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特許7485009封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20240509BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240509BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20240509BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20240509BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240509BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08K3/013
C08G59/20
C08K5/54
H01L23/30 R
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022212335
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2019510186の分割
【原出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2023030182
(43)【公開日】2023-03-07
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2017072889
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 依子
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 由則
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/129272(WO,A1)
【文献】特表2014-521754(JP,A)
【文献】特開2012-153885(JP,A)
【文献】特開2016-179564(JP,A)
【文献】特開2013-006981(JP,A)
【文献】特開2015-010146(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057561(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 59/00-59/72
H01L 23/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点又は軟化点が40℃を超えるエポキシ樹脂と、硬化剤と、グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物と、を含有し、
25℃、1気圧下において固体であり、
前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物が、ゴム架橋ビスフェノール型エポキシ樹脂及びキレート変性型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂に対し、5質量%以上45質量%未満である請求項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、硬化促進剤を含有する請求項1又は請求項2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、無機充填剤を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、シラン化合物を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂の融点又は軟化点が、80℃~130℃である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物のエポキシ当量が、165g/eq~365g/eqである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂に対し、20質量%以上45質量%未満である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
素子と、前記素子を封止する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化等に伴い、実装の高密度化が進んでいる。これにより、電子部品装置の主流は従来のピン挿入型のパッケージから、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Intergration)等の表面実装型のパッケージへと変化しつつある。
【0003】
表面実装型のパッケージは、従来のピン挿入型のものと実装方法が異なっている。すなわち、ピンを配線板に取り付ける際、従来のピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後に配線板の裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは電子部品装置全体がはんだバス、リフロー装置等で処理されるため、パッケージが直接はんだ付け温度(リフロー温度)にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付けの際に吸湿による水分が急激に膨張し、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、素子、リードフレーム等のインサートと封止材との間で剥離を発生させ、パッケージクラック、電気的特性不良等の原因となる場合がある。このため、インサートに対する接着性に優れ、ひいてははんだ耐熱性(耐リフロー性)に優れる封止材料の開発が望まれている。
【0004】
これらの要求に対応するために、これまで主材となる固体状エポキシ樹脂について様々な検討がされている。例えば、固形状エポキシ樹脂として、ビフェニル型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂を用いる方法が検討されている(例えば、特開昭64-65116号公報及び特開2007-231159号公報参照)。
【0005】
また種々のエポキシ樹脂改質材の使用も検討されており、その中の一例として、素子とリードフレーム等のインサートとの密着力向上に注目して、シランカップリング剤の使用が検討されている。具体的には、エポキシ基含有シランカップリング剤又はアミノ基含有シランカップリング剤の使用(例えば、特開平11-147939号公報参照)及び硫黄原子含有シランカップリング剤の使用(例えば、特開2000-103940号公報参照)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ビフェニル型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂を用いただけでは、流動性及び耐リフロー性のバランスをとることが困難であった。
また、エポキシ基含有シランカップリング剤又はアミノ基含有シランカップリング剤を用いるだけでは、接着性向上効果が十分でない場合があった。特に上記特開平11-147939号公報に記載のアミノ基含有シランカップリング剤は反応性が高く、封止用エポキシ樹脂組成物に用いた場合は、封止するときの流動性が低下する。さらに、上記特開平11-147939号公報に記載のエポキシ基含有シランカップリング剤及びアミノ基含有シランカップリング剤は、シランカップリング剤自体がゲル化する等、流動性に課題がある。
また、上記特開2000-103940号公報に記載の硫黄原子含有シランカップリング剤を用いた場合は、Ag及びAuのような貴金属との接着性向上効果が十分でなく、耐リフロー性の向上効果も不十分である。
【0007】
上述したように、耐リフロー性と流動性との両方を十分に満足するエポキシ樹脂組成物は得られていないのが現状である。
本開示はかかる状況に鑑みなされたもので、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物、及び前記エポキシ樹脂組成物の硬化物を備える電子部品装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>融点又は軟化点が40℃を超えるエポキシ樹脂と、硬化剤と、グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物と、を含有するエポキシ樹脂組成物。
<2>前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物が、ジシクロペンタジエン骨格を有する<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3>前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂に対し、5質量%以上45質量%未満である<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4>さらに、硬化促進剤を含有する<1>~<3>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<5>さらに、無機充填剤を含有する<1>~<4>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<6>さらに、シラン化合物を含有する<1>~<5>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<7>前記エポキシ樹脂の融点又は軟化点が、80℃~130℃である<1>~<6>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<8>前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物のエポキシ当量が、165g/eq~365g/eqである<1>~<7>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<9>前記グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物の含有率が、前記エポキシ樹脂に対し、20質量%以上45質量%未満である<1>~<8>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
<10>素子と、前記素子を封止する<1>~<9>のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物、及び前記エポキシ樹脂組成物の硬化物を備える電子部品装置を提供することができる。従って、その工業的価値は大である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
【0012】
<エポキシ樹脂組成物>
本発明の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、融点又は軟化点が40℃を超えるエポキシ樹脂(以下「(A)特定エポキシ樹脂」又は「特定エポキシ樹脂」ともいう)と、硬化剤(以下「(B)硬化剤」又は「硬化剤」ともいう)と、グリシジル基を有し融点が40℃以下である化合物(以下「(C)特定グリシジル化合物」又は「特定グリシジル化合物」ともいう)と、を含有する。エポキシ樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。なお、(C)特定グリシジル化合物としては、例えば、常温(例えば、25℃)で液状の化合物が挙げられる。
かかる構成により、上記エポキシ樹脂組成物は、耐リフロー性に優れる。また、上記エポキシ樹脂組成物は、流動性が良好である。
【0013】
エポキシ樹脂組成物が流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れる理由は明らかでないが、以下のように考えることができる。具体的には、特定グリシジル化合物中のグリシジル基がエポキシ樹脂組成物中の硬化剤と結合することにより、接着力の向上効果及び弾性率の低減効果が得られ、高い流動性を維持しつつ耐リフロー性が向上するためと考えられる。
【0014】
上記エポキシ樹脂組成物は、例えば、常温常圧(例えば、25℃1気圧)下において固体であるものが挙げられる。固体の形状に制限はなく、粉状、粒状、タブレット状等、如何なる形状でもよい。
また、上記エポキシ樹脂組成物は、封止用樹脂組成物、さらにはトランスファーモールド用樹脂組成物として用いてもよい。
【0015】
(C)特定グリシジル化合物
(C)特定グリシジル化合物は、分子構造中にグリシジル基を有し融点が40℃以下の化合物である。特定グリシジル化合物は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が特定グリシジル化合物を含むことにより、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れる。
なお、特定グリシジル化合物の1分子が有するグリシジル基の数は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、1~6が好ましく、2~4がより好ましい。
【0016】
特定グリシジル化合物は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、分子構造中にさらにジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。分子構造中にグリシジル基及びジシクロペンタジエン骨格を有する特定グリシジル化合物を含有させることにより、特定グリシジル化合物中のグリシジル基がエポキシ樹脂組成物中の硬化剤と結合することに加え、さらにジシクロペンタジエン構造が金属表面へ相互作用するため、接着力がさらに向上すると推測される。
なお、特定グリシジル化合物の1分子が有するジシクロペンタジエン骨格の数は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、1~4が好ましく、1~2がより好ましい。
【0017】
特定グリシジル化合物の具体例としては、例えば、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテルが挙げられる。
また、特定グリシジル化合物の具体例としては、上記化合物のほか、例えば、ゴム架橋ビスフェノール型エポキシ樹脂、キレート変性型エポキシ樹脂も挙げられる。
【0018】
特定グリシジル化合物の分子量は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、100~600が好ましく、200~400がより好ましい。
また、特定グリシジル化合物の融点は、40℃以下であり、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、0℃~35℃が好ましく、0℃~30℃がより好ましい。
また、特定グリシジル化合物のエポキシ当量は、165g/eq~365g/eqが好ましく、165g/eq~240g/eqがより好ましい。
【0019】
特定グリシジル化合物のエポキシ樹脂組成物中の含有率は、(A)特定エポキシ樹脂の合計量に対して5質量%以上45質量%未満が好ましい。5質量%以上であることにより、5質量%未満である場合に比べて接着性が向上し、耐リフロー性の向上効果が得られる傾向がある。また、45質量%未満であることにより、45質量%以上である場合に比べて成形時の硬度の低下が抑えられる傾向がある。
なお、特定グリシジル化合物の含有率は、(A)特定エポキシ樹脂の合計量に対して10質量%以上45質量%未満がより好ましく、20質量%以上45質量%未満がさらに好ましく、25質量%以上45質量%未満が特に好ましい。
また、特定グリシジル化合物の含有率は、エポキシ樹脂組成物全体に対して1質量%以上が好ましい。
【0020】
(A)特定エポキシ樹脂
エポキシ樹脂組成物は、融点又は軟化点が40℃を超えるエポキシ樹脂(すなわち(A)特定エポキシ樹脂)の少なくとも1種を含む。
ここで、エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、JIS K 7234:1986及びJIS K 7233:1986に記載の単一円筒回転粘度計法により測定される値とする。
特定エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物に一般的に使用されているものでよく、融点又は軟化点が40℃を超えるものであれば特に制限はない。
特定エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、45℃~180℃が好ましく、50℃~150℃がより好ましく、80℃~130℃がさらに好ましく、96℃~113℃が特に好ましい。
【0021】
特定エポキシ樹脂は、中でも1分子中にエポキシ基を2個以上含有するものが好ましい。
特定エポキシ樹脂のエポキシ当量は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、100g/eq~1000g/eqが好ましく、150g/eq~1000g/eqがより好ましく、150g/eq~500g/eqがさらに好ましく、196g/eq~245g/eqが特に好ましい。
エポキシ当量は、秤量したエポキシ樹脂をメチルエチルケトン等の溶剤に溶解させ、酢酸と臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加えた後、過塩素酸酢酸標準液によって電位差滴定することにより測定される。この滴定には、指示薬を用いてもよい。
【0022】
特定エポキシ樹脂として、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、チオジフェノール型エポキシ樹脂等の硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物との共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等も特定エポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
特定エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂のなかでも、流動性及び耐リフロー性の観点からはビスフェノールF骨格を有するエポキシ樹脂であるビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性の観点からはビフェニレン骨格を有するエポキシ樹脂であるビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトールアラルキル樹脂をエポキシ化したものであるナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
特定エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂、及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。特定エポキシ樹脂として難燃性の良好な樹脂を用いて、ノンハロゲン及びノンアンチモンとする(つまり、ハロゲン原子及びアンチモン原子の両方を有さないエポキシ樹脂を用いる)ことが高温放置特性向上の観点から好ましい。
【0024】
なお、特定エポキシ樹脂は、目的及び製造条件等にあわせて選択して用いることができる。例えば、特定エポキシ樹脂として、ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物であるビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂及びメトキシナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂であるメトキシナフタレン型エポキシ樹脂等を、単独又は組み合わせて用いることができる。
【0025】
特定エポキシ樹脂全体に対する、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂、及びナフトールアラルキル型エポキシ樹脂の合計の含有率は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
【0026】
特定エポキシ樹脂全体の含有率は、成形性、耐リフロー性、及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点から、エポキシ樹脂組成物中0.4質量%~28質量%が好ましく、1.1質量%~26質量%がより好ましい。特定エポキシ樹脂のエポキシ樹脂組成物中の含有率が28質量%以下であると、28質量%を超える場合に比較して耐リフロー性が良好に保たれる傾向がある。また0.4質量%以上であると、0.4質量%未満である場合に比較して流動性が良好に保たれる傾向がある。
【0027】
(B)硬化剤
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤の少なくとも1種を含む。硬化剤はエポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものでよく、特に制限はない。
(B)硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物を得る観点から、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、及び酸無水物硬化剤が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましい。
【0028】
フェノール硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等と、から合成されるアラルキル型フェノール樹脂(フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等);パラキシリレン変性フェノール樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物とジシクロペンタジエンとの共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂;などが挙げられる。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記の例示した硬化剤(すなわち、ノボラック型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂、並びにこれら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂)は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の例示した硬化剤(2種以上を用いる場合はその合計)の含有率は、硬化剤全量中50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
【0030】
硬化剤の官能基当量は特に制限されず、成形性、耐リフロー性、及び電気的信頼性等のバランスの観点から、70g/eq~1000g/eqが好ましく、80g/eq~500g/eqがより好ましい。なお、官能基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された値をいう。
また硬化剤の軟化点又は融点は特に制限されず、成形性及び耐リフロー性の観点から、40℃~180℃が好ましく、エポキシ樹脂組成物作製時における取扱い性の観点からは50℃~130℃がより好ましい。なお、硬化剤の軟化点又は融点の測定方法は、特定エポキシ樹脂の軟化点又は融点の測定方法と同様である。
【0031】
エポキシ樹脂組成物において、(A)特定エポキシ樹脂及び(C)特定グリシジル化合物と(B)硬化剤との当量比、すなわち特定エポキシ樹脂及び特定グリシジル化合物におけるエポキシ基及びグリシジル基の総量に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/特定エポキシ樹脂及び特定グリシジル化合物中のエポキシ基数及びグリシジル基数の合計)は、特に制限はない。それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5~2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性並びに耐はんだ性及び耐リフロー性により優れるエポキシ樹脂組成物を得るためには、0.8~1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。上記比率が0.5以上であることにより、0.5未満である場合に比べ、エポキシ樹脂組成物が充分に硬化しやすくなり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、及び電気特性が良好になる傾向がある。一方、上記比率が2.0以下であることにより2.0を超える場合に比べて、硬化剤成分が過剰となることによる硬化効率の低下、並びに硬化物中に多量の官能基が残ることによるパッケージの電気特性及び耐湿性の低下が抑制される傾向がある。特に、硬化剤としてフェノール硬化剤を用いた場合に上記比率が2.0以下であることにより2.0を超える場合に比べて、フェノール樹脂成分が過剰となることによる硬化効率の低下、並びに硬化物中に多量のフェノール性水酸基が残ることによるパッケージの電気特性及び耐湿性の低下が抑制される傾向がある。
【0032】
(D)硬化促進剤
エポキシ樹脂組成物は、(A)特定エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)特定グリシジル化合物のほかに、必要に応じて(D)硬化促進剤の少なくとも1種を含んでもよい。硬化促進剤としては、(A)特定エポキシ樹脂と(B)硬化剤との反応を促進する化合物であれば限定されるものではない。
(D)硬化促進剤としては、例えば、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ(4,3,0)ノネン、5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物;前記シクロアミジン化合物に、無水マレイン酸、キノン化合物(例えば、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン)、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン化合物;上記ホスフィン化合物に、無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体;などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(D)硬化促進剤の含有率は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではなく、エポキシ樹脂組成物中0.005質量%~2質量%が好ましく、0.01質量%~0.5質量%がより好ましい。エポキシ樹脂組成物中における硬化促進剤の含有率が0.005質量%以上であることにより、0.005質量%未満である場合に比べ、短時間での硬化性が良好になる傾向があり、2質量%以下であることにより、2質量%を超える場合に比べ、硬化速度が速すぎないため、良好な成形品が得られやすくなる傾向がある。
【0034】
(E)無機充填剤
エポキシ樹脂組成物は、(A)特定エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)特定グリシジル化合物のほかに、必要に応じて(E)無機充填剤の少なくとも1種を含んでもよい。無機充填剤は、例えば、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上、及び強度向上の目的で用いることができる。
【0035】
無機充填剤の種類は、特に制限されない。具体的には、球状シリカ(例えば、溶融シリカ)、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填剤を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。
無機充填剤の形状としては粉未、粉末を球形化したビーズ、繊維等が挙げられる。
【0036】
これらの無機充填剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは球状シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填剤の形状は充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
【0037】
エポキシ樹脂組成物中の無機充填剤の含有率は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減、強度向上及び耐リフロー性の観点から、60質量%以上が好ましく、60質量%~95質量%が難燃性の観点からより好ましく、70質量%~90質量%がさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物中の無機充填剤の含有率が60質量%以上であることにより、60質量%未満である場合に比べ、難燃性及び耐リフロー性が向上する傾向がある。エポキシ樹脂組成物中の無機充填剤の含有率が95質量%以下であると、95質量%を超える場合に比べて流動性が向上する傾向があり、また難燃性も向上する傾向にある。
【0038】
エポキシ樹脂組成物は、上述の成分(A)特定エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)特定グリシジル化合物に加えて、必要に応じて以下に例示するカップリング剤、難燃剤、陰イオン交換体、離型剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含んでもよい。また、エポキシ樹脂組成物には、以下の添加剤に限定することなく、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を添加してもよい。
【0039】
(F)カップリング剤
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、樹脂成分と充填剤との接着性を高めるために、カップリング剤の少なくとも1種を含んでもよい。
カップリング剤としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであればよく、特に制限はなく、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、及び3級アミノ基の少なくとも1種を有するシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物(例えば、下記シラン系カップリング剤)、チタン系化合物(例えば、下記チタネート系カップリング剤)、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。
耐リフロー性の観点からは、カップリング剤として上記シラン化合物を用いることが好ましい。
【0040】
カップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N,N-ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N,N-ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N,N-ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
なかでも流動性、難燃性の観点からは2級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。2級アミノ基を有するシランカップリング剤は分子内に2級アミノ基を有するシラン化合物であれば特に制限はなく、具体例としては、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アニリノプロピルエチルジエトキシシラン、γ-アニリノプロピルエチルジメトキシシラン、γ-アニリノメチルトリメトキシシラン、γ-アニリノメチルトリエトキシシラン、γ-アニリノメチルメチルジメトキシシラン、γ-アニリノメチルメチルジエトキシシラン、γ-アニリノメチルエチルジエトキシシラン、γ-アニリノメチルエチルジメトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N-(p-メトキシフェニル)-γ-アミノプロピルエチルジメトキシシラン、γ-(N-メチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-ブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-ベンジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-メチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-エチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-ブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-ベンジル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(N-メチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-エチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-ブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(N-ベンジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
エポキシ樹脂組成物中のカップリング剤の含有率は、0.037質量%~4.75質量%が好ましく、0.05質量%~5質量%がより好ましく、0.1質量%~2.5質量%がさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物中のカップリング剤の含有率が0.037質量%以上であることにより、0.037質量%未満である場合に比べ、フレームとの接着性が向上する傾向があり、4.75質量%以下であることにより、4.75質量%を超える場合に比べ、パッケージの成形性が向上する傾向がある。
【0043】
エポキシ樹脂組成物には、難燃性を付与するために必要に応じて難燃剤の少なくとも1種を配合することができる。難燃剤としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子、又はリン原子を含む公知の有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。難燃剤の含有率は、難燃効果が達成されれば特に制限はなく、(A)特定エポキシ樹脂に対して1質量%~30質量%が好ましく、2質量%~15質量%がより好ましい。
【0044】
エポキシ樹脂組成物には、陰イオン交換体の少なくとも1種を必要に応じて配合することができる。特に、エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いるものであるため、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、陰イオン交換体を含有することが好ましい。
陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができ、具体例としては、ハイドロタルサイト類;マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、及びビスマスから選ばれる元素の含水酸化物;等が挙げられる。陰イオン交換体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、陰イオン交換体は、下記一般式(1)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0045】
Mg1-XAl(OH)(COX/2・mHO (1)
(式(1)中、0<X≦0.5、mは正の数)
【0046】
上記陰イオン交換体の含有率は、ハロゲンイオン等の陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はなく、(A)特定エポキシ樹脂に対して0.1質量%~30質量%が好ましく、1質量%~5質量%がより好ましい。
【0047】
さらに、エポキシ樹脂組成物には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤;カーボンブラック等の着色剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤;などを必要に応じて配合することができる。
【0048】
エポキシ樹脂組成物は、各種原材料を分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製でき、一般的な手法として、原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡及び粉砕する方法などを挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化してもよい。
【0049】
<電子部品装置>
本発明の実施形態に係る電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する上述のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材又は実装基板に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載し、必要な部分を上述のエポキシ樹脂組成物で封止した、電子部品装置などが挙げられる。
【0050】
ここで、実装基板としては特に制限するものではなく、具体例としては、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
【0051】
電子部品装置の具体例としては、例えば、半導体装置が挙げられ、より具体的には、リードフレーム(アイランド、タブ)上に半導体チップ等の素子を配置し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、前記エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の樹脂封止型IC;テープキャリアにリードボンディングした半導体チップを、前記エポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package);配線板又はガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップを、前記エポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)、COG(Chip On Glass)等のベアチップ実装した半導体装置;配線板又はガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した能動素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等)及び受動素子(コンデンサ、抵抗体、コイル等)の少なくとも一方を、前記エポキシ樹脂組成物で封止したハイブリッドIC、MCM(Multi Chip Module);マザーボード接続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チップを搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより前記半導体チップとインターポーザ基板に形成された配線とを接続した後、前記エポキシ樹脂組成物で半導体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package);などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、実装基板上に素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の素子を一度にエポキシ樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
【0052】
なお、前記エポキシ樹脂組成物を封止材として用いて、素子が封止された半導体装置等の電子部品装置を得る方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。素子が封止された半導体装置等の電子部品装置を得る方法として、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
【実施例
【0053】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0054】
以下の成分をそれぞれ下記表1及び表2に示す質量部で配合し、押出機にて混練温度135℃、で溶融混練を行い、実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を作製した。なお表中の空欄は「配合無し」を表す。
【0055】
(A)特定エポキシ樹脂としては、
エポキシ樹脂1:チオジフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名:YSLV-120TE、エポキシ当量245、軟化点113℃)
エポキシ樹脂2:ビフェニレン骨格を含有するフェノールアラルキル樹脂をエポキシ化したアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:CER-3000L、エポキシ当量240、軟化点96℃)
エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:YX-4000、エポキシ当量196、融点106℃)
を使用した。
【0056】
(B)硬化剤としては、
硬化剤1:水酸基当量176、軟化点70℃のフェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製、商品名:ミレックスXLC)
硬化剤2:水酸基当量120、軟化点85℃のメラミン変性フェノール樹脂(日立化成株式会社製、商品名:HPM-J3)
を使用した。
【0057】
(C)特定グリシジル化合物(構造中にグリシジル基を有する化合物)としては、
液状樹脂1:ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(株式会社ADEKA製、商品名:EP-4088L、エポキシ当量165、融点:25℃以下)
液状樹脂2:ゴム架橋ビスフェノール型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、商品名:EPR-4030、エポキシ当量365、融点:25℃以下)
液状樹脂3:キレート変性型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、商品名:EP-49-10N、エポキシ当量220、融点:25℃以下)
を使用した。
【0058】
(D)硬化促進剤としては、
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィンとベンゾキノンの付加反応物
硬化促進剤2:トリパラトリルホスフィン・パラベンゾキノンの混合物
を使用した。
【0059】
(E)無機充填剤としては、
溶融シリカ:体積平均粒径18μm、比表面積1.5m/gの球状溶融シリカ
を使用した。
【0060】
(F)カップリング剤としては、
カップリング剤1:γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-803)
カップリング剤2:N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-573)
カップリング剤3:メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM―13)
を使用した。
【0061】
その他、各種添加剤としては、
着色剤:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、商品名:MA100)
離型剤:モンタン酸エステル(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:HW-E)
添加剤:マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート(陰イオン交換体、ハイドロタルサイト類、堺化学工業株式会社製、商品名:HT-P)
を使用した。
【0062】
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を、次の(1)~(5)の各種特性試験により評価した。評価結果を下記表1及び表2に纏めて示した。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、明示しない限りトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、必要に応じて後硬化を175℃で6時間行った。
【0063】
(1)スパイラルフロー
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、エポキシ樹脂組成物を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
【0064】
(2)熱時硬度
エポキシ樹脂組成物を上記条件で直径50mm、厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計(株式会社上島製作所製、品番:HD-1120(タイプD))を用いて熱時硬度を測定した。
【0065】
(3)260℃における曲げ弾性率(高温曲げ試験)
エポキシ樹脂組成物を上記条件で10mm×70mm×3mmに成形、後硬化して試験片を作製した。得られた試験片をJIS K6911:2006に準じた3点曲げ試験を曲げ試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、品名:テンシロン)を用いて恒温槽で260℃に保ちながら行い、下記の式より260℃における曲げ弾性率(MPa)を求めた。
ただし、下記式中、「E」は曲げ弾性率(Pa)、「ΔP」はロードセルの値(N)、「Δy」は変位量(mm)、「l」はスパン(=48mm)、「w」は試験片幅(=10mm)、「h」は試験片厚さ(=3mm)を示す。
【0066】
【数1】
【0067】
(4)接着力試験
9mm×9mmのスリットを設けた金型にパラジウムメッキした銅板を置き、そこにエポキシ樹脂組成物を上記の条件で、底面の直径4mm、上面の直径3mm、高さ4mmのサイズに成形して、後硬化し、ボンドテスター(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製シリーズ4000)によって、室温(25℃)にて、せん断速度50μm/sでせん断接着力(MPa)を測定した。
【0068】
(5)耐リフロー性
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面、及びリード先端部銀メッキ処理品(表中の「Cu-Ag」)、並びにパラジウム合金メッキ処理品(表中の「PPF」))を、エポキシ樹脂組成物を用いて上記条件で成形及び後硬化して作製し、125℃、24時間の条件でベークした後、60℃、60%RHの条件で、40時間加湿した後、260℃、30秒の条件で3回リフロー処理をそれぞれ行い、樹脂とフレームとの界面におけるはく離の有無を超音波探傷装置で観察し、試験パッケージ数(20個)に対するはく離発生パッケージ数で耐リフロー性を評価した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
表1及び表2から明らかなとおり、(C)特定グリシジル化合物を含有していない比較例は耐リフロー性が劣っている。これに対し(C)特定グリシジル化合物を含有している実施例1~7は比較例と比べ耐リフロー性に優れている。その理由は定かではないが、前記の通り、弾性率低減効果及び接着力の向上効果によるものと推測される。
実施例1~3及び比較例の結果から、ジシクロペンタジエン構造を持つ多環芳香環化合物のほうがより耐リフロー性にすぐれていることがわかる。
実施例4~7及び比較例の結果から、液状樹脂1のエポキシ組成物全体に対する割合が1質量%以下である実施例4及び実施例5に比べ、液状樹脂1のエポキシ組成物全体に対する割合が1質量%以上である実施例6及び実施例7は、耐リフロー性により優れていることがわかる。
【0072】
2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017-072889号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に取り込まれる。