(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240509BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240509BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240509BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B41J29/393 101
B41J2/525
G03G15/01 Z
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2020095535
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 真菜
(72)【発明者】
【氏名】国見 敬二
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-033419(JP,A)
【文献】特開2020-034593(JP,A)
【文献】特開2019-082516(JP,A)
【文献】特開2009-224845(JP,A)
【文献】特開2010-102239(JP,A)
【文献】特開2001-157074(JP,A)
【文献】特開2009-075771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 2/525
G03G 15/01
G03G 15/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常色材を用いて画像形成する第1画像データと、特殊色材を用いて画像形成する第2画像データと、を重ねて画像形成する特殊色材印刷を実行する画像形成部と、
前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付ける受付部と、
前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、前記通常色材または当該通常色材の混色で、前記第2画像データの濃度または階調を再現して、前記第2画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、記録媒体において前記第1画像データを画像形成する面とは反対側の面に対して、前記第2画像データを反転させて画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、前記第1画像データおよび前記第2画像データのそれぞれの画像形成を行う際の濃度を指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
通常色材を用いて画像形成する第1画像データと、特殊色材を用いて画像形成する第2画像データと、を重ねて画像形成する特殊色材印刷を実行する画像形成部を備える画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
受付部が、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付ける工程と、
制御部が、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、前記通常色材または当該通常色材の混色で、前記第2画像データの濃度または階調を再現して、前記第2画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する工程と、
を含み、
前記制御部は、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、記録媒体において前記第1画像データを画像形成する面とは反対側の面に対して、前記第2画像データを反転させて画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する、画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリアトナー等の特殊色材用の画像データと、可視色トナー用の画像データとの重なりを視認性の良い状態で確認可能とする目的で、特殊色材用の画像データを、任意の可視色トナーでテストプリントする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術では、特殊色材用の画像データのテストプリントを実行する際、当該特殊色材用の画像データの濃度を二値化してテストプリントが実行されるため、特殊色材用の画像データの実際の濃度や階調を目視で確認することが困難である。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特殊色材用の画像データの濃度や階調を目視で確認することができる画像形成装置、および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、通常色材を用いて画像形成する第1画像データと、特殊色材を用いて画像形成する第2画像データと、を重ねて画像形成する特殊色材印刷を実行する画像形成部と、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付ける受付部と、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、前記通常色材または当該通常色材の混色で、前記第2画像データの濃度または階調を再現して、前記第2画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する制御部と、を備える。前記制御部は、前記特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、記録媒体において前記第1画像データを画像形成する面とは反対側の面に対して、前記第2画像データを反転させて画像形成を行うことを指示する印刷指示を前記画像形成部に出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特殊色材用の画像データの濃度や階調を目視で確認することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムの画像入出力部が有する制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像形成部の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像形成部の構成の他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、従来の画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の他の例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける画像データのテストプリントの流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて印刷制御部から出力される印刷指示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、および画像形成方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。まず、
図1を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の一例について説明する。
【0010】
本実施の形態にかかる画像形成システム(画像形成装置の一例)は、
図1に示すように、読取部1、画像形成部2、および画像入出力部3を有する。
【0011】
読取部1は、原稿を読み取り、読み取った原稿の画像データを画像入出力部3に出力する。画像形成部2は、画像入出力部3から出力される画像データに応じた画像を用紙等の記録媒体に画像形成(記録、印刷)する。本実施の形態では、画像形成部2は、通常画像データと、特殊画像データと、を重ねて画像形成する特殊色材印刷を実行可能な画像形成部の一例である。
【0012】
ここで、通常画像データは、CMYKのトナー等、可視色のトナーやインク(以下、通常色材と言う)を用いて画像形成する第1画像データの一例である。また、特殊画像データは、クリア、不可視、ホワイト、蛍光等、通常画像の画像形成に用いられる色材とは異なるトナーやインク(以下、特殊色材と言う)を用いて画像形成される第2画像データの一例である。
【0013】
画像入出力部3は、
図1に示すように、ファクシミリ部301、記憶制御部302、インタフェース303、RIP(Raster Image Processor)部304、操作部305、制御部306、カウンタ307等を有する。
【0014】
ファクシミリ部301は、電話回線を介して受信する画像データを制御部306へ転送したり、制御部306から出力される画像データを、電話回線を介して、外部に送信したりする。記憶制御部302は、制御部306から出力される画像データ等の各種データをハードディスク308に保存する。また、記憶制御部302は、ハードディスク308に記憶される画像データ等の各種データを読み出して、制御部306に出力する。
【0015】
インタフェース303は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のホストコンピュータ309と、制御部306との間のインタフェースである。インタフェース303は、通信回線NTを介して、ホストコンピュータ309と双方向通信可能に接続される。
【0016】
RIP部304は、ホストコンピュータ309から受信するコードデータ(PDL)を、画像形成部2で画像形成可能な画像データに変換する。ここで、コードデータは、画像を表すコードである。操作部305は、タッチパネルディスプレイやハードキー等を備え、画像入出力部3に対する各種設定やハードディスク308に記憶される画像データ等の各種データの保存および削除等の各種指示を入力可能である。
【0017】
カウンタ部307は、画像形成部2において画像形成を行った記録媒体の枚数である印刷枚数をカウントする。
【0018】
制御部306は、画像形成システム全体を制御する制御部である。制御部306の詳細については後述する。
【0019】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成システムの画像入出力部が有する制御部の構成の一例を示すブロック図である。次に、
図2を用いて、画像入出力部3が有する制御部306の構成の一例について説明する。
【0020】
制御部306は、
図2に示すように、I/F310、データ処理部311、I/F312、CPU(Central Processing Unit)313、メモリ314、データ管理部315等を有する。
【0021】
I/F312は、読取部1から入力される画像データをデータ処理部311に転送する。データ処理部311は、I/F312を介して読取部1から入力される画像データに対して、色変換や、反転処理、濃度調整、圧縮、伸長等を行う。そして、データ処理部311は、読取部1から入力される画像データを記憶制御部302に転送する。また、データ処理部311は、記憶制御部302によってハードディスク308から読み出される画像データを、画像形成部2や、ファクシミリ部301、インタフェース303に出力する。
【0022】
I/F310は、インタフェース303を介してホストコンピュータ309から入力されるコードデータをデータ処理部311に転送する。データ処理部311に転送されるコードデータは、RIP部304へ転送され、画像データに変換される。次に、当該画像データは、データ処理部311に転送され、記憶制御部302によってハードディスク308に保存される。データ処理部311に入力される画像データが、通常画像データか若しくは特殊画像データかの判別は、プレーンで行われ、データ処理部311は、読取部1やホストコンピュータ309等から入力される画像データに対して必要な画像処理を行う。
【0023】
データ管理部315は、画像形成部2において特殊色材印刷を行う場合に、通常画像データおよび特殊画像データのそれぞれを記録媒体の裏表に画像形成(印刷)する処理等を制御するページ管理を実行する。例えば、記録媒体に対する通常画像データおよび特殊画像データの画像形成を、両面印刷かつ左綴じの設定で実行する場合、データ管理部315は、記録媒体の裏面に画像形成する特殊画像データの左右を反転させる処理を実行する。
【0024】
CPU313は、メモリ314に記憶される各種プログラムおよび操作部305から入力される各種設定や各種指示に従って、画像形成システムを制御する。メモリ314は、各種プログラムを記憶したり、CPU313の作業領域として用いられたりする。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像形成部の構成の一例を示す図である。次に、
図3を用いて、電子写真方式を適用した画像形成部2の構成の一例について説明する。
【0026】
画像形成部2は、中間転写ベルト41と、駆動ローラ41Cと、斥力ローラ41Gと、4つのプロセスユニット42K,42Y,42C,42Mと、を備えている。また、画像形成部2は、
図3に示すように、ベルトエンコーダセンサ43と、二次転写ローラ41Eと、定着ユニット59と、を備えている。
【0027】
中間転写ベルト41は、無端ベルトであり、駆動ローラ41C、および斥力ローラ41Gに架け渡される。中間転写ベルト41と、駆動ローラ41Cと、斥力ローラ41Gと、を含む機構を、ベルト機構と称する。
【0028】
4つのプロセスユニット42K,42Y,42C,42Mは、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の四色に対応する。ここでは、プロセスユニット42Yについて説明するが、他のプロセスユニット42K,42C,42Kも同様の構成を有する。プロセスユニット42Yは、感光体51Y、帯電装置52Y、レーザユニット53Y、現像装置54Y、一次転写ローラ41D、およびクリーニング装置57Yを有する。
【0029】
感光体51Yは、
図3に示す反時計方向である方向に回転する回転体としての像担持体であるドラム状の部材であり、レーザユニット53Yが射出する走査光の被走査面である感光層が形成されている。帯電装置52Yは、感光体51Yを帯電させる装置である。レーザユニット53Yは、走査光を走査することによって、感光体51Yに潜像を形成するユニットである。現像装置54Yは、レーザユニット53Yにより形成された感光体51Y上の潜像を、イエロー(Y)のトナーにより現像してトナー像を形成する装置である。一次転写ローラ41Dは、巻き掛けられた中間転写ベルト41に対して、感光体51Yに形成されたトナー像を転写するローラである。クリーニング装置57Yは、トナー像が中間転写ベルト41に転写された後に、感光体51Yに残っている余分なトナーを取り除く装置である。
【0030】
このようなプロセスユニット42K,42Y,42C,42Mは、画像形成媒体である中間転写ベルト41にYCMK各色のトナー画像を重ね、フルカラー画像を形成する。本実施の形態では、画像形成部2において特殊色材印刷を行う場合、プロセスユニット42Kは、ブラックの色材に代えて、特殊色材を用いて中間転写ベルト41にトナー画像を画像形成するものとする。
【0031】
駆動ローラ41Cは、中間転写ベルト41を回転駆動する。ベルトエンコーダセンサ43は、中間転写ベルト41の表面速度を計測するためのエンコーダである。ベルトエンコーダセンサ43は、中間転写ベルト41上に形成されたスケールを検出してパルス出力を生成する。
【0032】
二次転写ローラ41Eは、斥力ローラ41Gに対向して配置される。斥力ローラ41G(中間転写ベルト41)と二次転写ローラ41Eとの間には、二次転写ニップ領域が形成される。二次転写ローラ41Eは、感光体ユニット42によって中間転写ベルト41に形成されたYCMK各色のトナー画像を、当該二次転写ニップ領域を通過する記録媒体に転写する。
【0033】
二次転写ローラ41Eは、自由に回転可能であり、例えば搬送される中間転写ベルト41または記録媒体に当接することで回転する。画像形成部2は、二次転写ローラ41Eを回転駆動させる機構を有しても良い。
【0034】
定着ユニット59は、二次転写ローラ41Eによって転写されたトナー画像を、加熱および加圧によって記録媒体上に定着させる。
【0035】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成システムが有する画像形成部の構成の他の例を示す図である。次に、
図4を用いて、インクジェット方式を適用した画像形成部2の構成の一例について説明する。
【0036】
インクジェット方式の画像形成部2は、塗布ヘッド11と、インクジェットヘッド12と、搬送ローラ13と、を有する。
【0037】
塗布ヘッド11は、画像信号に応じて、第1溶媒Sを吐出させて、第1溶媒Sを記録媒体に塗布する。塗布ヘッド11は、記録媒体の幅方向(X方向)(以下、主走査方向という。)に、記録媒体の幅または記録媒体の幅以上にノズルが配列されたライン型ヘッドとして構成されている。塗布ヘッド11には、第1溶媒Sが収容されている容器が、チューブ、およびポンプを介して接続されている。
【0038】
記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム等の透明フィルム、アルミシート、ステンレスシート等の金属シート、中質紙、上質紙、PPC用紙、オフセットコート紙等の紙媒体等を用いることができる。
【0039】
インクジェットヘッド12は、塗布ヘッド11に対して記録媒体の搬送方向(以下、副走査方向という)の前方側(Y方向)に設けられている。そして、インクジェットヘッド12は、画像信号に応じて、インクジェットインクIを吐出させて、記録媒体に塗布された第1溶媒SにインクジェットインクIを付着させる。インクジェットヘッド12は、記録媒体の幅方向に、記録媒体の幅または記録媒体の幅以上にノズルが配列されたライン型ヘッドとして構成されている。インクジェットヘッド12には、インクジェットインクIが収容されている容器が、チューブ、およびポンプを介して接続されている。
【0040】
本実施の形態では、画像形成部2において通常印刷を行う場合、画像形成部2は、CMYKのインク(色材の一例)またはこれらの混色(例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー)を用いて記録媒体に対して画像形成を行う。一方、画像形成部2において特殊色材印刷を行う場合、インクジェットヘッド12は、CMYKのインクのうちKのインクに代えて、特殊色材を用いて記録媒体に対して画像形成を行う。
【0041】
搬送ローラ13は、例えば時計回りに回転することで、記録媒体をY方向へ搬送する。
【0042】
なお、本実施の形態にかかる画像形成部2においては、搬送ローラ13により記録媒体を搬送する形態を説明したが、本発明はこの点において限定されるものではなく、記録媒体を搬送できる搬送手段であればよい。搬送手段としては、前述の搬送ローラ13以外に、例えば搬送ローラおよび搬送ベルトを組み合わせたもの等が挙げられる。
【0043】
搬送手段として、搬送ローラおよび搬送ベルトを組み合わせたものを用いる場合には、搬送ローラを回転させることで搬送ベルトを回転させ、搬送ベルトにより記録媒体を搬送する。また、搬送手段として搬送ローラおよび搬送ベルトを組み合わせたものを用いる場合には、搬送ベルトに張力を持たせるテンションローラを備えていても良い。
【0044】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例を示すブロック図である。次に、
図5を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムの機能構成の一例について説明する。
【0045】
本実施の形態にかかる画像形成システムは、CPU313が、メモリ314に記憶されるプログラムを実行することにより、受付部501、および印刷制御部502を実現する。
【0046】
受付部501は、特殊色材印刷のテストプリント(試し印刷)の指示を受け付ける受付部の一例である。本実施の形態では、受付部501は、操作部305を介して、ユーザにより入力される、特使色材印刷のテストプリントの指示を受け付ける。
【0047】
印刷制御部502は、受付部501によって、特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、通常色材または当該通常色材の混色で、特殊画像データの濃度または階調(グレースケール)を再現して、当該特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を画像形成部2に出力する印刷制御部の一例である。
【0048】
これにより、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データの濃度や階調が二値化されることなく、当該特殊画像データの濃度や階調をそのまま表現することができる。その結果、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データの濃度や階調を目視で確認することができる。すなわち、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、ユーザが印刷物を確認して、特殊画像データの濃度や階調の調整等を行うことができる。
【0049】
図6は、従来の画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の一例を示す図である。次に、従来の画像形成システムによる特殊色材印刷のテストプリントの一例について説明する。
【0050】
従来の画像形成システムでは、特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、不可視の色材や白の色材等の特殊色材を用いて特殊画像データの画像形成を行っている。これにより、従来の画像形成システムによる特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物(記録媒体の一例)Xにおいて、通常画像データに従って画像形成される通常画像602(例えば、リンゴ、バナナ、みかん、籠等の画像)は、
図6に示すように、YMCの色材を用いて、再現される。
【0051】
一方、記録媒体Xにおいて、特殊画像データに従って画像形成される特殊画像601は、
図6に示すように、人の眼では見え難い特殊色材を用いて再現される(ここでは、説明のため、グレースケールで再現している)。これにより、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データの濃度は特殊色材を用いて表現され、印刷物X上で、可視領域では特殊画像601は、透明または印刷物Xと同じ色であるため、特殊画像601の濃度を目視で確認することが困難である。
【0052】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の一例を示す図である。次に、本実施の形態にかかる画像形成システムによる特殊色材印刷のテストプリントの一例について説明する。
【0053】
本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、印刷制御部502は、通常色材(例えば、緑色)を用いて、特殊画像データの濃度および階調をそのまま再現して、当該特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を画像形成部2に対して出力する。これにより、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データに従って画像形成される画像形成される特殊画像701は、
図7に示すように、人の眼で確認することができる通常色材を用いて再現される。その結果、印刷物X上で、特殊画像701の模様、濃度、および階調を目視で確認することができる。
【0054】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の他の例を示す図である。次に、本実施の形態にかかる画像形成システムによる特殊色材印刷のテストプリントの他の例について説明する。
【0055】
本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、印刷制御部502は、印刷物Xにおいて通常画像データを画像形成する面(例えば、表面)とは反対側の面(例えば、裏面)に対して、特殊画像データを反転させて画像形成を行うことが指示する印刷指示を画像形成部2に出力する。また、本実施の形態では、印刷制御部502は、裏面に画像形成を行う特殊画像データの左右を反転して、当該特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を画像形成部2に出力する。
【0056】
これにより、印刷物Xの裏面に画像形成される特殊画像701は、
図6に示す特殊画像601とは異なり、印刷物Xに向かって、左側に向かうに従い、その濃度が濃くなっている。そして、印刷物Xの裏面を、印刷物Xの表面側から透かして見ると、
図6に示す特殊画像601と同様に、印刷物Xに向かって、右側に向かうに従い、その濃度が濃くなっているように見える。また、印刷物Xの裏面を、印刷物Xの表面側から透かして見ないことにより、印刷物Xの表面に画像形成した通常画像602のみを確認することができる。
【0057】
図9は、本実施の形態にかかる画像形成システムの特殊色材印刷のテストプリントによる印刷物の他の例を示す図である。次に、本実施の形態にかかる画像形成システムによる特殊色材印刷のテストプリントの他の例について説明する。
【0058】
特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、従来の画像形成システムでは、
図6に示すように、通常色材を用いて通常画像データの画像形成を行って印刷物Xに通常画像602を印刷し、特殊色材を用いて特殊画像データの画像形成を行って印刷物Xに特殊画像601を印刷している。そのため、印刷物X上において、特殊画像601が、可視領域において、透明または印刷物Xと同じ色で再現されるため、その濃度や階調を目視で確認することが困難である。
【0059】
そこで、本実施の形態では、上述したように、特殊色材印刷のテストプリントの印刷指示を受け付けた場合、印刷制御部502は、通常色材を用いて、特殊画像データの濃度および階調をそのまま再現して、当該特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を画像形成部2に対して出力する。これにより、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像601は、
図9に示すように、人の眼で確認することができる通常色材を用いて再現される。
【0060】
しかしながら、特殊色材印刷のテストプリントを行う際に、特殊画像701と通常画像602とが重なり合い、かつ、特殊画像701の画像形成に用いた通常色材が通常画像602と同一の通常色材である場合、特殊画像701と通常画像602との境目が不明になる可能性がある。
【0061】
そこで、本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントの指示を受け付けた場合、印刷制御部502は、通常色材を用いて、特殊画像データを、通常画像データの濃度および階調とは異なる濃度および階調で再現することを指示する印刷指示を画像形成部2に対して出力する。これにより、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像701は、
図9に示すように、通常画像602の濃度(例えば、70%)とは異なる濃度(例えば、90%)で再現されるので、特殊色材印刷のテストプリントを行う際に、特殊画像701と通常画像602とが重なり合う場合でも、特殊画像701と通常画像602との境目を認識することができ、特殊画像701および通常画像602のそれぞれの濃度や階調を目視によってより確認し易くなる。
【0062】
図10は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける画像データのテストプリントの流れの一例を示すフローチャートである。次に、
図10を用いて、本実施の形態にかかる画像形成システムにおける画像データのテストプリントの流れの一例について説明する。
【0063】
受付部501によって特殊色材印刷のテストプリントの指示が受け付けられると、印刷制御部502は、特殊画像データの画像形成において、特殊色材を用いるか否かを判断する(ステップS1001)。本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントにおいて特殊色材を用いて特殊画像データの画像形成を行うか否かは、ユーザ等によって、予め設定されているものとする。
【0064】
特殊画像データの画像形成において、特殊色材を用いると判断した場合(ステップS1001:Yes)、印刷制御部502は、通常色材を用いて通常画像データの画像形成を行い、かつ特殊色材を用いて特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を画像形成部2に出力する。これにより、画像形成部2は、通常色材を用いて通常画像データの画像形成を行い、かつ特殊色材を用いて特殊画像データの画像形成を行う特殊色材印刷のテストプリントを実行する(ステップS1002)。
【0065】
一方、特殊画像データの画像形成において、通常色材を用いると判断した場合(ステップS1001:No)、印刷制御部502は、特殊画像データの画像形成において用いる通常色材の色(印字色)を選択する(ステップS1003)。本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントにおいて特殊画像データの画像形成に用いる通常色材の印字色は、予め設定されているものとする。
【0066】
次に、印刷制御部502は、特殊色材印刷のテストプリントにおける通常画像データおよび特殊画像データのそれぞれの画像形成を行う際の濃度(印字濃度)を選択する(ステップS1004)。本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントにおける通常画像データおよび特殊画像データのそれぞれの画像形成を行う際の印字濃度は、プリンタドライバまたは操作部305等を介して、特殊色材印刷の設定を行うタイミングにおいて設定されるものとする。ここで、特殊色材印刷のテストプリントにおける特殊画像データの画像形成を行う際の印字濃度には、当該特殊画像データの濃度をそのまま再現する印字濃度が設定可能であるものとする。
【0067】
そして、印刷制御部502は、通常色材を用いかつ通常画像データについて設定された印字濃度で当該通常画像データの画像形成を行い、かつ、予め設定された通常色材を用いかつ特殊画像データについて設定された印字濃度で当該特殊画像データの画像形成を行うことを指示する印刷指示を、画像形成部2に出力する。これにより、画像形成部2は、通常色材を用いかつ通常画像データについて設定された印字濃度で当該通常画像データの画像形成を行い、かつ、予め設定された通常色材を用いかつ特殊画像データについて設定された印字濃度で当該特殊画像データの画像形成を行う(ステップS1005)。
【0068】
図11は、本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて印刷制御部から出力される印刷指示の一例を示す図である。次に、
図11を用いて、印刷制御部502から画像形成部2に出力される印刷指示の一例について説明する。
【0069】
本実施の形態では、特殊色材印刷のテストプリントを行う場合、印刷制御部502は、特殊画像モード、お試し印刷、お試し印刷モード、特殊画像部色情報、および特殊画像部濃度情報、通常画像部濃度情報を含む印刷指示をジョブとして、画像形成部2に出力する。
【0070】
ここで、特殊画像モードは、特殊画像データの画像形成において、特殊色材および通常色材(例えば、YMC)のいずれを用いるかを示す情報である。また、お試し印刷は、特殊色材印刷のテストプリントを実行するか否かを示す情報である。また、お試し印刷モードは、特殊色材印刷のテストプリントにおいて、通常画像データおよび特殊画像データの両方の画像形成を行うか否かを示す情報である。
【0071】
また、特殊画像部色情報は、特殊画像データの画像形成において用いる通常色材の色を示す情報である。また、特殊画像部濃度情報は、特殊画像データの画像形成を行う際の印字濃度を示す情報である。また、通常画像部濃度情報は、通常画像データの画像形成を行う際の印字濃度を示す情報である。
【0072】
印刷指示が含むお試し印刷が、特殊色材印刷のテストプリントを実行することを示し、かつ当該印刷指示が含むお試し印刷モードが、通常画像データおよび特殊画像データの両方の画像形成を行うことを示している場合、画像形成部2は、印刷指示が含む特殊画像部色情報が示す色(例えば、ブラック)の色材を用いかつ当該印刷指示が含む特殊画像部濃度情報が示す印字濃度(例えば、100%)で、特殊画像データの画像形成を行う。また、画像形成部2は、印刷指示が含む通常画像部濃度情報が示す印字濃度(例えば、50%)で、通常画像データの画像形成を行う。
【0073】
このように、本実施の形態にかかる画像形成システムによれば、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データの濃度や階調が二値化されることなく、当該特殊画像データの濃度や階調をそのまま表現することができる。その結果、特殊色材印刷のテストプリントを実行する際、特殊画像データの濃度や階調を目視で確認することができる。
【0074】
なお、本実施の形態の画像形成システムで実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の画像形成システムで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0075】
さらに、本実施の形態の画像形成システムで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成システムで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0076】
本実施の形態の画像形成システムで実行されるプログラムは、上述した各部(受付部501、印刷制御部502)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU313(プロセッサの一例)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、受付部501、印刷制御部502が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0077】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 読取部
2 画像形成部
3 画像入出力部
301 ファクシミリ部
302 記憶制御部
303,310,312 I/F
304 RIP部
305 操作部
306 制御部
307 カウンタ部
308 ハードディスク
311 データ処理部
313 CPU
314 メモリ
315 データ管理部
501 受付部
502 印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】