(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】配線基板、電子装置及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20240508BHJP
H05K 3/20 20060101ALI20240508BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L23/50 K
H05K3/20 Z
H01L23/12 501B
(21)【出願番号】P 2020189772
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 哲一郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 元
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝治
(72)【発明者】
【氏名】出岡 淳
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130493(JP,A)
【文献】特開2018-046218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0237395(US,A1)
【文献】特開2008-182163(JP,A)
【文献】特開平11-251705(JP,A)
【文献】特開2010-271804(JP,A)
【文献】特開2010-103215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H05K 3/20
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属層と、
前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に充填される封止樹脂とを有し、
前記第2金属層は、
前記封止樹脂の上面から突出し、電子部品を搭載可能な端面を有する電極と、
上面が前記電極の端面よりも低い位置で前記封止樹脂の上面から露出し、前記第1金属層に接触する層間接続部とを有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第2金属層は、
前記層間接続部を前記第1金属層の上面まで貫通する開口部と、
前記層間接続部の上面、前記開口部の内側面、及び前記開口部において露出する前記第1金属層の上面に形成されるめっき層と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1金属層は、前記開口部と連通し、前記第1金属層の上面よりも低い位置まで陥没する凹部を有し、
前記めっき層は、前記層間接続部の上面、前記開口部の内側面、及び前記凹部の内壁面に形成されることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2金属層は、
上面が前記電極の端面よりも低い位置で前記封止樹脂の上面から露出する配線部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1金属層と前記第2金属層との間に、前記第2金属層と電気的に接続する他の電子部品が配置され、前記封止樹脂によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
配線基板と、
前記配線基板に搭載される電子部品と、
前記電子部品を被覆する第1封止樹脂と
を有し、
前記配線基板は、
第1金属層と、
前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に充填される第2封止樹脂とを有し、
前記第2金属層は、
前記第2封止樹脂の上面から突出し、前記電子部品を搭載可能な端面を有する電極と、
上面が前記電極の端面よりも低い位置で前記第2封止樹脂の上面から露出し、前記第1金属層に接触する層間接続部と有することを特徴とする電子装置。
【請求項7】
第1金属層を形成する工程と、
複数の第1突起と、複数の第2突起とを有する第2金属層を形成する工程と、
前記第2金属層の前記複数の第2突起が前記第1金属層と接触するように前記第1金属層上に前記第2金属層を積層する工程と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に、封止樹脂を充填する工程と、
前記第2金属層のうち前記複数の第1突起と重ならない部分をエッチングすることにより、各前記第1突起の位置において、前記封止樹脂から突出し、電子部品を搭載可能な端面を有する電極を形成し、各前記第2突起の位置において、前記第1金属層に接触し、上面が前記電極の端面よりも低い位置で前記封止樹脂から露出する層間接続部を形成する工程と、
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2金属層を形成する工程は、
各前記第2突起の両端面又は先端側の一方の端面に凹部が形成された第2金属層を形成し、
前記エッチングする工程は、
前記凹部の位置において、前記第1金属層の上面まで貫通する開口部を前記層間接続部に形成し、
前記層間接続部の上面、前記開口部の内側面、及び前記開口部において露出する前記第1金属層の上面にめっき層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2金属層を形成する工程の後に、前記第2金属層の前記複数の第1突起のうちの一部の第1突起に他の電子部品を接合する工程をさらに有し、
前記第1金属層上に前記第2金属層を積層する工程において、前記他の電子部品は、前記第1金属層と前記第2金属層との間に配置され、
前記封止樹脂を充填する工程において、前記他の電子部品は、前記封止樹脂によって被覆されることを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1金属層を形成する工程は、第1金属板をエッチングすることで前記第1金属層を形成し、
前記第2金属層を形成する工程は、第2金属板をエッチングすることで前記第2金属層を形成し、
前記第2金属板の厚さは、前記第1金属板よりも薄いことを特徴とする請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、電子装置及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICチップなどの部品を内蔵する配線基板がある。このような配線基板は、例えば2つの金属層の間に例えばICチップなどの部品を挟んで実装し、部品を樹脂封止することによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2つの金属層の間に部品を挟んで実装する配線基板においては、2つの金属層を接続する層間接続部と例えばインダクタなどの外部部品を搭載可能な電極とが、実装される部品を被覆する封止樹脂から突出していることが一般的である。このため、外部部品が配線基板の電極に搭載される際に、外部部品と層間接続部とが近接する場合がある。例えば、互いに隣り合う電極によって挟まれる位置に層間接続部が設けられている場合、互いに隣り合う電極に搭載される外部部品と層間接続部とが近接する。外部部品と層間接続部とが近接すると、外部部品が層間接続部と接触する可能性が高くなる。結果として、層間接続部と外部部品とのショートが発生する虞がある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、層間接続部と外部部品とのショートを回避することができる配線基板、電子装置及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する配線基板は、一つの態様において、第1金属層と、第1金属層上に設けられた第2金属層と、第1金属層と第2金属層との間に充填される封止樹脂とを有し、第2金属層は、封止樹脂の上面から突出し、電子部品を搭載可能な端面を有する電極と、上面が電極の端面よりも低い位置で封止樹脂の上面から露出し、第1金属層に接触する層間接続部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する配線基板の一つの態様によれば、層間接続部と外部部品とのショートを回避することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例に係る配線基板の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、層間接続部の開口部付近でのめっき層の形成位置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例に係る配線基板を用いて作製された電子装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例に係る配線基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1金属層形成工程の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2金属層形成工程の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1部品接合工程の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、金属層積層工程の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、樹脂封止工程の具体例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例に係る電子装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2部品搭載工程の具体例を示す図である。
【
図16】
図16は、層間接続部の開口部付近でのめっき層の形成位置の他の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2金属層形成工程の他の具体例を示す図である。
【
図18】
図18は、第1金属層形成工程の他の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する配線基板、電子装置及び配線基板の製造方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
【0010】
[実施例]
[配線基板の構成]
図1は、実施例に係る配線基板100の構成の一例を示す図である。
図1においては、配線基板100の断面を模式的に示している。
図1に示す配線基板100は、破線で囲まれた単位が
図1の左右方向に繰り返し配列されて形成されている。破線で囲まれた単位は、配線基板100に例えばインダクタなどの外部部品が搭載された後に、個々の電子装置として分離される単位である。以下では、配線基板100の例として破線で囲まれた単位を用いて実施例の説明を行う。破線で囲まれた単位の数は特に限定されない。
【0011】
なお、以下の説明においては、配線基板100の外部部品を搭載する面が上側の面(上面)であるものとして説明するが、配線基板100は、例えば上下反転して製造及び使用されても良く、任意の姿勢で製造及び使用されても良い。
【0012】
配線基板100は、第1金属層110と第2金属層120の間に例えばIC(Integrated Circuit)チップなどの第1部品130を有し、第1金属層110、第2金属層120及び第1部品130が封止樹脂140によって封止されることによって、構成される。すなわち、第1金属層110、第2金属層120及び第1部品130の周囲の空間には、封止樹脂140が充填されている。封止樹脂140の材料としては、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれらの樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0013】
第1金属層110は、第1部品130が実装される層であり、且つ配線基板100を他の配線基板等に電気的に接続する外部接続端子を形成する層である。第1金属層110の材料としては、例えば銅又は銅合金、並びに42アロイ等の鉄-ニッケル合金などを用いることができる。第1金属層110は、リードフレームと呼ばれることがある。
【0014】
第1金属層110は、端子111及びパッド部112を有する。
【0015】
端子111は、封止樹脂140の下面から突出しており、配線基板100を他の配線基板等に電気的に接続する外部接続端子として用いられる。端子111の基部は、封止樹脂140の内部に位置しており、第2金属層120に形成される層間接続部122に接触して、第2金属層120を支持する。
【0016】
パッド部112は、面状の金属板からなる部分であり、封止樹脂140の下面に配置されている。パッド部112は、封止樹脂140の下面から露出している。パッド部112の上面には、第1部品130が搭載される。具体的には、パッド部112の上面には、パッド部112の周縁に沿って外縁部113が設けられており、外縁部113によって囲まれる搭載領域上に第1部品130が搭載される。外縁部113は、パッド部112の周縁に沿った位置において、パッド部112の上面から突出している。外縁部113の先端は、封止樹脂140の内部に位置しており、第2金属層120に形成される層間接続部122に接触して、第2金属層120を支持する。なお、外縁部113は、適宜省略されても良い。
【0017】
第1部品130は、種々の機能を有する電子回路を半導体上に集積した電子部品であり、例えば、ICチップである。第1部品130の下面は、接合材131によってパッド部112に接合される。接合材131としては、例えば、はんだ、熱伝導ペースト、TIM(Thermal Interface Material)等を用いることができる。
【0018】
第2金属層120は、第1金属層110との間で第1部品130を挟持するとともに、配線基板100の上面に搭載される外部部品と接続する電極パッドを形成する層である。第2金属層120の材料としては、第1金属層110と同様に、例えば銅又は銅合金、並びに42アロイ等の鉄-ニッケル合金などを用いることができる。第2金属層120は、リードフレームと呼ばれることがある。
【0019】
第2金属層120は、電極121、層間接続部122及び配線部124を有する。
【0020】
電極121は、封止樹脂140の上面から突出しており、配線基板100の上面に搭載される外部部品(適宜「第2部品」と呼ぶ。)と接続する電極パッドを形成している。電極121の基部は、封止樹脂140の内部に位置しており、
図1には図示されていない奥側の位置において層間接続部122、配線部124又は他の配線部等と接続している。電極121の先端には、外部部品を搭載可能な端面121aが形成されている。電極121は、第2金属層120の面方向の複数の位置に設けられている。例えば、電極121は、第2金属層120の面方向において第1部品130に対応する位置に設けられ、基部が第1部品130に接続されている。電極121と第1部品130の接続は、例えば、はんだを用いて行われる。また、例えば、電極121は、第2金属層120の面方向において第1部品130に対応する位置の周囲に設けられている。
【0021】
層間接続部122は、第2金属層120と第1金属層110を接続する面状部であり、第2金属層120の面方向の電極121と隣り合う位置に設けられている。例えば、層間接続部122は、第2金属層120の面方向において互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置よりも外側の位置に設けられている。そして、層間接続部122の下面は、第1金属層110の端子111に接触して第2金属層120と第1金属層110とを電気的に接続する。また、例えば、層間接続部122は、第2金属層120の面方向において互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置に設けられている。そして、層間接続部122の下面は、第1金属層110のパッド部112の外縁部113に接触して第2金属層120と第1金属層110とを電気的に接続する。層間接続部122の上面は、電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出している。本実施例においては、層間接続部122の上面は、電極121の端面121aよりも低い封止樹脂140の上面と同一平面において露出している。層間接続部122の中央には、層間接続部122を第1金属層110まで貫通する開口部123が形成されている。
【0022】
層間接続部122の上面が電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出することにより、電極121の端面121aに外部部品が搭載された場合でも、外部部品と層間接続部122とが所定間隔だけ離間される。これにより、外部部品と層間接続部122とが接触する可能性を低くすることができる。結果として、層間接続部122と外部部品とのショートを回避することができる。
【0023】
特に、互いに隣り合う電極121に外部部品が搭載される場合、互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置と外部部品との距離が近くなる。このため、互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置に、電極121の端面121aよりも低い位置で露出する層間接続部122を設けることにより、外部部品と層間接続部122との接触を効果的に抑制することができる。結果として、互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置に設けられた層間接続部122とこれらの電極121の端面121aに搭載される外部部品とのショートを回避することができる。
【0024】
配線部124は、第2金属層120の面方向の電極121と隣り合う位置に設けられている。例えば、配線部124は、第2金属層120の面方向において互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置よりも内側の位置に設けられている。そして、配線部124の下面は、第1部品130に接続されている。配線部134と第1部品130の接続は、例えば、はんだを用いて行われる。配線部124の上面は、電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出している。本実施例においては、配線部124の上面は、電極121の端面121aよりも低い封止樹脂140の上面と同一平面において露出している。
【0025】
配線部124の上面が電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出することにより、電極121の端面121aに外部部品が搭載された場合でも、外部部品と配線部124とが所定間隔だけ離間される。これにより、外部部品と配線部124とが接触する可能性を低くすることができる。結果として、配線部124と外部部品とのショートを回避することができる。
【0026】
また、第1金属層110及び第2金属層120の封止樹脂140に覆われずに露出する面には、めっき層が形成されている。例えば、端子111の下面、端子111の側面の一部、パッド部112の下面、及びパッド部112の側面の一部には、めっき層151が形成されている。電極121の端面121a、電極121の側面の一部、層間接続部122の上面、及び配線部124の上面には、めっき層152が形成されている。層間接続部122の上面に形成されためっき層152は、層間接続部122の開口部123内にも形成されている。
【0027】
ここで、
図2を参照して、層間接続部122の開口部123付近でのめっき層152の形成位置について、具体的に説明する。
図2は、層間接続部122の開口部123付近でのめっき層152の形成位置の一例を示す図である。
図2には、一例として、第1金属層110の端子111に接触する層間接続部122が示されている。
図2に示す層間接続部122の中央には、層間接続部122を第1金属層110の端子111まで貫通する開口部123が形成されている。端子111の基部111aの端面は、第1金属層110の上面に相当する。めっき層152は、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び開口部123において露出する端子111の基部111aの端面に形成されている。めっき層152は、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び開口部123において露出する端子111の基部111aの端面を被覆することにより、層間接続部122を第1金属層110に接合することができる。層間接続部122が第1金属層110に接合されることにより、第2金属層120と第1金属層110との結合強度を増大させることができ、結果として、第1金属層110と第2金属層120との接続信頼性を向上することができる。
【0028】
[電子装置の構成]
図3は、実施例に係る配線基板100を用いて作製された電子装置200の構成の一例を示す図である。
図3においては、電子装置200の断面を模式的に示している。
図3に示すように、電子装置200は、配線基板100と、配線基板100に搭載される第2部品210と、第2部品210を被覆する封止樹脂220とを有する。配線基板100は、第1金属層110と、第2金属層120と、封止樹脂140とを有する。
【0029】
第2部品210は、例えばインダクタ等の外部部品であり、第2金属層120の互いに隣り合う電極121に搭載される。ここで、互いに隣り合う電極121によって挟まれる位置には、電極121の端面121aよりも低い層間接続部122が設けられているため、電極121の端面121a上の第2部品210と層間接続部122とが所定間隔だけ離間される。このため、第2部品210と層間接続部122との接触が抑制され、結果として、第2部品210と層間接続部122とのショートが回避される。
【0030】
封止樹脂220は、第2部品210を被覆するように封止樹脂140上に形成され、第2部品210を封止する。
【0031】
[配線基板の製造方法]
次に、実施例に係る配線基板100の製造方法について、具体的に例を挙げながら、
図4のフローチャートを参照して説明する。
図4は、実施例に係る配線基板100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、配線基板100の骨格となる第1金属層110及び第2金属層120が形成される(ステップS101、S102)。第1金属層110及び第2金属層120は、それぞれ金属板のエッチングによって形成される。具体的には、例えば
図5に示すように、第1金属板300が、エッチングにより第1部品130を搭載可能な搭載領域Rと突起301と搭載領域Rを囲む突起302とを残存させるように溶解されることによって、第1金属層110が形成される。
図5は、第1金属層形成工程の具体例を示す図である。突起301は、端子111が形成される予定の位置に形成される。突起302は、パッド部112の外縁部113が形成される予定の位置に形成される。
【0033】
また、例えば
図6に示すように、第2金属板400が、エッチングにより複数の第1突起401と第1突起401と隣り合う位置に設けられた複数の第2突起402及び第3突起403とを残存させるように溶解されることによって、第2金属層120が形成される。このとき、ハーフエッチングにより、各第2突起402の両端面に、互いに連通しない凹部402a、402bが形成される。
図6は、第2金属層形成工程の具体例を示す図である。複数の第1突起401は、電極121が形成される予定の位置に形成される。複数の第2突起402は、層間接続部122が形成される予定の位置に形成される。第3突起403は、配線部124が形成される予定の位置に形成される。
【0034】
金属板のエッチングにより第1金属層110及び第2金属層120が形成されると、第2金属層120の複数の第1突起401のうちの一部の第1突起401及び第3突起403に第1部品130が接合される(ステップS103)。具体的には、例えば
図7に示すように、複数の第1突起401のうち、第1部品130と接続される電極121に対応する第1突起401と、第3突起403とに第1部品130が接合される。
図7は、第1部品接合工程の具体例を示す図である。第1部品130は、例えば、はんだによって第1突起401及び第3突起403に接合される。
【0035】
第2金属層120の複数の第1突起401のうちの一部の第1突起401及び第3突起403に第1部品130が接合されると、第1金属層110上に第2金属層120が積層される(ステップS104)。すなわち、第1部品130が接合材131によって搭載領域Rに接合され且つ複数の第2突起402が突起301、302と接触するように、第1金属層110上に第2金属層120が積層される。これにより、例えば
図8に示すように、第1金属層110及び第2金属層120によって第1部品130を挟む中間構造体が形成される。
図8は、金属層積層工程の具体例を示す図である。
【0036】
中間構造体は、例えばトランスファーモールド法により、樹脂封止される(ステップS105)。すなわち、中間構造体が金型のキャビティに設置され、未硬化の封止樹脂140が金型のキャビティへ注入された後、封止樹脂140が加熱されて硬化する。樹脂封止の方法としては、トランスファーモールド法の他に、例えばコンプレッションモールド法やインジェクションモールド法等を用いても良い。中間構造体が樹脂封止されることにより、例えば
図9に示すように、第1金属層110と第2金属層120の間の空間に封止樹脂140が充填され、第1部品130が封止される。
図9は、樹脂封止工程の具体例を示す図である。
【0037】
中間構造体が樹脂封止されると、第1金属層110及び第2金属層120に対するエッチングが行われる(ステップS106)。具体的には、例えば第1金属層110のうち第1部品130及び突起301、302と重ならない所定部分がエッチングされ、端子111、パッド部112及び外縁部113が形成される。すなわち、例えば
図10に示すように、突起301の位置において、端子111が形成され、第1部品130及び突起302の位置において、パッド部112及び外縁部113が形成される。
【0038】
また、例えば第2金属層120のうち複数の第1突起401と重ならない所定部分がエッチングされ、電極121、層間接続部122及び配線部124が形成される。すなわち、例えば
図10に示すように、各第1突起401の位置において、電極121が形成され、各第2突起402の位置において、層間接続部122が形成され、第3突起403の位置において、配線部124が形成される。また、各第2突起402の両端面に形成された凹部402a、402bの位置において、凹部402a側からのエッチングにより凹部402aと凹部402bとが連通されることで、開口部123が形成される。
図10は、エッチング工程の具体例を示す図である。
【0039】
このように、エッチングにより、第1金属層110に端子111、パッド部112及び外縁部113が形成されると同時に、第2金属層120に電極121、層間接続部122及び配線部124が形成される。また、第2金属層120においては、凹部402aと凹部402bとを連通させるエッチングが行われることによって、層間接続部122に、第1金属層110の上面まで貫通する開口部123が形成される。
【0040】
エッチングにより形成された層間接続部122の上面は、電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出している。これにより、第2部品210を搭載可能な端面121aと層間接続部122の上面との間に一定の高さの差を確保することができる。その結果、電極121の端面121aに第2部品210が搭載された場合でも、第2部品210と層間接続部122との接触可能性を低減することができ、ショートを回避することができる。
【0041】
また、エッチングにより形成された配線部124の上面は、電極121の端面121aよりも低い位置で封止樹脂140の上面から露出している。これにより、第2部品210を搭載可能な端面121aと配線部124の上面との間に一定の高さの差を確保することができる。その結果、電極121の端面121aに第2部品210が搭載された場合でも、第2部品210と配線部124との接触可能性を低減することができ、ショートを回避することができる。
【0042】
エッチングが完了すると、封止樹脂140の外部に露出する金属部分に電解めっきが行われる(ステップS107)。具体的には、第1金属層110側又は第2金属層120側から給電されることにより、中間構造体全体の表面に電解めっきが施される。これにより、第1金属層110及び第2金属層120の封止樹脂140から露出する金属部分にめっき層が形成される。
【0043】
すなわち、例えば
図11に示すように、端子111の下面、端子111の側面の一部、パッド部112の下面、及びパッド部112の側面の一部にめっき層151が形成される。また、電極121の端面121a、電極121の側面の一部、層間接続部122の上面、及び配線部124の上面にめっき層152が形成される。
図11は、電解めっき工程の具体例を示す図である。めっき層151、152の形成方法としては、電解めっき法の他に、PPF(Pre Plated leadFrame)法等を用いても良い。
【0044】
めっき層152は、層間接続部122の上面の他に、開口部123の内側面、及び開口部123において露出する端子111の基部111aの端面に形成される。めっき層152は、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び開口部123において露出する端子111の基部111aの端面を被覆する。このように、中間構造体全体の表面に電解めっきが施される際に、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び開口部123において露出する端子111の基部111aの端面にめっき層152が形成される。このため、めっき層152によって層間接続部122を第1金属層110に接合することができる。層間接続部122が第1金属層110に接合されることにより、第2金属層120と第1金属層110との結合強度を増大させることができ、結果として、第1金属層110と第2金属層120との接続信頼性を向上することができる。
【0045】
[電子装置の製造方法]
次に、実施例に係る電子装置200の製造方法について、具体的に例を挙げながら、
図12を参照して説明する。
図12は、実施例に係る電子装置200の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、配線基板100の電極121に第2部品210が搭載される(ステップS201)。具体的には、例えば
図13に示すように、はんだ等の接合材によって電極121の端面121aに第2部品210が接合される。このとき、電極121の端面121aよりも低い位置で層間接続部122の上面が封止樹脂140の上面から露出しているため、第2部品210と層間接続部122とが離間され、ショートを発生させることなく第2部品210を電極121に接合することができる。また、電極121の端面121aよりも低い位置で配線部124の上面が封止樹脂140の上面から露出しているため、第2部品210と配線部124とが離間され、ショートを発生させることなく第2部品210を電極121に接合することができる。
図13は、第2部品搭載工程の具体例を示す図である。
【0047】
第2部品210が電極121に接合されると、配線基板100に搭載された第2部品210を封止樹脂により封止するモールドが行われる(ステップS202)。具体的には、第2部品210を搭載した配線基板100が金型に収容され、未硬化の封止樹脂が金型内に注入される。そして、封止樹脂が所定の温度に加熱されて硬化することにより、例えば、
図14に示すように、第2部品210の周囲の空間に封止樹脂220が充填され、配線基板100に搭載された第2部品210が封止される。このとき、層間接続部122に開口部123が形成されているため、封止樹脂220が開口部123内の空間まで充填され、配線基板100と封止樹脂220との結合強度が向上する。すなわち、配線基板100が封止樹脂220から脱離する可能性を低減することができる。
図14は、モールド工程の具体例を示す図である。
【0048】
配線基板100に搭載された第2部品210が封止樹脂220によって封止されると、配線基板100が個片に分離される(ステップS203)。具体的に、例えば
図15に示すように、封止樹脂220及び配線基板100がブレード500により切断されることで、配線基板100が個片に分離される。
図15は、分離工程の具体例を示す図である。配線基板100が個片に分離されることで、
図3に示す電子装置200が完成する。
【0049】
以上のように、実施例に係る配線基板(例えば、配線基板100)は、第1金属層(例えば、第1金属層110)と、第2金属層(例えば、第2金属層120)と、封止樹脂(例えば、封止樹脂140)とを有する。第2金属層は、第1金属層上に設けられる。封止樹脂は、第1金属層と第2金属層との間に充填される。第2金属層は、電極(例えば、電極121)と、層間接続部(例えば、層間接続部122)とを有する。電極は、封止樹脂の上面から突出し、電子部品を搭載可能な端面(例えば、端面121a)を有する。層間接続部は、上面が電極の端面よりも低い位置で封止樹脂の上面から露出し、第1金属層に接触する。これにより、実施例によれば、層間接続部と外部部品とのショートを回避することができる。
【0050】
また、実施例に係る第2金属層は、開口部(例えば、開口部123)と、めっき層(例えば、めっき層152)とをさらに有する。開口部は、層間接続部を第1金属層の上面まで貫通する。めっき層は、層間接続部の上面、開口部の内側面、及び開口部において露出する第1金属層の上面に形成される。これにより、実施例によれば、層間の接続信頼性を向上することができる。
【0051】
また、実施例に係る第2金属層は、配線部(例えば、配線部124)をさらに有する。配線部は、上面が電極の端面よりも低い位置で封止樹脂の上面から露出する。これにより、実施例によれば、配線部と外部部品とのショートを回避することができる。
【0052】
また、実施例に係る電極は、第2金属層の面方向に沿った複数の位置に設けられ、層間接続部は、互いに隣り合う電極によって挟まれる位置に設けられる。これにより、実施例によれば、互いに隣り合う電極によって挟まれる位置に設けられた層間接続部と互いに隣り合う電極に搭載される外部部品とのショートを回避することができる。
【0053】
[変形例]
なお、上記実施例においては、開口部123において露出する第1金属層110の上面(例えば、端子111の基部111aの端面)にめっき層152を形成することにより、第2金属層120と第1金属層110との接続信頼性を向上する場合を示した。しかしながら、めっき層152は、第1金属層110の上面よりも低い位置に形成されてもよい。ここでは、めっき層152の形成位置の他の一例について、
図16を参照しながら説明する。
【0054】
図16は、層間接続部122の開口部123付近でのめっき層152の形成位置の他の一例を示す図である。
図16には、一例として、第1金属層110の端子111に接触する層間接続部122が示されている。
図16に示す層間接続部122の中央には、層間接続部122を第1金属層110の端子111まで貫通する開口部123が形成されている。端子111の基部111aの端面は、第1金属層110の上面に相当する。基部111aの端面には、開口部123と連通し、基部111aの端面よりも低い位置まで陥没する凹部114が形成されている。めっき層152は、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び凹部114の内壁面に形成されている。めっき層152は、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び凹部114の内壁面を被覆することにより、層間接続部122を第1金属層110に接合することができる。凹部114の内壁面は、平坦面と比較して表面積が大きい湾曲面であるため、めっき層152が凹部114の内壁面に形成されることにより、めっき層152が基部111aの端面に形成される場合と比べて、めっき層152の被覆面積を増大させることができる。この結果、層間接続部122と第1金属層110とを接合するめっき層152の被覆面積が増大し、第1金属層110と第2金属層120との接続信頼性をより向上することができる。凹部114は、例えば、
図4のエッチング工程(ステップS106)において、第1金属層110の上面よりも低い位置までオーバーエッチングが行われることにより、形成される。
【0055】
このように、層間接続部122の上面、開口部123の内側面、及び凹部114の内壁面にめっき層152を形成することにより、第1金属層110と第2金属層120との接続信頼性をより向上することができる。
【0056】
また、上記実施例においては、複数の第2突起402を有する第2金属層120を形成する際に、各第2突起402の両端面に凹部402a、402bを形成するものとしたが、各第2突起402の基端側の端面への凹部402aの形成は省略されても良い。
図17は、第2金属層形成工程の他の具体例を示す図である。すなわち、例えば
図17に示すように、第2金属層120が形成される際に、各第2突起402の基端側の端面に凹部が形成されず、ハーフエッチングにより、各第2突起402の先端側の端面のみに凹部402bが形成されても良い。この場合、後のエッチングにより凹部402bの位置において開口部123を確実に形成する観点から、凹部402bは、各第2突起402の周囲及び他の突起の周囲に位置する他の凹部よりも深いことが好ましい。
【0057】
各第2突起402の先端側の端面のみに凹部402bが形成される場合、基本的には上記実施例と同様に、第2金属層120に対するエッチングが行われる(ステップS106)。すなわち、第2金属層120のうち複数の第1突起401と重ならない所定部分がエッチングされ、電極121、層間接続部122及び配線部124が形成される。このとき、凹部402bの位置において、各第2突起402の基端側からのエッチングにより、開口部123が形成される。
【0058】
また、上記実施例において、第2金属層120は、第1金属層110に比べて薄い金属が用いられても良い。第2金属層120は、第1部品130と直接接続されるため、第1金属層110に比べて微細な配線が求められる。配線を形成する際に行われるエッチングは、通常、等方的に進むため、厚さ方向のエッチング量は水平方向のエッチング量と等しい。従って、厚さ方向のエッチング量が少なければ水平方向の配線間距離も短くて済むため、微細配線が必要な第2金属層120は薄い方が良い。一方で、第1部品130を内包するパッド部112を含む第1金属層110は厚い方が好ましい。
【0059】
また、第1金属層110が第2金属層120よりも厚い場合、第1金属層110及び第2金属層120の配線等が、同じエッチング時間で形成されることが好ましい。このため、第1金属層110を形成する際に、エッチングの対象となる部分を他の部分よりも薄く形成してもよい。
図18は、第1金属層形成工程の他の具体例を示す図である。すなわち、例えば
図18に示すように、第1金属層110が形成される際に、エッチングの対象となる部分にハーフエッチングにより凹部300aが形成されることによって、第1金属板300が部分的に薄肉化されても良い。
【符号の説明】
【0060】
100 配線基板
110 第1金属層
111 端子
112 パッド部
113 外縁部
114 凹部
120 第2金属層
121 電極
121a 端面
122 層間接続部
123 開口部
124 配線部
130 第1部品
140 封止樹脂
151、152 めっき層
200 電子装置
210 第2部品
220 封止樹脂
300 第1金属板
400 第2金属板
401 第1突起
402 第2突起
402a、402b 凹部
403 第3突起
R 搭載領域