(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】発光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20240509BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240509BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240509BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240509BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240509BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20240509BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/58
F21S2/00 419
F21S2/00 420
F21S2/00 415
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y105:16
(21)【出願番号】P 2020146063
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】中林 拓也
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109783(JP,A)
【文献】特開2018-106804(JP,A)
【文献】特開2010-250974(JP,A)
【文献】特開2020-109745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/60
H01L 33/58
F21S 2/00
G02F 1/13357
F21Y 115/10
F21Y 105/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光面の反対側の裏面に凹部が形成された導光板における前記裏面に、前記凹部を露出させる開口を有する光反射性シートを接着する工程と、
前記凹部に光源を配置し、前記光源を前記導光板に固定する工程と、
前記光反射性シートの前記開口内に光反射性樹脂を形成する工程と、
を備え
、
前記光反射性シートが、前記開口を有する第1光反射性シートと、前記裏面における前記第1光反射性シートの外側に配置された第2光反射性シートと、を含む発光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記光源を前記導光板に固定する工程は、
前記凹部に第1透光性部材を供給する工程と、
前記第1透光性部材中に前記光源の少なくとも一部を配置した後、前記第1透光性部材を硬化させる工程と、
を有する請求項1記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第1透光性部材中に蛍光体が含まれる請求項2記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記導光板の前記裏面に前記光反射性シートを接着した後、前記光源を前記導光板に固定する請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
複数の前記凹部が前記導光板の前記裏面に形成され、
複数の前記光反射性シートが前記導光板の前記裏面に互いに分離して接着され、
前記複数の凹部のそれぞれに前記光源が配置され、
前記複数の光反射性シートのそれぞれの前記開口内に前記光反射性樹脂を形成した後、少なくとも1つの前記光源および少なくとも1つの前記光反射性シートを含むように、前記導光板を切断する請求項1~
4のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記光源は、
下面側に電極を有する発光素子と、
前記発光素子の上面および側面を覆う第2透光性部材と、
前記第2透光性部材の下面および前記発光素子の前記電極の側面を覆う被覆部材と、
を有する請求項1~
5のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記光源は、
下面側に電極を有する発光素子と、
前記発光素子の上面を覆う第2透光性部材と、
前記発光素子の側面を覆う被覆部材と、
を有する請求項1~
5のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子と、導光板とを組み合わせた発光モジュールは、例えば液晶ディスプレイのバックライト等の面状光源に広く利用されている。例えば、特許文献1には、フレキシブルプリント基板上に実装されたLEDを導光板の窪みに配置し、LEDを通す穴を有する反射シートを導光板の下面に設けた面状光源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光源近傍の光損失を低減することができる発光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光モジュールの製造方法は、発光面の反対側の裏面に凹部が形成された導光板における前記裏面に、前記凹部を露出させる開口を有する光反射性シートを接着する工程と、前記凹部に光源を配置し、前記光源を前記導光板に固定する工程と、前記光反射性シートの前記開口内に光反射性樹脂を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光源近傍の光損失を低減することができる発光モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の一実施形態の発光モジュールの発光面の斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態の発光モジュールの裏面の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態の発光モジュールの断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態の発光モジュールにおける光源の断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態の発光モジュールにおける光源の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す断面斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の発光モジュールの製造方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などが誇張、部材の一部の図示が省略、又は、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。なお、各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。また、本開示における「平面視」とは、導光板の発光面側若しくは裏面側から見ることをいう。
【0009】
図1Aは、本発明の一実施形態の発光モジュール1の発光面の斜視図である。
図1Bは、発光モジュール1の裏面の斜視図である。
図2は、発光モジュール1の断面図である。
【0010】
発光モジュール1は、導光板10と、光源20と、光反射性シート40と、光反射性樹脂43と、光調整部材44と、第1透光性部材31とを備える。
【0011】
光源20からの光は導光板10に導光され、導光板10は光源20が発する光に対する透光性を有する。光源20が発する光に対する導光板10の透過率は、例えば、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。光源20は発光素子22を有する。光源20が発する光とは、発光素子22が発する光を含む。また、光源20が蛍光体を含む場合には、光源20が発する光には蛍光体が発する光も含まれる。
【0012】
導光板10の材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ若しくはシリコーン等の熱硬化性樹脂、または、ガラスなどを用いることができる。
【0013】
導光板10は、発光モジュール1の発光面11と、発光面11の反対側の裏面12とを有する。また、導光板10は、裏面12に形成された凹部13(以下、第1凹部という)を有する。第1凹部13は、裏面12側に開口を有する。
【0014】
導光板10の厚さは、例えば、200μm以上800μm以下が好ましい。導光板10は、その厚さ方向に、単層で構成されてもよいし、複数の層の積層体で構成されてもよい。導光板10が積層体で構成される場合、各層の間に透光性の接着部材を配置してもよい。積層体の各層は、異なる種類の主材を用いてもよい。接着部材の材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、または、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0015】
導光板10の裏面12に、光反射性シート40が、例えば、透光性の接着シートを介して接着されている。接着シートは、光拡散剤を含有していてもよい。光反射性シート40は、第1光反射性シート41と第2光反射性シート42とを含む。第1光反射性シート41と第2光反射性シート42も、例えば、接着シートを介して互いに接着される。第2光反射性シート42は、平面視において、第1光反射性シート41の外側に配置されるとともに、第1光反射性シート41を覆っている。
【0016】
光反射性シート40は、第1光反射性シート41と第2光反射性シート42との積層部分と、第2光反射性シート42の単層部分とを含む。単層部分は、平面視において、積層部分の外側に配置されている。積層部分において、導光板10の裏面12と、第2光反射性シート42との間に、第1光反射性シート41が位置する。
【0017】
第1光反射性シート41は、例えば、複数の絶縁膜の積層膜を有する。この絶縁膜として、例えばポリエステル系樹脂を用いることができる。第1光反射性シート41は、光拡散剤を含有していない。または、第1光反射性シート41における光拡散剤の含有率(重量パーセント)は、第2反射性シート42における光拡散剤(重量パーセント)よりも低い。
第2光反射性シート42は、例えば、光拡散剤を含む白色樹脂や、多数の気泡が形成された樹脂シートである。母材の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。第1光反射性シート41の正反射率は、第2光反射性シート42の正反射率よりも高い。第2光反射性シート42の拡散反射率は、第1光反射性シート41の拡散反射率よりも高い。
【0018】
光源20は、導光板10の第1凹部13に第1透光性部材31を介して配置されている。
図3Aは、光源20の一例の断面図である。
【0019】
光源20は、発光素子22単体であってもよいし、
図3Aに示すように、発光素子22に第2透光性部材24を組み合わせた構造でもよい。光源20はさらに、被覆部材25を含んでもよい。
【0020】
発光素子22は、半導体積層体と、半導体積層体に電気に接続される正負一対の電極とを含む。半導体積層体は、例えば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上に配置されるn型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層を含む。また、正負一対の電極は、n型半導体層およびp型半導体層とそれぞれ電気的に接続されたn側電極およびp側電極とを含む。なお、半導体積層体は、支持基板が除去されたものを用いてもよい。また、発光層の構造としては、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW)のように単一の活性層を持つ構造でもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造でもよい。発光層は、可視光又は紫外光を発光可能である。発光層は、可視光として、青色から赤色までを発光可能である。このような発光層を含む半導体積層体としては、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0021】
半導体積層体は、上述した発光色を発光可能な発光層を少なくとも1つ含むことができる。例えば、半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造であってもよい。半導体積層体に複数の発光層を含む場合、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲、例えば、主波長で数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができ、例えば半導体積層体が2つの発光層を含む場合、発光色の組み合わせとしては、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、又は緑色光と赤色光などが挙げられる。また、発光層は、発光色が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光色が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。
【0022】
第2透光性部材24は、発光素子22の上面および側面を覆っている。第2透光性部材24は、発光素子22を保護するとともに第2透光性部材24に添加される粒子に応じて、波長変換および光拡散等の機能を備える。具体的には、第2透光性部材24は、光源20が発する光に対する透光性を有し、例えば、シリコーン、エポキシなどの透光性樹脂を用いることができる。
【0023】
また、第2透光性部材24は、蛍光体を更に含んでいてもよい。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、およびLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、または、量子ドット蛍光体等を用いることができる。第2透光性部材24に添加する蛍光体としては、1種類の蛍光体を用いてもよく、複数種類の蛍光体を用いてもよい。
【0024】
被覆部材25は、少なくとも発光素子22の下面側に配置され、発光素子22の正負一対の電極にそれぞれ電気的に接続された電極23の表面(
図3Aにおける下面)の少なくとも一部が被覆部材25から露出するように配置される。被覆部材25は、第2透光性部材24の下面、および電極23の側面を覆っている。
【0025】
被覆部材25は、光源20が発する光に対する反射性を有する。被覆部材25は、例えば、光拡散剤を含む白色樹脂である。光拡散剤としては、例えばTiO2、SiO2、Al2O3、ZnOまたはガラス等の粒子が挙げられる。白色樹脂の母材としては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂が挙げられる。
【0026】
また、光源20は、
図3Aで示す光源20の第2透光性部材24の上面の全面または一部に光反射性部材を含んでいてもよい。光反射性部材は、発光素子22が発する光に対して反射性および透光性を有し、例えば、光拡散剤を含む白色樹脂である。光反射性部材により、発光素子22の真上方向へ出射される光の一部を拡散反射させ、発光モジュール1の発光面内における輝度ムラを低減することができる。
【0027】
図2に示すように、導光板10の第1凹部13内に第1透光性部材31が配置されている。第1透光性部材31は、光源20が発する光に対する透光性を有し、例えば、シリコーン、エポキシなどの透光性樹脂である。また、第1透光性部材31は蛍光体を含んでいてもよい。蛍光体は、発光素子22が発する光によって励起され、発光素子22が発する光の波長とは異なる波長の光を発する波長変換物質である。
【0028】
第1透光性部材31は、光源20の上面および側面を覆っている。また、第1透光性部材31は、第1凹部13の内面(側面および底面)を覆っている。光源20は、第1透光性部材31によって、導光板10に対して固定されている。
【0029】
導光板10の発光面11における第1凹部13の上方に光調整部材44が配置されている。光調整部材44は、光源20が発する光に対する反射性および透光性を有する。光調整部材44は、透光性樹脂と、透光性樹脂中に分散して含まれる光拡散剤とを含むことができる。透光性樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂である。光拡散剤は、例えばTiO2、SiO2、Al2O3、ZnO等の粒子が挙げられる。
【0030】
光調整部材44は発光面11の中央に配置され、光調整部材44の下方に光源20が位置する。光調整部材44は、光源20の真上方向へ出射された光の一部を拡散反射させ、他の一部を透過させる。これにより、光源20の直上領域の輝度が他の領域の輝度に比べて極端に高くなることを抑制でき、発光モジュール1の発光面内における輝度ムラを低減することができる。
【0031】
導光板10の裏面12における第1凹部13の周囲には、光反射性樹脂43が配置されている。光反射性樹脂43は、例えば、シリコーン、エポキシなどの樹脂に光拡散剤を含む白色樹脂である。光拡散剤は、例えばTiO2、SiO2、Al2O3、ZnO等の粒子が挙げられる。
【0032】
光反射性樹脂43は、平面視において、第1凹部13に重なる位置にも配置されている。詳細には、光反射性樹脂43は、第1凹部13に配置された第1透光性部材31の下面を覆っている。光源20の一部は第1凹部13の外側に配置され、その光源20の一部の側面を光反射性樹脂43が覆っている。
【0033】
光反射性シート40は、導光板10の裏面12側に位置し、平面視において、光反射性樹脂43の外側に配置されている。光反射性樹脂43の周囲には第1光反射性シート41と第2光反射性シート42との積層部分が配置され、さらにこの積層部分の周囲には第2光反射性シート42の単層部分が配置されている。
【0034】
光反射性樹脂43の下面には配線51が配置されている。発光素子22と電気的に接続された電極23の下面は、光反射性樹脂43から露出し、配線51に接続されている。正負の一対の電極23のそれぞれに接続する一対の配線51が配置され、一対の配線51は光反射性樹脂43の下面上で互いに分離している。
【0035】
図1Bに示すように、光反射性樹脂43の下面には絶縁膜61が配置されている。絶縁膜61は、配線51の外周部分を覆っている。配線51の外周部分より内側の部分は絶縁膜61から露出している。絶縁膜61は、一対の配線51の間に設けられ、一対の配線51間の絶縁性を高めている。
【0036】
光源20から出射した光は導光板10内に入射し、光反射性シート40と発光面11との間で全反射を繰り返しつつ、導光板10内を導光される。そのうち、発光面11に向かった光の一部は発光面11から導光板10の外部に取り出される。
【0037】
導光板10の裏面12と光反射性シート40との界面において、光源20により近い領域には、第2光反射性シート42よりも正反射率が高い第1光反射性シート41が配置されている。詳細には、断面視において、導光板10の裏面12の光源20側には第1光反射性シート41が配置されている。さらに、第1反射性シート41の下面には第2反射性シート42が配置されている。そのため、第1光反射性シート41が配置された領域においては、全反射しやすく、導光板10内に光を広げる導光作用が主となる。
【0038】
一方で、平面視において、第1光反射性シート41よりも外側の領域においては、第1光反射性シート41よりも拡散反射率が高い第2光反射性シート42が配置されている。そのため、第1光反射性シート41よりも外側の領域においては、第1光反射性シート41が配置された領域よりも全反射による導光は抑制され、散乱反射による発光面11からの光の取り出しが主となる。
また、
図4において、第2反射性シート42は、断面視において、第1反射性シート41の下面に配置されている領域と第1反射性シート41の外側に配置された領域は一体のシートとなっているがこれに限らない。例えば、第2反射性シート42は、第1反射性シート41の下面に配置されている領域と第1反射性シート41の外側に配置された領域は、つながらず別体のシートとしてもよい。
【0039】
反射特性の異なる第1光反射性シート41と第2光反射性シート42とを組み合わせることで、導光性を確保しつつ、発光面11からの光の取り出し効率を向上できる。
【0040】
光源20が配置された第1凹部13の周辺領域において、光調整部材44と導光板10との界面は発光面11に対して傾斜している。そのため、光源20の周辺領域において上方に向かって出射された光の一部は、光調整部材44と導光板10との傾斜した界面で反射して横方向に向かう。すなわち、光源20の周辺領域において上方に向かった光の一部は導光板10内を導光する成分に変換され、光損失を低減しつつ、光源20の上方領域が明るくなりすぎるのを抑制できる。
【0041】
導光板10の裏面12において光反射性シート40が配置された領域よりも内側の光源20に近い領域(光源20の周辺領域)においては、光反射性樹脂43によって、下方に向かった光を発光面11側に反射させることができ、下方へと抜けてしまう光を抑制できる。したがって、光源近傍の光損失を低減することができ、発光面11から取り出される光の輝度を向上させることができる。
【0042】
次に、
図4~
図11を参照して、実施形態の発光モジュール1の製造方法について説明する。
【0043】
実施形態の発光モジュール1の製造方法は、
図4に示す積層体101を準備する工程を備える。積層体101を準備する工程は、導光板10を準備する工程と、導光板10の裏面12に光反射性シート40を接着する工程とを備える。なお、積層体101を準備する工程は、導光板10の裏面12に光反射性シート40が配置された積層体101を購入することで準備してもよい。
【0044】
導光板10は、発光面11と、発光面11の反対側の裏面12とを含む。発光面11に凹部14(以下、第2凹部という)が形成され、裏面12に第1凹部13が形成される。発光面11を見た平面視において、第1凹部13は第2凹部14の下方に重なる位置に形成される。
第1凹部13および第2凹部14は、例えば、板状の導光板10に各凹部の形状に対応した型を準備し、型で導光板10を挟みプレス加工することで形成できる。この時、第2凹部14の底面が凹面に、裏面12における第2凹部14の下方に重なる面が凸面となるように、導光板10における第2凹部14の底面と裏面12との間の部分が変形する。裏面12の凸面は、裏面12における光反射性シート40が配置された面よりも下方に位置する。
【0045】
導光板10の裏面12に光反射性シート40が接着される。光反射性シート40は、第1凹部13を閉塞せず、第1凹部13を露出させる開口40aを有する。光反射性シート40は、例えば、接着シートによって導光板10の裏面12に接着されている。接着シートとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はオレフィン樹脂などを用いることができる。
【0046】
平面視において、導光板10の裏面12は、光源20を裏面12の中心としたときに、内側は第1光反射性シート41と接着シートを介して接着され、外側は第2反射性シート42と接着シートを介して接着する。さらに、断面視において、第1反射性シート41の下面は、第2反射性シート42で覆っている。
【0047】
第1光反射性シート41は、開口40aを形成する第1開口41aを有する。
図4に示す例では、第2光反射性シート42の一部は第1光反射性シート41を覆っている。第2光反射性シート42において裏面12に接着された部分と、第1光反射性シート41を覆う部分(第1光反射性シート41に積層された部分)との間には段差が形成される。第2光反射性シート42において第1光反射性シート41を覆う部分は、第1光反射性シート41の第1開口41aに重なる第2開口42aを有する。光反射性シート40の開口40aは、第1開口41aと第2開口42aによって形成される。
【0048】
発光面11の第2凹部14には、
図5に示すように、光調整部材44が形成される。例えば、光拡散剤を含む透光性樹脂が流動性を有する状態で第2凹部14に供給された後、硬化され、光調整部材44が形成される。
【0049】
裏面12の第1凹部13には、
図6に示すように、第1透光性部材31が形成される。例えば、第1透光性部材31は流動性を有する状態で第1凹部13に供給される。第1透光性部材31には蛍光体を含有させてもよい。
第1透光性部材31は、第1凹部13の体積と同じか小さい量を第1凹部13に供給することが好ましい。
【0050】
図7に示すように、第1凹部13には光源20が配置される。例えば、第1凹部13に第1透光性部材31を供給した後、未硬化状態の第1透光性部材31中に光源20の少なくとも一部を配置する。この後、第1透光性部材31を硬化させる。第1透光性部材31の硬化の際に光源20は第1透光性部材31中に沈降し、例えば、光源20の上面および側面が第1透光性部材31に覆われる。光源20の電極23は第1透光性部材31から露出する。光源20は、第1透光性部材31によって、導光板10に対して固定される。
【0051】
光源20を導光板10に固定した後に、導光板10の裏面12に光反射性シート40を接着してもよい。なお、導光板10の裏面12に光反射性シート40を接着した後、接着力を高めるため高温処理が行われる場合には、光源20の熱ダメージを防ぐために、導光板10の裏面12に光反射性シート40を接着し、高温処理を行った後、光源20を導光板10に固定することが好ましい。
【0052】
光反射性シート40には第1凹部13を露出させる開口40aが形成されている。そのため、導光板10の裏面12に光反射性シート40を接着した後でも、第1凹部13への第1透光性部材31の形成および光源20の配置が可能となる。
【0053】
開口40aには、光源20を囲むように裏面12の一部が露出している。その開口40a内における裏面12に、
図8に示す光反射性樹脂43を形成する。例えば、光源20の電極23および第1透光性部材31を覆うように開口40a内を光反射性樹脂43で埋めた後、光反射性樹脂43を研削して、電極23の表面を光反射性樹脂43から露出させる。
【0054】
図9に示すように、光反射性樹脂43の表面に配線51を形成する。例えば、金属ペーストを光反射性樹脂43の表面に印刷することで配線51を形成する。配線51は、発光素子22と電気的に接続された電極23に接続する。金属ペーストは一対の電極23の間にも連続して形成された後、例えばレーザーエッチングにより、一対の電極23の間で分離される。一対の電極23のそれぞれに接続した一対の配線51が形成される。
【0055】
配線51を形成した後、
図10に示すように、光反射性樹脂43の表面に絶縁膜61を形成する。絶縁膜61は、一対の配線51の間を覆うように形成され、配線51間の絶縁性を高める。
【0056】
以上説明した工程は、
図11に示すシート状の導光板10に対して行われる。すなわち、複数の第2凹部14が導光板10の発光面11に形成され、複数の第1凹部13が導光板10の裏面12に形成され、複数の光反射性シート40が導光板10の裏面12に互いに分離して接着され、複数の第2凹部14のそれぞれに光調整部材44が形成され、複数の第1凹部13のそれぞれに第1透光性部材31が形成され、複数の第1凹部13のそれぞれに光源20が配置され、複数の光反射性シート40のそれぞれの開口40a内に光反射性樹脂43が形成される。
【0057】
この後、少なくとも1つの光源20および少なくとも1つの光反射性シート40を含むように、導光板10を切断することで、
図1A、
図1B、および
図2に示す発光モジュール1が形成される。なお、1つの発光モジュールは、複数の光源20を含んでいてもよい。
【0058】
図3Bは、光源の他の例の断面図である。この光源においては、被覆部材25が発光素子22の側面を覆っている。第2透光性部材24は、発光素子22の上面および被覆部材25の上面を覆っている。また、被覆部材25は、発光素子22の下面側に配置された電極23の表面(
図3Bにおける下面)の少なくとも一部が被覆部材25から露出するように配置される。被覆部材25は、電極23の側面を覆っている。
【0059】
なお、光源は、第2透光性部材24と被覆部材25を含まず、発光素子22から構成されてもよい。
【0060】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0061】
1…発光モジュール、10…導光板、11…発光面、12…裏面、13…第1凹部、20…光源、22…発光素子、23…電極、24…第2透光性部材、25…被覆部材、31…第1透光性部材、40…光反射性シート、40a…開口、41…第1光反射性シート、42…第2光反射性シート、43…光反射性樹脂、44…光調整部材、51…配線