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特許7484001ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法
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  • 特許-ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/01 20060101AFI20240508BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C08F2/01
C08F20/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023177708
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 英則
(72)【発明者】
【氏名】安富 陽一
(72)【発明者】
【氏名】塚本 昌利
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506446(JP,A)
【文献】特表2008-540752(JP,A)
【文献】特開平09-087333(JP,A)
【文献】特開平10-087737(JP,A)
【文献】特開2002-363203(JP,A)
【文献】特開平09-031108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251139(US,A1)
【文献】特許第7364817(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/01
C08F 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、
前記重合反応槽に前記原料ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部であって、第1の配管により前記重合反応槽に接続されており、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部を備える原料ビニルモノマー供給部と、
前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離するための脱揮部であって、第2の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口と、前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口と、第1の未反応ビニルモノマー排出口よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口と、を有する脱揮部と、
前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去するための精製器であって、第3の配管により前記脱揮部の第1の未反応ビニルモノマー排出口に接続され、および/または、第4の配管により前記脱揮部の第2の未反応ビニルモノマー排出口に接続されている精製器と、
前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部であって、前記精製器と前記原料ビニルモノマー供給部とを接続する第5の配管に設けられている循環部と、
前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部と、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部の下流、第1の配管、第3の配管、第4の配管および第5の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、原料ビニルモノマーから水を回収するための脱水部と、を備え、
前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸エステルである、ビニル重合体製造装置。
【請求項2】
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、請求項1に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項3】
前記脱揮部が脱揮押出機である、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項4】
第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つのうちの当該再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている冷却部をさらに備え、
前記冷却部が、気体状の未反応ビニルモノマーを液化するための冷却部である、請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項5】
第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されており、前記重合反応槽に供給される原料ビニルモノマーの組成を調節するための原料ビニルモノマー調合槽をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項6】
第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられており、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第1の貯留タンクと、
第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられており、前
記精製器から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第2の貯留タンクと
をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項7】
前記脱水部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項8】
前記脱水部が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部の下流に接続されている、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項9】
前記脱水部が、液液分離、凍結濃縮分離、蒸留分離、膜分離、吸着分離、吸収分離、超音波霧化分離及びクロマトグラフィーからなる群から選ばれる少なくとも1つを採用した脱水部である、請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載のビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法において、
前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される再生/バイオ原料ビニルモノマーと、を含む原料ビニルモノマーを、前記原料ビニルモノマー供給部から前記重合反応槽に導出する導出工程と、
前記重合反応槽において前記原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得る調製工程と、
前記脱揮部において前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離する分離工程と、
前記精製器において前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去する除去工程と、
不純物成分が除去された前記未反応ビニルモノマーを前記精製器から前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環工程と、
前記原料ビニルモノマーから水を回収する脱水工程と、
前記脱揮部から前記ビニル重合体を排出する排出工程と、
を含み、
前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸エステルである、ビニル重合体の製造方法。
【請求項11】
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、請求項10に記載のビニル重合体の製造方法。
【請求項12】
第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つのうちの前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている冷却部をさらに備え、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された気体状の未反応ビニルモノマーを前記冷却部に導入して、冷却することにより液化する冷却工程をさらに含む、請求項10に記載のビニル重合体の製造方法。
【請求項13】
第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている原料ビニルモノマー調合槽をさらに備え、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー調合槽に導入して原料ビニルモノマーの組成を調節することを含む、請求項10に記
載のビニル重合体の製造方法。
【請求項14】
第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられた第1の貯留タンクと、第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられた第2の貯留タンクとをさらに備え、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして第1の貯留タンクに貯留する工程をさらに含み、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを第2の貯留タンクに液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留し、次いで前記原料ビニルモノマー供給部に循環させることを含む、請求項10に記載のビニル重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法に関し、より具体的にはマスバランス方式を採用したビニル重合体の製造に特に好適に適用できるビニル重合体製造装置およびビニル重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるビニルモノマーに含まれる(メタ)アクリル酸エステルの代表的な例としては、(メタ)アクリル酸メチル(MMA)が挙げられる。(メタ)アクリル酸メチルを重合したビニル重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチル(PMMA)は透明性に優れており、さらには耐候性にも優れている。よって、ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、自動車用部品、看板標識、表示装置等を構成する部材の材料として、広く用いられている。
【0003】
このようなポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造するにあたり、(メタ)アクリル酸メチルを主成分とするモノマー混合物を一基の完全混合型反応器を用い、かつ溶媒を用いることなく連続してバルク重合するに際して、任意のモノマー転化率に調整しつつ安定した運転を達成することを目的として、モノマー混合物中の溶存酸素を1ppm以下にした後、特定の半減期を有する開始剤を用いて、特定の消費動力で撹拌して、特定の温度および滞留時間において特定のモノマー転化率で反応させる態様が知られている(特許文献1参照。)。
【0004】
また、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造するにあたり、未反応の(メタ)アクリル系単量体を自己重合しない状態で回収・再利用可能とすることを目的として、(A)メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する(メタ)アクリル系単量体と、ラジカル重合開始剤と、連鎖移動剤とを含有する原料組成物とを重合釜に連続的に供給する工程と、(B)重合釜で、(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部を重合させて、(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部が重合した(メタ)アクリル系重合体を含む反応混合物とする工程と、(C)反応混合物を重合釜から連続的に抜き出し、メタクリル酸メチル二量体並びに未反応の(メタ)アクリル系単量体を含む揮発成分を分離除去する脱揮処理をして、(メタ)アクリル系重合体を得る工程と、を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、さらに(D)分離除去された前記揮発成分を蒸留塔に導入し、揮発成分に含まれるメタクリル酸メチル二量体の少なくとも一部と、揮発成分に含まれる未反応の(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部とを含む回収成分を、回収成分におけるメタクリル酸メチル二量体の含有量が0.1~1.0質量%となる条件で回収する工程を実施する態様が知られている(特許文献2参照。)。
【0005】
そして、近年の資源価格の高騰、さらには環境問題に対する意識の高まりに伴って、上記のとおりの種々の用途に用いられたポリ(メタ)アクリル酸メチルを含む製品(成形体)は回収されてリサイクル(再資源化)が図られている。
【0006】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルのリサイクルの方法としては、例えば、回収された成形体に対し、再度、成形工程を実施して新たな成形体を製造するマテリアルリサイクル、回収された成形体を熱処理して、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを熱分解(解重合)することにより(メタ)アクリル酸メチルを回収し、回収された(メタ)アクリル酸メチル(再生MMAという場合がある。)を用いて新たな成形体を製造するケミカルリサイクル、および回収された成形体を燃料として燃焼させ、燃焼エネルギーを直接的に熱源として、さらには燃焼エネルギーを用いて発電して利用するサーマルリサイクルが挙げられる。
【0007】
ポリ(メタ)アクリル酸メチルは、300℃程度の比較的低い温度で加熱することによって、(メタ)アクリル酸メチルを高収率で回収することができ、不純物の低減が可能であるため、ケミカルリサイクルによりリサイクルされることが好ましい。
【0008】
また、例えば環境負荷低減の観点から、上記のようなケミカルリサイクルによる熱分解、またはバイオマス資源を原料として微生物による発酵を利用して、ビニルモノマーである(メタ)アクリル酸メチルを得る(再生する)方法、さらにはこのようにして得られた(再生された)ビニルモノマーである(メタ)アクリル酸メチル(再生/バイオ原料ビニルモノマーという場合がある。)と、従来、一般的に用いられている、例えば、化石燃料を原料として製造された化石燃料由来のビニルモノマー(バージンビニルモノマー)である(メタ)アクリル酸メチルであって上記再生/バイオ原料ビニルモノマーに該当しない(メタ)アクリル酸メチル(非再生/非バイオ原料ビニルモノマーという場合がある)とを所定の割合で混合して、ビニル重合体であるポリ(メタ)アクリル酸メチルを製造する態様が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平3-111408号公報
【文献】特開2005-82687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1および2にかかる技術、さらには再生/バイオ原料ビニルモノマーと非再生/非バイオ原料ビニルモノマーとを用いる従来のビニル重合体の製造方法によっては、ビニル重合体を製造する前に、再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーそれぞれについて複雑な工程を必要とする精製工程などの実施が要求される場合がある。これらの実施には莫大なエネルギーを要することから、さらなるコストを負担する必要が生じる場合がある。
また、原料ビニルモノマー、その硬化物、およびその重合体は、原料ビニルモノマーが、非再生または非バイオ原料ビニルモノマーであるか、再生またはバイオ原料ビニルモノマーであるか、またはこれらの混合物であるかに関わらず、これらに含まれる水を低減することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、所定の構成を備えるビニル重合体製造装置および当該ビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明は、下記の実施態様を含む。
<1>再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、
前記重合反応槽に前記原料ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部であって、第1の配管により前記重合反応槽に接続されており、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部を備える原料ビニルモノマー供給部と、
前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離するための脱揮部であって、第2の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口と、前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口と、第1の未反応ビニルモノマー排出口よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口と、を有する脱揮部と、
前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去するための精製器であって、第3の配管により前記脱揮部の第1の未反応ビニルモノマー排出口に接続され、および/または、第4の配管により前記脱揮部の第2の未反応ビニルモノマー排出口に接続されている精製器と、
前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部であって、前記精製器と前記原料ビニルモノマー供給部とを接続する第5の配管に設けられている循環部と、
前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部と、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部の下流、第1の配管、第3の配管、第4の配管および第5の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、原料ビニルモノマーから水を回収するための脱水部と、を備えるビニル重合体製造装置。
<2>前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、<1>に記載のビニル重合体製造装置。
<3>前記脱揮部が脱揮押出機である、<1>または<2>に記載のビニル重合体製造装置。
<4>第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つのうちの当該再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている冷却部をさらに備え、
前記冷却部が、気体状の未反応ビニルモノマーを液化するための冷却部である、<2>に記載のビニル重合体製造装置。
<5>第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されており、前記重合反応槽に供給される原料ビニルモノマーの組成を調節するための原料ビニルモノマー調合槽をさらに備える、<1>~<4>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<6>第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられており、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第1の貯留タンクと、
第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられており、前記精製器から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留するための第2の貯留タンクと
をさらに備える、<1>~<5>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<7>前記脱水部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、<1>~<6>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<8>前記脱水部が、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部の下流に接続されている、<1>~<7>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<9>前記脱水部が、液液分離、凍結濃縮分離、蒸留分離、膜分離、吸着分離、吸収分離、超音波霧化分離及びクロマトグラフィーからなる群から選ばれる少なくとも1つを採用した脱水部である、<1>~<8>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<10>前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、<1>~<9>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置。
<11><1>~<10>のいずれか1項に記載のビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法において、
前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される再生/バイオ原料ビニルモノマーと、を含む原料ビニルモノマーを、前記原料ビニルモノマー供給部から前記重合反応槽に導出する導出工程と、
前記重合反応槽において前記原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得る調製工程と、
前記脱揮部において前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離する分離工程と、
前記精製器において前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去する除去工程と、
不純物成分が除去された前記未反応ビニルモノマーを前記精製器から前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環工程と、
前記原料ビニルモノマーから水を回収する脱水工程と、
前記脱揮部から前記ビニル重合体を排出する排出工程と、
を含む、ビニル重合体の製造方法。
<12>前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部が、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続されている、<11>に記載のビニル重合体の製造方法。
<13>第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つのうちの前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部よりも前記脱揮部の近傍の領域に設けられている冷却部をさらに備え、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された気体状の未反応ビニルモノマーを前記冷却部に導入して、冷却することにより液化する冷却工程をさらに含む、<11>または<12>に記載のビニル重合体の製造方法。
<14>第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられているか、または前記原料ビニルモノマー供給部に接続されている原料ビニルモノマー調合槽をさらに備え、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー調合槽に導入して原料ビニルモノマーの組成を調節することを含む、<11>~<13>のいずれか1項に記載のビニル重合体の製造方法。
<15>第4の配管のうちの前記精製器の近傍の領域に設けられた第1の貯留タンクと、第5の配管のうちの前記原料ビニルモノマー供給部の近傍の領域に設けられた第2の貯留タンクとをさらに備え、
前記分離工程の後であって前記除去工程の前に、前記脱揮部から導出された未反応ビニルモノマーを液体状の未反応ビニルモノマーとして第1の貯留タンクに貯留する工程をさらに含み、
前記循環工程が、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを第2の貯留タンクに液体状の未反応ビニルモノマーとして貯留し、次いで前記原料ビニルモノマー供給部に循環させることを含む、<11>~<14>のいずれか1項に記載のビニル重合体の製造方法。
<16>前記原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルである、<11>~<15>のいずれか1項に記載のビニル重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のビニル重合体製造装置および当該ビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法によれば、簡便な工程で、エネルギー消費を低減しつつ、効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を製造することができ、ビニル重合体の製造コストをより低減することができる。また、本発明のビニル重合体製造装置および当該ビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法によれば、簡便な工程で、原料ビニルモノマー、その硬化物、およびその重合体に含まれる水を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、それぞれの構成要素は本発明の要旨から逸脱しない範囲で改変可能である。複数の図面において、同一の構成要素に用いられる符号については重複する説明を省略する場合がある。
【0016】
本発明において「再生/バイオ原料ビニルモノマー」とは、再生ビニルモノマーもしくはバイオ由来ビニルモノマーのいずれかまたは両方である原料ビニルモノマーを意味する。
「再生ビニルモノマー」とは、ビニル重合体の解重合(重合体が分解して単量体を生成する反応)により得られるビニルモノマーを意味する。
「バイオ由来ビニルモノマー」とは、生物由来の原料から合成されるビニルモノマーを意味する。
「非再生/非バイオ原料ビニルモノマー」とは、再生ビニルモノマーまたはバイオ由来ビニルモノマーのいずれにも該当しない原料ビニルモノマーを意味する。
【0017】
「ビニルモノマー」とは、ビニル基を有するモノマー(単量体)である。ビニルモノマーの例としては、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体が挙げられる。
【0018】
「ビニル重合体」とは、ビニル基を有する上記モノマーに由来するモノマー単位(残基)を含む重合体である。
【0019】
「ビニル重合体組成物」とは、上記ビニル重合体を主成分として含み、さらにその他の成分を含みうる組成物である。
【0020】
「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来する単量体単位を有する重合体である。
「(メタ)アクリル」には、アクリル、メタクリルおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0021】
「(メタ)アクリル系重合体組成物」は、(メタ)アクリル系重合体を主成分として含み、さらにその他の成分を含みうる組成物である。
「(メタ)アクリル酸エステル」には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸(2-エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸(tert-ブチルシクロヘキシル)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸(2,2,2-トリフルオロエチル)が含まれる。
【0022】
「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を有する重合体である。
【0023】
ここで、(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位のみを含む(メタ)アクリル単独重合体;炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位を、85質量%以上100質量%未満と、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルに由来する単量体単位と共重合可能な他のビニル単量体に由来する単量体単位を0質量%を超えて15質量%以下とを有する(メタ)アクリル共重合体が挙げられる。
【0024】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル」とは、例えばCH=C(CH)COOR(Rは炭素原子数1~4のアルキル基である。)で表される化合物である。
【0025】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体とは、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルと共重合可能であり、かつビニル基を有するモノマーである。
【0026】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、およびメタクリル酸イソブチルが挙げられる。炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルは、好ましくはメタクリル酸メチルである。
【0027】
炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのメタクリル酸エステル(ただし、炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを除く。);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール等のアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの酸無水物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有モノマー;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。
【0028】
ビニル重合体((メタ)アクリル系重合体)の製造方法としては、例えば、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと、必要に応じて、炭素原子数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルと共重合可能なその他のビニルモノマーとを重合する、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合が挙げられる。
【0029】
ビニル重合体組成物((メタ)アクリル系重合体組成物)が含みうる「その他の成分」には、例えば、所定の特性を有する成形体を製造するために添加されうる従来公知の任意好適な、離型剤、重合調節剤、重合開始剤、紫外線吸収剤および着色剤が挙げられる。
【0030】
「スクラップ」とは、通常、ビニル重合体組成物を従来公知の任意好適な射出成形工程などにより種々の形状に成形して製造され、所定の用途に使用された後に廃材として回収された使用済みの成形体であって、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体である。また、「スクラップ」は、成形時の不良品を回収し、本発明において原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよいし、成形時や研磨加工など後工程で発生する端材を回収し、原料として用いることができる形状、サイズに調整された成形体であってもよい。
【0031】
「不純物成分」とは、例えば、低沸点不純物、高沸点不純物を含みうる不純物を主成分とする成分を意味している。
【0032】
「低沸点不純物」とは、用いられるビニルモノマーより沸点の低い不純物を主成分とする不純物であって、例えば、ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、大気圧における沸点の範囲が例えば50℃~100℃である化合物を含む不純物を意味している。低沸点不純物には、具体的には例えばメタノール、アクリル酸メチル、イソ酪酸メチルおよびプロピオン酸メチルが含まれる。
【0033】
「高沸点不純物」とは、用いられるビニルモノマーより沸点の高い不純物を主成分とする不純物であって、大気圧における沸点の範囲が例えば102℃~450℃である化合物を含む不純物を意味しており、高沸点不純物には、例えば、染料、熱分解されたビニルモノマーの二量体、および熱分解されたビニル単量体の三量体が含まれうる。ここで、高沸点不純物は、主として、スクラップに含まれる着色成分に由来する成分であって、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、具体的には高沸点不純物には、例えば、スチレン、トルエン、1-ブタノール、2-メチレン-5-メチルヘキサン二酸ジメチルおよび2-メトキシメチル-2,4-ジメチルグルタル酸ジメチルが含まれる。
【0034】
<ビニル重合体製造装置>
本発明のビニル重合体製造装置は、
再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、
前記重合反応槽に前記原料ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部であって、第1の配管により前記重合反応槽に接続されており、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを供給するための非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部を備える原料ビニルモノマー供給部と、
前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離するための脱揮部であって、第2の配管により前記重合反応槽に接続されており、前記ビニル重合体を排出するためのビニル重合体排出口と、前記未反応ビニルモノマーを排出するための第1の未反応ビニルモノマー排出口と、第1の未反応ビニルモノマー排出口よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口と、を有する脱揮部と、
前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去するための精製器であって、第3の配管により前記脱揮部の第1の未反応ビニルモノマー排出口に接続され、および/または、第4の配管により前記脱揮部の第2の未反応ビニルモノマー排出口に接続されている精製器と、
前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部であって、前記精製器と前記原料ビニルモノマー供給部とを接続する第5の配管に設けられている循環部と、
前記原料ビニルモノマー供給部、前記重合反応槽、前記精製器、前記循環部、第3の配管および第4の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部と、
前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部の下流、第1の配管、第3の配管、第4の配管および第5の配管からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、原料ビニルモノマーから水を回収するための脱水部と、を備える。
【0035】
図1を参照して、本発明のビニル重合体製造装置について説明する。図1は、ビニル重合体製造装置の構成例を示す概略的な図である。
図1に示すビニル重合体製造装置1は、重合反応槽10と、原料ビニルモノマー供給部20と、脱揮部30と、精製器40と、循環部50と、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60と、脱水部100と、を備える。
【0036】
(重合反応槽)
重合反応槽10は、原料ビニルモノマーを塊状重合または溶液重合して、ビニル重合体組成物を得る。原料ビニルモノマーは、再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを含む。
原料ビニルモノマーは、循環部50によって回収される未反応ビニルモノマーを含んでもよい。
ビニル重合体組成物は、ビニル重合体と未反応ビニルモノマーとが混合した状態であってもよい。重合の方法は、塊状重合または溶液重合であってよい。
【0037】
重合反応槽10としては、例えば、図示しない攪拌部を備えた槽型反応装置または管型反応装置を用いることができる。攪拌部は、重合反応槽10に供給された原料ビニルモノマーおよび反応物を均一に混合することができる性能を有する機能部であることが好ましい。
【0038】
重合反応槽10は、重合反応槽10内の温度(重合温度)を所定の温度に調節する温度調節部を備えていてもよい。温度調節部による温度の調節範囲は、例えば、用いられる原料モノマーの種類、配合比、その他の成分等を勘案して決定された任意好適な範囲とすることができる。
【0039】
温度調節部による温度の調節は、従来公知の任意好適な方法によって行うことができる。重合反応槽10が備えうる温度調節部としては、従来公知の任意好適な構成を適用することができる。このような温度調節部としては、具体的には、内部に媒体(熱媒体、冷媒体)を流通させることができる、ジャケット、二重管熱交換器、電気ヒーターおよび保温材からなる群から選ばれる少なくとも1つを適用することができる。
【0040】
(原料ビニルモノマー供給部)
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。なお、詳細は後述するが、原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに加えて再生/バイオ原料ビニルモノマー、さらには未反応ビニルモノマーをも重合反応槽10に供給することができるように構成されている。
【0041】
原料ビニルモノマー供給部20は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22を含む。
非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22は、外部から導入された非再生/非バイオ原料ビニルモノマー(バージンビニルモノマー)を原料モノマー供給ポンプ24に供給することができる機能部である。非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル等を含む機器を用いることができる。
【0042】
原料ビニルモノマー供給部20は、原料ビニルモノマー供給ポンプ24を用いて原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給してもよい。
原料モノマー供給ポンプ24は、原料ビニルモノマーを重合反応槽10に供給することができる機能部である。原料モノマー供給ポンプ24としては、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプといった従来公知の任意好適な構成を採用することができる。
【0043】
原料ビニルモノマー供給部20は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が原料ビニルモノマー供給部20に接続されている第1の配管71により重合反応槽10に接続されている。
図1に示す原料ビニルモノマー供給部20では、第1の配管71は原料モノマー供給ポンプ24に接続されている。
【0044】
第1の配管71としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
【0045】
ビニル重合体製造装置1は、重合開始剤供給部26および連鎖移動剤供給部28をさらに含みうる。
【0046】
重合開始剤供給部26は、選択された原料ビニルモノマーに対応した従来公知の任意好適な重合開始剤を、重合反応槽10に供給することができる機能部である。
【0047】
重合開始剤供給部26としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ等を含む機器を用いることができる。
【0048】
図1に示す重合開始剤供給部26は原料モノマー供給ポンプ24に接続されているが、重合開始剤供給部26は重合反応槽10に直接的に接続されて、重合反応槽10に重合開始剤を供給してもよい。
【0049】
ビニル重合体製造装置1が原料モノマー供給ポンプ24に接続される重合開始剤供給部26を備える場合には、重合開始剤を供給するにあたり、ビニルモノマー(原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマー)の原料モノマー供給ポンプ24における重合を防止する観点から、ビニルモノマーが重合しない条件、すなわち例えば重合温度未満の温度条件となるように調整して供給することが好ましい。
【0050】
連鎖移動剤供給部28は、選択されたビニルモノマーに対応した従来公知の任意好適な連鎖移動剤を、重合反応槽10に供給することができる機能部である。
【0051】
連鎖移動剤供給部28としては、従来公知の任意好適なタンク、塔、槽、ベッセル、ブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ等を含む機器を用いることができる。
【0052】
図1に示す連鎖移動剤供給部28は原料ビニルモノマー供給ポンプ24に接続されているが、連鎖移動剤供給部28は重合反応槽10に直接的に接続されて、重合反応槽10に連鎖移動剤を供給してもよい。
【0053】
(脱揮部)
脱揮部30は、重合反応槽10から導出されたビニル重合体組成物を脱揮して、液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマー(他に不純物成分を含みうる)とを分離する機能を有する機能部である。脱揮部30としては、上記の機能を有することを条件として、従来公知の任意好適な構成を有する装置等を適用することができる。
【0054】
脱揮部30の例としては、脱揮押出機を含む押出機、薄膜式蒸発機、蒸発缶、多管式熱交換器、特殊熱交換器が挙げられる。
【0055】
脱揮部30は、脱揮押出機であることが好ましい。脱揮部30である脱揮押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。脱揮押出機の具体例としては、日本製鋼所製のTEX(商品名)等のベントエスクトルーダ型の脱揮押出機が挙げられる。
【0056】
以下、脱揮部30の構成例について、二軸押出機の構成を例にとって説明する。
二軸押出機である場合の脱揮部30は、重合反応槽10にて調製されたビニル重合体組成物を二軸押出機内における延在方向(略水平方向)に移動させつつ内部において加熱処理を行うためのシリンダと、シリンダの内部に配置されたスクリューとを備えている。
【0057】
図1に示されるように、脱揮部30には、ビニル重合体組成物を脱揮部30の内部に供給するためのビニル重合体組成物導入口32が設けられている。ビニル重合体組成物導入口32は二軸押出機におけるフィーダーに相当する構成である。ビニル重合体組成物導入口32であるフィーダーは、通常、シリンダの上流側の端部近傍において、シリンダ内にビニル重合体組成物を供給できるように設けられている。
【0058】
脱揮部30には、ビニル重合体を脱揮部30外に排出するためのビニル重合体排出口34が設けられている。ビニル重合体排出口34は、通常、脱揮部30の下流側の末端部近傍に設けられている。
【0059】
脱揮部30には、未反応ビニルモノマー排出口が設けられている。未反応ビニルモノマー排出口は、脱揮処理によって生成した未反応ビニルモノマーと不可避的に含まれうる不純物成分を含むガスを脱揮部30外に抜き出す。
未反応ビニルモノマー排出口の配置(位置)は特に限定されず、設計に対応した任意好適な配置とすることができる。未反応ビニルモノマー排出口は、例えば、脱揮部30で生成したガスの抜き出し効率を向上させる観点から、ビニル重合体組成物導入口32とは反対側の脱揮部30の下流側の端部近傍であって、脱揮部30の上端側に設けられていることが好ましい。
未反応ビニルモノマー排出口の数は、1個以上であれば特に制限されない。未反応ビニルモノマー排出口の数が2個以上である場合には、脱揮部30の上端側に所定の間隔(例えば等間隔)で整列するように配置することが好ましい。
【0060】
以下、図1に示されるように、脱揮部30が第1の未反応ビニルモノマー排出口36と、第1の未反応ビニルモノマー排出口36よりも下流側に配置されている第2の未反応ビニルモノマー排出口38と、を備える態様を例にとって説明する。
【0061】
第1の未反応ビニルモノマー排出口36は、脱揮部30の上流側、すなわちビニル重合体排出口34が設けられている下流側の末端部とは反対側の末端部寄りに配置されている。なお、第1の未反応ビニルモノマー排出口36を上流側未反応ビニルモノマー排出口36という場合がある。
【0062】
第2の未反応ビニルモノマー排出口38は、脱揮部30の下流側、すなわちビニル重合体排出口34寄りに配置されている。なお、第2の未反応ビニルモノマー排出口38を上流側未反応ビニルモノマー排出口38という場合がある。
【0063】
ここで、より上流側に配置される第1の未反応ビニルモノマー排出口36から導出される未反応ビニルモノマーを含むガスには、不純物成分として、より低沸点である低沸点不純物が多く含まれうる。一方で、より下流側に配置される第2の未反応ビニルモノマー排出口38から導出される未反応ビニルモノマーを含むガスには、不純物成分として、より高沸点である高沸点不純物が多く含まれうる。
【0064】
脱揮部30は、一端側が重合反応槽10に接続されており、他端側が脱揮部30に接続されている第2の配管72により、重合反応槽10に接続されている。第2の配管72は、重合反応槽10にて調製されたビニル重合体組成物を、重合反応槽10から導出し、さらに脱揮部30に導入するための配管である。
【0065】
第2の配管72は、上記の機能を実現できることを条件として、その形状、サイズ、構成材料等は特に限定されない。第2の配管72は、通常、ビニル重合体組成物を確実に流通させるために、図示されていない従来公知の任意好適なポンプ、開閉弁、流量計、予熱器など構成を備えていてもよい。第2の配管72としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
【0066】
(精製器)
精製器40は、脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーから未反応ビニルモノマー以外の不純物成分(特に高沸点不純物)を分離して除去するための機能部である。
【0067】
精製器40としては、従来公知の任意好適な構成を有する精留塔(蒸留塔)を適用することができる。精製器40である好適な精留塔の例としては、多段式精留塔が挙げられる。
【0068】
精製器40である精留塔の形状、サイズ、材料は特に限定されない。精留塔の形状、サイズ、材料は、例えば、処理対象である脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーの成分、量、精製能力を勘案して選択することができる。精留塔の好ましい材料の例としてはステンレス鋼が挙げられる。
【0069】
精製器40は、第3の配管73及び第4の配管74によって脱揮部30に接続されている。第3の配管73は、一端側が脱揮部30の第1の未反応ビニルモノマー排出口36に接続されており、他端側が精製器40に接続されている。第4の配管74は、一端側が第2の未反応ビニルモノマー排出口38に接続されており、他端側が精製器40に接続されている。
【0070】
第3の配管73および第4の配管74は、脱揮部30から未反応ビニルモノマーを導出して、精製器40に導入することができることを条件として、その形状、サイズ、構成材料等は特に限定されない。
【0071】
第3の配管73および第4の配管74は、上記の機能を発揮するために、図示されていない従来公知の任意好適なポンプ、開閉弁、流量計など構成を備えていてもよい。第3の配管73および第4の配管74としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
【0072】
精製器40により除去されうる不純物成分の例としては、ビニルモノマーの二量体、ビニルモノマーの三量体、用いられうる連鎖移動剤、不活性溶媒、さらにはビニルモノマーの反応物や分解物などに由来する高沸点不純物が挙げられる。
【0073】
(循環部)
循環部50は、精製器40により不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを、原料ビニルモノマー供給部20に循環させる機能部である。
【0074】
循環部50は、上記の機能を発揮することができることを条件として特に限定されず、従来公知の任意好適な構成を採用することができる。循環部50としては、例えば、従来公知の任意好適なタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、冷却器などの温度調節器等を含む機器を用いることができる。
【0075】
循環部50は、一端側が精製器40に接続されており、他端側が循環部50に接続されている第5の配管75に設けられている。第5の配管75としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管を適用することができる。
第5の配管75は、冷却部を備えていてもよい。
【0076】
(再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部)
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、原料ビニルモノマー供給部20、重合反応槽10、精製器40、循環部50、第3の配管73および第4の配管74からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続され、再生/バイオ原料ビニルモノマーをこれらに供給する。
【0077】
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60の例としては、原料ビニルモノマー供給部20に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60a;重合反応槽10に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60b;第3の配管73に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60c;第4の配管74に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60d;精製器40に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60e;および循環部50に再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給する再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fが挙げられる。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、60a~60fのうち1つまたは2つ以上に設けられてもよい。
【0078】
不純物を精製器40にて効果的に除去する観点から、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に接続されていることが好ましく、第4の配管74に接続されていることがより好ましい。
【0079】
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、精製器40に接続されていることもまた好ましい。この場合、第4の配管74に冷却部74aを設けることなく、より簡易な構成で脱揮部30と精製器40との連続運転を行うことができる。
【0080】
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60としては、例えば、従来公知の任意好適なタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器を用いることができる。
【0081】
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60は、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製の配管により後段の所定の機能部に接続すればよい。
【0082】
(脱水部)
脱水部100は、原料ビニルモノマーから水を回収するための機能部である。
脱水部100により水が回収される原料ビニルモノマーは、再生/バイオ原料ビニルモノマー、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー、回収された未反応モノマー、またはこれらの混合物のいずれであってもよい。
【0083】
ビニル重合体製造装置において、脱水部100が設けられる位置は特に制限されず、脱水の対象となる原料ビニルモノマー等に応じて選択できる。
脱水部100が設けられる位置の例としては、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60の下流、第1の配管71、第3の配管73、第4の配管74および第5の配管75が挙げられる。
【0084】
再生/バイオ原料ビニルモノマーからの持ち込み水分を重合設備に影響を与えないためには、脱水部100は再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60の下流に接続されることが好ましく、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60の直後(下流かつ近傍)に接続されることがより好ましい。
【0085】
水分を多く含んだままの原料ビニルモノマーを精製器40に通すと凝縮工程で水分の凍結による閉塞の恐れがある。このため、脱水部100は精製器40の上流に相当する第3の配管73および/または第4の配管74に設置することが好ましい。脱水部100が精製器40の上流に設置される場合、脱水部100は第3の配管73および/または第4の配管74に上に設けられればよい。第3の配管73および/または第4の配管74に設けられる脱水部100の位置は、それぞれの配管上であれば特に位置は限定されないが、精製器40の直前(上流かつ近傍)であることが好ましい。
【0086】
脱水部の例としては、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60aの下流に設けられる脱水部100a;再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60bの下流に設けられる脱水部100b;再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cの下流に設けられる脱水部100c;再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dの下流に設けられる脱水部100d;再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60eの下流に設けられる脱水部100e;再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60fの下流に設けられる脱水部100f;第1の配管71に設けられる脱水部100g;第3の配管73に設けられる脱水部100h;第4の配管74に設けられる脱水部100i;および第5の配管75に設けられる脱水部100jが挙げられる。
脱水部100は、100a~100kのうち1つまたは2つ以上に設けられてもよい。
【0087】
脱水部100の具体的な構成は特に制限されず、脱水の方法に応じて選択できる。
脱水の方法としては、液液分離、凍結濃縮分離、蒸留分離、膜分離、吸着分離、吸収分離、超音波霧化分離、クロマトグラフィー等が挙げられる。
上記方法の中でも、蒸留分離及び吸着分離が好ましい。
【0088】
脱水部による原料ビニルモノマーからの水の回収量は特に制限されず、ビニル重合体の用途等に応じて選択できる。
例えば、脱水部による水の回収は原料ビニルモノマーの水分含有率が好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5%質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下となるように行うことが好ましい。
【0089】
本発明のビニル重合体製造装置は、上述した構成要素以外の構成要素(他の構成要素)を備えてもよい。
ビニル重合体製造装置1が備えていてもよい他の構成要素としては、温度調節部、冷却部、原料ビニルモノマー調合槽、貯留タンク等が挙げられる。
【0090】
(温度調節部)
ビニル重合体製造装置1は、第2の配管72の外表面に接触するように、または内部を貫通するように設けられている温度調節部72aを備えていてもよい。
温度調節部72aは、重合反応槽10から導出されたビニル重合体組成物の温度を調節するための機能部である。
【0091】
温度調節部72aは、たとえば、ビニル重合体組成物に主として含まれるビニル重合体の軟化点以上かつ熱分解温度未満の温度となるように、第2の配管72内を流通するビニル重合体組成物の温度を調節する。
【0092】
温度調節部72aとしては、従来公知の任意好適な構成を適用することができる。温度調節部72aとしては、具体的には、内部に媒体(熱媒体、冷媒体)を流通させることができる、ジャケット、二重管熱交換器、電気ヒーターおよび保温材からなる群から選ばれる少なくとも1つを適用することができる。
【0093】
温度調節部72aが2種以上の部材から構成される場合は、少なくとも1種の部材が第2の配管72の外表面に接触していればよい。換言すると、2種以上の部材は、第2の配管72の外表面に積層するように設けられていてもよい。温度調節部72aは、例えば第2の配管72の外周を一周して途切れなく覆うように設けることができる。
【0094】
温度調節部72aの設置態様は、第2の配管72内を流通するビニル重合体組成物の温度を効果的に調節できることを条件として特に限定されない。
【0095】
温度調節部72aとしては、二重管熱交換器を用いることが好ましい。当該二重管熱交換器としては、水蒸気を熱媒体として用いる二重管熱交換器であるか、または水を冷媒体として用いる二重管熱交換器であることが好ましい。
【0096】
また、温度調節部72aが保温材を含む場合には、当該保温材が、ロックウール、グラスウール、珪酸カルシウムおよび撥水性パーライトからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0097】
第2の配管72が温度調節部72aを備えていると、脱揮工程での蒸発潜熱による温度低下分を温度調節部で補填することができる。その結果として、温度低下による脱揮工程での装置負荷が抑制することができ、脱揮部30における脱揮処理をより効率的に実施することができる。
【0098】
(冷却部)
ビニル重合体製造装置1は、脱揮部30と精製器40とを接続する配管を冷却する冷却部を備えてもよい。
冷却部として具体的には、第3の配管73を冷却する冷却部73aと、第4の配管74を冷却する冷却部74aとが挙げられる。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cが第3の配管73に接続されている場合、冷却部73aは、第3の配管73のうちの再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60cよりも脱揮部30の近傍の領域に設けることが好ましい。
再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dが第4の配管74に接続されている場合、冷却部74aは、第4の配管74のうちの再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60dよりも脱揮部30の近傍の領域に設けることが好ましい。
【0099】
冷却部は、脱揮部30から導出されたガス(気体状の未反応ビニルモノマー)を冷却して液化するための機能部である。
【0100】
冷却部は、配管の外表面に接触するように、または内部を貫通するように設けられていてもよい。
冷却部としては、二重管熱交換器を用いることが好ましい。当該二重管熱交換器としては、例えば水を冷媒体として用いる二重管熱交換器であることが好ましい。
【0101】
冷却部が保温材を含む場合には、当該保温材が、ロックウール、グラスウール、珪酸カルシウムおよび撥水性パーライトからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0102】
ビニル重合体製造装置1が冷却部を備えていると、精製器40に液化した未反応ビニルモノマーを効率的に供給することができる。その結果、精製器40における精製をより効率的に実施することができる。
【0103】
(原料ビニルモノマー調合槽)
ビニル重合体製造装置1は、原料ビニルモノマー調合槽を備えていてもよい。
原料ビニルモノマー調合槽として具体的には、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20の近傍の領域に設けられる原料ビニルモノマー調合槽80aと、原料ビニルモノマー供給部20に接続される原料ビニルモノマー調合槽80bと、が挙げられる。
【0104】
原料ビニルモノマー調合槽は、重合反応槽10に供給される原料ビニルモノマーの組成、特性等が好適な範囲内となるように原料ビニルモノマーを調合する。例えば、原料ビニルモノマーに所定のビニルモノマーをさらに追加したり、重合開始剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤などの添加剤を添加する。
【0105】
原料ビニルモノマー調合槽の構成、材料、サイズ等は、上記の機能を発揮できることを条件として特に限定されない。原料ビニルモノマー調合槽80としては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス製のタンク、当該タンク内に設けられる撹拌翼、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計、温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器によって構成することができる。
【0106】
ビニル重合体製造装置1が原料ビニルモノマー調合槽を備えていると、所望の成分、性状または特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができる。
【0107】
(貯留タンク)
ビニル重合体製造装置1は、貯留タンクを備えていてもよい。
貯留タンクとして具体的には、第4の配管74の冷却部74aよりも精製器40側(下流側)の領域に設けられる貯留タンク92と、第5の配管75のうちの原料ビニルモノマー供給部20の近傍の領域であって、原料ビニル調合槽80aよりも精製器40寄りの領域に設けられる貯留タンク94と、が挙げられる。
【0108】
貯留タンクは、導入された未分解モノマー等の所定量の成分を一時的に貯留し、必要に応じて、さらに後段の機能部に導出することができる機能部である。
【0109】
貯留タンクの構成、材料、サイズ等は、上記の機能を発揮できることを条件として特に限定されない。貯留タンクとしては、例えば、従来公知の任意好適なステンレス鋼製のタンク、さらにはブランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量ポンプ、開閉弁、流量計温度計、圧力計などの計器類、冷却器、ヒーター、熱交換器などの温度調節器等を含む機器によって構成することができる。
【0110】
ビニル重合体製造装置1が貯留タンク92を備えていると、高沸点不純物を含むため特に液化しやすい第4の配管74を流通する未反応ビニルモノマーを一時的に貯留して、より容易かつ効率的に精製器40に導入して精製を行うことができる。
ビニル重合体製造装置1が貯留タンク94を備えていると、例えば、貯留タンク94に一時的に貯留された未反応ビニルモノマーおよび原料ビニルモノマーを含む組成物の一部を抜き出してその組成、性状等を確認することができる。その結果、所望の成分、性状または特性を有するビニル重合体をより正確かつ効率的に製造することができる。
【0111】
ビニル重合体製造装置1は、図1に示されない装置を備えていてもよい。たとえば、ビニル重合体製造装置1は後述する後処理装置、排ガス処理装置、熱分解装置等を備えていてもよい。
【0112】
(後処理装置)
ビニル重合体製造装置1は、脱揮部30のビニル重合体排出口34から排出されたビニル重合体の後処理を行うための後処理装置を備えていてもよい。
後処理装置の種類は特に制限されず、ビニル重合体を所望の形状に加工する加工装置、乾燥装置、サイロ等から選択できる。
【0113】
(排ガス処理装置)
ビニル重合体製造装置1は、精製器40において未分解モノマーから分離された後に抜き出された排ガスを処理して無害化するための排ガス処理装置を備えてもよい。
排ガス処理装置は、例えば、ステンレス鋼製の配管等を介して精製器40に接続されてもよい。
排ガス処理装置の種類は特に制限されず、酸処理機、アミン処理機、脱水脱硫機等から選択できる。
【0114】
(熱分解装置)
再生/バイオ原料ビニルモノマーが再生ビニルモノマーである場合、ビニル重合体製造装置1は、ビニル重合体の熱分解処理により再生ビニルモノマーを製造(再生)して再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60に供給するための熱分解装置を備えていてもよい。
熱分解装置は、例えば、ステンレス鋼製の配管等を介して再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60に接続されてもよい。
【0115】
以下、ビニル重合体製造装置1に好適に適用できる熱分解装置について説明する。 熱分解装置は、熱分解部を含む。
熱分解部は、ビニル重合体を含む成形体のスクラップを熱分解して、(メタ)アクリル酸エステルなどのビニルモノマーを含むガス(さらに不純物成分を含みうる)を生成することができることを条件として、従来公知の任意好適な構成を有する装置を適用することができる。
【0116】
熱分解部の例としては、押出機、ニーダー、および流動床加熱器が挙げられる。
【0117】
熱分解部は、押出機であることが好ましい。熱分解部である押出機の好適な例としては、二軸同方向回転押出機および二軸異方向回転押出機などの二軸押出機が挙げられる。
【0118】
熱分解部として好適に適用できるニーダーとしては、例えば、米国特許第10301235号明細書に記載の装置が挙げられる。
【0119】
熱分解部として好適に適用できる流動床加熱器としては、例えば、特開2009-112902号公報に記載の装置が挙げられる。
【0120】
以下、熱分解部の構成例について、二軸押出機の構成を例にとって説明する。
二軸押出機である場合の熱分解部は、導入された原料であるスクラップを二軸押出機内における延在方向に移動させつつ内部において加熱処理を行うためのシリンダと、シリンダの内部に配置されたスクリューとを備えている。
【0121】
熱分解部には、原料であるスクラップを熱分解部の内部に供給するためのホッパー(フィーダー)に相当する投入部が設けられている。また、熱分解部には、熱分解されて生成したガスを抜き出すための1以上のガス抜き出し部(ベント)が設けられている。
【0122】
熱分解装置は、熱分解部により熱分解されて生成したビニルモノマーを含むガスを導入してビニルモノマーと当該ビニルモノマーより沸点の高い不純物(化合物)を主成分とする高沸点不純物とを分離することができる分縮器を備えている。
【0123】
分縮器は、具体的には、分別凝縮により熱分解部において発生したビニルモノマーを含むガスからビニルモノマーより沸点の高い高沸点不純物を凝縮して液化することにより除去し、結果としてビニルモノマーを精製して導出することができる。
【0124】
分縮器としては、導入されるビニルモノマーを含むガスの流量、組成等に対応した従来公知の任意好適な構成を備える分縮器を採用することができる。
【0125】
ここで、熱分解部によるビニルモノマーの再生、すなわち再生/バイオ原料ビニルモノマーの製造にかかる熱分解工程と分縮工程について簡単に説明する。
【0126】
二軸押出機を用いる熱分解工程の実施条件(例えば、シリンダ温度(℃)、スクリュー回転数(rpm)、スクラップ供給量(原料供給速度)(kg/時間))は特に限定されない。熱分解工程の実施条件は、例えば、処理対象のスクラップの性状、組成等を考慮して、任意好適な実施条件とすることができる。
【0127】
熱分解工程におけるシリンダ温度は、通常400℃~500℃とすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルからなる場合には、好ましくは450℃~470℃である。
【0128】
熱分解工程におけるスクリュー回転数は、通常500rpm~1500rpmとすればよく、例えばスクラップが純粋なポリ(メタ)アクリル酸メチルからなる場合には、好ましくは500rpm~1000rpmである。
【0129】
熱分解工程におけるスクラップ供給量は、熱分解部のシリンダー径に応じて適宜変更すればよく、通常10kg/時間~5000kg/時間とすればよく、例えばシリンダー径が47mmである場合には、好ましくは40kg/時間~90kg/時間である。
【0130】
具体的には、分縮工程は、ビニルモノマーを含むガスを、主成分であるビニルモノマーの沸点以上、かつ、高沸点不純物の沸点未満、融点以上の温度に調節することにより、ビニルモノマーと高沸点不純物とを分別凝縮する工程である。
【0131】
分縮工程における温度は、分別凝縮されるビニルモノマー、高沸点不純物の種類等、熱分解により生じたガスの組成に対応した任意好適な温度とすることができる。
【0132】
上述した熱分解装置によれば、エネルギー消費を低減しつつ、高い収率で効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を低コストで製造することができる。
【0133】
<ビニル重合体の製造方法>
本発明のビニル重合体の製造方法は、上述した本発明のビニル重合体製造装置を用いるビニル重合体の製造方法において、
前記非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと、前記再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部から供給される再生/バイオ原料ビニルモノマーと、を含む原料ビニルモノマーを、前記原料ビニルモノマー供給部から前記重合反応槽に導出する導出工程と、
前記重合反応槽において前記原料ビニルモノマーを重合して、ビニル重合体組成物を得る調製工程と、
前記脱揮部において前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離する分離工程と、
前記精製器において前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去する除去工程と、
不純物成分が除去された前記未反応ビニルモノマーを前記精製器から前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環工程と、
前記原料ビニルモノマーから水を回収する脱水工程と、
前記脱揮部から、前記ビニル重合体を排出する排出工程と、
を含む。
【0134】
以下、ビニル重合体の製造方法に含まれうる各工程について具体的に説明する。
【0135】
(1)導出工程
導出工程は、非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部22から供給される非再生/非バイオ原料ビニルモノマーと、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から供給される再生/バイオ原料ビニルモノマーと、を含む原料ビニルモノマーを、重合反応槽10に導出する工程である。
原料ビニルモノマーは、後述する循環工程で回収される未反応モノマーを含んでもよい。
【0136】
導出工程における原料ビニルモノマーの導出量、導出速度等の条件は、選択された原料ビニルモノマーの種類、成分等を勘案して、任意好適な条件とすることができる。
【0137】
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が原料ビニルモノマー供給部20に接続されている場合には、導出工程は、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から原料ビニルモノマー供給部20に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
【0138】
(2)調製工程
調製工程は、原料ビニルモノマー供給部20から供給された原料ビニルモノマーを、重合反応槽10において重合して、ビニル重合体組成物を得る工程である。
ビニル重合体組成物は、ビニル重合体と未反応ビニルモノマーとが混合した状態であってもよい。
重合の方法は、塊状重合または溶液重合であってよい。
【0139】
調製工程におけるビニルモノマーの重合(ビニル重合体(部分的に重合したビニル重合体を含みうるビニル重合体組成物)の調製)における条件(重合温度、重合圧力、ビニルモノマーの濃度、添加剤等の濃度、重合時間等)は、目的とするビニル重合体の構造、特性等を勘案して適宜決定すればよい。
【0140】
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が重合反応槽10に接続されている場合には、調製工程は、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から重合反応槽10に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
【0141】
(3)分離工程
分離工程は、脱揮部30において重合反応槽10で得られたビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離する工程である。
【0142】
具体的には、分離工程においては、脱揮部30によりビニル重合体組成物が脱揮されることにより生じた気体状の未反応ビニルモノマー(さらに、二量体、連鎖移動剤、不活性溶媒、メタノール、プロピオン酸メチル、イソ酪酸メチル、アクリル酸メチル、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル等の不純物成分を含みうる。)を主成分であるビニルモノマーの沸点以上、かつ、ビニル重合体の熱分解温度未満の温度に調節することにより、ビニルモノマーと不純物成分とが分離される。
【0143】
例えば、未反応ビニルモノマーが(メタ)アクリル酸メチルである場合には、「(メタ)アクリル酸メチルの「沸点以上、かつ、ビニル重合体の熱分解温度未満」に調整された後の(メタ)アクリル酸メチルを含むガスの温度は、具体的には、例えば100℃~300℃とすることが好ましく、150℃~300℃とすることがより好ましく、200℃~290℃とすることがさらに好ましい。
【0144】
脱揮部30における脱揮処理は、好ましくは、例えば、第1の未反応ビニルモノマー排出口36におけるベント圧力をゲージ圧表記で-0.01~-0.04MPaに調整し、第2の未反応ビニルモノマー排出口38におけるベント圧力を-0.09~-0.1MPaに調整し、温度を200~290℃とする条件にて、未反応ビニルモノマーを連続的に分離除去する。
【0145】
(4)除去工程
除去工程は、精製器40において、ビニル重合体と分離された未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去する工程である。
【0146】
まず、脱揮部30においてビニル重合体と分離された未反応ビニルモノマーが精製器40に導出される。脱揮部30から未反応ビニルモノマーが導出されるにあたり、第1の未反応ビニルモノマー排出口(上流側未反応ビニルモノマー排出口)36からは、未反応ビニルモノマーに加えて既に説明した低沸点不純物などの比較的沸点が低い不純物が導出される傾向があり、第2の未反応ビニルモノマー排出口(下流側未反応ビニルモノマー排出口)38からは、既に説明した高沸点不純物などの比較的沸点が高い不純物が導出される傾向がある。
【0147】
第1の未反応ビニルモノマー排出口36および第2の未反応ビニルモノマー排出口38から排出された未反応ビニルモノマーは、精製器40に導入されて精製される。
【0148】
具体的には、精製器40に導入された不純物成分を含みうる未反応ビニルモノマーからは、精製器40において低沸点不純物および高沸点不純物を含む不純物成分が分離され、除去される。
【0149】
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が精製器40に接続されている場合には、除去工程は、未反応ビニルモノマーに加えて、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から精製器40に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
【0150】
また、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に接続されている場合には、除去工程は、脱揮部30から導出された未反応ビニルモノマーに加え、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から第3の配管73および第4の配管74のうちのいずれか一方または両方に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
【0151】
除去工程の実施条件は特に限定されない。精製器40における温度、流速、圧力などの条件は、製造されるビニル重合体の構造、特性、不純物成分の性状等を勘案して任意好適な条件とすることができる。
【0152】
(5)循環工程
循環工程は、不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを精製器40から原料ビニルモノマー供給部20に循環させる工程である。
具体的には、循環部50が備える定量ポンプ等を用いて、精製器40から導出された未反応ビニルモノマーを、第5の配管75を介して原料ビニルモノマー供給部20に循環させる。
【0153】
原料ビニルモノマー供給部20に循環させた未反応ビニルモノマーは、原料ビニルモノマーを構成する成分として重合反応槽10に導出され、ビニル重合体の原料として再利用される。
【0154】
なお、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60が循環部50に接続されている場合には、循環工程は、未反応ビニルモノマーに加えて、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60から循環部50に供給された再生/バイオ原料ビニルモノマーを用いて行われることとなる。
【0155】
(6)脱水工程
脱水工程は、原料ビニルモノマーから水を回収する工程である。
具体的には、再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部60の下流、第1の配管71、第3の配管73、第4の配管74および第5の配管75からなる群から選ばれる少なくとも1つに接続された脱水部100を用いて原料ビニルモノマーから水を回収する。
【0156】
(7)排出工程
排出工程は、脱揮部30からビニル重合体を排出する工程である。
【0157】
具体的には、脱揮部30により未反応ビニルモノマーと分離されたビニル重合体は、脱揮部30のビニル重合体排出口34から排出される。
【0158】
排出されたビニル重合体は、任意の方法で利用されうる。例えば、既に説明した後処理工程を経て製品化される。
【0159】
本発明の方法によれば、簡便な工程で、エネルギー消費を低減しつつ、高い収率で効率よく再生/バイオ原料ビニルモノマーおよび非再生/非バイオ原料ビニルモノマーに由来するビニル重合体、特にマスバランス方式が適用されるビニル重合体を低コストで製造することができる。
【0160】
本発明の方法において使用されるビニルモノマー(原料ビニルモノマーおよび未反応ビニルモノマー)は、(メタ)アクリル基を有するモノマーであってもよく、(メタ)アクリル酸エステルであってもよく、メチル(メタ)アクリレートであってもよい。
すなわち、本発明の方法において製造されるビニル重合体は、(メタ)アクリル系重合体であってもよく、ポリ(メタ)アクリル酸エステルであってもよく、ポリ(メタ)アクリル酸メチルであってもよい。
【符号の説明】
【0161】
1 ビニル重合体製造装置
10 重合反応槽
20 原料ビニルモノマー供給部
22 非再生/非バイオ原料ビニルモノマー供給部
24 原料ビニルモノマー供給ポンプ
26 重合開始剤供給部
28 連鎖移動剤供給部
30 脱揮部
32 ビニル重合体組成物導入口
34 ビニル重合体排出口
36 第1の未反応ビニルモノマー排出口(上流側未反応ビニルモノマー排出口)
38 第2の未反応ビニルモノマー排出口(下流側未反応ビニルモノマー排出口)
40 精製器
50 循環部
60 再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部
71 第1の配管
72 第2の配管
72a 温度調節部
73 第3の配管
73a 冷却部
74 第4の配管
74a 冷却部
75 第5の配管
80 原料ビニルモノマー調合槽
92、94 貯留タンク
100 脱水器
【要約】
【課題】エネルギー消費を低減しつつ、低コストでビニル重合体を製造する。
【解決手段】原料ビニルモノマーを重合してビニル重合体組成物を得るための重合反応槽と、前記重合反応槽に前記原料ビニルモノマーを供給するための原料ビニルモノマー供給部と、前記ビニル重合体組成物を液体状のビニル重合体と気体状の未反応ビニルモノマーとに分離するための脱揮部と、前記未反応ビニルモノマーから不純物成分を除去するための精製器と、前記不純物成分が除去された未反応ビニルモノマーを前記原料ビニルモノマー供給部に循環させる循環部と、再生/バイオ原料ビニルモノマーを供給するための再生/バイオ原料ビニルモノマー供給部と、原料ビニルモノマーから水を回収するための脱水部と、を備えるビニル重合体製造装置。
【選択図】図1
図1