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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】弾性膜
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/26 20060101AFI20240508BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240508BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C08J9/26 102
C08J9/26 CFF
C08G18/48 054
C08G18/65
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020520538
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018077308
(87)【国際公開番号】W WO2019072757
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】17195796.2
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】プリソク,フランク
(72)【発明者】
【氏名】アーレルス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グロンヴァルト,オリファー
【審査官】馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-525822(JP,A)
【文献】特表2015-522680(JP,A)
【文献】特表2014-534352(JP,A)
【文献】特開2008-260862(JP,A)
【文献】特開昭63-227638(JP,A)
【文献】特開2014-040109(JP,A)
【文献】国際公開第2016/167312(WO,A1)
【文献】特開2016-204635(JP,A)
【文献】特開2017-105913(JP,A)
【文献】国際公開第2006/095591(WO,A1)
【文献】米国特許第03715326(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00 - 9/42
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有するエラストマーを含む弾性膜であって、
前記エラストマーは熱可塑性エラストマー(P1)を含み、
前記熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-11重量%から79重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-21重量%から89重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有し、且つポリオールである、少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含み、
DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定された2000nm未満の平均細孔径を有する細孔を有し、及び
膜の平均厚は200μm未満であり、
弾性膜内の細孔径分布は、膜の第1の表面の孔の孔径と第2の表面の孔の孔径との比、1:100から1:500の範囲である勾配を有し
前記少なくとも1つのジオール(D1)は、アルキレン部位に2から10個の炭素原子を有するアルカンジオールから成る群から選ばれ、及び
前記少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール及びそれらの2つ以上の混合物から成る群から選ばれることを特徴とする、弾性膜。
【請求項2】
DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%における相対水蒸気透過率(WVPrel)は50[g*mm/m*d]より大きく、および、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%における絶対水蒸気透過率(WVPabs)は1000[g/m*d]より大きい、請求項1に記載の弾性膜。
【請求項3】
DIN EN 20811に従って決定された水密性(LEP)が、2バールより大きい、請求項1または2に記載の弾性膜。
【請求項4】
前記少なくとも1つのジオール(D1)は、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の弾性膜。
【請求項5】
前記少なくとも1つのイソシアネート(I1)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)からなる群から選択されたポリイソシアネートである、請求項1から4のいずれか1項に記載の弾性膜。
【請求項6】
前記少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリテトラヒドロフラン(pTHF)である、請求項1から5のいずれか1項に記載の弾性膜。
【請求項7】
生地、およびDIN 53504に従って測定された150%より大きい全体的な破断伸びを有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの積層弾性膜を含む弾性生地。
【請求項8】
布地のコーティングのための請求項1から6のいずれかに記載の弾性膜の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有する、エラストマーを含む弾性膜に関する。本発明は、さらにDIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有する、弾性膜を製造する方法およびこの方法によって取得されるまたは取得可能な弾性膜に関する。本発明は、さらにDIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有する、生地および少なくとも1つの積層弾性膜を含む弾性生地、ならびに布地のコーティングに弾性膜の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
防水性、通気性のある衣類および靴は、通常、機能層として、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)(特許文献1、特許文献2)またはポリエステル(Sympatex)(特許文献3)を膜または薄膜の形態で含む。ハロゲン含有ePTFEの使用は、環境保護の理由のみ問題がある。さらに、非熱可塑性材料に関する問題は、通常、機能層を支持素材に縫い付ける必要があり、縫い目ステッチが機能層の素材を水に浸透させることである(特許文献4)。したがって、耐水性は通常、縫い目を覆う接着剤またはシーリングテープで次いでシールすることによって確保される必要があり、シーリングは、結合または溶接プロセスによって行われる。縫製の代案は今まで知られておらず、例えば、平面接着接合のような方法は、例えば、機能材料が平面接着接合の結果として通気性を失い、やがて剥離現象が生じる等の欠点を伴う。現在知られている熱可塑性エラストマーフィルムの場合、衣類、靴またはアウトドアの分野でも使用されているが、これらのフィルムが高い吸水性のために比較的高い水蒸気透過性を示すだけでなく、非常に高い膨潤性を示すことは通常は不利であり、快適な装着感という点では多孔質膜には及ばない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第3,953,566号
【文献】米国特許第3,962,153号
【文献】米国特許第5,562,977号
【文献】米国特許出願公開第2015/0230563号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を持たない熱可塑性材料を提供することであり、特に、良好な水密性(LEP)と水蒸気透過性(WVP)に加えて、良好な機械的特性を有する熱可塑性材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有するエラストマーを含む弾性膜によって達成された。
好ましい実施形態では、弾性膜は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される2000nm未満の平均細孔径を有する細孔を有する。弾性膜は、特に好ましくは、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される0.001μmから0.8μmの範囲の平均細孔径、および200μm未満の膜の平均厚さ、好ましくは5~100μmの範囲の膜の平均厚さを有する。
【0006】
本発明の文脈において、膜は、2つの液体を、または分子および/またはイオン成分または粒子を液体から分離することができる薄い半透過性構造であると理解される。膜は、他を保持しながら、いくつかの粒子、物質、または化学物質を通過可能にする選択的バリアとして機能する。例えば、膜は、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜、または精密濾過(MF)膜であり得る。
【0007】
本発明の弾性膜は、例えば弾性率の増加および破断伸びの増加などの改善された機械的特性を有する。同時に、それらは、WVPおよびLEPに関して先行技術の膜に匹敵する特性を有する。また、本発明の弾性膜の改善された機械的特性には、DIN 53504に従って測定された、その引張強度が5MPaより大きいという事実が含まれる。
【0008】
弾性膜の好ましい実施形態において、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%での相対水蒸気透過率(WVPrel.)は50[gmm/m2*d]を超え、および、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%での絶対水蒸気透過率(WVPabs.)は1000[g/m2*d]を超える。
【0009】
弾性膜のさらに好ましい実施形態では、DIN EN 20811に従って決定される水密性(LEP)が、2バールを超え、好ましくは2から5バールの範囲、より好ましくは3から4バールの範囲である。
【0010】
膜内の細孔径分布は均一でないことが好ましく;膜は、好ましくは、様々な孔径を有する孔を含む。細孔径分布は、好ましくは、膜の直径にわたって勾配を有し、本発明の文脈内で、勾配は、膜の第1の表面またはこの表面の近くの細孔が、第2の表面またはこの第2の表面の近くの平均細孔直径とは異なる平均細孔直径を有する勾配を意味すると理解される。本発明の文脈内で、例えば、第1の表面またはその近くの細孔は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定され、0.001μmから0.01μmの範囲の平均細孔直径を有し、また、第2の表面またはその近くの細孔の平均細孔径は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定され、0.1μmから0.8μmの範囲を有することができる。膜内の細孔径の勾配の程度は、広い範囲で変化し得る。膜の第1の表面またはその近くの孔の孔径と第2の表面またはその近くの孔の孔径との比は、例えば、1:5から1:10000の範囲、好ましくは1:10から1:1000、より好ましくは1:100から1:500の範囲である。好ましい実施形態では、弾性膜の細孔径分布は、膜の直径にわたって勾配を有する。
【0011】
弾性膜の好ましい実施形態では、エラストマーは、熱可塑性エラストマー(P1)を含む。熱可塑性エラストマー(P1)は、好ましくは、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマーとエチレン酢酸ビニルエラストマーからなる群から選択され、好ましくはポリウレタンエラストマーである。
【0012】
特に好ましい実施形態では、熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-11重量%から79重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-21重量%から89重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)、
とに基づくポリウレタンエラストマーである。
【0013】
より好ましい実施形態では、熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-15重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から85重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)、
とに基づくポリウレタンエラストマーである。
【0014】
より好ましくは、熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-20重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から80重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)、
とに基づくポリウレタンエラストマーである。
【0015】
より好ましくは、熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-55重量%から70重量%の少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-30重量%から45重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)、
とに基づくポリウレタンエラストマーである。
【0016】
少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)のモル比は、典型的には95:100から100:95の範囲である。少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)のモル比は、好ましくは98:100から100:98の範囲、より好ましくは99:100から100:99の範囲である。
【0017】
少なくとも1つの化合物(C1)は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する任意の化合物であり得る。イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシ基またはアミノ基である。少なくとも1つの化合物(C1)を添加して、熱可塑性エラストマー(P1)の特性を変更することができる。熱可塑性エラストマー(P1)の製造に適した化合物であれば、任意の化合物でも使用され得るが、特に、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)との混合物を含むポリウレタンエラストマーが使用され得る。例えば、少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオール、あるいは、ポリオール以外の少なくとも2つのヒドロキシ基または少なくとも2つのアミノ基を有するポリマー、例えば、シリコンを含む疎水性ポリマーまたはオリゴマーであり得る。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオールである。すべての適切なポリオール、例えばポリエーテルジオールまたはポリエステルジオール、またはそれらの2つ以上の混合物がここで使用可能である。適切なポリエーテルポリオールまたはポリエーテルジオールは、例として、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物に基づくポリエーテルジオール、例えばブロックコポリマーなどのコポリマーである。さらに、任意の適切なポリエステルジオールを使用することができ、ここではポリカーボネートジオールを含むポリエステルジオールも含む。
【0019】
弾性膜の好ましい実施形態では、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオール、好ましくはポリテトラヒドロフラン(pTHF)である。
【0020】
少なくとも1つのイソシアネート(I1)は、好ましくは少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)である。使用され得るポリイソシアネート(I1)は、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートである。挙げられる例は、以下の芳香族イソシアネート:2,4-トルエンジイソシアネート、2,4-および2,6-ジイソシアネートの混合物、4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ウレタン変性液体4,4’-および/または2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエタン、モノメリックメタンジフェニルジイソシアネートと、他の高級多環メタンジフェニルジイソシアネート同族体(ポリメリックMDI)の混合物、1,2-および1,5-ナフチレンジイソシアネートである。
【0021】
脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族および/または環状脂肪族ジイソシアネート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート,IPDI)、1,4-および/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)は、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)からなる群から選択され、より好ましくはMDIである。
【0022】
ポリイソシアネートは、純粋な形態または組成物の形態で、例えば、イソシアネートプレポリマーとして使用することができる。さらに、ポリイソシアネートおよび少なくとも1つの溶媒を含む混合物を使用することができ、適切な溶媒は当業者に知られている。
【0023】
ポリイソシアネートプレポリマーは、上記のポリイソシアネートを過剰に、例えば30から100℃の範囲の温度で、好ましくは80℃を超える温度でポリオールと反応させて、プレポリマーを得ることにより得ることができる。プレポリマーの製造のために、例えば、アジピン酸から進行するポリエステルに基づく、または例えばテトラヒドロフラン、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから進行するポリエーテルに基づく、ポリイソシアネートおよび市販のポリオールを使用することが好ましい。
【0024】
ポリオールは当業者に既知であり、例えば「Kunststoffhandbuch、7、Polyurethane」[プラスチックハンドブック、7巻、ポリウレタン]、Carl Hanser発行、第3版、1993、3.1節に記載されている。好ましく使用されるポリオールは、イソシアネートに対して反応的な水素原子を有するポリマー化合物である。特に好ましいポリオールは、ポリエーテルオールである。
【0025】
ポリイソシアネートプレポリマーの調製において、慣用の連鎖延長剤または架橋剤を場合によりポリオールに添加することができる。好ましい連鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、ジプロピレングリコールおよび/またはトリプロピレングリコールである。この場合、ポリオールおよび鎖延長剤に対する有機ポリイソシアネートの比率は、好ましくは、イソシアネートプレポリマーが2%から30%の範囲、より好ましくは6%から28%の範囲、より好ましくは、10%から24%の範囲でのNCO含有量を有するように選択される。
【0026】
使用されるジオール(D1)は、一般に、任意のジオールであり得る。ジオール(D1)は、好ましくは、0.05kg/molから0.499kg/molの範囲のモル質量を有する、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族、および/または脂環式化合物、好ましくは2官能性化合物、例えばアルキレン部位に2から10個の炭素原子を有するジアミンおよび/またはアルカンジオール、3から8個の炭素原子を有する、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-、および/またはデカアルキレングリコール、特に1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ならびに、好ましくは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、およびネオペンチルグリコールのような対応するオリゴ-および/またはポリプロピレングリコールから選択することができ、混合物を使用することもまた可能である。ジオールは、第1級ヒドロキシ基のみを有することが好ましく、特にエタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールが好ましい。したがって、ジオール(D1)は、好ましくは、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールからなる群から選択され、特に好ましくは、少なくとも1,4-ブタンジオールを含む。
【0027】
熱可塑性エラストマー(P1)の調製では、更なる化合物、例えば触媒および/または慣用的な補助剤および/または添加剤が使用され得る。
【0028】
慣用の補助剤は、例えば、界面活性物質、充填剤、難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑助剤および離型助剤、染料、顔料、および任意で、例えば、加水分解、光、熱または変色に対する安定剤、無機および/または有機充填剤、補強剤、可塑剤である。慣用な補助剤および添加剤は、例えば、「Kunststoffhandbuch」[プラスチックハンドブック](「Kunststoffhandbuch」;第7巻、「Polyurethane」「ポリウレタン」Carl Hanser Verlag、1966(103~113頁)に見出すことができる。
【0029】
本発明によれば、少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(P1)、特に、上記のポリウレタンエラストマーが使用された場合、熱可塑性エラストマー(P1)、特にポリウレタンエラストマーの適切な溶液からの転相により、安定したフィルムまたは膜が作成され得ることが見出された。
【0030】
したがって、さらなる態様では、本発明は、DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有するエラストマーを含む弾性膜を製造する方法にも関し、該方法は、
(i)少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(P1)を含む溶液(L1)を提供すること、
(ii)転相により溶液(L1)から膜を作成すること、
を含む。
【0031】
(i)によれば、少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(P1)を含む溶液(L1)が提供される。溶液(L1)は、熱可塑性エラストマー(P1)、特に上記のポリウレタンエラストマー、および少なくとも1つの適切な溶媒または溶媒混合物を含む。適切な溶媒は、例えば、有機物、特に非プロトン性極性有機溶媒からなる群から選択される。適切な溶媒は、80から320℃の範囲、好ましくは100から280℃の範囲、より好ましくは、150から250℃の範囲の沸点を有する。適切な非プロトン性極性有機溶媒は、例えば、高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称的にハロゲン化された炭化水素、アニソール、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N、N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパンアミド、N、N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパンアミド、N、N-ジメチル-2-メトキシプロパンアミド、N、N-ジエチル-2-メトキシプロパンアミド、N-ホルミルピロリジン、N-アセチルピロリジン、N-ホルミルピペリジン、N-アセチルピペリジン、N-アセチルモルホリン、N-メチル-2-ピロリドンおよび/またはN-エチル-2-ピロリドンである。これらの溶媒の2つ以上の混合物も使用され得る。
【0032】
本発明の範囲内で、溶液(L1)の溶媒としてN-メチルピロリドンが特に好ましい。溶液(L1)は、熱可塑性エラストマー(P1)、特にポリウレタンエラストマーを、溶液からのフィルムの形成に十分な量で含むことができる。例えば、溶液(L1)は、10重量%から35重量%の熱可塑性エラストマー(P1)、特にポリウレタンエラストマー、好ましくは15重量%から25重量%、を含むことができる。
【0033】
本発明によれば、溶液(L1)は高温で調製することができる。
【0034】
溶液(L1)は、少なくとも熱可塑性エラストマー(P1)、特にポリウレタンエラストマーを含むが、さらなる化合物または添加剤を含んでもよい。好ましい実施形態では、本発明は方法であって、該方法では溶液(L1)は、さらなる官能基を有しないモノ-、ジ-、およびトリアルカノールからなる群から、好ましくはイソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレントリオール(グリセロール)好ましくはグリセロールからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、方法に関する。
【0035】
(ii)によれば、膜は、転相によって溶液(L1)から作成される。適切な方法は、それ自体当業者に知られている。本発明によれば、非溶媒誘導相反転が行われる。したがって、ステップ(ii)は、例として、ステップ(ii-a)および(ii-b)を含んでよい。
【0036】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は(ii)が(ii-a)および(ii-b)を含む方法に関する:
(ii-a) 溶液(L1)からフィルムを形成すること。
(ii-b) (ii-a)のフィルムを混合物(L2)と接触させること。
【0037】
ステップp(ii-a)により、当業者に既知の方法を使用して、溶液(L1)からフィルムが形成される。続いて、フィルムが(ii-b)のように混合物(L2)と接触される。ステップ(ii)は、得られる膜の凝固を誘発する。混合物(L2)は、凝固を誘発するのに適した任意の化合物(凝固剤)を含むことができる。混合物(L2)は、特に熱可塑性エラストマー(P1)、特にポリウレタンエラストマーに対する溶解度が低い。使用した溶媒は、(L1)の調製のためのものであった。例えば水または水を含む混合物などの非溶媒を、(L2)のために使用することが好ましい。したがって、適切な凝固剤は、液体水、水蒸気、アルコール、またはそれらの2つ以上の混合物を含む。一実施形態では、(L2)は、液体水、水蒸気、アルコールまたはそれらの混合物の群から選択される凝固剤を含む。凝固剤として好ましいアルコールは、さらなる官能基を有しないモノ-、ジ-またはトリアルカノールであり、例えば、イソプロパノール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールである。好ましい実施形態では、本発明は、混合物(L2)が液体水を含む方法に関する。
【0038】
本発明によれば、ステップ(ii)、特に、ステップ(ii-a)および/または(ii-b)は、高温で行うことができる。
【0039】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、弾性膜を製造する方法であって、以下を含む方法に関する。
【0040】
(i)少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(P1)を含む溶液(L1)を提供すること;
(ii)転相によって溶液(L1)から膜を作成することであって、以下を含む。
(ii-a)溶液(L1)からフィルムを形成すること;および
(ii-b)(ii-a)のフィルムを混合物(L2)と接触させること。
本方法は追加のステップ、たとえば、洗浄ステップや熱処理を含むことができる。
【0041】
一実施形態では、本発明は、得られた弾性膜が、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される2000nm未満の平均細孔径の細孔を有する方法に関する。
【0042】
さらなる実施形態では、本発明は、得られた弾性膜の平均細孔径が、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定される0.001μmから0.8μmの範囲であり、そして、膜の平均厚は200μm未満、好ましくは5から100μmの範囲である方法に関する。
【0043】
さらなる実施形態では、本発明は、得られた弾性膜の引張強度が、DIN 53504に従って測定される5MPaより大きい方法に関する。
【0044】
さらなる実施形態において、本発明は、得られた弾性膜の相対水蒸気透過率(WVPrel.)が、DIN 53122に従って38℃、相対湿度90%で50[gmm/m2*d]を超え、絶対水蒸気透過率(WVPabs.)が、DIN 53122に従って38°C、相対湿度90%で1000[g/m2*d]を超える方法に関する。
【0045】
さらなる実施形態では、本発明は、得られた弾性膜の水密性(LEP)が、DIN EN 20811に従って測定される2バールより大きく、好ましくは2から5バールの範囲、より好ましくは3から4バールの範囲である方法に関する。
【0046】
さらなる実施形態では、本発明は、細孔径分布が弾性膜の直径にわたって勾配を有する方法に関する。
【0047】
さらなる実施形態では、本発明は、熱可塑性エラストマー(P1)が、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、および、エチレン酢酸ビニルエラストマーからなる群から選択され、好ましくはポリウレタンエラストマーである方法に関する。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明は、熱可塑性エラストマー(P1)が、以下の成分に基づくポリウレタンエラストマーを含む方法に関する:
-11重量%から79重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物、
-21重量%から89重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)。
【0049】
より好ましい実施形態では、本発明は、熱可塑性エラストマー(P1)が、以下の成分に基づくポリウレタンエラストマーを含む方法に関する:
-15重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から85重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)。
【0050】
より好ましい実施形態では、本発明は、熱可塑性エラストマー(P1)が、以下の成分に基づくポリウレタンエラストマーを含む方法に関する:
-20重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から80重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)。
【0051】
より好ましい実施形態では、本発明は、熱可塑性エラストマー(P1)が、以下の成分に基づくポリウレタンエラストマーを含む方法に関する:
-55重量%から70重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-30重量%から45重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)。
【0052】
少なくとも1つの化合物(C1)は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する任意の化合物であり得る。イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシ基またはアミノ基である。少なくとも1つの化合物(C1)を添加して、熱可塑性エラストマー(P1)の特性を変更することができる。熱可塑性エラストマー(P1)の製造に適した化合物であれば、どのような化合物でも使用され得るが、特に、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)の混合物を含むポリウレタンエラストマーが使用され得る。例えば、少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオール、あるいは、ポリオール以外の少なくとも2つのヒドロキシ基または少なくとも2つのアミノ基を有するポリマー、例えば、シリコンを含む疎水性ポリマーまたはオリゴマーであり得る。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオールである。すべての適切なポリオール、例えばポリエーテルジオールまたはポリエステルジオール、またはそれらの2つ以上の混合物がここで使用可能である。適切なポリエーテルポリオールまたはポリエーテルジオールは、例として、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物に基づくポリエーテルジオール、例えばブロックコポリマーなどのコポリマーである。さらに、任意の適切なポリエステルジオールを使用することができ、ポリカーボネートジオールも含むポリエステルジオールを含む。
【0054】
弾性膜の好ましい実施形態では、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオール、好ましくはpTHFである。
【0055】
少なくとも1つのイソシアネート(I1)は、好ましくは少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)である。使用され得るポリイソシアネート(I1)は、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートである。挙げられる例は、以下の芳香族イソシアネート:2,4-トルエンジイソシアネート、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-および4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ウレタン変性液体4,4’-および/または2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエタン、モノメリックメタンジフェニルジイソシアネートと、他の高級多環メタンジフェニルジイソシアネート同族体(ポリメリックMDI)の混合物、1,2-および1,5-ナフチレンジイソシアネートである。
【0056】
脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族および/または環状脂肪族ジイソシアネート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート,IPDI)、1,4-および/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-および/または2,2’-ジイソシアネートである。
【0057】
少なくとも1つのポリイソシアネート(I1)は、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)からなる群から選択され、より好ましくはMDIである。ポリイソシアネートは、純粋な形態または組成物の形態で、例えば、イソシアネートプレポリマーとして使用することができる。さらに、ポリイソシアネートおよび少なくとも1つの溶媒を含む混合物を使用することができ、適切な溶媒は当業者に知られている。
【0058】
ポリイソシアネートプレポリマーは、上記のポリイソシアネートを過剰に、例えば30から100℃の範囲の温度で、好ましくは80℃を超える温度でポリオールと反応させて、プレポリマーを得ることにより得ることができる。プレポリマーの調製のために、ポリイソシアネートと、例えば、アジピン酸から生じるポリエステルに基づく市販のポリオール、または例えばテトラヒドロフラン、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから生じるポリエーテルに基づく市販のポリオールを使用することが好ましい。
【0059】
ポリオールは当業者に既知であり、例えば「Kunststoffhandbuch、7、Polyurethane」[プラスチックハンドブック、7巻、ポリウレタン]、Carl Hanser発行、第3版、1993、3.1節に記載されている。好ましく使用されるポリオールは、イソシアネートに対して反応的な水素原子を有するポリマー化合物である。特に好ましいポリオールは、ポリエーテルオールである。
【0060】
ポリイソシアネートプレポリマーの調製において、慣用の連鎖延長剤または架橋剤を任意にポリオールに添加することができる。好ましい連鎖延長剤は、1,4-ブタンジオール、ジプロピレングリコールおよび/またはトリプロピレングリコールである。この場合、ポリオールおよび鎖延長剤に対する有機ポリイソシアネートの比率は、好ましくは、イソシアネートプレポリマーが2%から30%の範囲、より好ましくは6%から28%の範囲、より好ましくは、10%から24%の範囲でのNCO含有量を有するように選択される。
【0061】
使用されるジオール(D1)は、一般に、任意のジオールであり得る。ジオール(D1)は、好ましくは、0.05kg/molから0.499kg/molの範囲のモル質量を有する、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族、および/または脂環式化合物、好ましくは2官能性化合物、例えばアルキレン部位に2から10個の炭素原子を有するジアミンおよび/またはアルカンジオール、3から8個の炭素原子を有する、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-、および/またはデカアルキレングリコール、特に1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ならびに、好ましくは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、およびネオペンチルグリコールのような対応するオリゴ-および/またはポリプロピレングリコールから選択することができ、混合物を使用することもまた可能である。ジオールは、第1級ヒドロキシ基のみを有することが好ましく、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールが特に好ましい。したがって、少なくとも1つのジオール(D1)は、好ましくは、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールからなる群から選択され、特に好ましくは、少なくとも1,4-ブタンジオールを含む。
【0062】
熱可塑性エラストマー(P1)の調製では、更なる化合物、例えば触媒および/または慣例的な補助剤および/または添加剤が使用され得る。
【0063】
慣用の補助剤は、例えば、界面活性物質、充填剤、難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑助剤および離型助剤、染料、顔料、および任意に、例えば、加水分解、光、熱または変色に対するプロテクションの安定剤、無機および/または有機充填剤、補強剤、可塑剤である。慣用な補助剤および添加剤は、例えば、「Kunststoffhandbuch」[プラスチックハンドブック]第7巻、Vieweg and Hoechtlen、Carl Hanser Verlag ミュンヘン 1966年発行(103~113頁)で見出すことができる。
【0064】
この方法により得られたまたは得られるエラストマーを含む弾性膜は、DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有する。本方法によって取得されたまたは取得可能な膜は、高い水密性a(LEP、DIN EN 20811に従って測定)および良好な水蒸気透過性値(WVP、DIN 53122に従って測定)などの有利な特性を有している。例えば、この方法により得られたまたは得られる弾性膜の水密性(LEP)は、DIN EN 20811に従って決定された2バールを超え、好ましくは2から5バールの範囲、より好ましくは、3から4バールの範囲である。本方法によって得られたまたは得られる弾性膜のDIN 53122に従った38°C、相対湿度90%における相対水蒸気透過率(WVPrel.)は、50[gmm/m2*d]を超え、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%における絶対水蒸気透過率(WVPabs.)は、1000[g/m2*d]を超える。したがって、この方法によって得られたまたは得られる弾性膜は、高い水蒸気透過性を必要とする用途、例えば機能性衣料に非常に適している。
【0065】
すでに上記で述べたように、本方法によって得られたまたは得られる弾性膜は、DIN 66133に従ったHgポロシメトリーによって決定された、2000nm未満の平均細孔径を有する細孔を有している。平均細孔径は、DIN 66133に従ったHgポロシメトリーによって決定された、好ましくは0.001μmから0.8μmの範囲であり、膜の平均厚さは200μm未満、好ましくは5から100μmの範囲である。DIN 53504に従って測定された引張強度は5MPaより大きい。
【0066】
すでに上記で述べたように、本方法により得られたまたは得られる弾性膜は、細孔径分布に関して弾性膜の直径にわたって勾配を有する。
【0067】
本発明は、さらなる態様において、冒頭で説明した生地および少なくとも1つの積層弾性膜を含む弾性生地、または、上記の方法によって得られたまたは得られる1つの弾性膜に関し、該弾性生地は、DIN 53504に従って測定された150%より大きい全体的な破断伸びを有する。
【0068】
さらなる態様において、本発明はさらに、冒頭で説明したような弾性膜の使用、または、布地のコーティングのための、好ましくは衣類、靴、ブーツ、防護服、テント、ターポリン、バックパック、傘からなる群から選択される物品の製造のための上記の方法によって得られたまたは得られる弾性膜の使用に関する。
【0069】
衣類の文脈では、機能的な衣類が特に好ましく、したがって、弾性膜は、アウトドア用の衣類、スポーツ用の衣類、例えばセーリング、登山またはスキー用の衣類、雨天用の衣類の製造のために好ましく、ここで衣類はズボン、ジャケット、手袋、帽子、帽子を含む。靴とブーツの文脈では、同様に、機能分野の靴およびブーツ、すなわち、いわゆるアウトドア用の靴/ブーツ、スポーツ用の靴/ブーツ、例えば、セーリング、登山またはスキー用の靴/ブーツ、または雨天用の靴/ブーツが好ましい。
【0070】
本発明は、対応する参照および後方参照によって示される以下の実施形態および実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、実施形態の範囲が与えられるあらゆる場合において、例えば「実施形態1から4のいずれかによる方法」のような表現の文脈において、この範囲の各実施形態は、当業者に明示的に開示されていると見なされ、すなわち、この表現の意味は、「実施形態1、2、3、および4のいずれかによる方法」と同義であるとして当業者によって理解されるべきである。
【0071】
実施形態1.DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有するエラストマーを含む弾性膜。
【0072】
実施形態2.弾性膜が、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定された2000nm未満の平均細孔径を有する細孔を有する、実施形態1による弾性膜。
【0073】
実施形態3.平均細孔直径が、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定され、0.001μmから0.8μmの範囲であり、膜の平均厚さが200μm未満、好ましくは5から100μmの範囲である、実施形態1または2による弾性膜。
【0074】
実施形態4.DIN 53504に従って測定された引張強度が5MPaより大きい、実施形態1から3のいずれかによる弾性膜。
【0075】
実施形態5.DIN 53122に従った38℃、相対湿度90%における相対水蒸気透過率(WVPrel.)が50[gmm/m2*d]より大きく、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%での絶対水蒸気透過率(WVPabs.)は1000[g/m2*d]より大きい、実施形態1から4のいずれかによる弾性膜。
【0076】
実施形態6.DIN EN 20811に従った、水密性(LEP)が2バールより大きく、好ましくは2から5バールの範囲、より好ましくは3から4バールの範囲である、実施形態1から5のいずれかによる弾性膜。
【0077】
実施形態7.細孔径分布が膜の直径にわたって勾配を有する、実施形態1から6のいずれかによる弾性膜。
【0078】
実施形態8.エラストマーが熱可塑性エラストマー(P1)を含む、実施形態1から7のいずれかによる弾性膜。
【0079】
実施形態9.熱可塑性エラストマー(P1)が、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマーおよびエチレン酢酸ビニルエラストマーからなる群から選択され、好ましくはポリウレタンエラストマーである、実施形態8による弾性膜。
【0080】
実施形態10.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-11重量%から79重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-21重量%から89重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含む、実施形態8または9による弾性膜。
【0081】
実施形態11.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-15重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から85重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含む、実施形態8から10のいずれかによる弾性膜。
【0082】
実施形態12.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-20重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から80重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含む、実施形態8から11のいずれかによる弾性膜。
【0083】
実施形態13.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-55重量%から70重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-30重量%から45重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含む、実施形態8から12のいずれかによる弾性膜。
【0084】
実施形態14.少なくとも1つのジオール(D1)は、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールからなる群から選択され、好ましくは少なくとも1,4-ブタンジオールを含む、実施形態10から13のいずれかによる弾性膜。
【0085】
実施形態15.少なくとも1つのイソシアネート(I1)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)、からなる群から選択され、好ましくはMDIである、実施形態10から14のいずれかによる弾性膜。
【0086】
実施形態16.少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオール、好ましくはpTHFである、10から15のいずれかによる弾性膜。
【0087】
実施形態17.DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有するエラストマーを含む弾性膜を製造する方法であって、
(i)少なくとも1つの熱可塑性エラストマー(P1)を含む溶液(L1)を提供すること;
(ii)転相により溶液(L1)から膜を作成すること、
を含む方法。
【0088】
実施形態18.得られた弾性膜の平均細孔径は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定された2000nm未満の平均細孔径を有する細孔を有する、実施形態17による方法。
【0089】
実施形態19.得られた弾性膜の平均細孔径は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーによって決定された0.001μmから0.8μmの範囲であり、膜の平均厚は200μm未満、好ましくは5から100μmの範囲である、実施形態17または18による方法。
【0090】
実施形態20.得られた弾性膜の引張強度は、DIN 53504に従って測定された5MPaより大きい、実施形態17から19のいずれかによる方法。
【0091】
実施形態21.得られた弾性膜のDIN 53122に従った38℃、相対湿度90%における相対水蒸気透過率(WVPrel.)は、50[gmm/m2*d]より大きく、DIN 53122に従った38°C、相対湿度90%における絶対水蒸気透過率(WVPabs.)は、1000[g/m2*d]より大きい、実施形態17から20のいずれかによる方法。
【0092】
実施形態22.得られた弾性膜の水密性(LEP)は、DIN EN 20811に従って測定された2バールより大きく、好ましくは2から5バールの範囲、より好ましくは3から4バールの範囲である、実施形態17から21のいずれかによる方法。
【0093】
実施形態23.得られた弾性膜細孔径分布は、弾性膜の直径にわたって勾配を有する、実施形態17から22のいずれかによる方法。
【0094】
実施形態24.溶液(L1)は、さらなる官能基を有しない、モノ-、ジ-、およびトリアルカノールからなる群から選択され、好ましくはイソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールとプロピレントリオール(グリセロール)からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含み、好ましくはグリセロールである、実施形態17から23のいずれかによる方法。
【0095】
実施形態25.(ii)が(ii-a)および(ii-b):
(ii-a) 溶液(L1)からフィルムを形成すること、
(ii-b) (ii-a)のフィルムを混合物(L2)と接触させること、
を含む、実施形態17から24のいずれかによる方法。
【0096】
実施形態26.混合物(L2)は水を含む、実施形態25による方法。
【0097】
実施形態27.熱可塑性エラストマー(P1)は、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマーとエチレン酢酸ビニルエラストマーからなる群から選択され、好ましくはポリウレタンエラストマーである、実施形態17から26のいずれかによる方法。
【0098】
実施形態28.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-11重量%から79重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-21重量%から89重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーを含む、実施形態17から27のいずれかによる方法。
【0099】
実施形態29.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-15重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から85重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーである、実施形態17から28のいずれかによる方法。
【0100】
実施形態30.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-20重量%から75重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-25重量%から80重量%の<少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーである、実施形態17から29のいずれかによる方法。
【0101】
実施形態31.熱可塑性エラストマー(P1)は、以下の成分:
-55重量%から70重量%の、少なくとも1つのジオール(D1)と少なくとも1つのイソシアネート(I1)の混合物と、
-30重量%から45重量%の、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)と、
に基づくポリウレタンエラストマーである、実施形態17から30のいずれかによる方法。
【0102】
実施形態32.ジオール(D1)は、エタンジオール、ブタンジオールおよびヘキサンジオールからなる群から選択され、好ましく1,4-ブタンジオールである、実施形態28から31のいずれかによる方法。
【0103】
実施形態33.少なくとも1つのイソシアネート(I1)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)からなる群から選択され、好ましくはMDIである、実施形態28から31のいずれかによる方法。
【0104】
実施形態34.少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの化合物(C1)は、ポリオールであり、好ましくはpTHFである、実施形態28から33のいずれかによる方法。
【0105】
実施形態35.DIN 53504に従って測定された150%より大きい破断伸びを有する、実施形態17から34のいずれかによる方法によって得られたまたは得られるエラストマーを含む弾性膜。
【0106】
実施形態36.DIN 53504に従って測定された150%より大きい全体的な破断伸びを有する、実施形態1から16のいずれかによる生地および少なくとも1つの積層弾性膜を有する弾性生地、または、実施形態17から34のいずれかによる方法によって得られたまたは得られる弾性膜。
【0107】
実施形態37.布地のコーティングのため、好ましくは、衣類、靴、ブーツ、防護服、テント、ターポリン、バックパック、傘からなる群から選択される物品の製造のための、実施形態1から16のいずれかによる弾性膜の使用、または、実施形態17から34のいずれかによる方法によって取得されたまたは取得可能な弾性膜の使用。
【0108】
引用文献
US 3,953,566
US 3,962,153
US 5,562,977
「Kunststoffhandbuch、7、Polyurethane」[プラスチックハンドブック、7巻、ポリウレタン]、Carl Hanser発行、第3版、1993、3.1節
「Kunststoffhandbuch」[プラスチックハンドブック]第7巻、Vieweg and Hoechtlen、Carl Hanser Verlag ミュンヘン 1966年発行(103~113頁)
【0109】
以下の実施例は本発明の説明になるが、本発明の対象については全く制限しない。
【実施例
【0110】
1. 化学物質と処方
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
2. 試験方法
膜の入液圧力(LEP)は、DIN EN 20811に従って直径60mmの圧力セルを用いて、4.0bar(40,000mmの水柱)までの超純水(無塩水、Millipore UFシステムでろ過したもの)を用いて測定した。入液圧力LEPは、液体水が膜を透過し始める圧力として定義される。LEPが高いと、膜は高い水柱(液体)に耐え得る。
【0114】
水蒸気透過率(WVP)は、DIN 53122に従ってカップ法(38°C、相対湿度90%)を使用して決定した。絶対WVP値は、特定の膜の厚さに対して決定した。高いWVP値が望ましく、高い水蒸気流量を可能にした。
弾性率と破断伸びの引張試験は、DIN 53455/ISO 527に従って実施した。
【0115】
3. 手動キャスティングプロセスでのポリマーの調製
個々の成分は、表2の通り使用した。ポリオールおよび連鎖延長剤を、最初に容器に80℃で充填し、2kgのバッチサイズで上述の処方に従って成分と激しく攪拌しながら混合した。反応混合物を110℃以上に加熱し、次いで約110℃に加熱されたテフロンコーティングされたテーブル上に流し出した。得られた鋳造スラブを80℃で15時間熱処理した。このようにして製造された材料を粉砕機で粉砕して注入可能なペレットにし、再び乾燥させ、さらなる使用にアルミニウムコーティングされたPE袋に充填した。
押出成形は、二軸押出機で行い、押出物の直径は約2mmであった。
【0116】
【表3】
【0117】
温度プロファイルは、ポリマーの軟化温度に応じて選択された。
【0118】
4.ポリマー溶媒としてN-メチルピロリドンを用いた多孔質膜の製造
マグネティックスターラーを備えた3口フラスコに、N-メチルピロリドン1を71ml、第2添加剤としてのグリセロール10g、および3.に基づくTPUポリマー19gを、TPU1、2および3および比較例1の各場合で混合した。混合物を、均質で透明な粘性のある溶液になるまで、穏やかな攪拌を行いながら60℃に加熱した。溶液を室温で一晩脱気した。クリアで透明なポリマー溶液が得られた。
【0119】
続いて、ポリマー溶液を再び60℃に2時間加熱し、次いで、エリクセンコーティングマシンを0.2m/minの速度で使用して、キャスティングナイフ(150ミクロン)でガラス板上に60℃で広げた。この膜フィルムを30秒間放置した後、25℃のウォーターバスに10分間浸漬した。ガラス板から膜を剥離した後、膜を12時間ウォーターバスに移した。水での複数回の洗浄ステップ後、膜は、LEPおよびWVPに関して特性化するまで、湿度の高い条件下で保存した。比較例2として、支持布なしで厚さ25μmを有する市販の多孔質PTFE膜を使用した。膜の特性を表3にまとめた。
【0120】
【表4】
【0121】
得られた多孔質膜は、例えば弾性率の増加および破断伸びの増加などの改善された機械的特性を有していた。同時に、それらは、WVPおよびLEPに関して、先行技術の膜に匹敵する特性を有していた。
【0122】
5.細孔径分布
セクション4による膜の細孔径分布は、DIN 66133に従ってHgポロシメトリーを使用して、実施例1について決定した。結果を表4にまとめる。
【0123】
【表5】
【0124】
平均細孔径は0.23307μmであり、1018.74psiおよび19.968m/gにおける平均細孔径(面積)は0.21158μmであった。
セクション4.の膜も同様に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて調べた。膜の両方の表面(底面と上面)と断面積を調べた。測定では、膜は、最上層(スキン)に小さな孔を有し、膜の底部に向かって大きな孔を有する気孔サイズ勾配を有していることが示された。