(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ポリアミドの熱エージング後の溶接シーム強度を高めるための多価アルコールの使用
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20240508BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20240508BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20240508BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240508BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/053
C08K7/14
C08K5/00
B29C45/00
(21)【出願番号】P 2020542155
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2019052313
(87)【国際公開番号】W WO2019149791
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-25
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヴァグナー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロト,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】モチェフ,ステファン
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04885340(US,A)
【文献】特開2000-345031(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166896(WO,A1)
【文献】特表2011-529986(JP,A)
【文献】特開2016-210988(JP,A)
【文献】特開2012-031393(JP,A)
【文献】特表2013-538927(JP,A)
【文献】特表2013-518175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B29C 45/00-45/24
B29C 45/46-45/63
B29C 45/70-45/72
B29C 45/74-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形によりポリアミド組成物から製造された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度を高めるために、少なくとも1種のポリアミドを含むポリアミド組成物に2個超のヒドロキシル基を有する多価アルコールを使用する方法であって、射出成形中に、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成し、前記ポリアミド組成物が、耐衝撃性改良剤の含有量を、0~1.5質量%の範囲に有し、前記ポリアミド組成物がエチレンイオノマー樹脂を含ま
ず、前記2個超のヒドロキシル基を有する多価アルコールがペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、D-マンニトール、D-ソルビトール及びキシリトール、又はポリビニルアルコールコポリマーから選択される、使用方法。
【請求項2】
射出成形によりポリアミド組成物から製造された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度を高める方法であって、前記成形品を製造する前に、前記ポリアミド組成物の合計に基づいて0.1~10質量%の2個超のヒドロキシル基を有する少なくとも1種の多価アルコールを前記ポリアミド組成物と混合すること、及びこのようにして得られたポリアミド組成物を射出成形して成形品を製造することを含み、射出成形中に、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成し、前記ポリアミド組成物が、耐衝撃性改良剤の含有量を、0~1.5質量%の範囲に有し、前記ポリアミド組成物がエチレンイオノマー樹脂を含ま
ず、前記2個超のヒドロキシル基を有する少なくとも1種の多価アルコールがペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、D-マンニトール、D-ソルビトール及びキシリトール、又はポリビニルアルコールコポリマーから選択される、方法。
【請求項3】
前記使用方法又は方法が、
a)30質量%~99.9質量%の成分A)としての少なくとも1種のポリアミド、
b)0~60質量%の成分B)としてのガラス繊維、
c)0~2質量%の、成分C)としての、銅化合物、二級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスファイト、ホスホナイト及びそれらの混合物から選択される熱安定剤、
d)0.1質量%~10質量%の、成分D)としての、2個超のヒドロキシル基を含む少なくとも1種の多価アルコール、
e)0~20質量%の成分E)としてのさらなる添加剤を含むポリアミド組成物を使用し、
合計で100質量%と記載されている量が、組成物全体に基づくものである、請求項1に記載の使用方法又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミド組成物において、前記ポリアミドA)が、脂肪族のものであり、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12 、PA 46、PA 66、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 9 9、PA 910、PA 912、PA 1212から選択される、請求項
3に記載の使用方法又は方法。
【請求項5】
前記ポリアミド組成物において、前記脂肪族ポリアミドA)が、PA 6、PA 66及びそれらの混合物から選択される、請求項
4に記載の使用方法又は方法。
【請求項6】
前記ポリアミド組成物が、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12、PA 46、PA 66、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 99、PA 910、PA 912、PA 1212から選択される2種又は3種のポリアミドのモノマーから構成される脂肪族コポリアミド又はターポリアミドを含む、請求項3から
5のいずれか一項に記載の使用方法又は方法。
【請求項7】
前記ポリアミド組成物において、前記脂肪族コポリアミドがPA6/PA66コポリマーである、請求項
6に記載の使用方法又は方法。
【請求項8】
前記使用方法又は方法が、前記ポリアミド組成物において成分A)として、脂肪族ポリアミドA1)と脂肪族コポリアミド又はターポリアミドA2)との混合物を使用し、A1)のA2)に対する質量比が55:45~95:5である、請求項3から
7のいずれか一項に記載の使用方法又は方法。
【請求項9】
前記ポリアミド組成物における少なくとも1種の前記ポリアミドと少なくとも1種の前記コポリアミド又はターポリアミドとの混合物の結晶化点が、少なくとも1種の前記ポリアミド及び少なくとも1種の前記コポリアミド又はターポリアミドの結晶化点より低い、請求項
8に記載の使用方法又は方法。
【請求項10】
前記ポリアミド組成物が、0.05質量%~2質量%の成分C)を含む、請求項3から
9のいずれか一項に記載の使用方法又は方法。
【請求項11】
前記ポリアミド組成物において、成分C)が、銅化合物、立体障害フェノール及びそれらの混合物から選択される、請求項3から
10のいずれか一項に記載の使用方法又は方法。
【請求項12】
前記ポリアミド組成物が5質量%~60質量%の成分B)を含む、請求項3から
11のいずれか一項に記載の使用方法又は方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個超のヒドロキシル基を有する多価アルコールの使用及び対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、世界的に大規模に生産されるポリマーの1つであり、フィルム、繊維、成形品(材料)での主な分野の使用に加えて、他の多くの最終用途にも使用されている。ポリアミドの中で、ポリアミド-6(ポリカプロラクタム、PA6)及びポリアミド-6,6(ナイロン、ポリヘキサメチレンアジパミド)は、最も大量に生産されているポリマーである。工業的に重要なほとんどのポリアミドは、高い熱安定性を特徴とする半結晶性熱可塑性ポリマーである。
【0003】
ポリアミドから構成される成形品は、例えば、射出成形により製造されてもよい。これは一般に、(動的)溶接シームを形成する。一般に、静的溶接シームと動的溶接シームは区別される。静的溶接シームは、例えば熱可塑性成形品を接合する際の溶接プロセス中に形成される。動的溶接シームは、少なくとも2つのマスフローの合流、例えばキャビティの下流、壁の厚さの違い、又は鋳型内の複数のゲート又は射出位置により、射出成形品におけるプラスチック構成要素に形成される。2つのフローフロントが合流すると、合流点で、溶接ライン又はフローラインとしても知られている溶接シームが形成される。これらのシームは、目に見えるラインとして明らかである。したがって、溶接シームは、射出成形部品でよく見られる表面効果である。
【0004】
溶接シームは、構成要素の潜在的な弱点である。体積膨張のため、フローフロントは垂直に合流し、互いに溶接する。圧力及び温度が低いほど、溶接シームの強度は低くなる。射出成形プロセス及び流動条件の間に作用するせん断により、強化繊維はしばしば溶接シームと平行に配向する。合流する溶融フロントの溶接が完全に行われなくなる程度に溶融物が既に冷却されている場合、溶接シームは、しばしば、表面にV字形のノッチとして明らかである。この領域で引張応力が発生した場合、ノッチ効果は、事前に弱められた破損点として機能する溶接シームでの応力片勾配(stress superelevation)を引き起こす。
【0005】
WO 2010/014801(特許文献1)から、耐熱性ポリアミド成形品を製造することは知られており、この製造において、ポリアミドが、多価アルコール、例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、D-マンニトール、D-ソルビトール又はキシリトールと混合される。ポリアミド混合物も使用可能である。例示的な実施態様において、ポリアミド混合物は、比較的大きな割合の少なくとも半芳香族ポリアミド及び比較的小さな割合の脂肪族ポリアミドを含む。WO 201194553(特許文献2)は、比較可能な用途のためのそのようなポリヒドロキシポリマーを記載している。
【0006】
EP-B-2 307 480(特許文献3)は、補助安定剤を含む耐熱性熱可塑性物品に関する。この物品は、2個超のヒドロキシル基及び2000未満の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1種の多価アルコール、及び二級アリールアミン及びヒンダードアミン光安定剤(HALS)及びそれらの混合物から選択される補助安定剤を含むポリアミド組成物から製造される。このポリアミド樹脂は補強剤をさらに含む。
【0007】
射出成形によりポリアミドから製造されたこの成形品は、高温での比較的長い熱エージングの後でも、良好な機械的特性を有すると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO 2010/014801
【文献】WO 201194553
【文献】EP-B-2 307 480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、熱エージング後に高い溶接シーム強度(weld seam strength)を有する射出成形された成形品を製造するのに適したポリアミド組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、射出成形によりポリアミド組成物から製造された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度を高めるために、少なくとも1種のポリアミドを含むポリアミド組成物に2個超のヒドロキシル基を有する多価アルコールを使用することにより達成され、ここで、射出成形中に、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成する。
【0011】
さらに、この目的は、射出成形によりポリアミド組成物から製造された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度を高める方法により達成され、ここで、成形品を製造する前に、ポリアミド組成物の合計に基づいて0.1~10質量%の2個超のヒドロキシル基を有する少なくとも1種の多価アルコールをポリアミド組成物と混合すること、及びこのようにして得られたポリアミド組成物を射出成形して成形品を製造することを含み、射出成形中に、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、少なくとも1種のポリアミドを含むポリアミド組成物に2個超のヒドロキシル基を有する多価アルコールを使用することは、射出成形によりポリアミド組成物から製造された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度の増大をもたらすことが見出された。溶接シーム強度は射出成形により製造された成形品の特定の基準であり、ここで、射出成形中に溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成する。
【0013】
本発明によれば、「溶接シーム」という用語は、最初に説明した動的溶接シームを意味すると理解される。「溶接シーム」という用語は、「フローライン」又は「溶接ライン」という用語に置き換えることもできる。溶接シームがポリアミド組成物の射出成形によって得られることが重要である。溶接シームは、多くの場合、射出成形された成形品の弱点である。特に射出成形の鋳型壁でポリアミド組成物の冷却が速すぎる場合、合流したマスフローは最適に結合することができなくなる。これにより、射出成形部品の弱点となる溶接シーム又は小さなノッチが形成される。機械的応力により、溶接シーム/フローラインに沿って破損が発生するか、又はこの領域で破損が発生する。したがって、溶接シーム強度は、射出成形された成形品の全体の強度にとって重要である。
【0014】
射出成形された成形品の機械的特性は、成形品の寿命にわたって熱エージングが起こると、しばしば劣化する。したがって、射出成形された成形品の熱エージング後の溶接シーム強度を高めることが特に重要である。
【0015】
ポリアミド組成物に多価アルコールを使用することは、典型的に、特に成形品を提供するための押出及び射出成形の場合に、機械的特性を損なう。これは、アルコールによる塩基ポリマーの化学分解(粘度数の低下)の結果である一方、短鎖アルコールは特定の濃度及び組み合わせで移動する傾向もある(EP 1 797 132 B1を参照)。
【0016】
しかしながら、本発明によれば、熱エージング後の溶接シーム強度は、多価アルコールの添加により増加できることが見出された。さらに、高分子量アルコール、例えばポリビニルアルコールコポリマーの使用により、移動の減少により表面品質を向上させることが可能になる。理想的には、これらのコポリマーは2~20g/10分のMFR(210℃/2.16kg)を有する。
【0017】
銅化合物、二級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスファイト、ホスホナイト及びそれらの混合物から選択される熱安定剤の併用も有利であり得る。多価アルコールは、特に少なくとも140℃、例えば180℃~220℃の温度での熱エージングの場合に、溶接シーム強度を高める効果を示す。追加の熱安定剤は、例えば150℃以下の範囲、例えば140℃の比較的低い温度で溶接シーム強度をさらに高めることができる。したがって、多価アルコールと列挙された追加の熱安定剤との組み合わせは、広い温度範囲にわたる熱エージング後の溶接シーム強度の増加を達成することができる。
【0018】
さらに、ポリアミドとコポリアミド又はターポリアミド及び多価アルコールとの組み合わせにより、比較的長い熱エージング後でも過度に低下しない良好な溶接シーム強度を示すポリアミド組成物が得られる。これらの効果は、脂肪族ポリアミドと脂肪族コポリアミド又はターポリアミドとの組み合わせにおいて特に顕著である。
【0019】
本発明による使用及び本発明による方法は、好ましくは、
a)30質量%~99.9質量%の成分A)としての少なくとも1種のポリアミド、
b)0~60質量%の成分B)としてのガラス繊維、
c)0~2質量%の、成分C)としての、銅化合物、二級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスファイト、ホスホナイト及びそれらの混合物から選択される熱安定剤、
d)0.1質量%~10質量%の、成分D)としての、2個超のヒドロキシル基を含む少なくとも1種の多価アルコール、
e)0~20質量%の成分E)としてのさらなる添加剤
を含むポリアミド組成物を使用し、
ここで、合計で100質量%と記載されている量は、組成物全体に基づくものである。
【0020】
本発明の一実施態様において、ポリアミド組成物は、2.9質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下、特に1.5質量%以下の、例えばUS 2013/0253115 A1に記載されている耐衝撃性改良剤を含む。
【0021】
好ましくは、ポリアミド組成物は、例えばUS 4,885,340に記載されているエチレンイオノマー樹脂を含まない。
【0022】
本発明の一実施態様において、ポリアミド成形組成物は、好ましくは、モノエポキシ又はカーボネート化合物、例えばUS 4,885,340に記載されている一般式(I)の化合物(C)を含まない。
【0023】
本発明の一実施態様において、多価アルコールはグリセロールではない。
【0024】
本発明に従って使用されるポリアミド組成物は、30質量%~99.9質量%、好ましくは40質量%~99.5質量%、特に50質量%~98.5質量%の成分A)を含む。
【0025】
さらに、それらは、0~60質量%、好ましくは0~40質量%、特に0~30質量%の成分B)を含む。成分B)が存在する場合、その最小量は、好ましくは5質量%、特に好ましくは少なくとも10質量%、特に少なくとも15質量%である。これは、5質量%~60質量%、好ましくは10質量%~40質量%、特に好ましくは15質量%~30質量%の範囲の成分B)をもたらす。
【0026】
成分C)は、0~2質量%、好ましくは0~1質量%、特に好ましくは0~0.5質量%の量で使用される。成分C)を併用する場合、その下限値は、好ましくは0.01質量%、特に好ましくは0.02質量%、特に0.05質量%である。したがって、これは、0.01質量%~2質量%、好ましくは0.02質量%~1質量%、特に好ましくは0.05質量%~0.5質量%の範囲の量をもたらす。
【0027】
成分D)は、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、特に1.5質量%~3質量%の量で使用される。
【0028】
成分E)は、0~20質量%、好ましくは0~10質量%、特に0~5質量%の量で使用される。成分E)を併用する場合、その下限値は、好ましくは0.1質量%、特に好ましくは少なくとも0.2質量%、特に少なくとも0.3質量%である。これは、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.2質量%~10質量%、特に好ましくは0.3質量%~5質量%、特に0.3質量%~2質量%の範囲をもたらす。
【0029】
成分B)、C)及び/又はE)が存在する場合、成分A)の最大量は、それぞれの成分の最小量及び/又はこれらの最小量の合計によって相応に低減される。例えば、成分B)が5質量%の最小量で存在する場合、したがって、成分A)の最大量は94.9質量%に低減される。
【0030】
0.01質量%及び0.1質量%の成分C)及びE)がそれぞれさらに存在する場合、成分A)の最大量は相応に、94.7質量%に低減される。他の量の範囲も同様に扱われ、したがって、成分A)~E)の量の合計は常に100質量%である。
【0031】
本発明に従って使用されるポリアミド組成物は、少なくとも1種の合成ポリアミドを成分A)として含む。本発明の文脈において、「合成ポリアミド」という用語は、広く解釈される。非常に一般的には、それは、ポリアミドの形成に適しており、ジカルボン酸、ジアミン、少なくとも1種のジカルボン酸及び少なくとも1種のジアミンの塩、ラクタム、ω-アミノ酸、アミノカルボニトリル及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の成分を組み込んだポリマーを包含する。また、本発明の合成ポリアミドは、ポリアミドの形成に適している成分として、それと共重合可能なモノマーを共重合された形態で含んでもよい。「合成ポリアミド」という用語は、天然ポリアミド、例えばペプチド及びタンパク質、例えば毛髪、羊毛、絹及び卵白を含まない。
【0032】
本発明の文脈において、ポリアミドは、それらの一部が当該技術分野で通例であり、かつ、PAとそれに続く数字及び文字からなる略語を使用して呼ばれる。これらの略語の一部は、DIN EN ISO 1043-1で標準化されている。H2N-(CH2)x-COOHタイプのアミノカルボン酸又は対応するラクタムに由来することができるポリアミドは、PA Z(ここで、Zはモノマー中の炭素原子の数量を表す)として特定される。例えば、PA 6は、ε-カプロラクタムの又はω-アミノカプロン酸のポリマーを表す。H2N-(CH2)x-NH2及びHOOC-(CH2)y-COOHタイプのジアミン及びジカルボン酸に由来することができるポリアミドは、PA Z1Z2(ここで、Z1はジアミン中の炭素原子の数量を表し、Z2はジカルボン酸中の炭素原子の数量を表す)として特定される。コポリアミドは、成分をスラッシュで区切って割合の順で並べることにより示される。例えば、PA 66/610は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸のコポリアミドである。本発明に従って使用される芳香族又は脂環式の基を有するモノマーにおいて、以下の略語が使用される:T=テレフタル酸、I=イソフタル酸、MXDA=m-キシリレンジアミン、IPDA=イソホロンジアミン、PACM=4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、MACM=2,2’-ジメチル-4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)。
【0033】
以下、「C1~C4-アルキル」という表現は、非置換の直鎖及び分岐のC1~C4-アルキル基を包含する。C1~C4-アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル(1,1-ジメチルエチル)である。
【0034】
以下に列挙する脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及びモノカルボン酸の場合、カルボキシル基はそれぞれ、非誘導体の形態又は誘導体の形態で存在してもよい。ジカルボン酸の場合、いずれのカルボキシル基も誘導体の形態ではないか、又は1つのカルボキシル基又は両方のカルボキシル基は誘導体の形態であってもよい。好適な誘導体は、無水物、エステル、酸塩化物、ニトリル及びイソシアネートである。好ましい誘導体は、無水物又はエステルである。ジカルボン酸の無水物は、モノマー形態又はポリマー形態であってもよい。好ましいエステルは、アルキルエステル及びビニルエステル、特に好ましくはC1~C4-アルキルエステル、特にメチルエステル又はエチルエステルである。ジカルボン酸は、好ましくはモノ-又はジアルキルエステル、特に好ましくはモノ-又はジ-C1~C4-アルキルエステル、特にモノメチルエステル、ジメチルエステル、モノエチルエステル又はジエチルエステルの形態である。さらに好ましくは、ジカルボン酸はモノ-又はジビニルエステルの形態である。さらに好ましくは、ジカルボン酸は、混合エステル、特に好ましくは異なるC1~C4-アルキル成分との混合エステル、特にメチルエチルエステルの形態である。
【0035】
好ましくは、ポリアミドの形成に適する成分は、
pA)非置換又は置換の芳香族ジカルボン酸、及び非置換又は置換の芳香族ジカルボン酸の誘導体、
pB)非置換又は置換の芳香族ジアミン、
pC)脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、
pD)脂肪族又は脂環式ジアミン、
pE)モノカルボン酸、
pF)モノアミン、
pG)少なくとも三官能性アミン、
pH)ラクタム、
pI)ω-アミノ酸、
pK)pA)~pI)と異なり、それらと共縮合可能な化合物
から選択される。
【0036】
1つの好適な実施態様は脂肪族ポリアミドの実施態様である。PA Z1 Z2タイプの脂肪族ポリアミド(例えば、PA 66)において、成分pC)及びpD)の少なくとも1つが存在する必要があり、成分pA)及びpB)のいずれも存在しないという条件が適用される。タイプPA Zの脂肪族ポリアミド(例えば、PA 6又はPA 12)において、少なくとも成分pH)が存在する必要があるという条件が適用される。
【0037】
さらに好適な実施態様は半芳香族ポリアミドの実施態様である。半芳香族ポリアミドにおいて、成分pA)及びpB)の少なくとも1つ、及び成分pC)及びpD)の少なくとも1つが存在する必要があるという条件が適用される。
【0038】
好ましくは、芳香族ジカルボン酸pA)は、それぞれの場合に非置換又は置換のフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はジフェニルジカルボン酸、及び上述した芳香族ジカルボン酸の誘導体及び混合物から選択される。
【0039】
好ましくは、置換の芳香族ジカルボン酸pA)は、少なくとも1個(例えば1個、2個、3個又は4個)のC1~C4-アルキルラジカルを有する。特に、置換の芳香族ジカルボン酸pA)は、1個又は2個のC1~C4-アルキルラジカルを有する。これらは、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル、特に好ましくはメチル、エチル及びn-ブチル、特にメチル及びエチル、特にメチルから選択される。置換の芳香族ジカルボン酸pA)は、アミド化を妨害しない他の官能基、例えば5-スルホイソフタル酸、及びその塩及び誘導体を持ってもよい。その好ましい例は、ジメチル5-スルホイソフタレートのナトリウム塩である。
【0040】
好ましくは、芳香族ジカルボン酸pA)は、非置換のテレフタル酸、非置換のイソフタル酸、非置換のナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、及び5-スルホイソフタル酸から選択される。
【0041】
使用される芳香族ジカルボン酸pA)は、テレフタル酸、イソフタル酸、又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物である場合が特に好ましい。
【0042】
半芳香族ポリアミドは、すべてのジカルボン酸に基づいて、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは70モル%~100モル%の芳香族ジカルボン酸の割合を有する。特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、すべてのジカルボン酸に基づいて、少なくとも50モル%、好ましくは70モル%~100モル%の、テレフタル酸、又はイソフタル酸、又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物の割合を有する。
【0043】
好ましくは、芳香族ジアミンpB)は、ビス(4-アミノフェニル)メタン、3-メチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、1,2-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、1,3-ジアミノトルエン(単数又は複数)、m-キシリレンジアミン、N,N’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジアミン、ビス(4-メチルアミノフェニル)メタン、2,2-ビス(4-メチルアミノフェニル)プロパン、又はそれらの混合物から選択される。
【0044】
好ましくは、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸pC)は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン-α,ω-ジカルボン酸、ドデカン-α,ω-ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸、シス-及びトランス-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、シス-及びトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シス-及びトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シス-及びトランス-シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸、シス-及びトランス-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、及びそれらの混合物から選択される。
【0045】
好ましくは、脂肪族又は脂環式ジアミンpD)は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、5-メチルノナンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びそれらの混合物から選択される。
【0046】
特に好ましくは、ジアミンD)は、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びそれらの混合物から選択される。
【0047】
特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、ヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)、イソホロンジアミン(IPDA)、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の共重合ジアミンpD)を含む。
【0048】
特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、ヘキサメチレンジアミンのみを共重合ジアミンpD)として含む。
【0049】
さらに特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンのみを共重合ジアミンpD)として含む。
【0050】
さらに特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)のみを共重合ジアミンpD)として含む。
【0051】
さらに特定の実施態様において、半芳香族ポリアミドは、イソホロンジアミン(IPDA)のみを共重合ジアミンpD)として含む。
【0052】
脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、少なくとも1種の共重合モノカルボン酸pE)を含んでもよい。モノカルボン酸pE)は、本発明に従って製造されたポリアミドをエンドキャップする役割を果たす。原則として、好適なモノカルボン酸は、ポリアミド縮合の反応条件下で利用可能なアミノ基の少なくとも一部と反応することができるすべてのものである。好適なモノカルボン酸pE)は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸及び芳香族モノカルボン酸である。これらには、酢酸、プロピオン酸、n-、イソ-又はtert-酪酸、吉草酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、エナンチン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、メチル安息香酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、大豆、亜麻仁、ヒマシ油植物及びヒマワリからの脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸、Versatic(登録商標)酸、Koch(登録商標)酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0053】
使用されるモノカルボン酸pE)が不飽和カルボン酸又はその誘導体である場合、市販の重合抑制剤の存在下で操作することが有利である。
【0054】
モノカルボン酸pE)が酢酸、プロピオン酸、安息香酸及びそれらの混合物から選択される場合が特に好ましい。
【0055】
特定の実施態様において、脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、プロピオン酸のみを共重合モノカルボン酸pE)として含む。
【0056】
さらに特定の実施態様において、脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、安息香酸のみを共重合モノカルボン酸pE)として含む。
【0057】
さらに特定の実施態様において、脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、酢酸のみを共重合モノカルボン酸pE)として含む。
【0058】
脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、少なくとも1種の共重合モノアミンpF)を含んでもよい。したがって、脂肪族ポリアミドは、共重合された脂肪族モノアミン又は脂環式モノアミンのみを含む。モノアミンpF)は、本発明に従って製造されたポリアミドをエンドキャップする役割を果たす。原則として、好適なモノアミンは、ポリアミド縮合の反応条件下で利用可能なカルボン酸基の少なくとも一部と反応することができるすべてのものである。好適なモノアミンpF)は、脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン及び芳香族モノアミンである。これらには、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0059】
さらに、少なくとも1種の少なくとも三官能性アミンpG)は、脂肪族及び半芳香族ポリアミドの製造に使用されてもよい。これらには、N’-(6-アミノヘキシル)ヘキサン-1,6-ジアミン、N’-(12-アミノドデシル)ドデカン-1,12-ジアミン、N’-(6-アミノヘキシル)ドデカン-1,12-ジアミン、N’-[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]ヘキサン-1,6-ジアミン、N’-[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]ドデカン-1,12-ジアミン、N’-[(5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル]ヘキサン-1,6-ジアミン、N’-[(5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル]ドデカン-1,12-ジアミン、3-[[[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]アミノ]メチル]-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、3-[[(5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチルアミノ]メチル]-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、3-(アミノメチル)-N-[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミンが含まれる。少なくとも三官能性アミンpG)を使用しない場合が好ましい。
【0060】
好適なラクタムpH)は、ε-カプロラクタム、2-ピペリドン(δ-バレロラクタム)、2-ピロリドン(γ-ブチロラクタム)、カプリルラクタム、エナントラクタム、ラウリルラクタム、及びそれらの混合物である。
【0061】
好適なω-アミノ酸pI)は、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、及びそれらの混合物である。
【0062】
pA)~pI)と異なり、それらと共縮合可能の好適な化合物pK)は、少なくとも三塩基性カルボン酸、ジアミノカルボン酸などである。
【0063】
好適な化合物pk)には、さらに、4-[(Z)-N-(6-アミノヘキシル)-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、3-[(Z)-N-(6-アミノヘキシル)-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、(6Z)-6-(6-アミノヘキシルイミノ)-6-ヒドロキシヘキサンカルボン酸、4-[(Z)-N-[(5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル]-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、3-[(Z)-N-[(5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル]-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、4-[(Z)-N-[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、3-[(Z)-N-[3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル]-C-ヒドロキシカーボンイミドイル]安息香酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0064】
好ましくは、ポリアミドAは、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12、PA 46、PA 66、PA 666、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 99、PA 910、PA 912、PA 1212、PA 6.T、PA 9.T、PA 8.T、PA 10.T、PA 12.T、PA 6.I、PA 8.I、PA 9.I、PA 10.I、PA 12.I、PA 6.T/6、PA 6.T/10、PA 6.T/12、PA 6.T/6.I、PA6.T/8.T、PA 6.T/9.T、PA 6.T/10T、PA 6.T/12.T、PA 12.T/6.T、PA 6.T/6.I/6、PA 6.T/6.I/12、PA 6.T/6.I/6.10、PA 6.T/6.I/6.12、PA 6.T/6.6、PA 6.T/6.10、PA 6.T/6.12、PA 10.T/6、PA 10.T/11、PA 10.T/12、PA 8.T/6.T、PA 8.T/66、PA 8.T/8.I、PA 8.T/8.6、PA 8.T/6.I、PA 10.T/6.T、PA 10.T/6.6、PA 10.T/10.I、PA 10T/10.I/6.T、PA 10.T/6.I、PA 4.T/4.I/46、PA 4.T/4.I/6.6、PA 5.T/5.I、PA 5.T/5.I/5.6、PA 5.T/5.I/6.6、PA 6.T/6.I/6.6、PA MXDA.6、PA IPDA.I、PA IPDA.T、PA MACM.I、PA MACM.T、PA PACM.I、PA PACM.T、PA MXDA.I、PA MXDA.T、PA 6.T/IPDA.T、PA 6.T/MACM.T、PA 6.T/PACM.T、PA 6.T/MXDA.T、PA 6.T/6.I/8.T/8.I、PA 6.T/6.I/10.T/10.I、PA 6.T/6.I/IPDA.T/IPDA.I、PA 6.T/6.I/MXDA.T/MXDA.I、PA 6.T/6.I/MACM.T/MACM.I、PA 6.T/6.I/PACM.T/PACM.I、PA 6.T/10.T/IPDA.T、PA 6.T/12.T/IPDA.T、PA 6.T/10.T/PACM.T、PA 6.T/12.T/PACM.T、PA 10.T/IPDA.T、PA 12.T/IPDA.T、及びこれらのコポリマー及び混合物から選択される。
【0065】
好ましい実施態様において、本発明に従って使用されるポリアミド組成物は、少なくとも1種の脂肪族ポリアミドを成分A)として含むか、又は脂肪族ポリアミドからなる。
【0066】
したがって、好ましくは、脂肪族ポリアミドは、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12、PA 46、PA 66、PA 666、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 99、PA 910、PA 912、PA 1212、及びこれらのコポリマー及び混合物から選択される。
【0067】
特に、脂肪族ポリアミドA)は、PA 6、PA 66又はPA 12から選択される。1つの特定の実施態様は、成分A)がPA 6又はPA 66を含むか、又はPA 6、PA 66又はそれらの混合物からなるポリアミド組成物の実施態様である。
【0068】
好ましくは、半芳香族ポリアミド/コポリアミドは、PA 6.T、PA 9.T、PA 10.T、PA 12.T、PA 6.I、PA 9.I、PA 10.I、PA 12.I、PA 6.T/6.I、PA 6.T/6、PA6.T/8.T、PA 6.T/10T、PA 10.T/6.T、PA 6.T/12.T、PA12.T/6.T、PA IPDA.I、PA IPDA.T、PA 6.T/IPDA.T、PA 6.T/6.I/IPDA.T/IPDA.I、PA 6.T/10.T/IPDA.T、PA 6.T/12.T/IPDA.T、PA 6.T/10.T/PACM.T、PA 6.T/12.T/PACM.T、PA 10.T/IPDA.T、PA 12.T/IPDA.T、及びこれらのコポリマー及び混合物から選択される。
【0069】
本発明の文脈において、以下の数平均分子量Mn及び質量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づくものである。較正は、例えば、低い多分散性を有するPMMAをポリマー標準として使用して行われた。
【0070】
合成ポリアミドA)は、好ましくは8000~50000g/mol、特に好ましくは10000~35000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0071】
合成ポリアミドA)は、好ましくは15000~200000g/mol、特に好ましくは20000~125000g/molの範囲の質量平均分子量Mnを有する。
【0072】
ポリアミドは、好ましくは6以下、特に好ましくは5以下、特に3.5以下の多分散性PD(=Mw/Mn)を有する。
【0073】
本発明は、脂肪族ポリアミド及びコポリアミド/ターポリアミドに基づく特定のポリアミド組成物の使用にも関する。脂肪族ポリアミドA1)と脂肪族コポリアミド又はターポリアミドA2)とのポリアミド混合物を使用する場合、A1)のA2)に対する質量比は好ましくは、55:45~95:5である。その後、ポリアミド混合物は成分A)を形成する。
【0074】
したがって、本発明に従って使用されるポリアミド組成物において、ポリアミド混合物A)は、脂肪族ポリアミドA1)及び脂肪族コポリアミド又はターポリアミドA2)を含む。対応する成分は、上記で列挙された成分から選択されてもよい。
【0075】
好ましくは、脂肪族ポリアミドA1)は、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12、PA 46、PA 66、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 99、PA 910、PA 912、PA 1212から選択される。
【0076】
特に好ましくは、脂肪族ポリアミドA1)はポリアミド6、ポリアミド66及びそれらの混合物から選択される。
【0077】
好ましくは、脂肪族コポリアミド又はターポリアミドA2)は、PA 4、PA 5、PA 6、PA 7、PA 8、PA 9、PA 10、PA 11、PA 12、PA 46、PA 66、PA 69、PA 610、PA 612、PA 96、PA 99、PA 910、PA 912、PA 1212から選択される2種又は3種のポリアミドのモノマーから構成される。
【0078】
コポリアミドの特定の例は、PA 66/6、PA 66/68、PA 66/610、PA 66/612、PA 66/10、PA 66/12、PA 6/68、PA 6/610、PA 6/612、PA 6/10、PA 6/12である。好適なターポリマーの例は、PA 6/66/610、PA 6/66/69、PA 6/66/11、PA 6/66/12、PA 6/610/11、PA 6/610/12、6/66/PACMである。
【0079】
好ましくは、脂肪族コポリアミドはPA 6/PA 66コポリマーである。
【0080】
好適な脂肪族ポリアミド及びコポリアミド/ターポリアミドはさらに、EP-B-1 060 216に記載されている。
【0081】
脂肪族ポリアミドA1)の脂肪族コポリアミド又はターポリアミドA2)に対する質量比は、55:45~95:5、好ましくは60:40~90:10、特に70:30~90:10である。
【0082】
ポリアミド混合物A)の結晶化点(結晶化温度)は、好ましくは、脂肪族ポリアミドA1)及び脂肪族コポリアミド/ターポリアミドA2)の結晶化点(結晶化温度)より低くあるべきである。本発明による使用方法及び本発明による方法でも、少なくとも1種のポリアミド及び少なくとも1種のコポリアミド又はターポリアミドの混合物の結晶化点は、好ましくは、少なくとも1種のポリアミド及び少なくとも1種のコポリアミド又はターポリアミドの結晶化点よりも低くあるべきである。
【0083】
したがって、コポリアミド/ターポリアミドの添加は、好ましくは、ポリアミド組成物の結晶化点を低減させる効果を有する。結晶化点の低減又は低下は、DSC測定(示差走査熱量測定)によって決定されてもよい。
【0084】
本発明によるポリアミド組成物は、任意に、ガラス繊維を成分B)として含有する。ガラス繊維が存在する場合、成分A)の最大許容量は、存在するガラス繊維の最小量によって低減される。
【0085】
具体的には、細断したグラス繊維を使用する。成分B)は特にガラス繊維を含み、短繊維を使用することが好ましい。好ましくは、これらは、2~50mmの範囲の長さ及び5~40μmの直径を有する。あるいは、連続繊維(ロービング)を使用することも可能である。好適な繊維は円形及び/又は非円形の断面積を有するものを含み、ここで、後者の場合、主断面軸の副断面軸に対する寸法比は、特に>2、好ましくは2~8の範囲、特に好ましくは3~5の範囲である。
【0086】
特定の実施態様において、成分B)は、いわゆる「扁平ガラス繊維(flat glass fibers)」を含む。具体的には、これらは、長円形又は楕円形の断面積、又はネック付き楕円形(いわゆる「コクーン(繭)」繊維)又は長方形又は実質的に長方形の断面積を有する。ここでは、非円形の断面積、及び2超、好ましくは2~8、特に3~5の主断面軸の副断面軸に対する寸法比を有するガラス繊維を使用することが好ましい。
【0087】
本発明による成形材料の強化は、円形及び非円形の断面を有するガラス繊維の混合物を使用して行われてもよい。特定の実施態様において、扁平ガラス繊維の割合は、上記で定義したように、優勢であり、すなわち、それらは繊維の総質量の50質量%超を占める。
【0088】
ガラス繊維のロービングを成分B)として使用する場合、好ましくは、前記繊維は10~20μm、好ましくは12~18μmの直径を有する。これらのガラス繊維の断面は、円形、長円形、楕円形、実質的に長方形又は長方形であり得る。2~5の断面軸の比を有する、いわゆる扁平ガラス繊維が特に好ましい。特に、Eガラス繊維を使用する。しかしながら、任意の他のガラス繊維タイプ、例えばA、C、D、M、S又はRガラス繊維、又はそれらの任意の所望の混合物又はEガラス繊維との混合物を使用することも可能である。
【0089】
本発明によるポリアミド成形材料は、長繊維強化ロッドペレットを製造するための既知の方法により、特に連続繊維ストランド(ロービング)がポリマー溶融物で完全に飽和され、その後に冷却され、細断される引出成形プロセスにより製造することができる。好ましくは3~25mm、特に4~12mmのペレット長を有する、この方法で得られた長繊維強化ロッドペレットは、通常の加工方法、例えば射出成形又はプレス成形によりさらに加工されて成形物を得ることができる。
【0090】
本発明によるポリアミド組成物は、任意に、1種以上の熱安定剤を成分C)として含む。
【0091】
本発明による成形材料は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.01質量%~2質量%、特に好ましくは0.02質量%~1質量%、特に0.05質量%~0.5質量%の少なくとも1種の熱安定剤を成分C)として含んでもよい。
【0092】
好ましくは、熱安定剤は、銅化合物、二級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスファイト、ホスホナイト及びそれらの混合物から選択される。
【0093】
銅化合物を使用する場合、銅の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.003質量%~0.5質量%、特に0.005質量%~0.3質量%、特に好ましくは0.01質量%~0.2質量%である。
【0094】
二級芳香族アミンをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.2質量%~2質量%、特に好ましくは0.2質量%~1.5質量%である。
【0095】
立体障害性フェノールをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.07質量%~1.5質量%、特に好ましくは0.1質量%~1質量%である。
【0096】
ホスファイト及び/又はホスホナイトをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.1質量%~1.5質量%、特に好ましくは0.2質量%~1質量%である。
【0097】
一価又は二価の銅の好適な化合物C)は、例えば、一価又は二価銅と無機又は有機酸又は一価又は二価フェノールとの塩、一価又は二価銅の酸化物又は銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアン化物又はホスフィンとの錯体、好ましくはハロゲン化水素酸の又はシアン化水素酸のCu(I)又はCu(II)塩、又は脂肪族カルボン酸の銅塩である。一価の銅化合物CuCl、CuBr、CuI、CuCN及びCu2O、及び二価の銅化合物CuCl2、CuSO4、CuO、酢酸銅(II)又はステアリン酸銅(II)が特に好ましい。
【0098】
銅化合物は市販されている及び/又はその製造は当業者に知られている。銅化合物は、そのまま、又は濃縮物の形態で使用することができる。濃縮物は、銅塩を高濃度で含む、好ましくは成分A)と同じ化学的性質のポリマーを意味すると理解されるべきである。濃縮物の使用は、通常の方法であり、非常に少量の投入原料を添加する場合に特によく使用されている。銅化合物を、さらなる金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ハロゲン化物、例えば、NaI、KI、NaBr、KBrと組み合わせて使用することが有利であり、ここで、金属ハロゲン化物のハロゲン化銅に対するモル比が、0.5~20、好ましくは1~10、特に好ましくは3~7である。
【0099】
二級芳香族アミンをベースとする、本発明に従って使用可能な安定剤の特に好ましい例には、フェニレンジアミンとアセトンの付加物(Naugard(登録商標)A)、フェニレンジアミンとリノレン酸の付加物、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(Naugard(登録商標)445)、N,N’-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-シクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、又はそれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0100】
立体障害性フェノールをベースとする、本発明により使用可能な安定剤の好ましい例には、N,N’-ヘキサメチレンビス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド(Irganox(登録商標)1098)、ビス(3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)グリコールエステル、2,1’-チオエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル))プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、又はこれらの安定剤の2種以上の混合物が含まれる。
【0101】
好ましいホスファイト及びホスホナイトは、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリトリチルジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトが含まれる。特に、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル)フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Hostanox(登録商標)PAR24:BASF SEから購入できる)が好ましい。
【0102】
熱安定剤の好ましい実施態様は、有機熱安定剤(特にHostanox(登録商標)PAR24及びIrganox(登録商標)1010)、ビスフェノールAをベースとするエポキシド(特にEpikote(登録商標)1001)、及びCuI及びKIをベースとする銅安定剤の組合せからなる。有機安定剤及びエポキシドからなる市販の安定剤混合物の例は、BASF SE製のIrgatec(登録商標)NC66である。CuI及びKIのみをベースとする熱安定剤が特に好ましい。銅又は銅化合物の添加は別として、さらなる遷移金属化合物、特に周期表のVB、VIB、VIIB又はVIIIB族の金属塩又は金属酸化物の使用は除外される。さらに、周期表のVB、VIB、VIIB又はVIIIB族の任意の遷移金属、例えば鉄粉又は鋼粉を、本発明による成形材料に添加しないことが好ましい。Irganox(登録商標)1098の使用も特に好ましい。
【0103】
銅化合物、特に一価銅化合物、及び立体障害性フェノールをベースとする安定剤、例えばIrganox(登録商標)1098、及びそれらの混合物の使用が特に好ましい。特に好ましい使用量は、0.05質量%~0.5質量%、特に0.07質量%~0.2質量%の範囲である。
【0104】
2個超のヒドロキシル基を有する少なくとも1種の多価アルコールは、成分D)として使用される。このようなポリオールは、例えば、WO 2010/014801に記載されており、特にその14頁29行~16頁7行を参照されたい。
【0105】
多価アルコールは、2個超のヒドロキシル基を有する脂肪族ヒドロキシル化合物、2個超のヒドロキシル基を有する脂肪族-脂環式化合物、2個超のヒドロキシル基を有する脂環式化合物、芳香族化合物及び糖類から選択されてもよい。
【0106】
多価アルコールにおける脂肪族鎖は、炭素だけでなく、窒素、酸素又は硫黄原子などのヘテロ原子も含んでもよい。多価アルコールにおける脂環式環は、単環であっても、二環又は多環の環システムの一部であってもよい。それは炭素環又は複素環であってもよい。多価アルコールは、1個以上の置換基、例えばエーテル、カルボン酸、カルボキサミド、又はカルボン酸エステル基を含有してもよいか、又はポリビニルアルコールコポリマー、例えばエチレンビニルアルコールコポリマーであってもよい。理想的には、これらのコポリマーは2~20g/10分のMFR(210℃/2.16kg)を有する。
【0107】
好ましくは2000未満の数平均分子量(Mn)を有する好適な多価アルコールの例は、トリオール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、2,3-ジ-(2’-ヒドロキシエチル)シクロヘキサン-1-オール、ヘキサン-1,2,6-トリオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、3-(2’-ヒドロキシエトキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-(2’-ヒドロキシプロポキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-(2’-ヒドロキシエトキシ)ヘキサン-1,2-ジオール、6-(2’-ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン-1,2-ジオール、1,1,1-トリス[(2’-ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1-トリス[(2’-ヒドロキシプロポキシ)メチル]プロパン、1,1,1-トリス(4’-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(ジヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1,4-トリス(ジヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5-トリス(ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、ジトリメチロプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート又はトリメチロールプロパンプロポキシレート、ポリオール、例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール、及び糖類、例えばシクロデキストリン、D-マンノース、グルコース、ガラクトース、スクロース、フルクトース、キシロース、アラビノース、D-マンニトール、D-ソルビトール、D-又はL-アラビトール、キシリトール、イジトール、タリトール、アリトール、アルトリトール、ギリトール(guilitol)、エリスリトール、トレイトール及びD-グロノ-γ-ラクトンである。
【0108】
好ましい多価アルコールにおいて、ヒドロキシル基はそれぞれ、少なくとも1個の原子、好ましくは炭素原子によって互いに分離されて、炭素原子に結合される。したがって、多価アルコールは、好ましくは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、D-マンニトール、D-ソルビトール又はキシリトールである。多価アルコールがジペンタエリスリトール及び/又はトリペンタエリスリトールである場合が特に好ましい。ジペンタエリスリトールが最も好ましい。
【0109】
ポリアミド組成物は、さらなる添加剤を成分E)として含んでもよい。成分E)が併用される場合、成分A)の上限値が相応に低減される。
【0110】
本発明による組成物は、0質量%~20質量%、好ましくは0質量%~10質量%、特に0質量%~5質量%のさらなる添加剤を成分E)として含む。このような添加剤が併用される場合、その最小量は0.1質量%、好ましくは1質量%、特に3質量%である。
【0111】
成分E)が併用される場合、成分A)の上限値が相応に低減される。したがって、成分E)の0.1質量%の最小量では、成分A)の量の上限値は、例えば89.88質量%である。
【0112】
考えられるさらなる添加剤には、ガラス繊維とは異なる充填材及び補強剤、成分A)とは異なる熱可塑性ポリマー、又は他の添加剤が含まれる。
【0113】
本発明の文脈において、「充填材及び補強剤」(=可能な成分E))という用語は、広義に解釈されるべきであり、粒子状充填材、繊維状物質及び任意の中間形態を含む。粒子状充填材は、ダストの形態の粒子から大きな粒子までの幅広い粒子サイズを有し得る。考えられる充填材料には、有機又は無機の充填材及び補強剤が含まれる。ここで、使用可能なものは、例えば、無機充填材、例えばカオリン、チョーク、ウォラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化亜鉛、グラファイト、ガラス粒子、例えばガラス球、ナノスケールの充填材、例えばカーボンナノチューブ、ナノスケールの層状ケイ酸塩、ナノスケールのアルミナ(Al2O3)、ナノスケールの二酸化チタン(TiO2)、グラフェン、永久磁性又は磁化可能な金属化合物及び/又は合金、フィロシリケート及びナノスケールの二酸化ケイ素(SiO2)である。充填材は表面処理されているものであってもよい。
【0114】
本発明による成形材料に使用可能なフィロシリケートの例には、カオリン、蛇紋石、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物又はそれらの混合物が含まれる。フィロシリケートは、表面処理されてもよいか、又は表面処理されていなくてもよい。
【0115】
1種以上の繊維状物質を使用してもよい。好ましくは、これらは、既知の無機強化繊維、例えばホウ素繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セラミック繊維及び玄武岩繊維;有機強化繊維、例えばアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、及び天然繊維、例えば木材繊維、亜麻繊維、麻繊維及びサイザル麻繊維から選択される。
【0116】
特に好ましくは、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、金属繊維又はチタン酸カリウム繊維を使用する。
【0117】
好ましくは、成分A)とは異なる熱可塑性ポリマーは、
- C2~C10-モノオレフィン、例えばエチレン又はプロピレン、1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、分岐及び非分岐C1~C10-アルコールのアルコール成分を有するアクリレート及びメタアクリレート、ビニル芳香族のもの、例えばスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β-エチレン性不飽和モノ-及びジカルボン酸、及び無水マレイン酸から選択される少なくとも1つのモノマーを共重合形態で含むホモ-又はコポリマー;
- ビニルアセタールのホモ-及びコポリマー、
- ポリビニルエステル、
- ポリビニルピロリドン又はポリビニルピロリドンコポリマー(PVP)、
- ポリカーボネート(PC)、
- ポリエステル、例えばポリアルキレンテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、
- ポリエーテル、
- ポリエーテルケトン、
- 熱可塑性ポリウレタン(TPU)、
- ポリスルフィド、
- ポリスルホン、
- ポリエーテルスルホン、
- セルロースアルキルエステル
及びそれらの混合物から選択される。
【0118】
例には、C4~C8アルコールの、特にブタノール、ヘキサノール、オクタノール及び2-エチルヘキサノールの群からの同一又は異なるアルコールラジカルを有するポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(EPDM)、ポリスチレン(PS)、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレートコポリマー(SBMMA)、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-メタクリル酸コポリマー(SMA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリ乳酸(PLA)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースプロピオネート(CP)又はセルロースアセテート/ブチレート(CAB)が含まれる。
【0119】
本発明による成形材料に存在する少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、酢酸ビニルのホモ-及びコポリマー、スチレンのホモ-及びコポリマー、ポリアクリレート、熱可塑性ポリウレタン(TPUs)又はポリスルフィドである。
【0120】
少なくとも1つのさらなる着色剤と任意に組み合わせたニグロシン(Solvent Black 7、CAS:8005-02-5)及び/又はSolvent Black 28(CAS No.12237-23-91)を使用することが有利であり得る。したがって、成分E)は、好ましくは、C)とは異なる非核形成性着色剤から選択される。これらには、非核形成性染料、非核形成性顔料及びそれらの混合物が含まれる。非核形成性染料の例は、Solvent Yellow 21(Oracet(登録商標)Yellow 160 FAとしてBASF SEから購入できる)又はSolvent Blue 104(Solvaperm(登録商標)Blue2BとしてClariantから購入できる)である。非核形成性顔料の例は、Pigment Brown 24(Sicotan(登録商標)Yellow K 2011 FGとしてBASF SEから購入できる)である。また、成分E)として有用であるものは、少量の少なくとも1種の白色顔料である。好適な白色顔料は、二酸化チタン(Pigment White 6)、硫酸バリウム(Pigment White 22)、硫化亜鉛(Pigment White 7)などである。特定の実施態様において、本発明による成形材料は0.001質量%~0.5質量%の少なくとも1種の白色顔料を成分E)として含む。例えば、成形材料は、0.05質量%のKronos製のKronos 2220二酸化チタンを含んでもよい。
【0121】
添加の方法及び量は、色相、すなわち、黒色の望ましい色合いによって決まる。例えば、Solvent Yellow 21を使用して、CIELAB色空間(color space)の黒色の色相を、例えば+b*の方向、すなわち、黄色の方向でb*=-1.0から移動することが可能である。この方法は、当業者には色シェーディング(color shading)として知られている。DIN 6174「ほぼ均一なCIELAB色空間による色座標と色差の比色評価」又は後継標準(successor standard)に従って、測定を行う。
【0122】
カーボンブラックを成分E)として併用することも可能である。本発明による組成物は、例えば0.01質量%~1質量%、好ましくは0.03質量%~0.5質量%、特に0.05質量%~0.3質量%のカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、工業用カーボンブラックとしても知られており、高い表面対体積の比での炭素の修飾物であり、80質量%~99.5質量%の炭素からなる。工業用カーボンブラックの比表面積(BET)は約10~1500m2/gである。カーボンブラックは、チャンネルブラック、ファーネスブラック、フレームブラック、クラッキングブラック又はアセチレンブラックの形態で製造されてもよい。粒径は、8~500nm、典型的に8~110nmの範囲である。カーボンブラックは、pigment black 7又はlamp black 6とも称される。カラーブラックは、その細かさにより、従来のカーボンブラックの茶色のベースの色相をますます失うナノ粒子カーボンブラックである。
【0123】
好適な好ましい添加剤E)は、潤滑剤、難燃剤、光安定剤(UV安定剤、UV吸収剤又はUVブロッカー)、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、帯電防止剤、導電性添加剤、離型剤、蛍光増白剤、消泡剤などである。
【0124】
本発明による成形材料は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0質量%~15質量%、特に好ましくは0質量%~10質量%の少なくとも1種の難燃剤を添加剤E)として含む。本発明の成形材料が少なくとも1種の難燃剤を含む場合、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.01~15質量%、特に好ましくは0.1~10質量%の量で含む。好適な難燃剤には、ハロゲン含有の及びハロゲンを含まない難燃剤、及びそれらの相乗剤が含まれる(Gaechter/Mueller,第3版,1989,Hanser Verlag,第11章も参照されたい)。好ましいハロゲンを含まない難燃剤は、赤リン、ホスフィン酸塩又はジホスフィン酸塩、及び/又は窒素含有難燃剤、例えばメラミン、メラミンシアヌレート、メラミンスルフェート、メラミンボレート、メラミンオキサラート、メラミンホスフェート(一級、二級)又は二級メラミンピロホスフェート、ネオペンチルグリコールホウ酸メラミン、グアニジン、及び当業者に知られているそれらの誘導体、及びまた、ポリマーメラミンホスフェート(CAS No.:56386-64-2及び218768-84-4、及びまたEP-A-10 95 030)、アンモニウムポリホスフェート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート(任意にまた、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートと混合したアンモニウムポリホスフェート)(EP-A-058 456 7)である。難燃剤として好適なさらなるN含有又はP含有難燃剤又はPN縮合物、及びそれらの通常の相乗剤、例えば酸化物又はホウ酸塩は、DE-A-10 2004 049 342に見出される。好適なハロゲン化難燃剤は、例えば、オリゴマー臭素化ポリカーボネート(BC 52 Great Lakes)又はNが4を超えるポリペンタブロモベンジルアクリレート(FR 1025 Dead sea bromine)、テトラブロモビスフェノールAとエポキシドの反応生成物、臭素化オリゴマー又はポリマースチレン、通常相乗剤として酸化アンチモンと一緒に使用されるデクロランである(詳細及びさらなる難燃剤について、DE-A-10 2004 050 025を参照されたい)。
【0125】
ポリアミド成形材料は、それ自体知られている方法により製造される。これらには、適切な質量比率での成分の混合が含まれる。成分の混合は、好ましくは、高温で、混合、ブレンド、混練、押出又は圧延によって達成される。混合中の温度は、好ましくは220℃~340℃、特に好ましくは240℃~320℃、特に250℃~300℃の範囲である。好適な方法は、当業者に知られている。
【0126】
成形品
本発明に従って使用されるポリアミド組成物は、射出成形により成形品を製造することに使用され、ここで、射出成形中に、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントが合流し、少なくとも1つの溶接シームを形成する。
【0127】
したがって、成形品は、射出成形プロセスから生じる少なくとも1つの溶接シームを有する。射出成形は、既知の方法に従って行われ、例えば「Einfaerben von Kunststoffen」,VDI-Verlag,ISBN 3-18-404014-3に記載されている。
【0128】
典型的には、射出成形において、少なくとも2つの射出点は鋳型に提供され、それにより、溶融ポリアミド組成物の少なくとも2つのフローフロントがもたらされる。成形品のサイズ及び形状に応じて、さらに多くの射出点を提供することもできる。少なくとも2つのフローフロントは、鋳型におけるキャビティ又はコアの周りに貫流を形成することもできる。
【0129】
本発明に従って製造される成形品は、一部分又は複数の部分の物品であり得る。複数の部分の構造の場合、続いて、個々の成形品は、例えば、溶接、例えば摩擦溶接、高温ガス溶接又はレーザー透過溶接によって互いに接合されなければならない。
【0130】
本発明による方法により得ることができるポリアミド成形品は、有利に、自動車用途に、電気及び電子部品に、特にまた高温分野に使用することにさらに適している。
【0131】
特定の実施態様は、特にシリンダーヘッドカバー、エンジンカバー、給気冷却器のハウジング、給気冷却器バルブ、吸気管、吸気マニホールド、コネクタ、ギア、ファンインペラ、冷却水タンク、熱交換器のハウジング又はハウジング部品、クーラントクーラー、給気冷却器、サーモスタット、水ポンプ、加熱要素、固定部品から選択される、
自動車部門の構成部品の形態で又はその一部としての成形品の実施態様である。
【0132】
自動車内装における可能な使用は、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シート構成部品、ヘッドレスト、センターコンソール、ギアボックス構成部品及びドアモジュールであり、自動車外装における可能な使用は、A、B、C、又はDピラーカバー、スポイラー、ドアハンドル、外部ミラー構成部品、フロントガラスワイパー構成部品、フロントガラスワイパー保護ハウジング、装飾グリル、カバーストリップ、ルーフレール、窓枠、サンルーフフレーム、アンテナカバー、フロントライト及びテールライト、エンジンフード、シリンダーヘッドカバー、吸気管、フロントガラスワイパー、外装車体部品である。
【0133】
さらに特定の実施態様は、成形品自体、又は電気又は電子の受動又は能動部品の一部としての成形品の、プリント回路基板の、プリント回路基板の一部の、ハウジング構成要素の、フィルムの、又はワイヤの実施態様であり、より特にスイッチの、プラグの、ブッシングの、ディストリビューターの、リレーの、抵抗器の、コンデンサーの、巻線の又は巻線体の、ランプの、ダイオードの、LEDの、トランジスタの、コネクタの、レギュレータの、集積回路(IC)の、プロセッサの、コントローラの、メモリ要素の及び/又はセンサの形態で又はその一部としての実施態様である。
【0134】
キッチン及び家庭部門におけるポリアミドの可能な使用は、キッチンマシン、例えばフライヤー、アイロン、ノブ及びボタンの構成要素の製造のためのもの、及び庭部門での用途、例えば灌漑システム又は庭の機器の構成要素である。
【0135】
成形品を製造するためのポリアミド組成物は、それ自体知られている方法により製造される。ここで、ポリアミド組成物を製造するための上記の方法が参照される。これらには、適切な質量比率での成分の混合が含まれる。成分の混合は、好ましくは、高温で、混合、ブレンド、混練、押出又は圧延によって達成される。混合中の温度は、好ましくは220℃~340℃、特に好ましくは240℃~320℃、特に250℃~300℃の範囲である。個々の成分の予備混合は有利であり得る。さらに、ポリアミドの融点よりかなり低い温度で製造された予備混合された成分及び/又は個々の成分の物理的混合物(ドライブレンド)から成形物を直接製造することも可能である。この場合、混合中の温度は、好ましくは0℃~100℃、特に好ましくは10℃~50℃、特に室温(25℃)である。成形材料は、射出成形によって成形品に加工される。前記材料は、例えば、カバー、ハウジング、アクセサリー部品、センサのための材料に、例えば、自動車、電気工学、電子、電気通信、情報技術、コンピューター、家庭、スポーツ、医療、又はエンターテインメント部門での用途に特に適している。
【0136】
本発明に従って使用されるポリアミド組成物から製造される成形品は、広い温度範囲にわたる熱エージング後、特に180℃で500時間の熱エージング後、著しく改善した溶接シーム強度を示す。成形品の、特に溶接シームの引張強度は、180℃で500時間の熱処理で、大きく維持されるか、又はごく僅かに低下する。
【0137】
この場合では、熱エージングは、自動車業界で一般的に使用されている仕様と同様に行われる。
【0138】
したがって、記載されているポリアミド成形材料の使用により、特にコポリアミド/ターポリアミドの併用で、酸化及び熱エージング後の溶接シーム強度を大幅に改善することが可能である。したがって、関連する用途のための、WO 2010/014801及びEP-B-2 307 480に記載されている成形材料の欠点を克服することができる。
【0139】
以下の実施例により本発明をより具体的に説明する。
【実施例】
【0140】
以下の原料を使用した:
A1:ポリアミド6:BASF SE製のUltramid(登録商標)B27、融点:222℃、粘度数(96%のH2SO4で0.5%):150cm3/g、ポリアミドの粘度数は、ISO 307に従って25℃で決定した。
【0141】
B:ガラス繊維:OCV-995、メーカー:Nippon Electric Glass(マレーシア)SDN.BHD.、平均直径:10.5μm、長さ:3mm、
C:Irganox(登録商標)1098、メーカー:BASF SE
D:多価アルコール:
Charmor(登録商標)PP100:ペンタエリスリトール(CAS No. 116-77-5)と異なるポリアルコール及びエステルとの混合物、メーカー:Perstorp
Charmor(登録商標)DP40:2,2,2’’,2’’-テトラキス(ヒドロキシメチル)-3,3’’-オキシジプロパン-1-オール、メーカー:Perstorp
EPVOH:エチレンポリビニルアルコール(CAS No.26221-27-2)
CuI/KI:ヨウ化銅(CAS No.7681-65-4)とヨウ化カリウム(CAS No.:7681-11-0)との混合物、
E:潤滑剤:ステアリン酸カルシウム(CAS No.1592-23-0)
EBS:ジステアリルエチレンジアミド(CAS No.110-30-5)
着色剤:ニグロシン(CAS:8005-02-5、Solvent Black 7)
ガラス繊維(ホットフィードによって個別に投与した)を除いて、下記の表1に載せている成分をタンブルミキサーで10分間予備混合し、次に25mmの直径及び44のL/D比を有する2軸押出機によって300℃のバレル温度で押出し、ペレット化した。この目的のために、天然色のポリアミドペレット材料を、最初に、水分含有量が0.1%未満になるように、100℃の乾燥オーブンで4時間乾燥させた。得られたペレット材料を射出成形機で290℃の溶融温度で射出成形して、標準ISOダンベルを得、視覚的及び分析的に評価した。ダンベルの両端に向かい合って配置された注入ポイントを介して、流入したポリアミドを外側からダンベルの中央に流して、成形品の中央に溶接シームを形成するように、4mmの厚さ及び150mmの長さを有する標準ISOダンベルを製造した。標準化した破壊応力試験により、溶接シーム強度を決定した。DIN ISO 527又は179-2/1 eU又は179-2/1 eAf(2017版)に従って機械的特性を決定した。表に記載している量は質量%で表すものである。
【0142】
典型的な自動車規格に従って、熱エージングを行った。この目的のために、再循環オーブンを正しい温度に温度制御した。それぞれの工程前に、試料を大気圧未満の圧力下80℃で48時間乾燥させた。その後、温度制御したオーブンで、それらを特定時間保存した。
【0143】
【0144】
乾燥の、射出成形したダンベル(成形したように乾燥、DAM)は、ごく僅かに異なる破断伸びを示す。
【0145】
180℃での熱エージングにより、多価アルコールの効果が明らかになる。
【0146】
実施例E1及びE3のポリオールとIrganox(登録商標)1098との組み合わせの結果は、比較例C1の結果よりも優れている。180℃でエージングした後、実施例E5及びE6の組成物は、最良の破壊応力の値を示す。