形成する。しかしながら、本明細書で説明及び議論される堆積プロセスは、熱分解、通常β-ヒドリド脱離に依拠して、金属酸化物を生成する。金属酸化物前駆体は、金属源及び酸素源の両方である。そのため、金属アルコキシド前駆体の熱分解は、金属酸化物層の金属及び酸素の両方の単一源である。1つ又は複数の例では、パルスCVDプロセス中の金属アルコキシド前駆体とは無関係である酸化剤等の共反応物は存在しない。他の例では、1つ又は複数の酸化剤(例えば、水、酸素(O)、オゾン、過酸化水素、アルコール)は、金属アルコキシド前駆体とともに使用されて、パルスCVDプロセス中に金属酸化物層を生成し得る。
【0030】
[0031]1つ又は複数の実施態様では、第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体のそれぞれは、独立して、1つ又は複数の金属プロポキシド化合物(例えば、金属イソプロポキシド化合物)及び/又は1つ又は複数の金属ブトキシド化合物(例えば、金属tert-ブトキシド化合物)であるか又はそれを含む。上で議論したように、第1の金属アルコキシド前駆体の金属は、第2の金属アルコキシド前駆体の金属とは異なる。1つ又は複数の例では、第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体のそれぞれは、独立して、チタン(IV)n-プロポキシド、チタン(IV)イソ-プロポキシド、チタン(IV)n-ブトキシド、チタン(IV)tert-ブトキシド、ハフニウム(IV)n-プロポキシド、ハフニウム(IV)イソ-プロポキシド、ハフニウム(IV)n-ブトキシド、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジルコニウム(IV)n-プロポキシド、ジルコニウム(IV)イソ-プロポキシド、ジルコニウム(IV)n-ブトキシド、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、アルミニウム(III)n-プロポキシド、アルミニウム(III)イソ-プロポキシド、アルミニウム(III)n-ブトキシド、アルミニウム(III)tert-ブトキシド、ランタン(III)n-プロポキシド、ランタン(III)イソ-プロポキシド、ランタン(III)n-ブトキシド、ランタン(III)tert-ブトキシド、それらの異性体、又はそれらの任意の組み合わせであるか又はそれを含む。他の種類の金属アルコキシド前駆体が、本明細書で説明及び議論されるプロセスに使用され得る。
【0031】
[0032]動作160では、第2の金属酸化物層212を含むワークピース200及び/又は基板202は、第2のパージガスに曝露される。第2のパージガスは、副生成物、過剰な前駆体、及び他の望ましくない薬剤又は汚染物質を除去する。第2のパージガスは、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれを含み得る。パージガスは、約500sccmから約4,000sccm、例えば約500sccmから約1,000sccmの流量を有し得る。
【0032】
[0033]動作150及び160では、第2の金属アルコキシド前駆体は、第2のパルスCVDプロセス中に、熱分解されて、第2の金属酸化物層212を生成する。基板202は、動作150及び160中に、約150℃から約450℃、例えば、約200℃から約350℃、約150℃から約350℃、又は約250℃から約300℃で加熱及び/又は維持される。CVD又は他の処理チャンバの内部空間又は処理領域は、第2のパルスCVDプロセス中に、約10mTorrから約10Torr、例えば、約100mTorrから約500mTorrの圧力で維持され得る。
【0033】
[0034]ワークピース200及び/又は基板202を第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに曝露させるサイクルは、1回又は複数回、例えば、2回、3回、5回、約10回、約15回、約20回、約25回、約30回、約40回、約50回、約65回、約80回、約100回、又はそれより多い回数、実施され得る。ワークピース200及び/又は基板202は、第2のパルスCVDプロセス中に、第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに連続的に曝露される。
【0034】
[0035]1つ又は複数の例では、ワークピース200及び/又は基板202は、約0.1秒から約10秒の間、第2の金属アルコキシド前駆体に曝露され、その後、約1秒から約150秒の間、第2のパージガスに曝露される。他の例では、ワークピース200及び/又は基板202は、約0.1秒から約2秒の間、第2の金属アルコキシド前駆体に曝露され、その後、約1秒から約30秒の間、第2のパージガスに曝露される。
【0035】
[0036]動作170では、所望の厚さの第2の金属酸化物層212が堆積又は達成された場合、プロセス100は動作180へ進む。所望の厚さの第2の金属酸化物層212が堆積又は達成されない場合、所望の厚さの第2の金属酸化物層212が達成されるまで、動作150及び160が繰り返される。第2の金属酸化物層212は、約0.05nmから約10nm、例えば、約0.1nmから約5nm、又は約0.15nmから約1.2nmの厚さを有し得る。
【0036】
[0037]動作180では、所望の厚さのラミネートフィルム220が、堆積され、形成され、又は達成された場合、プロセス100は動作190に進み、そこでプロセス100は完了する。所望の厚さのラミネートフィルム220が、堆積、形成、又は達成されない場合、所望の厚さのラミネートフィルム220が達成されるまで、動作120-170が繰り返される。例えば、プロセス100は、ワークピース200及び/又は基板202を、動作120及び130で第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに、また動作150及び160で第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに曝露させることを連続的に繰り返して、第1及び第2の金属酸化物層210、212が交互になった層を含むラミネートフィルム220を生成することを含む。動作120が動作180の後に繰り返されるとき、第1の金属酸化物層210は、不動態化されていない表面204ではなく、第2の金属酸化物層212の上に堆積される。
【0037】
[0038]工程120-170は、ラミネートフィルム220が、約2nmから約100nm、約5nmから約50nm、約10nmから約35nm、又は約15nmから約25nmの厚さを有するまで、繰り返される。あるいは、動作120-170は、所望の数の対の第1及び第2の金属酸化物層210、212が達成されるまで、繰り返される。ラミネートフィルム220は、約2対、約5対、約10対、約20対、又は約30対から約40対、約50対、約80対、約100対、約150対、約200対、又はそれを超える数の対の第1及び第2の金属酸化物層210、212を含む。いくつかの例では、ラミネートフィルム220は、約10対から約100対の第1及び第2の金属酸化物層210、212を含む。他の例では、ラミネートフィルム220は、約10対から約50対、又は約20対から約40対の第1及び第2の金属酸化物層210、212を含む。
【0038】
[0039]1つ又は複数の実施態様では、第1の金属酸化物層210は第1の金属を含み、第2の金属酸化物層212は、第1の金属とは異なる第2の金属を含む。ラミネートフィルム220は、約5:1から約15:1、約6:1から約12:1、又は約7:1から約10:1の、第2の金属に対する第1の金属の原子比を有する。ラミネートフィルム220の1つ又は複数の例では、第1の金属酸化物層210は酸化チタンを含み、第2の金属酸化物層212は酸化ハフニウムを含む。ハフニウムに対するチタニウムの原子比は、ラミネートフィルム220の約5:1から約15:1、約6:1から約12:1、又は約7:1から約10:1である。
【0039】
[0040]1つ又は複数の例では、酸化チタンを含む第1の金属酸化物層210は、約0.5nmから約2nmの厚さを有し、酸化ハフニウムを含む第2の金属酸化物層212は、約0.08nmから約0.5nmの厚さを有する。いくつかの例では、酸化チタンを含む第1の金属酸化物層210は、約0.8nmから約1.5nmの厚さを有し、酸化ハフニウムを含む第2の金属酸化物層212は、約0.1nmから約0.3nmの厚さを有する。他の例では、酸化チタンを含む第1の金属酸化物層210は、約1nmから約1.2nm、例えば1.14nmの厚さを有し、酸化ハフニウムを含む第2の金属酸化物層212は、約0.12nmから約0.2nm、例えば0.16nmの厚さを有する。
【0040】
[0041]よって、選択的堆積プロセスは、選択的CVDプロセスによって、基板の異なる表面、例えば異なる部分上に金属酸化物材料を形成するために提供される。よって、基板の異なる位置に形成された、所望の異なる種類の材料を有する構造を得ることができる。
【0041】
[0042]本開示の実施態様は、さらに、以下の条項1から33の1つ又は複数に関する。
【0042】
[0043]1.金属酸化物材料を形成する方法であって、処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含む、基板を位置決めすることと;不動態化された表面が少なくとも実質的に第1の金属酸化物層を含まないままである一方で、不動態化されていない表面の上又は上方に第1の金属酸化物層を生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、第1の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成する、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;不動態化された表面が少なくとも実質的に第2の金属酸化物層を含まないままである一方で、第1の金属酸化物層の上に第2の金属酸化物層を生成するために、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、第2の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成する、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層が交互になった層を含むラミネートフィルムを生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことであって、第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、及びランタンからなる群より選択される金属を含み、第1の金属アルコキシド前駆体と第2の金属アルコキシド前駆体とが異なる金属を有する、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すこととを含む、方法。
【0043】
[0044]2.金属酸化物材料を形成する方法であって、処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含む、基板を位置決めすることと;不動態化された表面が少なくとも実質的にラミネートフィルムを含まない一方で、不動態化されていない表面上にラミネートフィルムを選択的に堆積することであって、ラミネートフィルムが、2対以上の、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層が交互になった層を含み、第1の金属アルコキシド前駆体が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成し、第2の金属アルコキシド前駆体が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成し、第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、及びランタンからなる群より選択される金属を含み、第1の金属アルコキシド前駆体と第2の金属アルコキシド前駆体とが異なる金属を有する、ラミネートフィルムを選択的に堆積することとを含む、方法。
【0044】
[0045]3.金属酸化物材料を形成する方法であって、処理チャンバ内に基板を位置決めすることであって、基板が、不動態化された表面及び不動態化されていない表面を含む、基板を位置決めすることと;不動態化された表面が少なくとも実質的に第1の金属酸化物層を含まないままである一方で、不動態化されていない表面の上又は上方に第1の金属酸化物層を生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、第1の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第1の金属酸化物層を生成し、その一方で、基板が約150℃から約350℃の第1の温度で維持される、基板を第1の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;不動態化された表面が少なくとも実質的に第2の金属酸化物層を含まないままである一方で、第1の金属酸化物層の上に第2の金属酸化物層を生成するために、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることであって、第2の金属アルコキシド前駆体が、熱分解されて、第2の金属酸化物層を生成し、その一方で、基板が約150℃から約350℃の第2の温度で維持される、基板を第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることと;第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層が交互になった層を含むラミネートフィルムを生成するために、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すことであって、ラミネートフィルムが、約10対から約100対の、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を含む、基板を第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体に曝露させることを連続的に繰り返すこととを含み、第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層が、独立して、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、及びそれらのドーパントからなる群より選択される金属酸化物を含み、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層とが異なる金属酸化物を含む、方法。
【0045】
[0046]4.基板が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に第1の温度で、また第2のパルス化学気相堆積プロセス中に第2の温度で維持され、第1の温度及び第2の温度のそれぞれが、独立して、約150℃から約450℃である、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
[0047]5.第1の温度及び第2の温度のそれぞれが、独立して、約200℃から約350℃である、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
[0048]6.第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層のそれぞれが、独立して、約0.1nmから約5nmの厚さを有し、ラミネートフィルムが、約10対から約50対の第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を有する、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
[0049]7.第1の金属酸化物層及び/又は第2の金属酸化物層を生成するときに、基板が約150℃から約450℃の温度で維持される、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
[0050]8.基板が、約200℃から約350℃の温度で維持される、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
[0051]9.基板が、約250℃から約300℃の温度で維持される、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
[0052]10.ラミネートフィルムが非晶質である、条項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
[0053]11.第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層のそれぞれが、独立して、約0.1nmから約5nmの厚さを有する、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
[0054]12.第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層のそれぞれが、独立して、約0.15nmから約1.2nmの厚さを有する、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
[0055]13.ラミネートフィルムが、約10対から約50対の第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を含む、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
[0056]14.ラミネートフィルムが約20対から約40対の第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を含む、条項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
[0057]15.ラミネートフィルムが約5nmから約50nmの厚さを有する、条項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
[0058]16.ラミネートフィルムが約10nmから約35nmの厚さを有する、条項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
[0059]17.ラミネートフィルムが約15nmから約25nmの厚さを有する、条項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
[0060]18.第1の金属酸化物層が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、基板が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに連続的に曝露され、基板が、約0.1秒から約10秒の間、第1の金属アルコキシド前駆体に、また約1秒から約120秒の間、第1のパージガスに曝露される、条項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
[0061]19.第1の金属酸化物層が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、基板が、第1のパルス化学気相堆積プロセス中に第1の金属アルコキシド前駆体及び第1のパージガスに連続的に曝露され、基板が、約0.1秒から約2秒の間、第1の金属アルコキシド前駆体に、また約1秒から約30秒の間、第1のパージガスに曝露される、条項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
[0062]20.第1のパージガスが、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの組み合わせであり得るか又はそれを含む、条項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
[0063]21.第2の金属酸化物層が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、基板が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに連続的に曝露され、基板が、約0.1秒から約10秒の間、第2の金属アルコキシド前駆体に、また約1秒から約120秒の間、第2のパージガスに曝露される、条項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
[0064]22.第2の金属酸化物層が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に生成され、基板が、第2のパルス化学気相堆積プロセス中に第2の金属アルコキシド前駆体及び第2のパージガスに連続的に曝露され、基板が、約0.1秒から約2秒の間、第2の金属アルコキシド前駆体に、また約1秒から約30秒の間、第2のパージガスに曝露される、条項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
[0065]23.第2のパージガスが、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、又はそれらの組み合わせであり得るか又はそれを含む、条項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
[0066]24.第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、金属プロポキシド化合物又は金属ブトキシド化合物を含む、条項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
[0067]25.第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、金属イソ-プロポキシド化合物又は金属tert-ブトキシド化合物を含む、条項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
[0068]26.第1の金属アルコキシド前駆体及び第2の金属アルコキシド前駆体が、独立して、チタン(IV)n-プロポキシド、チタン(IV)イソ-プロポキシド、チタン(IV)n-ブトキシド、チタン(IV)tert-ブトキシド、ハフニウム(IV)n-プロポキシド、ハフニウム(IV)イソ-プロポキシド、ハフニウム(IV)n-ブトキシド、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジルコニウム(IV)n-プロポキシド、ジルコニウム(IV)イソ-プロポキシド、ジルコニウム(IV)n-ブトキシド、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、アルミニウム(III)n-プロポキシド、アルミニウム(III)イソ-プロポキシド、アルミニウム(III)n-ブトキシド、アルミニウム(III)tert-ブトキシド、ランタン(III)n-プロポキシド、ランタン(III)イソ-プロポキシド、ランタン(III)n-ブトキシド、ランタン(III)tert-ブトキシド、それらの異性体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、条項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
[0069]27.第1の金属酸化物層が酸化チタンを含み、第2の金属酸化物層が酸化ハフニウムを含む、条項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
[0070]28.第1の金属酸化物層が第1の金属を含み、第2の金属酸化物層が第2の金属を含み、ラミネートフィルムが、約5:1から約15:1の、第2の金属に対する第1の金属の原子比を有する、条項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
[0071]29.第1の金属酸化物層が第1の金属を含み、第2の金属酸化物層が第2の金属を含み、ラミネートフィルムが、約6:1から約12:1の、第2の金属に対する第1の金属の原子比を有する、条項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
[0072]30.第1の金属酸化物層が第1の金属を含み、第2の金属酸化物層が第2の金属を含み、ラミネートフィルムが、約7:1から約10:1の、第2の金属に対する第1の金属の原子比を有する、条項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
[0073]31.不動態化されていない表面が、ヒドリド基、水酸基、又はそれらの組み合わせで終端され、不動態化された表面が、1つ又は複数のアルキル基で終端される、条項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
[0074]32.少なくとも第1の金属アルコキシド前駆体又は第2の金属アルコキシド前駆体が、β-ヒドリド脱離プロセスによって熱分解される、条項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
[0075]33.少なくとも第1の金属アルコキシド前駆体又は第2の金属アルコキシド前駆体が、共反応物の不存在下で、熱分解されて、第1の金属酸化物層又は第2の金属酸化物層を生成する、条項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
[0076]以上の記述は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施態様及びさらなる実施態様が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本書に記載の全ての文書は、この本文と矛盾しない限りにおいて、あらゆる優先文書及び/又は試験手順を含め、参照により本書に援用される。上述した概要及び具体的な実施態様から自明であるように、本開示の形態が図示され、説明されているが、本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われうる。したがって、図示され、説明されている本開示の形態によって本開示を限定することは意図されていない。同様に、「備える/含む(comprising)」という語は、米国法の解釈での「含む(including)」という語の同義語であると見なされる。同様に、組成物、要素、又は要素の群に「備える/含む(comprising)」という移行表現(transitional phrase)が先行する場合は常に、このような組成物又は1つ又は複数の要素の列挙に先だって「実質的に~からなる(consisting essentially of)」、「~からなる(consisting of)」、「~からなる群から選択される(selected from the group of consisting of)」、又は「~である(is)」という移行表現を有する同じ組成物又は要素の群も、及びその逆も想定されると、理解される。
【0076】
[0077]特定の実施態様及び特徴は、数値の上限のセット及び数値の下限のセットを使用して説明されている。別途明記されない限り、任意の2つの値の組み合わせ(例えば、任意の下方値と任意の上方値との組み合わせ、任意の2つの下方値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上方値の組み合わせ)を含む範囲が想定されると、認識すべきである。以下の1つ又は複数の請求項には、特定の下限、上限、及び範囲が記載されている。
図1
図2