(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像表示装置の製造方法および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240509BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240509BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240509BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20240509BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240509BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20240509BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 338
G09F9/33
H01L33/32
H01L33/62
H01L33/08
(21)【出願番号】P 2021519381
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 JP2020018397
(87)【国際公開番号】W WO2020230667
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019089679
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053923(WO,A1)
【文献】特開2018-066953(JP,A)
【文献】特開2018-010309(JP,A)
【文献】特開2011-134754(JP,A)
【文献】特開2011-112737(JP,A)
【文献】特開2010-032542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 ー 9/46
H01L 33/32
H01L 33/62
H01L 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を含む半導体層を第1基板上に有する基板を準備する工程と、
回路素子および第1の配線層を含む回路が形成された第2基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜内で前記回路素子と接続されたプラグを形成する工程と、
前記半導体層を前記第2基板に貼り合わせ、前記プラグを前記半導体層に電気的に接続する工程と、
前記半導体層を加工して前記プラグに電気的に接続された発光素子を形成する工程と、
前記発光素子および前記第1の絶縁膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の一部を除去して前記発光素子の一部を露出させる工程と、
前記第2の絶縁膜上に第2の配線層を形成する工程と、
を備えた画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体層は、前記第1基板の側から、第1導電形の第1半導体層、前記発光層および前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層の順に積層され、
前記第1導電形は、n形であり、
前記第2導電形は、p形である請求項1記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体
層を前記第2基板に貼り合わせる前に前記半導体層にメタル層を形成する工程をさらに備えた請求項1または2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記プラグを形成する工程は、前記半導体
層を前記第2基板に貼り合わせる前に、前記回路素子に電気的に接続された第1メタル層を形成して前記第1メタル層を平坦化し、前記第1メタル層を加工して前記プラグを形成する工程を含む請求項1
または2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記プラグを形成する工程は、前記半導体
層を前記第2基板に貼り合わせる前に、前記第1の絶縁膜および前記プラグを一括して平坦化する工程を含む請求項1
または2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体
層を前記第2基板に貼り合わせた後に前記メタル層を加工して第3の配線層を形成する工程をさらに備えた請求項
3~5
のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2の絶縁膜の一部を除去して前記第2の配線層を露出させる工程
をさらに備えた請求項6記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2の配線層は、前記発光素子の露出面に接続された配線を含む請求項1
~7のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1基板は、シリコンまたはサファイアを含む請求項1
~8のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体層は、窒化ガリウム系化合物半導体を含み、
前記第2基板は、シリコンを含む請求項1
~9のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記発光素子上に波長変換部材を形成する工程をさらに備えた請求項1
~10のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
回路素子と、
前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、
前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1配線層に接続されたプラグと、
前記プラグ上に設けられ、前記プラグに接続された第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた発光層と、前記発光層上に設けられ、前記第1導電形と異なる第2導電形の第2半導体層を含む発光素子と、
前記発光素子の少なくとも一部、前記プラグおよび前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、
前記発光素子に接続され、前記第2絶縁膜上に設けられた第2配線層と、
を備えた画像表示装置。
【請求項13】
前記プラグと前記第1半導体層との間に設けられた第3配線層をさらに備えた請求項12記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記第2絶縁膜は、前記発光素子の前記第1絶縁膜の側の面に対向する発光面を露出させる第1開口と、前記第3配線層の一部を露出させる第2開口と、を有し、
前記第2配線層は、第3配線層と前記発光面とを接続する透明電極を含む請求項13記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記第2絶縁膜は、前記発光素子の前記第1絶縁膜の側の面に対向する発光面を露出させる開口を有し、
第2配線層と前記発光面とを接続する透明電極をさらに備え、
前記開口から露出された露出面は、粗面を含む請求項12記載の画像表示装置。
【請求項16】
回路素子と、
前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、
前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されたプラグと、
前記プラグ上に設けられ、前記プラグに接続された第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた発光層と、前記発光層上に設けられ、前記第1導電形と異なる第2導電形の第2半導体層を含む発光素子と、
前記発光素子の少なくとも一部、前記プラグおよび前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、
前記発光素子に接続され、前記第2絶縁膜上に設けられた第2配線層と、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1配線層を介して前記回路素子に接続された第3配線層と、
を備え、
前記第2絶縁膜は、前記発光素子の前記第2半導体層の面を露出させた第1開口と、前記第3配線層の一部を露出させた第2開口と、を有し、
第2配線層は、前記第2半導体層であって前記発光素子の前記第1絶縁膜の側の面に対向する発光面と前記第3配線層とを接続する透明電極を含む画像表示装置。
【請求項17】
前記第1導電形は、p形であり、
前記第2導電形は、n形である請求項12
~16のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記発光素子は、窒化ガリウム系化合物半導体を含み、
前記回路素子は、基板に形成され、前記基板は、シリコンを含む請求項12
~17のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記発光素子上に波長変換部材をさらに備えた請求項12
~18のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項20】
複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタに電気的に接続された第1配線層と、
前記複数のトランジスタおよび前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1配線層に接続された複数のプラグと、
前記プラグ上に設けられた第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた発光層と、
前記発光層上に設けられ、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1絶縁膜、前記プラグ、前記第1半導体層および前記発光層を覆うとともに前記第2半導体層の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記複数のトランジスタに応じて前記第2絶縁膜からそれぞれ露出された、前記第2半導体層の複数の露出面上に配設された透明電極に接続された第2配線層と、
を備えた画像表示装置。
【請求項21】
前記第2半導体層は、前記第2絶縁膜によって分離された請求項20記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置の製造方法および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度、広視野角、高コントラストで低消費電力の薄型の画像表示装置の実現が望まれている。このような市場要求に対応するように、自発光素子を利用した表示装置の開発が進められている。
【0003】
自発光素子として、微細発光素子であるマイクロLEDを用いた表示装置の登場が期待されている。マイクロLEDを用いた表示装置の製造方法として、個々に形成されたマイクロLEDを駆動回路に順次転写する方法が紹介されている。しかしながら、フルハイビジョンや4K、8K等と高画質になるにつれて、マイクロLEDの素子数が多くなると、多数のマイクロLEDを個々に形成して、駆動回路等を形成した基板に順次転写するのでは、転写工程に膨大な時間を要する。さらに、マイクロLEDと駆動回路等との接続不良等が発生し、歩留りの低下を生じるおそれがある。
【0004】
Si基板上に発光層を含む半導体層を成長させ、半導体層に電極を形成した後、駆動回路が形成された回路基板に貼り合わせる技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置の製造方法は、発光層を含む半導体層を第1基板上に有する基板を準備する工程と、回路素子および第1の配線層を含む回路が形成された第2基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜内で前記回路素子と接続されたプラグを形成する工程と、前記半導体層を前記第2基板に貼り合わせ、前記プラグを前記半導体層に電気的に接続する工程と、前記半導体層を加工して前記プラグに電気的に接続された発光素子を形成する工程と、前記発光素子および前記第1の絶縁膜を覆う第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜の一部を除去して前記発光素子の一部を露出させる工程と、前記第2の絶縁膜上に第2の配線層を形成する工程と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、回路素子と、前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1配線層に接続されたプラグと、前記プラグ上に設けられ、前記プラグに接続された第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた発光層と、前記発光層上に設けられ、前記第1導電形と異なる第2導電形の第2半導体層を含む発光素子と、前記発光素子の少なくとも一部、前記プラグおよび前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、前記発光素子に接続され、前記第2絶縁膜上に設けられた第2配線層と、を備える。
【0009】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、回路素子と、前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成されたプラグと、前記プラグ上に設けられ、前記プラグに接続された第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた発光層と、前記発光層上に設けられ、前記第1導電形と異なる第2導電形の第2半導体層を含む発光素子と、前記発光素子の少なくとも一部、前記プラグおよび前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜と、前記発光素子に接続され、前記第2絶縁膜上に設けられた第2配線層と、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1配線層を介して前記回路素子に接続された第3配線層と、を備える。前記第2絶縁膜は、前記発光素子の前記第2半導体層の面を露出させた第1開口と、前記第3配線層の一部を露出させた第2開口と、を有する。第2配線層は、前記第2半導体層であって前記発光素子の前記第1絶縁膜の側の面に対向する発光面と前記第3配線層とを接続する透明電極を含む。
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタに電気的に接続された第1配線層と、前記複数のトランジスタおよび前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1配線層に接続された複数のプラグと、前記プラグ上に設けられた第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた発光層と、前記発光層上に設けられ、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、前記第1絶縁膜、前記プラグ、前記第1半導体層および前記発光層を覆うとともに前記第2半導体層の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記複数のトランジスタに応じて前記第2絶縁膜からそれぞれ露出された、前記第2半導体層の複数の露出面上に配設された透明電極に接続された第2配線層と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図2】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図3A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図3B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図4】第1の実施形態の画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図5A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図5B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6C】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7C】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8C】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9C】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図11A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図11B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図12】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な斜視図である。
【
図13】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14C】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14D】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図16】第2の実施形態の画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図17A】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図17B】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図18A】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図18B】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図18C】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図19】第3の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図20A】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図20B】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図21A】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図21B】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図21C】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図22】第4の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図23】第4の実施形態の変形例に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図24A】第4の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図24B】第4の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図25A】第4の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図25B】第4の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図26】第5の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図27A】第5の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図27B】第5の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図28A】第5の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図28B】第5の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図29】第5の実施形態の変形例に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図30A】第5の実施形態の変形例の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図30B】第5の実施形態の変形例の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図31】画素LED素子の特性を例示するグラフである。
【
図32】第6の実施形態に係る画像表示装置を例示するブロック図である。
【
図33】第6の実施形態の変形例に係る画像表示装置を例示するブロック図である。
【
図34】第1~第5の実施形態およびこれらの変形例の画像表示装置を模式的に例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図1には、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル20の構成が模式的に示されている。画像表示装置に表示される画像を構成するピクセル10は、複数のサブピクセル20によって構成されている。
以下では、XYZの3次元座標系を用いて説明することがある。サブピクセル20は、2次元平面上に配列されている。サブピクセル20が配列された2次元平面をXY平面とする。サブピクセル20は、X軸方向およびY軸方向に沿って配列されている。
【0015】
サブピクセル20は、XY平面にほぼ平行な発光面153Sを有している。発光面153Sは、主として、XY平面に直交するZ軸の正方向に向かって光を出力する。
【0016】
図1は、サブピクセル20をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を模式的に示している。
図1に示すように、画像表示装置のサブピクセル20は、トランジスタ103と、第1の配線層(第1配線層)110と、第1の層間絶縁膜(第1絶縁膜)112と、プラグ116kと、発光素子150と、第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)156と、第2の配線層(第2配線層)160と、を備える。サブピクセル20は、カラーフィルタ180をさらに備える。カラーフィルタ(波長変換部材)180は、表面樹脂層170上に、透明薄膜接着層188を介して設けられている。表面樹脂層170は、発光素子150、層間絶縁膜156および配線層160上に設けられている。
【0017】
トランジスタ103は、基板102に形成されている。基板102には、発光素子150の駆動用のトランジスタ103のほか、他のトランジスタや抵抗、キャパシタ等の回路素子が形成され、配線等によって回路101を構成している。たとえば、トランジスタ103は、後述する
図4に示された駆動トランジスタ26に対応し、そのほか選択トランジスタ24やキャパシタ28等が回路素子である。以下では、回路101は、回路素子が形成された素子形成領域104、絶縁層105、配線層110、配線層110と回路素子を接続するビアおよび回路素子間等を絶縁する絶縁膜108を含むものとする。基板102、回路101および層間絶縁膜112等のその他の構成要素を含めて回路基板100と呼ぶことがある。
【0018】
トランジスタ103は、p形半導体領域104bと、n形半導体領域104s,104dと、ゲート107と、を含む。ゲート107は、絶縁層105を介して、p形半導体領域104bの上に設けられている。絶縁層105は、素子形成領域104とゲート107とを絶縁するとともに、隣接する他の回路素子との絶縁を十分にとるために設けられている。ゲート107に電圧が印加されると、p形半導体領域104bにチャネルが形成され得る。トランジスタ103は、nチャネルトランジスタであり、たとえばnチャネルMOSFETである。
【0019】
素子形成領域104は、基板102に設けられている。基板102は、たとえばSi基板である。素子形成領域104は、p形半導体領域104bと、n形半導体領域104s,104dと、を含む。p形半導体領域104bは、基板102の表面付近に設けられている。n形半導体領域104s,104dは、p形半導体領域104b内でp形半導体領域104bの表面付近に互いに離隔して設けられている。
【0020】
基板102の表面には、絶縁層105が設けられている。絶縁層105は、素子形成領域104も覆っており、p形半導体領域104bおよびn形半導体領域104s,104dの表面も覆っている。絶縁層105は、たとえばSiO2である。絶縁層105は、覆っている領域に応じてSiO2やSi3N4等を含む多層の絶縁層であってもよい。絶縁層105は、高誘電率を有する絶縁材料の層を含んでもよい。
【0021】
絶縁層105を介して、p形半導体領域104bの上にゲート107が設けられている。ゲート107は、n形半導体領域104s,104dの間に設けられている。ゲート107は、たとえば多結晶Siである。ゲート107は、多結晶Siよりも低抵抗のシリサイド等を含んでもよい。
【0022】
この例では、ゲート107および絶縁層105は、絶縁膜108で覆われている。絶縁膜108は、たとえばSiO2やSi3N4等である。配線層110を形成するのに表面を平坦化するために、さらにPSG(Phosphorus Silicon Glass)やBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等の有機絶縁膜を設けるようにしてもよい。
【0023】
絶縁膜108には、ビア111s,111dが形成されている。絶縁膜108上には、第1の配線層(第1配線層)110が形成されている。第1の配線層110は、電位の異なり得る複数の配線を含んでおり、配線110s,110dを含んでいる。なお、このように、
図1以降の断面図においては、配線層は、その配線層に含まれる1つの配線の横の位置に符号を表示するものとする。ビア111s,111dは、配線層110の配線110s,110dとn形半導体領域104s,104dとの間にそれぞれ設けられ、これらを電気的に接続している。配線層110およびビア111s,111dは、たとえばAlやCu等の金属によって形成されている。配線層110およびビア111s,111dは、高融点金属等を含んでもよい。
【0024】
絶縁膜108および配線層110上には、さらに第1の層間絶縁膜112が設けられている。層間絶縁膜(第1絶縁膜)112は、たとえばPSGやBPSG等の有機絶縁膜である。第1の層間絶縁膜112は、回路基板100においてその表面を保護する保護膜や、層間絶縁膜112上に形成されるプラグ116kのための平坦化膜としても機能する。
【0025】
第1の層間絶縁膜112上には、さらに平坦化膜114が形成されている。平坦化膜114は、絶縁性を有する膜または層であり、層間絶縁膜112と同様に、たとえばPSGやBPSG等の有機絶縁膜やSOG(Spin On Glass)等の無機絶縁膜等である。
【0026】
プラグ116kは、平坦化膜114内に埋め込まれている。プラグ116kおよび平坦化膜114は、XY平面にほぼ平行な同一の平面上の面をそれぞれ有している。
【0027】
プラグ116kと配線110dとの間に接続部115kが設けられている。接続部115kは、導電性の部材で形成されており、プラグ116kおよび配線110dを電気的に接続している。プラグ116kおよび接続部115kは、たとえば、第1の配線層110と同じ材料で形成されている。プラグ116kおよび接続部115kは、高融点金属を含んでもよい。
【0028】
図2は、本実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
図2に示すように、この変形例のサブピクセル20aでは、接続部115kを介さずに、プラグ116kを配線110dに接続する。
【0029】
図1の場合のように、接続部115kを設けた場合には、XY平面視で、プラグ116kの外周を配線110dの外周より外側にはみ出す形状にすることが可能である。本変形例のように、XY平面視で、プラグ116kを配線110dの外周より内側にする場合には、接続部115kを設けずにプラグ116kを配線110dの上に直接設けることも可能である。つまり、プラグと接続先の配線との位置関係や、プラグと接続先の配線のそれぞれの形状に応じて接続部を設け、あるいは接続部を設けずに相互に接続することができる。このことは後述する各実施形態や変形例に関しても同様であるが、以下では、特に断らない限り、接続部を設けた場合の構成について説明する。
【0030】
図1に戻って説明を続ける。
発光素子150は、遮光プレート130aを介して、プラグ116k上に設けられている。遮光プレート130aについては後述する。発光素子150は、n形半導体層(第1半導体層)151と、発光層152と、p形半導体層(第2半導体層)153と、を含む。n形半導体層151、発光層152およびp形半導体層153は、層間絶縁膜112からZ軸の正方向に向かってこの順に積層されている。つまり、発光素子150の各層は、層間絶縁膜112から発光面153Sに向かって積層されている。n形半導体層151は、プラグ116kに電気的に接続されている。
【0031】
発光素子150は、XY平面視で、たとえばほぼ正方形または長方形状を有しているが、角部は丸くなっていてもよい。発光素子150はXY平面視で、たとえば楕円形状や円形状を有していてもよい。平面視での発光素子の形状や配置等を適切に選定することによって、レイアウトの自由度が向上する。
【0032】
発光素子150には、たとえば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等の窒化物半導体が好適に用いられる。本発明の一実施形態における発光素子150は、いわゆる青色発光ダイオードであり、発光素子150が発光する光の波長は、たとえば467nm±20nm程度である。発光素子150が発光する光の波長は、410nm±20nm程度の青紫発光としてもよい。発光素子150が発光する光の波長は、上述の値に限らず、適切なものとすることができる。
【0033】
本実施形態では、遮光プレート130a、プラグ116kおよび接続部115kは、発光素子150とトランジスタ103の主電極のための配線110dとの間に設けることができる。そのため、発光素子150とトランジスタ103とは、層間絶縁膜112等に深いビアを形成することなく、容易に接続することができる。
【0034】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)156は、第1の層間絶縁膜112、第3の配線層130、発光素子150の側面およびバッファ層140を覆っている。第2の層間絶縁膜156は、好ましくは白色樹脂によって形成されている。白色樹脂は、たとえば有機材料中に適切な粒径に微細化した酸化チタン等の散乱粒子を分散することで実現することができる。層間絶縁膜156を白色樹脂とすることによって、発光素子150が横方向や下方向に発光する光を反射させて、実質的に発光素子150の輝度を向上させることができる。
【0035】
第2の層間絶縁膜156は、黒色樹脂であってもよい。層間絶縁膜156を黒色樹脂とすることによって、サブピクセル内における光の散乱が抑制され、迷光がより効果的に抑制される。迷光が抑制された画像表示装置は、よりシャープな画像を表示することが可能である。
【0036】
層間絶縁膜156は、発光素子150を保護するとともに、第2の層間絶縁膜156上に形成される配線層160のために表面を平坦化する機能も有する。
【0037】
第2の層間絶縁膜156は、開口158を有している。開口158は、発光素子150の上方の層間絶縁膜156の一部を除去することによって形成されている。開口158は、発光面153Sが層間絶縁膜156から露出するように形成されている。発光面153Sは、p形半導体層153の面のうち発光層152に接する面に対向する面である。発光面153Sは、好ましくは粗面加工されている。発光素子150は、粗面化されることによって、光の取出効率を向上させることができる。
【0038】
第2の配線層(第2配線層)160は、層間絶縁膜156上に設けられている。配線層160は、配線160aを含んでいる。この図には示されないが、配線160aは、サブピクセル20に電源を供給する電源線に接続されている。
【0039】
この例では、平坦化膜114およびプラグ116k上に、第3の配線層130が設けられている。第3の配線層130は、遮光プレート130aを含む。遮光プレート130aは、n形半導体層151とプラグ116kとの間に設けられている。遮光プレート130aは、プラグ116kとオーミック接続されている。
【0040】
遮光プレート130aは、サブピクセルごとに設けられており、これら複数の遮光プレート130aは、電気的に絶縁されている。遮光プレート130a上には発光素子150がそれぞれ設けられている。
【0041】
配線層130、すなわち遮光プレート130aは、高導電率を有する材料で形成されている。遮光プレート130aは、たとえば、TiやAl、TiとSnとの合金等を含む。CuやV等、あるいはAgやPt等の高い光反射性を有する貴金属を含んでもよい。遮光プレート130aは、このような高導電率を有する金属材料等で形成されているので、発光素子150と回路101とを低抵抗で電気的に接続する。
【0042】
遮光プレート130aの外周は、XY平面視で発光素子150をZ軸上方から投影したときの外周を含んでいる。これにより、遮光プレート130aは、発光素子150の下方への散乱光を発光面153S側に反射して、トランジスタ103に到達しないようすることができる。遮光プレート130aの材料を適切に選択することによって、発光素子150の下方への光の散乱を発光面153S側に反射させて発光効率を向上させることができる。また、遮光プレート130aが、発光素子150の下方への散乱光を遮光することによって、トランジスタ103への光の到達が抑制され、トランジスタ103の誤動作を防止することもできる。
【0043】
本実施形態では、発光素子150のカソード電極であるn形半導体層151は、遮光プレート130a、プラグ116kおよび接続部115kを介して、駆動用のトランジスタ103のドレイン電極に接続される。
【0044】
透明電極159aは、配線160a上に設けられている。透明電極159aは、開口されたp形半導体層153の発光面153S上にわたって設けられている。透明電極159aは、配線160aと発光面153Sとの間に設けられ、配線160aとp形半導体層153とを電気的に接続している。
【0045】
表面樹脂層170は、第2の層間絶縁膜156、透明電極159aを含む透明導電膜および第2の配線層160を覆っている。表面樹脂層170は、透明樹脂であり、層間絶縁膜156、透明電極159aおよび配線層160等を保護するとともに、カラーフィルタ180を接着するための平坦化面を提供する。
【0046】
カラーフィルタ180は、遮光部181と色変換部182とを含む。色変換部182は、発光素子150の発光面153Sの直上に発光面153Sの形状に応じて設けられている。カラーフィルタ180では、色変換部182以外の部分は、遮光部181とされている。遮光部181は、いわゆるブラックマトリクスであり、隣接する色変換部182から発光される光の混色等によるにじみを低減し、シャープな画像を表示することを可能にする。
【0047】
色変換部182は、たとえば、1層または2層とされる。
図1には、2層の部分が示されている。色変換部182が1層であるか2層以上であるかは、サブピクセル20が発光する光の色、すなわち波長によって決定される。サブピクセル20の発光色が赤または緑の場合には、色変換部182は、好ましくは2層とされる。サブピクセル20の発光色が青の場合には、好ましくは1層とされる。
【0048】
色変換部182が2層の場合には、発光素子150により近い1層目が色変換層183であり、2層目がフィルタ層184である。つまり、フィルタ層184は、色変換層183上に積層されている。
【0049】
色変換層183は、発光素子150が発光する光の波長を所望の波長に変換する層である。赤色を発光するサブピクセル20の場合には、発光素子150の波長、467nm±20nmの光を、たとえば630nm±20nm程度の波長の光に変換する。緑色を発光するサブピクセル20の場合には、発光素子150の波長、467nm±20nmの光を、たとえば532nm±20nm程度の波長の光に変換する。
【0050】
フィルタ層184は、色変換層183で色変換されずに残存した青色発光の波長成分を遮断する。
【0051】
サブピクセル20が発光する光の色が青色の場合には、サブピクセル20は、色変換層183を介して光を出力してもよいし、色変換層183を介さずにそのまま光を出力するようにしてもよい。発光素子150が発光する光の波長が467nm±20nm程度の場合には、サブピクセル20は、色変換層183を介さずに光を出力してもよい。発光素子150が発光する光の波長を410nm±20nmとする場合には、出力する光の波長を467nm±20nm程度に変換するために、1層の色変換層183を設けることが好ましい。
【0052】
青色のサブピクセル20の場合であっても、サブピクセル20は、フィルタ層184を有していてもよい。青色のサブピクセル20にフィルタ層184を設けることによって、発光素子150の表面で生じる微小な外光反射が抑制される。
【0053】
(変形例)
サブピクセルの構成の変形例について説明する。
図3Aおよび
図3Bは、本実施形態の画像表示装置の変形例の一部をそれぞれ例示する模式的な断面図である。
図3A以降のサブピクセルの断面図では、煩雑さを避けるため、表面樹脂層170およびカラーフィルタ180の表示が省略されている。特に記載のない場合には、第2の層間絶縁膜および第3の配線層上には、表面樹脂層170およびカラーフィルタ180が設けられる。後述の他の実施形態およびその変形例の場合についても同様である。
【0054】
図3Aの場合には、サブピクセル20bは、発光素子150に接続する配線構造が上述の第1の実施形態の場合と相違する。他の構成要素は、上述の第1の実施形態の場合と同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
図3Aに示すように、サブピクセル20bは、配線160a1を含む。配線160a1は、第2の配線層160に含まれる配線として形成されている。本変形例では、p形半導体層153との電気的接続は、配線160a1の一端を発光面153Sの一部に接続することにより行われる。本変形例では、透明電極を含む透明導電膜を形成する工程を省略することができる。
【0055】
図3Bに示すように、サブピクセル20cでは、第2の層間絶縁膜156aが透明樹脂である。層間絶縁膜156aは、発光面153Sに対応する開口が設けられていない。発光面153Sは、第2の配線層160の配線160a2に直接接続されている。
【0056】
発光素子150は、層間絶縁膜156aを介して、発光面153Sから発光する。本変形例では、層間絶縁膜156aに開口を形成し、発光面153Sを粗面化する工程を省略することができる。
【0057】
本実施形態では、上述に示したサブピクセル20,20a~20cの構成のいずれかを含むことができる。また、以下に説明する各実施形態についても、本実施形態の場合と同様にサブピクセルの変形例を適用することができる。
【0058】
図4は、本実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
図4に示すように、本実施形態の画像表示装置1は、表示領域2を備える。表示領域2には、サブピクセル20が配列されている。サブピクセル20は、たとえば格子状に配列されている。たとえば、サブピクセル20は、X軸に沿ってn個配列され、Y軸に沿ってm個配列される。
【0059】
ピクセル10は、異なる色の光を発光する複数のサブピクセル20を含む。サブピクセル20Rは、赤色の光を発光する。サブピクセル20Gは、緑色の光を発光する。サブピクセル20Bは、青色の光を発光する。3種類のサブピクセル20R,20G,20Bが所望の輝度で発光することによって、1つのピクセル10の発光色および輝度が決定される。
【0060】
1つのピクセル10は、3つのサブピクセル20R,20G,20Bを含み、サブピクセル20R,20G,20Bは、たとえばこの例のように、X軸上を直線状に配列されている。各ピクセル10は、同じ色のサブピクセルが同じ列に配列されていてもよいし、この例のように、列ごとに異なる色のサブピクセルが配列されていてもよい。
【0061】
画像表示装置1は、電源線3および接地線4をさらに有する。電源線3および接地線4は、サブピクセル20の配列に沿って、格子状に布線されている。電源線3および接地線4は、各サブピクセル20に電気的に接続され、電源端子3aとGND端子4aとの間に接続された直流電源から各サブピクセル20に電力を供給する。電源端子3aおよびGND端子4aは、電源線3および接地線4の端部にそれぞれ設けられ、表示領域2の外部に設けられた直流電源回路に接続される。電源端子3aは、GND端子4aを基準にして正の電圧が供給される。
【0062】
画像表示装置1は、走査線6および信号線8をさらに有する。走査線6は、X軸に平行な方向に布線されている。つまり、走査線6は、サブピクセル20の行方向の配列に沿って布線されている。信号線8は、Y軸に平行な方向に布線されている。つまり、信号線8は、サブピクセル20の列方向の配列に沿って布線されている。
【0063】
画像表示装置1は、行選択回路5および信号電圧出力回路7をさらに有する。行選択回路5および信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁に沿って設けられている。行選択回路5は、表示領域2の外縁のY軸方向に沿って設けられている。行選択回路5は、各列のサブピクセル20に走査線6を介して電気的に接続され、各サブピクセル20に選択信号を供給する。
【0064】
信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁に沿って設けられている。信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁のX軸方向に沿って設けられている。信号電圧出力回路7は、各行のサブピクセル20に信号線8を介して電気的に接続され、各サブピクセル20に信号電圧を供給する。
【0065】
サブピクセル20は、発光素子22と、選択トランジスタ24と、駆動トランジスタ26と、キャパシタ28と、を含む。
図4において、選択トランジスタ24はT1と表示され、駆動トランジスタ26はT2と表示され、キャパシタ28はCmと表示されることがある。
【0066】
発光素子22は、駆動トランジスタ26と直列に接続されている。本実施形態では、駆動トランジスタ26はnチャネルMOSFETであり、駆動トランジスタ26の主電極であるドレイン電極に発光素子22のn電極であるカソード電極が接続されている。発光素子22および駆動トランジスタ26の直列回路は、電源線3と接地線4との間に接続されている。駆動トランジスタ26は、
図1等におけるトランジスタ103に対応し、発光素子22は、
図1等における発光素子150に対応する。駆動トランジスタ26のゲート-ソース間に印加される電圧によって、発光素子22に流れる電流が決定され、発光素子22は、発光素子22に流れる電流に応じた輝度で発光する。
【0067】
選択トランジスタ24は、駆動トランジスタ26のゲート電極と信号線8との間に主電極を介して接続されている。選択トランジスタ24のゲート電極は、走査線6に接続されている。駆動トランジスタ26のゲート電極と接地線4との間には、キャパシタ28が接続されている。
【0068】
行選択回路5は、m行のサブピクセル20の配列から、1行を選択して走査線6に選択信号を供給する。信号電圧出力回路7は、選択された行の各サブピクセル20に必要なアナログ電圧値を有する信号電圧を供給する。選択された行のサブピクセル20の駆動トランジスタ26のゲート-ソース間には、信号電圧が印加される。信号電圧は、キャパシタ28によって保持される。駆動トランジスタ26は、信号電圧に応じた電流を発光素子22に流す。発光素子22は、流れた電流に応じた輝度で発光する。
【0069】
行選択回路5は、選択する行を順次切り替えて選択信号を供給する。つまり、行選択回路5は、サブピクセル20が配列された行を走査する。順次走査されたサブピクセル20の発光素子22には、信号電圧に応じた電流が流れて発光する。RGB各色のサブピクセル20が発光する発光色および輝度によって決定された発光色および輝度で各ピクセル10が発光して表示領域2に画像が表示される。
【0070】
本実施形態の画像表示装置1の製造方法について説明する。
図5A~
図11Bは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図5Aに示すように、半導体成長基板1194が準備される。半導体成長基板1194は、結晶成長用基板(第1基板)1001上に成長させた半導体層1150を有する。結晶成長用基板1001は、たとえばSi基板やサファイア基板等である。好ましくは、Si基板が用いられる。
【0071】
この例では、結晶成長用基板1001の一方の面には、バッファ層1140が形成されている。バッファ層1140は、AlN等のナイトライドが好適に用いられる。
【0072】
半導体成長基板1194では、バッファ層1140上に、p形半導体層1153、発光層1152およびn形半導体層1151が、バッファ層1140側からこの順に積層される。半導体層1150の成長には、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD法)が好適に用いられる。半導体層1150は、たとえば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等である。
【0073】
半導体層1150の結晶成長用基板1001の側の面に対向する側の面には、メタル層1130が形成される。つまり、メタル層1130は、n形半導体層1151の発光層152が設けられた面に対向する面上に形成される。つまり、メタル層1130は、n形半導体層1151の開放された面上に形成される。メタル層は、たとえばスパッタ等を用いて形成される。メタル層1130は、たとえばTiやAl、TiとSnとの合金等を含む。CuやV等、あるいは、AgやPt等の高い光反射性を有する貴金属を含んでもよい。
【0074】
図5Bに示すように、回路基板1100が準備される。回路基板(第2基板)1100は、
図1等で説明した回路101を含む。半導体成長基板1194は、上下を反転される。つまり、図の矢印で示したように、回路基板1100の一方の面は、半導体層1150上に形成されたメタル層1130の面に向かい合わせて、両者を貼り合わせる。回路基板1100の貼り合わせ面は、平坦化膜114の露出面および平坦化膜114と同一平面に露出されたプラグ116kの露出面である。
【0075】
2つの基板を貼り合わせるウェハボンディングでは、たとえば、2つの基板を加熱して熱圧着により2つの基板を貼り合わせる。加熱圧着する際に、低融点金属や低融点合金を用いてもよい。低融点金属は、たとえばSnやIn等であり、低融点合金は、たとえばZnやIn、Ga、Sn、Bi等を主成分とした合金とすることができる。
【0076】
ウェハボンディングでは、上述のほか、それぞれの基板の貼り合わせ面を化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)等を用いて平坦化した上で、真空中で貼り合わせ面をプラズマ処理により清浄化して密着させるようにしてもよい。
【0077】
図6A~
図6Cには、ウェハボンディング工程における変形例が示されている。ウェハボンディング工程では、
図5Bの工程に代えて、
図6A~
図6Cのいずれかとしてもよい。
【0078】
図6Aに示すように、半導体層1150は、結晶成長用基板1001上に、結晶成長用基板1001の側から、n形半導体層1151、発光層1152およびp形半導体層1153の順に成長、積層される。p形半導体層1153の開放された面に支持基板1190が接着される。支持基板1190は、たとえばSiや石英等によって形成されている。その後、結晶成長用基板1001は、除去される。結晶成長用基板1001の除去には、たとえばウェットエッチングやレーザリフトオフが用いられる。
【0079】
結晶成長用基板1001およびバッファ層1140が除去され、開放されたn形半導体層1151の面には、メタル層1130が形成される。
【0080】
図6Bに示すように、回路基板1100にメタル層1120を形成してもよい。この変形例では、メタル層同士を接合するので、それぞれのメタル層で同一の金属材料を用いたり、同一の金属材料を含む合金としたりすることによって、より容易にウェハボンディングを行うことができる。なお、メタル層は、半導体成長基板1194側および回路基板1100側の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0081】
図6Cに示すように、結晶成長用基板1001に半導体層1150を結晶成長させる場合には、バッファ層を介さずに半導体成長基板を形成するようにしてもよい。この場合には、ウェハボンディング後にバッファ層を除去する工程を省略することができる。
【0082】
ウェハボンディングした後の製造工程に戻って説明を続ける。
図7Aに示すように、結晶成長用基板1001は、除去される。結晶成長用基板1001の除去には、たとえばレーザリフトオフやウェットエッチングが用いられる。回路基板1100は、ウェハボンディングによってメタル層1130を介して半導体層1150に接合される。
【0083】
図7Bに示すように、メタル層1130および半導体層1150は、エッチングによって、所望の形状に形成される。メタル層1130は、エッチングされて配線層130が形成される。この配線層130は、遮光プレート130aを含む。遮光プレート130aは、エッチングによって、上述した形状に成形される。半導体層1150は、さらにエッチングされ、発光素子150の形状に成形される。発光素子150の成形には、たとえばドライエッチングプロセスが用いられ、好適には、異方性プラズマエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)が用いられる。
【0084】
図7Cに示すように、平坦化膜114、配線層130および発光素子150を覆って層間絶縁膜156が形成される。層間絶縁膜には、発光素子150に対応する位置にエッチングにより開口158が形成され、p形半導体層153の面が露出される。エッチングは、ウェットエッチングでもよいし、ドライエッチングでもよい。
【0085】
その後、露出されたp形半導体層153の発光面153Sは、発光効率を向上させるために粗面化される。
【0086】
開口158を含めて第2の配線層160を成膜し、フォトリソグラフィによって各配線160a等を形成する。配線160aは、p形半導体層153に接続されていない。
【0087】
配線層160、第2の層間絶縁膜156およびp形半導体層153の発光面153Sを覆う透明導電膜を形成する。透明導電膜は、ITO膜やZnO膜等が好適に用いられる。フォトリソグラフィにより、必要な透明電極159aが形成される。
【0088】
透明電極159aは、配線160a上に形成されるとともに、p形半導体層153の発光面153S上にも形成されている。したがって、配線160aおよびp形半導体層153は、電気的に接続される。好ましくは、透明電極159aは、露出されている発光面153Sの全面を覆うように設けられ、発光面153Sに接続されている。
【0089】
以下では、プラグ116kを形成する工程について説明する。
図8A~
図9Cには、回路基板1100にプラグ116kを形成する工程を説明するための断面図が示されている。
図8Aに示すように、回路基板1100が準備され、回路基板1100では、回路基板1100の絶縁膜108および第1の配線層110上を覆う層間絶縁膜1112が形成される。
【0090】
図8Bに示すように、層間絶縁膜1112aにコンタクトホールh1が形成される。コンタクトホールh1の形成する位置は、配線110dが設けられている位置であり、コンタクトホールh1は、配線110dまでに達する深さに形成される。
【0091】
図8Cに示すように、第1の層間絶縁膜112上の全面にわたって、メタル層1116を形成する。コンタクトホールh1は、メタル層1116の形成と同時にメタル層1116と同じ導電材料で充填され、接続部115kが形成される。
【0092】
なお、接続部115kを形成しない場合には、
図8Aにおいて準備された回路基板1100の層間絶縁膜1112にプラグ116kの外周形状に応じた大きなコンタクトホールを形成し、その後コンタクトホールを充填しつつ、メタル層1116を形成する。あるいは、配線110dが露出するまで研削、研磨した後、コンタクトホールを形成することなく、メタル層1116を形成する。
【0093】
図9Aに示すように、フォトリソグラフィおよびドライエッチによってプラグ116kおよび接続部115kを形成する。
【0094】
図9Bに示すように、層間絶縁膜112およびプラグ116kを覆うように、平坦化膜1114が塗布され、その後焼成される。
【0095】
図9Cに示すように、プラグ116kの面が露出するように平坦化膜1114の表面が研磨される。平坦化膜1114の研磨にはたとえばCMPが用いられる。このようにして、プラグ116kおよび接続部115kが形成される。
【0096】
次に変形例のサブピクセル20b,20cの製造方法について説明する。
図10Aおよび
図10Bは、変形例のサブピクセル20bに対応する製造工程を表している。
図11Aおよび
図11Bは、変形例のサブピクセル20cに対応する製造工程を表している。
図10A~
図11Bは、
図7Bの工程の後に実行されて、サブピクセル20b,20cを形成する工程がそれぞれ示されている。
【0097】
図10Aに示すように、変形例のサブピクセル20bでは、平坦化膜114、配線層130および発光素子150を覆って層間絶縁膜156が形成された後、p形半導体層153の発光面153Sを露出するように開口158が形成される。
【0098】
図10Bに示すように、配線層160の配線160a1が形成される。配線160a1は、透明電極による電気的接続に代えて、p形半導体層153の発光面153Sに接続される。
【0099】
図11Aに示すように、変形例のサブピクセル20cでは、平坦化膜114、配線層130および発光素子150上にわたって、第2の層間絶縁膜156aが形成される。
【0100】
図11Bに示すように、層間絶縁膜156aには、コンタクトホールが形成された後、第2の配線層160が形成される。第2の配線層160の配線160a2は、コンタクトホールを介して、p形半導体層153の発光面153Sに接続される。
【0101】
このようにして、サブピクセル20および変形例のサブピクセル20b,20cが形成される。
【0102】
サブピクセル20以外の回路の一部は、回路基板100中に形成されている。たとえば行選択回路5(
図4)は、駆動トランジスタや選択トランジスタ等とともに、回路基板100中に形成されることができる。つまり、行選択回路5は、上述の製造工程によって同時に組み込まれている場合がある。一方、信号電圧出力回路7は、微細加工による高集積化が可能な製造プロセスによって製造された半導体デバイスに組み込まれることが望ましい。信号電圧出力回路7は、CPUや他の回路要素とともに別の基板に実装され、たとえば後述するカラーフィルタの組み込みの前に、あるいは、カラーフィルタの組み込みの後に、回路基板100の配線と相互に接続される。
【0103】
好ましくは、回路基板1100は、回路101を含むウェハである。回路基板1100には、1つまたは複数の画像表示装置のための回路101が形成されている。あるいは、より大きな画面サイズ等の場合には、1つの画像表示装置を構成するための回路101が複数の回路基板1100に分割されて形成されており、分割された回路のすべてを組み合わせて、1つの画像表示装置を構成するようにしてもよい。
【0104】
また、好ましくは、結晶成長用基板1001は、ウェハ状の回路基板1100と同じ大きさのウェハである。
【0105】
図12は、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する斜視図である。
図12に示すように、複数の半導体成長基板1194を準備して、1つの回路基板1100に、複数の結晶成長用基板1001に形成された半導体層1150を接合するようにしてもよい。
【0106】
回路基板1100には、複数の回路101がたとえば格子状に配置されている。回路101は、1つの画像表示装置1に必要なすべてのサブピクセル20等を含んでいる。隣接して配置されている回路101の間には、スクライブライン幅の程度の間隔が設けられている。回路101の端部および端部付近には、回路素子等は配置されていない。
【0107】
半導体層1150は、その端部が結晶成長用基板1001の端部と一致するように形成されている。そこで、半導体成長基板1194の端部を、回路101の端部と一致するように配置し、接合することによって、接合後の半導体層1150の端部と回路101の端部とを一致させることができる。
【0108】
結晶成長用基板1001に半導体層1150を成長させるときに、半導体層1150の端部およびその近傍では、結晶品位の低下が生じ易い。そのため、半導体層1150の端部と回路101の端部とを一致させることによって、半導体成長基板1194上の半導体層1150の端部近傍における結晶品位の低下し易い領域を画像表示装置1の表示領域に使用しないようにすることができる。
【0109】
あるいは、この逆に、複数の回路基板1100を準備して、1つの半導体成長基板1194の結晶成長用基板1001上に形成された半導体層1150に対して、複数の回路基板1100を接合するようにしてもよい。
【0110】
図13は、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
なお、
図13では、煩雑さを避けるために、回路基板100内や層間絶縁膜112,156内等の配線等については、表示が省略されている。また、
図13には、カラーフィルタ180等の色変換部材の一部が表示されている。ここでは、プラグ116k、接続部115k、発光素子150、配線層130、160、層間絶縁膜156および表面樹脂層170を含む構造物を発光回路部172と呼ぶ。また、回路基板100上に発光回路部172を設けた構造物を構造体1192と呼ぶ。
【0111】
図13に示すように、カラーフィルタ180は、一方の面で構造体1192に接着される。カラーフィルタ180の他方の面は、ガラス基板186に接着されている。カラーフィルタ180の一方の面には、透明薄膜接着層188が設けられており、透明薄膜接着層188を介して、構造体1192の発光回路部172の側の面に接着される。
【0112】
カラーフィルタ180は、この例では、赤色、緑色、青色の順にX軸の正方向に色変換部が配列されている。赤色および緑色については、1層目に赤色の色変換層183Rおよび緑色の色変換層183Gがそれぞれ設けられており、2層目にフィルタ層184がそれぞれ設けられている。青色については、単層の色変換層183Bが設けられている。各色変換部の間には、遮光部181が設けられている。
【0113】
各色の色変換層183R,183G,183Bの位置を発光素子150の位置に合わせて、カラーフィルタ180は、構造体1192に貼り付けられる。
【0114】
図14A~
図14Dは、本実施形態の画像表示装置の製造方法の変形例を示す模式的な断面図である。
図14A~
図14Dには、カラーフィルタをインクジェットで形成する方法が示されている。
【0115】
図14Aに示すように、回路基板100に発光回路部172が貼り付けられた構造体1192が準備される。
【0116】
図14Bに示すように、構造体1192上に遮光部181が形成される。遮光部181は、たとえばスクリーン印刷やフォトリソグラフィ技術等を用いて形成される。
【0117】
図14Cに示すように、発光色に応じた蛍光体は、インクジェットノズルから噴出され、色変換層183を形成する。蛍光体は、遮光部181が形成されていない領域を着色する。蛍光体は、たとえば一般的な蛍光体材料や量子ドット蛍光体材料を用いた蛍光塗料が用いられる。量子ドット蛍光体材料を用いた場合には、各発光色を実現できるとともに、単色性が高く、色再現性を高くできるので好ましい。インクジェットノズルによる描画の後、適切な温度および時間で乾燥処理を行う。着色時の塗膜の厚さは、遮光部181の厚さよりも薄く設定されている。
【0118】
すでに説明したように、青色発光のサブピクセルについては、色変換部を形成しない場合があるので、蛍光体は噴出されない。また、青色発光のサブピクセルについて、青色の色変換層を形成する場合には、色変換部は1層でよいので、好ましくは、青色の蛍光体の塗膜の厚さは、遮光部181の厚さと同じ程度とされる。
【0119】
図14Dに示すように、フィルタ層184のための塗料は、インクジェットノズルから噴出される。塗料は、蛍光体の塗膜に重ねて塗布される。色変換層183およびフィルタ層184の合計の厚さは、遮光部181の厚さと同じ程度とされる。
【0120】
このようにして、画像表示装置1を製造することができる。
【0121】
本実施形態の画像表示装置1の効果について説明する。
本実施形態の画像表示装置1の製造方法では、発光素子150を駆動するトランジスタ103等の回路素子を含む回路基板1100(100)に、発光素子150のための発光層1152を含む半導体層1150を貼り合わせる。その後、半導体層1150をエッチングして発光素子150を形成する。そのため、回路基板1100(100)に個片化された発光素子を個々に転写するのに比べて、発光素子を転写する工程を著しく短縮することができる。
【0122】
たとえば、4K画質の画像表示装置では、サブピクセルの数は2400万個を超え、8K画質の画像表示装置の場合には、サブピクセルの数は9900万個を超える。これだけ大量の発光素子を個々に回路基板に実装するのでは、膨大な時間を要することとなり、マイクロLEDによる画像表示装置を現実的なコストで実現することは困難である。また、大量の発光素子を個々に実装したのでは、実装時の接続不良等による歩留りが低下し、さらなるコスト上昇が避けられない。
【0123】
これに対して、本実施形態の画像表示装置1の製造方法では、半導体層1150を個片化する前に、半導体層1150全体を回路基板1100(100)に貼り付けるので、転写工程が1回で完了する。
【0124】
回路基板上で、エッチング等により発光素子を直接形成した後に、発光素子と、回路基板1100(100)内の回路素子とを、プラグ形成により電気的に接続するので、均一な接続構造を実現することができ、歩留りの低下を抑制することができる。
【0125】
プラグ116kの形成による発光素子および回路素子の電気的接続では、層間絶縁膜112,156を貫通する深いビアを設けることなく、n形半導体層151とトランジスタ103とを低い抵抗値で電気的に接続することができる。
【0126】
さらに、半導体層1150をあらかじめ個片化したり、回路素子に対応した位置に電極を形成したりすることなく、ウェハレベルで回路基板1100(100)に貼り付けるので、アライメントをとる必要がない。そのため、貼り付け工程を短時間で容易に行うことが可能になる。貼り付け時にアライメントをとる必要がないので、発光素子150の小型化も容易であり、高精細化されたディスプレイに好適である。
【0127】
半導体層1150を回路基板1100にウェハボンディングする場合に、本実施形態では、半導体層1150に、あらかじめメタル層1130が形成されている。そのため、メタル層の材料を適切に選定することによって、容易にウェハボンディングを行うことができる。
【0128】
ウェハボンディング時に形成されたメタル層は、第3の配線層130として、発光素子150と外部との接続等に利用することができる。第3の配線層130をn形半導体層151とオーミック接続をとることによって、プラグ116kとn形半導体層151とを低い抵抗値で電気的に接続することができる。
【0129】
第3の配線層130は、遮光プレート130aを含むことができるので、発光素子150の不要な光の散乱により、トランジスタ103等の回路素子が誤動作することを防止することができる。
【0130】
(第2の実施形態)
図15は、本実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図15は、サブピクセル220をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を模式的に示している。
本実施形態では、発光素子250の構成および発光素子250を駆動するトランジスタ203の構成が上述の他の実施形態の場合と相違する。上述の他の実施形態の場合と同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0131】
図15に示すように、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル220は、トランジスタ203と、発光素子250と、を含む。トランジスタ203は、基板102に形成された素子形成領域204に形成されている。素子形成領域204は、n形半導体領域204bとp形半導体領域204s,204dとを含む。n形半導体領域204bは、基板102の表面付近に設けられている。p形半導体領域204s,204dは、n形半導体領域204b内でn形半導体領域204bの表面付近に互いに離隔して設けられている。
【0132】
絶縁層105を介して、n形半導体領域204bの上にゲート107が設けられている。ゲート107は、p形半導体領域204s,204dの間に設けられている。
【0133】
トランジスタ203の上部の構造および配線の構造は、上述した他の実施形態の場合と同じである。本実施形態では、トランジスタ203は、pチャネルトランジスタであり、たとえばpチャネルMOSFETである。
【0134】
この例では、第1の層間絶縁膜112上には、上述の他の実施形態の場合と同様に、第3の配線層および遮光プレートは形成されず、プラグ116a上に直接、p形半導体層253が設けられている。接続部115aは、プラグ116aと配線110dとの間に設けられている。プラグ116aおよび配線110dは、接続部115aによって電気的に接続されている。
【0135】
この例のプラグ116aのように、好ましくは、プラグ116aの外周は、XY平面視でプラグ116aに投影される発光素子250の外周を含むように設定されている。この例のプラグ116aは、遮光プレートを兼ねている。
【0136】
発光素子250は、p形半導体層253と、発光層252と、n形半導体層251と、を含む。発光素子250は、XY平面視で、たとえば、ほぼ正方形または長方形状をしているが、角部は丸くなっていてもよい。
【0137】
発光素子250は、上述の他の実施形態の場合と同じ材料でよい。発光素子250は、たとえば467nm±20nm程度の青色光あるいは410nm±20nmの波長の青紫色光を発光する。
【0138】
発光素子250のn形半導体層251は、上述したとおり、プラグ116a上に設けられている。好ましくは、プラグ116aとn形半導体層251とは、オーミック接続されている。
【0139】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)156は、第1の層間絶縁膜112および発光素子250の側面および平坦化膜114を覆っている。第2の層間絶縁膜156は、開口258を有している。開口258は、発光素子250上に形成されており、層間絶縁膜156は、発光素子250の発光面251S上に設けられていない。層間絶縁膜156は、発光素子250が発光する光を反射して開口258から効果的に出力されるように、白色樹脂が好適に用いられる。
【0140】
発光面251Sは、n形半導体層251の面のうち発光層252に接する面に対向する面である。発光面251Sは、粗面化されている。
【0141】
配線層260は、層間絶縁膜156上に設けられている。配線層260は、配線260kを含む。配線260kは、後述する
図16に示されている接地線4に接続されている。配線260k上には、透明電極259kが設けられている。透明電極259kは、発光面251S上の全面にわたって設けられている。透明電極259kは、配線260kと発光面251Sとの間に設けられており、配線260kおよび発光面251Sを電気的に接続している。したがって、n形半導体層251は、透明電極259kおよび配線260kを介して、接地線に接続されている。
【0142】
層間絶縁膜156および透明電極259k上には、表面樹脂層170が設けられている。表面樹脂層170上には、透明薄膜接着層188を介してカラーフィルタ180が設けられている。
【0143】
図16は、本実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
図16に示すように、本実施形態の画像表示装置201は、表示領域2、行選択回路205および信号電圧出力回路207を備える。表示領域2には、上述の他の実施形態の場合と同様に、たとえばサブピクセル220が格子状に配列されている。
【0144】
サブピクセル220は、発光素子222と、選択トランジスタ224と、駆動トランジスタ226と、キャパシタ228と、を含む。
図16において、選択トランジスタ224はT1と表示され、駆動トランジスタ226はT2と表示され、キャパシタ228はCmと表示されることがある。
【0145】
本実施形態では、発光素子222が接地線4側に設けられており、発光素子222に直列に接続された駆動トランジスタ226は、電源線3側に設けられている。つまり、駆動トランジスタ226は、発光素子222よりも高電位側に接続されている。駆動トランジスタ226は、pチャネルMOSFETである。
【0146】
駆動トランジスタ226のゲート電極と信号線208との間には、選択トランジスタ224が接続されている。キャパシタ228は、駆動トランジスタ226のゲート電極と電源線3との間に接続されている。
【0147】
行選択回路205および信号電圧出力回路207は、pチャネルMOSFETである駆動トランジスタ226を駆動するために、上述の他の実施形態と異なる極性の信号電圧を、走査線206および信号線208に供給する。
【0148】
本実施形態では、駆動トランジスタ226の極性がpチャネルであることから、信号電圧の極性等が上述の他の実施形態の場合と相違する。すなわち、行選択回路205は、m行のサブピクセル220の配列から、順次1行を選択するように走査線206に選択信号を供給する。信号電圧出力回路207は、選択された行の各サブピクセル220に必要なアナログ電圧値を有する信号電圧を供給する。選択された行のサブピクセル220の駆動トランジスタ226は、信号電圧に応じた電流を発光素子222に流す。発光素子222は、流れた電流に応じた輝度で発光する。
【0149】
本実施形態の画像表示装置201の製造方法について説明する。
図17A~
図18Cは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図17Aに示すように、本実施形態では、
図5Aにおいてすでに説明した半導体成長基板1194とは異なる半導体成長基板1294が準備される。半導体成長基板1294は、結晶成長用基板1001上に成長させた半導体層1150を有する。半導体層1150は、この例では、バッファ層1140を介して成長されている。
【0150】
本実施形態では、半導体成長基板1294は、結晶成長用基板1001の側から、n形半導体層1151、発光層1152およびp形半導体層1153の順に積層されている。結晶成長の初期には結晶格子定数の不整合に起因する結晶欠陥が生じ易く、そのような結晶はn形を呈する。そのため、本実施形態のようにn形半導体層1151から積層する方が生産プロセス上のマージンを大きくとれて歩留りを向上し易いという長所がある。
【0151】
この例では、p形半導体層1153の側にメタル層は形成されず、回路基板1100と接合される。
【0152】
図17Bに示すように、準備された回路基板1100には、平坦化膜114内にプラグ116aおよび接続部115aが形成される。平坦化膜114、プラグ116aおよび接続部115aの形成手順は、
図8A~
図9Cにおいて説明した工程と同様とすることができる。
【0153】
半導体成長基板1294は、上下を反転させて、回路基板1100に貼り付けられる。図の矢印で示したように、回路基板1100の一方の面と、半導体層1150のp形半導体層1153の開放された面とを合わせて、両者を貼り付ける。回路基板1100の貼り合わせ面は、平坦化膜114および平坦化膜114と同一平面に露出されたプラグ116aの露出面である。
【0154】
なお、上述のウェハボンディングに際しては、
図6A~
図6Cにおいて説明した変形例の場合と同様にしてもよい。すなわち、すでに
図6Aにおいて説明したように、支持基板に半導体層1150を転写後、半導体成長基板1294を反転せずに回路基板1100に貼り付けてもよい。すでに
図6Bにおいて説明したように、メタル層を半導体層1150に設けるようにしてもよい。すでに
図6Cにおいて説明したように、バッファ層1140を介さずに結晶成長させた半導体層1150を貼り付けてもよい。
【0155】
図18Aに示すように、半導体層1150と回路基板1100とのウェハボンディング後、結晶成長用基板1001が除去される。
【0156】
図18Bに示すように、上述の他の実施形態の場合と同様に、半導体層1150はエッチングされて、発光素子250が形成される。
【0157】
図18Cに示すように、バッファ層240が除去された後、平坦化膜114、プラグ116aおよび発光素子
250を覆う層間絶縁膜156が形成される。層間絶縁膜156には、開口258が形成され、発光面251Sが粗面化される。その後、配線260kを含む第2の配線層260が形成され、第2の配線層260上にITO膜等によって透明電極259kが形成される。
【0158】
本実施形態の画像表示装置201の効果について説明する。
本実施形態では、上述の他の実施形態の場合と同様の効果を有する。すなわち、回路基板1100に半導体層1150を貼り合わせた後、個別の発光素子250をエッチングにより形成するので、発光素子の転写工程を著しく短縮することができる。
【0159】
上述の他の実施形態の場合の効果に加えて、本実施形態では、n形半導体層251を発光面251Sとすることによって、より容易に粗面化することができ、発光面251Sに配線260kを接続することによって、発光効率の高いサブピクセルを形成することができる。
【0160】
本実施形態では、プラグ116aを遮光プレートとして用いることによって、遮光用のメタル層の形成を省略することができる。
【0161】
(第3の実施形態)
上述した他の実施形態では、第2の層間絶縁膜156上に形成された配線層160,260によって、発光素子の発光面の側と電源線や接地線等とを電気的に接続する。本実施形態では、発光素子と回路素子との間に形成された配線層330によって、発光素子の発光面の側と電源線や接地線等とを電気的に接続する。
【0162】
図19は、本実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図19は、サブピクセル320をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を模式的に示している。
本実施形態では、発光素子250の構成は、第2の実施形態の場合と同じである。すなわち、発光素子250は、下層のp形半導体層253、発光層252および発光面251Sを有するn形半導体層251を有する。発光素子250の駆動用のトランジスタ203は、pチャネルトランジスタである。上述の他の実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
【0163】
図19に示すように、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル320は、トランジスタ203と、発光素子250と、を含む。トランジスタ203は、基板102に形成された素子形成領域204に形成されている。素子形成領域204は、n形半導体領域204bとp形半導体領域204s,204dとを含んでおり、トランジスタ203は、pチャネルトランジスタである。
【0164】
回路基板100におけるトランジスタ203の上部の構造および配線の構造は、上述した第2の実施形態の場合と同じである。
【0165】
第1の層間絶縁膜112上には、平坦化膜114が形成されている。平坦化膜114には、プラグ116a1が埋め込まれており、プラグ116a1の平坦化膜114からの露出面は、平坦化膜114とほぼ同一の平面内に形成されている。この平面は、XY平面にほぼ平行とされている。プラグ116a1は、層間絶縁膜112に設けられた接続部115aによって、配線110dに接続されている。
【0166】
平坦化膜114およびプラグ116a1上には、配線層(第3配線層)330が設けられている。配線層330は、配線330a,330kを含んでいる。配線330aは、プラグ116a1上に設けられており、配線330aおよびプラグ116a1は、電気的に接続されている。
【0167】
配線330a上には、発光素子250が設けられている。発光素子250は、配線330aの側から発光面251Sの側に向かって、p形半導体層253、発光層252およびn形半導体層251の順に積層されている。つまり、配線330a上は、p形半導体層253と接続されている。好ましくは、配線330aは、p形半導体層253とオーミック接続されており、プラグ116a1および接続部115aを介して、配線110dに接続されている。
【0168】
この例では、配線330aは、遮光プレートとしても機能する。つまり、配線330aの外周は、XY平面視で配線330aに投影される発光素子250の外周を含むように設定されている。
【0169】
配線330kは、
図16に示されている接地線4に接続されている。配線330kは、たとえば配線330aを取り囲むように設けられている。
【0170】
第2の層間絶縁膜156は、平坦化膜114、配線層330および発光素子250上に形成されている。層間絶縁膜156は、開口258,262を有している。開口258は、発光素子250に対応する位置に設けられており、発光面251Sを露出するように形成されている。開口262は、配線330kに対応する位置に設けられている。
【0171】
発光面251S上にわたって透明電極(第2配線層)259kが設けられている。透明電極259kは、開口262の全面にわたって設けられるとともに、開口262から露出された配線330k上にわたって設けられている。透明電極259kは、発光面251Sと開口262との間に設けられており、発光面251Sおよび配線330kを電気的に接続している。
【0172】
このようにして、発光素子250のアノード電極であるp形半導体層253は、駆動用のトランジスタ203に接続され、カソード電極であるn形半導体層251は、接地線に接続される。本実施形態では、pチャネルのトランジスタ203で発光素子250を駆動する。駆動回路は、たとえば
図16に示した回路構成が適用される。
【0173】
本実施形態の画像表示装置の製造方法について説明する。
図20A~
図21Bは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図20Aに示すように、結晶成長用基板1001に半導体層1150を成長させて半導体成長基板1294を準備する。本実施形態では、半導体成長基板1294は、結晶成長用基板1001にバッファ層1140を介して、結晶成長用基板1001の側からn形半導体層1151、発光層1152およびp形半導体層1153の順に成長させて形成される。
【0174】
準備された半導体成長基板1294には、さらにメタル層1130が形成される。メタル層1130は、p形半導体層1153の発光層1152が設けられた面に対向する面に形成される。なお、p形半導体層1153とメタル層1130との界面に、ホール注入性のある材料を用いた薄膜層を形成することで、発光素子250の駆動電圧をより低下させることも可能である。このようなホール注入性のある材料としては、たとえばITO膜等が好適に用いられ得る。
【0175】
図20Bに示すように、回路基板1100には、平坦化膜114内にプラグ116a1および接続部115aが形成される。平坦化膜114、プラグ116a1および接続部115aの形成手順は、
図8A~
図9Cにおいて説明した場合と同様である。
【0176】
メタル層1130が形成された半導体成長基板1294は、上下を反転させて、回路基板1100に貼り合わせられる。図の矢印で示したように、回路基板1100の一方の面と、メタル層1130とを合わせて、両者を貼り付ける。回路基板1100の貼り合わせ面は、平坦化膜114および平坦化膜114と同一平面に露出されたプラグ116a1の露出面である。
【0177】
図21Aに示すように、回路基板1100およびメタル層1130が形成された半導体成長基板1294は貼り合わされた後、結晶成長用基板1001が除去される。
【0178】
図21Bに示すように、半導体層1150を加工して発光素子250が形成される。発光素子250は、エッチングによって、形成される。
【0179】
発光素子250が形成された後、メタル層1130を加工して第3の配線層330が形成される。第3の配線層330は、エッチングにより形成される。
【0180】
図21Cに示すように、配線層330、平坦化膜114および発光素子250の側面を覆うように、第2の層間絶縁膜156が形成される。
【0181】
層間絶縁膜156には、開口258,262が形成される。開口258は、n形半導体層251に達するまでエッチングされ、発光面251Sが露出される。開口262は、配線330kに達するまでエッチングされ、配線330kが露出される。
【0182】
露出された発光面251Sおよび配線330k上に透明導電膜が形成されて、n形半導体層251および配線330kは、透明電極259kによって接続される。
【0183】
本実施形態の画像表示装置の効果について説明する。
本実施形態の画像表示装置は、上述した他の実施形態の場合と同様の効果を奏し、さらに以下の効果を有する。
本実施形態の画像表示装置のサブピクセル320は、発光面251S側の電気的接続を透明電極で行い、発光面251Sに対向する面の側の電気的接続を配線層330、プラグ116a1および接続部115aで行う。そのため、発光面251S側の配線をすべて透明電極とすることができ、発光素子250の発光効率を向上させることができると同時に、配線プロセスコストの低減も可能である。
【0184】
発光面251S側の配線層をすべて透明導電膜による透明電極とし、電源線や接地線等の配線を内層である第3の配線層330とすることによって、電源線や接地線等の配線パターンの自由度が向上し、画像表示装置の設計効率を向上させることができる。
【0185】
(第4の実施形態)
本実施形態では、プラグの構成が上述の他の実施形態の場合と相違している。本実施形態のプラグでは、第3の実施形態の場合の第3の配線層330およびプラグ116a1に相当する部分が一体で形成されている。他の構成要素は、第3の実施形態の場合と同じであり、同一の構成要素に同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0186】
図22は、本実施形態の画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図22に示すように、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル420は、配線層と、接続部115aと、を含む。配線層430は、プラグ430aを含む。この例では、接続部115aは、プラグ430aと配線110dとの間に設けられている。プラグ430aは、接続部115aを介して配線110dに接続されている。プラグ430a上には、発光素子250が設けられ、プラグ430aおよびp形半導体層253は、電気的に接続されている。
【0187】
プラグ430aは、遮光プレートとしても機能する。すなわち、プラグ430aの外周は、XY平面視でプラグ430aに投影された発光素子250の外周を含むように設定されている。これによって、発光素子250の下方への光の散乱を反射し、発光効率を向上させるとともに、回路素子への光の到達を抑制して、回路素子の誤動作等を防止することができる。
【0188】
配線層430は、配線430kを含んでおり、配線430kの一部は、第2の層間絶縁膜156に形成された開口262から露出されている。開口262から露出された配線430kの一部は、透明電極259kに覆われている。配線430kは、透明電極259kによって、発光面251Sに電気的に接続されている。なお、配線430kは、製造方法の説明において後述するように、プラグ430aと同時に形成される。
【0189】
(サブピクセルの変形例)
図23は、本変形例の画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
上述したサブピクセル420では、発光素子250の下層に形成されているp形半導体層253が、プラグ430aおよび接続部115aを介して、pチャネルのトランジスタ203に接続されている。この変形例では、開口262を介して露出された配線430kは、接続部を介して、nチャネルのトランジスタ103に接続される。発光面251Sは開口262から露出されたプラグ430aに接続される。このサブピクセル420aの構成は、上述した第3の実施形態のサブピクセル320の変形例としても適用することができる。
【0190】
図23に示すように、この変形例のサブピクセル420aは、配線430kと、接続部115kと、を含む。配線430kは、接続部115kを介して配線110dに接続されている。配線層430は、プラグ430aを含んでおり、プラグ430aは、
図4において示された電源線3に接続されている。この変形例では、発光素子250をnチャネルのトランジスタ103で駆動する
図4の駆動回路が適用される。
【0191】
本実施形態の製造方法について説明する。
図24A~
図25Bは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
メタル層1130が形成された半導体成長基板1294は、
図17Aにおいて上述したものと同じものが準備される。
【0192】
図24Aに示すように、本実施形態では、準備された回路基板1100の第1の層間絶縁膜1112には、配線110dまで達するコンタクトホールh2が形成され、層間絶縁膜1112上の全面にわたって、メタル層4120が形成される。メタル層4120の形成時にコンタクトホールh2も充填される。メタル層4120は、上述の他の実施形態の場合と同様に、たとえばスパッタによって形成される。メタル層4120は、たとえばTiやAl、TiとSnとの合金等を含む。CuやV等、あるいは、AgやPt等の高い光反射性を有する貴金属を含んでもよい。
【0193】
メタル層4120が形成された後、メタル層4120の開放された面は、CMP等を用いて研磨され平坦化される。
【0194】
メタル層4120の材料でコンタクトホールh2が充填されて接続部115aが形成される。メタル層4120は、接続部115aによって、配線110dに接続される。
【0195】
メタル層1130が形成された半導体成長基板1294は、メタル層1130を介して、メタル層4120および接続部115aが形成された回路基板1100に貼り合わされる。
【0196】
図24Bに示すように、結晶成長用基板1001がレーザ照射等によって剥離、あるいは、ウェットエッチングによって除去される。
【0197】
図25Aに示すように、接合されたメタル層1130,4120をエッチングしてプラグ430aおよび配線430kを含む配線層430を形成する。
【0198】
図25Bに示すように、プラグ430aおよび配線430kを含む配線層430は、第2の層間絶縁膜156に、発光素子250とともに埋め込まれる。層間絶縁膜156は、配線層430、発光素子250の側面および第1の層間絶縁膜112を覆うように形成される。
【0199】
層間絶縁膜156は、発光面251Sに対応する位置に開口258が形成され、配線430kに対応する位置に開口262が形成される。その後、開口258,262から露出された発光面251Sおよび配線430k上には、透明電極259kが形成され、発光面251Sおよび配線430kを電気的に接続する。
【0200】
サブピクセル420aの製造方法も、上述と同様に行うことができる。
【0201】
本実施形態の画像表示装置の効果について説明する。
本実施形態の画像表示装置では、上述の他の実施形態における効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、サブピクセル420,420aの形成工程において、半導体層1150と回路基板1100とを接合する前に、回路基板にメタル層を形成して研磨するので、平坦化膜を形成する工程を省略することができる。
【0202】
プラグ430aは、その外周を、XY平面視でプラグ430aに投影される発光素子250の外周を含むように設定することによって、遮光プレートとして機能させることができる。そのため、遮光プレートを含む配線層を別途形成する工程を省略することができる。
【0203】
(第5の実施形態)
本実施形態では、発光層を含む単一の半導体層に、複数の発光素子に相当する複数の発光面を形成することによって、より発光効率の高い画像表示装置を実現する。以下の説明では、上述の他の実施形態の場合と同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
図26は、本実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図26に示すように、画像表示装置は、サブピクセル群520を備える。サブピクセル群520は、トランジスタ203-1,203-2と、第1の配線層510と、第1の層間絶縁膜112と、プラグ516a1,516a2と、半導体層550と、第2の層間絶縁膜556と、第2の配線層560と、を含む。
【0204】
本実施形態では、pチャネルのトランジスタ203-1,203-2をオンすることによって、プラグ516a1,516a2を介して半導体層550に正孔を注入し、第2の配線層560を介して半導体層550に電子を注入して、発光層552を発光させる。駆動回路は、たとえば
図16に示す回路構成が適用される。上述の他の実施形態を用いて、半導体層のn形半導体層とp形半導体層を上下入れ替えてもよい。nチャネルのトランジスタによって半導体層を駆動する構成とすることもできる。その場合には、駆動回路は、
図4の回路構成が適用される。
【0205】
半導体層550は、2つの発光面551S1,551S2を含んでおり、サブピクセル群520は実質的に2つのサブピクセルを含む。本実施形態では、上述の他の実施形態の場合と同様に、実質的に2つのサブピクセルを含むサブピクセル群520が格子状に配列されることによって、表示領域が形成される。
【0206】
トランジスタ203-1,203-2は、素子形成領域204-1,204-2にそれぞれ形成されている。この例では、素子形成領域204-1,204-2は、n形の半導体層であり、n形の半導体層に離隔してp形の半導体層が形成されている。n形の半導体層はチャネル領域を含んでおり、p形の半導体層は、ソース領域およびドレイン領域をそれぞれ含んでいる。
【0207】
素子形成領域204-1,204-2上には、絶縁層105が形成され、絶縁層105を介して、ゲート107-1,107-2がそれぞれ形成されている。ゲート107-1,107-2は、トランジスタ203-1,203-2のゲートである。トランジスタ203-1,203-2は、pチャネルのトランジスタであり、たとえばpチャネルMOSFETである。
【0208】
2つのトランジスタ203-1,203-2上には、絶縁膜108が覆っている。絶縁膜108上に配線層510が形成されている。
【0209】
トランジスタ203-1のp形の半導体層と配線層510との間には、ビア111s1,111d1がそれぞれ設けられている。トランジスタ203-2のp形の半導体層と配線層510との間には、ビア111s2,111d2が設けられている。
【0210】
第1の配線層510は、配線510s1,510s2,510d1,510d2を含む。配線510s1,510s2は、ビア111s1,111s2を介して、トランジスタ203-1,203-2のソース電極に対応するp形の半導体層に電気的にそれぞれ接続されている。配線510s1,510s2は、図示しないが、電源線に接続されている。
【0211】
配線510d1,510d2は、ビア111d1,111d2を介して、トランジスタ203-1,203-2のドレイン電極に対応するp形の半導体層にそれぞれ接続されている。
【0212】
第1の層間絶縁膜112は、トランジスタ203-1,203-2、配線層510およびプラグ516a1,516a2を覆っている。
【0213】
平坦化膜114は、第1の層間絶縁膜112上に形成されている。プラグ516a1,516a2は、平坦化膜114に埋め込まれており、平坦化膜114およびプラグ516a1,516a2は、XY平面視で同一の平面にある面を有している。この面は、層間絶縁膜112側の面に対向する面である。つまり、プラグ516a1,516a2の間には、平坦化膜114が設けられている。
【0214】
プラグ516a1と配線510d1との間には、接続部515a1が設けられている。接続部515a1は、プラグ516a1および配線510d1を電気的に接続する。プラグ516a2と配線510d2との間には、接続部515a2が設けられている。接続部515a2は、プラグ516a2および配線510d2を電気的に接続する。
【0215】
半導体層550は、平坦化膜114およびプラグ516a1,516a2上に設けられている。
【0216】
半導体層550は、p形半導体層553と、発光層552と、n形半導体層551と、を含む。半導体層550は、層間絶縁膜112の側から発光面551S1,551S2の側に向かって、p形半導体層553、発光層552およびn形半導体層551の順に積層されている。プラグ516a1,516a2は、p形半導体層553と接続されている。
【0217】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)556は、平坦化膜114、プラグ516a1,516a2および半導体層550上を覆っている。第2の層間絶縁膜556は、半導体層550の一部を覆っている。好ましくは、第2の層間絶縁膜556は、半導体層550の発光面(露出面)551S1,551S2を除き、n形半導体層551の面を覆っている。層間絶縁膜556は、半導体層550の側面を覆っている。層間絶縁膜556は、好ましくは白色樹脂である。
【0218】
半導体層550のうち層間絶縁膜556で覆われていない部分は、開口558-1,558-2が形成されている。開口558-1,558-2は、発光面551S1,551S2に対応する位置に形成されている。発光面551S1,551S2は、n形半導体層551上の離隔した位置に形成される。発光面551S1は、n形半導体層551上のトランジスタ203-1により近い位置に設けられている。発光面551S2は、n形半導体層551上のトランジスタ203-2により近い位置に設けられている。
【0219】
開口558-1,558-2は、XY平面視で、たとえば正方形または長方形状である。方形に限らず、円形、楕円形あるいは六角形等の多角形であってもよい。発光面551S1,551S2もXY平面視で、正方形や長方形、その他の多角形や円形等である。発光面551S1,551S2の形状は、開口558-1,558-2の形状と相似であってもよいし、異なる形状としてもよい。
【0220】
第2の配線層560は、層間絶縁膜556上に設けられている。配線層560は、配線560kを含む。配線560kは、開口558-1,558-2の間でn形半導体層551上に設けられている第2の層間絶縁膜556上に設けられている。配線560kは、図示しないが、接地線に接続されている。なお、
図26では、この配線層560の符号を、配線560kの符号と併記して、配線層560が配線560kを含むことを表している。後述する
図28においても同様である。
【0221】
透明電極559kは、開口558-1,558-2から露出されたn形半導体層551の発光面551S1,551S2上にわたってそれぞれ設けられている。透明電極559kは、配線560k上に設けられている。透明電極559kは、発光面551S1と配線560kとの間に設けられるとともに、発光面551S2と配線560kとの間に設けられている。透明電極559kは、発光面551S1,551S2および配線560kを電気的に接続している。
【0222】
上述したように、開口558-1,558-2から露出されている発光面551S1,551S2には、透明電極559kが接続されている。そのため、透明電極559kから供給された電子は、それぞれ露出された発光面551S1,551S2からn形半導体層551に供給される。一方、p形半導体層553には、プラグ516a1,516a2を介して、正孔がそれぞれ供給される。
【0223】
トランジスタ203-1,203-2は、隣接するサブピクセルの駆動トランジスタであり、順次駆動される。したがって、2つのトランジスタ203-1,203-2のいずれか一方から供給された正孔が発光層552に注入され、配線560kから供給された電子が発光層552に注入されて、発光層552は発光する。
【0224】
開口558-1および発光面551S1は、n形半導体層551がトランジスタ203-1により近い位置に設けられている。そのため、トランジスタ203-1がオンしたときには、配線510d1、接続部515a1およびプラグ516a1を介して、正孔が注入されて発光面551S1が発光する。
【0225】
一方、開口558-2および発光面551S2は、n形半導体層551がトランジスタ203-2により近い位置に設けられている。そのため、トランジスタ203-2がオンしたときには、配線510d2、接続部515a2およびプラグ516a2を介して、発光面551S2が発光する。
【0226】
本実施形態の画像表示装置の製造方法について説明する。
図27A~
図28Bは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図27Aに示すように、半導体層1150がエピタキシャル成長された結晶成長用基板1001を含む半導体成長基板1294は、準備された回路基板5100にプラグ516a1,516a2および接続部515a1,515a2が形成され、ウェハボンディングによって互いに接合される。
【0227】
回路基板5100にプラグ516a1,516a2および接続部515a1,515a2を形成する手順については、上述した
図8A~
図9Cにおいて説明した工程を用いることができる。プラグ516a1,516a2の形成工程は、上述した
図24Aにおいて説明した手順を用いてもよい。なお、回路基板5100は、回路の構成が上述の他の実施形態の場合と相違するが、他のほとんどの部分ですでに説明した構造と同様である。以下では、符号のみを代えて、詳細な説明を適宜省略する。
【0228】
図27Bに示すように、プラグ516a,516a2が形成された回路基板5100に半導体層1150が接合された後に、結晶成長用基板1001が除去される。
【0229】
図28Aに示すように、半導体層1150はエッチングされて、半導体層550が形成される。
【0230】
図28Bに示すように、平坦化膜114、プラグ516a1,516a2および半導体層550を覆う層間絶縁膜が形成される。
【0231】
層間絶縁膜556上に配線層560が形成され、エッチングによって配線560k等が形成される。
【0232】
発光面551S1,551S2に対応する位置の層間絶縁膜556を除去することによって、開口558-1,558-2がそれぞれ形成される。
【0233】
開口558-1,558-2によって露出された551S1,551S2は、それぞれ粗面化される。その後、発光面551S1,551S2と配線560kとを電気的に接続するように、透明電極559kが形成される。
【0234】
このようにして、2つの発光面551S1,551S2を共用する半導体層550を有するサブピクセル群520が形成される。
【0235】
本実施例では、1つの半導体層550に2つの発光面551S1,551S2を設けたが、発光面の数は2つに制限されることはなく、3つあるいはそれ以上の発光面を1つの半導体層550に設けることも可能である。一例として、1列あるいは2列分のサブピクセルを、単一の半導体層550で実現してもよい。これによって後述するように、発光面1つあたりの発光に寄与しない再結合電流を削減するとともに、より微細な発光素子を実現する効果を増大させることができる。
【0236】
(変形例)
図29は、本実施形態の変形例に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
本変形例では、発光層552上に2つのn形半導体層5551a1,5551a2を設けた点で上述の第5の実施形態の場合と異なっている。他の点では、第5の実施形態の場合と同じであり、同一の構成要素に同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0237】
図29に示すように、本変形例の画像表示装置は、サブピクセル群520aを備える。サブピクセル群520aは、半導体層550aを含む。半導体層550aは、p形半導体層553と、発光層552と、n形半導体層5551a1,5551a2と、を含む。p形半導体層553、発光層552およびn形半導体層5551a1,5551a2は、層間絶縁膜556から発光面5551S1,5551S2の側に向かってこの順に積層されている。
【0238】
n形半導体層5551a1,5551a2は、発光層552上をX軸方向に沿って離隔して配置されている。n形半導体層5551a1,5551a2の間には、層間絶縁膜556が設けられ、n形半導体層5551a1,5551a2は、層間絶縁膜556によって分離されている。
【0239】
n形半導体層5551a1,5551a2は、XY平面視で、ほぼ同一の形状を有しており、その形状は、ほぼ正方形または長方形状であり、他の多角形状や円形等であってもよい。
【0240】
n形半導体層5551a1,5551a2は、発光面5551S1,5551S2をそれぞれ有する。発光面5551S1,5551S2は、開口558-1,558-2によってそれぞれ露出されたn形半導体層5551a1,5551a2の面である。
【0241】
発光面5551S1,5551S2のXY平面視での形状は、第5の実施形態の場合の発光面の形状と同様に、ほぼ同一の形状を有し、ほぼ正方形等の形状を有する。発光面5551S1,5551S2の形状は、本実施形態のような方形に限らず、円形、楕円形あるいは六角形等の多角形であってもよい。発光面5551S1,5551S2の形状は、開口558-1,558-2の形状と相似であってもよいし、異なる形状としてもよい。
【0242】
発光面5551S1,5551S2上には、透明電極559kがそれぞれ設けられている。透明電極559kは、配線560k上にも設けられている。透明電極559kは、配線560kと発光面5551S1との間に設けられるとともに、配線560kと発光面5551S2との間に設けられている。透明電極559kは、配線560kおよび発光面5551S1,5551S2を電気的に接続している。
【0243】
図30Aおよび
図30Bは、本変形例の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
本変形例では、半導体層1150に、プラグ516a1,516a2および接続部515a1,515a2が形成された回路基板5100を接合するまでは、第5の実施形態の場合の
図27Aおよび
図27Bにおいて説明した工程と同様の工程が適用される。以下では、それ以降の工程について説明する。
【0244】
図30Aに示すように、本変形例では、
図27Bにおけるp形半導体層1153、発光層1152およびn形半導体層1151をエッチングして、発光層552およびp形半導体層553を形成した後、さらにエッチングして、2つのn形半導体層5551a1,5551a2を形成する。
【0245】
n形半導体層5551a1,5551a2は、さらに深いエッチングによって形成されてもよい。たとえば、n形半導体層5551a1,5551a2を形成するためのエッチングは、発光層552内やp形半導体層553内に到達する深さまで行ってもよい。このように、n形半導体層を深くエッチングする場合には、n形半導体層1151のエッチング位置は、後述するn形の半導体層の発光面5551S1,5551S2の外周から1μm以上離すことが望ましい。エッチング位置を発光面5551S1,5551S2の外周から離すことによって、再結合電流を抑制することができる。
【0246】
図30Bに示すように、平坦化膜114、プラグ516a1,516a2および半導体層550aを覆う層間絶縁膜が形成される。層間絶縁膜556上には、配線層560が形成され、エッチングによって配線560k等が形成される。
【0247】
層間絶縁膜の発光面5551S1,5551S2に対応する位置に開口558-1,558-2がそれぞれ形成される。開口558-1,558-2によって露出されたn形の半導体層の発光面5551S1,5551S2は、それぞれ粗面化される。その後、透明電極559kが形成される。
【0248】
このようにして、2つの発光面5551S1,5551S2を有するサブピクセル群520aが形成される。
【0249】
本変形例の場合も、第5の実施形態の場合と同様に、発光面の数は2つに限定されることはなく、3つあるいはそれ以上の発光面を1つの半導体層550aに設けてもよい。
【0250】
本実施形態の画像表示装置の効果について説明する。
図31は、画素LED素子の特性を例示するグラフである。
図31の縦軸は、発光効率[%]を表している。横軸は、画素LED素子に流す電流の電流密度を相対値によって表している。
図31に示すように、電流密度の相対値が1.0より小さい領域では、画素LED素子の発光効率は、ほぼ一定か、単調に増加する。電流密度の相対値が1.0よりも大きい領域では、発光効率は単調に減少する。つまり、画素LED素子には、発光効率が最大になるような適切な電流密度が存在する。
【0251】
発光素子から十分な輝度が得られる程度に電流密度を抑制することによって、高効率な画像表示装置を実現することが期待される。しかしながら、低電流密度では、電流密度の低下とともに、発光効率が低下する傾向にあることが、
図31によって示されている。
【0252】
第1の実施形態から第4の実施形態において説明したように、発光素子は、発光層を含む半導体層1150の全層をエッチング等で個別に分離することによって形成される。このとき、発光層とn形の半導体層との接合面が端部に露出する。同様に、発光層とp形半導体層との接合面が端部に露出する。
【0253】
このような端部が存在する場合には、端部において電子および正孔が再結合する。一方で、このような再結合は、発光に寄与しない。端部での再結合は、発光素子に流す電流とはほとんど関係なく発生する。再結合は、端部の発光に寄与する接合面の長さに応じて発生するものと考えられる。
【0254】
同一寸法の立方体形状の発光素子を2個発光させる場合には、端部は、発光素子ごとに四方に形成されるため、合計8つの端部において再結合が発生し得る。
【0255】
これに対して、本実施形態では、2つの発光面を有する半導体層550,550aでは、端部は4つである。開口558-1,558-2の間の領域は、電子や正孔の注入が少なく、発光にほとんど寄与しないので、発光に寄与する端部は、6個になると考えることができる。このように、本実施形態では、半導体層の端部の数が実質的に低減されることによって、発光に寄与しない再結合を低減し、再結合電流の減少が、駆動電流を引き下げることを可能にする。
【0256】
高精細化等のために、サブピクセル間の距離を短縮するような場合や電流密度が比較的高い場合等には、第5の実施形態のサブピクセル群520では、発光面553S1,553S2の距離が短くなる。この場合に、p形半導体層553が共有されていると、隣接する発光面の側に注入された電子の一部が分流して、駆動されていない側の発光面が微発光するおそれがある。変形例では、p形半導体層を発光面ごとに分離しているので、駆動されていない側の発光面に微発光を生じることを低減させることができる。
【0257】
本実施形態では、発光層を含む半導体層は、第1の層間絶縁膜112の側から、n形半導体層、発光層およびp形半導体層の順に積層するものであり、p形半導体層の露出面を粗面化して発光効率を向上させる観点からは好ましい。上述した他の実施形態の場合と同様に、p形半導体層とn形半導体層の積層順を代えて、p形半導体層、発光層およびn形半導体層の順に積層するようにしてもよい。
【0258】
(第6の実施形態)
上述した画像表示装置は、適切なピクセル数を有する画像表示モジュールとして、たとえばコンピュータ用ディスプレイ、テレビ、スマートフォンのような携帯用端末、あるいは、カーナビゲーション等とすることができる。
【0259】
図32は、本実施形態に係る画像表示装置を例示するブロック図である。
図32には、コンピュータ用ディスプレイの構成の主要な部分が示されている。
図32に示すように、画像表示装置601は、画像表示モジュール602を備える。画像表示モジュール602は、たとえば上述した第1の実施形態の場合の構成を備えた画像表示装置である。画像表示モジュール602は、サブピクセル20が配列された表示領域2、行選択回路5および信号電圧出力回路7を含む。
【0260】
画像表示装置601は、コントローラ670をさらに備えている。コントローラ670は、図示しないインタフェース回路によって分離、生成される制御信号を入力して、行選択回路5および信号電圧出力回路7に対して、各サブピクセルの駆動および駆動順序を制御する。
【0261】
(変形例)
図33は、本変形例の画像表示装置を例示するブロック図である。
図33には、高精細薄型テレビの構成が示されている。
図33に示すように、画像表示装置701は、画像表示モジュール702を備える。画像表示モジュール702は、たとえば上述した第1の実施形態の場合の構成を備えた画像表示装置1である。画像表示装置701は、コントローラ770およびフレームメモリ780を備える。コントローラ770は、バス740によって供給される制御信号にもとづいて、表示領域2の各サブピクセルの駆動順序を制御する。フレームメモリ780は、1フレーム分の表示データを格納し、円滑な動画再生等の処理のために用いられる。
【0262】
画像表示装置701は、I/O回路710を有する。I/O回路710は、外部の端末や装置等と接続するためのインタフェース回路等を提供する。I/O回路710には、たとえば外付けのハードディスク装置等を接続するUSBインタフェースや、オーディオインタフェース等が含まれる。
【0263】
画像表示装置701は、受信部720および信号処理部730を有する。受信部720には、アンテナ722が接続され、アンテナ722によって受信された電波から必要な信号を分離、生成する。信号処理部730は、DSP(Digital Signal Processor)やCPU(Central Processing Unit)等を含んでおり、受信部720によって分離、生成された信号は、信号処理部730によって、画像データや音声データ等に分離、生成される。
【0264】
受信部720および信号処理部730を、携帯電話の送受信用やWiFi用、GPS受信器等の高周波通信モジュールとすることによって、他の画像表示装置とすることもできる。たとえば、適切な画面サイズおよび解像度の画像表示モジュールを備えた画像表示装置は、スマートフォンやカーナビゲーションシステム等の携帯情報端末とすることができる。
【0265】
本実施形態の場合の画像表示モジュールは、第1の実施形態の場合の画像表示装置の構成に限らず、その変形例や他の実施形態の場合としてもよい。
【0266】
図34は、第1~第5の実施形態およびこれらの変形例の画像表示装置を模式的に例示する斜視図である。
図34に示すように、第1~第5の実施形態の画像表示装置は、上述したように、回路基板100上に、多数のサブピクセルを有する発光回路172が設けられている。発光回路部172上には、カラーフィルタ180が設けられている。なお、第6の実施形態においては、回路基板100、発光回路部172およびカラーフィルタ180を含む構造物は、画像表示モジュール602,702とされ、画像表示装置601,701に組み込まれている。
【0267】
以上説明した実施形態によれば、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置を実現することができる。
【0268】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0269】
1,201,601,701 画像表示装置、2 表示領域、3 電源線、4 接地線、5,205 行選択回路、6,206 走査線、7,207 信号電圧出力回路、8,208 信号線、10 ピクセル、20,20a,20b,20c サブピクセル、22,222 発光素子、24,224 選択トランジスタ、26,226 駆動トランジスタ、28,228 キャパシタ、100 回路基板、101 回路、103,203,203-1,203-2 トランジスタ、104,204,204-1,204-2 素子形成領域、105 絶縁層、107,107-1,107-2 ゲート、108 絶縁膜、110 第1の配線層、112 第1の絶縁膜、114 平坦化膜、115a,115k,515a1,515a2 接続部、116a,116a1,116k プラグ、130,330 第3の配線層、130a 遮光プレート、150,250 発光素子、156,156a,556 第2の絶縁膜、159a,259k,559k 透明電極、160,260,360,560 第2の配線層、180 カラーフィルタ、430 配線層、430a,430k プラグ(配線)、520,520a サブピクセル群、670,770 コントローラ、1001 結晶成長用基板、1100,5100 回路基板、1130 メタル層、1140 バッファ層、1150 半導体層、1190 支持基板、1192 構造体、1194,1294 半導体成長基板